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第124回日本循環器学会北海道地方会 第124回日本循環器学会北海道地方会 (第100回北海道医学大会 循環器分科会) (第100回北海道医学大会 循環器分科会) 令和2年 12月 19日 (土) 10 : 00~16 : 30 札幌医科大学 教育研究棟Ⅰ (札幌市中央区南1条西17丁目 TEL : 011-611-2111) 札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 教授 三浦 哲嗣 ■共催セミナー1 (12 : 10~13 : 00) 長 : 丹野 雅也 先生 (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 准教授) 「心腎障害合併高尿酸血症 治療のアップデート : XO阻害薬の功と罰」 鳥取大学医学部 ゲノム再生医療学講座再生医療学分野 教授 久留 一郎 先生 (共催 : 帝人ファーマ株式会社) ■共催セミナー2 (12 : 10~13 : 00) 長 : 矢野 俊之 先生 (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科 講師) 「新しい心不全治療」 医療法人 王子総合病院 循環器内科 副院長 三木 隆幸 先生 (共催 : 大塚製薬株式会社) ■教育セッションI (13 : 00~14 : 00) 長 : 三浦 哲嗣 先生 (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 教授) 「本邦から発信してきた心臓核医学イメージングのEBM : 虚血性心臓病 ・ 心不全の多施設共同研究20年の歩みから」 社会福祉法人 函館厚生函館五稜郭病院 循環器内科 病院長 中田 智明 先生 ■教育セッションII (14 : 00~15 : 00) 長 : 川原田 修義 先生 (札幌医科大学医学部 心臓血管外科学講座 教授) 「北海道における心移植及び補助人工心臓治療 ―これまでの、 そしてこれからの10年を考えるー」 北海道大学大学院 医学研究院 循環器 ・ 呼吸器外科学教室 講師 大岡 智学 先生

第124回日本循環器学会北海道地方会第124回日本循環器学会北海道地方会 (第100回北海道医学大会 循環器分科会) 日 時 : 令和2年 12月

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  • 第124回日本循環器学会北海道地方会第124回日本循環器学会北海道地方会

    (第100回北海道医学大会 循環器分科会)(第100回北海道医学大会 循環器分科会)

    日 時  : 令和2年 12月 19日 (土) 10 : 00~16 : 30 

    会 場  : 札幌医科大学 教育研究棟Ⅰ (札幌市中央区南1条西17丁目 TEL : 011-611-2111)

    会 長  : 札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 教授 三浦 哲嗣

    ■共催セミナー1 (12 : 10~13 : 00)

       座 長 : 丹野 雅也 先生

    (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 准教授)

    「心腎障害合併高尿酸血症 治療のアップデート : XO阻害薬の功と罰」

    鳥取大学医学部 ゲノム再生医療学講座再生医療学分野

    教授 久留 一郎 先生

    (共催 : 帝人ファーマ株式会社)

    ■共催セミナー2 (12 : 10~13 : 00)

    座 長 : 矢野 俊之 先生

    (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科 講師)

    「新しい心不全治療」

    医療法人 王子総合病院 循環器内科

    副院長 三木 隆幸 先生

    (共催 : 大塚製薬株式会社)

    ■教育セッションI (13 : 00~14 : 00)

       座 長 :  三浦 哲嗣 先生

    (札幌医科大学医学部 循環器 ・ 腎臓 ・ 代謝内分泌内科学講座 教授)

    「本邦から発信してきた心臓核医学イメージングのEBM :

    虚血性心臓病 ・ 心不全の多施設共同研究20年の歩みから」

    社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院 循環器内科

    病院長 中田 智明 先生

    ■教育セッションII (14 : 00~15 : 00)

       座 長 : 川原田 修義 先生

    (札幌医科大学医学部 心臓血管外科学講座 教授)

    「北海道における心移植及び補助人工心臓治療 

    ―これまでの、 そしてこれからの10年を考えるー」

    北海道大学大学院 医学研究院 循環器 ・ 呼吸器外科学教室

    講師 大岡 智学 先生

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    (準備 2分)(準備 2分)

    発表時間 : 5分発表時間 : 5分

    討論時間 : 2分討論時間 : 2分

    COVID-19 感染拡大に伴い、今回は完全オンライン開催とさせていただきますCOVID-19 感染拡大に伴い、今回は完全オンライン開催とさせていただきます

    ●発表データを発表データを音声付 mp4音声付 mp4 ファイルとしていただき、事前に提出していただきます事前に提出していただきます。

    ※音声付発表データをオンライン上で放映し、発表終了後にオンライン上で質疑応答を行います。

    ※前のセッションが終了次第、一旦、地方会 Zoom ウェビナーを退室いただき、事務局から配信された

    招待メールに記載されている ここをクリックして参加ここをクリックして参加 から再度ログインをお願いします。招待メー

    ルからログインいただくことでパネリスト(発表者側)として入室できます。

    ログイン時にメールアドレスの入力を求められた場合、招待メールを受信されたメールアドレスを

      ご入力ください。他のメールアドレスの場合、パネリストとして入室できません。

    ※発表したセッションが終了次第、ウェビナー(パネリスト)から退室いただき、再度視聴用ウェビナー

    へログインいただくことで、地方会を視聴できます。

    ●音声付 mp4 ファイルをご用意いただくのが難しい場合のみ、パワーポイントのスライドの事前提出を認

    めます。

    ※当日主催者側でスライド操作をさせていただきます。

    ※スライド操作を簡略化するため、アニメーションの使用はお控えください。

    ●いずれの場合でもファイルの事前提出は 12 月 12日(土)までとさせていただきます。

    ●ご使用される PC で、Zoom の音声ミュートやビデオ(カメラ)のオン・オフ操作が可能ですが、事務局

    側で切替を行う場合がございますので予めご了承ください。

    ●質疑応答の際には、マイク付きイヤフォンまたはヘッドセット等の使用を推奨します。PC内蔵のマイ

    クを使用した場合、周辺ノイズを拾いやすくなり、視聴者が音声を聞き取りにくい場合があります。

    ファイルの作成、提出方法について

    ●パワーポイントファイルの音声追加、mp4 ファイルへの変換

     Microsoft サポート(https://support.microsoft.com/ja-jp)にアクセスし、

     「何かお手伝いできることがありますか?」と記載のあるボックスに

     “PowerPoint プレゼンテーションの音声の追加または削除” と入力して検索

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    Windows または Mac を選択し、指示に従ってオーディオ(口演)を録音してください。

    次に、同様に“プレゼンテーションをビデオに変換する” と入力して検索

    指示に従ってファイル形式を mp4 としてエクスポートし、mp4 ファイルを作成してください。

    ● mp4 ファイルやパワーポイントファイルの提出

      大容量ファイル転送サービス(https://www.tenpu.me/upload)を使用します。

    (1) ログインの必要はございません。左上の + select fi le をクリックしてアップロードするファイルを選

    択する、またはファイルを直接ブラウザ上にドラッグアンドドロップする。

    (2) + select fi le の下の From のところにご自身の E メールアドレスを入力(これによりアップロード確

    認のメールがご自身に届きます)。パスワードは不要です。

    (3) その下の tenpu というボタンをクリックする。

    (4)「tenpu 完了しました !」というメッセージがでる。アップロードファイルが格納されている Link が

    その下にでるので、コピーボタンをクリックする。

    (5) 事務局([email protected])にメールを作成し、本文に先ほどの Link をペーストする。

    メールの件名は「第 124 回北海道地方会発表ファイル・発表者のフルネーム」としてください。メー

    ルを送付していただかなければ事務局側でファイルにアクセスはできませんので、必ずアップロード

      後すぐにメールしてください。

    (6) ご自身のメールアドレスにアップロード完了の通知メールが届きますのでご確認ください。

    ❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖     座長の皆様へ座長の皆様へ  ❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖

    ●ご自身の PC を使用して司会進行、質疑応答をお願いいたします。

    ※前のセッションが終了次第、一旦、地方会 Zoom ウェビナーを退室いただき、事務局から配信された

    招待メールに記載されている ここをクリックして参加ここをクリックして参加 から再度ログインをお願いします。招待メー

    ルからログインいただくことでパネリスト(発表者側)として入室できます。

    ログイン時にメールアドレスの入力を求められた場合、招待メールを受信されたメールアドレスを

      ご入力ください。他のメールアドレスの場合、パネリストとして入室できません。

    ※ご担当のセッションが終了次第、ウェビナー(パネリスト)から退室いただき、再度視聴用ウェビナー

    へログインいただくことで、地方会を視聴できます。

    ●ご使用される PC で、Zoom の音声ミュートやビデオ(カメラ)のオン・オフ操作が可能ですが、事務局

    側で切替を行う場合がございますので予めご了承ください。

    ●質疑応答の際には、マイク付きイヤフォンまたはヘッドセット等の使用を推奨します。PC内蔵のマイ

    クを使用した場合、周辺ノイズを拾いやすくなり、視聴者が音声を聞き取りにくい場合があります。

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    01 トシリズマブの追加投与にて改善した心不全合併多中

    心性 Castleman 病の一例

    1 市立札幌病院 循環器内科 , 2 市立札幌病院 リウマチ・

    免疫内科

    藤田 大輝 1, 鈴木 理穂 1, 鳥羽 真弘 1, 浅川 響子 1,

    浅川 直也 1, 村井 大輔 1, 檀浦 裕 1, 濱口 早苗 1,

    牧野 隆雄 1, 横式 尚司 1, 片岡 浩 2, 向井 正也 2

    【症例】21歳、 女性【主訴】全身倦怠感、 立ちくらみ

    【現病歴】1年前より上記主訴を自覚し、精査目的にリウマ

    チ内科へ入院となった。各種検査によりCastleman 病 (CD)

    と診断され、ステロイド内服投与を開始した。その後息切

    れを認め胸部 X線でも心拡大と肺うっ血像を認めたため当

    科へ紹介となった。左室駆出率低下 (EF19%)を認め、CDに

    関連した心筋症を疑って経口利尿剤と血管拡張薬を開始し

    た。その後も炎症反応は高値で推移し、心不全徴候の改善

    も乏しく、ステロイド抵抗性と判断されてトシリズマブ静

    脈内投与を開始した。その後 CD の病勢は沈静化し、心機

    能も EF40% まで改善した。

    【考察】 CD に心不全が合併した症例は我々の検索範囲で 7

    例あるのみであった。その機序はいまだ不明であり、若干

    の文献的考察を加えて報告する。

    02 心原性ショックを合併したたこつぼ型心筋症に対す

    る IMPELLA® の有用性

    1 社会医療法人 母恋 天使病院 , 2 札幌医科大学医学部

    循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座

    馬場 周平 1,2, 西川 諒 2, 大和田 渉 2, 岸上 直広 2,

    高橋 遼 2, 中田 潤 2, 永野 伸卓 2, 神津 英至 2,

    小山 雅之 2, 村中 敦子 2, 國分 宣明 2, 矢野俊之 2,

    三浦 哲嗣 2

    症例は 70歳台女性。自宅で体動困難となり、当院高度救命

    救急センターに搬入となった。脈拍触知不可、心拍数 136

    回/分の洞性頻脈、血中乳酸値 142mg/dlであった。心エコー

    図検査上、心尖部が広範に無収縮を呈し、心原性ショック

    と考えられた。緊急の冠動脈造影検査で冠動脈に有意狭窄

    は認めず、左室造影検査の結果から、たこつぼ型心筋症と

    診断した。ショックが遷延していたため、IMPELLA® による

    循環補助を開始した。経過とともに心機能は改善し、第 5

    病日に IMPELLA® を離脱。リハビリ目的に第 16 病日に転院

    となった。心原性ショックを合併したたこつぼ型心筋症で

    は、カテコラミンの使用が制限されるが、その中において

    IMPELLA® による循環補助は、有効な治療選択肢と考えられ

    る。他 2症例の使用経験も交えて報告する。

    03 狭心症との鑑別を要した心アミロイドーシスの一例

    1 旭川医科大学病院 卒後臨床研修センター , 2 旭川医科

    大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野

    松井 拓郎 1, 本谷 光咲子 2, 尾野 稔侑 2, 北川 拓 2,

    木谷 祐也 2, 伊達 歩 2, 山内 敦司 2, 蓑島 暁帆 2,

    坂本 央 2, 田邊 康子 2, 竹内 利治 2, 長谷部 直幸 2

    症例は 70 歳代男性。労作時胸痛のため当科を受診。運動

    負荷試験で ST 低下を認めたため労作性狭心症が疑われ当

    科に入院。冠動脈造影では左前下行枝 #8に 75% 狭窄を認

    めるのみであり、負荷 TL 心筋 SPECT では心筋虚血を認め

    ず、アセチルコリン負荷試験を行ったが冠攣縮は誘発され

    なかった。以上より冠微小循環障害の可能性を考え、薬物

    治療にて外来フォローとした。しかし 2か月後の外来受診

    時に無症状ながら ST 低下と CK-MB の上昇、心エコーでの

    Asynergy を認め、急性冠症候群を疑い再入院。しかし冠動

    脈造影では前回と著変なかった。心筋疾患の鑑別のため、

    血清学的検査、MRI、FDG-PET などを行い、最終的に心筋生

    検を実施し、ALアミロイドーシスの診断となった。アミロ

    イドーシスによる冠微小循環障害の関与が示唆された症例

    を経験したため報告する。

    04 当科における sutureless valve 使用 3例の経験

    旭川医科大学 外科学講座 心臓大血管外科学分野

    伊佐 秀貴 , 成田 昌彦 , 大久保 諒 , 柴垣 圭佑 ,

    竹吉 大輔 , 國岡 信吾 , 菊池 悠太 , 若林 尚宏 ,

    白坂 知識 , 石川 成津矢 , 紙谷 寛之

    大動脈弁置換術 (AVR) の低侵襲化が期待されている

    sutureless valve だが、使用した 3症例でいくつかの合併

    症を経験したので報告する。【症例】3症例とも 70 歳代の

    女性。 1例は RAT approach MICS、他 2例は胸骨正中切開

    を選択した。生体弁は MICS 症例では Perceval を、他 2例

    では Intuity Elite を使用した。MICS 症例では当初 Sサイ

    ズを圧着したが minor leak を認め、Mサイズを再度留置し

    た。その他 2例のうち 1例でも同様に leak を認めたが、再

    置換に伴うriskを考慮し手術を終了した。同症例では術後

    junctional rhythm を認めた。最後の症例では術中合併症

    は認めなかったものの、術後翌日に一過性の AV block を認

    めた。心停止 時間はそれぞれ39分、2時間6分、48分であっ

    た。【考察】sutureless valve は AVR の低侵襲化に寄与す

    るが、合併症を考慮し慎重に適応を検討すべきである。

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    05 左閉塞性膝窩動脈瘤に対して ,EVT を施行した一例

    市立函館病院 心臓血管外科

    山口谷 健 , 新垣 正美 , 保坂 到 , 石川 和徳 ,

    森下 清文

    症例は肺癌および悪性リンパ腫の既往がある65歳男性。10

    年程前から左膝窩に無痛性皮下腫瘤を自覚していた。1年

    前から左膝屈曲時の違和感と間欠性跛行を認め、精査の結

    果最大短径 40mm の左閉塞性膝窩動脈瘤と診断した。バイ

    パス手術を勧めたが、患者は現在肺癌にて抗癌剤治療中で

    あると共に、仕事の都合で早期退院を強く希望されたため

    EVTを選択した。順行性総大腿動脈穿刺でアプローチ、6Fr

    parent,GOGO カテーテル下に IVUS で進め、順行性に P3 の

    真腔へ抜けた。中枢から ELUVIA+VIABAHN を留置し、末梢

    塞栓は認めず末梢血流も良好なことを確認した。術翌日か

    ら左下肢痛は軽減し、歩行距離の延長を認めた。術後 2日

    目にて ABI 良好なことを確認し退院とした。閉塞性膝窩動

    脈瘤に対する EVT により良好な成績を得られた一例を経験

    したので報告する。

    06 たこつぼ型心筋症 (たこつぼ症候群 )に心室中隔穿孔

    を合併した一例

    1 旭川赤十字病院 循環器内科, 2 旭川赤十字病院 腎臓内科

    柏柳 杏美 1, 飛澤 利之 1, 増田 拳 1, 岸上 直広 1,

    井垣 勇祐 1, 野澤 幸永 1, 西宮 孝敏 1, 西原 昌宏 1,

    山岸 優雅 2

    症例 : 90 代 女性

    主訴 :全身倦怠感 現病歴 :X 年 Y月、食思不振、全身倦怠

    感を主訴に近医へ救急搬送。心電図上非特異的広範囲な ST

    上昇、心筋逸脱酵素の上昇を認め、ACS 疑いで当院救命セ

    ンターへ転院搬送となった。入院後経過 :緊急 CAG 施行。

    結果、冠動脈に器質的有意狭窄は認めず、左室造影検査を

    施行し、たこつぼ型心筋症と判断したが、左心室より右心

    室への造影剤の流出を認め、心室中隔穿孔を確認した。た

    こつぼ型心筋症に心室中隔穿孔を合併したと判断した。CCU

    にて集学的治療を施したが、血行動態の維持は困難であり、

    徐々に多臓器不全像を呈し、第 2病日に永眠された。結語 :

    たこつぼ型心筋症は比較的予後良好な疾患であるが、救命

    し得なかった心室中隔穿孔を合併したたこつぼ型心筋症の

    一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。

    07 胃空腸吻合術後の吸収障害が原因と思われる脚気心に

    よりうっ血性心不全をきたした一例

    北海道大学病院 循環器内科

    髙橋 昌寛 , 小西 崇夫 , 鎌田 塁 , 齋院 康平 ,

    夏井 宏征 , 岩野 弘幸 , 永井 利幸 , 安斉 俊久

    症例は 65歳男性。Crohn 病に対する胃空腸吻合術後で当院

    消化器内科に通院中。X年 6月より下腿浮腫を自覚し、7月

    某日に息切れを主訴に当院に救急搬送された。胸部 X線写

    真で肺うっ血および心拡大を認め、心エコー検査で壁運動

    亢進、心係数 6.3L/min/m2 であったため高拍出性うっ血性

    心不全と診断した。血液検査所見などから脚気心を疑い、

    フロセミド静注に加えチアミン補充を開始した。第 2病日

    の心エコー検査では心係数 3.9L/min/m2 まで改善を認めた。

    第 7病日にはフロセミド投与も終了とし、第 14 病日に退院

    となった。胃空腸吻合術後のビタミン B1吸収障害による脚

    気心の一例を経験した。高拍出性心不全を認めた際に脚気

    心を鑑別に上げることは重要であり、文献的考察を含めて

    報告する。

    08 急性大動脈解離に分枝閉塞ではない急性冠症候群を合

    併し、早期診断に至らなかった一例

    市立千歳市民病院 循環器科

    三田 明音 , 池田 大輔 , 山中 康也 , 小岩 弘明 ,

    竹内 剛

    48 歳男性。突然の背部痛のため当院救急搬送となった。心

    電図で I・aVL 誘導で ST 低下、V2-6 誘導で陰性 T波を認め、

    心エコーで左室前壁中隔の壁運動低下を認めた。緊急冠動

    脈造影で #7 99%(TIMI3) 狭窄を認め、冠動脈ステント留置

    を行った。ステント留置後に背部痛は消失し第 2病日退院。

    第3病日に背部痛が再発したため当院救急外来を受診した。

    胸腹部造影 CT で上行大動脈から総腸骨動脈分岐部までの

    Stanford A 型急性大動脈解離 (偽腔閉塞型 )を認め、解離

    腔は大動脈基部には及んでいなかった。加療のため札幌市

    内の病院へ転院搬送となった。本症例は経過から第 1病日

    に大動脈解離を合併していたと推測されるが、分枝閉塞症

    候群とは異なる機序での急性冠症候群であったため、大動

    脈解離に気づき得なかった。教訓的かつ興味深い症例と考

    え、報告する。

  • ―1 6―

    09 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に合併したCOVID-19の一例

    札幌医科大学医学部 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座

    箱崎 頌平 , 小山 雅之 , 西川 諒 , 大和田 渉 ,

    永野 伸卓 , 神津 英至 , 村中 敦子 , 矢野 俊之 ,

    丹野 雅也 , 橋本 暁佳 , 三浦 哲嗣

    【症例】60代女性

    【現病歴】X-3 年 胸苦を主訴に前医へ紹介入院となり、慢

    性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)急性増悪の診断にて DOAC

    が導入された。一時軽快するも、再増悪し当科紹介となった。

    右心カテーテル検査では平均肺動脈圧 29 mmHg であり、HOT

    と肺血管拡張薬による保存加療とした。X年 Y月より微熱・

    倦怠感を認め、近医を受診した。胸部 CT では両側すりガ

    ラス陰影と左方移動を伴う WBC 上昇を認め、抗生剤が開始

    された。COVID-19 PCR 検査の陽性が判明し、翌日当院へ転

    院となった。ファビピラビル開始後、2回の PCR 陰性確認

    を経て退院となった。 【考察】CTEPHと COVID-19 の合併例

    は稀有であるが、多数の血栓症の報告があり注意を要する。

    特に CT上、前者は mosaic、後者は crazy paving パター

    ンを呈するとされるが、両者の鑑別は時に困難となる。

    10 ペースメーカー植込み術後慢性期に閾値変動による

    ペーシング不全のため失神した 1例

    製鉄記念室蘭病院 循環器内科

    大屋 研一 , 柴田 智 , 水野 雅司 , 岡崎 雄介 ,

    高田 明典 , 中村 祐一 , 高橋 弘 , 福岡 将匡 ,

    松木 高雪

    症例は 78歳男性。X-8 年に完全房室ブロックに対してペー

    スメーカ植込み術 (PMI)を施行した。X 年某日に失神のた

    め救急搬送となり、完全房室ブロックとペーシング不全に

    より HR20 台であったため体外式ペースメーカを挿入した。

    ペースメーカ検査では DDD60bpm で電池残量・閾値・リー

    ド抵抗に異常なく、イベント記録もなかった。心電図モニ

    ターで観察するとペーシング不全が散在した状態であり、

    繰り返しの検査で閾値に日内変動が確認された。Capture

    Management により出力が 1.5V に自動設定されており、閾

    値が上昇した際にペーシング不全となっていた。出力を

    4.0V に固定するとペーシング不全が改善した。PMI 後慢性

    期の無症候例であっても閾値に日内変動がみられることが

    報告されており、PMI 後の失神ではペースメーカ不全も鑑

    別に入れる必要がある。

    11 左上大静脈遺残および右上大静脈欠損を認め、リード

    レスペースメーカー植込みを行った 1例

    北見赤十字病院

    小野 太祐 , 徳原 教 , 勝山 亮一 , 下野 裕依 ,

    島野 金太郎 , 水田 隆誠 , 斉藤 高彦

    症例は、80歳台、女性。脳梗塞により入院した際に高度の

    洞性徐脈を認め、一時的ペースメーカー挿入を行った。右

    内頚静脈からの挿入を試みたが、ガイドワイヤーが進ま

    ず、造影を行ったところ、左大静脈遺残 (PLSVC) および右

    上大静脈欠損を認めたため、大腿静脈から挿入した。入院

    後もしばしば洞停止となり、ふらつきの自覚症状も認めた

    ため、恒久的ペースメーカー植込み術の適応と判断した。

    PLSVC はその走行異常から従来の心内リード留置型ペース

    メーカーでは留置が困難なことが多いため、リードレスペー

    スメーカーを選択した。今回、リードレスペースメーカー

    を選択することによって、容易かつ短時間での留置ができ、

    有用であったため報告する。

    12 当院で行ったリードレスペースメーカー症例の検討

    北見赤十字病院

    小野 太祐 , 徳原 教 , 勝山 亮一 , 下野 裕依 ,

    島野 金太郎 , 水田 隆誠 , 斉藤 高彦

    従来のペースメーカーの欠点として、皮下ポケットに起因

    する感染や血腫、経静脈リードに起因するリードの断線や

    脱落、 三尖弁逆流などの合併症があげられる。リードレス

    ペースメーカーはデバイス本体のみを心内に留置すること

    が可能なシステムで、ポケットやリードの存在に伴うトラ

    ブルが無い。構造上 VVI ペーシングが適応となる徐脈性

    心房細動が最も良い適応であるが、ペーシング頻度の低い

    症例においても適応となる。ペースメーカー感染をきたし

    た症例や認知症で安静を保持できない症例なども適してい

    る。当院では 2019 年 4月から植込みを開始し、現在までに

    28例の植込みをおこなった。約 20% が徐脈性心房細動、約

    70% が洞不全症候群、約 10% が房室ブロックであった。植

    え込みに関連する主要な合併症はなかった。当院における

    初期成績を報告する。

  • ―1 7―

    13 メイズ術後の心房性不整脈に対してカテーテルアブ

    レーション治療を行った 3例

    公益社団法人 北海道勤労者医療協会 勤医協中央病院

    原田 裕輔 , 南田 大朗 , 山川 智士

    2012 年~ 2019 年において、当院にて弁膜症手術や冠動脈

    バイパス術に併施した高周波アブレーションデバイスを用

    いたメイズ手術 21 例 ( 男性 13 例、女性 8 例 )であった。

    心房細動の分類は慢性心房細動 19 例、発作性心房細動が

    2例であった。術後洞調律復帰例は 19例で、心房細動持続

    例は 2例であった。復帰例のうち 3例で遠隔期に心房性不

    整脈の再発を認めた。心房性不整脈を再発したいずれの症

    例もカテーテルアブレーションを実施して洞調律へと復帰

    した。術後不整脈の再発原因と術式に関して文献的考察を

    加えて報告する。

    14 心房細動アブレーションにおける全身麻酔・筋弛緩薬

    の有用性

    医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック

    循環器内科

    北井 敬之 , 渡邉 智彦 , 森田 純次 , 藤田 勉

    【背景と目的】心房細動 (AF)アブレーション時に全身麻酔

    を導入している施設は近年増えてきている。全身麻酔への

    筋弛緩薬追加の有用性に関する報告は少ないため評価・検

    討を行なった。【方法】2019 年 1 月から 2020 年 8 月まで

    に肺静脈隔離のみ施行した連続 88 症例 (平均 64 歳、男性

    64%)について手技時間、入退室時、First pass isolation

    率について筋弛緩使用群 (Group A : n=28),筋弛緩薬不

    使用群 (Group B : n=60) の 2 群間解析を行った。【結果】

    手技時間は Group A で有意に短く( A : 83 分 vs. B : 70

    分, p=0.003)、入退室時間 ( A : 116 分 vs. B: 120 分,

    p=0.332)、First pass isolation 率 ( A : LPV 89%,RPV

    86% vs. B : LPV 82%,RPV 83%)は両群間に差を認めなかっ

    た。【結語】AF アブレーション麻酔時の筋弛緩薬の使用は

    手技時間を短縮させうる。

    15 成人期の修正大血管転位症に合併した高度三尖弁閉鎖

    不全症に対する全腱索温存三尖弁置換術の一例

    北海道大学病院 循環器・呼吸器外科

    鍋島 龍一 , 石垣 隆弘 , 加藤 信康 , 若狭 哲

    成人期修正大血管転位症 (cTGA)の三尖弁閉鎖不全症 (TR)

    に対する三尖弁置換術 (TVR)は、右室駆出率 (RVEF)が 40%

    以下の症例で、術後右室機能の改善が乏しく成績が不良と

    の報告が多い。今回、低右室機能 cTGA 症例に全腱索を温

    存した TVR を施行したので報告する。症例は 40 代男性。

    乳児期に{S,L,L} cTGA の診断を受けたが、その他の心内奇

    形の合併はなく他院外来で経過観察されていた。しかし心

    エコーで高度の TRを呈し、拡張末期右室径 (RVDd)が 76mm

    と拡大し、RVEF が 32% と低下を認めたため手術となった。

    高度の TRに対して全腱索を温存した機械弁置換を行った。

    術後合併症なく退院した。半年後の心エコーで RVEF は 39%

    と低下なく、RVDd は 70mm に縮小した。良好な早期成績を

    得られたが、右室機能不良であり今後も注意深い観察が必

    要である。

    16 Low fl ow Low gradient severe AS による慢性心不全代

    償破綻患者に対して、準緊急 TAVIを実施した 1例

    市立函館病院 循環器内科

    齋藤 翔太 , 安井 悠太郎 , 甲谷 次郎 , 宜保 浩之 ,

    徳田 裕輔

    70 代男性。呼吸困難を主訴に救急外来へ搬入され、多臓

    器不全の診断で救急科入院となった。集学的加療が実施さ

    れるも、約 1週間後に心肺停止を来たした。蘇生を得られ

    るも、重症心不全が指摘され当科転科となった。UCG 上は

    EF20%、 AVA1.83cm2、Vmax2.3m/s、AR3、MR3 の所見であり、

    Low Flow Low Gradient severe AS の可能性が示唆された。

    カテコラミン、IABP から離脱できず、BAV を実施し AS を

    解除して反応を見る方針とした。BAV 後、一時的に心不全

    は改善を認めたが、1週間程度の経過で再増悪した。re-

    coil や AR 増悪に伴う心不全徴候の顕在化と考え、TAVI を

    実施した(Sapien3 29mm +4cc)。弁留置により造影、TEE 共

    に AR1まで改善し、その後は速やかに心不全代償化を得た。

    重症心不全、代償破綻の状況下での準緊急 TAVI 実施の 1

    例として報告する。

  • ―1 8―

    17 大動脈二尖弁による重症大動脈弁狭窄症に対して経カ

    テーテル的大動脈弁留置術を施行した一例

    北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室

    内藤 正一郎 , 辻永 真吾 , 青柳 裕之 , 高橋 勇樹 ,

    佐藤 琢真 , 小林 雄太 , 神谷 究 , 岩野 弘幸 ,

    永井 利幸 , 安斉 俊久

    症例は 79 歳の男性。3週間前より動悸と息切れを自覚し、

    前医で発作性心房細動と大動脈弁狭窄症 (AS)を指摘され、

    当科に紹介となった。経胸壁心エコー検査で、大動脈弁最

    大血流速度 5.1m/s、平均圧較差 58mmHg、弁口面積 ( 連続

    の式 )0.72cm2 の重症 ASを認め、中等度の大動脈弁逆流を

    伴い、左室駆出率は 66% であった。経食道心エコー及び CT

    検査では、 右冠尖と無冠尖が癒合した左右型の大動脈二尖

    弁で、raphe は認めず、上行大動脈最大短径は 46mmと拡大

    していた。手術リスクは低かったが、患者の希望もあり、

    経カテーテル的大動脈弁留置術 (TAVI)を行い、大腿動脈

    アプローチで Evolut R 34mm を留置し、弁周囲逆流は軽度

    だった。術後経過良好で退院した。近年、二尖弁 ASに対

    する TAVI の有効性のエビデンスが蓄積されつつあり、文献

    的考察を交え報告する。

    18 MICS 手術における AtriClip Pro を用いた左心耳切除

    術の手術成績

    旭川医科大学 外科学講座 心臓大血管外科学分野

    白坂 知識 , 柴垣 圭佑 , 大久保 諒 , 竹吉 大輔 ,

    國岡 信吾 , 菊池 悠太 , 若林 尚宏 , 石川 成津矢 ,

    紙谷 寛之

    背景 :右小切開下で MICS 手術を行う際に外科的に左心耳

    にアクセスしこれを切除するのは容易ではない。その際、

    シャフトの長い左心耳クリップを用いるのは他の手段に比

    し合理的と考える。方法 : 6 人の心房細動既往のある僧帽

    弁疾患を有する患者に MICS 手術を施行した際、AtriClip

    Pro を用いた左心耳切除術を施行した。一次エンドポイン

    トをデバイス関連合併症とし、手技の成功は退院時の経胸

    壁心エコーで左心耳内血流がないこと、と定義した。

    結果 :全例で左心耳切除術を完遂した。手術での人工心肺

    時間は 213 ± 53 分、心停止時間は 136 ± 44 分であっ

    た。デバイス関連合併症は無く、術後脳梗塞例も認めてい

    なかった。

    結論 : MICS 手術における AtriClip Pro による左心耳切除

    術は簡便かつ安全な手法で有効であった。

    19 CABG 後の ischemic MR に対する心拍動下完全内視鏡下

    MICS MVR の一例

    医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院 心臓血管外科

    上田 高士 , 畑中 憲行 , 山田 広幸 , 古賀 智典

    症例は 50 歳、男性。2015 年、4-OPCAB(LITA-LAD, RITA-

    OM, Ao-SVG-4PD-4AV)を施行した。心筋梗塞は無く、バイ

    パスは全て開存していたが、心機能の低下と僧帽弁閉鎖

    不全が増悪し、うっ血性心不全が出現するようになった。

    LVDd 63.6mm, LVEF 0.20, moderate-severe の tether MR

    を認めた。経皮的僧帽弁接合不全修復術 (Mitra clip)を

    行ったが、うっ血性心不全、前尖の裂創による僧帽弁逆流

    を認め、外科手術の適応となった。三次元胸腔鏡による完

    全内視鏡下 MICS MVR を人工心肺装置使用、心拍動下に行っ

    た。心嚢内の剥離は右側左房周辺のみ行い、ルートベント

    は使用しなかった。Mitra clip 把持部分の弁尖を切除、他

    は温存し MVR を行った。人工心肺からの離脱は容易で、脳

    合併症なく、良好に経過し軽快退院した。

    20 急性心筋梗塞後の機能性僧帽弁閉鎖不全症に対して

    MitraClip を施行した症例

    1 医療法人徳州会 札幌東徳州会病院 循環器内科 , 2 医療

    法人徳州会 札幌東徳州会病院 整形外科外傷センター麻酔

    部門 , 3 医療法人徳州会 札幌東徳州会病院 心臓血管外科

    棒田 浩基 1, 谷 友之 1, 山崎 誠治 1, 三澤 学 2,

    上田 高士 3

    2018 年 4 月より僧帽弁閉鎖不全症に対する MitraClip に保

    険適応が得られ、現在では EF20% 以上、3度以上の僧帽弁

    閉鎖不全症に対してその適応が拡大となった。特に心不全

    治療としての位置付けが重要視されており、今回、心筋梗

    塞後の低左心機能に機能性僧帽弁閉鎖不全症を合併、心不

    全治療に難渋したが、MitraClip を施行することで良好な

    転機となった症例を経験したため文献的考察を含め症例発

    表とする。

  • ―1 9―

    21 全身麻酔困難症例に対して、局所麻酔下で zenith α

    abdominal を用いて経皮的 EVAR 施行した一例

    札幌医科大学医学部 心臓血管外科学講座

    柴田 豪 , 中西 敬太郎 , 三上 拓真 , 安田 尚美 ,

    中島 智博 , 原田 亮 , 奈良岡 秀一 , 鎌田 武 ,

    道井 洋吏 , 川原田 修義

    【はじめに】通常 EVAR は全身麻酔下で鼠径切開を必要と

    する。今回 COPD にて HOT 導入中のため全身麻酔困難な症

    例に対して、局所麻酔下で Low profi le 化した zenith α

    abdominal を用いることで経皮的 EVAR 施行した一例を経験

    したので報告する。

    【症例】74 歳男性、肺癌にて化学療法中。以前より認めて

    いた AAA/ 右 CIAA/ 右 IAAA が拡大傾向であった。COPD にて

    HOT導入中のため局所麻酔での経皮的EVARの方針となった。

    【血管内治療】プレセデックス +局所麻酔で手術開始した。

    perclose 使用し経皮的に EVAR+ 右 IIAcoiling を施行した。

    endoleak は発生しなかった。術後合併症なく経過し自宅退

    院された。

    【結論】Low profi le 化した zenith α abdominal を用い、

    安全に経皮的 EVAR を施行できた。全身麻酔困難症例に対

    し有効な方法と考えられる。

    22 cTAG 中枢ラッピング除去法の 1例

    市立函館病院 心臓血管外科

    新垣 正美

    症例は 81 歳男性。弓部大動脈瘤が拡大傾向であったため

    TEVAR の方針とした。中枢ランディングの長さは zone1 で

    も15mmと短かったためcTAGのラッピング除去法でランディ

    ングを稼ぐ方針とした。左鎖骨下にペースメーカーが入っ

    ていたため右腋窩 -左総頸動脈のバイパスのみとし左鎖骨

    下動脈は単純閉鎖とした。cTAG の中枢ラッピングをメスで

    除去、直径 40mm の TAG であったためラッピング部位は 6mm

    あり、同部位をメスで丁寧に除去した。デバイスのデリバ

    リーは問題なく、rapid pacing 下に cTAG を zone1 に正確

    に留置した。手術時間 188 分、合併症なくICU に帰室した。

    術後造影 CTでエンドリークなし、術後 9日目に軽快退院と

    なった。今まで 3例に同様の治療をおこない良好な結果を

    得られている。中枢ランディングを稼ぐ有用な方法として

    供覧する。

    23 Zenith abdominal alpha による proximal neck 角の矯

    正が及ぼす影響の検討

    市立函館病院 心臓血管外科

    保坂 到 , 新垣 正美 , 石川 和徳 , 森下 清文

    【背景】Zenith abdominal alpha( 以下 alpha)留置後にネッ

    クが矯正される症例を多く経験するが、これについて検討

    した報告はない。 【方法】2020 年 2 月から同年 9 月まで

    に alpha を用いて EVAR を施行した 14 例が対象。腎動脈上

    方の大動脈長軸に対する角度をα、大動脈瘤長軸に対する

    角度をβとし術前後の proximal neck 角を計測した。 【結

    果】角度αは術前平均 23.0°から 12.6°へ減少 (p

  • ―2 0―

    25 植込型左室補助人工心臓装着時に難治性心室頻拍に対

    して心外膜アブレーションを施行した一例

    1 北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学教室 ,

    2 北海道大学大学院 医学研究院 循環器・呼吸器外科学教室,

    3 北光記念病院 循環器内科

    青柳 裕之 1, 辻永 真吾 1, 高橋 勇樹 1, 内藤 正一郎 1,

    佐藤 琢真 1, 渡邉 昌也 1, 佐野 文彦 3, 佐藤 公治 2,

    大岡 智学 2, 神谷 究 1, 岩野 弘 幸 1, 永井 利幸 1,

    若狭 哲 2, 安斉 俊久 1

    症例は拡張相肥大型心筋症を有する 60代女性。5年前に失

    神を伴う持続性心室頻拍 (VT)を認め、前医で植込型除細

    動器 (ICD) が留置された。半年前に VT storm による ICD

    適切作動を認め、左室下壁中部の最早期興奮部位に対し心

    内膜アブレーションが施行されたが、3ヵ月後に VT 再発を

    認めた。VTの起源は瘤化した左室心尖部後壁から下壁の心

    外膜側に存在することが疑われた。難治性 VTを伴う重症

    心不全のため、心移植適応検討目的に当院へ転院した。移

    植登録後に植込型左室補助人工心臓 (LVAD) の装着を予定

    したが、植込み後の VT 再発が懸念されたため、LVAD 装着

    時に開胸下で心外膜アブレーションを施行し、その後は VT

    の再発なく経過している。LVAD 植込み時に難治性 VTに対

    して心外膜アブレーションを施行した一例を経験したため、

    文献的考察を交え報告する。

    26 一過性の心室ペーシング不全をきたした心臓サルコイ

    ドーシスの 1例

    社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院 循環器内科

    大艸 孝則 , 長島 雅人 , 岩切 直樹 , 三山 博史 ,

    小熊 康教 , 長堀 亘 , 前野 大志 , 三浦 史郎 ,

    今井 斎博 , 呉林 英悟 , 中川 俊昭 , 山下 武廣

    症例 70 歳代女性 主訴痙攣発作。13 年前洞機能不全症に

    Dual chanber Pacemaker 植込み 痙攣、意識消失、ペーシ

    ング不全を認め当院に搬入。心拍40/分、間歇的に心室ペー

    シング不全あり。デバイスチェックを行うもリード問題な

    し、心室閾値 2V。出力を 5V にし帰宅。しかしその後も痙

    攣繰り返し翌日入院、心エコー EF 良好。入院後突然心室

    のペーシング不全から徐脈となり、痙攣、数秒で回復。体

    位変換など行いながらのデバイスチェックを複数回行った

    が問題は認めなかった。

    FDG PET-CT で縦隔リンパ節・心室中隔への集積を認め心臓

    サルコイドーシスと診断、現在ステロイド治療中。テレメ

    トリーでは診断できない一過性の心室ペーシング不全をき

    たしたケースは少ないため文献考察とともに発表する。

    27 Box Isolation 後の再伝導部位の同定に Coherent

    Mapping が有用であった持続性心房細動の一例

    1 JA 北海道厚生連 網走厚生病院 循環器内科 , 2 名寄市

    立総合病院 循環器内科 , 3 釧路三慈会病院 循環器内科 ,

    4 旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学

    分野

    渡辺 栞 1, 八巻 多 2, 今泉 孝敬 3, 中村 智晴 3,

    川村 祐一郎 4

    【背景】Coherent Mapping は整合性を持った Map Coloring

    と興奮伝播の Vector 表示により、心臓各所での伝導の

    方向と速さを細かく示すことが可能である。【現病歴】症

    例は心不全を発症した 54 歳男性。心電図は AF 波形であ

    り、LVEF30% とびまん性の壁運動低下と、左房・左室の著

    明な拡大を伴っていた。CAG では有意狭窄を認めず、心臓

    MRI、心筋生検の結果から拡張型心筋症と診断した。心房

    細動に対してカテーテルアブレーションを行う方針となり、

    Box isolation を施行した。隔離に難渋したため Coherent

    Mapping を使用したところ、左房後壁中央部から Box 内へ

    向かう伝導が確認され、同部位の通電にて後壁の電位は消

    失し Box isolation に成功した。【結語】隔離に難渋した症

    例の再伝導部位の同定に Coherent Mapping は精度が高く

    非常に有用である。

    28 ブロッケンブロー手技で停止する post MVR post PVI

    AT の 1例

    北斗病院 循環器内科

    遠田 賢治 , 沼崎 太 , 高橋 一泰 , 赤津 智也

    60 歳代女性。1981 年と 1994 年に MVR 施行。2015 年 AT が

    持続し EA 施行。PVI 及び CTIを行い ATは DCにて停止させ

    た。ATは再発し 2016 年 8月 2回目の EAを行った。ATは持

    続していたが、ブロッケンブローで停止。PVの残存電位と

    roof line 作製し、AT が誘発されず終了。その後も AT が

    再発し、2020年7月3回目のEAを行った。今回もATはブロッ

    ケンブローにて停止。ATを誘発し、LAの macro reentryと

    診断。Posterior と anterior の isthmus にて通電を行うも

    ATは停止せず。再び ATの mapping を行うと、LA のみでは

    reentry 周期を満たさず RA の mapping を追加。CSOS から

    心房中隔卵円窩を通過する経路を認め、RA LA 共に ATに関

    与していた。卵円窩近傍への通電にて AT は通電中に停止

    した。ブロッケンブローで 2回 ATが停止したのは、卵円窩

    近傍が AT回路上の一部であったためと考えた。

  • ―2 1―

    29 心房細動に対するカテーテルアブレーションにより胃

    蠕動障害を呈した一例

    1 札幌医科大学医学部 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学

    講座 , 2 札幌医科大学医学部 感染制御・臨床検査医学講座

    伊藤 良介 1, 藤戸 健史 1, 續 太郎 1, 神山 直之 1,

    望月 敦史 1, 永原 大五 2, 三浦 哲嗣 1

    70歳代、男性。持続性心房細動に対して高周波アブレーショ

    ン (RFA)による肺静脈・左房後壁隔離を施行。術翌日より

    腹部膨満感を認めた。術後 3日目に退院したが、嘔気・嘔

    吐のため退院後 3日目に外来受診。CTで胃拡張と大量食残

    を認め再入院となった。消化管閉塞機転なく、上部消化管

    内視鏡では胃蠕動運動が消失しており、RFA による食道自

    律神経障害に伴う胃蠕動障害と診断。絶飲食および薬物治

    療を開始し、術後 11日目に上部消化管造影検査で胃蠕動

    運動の改善を認め経腸栄養を開始、常食摂取可能となった

    術後 28日に退院した。RFA による重症胃蠕動障害・急性胃

    拡張は比較的稀な合併症であり、確立した予防法や治療法

    はない。本症例を契機に心腔内エコーによる食道 geometry

    の作成と位置の同定、より厳格な食道温モニターなど手技

    の見直しを行った。

    30 頻回の冠れん縮発作による心筋虚血が心臓 MRI T2 強

    調画像で捉えられた 1例

    1 北海道社会事業協会富良野病院 循環器内科 , 2 市立旭

    川病院 循環器内科 , 3 旭川医科大学 内科学講座 循環・

    呼吸・神経病態内科学分野

    伊與部 拳太 1, 名取 俊介 1, 野呂 忠孝 1, 中村 愛 2,

    小林 祐也 2, 菅野 貴康 2, 石井 良直 2, 長谷部 直幸 3

    60 歳女性。外来受診の 2週間ほど前からほぼ毎日就寝前や

    就寝中に数分間持続する安静時前胸部絞扼感が出現し、受

    診 2日前には就寝前に最大 30 分ほど持続したため外来受

    診。心電図では V1-4 で陰性 T 波を認めたが心筋逸脱酵素

    の上昇はなかった。冠攣縮性狭心症を疑い、心臓 MRI 検査

    を施行したところ T2 強調脂肪抑制画像で前壁に高信号領

    域を認めたが遅延造影は陰性であった。冠動脈 CT では左

    前下行枝に 75% 狭窄を疑う病変を認めた。以上から器質的

    狭窄病変に冠れん縮が関与していると考え、アセチルコリ

    ンによる冠動脈攣縮誘発試験を行ったところ狭窄部位に冠

    攣縮を認め 100% 閉塞となり胸痛も再現され冠攣縮性狭心

    症の診断となった。狭心症発作時の心電図変化をつかまえ

    られなかったが、心臓 MRIにて浮腫を認めて虚血を証明で

    きた興味深い 1例であった。

    31 心室重複破裂をきたした急性心筋梗塞の一例

    北見赤十字病院 循環器内科

    水田 隆誠 , 徳原 教 , 島野 金太郎 , 下野 裕依 ,

    勝山 亮一 , 小野 太祐 , 斉藤 高彦

    78 歳女性。約 7時間前からの胸痛を主訴として当院へ救急

    搬送された。来院時、聴診にて全収縮期雑音を聴取した。

    12 誘導心電図は V2,V3 誘導で ST 上昇、心エコー図では前

    壁中隔の壁運動異常、少量の心嚢液貯留を認めた。緊急

    冠動脈造影にて左冠動脈の亜閉塞を認め、冠動脈ステント

    の留置により良好な再灌流を得た。治療後、心雑音の成因

    と左室自由壁破裂の有無を評価する目的で左室造影を施行

    し、心室中隔破裂による右室と肺動脈の濃染を認めた。心

    嚢への造影剤漏出は認めなかったが、胸部 CTでは高 CT 値

    の心嚢液が確認され、自由壁破裂の合併も示唆された。緊

    急手術となり、心室中隔破裂に対するパッチ閉鎖術、自由

    壁破裂に対する左室修復術が施行された。心室重複破裂は

    急性心筋梗塞に伴う稀な機械的合併症であるため、報告す

    る。

    32 当院で経験した特発性冠動脈解離の 3例

    王子総合病院 循環器内科

    遠藤 圭佑 , 大岩 均 , 三木 隆幸 , 松本 倫明 ,

    加藤 伸郎 , 堀田 寛之 , 伊藤 孝仁 , 大野 紘平

    特発性冠動脈解離 (SCAD)は、ACS の 1-4% を占める疾患で、

    冠危険因子の少ない若 -中年女性に多いのが特徴である。

    これまでに当院で 3症例を経験した。症例 1は 52 歳男性。

    #8 に 99% 病変があり、IVUS で全長 50mm の解離を認め PCI

    を施行した。症例 2は 47 歳女性。#8より冠動脈が狭小化

    し途絶。IVUS で解離腔を確認するもワイヤーは真腔を通

    過せず再灌流は出来なかった。症例 3は 46 歳女性。#3に

    diffuse な 90% 病変を認めたが、ST 上昇が改善し経過観察

    とした。翌日の CAG で #3 は IVUS で解離腔を認めるも 50%

    へ改善しており保存的に加療した。SCAD は PCI の failure

    が 30-50%と多く、保存的加療と比較して有効性が示かされ

    ていない。また、10-30% に再発することが報告されている。

    当院で経験した 3症例は再発なく経過しているが、文献的

    な考察を加えて報告する。

  • ―2 2―

    33 うっ血性心不全を契機に抗ミトコンドリア抗体陽性筋

    炎の診断に至った 1例

    市立旭川病院 循環器内科

    小林 祐也 , 久木田 新 , 中村 愛 , 井川 貴行 ,

    井澤 和眞 , 菅野 貴康 , 石井 良直

    症例 )55 歳女性。X 年 Y 月中旬頃より労作時の息切れ、Y

    月下旬より下肢の浮腫を自覚し、うっ血性心不全の診断に

    て当科に入院。心臓カテーテル検査では左室駆出率 24% の

    びまん性の左室壁運動低下を認めたが、冠動脈に有意狭窄

    を認めず、非虚 血性心筋症と診断。各種検査よりサルコ

    イドーシスやアミロイドーシスなどは否定的であり肝胆道

    系酵素の上昇を認めたため、抗ミトコンドリア抗体を調べ

    たところ陽性であった。CKの軽度持続高値も認めていたこ

    とから抗ミトコンドリア抗体陽 性筋炎を疑い神経内科に紹

    介としたところ、筋生検などから抗ミトコンドリア抗体陽

    性筋炎の診断となった。非虚血性心筋症の鑑別診断の一つ

    として、肝胆道系酵素の上昇や CK上昇より抗ミトコンドリ

    ア抗体陽性筋炎を念頭に置くことが肝要と思われた。

    34 18F-FDG-PET が早期診断および薬物治療導入に有用で

    あった心サルコイドーシスの 1例

    北見赤十字病院 循環器内科

    下野 裕依 , 小野 太祐 , 島野 金太郎 , 水田 隆誠 ,

    勝山 亮一 , 徳原 教 , 斉藤 高彦

    67 歳女性。65 歳時にぶどう膜炎を診断され原因精査目的

    に胸部 CTを施行されたが特記所見は認めなかった。XX 年、

    労作時の動悸・浮動性目眩を主訴に当科受診し、ホルター

    心電図にて完全房室ブロックと非持続性心室頻拍を指摘さ

    れ、精査加療目的に入院した。持続する完全房室ブロック

    に対して体外式ペースメーカーを留置し、心エコー・冠動

    脈造影検査を施行したが特記所見を認めなかった。心臓

    MRI はペースメーカー留置中のため施行不能となったが、

    FDG-PET にて心筋・肺門部リンパ節・肺野に集積を認め、

    眼病変と併せて心サルコイドーシスの診断に至った。永久

    ペースメーカー移植術後にステロイド治療導入を行い退院

    した。本例は他の画像検査で心サルコイドーシスを捕捉で

    きず、FDG-PET が早期診断と治療介入に非常に有用であっ

    たため報告する。

    35 難治性心嚢液貯留を呈したミトコンドリア心筋症の一

    北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学教室

    髙橋 勇樹 , 辻永 真吾 , 青柳 裕之 , 内藤 正一郎 ,

    佐藤 琢真 , 竹中 秀 , 神谷 究 , 岩野 弘幸 ,

    永井 利幸 , 安斉 俊久

    症例は 50 代女性。13 年前に巣状糸球体腎硬化症による腎

    不全に対して透析が開始され、心エコー図検査で左室肥

    大と心嚢液貯留を認めた。精査の結果、ミトコンドリア

    DNA3243 の点突然変異によるミトコンドリア心筋症と診断

    された。4年前に 呼吸苦を伴う漏出性大量心嚢液貯留をき

    たし、心嚢ドレナージが施行された。処置後 3ヵ月で心嚢

    液の再貯留を認めたが、透析のドライウェイトの調整を行

    い、経過観察となった。3ヵ月前より呼吸苦を伴う大量心

    嚢液貯留の再発を認め、2回目の心嚢ドレナージが施行さ

    れたが、処置後 1週間で心嚢液は大量貯留した。内科的治

    療による心嚢液のコントロールは困難と判断し、胸腔鏡下

    心膜開窓術を行う方針とした。難治性心嚢液貯留を呈した

    ミトコンドリア心筋症の一例を経験したので、文献的考察

    を交え報告する。

    36 心膜液貯留で初発し、急激な心臓腫瘍増大を呈した悪

    性リンパ腫の1例

    JA北海道厚生連 帯広厚生病院 循環器内科

    櫻田 心太郎 , 西田 絢一 , 鈴木 洋平 , 鎌田 祐介 ,

    石村 周太郎 , 寺島 慶明 , 高橋 亨

    症例は 50 代男性。X-1 年に健康診断の腹部超音波検査で

    心膜液貯留を指摘され当院受診された。経胸壁心臓超音波

    検査 (TTE)で右室の虚脱を伴う心膜液貯留を認めており入

    院下で心嚢穿刺を施行した。細胞診や穿刺液検査で明らか

    な異常所見を認めず経過観察の方針とした。しかし、X 年

    に頸部リンパ節腫脹を認め耳鼻科受診し針生検にて悪性リ

    ンパ腫の診断となり血液内科紹介となった。PET-CT にて右

    房、右室を前面から圧排する径 37× 35mm の腫瘍を認めた。

    TTE、造影 CTにて腫瘍は心膜腔内に局在しており右冠動脈

    を巻き込んでいた。1年前には腫瘍は確認されておらず心

    膜液貯留のみであり、腫瘍は急速に増大したものと考えら

    れた。心膜液貯留を初発所見とする悪性リンパ腫は極めて

    稀であり、文献的考察を含め報告する。

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    37 肝静脈から肺動脈にかけて迷入した皮下埋没型中心静

    脈カテーテル断裂を経カテーテル的に摘出した1例

    1 市立函館病院 循環器内科, 2 北見赤十字病院 循環器内科

    甲谷 次郎 1, 夏井 宏征 2, 勝山 亮一 2, 徳原 教 2,

    小野 太祐 2, 斎藤 高彦 2

    症例は 59 歳女性。56 歳時に乳がん化学療法目的に右鎖骨

    下静脈より皮下埋没型中心静脈カテーテル留置。59歳時に

    滴下不良となり、胸部単純 X線でカテーテルが断裂し肝静

    脈から肺動脈にかけて迷入している所見を認め、経カテー

    テル的摘出術 目的に当院紹介。両側大腿静脈から、JL-1.0

    とガイドワイヤーのループを右房内で形成し、そのループ

    内に遺残カテーテルを確保。ワイヤー断端をグースネック

    スネアで捕捉し下大静脈方向に引き込み、肺動脈側の断端

    を右房内に引き込んだ。肝静脈断端側は抵抗を認めたため、

    右内頸静脈よりシースを追加し、上方より断端をスネアカ

    テーテルで捕捉し肝静脈側断端は下大静脈に移動、最終的

    に下方からスネアカテーテルで捕捉し体外へ回収した。若

    干の文献的考察を交えて報告する。

    38 ワーファリン -ヘパリン療法は、肺静脈血栓の標準的

    治療法だけでなく、糖尿病の治療法になりうる

    1 函館新都市病院 内科・循環器内科 , 2 たけうち内科ク

    リニック

    竹内 秀和 1,2

    背景;肺静脈血栓の標準的治療の可能性がある治療として、

    ワーファリン、DOACs による治療が報告されている。方法 ;

    右下肺静脈血栓を、経食道心エコー (TEE)と CT—アンギオ

    で診断された糖尿病患者 (64 歳・男性 )に、ワーファリン

    -ヘパリン療法を、一ケ月実施した。結果 ;TEE で、右下肺

    静脈血栓の大幅な縮小が、確認された。治療開始後徐々に、

    血糖低下が認められていたが、12日目に低血糖症状を認め

    たので、服用していた 2種類の糖尿病薬を中止した。その

    後入院中、特に高血糖を認めることもなく経過し、入院時、

    HbA1c は 7.1 だったが、退院時は、6.2と、改善した。考察 ;

    ワーファリン -ヘパリン療法は、肺静脈血栓の標準的治療

    法に成りうるが、糖尿病患者では、低血糖に注意する必要

    がある。また、糖尿病の、新たな治療法にもなりうる。

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