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Meiji University Title AI�IoTAuthor(s) �,Citation �, 66(2): 229-248 URL http://hdl.handle.net/10291/20421 Rights Issue Date 2019-03-15 Text version publisher Type Departmental Bulletin Paper DOI https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が 人事労務管 …...231 AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が 人事労務管理に与える影響に関する一考察

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Meiji University

 

TitleAIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が人

事労務管理に与える影響に関する一考察

Author(s) 山崎,憲

Citation 経営論集, 66(2): 229-248

URL http://hdl.handle.net/10291/20421

Rights

Issue Date 2019-03-15

Text version publisher

Type Departmental Bulletin Paper

DOI

                           https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

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経 営 論 集6 6 巻 第 2 号2 0 1 9 年 3 月

AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が人事労務管理に与える影響に関する一考察

山 崎  憲

1. はじめに

 本稿の目的は,AI や IoT といった科学技術の進展とそれによるグローバル化の進展が人事

労務管理に与える影響を考察するとともに,今後の方向性に対する示唆を提供することにある。

 人事労務管理の起源は 18 世紀の産業革命にさかのぼる。製造工程に蒸気機関を導入したこと

は生産効率を大幅に拡大したものの,初期の工場では生産工程の多くを熟練工に頼らなくては

ならなかった。その供給源は徒弟制度に基づく請負労働者だった。親方から弟子へと技能が伝

承されるとともに,ギルドを形成して獲得した技能の流出を防いでいた。熟練工は自らの技能

を交渉力の源泉としていたからこそ,企業側による恣意的な増産に労働者を対抗することがで

きた。その段階では人事労務管理は始まらない。

 イギリスに誕生した産業革命は大西洋を越えてアメリカに渡った。そこで巨大資本による生

産手段の集中と高度化による大量生産が行われるようになる。同時に,大量生産に適した働か

せ方である課業管理が考案され,未熟練工の活用が可能になった。これにより,請負契約によ

る熟練工から直接雇用の未熟練工へと切り替えが進むことになる。採用した未熟練工を企業内

で訓練することで,熟練工の代替をすることができたからである。未熟練工は能力や適性にか

かわらず課業管理の中に置かれる。つまり,集団として労働者を扱うことが未熟練工の採用と

課業管理の含意なのである。そしてそれこそが,労働者を集団として扱う人事労務管理の原点

である。未熟練工が労働組合を組織して集団的な交渉力を駆使するか,もしくは労働組合を組

織しないにかかわらず,課業管理という働かせ方が継続する限りにおいて,その構造に変化は

ない。

 労働者のみならず,社会においてさまざまな集団の利害調整に着目したものが労使関係論で

ある。労使関係論は労働組合と使用者の団体交渉を通じたルールメーキングだとするとらえ方

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がある。しかし,実際はそれよりもずっと扱う範囲は広い。社会におけるさまざまな利害を代

表する組織として,政府,企業,労働組合をとりあげている。そうした組織は所属する個人の

自由,財産,権利の代弁者となり,組織間で利害を調整する。つまり,人事労務管理も労使関

係論もともに,人間を集団として扱うことが基盤になっているのである。

 1980 年代から人的資源管理が人事労務管理に代わるものとして使われることが多くなった。

しかし,その本質は大きく異なる。人事労務管理は能力や適性に関わらず労働者を集団として

扱う一方,人的資源管理は個人の能力や適性に働きかけることを通じて労働者を協働へと導い

ていくものである。どちらも集団として労働者をとりまとめることには違いはない。だがその

方法が異なる。人事労務管理が基盤とするのは課業管理であり,人的資源管理は労働者に自発

的な参加を求めるものである。課業管理では集団として協働するための職務設計が重要である

一方,人的資源管理では協働を促すために個人のやりがいに働きかけるための組織設計が重要

である。アメリカにおける労働組合の組織率および社会的影響力の低下も人的資源管理の台頭

を裏付けている。

 ところで,この議論にはもう一つの論点がある。

 日本とアメリカの人事労務管理,そして労使関係ははたして同じものなのかということであ

る。日本の人事労務管理は,「能力や適性に関わらず労働者を集団として扱う」というものでは

なかった。労働者一人一人の潜在能力を重視して長期的に能力を育成してきたのである。こう

したことを通じて労働者の柔軟な配置転換を可能にしていた。これは個人の能力や適性に働き

かけることで労働者を協働へと導く人的資源管理と類似する。労使関係もこうした特性に合致

していた。労働組合は個々の労働組合員の職場参加を通じて経営に協力したが,その前提は曖

昧な範囲の職務を労働者に課すことで協働に促すことであった。つまり,どちらも厳格な職務

範囲に基づく課業管理を前提としていなかったのである。

 日本の労働研究もまた,生産現場における労働者の「職場参加」や「知的熟練論」などを皮

切りに,「能力や適性に関わらず労働者を集団として扱う」のではない姿を描き出していた。職

場参加や知的熟練は労働者間の連携を前提としており,自ずと労働者個々人の職務範囲は曖昧

で,かつ重なり合うことが意識されていた。ホワイトカラーについては,職務に人を合わせる

のか,人に職務を合わせるのかという形で個人の管理を意識する一方で,労働者同士が連携す

ることで競争力の源泉となるという視点は労働研究には欠けていた。なぜなら,「職場参加」や

「知的熟練論」は生産現場労働者が交渉力を獲得するためのツールであるからこそ研究対象と

なったのであり,管理される側である生産現場労働者に対して管理する側と考えられたホワイ

トカラーは一般的には対象とはならなかったからである。だから,ホワイトカラーに関する研

究は賃金制度や評価制度を明らかにすることにとどまってきたのである。

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人事労務管理に与える影響に関する一考察

 日本における「労働者一人一人の潜在能力を重視して長期的に能力を育成する」管理は,元

来,製造業で品質向上をもって生産性を上昇させるとする考え方に基づいていた。それこそが,

デミングの統計的品質管理手法であったのだが,もう一つの観点は,製造業の競争力が一企業

によるものではなく,下請け企業を含む多くのパートナー企業との密接な連携によるものだっ

たということである。これについては,経済の二重構造論として労働研究も着目してきたとこ

ろであるが,二重構造論を超えて,競争力の源泉となるという視座はこれまでなかったように

思う。

 本稿は,こうした日本とアメリカの労務管理と労使関係に関する相違を前提にしながら,AI

や IoT といった科学技術の進展が,ネットワーク型というべき,複数の企業と個人が織りなす

連携を競争力の源泉とするビジネスモデルにおける人の管理がどのように変化しているのかに

ついて示すことを目的としている。そのために,日本型とアメリカ型の人事労務管理と労使関

係について整理した後,日本の製造業の競争力の源泉というべき,企業間連携について取りま

とめ,現在進行中である AI,IoT 等を活用したネットワーク型ビジネスモデルとそれによって

もたらされるものと課題について提示することにする。

2. 日本型とアメリカ型

 日本型とアメリカ型を比較するにあたって,Katz(2000)らによる「収斂する多様性―雇用シ

ステムの世界的変化(Converging Divergences-Worldwide Changes in Employment Systems)」

をとりあげて検証したい。Katz(2000)らは,米国,オーストラリア,ドイツ,イタリア,ス

ウェーデン,イギリス,日本の七カ国の調査結果を通じて,雇用管理および労使関係を,「伝統

的ニューディール型」「対決型」「ジョイントチーム型」,「官僚型」「低賃金型」「人的資源管理

型」「進出日本企業型」の七つに分類した。

 もとより,管理の姿は産業や企業規模,ビジネスモデル,競争環境,社会・慣習等に影響を

受けるため,単純化は容易ではない。それでも,Katz(2000)らの分類は七か国の特徴を各国

別としなかったことに特徴がある。第一に,労働組合の有無によって分類したのちに,競争力

の源泉に着目したのである。

 競争力は,「フォードシステム」「低賃金・アウトソース」「組織連携力」の三つに区分され

た。「フォードシステム」と「組織連携力」は自動車を代表とする製造業が対象となっている。

「フォードシステム」は,限定的な職務範囲に労働者を当てはめることで能力や適性に関わらず

労働者を集団として構成するものであり,アメリカの自動車組立企業が意図されている。一方

で,「組織連携力」は,労働者一人一人の職務範囲を曖昧にして重ねあう部分をつくることで有

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機的な連携を促すものであり,人的資源管理を採用するアメリカ企業と日本の自動車組立企業

が意図されている。

 管理者の関わり方に着目すれば,「フォードシステム」は,部分としての職務の設計と職務が

組み合わされることで構築される全体が綿密に作り上げられていることが必要となる。換言す

れば,管理者による事前の設計が重要であり,そこに組み込まれる労働者の能力が個々の職務

に当てはまるかどうかによって全体の整合性の成否が決まることになる。一方で,「組織連携

力」も管理者による事前設計が重要である。どのように個々の労働者の職務を重ね合わせ,そ

れがどのように全体を構築していくかという視点が欠かせないからである。しかし,職務があ

いまいで重なりあうからこそ,個々の労働者がその部分は自分の担当範囲ではないという意識

を持たせないように日常的に管理することがより重要になるのである。したがって,事前設計

はもちろんのこと,現場監督者の役割が重要になる。この点が,日本における人事労務管理や

労使関係が着目してこなかったことである。つまり,日本で語られる「知的熟練」や「職場参

加」は,生産現場労働者への権限移譲による企業の民主化とそれによる労働組合の交渉力の向

上という視点に過度に傾斜し,現場監督者がどの程度の締め付けをもった管理を行うのかとい

う視点が欠けていたのである。

 その点において,アメリカの研究者が行った 1980 年代の調査研究も同様の状況であったとい

える。そこには,「知的熟練」や「職場参加」といった先行研究が大きな影響を与えていたため

であると考えられる。それは,生産現場におけるやみくもなチームワーク方式の導入や生産現

場労働者への過度な権限移譲や,国家を上げた教育制度,職業訓練制度の改革へとアメリカが

突き進んでいく原動力となった。これらは,アメリカ側が誤解したというよりも,偏向的な日

本の先行研究に引きずられたものと言えるかもしれない。分類ではジョイントチーム型がそれ

にあたる。

 しかし,1990 年代後半に実施された Katz(2000)らの調査は,生産現場労働者のみならず

ホワイトカラーや,製造業以外の産業等について競争力という視点を導入して調査したことに

より,いわばバイアスのかかった先行研究を乗り越えたのである。その白眉といえるものが,

人的資源管理型と進出日系企業型を同じ区分に分類したことである。これ以前の先行研究では,

進出日系企業の特徴は,知識・技能給,従業員間の情報共有の促進,問題を早期に発見して解

決する苦情処理手続き,チームワーク方式,長期勤続を前提とした雇用安定,充実した福利厚

生といった表層というべき制度のみに終始していた。その部分をもって,アメリカに 1920 年代

から存在した福祉的経営や 1980 年代から伸長した人的資源管理型との共通性が指摘されること

はこれまでもあった。しかし,Katz(2000)らは,「進出日本企業型」で組織連携力を高める

という目的のために,現場監督者の権限が強く現場労働者に対する権限移譲が抑制されている

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人事労務管理に与える影響に関する一考察

ことを明示したのである。

 もちろんこれは Katz(2000)らによる単独の成果ではなく,アメリカに関していえば,進出

日系企業の管理に関する批判的な調査,研究の積み重ねがあったからである。日本においては,

参与観察を通じて生産現場労働者の過酷な実態が語られることがあっても,それが「知的熟練」

や「職場参加」といった先行研究に対する批判として語られることは少なかった。日本国内や

進出日系企業とアメリカ現地企業との比較研究においては生産性や品質の高さの誇示ばかりが

研究成果として積み重ねられていったのである。

 Katz(2000)らが人的資源管理型と同じ区分に分類した進出日系企業の管理の特徴は,日本

における批判的研究の成果と重ね合わせれば,当然に日本国内の雇用管理の特徴と類似してい

たはずである。人事労務管理と人的資源管理の特徴についての詳しい整理は次節に譲るものの,

簡潔に言えば,アメリカにおける人事労務管理と労使関係は社会全体における経済と政治を通

じた個人の自由,権利,財産の確保を目指すものである一方で,人的資源管理は企業利益の最

大化を意識したものである。それでは,人的資源管理と類似すると分類された進出日系企業型

および日本企業型の雇用管理もやはり企業利益の最大化だけが目的であり,社会との結節点は

ないのだろうか。

 そうではない。アメリカが人事労務管理と労使関係による相互作用が社会との結節点を作り

出していたように,日本では日本型の雇用管理と労使関係による相互作用が社会との結節点を

作り出していたのである。つまり,企業利益の最大化を目的とする人的資源管理と同様の特徴

をもつ日本型の雇用管理を日本型の労使関係が補完していたのである。それでは,アメリカで

人事労務管理が人的資源管理に置き換えられ,日本では日本型の労使関係が消失してしまった

場合,両者はどのような方向へ向かうのであろうか。このことがまさに本稿が議論すべき命題

であり,節をあらためて議論することとしたい。

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図表 1 雇用管理の類型

労働組合の有無 類型 競争力の源泉 管理の特徴

有り

伝統的ニューディール型

フォードシステム

労使共同で運営する苦情処理制度,長期間の勤続年数を基準にしたレイオフや昇進の手続き,詳細で多岐にわたる職務区分,制度化・慣習化された団体交渉手続き

対決型 低賃金・アウトソース

労働組合と使用者の間に制度化された団体交渉手続きがないか,そもそも労働組合との交渉に使用者側が応じない

ジョイントチーム型 組織連携力

職務区分を削減するとともに一人当たりの職務範囲が大くくりで,従業員による自律的な作業グループの導入,知識連動給の採用,労働組合による経営上の意思決定参画を通じ,労働組合と使用者がともに企業競争力向上にむけて協力する

無し

官僚型 フォードシステム

労働協約に準じた制度化,公式化(労働組合のある組織のホワイトカラー従業員や管理職を対象として整理され,労働組合員を対象とした労働協約に影響を受けた制度化された仕組み)

低賃金型 低賃金・アウトソース

低コストを競争力の源泉に置くため,臨時雇用もしくは個人請負を活用するとともに,短期間での離職,限られた昇進機会といった管理

人的資源管理型

組織連携力

現場監督者の管理による現場労働者への権限移譲の抑制,知識・技能給,従業員間の情報給の促進,問題を早期に発見して解決する苦情処理手続き,チームワーク方式,長期勤続を前提とした雇用安定,充実した福利厚生

進出日系企業型

出所:Katz ら(2000)により著者作成

3. 人事労務管理から人的資源管理への変遷

 人事労務管理は,巨大資本と労働組合が出揃うとともに,生産と作業の専門化が進展した 19

世紀末のアメリカで誕生した。熟練した請負労働者を排除することで企業が主導的な立場を獲

得することが目的の一つだった。そのために,時間,報酬,作業内容をコントロールすること

で能率管理を行うとともに労働者の能力を育成する科学的管理法と,手厚い福利厚生によって

労働者に報いるウェルフェアマネジメントが生み出されたのである。これらの管理は,画一的

な職務に労働者を当てはめるのみならず,企業の外側をとりまく社会規範とのつながりにより,

労働者を協働する集団として取りまとめることを意識していた。それが人間関係管理である。

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人事労務管理に与える影響に関する一考察

そこには,産業社会の進展により失われつつあった地域や家族といった協働の素地を回復する

という意味が込められていた。この点において,個々の労働者間で重なりあう職務を設計して

協働を促すように管理監督者を置くという日本の人事労務管理とは一線を画していたといって

よい。より具体的にいえば,日本の人事労務管理は社会との接点を意識しない,もしくは隔絶

した環境を可能にしたのである。

 アメリカに戻れば,人間関係管理には協働する集団としての社会規範により,企業の意図に

反して労働者が自律的に組織する労働組合のような集団を阻止するという意図があった。この

状況は 1920 年代後半に変化する。労働組合をアメリカの社会,経済,政治における中核に据え

るニューディール政策が登場したからである。これにより,課業管理を行う企業と課業に応じ

て賃率を交渉する労働組合によるニューディール型労使関係に基づく人事労務管理の基盤が出

来上がったのである。人間関係管理が協働する集団を意識した一方,ニューディール体制にお

いては労働組合に集団の管理を頼るとともに,企業と労働組合は企業経営,産業政策,国家の

経済政策,社会保障といった場面で利害調整を担うことになった。つまり,人間関係管理とは

かかわり方が異なるものの,やはり社会との結節点が意識されていたのである。

 この状況は人的資源管理が台頭する 1980 年代に転機を迎える。人間関係管理と行動科学的管

理に人的資本論を加味した人的資源管理が表舞台に登場したからである。ニューディール型労

使関係は,労働組合組織率の低下,共和党を中心とした保守派による労働組合バッシング,そ

してアメリカ市場に進出した日本企業との競争に敗れたことにより,行き詰まりを迎えた。そ

のときに台頭したのが人的資源管理である。人間関係管理は 1960 年代に労働者個人の自己実現

欲求に働きかけて企業目的に同一化させることで協働へ促す行動科学管理へと移行していたが,

ここに政府の思惑が重なることで人的資源管理が誕生した。

 整理すれば,ニューディール体制から人的資源管理体制への移行は次のような過程で生じ

たのである。

 第一に,自動車,鉄鋼,製鐵,造船等の分野の国際競争力が低下した。その理由は,①コス

トセンターに過ぎなかった製造現場を品質と生産性の向上でプロフィットセンターへと変えた

日本企業による人事労務管理の出現,②管理部門および関連企業を加えた組織効率の最大化に

おける日本企業の優位性の確立,③第二次産業から第三次産業へと移る産業構造の変化,が

あったからである。この三つのうち,日本の労働研究は①に注力しており,②の視点が欠如し

ていた。

 第二に,労働組合に組織された製造業分野の多くの企業が組織連携力を競争力の源泉とする

「ジョイントチーム型」へ移行した。言うまでもなく,日本企業に対抗してアメリカ企業の競争

力を回復するためである。これにより,労働組合は集団として労働者を束ねる機能を大きく減

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衰することになった。ジョイントチーム型は,労働組合が経営の意思決定に参画するという表

面上の姿にもかかわらず,職務区分の削減や大くくりな職務範囲,自律的な作業グループを通

じて,企業側による労働者個々への働きかけにより,ニューディール型労使関係における労働

組合が集団としての労働者を代表するという役割を迂回することにつながったのである。

 第三に,政府が一国の経済発展のための基軸をニューディール型から「人的資源管理型」に

移したことである。その顕著な例が 1994 年の教育法の改正である。全国スキルスタンダード法

(National Skill Standard Act)と呼ばれ,協働を柱とした「ハイパフォーマンス組織への移行

を促進する」教育訓練が織り込まれた。これは学校などの教育現場や労働組合と企業が共管で

行う徒弟訓練制度を対象にしたものだが,そういった場で「人的資源管型」が志向されたこと

の意味は大きい。意図したかどうかを問わず,政府が公に「人的資源管理型」を支持したこと

になるからである。ニューディール型から「人的資源管理型」への移行は,労働組合組織率の

低下や保守派による労働組合バッシングの結果というよりもむしろ,「進出日系企業型」より

劣っていた課業管理を軸とする「伝統的ニューディール型」から脱却することで経済再生を目

指す政府からすれば必然だったといえるだろう。しかし,一国の経済の発展の起爆剤として期

待した「人的資源管理」が,実際は政府の思惑とは裏腹に,企業利益の最大化に注力し,地域

や家族といった協働の素地を回復するという人事労務管理の原初的な目的から離れていった。

同時に,「伝統的ニューディール型」もまた団体交渉手続きの形式化や職場の安全衛生に関する

法制度の整備,職場と居住地の分離等により,協働の素地を失っていたのである。

 一方で,日本もまた変化の途上にあった。

 アメリカではニューディール型が集団としての労働者との合意というかたちで社会との接点

を持っていたのに対して,日本では第二次世界大戦からの復興のために労働組合が企業経営に

協力するとともに,企業利益を労働組合員のみならず,農民や漁民,一般消費者を含めた国民

全般に公正に配分するとした生産性運動三原則を掲げることで社会との接点を構築してきた。

労働組合の経営協力においては,製造業においてデミングによる統計的品質管理手法を企業内

および関連企業に広く隅々までいきわたらせるとともに,労働組合員がその運用に深く関わっ

てきた。そのために,労働者同士の職務は重なりあい,職務範囲は曖昧にされてきたのである。

ニューディール型が課業管理を基軸にし,日本型はデミング式を基軸にすえたように,どのよ

うな働かせ方で競争力を構築するかということが企業と労働組合の関係,ひいてはそれらを超

えた社会とのかかわり方(社会的合意の在り方)におけるアメリカと日本の相違を規定したの

である。

 1980 年代になると,アメリカは,国際競争力を失ったことから課業管理による働かせ方が人

的資源管理型へと移行した。一方,日本においては,元来,人的資源管理型と類似した管理を

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人事労務管理に与える影響に関する一考察

していながらも,生産性運動三原則に代表されるような社会的合意を労使が成立させていた。

その目的が第二次世界大戦からの復興だったからこそ,復興を成し遂げたことで社会的合意の

前提条件を失うという脆さを有していた。社会的合意がなければ,そもそも労働者個々に働き

かけて協働を促すという日本の人事労務管理は,企業外の地域や家族とのつながりや集団とし

ての労働者を代表する労働組合との接点を必要としなくなるという脆弱性を有したものだった。

それを現実のものとするものが,1980 年代のアメリカ,ヨーロッパ市場における成功だったの

である。それらの市場では日本国内における社会的合意を必要としないために,進出日系企業

は労働組合の組織化を認めることなしに成功を獲得した。そしてそれは,第二次世界大戦後の

社会的合意の存在がなければ,地域や家族,労働組合といった企業外の集団との接点がなくと

も成立するという事実を露呈することになったのである。

 1990 年代には日本経営者団体連盟による「新時代の『日本的経営』」,2000 年代には経団連会

長による「横並び春闘は終わった」とする発言があった。「新時代の『日本的経営』」は労働市

場の柔軟化や雇用のポートフォリオなどの導入を提言する一方で,企業の中核となる人材は従

来の日本的な人事労務管理の路線の維持とともにそこへの労働組合の変わらない協力を求めた

のである。そこに「横並び春闘は終わった」とする発言が加わると,それはすなわち,日本的

な人事労務管理において労働組合は個々の労働者に働きかけることにより経営を円滑に運営す

るためには必要とするが,生産性運動三原則のような社会的合意としての役割は期待していな

いということを示したのである。

 これら,日本の従来の人事労務管理型とアメリカの人的資源管理型との類似点は,近年の進

展しつつある技術革新を背景にした変化のなかでより明らかになる。次節ではそのことについ

て論じたい。

4. 技術革新とネットワーク型ビジネスモデルの進展

 人工知能(AI: Artificial Intelligence)やモノのインターネット(IoT: Internet of Things)

などの技術革新が人間の働き方や雇用にどのような影響を与えるのかという議論が注目を浴び

るようになっている。特に,野村総合研究所がオックスフォード大学のフレイ&オズボーンと

の共同研究結果(注 1)を報告した 2015 年 12 月以降,センセーショナルに取り上げられるこ

とが多くなった。これは,10 ~ 20 年後に日本の 601 種類の職業,労働人口の 49%が AI やロ

ボットで代替されるという可能性を提示したものである。AI は人間の脳の仕組みに似せた複数

の階層によって情報を処理,分析する能力が飛躍的に向上した。これをディープラーニングと

いう。2012 年にトロント大学の研究チームが画像処理の分野で高い精度を実現したことが契機

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238 経 営 論 集

となった。センサーや衛星測位システム(GPS),IoT,クラウドサーバーなどを組み合わせる

ことで,自動運転や写真の顔認識,音声入力,コールセンターや Q&A 対応,工場における不

良品検出などに使われている。

 AI は処理可能なフォーマットに整っている大量のデータを必要とする。世界規模のネット

ワークと情報の蓄積能力がなければ機能しない。つまり,情報処理としての AI と,そのため

の前提としての繋ぎ合わせるネットワークが存在しなければならない。そこには,労働者間,

企業内の部門間,企業間の連携や情報交換が大量に行われていることが前提となっている。こ

れらの情報交換を円滑に行うことで成立しているものが,プラットフォームビジネスである。

狭義には,スマートフォンなどの情報端末によるデジタルプラットフォームを通じてサービス

の利用者と労働力の提供者を結び付けるものであり,広義には元請け下請けなど複数の企業や

個人を結び付けたネットワークに基づくビジネスモデルのことをいう。前者はシェアリングエ

コノミーやギグエコノミーと呼ばれ,後者はドイツのインダストリー 4.0,およびアメリカのイ

ンダストリアル・インターネットとして知られる。部門内,部門間,企業間で構成されるネッ

トワークを,情報通信技術(ICT; Information and Communication Technology)により連携さ

せることで組織効率の最大化をはかる。ドイツのインダストリー 4.0 が製造業を基盤とするのに

対し,インダストリアル・インターネットは,製造現場における生産管理から始まり,さまざ

まな産業に対応する汎用性をもたせることを目指す。生産現場では,センサーと AI を導入す

ることで,画像認識を活用した品質管理を行うとともに,ICT を活用して部門内,部門間の連

携を促している。

 これらネットワークを基盤としたビジネスモデルは 1980 年代に海外に進出して成功を収めた

日本の自動車製造企業に起源がある。日本の自動車製造企業は,研究開発,生産,物流,販売

といった機能を企業内の複数の部門および多くのパートナー企業とともにネットワークの中で

円滑に結びつけて,その有機的連携の下で組織効率の最大化をはかることで競争力を獲得した

のである。これらは大統領諮問委員会による「産業競争力に関する報告書」,ハーバード大学

「世界経済におけるアメリカの競争力(U.S. Competitiveness in the World Economy,邦題「日

本の脅威,アメリカの選択」)」,マサチューセッツ工科大学等の研究成果により明らかにされ

た。部門内の従業員間の連携から,部門間,関連企業との連携関係が長期間にわたる雇用保障

や職業訓練と能力の向上に応じて上昇する賃金制度といった日本的経営の特徴が日本経済の競

争力に関連付けられたのである。

 ネットワークの中枢には全体の戦略を立案し,連携を促す企業が位置する。水平方向には,

研究開発や販売,物流を担う企業がパートナーとして,垂直方向には,サプライヤーが二次,

三次下請けという形で参加する。ここには,景気変動に対応するためのバッファーとして,有

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239AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が

人事労務管理に与える影響に関する一考察

期契約労働者や請負労働者も存在している。このネットワークは,品質と生産性の向上,コス

ト削減,顧客ニーズの的確な把握に基づく効率的で効果的な研究開発を実現することに有効に

機能する。たとえば,製造業において比較的に長期間にわたる研究開発や,複雑な製造工程で

は,ネットワークに参加する企業や個人の連携関係が長期間にわたって維持される。競争力の

要は,ネットワークが一つの有機体であるかのように密接に連携しあうことで獲得される組織

効率の最大化である。

 このネットワークの構築と維持のため,長期間にわたる専門的能力の育成と組織学習,長期

雇用を促す報酬制度,労使関係と企業内コミュニケーションを通じた従業員間・部門間連携の

促進を日本企業がとりくんできた。しかし,その範囲はネットワークの中核を担う企業,およ

びその企業と対等なパートナー関係を有する企業に限られる。ネットワークの中で下請け関係

となる企業は従業員に職業訓練を行えるだけの資金的余裕がない。そのため,元請け企業と下

請け企業とで,人材の能力において格差が生じることになる。たとえ,人材の能力において差

がなかったとしても,コスト削減というネットワークにおける役割を担うことから,労働条件

においては下請け企業が元請け企業を上回ることはない。有期契約労働者や請負労働者は職業

訓練を通じたキャリアの向上や労働条件においてネットワークのなかでもっとも不利な立場に

置かれる。請負労働者の場合は,これらに加えて,健康保険,年金,失業保険といった社会保

障における保護の適用から除外される。こうした労働者間の格差を内包したネットワークは,

国際的な競争力が保たれることを存続の条件としてきた。

 近年の技術革新を活用したビジネスモデルは,こうした日本企業のネットワークを下敷きに

している。ドイツのインダストリー 4.0 は,ネットワークを基盤とするビジネスモデルを ICT

(情報通信技術)や IoT でつなぎ合わせることを目指している。同時に日本企業もまた,AI や

IoT といった科学技術の進展をみずからのネットワークに取り入れる形で変容を遂げてきた。

 インダストリー 4.0 も日本企業のネットワークも製造業で発達してきたが,複数の企業と個

人が参加するネットワークに基づくビジネスモデルは製造業以外に IT 産業を中心に拡大して

いる。それがデジタルプラットフォームビジネスである。製造業は長期間の研究開発や関係企

業間の情報のすり合わせを必要とする一方で,IT産業は製造業よりも短期間にネットワーク

の形成と解体を繰り返す。スマートフォンなどのインターネット端末を媒介に,サービスの利

用者と提供者の関係がつくられる。中核には戦略を描き,ネットワークに所属する企業や個人

をつなぎ合わせる企業が位置する。たとえば,タクシーや在宅介護の場合,このネットワーク

のなかで利用者とサービスの提供者の関係は数分から数時間で解消されることになる。だから

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240 経 営 論 集

こそ,短期間の利益に結びつかない業務は,次々とアウトソースされていく 1。経理,給与計算,

製造組み立て,倉庫管理,配送などのようなコストセンターと呼ばれる部門が該当する。アウ

トソースされた業務を担う労働者はネットワークの最下層に位置付けられる。

 日本企業の場合,長期間,ネットワークを維持しなければならないため,たとえネットワー

クの下層に位置付けられたとしても,必要以上に労働条件において上層と格差が拡大すること

はない。ところがプラットフォームビジネスの場合,サービスの提供者と利用者の関係が短期

間,かつ一過性のものであればあるほど,アウトソース先の組み合わせも継続的なものではな

い。コスト削減効果が高ければ下請け先は絶えず変更される。つまり,ネットワークの中核を

担う企業にとって,アウトソース先で雇用,もしくは請負で働く労働者の職業訓練や労働条件

を考慮する意識は限りなく低くなる。

 AI の導入がネットワーク型のビジネスモデルとアウトソースを内包するものとの指摘は,企

業にける AI 導入の手順を紹介する Wee ら(2016)の報告にみることができる。この報告は,

①自社のどの部分に自動化技術を取り入れるかを限定,② IT 基盤を固める,③自社でやるべ

きことと他社に任せるべきことを明確化,④専門チームの設置,⑤新しいビジネスモデルの模

索,という五つの道筋を提示している。とくに,③は,AI 導入のプロセスにアウトソースが含

まれ,必ずしも AI を導入するかを問わない。

 ネットワーク型ビジネスモデルについて,Aoki(2001)による日本企業とアメリカ企業の競

争力の源泉に関する先行研究を踏まえてさらに検討を進めたい。Aoki(2001)は,日本企業の

国際競争力の源泉が水平的ヒエラルキー(Horizontal Hierarchy)にあるとし,米国企業の分権

的ヒエラルキー(Decentralized Hierarchy)と対比させた。水平的ヒエラルキー(Horizontal

Hierarchy)は,労働者にコーディネーション能力を求めることで,従業員間の情報共有と共

同決定による情報の同期化によって開発と生産をコントロールするものであり,日本の自動車

製造と工作機械において顕著にみられる。分権的ヒエラルキー(Decentralized Hierarchy)は,

専門的能力を有する個人もしくは部門が企業内で競争し合うことによって成果がもたらされる

ものであり,アメリカのIT産業の国際競争力の源泉である。

 水平的ヒエラルキー(Horizontal Hierarchy)の組織的特徴を持つ日本企業は,水平方向には

研究開発を担うパートナー企業や販売会社,垂直方向には部品の製造を担う二次,三次とつな

がる下請け企業,物流企業という企業外の提携関係を活用してきた。製造部門では正規従業員

のほかに,景気変動に応じて増減可能な臨時雇いの期間工をおいていた。これを本稿では,水

1  OECD (2016),Arntz ら (2016)は,一人の人が担う仕事全体を科学技術がまるごと代替するのではなく,代替の可能性がある部分とそうでない部分とに分け,7 割以上が代替されるときにその仕事が置き換えられるとの分析枠組みのもと,ほとんどの仕事が代替されないと指摘。

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241AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が

人事労務管理に与える影響に関する一考察

平的・垂直的提携関係と定義する。垂直構造では経済の二重構造論 2 として知られる中小下請け

企業における設備投資や研究開発資金の不足と賃金の相対的な低さをといった問題が内在して

いた。

 自動車,工作機械を中心にして,日本企業は 1980 年代に国際競争力を高めていく。だが,そ

の背景となった,水平的・垂直的提携関係および,情報の同期化といった特徴は,次第に欧米

諸国によってキャッチアップされていった。その手法は日本と異なり,専門的な職業能力を持

つ労働者と部門が競い合う分権的ヒエラルキー(Decentralized Hierarchy)型の組織を保持す

るというかたちをとった。その最大の成功例がアメリカの IT 産業である。

 このネットワークにおける中核的な人材の管理に着目し,労働政策研究・研修機構は 2013 年

から 2015 年にかけてアメリカ企業の聞き取り調査を実施した。調査企業は,水平,垂直の双方

向で他企業と密接なパートナー関係を結んでいる。経営戦略,企画立案,研究開発,販売,工

程管理,製造,組み立てといった場面では,企業内で部門を超えた連携を行っているだけでな

く,一つのプロジェクトごとに企業を超えて協力する。

 組織内は,①専門性と同時に複数の部門異動により広範な知識と経験の獲得を促すことでグ

ローバルに活躍できる中核的業務に携わるパーマネント従業員,②事業活動にとって継続的に

必要とする専門性を高める従業員,③地域限定で異動がなく①と②を支えるパーマネント従業

員,④経営環境の不確実性に対応するためのテンポラリー従業員,⑤試験的事業実施のための

期間契約の五つに分類した。また組織間は,⑥経営環境の不確実性に対応するためのM&Aに

よる買収と売却,⑦研究開発等にかかわるパートナー企業,⑧人材ビジネス企業を活用したア

ウトソース,として分類した。専門性に特化した従業員は,企業にとって中核的な事業に変更

がない限り,企業内にとどめておく。そうでなければ,④~⑧として外部化することになる。

2  経済白書(1957)は,「わが国雇用構造においては一方に近代的大企業,他方に前近代的な労資関係に立つ小企業及び家族経営による零細企業と農業が両極に対立し,中間の比重が著しく少ない」とし,中業企業白書

(2005)は,「近年の世帯間の所得水準の分散の拡大は,上述したように中小企業と大企業の企業規模の違いに起因するものではなく,そうした意味で,かつて指摘された実態とは異なる」としたが,そのどちらも,水平的連携・垂直的連携の進展を意識したものではない。

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242 経 営 論 集

図表 2 水平的・垂直的提携関係における労働者管理のモデル

管理のパターン 期間

① 専門性と同時に複数の部門異動により広範な知識と経験の獲得を促すことでグローバルに活躍できる中核的業務に携わるパーマネント従業員

長期

② 事業活動にとって継続的に必要とする専門性を高める従業員 長期

③ 地域限定で異動がなく①と②を支えるパーマネント従業員 長期

④ 経営環境の不確実性に対応するためのテンポラリー従業員 短期

⑤ 試験的事業実施のための期間契約 短期

⑥ M&Aによる買収と売却(垂直的提携) 経営環境による

⑦ 研究開発等にかかわるパートナー企業(水平的提携) 経営環境による

⑧ 人材ビジネス企業を活用したアウトソース(垂直的提携)人材ビジネス企業との長期間のパートナーシップ

出所:著者作成

 水平的提携関係にある企業では,より広い職務範囲,広範な職務異動,経験や潜在能力,

チームワークやリーダーシップに関する評価を行うとともに,長期雇用を前提として,十分な

教育訓練機会と手厚い福利厚生で報いている。アメリカの IT 産業を中心として発展途上にあ

るデジタルプラットフォームビジネスも,水平的・垂直的提携関係を活用する。水平的提携関

係はビジネスパートナーとなる企業であり,垂直的提携関係はサービスの利用者と提供者にな

る。その理由は次のようなものである。利用者と提供者には価格決定権がなく,サービスの提

供者は仕事に必要な経費を自己負担するだけでなく,仕事に必要な機材等はプラットフォーム

を設定する企業が指定する方法で購入を迫られるといったことがあるからである。

 つまり,この調査が示唆することは,アメリカ企業における水平的・垂直的提携関係の中核

的人材の雇用管理が日本企業による伝統的な人事労務管理と類似してきていることである。そ

して,もう一つの類似点として,下請け企業や短期間の契約に基づく労働者を組織効率の最大

化,つまりはコスト削減のために活用するようになっているということがある。

 日本企業のネットワークは,元請け,下請け企業間の力関係の非対称性や社会的地位の階層

化を内包してきた。元請け企業は,1000 人以上の従業員を雇用し,労働組合に組織されている

ことが多い一方で,下請け企業は従業員規模が小さく,大半が労働組合に組織されていない。

こうした非対称性をもつ構造を維持させてきた理由の一つに,「生産性運動三原則」に基づく社

会的合意がある。生産性運動三原則とは,(1)雇用の維持拡大,(2)労使の協力と協議,(3)

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人事労務管理に与える影響に関する一考察

成果の公正な配分のことであり,企業,労働組合,そして政府によって合意されていた。生産

性を高めることが雇用減ではなく雇用増をもたらし,生産性向上によって得られた成果が企業

に雇用される労働者のみならず,消費者や農業などの自営業者にも分配されるというように,

社会全体への波及効果を期待されたからである。

 この生産性運動三原則は 1985 年のプラザ合意(Plaza Accord)で日本円が対ドルに対して価

値が上昇するにしたがって陰りをみせ,日本国内の労働組合の協力を頼ることなく海外現地生

産を成功させて市場シェアを拡大したことでほとんど顧みられなくなった。ついで,1990 年代

からはじまる日本経済の長期の景気低迷により,日本企業は実際に社会的合意から離脱を始め

たのである。

 生産性運動三原則には,元請け下請け関係を内包する日本企業のネットワークのなかで下層

に位置付けられる労働者とその家族の生活を向上させるという暗黙の了解があった。つまり,

企業活動には明確に家族や地域との接点が意識されていたのである。社会的合意が崩れたとい

うことはつまり,企業活動はネットワーク型ビジネスモデルにおける組織効率の最大化を何よ

りも優先することにつながるとともに,日本の伝統的な人事労務管理が社会との接点を失うこ

とも意味しているのである。

 いまや,水平的・垂直的提携関係を活用するネットワーク型ビジネスモデルは,ドイツ,ア

メリカをはじめとするグローバル企業に拡大を続け,企業と個人は国境を越えて結び付くよう

になっている。したがって,たとえ社会的合意が意味を失わなかったとしても,その合意が一

国の範囲に留まっていたからこそ,ネットワークの構成が国境を超えたときに機能しなくなる

ことは自明の理だった。ネットワークがグローバル規模で構成されるために,従来のような一

国内の社会的合意だけでは不十分なことは明らかである。

5. これからの人事労務管理

 Kaufman(2003)は労使関係論と人的資源管理論を次のように整理している。

① 労使関係論が,労働問題に関して労働者及びコミュニティによる解決を強調する一方

で,人的資源管理論は,使用者による解決を強調する。

② 労使関係論が,雇用問題の調査と労働問題の原因について,external の観点に立つ傾向

があるのに対し,人的資源管理論は,internal の観点に立つ。

③ 労使関係論の目的が,労働者の利益を進展させることにある一方,人的資源管理論の目

的は,組織効率の最大化であり,両者の利害はしばしば対立する。

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244 経 営 論 集

④ 労使関係論が,利害紛争調整に焦点を置くのに対し,人的資源管理論は,労働者と使用

者の利害の一致に焦点を置く。

⑤ 労使関係論が,労働市場および企業内で使用者が労働者個人に力関係で優位に立ってお

り,企業内における管理が経済効率や労働者の働きがいの阻害要因や労働組合と政府か

らの対抗措置を産む要因とするのに対し,人的資源管理論は,使用者の権限を階層的組

織の管理および,組織効率の最適化に寄与することによって利害関係者すべての利益と

する。

⑥ 労使関係論が,あらゆる従業員関係においてある程度の紛争は避けることができず,労

使どちらかの力関係の不均衡が利益を阻害するとして紛争解決に外部の第三者を必要と

するのに対し,人的資源管理論は,従業員関係における紛争は避けられないものではな

く,問題解決手法や使用者と従業員双方に利益のある施策によって紛争の発生は最小限

にすることができるとする。

⑦ 労使関係論が,経営者を労働組合と政府による法的枠組みを補完する一つの寄与者にす

ぎないとみるのに対し,人的資源管理論は,経営者を従業員の建設的な成果を引き出す

ための主要な寄与者であり,労働組合と政府を煩わしい負担ととらえる。

 こうした整理のうえで,損益や組織効率といった internal を重視する人的資源管理に対して,

労働組合組織率低下や経済のグローバル化の進展により external を重視する労使関係論が衰退

していることを指摘し,労使関係論が internal の視点を持つことで再発展の可能性があるとし

た。ここでいう external は,本論で議論してきた,人事労務管理および労使関係と家族,地域

との接点と置き換えることができる。課題は,ますます家族,地域との接点を失う方向に向

かっているネットワーク型ビジネスモデルにおける雇用管理において,ネットワークの下層や

周縁にいる労働者の労働条件をどのように引き上げていくかということである。

 ネットワーク型のビジネスモデルは,中核となる企業および水平的提携関係にある企業を頂

点として,垂直方向に下請け企業が位置している。中核では,ネットワークを活用した競争力

のあるビジネスプロセスを考案することと,そのビジネスプロセスを効果的に実施するために

ネットワークを構成する複数の企業や個人を一つの有機体であるかのように結び付けるコー

ディネーション能力を持つ人材が求められる。こうした能力は,特定の産業や業態に従事する

中で向上することから,企業内で長期間にわたって育成される。一方で,コスト削減につなが

る部分はアウトソースされる。ひとたびコストセンターと認識されれば,その業務に従事する

労働者の労働条件はネットワークのなかで最下層に位置付けられる。それがどれだけ専門的知

識と訓練が必要だとしても,スキルレベルが労働条件とリンクすることはない。

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245AIやIoTといった科学技術とグローバル化の進展が

人事労務管理に与える影響に関する一考察

 労働条件は,スキルレベルよりも,ネットワークにおける重要度によって決定される。した

がって,ネットワーク型のビジネスモデルにおいてスキルレベルの上昇と労働条件の向上を結

び付けるためには,ネットワークを構成する企業や個人の構造そのものに一定の規制を設ける

ことと,ネットワークの外側に位置する社会が経済活動を持続可能なものにするための枠組み

が不可欠となる。より具体的には企業間取引に対する規制的介入や,ネットワークの中核を担

う企業に対するネットワーク全体の労働者に対する雇用主責任の導入を検討しなければならな

い。ネットワーク型のビジネスモデルには,ネットワークの下層に位置する労働者のキャリア

ラダーを機能不全にすることと,キャリアラダーの存在を否定するという二重の意味を内包し

ているからである。

 これまでのことを人事労務管理と人的資源管理にあわせて整理しよう。

 アメリカ型の人事労務管理は,課業管理を基盤として企業と労働組合が利害を調整してきた。

この仕組みを支えたのは,政府が主導したニューディール型システムだった。課業管理には集

団としての労働者を協働させることが必要だったが,企業はそのための手段を労働組合や地域,

家族といった企業外の組織との接点を持つことによって達成していた。その全体的な社会的合

意がニューディール型システムだった。

 一方,日本型の人事労務管理は,第二次世界大戦からの復興という目的において企業と労働

組合が合意していたからこそ,労働組合を介さずに一人一人の労働者に対する直接的な働きか

けが可能だった。その基盤はデミングが導入した統計的品質管理手法だった。復興という企業

と労働組合の合意は,すべての国民を包含する生産性運動三原則として社会的合意に昇華した。

 この両者の最適化された状況は,アメリカにおいては日本的な人事労務管理に対する競争力

回復の方策である人的資源管理型の導入によって,そして日本においては復興が達成したこと

による社会的合意の無意味化というかたちで,それぞれが瓦解することとなった。つまり,ア

メリカにおいては人的資源管理型の導入により,そして日本においては社会的合意の無意味化

により,それぞれ雇用管理が社会との接点を失ったのである。

 この方向は,ネットワーク型ビジネスモデルの進展により拍車をかけられることになった。

ネットワーク内の下層に位置付けられた労働者は,ネットワークの中枢にある企業と接点がな

いという状況がつくられたのである。このネットワークが一国を超えて複数の国家にまたがる

場合,一国の社会的合意が機能しなくなる。人事労務管理から人的資源管理へと移行すること

と,日本の伝統的な人事労務管理から社会的合意が失われたことにより,人事労務管理がそも

そもどのような社会的役割を担ってきたのかが明らかになったのである。

 これは,冒頭に掲げたように,日本の労働研究が「職場参加」や「知的熟練論」を生産現場

労働者が交渉力を獲得するためのツールとしてとらえてきたこと故の限界をよりはっきり示す

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246 経 営 論 集

ものである。つまり,どれほど職場内で労働者が交渉力を獲得したとしても,ネットワーク型

ビジネスのなかで波及効果を得るためには,社会的合意がなければ機能しないからである。

ネットワークが一国内に留まらず,グローバル規模で展開され,アウトソースが国境を超えて

行われる今日において,社会的合意も国境を超えなければならない。そのときに参加するアク

ターは,経営者,労働者,消費者に加えて,グローバルに展開するビジネスモデルと対峙する

地域代表が望ましいだろう。その調整役として,ILO や世界銀行,OECD などの国際機関へ

の期待は大きい。

 言うまでもなく,社会的合意の存続を難しくさせているものは,グローバル企業間の国境を

越えた競争である。グローバル企業は複数の企業と個人が織りなすネットワークの組織効率を

どれだけ高めることができるかという競争を繰り広げる。その存立基盤は,ICT,IoT,ビッグ

データ,そして AI といった技術革新である。このネットワークのなかで下層に位置付けられ

た労働者は職業スキルの向上と労働条件の向上が切り離された状態になる。人間らしい生活

(Decent Life)を労働者が手に入れるためには,グローバルな企業ネットワークの下位に固定

化された労働者の職業スキルと労働条件の関係を社会的合意の下に再構築する必要がある。

 これまで述べてきたことを整理すれば次の 4 点になる。

① アメリカのニューディール型,日本の元来の人事労務管理の背景には社会的合意(社会

との接点)があった。

② 社会的合意のないネットワーク型ビジネスモデルでは職業スキルの向上と労働条件の向

上を結び付けることが困難な労働者が生まれる。

③ AI,IoT,ICT,ビッグデータといった技術革新は企業ネットワークが織りなす下請け

元請け関係をグローバルレベルで進展させつつある。

④ 職業スキルの向上を労働条件の向上と結び付けるためには,グローバルレベルの社会的

合意が不可欠。そのための調整機能として,ILO や OECD,世界銀行,労働組合の国際

機関に求められる今後の役割は大きい。

 これら 4 点に関連して,ネットワーク型ビジネスモデルの実態をより深く調査し,下請け元

請け関係の進展状況,職業スキルと労働条件の格差,ネットワークの上層と下層それぞれの企

業の人的資源管理の実態把握をグローバルに,かつ産業別,企業規模別に行うことがまずもっ

て求められる。そのうえで,人事労務管理においてどのように新たな社会的合意を形成し,社

会との接点を回復させていくか,考察し続けることが重要となるであろう。

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