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第38回ビジネス勉強会『MaaSによるモビリティ革命の先を考える』
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課題図書MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ日高 洋祐, 牧村 和彦, 井上 岳一, 井上 佳三 著
本日のアジェンダ
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1. 自己紹介2. 本書を選んだ理由3. 課題図書ダイジェスト
1. 自己紹介(酒井 聡志)
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自身の知的好奇心を満たすために、様々なイシューと向き合えるアドバイザーとしてのキャリアを歩み、プライベートでは仲間作りと仕事に係らないテーマの研究のためにTSEPに関わってきた。
キャリア TSEPに関わった動機
p Webベンチャー 事業企画・マーケティング
p 監査法人系コンサルティングファーム
p プリンシパル投資機能付き戦略コンサルティングファーム
p 監査法人系M&Aアドバイザリー →今ココl 企業戦略、事業戦略策定l ビジネスデューデリジェンス
p 知的好奇心の高い仲間探し
p 直接、仕事に係らないテーマにおける研究の場
2. テーマを選んだ理由
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最近、MaaSが世の中的な関心事になり、弊社でも多くのプロジェクトが走っているにも関わらず、個人的に未だ携わった経験がない。。。勉強しなくては。
世の中的な関心 個人的な背景
p 2018年10月にトヨタとソフトバンクが出資するMaaS新会社の「Monnet Technologies」が設立
p 12月にはフィンランドで誕生した、世界初のMaaSアプリである「Whim」が2019年に日本市場に進出する可能性があると報道
p オート業界は会社として得意分野
p 個人的にMaaS関連のプロジェクトに携わったことがない
3. 課題図書ダイジェスト
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1-1.MaaSの定義とMaaSに係るプレーヤー
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MaaSとは従来の乗り物をモノではなくサービスで提供する概念であり、インフラを担うプレイヤーとサービスを担うモビリティサービス事業者とアプリを供給するMaaSオペレーターが係わっている。
MaaSの概念 MaaSに係るプレイヤー
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
インフラの供給
交通システム、通信、シミュレーター等のプレイヤー
サービス
インフラ
MaaS = Mobility as a Service
1.MaaSとは何か
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(参考)MaaSのサービスイメージ1.MaaSとは何か
(参考)MaaSオペレーター
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MaaSオペレーターは官主導、官民連携、民間のみで取り組むプレイヤーが存在し、その多くは欧州で生まれている。
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
官主導 民間のみ官民連携
フランス リヨン(Cityway プロジェクト)
米国 ロサンゼルス(ロサンゼルス市)
スイス(スイス連邦鉄道)
ドイツ(ドイツ鉄道)
カナダ モントリオール(Transit)
ドイツ ハノーバー(USTRA)
ドイツ(ダイムラー)
フィンランド トゥルク(Kyyti)
フィンランド ヘルシンキ(MaaS Global)
イタリア(My Cicero)
中華人民共和国(滴滴出行)
オーストラリア(SkedGo)
1.MaaSとは何か
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(参考)各国のMaaSオペレーターと提供する機能とモード1.MaaSとは何か
検索・予約・決済の各機能は備わっているが、都市間をまたぐサービスは少ない。
1-2.MaaSの発達段階モデルと日本の現状
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MaaSはサービス機能の発達に合わせて5段階でモデル化できるが、日本国内は未だ2段階目のレベル1の状態にあると考えられる。
MaaSの発達段階モデル サービス機能
社会全体目標との統合Ø 地域政策との統合、官民連携
提供するサービスの統合Ø パッケージ化、定額制、事業間連携等
予約・支払いの統合Ø 単一トリップ化(検索、予約、決済)
情報の統合Ø マルチモード移動計画、運賃情報
統合なしØ 個々の移動毎に個別対応
日本の現状
1.MaaSとは何か
Source: 国土交通省
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(参考)MaaSの発達段階モデルと該当するサービス機能1.MaaSとは何か
2-1.フィンランドにおけるMaaS誕生の背景とMaaSが目指すもの
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シェア型、オンデマンド型のサービスによる「交通手段の多様化」と統合プラットフォームによる「交通手段の最適化」を背景に生まれたMaaSは「マイカー依存」脱却を目指す。
「モビリティ」の進化の歴史 フィンランドのMaaSが目指す「マイカー依存」脱却
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
~2000年
2000年代
2010年代
2014年以降
年代 モビリティサービスの変化
• タクシー・ハイヤーの誕生• 乗合い自動車の運行• レンタカーの開始
• カーシェア・自転車シェアの登場(セファージ、Car2Go,Velib)
• TNCによるライドへリングの登場(Uber, Lyft, Grab等)
• マルチモーダル型の統合プラットフォームの誕生(RideScout, Moovel, Qixxit)
• MaaSオペレーターの登場
2.なぜMaaSを促進するのか
利用前 利用後Whimユーザの移動手段の変化
公共交通機関マイカー
その他
地方都市における問題
2-2.日本におけるMaaSのインパクト
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日本でも地方都市におけるマイカー依存による公共交通の衰退と大都市における都市交通の混雑、インバウンドを解決するためにMaaSがワークすると考えられる。
日本における交通問題 MaaSが提供できる価値
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
大都市における問題
1. 「足」の提供
2. 移動ビッグデータによる街の活性化
3. 地域への資金の還流
1. シームレスで効率的な移動体験の構築
2. 日本の観光振興におけるボトルネック解消
2.なぜMaaSを促進するのか
3-1.現状のMaaSの事例①
14Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
ダイムラー トヨタ フォルクワーゲン
自動車メーカー
3.どのようにMaaSを促進するのか
ダイムラー:Moovel, Car2Go トヨタ:MSPF,e-パレット VW:MOIA,We Share
3-1.現状のMaaSの事例②
15Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
ドイツ鉄道 ケオリス(SNCF) 東日本旅客鉄道
鉄道・交通オペレーター
3.どのようにMaaSを促進するのか
ドイツ鉄道:Qixxit,ioki ケオリス:NAVYAの自動運転車 JR東日本:モビリティリンケージPF
3-1.現状のMaaSの事例③
16Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
Uber Lyft 滴滴出行
配車サービス
3.どのようにMaaSを促進するのか
Uber:Uber eats Lyft:Neaby Transit 滴滴出行:決済対応、中古車販売、保険等
3-1.現状のMaaSの事例④
17Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
ロサンゼルス市 ソフトバンク NTTドコモ
自治体 通信会社
3.どのようにMaaSを促進するのか
ロサンゼルス市:GoLA ソフトバンク:「群戦略」 NTTドコモ:dカーシェア、baybike
3-1.現状のMaaSの事例⑤
18Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
Google SkedGO HERE
ナビゲーション・地図
3.どのようにMaaSを促進するのか
Google:Google map SkedGO:Trip GO HERE:Here WeGO
3-2.プラットフォームの提供価値
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プラットフォーマーはプラットフォームバリュー、UXバリューに係るサービスの統合や社会全体の目標に係るレイヤーで競争し、コストバリューに係るデータや決済の統合では協調する。
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
MaaSの発達段階モデル 提供価値と競争・協調領域
プラットフォームバリュー
UXバリュー
コストバリュー
p行政機関との連携等により都市全体の最適化を実現
p提供するサービスの統合により、ユーザに新たな価値を提供
p 同一の交通業態間の連携時コスト軽減
p 異なる交通業態間の連携時コストの軽減
p 交通と非交通分野等他系統システムの連携時コストの軽減
p システム連携数に対するコスト軽減
競争領域
協調領域
3.どのようにMaaSを促進するのか
4-1.各モビリティプレイヤーの課題とアクションプラン
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各モビリティプレイヤーは人々が多様なモビリティを最適に選択できる社会を実現するためにビジネスモデルの変革、新運用の構築、人材の確保等が求められている
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
MaaSとの関わり
課題
アクションプラン
自動車メーカー
p モビリティサービス化
pサービス側のニーズに合わせた開発・設計・製造の必要性
p所有から利用へのビジネスモデルの変革
p テクノロジー分野等の人材確保
p アライアンスやパイロットプログラムによる蓋然性検証
pMaaSプラットフォームの構築
自動車ディーラー
p交通サービス拠点化
pユーザとの最先端タッチポイント
p自動車技術の高度化やコネクテッドサービスに対応可能な人材の確保
p人材育成と教育
p中間整備機能の拡充
p公共交通との連携
鉄道
p大量輸送と速達性の担い手
p従来通り多くの利用者でコスト分担
p ダイヤや定員やルート等の固定的な運用の変革
p固定費比率の低減
p移動ニーズに即したダイナミックプライシング
p交通機関連携による混雑緩和や総移動時間の短縮化
バス
p大量輸送と速達性の担い手
p鉄道より高い自由度
p路線毎の収益性格差の是正
p運転手の担い手の確保
p 「マスとパーソナル」の間の調節弁化
タクシー
pパーソナライズ化した公共交通
p どこにでも移動可能
p安全性担保や二種免許等の厳しい規制への対応
p運転手の担い手の確保
p交通機関連携による利便性や効率性の向上に向けた地域ごとの議論
p利用者に密着したサービス展開
4.どのようにMaaSと関わるか
4-2.他業界のプレイヤーとMaaSの関わり
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MaaSは交通の統合を通じて様々な業界に影響を与え、市民の生活や都市の機能を再定義する可能性を秘めている。
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
MaaSとの関わり
エネルギー
p EVによってエネルギー貯蔵機能の移動化を実現l 電力会社がEVを
運用l MaaSによる電力小
売の実施
保険サービス
p自動運転の自己リスクや配車サービス向けのドライバー保険
pユーザの移動データと連携した保険
金融
p ダイナミックプライシングや事業者間の利益分配をユーザの利用実績に応じて実施
p運賃収入の収益分配やイニシャルコストの分担比率の算出
不動産
pMaaS導入による不動産や地価の上昇
p家賃等の定額制にタクシーやレンタカー、配車サービス等のオプションを付与
p観光におけるワンタイムの移動をパッケージ化することで旅行の利便性の向上
p宿泊施設との連携
p人々の移動予測に合わせて運行する移動販売車
p送迎サービスの充実による柔軟な店舗展開
p スマホの位置ゲームとの連携
p イベント開催時の来場ルート予測
p医療サービス予約時の移動予約
pハブ&スポークの考え方を用いた早期・延長保育l 簡易保育施設への
送り届けl 保育園へ共同送迎
観光 小売・コンビニ 医療・介護・保育エンタメ
MaaSとの関わり
4.どのようにMaaSと関わるか
5.まとめ
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1. MaaSとは従来の乗り物をモノではなくサービスで提供する概念であり、ユーザのニーズに沿う形で人とモノの移動を手間なく最適化するサービスである。
2. MaaSが生まれた背景は一義的にはマイカーからの脱却であるが、より大きな意味ではモビリティを通じて大都市、地方都市に存在する社会的課題を解決してスマートシティを構築することが目的に置かれている。
3. MaaSの実現に向けて欧州を中心に自動車メーカー、鉄道会社、配車サービス、自治体、通信会社、地図サービス等の様々なプレイヤーがサービスを開始している。
4. 各モビリティプレイヤーがMaaSによってより良い社会を実現するためにはビジネスモデルの変革、新運用の構築、人材の確保等の課題がある。
5. MaaSによるモビリティ革命は他の業界にも影響を与え、人々の生活や都市の機能を劇的に変える可能性がある。
Source: MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ