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61 月刊建設16−08 全建賞 都市部門 はじめに 寝屋川流域はその大部分が低平地であり、流域の約3/4 は雨水が自然に河川に流れ込まない「内水域」であること から、下水道により雨水を集めてポンプで河川へ強制排水 を行っている。さらに、寝屋川流域の水の出口が旧淀川合 流点1ヵ所のみであるが、市街化の進展した地域であり河 道拡幅は困難である。このため河川事業では貯留施設や放 流施設となる寝屋川北部と寝屋川南部の2本の地下河川事 業を進めている。またこれに併せ、下水道事業では、流域 下水管の排水能力を超える雨水対策として下水道増補幹線 事業を進め河川と下水道が綿密に連携を行って事業を実施 している。それぞれ、完成した区間については、順次、暫 定的に貯留施設として運用している。 事業の概要・成果 寝屋川北部地下河川は、河川事業として平成4年度に建 設に着手した全体延長14.3㎞、内径4.9m〜11.5mのトン ネル河川であり、平成27年6月には最上流部の延長2.9㎞ 区間(門真調節池)の供用を行った。 一方、太平立坑関連増補幹線は、寝屋川市、大東市、門 真市、四條畷市 の4市にまたが る区域の浸水を 軽減するため、 平成13年度から 整備を進め、平 成27年6月に寝 屋川北部地下河 川への接続工事 等が完了し、一 体的に供用開始 した。これにより、下水道増補幹線と地下河川の合計貯留 量は31万㎥、新たに1,100haもの広範囲の浸水被害軽減 が可能となった。 供用直後の平成27年7月17日から18日には台風11号に伴 う長期間にわたる大雨(流域内最大総雨量213㎜)となったが、 約17万㎥の雨水を貯留し、早々の治水効果発現となった。 おわりに 寝屋川流域のさらなる浸水被害の軽減のため、引き続き、 河川事業と下水道事業が計画、設計、施工の各段階で連携 し、現在事業中の大東四條畷増補幹線や寝屋川北部地下河 川(守口調節池)等の整備を着実に進めていきたい。 受賞機関  大阪府 東部流域下水道事務所 大阪府 寝屋川水系改修工営所 河川事業と下水道事業の一体的整備による治水効果の発現 〜寝屋川北部地下河川と太 たい へい 立坑関連増補幹線の一体供用〜 はじめに 全国都市緑化フェアは、国、地方公共団体及び民間の協 力による都市緑化を全国的に推進し、緑豊かな潤いのある 都市づくりに寄与することを目的として毎年、全国、持ち 回りで開催されている花と緑のイベントである。本県では、 愛知万博(2005年日本国際博覧会)の開催から10周年の 記念行事として、2015年秋に「第32回全国都市緑化あい ちフェア〜花と緑の夢あいち2015〜」を開催した。 事業の概要・成果 本フェアは平成27年9月12日から同年11月8日までの 58日間、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)をメイン 会場として開催した。会場は花き産出額52年連続日本一 である「花の王国あいち」の特徴を活かし、愛知県産の花 100%で整備した「花の棚田」等、愛知らしさにこだわっ た展示により会場を彩った。また、移りゆく季節に合わせ 変化させた花壇、若年層の取り込みを狙った「ジブリの大 博覧会」の同時開催、一風変わった新しい花の魅せ方など、 魅力ある会場づくりの工夫を行った。フェアは連日多くの 方でにぎわい、結果として目標の100万人を大きく上回る 321万人の方に来場いただき、大盛況のうちに閉幕を迎えた。 また、住民参画の面では、愛知万博、COP10(生物多 様性条約締約国会議)、ESDユネスコ世界会議等において、 これまで本県が培ってきた「市民協働」と「おもてなし」 の精神を本フェアでも引き継ぎ、ボランティア、NPO、 企業、学校等たくさんの方々に協力をいただいた。そして、 それらの活動を通して住民参画の拡大を図ることや、来場 者へのより一層のおもてなしをすることができた。 おわりに 本フェアの開催にあたっては国土交通省、公益社団法人 都市緑化機構はじめ、多くの関係機関、関係者の方のご協 力をいただきました。この場を借りて改めてお礼を申し上 げます。 第32回全国都市緑化あいちフェア〜花と緑の夢あいち2015〜 受賞機関 愛知県 建設部 公園緑地課 全国都市緑化フェア推進室 貯留施設として 供用済 2.9km ( 7万m 3 貯水) 讃良立坑 萱島立坑 北島立坑 鶴見立坑 城北取水立坑 ポンプ場 貯留施設として 供用済 3.7km (13万m 3 貯水) 計画検討中 1.7km (12万m 3 貯水) 計画検討中 2.9km (30万m 3 貯水) 都島調節池 内径11.5m 鶴見調節池 内径9.0m 内径5.4m~7.5m 古川取水立坑 国道 479 号線 (内環 状線) 西 国道163号線 門真調節池 内径5.4m 今回供用区間 (都)北野都島線 (都)都島茨田線 寝屋川北部地下河川 全体計画概要図 オープニングテープカットセレモニー 賛助会員 オリエンタル白石㈱、鉄建建設㈱、 パシフィックコンサルタンツ㈱、三井住友建設㈱ 賛助会員 玉野総合コンサルタント㈱ 流域下水道幹線の排水能力アップを図る下水道事業と、その放流先と しての地下河川を整備する河川事業が連携し、3市1,100haという広域 な市街地の浸水安全度の向上を図った事業。両事業が、計画、設計、施 工の各段階で連携し効果的に浸水対策を実施した点が評価された。 「第32回全国都市緑化あいちフェア〜花と緑の夢あいち2015〜」開 催にあたっての会場整備事業と各種運営の取組み。計画面や整備面でさ まざまな工夫がなされた点や、住民参画の取組みなどで目標来場者数 100万人を大きく超える321万人の来場を達成し、高い事業効果を上げ た点が評価された。 <評価> <評価>

第32回全国都市緑化あいちフェア〜花と緑の夢あいち2015〜 · 記念行事として、2015年秋に「第32回全国都市緑化あい ちフェア 〜花と緑の夢あいち

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61月刊建設16−08

全建賞 都市部門

はじめに寝屋川流域はその大部分が低平地であり、流域の約3/4

は雨水が自然に河川に流れ込まない「内水域」であることから、下水道により雨水を集めてポンプで河川へ強制排水を行っている。さらに、寝屋川流域の水の出口が旧淀川合流点1ヵ所のみであるが、市街化の進展した地域であり河道拡幅は困難である。このため河川事業では貯留施設や放流施設となる寝屋川北部と寝屋川南部の2本の地下河川事業を進めている。またこれに併せ、下水道事業では、流域下水管の排水能力を超える雨水対策として下水道増補幹線事業を進め河川と下水道が綿密に連携を行って事業を実施している。それぞれ、完成した区間については、順次、暫定的に貯留施設として運用している。事業の概要・成果寝屋川北部地下河川は、河川事業として平成4年度に建

設に着手した全体延長14.3㎞、内径4.9m〜11.5mのトンネル河川であり、平成27年6月には最上流部の延長2.9㎞区間(門真調節池)の供用を行った。一方、太平立坑関連増補幹線は、寝屋川市、大東市、門

真市、四條畷市の4市にまたがる区域の浸水を軽減するため、平成13年度から整備を進め、平成27年6月に寝屋川北部地下河川への接続工事等が完了し、一体的に供用開始した。これにより、下水道増補幹線と地下河川の合計貯留量は31万㎥、新たに1,100haもの広範囲の浸水被害軽減が可能となった。供用直後の平成27年7月17日から18日には台風11号に伴

う長期間にわたる大雨(流域内最大総雨量213㎜)となったが、約17万㎥の雨水を貯留し、早々の治水効果発現となった。おわりに寝屋川流域のさらなる浸水被害の軽減のため、引き続き、

河川事業と下水道事業が計画、設計、施工の各段階で連携し、現在事業中の大東四條畷増補幹線や寝屋川北部地下河川(守口調節池)等の整備を着実に進めていきたい。

受賞機関 大阪府 東部流域下水道事務所大阪府 寝屋川水系改修工営所

�河川事業と下水道事業の一体的整備による治水効果の発現〜寝屋川北部地下河川と太

たい

平へい

立坑関連増補幹線の一体供用〜

はじめに全国都市緑化フェアは、国、地方公共団体及び民間の協

力による都市緑化を全国的に推進し、緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的として毎年、全国、持ち回りで開催されている花と緑のイベントである。本県では、愛知万博(2005年日本国際博覧会)の開催から10周年の記念行事として、2015年秋に「第32回全国都市緑化あいちフェア�〜花と緑の夢あいち�2015〜」を開催した。事業の概要・成果本フェアは平成27年9月12日から同年11月8日までの

58日間、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)をメイン会場として開催した。会場は花き産出額52年連続日本一である「花の王国あいち」の特徴を活かし、愛知県産の花100%で整備した「花の棚田」等、愛知らしさにこだわった展示により会場を彩った。また、移りゆく季節に合わせ変化させた花壇、若年層の取り込みを狙った「ジブリの大博覧会」の同時開催、一風変わった新しい花の魅せ方など、魅力ある会場づくりの工夫を行った。フェアは連日多くの方でにぎわい、結果として目標の100万人を大きく上回る

321万人の方に来場いただき、大盛況のうちに閉幕を迎えた。また、住民参画の面では、愛知万博、COP10(生物多

様性条約締約国会議)、ESDユネスコ世界会議等において、これまで本県が培ってきた「市民協働」と「おもてなし」の精神を本フェアでも引き継ぎ、ボランティア、NPO、企業、学校等たくさんの方々に協力をいただいた。そして、それらの活動を通して住民参画の拡大を図ることや、来場者へのより一層のおもてなしをすることができた。おわりに本フェアの開催にあたっては国土交通省、公益社団法人

都市緑化機構はじめ、多くの関係機関、関係者の方のご協力をいただきました。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

�第32回全国都市緑化あいちフェア〜花と緑の夢あいち2015〜

受賞機関 愛知県 建設部 公園緑地課 全国都市緑化フェア推進室

貯留施設として供用済 2.9km(7万m3貯水)

讃良立坑

萱島立坑

北島立坑

鶴見立坑城北取水立坑

ポンプ場

貯留施設として供用済 3.7km(13万m3貯水)

計画検討中 1.7km(12万m3貯水)

計画検討中 2.9km(30万m3貯水)

都島調節池内径11.5m

鶴見調節池内径9.0m

内径5.4m~7.5m

古川取水立坑

国道号線

京阪本線

国道479号線(内環状線)

西三荘水路 大

阪中央

環状線

古川 国道163号線大

門真調節池内径5.4m

今回供用区間

(都)北野都島線(都)都島茨田線

寝屋川北部地下河川 全体計画概要図

オープニングテープカットセレモニー

賛助会員 オリエンタル白石㈱、鉄建建設㈱、     パシフィックコンサルタンツ㈱、三井住友建設㈱

賛助会員 玉野総合コンサルタント㈱

流域下水道幹線の排水能力アップを図る下水道事業と、その放流先としての地下河川を整備する河川事業が連携し、3市1,100haという広域な市街地の浸水安全度の向上を図った事業。両事業が、計画、設計、施工の各段階で連携し効果的に浸水対策を実施した点が評価された。

「第32回全国都市緑化あいちフェア�〜花と緑の夢あいち�2015〜」開催にあたっての会場整備事業と各種運営の取組み。計画面や整備面でさまざまな工夫がなされた点や、住民参画の取組みなどで目標来場者数100万人を大きく超える321万人の来場を達成し、高い事業効果を上げた点が評価された。

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