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第10回 カーエレクトロニクス研究会 2012年1月30日(月) 組込みシステム開発のプロセス改善手法とし て期待されるモデルベース開発 財団法人 九州経済調査協会 研究主査 藤井 1

第10回 カーエレクトロニクス研究会 組込みシステム開発の ...car-electronics.jp › CE10 › CEW10_6_KERC_Fujii.pdf · 2012-01-27 · 今後は、コード自動生成、

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第10回 カーエレクトロニクス研究会

2012年1月30日(月)

組込みシステム開発のプロセス改善手法とし

て期待されるモデルベース開発

財団法人 九州経済調査協会

研究主査 藤井 学

1

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本日の報告内容

調査の背景

アンケート結果

ヒアリング結果

モデルベース開発を活かした地域産業の活性化について

2

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調査の背景

ソフトウェアを取り巻く環境の変化

ソフトウェアの大規模化、システムの複雑化

開発期間の長期化、開発費の増高、人材不足

→ 従来手法の限界

→ 新たな手法として期待されるモデルベース開発

国内では自動車業界での導入進む

自動車の多機能化、複数部品の制御統合の動き

九州は自動車生産拠点ではあるが、開発拠点ではない

九州に立地する1次サプライヤーの中でモデルベース開発を活用しての開発を行う事例は限定的

地場企業については、ほとんどない

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福岡でモデルベース開発推進に向けた調査

アンケート調査

全国規模で実施

幅広い産業分野を対象

ヒアリング調査

モデルベース開発を活用する企業

福岡市とその周辺の企業

福岡でモデルベース開発を推進するために求められる支援

4

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様々な業界を対象にアンケート実施

5

アンケートタイトル「組込みソフトウェア開発状況とモデルベース開発導入意向」

対象:組込みソフトウェアに関連する企業 送付数 1478通

期間:2011年9月~10月

回答数:97

回収率:6.6%

低い回答率→認知度の低さの表れ?

ソフトウェア

メーカー

32.0%

その他

製造業

16.5%情報通

信業

9.3%

電気機械器

具製造業

6.2%

精密機械器

具製造業

5.2%

自動車部品

メーカー

3.1%

情報通信機

械器具製造

業3.1%

電機メーカー

2.1%

電子部品・デ

バイス製造業

2.1%

自動車電装

品メーカー

1.0%

半導体デバイ

スメーカー

1.0%

その他の

産業

18.6%

無回答

0.0%

N=97

回答企業の概要

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組込みソフトウェア関連業務について

主な業務内容:ソフトウェア受託開発

6

現在の業務内容

ソフトウェア受託開発 48.5%

組込みソフトウェア製品開発 28.9%

手がける製品群

工業制御/FA機器/産業機器

運輸機器(自動車)/建設機器

民生用通信端末機器

など

現在の業務内容

48.5

28.9

26.8

22.7

12.4

12.4

9.3

5.2

4.1

18.6

5.2

0 10 20 30 40 50 60

ソフトウェア受託開発

組込みソフトウェア製品開発

組込み以外のソフトウェア関連事業

組込みハードウェア製品開発

組込み開発サービス

組込みソフトウェア技術開発

組込み開発環境・ツール開発

組込みに関連する上記以外の事業

組込みコンサルティングサービス

その他

無回答

(%)

N=97

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組込みソフトウェア関連業務について

ソフトウェア開発での課題:品質管理がトップ

7

ソフトウェア開発での課題

品質管理

開発スケジュール短縮

人材不足 など

課題解決方法

新規・中途採用

社内業務見直し

研修実施

モデルベース開発 など

現在の業務内容

48.5

43.3

41.2

30.9

29.9

24.7

22.7

22.7

22.7

21.6

13.4

12.4

7.2

7.2

3.1

7.2

4.1

0 10 20 30 40 50 60

品質管理が難しい

開発スケジュール短縮

社内のリソースが不足している

利益の確保が難しい

開発費削減

人材の継続的な確保が難しい

技術の確保・向上が難しい

新技術の獲得が難しい

取引金額が安い(価格圧縮要求が厳しい)

工程管理が難しい

成果物の定義が不明確

ノウハウの蓄積が進まない

仕事の進め方の違い

コミュニケーション(距離)

ノウハウの流出

その他

無回答

(%)

N=97

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組込みソフトウェア関連業務について

モデルベース開発を使っていない企業が過半数に

8

モデルベース開発の活用状況

使っている 20.6%

使っていないが検討中 10.3%

使っていない 55.7%

わからない 7.2%

→ 過半数は未活用

使っている

20.6%

使って

いないが検討中ある

10.3%使っていな

い55.7%

わからない

7.2%

無回答

6.2%

N=97

モデルベース開発の活用状況

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モデルベース開発の取組状況

研究開発プロジェクトを機にモデルベース開発活用

9

30.0

26.7

26.7

0.0

16.7

0.0

0 5 10 15 20 25 30 35

研究開発プロジェクト

自社の方針

取引先が着手した

MBD人材の採用

その他

無回答

(%)

N=30

50.0

30.0

13.3

6.7

6.7

6.7

6.7

3.3

10.0

3.3

0 10 20 30 40 50 60

自動車

情報・通信

産業機械

ロボット

航空・宇宙

医療機器

AV機器・家電機器

エネルギー関連

その他

無回答

(%)

N=30

モデルベース開発を活用する企業対象

活用の契機

研究開発プロジェクト

自社方針

取引先の動き

活用の分野

自動車が5割 情報通信

産業機械

モデルベース開発の活用の契機

モデルベース開発を使っている分野

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10名以下

65.0%

11名~

30名

20.0%

31名~

50名0.0%

51名~

100名15.0%

101名以上

0.0%無回答

0.0%

N=20

関東地区

60.0%

中部地区

10.0%

関西地区

5.0%

九州地区

5.0%

中国地区

0.0%

その他

20.0%

無回答

0.0%

N=20

モデルベース開発の取組状況

モデルベース開発は少人数、関東地区で展開

10

モデルベース開発に関わる従業員規模

モデルベース開発を行う場所

従業員規模

10名以下 65%

11~30名 20%

51~100名 15%

開発場所

関東地区 60%

中部地区 10%

関西地区、九州地区 5%

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55.0

50.0

35.0

35.0

35.0

30.0

30.0

5.0

0 10 20 30 40 50 60

ソフトウェア統合(システム全体)検証

要求分析

仕様設計

ラピッドプロトタイピング

コード自動生成

ソフトウェア設計

ソフトウェア単体検証(ボードレベル)

無回答

(%)

N=20

75.0

60.0

40.0

40.0

30.0

30.0

25.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80

ソフトウェア設計

仕様設計

コード自動生成

ソフトウェア統合(システム全体)検証

要求分析

ソフトウェア単体検証(ボードレベル)

ラピッドプロトタイピング

無回答

(%)

N=20

モデルベース開発の取組状況

より上流部分の開発工程担当を希望

担当している工程

ソフトウェア設計

仕様設計

今後関わりたい工程

ソフトウェア統合検証

要求分析

→より上流部分の開発工程を希望

モデルベース開発に関わる従業員規模

モデルベース開発を行う場所

11

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モデルベース開発の取組状況

2割が外注/ソフトウェア統合検証の部分を外注

MBDを活用している企業

のうち2割が外注する工程あり

ソフトウェア統合検証の外注が多い

今後は、コード自動生成、ソフトウェア単体検証の外注が出てくる可能性も

12

外注している工程

外注したいと考える工程

50.0

25.0

25.0

25.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60

ソフトウェア統合(システム全体)検証

ソフトウェア設計

ラピッドプロトタイピング

コード自動生成

要求分析

仕様設計

ソフトウェア単体検証(ボードレベル)

無回答

(%)

N=4

37.5

37.5

37.5

12.5

12.5

6.3

0.0

12.5

0 5 10 15 20 25 30 35 40

コード自動生成

ソフトウェア単体検証(ボードレベル)

ソフトウェア統合(システム全体)検証

ソフトウェア設計

ラピッドプロトタイピング

仕様設計

要求分析

無回答

(%)

N=16

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モデルベース開発の取組状況

品質向上と開発工期短縮がメリット

メリット:

品質の向上

開発工期の短縮

課題:

開発ツールの値段の高さ

人材不足(開発エ

ンジニア、マネジメント人材) 13

モデルベース開発のメリット

55.0

50.0

45.0

40.0

35.0

35.0

30.0

30.0

30.0

25.0

20.0

10.0

5.0

0.0

5.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60

品質の向上

開発工期の短縮

開発結果を再利用できる

数理的な工学理論を実際の設計に活用

機能安全の対応

最終製品の仕組みを簡略化したモデルで理解

開発コストの圧縮

手戻り作業の削減

スキルの安定化

実験・計測が困難な状況下をシミュレーションで再現

試作の削減

開発場所選定の自由度が高い

最終製品への理解深化でより適切な設計使用を設定可能

エンジニアのスキルを確認できる

その他

無回答

(%)

N=20

70.0

65.0

60.0

35.0

30.0

15.0

15.0

10.0

10.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80

開発ツールの値段が高い

モデルベース開発エンジニアが足りない

モデルベース開発全体のプロジェクト・マネジメント人材が足りない

モデルを作るのが大変である

ツールが成熟していない

ツールを使う環境が整備されていない

日々の業務に追われて新しいことに取り組めない

取引先がモデルベース開発に対応していない

どのようにレベルアップしていくかわからない

欲しいツールがない

モデルの入手が難しい

開発場所選定の自由度が高い

その他

無回答

(%)

N=20

モデルベース開発の課題

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モデルベース開発を使っていない企業

人材不足が未導入の理由

導入していない理由:

人材不足

モデルベース開発の案件がない

→人材育成の必要性

導入意向:導入したい4割、わからないが5割超

→モデルベース開発に関

する情報発信の必要性

14

モデルベース開発のメリット

42.6

37.7

26.2

16.4

13.1

9.8

9.8

3.3

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

モデルベース開発を使える人材を育成していない

モデルベース開発関連の案件がない

モデルベース開発環境が揃っていない

モデルベース開発を手がける取引先がいない

モデルベース開発環境投資のために多くの資金を必要とする

モデルベース開発に関心がない

わからない

無回答

(%)

N=61

導入したい

36.1%

わからない

54.1%

導入したく

ない

8.2%

無回答

1.6%

N=61

モデルベース開発導入の意向

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モデルベース開発支援施策

情報収集・交換の場を求める声

モデルベース開発研究会・セミナーの設置(20.6%)

コミュニティ創設(16.5%)

モデルベース開発設備(14.4%)

→まずは情報収集、情報交換の場が欲しい

15

20.6

16.5

14.4

12.4

12.4

7.2

4.1

0.0

18.6

35.1

9.3

0 5 10 15 20 25 30 35 40

モデルベース開発研究会・セミナーの設置

モデルベース開発のコミュニティ創設(勉強会、情報交換の場)

モデルベース開発設備(ツール/居室)

モデルベース開発教育プログラム

モデルベース開発環境整備資金制度

モデルベース開発の研究開発プロジェクト

アドバイザーやコーディネーターによる支援

その他

利用したいものはない

わからない

無回答

(%)

N=97

福岡市で活用したいモデルベース開発支援施策

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ヒアリング調査

個別企業の現状把握

モデルベース開発を活用した開発

完成車メーカー

自動車関連部品メーカー

ソフトウェア企業・ツールベンダー

その他(エネルギー、医療など)

中小企業のモデルベース開発活用の取組

福岡市とその近郊の企業

モデルベース開発を導入している企業

モデルベース開発を導入していない企業

モデルベース開発に関する研究開発拠点整備についてのニーズ、具体的な機能

16

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ヒアリング調査:モデルベース開発を活用した開発

完成車メーカー 新製品開発に活用

激化するグローバル競争の中で新製品開発にモデルベース開発を活用 完成車メーカーは、海外市場での競争も激化しており、新機能の搭載、品質向上を推進しながら、同時に開発工期短縮にも注力しなければならない状況にあり、モデルベース開発を活用して、新製品開発を進めている。

三菱自動車工業のiMiEVやマツダのSKYACTIVエンジンのように、これまでにない新たな製品を開発することを契機として活用するケースがみられる。

モデルベース開発人材の育成が急務 完成車メーカーのエンジニアは、モデルベース開発の活用は、エンジン制御のみならず、車両全体の各コンポーネントの開発にも波及し、モデルと部品がセットになった納品が必須となる日も近いとみている。

完成車メーカーだけでなく、2次、3次のサプライヤも含めて、自動車関連産業全体でモデルベース開発を理解する人材育成を急ぐ必要があると強調する。

17

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ヒアリング調査:モデルベース開発を活用した開発

自動車関連部品企業 人材不足が課題

取引先からの依頼がモデルベース開発活用の契機に

自動車関連部品企業がモデルベース開発を活用する契機として、取引先からの製品開発依頼が挙げられている。

多機能化による自動車のエレクトロニクス化で、電子制御システムを新たに導入する部品が多かったことも背景に。

慢性的な人材不足が課題

企業によっては、ソフトウェア担当者の規模が大きくないこと、研究開発と設計を掛け持ちで担当せざるを得ない事情などもあり、モデルベース開発を活用できる人材が限られている。

緊急時は、中途採用や人材派遣などで対応。

特に関東から東海地区に立地する企業は、完成車メーカー

や大手の関連部品メーカーとの人材の奪い合いとなり、人材確保に苦労している。

18

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ヒアリング調査:モデルベース開発を活用した開発

自動車関連 ソフトウェア企業・ツールベンダー

作業の中心は仕様設計と検証

モデルベース開発活用の契機は、取引企業からの依頼がメイン。

自動車関連部品のシステム開発は、全体的に秘匿性が高いこともあり、モデルベース開発において担当する作業は仕様設計、検証が中心となっている。

HILSやMILSのツールを自前で揃えるのは投資額が大きくなるので難しく、自由に利用できるモデルベース開発空間、ツールがあれば、利用したいと考えるところも。

モデルベース開発の活用範囲はボディ部品まで広がる

モデルベース開発の活用は、エンジン、トランスミッションなどパワートレイン系部品が中心であったが、近年はボディ部品にもECUが使われており、モデルベース開発の活用範囲が拡大するのは確実。

すそ野の企業までモデルベース開発の理解が求められることから、

開発エンジニアの育成の必要性を感じている。

19

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ヒアリング調査:モデルベース開発を活用した開発

その他 エネルギー、医療など

開発手法が確定していないエネルギー分野に着目

モデルベース開発の活用分野として注目されているのがエネルギー分野である。再生可能エネルギーへの関心が高まるとともに、エネルギー制御システム構築の動きが活発化しているが、巨大なシステムをモデル化して開発する試みがなされている。

ソフトウェア、ツールを使いこなすことで、短期間、少人数での開発を実現できることも大きなメリットになっている。

規制と前提条件の克服(医療分野)

医療分野でも、モデルベース開発活用に向けて試みがなさ

れているが、各国・地域の厳しい規制への対応、ソフトウェアの肥大化などが大きな課題となっている。

20

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ヒアリング調査:モデルベース開発を活用した開発

中小企業のモデルベース開発活用の取組

仙台地区の企業が挙げるモデルベース開発導入のメリット

M-ファイルの活用、アルゴリズムやコードの共通言語化などにより、開発プロセスを共有し蓄積することができる点

開発段階でエラーが発生した際も、自然言語で書かれた仕様書に戻らずとも、モデルのアルゴリズムを変更すればよい点

MATLAB/Simulinkを使うことで、大学や研究機関と話をすることができる点

モデルベース開発導入推進のために必要なこと

モデルベース開発導入に取り組んでいる立場から、導入促進に必要なこととして、中小中堅企業同士がそれぞれ強みを活かしての連携すること、継続的な人材育成によるモデルベース開発の裾野形成が挙げられた。 21

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ヒアリング調査:福岡市とその近郊のモデルベース開発の取組

モデルベース開発導入企業 データ処理、評価にも活用

モデルベース開発導入の契機:経験者の採用や開発の必要性など モデルベース開発を活用する契機については、偶然MATLAB/Simulinkの知識を持つエンジニアを採用したことを挙げるところのほか、新しいシステム構築に向けてオシロスコープやパルスジェネレータのデータの可視化、再利用できる機能を持つソフトウェアを採用したことなど、企業によって異なる。

モデルベース開発のメリット:膨大なデータの処理、評価にも活用 システム開発にモデルベース開発を活用することのほかにも、

MATLAB/SimulinkやLabVIEWなどのソフトウェアを活用して計測器のデータ、カメラ画像、音、アナログデータなど、様々なデータの処理、評価するなど、幅広い作業に使うことができる点が挙げられている。

課題:モデルベース開発のメリット、ソフトウェアの利点が知られていない モデルベース開発を活用し、ソフトウェア、ツールを使いこなしている立場からみると、初期投資や人材育成を伴うモデルベース開発の活用に躊躇している企業が多いことが非常に問題と感じているという声が聞かれた。

使いこなすと従業員何人分もの作業を短時間で終えることができるソフトウェア、ツールの良さを知ってもらうための情報提供の場設置のニーズが高い。

22

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ヒアリング調査:福岡市とその近郊のモデルベース開発の取組

導入していない理由

取引先がモデルベース開発を行っていない

多くは組込みソフトウェアやWeb系のソフトウェアの開発がメインの業務であり、取引先にスタッフを派遣する傾向にある。取引先がモデルベース開発の案件を持っていない、あるいは内部のスタッフだけで行っており、積極的にモデルベース開発の事業展開できないと考えている。

モデルベース開発を行う人材がいない アンケートでもモデルベース開発を活用していない理由として挙がっていたが、ヒアリングにおい

ても、モデルベース開発人材の不在を理由に挙げるところがあった。

投資資金が膨大である モデルベース開発に必要な各種ソフトウェア/ツールの購入価格は最低でも数十万単位、それに

加えてライブラリ、ツールボックスもあわせると、数百万円にものぼることから躊躇する企業が多い。

組込み系の仕事量が減っている/組込み系の仕事を行っていない リーマンショック以降、組込みソフトウェア開発予算の削減が続いており、持ち帰りでの開発プロ

ジェクトの発注は大幅に減少している。そのため、組込みソフトウェアからWeb系ソフトウェアにシフトせざるを得ず、モデルベース開発が事業展開の1つの選択肢として捉えられていない。

設計手法転換の負担が大きい モデルベース開発の導入は、これまでの設計手法からの転換を意味する。設計手法の転換は、

社内の体制にも大きく影響することから、企業規模の大小に関わらず多大な労力を必要とする。

23

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ヒアリング調査:

モデルベース開発に関する研究開発拠点整備への要望

モデルベース開発の活用は、最初の段階の敷居が高く、その敷居をいかに下げるかが重要

セグメント別の情報提供

研修:実習を伴う、実務に繋がる研修

適正なセミナー参加費用の設定

モデルベース開発拠点形成のシナリオをもとにした情報提供支援の推進

24

敷居

時間

他社の導入事例

モデルベース開発のメリット・デメリット

分野毎の簡単なサンプルモデル

モデルベース開発をテーマとしたコミュニティ

モデルベース開発を活用したプロジェクト

【敷居を低くするために求められること】

モデルベース開発導入の敷居を乗り越えるために求められることイメージ

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モデルベース開発を活かした地域産業の活性化について

モデルベース開発拠点としての福岡市のポテンシャル

必要な取組 開発環境の整備

シミュレーションツール・関連機器の整備

テクニカルスタッフの配置

普及・啓発事業

人材育成事業

コミュニティ、産学ネットワークの構築

研究開発プロジェクトの創出

モデルベース開発標準化に向けた取組

25