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67 第3章 北陸地方の防災・減災の現状 3.1 地震災害 3.1.1 新潟県に被害を及ぼした地震と想定被害 3.1.1.1 新潟県に被害を及ぼした主な地震 (地震調査研究推進本部地震調査委員会,2009 :日本の地震活動<第 2 版>) 1から原文を引用して示す。 歴史の資料から陸域の浅い場所で発生した被害地震が比較的多く知られています。1502 年、1666 年、 1751 年に新潟県西部においてM67 の地震があり、大きな被害が生じました。また、1670 年には、新潟 県中部、南蒲原郡付近で地震(M6 3/4 )が発生し、死者、家屋倒壊などの被害が生じました。なお、この 地震については、より西方の越後平野(1828 年の地震のすぐ北側)で発生したとする調査報告もありま す。 1828 年のM6.9 の地震(三条地震と呼ばれることもあります)では、越後平野南部で被害が著しく、 特に三条では約 439 軒の家が潰れ、死者約 205 名などの被害が生じました。県内各地でも大きな被害を 出しました。地割れから水や青砂を噴出したり、建物が土中に 34 尺めり込んだという記録もあり、こ の地震に伴って、かなり大規模な液状化現象が起こったと考えられます。 3.1.1 新潟県とその周辺の主な地震 (地震調査委員会,20091) による。

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第3章 北陸地方の防災・減災の現状

3.1 地震災害

3.1.1 新潟県に被害を及ぼした地震と想定被害

3.1.1.1 新潟県に被害を及ぼした主な地震

(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2009:日本の地震活動<第 2版>)1)から原文を引用して示す。

歴史の資料から陸域の浅い場所で発生した被害地震が比較的多く知られています。1502 年、1666 年、

1751年に新潟県西部においてM6~7の地震があり、大きな被害が生じました。また、1670年には、新潟

県中部、南蒲原郡付近で地震(M63/4)が発生し、死者、家屋倒壊などの被害が生じました。なお、この

地震については、より西方の越後平野(1828 年の地震のすぐ北側)で発生したとする調査報告もありま

す。

1828 年のM6.9 の地震(三条地震と呼ばれることもあります)では、越後平野南部で被害が著しく、

特に三条では約 439 軒の家が潰れ、死者約 205 名などの被害が生じました。県内各地でも大きな被害を

出しました。地割れから水や青砂を噴出したり、建物が土中に 3~4尺めり込んだという記録もあり、こ

の地震に伴って、かなり大規模な液状化現象が起こったと考えられます。

図 3.1.1 新潟県とその周辺の主な地震 (地震調査委員会,2009)1)による。

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明治以降も陸域の浅い被害地震がいくつか発生しています。特に、明治以降における観測体制の整備、

社会的状況の変化等により、M5~6 程度の地震による局所的な被害が新潟県中~西部で数多く報告され

ています。

例えば、1887年の古志郡の地震(M5.7)、1927年の三島郡関原の地震(M5.2)、1933年の小千谷の地

震(M6.1)、1961年の長岡付近の地震(M5.2)などがあります。

1961 年の長岡付近の地震では、約 3km程度の非常に狭い範囲で震度 6 程度の揺れを感じました。最

近では、1995年に笹神村付近で発生した地震(M5.5)で、負傷者や家屋の全半壊などの被害が生じまし

た。また、1992年の津南の地震は、M4.5にもかかわらず深さが非常に浅かった(約 2km)ため、ごく

局所的に被害が生じました。

さらに、中越地方で「平成 16年(2004年)新潟県中越地震」(M6.8)とそれに伴うM6.0を超える規

模の余震が本震直後に立て続けに発生し、死者 68人などの被害が生じたほか、電力などのライフライ

ンへの被害や、新幹線の脱線、道路の崩壊などの交通機関の大きな被害なども生じました。

また、「平成 19 年(2007 年)新潟県中越沖地震」(M6.8)では、柏崎市や刈羽村、長岡市で震度 6 弱

を観測し、死者 11人などの被害が生じたほか、ライフラインの被害や、柏崎刈羽原子力発電所での変圧

器の火災などの被害も生じました。

新潟県内では、隣接する県で発生する浅い地震によっても被害を受ける場合があります。

例えば、1847年の善光寺地震(M7.4)では県西部、特に上越市付近を中心に家屋倒壊などの被害が生

じました。

歴史の資料によると、新潟県付近の日本海東縁部で発生した地震としては、1762年の地震(M7.0)や

1802年の地震(M6.5~7.0)が知られています。いずれも、佐渡島付近の海域で発生し、1762年の地震

では佐渡島において強い揺れによる被害のほかに津波被害も生じました。

明治以降では、1964年の「新潟地震」(M7.5)が日本海東縁部で発生した被害地震です。1833年の山

形県沖の地震(M71/2)や「昭和 58 年(1983 年)日本海中部地震」(M7.7)などでは、新潟県の沿岸地

域に津波被害が出ており、新潟県沖合以外の日本海東縁部で規模の大きな地震が発生した場合でも津波

被害を受けることがあります。

なお、1828 年の地震などが知られている越後平野南部と 1964 年の「新潟地震」の震源域との間には、

これまでに規模の大きな地震が知られておらず、ここを地震の空白域とする指摘もあります。

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西暦(和歴) 地域(名称) マグニュチュード 主な被害

863年7月10日(貞観7) 越中・越後 不明

(山崩れ、民家倒壊、湧水あり、圧死者多数。)

1502年1月28日(文亀1) 越後南西部 6.5~7.0

越後の国府(現直江津)で家屋の倒壊並びに死者多数。

1666年2月1日(寛文5) 越後西部 63/4

高田城破損。死者1,500人、住家倒壊多数。

1670年6月22日(寛文10) 越後中・南蒲原郡 63/4

上川4万石で、死者13人、家屋全壊503棟。

1729年8月1日(享保14) 能登・佐渡 6.6~7.0 佐渡で死者、家屋倒壊あ

り。

1751年5月21日(宝暦1) 越後・越中 7.0~7.4

田城破損、全体で死者2,000人、高田領の死者

1,128人、家屋全壊及び

焼失6,088棟。

1762年10月31日(宝暦12) 佐渡 7.0

石垣、家屋が破損、死者があり。鵜島村で津波により家屋流出26棟。

1802年12月9日(享和2) 佐渡 6.5~7.0

佐渡3郡全体で死者19人、全壊家屋1,150棟、

同焼失328棟。

1828年12月18日(文政11) 越後(三条地震とも呼ばれる。) 6.9

三条・見附・今町・与板などで被害。死者1,400人、

家屋倒壊9,800棟、同焼

失1,200棟。

1833年12月7日(天保4) 羽前・羽後・越後・佐渡 7.7 死者5人。

1847年5月8日(弘化4) (善光寺地震) 7.4 (死者12,000人、全壊家

屋34,000棟。)

1847年5月13日(弘化4) 越後頸城郡 61/2

善光寺地震の被害と区別でjきないところが多い。

1961年2月2日(昭和36) 長岡付近 5.2 死者5人、住家全壊220

棟。

1964年6月16日(昭和39) (新潟地震) 7.5

新潟市内で地盤の流動、不同沈下による被害が著しかった。死者13人、負

傷者315人、住家全壊

1,448棟、同全焼290棟。

1995年4月1日(平成7) 北蒲原南部 5.6 負傷者82人、家屋全壊

55棟。

2004年10月23日(平成16)

(平成16年(2004年)新潟県中

越地震)6.8 死者68人、負傷者4,795

人、家屋全壊3,175棟。

2007年3月25日(平成19)

(平成19年(2007年)能登

半島地震)6.9 負傷者4人。

2007年7月16日(平成19)

(平成19年(2007年)新潟

県中越沖地震)6.8

死 者 15 人 、 負 傷 者

2,316 人 、 家 屋 全 壊

1,331棟。

2010年5月1日(平成22) 新潟県中越地方 4.9 負傷者1人。

「日本の地震活動」/地震調査研究推進本部地震調査委員会編

表 3.1.1 新潟県に被害を及ぼした主な地震

(地震調査委員会,2009)1)による。

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3.1.1.2 新潟県周辺の主要活断層で起こる地震

(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2009:日本の地震活動<第 2版>)1)から原文を引用して示す。

新潟県内の主要な活断層は、北部に櫛形山脈断層帯とその延長上に月岡断層帯、中部に海域から続く

長岡平野西縁断層帯とその延長上に十日町断層帯、信濃川断層帯(長野盆地西縁断層帯)、魚沼市から南

魚沼市を経て南魚沼郡湯沢町にかけて六日町断層帯、西部に高田平野断層帯があります。 また、県内に

被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、山形県沖、新潟県北部沖、佐渡島北方沖の領域で発生する

地震があります(図 3.1.1及び表 3.1.2)。

マグニチュード地震発生確率(30年以内)

山形県沖 7.7前後 ほぼ0%

新潟県北部沖 7.5前後 ほぼ0%

佐渡島北方沖 7.8前後 3%~6%

会津盆地西縁断層帯 7.4程度 ほぼ0%

会津盆地東縁断層帯 7.7程度 ほぼ0%~0.02%

6.8程度 ほぼ0.3%~5%

7.3程度 ほぼ0%~1%

8.0程度 2%以下

西部 7.4程度 3%以上

東部 7.0程度 0.4%~0.7%

7.4~7.8程度 ほぼ0%8程度

(M71/2~81/2)14%

高田平野西縁断層帯 7.3程度 ほぼ0%

高田平野東縁断層帯 7.2程度 ほぼ0%~8%

北部(ケース1) 0.4%~0.9%

北部(ケース2) ほぼ0%

南部 7.3程度 ほぼ0%~0.01%

7.3程度 0.4%以上

日本海東縁部

長岡平野西縁断層帯

7.1程度

魚津断層帯

月岡断層帯

十日町断層帯

高田平野断層帯

六日町断層帯

糸魚川-静岡構造線断層帯

地震

内陸の活断層で発生する地震

海溝型地震

会津盆地西縁・東縁断層帯

櫛形山脈断層帯

信濃川断層帯(長野盆地西縁断層帯)

「日本の地震活動」/地震調査研究推進本部地震調査委員会編

表 3.1.2 新潟県周辺の主要活断層で起こる地震

(地震調査委員会,2009)1)による。

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なお、新潟県が今後 30年以内に震度 6弱以上の揺れに見舞われる確率は、図 3.1.2のとおりです。

越後山脈などの山地や丘陵に比べると、日本海沿岸の平野(越後平野、高田平野、国中平野など)や

山間の盆地、河川沿いでは、地盤増幅率が高く、確率・震度ともに大きくなります。

図 3.1.2 今後 30年以内に震度 6以上の揺れに見舞われる確率(基準日:2009年 1月 1日)

(地震調査委員会,2009)1)による。

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3.1.1.3 主要断層帯による地震の新潟県への影響

図 3.1.3~図 3.1.10は(J-SHIS(独)防災科学技術研究所:地震ハザードステーション)2)による。

図 3.1.3~図 3.1.10の図の見方を上記の文献から引用して「解説」を示す。なお、「解説」に示されて

いる断層の傾斜角は 90度であるため、図中では「直線」で表現されている。断層が傾斜しているものは

傾斜している方向に断層面を投影しているため「四角の範囲」で表現されている。

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(1) 想定震度

1) 櫛形山脈断層帯

地震時に断層が大きくずれ動くアスペリティに含まれ、破壊開始点に近い村上市、胎内市および新発

田市で「震度 7」が予測され、新潟市を含む平野部の広い範囲で「震度 6 強~6 弱」が予測されている。

2) 月岡断層帯

地震時に断層が大きくずれ動くアスペリティに含まれ、破壊開始点に近い五泉市、阿賀野市などで「震

度 7」が予測され、新潟市、新発田市を含む平野部の広い範囲で「震度 6 強~6 弱」が予測されている。

図 3.1.3 櫛形山脈断層帯による想定震度 (地震ハザードステーション)2)による。

図 3.1.4 月岡断層帯による想定震度 (地震ハザードステーション)2)による。

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3) 長岡平野西縁断層帯

地震時に断層が大きくずれ動くアスペリティに含まれる長岡市、三条市や新潟市など平野部の広い範

囲で「震度 6強~震度 6弱」が、佐渡市の平野部では「震度 5強」が予測されている。

4) 十日町断層帯(西部)

地震時に断層が大きくずれ動くアスペリティに含まれ、破壊開始点に近い十日町市、長岡市や柏崎市

などで「震度 6強」が予測され、魚沼市などの広い範囲で「震度 6弱~5強」が予測されている。

図 3.1.5 長岡平野西縁断層帯による想定震度 (地震ハザードステーション)2)による。

図 3.1.6 十日町断層帯(西部)による想定震度 (地震ハザードステーション)2)による。

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5) 長野盆地西縁断層帯

地震時に断層が大きくずれ動くアスペリティに含まれる長野県境付近で「震度 7~震度 6強」が予測さ

れ、上越市や妙高市などで「震度 6弱~5強」が予測されている。

(2) 被災人口

図 3.1.8~3.1.10は、昼間の被災人口を示す。

図 3.1.7 長野盆地西縁断層帯による想定震度 (地震ハザードステーション)2)による。

解説

被災人口地図は、想定した地震が発生した場合に、ある強さ以上の揺れに曝される人口(震度曝露人

口)の分布を示した地図です。[想定地震:平均値]で表示される地図は、条件付超過確率タブで表示さ

れる計測震度の期待値を元に作成した震度曝露人口地図です。[想定地震-ケース N]で表示される地図

は、想定地震タブで表示される、ケース Nの計測震度を元に作成した震度曝露人口地図です。夜間人口

データは平成 17 年国勢調査、昼間人口データは平成 17 年国勢調査及び平成 18 年事業所・企業統計調

査結果に基づき作成しました。

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1)下越地方

新潟県周辺へ影響を与える主要断層帯のうち、下越地方への影響が大きい「櫛形山脈断層帯」、「月岡

断層帯」による地震について、被災人口としては、いずれの地震についても、次に示すような影響を受

けることが予測されている。ここでは、図 3.1.8 に櫛形山脈断層帯による地震での被災人口の分布を示

している。

新潟市、村上市、新発田市および三条市などの人口の多い市街地では、「100~500人」規模の影響を受

けるが、これ以外の地域では、「1~10 人」および「10~100 人」規模の影響を受け、その範囲は下越地

方の可住地域のほぼ全域に及ぶ。

2)中越地方

(地震ハザードステーション)2)による。

(地震ハザードステーション)2)による。

図 3.1.8 櫛形山脈断層帯による被災人口

(地震ハザードステーション)2)による。

図 3.1.9 長岡平野西縁断層帯による被災人口

(地震ハザードステーション)2)による。

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新潟県周辺へ影響を与える主要断層帯のうち、中越地方への影響が大きい「長岡平野西縁断層帯」、「十

日町断層帯(西部)」による地震について、被災人口としては、次に示すような影響を受けることが予測

されている。図 3.1.9に長岡平野西縁断層帯による地震での被災人口の分布を示している。

新潟市、長岡市、柏崎市、上越市などの人口の多い市街地では、「100~500人」規模の影響を受けるが、

これ以外の地域では、「1~10 人」および「10~100 人」規模の影響を受け、その範囲は新潟県の下越地

方~上越地方および佐渡島までの可住地域のほぼ全域に及ぶ。

3)上越地方

新潟県周辺へ影響を与える主要断層帯のうち、上越地方への影響が大きい「長野盆地西縁断層帯」に

よる地震の被災人口としては、次のような影響を受けることが予測されている。図 3.1.10に長野盆地西

縁断層帯による地震での被災人口の分布を示している。

上越市、柏崎市、長岡市などの人口の多い市街地では、「100~500人」規模の影響を受けるが、これ以

外の地域では、「1~10 人」および「10~100 人」規模の影響を受け、その範囲は新潟県の中越地方~上

越地方および長野県や富山県までの可住地域のほぼ全域に及ぶ。

図 3.1.10 長野盆地西縁断層帯による被災人口

(地震ハザードステーション)2)による。

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3.1.1.4 津波シミュレーションの結果

新潟県では、東日本大震災の規模や被害状況を踏まえて、津波対策検討委員会を設け、これまでの想

定地震・津波と津波対策の見直しを行い、この結果を平成24年6月に公表した。

想定地震として、これまで震源域が海域にある地震だけを対象としてきたが、震源域の一部が海域に

かかる地震のほか、東日本大震災で見られた複数の領域による連動発生を踏まえ、連動発生についても

検討を行っている。

(1) 想定波源

上記した 8地震を検討した結果、新潟県に影響を与えると考えられる想定地震として、次の6 地震(a)

を設定している。また、連動発生地震(b)に関しては、科学的にはその可能性は低いが、参考扱いと

し津波検討を行うとしている。

① 佐渡北方沖地震(Aパターン)

② 佐渡北方沖地震(Bパターン)

③ 新潟県南西沖地震

④ 新潟県北部沖地震(粟島付近の地震)

⑤ 長岡平野西縁断層帯地震(弥彦-角田断層)

⑥ 高田平野西縁断層帯地震

図 3.1.11(a)想定地震(6地震)の断層 (b)連動発生地震(2地震)の断層

矢印は断層の傾斜方向を示す。 (新潟県ホームページ)3)より。

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(2) 津波浸水想定

津波被害を引き起こすと想定される6地震について、大規模河川の遡上を含め、堤防の決壊による川

からの低地への浸水も想定している。想定される地震ごとにすべての海岸堤防と河川堤防の機能を損失

した場合に浸水が想定される地域を重ね合わせた最大の全県域浸水エリアを図 3.1.12に示し、新潟市内

の拡大図を図 3.1.13に示している。

図 3.1.13 想定 6地震による新潟市内域浸水想定 (新潟県ホームページ)3)より。

図 3.1.12 想定 6地震による全県域浸水想定 (新潟県ホームページ)3)より。

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(3) 津波高および第一波到達時間

沿岸各市町村の最大の津波高及び第一波到達時間は、概ね表 3.1.3のとおりである。

表 3.1.3 市町村別最大津波高・第一波到達時間 (新潟県ホームページ)3)より。

図 3.1.1.4-3 粟島付近の地震の津波高分布図

(「新潟県 HP」)

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被害形態による地形特性パターン分布図 (新潟県ホームページ)3)より。