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!特集・上下水道システム ∪.D.C,る28.33/.35:[る81 下水処理場の制御 ControISYStemS for the Wastewater Treatment Plants ‾F水処理場の制御は,量と質の両面から成r)立っている。その両者の制御がかみ 合って,初めて合理的な運転結果が得られる。下水処理場は,大別して汚水処理プ ロセスと汚泥処理プロセスから構成されるが,両者共制御の省力化,合理化のニー ズが高まっており,これらに応ずるものとして階層形制御システム,及び分散形制 御システムの導入が図られている。これらの制御ディバイスとしては拡張性の高い 各種プログラマブル機器が,マンマシン用としては制御用計算機とCRTによる方式 の導入が図られている。本稿では,その具体的実例を主体に新しい下水処理場の制 寺卸について述べる。 ll 下水処理場を制御する場合,汚水処至里では流人汚水及び 雨水を安全に排除する水量面,並びに曝気槽内の生物反応を 安定化し放流水質を均一に保つ水質面の両方を考慮する必要 がある。汚i尼処理においても,発生した汚泥を安定に処理す る量の面と汚泥の質に応じて薬品注入量を制御するなどの質 的な面がある。下水処理場の制御とは以上のような複雑な程 合制御であり,これを実現する手段としての最近の動向は, (1)階層構成制御システム及び分散形制御システムの採用, (2)各種プログラマブル機器の採用,(3)マンマシンシステムへ のCathode Ray Tube(以下,CRTと略す)の活用が挙げられ よう。これらについて以下に詳述する。 最近の下水処理場制御システムの動向 汚水処羊里プロセスの制御では,各種省力化及び自動化が実 現しつつあり,特に曝気槽を中心とした溶存酸素濃度(以下, DOと略す)Ⅳ一定制御,混合浮遊物濃度(以下,MLSSと略す) -一定制軌 及び余剰汚泥制御が実用化の段階に入っている1と 汚泥処理プロセスの制御では機械シーケンスの自動化が主体 に進められ,また薬品注入の自動化が進められている。更に, 下水処理場全体あるいは中継ポンプ場,下水管渠を含めた下 水道システム全体のテ売人下水量及び水質予測,並びにこれに 基づく最適制御など,各種ソフトウェアの開発が進められて いる。今後ますますシステムトータルとしての最適化,安全 性,及び経ラブ引隼を追求した制御が推進される機運にある。 以_ヒ述べた最近の下水処理場のニーズを実現する制御シス テムの最近の動向について,主なものは二大に述べるとおF)で ある。 (1)階層構成制御システム及び分散形利子卸システムの採用 図1に階層構成制御システムの各レベルを示す。単独制御 レベル(以下,UCLと略す)とはモータコントロールセンタ, 現場操作盤,検出端などから構成され,各機械単位,モータ 単位の制御が行なわれる。マイナ制御レベル(以下,MCLと 略す)とは上位からの設定値に基づく直接計算制御(DDC), ループ制御,上位からの指令に基づく連動シーケンス制御な どを実行する。総合制御レベル(以下,TCLと略す)とはプラ ント全体の最適制御,及び最適評価関数に基づくMCLへの指 令値の算出,プロセスとのマンマシン対話などを実行するも 制御レベル 総合制御レベル(TC+) マイナ制御レベル (MCL) 単独制御レベル (UCL) 総合制御 マイナ制御 ( 岩城秀夫* イ変二* 土屋直知* 柏木雅彦* 単独制御 ′紺α鬼才 f尤decl 〃orJSん〃れノf Tざ以仁んiyα∧bo柁〃rg ∬¢ざんよ切αgg〟αぷαんJ加 制御磯器例 CRT HID!C80制御計算機 グラフィックパネル (望… (現場 モータコントロール センタ 検出端 図l 階層構成制御システムの各レーくル 制御に階層形を採用Lて, 安全性,信頼性及びマンマシン性を高めている。 のである。 以上の階層構成制御システムは,上位側停止時でも下位側 で運転継続できるなど,拡弓長性及び信相性の高いものである が,更に,最近のワンチップコントローラなど安価なインテ リジェントコントローラの出現によr)分散形となってきてい る。これは,MCLの各機器を各機器単位,プロセス単位にユ ニット化し分散させるものであー)、プラント全体の信頼性は 大幅に向上する。 (2)フロログラマブルな制御装置の採用 下水処理場は長期にわたって建設されるから、その制御シ ステムも下水システム本体の改良,増強に順応して拡張でき る融通性が要求される。このため各制御アルゴリズムの変更, 制御定数の変更が頻繁なことが特徴である。これらに対処す るため,従来のリレー,工業計器などのワイア叩ドロジック * 日立製作所大みか工場 37

下水処理場の制御 - Hitachi656 日立評論 VOL.59 No.名(1977-8) 検出端異常に対処困難→衰が筈による信雛0入力信号の合鮒 安出._+ エツク -'-他の

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  • !特集・上下水道システム ∪.D.C,る28.33/.35:[る81.5‥‥る81.32〕

    下水処理場の制御ControISYStemS for the Wastewater Treatment Plants

    ‾F水処理場の制御は,量と質の両面から成r)立っている。その両者の制御がかみ

    合って,初めて合理的な運転結果が得られる。下水処理場は,大別して汚水処理プ

    ロセスと汚泥処理プロセスから構成されるが,両者共制御の省力化,合理化のニー

    ズが高まっており,これらに応ずるものとして階層形制御システム,及び分散形制

    御システムの導入が図られている。これらの制御ディバイスとしては拡張性の高い

    各種プログラマブル機器が,マンマシン用としては制御用計算機とCRTによる方式

    の導入が図られている。本稿では,その具体的実例を主体に新しい下水処理場の制

    寺卸について述べる。

    ll 緒 言

    下水処理場を制御する場合,汚水処至里では流人汚水及び

    雨水を安全に排除する水量面,並びに曝気槽内の生物反応を

    安定化し放流水質を均一に保つ水質面の両方を考慮する必要

    がある。汚i尼処理においても,発生した汚泥を安定に処理す

    る量の面と汚泥の質に応じて薬品注入量を制御するなどの質

    的な面がある。下水処理場の制御とは以上のような複雑な程

    合制御であり,これを実現する手段としての最近の動向は,

    (1)階層構成制御システム及び分散形制御システムの採用,

    (2)各種プログラマブル機器の採用,(3)マンマシンシステムへ

    のCathode Ray Tube(以下,CRTと略す)の活用が挙げられ

    よう。これらについて以下に詳述する。

    田 最近の下水処理場制御システムの動向

    汚水処羊里プロセスの制御では,各種省力化及び自動化が実

    現しつつあり,特に曝気槽を中心とした溶存酸素濃度(以下,

    DOと略す)Ⅳ一定制御,混合浮遊物濃度(以下,MLSSと略す)

    -一定制軌 及び余剰汚泥制御が実用化の段階に入っている1と

    汚泥処理プロセスの制御では機械シーケンスの自動化が主体

    に進められ,また薬品注入の自動化が進められている。更に,

    下水処理場全体あるいは中継ポンプ場,下水管渠を含めた下

    水道システム全体のテ売人下水量及び水質予測,並びにこれに

    基づく最適制御など,各種ソフトウェアの開発が進められて

    いる。今後ますますシステムトータルとしての最適化,安全

    性,及び経ラブ引隼を追求した制御が推進される機運にある。

    以_ヒ述べた最近の下水処理場のニーズを実現する制御シス

    テムの最近の動向について,主なものは二大に述べるとおF)で

    ある。

    (1)階層構成制御システム及び分散形利子卸システムの採用

    図1に階層構成制御システムの各レベルを示す。単独制御

    レベル(以下,UCLと略す)とはモータコントロールセンタ,

    現場操作盤,検出端などから構成され,各機械単位,モータ

    単位の制御が行なわれる。マイナ制御レベル(以下,MCLと

    略す)とは上位からの設定値に基づく直接計算制御(DDC),

    ループ制御,上位からの指令に基づく連動シーケンス制御な

    どを実行する。総合制御レベル(以下,TCLと略す)とはプラ

    ント全体の最適制御,及び最適評価関数に基づくMCLへの指

    令値の算出,プロセスとのマンマシン対話などを実行するも

    制御レベル

    総合制御レベル(TC+)

    マイナ制御レベル(MCL)

    単独制御レベル

    (UCL)

    総合制御

    マイナ制御

    (

    岩城秀夫*

    森 イ変二*

    土屋直知*

    柏木雅彦*

    単独制御

    ′紺α鬼才f尤decl

    〃orJSん〃れノf

    Tざ以仁んiyα∧bo柁〃rg

    ∬¢ざんよ切αgg〟αぷαんJ加

    制御磯器例

    CRT

    HID!C80制御計算機グラフィックパネル

    (望…蔓三;

    (現場操作盤モータコントロール

    センタ

    検出端

    図l 階層構成制御システムの各レーくル 制御に階層形を採用Lて,

    安全性,信頼性及びマンマシン性を高めている。

    のである。

    以上の階層構成制御システムは,上位側停止時でも下位側

    で運転継続できるなど,拡弓長性及び信相性の高いものである

    が,更に,最近のワンチップコントローラなど安価なインテ

    リジェントコントローラの出現によr)分散形となってきてい

    る。これは,MCLの各機器を各機器単位,プロセス単位にユ

    ニット化し分散させるものであー)、プラント全体の信頼性は

    大幅に向上する。

    (2)フロログラマブルな制御装置の採用

    下水処理場は長期にわたって建設されるから、その制御シ

    ステムも下水システム本体の改良,増強に順応して拡張でき

    る融通性が要求される。このため各制御アルゴリズムの変更,

    制御定数の変更が頻繁なことが特徴である。これらに対処す

    るため,従来のリレー,工業計器などのワイア叩ドロジック

    *

    日立製作所大みか工場

    37

  • 656 日立評論 VOL.59 No.名(1977-8)

    検出端異常に対処困難→衰が筈による信雛0入力信号の合鮒._+▲ エツク安出 ■-'-

    他の

    制 御 不 満 足

    (弁動作頻度大)飽

    制 御 誤 差 大

    PIの調節範囲不足→ むだ時間 大一 冒…j㌃品晋P=3-300%

    Ⅰ=0.6-50分

    詣三三嘗警聖写一芸晋表現鷲り芸一警苧こ去?志詣左

    舷張改造が困難一票景・し電線の別口一。妄言妄言2豊警芸芸○オ・ベレータ…ズコンソ

    不惑帯PID

    複軌側臥こ不適当、一言;竺警禁驚是化一号;ヱ㌔去ろ竺苧台数制御

    認諾誌急告漂品一芸言誤慧諾漂急送→多重 伝 送

    制御装置大形化→差益妄壷≡苧柑器実→言三深溝11芸;三三高密度イヒ注:P=比例l=積分 P】D=比例,積丸微分 P■/0=プロセス入出力装置

    図2 リレー,エ業計器形の限界とプログラマブル形による解決法

    従来のリレー,工業計器方式では種々限界があり,プログラマブル形により解

    決できる。

    HIDIC O8S

    メモリ

    「 AVRBPU

    C∈

    訂オペレーターズコンソール

    3S

    表l日立各種プログラマブル横器一覧表 小規模から大規模の各種プログラマブル機器を備へ各用途に適用している。

    品 名

    規 模

    演算機能 制御裁能 プログラム方式

    入 力 出 力

    フリーログ

    (リレー置換形)20点 20点

    ロジック+

    タイマシーケンス制御 ピンボード

    フリーログ 工程

    20点

    工程歩進+

    (順序形) 16点 タイマ

    PLC maX. maX. ロジック+ プログラムキー

    (HISEC) 事′024点 l′024点 タイマ 紙テープカセット

    マイクロコントローラ

    川DK〉08S

    D事

    l,024点

    Al

    41D点

    DO

    l′024点

    AO

    60点

    ロジック十

    タイマ

    各種演算

    シーケンス制御

    演算制御

    注:PJC=プログラマブルロジックコントローラ,Dl=接点入九Al=アナログ入九

    DO=接点出力,AO=アナログ出力

    ノ\-ドゥェアでは適応の可能性及びその速度の点で限界があ

    り,これを解決するためにロジックのソフトウエア化が特にUCL

    及びMCLに強く浸透しており,プログラマブルな制御装置が

    採用されつつある。図2に従来のりレー,工業計器形の限界

    とプログラマブル機署引こよる解決法を,表lに日立製作所の

    各程プログラマブル機器の一覧表を,図3にマイクロコント

    ローラHIDIC O8Sの下水水質制御への応用例を示す。

    (3)マンマシンシステムにおけるCRTの活用

    プラントの大形化,監視制御の広域化に伴い,従来のグラ

    フィックパネルなどによるマンマシンシステムでは種々の限

    界があり,それを打破するものとして制御用計算機とCRTに

    よる高集約マンマシンシステムが導入される動向にある。こ

    の場合,重要度に応じて各種マンマシン媒体を選択し,制御

    対象プラントの規模,制御内容に最も合致したマンマシンシ

    ステムとすることが重要である。

    亡= 「l「tll LILl +昌一5[!ロ皿 Ⅱココ

    ⊂⊂工エコ ⊂ロコ

    +==「AI:24点,DI:48点

    AO:8点,DO:84点PI/0

    ¶泥度汚濃

    MLSS 出量

    流流

    プロワM

    調節弁

    曝気槽

    サイホン

    -‥-・卓-一返送汚泥

    ポンプ

    余剰汚泥ポンプ Mム

    仙即調

    〓k肝「也

    調節弁

    注 AVR=電源装置BPU=中央処理部

    CE=コントロール

    エレクトロニクス

    ㊥=電動弁

    区13 マイクロコントロー

    ラ(H旧IC O8S)の水質制

    御への適用 マイクロコ

    ントローラによりDO.MLSS.

    汚泥制御を実施し,従来のア

    ナログ形よりイ走れた制御結果

    が得られる。

  • 下水処理場の制御 657

    汚水ポンプ

    雨水ポンプ

    沈砂池 前曝気槽最 初

    沈殿池曝気槽

    最 終

    沈殿池

    生 汚 泥

    引抜ポンプ

    滅 菌 池

    返送汚泥ポンプ

    余剰汚泥ポンプ

    汚泥処理へ

    放 流

    沈 砂 池ラ弓水ボンフ■雨水ポンプ

    前曝気槽 貴初沈殿池 曝 気 槽 最終沈殿池 滅菌

    1.沈砂機械のタイム

    スケジュール制御

    2.水位差による除塵枚

    の自動運転制御

    3.沈砂池流速制御

    1.一人制御

    2.水位,流量による

    台数制御

    3.水位,流量による

    台数制御+速度制御

    4.水位→涜量変換による

    台数制御+速度制御

    5.流入量予測制御

    1.流入下水比率制御

    2.DO,MLSS制御

    1.プログラムタイマ

    による版序引抜制御

    2.汚泥界面による順序

    引抜制御

    1.流入下水比率制御

    2.DO,MLSS制御

    3.ブロワ台数制御

    1.流入下水比率制御

    2.汚泥日令制御

    3.汚泥界面による制御

    1.流入下水比率制御

    2.塩素中和制御

    図4 汚水処理プロセスの制御 汚水処理プロセスの制御に当っては水量,水質.両面での制御を両立

    させることが必要である。

    l田 下水処理場プロセス制御とその具体例

    下水処理場を大別すれば,汚水処理プロセスと汚泥処理プ

    ロセスとになるが,次にその制御方式及び最近の納入例につ

    いて紹介する。

    3.1汚水処理プロセス制御

    3.1.1汚水処理プロセスの構成及び制御

    汚水処理には,一般に活性汚泥プロセスが採用され,沈砂

    池,ポンプ設備,最初沈殿池,曝気槽,最終沈殿池,滅菌池

    などで構成される。

    図4に汚水処理プロセスの制御方式を示す。

    沈砂池では,いわゆる沈砂ラ也機械の連動運転のほか,一元入

    ゲート制御を行ない,流入量に応じ沈砂池の主充速の最適化に

    より沈砂効果を一定に保つよう図っている。

    ポンプ設備は,主売人量変動を吸収して処理効率を高く保つ

    ように汚水処理プロセスへの主充入量を制御するために台数,

    及び速度制御が行なわれる。管渠及び処理プロセスの時間遅

    れを考慮し,晴天時の処理効率の最適化及び雨天時の安全を

    確保するため,流入下水量を予測し,これに基づいてポンプ

    の最適運転を行なうフィードフォワード制御も実用化されつ

    つある。

    活性汚~尼70ロセスでは,DOによる曝気槽送風量制御,

    MLSSによる返送汚泥量制御,汚i尼日今による余剰汚ゴ尼引抜

    制御などの高度な水質制御が数多く寺采用され,MCLで更にそ

    の最適設定値が,上位のTCLから与えられるようになった。

    3.1.2 横浜市下水道局責最処理場制御システム

    図5に1黄浜市下水道局線下水処理場のフローシートを示す。

    専用制御レベルでは,フリーログ(沈砂池機械のタイムスケ

    ジュール制御,最初沈殿他の生汚泥順序引抜制御),静止セル

    ビウスを用いた速度制御装置(汚水ポンプ),自動台数制御装

    置(汚水ボン70,滅菌機)などの最新の自動化利子卸装置が才采用さ

    れた。特に,汚水ポンプ制御には,アナログループによる水位

    流量制御のほか,HIDIC 80制御用計算機によるポンプ揚水量

    最適化DDCを実施し,省力化,処理効率の向上に大きな貢

    献をしている。また中央監視制御システムは,"AQUAMAX-

    80A''を採用し,実装密度の向上による小形化と拡張性の向上

    を区lり,CRTモニタ,ロギングとの併用により,マンマシン

    性の高い高集約監視制御システムとしている。

    3.2 汚泥処理プロセス制御

    3.2.1汚ま尼処理プロセスの構成及び制御

    汚泥処理プロセスは,下水処理プロセスより排出された汚

    才尼を,濃縮,消化,洗浄,薬品注入による凝集,脱水,焼却

    などの過程を経て減量,安定化し,埋立投棄などに際し‾最終

    処分可能な形とするものである。

    図6に汚i尼処理プロセスの制御方式を示す。

    汚泥処理プロセスの特徴は,多数の機器が各工程に存在し,

    互いに関連しあいながら運転するいわゆるシーケンス制御が

    多く,その間に薬品注入量制御などのループ制御から構成さ

    れるので,相互に矛盾がなく円滑な関連を保つこと,特にプ

    ロセスの中核をなす脱水機は,真空式,遠心式,加圧式など

    種類も多く,制御方式も異なっており運転開始後に運転,制

    御方式変更の必要度も高いので,プログラマブルな制御装置

    によりシステムの柔軟性,融通性,及び拡張性の高いものに

    することが重要である。

    39

  • 658 日立評論 VOL.59 No.8(柑77-8)

    入流

    ………..-斡〓〓"

    i允砂横妓タイム

    スケジュール制御

    U

    r-一-・づ一

    転i可ー〟r-+王l

    占(プリ‾ログ)毎

    甲I

    暮暮

    I

    沈砂池

    速度勧壮辞:

    「■一■■.■

    周違約ムロ]簑

    ㊤--1---

    Aせ何丁---I-

    着水井

    汚水ポンプ

    生 汚 泥

    引抜ポンプ

    凸)角Y-----

    中 央 監 視 制 御 シ ス テ ム (AOUAMAX-80A)

    汚主局頃序引抜制御

    (フリーログ)

    亡:∋最初沈殿池

    内Y…・(HT----

    円YAD内Y----

    曝気槽「-+ll

    ブロワ】け

    機菌滅

    方流

    台数制御

    装 置

    0角Y・・-

    最終沈殿池

    返送汚泥ポンプ余剰汚泥ポンプ

    塩素混和池

    Eコー濃縮タンクヘ汚泥井

    図5 横浜市下水道局緑下水処理場汚水処理プロセスフローシート フリーログを用いた各種制御,HIDIC80によるDDC,データロギングなど最新の自動制御技術を導入している。

    洗浄水

    消石灰 塩化第二鉄

    溶解槽 希 釈 槽

    汚泥濃縮槽

    濃 縮 槽

    汚泥引抜ポンプ

    汚泥消化槽ガスタンクヘ

    最初沈殿引抜汚泥 ポ汚

    へ水

    被 洗 浄

    汚泥ポンプ

    汚泥洗浄槽

    汚泥貯留槽

    貯 留汚泥ポンプ

    凝集混和槽

    脱水棲

    〔〕

    丁全 プ ロ セ ス

    ;‡二)(MCし)

    +LI=水位指示

    OPI=関度指示

    △LA=水位偏差警報LIR=水位指示記録FIC二=流量指示調節

    FA=流量警報

    NI=回転数指示

    FI=流量指示

    FIR=流量指示記録

    DIR=濃度指示記録

    FO=流量積算DOI=DO指示

    DOIR=DO指示記録

    PHIR=PH指示記録

    煙突

    灰ホッパ

    焼却炉

    汚泥濃縮槽 汚淀消化槽 汚工尼洗さ争書暮汚泥月苧留胡l 薬品注入設備 脱 水 設備 焼却脱硫設備

    制御方式

    1,汚泥引抜タイム

    スケジュール制御

    2.汚泥濃度によ る

    引抜制御

    1.ガス獲拝制御

    2・消化槽温度制御

    1.液位による汚泥

    移送制御

    2.洗浄水量比率制御

    1.消石灰,塩化第二鉄

    の溶解,希釈制御

    2_注入量の比率制御

    3.汚泥濃度,PH度による

    注入量制御

    1.脱水機工程制御

    2.脱水機への負荷配分

    制御

    1・焼却炉の自動運転制御

    2.焼却炉の炉温プロ

    グラム制御

    3一排煙脱硫制御

    図6 汚泥処理プロセスの制御 機械の連動制礼者種薬品注入量の制御などシーケンス制御とループ

    制御とが混在して,全プロセス制御が構成される。

    3.2.2 福岡市下水道局中部処理場制御システム

    図7に福岡市下水道局中部下水処理場の汚泥処理プロセス

    のフローシートを示す。薬品注入までのシーケンス制御,及

    び脱水機以降のシーケンス制御を,それぞれ一括して2台の

    HISEC70に7qログラマブルロジックコントローラより連動,

    自動運転を行なっている。また,脱水機1台ごとの連動シー

    ケンス制御には,リレー置換型シーケンスコントローラはフ

    リーログを1台ずつを採用しており,上位のHISECは脱水機

    間の工程を管王聾する階層システムとし,完全自動化を実施し

    た。中央監視制御システムは,"AQUAMAX-80A''システムを

    40

    採用して小形化,高集約化を実現した。

    3.2.3 名古屋市下水道局宝神処理場制御システム

    図8に名古屋市下水道局宝神処理場の汚泥処理プロセスフ

    ローシートを示す。

    このシステムは,人口56万人分の大規模処理場を制御する

    ため,中央監視には,制御用計算機HIDIC350を1セット,

    ライトペン付カラーディスプレイ(CRT)2台を中枢とし,高

    集約化を図ったマンマシン性の高し-システムである。一方,

    シ【ケンス制御には,濃縮,薬品注入,脱水及び焼却の全工

    程に対しHISEC5台,脱水機連動運転用としてフリーログ

  • 下水処理場の制御 659

    HISEC(汚泥移送制御・薬品注入制御)

    角XHY-----

    のY-----

    emHT---I-

    No.1

    聖空荘重空

    No,2

    m

    濃絹槽 引抜ポンプ

    受口T-------

    供給ポンプ

    汚泥受槽 汚泥供給増

    H工SEC(脱水俊間制御・共通補機制御)

    フリーログ

    +

    フリーログ(望動シ竺ヶン警)

    Ld ■〉A

    ㊤ ㊦㊦ ㊦ ㊦

    豊…塩買崇聖二要櫛?No,2

    0.21No

    圭 圭

    脱水機×10rIl■ t

    入ポ

    lNロー21ト221

    壬幸

    (立て形加圧)

    汚泥混合槽 汚泥庄 /7コンペヤ

    図7 福岡市下水道局中部下水処理場汚泥処理プロセスフローシート

    2台,フリーログ10台を導入Lた階層形制御システムとなっている。

    CRT

    ×2

    ディジタル

    表 示

    ITV

    グラフィック監視盤

    プロセス入出力装置(PI′′′0)AI DI AO DO割込

    二「=

    ×2

    オペレーターズコ ン ソ ー ル

    操作デスク

    (選択式)

    山痛継 盤

    C-ヒS:H

    濃 縮

    ヽ~、

    l

    l

    l/′

    ′′

    CEST⊥H

    薬品注入

    設 備

    凝 集

    混和槽

    HISEC

    ヽヽ

    HISEC

    フリー ロ グ

    脱 水 設 備

    (脱水機)

    CESIH

    炉土山

    ヽヽ

    ×20

    スル

    セベい

    了・加恥仰仝制

    御ル)

    捌い帆-↓図8 名古屋市下水道局宝神下水処理場汚泥処理プロセスフローシート

    中央監視にはCRT2台による高度なものとL,シーケンス制御にはHIS巨C5台

    及びフリーログ20台を導入Lて,大規模な階層形制御システムを採用している。

    汚三尼処理工手呈にHISEC 了0

    消石灰貯樽‡

    消石灰計量槽

    .22

    T全プロセス

    制御レベル(TCL)

    専用雫芋〔「ル注:FQ=流量積算

    FDQ=固形量積算

    LA=水位警報

    WA=重量警報

    WI=重量指示

    巨:互≡]

    20台を導入し,複雑な機械の操作の完全自動化を行ない,省

    力性,拡張性及び信頼性の高いシステムとなっている。

    【】 監:規操作システム

    4.1監視操作システムの在り方

    ‾F水処理場における監視操作システムを支える機器は,グ

    ラフィックパネル,パネル計器,操作ディスク及びディスプ

    レイ(CRT),タイプライタなどの計算機入出力機器であり,

    これらの機器は互いにその特長を生かして活用されている。

    国9に代表例として横浜1行下水道局線処理場の中央監視磐を

    示す。

    グラフィックパネルは培住空間に与える大らかさ,可視城

    の広さにより見学者や初級オペレータに対するプロセスの説

    明,訓練用の機能に特長を持っている。

    一方,空間占有面積の割に情報量が希薄であり,プラント

    の運転傾向や補機系統を含めた詳細プラント状態までは表示

    Lにくいため,熟練したオペレータやエンジニアにとっては

    無用の長物となるおそれをもつ。

    グラフイ、ソクパネルの欠点を補うためカラーグラフィック

    及びキャラクタディスプレイ(CRT)の採用が盛んになったが,

    ハードウェアが持つ大きな潜在機能にソフトウェアが追随で

    きない傾向にあった。

    CRT利用ソフトウェアを整備し,オペレータ,運転管理者

    及びエンジニアへ有効な情報を提供し,安全かつ最適な処理

    場運営を行なうことが重要となる。

    CRTはパターン表示など見やすい型で,しかも人間の手近

    かな場所で情報を提供できる。

    41

  • 660 日立評論 VO+.59 No.8(1977-8)

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    図川 CRT表示(オーバビュー) 本レベルにより,プラントの総括監視が可能である。

    またオンライン計測値から各地での滞流時間,返送汚泥率,

    余剰汚泥率,汚泥日令などの間接変数演算及び放流水の溶解

    性,非溶解性有機物濃度の予測演算を行ない,その表示が可

    能であり,またこれらのデータのトレンド表示を行なうこと

    ができる。

    一方・長時間監視性はグラフィックパネルが優れ,また計

    算機システムがシングル系の場合,計算機のシステムダウン

    で全系が表示不能となる。

    このようなグラフィックパネルCRTの長所,短所を考慮し,

    グラフィックパネル及びアナログ計器を計算機システムのバ

    ックアップとしてとらえ,盤寸法の縮小化,計器員数の低減

    を図り監視機能の重点をCRTへ移行する傾向にある。

    4.2 CRTの活用

    図10,l=二下水処理場向けCRT表示例を示す。

    図10は,汚水処理プラントの全施設を概括的にグラフィッ

    ク表示するもので,オーバビュー表示と呼んでいる。この表

    示は,機器故障,計測値異常,間接変数異常及び予測値異常

    で該当施設部分がフリッカする。

    図1=ま,デイーテイル表示と呼んでおり,同図では曝気槽

    回りのプラント詳細とDO値低下をアラームしている。

    また図11のデイーテイル表示されたアナログ表示点を選択

    することにより,瞬時値データの最大2時間分のトレンド表

    42

    図9 横浜市下水道局緑下水処理場集

    中監視制御盤 グラフィックにはモザイ

    クを.制御には選択制御を採用し,またCRT

    によりマンマシン対話を容易にLている。

    図IICRT表示(ディーテイル) オーパビュー中の一部の詳細表示を実現Lている。

    示・1時間平均データの最大2日分のトレンド表示,及び1

    日平均データの最大2箇月分のトレンド表示ができるため,

    手近かにプラントの運転傾向を見ることができる。

    このように,オーバビュー,ディーテイル,トレンド表示

    及びモニタ表示を用いることにより,人間と78ロセスとの対

    話が適切に行なわれ安全かつ最適な処理場運営が可能となる。

    臣l 結 言

    以上,最近の下水処理場制御の考え方と具体例について述

    べたが,下水道処理システムは,水量から水質の制御へと,

    また処理場単一の制御から中継ポンプ,下水管渠を含んだシ

    ステムトータルの制御へと,ますます高度化する動向にある。

    今後共これらに対処する各種ソフトウェア,ハードウェアの

    開発に努力する考えである。

    終わりにこれらの制御システムの開発に際し,終始一貫し

    て御指導をいただいた横浜市下水道局,名古屋市下水道局,

    及び福岡市下水道局その他関係各位に対し深謝の意を表わす

    次第である。

    参考文献

    1)加藤,大音,柏木ほか1名:下水道における計算機制御システ

    ム,日立評論,58,475(昭51-6)