20
Challenge Believe Together ボストン東スクール Boston Higashi School 自閉症児者のための国際教育プログラム

Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

Embed Size (px)

DESCRIPTION

This is the Japanese translation of Boston Higashi School's program brochure.

Citation preview

Page 1: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

Challenge Believe Together

ボストン東スクールBoston Higashi School

自閉症児者のための国際教育プログラム

Page 2: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

どの子にとっても生命ある限りその子のもっとも貴重な個性の目が必ず内在する

それを発見し愛情を込めて育てることが自閉児教育の真髄である

(北原キヨ)

私どもの使命は、生活療法という教育方法論を用い、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもや青少年が、 自分たちの可能性を十分に伸ばしながら学ぶための手助けをすることだと考えています。この独自の教育哲学は、東京の故北原キヨ博士によって考え出され、ここでは一般学習、コンピューター、音楽、図工、体育、社会生活に向けた訓練などを含む、幅広く、かつバランスの取れたカリキュラムが実践されています。児童・生徒(以下、生徒)たちは、さまざまな活動に挑み、目の前の困難や弱点を克服することを学び、自らの成功を通して自信をつけていきます。この過程があってこそ、生徒たちは学ぶ楽しさを広げ、ひいては家族や地域、そして人生の中で経験し得るすべてのものに心からの喜びを味わうことができるのです。生徒たちが社会からの恩恵を受けるのみならず、同時に社会に貢献できる個人に成長していくことが、私たちの最大の願いです。

学校の沿革 History & Philosophy

Page 3: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

ボストン東スクールは、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもと青少年のための、非営利のインターナショナル・スクールです。1987年、米国マサチューセッツ州に開校しました。当校の歴史と教育哲学の始ま りは、1964年、北原キヨが東京武蔵野市に武蔵野東幼稚園を設立した時点にさかのぼります。今では自閉症児の教育方法として知られている生活療法は、北原キヨが幼稚園の通常学級に入園してきた自閉症児を教えながら、ごく自然に生み出されたものでした。この園児、そして他の自閉症の園児たちをみごとに療育したという噂は瞬く間に広がり、武蔵野東学園は、1973年に日本の文部省(現在の文部科学省)より、自閉症の研究機関としての名誉ある認定を受けました。北原キヨは、1977年に武蔵野東小学校、1983年に武蔵野東中学校、1986年には自閉症児の社会自立のための職業教育の場として武蔵野東技能高等専修学校を開校し、自閉症の子どもを通常学級の中で教える混合教育を学園全体で実践しました。 北原キヨの教育方法論である生活療法は、日本国内のみならず、国外でも認められました。国外の自閉症児の家族からの要請が高まり、1984年に外国からの生徒を受け入れるための国際学級を開設し、1987年にはマイケル・デュカキス・マサチューセッツ知事や地域の有識者、指導者たちの支援を受けて、ボストン東 スクールが開校しました。

学校は、ボストンの郊外15マイル(約24キロ)のランドルフという町にあり、55エーカー(約22ヘクタール)の敷地内に、通学生と寮生のための2つのプログラムを備えています。現在は、両プログラムを合わせて、130余名の生徒が在籍しており、スタッフ数は200名以上にのぼります。生徒の年齢層は3歳から22歳です。生徒はマサチューセッツ州、アメリカの他州、海外の国々から来ています。マサチューセッツ州の教育庁から認可を受けており、各生徒はIEP(Individualized Education Program: 個人別教育プログラム)によって定められた内容を州のカリキュラムに沿って学んでいます。

北原キヨは、米国オハイオ州のボーリング・グリーン大学教育学名誉博士であり、1988年には子どもたちの生活の質を向上させたことへの大きな貢献が認められ、日本にて栄誉あるエイボン女性年度大賞を受賞しました。しかし、1989年1月、生活療法というかけがえのない財産と数多くの功績を残し、この世を去りました。同年、勲五等宝冠章を受章しました。

学校の沿革 History & Philosophy

Page 4: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

生活療法 Daily Life Therapy

「一人ひとりの子どもに対する教育の目的は、その子どもの可能性と尊厳を十分に伸ばすことによって最も大切な自己意識の芽を見つけだすことです。」(北原キヨ)

生活療法は「日々のようすや活動を通して、個々の子どもの個性を深く理解し、綿密な計画のもと、毎日の生活の中で成長の落ち込み部分のトレーニングをし、子ども自身の可能性を最大限に伸ばして、社会に自立させる教育法」です。子どもの障害のみに着目するといった断片的な取り組みではなく、子どもの全体像をとらえた上で将来を見据え、子どもと親と教師との強い信頼関係の下、積極的な働きかけを行ないます。定型発達児の発育を視野に入れ、集団から得られる刺激を活用した集団指導を通して、次に挙げる3つの「柱」を 中心において指導しています。

1)体力づくり 2)心の安定 3)知的開発

生徒は薬に頼らずに、精力的に運動を取り入れることによって生活のリズムを整え、その結果、生徒の健康、スタミナ、感情、周囲に対する意識、集中力などにおいて多くの成果が見られるようになります。教師は、活気あふれた環境の中で、一貫性に富んだ明確な指導体系を通して各生徒の心の安定を図り、 集団力学(グループ・ダイナミクス)を用いながら、生徒との密接な結びつきを確立します。理解と信頼を深めることにより「心と心の教育」が実現するのです。

Page 5: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

子どもは、健康と情緒が安定していれば、自由自在にいろいろなことを経験できます。生徒が学ぶためのさまざまな知的開発は、中心的手法の一つです。この手法の中で、北原キヨは「定型発達の子ども自身も、自閉症の子どもを療育する中での『鏡』として、同様に学んでいる」と説いています。

生活療法は、このような強い信念を基に、学校生活のあらゆる場面で、首尾一貫して取り入れられています。生徒は、学級の中での集団生活を通して、自然と人と関わることや人との関係を築くことを学びます。言葉の読み書き、読解、算数、社会、理科、コンピューター、音楽、図工、体育などの、年齢相応の幅広いカリキュラムに沿って学習しています。生徒たちは、広大なキャンパス内を動き回ったり、キャンパス内の自然遊歩道を探索したり、地域の行事に参加したり、といったバラエティー豊かな活動の中で、級友や周りの人たちと関わっています。そのような状況を通して世界が広がり、大人になっていくのです。

教育はごく普通の環境の中で行なわれるべきだというのが生活療法の大きな信条です。武蔵野東学園では混合教育が取り入れられています。ボストン東スクールでは、一部の生徒が通常校へ出向き、交流学級に参加しています。また、通常校の生徒が当校のキャンパスに来て、生徒とともに活動を行なっている姿も見られます。それらに参加していない生徒たちも、校外で仕事をしたり、余暇活動に参加したりしながら、地域とのつながりを常に持っています。ボストン東スクールは、長い人生における活動の場は地域であると考えます。

Page 6: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

学校と寮のプログラム Day & Residential Programs

1)学校(217日プログラム)生活療法を用い、全人的な集団教育を提供しています。生徒は、明確な意味と見通しを理解した上で、いろいろな活動に参加し、自然な形で楽しみながら満足感や達成感を味わいます。そこから身の回りのさまざまなことへの好奇心が芽生え、生活技能、コミュニケーション、テクノロジー、一般学習、音楽、図工、体育、就労学習、地域学習などのカリキュラムを、個々の能力に沿って、学校内外での授業を通して学んでいきます。学校は開放的な雰囲気で、多くの来客、保護者の見学を受けつけています。

2)寮(304日プログラム、365日プログラム)寮のプログラムでは、「家」の雰囲気により近い、療育的で快適な思いやりあふれる環境を提供しています。 寮生は、学校と同様の生活療法を通して、必要な生活技能を身につけ、それをあらゆる場面で活かすことができるよう日々努力しています。重要な分野の一つである生活技能は、生徒の年齢や機能に応じて、継続的に指導されます。

Page 7: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

余暇活動や地域活動にも重点を置き、生徒が個人として、また社会の一員として充実した時間を過ごし、 週末や休暇中に自宅で家族と一緒に楽しめること、そして必要な技術や知識を学ぶことが大切だと考えて います。保護者は、寮のようすを見学し、トレーニング、研修会、寮の活動に参加したり、また週末や休暇時に子どもと一緒に過ごしたりすることによって、子どもが将来家族や地域の人たちとともに生産的で幸せな 人生を送れるよう支えています。

基本的生活習慣 Daily Living Skills

生徒の自立や自尊心を確立するために、個々のニーズに合わせた身辺自立能力を育てることが重要です。 そのためには、食事、睡眠、活動、学習、労働といった、人間としての生活のリズムを整えることが求められ ます。初期段階の指導では生徒が学校や自宅でのさまざまな活動にきちんと参加することができるよう、これらのパターンを教え込みます。自己コントロールや身辺自立ができるようになれば、自信や自負心が芽生え、それがあらゆる学習につながっていきます。人間の発育、発達を念頭に置いた上で、基本的生活習慣を計画的に教えることが、ボストン東スクールの教育の基本です。

Page 8: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

一般学習 Academics

系統的な教育を通して、つまり生徒に幅広い活動や経験を身につけさせることによって、生徒の認知・知的開発を促します。その結果、生徒が社会的に自立し、人間としての尊厳を持つことができるようになるためのもの − これが北原キヨの教育方法です。従って、一般学習は応用の利く実践的な方法で行われます。

「応用の利く学習」とは、マサチューセッツ州の教科基準の内容に沿って、教師がうまく考案した課題を意味します。考え抜かれた(現在、妥当とされている)州の教科基準を取り入れることによって、各生徒は学年・年齢相応の教育を受けることができます。一般学習の授業は月ごとに決められたテーマに沿って、実践的な学習経験を重視する方法で行われます。複合的に感覚を刺激する形態を取り入れることで、各生徒は自分の得意とする学習スタイルを十分に生かしながら教材に触れることができます。生徒は、一般学習を通して知識を高めるだけでなく、学級での活動を通して生活に必要な技能も身につけていきます。つまり、自分の体の機能を正しく発達させたり、聴く力や注意力を促したり、小運動系の能力を培ったりしているのです。一般学習の時間では、生徒が内容を学ぶだけに留まらず、語彙や概念を広げながら実践的なコミュニケーション能力を伸ばすことにも焦点がおかれています。生徒には、全授業、またさまざまな活動の中で、友だちや教師・スタッフに 「挨拶をする」「意見を述べる」「返答をする」「要請をする」「異議を申し立てる」、さらに「意図的、またはごく自然な形でコミュニケーションの中にユーモアを取り入れる」などの方法を使って、積極的にコミュニケーションを図ることを奨励しています。

Page 9: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

社会教育 Social Skill Development

北原キヨは「子どもは、遊びの中で社会性を身につける」と述べましたが、これは遊びが子どもの経験を作り上げていくことを表しています。自閉症の子どもはあまり人と関わろうとしないので、物ごとを経験する機会も少なくなりがちです。しかし、子どもが遊びの力を身につけることで、人との関わりを体験することができます。発達段階に合わせて、子どもが自然な流れの中で遊びのスキルを身につけ、社会性に必要な確固たる基礎を築くこと − これが、生活療法における「遊び」と「余暇」の学習です。遊びは楽しく、遊びを通して幸福感や達成感を味わったり、自信をつけたりすることができます。子どもは、遊びによって「自分の感覚の世界を知る」

「エネルギーを発散する」「問題解決能力を養う」「大・小運動系の(体全体を使う・手先を使う)能力を伸ばす」「社交性や感情の役割を知る」「自分の感情を表現する」そして「創造力を広げる」ことができます。子どもは、 おもちゃやゲーム、 余 暇活動を通して、 自分の興味を広げたり、 他の人の遊びに参加したり関わったり、また社会生活において役立つ能力や基本的な考え方を学んだりします。さらには、学ぶ上での基礎となる

「適切な参加の仕方」や「問題解決能力」を身につけながら、想像力やコミュニケーション能力も伸ばします。

きょうだいの会 Sibling Partnership

ボストン東スクールには、生徒の「きょうだいの会」があります。会合ごとに設定した目的に応じて、それに合った年齢層のきょうだいたちが集まります。教職員ともに行うさまざまな活動を通して、生徒のニーズだけで なく、参加者自身のニーズについても学びます。会合は、主に各学期一度ずつ、年3回の頻度で行われ、当校の活動体系の中で参加者は積極的に学びます。

年度の最初の会では、きょうだい同士が自閉症についての理解を深め、肯定的な感情と否定的な感情について討論し、他の参加者といっしょに問題解決に取り組むことを目的としています。 参加者みんなで作るジンジャーブレッド・ハウス(お菓子の家)を、後日当校生徒の冬の音楽会の時に展示します。二回目の会では、家庭でも一緒に遊んで楽しい時間を過ごせるようなスキルの習得を目標に、安全で協同的な環境の中で、生徒と参加者がともに活動に参加します。三回目は、夏の授業の一環である「東ゲーム」と呼ばれる遊びや運動を十分に取り入れた活動に参加し、自閉症を持つきょうだいと一緒にしっかり身体を動かしながら、楽しい時間を過ごします。

Page 10: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

テクノロジー Technology

今や多くの子どもがコンピューターを使ってゲームやビデオを楽しみ、一般的にコンピューターはおもしろいものだということを知っています。教師がこれらの機器を上手に授業に取り入れることにより、生徒の学ぶ意欲が向上します。ボストン東スクールでは、「学習の補助として活用する」「基礎的なコンピューターの操作を学ぶ」「余暇活動の幅を広げる」という3つの目標を掲げ、社会教育、コミュニケーション、就労学習などにおいて、コンピューターを使う活動を多く取り入れています。生徒のIEPに記された学習目標に沿った個々の能力に合わせて、多彩な教育プログラムを取り入れています。その中には、マッチング(対応)、分類、パズルの完成、絵・文字・数字

の識別、音声やサイト・ワードの(単語を形としてそのまま音と一緒に覚える)学習、スペル(綴り方)の練習、語彙の増加、概念の理解、興味を持った内容をCD-ROMの百科事典やインターネットを使って検索する、などの学習能力を伸ばすためのプログラムが、現在のレベルからより進んだレベルにわたって含まれています。同時に、コンピューターのマウスやキーボードを手で操作することで、指を個々に動かしたり、体の左右の調整を図ったり、物を掴んだり、といった小運動系能力の訓練も行っています。また、一つのプログラムから別のプログラムに移行する方法や文書作成処理なども学びます。コンピューターを丁寧に責任持って扱うことも学習します。さらには、コンピューターが余暇活動の一つとなり得るよう、個人の興味に合ったプログラムを用いながら、学校で習得した力を自宅や寮においても発揮できるよう指導が行われます。新しいテクノロジーやソフトウェアが次 と々開発されていますが、使用が適切と判断された生徒には、それらを授業に取り入れて活用しています。最近では、iPodやiPadなどのタブレット端末を使ったり、電子黒板を取り入れたりもしています。

Page 11: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

図工 Art

図工(絵画、造形)の授業を通して、生徒は、自分の感情や考え、知識を、言葉を使わずに表現すること、また、美術作品や自分の周りの世界を鑑賞し理解することを学びます。生徒は、作品を創る過程で、人の作品に目を向けることや、自分の空間や場所に対する感覚を普遍的に高めることを身につけます。さらに、生徒の運動神経、集中力、周囲への注意力、感覚統合や認知能力の発達を促します。多彩な課題や活動を通して、「小運動系能力が発達する」「触知しながらも感覚上の過敏性を克服する」「視覚的・知覚的刺激を体験する」「部分的、全体的な注意力が発達する」などの好結果を得ることができます。また授業によって、知覚的調和や識別から、模倣や模写にまでわたるさまざまな認知能力、固執や関心の域から自分のために物ごとの選択や決断を行うまでの個性が育てられます。

1912年、日米友好の印として日本が

米国 (ワシントンD.C) に桜を寄贈。

100周年を記念して、当校生徒が創作した作品。

Page 12: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

音楽 Music

音楽は楽しい刺激にあふれています。音楽を鑑賞しながら、ハーモニーやリズム、そして人と一緒に美しいものを創り上げていくことを体験的に学びます。生活療法における音楽では、「歌う」「楽器を演奏する」「リズムに合わせて体を動かす」「音楽を愉しむ」ことに焦点を当てています。授業内容は、生徒の発達度合いに応じて決められます。歌や楽器演奏を通して、呼吸の調節の仕方を学び、口部の運動能力への意識を高めます。このような能力は、口部の筋肉を意図的に繰り返し動かすことによって身につき、言語能力の発達にも大きく影響を及ぼします。 楽器演奏やリズム練習によって、生徒は、手先を器用に動かす力、体の左右の調節を図る力、視覚と運動を統合する力を身につけます。踊る、行進する、跳ぶ、手をたたく、などの体全体を動かす方法が多く用いられます。 つまり、自分の体に対する意識を高め、体の動かし方を学び、体の調節やバランス感覚を促進するために、骨、筋肉、関節に対して自己刺激を与えると同時に、過度のエネルギーを建設的な方法で発散するのです。このようないろいろな活動によって、生徒は手先を動かしながら(絵描き歌など)、実際の機能(聴く、指示に従う、合わせるなど)を対応させる訓練を受けます。生徒は、人とコミュニケーションを図ったり、楽しい集団活動に協力的な態度で参加したりする力を伸ばしながら、日常生活で音楽を愉しむ心や理解する力を培っています。さらに、音楽を通して聴覚上の過敏性を克服することも学びます。個人的に、音楽の創作について学んだり、自己表現や自負心を追究するための自分なりの手段を編み出したりしている生徒もいます。音楽は、人間の脳全体を目覚めさせ、あらゆる学習能力に刺激を与えることが証明されています。

特別な活動 Special Activities

生徒の関心、能力に応じて、ジャズバンド、コーラスグループなどの特別な活動の場があります。日頃の練習の成果を、キャンパス内外での学校行事のみならず、学術学会、行事などでも発表することによって、生徒は自信をつけ、向上していきます。

Page 13: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

体育 Physical Education

体育は生活療法の礎と言えます。体を動かすことによって、食事や睡眠などの生活のリズムが整い、注意力がつき、学習意欲が高まります。体力やスタミナを高めると同時に、過度なエネルギーを発散させることができます。それによって、集中力が高まり、情緒が安定し、集団活動への参加が可能になります。さらに、統合的な自己認識の発達、自尊心や自信を導く達成感の獲得にもつながります。体育の授業では、包括的な発達を念頭に置き、体力、機敏性、バランス、筋肉の協調性、耐久性、柔軟性、自分の体に対する意識を高めることに力を入れています。発達段階に応じた活動や用具を取り入れることで、生徒は歩く、走る、登る、跳ぶといった日常生活に必要な動き − 大運動系能力 − を身につけ、刺激の多い周囲の環境に順応することを学んでいきます。体育の授業における二番目の利点は、活動や用具を通して生徒の体の左右の協調、握力、力の調節能力を促進しながら、小運動系能力をも発達させるということです。総括的コミュニケーションの方法を体育でも取り入れているので、生徒は「要請をする」「友だちをほめる」「意見を言う」「熱心に参加する(応援する)」「授業の後で、習ったことについて述べる」などの機会が十分に与えられます。また体育の授業を通して、生徒はさまざまな大きさの集団に適応すること、適切な方法で遊ぶこと、そして楽しむことを学びます。

Page 14: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

保護者との結びつき Parent Partnership

保護者の関わりは、生徒の充足感や学習効果を高めるために欠かせません。生活療法に基づいて子どもの自立を奨励し、清潔で安全な環境を提供し、十分な運動と知的な刺激を促すのも保護者の役割です。保護者と学校が一体となり、子どもにとって最適の生活環境を提供することにより、子どもの能力が最大限に引き出されます。

連絡帳、電話や電子メールによる連絡、個人面談などを通して、保護者と学校は密な連絡を取り合い、生徒の向上具合、休暇中の学習目標の確認や見直し、情報確認、交換などを行います。定期的に開催する保護者研修会や保護者トレーニングは、保護者の学びの場のみならず、保護者同士の交流の場にもなります。必要に応じて、個別のトレーニングや家庭訪問も行います。保護者が、学校や寮に出向き、子どものようすを見学しながら学ぶ姿もよく見られます。

専門家による相談体制 Clinical Services

ボストン東スクールでは、臨床心理士、ケースワーカー(個別相談員)、言語療法士、 作業療法士、運動療法士が、保護者や教職員の要望に応じて相談を受けています。これらの各分野からの専門家が、生徒のニーズや教科の内容充実を図り、自閉症スペクトラム障害と生活療法を結ぶ基礎的な理論を人々に広めることで当校の統合的教育が実現します。

医療面のケア体制 Medical Services

当校の保健室は24時間体制で、看護師が常駐しています。公認の学校医が定期的に訪れ、生徒の健康相談に応じ、適切な助言を行います。公認栄養士も定期的に来校し、生徒の健康状態を考慮しながら栄養状態を査定します。栄養士からの助言は、当校カフェテリアの管理者と看護長に伝達され、実行されます。

Page 15: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

就労学習 Employment Education

生徒が、確実に支援を受けながら学び、かつ雇用側のニーズも満たす場所で仕事に就くこと − これが就労学習の目的です。学内と学外の両職場で、事務やフード・サービスなどのスキルを学びます。「同僚に挨拶をする」「会話を始める」「会話を維持する」「会話を終了する」などの社会性に必要なコミュニケーション・スキルを、自然な状況の中で身につけます。基本的な仕事のスキルや知識を身につけた生徒は、学内から地域のボランティアや有給の職場へと、活動の場を移していきます。生徒は、仕事のスキルだけでなく、地域において積極的、また生産的な人材となる上で必要なスキルも学びます。このような経験を積みながら、銀行で自分の金銭を管理するスキルを習得するのもこの授業の一環です。

地域学習 Community Education

社会と関わって生きていくためには、地域での体験が非常に重要です。ボストン東スクールの生徒は、地域でのさまざまな、また意義のある活動の機会に恵まれています。地域の図書館や食料品の買い物、またコンサートや野球観戦などの場に出かけて行き、貴重な経験を積んでいます。一人間として「生活の質」を高めることを大切に考えています。

修了後に向けての準備 Transition

修了後に向けての準備は、IEPの内容に応じて計画、展開されます。生徒自身、保護者、生徒に関わる担当者全員が会合を重ね、生徒にとって一番ふさわしい進路を考えます。 修了後関わる施設や学校の担当者を学校や寮に招き、生徒が生活療法のもとで、何をどのように学んできたかなどの情報を交換する場やトレーニングの場も設けています。生徒の修了後の進路は、グループホームで生活しながら昼間のプログラムに参加したり、支援を受けながら大学や短大に進んだり、と生徒の能力や状況によって決められます。

Page 16: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

入学 Admissions

自閉症スペクトラム障害の診断を持ち、社会性やコミュニケーションの遅れ、柔軟性や想像力における欠如、常同行動の現れ、知覚や運動能力、認知力における遅れのある子どもが入学対象となります。ボストン東スクールの方針により、本校入学後も向精神薬や精神治療を必要とする子どもは、入学をお断りする場合もあります。

書類審査の後、 面接日を設定します。過去に当校を訪れたことのない入学希望者の保護者には、学校案内も行います。保護者が面接を受けている間、入学希望者本人は当校職員と一緒に校内で在校生の活動や学級を見て回り、そのようすを通して、本人のニーズを当校で満たすことができるかどうかを観察します。面接後、入学担当事務局が、追加の情報を要請する場合もあります。

入学の合否は、通常7日から14日以内に決められ、最終的な手続きが進められます。入学担当者が、紹介状の差出人に合否を示す文書を送ります。ボストン東スクールでは、生徒の人種、肌の色、性別、国籍、年齢、性的指向によって差別をすることはありません。

Page 17: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

認可・認定 Licensing & Accreditation

ボストン東スクールは、学校、寮プログラムとも、DESE (Department of Elementary and Secondary Education: マサチューセッツ州の教育庁) と DEEC (Department of Early Education and Care: 初期教育保護局) によって認可を受けており、NCASES (National Commission for the Accreditation of Special Education Services: 全米特別支援教育認定委員会) からは、優良校として全米で7校目に認定を受けました。これまで在籍した生徒の出身州、国は次の通りです。アラバマ州、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、フロリダ州、イリノイ州、インディアナ州、マサチューセッツ州、メーン州、メリーランド州、ミシガン州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オハイオ州、ペンシルヴェニア州、ロードアイランド州、ヴァージニア州、ヴァーモント州、ワイオミング州、グアム、カナダ、プエルトリコ、ヴェネズエラ、コロンビア、イギリス、アイルランド、ノルウェー、アンゴラ、ウクライナ、クエート、サウジアラビア、リベリア、パキスタン、日本、シンガポール、フィリピン、台湾、香港、オーストラリア。

提携・所属団体 Affiliations & Membership

レスリー大学、州立ブリッジウォーター大学、ミルトン・アカデミーなどの教育機関と提携を結んでいます。また、NAPSEC (National Association of Private Schools for Exceptional Children: 全米私立特別支援学校組合)、ASA (Autism Society of America: 米国自閉症協会)、Japan Society of Boston (ボストン日本協会)、Japanese Association of Greater Boston (ボストン日本人会)、Randolph Chamber of Commerce and South Shore Chamber of Commerce (ランドルフ商工会議所、サウスショア商工会議所)などの各種団体に所属しています。

Page 18: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

充実した施設 Facilities

美しい自然に囲まれたキャンパスの中心には、学校と寮のプログラムを提供する大きな校舎があり、 その周りには、陶芸室やヨガルーム、トレーニングルームを有する別棟、運動場、子どもの遊び場「Albert Hung Playground」、温室、遊歩道などがあります。校舎内には、体育館、2011年10月にオープンした図書館「Mitsubishi Corporation Library」やコンピューター室(コンピューターは三菱東京UFJ銀行からのご寄付)、家庭科室などがあります。またスタッフが安心して働けるよう、託児所「Luy Day Care」の設備も整っています。

2013年より施工予定の

屋外アスレチック施設と水泳ブール

2011年にオープンした三菱図書館

Page 19: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

渉外開発室 Development Office

渉外開発室では、自閉症に関する認識や理解を社会に深める広報活動や、学内の施設充実化を目的にした募金活動を行っています。ボストン東スクールは、主に公的援助に基づいて運営されています。従って、個人の支援者・法人・財団基金などからいただいたご寄付は、学習環境の整備・新しい施設の建設など生徒一人ひとりへの教育をより豊かにするために、有効に使われています。

特別建設プロジェクトとして、2011年に三菱図書館が完成しました。次期プロジェクトは、水泳プールを含む屋外アスレチック施設建設で、2013年より施工予定です。ご寄付は、主に小切手、クレジットカードでお受けしております。オンラインwww.bostonhigashi.orgでのお手続き(クレジットカードのみ)も可能です。当校は非営利教育機関につき、米国の国税収入局規約501条(c)(3)に基づき税控除対象となります。ご質問がありましたら、The Development Offi ceまでお問い合わせください。

TogetherDevelopment Office

TogetherDevelopment Office

BelieveTogether

BelieveTogether

ChallengeBelieve

ChallengeBelieve

Page 20: Boston Higashi School - Japanese Program Brochure

800 North Main StreetRandolph, MA 02368 USA

TEL +1 (781) 961-0800FAX +1 (781) 961-0888www.bostonhigashi.org

Boston Higashi Schoolボストン東スクール