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第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

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第1章

ライフプランニングと資金計画

mkazumi
学科
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6

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

1.倫理および関連法規

●ポイント整理

(1)倫理

顧客利益

の優先

・顧客の立場に立ち、顧客の利益を最優先に考えることが

必要

(販売手数料の高い商品を優先させることなどのないように)

守秘義務

の厳守

・業務上知りえた顧客の個人情報は、外部に漏れることの

ないよう、その取扱いに注意したうえで、顧客の了解を

得ることなく、顧客情報を他人に提供してはならない

(2)関連法規

①税理士法

・税理士の業務は、具体的には「税務代理」「税務書類の作成」「税務相

談」とされている。したがって、税理士資格を有しないファイナン

シャル・プランナーは、有償・無償にかかわらず、業としてこれらの

業務を行うことはできない

・ただし、仮定の事例に基づき抽象的なプランニング、税法や申告方法

の一般的な解説などは税理士法に抵触しない

<具体例(税理士資格を有しないファイナンシャル・プランナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客サービスの1つとして、国税庁のホームペー

ジを利用して顧客の所得税の確定申告書をその顧

客に代わって作成した

・顧客からの要請により、無償で税務書類の作成を

行った

・顧客から税務相談を受け、無償で顧客データに基

づく個別の税額計算を行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客から税金に関する相談を受けたので、顧客

データを参考にしながら具体的な数値を離れた事

例に引き直してプランニングを行った

・顧客向けのセミナーで、公表された税制改正大綱

に基づき、税制改正の概要について一般的な説明

を行った

・顧客に電子申告書作成の入力画面を見せ、イン

ターネットによる電子申告の検討を勧めた

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6

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

1.倫理および関連法規

●ポイント整理

(1)倫理

顧客利益

の優先

・顧客の立場に立ち、顧客の利益を最優先に考えることが

必要

(販売手数料の高い商品を優先させることなどのないように)

守秘義務

の厳守

・業務上知りえた顧客の個人情報は、外部に漏れることの

ないよう、その取扱いに注意したうえで、顧客の了解を

得ることなく、顧客情報を他人に提供してはならない

(2)関連法規

①税理士法

・税理士の業務は、具体的には「税務代理」「税務書類の作成」「税務相

談」とされている。したがって、税理士資格を有しないファイナン

シャル・プランナーは、有償・無償にかかわらず、業としてこれらの

業務を行うことはできない

・ただし、仮定の事例に基づき抽象的なプランニング、税法や申告方法

の一般的な解説などは税理士法に抵触しない

<具体例(税理士資格を有しないファイナンシャル・プランナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客サービスの1つとして、国税庁のホームペー

ジを利用して顧客の所得税の確定申告書をその顧

客に代わって作成した

・顧客からの要請により、無償で税務書類の作成を

行った

・顧客から税務相談を受け、無償で顧客データに基

づく個別の税額計算を行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客から税金に関する相談を受けたので、顧客

データを参考にしながら具体的な数値を離れた事

例に引き直してプランニングを行った

・顧客向けのセミナーで、公表された税制改正大綱

に基づき、税制改正の概要について一般的な説明

を行った

・顧客に電子申告書作成の入力画面を見せ、イン

ターネットによる電子申告の検討を勧めた

7

1章

ライフプランニングと資金計画

②弁護士法

・弁護士法では、弁護士資格を有しない者が法律事務を取り扱うことを

禁止している。したがって、顧客から具体的な法律問題について尋ね

られた場合、弁護士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが

単独で具体的な法律判断を下してしまうと、弁護士法に抵触するおそ

れがある

・ただし、民法など法令の一般的な解説を行うのであれば、弁護士法に

は抵触しない

<具体例(弁護士資格を有しないファイナンシャル・プランナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客からの要請により、報酬を得る目的で遺言書

の作成指導を個別具体的に行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客からの将来の相続の相談に対して、民法の相

続人および法定相続分、遺留分などについて一般

的な解説を行った

③金融商品取引法

・投資助言・代理や投資運用を業として行うことを「金融商品取引業」

として規定しているため、金融商品取引業の登録を受けていないファ

イナンシャル・プランナーが、投資助言・代理や投資運用を業として

行うと、金融商品取引法に抵触する

・ただし、有価証券の募集・勧誘を目的とせずに、景気動向や企業業績

を説明したり、過去から現在までの値動きを教えたりするのであれば、

金融商品取引法には抵触しない。また、新聞や雑誌など、不特定多数

の人が購入できる場合の投資情報は、金融商品取引法に抵触しない

<具体例(投資助言・代理業の登録を受けていないファイナンシャル・プラ

ンナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客と有償の投資顧問契約を結び、その契約に基

づき、顧客に特定企業の具体的な投資時期等の判

断や助言を行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客から株式について質問を受けた際、有価証券

の募集・勧誘を目的とせずに、直近の景気動向や

過去数年間の株価の値動きを説明した

・顧客から投資信託について質問を受けた際、有価

証券の募集・勧誘を目的とせずに、市販の専門雑

誌を示して投資信託の一般的なリスクを説明した

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8

1章

ライフプランニングと資金計画

④保険業法

・保険業法では、生命保険募集人の登録を受けていない者が、生命保険

契約の締結の代理または媒介を行うことを禁止している

・ただし、保険の募集・勧誘を目的とせずに、一般的な保険商品の仕組

みや活用方法などを説明するのであれば、保険業法には抵触しない

<具体例(生命保険募集人の登録を受けていないファイナンシャル・プラン

ナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客と面談し、生命保険契約の締結の代理または

媒介を行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客からのライフプランニングの相談に対して、

生命保険の募集・勧誘を目的とせず、参考のため

に、生命保険の一般的な商品性と特徴を説明した

・生命保険の募集・勧誘を目的とせず、ライフイベ

ントに応じた一般的な生命保険の活用例や効果を

説明した

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題1>

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する

行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはど

れか。

1.生命保険募集人の登録を受けていないFPのAさんは、ライフプラン

の相談に来た顧客に対して、生命保険商品の商品性を説明した。

2.金融商品取引業者の登録を受けていないFPのBさんは、顧客から株

式投資についてアドバイスを求められ、特定銘柄の株価チャートを解

説し、投資のタイミングを助言した。

3.司法書士の資格を有しないFPのCさんは、顧客から将来判断能力が

不十分になった場合の財産の管理を依頼され、当該顧客の任意後見受

任者となった。

4.社会保険労務士の資格を有しないFPのDさんは、顧客の求めに応じ、

公的年金の老齢給付を繰り上げた場合の受給額と繰り下げた場合の受

給額について、それぞれの見込額を試算して説明した。

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8

1章

ライフプランニングと資金計画

④保険業法

・保険業法では、生命保険募集人の登録を受けていない者が、生命保険

契約の締結の代理または媒介を行うことを禁止している

・ただし、保険の募集・勧誘を目的とせずに、一般的な保険商品の仕組

みや活用方法などを説明するのであれば、保険業法には抵触しない

<具体例(生命保険募集人の登録を受けていないファイナンシャル・プラン

ナー)>

法に抵触する

おそれがある事例

・顧客と面談し、生命保険契約の締結の代理または

媒介を行った

法に抵触する

おそれがない事例

・顧客からのライフプランニングの相談に対して、

生命保険の募集・勧誘を目的とせず、参考のため

に、生命保険の一般的な商品性と特徴を説明した

・生命保険の募集・勧誘を目的とせず、ライフイベ

ントに応じた一般的な生命保険の活用例や効果を

説明した

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題1>

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する

行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはど

れか。

1.生命保険募集人の登録を受けていないFPのAさんは、ライフプラン

の相談に来た顧客に対して、生命保険商品の商品性を説明した。

2.金融商品取引業者の登録を受けていないFPのBさんは、顧客から株

式投資についてアドバイスを求められ、特定銘柄の株価チャートを解

説し、投資のタイミングを助言した。

3.司法書士の資格を有しないFPのCさんは、顧客から将来判断能力が

不十分になった場合の財産の管理を依頼され、当該顧客の任意後見受

任者となった。

4.社会保険労務士の資格を有しないFPのDさんは、顧客の求めに応じ、

公的年金の老齢給付を繰り上げた場合の受給額と繰り下げた場合の受

給額について、それぞれの見込額を試算して説明した。

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1章

ライフプランニングと資金計画

正解 2

1.適切。生命保険募集人の登録を受けていないFPであっても、生命保

険商品の商品性を説明することはできる。

2.不適切。金融商品取引業者の登録を受けていないFPは、特定銘柄の

株価チャートを解説し、投資のタイミングを助言することはできない。

3.適切。司法書士の資格を有しないFPであっても、任意後見契約の受

任者となることができる。任意後見受任者となるのに、資格は必要な

い。

4.適切。社会保険労務士の資格を有しないFPであっても、年金の受給

見込額の試算や受給請求方法などを説明することができる。

<2019年9月実技・問1>

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナン

シャル・プランニング業務を行ううえでは関連業法等を順守することが重

要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切

なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア)投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客が保有する株

式の発行会社のホームページからダウンロードしたIR資料を印刷

して手渡した。

(イ)弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係はない

成年者)が、顧客から依頼されて公正証書遺言の証人として立ち会

い、顧客から適正な報酬を受け取った。

(ウ)税理士資格を有していないFPが、顧客に対し、顧客が持参した資

料を基に具体的な所得税の納税額計算を無償で行った。

(エ)社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客である個人事業主

が受ける雇用関係助成金申請の書類を作成して手続きの代行を行い、

報酬を受け取った。

正解(ア)○ (イ)○ (ウ)× (エ)×

(ア)適切。なお、投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、特定

の顧客に対して具体的な株式の投資時期等の判断や助言を行うこと

はできない。

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1章

ライフプランニングと資金計画

(イ)適切。弁護士資格を有していないFPであっても、公正証書遺言の

証人となり、顧客から適正な報酬を受け取ることはできる。

(ウ)不適切。税理士資格を有していないFPは、有償・無償を問わず、

顧客の個別具体的な納税額の計算などを行ってはならない。

(エ)不適切。社会保険労務士資格を有していないFPは、労働社会保険

諸法令に基づいて申請書の作成・手続の代行を行うことはできない。

2.FPプロセスの6ステップ

●ポイント整理

(1)FPプロセスの6ステップ

・FPがファイナンシャル・プランニングを行うときは、基本的に次の6

ステップの順番で進む

STEP1 顧客との関係確立と明確化

顧客に提供されるサービスの内容、FPと顧客それぞれの責任などについ

て明確にする

STEP2 顧客データの収集と目標の明確化

顧客情報を収集し、ファイナンシャル・ゴールと時期を明確にする

STEP3 顧客のファイナンス状態の分析と評価

キャッシュフロー表や個人バランスシートなどを作成して、顧客のファイ

ナンス状態を分析し、問題点を明らかにする

STEP4 プランの検討・作成と提示

問題点に対する解決策を検討して、提案書にまとめる

STEP5 プランの実行援助

顧客が独力で実行できないプランの援助を行う

STEP6 プランの定期的見直し

家族構成や社会・経済情勢の変化などにあわせて、プランを定期的に見直す

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10

1章

ライフプランニングと資金計画

(イ)適切。弁護士資格を有していないFPであっても、公正証書遺言の

証人となり、顧客から適正な報酬を受け取ることはできる。

(ウ)不適切。税理士資格を有していないFPは、有償・無償を問わず、

顧客の個別具体的な納税額の計算などを行ってはならない。

(エ)不適切。社会保険労務士資格を有していないFPは、労働社会保険

諸法令に基づいて申請書の作成・手続の代行を行うことはできない。

2.FPプロセスの6ステップ

●ポイント整理

(1)FPプロセスの6ステップ

・FPがファイナンシャル・プランニングを行うときは、基本的に次の6

ステップの順番で進む

STEP1 顧客との関係確立と明確化

顧客に提供されるサービスの内容、FPと顧客それぞれの責任などについ

て明確にする

STEP2 顧客データの収集と目標の明確化

顧客情報を収集し、ファイナンシャル・ゴールと時期を明確にする

STEP3 顧客のファイナンス状態の分析と評価

キャッシュフロー表や個人バランスシートなどを作成して、顧客のファイ

ナンス状態を分析し、問題点を明らかにする

STEP4 プランの検討・作成と提示

問題点に対する解決策を検討して、提案書にまとめる

STEP5 プランの実行援助

顧客が独力で実行できないプランの援助を行う

STEP6 プランの定期的見直し

家族構成や社会・経済情勢の変化などにあわせて、プランを定期的に見直す

11

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月実技・問2>

ファイナンシャル・プランニングのプロセスに従い、次の(ア)~(カ)

を6つのステップの順番に並べ替えたものとして、最も適切なものはどれ

か。

(ア)顧客の目標を達成するために必要なプランを作成し、顧客に提案書

を提示して説明を行う。

(イ)顧客のキャッシュフロー表などを作成し、将来の財政状況の予測・

分析等を行う。

(ウ)顧客の家族構成などの環境の変化、税制や法律改正の内容を考慮し、

定期的にプランの見直しを行う。

(エ)作成したプランに従い、顧客が行う金融商品の購入、不動産売却等

の実行を支援する。

(オ)顧客にファイナンシャル・プランニングで提供するサービス内容や

報酬体系などを説明し、了解を得る。

(カ)面談やヒアリングシートにより顧客および家族の情報、財政的な情

報等を収集し、顧客の財政的な目標を明確化する。

1.(オ) → (カ) → (イ) → (ア) → (エ) → (ウ)

2.(オ) → (カ) → (イ) → (エ) → (ア) → (ウ)

3.(カ) → (イ) → (オ) → (ア) → (エ) → (ウ)

4.(カ) → (イ) → (オ) → (エ) → (ア) → (ウ)

正解 1

(ア)顧客の目標を達成するために必要なプランを作成し、顧客に提案書

を提示して説明を行う。

⇒ステップ4/プランの検討・作成と提示

(イ)顧客のキャッシュフロー表などを作成し、将来の財政状況の予測・

分析等を行う。

⇒ステップ3/顧客のファイナンス状態の分析と評価

(ウ)顧客の家族構成などの環境の変化、税制や法律改正の内容を考慮し、

定期的にプランの見直しを行う。

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1章

ライフプランニングと資金計画

⇒ステップ6/プランの定期的見直し

(エ)作成したプランに従い、顧客が行う金融商品の購入、不動産売却等

の実行を支援する。

⇒ステップ5/プランの実行援助

(オ)顧客にファイナンシャル・プランニングで提供するサービス内容や

報酬体系などを説明し、了解を得る。

⇒ステップ1/顧客との関係確立とその明確化

(カ)面談やヒアリングシートにより顧客および家族の情報、財政的な情

報等を収集し、顧客の財政的な目標を明確化する。

⇒ステップ2/顧客データの収集と目標の明確化

したがって、(ア)~(カ)をファイナンシャル・プランニングのプロセ

スに従い、6つのステップの順番に並べ替えると、(オ)→(カ)→(イ)

→(ア)→(エ)→(ウ)となる。

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12

1章

ライフプランニングと資金計画

⇒ステップ6/プランの定期的見直し

(エ)作成したプランに従い、顧客が行う金融商品の購入、不動産売却等

の実行を支援する。

⇒ステップ5/プランの実行援助

(オ)顧客にファイナンシャル・プランニングで提供するサービス内容や

報酬体系などを説明し、了解を得る。

⇒ステップ1/顧客との関係確立とその明確化

(カ)面談やヒアリングシートにより顧客および家族の情報、財政的な情

報等を収集し、顧客の財政的な目標を明確化する。

⇒ステップ2/顧客データの収集と目標の明確化

したがって、(ア)~(カ)をファイナンシャル・プランニングのプロセ

スに従い、6つのステップの順番に並べ替えると、(オ)→(カ)→(イ)

→(ア)→(エ)→(ウ)となる。

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1章

ライフプランニングと資金計画

3.キャッシュフロー表および個人バランスシート

●ポイント整理

(1)キャッシュフロー表

・ライフイベント表で把握した今後のライフプランをもとに、将来の収支

状況や金融資産残高を予想し、表形式にまとめたものをいう

<キャッシュフロー表(例)> (単位:万円)

現在 1年後 2年後 ・・・

夫 40歳 41歳 42歳 ・・・

妻 36歳 37歳 38歳 ・・・

長男 8歳 9歳 10歳 ・・・

ライフイベント

住宅購入 ・・・ 変動率

夫の可処分所得 2.0% 590 602 614 ・・・

妻の可処分所得 - 65 65 65 ・・・

収入合計 655 667 679 ・・・

基本生活費 1.0% 240 242 245 ・・・

住居費 - 144 166 166 ・・・

教育費 3.0% 24 25 25 ・・・

保険料 - 42 42 42 ・・・

その他支出 1.0% 60 61 61 ・・・

一時的支出 - 0 800 0 ・・・

支出合計 510 1,336 539 ・・・

年間収支 145 ▲669 140 ・・・

金融資産残高 1.0% 1,128 470 615 ・・・

(注)万円未満は四捨五入している。

<キャッシュフロー表の主な必要項目の計算式>

○年後の予想額 現在の金額×(1+変動率)○年

可処分所得 年収-(所得税・住民税+社会保険料)

金融資産残高 前年末の金融資産残高×(1+変動率)±当年の年間

収支

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1章

ライフプランニングと資金計画

(2)個人バランスシート

・個人のある時点の資産と負債の状況を示す表(貸借対照表)のこと

・表の左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」を記入する

・純資産とは、資産合計から負債合計を差し引いた金額である

・資産の金額は、取得価額ではなく、時価で記載する

<個人バランスシート(例)> (単位:万円)

[資産] [負債]

金融資産

預貯金等

国内株式等

生命保険(解約返戻金相当額)

不動産

宅地

建物

動産等

4,570

4,870

1,200

4,000

1,000

290

住宅ローン 920

負債合計 920

[純資産] 15,010

資産合計 15,930 負債・純資産合計 15,930

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題2>

ファイナンシャル・プランナーがライフプランニングに当たって作成す

る各種の表の一般的な作成方法に関する次の記述のうち、最も不適切なも

のはどれか。

1.個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、株式

等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額ではなく作成時点の

時価で計上する。

2.キャッシュフロー表の作成において、可処分所得は、「年間の収入金

額-(所得税+住民税)」で計算された金額を計上する。

3.キャッシュフロー表の作成において、各年次の金融資産残高は、「前

年末の金融資産残高×(1+運用利率)±当年の年間収支」で計算さ

れた金額を計上する。

4.ライフイベントごとの予算額は現在価値で見積もり、キャッシュフ

ロー表の作成においてはその価額を将来価値で計上する。

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1章

ライフプランニングと資金計画

(2)個人バランスシート

・個人のある時点の資産と負債の状況を示す表(貸借対照表)のこと

・表の左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」を記入する

・純資産とは、資産合計から負債合計を差し引いた金額である

・資産の金額は、取得価額ではなく、時価で記載する

<個人バランスシート(例)> (単位:万円)

[資産] [負債]

金融資産

預貯金等

国内株式等

生命保険(解約返戻金相当額)

不動産

宅地

建物

動産等

4,570

4,870

1,200

4,000

1,000

290

住宅ローン 920

負債合計 920

[純資産] 15,010

資産合計 15,930 負債・純資産合計 15,930

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題2>

ファイナンシャル・プランナーがライフプランニングに当たって作成す

る各種の表の一般的な作成方法に関する次の記述のうち、最も不適切なも

のはどれか。

1.個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、株式

等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額ではなく作成時点の

時価で計上する。

2.キャッシュフロー表の作成において、可処分所得は、「年間の収入金

額-(所得税+住民税)」で計算された金額を計上する。

3.キャッシュフロー表の作成において、各年次の金融資産残高は、「前

年末の金融資産残高×(1+運用利率)±当年の年間収支」で計算さ

れた金額を計上する。

4.ライフイベントごとの予算額は現在価値で見積もり、キャッシュフ

ロー表の作成においてはその価額を将来価値で計上する。

15

1章

ライフプランニングと資金計画

正解 2

1.適切。バランスシートに記載する金額は、取得時点の価額ではなく、

作成時点の時価で記載する。

2.不適切。可処分所得は、会社員であれば「年収-(所得税・住民税+

社会保険料)」で計算する。

3.適切。記述のとおり。

4.適切。記述のとおり。

<2020年1月実技・問23、問24>

<小田家のキャッシュフロー表>

経過年数 基準年 1年 2年 3年 4年

西暦(年) 2019 2020 2021 2022 2023

家族

構成

年齢

小田龍太 本人 47歳 48歳 49歳 50歳 51歳

亜子 妻 47歳 48歳 49歳 50歳 51歳

梨奈 長女 21歳 22歳 23歳 24歳 25歳

奏太 長男 19歳 20歳 21歳 22歳 23歳

ライフイベント 奏太大学

入学

繰上げ

返済

住宅の

リフォーム

変動率

給与収入(夫) 1% 634 640 647

給与収入(妻) 0% 168 168 168

収入合計 - 802 808 815

基本生活費 1% 302 ( ア )

住居費 - 183 183 183 183 183

教育費 - 200 180 150 100

保険料 - 40 40 40 40 40

一時的支出 - 200 200

その他支出 1% 25 26

支出合計 - 750 733 907

年間収支 - 52 75 ▲92 ▲39 265

金融資産残高 1% 765 ( イ )

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16

1章

ライフプランニングと資金計画

※年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2019年を基準

年とする。

※給与収入は可処分所得で記載している。

※記載されている数値は正しいものとする。

※問題作成の都合上、一部を空欄としている。

小田家のキャッシュフロー表の空欄( ア )に入る数値を計算しなさい。

なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万

円未満を四捨五入すること。

小田家のキャッシュフロー表の空欄( イ )に入る数値を計算しなさい。

なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万

円未満を四捨五入すること。

正解 311(万円)

○年後の金額は「現在の金額×(1+変動率)〇年」により求める。基準年

の基本生活費が302万円、変動率1%であるため、その3年後の基本生活費

(ア)は、次のとおり計算する。

302万円×(1+0.01)3=311.1…万円 → 311万円(万円未満を四捨五入)

正解 848(万円)

金融資産残高は「前年末の金融資産残高×(1+変動率)±当年の年間収

支」により求める。前年末の金融資産残高が765万円、変動率が1%、年間

収支が75万円であるため、金融資産残高(イ)は、次のとおり計算する。

765万円×(1+0.01)+75万円=847.65万円 → 848万円(万円未満を四

捨五入)

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16

1章

ライフプランニングと資金計画

※年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2019年を基準

年とする。

※給与収入は可処分所得で記載している。

※記載されている数値は正しいものとする。

※問題作成の都合上、一部を空欄としている。

小田家のキャッシュフロー表の空欄( ア )に入る数値を計算しなさい。

なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万

円未満を四捨五入すること。

小田家のキャッシュフロー表の空欄( イ )に入る数値を計算しなさい。

なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万

円未満を四捨五入すること。

正解 311(万円)

○年後の金額は「現在の金額×(1+変動率)〇年」により求める。基準年

の基本生活費が302万円、変動率1%であるため、その3年後の基本生活費

(ア)は、次のとおり計算する。

302万円×(1+0.01)3=311.1…万円 → 311万円(万円未満を四捨五入)

正解 848(万円)

金融資産残高は「前年末の金融資産残高×(1+変動率)±当年の年間収

支」により求める。前年末の金融資産残高が765万円、変動率が1%、年間

収支が75万円であるため、金融資産残高(イ)は、次のとおり計算する。

765万円×(1+0.01)+75万円=847.65万円 → 848万円(万円未満を四

捨五入)

17

1章

ライフプランニングと資金計画

<2019年1月実技・問35>

<設例>

国内の上場企業に勤務する大場勇人さんは、今後の生活のことなどに関

して、FPで税理士でもある成田さんに相談をした。なお、下記のデータ

は2019年1月1日現在のものである。

I.家族構成(同居家族)

氏名 続柄 生年月日 年齢 備考

大場 勇人 本人 1966年12月18日 52歳 会社員

里美 妻 1966年10月26日 52歳 パートタイマー

涼太 長男 1994年7月30日 24歳 大学院生

真実 長女 1999年6月12日 19歳 大学生

幸子 母 1938年9月22日 80歳 無職

Ⅱ.大場家の親族関係図

太郎 幸子

里美 勇人 徹 智子 義人 遼子

涼太 真実 哲也 健吾 加奈

Ⅲ.大場家(勇人さんと里美さん)の財産の状況

[資料1:保有資産(時価)] (単位:万円)

勇人 里美

金融資産

預貯金等

債券・株式等

2,560

820

300

生命保険(解約返戻金相当額) [資料3]を参照 [資料3]を参照

不動産

土地(賃貸アパートの敷地)

建物(賃貸アパートの家屋)

4,400

300

その他(動産等) 120 50

[資料2:負債残高]

自動車ローン:80万円(債務者は勇人さん)

(すでに死亡)

(すでに死亡)

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18

1章

ライフプランニングと資金計画

[資料3:生命保険] (単位:万円)

保険種類 保険

契約者

被保険

死亡保

険金受

取人

保険金額

解約返

戻金相

当額

終身保険A 勇人 勇人 里美 300 150

終身保険B 勇人 勇人 里美 230 150

変額個人年金保険C 勇人 里美 勇人 (注1) 580

変額個人年金保険D 勇人 里美 勇人 (注1) 400

注1:変額個人年金保険CおよびDの死亡保険金は、被保険者である里

美さんの死亡時の年金原資相当額(便宜上、解約返戻金相当額と

同額とする)と一時払保険料相当額である500万円のいずれか大き

い金額が支払われるものである。

注2:すべての契約において、保険契約者が保険料を全額負担している。

注3:契約者配当および契約者貸付については考慮しないこと。

Ⅳ.その他

上記以外の情報については、各設問において特に指示のない限り一切考

慮しないこと。

FPの成田さんは、まず現時点(2019年1月1日)における大場家(勇

人さんと里美さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄

( ア )に入る数値を計算しなさい。

<大場家(勇人さんと里美さん)のバランスシート> (単位:万円)

[資産]

金融資産

預貯金等 xxx

債券・株式等 xxx

生命保険(解約返戻金相当額) xxx

不動産

土地(賃貸アパートの敷地) xxx

建物(賃貸アパートの家屋) xxx

その他(動産等) xxx

[負債]

自動車ローン xxx

負債合計 xxx

[純資産] ( ア )

資産合計 xxx 負債・純資産合計 xxx

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18

1章

ライフプランニングと資金計画

[資料3:生命保険] (単位:万円)

保険種類 保険

契約者

被保険

死亡保

険金受

取人

保険金額

解約返

戻金相

当額

終身保険A 勇人 勇人 里美 300 150

終身保険B 勇人 勇人 里美 230 150

変額個人年金保険C 勇人 里美 勇人 (注1) 580

変額個人年金保険D 勇人 里美 勇人 (注1) 400

注1:変額個人年金保険CおよびDの死亡保険金は、被保険者である里

美さんの死亡時の年金原資相当額(便宜上、解約返戻金相当額と

同額とする)と一時払保険料相当額である500万円のいずれか大き

い金額が支払われるものである。

注2:すべての契約において、保険契約者が保険料を全額負担している。

注3:契約者配当および契約者貸付については考慮しないこと。

Ⅳ.その他

上記以外の情報については、各設問において特に指示のない限り一切考

慮しないこと。

FPの成田さんは、まず現時点(2019年1月1日)における大場家(勇

人さんと里美さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄

( ア )に入る数値を計算しなさい。

<大場家(勇人さんと里美さん)のバランスシート> (単位:万円)

[資産]

金融資産

預貯金等 xxx

債券・株式等 xxx

生命保険(解約返戻金相当額) xxx

不動産

土地(賃貸アパートの敷地) xxx

建物(賃貸アパートの家屋) xxx

その他(動産等) xxx

[負債]

自動車ローン xxx

負債合計 xxx

[純資産] ( ア )

資産合計 xxx 負債・純資産合計 xxx

19

1章

ライフプランニングと資金計画

正解 9,750(万円)

<大場家(勇人さんと里美さん)のバランスシート> (単位:万円)

[資産]

金融資産

預貯金等 2,860

債券・株式等 820

生命保険(解約返戻金相当額) 1,280

不動産

土地(賃貸アパートの敷地) 4,400

建物(賃貸アパートの家屋) 300

その他(動産等) 170

[負債]

自動車ローン 80

負債合計 80

[純資産] (ア.9,750)

資産合計 9,830 負債・純資産合計 9,830

4.6つの係数

●ポイント整理

(1)6つの係数

終価係数

・現時点で保有している元本を、一定期間にわたって一定の

利率で複利運用した場合に、将来いくらになるのかを計算

するために使う係数

現価係数

・一定の利率により複利運用して一定期間後に所定の金額を

得るためには、現時点でいくらの元本が必要となるかを計

算するために使う係数

年金終価

係数

・一定期間にわたって一定の利率で複利運用しながら毎年一

定金額を積み立てた場合、将来いくらになるのかを計算す

るために使う係数

減債基金

係数

・一定の利率での複利運用によって一定期間後に所定の金額

を得るためには、毎年いくらずつ積み立てればよいのかを

計算するために使う係数

年金現価

係数

・一定期間にわたって一定の利率で複利運用しながら一定金

額を毎年年金として継続的に受け取るためには、現時点、

あるいは将来のある時点でいくらの元本(年金原資)があ

ればよいのかを計算するために使う係数

資本回収

係数

・保有する金額を一定の利率で複利運用しながら所定期間に

毎年年金として取り崩していく場合、毎年いくらの年金を

受け取ることができるのかを計算するために使う係数

・元利均等返済のローンの年間返済額(概算)を計算する場

合にも、資本回収係数を利用できる

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20

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題2>

ライフプランの作成の際に活用される各種係数に関する次の記述のうち、

最も不適切なものはどれか。

1.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るた

めに必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、

資本回収係数である。

2.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた

場合の一定期間後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる

係数は、年金終価係数である。

3.一定の利率で複利運用しながら一定期間後に目標とする額を得るため

に必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、

減債基金係数である。

4.一定の利率で複利運用しながら一定期間後の元利合計額を試算する際、

現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である。

正解 1

1.不適切。一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受

け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じ

る係数は、年金現価係数である。

2.適切。記述のとおり

3.適切。記述のとおり。

4.適切。記述のとおり。

<2017年9月学科・問題3>

ライフプランニングにおける各種係数を用いた必要額の算出に関する次

の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、最も

適切なものはどれか。なお、算出に当たっては下記<資料>の係数を乗算

で使用するものとし、手数料や税金等については考慮しないものとする。

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20

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題2>

ライフプランの作成の際に活用される各種係数に関する次の記述のうち、

最も不適切なものはどれか。

1.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るた

めに必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、

資本回収係数である。

2.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた

場合の一定期間後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる

係数は、年金終価係数である。

3.一定の利率で複利運用しながら一定期間後に目標とする額を得るため

に必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、

減債基金係数である。

4.一定の利率で複利運用しながら一定期間後の元利合計額を試算する際、

現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である。

正解 1

1.不適切。一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受

け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じ

る係数は、年金現価係数である。

2.適切。記述のとおり

3.適切。記述のとおり。

4.適切。記述のとおり。

<2017年9月学科・問題3>

ライフプランニングにおける各種係数を用いた必要額の算出に関する次

の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、最も

適切なものはどれか。なお、算出に当たっては下記<資料>の係数を乗算

で使用するものとし、手数料や税金等については考慮しないものとする。

21

1章

ライフプランニングと資金計画

毎年年末に一定額を積み立てながら年利率3%で複利運用した場合、

20年後に1,500万円となる貯蓄計画においては、毎年の積立金額は

( ア )円となる。また、年利率3%で複利運用しながら、毎年

年末に200万円を10年間受け取る場合においては、当初の元金とし

て( イ )円が必要となる。

<資料>年利率3%の各種係数

10 年 20 年

終価係数 1.3439 1.8061

現価係数 0.7441 0.5537

減債基金係数 0.0872 0.0372

資本回収係数 0.1172 0.0672

年金終価係数 11.4639 26.8704

年金現価係数 8.5302 14.8775

1.(ア)558,000 (イ)17,060,400

2.(ア)558,000 (イ)14,877,500

3.(ア)744,100 (イ)17,060,400

4.(ア)744,100 (イ)14,877,500

正解 1

(ア)目標金額から毎年の積立金額を求めるには、減債基金係数を利用する。

1,500万円×0.0372(20年、年利率3%の減債基金係数)=558,000円

(イ)毎年の取崩金額から当初元金を求めるには、年金現価係数を利用する。

200万円×8.5302(10年、年利率3%の年金現価係数)=17,060,400円

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22

1章

ライフプランニングと資金計画

<2019年9月実技・問26>

下記の係数早見表を乗算で使用し、各問について計算しなさい。なお、

税金は一切考慮しないこととし、解答に当たっては、解答用紙に記載され

ている単位に従うこと。

[係数早見表(年利1.0%)]

終価係数 現価係数 減債基金

係数

資本回収

係数

年金終価

係数

年金現価

係数

1年 1.010 0.990 1.000 1.010 1.000 0.990

2年 1.020 0.980 0.498 0.508 2.010 1.970

3年 1.030 0.971 0.330 0.340 3.030 2.941

4年 1.041 0.961 0.246 0.256 4.060 3.902

5年 1.051 0.951 0.196 0.206 5.101 4.853

6年 1.062 0.942 0.163 0.173 6.152 5.795

7年 1.072 0.933 0.139 0.149 7.214 6.728

8年 1.083 0.923 0.121 0.131 8.286 7.652

9年 1.094 0.914 0.107 0.117 9.369 8.566

10年 1.105 0.905 0.096 0.106 10.462 9.471

15年 1.161 0.861 0.062 0.072 16.097 13.865

20年 1.220 0.820 0.045 0.055 22.019 18.046

25年 1.282 0.780 0.035 0.045 28.243 22.023

30年 1.348 0.742 0.029 0.039 34.785 25.808

※記載されている数値は正しいものとする。

山岸さんは、有料老人ホームへの入居を検討しており、そのための資金

として、5年後に1,500万円を準備したいと考えている。5年間、年利

1.0%で複利運用する場合、現在いくらの資金があればよいか。

正解 14,265,000円

一定の利率で複利運用したときの将来の金額から現在の金額を求める(現

在価値に割り戻す)には、将来の金額に現価係数を乗じる。5年、1.0%の

現価係数は0.951であるので、「1,500万円×0.951=14,265,000円」となる。

Page 19: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

22

1章

ライフプランニングと資金計画

<2019年9月実技・問26>

下記の係数早見表を乗算で使用し、各問について計算しなさい。なお、

税金は一切考慮しないこととし、解答に当たっては、解答用紙に記載され

ている単位に従うこと。

[係数早見表(年利1.0%)]

終価係数 現価係数 減債基金

係数

資本回収

係数

年金終価

係数

年金現価

係数

1年 1.010 0.990 1.000 1.010 1.000 0.990

2年 1.020 0.980 0.498 0.508 2.010 1.970

3年 1.030 0.971 0.330 0.340 3.030 2.941

4年 1.041 0.961 0.246 0.256 4.060 3.902

5年 1.051 0.951 0.196 0.206 5.101 4.853

6年 1.062 0.942 0.163 0.173 6.152 5.795

7年 1.072 0.933 0.139 0.149 7.214 6.728

8年 1.083 0.923 0.121 0.131 8.286 7.652

9年 1.094 0.914 0.107 0.117 9.369 8.566

10年 1.105 0.905 0.096 0.106 10.462 9.471

15年 1.161 0.861 0.062 0.072 16.097 13.865

20年 1.220 0.820 0.045 0.055 22.019 18.046

25年 1.282 0.780 0.035 0.045 28.243 22.023

30年 1.348 0.742 0.029 0.039 34.785 25.808

※記載されている数値は正しいものとする。

山岸さんは、有料老人ホームへの入居を検討しており、そのための資金

として、5年後に1,500万円を準備したいと考えている。5年間、年利

1.0%で複利運用する場合、現在いくらの資金があればよいか。

正解 14,265,000円

一定の利率で複利運用したときの将来の金額から現在の金額を求める(現

在価値に割り戻す)には、将来の金額に現価係数を乗じる。5年、1.0%の

現価係数は0.951であるので、「1,500万円×0.951=14,265,000円」となる。

23

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅱ 社会保険

1.労働者災害補償保険(労災保険)

●ポイント整理

(1)目的

・業務上で起こった事故(業務上災害)や通勤途中の事故(通勤災害)に

よって生じた労働者の負傷・疾病・障害・死亡について必要な保険給付

を行う

・政府が保険者となり、厚生労働省の管轄で、事務手続は労働基準監督署

で行う

(2)加入対象

・一部の事業を除き、労働者(パートやアルバイトなどを含む)を1人で

も雇っている事業主は、労災保険に加入しなければならない

・労災保険の適用対象となるのはその事業所で働く労働者のみで、社長や

役員は労働者ではないので、原則として労災保険の適用対象とならない

(ただし、一定の中小事業主等は、労災保険に特別加入することができ

る)

(3)保険料

・全額を事業主が負担

・保険料率は事業の種類によって異なる

(4)労災保険からの主な給付

給 付 の 種

類 内容 給付額その他

療 養 ( 補

償)給付

業務上または通勤途中の

けがや病気に対する治療

などを受ける場合に受け

られる給付

・業務上災害の場合は、一部

負担金の必要はない(通勤

災害の場合は、初回のみ

200円以内の一部負担金が

ある場合がある)

・治療等が必要である限り、

退職後も給付を受けること

ができる

Page 20: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

24

1章

ライフプランニングと資金計画

休 業 ( 補

償)給付

業務上または通勤途中の

けがや病気の療養のため

に休業し、給与が受けら

れない場合に受けられる

給付

・休業1日につき給付基礎日

額の60%相当額が、休業4

日目から支給され、さらに

休業特別支給金として、

20%相当額が上乗せされる

・休業(補償)給付を受け始

めて1年6ヵ月が経過した

ときに、けがや病気が治っ

ておらず一定の障害の程度

にあるときは、休業(補

償)給付は傷病(補償)年

金という別の給付に代わる

障 害 ( 補

償)給付

障害が残ってしまった場

合に、療養(補償)給付

や休業(補償)給付など

に代わって支給される年

金または一時金

・給付額は、障害の程度など

によって決まる

遺 族 ( 補

償)給付

業務上災害や通勤災害に

よって亡くなった労働者

に、その者の収入によっ

て生活をしていた一定範

囲の家族(原則として、

配偶者や子、父母、孫、

祖父母、兄弟姉妹など。

ただし、年齢制限などが

ある)がいる場合に、そ

の家族に対して支給され

る年金または一時金

・給付額は、遺族の数などに

よって決まる

Page 21: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

24

1章

ライフプランニングと資金計画

休 業 ( 補

償)給付

業務上または通勤途中の

けがや病気の療養のため

に休業し、給与が受けら

れない場合に受けられる

給付

・休業1日につき給付基礎日

額の60%相当額が、休業4

日目から支給され、さらに

休業特別支給金として、

20%相当額が上乗せされる

・休業(補償)給付を受け始

めて1年6ヵ月が経過した

ときに、けがや病気が治っ

ておらず一定の障害の程度

にあるときは、休業(補

償)給付は傷病(補償)年

金という別の給付に代わる

障 害 ( 補

償)給付

障害が残ってしまった場

合に、療養(補償)給付

や休業(補償)給付など

に代わって支給される年

金または一時金

・給付額は、障害の程度など

によって決まる

遺 族 ( 補

償)給付

業務上災害や通勤災害に

よって亡くなった労働者

に、その者の収入によっ

て生活をしていた一定範

囲の家族(原則として、

配偶者や子、父母、孫、

祖父母、兄弟姉妹など。

ただし、年齢制限などが

ある)がいる場合に、そ

の家族に対して支給され

る年金または一時金

・給付額は、遺族の数などに

よって決まる

25

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月実技・問34>

政彦さんは、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)について、

FPの榎田さんに質問をした。労災保険の概要に関する下表の空欄(ア)

~(エ)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

適用される労働者 労災保険の適用事業の事業主に使用される労働者

であって、( ア )。

療養補償給付

労働者が業務上の負傷または疾病により、労災指

定 病 院 等 で 療 養 補 償 給 付 を 受 け た 場 合 、

( イ )。

労災保険料の負担 労災保険料は、( ウ )。

保険料率 労災保険の保険料率は、( エ )。

1.空欄(ア)にあてはまる語句は、「アルバイト・パートタイマー等は

除かれる」である。

2.空欄(イ)にあてはまる語句は、「労働者は医療費の1割を負担する」

である。

3.空欄(ウ)にあてはまる語句は、「その全額を事業主が負担する」で

ある。

4.空欄(エ)にあてはまる語句は、「業種にかかわらず一律である」で

ある。

正解 3

出題表の空欄に適切な語句を入れると次のとおり。

適用される労働者

労災保険の適用事業の事業主に使用される労働者

であって、(ア.アルバイト・パートタイマー等

も含まれる)。

療養補償給付

労働者が業務上の負傷または疾病により、労災指

定病院等で療養補償給付を受けた場合、(イ.労

働者は医療費の自己負担はない)。

労災保険料の負担 労災保険料は、(ウ.その全額を事業主が負担す

る)。

保険料率 労災保険の保険料率は、(エ.業種によって異な

る)。

(ア)一部の事業を除き、労働者を1人でも雇っている事業主は、労災保

険に加入しなければならない。なお、労働者とは、正社員に限らず、

Page 22: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

26

1章

ライフプランニングと資金計画

パートやアルバイト、契約社員なども含まれる。

(イ)労災保険の療養補償給付を受けるとき、つまり、業務上災害により

病院等で治療を受ける際には、労働者の自己負担はない。一方、通勤

災害により療養給付を受けるときには、初回のみ200円の一部負担金

が徴収されるケースがある。

(ウ)労災保険の保険料は、全額事業主が負担する。労働者の負担はない。

(エ)労災保険の保険料率は事業の種類によって異なり、工場や建設現場

などがある事業は、事務作業を中心とした事業よりも高い保険料率と

なっている。

2.雇用保険

●ポイント整理

(1)雇用保険の概要

①目的

・失業したときの生活保障や次の就職のための能力開発などのために必要

な給付を行う

・政府が保険者となり、厚生労働省の管轄で、事務手続は公共職業安定所

(ハローワーク)で行う

②加入対象

・一部の事業を除き、労働者を1人でも雇っている事業主は、雇用保険に

加入しなければならない

・雇用保険の被保険者となるのは、1週間の所定労働時間が20時間以上あ

り、31 日以上の雇用見込みのある労働者(社長や役員は、原則として雇

用保険の被保険者とならない)

③保険料

・一部を被保険者が負担し、残りを事業主が負担する

(2)雇用保険からの主な給付

①基本手当

・働く意思と能力があっても職業に就くことができない人が、求職活動を

行っているときに支給される(働く意思や能力のない人は受給できない)

Page 23: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

26

1章

ライフプランニングと資金計画

パートやアルバイト、契約社員なども含まれる。

(イ)労災保険の療養補償給付を受けるとき、つまり、業務上災害により

病院等で治療を受ける際には、労働者の自己負担はない。一方、通勤

災害により療養給付を受けるときには、初回のみ200円の一部負担金

が徴収されるケースがある。

(ウ)労災保険の保険料は、全額事業主が負担する。労働者の負担はない。

(エ)労災保険の保険料率は事業の種類によって異なり、工場や建設現場

などがある事業は、事務作業を中心とした事業よりも高い保険料率と

なっている。

2.雇用保険

●ポイント整理

(1)雇用保険の概要

①目的

・失業したときの生活保障や次の就職のための能力開発などのために必要

な給付を行う

・政府が保険者となり、厚生労働省の管轄で、事務手続は公共職業安定所

(ハローワーク)で行う

②加入対象

・一部の事業を除き、労働者を1人でも雇っている事業主は、雇用保険に

加入しなければならない

・雇用保険の被保険者となるのは、1週間の所定労働時間が20時間以上あ

り、31 日以上の雇用見込みのある労働者(社長や役員は、原則として雇

用保険の被保険者とならない)

③保険料

・一部を被保険者が負担し、残りを事業主が負担する

(2)雇用保険からの主な給付

①基本手当

・働く意思と能力があっても職業に就くことができない人が、求職活動を

行っているときに支給される(働く意思や能力のない人は受給できない)

27

1章

ライフプランニングと資金計画

・65 歳未満の被保険者であった者で、退職日までの2年間に被保険者期間

が通算して 12 ヵ月以上あることが必要となる(ただし、倒産や解雇な

どの会社都合退職の場合は、退職日までの1年間に通算して6ヵ月以上

の被保険者期間があればよいことになっている)

<基本手当受給までのスケジュール>

(注1)通算被保険者期間:12ヵ月以上または6ヵ月以上

(注2)通算被保険者期間:12ヵ月以上

(注3)傷病や妊娠、出産、育児などのため、すぐに働くことができない場

合には、申請によって受給期間を最長で4年までに延長することが

できる。また、60歳以上で定年退職後、すぐに働かない場合には、

申請によって受給期間を最長で2年までに延長することができる

<所定給付日数>

○自己都合退職・定年退職

被保険者期間 10年未満 10年以上

20年未満 20年以上

日数 90日 120日 150日

基本手当受給

給付制限期間

最長3ヵ月間

待期期間

7日間

待期期間

7日間

受給期間(原則として1年(注3))

基本手当受給

退職日

職安出頭日

待期期間完了

給付制限完了

定年退職・会

社都合退職の

場合(注1)

自己都合退職

の場合(注2)

Page 24: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

28

1章

ライフプランニングと資金計画

○会社都合退職

被保険者

期間

退職時年齢

6 ヵ 月

以 上 1

年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年

以上

30歳未満

90日

90日 120日 180日 -

30歳以上

35歳未満 120日

180日

210日 240日

35歳以上

45歳未満 150日 240日 270日

45歳以上

60歳未満 180日 240日 270日 330日

60歳以上

65歳未満 150日 180日 210日 240日

②高年齢雇用継続給付

・被保険者期間が5年以上ある者について、60 歳以降(または再就職後)

の賃金の額が 60 歳時点に比べて 75%未満に低下したとき支給される

・支給額は、最高で「低下後の賃金×15%」

<高年齢雇用継続給付>

高年齢雇用継続基本給付金

(基本手当を受給していない者に

支給)

65歳に達する月まで、最長5年間支

給される

高年齢再就職給付金

(基本手当を受給し、支給残日数

を100日以上残して再就職した者

に支給)

基本手当の支給残日数に応じて、最

長2年間かつ65歳に達する月まで支

給される

Page 25: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

28

1章

ライフプランニングと資金計画

○会社都合退職

被保険者

期間

退職時年齢

6 ヵ 月

以 上 1

年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年

以上

30歳未満

90日

90日 120日 180日 -

30歳以上

35歳未満 120日

180日

210日 240日

35歳以上

45歳未満 150日 240日 270日

45歳以上

60歳未満 180日 240日 270日 330日

60歳以上

65歳未満 150日 180日 210日 240日

②高年齢雇用継続給付

・被保険者期間が5年以上ある者について、60 歳以降(または再就職後)

の賃金の額が 60 歳時点に比べて 75%未満に低下したとき支給される

・支給額は、最高で「低下後の賃金×15%」

<高年齢雇用継続給付>

高年齢雇用継続基本給付金

(基本手当を受給していない者に

支給)

65歳に達する月まで、最長5年間支

給される

高年齢再就職給付金

(基本手当を受給し、支給残日数

を100日以上残して再就職した者

に支給)

基本手当の支給残日数に応じて、最

長2年間かつ65歳に達する月まで支

給される

29

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題4>

雇用保険の雇用継続給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものは

どれか。

1.高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けるためには、原則として60歳

到達時に雇用保険の一般被保険者であった期間が通算して3年以上あ

ること等の要件を満たすことが必要である。

2.高年齢再就職給付金の支給を受けるためには、再就職した日の前日に

おける基本手当の支給残日数が100日以上あること等の要件を満たす

ことが必要である。

3.育児休業給付金の支給額は、原則として、育児休業給付金の支給に係

る休業日数が通算して180日に達するまでの間は、1支給単位期間当

たり、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」相当額とされる。

4.介護休業給付金の支給において介護の対象となる家族には、雇用保険

の被保険者の配偶者の父母も含まれる。

正解 1

1.不適切。高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けるためには、原則と

して60歳到達時に雇用保険の一般被保険者であった期間が通算して5

年以上あること等の要件を満たす必要がある。

2.適切。なお、基本手当の支給残日数が100日以上200日未満である場合

の高年齢再就職給付金の支給期間は1年(かつ65歳に達するまで)、

基本手当の支給残日数が200日以上である場合の高年齢再就職給付金

の支給期間は2年(かつ65歳に達するまで)となる。

3.適切。なお、育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して181日

目以降の場合は、1支給単位期間当たり「休業開始時賃金日額×支給

日数×50%」相当額とされる。

4.適切。介護休業給付金の支給において介護の対象となる家族は、配偶

者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫である。

Page 26: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

30

1章

ライフプランニングと資金計画

3.医療保険

●ポイント整理

(1)健康保険と国民健康保険

全国健康保険協会

管掌健康保険(協

会けんぽ)

組合管掌健康保険 国民健康保険

保険者 全国健康保険協会 各健保組合

都 道 府 県 ・ 市 区 町

村・国民健康保険組

保険料

標準報酬月額・標

準賞与額(注1)×

都道府県別の料率

(労使折半)

標準報酬月額・標

準賞与額(注1)×

料率(労使折半。

ただし、事業主の

負担割合を半分以

上とすることがで

きる)

保険者によって異な

る(全額自己負担)

給付の

対象

業務外の病気、けが、死亡、出産

(被保険者、被扶養者(注2)ともに給

付。業務中のけがなどは労災保険の対

象)

業務上・業務外の病

気、けが、死亡、出

自己負

担割合

小学校就学前:2割

小学校就学後70歳未満:3割

70歳以上75歳未満:2割(一定の高所得者は3割)

(注1)保険料の賦課対象となる標準賞与額は年度累計573万円が上限

(注2)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者

が対象

(2)医療保険の給付内容

給付の種類 ポイント

高額療養費

・原則として同一月に同一医療機関等で保険診療

を受け、自己負担額が限度額を超えた場合に、

その超えた額が支給されるもの

・高度な治療や特別なサービス(差額ベッドな

ど)を受けた場合には、基礎的な部分以外の医

療費用は高額療養費の対象にはならない

Page 27: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

30

1章

ライフプランニングと資金計画

3.医療保険

●ポイント整理

(1)健康保険と国民健康保険

全国健康保険協会

管掌健康保険(協

会けんぽ)

組合管掌健康保険 国民健康保険

保険者 全国健康保険協会 各健保組合

都 道 府 県 ・ 市 区 町

村・国民健康保険組

保険料

標準報酬月額・標

準賞与額(注1)×

都道府県別の料率

(労使折半)

標準報酬月額・標

準賞与額(注1)×

料率(労使折半。

ただし、事業主の

負担割合を半分以

上とすることがで

きる)

保険者によって異な

る(全額自己負担)

給付の

対象

業務外の病気、けが、死亡、出産

(被保険者、被扶養者(注2)ともに給

付。業務中のけがなどは労災保険の対

象)

業務上・業務外の病

気、けが、死亡、出

自己負

担割合

小学校就学前:2割

小学校就学後70歳未満:3割

70歳以上75歳未満:2割(一定の高所得者は3割)

(注1)保険料の賦課対象となる標準賞与額は年度累計573万円が上限

(注2)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者

が対象

(2)医療保険の給付内容

給付の種類 ポイント

高額療養費

・原則として同一月に同一医療機関等で保険診療

を受け、自己負担額が限度額を超えた場合に、

その超えた額が支給されるもの

・高度な治療や特別なサービス(差額ベッドな

ど)を受けた場合には、基礎的な部分以外の医

療費用は高額療養費の対象にはならない

31

1章

ライフプランニングと資金計画

傷病手当金

・療養のために働くことができず、給与が受けら

れないときに、連続して3日以上休んだ場合に

欠勤4日目から支給されるもの

・支給額は、休業1日あたり「支給開始日以前の

継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均

した額÷30日×2/3」で、支給される期間は最

長1年6ヵ月

出産育児一時金

・被保険者が出産した場合に支給されるもの

・支給額は1児につき42万円(産科医療補償制度

の対象となる出産をした場合)

出産手当金

・被保険者が産前産後の休業期間に給与が受けら

れない場合に支給されるもの

・支給額は、休業1日あたり「支給開始日以前の

継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均

した額÷30日×2/3」で、期間は出産日(出産

日が出産予定日よりも遅れた場合は出産予定

日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出

産日の後56日まで

Page 28: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

32

1章

ライフプランニングと資金計画

(3)退職後の医療保険

・健康保険の被保険者が退職後に再就職しない場合、医療保険は主に以下

の3つから選択する(後期高齢者医療制度に加入するまで)

健康保険の

任意継続被保険者 国民健康保険

家族の加入する健康

保険の被扶養者(注)

ポイント

・退職前に継続し

て2ヵ月以上被

保険者であった

こと

・退職後20日以内

に手続を行うこ

・継続できる期間

は最長2年間

・資格の取得日

から14日以内

に手続を行う

・前年の所得が

保険料計算に

反映される

・被扶養者になるた

めには、「被保険

者の収入によって

生計を維持されて

いること(60歳未

満の場合は年収

130万円未満、60

歳以上の場合は年

収180万円未満、

かつ原則として被

保険者の収入の2

分の1未満の収入

である)」「原則

として被保険者と

同一の世帯に属し

ていること」が必

要となる

保険料 全額自己負担

(上限あり)

全額自己負担

(上限あり) 自己負担なし

(注)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者が

対象

(4)後期高齢者医療制度

運営主体 後期高齢者医療広域連合

加入対象

75歳以上の者、または65歳以上75歳未満で一定の障害

状態にある者(後期高齢者医療広域連合の認定を受け

た者)

保険料 所得割と被保険者均等割からなり、都道府県ごとに異

なる

給付の対象 病気やけがなど

自己負担割合 1割(一定の高所得者は3割)

Page 29: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

32

1章

ライフプランニングと資金計画

(3)退職後の医療保険

・健康保険の被保険者が退職後に再就職しない場合、医療保険は主に以下

の3つから選択する(後期高齢者医療制度に加入するまで)

健康保険の

任意継続被保険者 国民健康保険

家族の加入する健康

保険の被扶養者(注)

ポイント

・退職前に継続し

て2ヵ月以上被

保険者であった

こと

・退職後20日以内

に手続を行うこ

・継続できる期間

は最長2年間

・資格の取得日

から14日以内

に手続を行う

・前年の所得が

保険料計算に

反映される

・被扶養者になるた

めには、「被保険

者の収入によって

生計を維持されて

いること(60歳未

満の場合は年収

130万円未満、60

歳以上の場合は年

収180万円未満、

かつ原則として被

保険者の収入の2

分の1未満の収入

である)」「原則

として被保険者と

同一の世帯に属し

ていること」が必

要となる

保険料 全額自己負担

(上限あり)

全額自己負担

(上限あり) 自己負担なし

(注)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者が

対象

(4)後期高齢者医療制度

運営主体 後期高齢者医療広域連合

加入対象

75歳以上の者、または65歳以上75歳未満で一定の障害

状態にある者(後期高齢者医療広域連合の認定を受け

た者)

保険料 所得割と被保険者均等割からなり、都道府県ごとに異

なる

給付の対象 病気やけがなど

自己負担割合 1割(一定の高所得者は3割)

33

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題3>

公的医療保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.健康保険の適用事業所に常時使用される75歳未満の者は、原則として、

全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)または組合管掌健康保

険に加入することになる。

2.全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の介護保険料率は、都

道府県ごとに定められており、都道府県によって保険料率が異なる。

3.健康保険の任意継続被保険者となるためには、健康保険の被保険者資

格を喪失した日の前日まで継続して6ヵ月以上の被保険者期間がなけ

ればならない。

4.個人事業主や農林漁業者などが被保険者となる国民健康保険は、国が

保険者として運営している。

正解 1

1.適切。記述のとおり。

2.不適切。全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)における40歳

以上65歳未満の介護保険料率は、全国一律に設定されている。一方、

全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の一般保険料率は、全

国一律ではなく、都道府県別に設定されている。

3.不適切。健康保険の任意継続被保険者のポイントは以下のとおりであ

る。

・退職前に継続して「2ヵ月」以上被保険者であったこと

・退職後「20日」以内に手続を行うこと

・継続できる期間は最長「2年間」

・保険料は全額自己負担

4.不適切。国民健康保険の保険者は、都道府県および市区町村ならびに

国民健康保険組合である。

Page 30: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

34

1章

ライフプランニングと資金計画

4.介護保険

●ポイント整理

(1)介護保険の概要

第1号被保険者 第2号被保険者

保険者 市区町村

加入対象 65歳以上の者 40歳以上65歳未満の医療保険

加入者

保険料の

徴収

公的年金が一定金額(年額

18万円)以上の場合は、公

的年金から天引き(特別徴

収)される

保険者が医療保険の保険料と

併せて徴収

受給権者 要介護者、要支援者

要介護・

要支援状

態の原因

問わない

特定疾病によって生じたもの

(老化に起因する疾病等およ

び末期がん、16種類)

自己負担

割合

1割

1割 一定以上の所得がある者は

2割または3割

Page 31: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

34

1章

ライフプランニングと資金計画

4.介護保険

●ポイント整理

(1)介護保険の概要

第1号被保険者 第2号被保険者

保険者 市区町村

加入対象 65歳以上の者 40歳以上65歳未満の医療保険

加入者

保険料の

徴収

公的年金が一定金額(年額

18万円)以上の場合は、公

的年金から天引き(特別徴

収)される

保険者が医療保険の保険料と

併せて徴収

受給権者 要介護者、要支援者

要介護・

要支援状

態の原因

問わない

特定疾病によって生じたもの

(老化に起因する疾病等およ

び末期がん、16種類)

自己負担

割合

1割

1割 一定以上の所得がある者は

2割または3割

35

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2018年5月学科・問題3>

公的介護保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.第1号被保険者の介護保険料は、当該被保険者が公的年金制度から年

額18万円以上の老齢等年金給付を受給している場合、原則として公的

年金から徴収される。

2.第2号被保険者の介護保険料は、その者が加入している公的医療保険

の保険料と合わせて徴収される。

3.訪問介護や入所介護等の介護サービスの費用における利用者の負担割

合は、一律1割である。

4.同一月内の介護サービス利用者負担額が一定の上限額を超えた場合は、

所定の手続きにより、その上限額を超えた額が高額介護サービス費と

して支給される。

正解 3

1.適切。記述のとおり。

2.適切。たとえば、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)であ

れば、医療保険分の保険料に介護保険分の保険料が加算されて徴収さ

れている。

3.不適切。公的介護保険における介護サービスの利用者の負担割合は、

原則1割であるが、第1号被保険者で一定以上所得のある者の負担割

合は2割または3割である。

4.適切。記述のとおり。

Page 32: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

36

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅲ 公的年金

1.公的年金の概要

●ポイント整理

(1)加入対象

①国民年金

強制加入 任意加入

第1号

被保険者

・20歳以上60歳未満の日本

国内に住所を有する者

で、第2号被保険者・第

3号被保険者に該当しな

い者(国籍は不問)

・20歳以上65歳未満で日本国

内に住所のない日本国籍を

有する者

・ 60 歳 以 上 65 歳 未 満 の 者

(1965(昭和40)年4月1

日以前生まれで老齢年金を

受けられない者は70歳未満

の者)

第2号

被保険者(注1)

・厚生年金保険の被保険者 -

第3号

被保険者

・第2号被保険者の被扶養

配偶者(注2)で20歳以上

60歳未満の者

(注1)65歳以上で老齢・退職を支給事由とする年金の受給権を有する者は、

厚生年金保険の被保険者にはなるが、第2号被保険者にはならない

(注2)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者

が対象

②厚生年金保険

・厚生年金保険の適用事業所となるのは、法人の事業所(事業主のみの場

合を含む)である

・従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、一部の事業を除い

て、厚生年金保険の適用事業所となる

・適用事業所に使用される者で 70 歳未満の者は、一部のパートなどを除

き、被保険者となる

・70歳以上になっても働き続けて被用者となる場合について、70歳以降は

被保険者とならないので、保険料は徴収されない

Page 33: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

36

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅲ 公的年金

1.公的年金の概要

●ポイント整理

(1)加入対象

①国民年金

強制加入 任意加入

第1号

被保険者

・20歳以上60歳未満の日本

国内に住所を有する者

で、第2号被保険者・第

3号被保険者に該当しな

い者(国籍は不問)

・20歳以上65歳未満で日本国

内に住所のない日本国籍を

有する者

・ 60 歳 以 上 65 歳 未 満 の 者

(1965(昭和40)年4月1

日以前生まれで老齢年金を

受けられない者は70歳未満

の者)

第2号

被保険者(注1)

・厚生年金保険の被保険者 -

第3号

被保険者

・第2号被保険者の被扶養

配偶者(注2)で20歳以上

60歳未満の者

(注1)65歳以上で老齢・退職を支給事由とする年金の受給権を有する者は、

厚生年金保険の被保険者にはなるが、第2号被保険者にはならない

(注2)2020(令和2)年4月以降、原則として日本国内に住所を有する者

が対象

②厚生年金保険

・厚生年金保険の適用事業所となるのは、法人の事業所(事業主のみの場

合を含む)である

・従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、一部の事業を除い

て、厚生年金保険の適用事業所となる

・適用事業所に使用される者で 70 歳未満の者は、一部のパートなどを除

き、被保険者となる

・70歳以上になっても働き続けて被用者となる場合について、70歳以降は

被保険者とならないので、保険料は徴収されない

37

1章

ライフプランニングと資金計画

(2)保険料

①国民年金の被保険者ごとの保険料負担

負担する保険料 保険料 納付

第1号

被保険者 国民年金保険料

2020(令和2)年

度価額は16,540円(注)

本人が金融機関など

を通して納付

第2号

被保険者 厚生年金保険料

標準報酬月額・標

準賞与額に対し

て 、 そ れ ぞ れ

18.30%

労使折半で負担

第3号

被保険者 なし なし なし

(注)保険料を前納することで、保険料が割引となる制度がある

②国民年金保険料の免除・猶予

a.免除

全額免除

<法定免除>

全額免除

<申請免除>

一部免除

(4分の3免除、半

額免除、4分の1免

除)

手続 届出(生活保護等) 申請(所得が一定以下であること)

追納 10年まで遡って可能

所得 - 所得は被保険者本人の分だけでなく、同じ

世帯に属する人の分も合わせて判断される

b.猶予

学生納付特例 保険料納付猶予

適用

対象

20歳以上60歳未満の学生で、

所得が一定以下であるとき

50歳未満の者が失業等の理由に

よって、所得が一定以下である

とき

手続 申請

追納 10年まで遡って可能

所得

所得は被保険者本人の分だけ

で判断される(親の所得は関

係ない)

所得は被保険者本人・配偶者の

分だけで判断される(親の所得

は関係ない)

その

・保険料の納付猶予期間中に障害を負った場合または死亡した場

合でも、一定の要件を満たしていれば、障害基礎年金または遺

族基礎年金が支給される

・保険料の納付猶予期間について、将来、保険料を追納しない場

合は、老齢基礎年金の年金額を計算する際に、合算対象期間と

同様に取り扱われる

Page 34: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

38

1章

ライフプランニングと資金計画

③厚生年金保険料

・「標準報酬月額・標準賞与額×料率(労使折半)」で計算する

・標準報酬月額・標準賞与額については健康保険と同じように算出される

が、健康保険の上限とは異なり、標準報酬月額は 62 万円(31 等級)(注)、

標準賞与額は1回の支給につき 150 万円が上限となっている

(注)2020(令和2)年9月以降、標準報酬月額の上限が65万円(32等級)

となる予定

・育児休業期間中および産前産後休業期間中の厚生年金保険料・健康保険

料については、事業主・被保険者ともに納付が免除される

★過去問にチャレンジ!

<2018年9月学科・問題4>

国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.第1号被保険者で障害基礎年金または障害等級1級もしくは2級の障

害厚生年金を受給している者は、原則として、法定免除の対象となる。

2.第1号被保険者で一定の大学等の学生である者は、前年の所得(1月

から3月までの月分の保険料については前々年の所得)が一定金額以

下の場合、保険料の納付が猶予される学生納付特例制度の適用を受け

ることができる。

3.50歳未満の第1号被保険者は、本人および配偶者の前年の所得(1月

から6月までの月分の保険料については前々年の所得)がそれぞれ一

定金額以下の場合、保険料納付猶予制度の対象となる。

4.保険料免除期間に係る保険料のうち、追納することができる保険料は、

追納に係る厚生労働大臣の承認を受けた日の属する月前5年以内の期

間に係るものに限るとされている。

正解 4

1.適切。なお、保険料免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間にカウ

ントされる。

2.適切。記述のとおり。

3.適切。記述のとおり。

4.不適切。保険料を免除されていた期間に係る保険料は、当該期間から

Page 35: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

38

1章

ライフプランニングと資金計画

③厚生年金保険料

・「標準報酬月額・標準賞与額×料率(労使折半)」で計算する

・標準報酬月額・標準賞与額については健康保険と同じように算出される

が、健康保険の上限とは異なり、標準報酬月額は 62 万円(31 等級)(注)、

標準賞与額は1回の支給につき 150 万円が上限となっている

(注)2020(令和2)年9月以降、標準報酬月額の上限が65万円(32等級)

となる予定

・育児休業期間中および産前産後休業期間中の厚生年金保険料・健康保険

料については、事業主・被保険者ともに納付が免除される

★過去問にチャレンジ!

<2018年9月学科・問題4>

国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.第1号被保険者で障害基礎年金または障害等級1級もしくは2級の障

害厚生年金を受給している者は、原則として、法定免除の対象となる。

2.第1号被保険者で一定の大学等の学生である者は、前年の所得(1月

から3月までの月分の保険料については前々年の所得)が一定金額以

下の場合、保険料の納付が猶予される学生納付特例制度の適用を受け

ることができる。

3.50歳未満の第1号被保険者は、本人および配偶者の前年の所得(1月

から6月までの月分の保険料については前々年の所得)がそれぞれ一

定金額以下の場合、保険料納付猶予制度の対象となる。

4.保険料免除期間に係る保険料のうち、追納することができる保険料は、

追納に係る厚生労働大臣の承認を受けた日の属する月前5年以内の期

間に係るものに限るとされている。

正解 4

1.適切。なお、保険料免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間にカウ

ントされる。

2.適切。記述のとおり。

3.適切。記述のとおり。

4.不適切。保険料を免除されていた期間に係る保険料は、当該期間から

39

1章

ライフプランニングと資金計画

10年以内であれば追納することができる。

2.老齢給付

●ポイント整理

(1)老齢基礎年金

①受給要件

保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間 ≧ 10年

②受給期間

・受給要件を満たした者が、原則として65歳に達した月の翌月から死亡し

た月まで、一生涯にわたって受給できる

③年金額(満額)

・老齢基礎年金の満額は 781,700 円(2020(令和2)年度価額)

・保険料納付済月数が加入可能月数に満たない場合は、満額から減額とな

・保険料の納付を免除された期間は、免除の種類に応じた割合しか反映さ

れない

2009(平成21)年3月まで

の免除期間

2009(平成21)年4月以降

の免除期間

全 額 免 除

期間 3分の1 2分の1

4 分 の 3

免除期間 2分の1 8分の5

半 額 免 除

期間 3分の2 4分の3

4 分 の 1

免除期間 6分の5 8分の7

④加入可能月数

・1941(昭和 16)年4月2日以降に生まれた者は 480 月(40 年)

⑤その他

a.付加年金

Page 36: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

40

1章

ライフプランニングと資金計画

・第1号被保険者で国民年金保険料を全額納付している人が、希望によ

り月額 400 円の付加保険料を上乗せして納付すると、老齢基礎年金を

受給するときに、付加年金が上乗せされて支給される

・支給額(年額)は「200 円×付加保険料納付済月数」

b.振替加算

・1926(大正15)年4月2日以降、1966(昭和41)年4月1日までに生

まれた人で、20 年以上厚生年金保険に加入していた老齢厚生年金の受

給者の配偶者であって、加給年金の対象となっている人は、65 歳に達

したときから振替加算が一生涯にわたって支給される

・支給額は、振替加算の受給者の生年月日によって異なる

(2)老齢厚生年金

①受給要件

a.特別支給の老齢厚生年金

・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている

・「1年以上」の厚生年金加入期間がある

b.老齢厚生年金

・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている

・「1ヵ月以上」の厚生年金加入期間がある

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40

1章

ライフプランニングと資金計画

・第1号被保険者で国民年金保険料を全額納付している人が、希望によ

り月額 400 円の付加保険料を上乗せして納付すると、老齢基礎年金を

受給するときに、付加年金が上乗せされて支給される

・支給額(年額)は「200 円×付加保険料納付済月数」

b.振替加算

・1926(大正15)年4月2日以降、1966(昭和41)年4月1日までに生

まれた人で、20 年以上厚生年金保険に加入していた老齢厚生年金の受

給者の配偶者であって、加給年金の対象となっている人は、65 歳に達

したときから振替加算が一生涯にわたって支給される

・支給額は、振替加算の受給者の生年月日によって異なる

(2)老齢厚生年金

①受給要件

a.特別支給の老齢厚生年金

・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている

・「1年以上」の厚生年金加入期間がある

b.老齢厚生年金

・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている

・「1ヵ月以上」の厚生年金加入期間がある

41

1章

ライフプランニングと資金計画

②受給期間

a.特別支給の老齢厚生年金

(下記は会社員などの場合の支給開始年齢の引上げスケジュール。最終

的には廃止される)

b.老齢厚生年金

・受給要件を満たした者が、原則として65歳に達した月の翌月から死亡

した月まで、一生涯にわたって受給できる

③その他

a.加給年金

・「原則として20年以上の厚生年金加入期間がある」「受給者に生計を維

持されている 65 歳未満の配偶者または『子』(注)がいる(目安は配偶

者または子の年収が 850 万円未満)」の要件を満たす人に支給される

65 歳

報酬比例部分 定額部分

60 61 62 63 64

老齢厚生年金 老齢基礎年金 ~1941(昭 16)年4月1日

1943(昭 18)年4月2日 ~1945(昭 20)年4月1日 ~1950(昭 25)年4月1日

1948(昭 23)年4月2日

~1946(昭 21)年4月1日

男性(生年月日) 女性(生年月日)

1941(昭 16)年4月2日 ~1943(昭 18)年4月1日 ~1948(昭 23)年4月1日

1946(昭 21)年4月2日

1945(昭 20)年4月2日 ~1947(昭 22)年4月1日 ~1952(昭 27)年4月1日

1950(昭 25)年4月2日

1947(昭 22)年4月2日 ~1949(昭 24)年4月1日 ~1954(昭 29)年4月1日

1952(昭 27)年4月2日

1949(昭 24)年4月2日 ~1953(昭 28)年4月1日 ~1958(昭 33)年4月1日

1954(昭 29)年4月2日

1953(昭 28)年4月2日 ~1955(昭 30)年4月1日 ~1960(昭 35)年4月1日

1958(昭 33)年4月2日

1955(昭 30)年4月2日 ~1957(昭 32)年4月1日 ~1962(昭 37)年4月1日

1960(昭 35)年4月2日

1957(昭 32)年4月2日 ~1959(昭 34)年4月1日 ~1964(昭 39)年4月1日

1962(昭 37)年4月2日

1959(昭 34)年4月2日 ~1961(昭 36)年4月1日 ~1966(昭 41)年4月1日

1964(昭 39)年4月2日

1961(昭 36)年4月2日~ 1966(昭 41)年4月2日~

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42

1章

ライフプランニングと資金計画

(注)『子』とは、「18歳に達した後の最初の3月末までの未婚の子(一般

的には高校卒業前の未婚の子)」または「20歳未満で1級、2級障害

の未婚の子」である

・支給額は、対象が配偶者か子かによって、配偶者の場合にはさらに受

給者の生年月日によって異なる

(3)在職老齢年金

①在職老齢年金のポイント

・老齢厚生年金などを受給している人が同時に厚生年金保険の被保険者で

もある場合には、以下の2つの合計額に応じて年金が減額または支給停

止される

・総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合

計額÷12)

・基本月額(加給年金を除いた年金額÷12)

・この在職しながら受給する老齢厚生年金などを、在職老齢年金という

②60 歳台前半(60 歳以上 65 歳未満)の在職老齢年金

支給される在職老齢年金の月額

総報酬月額相当額+基本月額が28万円

以下 全額

総報酬月額

相当額が

47万円以下

基本月額が28万円以下 基本月額-(総報酬月額相当額

+基本月額-28万円)×1/2

基本月額が28万円超 基本月額-(総報酬月額相当額

×1/2)

総報酬月額

相当額が

47万円超

基本月額が28万円以下

基本月額-{(47万円+基本月

額-28万円)×1/2+総報酬

月額相当額-47万円}

基本月額が28万円超 基本月額-(47万円×1/2+

総報酬月額相当額-47万円)

(注)「28万円」は支給停止調整開始額といい、再評価率によって毎年見直

される。「47万円」は支給停止調整変更額といい、物価変動率と名目

手取賃金変動率によって毎年見直される

Page 39: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

42

1章

ライフプランニングと資金計画

(注)『子』とは、「18歳に達した後の最初の3月末までの未婚の子(一般

的には高校卒業前の未婚の子)」または「20歳未満で1級、2級障害

の未婚の子」である

・支給額は、対象が配偶者か子かによって、配偶者の場合にはさらに受

給者の生年月日によって異なる

(3)在職老齢年金

①在職老齢年金のポイント

・老齢厚生年金などを受給している人が同時に厚生年金保険の被保険者で

もある場合には、以下の2つの合計額に応じて年金が減額または支給停

止される

・総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合

計額÷12)

・基本月額(加給年金を除いた年金額÷12)

・この在職しながら受給する老齢厚生年金などを、在職老齢年金という

②60 歳台前半(60 歳以上 65 歳未満)の在職老齢年金

支給される在職老齢年金の月額

総報酬月額相当額+基本月額が28万円

以下 全額

総報酬月額

相当額が

47万円以下

基本月額が28万円以下 基本月額-(総報酬月額相当額

+基本月額-28万円)×1/2

基本月額が28万円超 基本月額-(総報酬月額相当額

×1/2)

総報酬月額

相当額が

47万円超

基本月額が28万円以下

基本月額-{(47万円+基本月

額-28万円)×1/2+総報酬

月額相当額-47万円}

基本月額が28万円超 基本月額-(47万円×1/2+

総報酬月額相当額-47万円)

(注)「28万円」は支給停止調整開始額といい、再評価率によって毎年見直

される。「47万円」は支給停止調整変更額といい、物価変動率と名目

手取賃金変動率によって毎年見直される

43

1章

ライフプランニングと資金計画

③60 歳台後半(65 歳以上 70 歳未満)の在職老齢年金

支給される在職老齢年金の月額

総報酬月額相当額+基本月額が

47万円以下 全額

総報酬月額相当額+基本月額が

47万円超

基本月額-(総報酬月額相当額+基

本月額-47万円)×1/2

(注)「47万円」は支給停止調整額といい、物価変動率と名目手取賃金変動

率によって毎年見直される

④70 歳以上の被用者の老齢厚生年金の給付調整

・70 歳になっても働き続けて被用者となっている場合には、厚生年金保険

からは脱退して保険料負担はなくなるものの、年金は60歳台後半と同様

の仕組みで減額または支給停止される

(4)繰上げ支給と繰下げ支給

繰上げ支給 繰下げ支給

定義

65歳からの支給開始と

なっている老齢給付を、

60歳以降65歳に達するま

での間に繰り上げて受給

を開始すること

65歳からの支給開始となって

いる老齢給付を、66歳以後に

繰り下げて受給を開始するこ

特徴

65歳からの本来の年金額

よりも減額され、それが

一生涯にわたって続く

65歳からの本来の年金額より

も増額され、それが一生涯に

わたって続く

留意点

・繰上げ請求後は、取消

しまたは受給開始年齢

の変更ができない

・国民年金の任意加入が

できなくなる

・受給要件を満たしてい

ても、請求者本人が障

害基礎年金を受給でき

ない、遺族が寡婦年金

を受給できなくなる

減額または

増額

1ヵ月当たり0.5%の減

額(減額率は最大30%)

1ヵ月当たり0.7%の増額(増

額率は最大42%)

その他

老齢厚生年金と老齢基礎

年金の繰上げは、同時に

請求しなければならない

老齢厚生年金と老齢基礎年金

の繰下げは、別々に申し出る

ことができる

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44

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年1月学科・問題6>

公的年金の老齢給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれ

か。

1.特別支給の老齢厚生年金が支給されるためには、老齢基礎年金の受給

資格期間を満たし、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること

などの要件を満たす必要がある。

2.老齢基礎年金に加算される振替加算の額は、その老齢基礎年金の受給

権者の生年月日に応じて定められた金額となる。

3.老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支

給の請求を同時に行う必要はない。

4.厚生年金保険の被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、在

職老齢年金の仕組みにより、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本

月額の合計額が28万円(平成30年度価額)を超えると、年金額の全部

または一部が支給停止となる。

正解 3

1.適切。記述のとおり。

2.適切。記述のとおり。

3.不適切。老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合は、老齢基礎年金

の繰上げ支給の請求を同時に行わなくてはならない。なお、繰下げ支

給の申出は同時に行う必要はなく、いずれか一方のみの申出も可能で

ある。

4.適切。なお、65歳以降の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによ

り、厚生年金保険の被保険者の総報酬月額相当額と基本月額の合計額

が47万円(2020(令和2)年度価額)を超えると、年金額の全部また

は一部が支給停止となる。

Page 41: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

44

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年1月学科・問題6>

公的年金の老齢給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれ

か。

1.特別支給の老齢厚生年金が支給されるためには、老齢基礎年金の受給

資格期間を満たし、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること

などの要件を満たす必要がある。

2.老齢基礎年金に加算される振替加算の額は、その老齢基礎年金の受給

権者の生年月日に応じて定められた金額となる。

3.老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支

給の請求を同時に行う必要はない。

4.厚生年金保険の被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、在

職老齢年金の仕組みにより、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本

月額の合計額が28万円(平成30年度価額)を超えると、年金額の全部

または一部が支給停止となる。

正解 3

1.適切。記述のとおり。

2.適切。記述のとおり。

3.不適切。老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合は、老齢基礎年金

の繰上げ支給の請求を同時に行わなくてはならない。なお、繰下げ支

給の申出は同時に行う必要はなく、いずれか一方のみの申出も可能で

ある。

4.適切。なお、65歳以降の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによ

り、厚生年金保険の被保険者の総報酬月額相当額と基本月額の合計額

が47万円(2020(令和2)年度価額)を超えると、年金額の全部また

は一部が支給停止となる。

45

1章

ライフプランニングと資金計画

<2018年9月実技・問33>

麗子さんは、50歳になるまで現在のパート勤務を続け、その後は個人事

業主として喫茶店を営むことを考えている。麗子さんの公的年金加入歴

(見込みを含む)が下記<資料>のとおりである場合、麗子さんの老齢基

礎年金の受給資格期間に算入される期間として、正しいものはどれか。

<資料>

[麗子さんの公的年金の加入歴(見込みを含む)]

① ② ③ ④ ⑤

24月 36月 60月 240月 120月

①国民年金の保険料未納期間

②国民年金の保険料免除期間(全額免除)

③国民年金の第2号被保険者期間

④国民年金の第3号被保険者期間

⑤国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間

※上記以外に、保険料納付済期間および保険料免除期間はないものと

する。

※合算対象期間は考慮しないものとする。

1. 216月

2. 420月

3. 444月

4. 456月

正解 4

老齢基礎年金の受給資格期間は、保険料納付済期間、保険料免除期間およ

び合算対象期間の合計である。麗子さんの公的年金の加入歴のうち、③国民

20歳

22歳

25歳

30歳

50歳

60歳

Page 42: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

46

1章

ライフプランニングと資金計画

年金の第2号被保険者期間、④国民年金の第3号被保険者期間も保険料納付

済期間となる。

したがって、①国民年金の保険料未納期間を除くすべての期間が、受給資

格期間に算入される期間となる。

36月+60月+240月+120月=456月

<2019年5月実技・問39>

俊彦さんは、老齢年金を65歳からは受給せず、支給繰下げの申出をしよ

うと考えている。老齢年金の支給の繰下げに関する次の(ア)~(エ)の

記述のうち、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入し

なさい。

(ア)老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給の繰下げは、その両方について

同時に申出をするほか、どちらか一方のみの申出をすることもできる。

(イ)老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、老齢基礎年金と

併せて支給される付加年金も老齢基礎年金と同様に増額される。

(ウ)支給の繰下げを希望する場合は、65歳に達し受給権を取得した後、

速やかに老齢年金の請求を行い、併せて66歳以降の繰下げ受給開始月

を申し出なければならない。

(エ)昭和16年4月2日以降生まれの者の場合、支給の繰下げによる年金

額の増額率は最大で30%となる。

正解 (ア)〇 (イ)〇 (ウ)× (エ)×

(ア)正しい。一方、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給の繰上げは、そ

の両方について同時に請求をしなければならない。

(イ)正しい。一方、老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をしたときは、

老齢基礎年金と併せて支給される付加年金も老齢基礎年金と同様に減

額される。

(ウ)誤り。繰下げ支給を希望する場合、65歳になったときには年金の請

求手続きをせず、66歳以降の受給開始したいときに年金の請求と繰下

げ支給の申出を同時に行う。

(エ)誤り。1941(昭和16)年4月2日以降生まれの者の場合、支給の繰

下げによる年金額の増額率は最大で42%となる。

Page 43: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

46

1章

ライフプランニングと資金計画

年金の第2号被保険者期間、④国民年金の第3号被保険者期間も保険料納付

済期間となる。

したがって、①国民年金の保険料未納期間を除くすべての期間が、受給資

格期間に算入される期間となる。

36月+60月+240月+120月=456月

<2019年5月実技・問39>

俊彦さんは、老齢年金を65歳からは受給せず、支給繰下げの申出をしよ

うと考えている。老齢年金の支給の繰下げに関する次の(ア)~(エ)の

記述のうち、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入し

なさい。

(ア)老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給の繰下げは、その両方について

同時に申出をするほか、どちらか一方のみの申出をすることもできる。

(イ)老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、老齢基礎年金と

併せて支給される付加年金も老齢基礎年金と同様に増額される。

(ウ)支給の繰下げを希望する場合は、65歳に達し受給権を取得した後、

速やかに老齢年金の請求を行い、併せて66歳以降の繰下げ受給開始月

を申し出なければならない。

(エ)昭和16年4月2日以降生まれの者の場合、支給の繰下げによる年金

額の増額率は最大で30%となる。

正解 (ア)〇 (イ)〇 (ウ)× (エ)×

(ア)正しい。一方、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給の繰上げは、そ

の両方について同時に請求をしなければならない。

(イ)正しい。一方、老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をしたときは、

老齢基礎年金と併せて支給される付加年金も老齢基礎年金と同様に減

額される。

(ウ)誤り。繰下げ支給を希望する場合、65歳になったときには年金の請

求手続きをせず、66歳以降の受給開始したいときに年金の請求と繰下

げ支給の申出を同時に行う。

(エ)誤り。1941(昭和16)年4月2日以降生まれの者の場合、支給の繰

下げによる年金額の増額率は最大で42%となる。

47

1章

ライフプランニングと資金計画

3.障害給付

●ポイント整理

(1)障害基礎年金

①受給要件

・以下の要件をすべて満たした人に対して、障害基礎年金が支給される

・初診日に国民年金の被保険者であるか、国内に住所がある 60 歳以上 65

歳未満の国民年金の被保険者であった者

・障害認定日(注)に障害等級1級または2級の障害状態にあること

・初診日の前日において、原則として、初診日の属する月の前々月までに、

保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が被保険者期間全体

の3分の2以上あること(ただし、特例として、初診日が 2026(令和8)

年4月1日前で65歳未満である場合には、初診日の属する月の前々月ま

での1年間に保険料の滞納期間がないこと)

(注)障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヵ月が経過した日であ

るが、それよりも前に傷病が治った(それ以上状態が変化しない、障

害が固定した)場合には、傷病が治った日が障害認定日となる

②年金額(2020(令和2)年度価額)

障害等級 年金額

1級 977,125円(2級の1.25倍)

2級 781,700円(老齢基礎年金の満額と同額)

・障害基礎年金を受給できる要件を満たしている人に「子」がいる場合に

は、子の加算がある(2人目までは1人につき 224,900 円、3人目以降

は1人につき 75,000 円が加算される)

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48

1章

ライフプランニングと資金計画

(2)障害厚生年金

①受給要件

・以下の要件をすべて満たした人に対して、障害厚生年金が支給される

・初診日に厚生年金の被保険者であること

・障害認定日に障害等級1級、2級または3級の障害状態にあること

・初診日の前日において、原則として、初診日の属する月の前々月までに、

保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が被保険者期間全体

の3分の2以上あること(ただし、特例として、初診日が 2026(令和8)

年4月1日前で65歳未満である場合には、初診日の属する月の前々月ま

での1年間に保険料の滞納期間がないこと)

②年金額(2020(令和2)年度価額)

障害等級 年金額

1級 報酬比例部分×1.25

2級 報酬比例部分と同額

3級 報酬比例部分と同額(最低保障あり)

・1級と2級の障害厚生年金で、受給者に生計を維持されている配偶者が

いる場合には、配偶者の加給年金額の加算がある(224,900 円)

4.遺族給付

●ポイント整理

(1)遺族基礎年金

①受給要件

・以下のいずれかに該当する人が死亡した場合、その遺族で要件を満たす

人がいれば、遺族基礎年金が支給される

・国民年金の被保険者

・国内に住所がある 60 歳以上 65 歳未満の国民年金の被保険者であった人

・老齢基礎年金の受給資格期間が 25 年以上ある人

②受給できる遺族の範囲

・「子」または「子のある配偶者」のみ(この場合の「子」とは、「18 歳に

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48

1章

ライフプランニングと資金計画

(2)障害厚生年金

①受給要件

・以下の要件をすべて満たした人に対して、障害厚生年金が支給される

・初診日に厚生年金の被保険者であること

・障害認定日に障害等級1級、2級または3級の障害状態にあること

・初診日の前日において、原則として、初診日の属する月の前々月までに、

保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が被保険者期間全体

の3分の2以上あること(ただし、特例として、初診日が 2026(令和8)

年4月1日前で65歳未満である場合には、初診日の属する月の前々月ま

での1年間に保険料の滞納期間がないこと)

②年金額(2020(令和2)年度価額)

障害等級 年金額

1級 報酬比例部分×1.25

2級 報酬比例部分と同額

3級 報酬比例部分と同額(最低保障あり)

・1級と2級の障害厚生年金で、受給者に生計を維持されている配偶者が

いる場合には、配偶者の加給年金額の加算がある(224,900 円)

4.遺族給付

●ポイント整理

(1)遺族基礎年金

①受給要件

・以下のいずれかに該当する人が死亡した場合、その遺族で要件を満たす

人がいれば、遺族基礎年金が支給される

・国民年金の被保険者

・国内に住所がある 60 歳以上 65 歳未満の国民年金の被保険者であった人

・老齢基礎年金の受給資格期間が 25 年以上ある人

②受給できる遺族の範囲

・「子」または「子のある配偶者」のみ(この場合の「子」とは、「18 歳に

49

1章

ライフプランニングと資金計画

達した後の最初の3月末までの未婚の子(一般的には高校卒業前の未婚

の子)」または「20 歳未満で1級、2級障害の未婚の子」)

(2)死亡一時金

①受給要件

・死亡した人が、以下の要件を満たしていることが必要である

・死亡日の前日において、死亡月の前月までの「第1号被保険者としての

保険料納付済期間」と「4分の3免除期間の4分の1」「半額免除期間

の2分の1」「4分の1免除期間の4分の3」を合算した月数(保険料

納付済月数)が 36 月(3年)以上ある

・老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していない

・遺族基礎年金を受給できる遺族がいない

②その他

・寡婦年金と併給することはできない

(3)寡婦年金

①受給要件

・死亡した夫が、以下の要件を満たしていることが必要である

・死亡日の前日において、死亡月の前月までの第1号被保険者としての保

険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が 10 年以上ある

・老齢基礎年金を受給していない、障害基礎年金の受給権者であったこと

がない

・寡婦年金を受給できるのは、死亡した夫との婚姻期間が継続して 10年以

上あり、夫に生計維持されていた 65 歳未満の妻

②その他

・死亡一時金と併給することはできない

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50

1章

ライフプランニングと資金計画

(4)遺族厚生年金

①受給要件

・以下のいずれかに該当する人が死亡した場合、その遺族で要件を満たす

人がいれば、遺族厚生年金が支給される(死亡時に厚生年金保険の被保

険者でない場合でも、遺族厚生年金が支給されることがある)

・厚生年金保険の被保険者

・厚生年金保険の被保険者であった人で、厚生年金保険の被保険者期間中

に初診日のある傷病によって初診日から5年以内に死亡したとき

・障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者

・老齢厚生年金の受給資格期間が 25 年以上ある人

②年金額

・遺族厚生年金の年金額は、死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の

額の4分の3相当額である

③受給できる遺族の範囲

・死亡した人に生計を維持されていた人

・順位は以下のとおり(遺族基礎年金よりも範囲が広い)

第1順位:妻・子・夫 (注)夫、父母、祖父母には年齢の制約がある

第2順位:父母

第3順位:孫

第4順位:祖父母

・子のいない 30 歳未満の妻は、5年間の有期給付となる

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50

1章

ライフプランニングと資金計画

(4)遺族厚生年金

①受給要件

・以下のいずれかに該当する人が死亡した場合、その遺族で要件を満たす

人がいれば、遺族厚生年金が支給される(死亡時に厚生年金保険の被保

険者でない場合でも、遺族厚生年金が支給されることがある)

・厚生年金保険の被保険者

・厚生年金保険の被保険者であった人で、厚生年金保険の被保険者期間中

に初診日のある傷病によって初診日から5年以内に死亡したとき

・障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者

・老齢厚生年金の受給資格期間が 25 年以上ある人

②年金額

・遺族厚生年金の年金額は、死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の

額の4分の3相当額である

③受給できる遺族の範囲

・死亡した人に生計を維持されていた人

・順位は以下のとおり(遺族基礎年金よりも範囲が広い)

第1順位:妻・子・夫 (注)夫、父母、祖父母には年齢の制約がある

第2順位:父母

第3順位:孫

第4順位:祖父母

・子のいない 30 歳未満の妻は、5年間の有期給付となる

51

1章

ライフプランニングと資金計画

(5)中高齢寡婦加算

①受給要件

・以下のいずれかの要件を満たす、遺族基礎年金を受給できない妻、遺族

基礎年金の受給が終了した妻に対して、遺族厚生年金に加算される

・夫の死亡当時に 40 歳以上 65 歳未満

・40歳時に「18歳に達した後の最初の3月末までの未婚の子(一般的には

高校卒業前の未婚の子)」または「20 歳未満で1級、2級障害の未婚の

子」がいる

②その他

・40 歳以上 65 歳未満の期間で、妻が遺族基礎年金を受給できない期間に

支給される(妻が遺族基礎年金を受給している期間は支給停止となる)

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題7>

公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれ

か。

1.遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者ま

たは被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、

かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」に限られ

る。

2.厚生年金保険の被保険者が死亡したことにより支給される遺族厚生年

金の年金額は、死亡した者の厚生年金保険の被保険者期間の月数が

300月未満の場合は、300月とみなして計算する。

3.厚生年金保険の被保険者が死亡したことにより遺族厚生年金の受給権

者となった子が、直系血族である祖父の養子となった場合、当該子の

遺族厚生年金の受給権は消滅する。

4.国民年金の第1号被保険者が死亡し、その遺族である妻が寡婦年金と

死亡一時金の両方の受給要件を満たす場合、その妻はどちらか一方を

選択して受給する。

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52

1章

ライフプランニングと資金計画

正解 3

1.適切。なお、ここでいう「子」とは、「18歳に達した後の最初の3月

末(一般的に高校卒業)までの間にある未婚の子」または「20歳未満

で1級、2級障害の未婚の子」である。

2.適切。死亡時に厚生年金保険の被保険者に該当する場合等を「短期要

件」、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者に該当する場合

を「長期要件」といい、年金額を計算する際に取扱いが異なる。なお、

短期要件に該当する場合には、加入月数が300月に満たない場合には、

300月加入していたものとして年金額を300月分に増額する。

3.不適切。遺族厚生年金の受給権者となった子が、直系血族である祖父

の養子となった場合であっても、当該子の遺族厚生年金の受給権は消

滅しない。なお、直系血族または直系姻族以外の者の養子になったと

きには遺族厚生年金の受給権は消滅する。

4.適切。記述のとおり。

5.年金受給の選択方法

●ポイント整理

(1)原則

・公的年金には「一人一年金」の原則があり、国民年金と厚生年金保険の

給付を同時に受給できるのは、両方の年金の支給事由が同じであること

が原則となっている

(2)例外(65歳以上の者)

①障害年金

・「障害基礎年金+老齢厚生年金」または「障害基礎年金+遺族厚生年金」

のいずれかを選択することができる

②遺族年金

・遺族厚生年金と自分自身の老齢厚生年金の両方の受給権を満たす人は、

まず原則として「老齢基礎年金+老齢厚生年金」で計算した額を全額受

給する

・その上で、自分自身の「老齢厚生年金」が「遺族厚生年金(差額計算

前)」または「老齢厚生年金の1/2+遺族厚生年金(差額計算前)の

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52

1章

ライフプランニングと資金計画

正解 3

1.適切。なお、ここでいう「子」とは、「18歳に達した後の最初の3月

末(一般的に高校卒業)までの間にある未婚の子」または「20歳未満

で1級、2級障害の未婚の子」である。

2.適切。死亡時に厚生年金保険の被保険者に該当する場合等を「短期要

件」、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者に該当する場合

を「長期要件」といい、年金額を計算する際に取扱いが異なる。なお、

短期要件に該当する場合には、加入月数が300月に満たない場合には、

300月加入していたものとして年金額を300月分に増額する。

3.不適切。遺族厚生年金の受給権者となった子が、直系血族である祖父

の養子となった場合であっても、当該子の遺族厚生年金の受給権は消

滅しない。なお、直系血族または直系姻族以外の者の養子になったと

きには遺族厚生年金の受給権は消滅する。

4.適切。記述のとおり。

5.年金受給の選択方法

●ポイント整理

(1)原則

・公的年金には「一人一年金」の原則があり、国民年金と厚生年金保険の

給付を同時に受給できるのは、両方の年金の支給事由が同じであること

が原則となっている

(2)例外(65歳以上の者)

①障害年金

・「障害基礎年金+老齢厚生年金」または「障害基礎年金+遺族厚生年金」

のいずれかを選択することができる

②遺族年金

・遺族厚生年金と自分自身の老齢厚生年金の両方の受給権を満たす人は、

まず原則として「老齢基礎年金+老齢厚生年金」で計算した額を全額受

給する

・その上で、自分自身の「老齢厚生年金」が「遺族厚生年金(差額計算

前)」または「老齢厚生年金の1/2+遺族厚生年金(差額計算前)の

53

1章

ライフプランニングと資金計画

2/3」のいずれか多いほうよりも少ない場合には、その多い額との差

額が別途「遺族厚生年金」として支給される

<年金受給の選択方法>

老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金

65歳未満 65歳以上

老齢基礎

年金 ○ △ △ ○

障害基礎

年金 △※ ○ △ ○

遺族基礎

年金 △ △ ○ ○

(注)○は同時に受給でき、△はいずれか一方を選択する。なお、※は65歳

以上の人は同時に受給できることを表わす

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54

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅳ その他の年金制度

1.確定給付型の企業年金

●ポイント整理

(1)確定給付企業年金

基金型 規約型

加入対象者

(加入資格)

・実施企業に使用される厚生年金保険の被保険者

・規約により加入資格を定めることもできる

運営方法

実施企業と別法人の基金

が年金資産の管理や給付

の裁定などを行う

実施企業は信託銀行等と契

約を結び、ほとんどの事務

を任せる

掛金 事業主負担(規約で定める場合に、加入者の同意があれ

ば、加入者拠出もできる)

企業拠出分 全額損金算入

従業員拠出分 生命保険料控除の対象

給付

・老齢給付金、脱退一時金、障害給付金、遺族給付金の

4種類(障害給付金、遺族給付金は、規約で定めた場

合の任意給付)

・脱退一時金以外は年金または一時金の選択が可能

老齢給付金の

課税

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

障害給付金の

課税 非課税

遺族給付金の

課税 相続税の対象

(2)厚生年金基金

加入対象者

(加入資格)

実施事業所に使用される厚生年金保険の被保険者全員

(役員含む)

運営方法 実施企業とは別法人の基金を設立し、基金が年金資産の

管理や給付の裁定などを行う

掛金

・代行部分は労使折半

・加算部分は一般に実施企業が全額負担するが、加算部

分の掛金の2分の1までであれば、加入者が負担する

ことも認められている

企業拠出分 全額損金算入

従業員拠出分 社会保険料控除の対象

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54

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅳ その他の年金制度

1.確定給付型の企業年金

●ポイント整理

(1)確定給付企業年金

基金型 規約型

加入対象者

(加入資格)

・実施企業に使用される厚生年金保険の被保険者

・規約により加入資格を定めることもできる

運営方法

実施企業と別法人の基金

が年金資産の管理や給付

の裁定などを行う

実施企業は信託銀行等と契

約を結び、ほとんどの事務

を任せる

掛金 事業主負担(規約で定める場合に、加入者の同意があれ

ば、加入者拠出もできる)

企業拠出分 全額損金算入

従業員拠出分 生命保険料控除の対象

給付

・老齢給付金、脱退一時金、障害給付金、遺族給付金の

4種類(障害給付金、遺族給付金は、規約で定めた場

合の任意給付)

・脱退一時金以外は年金または一時金の選択が可能

老齢給付金の

課税

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

障害給付金の

課税 非課税

遺族給付金の

課税 相続税の対象

(2)厚生年金基金

加入対象者

(加入資格)

実施事業所に使用される厚生年金保険の被保険者全員

(役員含む)

運営方法 実施企業とは別法人の基金を設立し、基金が年金資産の

管理や給付の裁定などを行う

掛金

・代行部分は労使折半

・加算部分は一般に実施企業が全額負担するが、加算部

分の掛金の2分の1までであれば、加入者が負担する

ことも認められている

企業拠出分 全額損金算入

従業員拠出分 社会保険料控除の対象

55

1章

ライフプランニングと資金計画

給付

・老齢(退職)給付、死亡一時金

・代行部分は終身年金

・加算部分は確定年金や一時金とすることが可能

老齢給付の課

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

2.確定拠出年金

●ポイント整理

(1)概要

企業型年金 個人型年金(iDeCo)

加入対象者

企業型年金を実施して

いる企業に勤める60歳

未満の厚生年金保険の

被保険者

※規約により65歳まで

加入できる場合がある

1.自営業者等

(農業者年金の被保険者、国

民年金の保険料免除者を除

く)

(国民年金第1号被保険者)

2.厚生年金保険の被保険者

(公務員や私学共済制度の加

入者を含む。企業型年金加

入者は、企業年金規約にお

いて個人型年金への加入が

認められている者に限る)

(国民年金第2号被保険者)

3.専業主婦(夫)等

(国民年金第3号被保険者)

掛金の拠出 企業が拠出(注1) 個人が拠出(注2)

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56

1章

ライフプランニングと資金計画

拠出限度額

厚生年金基金・確定給

付企業年金などの加入

対象となる従業員:

年 額 33 万 円 月 額

27,500円

厚生年金基金・確定給

付企業年金等の加入対

象とならない従業員:

年 額 66 万 円 月 額

55,000円

1.自営業者等

年額81.6万円 月額68,000円

※国民年金基金の限度額と枠

を共有

2.厚生年金保険の被保険者

のうち

〔1〕厚生年金基金等の確定

給付型の年金を実施してい

る場合

年額14.4万円 月額12,000

〔2〕企業型年金のみを実施

している場合

年額24万円 月額20,000円

〔3〕企業型年金や厚生年金

基金等の確定給付型の年金

を実施していない場合(下

記〔4〕を除く)

年額27.6万円 月額23,000

〔4〕公務員、私学共済制度

の加入者

年額14.4万円 月額12,000

3.専業主婦(夫)等

年額27.6万円 月額23,000円

運用の指図 加入者が自らの年金資産の運用方法を選択して、運営管

理機関に対して運用指図を行う

税制(掛金)

・事業主が拠出した掛金額は、全額損金算入

・加入者が拠出した掛金額は、全額所得控除(小規模企業

共済等掛金控除)

税 制 ( 運 用

益) 非課税

老齢給付金の

課税

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

その他

・年金資産が個人別に管理される(個人の持分が明確)

・個人の持分が明確で転職時等に年金資産を持ち運びで

きる(ポータビリティがある)

・障害給付金は非課税、死亡一時金は相続税上のみなし

相続財産

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56

1章

ライフプランニングと資金計画

拠出限度額

厚生年金基金・確定給

付企業年金などの加入

対象となる従業員:

年 額 33 万 円 月 額

27,500円

厚生年金基金・確定給

付企業年金等の加入対

象とならない従業員:

年 額 66 万 円 月 額

55,000円

1.自営業者等

年額81.6万円 月額68,000円

※国民年金基金の限度額と枠

を共有

2.厚生年金保険の被保険者

のうち

〔1〕厚生年金基金等の確定

給付型の年金を実施してい

る場合

年額14.4万円 月額12,000

〔2〕企業型年金のみを実施

している場合

年額24万円 月額20,000円

〔3〕企業型年金や厚生年金

基金等の確定給付型の年金

を実施していない場合(下

記〔4〕を除く)

年額27.6万円 月額23,000

〔4〕公務員、私学共済制度

の加入者

年額14.4万円 月額12,000

3.専業主婦(夫)等

年額27.6万円 月額23,000円

運用の指図 加入者が自らの年金資産の運用方法を選択して、運営管

理機関に対して運用指図を行う

税制(掛金)

・事業主が拠出した掛金額は、全額損金算入

・加入者が拠出した掛金額は、全額所得控除(小規模企業

共済等掛金控除)

税 制 ( 運 用

益) 非課税

老齢給付金の

課税

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

その他

・年金資産が個人別に管理される(個人の持分が明確)

・個人の持分が明確で転職時等に年金資産を持ち運びで

きる(ポータビリティがある)

・障害給付金は非課税、死亡一時金は相続税上のみなし

相続財産

57

1章

ライフプランニングと資金計画

(注1)年金規約に定めがあれば、従業員が希望する場合には掛金を上乗せ

して拠出することができる(マッチング拠出)。従業員が拠出でき

る掛金は、「企業が拠出する掛金と同額まで」かつ「企業拠出分と

従業員拠出分の合計が拠出限度額以下」である

(注2)中小事業主掛金納付制度の利用により、事業主が個人型年金の掛金

を拠出することができる

(2)給付

・老齢給付金は、60歳に達した時点の通算加入者等期間が10年以上であれ

ば、60歳以降の希望するときから受給を開始することができるが、遅く

とも70歳までに受給を開始しなければならない

通算加入者等期間 受給開始可能年齢

10年以上 60歳から

8年以上 10年未満 61歳から

6年以上 8年未満 62歳から

4年以上 6年未満 63歳から

2年以上 4年未満 64歳から

1月以上 2年未満 65歳から

・50歳以降で初めて確定拠出年金に加入した場合には、60歳から老齢給付

金を受け取ることはできないが、遅くとも65歳からは受給を開始するこ

とができる

・確定拠出年金の年金資産は、60歳に達する前に任意で引き出すことはで

きない

Page 54: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

58

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題8>

確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上である場合、老齢給付金

は原則として60歳から受給することができる。

2.個人型年金の加入者が拠出した掛金は、税法上、小規模企業共済等掛

金控除として所得控除の対象となる。

3.企業型年金を実施していない企業の従業員である個人型年金の加入者

は、原則として、その者に支払われる給与からの天引きにより、事業

主を経由して掛金を納付することができる。

4.個人型年金の加入者は、個人別管理資産の額にかかわらず、脱退一時

金の支給を請求することができる。

正解 4

1.適切。なお、確定拠出年金の通算加入者等期間が10年未満である場合

には、その期間に応じて段階的に受給開始可能年齢が上がっていき、

通算加入者等期間が1月以上2年未満の場合には、老齢給付金は原則

として65歳から受給することができる。

2.適切。一方、企業型年金の企業が拠出した掛金は、税務上、その全額

が損金として認められ、従業員の給与としても課税されない。

3.適切。記述のとおり。

4.不適切。個人別管理資産の額が少額である場合などの一定の要件に該

当すれば、脱退一時金を請求し、制度から脱退することができる。し

たがって、個人別管理資産の額にかかわらず、脱退一時金を請求する

ことができるわけではない。

なお、個人型年金の加入者が脱退一時金を請求するためには、以下の

条件のすべてを満たす必要がある。

・国民年金保険料免除者であること

・障害給付金の受給権者でないこと

・掛金の通算拠出期間が1月以上3年以下(退職金等から確定拠出年

金へ資産の移換があった場合にはその期間も含む)、または個人別

管理資産の額が25万円以下であること

Page 55: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

58

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題8>

確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上である場合、老齢給付金

は原則として60歳から受給することができる。

2.個人型年金の加入者が拠出した掛金は、税法上、小規模企業共済等掛

金控除として所得控除の対象となる。

3.企業型年金を実施していない企業の従業員である個人型年金の加入者

は、原則として、その者に支払われる給与からの天引きにより、事業

主を経由して掛金を納付することができる。

4.個人型年金の加入者は、個人別管理資産の額にかかわらず、脱退一時

金の支給を請求することができる。

正解 4

1.適切。なお、確定拠出年金の通算加入者等期間が10年未満である場合

には、その期間に応じて段階的に受給開始可能年齢が上がっていき、

通算加入者等期間が1月以上2年未満の場合には、老齢給付金は原則

として65歳から受給することができる。

2.適切。一方、企業型年金の企業が拠出した掛金は、税務上、その全額

が損金として認められ、従業員の給与としても課税されない。

3.適切。記述のとおり。

4.不適切。個人別管理資産の額が少額である場合などの一定の要件に該

当すれば、脱退一時金を請求し、制度から脱退することができる。し

たがって、個人別管理資産の額にかかわらず、脱退一時金を請求する

ことができるわけではない。

なお、個人型年金の加入者が脱退一時金を請求するためには、以下の

条件のすべてを満たす必要がある。

・国民年金保険料免除者であること

・障害給付金の受給権者でないこと

・掛金の通算拠出期間が1月以上3年以下(退職金等から確定拠出年

金へ資産の移換があった場合にはその期間も含む)、または個人別

管理資産の額が25万円以下であること

59

1章

ライフプランニングと資金計画

・企業型年金または個人型年金の資格喪失日から2年を経過していな

いこと

・企業型年金の資格を喪失した者が脱退一時金の支給を受けていない

こと

3.中小企業などの退職金準備制度、自営業者などのための制度

●ポイント整理

(1)中小企業退職金共済(中退共)

加入対象者

・従業員は原則として全員加入(企業の役員・個人事業

主とその配偶者は加入できないが、使用人兼務役員は

加入可)

・短時間労働者も加入可

掛金 全額事業主負担(法人の場合は損金、個人の場合は必要

経費)

掛金月額 ・5,000~30,000円まで16種類(その他、短時間労働者の

特例掛金が2,000~4,000円の3種類)

国からの掛金

の助成 あり

受取方法 一時金、年金形式、一時金と年金形式の併用

年金受取期間 5年または10年

税 制 ( 受 給

時)

・年金は雑所得として総合課税(公的年金等控除の適用

が受けられる)

・一時金は退職所得として分離課税

(2)国民年金基金

加入対象者

・国民年金の第1号被保険者(国民年金保険料を全額納

付している者に限る)

・国民年金に任意加入した60歳以上65歳未満の者

・海外に居住している国民年金任意加入被保険者(65歳

未満)

掛金月額

・個人型確定拠出年金の掛金と合算して68,000円以内

・加入する「型」ごとに、年齢や性別によって決められ

ている(前納による割引制度がある)

掛金(税制) 社会保険料控除

Page 56: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

60

1章

ライフプランニングと資金計画

中途脱退

・脱退要件に該当しない限り、任意に脱退はできない

・脱退できても解約返戻金は支払われず、掛金を納めた

期間に応じて将来に年金が給付される

受取方法

・年金(雑所得として総合課税されるが、公的年金等控

除の適用が受けられる)

・1口目は65歳から受給開始となる終身年金、2口目以

降は終身年金または確定年金

(3)小規模企業共済

加入対象者 常時雇用する従業員が20人(商業・サービス業は5人)

以下の事業所の個人事業主か役員

掛金月額 1,000~70,000円の間で、500円単位で自由に設定

掛金(税制) 小規模企業共済等掛金控除

中途脱退

・いつでも解約可能(任意解約)

・解約により解約手当金が支払われる(掛金納付が12ヵ

月以上の場合)

受取方法

・分割払(雑所得として総合課税されるが、公的年金等

控除の適用が受けられる)

・一時払(退職所得として分離課税される)

・分割払と一時払の併用

Page 57: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

60

1章

ライフプランニングと資金計画

中途脱退

・脱退要件に該当しない限り、任意に脱退はできない

・脱退できても解約返戻金は支払われず、掛金を納めた

期間に応じて将来に年金が給付される

受取方法

・年金(雑所得として総合課税されるが、公的年金等控

除の適用が受けられる)

・1口目は65歳から受給開始となる終身年金、2口目以

降は終身年金または確定年金

(3)小規模企業共済

加入対象者 常時雇用する従業員が20人(商業・サービス業は5人)

以下の事業所の個人事業主か役員

掛金月額 1,000~70,000円の間で、500円単位で自由に設定

掛金(税制) 小規模企業共済等掛金控除

中途脱退

・いつでも解約可能(任意解約)

・解約により解約手当金が支払われる(掛金納付が12ヵ

月以上の場合)

受取方法

・分割払(雑所得として総合課税されるが、公的年金等

控除の適用が受けられる)

・一時払(退職所得として分離課税される)

・分割払と一時払の併用

61

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅴ ライフプラン策定上の資金計画

1.住宅資金

●ポイント整理

(1)住宅ローンの金利

金利タイプ 主な特徴

固定金利 返済終了まで毎回の返済額は変わらない(返済中に

金利が上下しても返済負担は変わらない)

変動金利

・返済開始後に金利が上がると毎回の返済額UP、

金利が下がると毎回の返済額DOWN

・金利の見直しは半年ごと、返済額は5年ごとに見

直し

・返済額が増える場合でも、見直し前の返済額の

1.25倍が上限

固定金利期間

選択型

当初〇年間〇%など、一定期間は固定金利が適用さ

れ、その後は固定金利または変動金利を選択する

(2)住宅ローンの返済方法

①元利均等返済・・・元金部分と利息部分を合わせた毎回の返済額が一定

<イメージ図>

②元金均等返済・・・毎回の返済額のうち、元金部分の返済額が一定

<イメージ図>

利息

毎回の返済額

返済期間

元金

利息

毎回の返済額

返済期間

元金

Page 58: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

62

1章

ライフプランニングと資金計画

同条件で元利均等返済と元金均等返済を比較すると次のとおり

返済開始当初の返済額 総返済額

元利均等返済 少ない 多い

元金均等返済 多い 少ない

(3)主な住宅ローンの種類と内容

①財形住宅融資

・1年以上継続して財形貯蓄(財形貯蓄の種類は問われない)を行い、

貯蓄残高の合計が50万円以上あれば、貯蓄残高の10倍以内で最高4,000

万円まで融資を受けることができる(ただし、原則として物件価格の

90%以内)

②フラット35

申込者

年齢が満70歳未満で、収入等に関する一定の要件を満た

している者

(親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上も可)

収入要件

住宅ローンとその他の借入金を合わせたすべての借入金

の年間返済額の年収に占める割合が、次の基準以下であ

ること など

年収 400万円未満 400万円以上

基準 30%以下 35%以下

融資物件 本人または親族が居住するための一定の新築住宅の建

設・購入または一定の中古住宅の購入に係る融資

物件要件

住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していること

住宅の床面積は一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上

など

融資額 100万円以上8,000万円以下で、建設費・購入価額の100%

以内の金額

返済期間 原則として15年以上35年以内

適用金利

・固定金利(融資実行時点の金利、各金融機関が独自に

設定)

・融資率90%超となる場合、金利は90%以下のものより

も高くなる

団体信用

生命保険 原則として毎月の返済額に団信保険料が含まれている

その他

・保証人不要、保証料不要

・繰上げ返済時の必要額は、金融機関の窓口で100万円以

上、インターネット・サービス「住・My Note(す・ま

い のーと)」で10万円以上であり、繰上げ数料不要

・借換えにも利用できる

Page 59: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

62

1章

ライフプランニングと資金計画

同条件で元利均等返済と元金均等返済を比較すると次のとおり

返済開始当初の返済額 総返済額

元利均等返済 少ない 多い

元金均等返済 多い 少ない

(3)主な住宅ローンの種類と内容

①財形住宅融資

・1年以上継続して財形貯蓄(財形貯蓄の種類は問われない)を行い、

貯蓄残高の合計が50万円以上あれば、貯蓄残高の10倍以内で最高4,000

万円まで融資を受けることができる(ただし、原則として物件価格の

90%以内)

②フラット35

申込者

年齢が満70歳未満で、収入等に関する一定の要件を満た

している者

(親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上も可)

収入要件

住宅ローンとその他の借入金を合わせたすべての借入金

の年間返済額の年収に占める割合が、次の基準以下であ

ること など

年収 400万円未満 400万円以上

基準 30%以下 35%以下

融資物件 本人または親族が居住するための一定の新築住宅の建

設・購入または一定の中古住宅の購入に係る融資

物件要件

住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していること

住宅の床面積は一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上

など

融資額 100万円以上8,000万円以下で、建設費・購入価額の100%

以内の金額

返済期間 原則として15年以上35年以内

適用金利

・固定金利(融資実行時点の金利、各金融機関が独自に

設定)

・融資率90%超となる場合、金利は90%以下のものより

も高くなる

団体信用

生命保険 原則として毎月の返済額に団信保険料が含まれている

その他

・保証人不要、保証料不要

・繰上げ返済時の必要額は、金融機関の窓口で100万円以

上、インターネット・サービス「住・My Note(す・ま

い のーと)」で10万円以上であり、繰上げ数料不要

・借換えにも利用できる

63

1章

ライフプランニングと資金計画

(4)住宅ローンの見直し

①借換え

現在のローンを一括返済するために、新たにローンを組むことをいう

・その時点で融資基準を満たしていないと、融資を受けられない

・担保評価が低い場合には、希望する融資を受けられない

・新規融資と同様、印紙税や抵当権設定費用、保証料等の諸費用がかかる

・団体信用生命保険への加入が融資条件となる(健康状態が問われる)

・試験では、借換えをした場合の総返済額について問われることがある

返済軽減額=現在の総返済額-借換後の総返済額(借換え費用を含む)

②繰上げ返済

繰上げ返済を行うことにより、将来に支払う利息を軽減する効果がある

(繰上げ返済を行うことで、総返済額は減少する)。ローン元金残高が多

いとき、つまり、早く行うほど総返済額の削減効果が高くなる

<繰上げ返済の種類>

期間短縮型 毎回の返済額は変えずに、残りの返済期間を短縮する

返済額軽減型 残りの返済期間は変えずに、毎回の返済額を軽減する

※他の条件が同じである場合、総返済額の削減効果がより大きいのは、

「返済額軽減型」よりも「期間短縮型」のほうである

<期間短縮型のイメージ図>

<返済額軽減型のイメージ図>

毎回の返済額

返済期間

毎回の返済額

返済期間

元金

利息

▲ 繰上げ返済

繰上げ

返済額○A

軽減される

利息額○B

短縮される期間

元金

利息

▲ 繰上げ返済

軽減される利息額○B

繰上げ返済額○A

繰上げ返済後の 毎回の返済額

Page 60: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

64

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2018年5月学科・問題8>

Z銀行の住宅ローン(変動金利型)を利用し返済中であるAさんが、Z

銀行以外から住宅ローンを借り換える場合に関する次の記述のうち、最も

不適切なものはどれか。

1.Aさんが全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、返済期間

中に市中金利が上昇すると、金利の上昇分に相当する額の返済負担は

増加する。

2.Aさんが住宅の床面積や収入等の融資条件を満たせば、借換先の住宅

ローンとして「フラット35」を利用することは可能である。

3.AさんがZ銀行以外の金融機関に住宅ローンの借換えを申し込んでも、

借換先の金融機関の担保評価基準によっては融資を受けられないこと

がある。

4.AさんがZ銀行以外の金融機関の住宅ローンに借り換えた場合、Z銀

行の抵当権の抹消および借換先の金融機関の抵当権の設定が必要とな

るため、登録免許税等の諸費用が必要となる。

正解 1

1.不適切。全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、返済期間

中に市中金利が上昇しても金利は変動せず、返済額は変わらない。

2.適切。「フラット35」は借換えでも利用することができる。

3.適切。Z銀行以外の金融機関から新たに住宅ローンを借りることにな

るため、改めて審査が行われる。その結果、融資を受けられないこと

も考えられる。

4.適切。Z銀行以外の金融機関から新たに住宅ローンを借りることにな

るため、改めて諸経費が必要となる。

Page 61: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

64

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2018年5月学科・問題8>

Z銀行の住宅ローン(変動金利型)を利用し返済中であるAさんが、Z

銀行以外から住宅ローンを借り換える場合に関する次の記述のうち、最も

不適切なものはどれか。

1.Aさんが全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、返済期間

中に市中金利が上昇すると、金利の上昇分に相当する額の返済負担は

増加する。

2.Aさんが住宅の床面積や収入等の融資条件を満たせば、借換先の住宅

ローンとして「フラット35」を利用することは可能である。

3.AさんがZ銀行以外の金融機関に住宅ローンの借換えを申し込んでも、

借換先の金融機関の担保評価基準によっては融資を受けられないこと

がある。

4.AさんがZ銀行以外の金融機関の住宅ローンに借り換えた場合、Z銀

行の抵当権の抹消および借換先の金融機関の抵当権の設定が必要とな

るため、登録免許税等の諸費用が必要となる。

正解 1

1.不適切。全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、返済期間

中に市中金利が上昇しても金利は変動せず、返済額は変わらない。

2.適切。「フラット35」は借換えでも利用することができる。

3.適切。Z銀行以外の金融機関から新たに住宅ローンを借りることにな

るため、改めて審査が行われる。その結果、融資を受けられないこと

も考えられる。

4.適切。Z銀行以外の金融機関から新たに住宅ローンを借りることにな

るため、改めて諸経費が必要となる。

65

1章

ライフプランニングと資金計画

2.教育資金

●ポイント整理

(1)教育一般貸付(国の教育ローン)

・保護者の世帯年収(所得)が、世帯の扶養している子の数に応じて定め

られている金額以内である場合に利用できる

・学費、入学金だけでなく、教材費、受験費用、下宿にかかる住居費用、

通学費用、学生の国民年金保険料などに充当することもできる

融資機関 日本政策金融公庫

収入要件 あり

金利タイプ 固定金利

最長返済期間 原則15年

融資限度額 学生・生徒1人あたり350万円※

※一定の海外留学資金として利用する場合は450万円まで

(2)日本学生支援機構の奨学金(貸与型)

・在学中に毎月所定の金額が貸与され、卒業後に月賦等の方法で返還する

もので、特に優れた学生および生徒で経済的理由により著しく修学困難

な者に貸与される「第一種奨学金」(無利息)と、第一種奨学金よりも

緩やかな基準によって選考された学生および生徒に貸与される「第二種

奨学金」(利息あり)がある

第一種奨学金 第二種奨学金

収入要件 あり

返還義務 あり

利息 在学中 なし

卒業後 なし あり

保証制度 機関保証に加入する、または、連帯保証人と保証人

を選任する(人的保証)のいずれかを選択

Page 62: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

66

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題9>

教育ローンおよび奨学金に関する次の記述のうち、最も不適切なものは

どれか。

1.日本学生支援機構の奨学金(貸与型)には、無利息の第一種奨学金と、

利息付き(在学中は無利息)の第二種奨学金がある。

2.日本学生支援機構の奨学金制度には保証制度があり、貸与型の場合は、

所定の海外留学資金として利用する場合を除き、連帯保証人と保証人

を選任する人的保証と日本国際教育支援協会の機関保証の両方の保証

が必要となる。

3.日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の融資限度額は、

所定の海外留学資金として利用する場合を除き、入学・在学する学

生・生徒1人につき350万円である。

4.日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)を利用するため

には、世帯年収(所得)が、申込人の世帯で扶養している子の数に応

じて定められている金額以内であることが要件とされている。

正解 2

1.適切。日本学生支援機構の貸与型奨学金のうち、第一種奨学金は無利

息貸与、第二種奨学金は利息付(在学中は無利息)貸与である。

2.不適切。日本学生支援機構の貸与型奨学金(所定の海外留学資金とし

て利用する場合を除く)において、連帯保証人と保証人を選任する人

的保証と日本国際教育支援協会の機関保証のいずれかの保証が必要と

なる。

3.適切。なお、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の

返済期間の上限は、母子家庭等の場合を除き、原則15年である。

4.適切。なお、申込人の世帯で扶養している子の数が2人以内であると

きは、一定の要件を満たした場合に世帯年収(所得)の上限額が緩和

される。

Page 63: 第1章 ライフプランニングと資金計画 学科...6 第 1 章 ラ イ フ プ ラ ン ニ ン グ と 資 金 計 画 Ⅰ ファイナンシャル・プランニングの基礎

66

1章

ライフプランニングと資金計画

★過去問にチャレンジ!

<2019年9月学科・問題9>

教育ローンおよび奨学金に関する次の記述のうち、最も不適切なものは

どれか。

1.日本学生支援機構の奨学金(貸与型)には、無利息の第一種奨学金と、

利息付き(在学中は無利息)の第二種奨学金がある。

2.日本学生支援機構の奨学金制度には保証制度があり、貸与型の場合は、

所定の海外留学資金として利用する場合を除き、連帯保証人と保証人

を選任する人的保証と日本国際教育支援協会の機関保証の両方の保証

が必要となる。

3.日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の融資限度額は、

所定の海外留学資金として利用する場合を除き、入学・在学する学

生・生徒1人につき350万円である。

4.日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)を利用するため

には、世帯年収(所得)が、申込人の世帯で扶養している子の数に応

じて定められている金額以内であることが要件とされている。

正解 2

1.適切。日本学生支援機構の貸与型奨学金のうち、第一種奨学金は無利

息貸与、第二種奨学金は利息付(在学中は無利息)貸与である。

2.不適切。日本学生支援機構の貸与型奨学金(所定の海外留学資金とし

て利用する場合を除く)において、連帯保証人と保証人を選任する人

的保証と日本国際教育支援協会の機関保証のいずれかの保証が必要と

なる。

3.適切。なお、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の

返済期間の上限は、母子家庭等の場合を除き、原則15年である。

4.適切。なお、申込人の世帯で扶養している子の数が2人以内であると

きは、一定の要件を満たした場合に世帯年収(所得)の上限額が緩和

される。

67

1章

ライフプランニングと資金計画

Ⅵ 中小法人の資金計画

1.資金調達および決算書

●ポイント整理

(1)資金調達

①間接金融

・金融機関が預金等で集めた資金を、その金融機関の責任で企業等に貸

し付けるもの

<間接金融の代表的な手段>

手形貸付 約束手形を金融機関に振り出して融資を受ける

証書貸付 借用証書を金融機関に提出して融資を受ける

当座貸越 当座預金の残高を超えて手形を振り出したときに、一定

の範囲内で自動的に融資を受ける

②直接金融

・資金の出し手が企業等に直接資金を払い込むもの

<直接金融の代表的な手段>

増資

・会社が資本金または出資金を増加させること

・既存株主に新株引受権を与える「株主割当増資」、株

主であるか否かを問わず特定の第三者に新株引受権を

与える「第三者割当増資」、不特定多数の一般投資家

に新株引受権を与える「公募増資」などがある

少人数

私募債 ・50人未満の投資家を対象に発行される社債

(2)決算書

①貸借対照表(B/S)

会社の期末における財政状態を明らかにするもの

資産

流動資産

現金及び預金

売掛金

商品

固定資産

負債(他人資本)

流動負債

支払手形

固定負債

長期借入金

純資産(自己資本)

資産=負債+純資産

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68

1章

ライフプランニングと資金計画

②損益計算書(P/L)

経営成績を明らかにするもの

売上総利益 売上高-売上原価

営業利益 売上総利益-販売費及び一般管理費

経常利益 営業利益+営業外収益-営業外費用

税引前当期純利益 経常利益+特別利益-特別損失

当期純利益 税引前当期純利益-法人税・住民税及び

事業税

③キャッシュフロー計算書

・実際のお金(資金)の流れを把握するために作成されるもの

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題10>

下記<A社の貸借対照表>に関する次の空欄(ア)~(エ)にあてはま

る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<A社の貸借対照表> (単位:百万円)

項目 金額 項目 金額

(資産の部)

流動資産

現金及び預金

( ア )

製品及び商品

流動資産合計

固定資産

有形固定資産

固定資産合計

300

300

200

800

700

700

(負債の部)

( イ )

支払手形

( イ )合計

( ウ )

長期借入金

( ウ )合計

400

400

500

500

負債合計 900

(純資産の部)

株主資本

資本金

( エ )

株主資本合計

200

400

600

純資産合計 600

資産合計 1,500 負債・純資産合計 1,500

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68

1章

ライフプランニングと資金計画

②損益計算書(P/L)

経営成績を明らかにするもの

売上総利益 売上高-売上原価

営業利益 売上総利益-販売費及び一般管理費

経常利益 営業利益+営業外収益-営業外費用

税引前当期純利益 経常利益+特別利益-特別損失

当期純利益 税引前当期純利益-法人税・住民税及び

事業税

③キャッシュフロー計算書

・実際のお金(資金)の流れを把握するために作成されるもの

★過去問にチャレンジ!

<2019年5月学科・問題10>

下記<A社の貸借対照表>に関する次の空欄(ア)~(エ)にあてはま

る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<A社の貸借対照表> (単位:百万円)

項目 金額 項目 金額

(資産の部)

流動資産

現金及び預金

( ア )

製品及び商品

流動資産合計

固定資産

有形固定資産

固定資産合計

300

300

200

800

700

700

(負債の部)

( イ )

支払手形

( イ )合計

( ウ )

長期借入金

( ウ )合計

400

400

500

500

負債合計 900

(純資産の部)

株主資本

資本金

( エ )

株主資本合計

200

400

600

純資産合計 600

資産合計 1,500 負債・純資産合計 1,500

69

1章

ライフプランニングと資金計画

1.(ア)買掛金 (イ)流動負債 (ウ)固定負債 (エ)社債

2.(ア)買掛金 (イ)固定負債 (ウ)流動負債 (エ)社債

3.(ア)売掛金 (イ)流動負債 (ウ)固定負債 (エ)利益剰余金

4.(ア)売掛金 (イ)固定負債 (ウ)流動負債 (エ)利益剰余金

正解 3

<A社の貸借対照表> (単位:百万円)

項目 金額 項目 金額

(資産の部)

流動資産

現金及び預金

(ア.売掛金)

製品及び商品

流動資産合計

固定資産

有形固定資産

固定資産合計

300

300

200

800

700

700

(負債の部)

(イ.流動負債)

支払手形

(イ.流動負債)合計

(ウ.固定負債)

長期借入金

(ウ.固定負債)合計

400

400

500

500

負債合計 900

(純資産の部)

株主資本

資本金

(エ.利益剰余金)

株主資本合計

200

400

600

純資産合計 600

資産合計 1,500 負債・純資産合計 1,500

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1章

ライフプランニングと資金計画

<2018年9月学科・問題10>

下記<物品販売業A社の損益計算書>に関する次の空欄(ア)~(エ)

にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<物品販売業A社の損益計算書> (単位:百万円)

売上高 500

売上原価 300

[( ア )] 200

販売費及び一般管理費 120

[( イ )] 80

営業外損益 10

[( ウ )] 90

特別損益 10

[( エ )] 100

法人税等 20

当期純利益 80

1.(ア)売上総利益 (イ)経常利益 (ウ)営業利益 (エ)税引前当期純利益

2.(ア)売上総利益 (イ)営業利益 (ウ)経常利益 (エ)税引前当期純利益

3.(ア)営業利益 (イ)売上総利益 (ウ)経常利益 (エ)税引前当期純利益

4.(ア)売上総利益 (イ)営業利益 (ウ)税引前当期純利益 (エ)経常利益

正解 2

売上高-売上原価=売上総利益 …(ア)

売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益 …(イ)

営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益 …(ウ)

経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益 …(エ)

税引前当期純利益-法人税・住民税及び事業税=当期純利益