第１０回 フラストレート磁性体の基礎

常磁性基底状態の転換I

レベルクロス現象

Cr3+ (s=3/2)

トリマー

J: AF

S1

S2 S3

}){(2

)(

4

452321

133221

sss

ssssss

J

JH

S=s1+s2+s3 S=9/2, 7/2, 5/2, 3/2, 1/2

Ni ４核錯体のユニット構造

Ni tetramer unit structure of [Ni4(-CO3)2(aetpy)8][ClO4]

aetpy=2-aminoethyl-pyridine

a a

[001] projection [110] projection

Body frame

J2 J2

J2J2 J2

J1

J3

Ni

O

C

N

c-axis

a-axis

[1,1,0]a-axis

TetragonalEscuer et al. (1998).

常磁性基底状態の転換IINi2+ (S=1)

テトラマー

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

0 10 20 30 40 50 60 70

Magne

tization

(

B/ N

i)

Magnetic field (T)

Single crystalT=1.3 K

J1

J2

J3

モデル計算で得られた磁化

J1, J2 :AF

Hagiwara et al. (2006).

飽和磁化の半分、3/4の磁化プラトーが観測された。遷移磁場の位置から、相互作用の大きさJ1, J2が見積もられた。

遷移磁場や飽和磁場がわかれば相互作用や異方性に関する情報が得られる。

フィッテイングによるJ3の決定

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

0 1 2 3 4 5 6 7

T=2.0 K

T=4.2 K

Magnetizati

on (

B/N

i)

Magnetic Field (T)

H // c-axis

J3/k

B=-0.66 0.04 K

g=2.191 0.004

±

±

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

0 50 100 150 200 250 300

Susc

epti

bilit

y (e

mu/m

ol)

T

(emu K

/mol)

Temperature (K)

H // c-axisH=1000 Oe

J1//k

B=49.7 0.5 K

J2/k

B=9.3 0.2 K

J3/k

B=-0.63 0.02 K

g=2.229 0.002

帯磁率 磁化（静磁場）

J3/kB=-0.6∼0.7 Kで強磁性的であることがわかった。最低エネルギー準位の五重項、三重項、一重項で計算

磁気フラストレーション

(ii) 幾何学的フラストレーション：相互作用と幾何的な配置の競合

？

三角格子 正四面体カゴメ格子

鉄橋鎖

(i) 相互作用型フラストレーション：近接と遠い相互作用の競合

J2

J1 J1

J2

J1

?

)|(|2

1

幾何学的フラストレーションと物性研究

数多くの新奇な物理現象

Ex) (b)マルチフェロイック物質

幾何学的フラストレーション磁性体

スピン・電荷・格子が複合した現象→多機能素材

理論研究、実験研究共に盛ん、 基礎研究、応用研究に興味深い

(a)スピン液体状態

(c)カイラリティ起源の物性

S1

S2

S3

|Ks|=体積V

S2 S3S1

)( 321 SSS sK

13322133

2SSSSSSK v

パイロクロア構造

面心立法格子三角格子

カゴメ（籠目）格子

●一次元格子●二次元格子 ●三次元格子

ジグザグ鎖

デルタ鎖

三角格子をベースにしたフラストレーション系

頂点共有

頂点共有

頂点共有

辺共有

辺共有辺共有

頂点共有の方が辺共有よりボンド結合が少なく、量子揺らぎが大きい。

正方格子をベースにしたフラストレーション系square latticeLa2CuO4 etc

1/5 depletedCaV4O9

2D J1-J2 modelLi2(VO)SiO4, (CuCl)LaNb2O7

Shastry-SutherlandSrCu2(BO3)2 , Nd2BaZnO5

distorted triangular model

Checkerboard

フラストレーションなし

三角格子反強磁性体と強磁場磁場中の平衡状態は三つの部分格子スピンS1, S2, S3を用いて

この関係を満たすすべての状態が縮退する。

実際は量子揺らぎにより一つの状態が選ばれる。(order-by-disorder)

系の持つ磁気異方性も関係して様々な磁気構造を取りうる。

Yamamoto et al. (2014)

カイラリティ (Chrality)

)(33

2133221 SSSSSSκ

1

23

1

23

カイラリティベクトルk

は紙面に向かう方向カイラリティベクトルk

は紙面から手前の方向

S1=S2=S3=1 k=1