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TX テクノロジー・ショーケース in つくば 2010 はじめに 私たちは混合物溶液の直接分析・評価による意思決定 支援ツールの応用化研究を行っています。この手法をイ ンタラクティブ・NMR-メタボリック・プロファイリングと呼び、 簡便な計測、ある時点までスペクトルの解析の必要のない ハードルの低い手法ですので討論へのNMRの非専門家 の参加が促進され、非常に生産的な討論が可能となりま す。 実施の方法 1.NMR測定 未精製の混合物溶液のまま、濁りや沈殿物が有るとき には濾過するか、上ずみを使います。NMR測定用のカク テルを添加し、精密温度調節下で高分解能一次元スペク トルを取得します。一般的に測定は2分程度で終了します。 ある程度の数の検体を測定します。 2. 多変量解析 得られたスペクトルを半自動で処理します。スペクトルを 短冊状に区切り、区分ごとの面積を数値化します。これら 一連の数値(固有ベクトル)でスペクトル1つ=1検体が記 述されたことになります。 すべての検体を2次元平面に縮約した形でデータの散 布点として観察します。データ分布はスペクトル変化とし て検出されている「変動」は「原因と結果の混在したもの」 であると考えます。観察によって興味のあるデータ分布 (の兆候)を発見したら、取り込む変数や観測系(NMR置)を調整してデータ分布の変化をさらに観察します。ま た、検体の調製に反映させてやり直すことで、目的の変動 を最大にする努力をします。これによって新仮説を設定す ることができます。また、新仮説の検証が出来たら、本技 術は、追跡・評価技術として引き続き利用ができます。 3. 応用例 高血圧・糖尿病・健常ラットの尿・血漿、新生仔マウス尿、 唾液、緑茶、醤油、魚油脂、果汁混合物、コーヒー生豆抽 出物、果実の成熟状態、ヒト血漿、人工透析廃液などで包 括的理解やメカニズムの推定に実績があります。 おわりに 自然科学は、要素に分解してそれを組上げて来ること で発展してきました。仮説を設定し実験によって確かめる ことがその基本ですが、実験を幾度も行っていると、違和 感を感じることがあり、それこそが発見や問題解決の糸口 となることがあります。その違和感が何であるかを気づか せてくれる方法が「プロファイリング」です。 この手法はコンベンショナルな装置で少人数で実施で きます。ライフサイエンス分野のみでなく、研究開発のツ ールとして食品・物質材料系などにも広く応用が利きます から、様々な分野の皆様におためし頂ければと考えてい ます。 異常な動きをするデータが一目で判ります 生命科学 新しい計測法NMR-メタボリック・プロファイリング 代表発表者 独立行政法人 産業技術総合研究所 バイオメディシナル情報解析研究センター 問合せ先 305-8566 茨城県つくば市東 1-1-1 中央第六事業所 6-9 2 TEL:029-861-6126, FAX:029-861-6135 [email protected] ■ キーワード: (1) 混合物溶液解析 (2) 多変量解析 (3) 知識発見 図など P-41 -43-

B B¥B®Bk :w - Science Academy...%ò "B-. ùAîBBN ( PBAB*BtB BjB B B1. B1 -ÐB1B-B B B·B B B1 ÐB » :B*B B1B*. . B;B1 NMR B15V ¾47 B1 ó B &1tB BOAî5V ñB.!¢!¥" B-. . B (»B+B-BMBA

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TX テクノロジー・ショーケース in つくば 2010

■ はじめに

私たちは混合物溶液の直接分析・評価による意思決定

支援ツールの応用化研究を行っています。この手法をイ

ンタラクティブ・NMR-メタボリック・プロファイリングと呼び、

簡便な計測、ある時点までスペクトルの解析の必要のない

ハードルの低い手法ですので討論へのNMRの非専門家

の参加が促進され、非常に生産的な討論が可能となりま

す。

■ 実施の方法

1.NMR測定 未精製の混合物溶液のまま、濁りや沈殿物が有るとき

には濾過するか、上ずみを使います。NMR測定用のカク

テルを添加し、精密温度調節下で高分解能一次元スペク

トルを取得します。一般的に測定は2分程度で終了します。

ある程度の数の検体を測定します。

2.多変量解析 得られたスペクトルを半自動で処理します。スペクトルを

短冊状に区切り、区分ごとの面積を数値化します。これら

一連の数値(固有ベクトル)でスペクトル1つ=1検体が記

述されたことになります。 すべての検体を2次元平面に縮約した形でデータの散

布点として観察します。データ分布はスペクトル変化とし

て検出されている「変動」は「原因と結果の混在したもの」

であると考えます。観察によって興味のあるデータ分布

(の兆候)を発見したら、取り込む変数や観測系(NMR装置)を調整してデータ分布の変化をさらに観察します。ま

た、検体の調製に反映させてやり直すことで、目的の変動

を最大にする努力をします。これによって新仮説を設定す

ることができます。また、新仮説の検証が出来たら、本技

術は、追跡・評価技術として引き続き利用ができます。

3.応用例 高血圧・糖尿病・健常ラットの尿・血漿、新生仔マウス尿、

唾液、緑茶、醤油、魚油脂、果汁混合物、コーヒー生豆抽

出物、果実の成熟状態、ヒト血漿、人工透析廃液などで包

括的理解やメカニズムの推定に実績があります。

■ おわりに

自然科学は、要素に分解してそれを組上げて来ること

で発展してきました。仮説を設定し実験によって確かめる

ことがその基本ですが、実験を幾度も行っていると、違和

感を感じることがあり、それこそが発見や問題解決の糸口

となることがあります。その違和感が何であるかを気づか

せてくれる方法が「プロファイリング」です。 この手法はコンベンショナルな装置で少人数で実施で

きます。ライフサイエンス分野のみでなく、研究開発のツ

ールとして食品・物質材料系などにも広く応用が利きます

から、様々な分野の皆様におためし頂ければと考えてい

ます。

異常な動きをするデータが一目で判ります

生命科学

新しい計測法NMR-メタボリック・プロファイリング

代表発表者 �� ����� ���� 所 属 独立行政法人 産業技術総合研究所

バイオメディシナル情報解析研究センター

問合せ先 〒305-8566 茨城県つくば市東 1-1-1 中央第六事業所 6-9 棟 2 階

TEL:029-861-6126, FAX:029-861-6135 [email protected]

■ キーワード: (1) 混合物溶液解析 (2) 多変量解析 (3) 知識発見

図など

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