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目 次

1.はじめに ……………………………………………………………………… 1

2.AIB (American Institute of Baking) について

(1) 所在地 ………………………………………………………………… 2

(2) 歴 史 ………………………………………………………………… 3

(3) 組織構成 ……………………………………………………………… 4

3.BS&T (Baking Science&Technology)コースについて

(1) 期間、研究生の概要 ………………………………………………… 5

(2) 授業内容 ……………………………………………………………… 5

(2-1) Cake and Sweet Goods Production …………………… 7

(2-2) Bread and Roll Production ……………………………… 10

(2-3) Baking Science …………………………………………… 16

(2-4) Production Management ………………………………… 20

(2-5) Mathematics ……………………………………………… 22

(2-6) Application Project ……………………………………… 22

4.事前準備と研修期間中の生活 ……………………………………………… 23

5.おわりに ……………………………………………………………………… 28

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1.はじめに

私 は 2010年 8月 下 旬 に ス タ ー ト し た 177期 BS& T (Baking Science&

Technology) コースに参加する機会を頂いた。約4ヶ月のコース中は英語とい

う言葉の壁に悩まされ、宿題やテストに追われる忙しい日々であったが、講義、

実習を通じて多くの知識、考え方また教育方法を学ぶことができた。同時にア

メリカでの生活、そしてアメリカをはじめ、他の多くの国々から来た研修生と

交流を深めることができた。

この貴重な体験を本誌に記します。今後、日本から派遣されるパン関連業界

の皆様の予習用資料として活用頂き、一層、充実した研修につなげて欲しい。

文責:社団法人日本パン技術研究所

研究調査部 佐 藤 淳

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2.AIB (American Institute of Baking) について

(1)所在地

カンザス州はアメリカ中央に位置する州である(図 1)。AIB のあるマンハッ

タン(写真1)はカンザスシティーの西方向、約 200km に位置し(図 2)、市

の愛称はニューヨーク市マンハッタン地区の愛称であるビッグアップルに因ん

で、リトルアップルという。町の中央には 1863 年に設立された歴史あるカン

ザス州立大学のキャンパス(写真 2)が広がっている。人口約 53,000 人の多く

はカンザス州立大学の生徒(約 23,000 人)と職員であり、大学によって成り

立っている静かな治安のよい町である。この大学は海外から多くの生徒を受け

入れており、キャンパス内では中国人、韓国人らアジア系の生徒も多く見かけ

られた。町を出ると見渡す限り畑や牧草地が広がっている。町の南西部にはマ

ンハッタンリージョナル空港がある。北部には大きなクリーク(灌漑用運河)

があり、その周辺は州立公園になっている。

カンザス州の寒暖の差は大きく、1 月の平均気温は−3℃程度、7 月の平均気

温は 28℃程度である1)

。私がマンハッタンに着いた 8 月下旬は連日 30℃以上

になり、非常に暑かったが、10 月になると急に涼しくなり、11 月下旬からは

一段と寒くなった。在学中、雪は少し降っただけであったが、寒さは東京では

体感したことのない程、厳しかった。

農作物について、カンザス州は小麦の一大産地であり、Hard Red Winter(硬

質赤色冬小麦)の生産量は全米第 1 位である。統計によると 2000 年の生産量

は約 948 万トンであり、アメリカでの冬小麦生産量の約 25%を占める1)

日本との時差は 15 時間(サマータイム中は 14 時間)である。2010 年のサ

マータイムは3月第2日曜日に開始され、11 月第1日曜日に終了した。

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図 1 カンザス州 図 2 マンハッタン

写真 1 AIB 側の道路 写真 2 カンザス州立大学キャンパス

(2)歴 史

第一次世界大戦中、アメリカでは製パン原料、特に小麦粉が供給不足となっ

た。またエネルギーの効率化のため、人々はパンを家々で作らずにホールセー

ル製品を買うように政府から指導された。戦争中、製パン産業は急速に成長し

たが、限られた原料による生産のため、品質は悪かったと言われている。その

ため、戦後、ホールセール製品は売れなくなってしまった。ホールセールベー

カリーの経営者らは安定した品質を維持するためには科学の正しい知識に基づ

いた製パン理論が必要であることを痛感し、製パンに関する研究、教育機関設

立へ動いた。その結果、1919 年、第 22 回パン産業組合 (American Association

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of the Baking Industry) 総会で AIB (American Institute of Baking) 設立が

承認された。AIB は一時的にミネソタ州ミネアポリスに置かれたが、すぐにイ

リノイ州シカゴへ移転した。そして 1976 年、現在のカンザス州マンハッタン

に移転した2)

。その理由としては、カンザス州が小麦の産地であること、また

小麦の研究で先端をいくカンザス州立大学があるためである。

AIB で最初に学んだ日本人は 1925 年に大阪から来たそうである。その後、

多くの日本人が学んでおり、AIB 同窓会によると、これまでにおよそ 500 人を

超える研修生が卒業している。

(3)組織構成

AIB には School of Baking(製菓、製パン教育)、Research&Technical(技

術研究)、Food Safety Education(フードセーフティ指導)、Food Safety

Audits(フードセーフティ監査)の 4 つの部署があり、スタッフは約 225 名で

ある。その内、約 125 名はマンハッタンに勤務している。その他のスタッフは

フードセーフティ監査員としてメキシコ、イギリス、そして中国に常駐している。

参考資料

1)海外貨物検査株式会社 アメリカ小麦作柄レポート

http://www.omicnet.com/omicnet/report.html#wheat

2)AIB International ホームページ https://www.aibonline.org/

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3.BS&T (Baking Science&Technology) コースについて

(1)期間、研修生の概要

School of Baking(製菓、製パン教育)で柱となっている BS&T コースは

春(2 月上旬)と秋(8 月下旬)開始で、年 2 回行われている。期間は 16 週間

である。それ以外にも製パン製菓材料、製パン理論、クッキー、フードセーフ

ティなど 4 日程度の短期セミナーも行われている。またインターネット上でベ

ーカリー基礎、メンテナンス工学、フードセーフティのオンラインコースも用

意されている。

私が参加した 177 期 BS&T コースは 8 月 25 日から 12 月 17 日まで行われ

た。生徒数は 31 名で、国別ではアメリカ 14 名、日本 8 名、韓国 3 名、中国、

アルゼンチン各 2 名、メキシコ、チリ各1名と多国籍なメンバーであった。ホ

ールセールベーカリーから派遣された生徒がほとんどで、それ以外では製粉会

社 2 名、大学からの派遣 1 名、リテールベーカリーからの派遣 2 名、そして未

経験者(個人参加)3 名であった。男女割合は男性 27 名、女性 4 名であった。

(2)授業内容

コース初日の午前は入所式、講師紹介、生徒同士の自己紹介、テキスト配布

等が行われ、午後から授業が開始された。

授業は朝 8 時から夕方 5 時までの 8 時間、昼休みは 12 時から 1 時までの 1

時間であった。午前は講義 4 コマ(1 コマ講義 50 分、休憩 10 分)、午後は実

習(1 時から 5 時)が行われた。

主な授業科目は Cake and Sweet Goods Production、Bread and Roll

Production、Baking Science、Production Management、Mathematics の 5

つであり、Production Management、Mathematics は講義のみ、それ以外は

講義と実習があった。また Application Management といい、グループごとに

自主的に進める授業もあった。その他、課外授業としてカンザス州立大学の小

規模製粉工場、大手ベーカリーのパン、菓子工場の見学が行われた。

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講義は毎回、階段教室(写真 3)で行われた。前には大きなスクリーンがあ

り、講師はパワーポイントのスライドを表示して講義を行った。実習は科目ご

とにそれぞれの実習室で行われた。

講義では Bread and Roll Production、Production Management で復習の

ための宿題が出された。実習ではいずれの科目においても予習、復習のための

宿題が出された。各宿題は締め切り日の朝 8 時までに指定の箱(写真 4)に提

出しなければならず、時間を過ぎると大幅に減点された。またコース期間中は

first、second、third の 3 つの学期に分けられており、各学期末には講義、実

習それぞれのテストが行われた。ただし Baking Science は各セクションが終

わる毎にテストが行われた。それ以外にも毎日のように何らかのクイズ(小テ

スト)が行われ、テスト、クイズの結果は毎回、掲示板に貼り出された。掲示

板では研修生ごとに与えられたシークレット番号が使用されるため、他の研修

生の結果はわからないようになっているが、次第に番号と名前が一致してきた

ようである。成績は学期毎に A、B、C、D で評価され、派遣先企業にメールで

送られた。

写真 3 講義室 写真 4 提出箱

次に各科目の講義、実習の内容について学んだ順に箇条書きで記す。

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(2-1) Cake and Sweet Goods Production

講師:Stephen Sollner(スティファン ソナー)

写真 5 Stephen Sollner 講師 写真 6 実習室

講 義

・ケーキの種類、特徴

Batter、Foam、Chiffon ケーキ

・各原料の役割

小麦粉、砂糖、油脂、卵、乳製品、水、食塩、ベーキングパウダー、乳化剤、

防腐剤、香料

・ミキシングの目的、各製法の特徴

・各工程、使用機器

・配合調整方法

・アイシング、グレーズ

アイシングとグレーズの違いと種類、作り方、各原料の役割

・各種ケーキの特徴、製法

パウンドケーキ、マフィン、エンジェルフードケーキ、シフォンケーキ、ス

ポンジケーキ、チーズケーキ、ブラウニー、パイ、ケーキドーナツ、イース

トドーナツ、スイートドウ、デニッシュペストリー、パフペストリー、クロ

ワッサン

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実 習

実習室

実習室の一画には作業台が並んでおり、作業台には縦型ミキサー、各原料等

が置かれている。また実習室には 60Q 程度の縦型ミキサー、リールオーブン、

シート生地成形ライン、プレッシャーケーキミキサー、デポジッター等が設置

されている。

実習1

特定の原料または工程条件を変える比較試験で、2~3人のグループごとに

700g 仕込みを3~4バッチ行った。1 バッチ目は適条件(コントロール)で行

い、それ以降は条件を変化させた。主に High Ratio Yellow ケーキ(小麦粉

100%に対して砂糖を 100〜140%使用)で行い、竪型ミキサー、リールオー

ブンを使用した。当日は主に生地状態を観察し、焼き上げた製品の評価は翌日

の講義で行った。

・バッター比重

バッター比重を変化させる。

・小麦粉、吸水量、バッター温度、油脂

小麦粉(強力粉、薄力粉)、吸水量(増、減)、バッター温度(高、低)を変

化させる。またショートニングの一部を植物油と置き換える。

・油脂、砂糖、卵

油脂、砂糖、卵量を変化させる。

・ベーキングパウダー、乳化剤、pH

ベーキングパウダー、乳化剤使用量を変化させる。また酸性剤の量を変化さ

せることでバッターの pH を変化させる。

・製法

各製法からグループごとに 2 つ製法を選び、それらを用いて作る。

・配合調整(2回)

グループごとに決められた条件(砂糖、ショートニング、ココア使用量のい

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ずれかが適正条件外)で Yellow、Chocolate ケーキを作る。実習前に配合、

ミキシング工程等の調整をグループ内で行う。2 回目で 1 回目の工程、製品

の問題点を改善する。

実習2

各種ケーキをグループごとに 3 バッチ程度作る。1 バッチ目は適条件(コン

トロール)で行い、それ以降はフィリング、トッピング等を変化させる。

・パウンドケーキ

・マフィン、ブラウニー

・シフォンケーキ、エンジェルフードケーキ

・スポンジケーキ

・パイ

・ケーキドーナツ

・イーストドーナツ

・スイートドウ

・デニッシュペストリー、パフペストリー、クロワッサン

写真 7 実習風景 写真 8 シート生地成形ライン

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(2-2)Bread and Roll Production

講師:Scott Bieker(スコット ビーカー)

写真 9 Scott Bieker 講師 写真 10 実習室

講 義

・製品評価

製品評価の意義、外観 内相 触感 食感のチェックポイント

・各原料の役割

小麦粉、バイタルグルテン、水、イースト、食塩、砂糖、油脂、乳製品、生

地改良剤、防カビ剤、酸化 還元剤、酵素、乳化剤

・各工程の目的、使用機器

ミキシング、発酵、分割、丸め、成形、焼成、冷却、スライス、袋詰め

・製法

ストレート法、中種法、ノータイム法、連続製パン法、チョリーウッド法、

液種法

・Dough Conditioners

酸化剤、還元剤、酵素、乳化剤

・トラブルシューティング

ミキシング時間、吸水量、発酵時間が異なる場合への対処方法

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・ハード、ソフトロール

ハードロールとソフトロールの違い、ハンバーガーバンズ、ハンバーガーバ

ンズのトラブルシューティング、ベーグル、イングリッシュマフィン

・ハースブレッド

フランスパン、サワードウ、ライ麦パン

・バラエティブレッド

全粒粉、レーズン、食物繊維食パン

・パーベイク

パーベイク製品の作り方

実 習

実習室

実習室の一画にはミキシングから丸めまでを行う作業台が並んでおり、二軸

竪型ミキサー、原料等が置かれている。また実習室には横型ミキサー、スパイ

ラルミキサー、ロータリーディバイダー、傘型ラウンダー、ストレートモルダ

ー、トレイオーブン、デッキオーブン、バンズライン、バンドスライサー、包

装機等が設置されている。他の実習室にはレオン自動機社製分割機、ラックオ

ーブン、トルティーヤ専用オーブン、ピザ専用オーブン等が設置されている。

実習1

特定の原料または工程条件を変える比較試験で、2~3人のグループごとに

1kg 仕込みを5~6バッチ行った。1 バッチ目は適条件(コントロール)で行

い、それ以降は条件を変化させた。試験はすべて中種法(60%無糖中種4時間

発酵法)食パン配合で行い、二軸竪型ミキサー、ストレートモルダー、リール

オーブンを使用した。中種は講師が午前中に仕込んだものを使用した。本捏は

オールインミックス法で生地を調整し、ワンローフ型で焼成を行った。当日は

主に生地状態を観察し、焼き上げた製品の評価は翌日の講義で行った。

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・小麦粉

小麦粉の種類を変化させる。コントロールは強力粉、比較として薄力粉、薄

力粉+バイタルグルテン、全粒粉、全粒粉+バイタルグルテンで行う。

・吸水量

吸水量を変化させる。コントロールは吸水 63%(中種吸水 35%)、比較とし

て 69%、57%、中種吸水 6%増加(41%)、中種吸水 6%減少(29%)で行う。

※中種吸水変更条件の全吸水量はコントロールと同じ 63%。

・食塩

食塩添加量を変化させる。コントロールは食塩 2%、比較として 0%、1%、

4%、後塩法で行う。

・砂糖

砂糖添加量を変化させる。コントロールは砂糖 8%、比較として 0%、4%、

12%、異性化液糖(HFCS-42)8%で行う。

・ミキシング時間、中種発酵時間

コントロールは適正ミキシング時間、比較としてコントロールよりもミキシ

ング時間減少、ミキシング時間増加。また中種発酵時間短縮(1 時間)、中種

発酵時間延長(6 時間)。

※中種発酵時間を変更させたもののミキシング時間はコントロールと同じ。

・製法比較

ストレート法、ノータイム法、液種法、中種法(中種、本捏の小麦粉比率変

化)。

・トラブルシューティング(2回)

条件(発酵時間、配合等)が適正ではない中種を使用する。実習前に本捏時

の配合、工程調整を行い、1 回目の工程、製品の問題点を 2 回目で改善する。

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実習2

機械製パン実習を3~4人のグループで行った。各グループで 1 人、生産管

理者が決められ、その人が各工程のスケジュール、チェックリストを作り、他

の班員の配置、仕事内容を指示した。毎回 4 バッチあり、各グループ 1 バッチ

(約 50kg 仕込み)のミキシングから包装までを行った。横型ミキサー(スパ

イラルミキサー)、ロータリーディバイダー、傘型ラウンダー、オーバーヘッド

プルーファー、ストレートモルダー、リールオーブン(ラックオーブン)、スラ

イサーと包装機が連結した装置を使用した。焼き上げた製品の評価は翌日の講

義で行った。

・食パン

中種法(山型、プルマン)、ノータイム法(山型、プルマン)

・バラエティブレッド

イタリアンブレッド、ライブレッド、ポテトブレッド(中種法、ノータイム

法)

・ホットドック、ハンバーガーバンズ

ホットドックバンズ(中種法)、全粒粉ハンバーガーバンズ(ノータイム法)、

ハンバーガーバンズ(液種法)

・バラエティブレッド

フランスパン(ノータイム法、パーベイク)、ベーグル(ノータイム法)、挽き

割り小麦使用のロールパン(ノータイム法)、カイザーロール(ノータイム法)

・バラエティブレッド

ピザ(生地玉冷蔵)、サワードウ、フォカッチャ、チャバッタ

その他

・外部講師による実習

カンザス州立大学の Dave Krishock 講師によるアルチザンブレッド実習。フ

ランスパン、堅焼き、セモリナ デュラム小麦を使用した堅焼きで、いずれも

ポーリッシュ種を使用した。

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・フラットブレッド

トルティーヤ(とうもろこし粉、小麦粉)、イングリッシュマフィン、フラッ

トベーグル

写真 11 横型ミキサー 写真 12 ロータリーディバイダー

写真 13 傘型ラウンダー 写真 14 ストレートモルダー

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写真 15 リールオーブン 写真 16 バンドスライサー

写真 17 バンズライン

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(2-3) Baking Science

講師:Debi Rogers(デビ ロジャース)

写真 18 Debi Rogers 講師 写真 19 実習室

講 義

・化学の基礎

周期表、元素記号、原子、電子、イオン、化学式の作り方、命名法、化学結

合、SI単位系、温度変換(摂氏、華氏、ケルビン)

・pH、TTA(滴定酸度)

酸性、塩基性、pH と TTA の違い、pH と TTA の製パンへの影響

・水

製パンにおける水の役割、影響(硬度、pH、塩分濃度)、水の性質(沸点、

凝固点)、水処理方法、水分活性

・小麦

小麦の構造、小麦の分類(春 冬、硬 軟質、赤 白)、製粉工程、小麦粉の分

類、熟成、小麦粉処理(漂白、熟成、モルト添加、栄養分添加)

・小麦粉の評価方法、その他の穀物

各成分の分析方法、小麦粉の評価方法(吸水 ミキシング特性、伸展性 弾性、

バッターの流動特性、その他の穀物(ライ麦、ライ小麦、とうもろこし、米、

オート麦、大麦、古代麦、キビ、モロコシ、テフ、アマランス、そば、キヌア)

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・酵素、乳化剤

各酵素、各乳化剤の特徴

・甘味料

糖類の特性と役割、各糖類の特徴、高甘度甘味料、糖アルコール

・膨張剤

膨張剤の特性と役割、各膨張剤の特徴、反応速度、各酸性剤の特徴

・油脂

油と脂肪、脂肪酸の特性、各油脂の特徴、加工方法、問題点(トランス脂肪

酸、酸化、加水分解、重合)、特性や状態の測定方法

・澱粉、増粘剤

アミロースとアミロペクチン、糊化と老化、澱粉の原料、各原料からとれる

澱粉の特性、加工澱粉、各種増粘剤の特徴

実 習

実習室

実習室で各自、もしくは 2 人1組で行った。1 人ずつ作業台が割り当てられ、

そこには試験管、ビーカー、バーナー等、実習で使用する器具が納められてい

る 。 隣 り の 実 習 室 に は 小 麦 粉 の 成 分 を 測 定 す る 近 赤 外 線 測 定 器 ( NIR

Instrument)や小麦粉の特性を知るためのファリノグラフ、ミキソグラフ、エ

クステンソグラフ、アミログラフ、フォーリングナンバー測定器、グルテン量

測定器(Glutomatic)等が置かれている。

実 習

・秤

竿はかり、デジタルはかり、電子天秤の特徴、使用方法を学ぶ。実際に使用

し、測定誤差、測定精度を求める。

・顕微鏡

顕微鏡の特徴、使用方法を学ぶ。実際に使用し、各小麦粉(強力粉、薄力粉、

全粒粉、ライ麦粉、デュラム粉)の粒の特徴を観察する。

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・ファリノグラフ、ミキソグラフ

ファリノグラフ、ミキソグラフの特徴、使用方法、各グラフの読み方を学ぶ。

・pH、TTA

pH 試験紙、pH 指示薬、pH メーターの特徴、使用方法を学ぶ。実際に pH

試験紙、pH 指示薬、pH メーターを使用し、パン、ケーキクラムの pH、TTA

の測定を行う。

・水の硬度

水の硬度測定キットを使用し、水道水、精製水、硬水、井戸水の硬度測定を

行う。

・ペッカーテスト

各小麦粉(強力粉、薄力粉、全粒粉、ライ麦粉、デュラム粉)でペッカーテ

ストを行い、状態を観察する。

・グルテンウォッシング

小麦粉と水で硬い生地を作った後、でんぷん、その他水溶性物質を洗い流し、

グルテンのみを残す。この Wet Gluten を焼成し、Dry Gluten にする。各小

麦粉(強力粉、薄力粉、全粒粉、ライ麦粉、デュラム粉)で同様の作業を行

い、状態を観察する。

・グルテン量測定器(Glutomatic)

グルテンウォッシングを行う装置、%wet gluten、%dry gluten、Gluten

Index などの値より小麦粉中のタンパク質の量、質を推測する。

・Sedimentation(沈降分離)

乳酸がグルテニン、アルコールがグリアジンを膨張する性質を利用し、タン

パク質の量、質を推測する。

・水分含量、活性

水分含量、活性を測定する装置を使用し、パン、ケーキクラム、クラッカー

の各値を測定する。

・小麦粉特性測定装置

灰分、粗タンパク含量(Kjeldahl method)、損傷でんぷん、酵素活性(フォ

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ーリングナンバー、アミログラフ、Rapid Visco Analyser)を測定する機器、

方法を講師が装置を使用し、説明する。

・Unknown flour

2 種類(強力1等粉、強力2等粉、ケーキ用粉、ライ麦粉の中より)の小麦

粉がブレンドされた小麦粉の組み合わせ、ブレンド割合を、これまで学んだ

分析方法、装置を用いて明らかにする。各自、1 つずつわたされ、6 回の実

習時間内に試験を行う。結果とその結果にたどりついた過程をレポートにま

とめて提出する。

・油脂

鹸化実験。発煙点、脂肪酸量、過酸化物価の測定を行う。

・澱粉と増粘剤

各澱粉、増粘剤を糊化、ゲル化(ゲル化しないものもあり)させ、特性(固

さ、透明度)を比較する。

・膨張剤

表示のない膨張剤に含まれる酸化剤を実験により明らかにする。

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(2-4) Production Management

講師:Kirk O’Donnell(カーク オドーネル)

写真 20 Kirk O’Donnell 講師

講 義

・安全管理

作業現場での危険性とその対策

・清掃管理

製パン機械の中から 3 つを選び、それぞれの清掃手順書を作成する。また洗

剤、殺菌剤の化学物質の安全データシートを調べ、正しい使用方法を知る。

リテール、もしくはホールセールベーカリーでの各機械、作業場所の清掃ス

ケジュールを作成する。

・フードセーフティ/HACCP

・職場で対立した場合の解決方法

対立の種類、原因、解決方法

・品質管理

製パンにおける不安定要因、確度と精度、統計表の理解

・新製品開発

マーケティングの基礎、新製品開発の実際

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・チーム

チームを組む利点、成果を出すための条件

・生産スケジュール

各製品の注文数に応じてバッチサイズ、バッチ数を決め、ミキシングから包

装までのスケジュールを組み立てる。

・生産限界処理速度

製品条件からラインにおける各機械の処理速度を求め、律速となる機械を特

定する。

・原価計算

原材料費、包装費、人件費、諸経費の算出方法

・財政

バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー、投資利益率

・指導者

映画“12 O’Clock”を見た後、指導者についてグループで意見交換を行う。

指導者に求められること、指導者のスタイル

・教育方法

ミキサーオペレーターへの教育計画を作成する。またミキサーオペレーター

への実技、筆記試験問題を作成する。

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(2-5) Mathematics

講師:Ken Embers(ケン エンバース)

写真 21 Ken Embers 講師

講 義

・数学の基礎

・単位系の変換

・ベーカーズパーセント

ベーカーズパーセントと計算方法

(2-6) Application Project

あるベーカリー製品を製造する架空の会社を作り、拠点、マーケティング調

査、規模、組織構成、生産ライン、使用機械の選定、予測される収支計算等を

4 人程度のグループで行う。また、その製品を何度か試作し、レシピ、工程を

決定する。最終的にパワーポイントでスライドを作成し、発表を行う。

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4.事前準備と研修期間中の生活

私が出発前に行った準備や研修期間中の生活で、参考になるであろう事柄を

項目ごとに記す。ただし、この内容は 2010 年での経験であり、今後状況が変

わる可能性もある。

・事前準備

(入学申請~ビザ取得)

AIB ホームページ上にある BS&T コース入学申込書をオンラインで送信し、

登録料($545)を AIB 指定の銀行口座に電信送金、もしくは小切手で AIB へ

郵送する。その後、アメリカの学校法人から留学生に交付される書類、I-20

(在留資格証明書)が送られてくる。ビザ申請にはパスポート(米国での滞在

期間+6 ヶ月有効であること)、I-20、SEVIS 費用($200)確認書、ビザ申請

料金($140)、銀行の残高証明や給与明細等の留学中の費用を賄えることを示

す財政証明書、英文での最終学歴成績証明書など多くの書類、そしてオンライ

ンによるビザ申請書 DS-160 への入力が必要となる。すべての書類を揃える

には時間がかかるので、アメリカ大使館ホームページで確認し、余裕を持って

進めた方が良い。ビザ申請書 DS-160 を作成した後、大使館での面接予約が

可能になる。私の場合、大使館で準備した書類を提出し、約 2 時間待った後、

面接となった。面接での質問は 3 つ、どんな仕事をしているのか? 留学する

学校はどこにあるのか? 学校では何を学ぶのか? を日本語で聞かれた。

(クレジットカード)

レストラン、スーパーマーケット、スターバックスあらゆるところでクレジ

ットカードが使えるので、とても便利である。アメリカ人の多くがクレジット

カードで支払いを済ませていた。私は VISA カードを利用したが、MASTER

カードも利用できる。マンハッタンでは JCB カードは利用できないようである。

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(現金)

私は事前に citi bank で銀行口座をつくり、利用した。円普通預金口座と米

ドル普通預金口座をつくり、まずは円普通預金口座に現金を入金する。そうす

れば、ネット上でいつでも円普通預金口座から米ドル普通預金口座へお金を移

すことができる。その場合、円からドルへの変換はその時点での為替レートが

適用される。米ドル預金専用のキャッシュカードは私が利用したすべての

ATM(ダラスフォートワース空港内、マンハッタン)で利用できた。

(国際運転免許証)

レンタカーを借りる予定のない方でも、旅行等で運転する機会があるかもし

れない。また、国際運転免許証は身分証明に利用できるのでつくっておくと役

に立つ。日本人は若く見られるため、レストラン等でお酒を飲む際、またバー

などへ入店する際は必ず年齢証明が必要となる。私はパスポートを紛失してし

まうことが怖かったので、国際運転免許証を持ち歩いていた。パスポート、運

転免許証、顔写真、手数料(東京都の場合 2,650 円)を運転免許センターに持

っていけばその場でつくってくれる。警察署でもつくってもらえるが、2 週間

程度かかる。

(保険、薬)

万が一の場合に備えて保険には加入しておいた方が良い。旅行代理店に行け

ば詳しく説明してくれる。マンハッタンは空気が乾燥しているので、のど、肌

が弱い方はうがい薬やクリーム等を持っていくことを勧める。また、自分に合

う風邪薬、頭痛薬等を事前に用意しておくと安心である。

(パソコン)

会社への報告書の作成、メールでのやり取り、宿題の作成、また Application

Project の発表ではパワーポイントを使用するので、あると都合がよい。そし

てスカイプを利用すれば日本との通話も無料になる。

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(辞書)

語彙数の多い電子辞書があると便利である。あまり安いものでは専門用語が

入っておらず、使い物にならない。またクイズ、テスト中は電子辞書が使用禁

止のため、紙の辞書が必要である。テストは主に選択形式だが、筆記形式もあ

るので、英和辞書だけでなく和英辞書もあると役に立つ。

・渡 航

(成田空港〜マンハッタン)

私は成田空港からダラス経由でマンハッタンに入った。マンハッタン空港へ

はアメリカン航空がシカゴ、ダラスから就航している。それ以外ではデトロイ

ト、ミネアポリス等を経由し、カンザスシティに入り、空港近くのホテルで 1

泊した後、グレイトレイク航空(Great Lakes Airlines)でカンザスシティか

らマンハッタン入りになる。はじめに着いた空港で入国審査を受ける。ここで

は指紋、顔写真がとられ、行き先、目的、滞在期間等が質問される。

(マンハッタン空港~アパート)

マンハッタン空港へは AIB の送迎係の方に迎えに来てもらった。空港にはタ

クシーがいないので、レンタカーを借りる予定のない方は事前に AIB の事務の

方に到着日、時間をメールで知らせておくと迎えの手配をしてくれる。アパー

トへ案内してもらい、その後 Wal-Mart で食料品等の買い物にも同行してくれ

た。

レンタカーを借りる予定の方は、空港内にレンタカー会社があるので、そこ

で契約し、アパートへ向かうことになる。Google マップを使えばマンハッタ

ンの細かい道路までわかるので、事前に空港からアパートまでの道順を調べて

おくと安心である。

(AIB へ)

着いた翌日、AIB を急に訪れてよいのかわからなかったので、公衆電話から

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AIB へ電話し、Ken Embers 氏へつないでもらった。いつでも来なさいと返事

を頂いたので、午後から AIB を訪問した。Ken Embers 氏は研修生の面倒をよ

く見てくださるので、是非はじめにあいさつへ伺って欲しい。

・研修期間中の生活

(携帯電話)

他研修生との連絡には携帯電話が必要である。私は Wal-Mart でプリペイド

式携帯電話 Tracfone を使用した。はじめに携帯電話本体と Air time という通

話時間(厚紙に時間が書かれたもの)を買った。登録のため、電話でのやり取

りが必要になるが、Wal-Mart の人に頼むと代わりにやってくれた。通話時間

を追加するには、通話時間を買い、そこに書かれている PIN ナンバーを携帯電

話に打ち込むと通話時間が追加される。

(インターネット)

インターネット、電話、テレビ等は COX という会社で申し込む。私はイン

ターネットだけを申し込んだ。後日、アパートに COX の人が来てパソコンで

の接続確認までやってくれた。COX ホームページから自分のページへログイン

すると、クレジットカードで月々の支払いができたが、解約時は再び COX へ

行く必要があった。

(旅行の手配)

研修期間中、連休を利用して旅行へ行くこともあるかもしれない。私は

Expedia というサイトで飛行機、ホテル、レンタカーの予約を行った。クレジ

ットカードで支払いができるので、非常に便利であった。

(車)

マンハッタンにはバスがないため、移動には車が必須である。自転車での移

動も可能だが、自転車レーンがあまり整備されていないため、車道を走る箇所

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が多く、危険であった。AIB には送迎係の人がおり、買い物にも連れて行って

くれるが、動きは制限されてしまう。レンタカーを何人かでシェアできれば経

済的である。

(アパート)

私はキャンパスイーストという AIB から徒歩 10 分程のアパートに滞在した

(写真 22)。他の日本人研修生の中にはウェストチェスターという AIB からや

や離れたアパートに滞在した人もいた。キャンパスイーストでは 2 人で 1 つの

部屋をシェアした。部屋は2DK、そしてシャワー、トイレは 2 つずつあり、2

人で生活するには十分な広さであった。

(食事、買い物、レストラン)

食事はキャンパスイースト側にあるカンザス州立大学の学食(写真 23)を利

用した。AIB の事務の方にお願いすると研修期間中の食事券(ミールカード)

を手配してくれた。学食は食事券がなくともその場で料金を払えば利用できる。

朝食、夕食を学食で食べ、昼食は朝食の際に学食に依頼し、サンドイッチをつ

くってもらい、AIB へ持っていった。ただし、日曜日の夜は学食が休みであっ

たため、同室の中国人研修生の Ken と交互に食事を作った。他の日本人研修生

は、学食を利用せず、主に自炊をしていた。

町には Wal-Mart、Hy-Vee という大型スーパーマーケットがあり、食料品の

品揃えに不自由することはなかった。また、オリエンタルマーケットというア

ジアの食材をそろえた小さいスーパーマーケットがあり、そこでは韓国、日本、

中国の食材を買うことができた。服や靴などはショッピングモールでそろえる

ことができる。レストランは日本、メキシコ、イタリア、中華料理など、そし

てマクドナルド、バーガーキング、タコベルなどのファーストフード店が多く

存在し、さまざまな味を楽しむことができた。

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写真 22 キャンパスイースト 写真 23 学 食

5.おわりに

研修期間中は宿題、クイズ、テストが頻繁にあり、私にはとても忙しく感じ

られた。アメリカ人研修生もこんなに勉強したことはないと嘆いていたので、

徹底的に勉強させようとする意図があるのであろう。各科目ともテキストは充

実しており、それに沿って授業は進められた。講義中は研修生から頻繁に質問

がなされ、活気があった。また何人かで集まり、議論をして意見を発表する機

会も度々あった。Bread and Roll Production 実習において実際のライン生産

を想定し、グループの 1 人が生産管理者となり、他のメンバーへ指示を出し、

実習を進める方法やトラブルシューティング、また Production Management

での生産スケジュールの組み立てや生産限界処理速度の計算、教育指導等の講

義などから主にホールセールでのライン管理者への教育を目的にしていると感

じられた。一方、実習中にミキシングや丸め、成形への細かい指導がされない

こと、そして製品品質がそれほど高くはないので、手作りに重きを置く方にと

ってはその点、物足りなく感じられると思われる。これは私の受けた印象であ

り、研修生によって、受け止め方は様々であろう。しかし、学ぶ姿勢があれば

必ず多くのことを得ることができる。

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私は BS&T コースへの参加が決まってから、コースへの参加申し込み、ビザ

の申請、航空券の手配など、どれもはじめての手続きばかりで不安であった。

しかしながら、BS&T コース卒業生の方々からアドバイスを頂き、少しずつ解

決できた。BS&T コースがはじまってからは、AIB スタッフの方々、同期研修

生らに助けて頂き、充実した生活を送ることができた。AIB 派遣に際し、お世

話になった皆様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。

また、本技術資料をまとめるにあたり、様々な情報を頂き、また不明な点に

親切に答えて頂いた AIB の Ken Embers 氏に感謝の意を表します。

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