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学習材としての教科書 基本構想( )教科書の基本構想(3)
-西アジア-2011年12月22日(木)
松原直哉M116196 松原直哉
発表構成
1、本発表の目的1、本発表の目的
2、教育内容としての理論
「 家論-「レンティア国家論」-3、3つの見開きの学習内容の関係性3、3つの見開きの学習内容の関係性
4、各見開きの学習内容
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
本発表の目的
西アジアの学習材の開発に向けて、その社会のしくみに迫る事実 理論その社会のしくみに迫る事実、理論、論点を示すことである
2、教育内容としての理論2、教育内容としての理論
-「レンティア国家(システム)論」-
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
学習対象の範囲設定
本学習材の対象・・・ 西アジアグ→ 湾岸諸国、トルコやイスラエル、カスピ海付近のグルジ
アやアゼルバイジャンなど多様な地域を包含する
本発表で提示する概念的知識である「レンティア国家論」→ アラブの産油国及びその周辺国の社会の説明枠組み→ アラブの産油国及びその周辺国の社会の説明枠組み
としては有効But トルコやイスラエルなどの国々の説明は難しい
西アジアの社会のしくみの特色を示す上では、上記の湾岸諸国に着目することは有効だと考える
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
概念設定の有効性概念設定の有効性
①西アジアに典型的な石油産油国の説明枠組みである点る点
②現在、石油に依存して経済的に行き詰まりを見せる湾岸諸国の経済を理解できる点湾岸諸国の経済を理解できる点
③従来の石油依存産業を脱したドバイ・モデルを理解する上でもその基盤として有用性がある点する上でもその基盤として有用性がある点
④現在のアラブ諸国の民主化運動(アラブの春)の要因を説明することができる点因を説明することができる点
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
「レンティア国家論」とはどのようなものか?「レンティア国家論」とはどのようなものか?
主な定義 石油収入という「地代」に依存し その「分配」主な定義:石油収入という「地代」に依存し、その「分配」
をもとに足り立つ国家
(→政治的特徴と経済的特徴を示す)典型:中東産油国(特に湾岸諸国)典型:中東産油国(特に湾岸諸国)
提唱者:ホセイン・マフダヴィ、ハーゼム・ヘラウィーなど
以後 中東産油国を説明する枠組みとして用いら→ 以後、中東産油国を説明する枠組みとして用いられる
細井長『中東の経済開発戦略-新時代へ向かう湾岸諸国』2005年
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
レント不労所得、非稼得性の収入、外生的な収入(国内の経済活動にほとんど関係しない輸出収入) などの経済活動にほとんど関係しない輸出収入) など
例) 石油収入、オイルマネーの運用、スポンサー料
レンティア国家
湾岸諸国政府(王族)が石油収入(レント)を独占する代わりに、自国民に対する手厚い福祉・
レンティア国家占する代わりに、自国民に対する手厚い福祉補助金政策、国民を公務員として政府が雇用する(分配)国家
国民に納税の義務がなく、議会制度も存在せず(クウェートを除
く)、王政の「支配の正当性」を示すものく)、 政の 支配の 当性」を示すものレントの配分は国民だけでなく企業にもあり、湾岸諸国の産業の
多くは(王族がオーナーとなる)国営・国有企業という形で育成政府 補助金 頼り 経営は 効率⇔ 政府の補助金に頼り、経営は不効率
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
近年のレンティア国家の問題点近年のレンティア国家の問題点
①モノカルチュア(石油依存)経済(レンティア経①モノカルチュア(石油依存)経済(レンティア経済の行き詰まり)による、産業の不安定さ②人口増加による雇用問題②人口増加による雇用問題③経済改革と連動した民主化運動の動き
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
①モノカルチュア(石油依存)経済(レンティア経済 行き詰ま ) よる 産業 不安定さ済の行き詰まり)による、産業の不安定さ
石油の価格の変動による財政赤字石油の価格の変動による財政赤字石油輸出に依存してきたため、工業化(特に製造業)が発達せず
②人口増加による雇用問題
人口増加及びで出稼ぎ労働者の大量流入国内産業(特に工業)の未発達による雇用不足
③経済改革と連動した民主化運動の動き
経済改革と政治改革(民主化)の要求の高まり
3 3 の見開きの3、3つの見開きの学習内容の関係性学習内容の関係性
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
3つの見開きの関係性
事実西アジアの自然・宗教・産業・文化
(石油産業に依存した社会とアラブの民主化運動を捉え事実 (石油産業に依存した社会とアラブの民主化運動を捉える)
理論石油産油国(特に湾岸諸国)の社会のしくみ
(レンティア国家論と問題点)理論 (レンティア国家論と問題点)
応用脱石油産業を掲げるドバイ・モデルと
レンティア国家システムの修正を目指すサウジアラビアレンティア国家システムの修正を目指すサウジアラビア
4、各見開きの学習内容、各見開き 学習内容
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
1、事実
油経済と近年 動向を捉える( )石油経済と近年の動向を捉える(1)-地域の自然・産業・宗教・文化-
主題に関して、地域の具体的な事実を知る(事実の習得と活用)
ねらい
題 関 、 域 具体 事実を (事実 習得 活用)乾燥帯・砂漠、石油産業、イスラム教、宗教的色彩の強い文化
特に、石油産業に依存した経済とアラブの民主化運動 を知る
西アジアの人々はどのように暮らしているだろうか?
学習課題
西アジアの人々はどのように暮らしているだろうか?
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
石油の地域別埋蔵量(2000年末)石油の地域別埋蔵量(2000年末)埋蔵量(10億バレル) シェア(%) 可採年数
北米 64.4 6.1 13.8
中南米 95 2 9 0 39 1中南米 95.2 9.0 39.1
ヨーロッパ 26.0 19.1 7.7
旧ソ連 65 3 6 4 22 7旧ソ連 65.3 6.4 22.7
中東 683.6 65.3 83.2アフリカ 74.8 7.1 26.8
アジア 44.0 4.2 15.6
伊藤治夫・清水学・野口勝明『中東政治経済論』より
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
2、理論2、理論
石油経済と近年 動向を捉える( )石油経済と近年の動向を捉える(2)-石油経済に依存する社会のしくみを知ろう-
地域の事実を説明する一般的な理論を知る(概念の活用と探求)
ねらい
レンティア国家論とその問題についてのモデル図
学習課題
なぜ、アラブの産油国は石油依存から脱することができず、民衆の不満が高まっているのか?
学習課題
の不満が高まっているのか?
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
<石油価格:高騰(70年代)> <石油価格:下落(2000年代前半)>
政府(王族) 政府(王族)財政赤字
>
石油関連産業石油関連産業(国営・国有)
政府(王族) 政府(王族)
福祉納税 福祉補助金
納税政治参加
経済・政治改革の要求
民間企業
民衆 民衆 雇用不足
民間企業(第二次産業は未発達)
民間企業(第二次産業は未発達) 人口
増加
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
3、応用
石油経済と近年の動向を捉える(3)-石油経済に依存する社会のしくみを通して脱石油経済を知ろう-
般的な理論を用 具体的な課題を知る(事実 活用 概念 応用)
ねらい
一般的な理論を用いて具体的な課題を知る(事実の活用、概念の応用)
学習課題
アラブの産油国はどのようにして脱石油経済を目指しているか?
学習課題
本発表の目的
教育内容としての理論
見開きの関係性
各見開きの学習内容
ドバイとサウジアラビア
○ドバイ:「フリーゾーン」化による経済発展・観光産業展石油収入(レント)をもとに非石油産業を育成(現在比率は90%)中心は貿易産業、航空産業、IT産業、金融産業など
観光産業(ア パ ケ ト 分野(ビジネ トリ プ))観光産業(アッパーマーケット、MICE分野(ビジネストリップ))
○サウジアラビア 外資導入による経済発展○サウジアラビア:外資導入による経済発展従来の閉鎖的な石油産業を外資に開放する政策を立案
高率な所得税 → 国有の石油関連企業高率な所得税 国有の石油関連企業= 別の形のレント
⇒ レンティア国家システムに固執*改革は反対派の強い抵抗等により進まず
参考文献
○主要参考文献
細井長『中東の経済開発戦略』ミネルヴァ書房 2005年伊藤治夫・清水学・野口勝明『中東政治経済論』国際書院 2003年福田安志『GCC諸国の石油と経済開発-石油経済の変化の中で
-』アジア経済研究所 1996年
○その他の参考文献
中村覚『サウジアラビアを知るための65章』明石書店 2007年日本経済新聞社『まるごとわかる中東経済』日本経済新聞出版社2009年
松尾昌樹「レンティア国家論と湾岸諸国の「民営化」」『現代の中東』年No.37 2004年