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第2編 学校の管理下の熱中症の発生傾向

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第2編

学校の管理下の熱中症の発生傾向

第2編

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第2編 学校の管理下の熱中症の発生傾向

JSC では、学校の管理下で発生した児童生徒等の災害について医療費、障害見舞

金及び死亡見舞金を支給する災害共済給付業務を行っている。この制度には全国

の児童生徒等の約 97%が加入し、義務教育諸学校ではほぼ 100%、高等学校では 98%

が加入しており、平成 24 年度には年間約 112 万件の学校の管理下の事故の報告が

あった。この災害共済給付のデータについては、事故防止のための資料としても

活用しており、平成 17 年度からは災害共済給付オンライン請求システム(以下「シ

ステム」という。)を導入し、全国の学校・設置者約 7万 5千か所とネットワーク

で結んでデータを集積している。

今回、調査研究に際して「学校の管理下の熱中症の現状」を把握するため、これ

ら災害共済給付で蓄積されたデータを使い、分析を試みた。

第1章 学校の管理下の熱中症死亡事故

JSCが平成2年度から平成24年度の23年間に災害共済給付で死亡見舞金の支給

を行った熱中症での死亡事故は 80 件であった。

この 80 件を、発生年度別に発生校種別に分類した。

Ⅰ 学校の管理下の熱中症死亡事故の概要(全般)

中学校、高等学校での発生が多いが、発生数は減少傾向にあり、小学校では平

成 7年以降、中学校では平成 20 年以降の死亡事例はない。

保育所では屋内の活動で、小学校では屋外の活動(遠足、林間学校)で、中学

校、高等学校、高等専門学校ではほとんどが体育活動で発生しており、全体とし

ては 92.5%が体育活動によるものであった。

発生月の 85%は 7月、8月であるが、長距離走などの陸上競技では 2月、11 月

にも発生例があった。

1 年度・学校種別

図 2-1-1 学校の管理下の熱中症死亡事故 年度・学校種別(H2~H24)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

H2

H3

H4

H5

H6

H7

H8

H9

H10

H11

H12

H13

H14

H15

H16

H17

H18

H19

H20

H21

H22

H23

H24

高専

(件)

-8-

第2編 第1章

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図 2-1-2 学校の管理下の熱中症死亡事故 学校種別割合(H2~H24)

2 学校種・活動別

図 2-1-3 学校の管理下の熱中症死亡事故 学校・活動別(H2~H24)

図 2-1-4 学校の管理下の熱中症死亡事故 活動別(H2~H24)

保育所

1.3%小学校

2.5%

中学校

26.2%

高等学校

68.8%

高等専門学校

1.3%

体育活

92.5%

他の活

7.5%

表 2-1-1 学校の管理下の熱中症死亡事故 活動別(H2~H24)

件数

体育活動 74

その他の活動 6

0 10 20 30 40 50 60

高専

体育活動

他の活動

(件)

-9-

第2編 第1章

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3 競技別等・月別

表 2-1-2 学校の管理下の熱中症死亡事故 競技別・月別(H2~H24) (件)

競技 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 合計 野球 0 0 0 0 0 1 11 7 0 0 0 0 19

サッカー 0 0 0 0 0 0 4 5 0 0 0 0 9 ラグビー 0 0 0 0 0 0 4 3 2 1 0 0 10

バスケット 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 ハンドボール 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 2

アメリカンフットボール 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バレーボール 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 陸上競技※ 0 1 0 0 0 0 1 3 1 0 1 0 7

剣道 0 0 0 0 0 0 2 6 0 0 0 0 8 柔道 0 0 0 0 0 0 3 2 1 0 0 0 6

レスリング 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 相撲 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 2 山岳 0 0 0 0 0 1 3 0 0 0 0 0 4 ボート 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1

体育活動以外 0 0 0 0 0 0 3 2 0 1 0 0 6 合計 0 1 0 0 0 3 33 35 5 2 1 0 80

※学校行事のマラソン大会などを含む

Ⅱ 体育活動外の熱中症死亡事故

学校管理下の熱中症死亡事故 80 件のうち体育活動以外の 6件は次のとおりであ

る。

表 2-1-3 体育活動外の熱中症死亡事故一覧

学校 学年 性別 月 気温(℃)湿度(%) 場所 活動別 行動

保 男 8 月 26.3 82.0 校舎内 保育 木製の棚の中で遊ぶ

小 5 男 10 月 31.3 47.0 道路 遠足 遠足(オリエンテーリング)

小 5 男 7 月 34.0 58.0 山・林野 宿泊学習 ハイキング

中 1 男 7 月 34.1 48.0 山・林野 宿泊学習 3333 段の石段上る

中 2 男 7 月 27.2 70.0 山・林野 宿泊学習 登山中

高 1 男 8 月 36.9 46.0 道路 下校 自転車で帰宅

※気温・湿度は事故現場近隣の気象庁データによる

これをみると、発生月は 1件を除き 7月、8月に発生しており、他の 1件も 10 月

であるが気温 31℃以上の環境下で発生している。学校学年別では保育所 1件、小学

校 2件、中学校 2件、高等学校 1件であり、各学校種で発生している。

小学校、中学校では全件が遠足、宿泊学習といった校外の学校行事の際に発生し

ており、通常の学校内での活動と異なり、疲労が蓄積され熱中症を起こしやすい状

態になっていたことが考えられる。各学校は行事の計画段階において気象条件、児

童生徒の発達段階や体力に配慮しながら活動内容を計画するとともに、指導者によ

る健康観察や児童生徒相互による観察を行い、児童生徒の身体や疲労の状況を把握

し、常に健康管理に努める必要がある。

高等学校では下校中に発生しており、高温環境下で自転車を約 10 ㎞運転したこと

-10-

第2編 第1章

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により発生したと思われる。高温環境下での行動は熱中症のリスクが高くなるため、

教師などが生徒の体の状態を的確に把握するとともに、生徒が自ら熱中症などの事

故を回避できる能力を育成する必要がある。

保育所の事故は保育中、棚の中で遊んでいた際の事故である。子どもの体は物理

的に熱しやすく、冷めやすい特性を持っており、また、子どもの発汗機能は未発達

で大人より発汗量が少ない。このため、思わぬ事故となる場合がある。保育者はこ

れらを踏まえ、安全管理を徹底し、保育を行う必要がある。

Ⅲ 体育活動中の熱中症死亡事故

1 年度・競技別、学校種・競技別

野球、サッカー、ラグビー、陸上、剣道などで多いが、発生は減少傾向にある。

平成 5年度、 17 年度、 18年度に事故はなかった。

表 2-1-4 体育活動中の熱中症死亡事故 年度・競技別(H2~H24) (件)

競技 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H

10

H

11

H

12

H

13

H

14

H

15

H

16

H

17

H

18

H

19

H

20

H

21

H

22

H

23

H

24 計

野球 1 3 2 0 0 1 2 1 1 2 2 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 1 1 19 サッカー 1 0 0 0 2 1 0 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 9 ラグビー 1 2 0 0 0 1 0 0 1 2 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 1 10 バスケ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 2 ハンド 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 アメフト 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 バレー 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 陸上 1 0 1 0 1 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 7 剣道 2 0 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 8 柔道 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 1 1 0 6

レスリング 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 相撲 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 山岳 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 4 ボート 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

計 7 5 3 0 6 6 4 2 5 4 3 1 2 5 3 0 0 4 2 4 1 4 3 74

表 2-1-5 体育活動中の熱中症死亡事故 校種・競技別(H2~H24) (件)

中学校 高等学校 高等専門学校 合計 野球 4 14 1 19

サッカー 3 6 0 9 ラグビー 1 9 0 10 バスケット 2 0 0 2 ハンドボール 1 1 0 2

アメリカンフットボール 0 1 0 1 バレーボール 0 1 0 1 陸上競技 1 6 0 7

剣道 3 5 0 8 柔道 2 4 0 6

レスリング 0 2 0 2 相撲 1 1 0 2 山岳 0 4 0 4 ボート 1 0 0 1 合計 19 54 1 74

-11-

第2編 第1章

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2 体育授業・体育的行事・運動部活動別

体育活動中の熱中症死亡事故 74 件は、体育の授業 1件、体育的行事 4件、運動

部活動 69 件である。

(1) 体育の授業

サッカーの授業での 1件であった。

NO 学校 学年 性別 月 発生

場所

場合

運動開

始から

発症ま

発生

時間 当日の運動 環境

指導・

管理状況

事故後の予防策

1 高 3 男 7 月 運動

体育

の授

約 0.5

時間 14 時

ジョギング、準

備運動、補強運

動後 5分ゲーム

2 試合

気温

32.5℃

湿度

47%

WBGT で計測

27℃

熱中症対策の改

善、WBGT の確

認・制限の徹底

この事例は、暑熱環境の中での授業で 2試合出場した際に発生している。

運動部活動をしていない生徒も参加する体育の授業では、計画段階において実

施時期、実施内容等について充分検討するとともに、実施時の体調管理など生

徒個々の状況に応じた充分な安全管理が必要である。

(2) 体育的行事

球技大会 1件、マラソン大会 2件、体育祭の練習 1件であった。

サッカー(球技大会)

NO 学校 学年 性別 月 発生

場所

場合

運動開

始から

発症ま

発生

時間 当日の運動 環境

指導・

管理状況

事故後の予防策

1 高 1 男 7 月 運動

球技

大会

約 3.5

時間

13 時

10 分

午前中 前後

半で 20 分の

試合に 3 試合

出場

気温 29.6℃

湿度 47%

開会式で暑

さに注意す

るよう指示

陸上競技(マラソン、体育祭の練習)

NO 学校 学年 性別 月 発生

場所

場合

運動

開始

から

発症

まで

発生

時間 当日の運動 環境

指導・管理

状況 事故後の予防策

1 高 2 男 11

月 道路

マ ラ ソ

ン大会

約 1

時間

12 時

30 分

マラソン大会

11km 走る

気温

11.6℃

湿度 69%

大会前の健

康チェック

で指摘事項

なし

2 高 2 男 2 月

校外

公園

マラソ

ン大会

約 1

時間

13 時

マラソン大会

10km 走る

気 温

5.7℃

湿度 41%

大会前に健

康調査

・マラソン終了

後の健康確保

・健康管理、健

康・体力作り

3 中 3 女 9 月 運動

体育祭

の練習

約 1

時間 15 時

ダッシュ 100m

駆け足

気温 31℃

湿度 56%

グラウンド

散水等

全職員で問題・

課題等を討議

-12-

第2編 第1章

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これらから、実施前の健康診断、実施時の体調管理など生徒個々の状況に

応じた人的な安全管理とともに事後の健康観察にも十分に留意する必要があ

ることを示すものである。体育の授業と同様に、運動部活動をしていない生

徒も参加する球技大会等については計画段階において実施時期、実施内容等

について充分検討する必要がある。

特に、マラソン大会では 11 月、2月の気温の低い環境で発生していること

に留意する必要がある。

(3) 運動部活動

① 全体

月別では、6月から 10 月にかけて多く、特に 7月~8月の 2ヶ月で全体の

約 88%が発生している。

種目別では、野球、ラグビー、サッカーなど屋外で走ることの多いゴール

型、屋内競技の剣道、柔道などの競技種目で多く発生している。さらに細かく

『直前行動別』でみると、ランニング・ダッシュなど「走る運動」で発生して

いる例が最も多い。次に多いのが『競技の練習』で、体力強化や競技技術向上

のための練習中に発生している。また、「試合・練習試合」はラグビーで10

月、アメリカンフットボールで 8月、両方とも練習試合で起きており、公式の

試合では無い。

学年別は、野球、サッカー、陸上競技、柔道では、高校 1年生の発生が全体

の 39.1%を占めたが、ラグビー、剣道、山岳では高校 2、3年生の発生が多い

競技もあった。

男女別では、男 65 件、女 4件で 94%が男子であった。

ア 学年・競技別

表 2-1-6 運動部活動の熱中症死亡事故 学年・競技別(H2~H24) (件)

部活名 中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 高専 合計 野球 2 2 0 11 3 0 1 19

サッカー 1 1 1 3 0 1 0 7 ラグビー 1 0 0 2 3 4 0 10

バスケット 1 1 0 0 0 0 0 2 ハンドボール 0 1 0 1 0 0 0 2

アメリカンフットボール 0 0 0 0 1 0 0 1 バレーボール 0 0 0 1 0 0 0 1

陸上競技 0 0 0 3 1 0 0 4 剣道 0 3 0 1 3 1 0 8 柔道 0 2 0 3 1 0 0 6

レスリング 0 0 0 1 1 0 0 2 相撲 0 1 0 0 1 0 0 2 山岳 0 0 0 1 3 0 0 4 ボート 0 1 0 0 0 0 0 1 合計 5 12 1 27 17 6 1 69

-13-

第2編 第1章

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イ 学年・競技別(発生頻度)

競技別の発生頻度(100 万人当たり)を出すため、中、高等学校(高等専門

学校1件を除く)の運動部活動とした。中体連、高体連(属さないアメリカン

フットボールの1件を除く)、高野連に加盟する競技種目(学年、男女別)の

件数とし、67 件であった。

表 2-1-7 運動部活動の熱中症死亡事故 学年・性別・競技別(H2~H24) (件)

中1男 中1女 中2男 中 2女 中3男 中3女 高1男 高1女 高2男 高2女 高3男 高3女 合計 野球 2 0 2 0 0 0 11 0 3 0 0 0 18

サッカー 1 0 1 0 1 0 3 0 0 0 1 0 7

ラグビー 1 0 0 0 0 0 2 0 3 0 4 0 10 バスケット 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

ハンドボール 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 2 バレーボール 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

陸上競技 0 0 0 0 0 0 3 0 0 1 0 0 4 剣道 0 0 1 2 0 0 1 0 3 0 1 0 8

柔道 0 0 2 0 0 0 3 0 1 0 0 0 6 レスリング 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 2

相撲 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2 山岳 0 0 0 0 0 0 1 0 3 0 0 0 4

ボート 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 合計 5 0 9 3 1 0 27 0 15 1 6 0 67

発生頻度は表 2-1-8 のとおりである。

屋内の対人的競技である相撲、レスリングで高い傾向がみられた。発生件数

の多い5競技でみると、100 万人当たりラグビー12.78 人、柔道 2.81 人、剣道

1.81 人、野球 1.64人、サッカー0.88 人の順であった。また学年別の頻度をみる

とラグビーは高校 2 年、3 年生で高く、野球、サッカー、柔道は高校 1 年生が

高いといった違いがみられた。柔道、剣道では、中学2年生の頻度が高かった。

このことから、ラグビー、剣道は実戦的な練習や試合の機会が多いレギュラ

ー層に多い傾向にあり、野球等はランニング・ダッシュを取り入れた練習を多

く行う初心者層に多い傾向があると考えられる。

表 2-1-8 競技別発生頻度(対 100 万人) (人)

中 1 男 中 1 女 中 2男 中 2女 中 3男 中 3女 高 1男 高 1女 高 2男 高 2女 高 3男 高 3女 合計

野球 0.75 0.00 0.86 0.00 0.00 0.00 8.01 - 2.50 - 0.00 - 1.64

サッカー 0.57 0.00 0.65 0.00 0.68 0.00 2.62 - 0.00 - 1.03 - 0.88

ラグビー 19.33 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 8.48 - 14.55 - 20.07 - 12.78

バスケット 0.60 0.00 0.69 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.16

ハンドボール 0.00 0.00 8.37 0.00 0.00 0.00 5.35 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 1.38

バレーボール 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 2.28 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.11

陸上競技 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 5.60 0.00 0.00 3.87 0.00 0.00 0.59

剣道 0.00 0.00 1.64 5.42 0.00 0.00 3.16 0.00 10.82 0.00 3.73 0.00 1.81

柔道 0.00 0.00 6.23 0.00 0.00 0.00 11.84 0.00 4.51 0.00 0.00 0.00 2.81

レスリング 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 42.42 - 48.47 - 0.00 - 27.59

相撲 0.00 - 89.65 - 0.00 - 0.00 - 99.95 - 0.00 - 30.42

山岳 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 15.80 0.00 54.19 0.00 0.00 0.00 17.70

ボート 0.00 0.00 0.00 852.51 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 9.40

合計 0.56 0.00 1.16 0.77 0.13 0.00 4.96 0.00 3.15 0.61 1.30 0.00 1.19

※ 部員数は中学校体育連盟、高等学校体育連盟及び高等学校野球連盟の平成 13年度の登録数を基に算出

-14-

第2編 第1章

Page 9: 第2編 学校の管理下の熱中症の発生傾向 - JAPAN …...ボート 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 計 7 5 3 0 6 6 4 2 5 4 3 1 2 5 3 0 0 4 2 4 1 4 3 74 表2-1-5

ウ 競技・月別

表 2-1-9 運動部活動の熱中症死亡事故 競技別・月別(H2~H24) (件)

部活名 1月~5月 6 月 7 月 8 月 9 月 10月

11月~

12月

合計

野球 0 1 11 7 0 0 0 19 サッカー 0 0 2 5 0 0 0 7 ラグビー 0 0 4 3 2 1 0 10

バスケット 0 0 0 2 0 0 0 2 ハンドボール 0 0 1 1 0 0 0 2

アメリカンフットボール 0 0 0 1 0 0 0 1 バレーボール 0 0 0 1 0 0 0 1

陸上競技 0 0 1 3 0 0 0 4 剣道 0 0 2 6 0 0 0 8 柔道 0 0 3 2 1 0 0 6

レスリング 0 0 1 0 1 0 0 2 相撲 0 1 0 1 0 0 0 2 山岳 0 1 3 0 0 0 0 4 ボート 0 0 0 1 0 0 0 1 合計 0 3 28 33 4 1 0 69

エ 直前の行動

表 2-1-10 運動部活動の熱中症死亡事故 競技・直前行動別(H2~H24) (件)

部活名 ランニン

グ・ダッシュ 競技の練

習 体力トレーニング

試合・練習試合

登山 合計

野球 11 7 1 0 0 19 サッカー 7 0 0 0 0 7 ラグビー 6 3 0 1 0 10 バスケット 0 2 0 0 0 2 ハンドボール 2 0 0 0 0 2

アメリカンフットボール 0 0 0 1 0 1 バレーボール 0 1 0 0 0 1 陸上競技 3 1 0 0 0 4 剣道 0 8 0 0 0 8 柔道 2 2 2 0 0 6

レスリング 1 1 0 0 0 2 相撲 0 2 0 0 0 2 山岳 0 0 0 0 4 4 ボート 1 0 0 0 0 1 合計 33 27 3 2 4 69

オ 男女別

表 2-1-11 運動部活動の熱中症死亡事故 男女別(H2~H24)

男 女 合計 野球 19 0 19

サッカー 7 0 7 ラグビー 10 0 10

バスケット 2 0 2 ハンドボール 2 0 2

アメリカンフットボール 1 0 1 バレーボール 1 0 1

陸上競技 3 1 4 剣道 6 2 8 柔道 6 0 6

レスリング 2 0 2 相撲 2 0 2 山岳 4 0 4 ボート 0 1 1 合計 65 4 69

(件)

-15-

第2編 第1章

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② 競技別の傾向

発生件数の多い野球・サッカー・ラグビー・陸上競技・剣道・柔道につい

ては、競技別の傾向を紹介する。

ア 野球

高校 1年生のランニング・ダッシュや競技の練習で多く、試合での発生は

なかった。7、8月に多く、19 件中 8件は 17 時以降に発生している。

事例要因をみても、暑熱環境下で競技経験の少ない初心者が、ダッシュの

繰り返しや練習後のランニング、守備練習など長時間の練習の終了間際など

に発生している。また、捕手などで肥満傾向の者に発生する傾向がみられた。

なお、ランニング・ダッシュはそれほど気温が高くない場合にも発生して

いることに留意する必要がある。

表 2-1-12 学年別 (件)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 高専 合計

2 2 0 11 3 0 1 19

表 2-1-13 月別 (件)

6 月 7 月 8 月 合計

ランニング・ダッシュ 1 6 4 11

競技の練習 0 4 3 7

体力トレーニング 0 1 0 1

合計 1 11 7 19

表 2-1-14 時間帯別 (件)

11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 合計

ランニング・ダッシュ 3 0 1 2 2 0 0 2 1 11

競技の練習 0 1 0 1 0 0 2 3 0 7

体力トレーニング 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

合計 3 1 1 4 2 0 2 5 1 19

-16-

第2編 第1章

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事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

NO 学校 学年 性別 月発生場

運動開

始から発症ま

個体の要因

方法の要因(当日の運動)

環境の要因

指導・管理の要因 事故後の予防策

1 高 2 男 6月運動

場・校

約2時間

・肥満・減量

・グランド石拾い

・ランニング(200m×10周)・体操・ストレッチ

・100mダッシュ25本×2

気温24.4℃/

湿度52%

・緊急連絡体制を作成

・すぐに熱中症の判断がつかず、冷却するま

でには至っていない。

■生徒、教職員に対し、熱中症予防の資料を配付し、講習

会を実施。

■体育教官室に熱中症対策セットを常備、製氷機や冷凍

庫を追加で設置。

■WBGT計を購入し、数値によって練習メニューや練習

時間を変えるように指導。

■水分(塩分)の摂取の指導。

■各部員の健康状態の共有す

るため「部活動健康状態チェック表」を各部毎に一枚

作成。

2 高 1 男 7月学校外道路

約1時間

-・10キロのランニング

気温31.9℃/

湿度53%

・高温対策のため、給水配慮

・途中棄権者の配慮。

車での伴走。・部の新体制発足後2

週間

■「運動部活動指針」を改定し、対面点呼の徹底、練習時

間延長は届出制、ランニング

練習の条件設定等を実施

3 高 1 男 8月 運動場約5.5時間

・ランニング、ストレッチ、ダッ

シュ、キャッチボール、バッティング、個人ノック

・バッティング、ランニング、ダイ

ヤモンドダッシュ、ベースランニング

気温30.3℃・練習計画:部長、監

督の話し合いで立案・過去のチームと同じ

練習(これまで同様の

事故はない)

・指導者と部員による練習計

画案の作成

・練習時間の工夫と時間の短縮

・休憩時間の拡大と回数の増加

・スポーツドリンクなど水分

補給の徹底・指導者が病気及びケガに対

する研修会に積極的に参加

・生徒との対話の時間を多くする。

・個人ノックについては,捕

る回数を減らす。・ランニングについては、生

徒の能力、体力に合わせた距

離や回数

4 高 1 男 7月 運動場約2.5

時間

・肥満

・風邪症

・減量

・体操(10分)、ランニング(ダイ

ヤモンド3周 5分)、ダッシュ(ベース間5本)、ラダー(5分)、

キャッチボール(20分)、トスバッ

ティング(20分)、内・外野に分かれて守備練習(40分)

・捕手のポジションで練習。内野

ノックを中断して、ランニング

気温32.1℃・練習前に体調が悪い

者、ケガがある者は申

し出るように指導―

5 高 1 男 7月 運動場約9.5

時間

・肥満

�グランド整備

・ランニング・ストレッチ・チャッチボール、トスバッテイン

グ、フリーバッテイング

・グランド整備、バント練習・バント練習

・内野ノック

気温32.3℃/

湿度55%

・夏季休業中、大会

後、最初の終日練習

・練習については、水分の補給・休憩に注意

・生徒の健康状態の把握

・当日の体調

・無理のない練習計画・高温下での活動は慎重に行

う。

・水分の補給・適切な休憩

・練習時間の厳守

・練習後の健康状態の把握

6 中 2 男 8月河川敷グラウンド

約3時間

・肥満・ランニング、ストレッチ、キャッ

チボール・ノック、ゲームノック

・ランニング(約30分)

気温30℃・合宿後、初の練習(11日ぶり)

・生徒の健康状態の把握と保

護者と密接な連携・生徒の体力的個人差に応じ

た練習内容の見直

・気象条件を考えた練習量や練習内容についてきめ細かな

対応

・安全対策・連絡方法、指導体制、救急法等の知識等につ

いて危機管理の徹底

-17-

第2編 第1章

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イ サッカー

全件が暑熱環境下でのランニング・ダッシュで起きており、試合での発生

はない。高校 1年生で発生が多く、月別では 7、8月、時間帯別では 11 時か

ら 14時にかけて 7件中 4件が発生している。

表 2-1-15 学年別 (件)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 合計

1 1 1 3 0 1 7

表 2-1-16 時間帯別

7時 8 時 9 時 10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時 17時 18時 合計

1 0 0 0 2 1 0 1 0 1 0 1 7

事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

NO 学校 学年 性別 月発生場所

運動開

始から

発症ま

個体の要因

方法の要因(当日の運動)

環境の要因

指導・管理の要因

事故後の予防策

1 中 3 男 7月 道路約2.5時間

-サッカー練習後、4.5Kmラン

ニング

気温32.6℃/

湿度56%・通りがかりの教師

と看護師が応急処置―

2 高 1 男 7月 道路約2.5時間

-サッカー練習後、5Kmランニ

ング

気温30.2℃/

湿度69%

部活動において、準備

運動、炎天下の運動、

水分の補給、整理運動

等の安全点検を遵守

3 高 3 男 8月 校庭約2時間

-サッカー練習後、5Kmランニ

ング

気温28.6℃/

湿度79% ・合宿中 ―

-18-

第2編 第1章

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ウ ラグビー

高校 2年、3年生のランニング・ダッシュ、競技の練習で多いが、試合・

練習試合でも発生しており、試合出場の機会の多いレギュラー層に多い。7

月~10 月の 7時~16 時の時間帯で発生しており、暑熱環境下では短時間の

活動でも発生している。

事例要因別をみても、暑熱環境下での部活動の1時間以上連続したランニ

ング・ダッシュやラック・スクラムなど競技の練習・試合で発生していた。

また、肥満傾向の者に発生する傾向がみられた。

表 2-1-17 学年別 (件)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 合計 1 0 0 2 3 4 10

表 2-1-18 月別 (件)

7 月 8 月 9 月 10 月 合計 ランニング・ダッシュ 3 2 1 0 6

競技の練習 1 1 1 0 3 試合・練習試合 0 0 0 1 1

合計 4 3 2 1 10

表 2-1-19 時間帯別 (件)

7 時 8 時 9 時 10 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 合計

ランニング・ダッシュ 2 0 0 1 1 1 0 0 0 1 6 競技の練習 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 3

試合・練習試合 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 合計 2 0 1 1 1 2 0 1 1 1 10

事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

NO学校

学年 性別 月 発生場所運動開始か

ら発症まで

個体の要因

方法の要因(当日の運動)

環境の要因 指導・管理の要因 事故後の予防策

1 高 3 男 9月運動場・

校庭約3.5時間

・肥満

・ウオーミングアップ

・ボールコントロール練

習、ディフェンス練習

・ディフェンスシフトの確

認練習

・グランド1周(300m)を

70~100秒で走るインター

バルトレーニング、6本目

気温31.4℃

湿度55%

・危機管理マニュアル作

■部活動毎に「安全対策

(熱中症)ガイドライン」

を作成し、選手への教育、

指導者への注意点を定め

た。

■個人チェック表を活用

し、部員の健康管理を徹

底。

■体温計とWBGT計で健

康管理と熱中症予防

2 高 2 男 7月学校外

道路約1.5時間

・肥満

・ウオーミングアップ。

・約100mの坂道を使った

インターバルトレーニング

・54本目のインターバルト

レーニングの際、意識朦朧

となる。

気温34.5℃

湿度48%

・危機管理マニュアルの

作成

■再発防止に向けて、職員

研修会を実施。

■毎月、「部活動安全日」

を設定。

■毎年、「学校安全日」を

設定。

3 高 3 男 7月河川敷グラウンド

約3時間・肥満

・2㎞離れたグランドまで

ランニング

・ランニングコース約400

m~500mを10周

・ラック・スクラムの練習

を1時間

・個人練習

気温29.9℃・副キャプテンの生徒に

一緒に帰るように指示 ―

4 高 3 男 10月 運動場 約4.5時間 -・練習試合

・練習(ラインアウト・

モール)

気温30.4℃ ・ウオームアップ時にケ

ガなどの自己申告

・互いに健康状態、体調等

を注意し合い、手遅れにな

らないよう声を掛け合う。

5 中 1 男 7月 運動場 約1時間・肥満

・ランニングパス10本、

キックダッシュ、ハンドリ

ング練習、キックダッシュ気温29.4℃

・夏休みで初の部活動

・熱中症及び意識障害につ

いての正確な理解と対応の

研修

・教職員の緊密な報告や連

絡体制の再確認と意識の高

揚を図る

・顧問不在の部活動は行わ

ない・生徒理解について、指導

者自身が自分に厳しく、ま

た受容的で多面的な生徒理

解が必要であることを中心

に研修や総括

-19-

第2編 第1章

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エ 剣道

中学 2年生、高校 2年生に多く、競技の練習で発生しており、月別では 7

月、8月、時間帯別では 10 時~14時に 8件中 6件が発生している。試合出

場の機会が多いレギュラー層に多いことが伺えた。

事例要因別をみても、暑熱環境下での屋内の剣道場等で 1時間以上連続し

た掛かり稽古などの際に発生している。また、指導者の不適切な対応(フラ

フラになっても気づかず、処置をしないまま放置して、速やかな医療機関へ

の搬送を怠ったこと等)の事例もみられた。

表 2-1-20 学年別 (件)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 合計

0 3 0 1 3 1 8

表 2-1-21 月別 (件)

7 月 8 月 合計

2 6 8

表 2-1-22 時間帯別 (件)

10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時 17時 18時 19時 合計

1 2 1 0 2 0 1 0 0 1 8

事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

NO

学校

学年 性別 月発生場

運動開始から発症

まで

個体の要因方法の要因

(当日の運動)環境の要因 指導・管理の要因 事故後の予防策

1 高 2 男 8月

体育館・屋内運動

約3時間・肥満

・体操・素振り・足さばきなど・面打ち・切り返し・

打ち込みなど

気温30.3℃/湿度64%

・本生徒はフラフラになったが、顧問は続行

を指示。

■各部で安全に配慮したルール作成・練習前及び準備体操で体調確認

を行い、不良の場合は防具をつけず見学、帰宅。(剣道)・練習前には必ず水分(スポーツドリンク等)の準備を行う。・1時間の練習の間に必ず休憩、

水分補給を行う。夏季はこまめに行う。■教職員の熱中症講習会の開催■養護教諭が全生徒へ熱中症の指導。■道場に大型扇風機を設置。

2 中 2 男 8月 武道館 約5時間 -

・ランニング1.5㎞×3周、50mダッシュ、リ

レー・0剣道基本練習、うさぎ跳び・試合形式練習・面の打ち込み練習、

あいかかり練習、小手・面の打ち込み、総かかり稽古・コーチ指導

気温30.6℃・大会で顧問は不在、コーチが指導

・生徒の健康状態の把握に努める。・校長が夏季における部活動のあ

り方を職員に指導

3 高 2 男 8月屋内運動場

約3時間 -・素振200本・休みなしに練習・その後顧問と練習

気温32.3℃/湿度54%

・夏休み最後で気合いを入れていた・ふらふらして倒れ込んでも試合形式を続行。

4 高 1 男 8月 体育館約6.5時

間-

・素振り、・ジョギング・階段昇降・切り返しによる往復練習・か

かり稽古

気温26.9℃/湿度87% 合宿中 ―

5 高 3 男 7月 剣道場 約7時間 -

・素振り、切り返し、打ち込み、技稽古、掛

り稽古等・素振り、切り返し、掛り稽古、鍔競り練習・地稽古、掛稽古等

気温26.5℃/湿度92% ・寒中稽古、暑中稽古

の意義について話す。

-20-

第2編 第1章

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オ 柔道

中学 2年生、高校 1年生のランニング・ダッシュや体力トレーニングなど

で多く発生しており、月別では 7月~9月、時間帯別では 9時~19時で分散

している。屋外でのランニングや屋内の暑熱環境下での基礎的な練習で、競

技経験が少ない初心者に発生が多いことが伺えた。

事例要因別をみても、柔道場等での体力トレーニングや乱取り稽古の後な

どに発生し、フラフラとなった後に倒れる例があり、疲労が蓄積された練習

の継続の中で発生していたと考えられる。

表 2-1-23 学年別 (件)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 合計

0 2 0 3 1 0 6

表 2-1-24 活動内容・月別 (件)

表 2-1-25 活動内容・時間帯別 (件)

9 時 10 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 合計

ランニング・ダッシュ 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2

体力トレーニング 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 2

競技の練習 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2

合計 1 1 0 1 0 0 1 1 0 0 1 6

事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

7 月 8 月 9 月 合計

ランニング・ダッシュ 1 1 0 2

体力トレーニング 2 0 0 2

競技の練習 0 1 1 2

合計 3 2 1 6

NO

学校 学年 性別 月発生場

所運動開始か

ら発症まで個体の要因

方法の要因(当日の運動)

環境の要因 指導・管理の要因 事故後の予防策

1 高 1 男 7月

体育

館・屋内運動

約7.5時間・肥満

・2週間前からケガ

午前練習:ランニング、500

mダッシュ、階段登り、ウ

エイトトレーニング

・午後練習:体操、基本練

習、基本練習(打ち込み、投

げ込み)、トレーニング(腹

筋・ワニ、両足ジャンプ、

アヒル、手押し車)

気温32.1℃/湿度67%

・顧問の作成した活動

計画を保護者に周知し

た上で実施。

・夏休み期間、初の1

日練習

■活動前に健康チェック。

■活動場所の環境(気温・

室温)の把握。

■緊急時の対応確認。

■部活動中の教員による巡

回指導。

2 高 1 男 7月学校外

体育館約2.5時間

・肥満

・アップ15分~20分

・乱取り6分×5本

・乱取り5分×5本

・乱取り4分×5本

・サーキットトレーニング

(2人組で、馬の上を飛んで

下をくぐる運動)

気温29.5℃/湿度67%

・他校における合同練

・引率者は柔道部の

コーチ

■WBGT計を6台購入

(体育教員1人1台)。

■全生徒に熱中症パンフ

レット配布。

■安全点検の日を毎月設

定。

3 中 2 男 8月他校武道場

約1.5時間 -

・準備運動・回転運動

・3分×10本寝技の練習

・2打ち込み、投げ込み練習

・乱取りの練習3分30秒×8

気温29.7℃

・顧問が気合い

・年度当初、緊急の事

故等の事態を想定した

マニュアルの確認

・夏季休業にはいる前

に熱中症についての研

・クラブの安全確認

・体罰を含む指導の再点検

・点検活動を通じた職員の

意識改革

・外部講師による、救急法

の研修

4 高 1 男 9月 柔道場 約3時間・肥満 ・寝技・乱取り稽古・打ち

込み稽古

気温29.3℃/湿度76%・座らせて水分補給 ―

5 高 2 男 7月 合宿先 約1時間 -・早朝トレーニングでジョ

ギング

気温28.9℃/湿度67% ・倒れているところを

発見―

-21-

第2編 第1章

Page 16: 第2編 学校の管理下の熱中症の発生傾向 - JAPAN …...ボート 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 計 7 5 3 0 6 6 4 2 5 4 3 1 2 5 3 0 0 4 2 4 1 4 3 74 表2-1-5

カ 陸上競技

高校1年生のランニング・ダッシュで多く、7月、8月に発生しており、4

件中 2件が 12 時台の暑熱環境下でのランニング・ダッシュや競技の練習で

発生している。

表 2-1-26 学年別 (件)

高 1 高 2 合計

3 1 4

表 2-1-27 月別 (件)

7 月 8 月 合計

ランニング・ダッシュ 1 2 3

競技の練習 0 1 1

合計 1 3 4

表 2-1-28 時間帯別 (件)

12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 合計

2 0 0 0 1 0 1 4

事例要因別(抜粋)

※気温及び湿度は事故現場近隣の気象庁のデータ

NO 学校 学年 性別 月 発生場所運動開始か

ら発症まで個体の要因

方法の要因

(当日の運動)

環境の要

指導・管

理の要因事故後の予防策

1 高 1 男 7月 道路 約3時間-

・ジョギングで校

外の練習場への往

復2Km×2

・1周3Kmのコース

3周

気温30.0℃/

湿度67% 一人で帰校 ―

2 高 1 男 8月 運動場 約3.5時間・肥満

・投てき練習

・グライド走,走

練習、ダッシュ

気温33.3℃/

湿度51%

・練習前に

部員の体調

チェック等

・練習前の体調チェック

の徹底。

・教職員に対する熱中症

の講習。

・WBGT計を購入。

-22-

第2編 第1章

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3 熱中症死亡事例の比較(現在と 10 年前)

平成 22 年度~24 年度の 9 件(後期)と平成 10 年度~平成 12 年度の 11 件(前期)

熱中症予防啓発資料を作成した平成 15 年を挟んで死亡見舞金等を支給した熱中

症による死亡事例を比較する。

○「個体の要因」では、性別が男、肥満傾向の者が多いことは前期、後期で共通

している。学校種では後期に中学生の事例は無い。

○「方法の要因」では、全て運動部活動、競技では野球、ラグビー、柔道、剣道、

陸上競技の 5 競技が共通、運動時間について平均は短縮しているが最短で開始 1

時間後は共通。運動内容ではランニング・ダッシュが多いなど前期、後期で共

通している。

○「環境の要因」では、発生月が 7月~8 月に多いことは共通、気温は後期の 1件

を除き 29℃以上で共通。屋内外の別では、後期は屋外の例は減少したが、屋内

の例は 1 件増えた。

○「指導管理の要因」では、「教師の指導」が要因と思われる例、他校と合同練習

の例が前期、後期で共通している。また、前期では整形外科に連れて行った例、

後期では気温が低い中で発症したため「熱中症」と気づかなかった例がある。「初

めての練習」は前期 3件に対し、後期 1件と減少した。

表 2-1-29 前期・後期の比較

平成 22 年度~平成 24 年度 平成 10 年度~平成 12 年度

個体の要因 □学校種 全例高□性別 全例男□肥満傾向の者が 9件中 7件

□学校種 中 4件、高 7件※他に高専 1件□性別 全例男□肥満傾向の者が 11件中 6件

方法の要因

□運動部活動 9件□競技:野球 2件、ラグビー2件、柔道 2件、剣道 1件、陸上 1件、登山 1件□運動時間:活動開始 1時間以降:平均 3時間 20分□運動内容:トレーニング 2件、競技

練習 2件、ランニング・ダッシュ 5件

□運動部活動 11件□競技:野球 4件、ラグビー3件、柔道 1件、剣道 1件、陸上 1件、バレーボール 1件※他に野球 1件(高専)

□運動時間:活動開始 1 時間以降:平均 3時間 50 分□運動内容:競技練習 5件、ランニング・ダッシュ 6件

環境の要因

□月:6月 1件、7月 5件、8月 2件、9月 1件□気温 23.9℃~34.5℃□屋内 3 件、屋外 6件

□月:7月 5件、8月 5件、10月 1件□気温 29.4℃~32.9℃□屋内 2件、屋外 9件

指導・管理の要因

□指導 1件□他校と合同練習 2件□気温が高くないため、「熱中症」と思わない 1件□初めての練習 1件(夏休期間終日)

□指導 2件□他校と合同練習 2件□整形外科受診 1件□初めての練習 3件(夏休期間、合宿後)

-23-

第2編 第1章

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これらをみると健康管理などの対人管理や適切な練習計画によって重篤な熱中

症の発生が予防できることが伺えた。

一方、運動強度や運動量など及び温度、湿度等の運動環境の管理並びに教師の指

導・管理の要因などには、一層の改善が必要と思われた。

-24-

第2編 第1章

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体育の

授業

26.15%

競技大

2.98%

体育的

クラブ

活動

0.46%

その他

53.67%

体育の

授業

6.46%

運動部

活動

67.17%

体育祭

8.34%

競技大

2.84%

その他

15.19%

運動部

活動

69.46%

体育祭

6.17%

競技大

4.13%その他

16.79%

第2章 学校の管理下の熱中症(負傷・疾病)の状況(平成 24 年度データ)

平成 24 年度に熱中症の症状で医療費を支給した事例は 4,971 件であり、支

は近年増加傾向にある。

① 全体

学校種別に見ると中学校 2,291 件、高等学校 2,204 件発生しており、

90%を占めている。

表 2-2-1 件数 学校種別(H24)

件数 % 保育所 8 0.2

幼稚園 16 0.3

小学校 436 8.8

中学校 2,291 46.1

高等学校 2,204 44.3

高等専門学校 16 0.3

合計 4,971 100.0

② 場合別

ア 小学校 体育の授業が約 26%、運動部活動約 7%、体育祭約 10

で体育活動中の発生は約 46%

イ 中学校 体育活動中では約 85%(内、運動部活動発生が 67%)

ウ 高等学校 体育活動中では約 83%(内、運動部活動発生が 69%)

図 2-2-1 熱中症 発生場合別割合

[小学校]

[中学校]

[全体]

[高等学校]

運動部

活動

7.11%体育祭

9.63%大

%

体育の

授業

3.45%

支給件数

全体の

0%など

-25-

第2編 第2章

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③ 学年別

中学 1年生から増加し、高校 1年生で最も多く発生していた。高校 1年生に多

いことは、生徒の体力や運動量、暑熱環境への適応などが関係している。

図 2-2-2 熱中症 発生場合・学年別

④ 競技別

野球、陸上競技、サッカー、テニスなどの屋外競技が多いが、バスケットボー

ル、バレーボールなどの屋内競技(※)でも約 27%発生していた。 表 2-2-2 競技・学年別 (件)

幼保 小 1 小 2 小 3 小 4 小 5 小 6 中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3 高専 合計

サッカー 0 0 0 0 0 6 5 64 63 39 101 68 38 4 388 バスケット ※ 0 0 0 0 1 3 4 65 80 40 74 60 15 0 342

ハンドボール 0 0 0 0 0 0 0 2 8 10 18 13 2 0 53 ラグビー 0 0 0 0 0 0 0 2 2 2 19 17 5 1 48

テニス 0 0 0 0 0 0 0 72 81 60 63 59 14 1 350 バレーボール ※ 0 0 0 0 0 0 0 76 46 23 28 45 17 2 237

卓球 ※ 0 0 0 0 0 0 0 18 11 7 2 6 3 0 47

バドミントン ※ 0 0 0 0 0 0 1 20 19 7 26 29 5 1 108 ソフトボール 0 0 0 0 0 0 0 25 17 23 18 12 1 0 96

野球 0 0 0 0 0 1 1 75 111 45 206 146 29 2 616 水泳 0 2 1 2 1 2 9 6 4 7 7 6 1 1 49

体操 ※ 0 0 0 0 1 1 11 5 2 1 5 2 2 0 30 陸上競技 0 2 2 2 4 23 18 71 89 98 56 56 25 0 446

柔道 ※ 0 0 0 0 0 0 0 6 7 4 11 11 0 0 39 剣道 ※ 0 0 0 0 0 0 0 29 27 10 21 26 3 1 117 相撲 ※ 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 2

ボクシング ※ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2 0 3 ボート 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 3 2 0 7

ホッケー 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 7 1 4 0 15 その他競技 0 2 2 1 5 8 4 18 17 9 50 33 15 0 164

準備運動・筋トレ 0 2 0 4 4 0 1 48 44 19 61 35 12 0 230 体育活動以外 24 14 23 26 41 102 94 208 218 225 245 208 153 3 1,584

合計 24 22 28 35 57 146 148 810 850 631 1,020 836 348 16 4,971

0

200

400

600

800

1000

1200

その他(体育活動以外)

体育的クラブ活動

競技大会

体育祭

運動部活動

体育の授業

(件)

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第2編 第2章

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⑤ 男女別

小学校では体育授業中に集団発生する事例があり女子に多い。

中学校では男女が半々、高等学校では約 63%が男子であった。 図 2-2-3 男女別

⑥ 発生月

全体としては 5月から 9月に多く、ほとんどの競技で 7月が最も多い。

野球、剣道では 8月が最も多いなど競技による違いもあった。また、陸上競技

では 3月を除き、各月で発生がみられた。

表 2-2-3 競技・発生月別 (件)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計

サッカー 0 0 0 8 14 32 165 152 12 2 2 1 388 バスケット 0 2 2 2 10 18 181 96 30 1 0 0 342 ハンドボール 0 0 0 2 4 2 29 14 2 0 0 0 53 ラグビー 0 0 0 0 0 2 17 23 6 0 0 0 48 テニス 0 0 1 8 10 23 187 96 22 2 0 1 350

バレーボール 1 0 1 1 8 14 121 69 19 2 0 1 237 卓球 0 0 0 1 0 1 28 13 4 0 0 0 47

バドミントン 1 0 0 0 2 9 44 36 14 2 0 0 108 ソフトボール 0 0 0 2 0 9 46 31 7 0 0 1 96

野球 0 1 2 8 21 26 254 262 31 6 1 4 616 水泳 0 1 0 0 0 2 34 10 2 0 0 0 49 体操 0 0 0 0 2 1 6 3 17 1 0 0 30

陸上競技 2 1 0 8 16 40 152 108 99 17 2 1 446 柔道 0 0 0 0 0 4 18 15 1 1 0 0 39 剣道 0 0 0 1 4 4 43 56 8 0 0 1 117 相撲 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2

ボクシング 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 0 0 3 ボート 0 0 0 0 0 1 2 4 0 0 0 0 7 ホッケー 0 0 0 0 2 1 3 8 1 0 0 0 15 その他競技 1 0 1 2 4 10 66 31 48 1 0 0 164

準備運動・筋トレ 0 1 1 8 8 21 93 66 30 1 1 0 230

体育活動以外 2 6 2 19 90 152 526 259 482 34 10 2 1,584

合計 7 12 10 71 196 372 2,017 1,352 835 71 16 12 4,971

[全体] [小学校]

[中学校] [高等学校]

-27-

第2編 第2章

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⑦ 発生状況

競技種目により、屋外と屋内に分かれるが約 27%は屋内で発生していた。

表 2-2-4 競技・発生状況別 (件)

屋外で運動

屋外を走る

屋外で活動

屋内で運動

屋内を走る

屋内で活動

プールで運動

競技の応援

合計

サッカー 321 62 1 0 1 0 0 3 388 バスケット 3 11 0 264 64 0 0 0 342 ハンドボール 40 6 0 5 1 0 0 1 53 ラグビー 41 6 1 0 0 0 0 0 48 テニス 304 19 0 1 0 0 0 26 350

バレーボール 1 4 0 209 12 0 0 11 237 卓球 2 2 0 38 2 1 0 2 47

バドミントン 3 5 0 83 12 2 0 3 108 ソフトボール 91 4 0 0 0 0 0 1 96

野球 495 107 0 0 0 0 0 14 616 水泳 0 0 1 0 0 1 45 2 49 体操 17 0 0 10 0 1 0 2 30

陸上競技 35 390 1 0 14 0 0 6 446 柔道 0 0 0 37 1 1 0 0 39 剣道 1 2 1 109 2 1 0 1 117 相撲 1 0 0 1 0 0 0 0 2

ボクシング 1 0 0 2 0 0 0 0 3 ボート 6 1 0 0 0 0 0 0 7 ホッケー 12 1 0 1 0 0 0 1 15 その他競技 69 6 7 62 6 1 0 13 164

準備運動・筋トレ 73 106 0 23 22 0 0 6 230 体育活動以外 488 178 326 90 14 262 28 198 1,584

合計 2,004 910 338 935 151 270 73 290 4,971

⑧ その他

医療機関への受診は、約 42%が救急車による搬送。

しかし、頭痛等を感じながら運動を継続し、帰宅後受診し入院した例もある。

表 2-2-5 競技・受診方法別 (件)

救急車 その他受診 合計 サッカー 144 244 388 バスケット 147 195 342 ハンドボール 20 33 53 ラグビー 19 29 48 テニス 149 201 350

バレーボール 96 141 237 卓球 19 28 47

バドミントン 44 64 108 ソフトボール 39 57 96

野球 282 334 616 水泳 11 38 49 体操 7 23 30

陸上競技 193 252 445 柔道 24 15 39 剣道 52 65 117 相撲 2 0 2

ボクシング 1 2 3 ボート 2 5 7 ホッケー 7 8 15 その他競技 70 94 164

準備運動・筋トレ 108 122 230 体育活動以外 667 918 1,585

合計 2,103 2,868 4,971

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第2編 第2章

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帰宅後の入院事例

これらの予防には児童生徒自身が熱中症の病態の理解をするとともに運動前・

運動中だけでなく運動後の健康観察も重要となる。このため、学校は体育科・保

健体育科の授業や運動部活動時等における児童生徒の健康観察だけでなく、運動

後の健康観察も行い、少しでも熱中症が疑われる場合は、症状に応じて速やかに、

適切な対応を行う必要がある。

NO学校種

学年性別

月 場所 競技 災害発生時の状況 学校がとった措置状況

1 中 1 男 6月 体育館バスケットボール

放課後、体育館でバスケットボール部の活動をしていた。部活動

終了時、本人は頭痛等の自覚症状があったが、自宅が近いため大丈夫と思い、顧問に報告せずにそのまま帰宅する。帰宅後、頭痛

等の症状が回復しないため夜間急病診療を受診し、総合病院に入院して点滴等の治療を受けた。

翌朝、保護者より担任がその

旨報告を受けてわかったので、すぐに顧問が保護者と連

絡をとる等対応した。

2 中 2 女 7月 運動場 陸上競技

陸上記録会に参加していたところ、晴天で気温も高かったため、軽いめまいと大腿の痛みを感じた。筋肉痛かと思い、そのまま帰

宅したところ悪化して、翌日受診したところ、熱中症による筋肉解離と診断され、入院したものである。

3 中 2 男 8月 運動場 野球

8月7日に野球部の練習に参加していた。帰宅後、気分が悪くなり嘔吐・発熱の症状がでた。8日、9日は部活動を休み、自宅で様子

をみていたが、10日になっても症状が回復しないため、家庭より受診。その結果、熱中症による筋炎と診断され入院となった。

当日、申し出なし。

4 中 3 男 8月 運動場 サッカー練習から帰宅後、悪寒と頭痛があり、検温したところ38.4℃の熱があった。その後、嘔吐、手足のしびれがあり、歩行もやっとの

状況になった。病院へ行き、そのまま入院となった。

保護者が病院へ搬送した。

5 高 2 男 8月 運動場 陸上競技

夏休みの8月4~5日にかけて本校にて合宿を行っていた。5日の午前中のときに短距離走の練習中,具合が悪くなり水分補給などの

休憩をして様子を見ていたが,治まったので午後の練習に参加して帰宅したところ,自宅に帰ってからまた気分が悪くなったため

保護者とともに病院を受診した。熱中症と診断され,そのまま入

院した。

午前中に具合が悪くなったときは,木陰でスポーツドリン

クを飲むよう顧問が促し,午後の練習も無理のない程度参

加するよう注意を呼びかけ

た。

6 高 2 男 7月 運動場 テニス

テニス部の練習中、途中から汗がたくさん出て、だんだん身体が

熱くなり頭痛がし始めた。そして、部活終了後、帰宅して熱を測ると38.6℃あった。スポーツドリンクなどで水分補給をした。翌

朝38.2℃あり、経口補水液などを飲み様子を見たが、午後になり

39℃に体温が上昇したため、受診した。直ちに点滴をするが、症状が改善しないため、総合病院を紹介され受診。熱中症と診断さ

れ入院となった。

本人からの連絡がなったため、特になし。

7 高 2 男 9月 体育館バスケットボール

本生徒は、部活動中に体の倦怠感、頭痛を感じていたが、そのまま練習を続けた。帰宅後、体温を測ると39.5度の発熱があったた

め、翌日医療機関を受診し、熱中症と診断され、入院に至った。

保護者が医療機関に引率した。

-29-

第2編 第2章

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⑨ 運動部活動における競技別、学年別、性別の発生頻度について(16 競技)

ア 発生件数

表 2-2-6 熱中症 運動部活動 競技・学年男女別(H24) (件)

中 1男 中 1女 中 2男 中 2女 中 3男 中 3女 高 1男 高 1女 高 2男 高 2女 高 3男 高 3女 男計 女計 総計 サッカー 60 1 58 1 37 1 84 15 53 7 32 1 324 26 350 バスケット 18 47 38 41 10 28 42 29 30 22 5 4 143 171 314 ハンドボール 1 0 3 5 7 3 12 4 6 7 1 1 30 20 50 ラグビー 2 0 2 0 2 0 19 0 17 0 5 0 47 0 47 テニス 23 48 32 46 19 39 35 28 35 24 5 7 149 192 341

バレーボール 10 65 11 33 10 12 9 15 17 21 5 3 62 149 211 卓球 13 5 9 2 4 2 1 1 5 1 2 0 34 11 45

バドミントン 5 15 8 11 1 6 9 16 10 18 1 2 34 68 102 ソフトボール 1 21 0 16 0 19 4 13 2 7 0 0 7 76 83

野球 70 4 108 3 44 0 200 3 144 2 29 0 595 12 607 水泳 1 2 0 1 2 0 3 2 4 1 0 1 10 7 17 体操 0 3 0 0 0 0 2 1 1 0 1 0 4 4 8

陸上競技 23 25 31 40 27 29 27 21 28 20 10 5 146 140 286 柔道 4 2 3 4 2 1 10 0 10 1 0 0 29 8 37 剣道 18 11 12 15 6 4 14 7 20 6 2 1 72 44 116 相撲 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 合計 249 249 316 218 171 144 471 155 382 137 98 25 1,687 928 2,615

イ 頻度(対部員 1万人)

表 2-2-7 運動部活動 熱中症 競技・学年男女別頻度 対 1 万人(H24) (人)

中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3

男計 女計 総計 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女

サッカー 6.56 5.80 7.24 6.63 4.78 6.86 14.66 42.35 10.58 22.59 6.61 3.34 8.00 18.15 8.35 バスケット 2.76 8.70 6.67 8.67 1.82 6.13 12.73 12.87 10.40 11.16 1.79 2.10 5.36 8.21 6.61 ハンドボール 1.39 0.00 4.78 13.51 11.55 8.39 11.23 7.31 6.42 14.62 1.11 2.16 6.18 7.58 6.67 ラグビー 7.87 0.00 9.00 0.00 9.31 0.00 20.68 - 21.15 - 6.44 - 14.73 0.00 14.70 テニス 3.70 6.65 5.89 7.28 3.62 6.39 8.42 10.55 9.62 10.34 1.42 3.12 5.28 7.15 6.19

バレーボール 5.37 10.95 6.75 6.36 6.35 2.39 6.82 7.05 14.72 11.28 4.48 1.67 7.16 6.79 6.90 卓球 2.44 1.50 1.93 0.68 0.89 0.71 0.55 1.43 3.15 1.64 1.30 0.00 1.75 1.00 1.48

バドミントン 3.65 4.60 6.68 3.86 0.86 2.18 4.86 7.91 6.17 10.18 0.64 1.17 3.88 4.73 4.41 ソフトボール 12.02 11.32 0.00 9.86 0.00 12.12 16.98 14.46 9.70 8.90 0.00 0.00 8.07 10.15 9.93

野球 7.28 57.72 12.84 49.42 5.41 0.00 32.36 - 26.63 - 5.55 - 13.85 63.63 14.07 水泳 0.87 3.07 0.00 1.76 2.05 0.00 3.94 4.60 6.00 2.63 0.00 2.72 1.92 2.37 2.08 体操 0.00 8.75 0.00 0.00 0.00 0.00 17.97 5.45 10.27 0.00 10.63 0.00 7.56 2.79 4.08

陸上競技 4.82 7.39 7.43 13.51 6.70 10.14 10.77 15.31 12.77 16.67 4.72 4.31 7.38 10.82 8.74 柔道 3.69 6.36 3.16 14.54 2.18 3.76 13.36 0.00 15.27 6.41 0.00 0.00 5.82 5.97 5.85 剣道 7.81 7.74 5.95 12.06 3.08 3.33 12.42 11.55 20.28 11.32 2.10 1.95 7.71 7.98 7.81 相撲 0.00 0.00 28.01 0.00 0.00 0.00 0.00 - 0.00 - 0.00 - 4.81 0.00 4.78 合計 4.93 7.37 7.15 7.37 4.00 5.04 14.78 10.82 13.70 10.93 3.64 2.06 7.52 7.09 7.36

※ 頻度は日本中学校体育連盟、全国高等学校体育連盟、日本高等学校野球連盟の H24年度登録部員数を基に算出

ウ 男女の発生比率の検定

男女の発生比率の差の検定行ったところ、5%で有意差はなく、男女の発

生比率に違いはなかった。 表 2-2-8 運動部活動 熱中症発生頻度 男女差検定(H24)

性別 熱中症 人数 男 あり 1,687 男 なし 2,240,193 女 あり 928 女 なし 1,308,014

値 自由度 漸近有意確率 (両側) Pearson のカイ 2 乗 2.127 1 0.145

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第2編 第2章

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⑩ 「災害発生の状況」テキスト分析

災害共済給付に係る災害報告書の「災害発生の状況」覧の文章(テキスト

文)について、テキスト分析ソフトによるキーワード(語句)の抽出を試みた。

この結果は次のとおりであった。

[要因別]どんなとき (件)

小学校 中学校 高等学校 合計 部活動 7 493 483 983

運動会 100 261 129 490 大会 5 81 39 125

合宿中 0 9 57 66 閉会式 10 32 16 58

どんな動作をしていたか (件)

単語 小学校 中学校 高等学校 合計 走る 43 263 202 508

ランニング 1 104 96 201 マラソン 5 59 20 84

ダッシュ 0 47 36 83

どんな状態か (件) 単語 小学校 中学校 高等学校 合計

倒れる 36 305 414 755 動く+できない 12 98 178 288

座り込む 25 101 82 208 ふらつく 4 30 32 66

どんな競技・活動 (件) 小学校 中学校 高等学校 合計

野球 2 203 387 592

サッカー 17 150 176 343

バスケットボール 13 157 127 297 テニス 0 164 97 261

バレーボール 0 103 71 174

剣道 0 55 43 98 吹奏楽部 0 48 42 90

陸上部 2 55 29 86

ソフトボール 1 51 27 79

バドミントン 1 42 35 78

どんな症状 (件) 単語 小学校 中学校 高等学校 合計

頭痛 126 605 508 1,239 吐き気 54 309 337 700

痺れ 10 183 286 479 眩暈 13 134 194 341 だるい 18 102 146 266

つる 0 26 66 92 腹痛 11 54 23 88

小学校では「運動会」、「閉会式」など運動会に関連する語句が多く、中学校、高等学校では「部活動」、「大会」、「合宿中」など部活動に関連する語句が多い。

全体的に「頭痛」、「吐き気」などの症状が多く、中学校、高等学校では「つる」といった症状も出てくる。

全体的に「走る」、「ランニング」など走りに関連した動作が多い。

全体的に「倒れる」、「動く+できない」などの状態が多い。

「野球」、「サッカー」、「バスケットボール」などが多く、他の統計データと同様である。

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第2編 第2章

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第 3章 実地調査と教育委員会や学校での取組み事例

Ⅰ 熱中症予防の取組みを実践 している各種学校等を調査

調査は JSC の地域事務所の職員が下記調査表により実地調査を行い、結果をま

とめた。

(1)調査

期日 平成 25 年 10 月までに

対象 全国の幼稚園・保育所(3)、小学校(3)、中学校(3)、高等学校(3)

計 13 校。

調査票

Ⅰ 学校名

校種( 幼・保 、 小 、 中 、 高 )

Ⅱ 取り組みのポイント(特色ある活動、力を入れている取組等)

取り組みの主体( )

*生徒会○○委員会、教員保健体育部、PTA○○部・・・等。複数可

Ⅲ 取り組みの内容

[学校安全(保健)計画]

・熱中症予防に関して、学校安全(保健)計画では、どのような取り組みが

計画されているか。

[安全教育]

・熱中症予防に関して、どのような機会に安全学習・安全指導が行われてい

るか。

[安全管理]

・熱中症予防に関して、どのような心身の安全管理、学校環境の安全管理が

行われているか。

・熱中症関連の情報をどのように入手し、教職員や児童生徒等に伝えている

か。

・暑熱環境の測定にはどのような機器を利用しているか。(例 WBGT計)

[組織活動]

・学校内で、熱中症予防や発生時の対応等について研修を行っているか。

・家庭や地域の関係機関等との連携はどうか。

Ⅳ 取り組みの効果

・児童生徒や教師の意識や行動が変容したかどうか

・「Ⅲ」の取り組みにより、熱中症は減少したか

Ⅴ その他

・参考となる写真や資料

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第2編 第3章

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(2) 概要報告(前頁 調査票より)(巻末に実地調査結果一覧表掲載)

Ⅱ 取り組みのポイント

・全学校種で児童生徒等の健康観察している。

・中学校、高校と学校種が上がることに伴い自己管理能力の育成を掲げている。 Ⅲ 取り組みの内容

・学校安全(保健)計画には、全校で熱中症についての指導が入っている。 ・学級活動中での指導、夏季の授業時間、時間割等を天候状況に応じて柔軟に

対応する学校もある。 ・水筒の持参を許可している学校が多い。

・保健室には熱中症対策の飲み物を常備している。

・扇風機の設置や遮光ネット等学校ごとに独自の対応を実施している。

・保健だよりを通じて熱中症への理解、周知を保護者へも啓発している。

・校内放送や、掲示物を有効に利用し、注意喚起をしている。

・暑熱環境の観測には、携帯型熱中症計を使用している学校が多い。

・救急法講習会の受講を教職員だけでなく、生徒に受講させている学校も複数

ある。 Ⅳ取り組みの効果

・全学校種で、熱中症は減少している。 ☀健康教育

☀遮光ネット

☀ミスト扇風機 ☀携帯型熱中症計 ☀環境測定し校内放送で周知

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第2編 第3章

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Ⅱ 熱中症集団発生などの場合の対応マニュアル例

(教職員向けの役割分担を中心として)

(1)経緯

小学校で運動会の練習中に、数十人の児童が熱中症の症状で救急搬送されるとい

う事態となった。このことを教訓としてマニュアルを作成した。

(2)マニュアルの内容

□ 保健室の負傷者に対応する人員配置をできるだけ多くする。

担当者:

□ 記録を取る。(時間、児童名、状態)

□ 担任外、担任の役割分担を決めておく。

◇負傷者に対応 担任外

◇教室に残る(負傷者以外の)児童の管理は 担任(影響を

受けて体調不良の子がでないよう、ふだんの様子がわかっている

担任がそばにいるのがのぞましい)

◇保護者連絡は 担任外(保護者をよくわかっているため担任

になりがちだが、その時の教室児童管理を考えるとどうなのか。落ち

着かない状況の場合ほど担任ができるだけそばにいるよう配慮する。)

◇負傷者の名簿準備は 担任(児童の顔がわかる担任がするのが

のぞましい。)

□ 準備する名簿

◇緊急連絡カードのコピー

名前、住所、連絡先、配慮事項(アレルギーなど)

◇受診カード

あらかじめ保護者に記入してもらい保管

□ 担任外の職員と役割分担

管理職は全体をみた動きと内部の指揮

[配置場所]

・学校内

・病院

[任務分担]

・負傷者対応

・記録

・担任との連携

□ 管理職(校長、教頭等複数で手分けして対応)

◇受診まで

・救急車要請、消防署、警察、市教委等関係機関の対応

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第2編 第3章

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・内部の指揮(職員室前に緊急用のホワイトボードを設置)

・緊急放送で職員招集

・負傷者、同乗者、搬送先リスト作成、外部との連絡、保護者への

メール連絡、マスコミ対応

◇受診以降

・病院への見舞い、保護者説明会、スポーツ振興センター関係説明、

校内体制見直し、研修等再発防止策、児童や職員のこころのケア

□ その他

◇負傷者が多い場合は近隣校へ応援要請

◇上ぐつ(名前の確認のため)は履かせておく、または体のそばにおい

ておく。

□ まわりの児童への対応で注意すること

少しでも落ち着いて過ごせる支援

◇担任ができるだけそばにいること。(担任外の応援も含む)

◇災害発生場所や負傷者がいるところから離れる。見せない。(かくす

必要はないが、事実をそのまま伝えることがベストではない。)

□ 緊急時、応援人員に集まってもらう方法

◇放送「◯◯先生、至急、職員室まで来てください。」

◇応援の順番を決めておく

・まずは職員室内のメンバーで動ける人

□ 救急搬送時の連絡の仕方

・「急なご連絡で申し訳ありません。◯◯さんのお母さんでしょうか。」

・「救急車に来てもらうことになりましたので、学校または病院へ来て

いただけますでしょうか。」

・「ご心配をかけて申し訳ありません。」

※保護者からの質問には誠意を持って答えるが、わからないことは

「申し訳ありません、今のところそこまで把握ができていませんの

でまた改めてお話させていただきます。」と答える。

※子どもの状態を話すときは保護者が安心できるようなこと(話は

しっかりできます。水分はとれています。血は止まっています)な

どあれば伝える。

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第2編 第3章

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Ⅲ 学校設置者の熱中症予防対策例

-町 田 市教育委員会の熱中症予防の取組み-

(1)経緯

町田市ではバスケットボールでの熱中症死亡事故を受け対策を実施

(2)対策の概要

○ 5 月に基本となる通知文(別添通知)を全小・中学校に送付

○ 6、7、8月に注意喚起の通知文を送付

○ 校長会、副校長会で熱中症まで至らなかった場合でも事故報告し情報の共有

○ WBGT

□ 2008年 全校配布(小学校 42、中学校 20)

□ 概ね 1日 2回(10:00、15:00)計測

(夏季休業中の部活動では、顧問がこまめに計測)

○ 35 度以上の場合の運動の特別の場合を除き原則中止(特別の場合を除き中止)

□ 外での活動を行う際の目安(体育館を含む)

□ 校長の判断による:特別の場合( 授業時間の確保、大会前等)は実施可 であるが、次のことに留意 ① 目的を明確にした練習:

練習の場合には「なぜ実施するのか」という目的や理由を明確にし、限定した内容を短時間で行うこと。試合直前なら、あまり負担のかからないフォーメーションやチームプレーの練習などの絞る方法がよいでしょう。

② 健康管理: 休息時間をこまめに設定し、風通しのよい日陰等で休ませること。その際、水分や塩分を十分に補給させること。補給したことを指導者が確認すること。

③ 健康観察: 複数の指導者や協力者、支援者で見守るなどして、一人一人の部員(生徒)の健康状況を把握しやすい環境で行うこと。その上で、状況に応じた練習を行うようにすること。

○ 運動部活動の指導マニュアルを配布(熱中症の対応含)

□ 健康管理自己チェックシート等も掲載 … 全校で使用している。

○ 職員研修の実施

□全校を対象に毎年実施 □対象:管理職、一般教員各 1名以上(各校 2名以上参加)

○ 中学校の体育館 … 冷風機、送風機を設置

○ 教室 … エアコンを完備

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第2編 第3章

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別添通知

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第2編 第3章