30
第3章.札幌市の生活保護の状況 16 第3章. . . . 札幌市 札幌市 札幌市 札幌市の生活保護 生活保護 生活保護 生活保護の状況 状況 状況 状況 1. 政令指定都市 政令指定都市 政令指定都市 政令指定都市における における における における生活保護 生活保護 生活保護 生活保護の状況 状況 状況 状況 幌市及び他の政令指定都市における平成 20 年度から平成 22 年度までの 被保護者世帯数、被保護人員数及び保護率の推移を示すと以下のとおりであ る(表 3-1)。 これを見ると政令指定都市すべてにおいて、近 3 年間で世帯数、人員数及 び率は上昇しており、この傾向は政令指定都市に限ったものではなく、平成 20 年 9 のリーマン・ショック以降の世界的な金融危機による気低迷を反した 全国的なものである。 なお、保護率は千分率である‰(パーミル)で表記するのが一般的であり、人口 1,000 人当たりの被保護人員数の割合である。 (表 3-1)政令指定都市別の状 (年度平均、単位:世帯数は世帯、人員数は人、保護率は‰) 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 世帯数 人員数 保護率 世帯数 人員数 保護率 世帯数 人員数 保護率 37,135 54,562 28.7 40,701 59,530 31.3 44,485 64,644 33.8 8,428 12,198 11.8 9,602 13,864 13.4 10,910 15,797 15.2 さいたま市 8,145 11,472 9.6 9,713 13,567 11.2 11,609 16,156 13.2 8,954 12,852 13.6 10,283 14,402 15.1 11,738 16,097 16.8 17,858 24,769 17.8 19,626 27,005 19.2 21,516 29,714 20.9 38,186 51,853 14.2 42,005 57,129 15.6 46,222 63,335 17.2 6,895 10,337 14.4 5,833 8,316 10.2 6,463 9,142 11.3 7,130 10,058 12.4 4,113 5,587 7.8 4,589 6,252 8.7 5,272 7,166 10.0 2,992 3,884 4.8 3,954 5,355 6.6 4,902 6,780 8.4 22,605 29,448 13.2 27,905 36,198 16.0 32,424 42,248 18.7 26,886 39,659 27.0 28,531 41,999 28.6 30,309 44,449 30.3 90,040 117,846 44.4 102,483 132,856 49.9 113,209 146,410 54.9 13,816 20,509 24.2 14,864 21,957 26.2 16,109 23,694 27.9 27,942 40,686 26.5 29,620 42,874 27.9 31,500 45,597 29.6 7,433 10,514 14.9 8,345 11,818 16.9 13,535 19,512 16.7 15,294 22,144 18.9 17,130 24,830 21.1 12,006 15,336 15.6 14,104 18,365 18.7 16,418 21,845 22.2 20,096 28,641 20.0 23,525 32,896 22.7 27,403 37,873 26.0 )岡山市と相模原市は政令指定都市になってからの数値である。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

16

第第第第3333章章章章. . . . 札幌市札幌市札幌市札幌市のののの生活保護生活保護生活保護生活保護のののの状況状況状況状況

1111.... 政令指定都市政令指定都市政令指定都市政令指定都市におけるにおけるにおけるにおける生活保護生活保護生活保護生活保護のののの状況状況状況状況

札 幌 市 及 び他 の政 令 指 定 都 市 における平 成 20 年 度 から平 成 22 年 度 までの

被 保 護 者 世 帯 数 、被 保 護 人 員 数 及 び保 護 率 の推 移 を示 すと以 下 のとおりであ

る(表 3-1)。

これを見 ると政 令 指 定 都 市 すべてにおいて、最 近 3 年 間 で世 帯 数 、人 員 数 及

び率 は上 昇 しており、この傾 向 は政 令 指 定 都 市 に限 ったものではなく、平 成 20

年 9 月 のリーマン・ショック以 降 の世 界 的 な金 融 危 機 による景 気 低 迷 を反 映 した

全 国 的 なものである。

なお、保 護 率 は千 分 率 である‰(パーミル)で表 記 するのが一 般 的 であり、人 口

1,000 人 当 たりの被 保 護 人 員 数 の割 合 である。

(表 3-1)政令指定都市別の状況 (年度平均、単位:世帯数は世帯、人員数は人、保護率は‰)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

世帯数 人員数 保護率 世帯数 人員数 保護率 世帯数 人員数 保護率

札 幌 市 37,135 54,562 28.7 40,701 59,530 31.3 44,485 64,644 33.8

仙 台 市 8,428 12,198 11.8 9,602 13,864 13.4 10,910 15,797 15.2

さ い た ま 市 8,145 11,472 9.6 9,713 13,567 11.2 11,609 16,156 13.2

千 葉 市 8,954 12,852 13.6 10,283 14,402 15.1 11,738 16,097 16.8

川 崎 市 17,858 24,769 17.8 19,626 27,005 19.2 21,516 29,714 20.9

横 浜 市 38,186 51,853 14.2 42,005 57,129 15.6 46,222 63,335 17.2

相 模 原 市 - - - - - - 6,895 10,337 14.4

新 潟 市 5,833 8,316 10.2 6,463 9,142 11.3 7,130 10,058 12.4

静 岡 市 4,113 5,587 7.8 4,589 6,252 8.7 5,272 7,166 10.0

浜 松 市 2,992 3,884 4.8 3,954 5,355 6.6 4,902 6,780 8.4

名 古 屋 市 22,605 29,448 13.2 27,905 36,198 16.0 32,424 42,248 18.7

京 都 市 26,886 39,659 27.0 28,531 41,999 28.6 30,309 44,449 30.3

大 阪 市 90,040 117,846 44.4 102,483 132,856 49.9 113,209 146,410 54.9

堺 市 13,816 20,509 24.2 14,864 21,957 26.2 16,109 23,694 27.9

神 戸 市 27,942 40,686 26.5 29,620 42,874 27.9 31,500 45,597 29.6

岡 山 市 - - - 7,433 10,514 14.9 8,345 11,818 16.9

広 島 市 13,535 19,512 16.7 15,294 22,144 18.9 17,130 24,830 21.1

北 九 州 市 12,006 15,336 15.6 14,104 18,365 18.7 16,418 21,845 22.2

福 岡 市 20,096 28,641 20.0 23,525 32,896 22.7 27,403 37,873 26.0

注)岡山市と相模原市は政令指定都市になってからの数値である。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

17

次 に全 国 と政 令 指 定 都 市 上 位 5 市 の平 成 20 年 度 から平 成 22 年 度 までの保

護 率 の推 移 は次 のとおりである(表 3-2)。

いずれの年 度 も上 位 5 市 の順 位 に変 動 はない。札 幌 市 は全 国 平 均 と比 較 して

も 2 倍 以 上 の保 護 率 であり、政 令 指 定 都 市 の中 でも大 阪 市 に次 いで第 2 位 と高

い水 準 となっている。

(表 3-2)全国と政令指定都市上位 5 市の保護率の推移 (年度平均、単位:‰)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

全 国 12.5 13.8 15.2

1. 大 阪 市 44.4 49.9 54.9

2. 札 幌 市 28.7 31.3 33.8

3. 京 都 市 27.0 28.6 30.3

4. 神 戸 市 26.5 27.9 29.6

5. 堺 市 24.2 25.9 27.9

2222.... 札幌市全体札幌市全体札幌市全体札幌市全体のののの状況状況状況状況

((((1111)))) 札幌市札幌市札幌市札幌市におけるにおけるにおけるにおける生活保護生活保護生活保護生活保護のののの実施機関実施機関実施機関実施機関

都 道 府 県 及 び市 は、条 例 で福 祉 に関 する事 務 所 を設 置 することが義 務 付 けら

れており(社 会 福 祉 法 第 14 条 第 1 項 )、生 活 保 護 事 務 については福 祉 に関 する

事 務 所 の権 限 とされている(同 法 第 14 条 第 6 項 )。

札 幌 市 では、各 区 の保 健 福 祉 部 を社 会 福 祉 法 上 の福 祉 に関 する事 務 所 とし

て位 置 づけており(札 幌 市 福 祉 に関 する事 務 所 設 置 条 例 第 2 条 )、生 活 保 護 法

の規 定 により市 が実 施 する事 務 について、区 保 健 福 祉 部 長 に権 限 を委 任 してい

る(札 幌 市 区 保 健 福 祉 部 長 事 務 委 任 規 則 第 1 号 )。

したがって、札 幌 市 における生 活 保 護 の実 施 機 関 は区 ということになる。

((((2222)))) 最近最近最近最近 10101010 年度年度年度年度のののの推移推移推移推移

札 幌 市 における平 成 13 年 度 以 降 最 近 10 年 度 の人 口 並 びに被 保 護 者 世 帯

数 、被 保 護 人 員 数 及 び保 護 率 の推 移 は下 記 のとおりである(表 3-3、3-4)。

いずれの数 値 も毎 年 度 上 昇 しており、この傾 向 は平 成 9 年 11 月 の㈱北 海 道 拓

殖 銀 行 の経 営 破 たん以 降 の現 象 である。特 に平 成 21 年 度 と平 成 22 年 度 は、

保 護 率 が 30‰を超 えそれぞれ 31.3‰、33.8‰となり、対 前 年 増 加 率 も 10%近 い

高 い率 となっている。

世 帯 数 と人 員 数 が年 々増 え続 けている中 での対 前 年 増 加 率 の上 昇 であり、こ

こ数 年 の景 気 悪 化 の影 響 が顕 著 に表 れていると考 えられる。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

18

(表 3-3)札幌市の人口並びに被保護者世帯数、被保護人員数及び保護率の推移 (人口は各年度 4 月 1 日時点、被保護者世帯数と被保護人員数は年度平均)

被保護者世帯数 被保護人員数

人 口

(人) 実績(世帯) 対前年

増加率(%) 実績(人)

対前年

増加率(%)

保護率

(‰)

平成 13 年度 1,811,165 26,314 6.6 40,594 6.1 22.1

平成 14 年度 1,822,992 28,191 7.1 43,418 7.0 23.5

平成 15 年度 1,837,901 30,317 7.5 46,556 7.2 25.0

平成 16 年度 1,849,650 32,048 5.7 48,910 5.1 26.2

平成 17 年度 1,856,442 33,460 4.4 50,638 3.5 27.0

平成 18 年度 1,869,180 34,465 3.0 51,700 2.1 27.4

平成 19 年度 1,874,410 35,467 2.9 52,702 1.9 27.8

平成 20 年度 1,880,138 37,135 4.7 54,562 3.5 28.7

平成 21 年度 1,894,939 40,701 9.6 59,530 9.1 31.3

平成 22 年度 1,891,494 44,485 9.3 64,644 8.6 33.8

(表 3-4)札幌市の被保護者世帯数、被保護人員数及び保護率の推移のグラフ

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第3章.札幌市の生活保護の状況

19

((((3333)))) 扶助扶助扶助扶助のののの種類別種類別種類別種類別のののの世帯人員世帯人員世帯人員世帯人員のののの推移推移推移推移

平 成 20 年 度 から平 成 22 年 度 までの生 活 保 護 の世 帯 人 員 を扶 助 の種 類 別 に

人 員 の多 い順 に表 すと以 下 のようになる(表 3-5)。

どの年 度 も順 番 に変 化 はない。住 宅 扶 助 を受 けている世 帯 人 員 が最 も多 く平

成 22 年 度 では 70 万 人 を超 え、それと同 じくらいの人 員 で生 活 扶 助 、医 療 扶 助

が続 いている。教 育 扶 助 ・介 護 扶 助 ・生 業 扶 助 は対 象 者 が限 られることから 10

万 人 に満 たず、葬 祭 扶 助 と出 産 扶 助 は千 人 に満 たない。

(表 3-5)扶助種類別世帯人員 (年度累計、単位:人)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

住 宅 扶 助 597,102 654,560 715,080

生 活 扶 助 596,010 650,527 712,641

医 療 扶 助 573,184 621,659 671,188

教 育 扶 助 74,893 77,771 80,854

介 護 扶 助 63,686 69,642 76,177

生 業 扶 助 25,136 27,427 29,965

葬 祭 扶 助 773 774 847

出 産 扶 助 58 32 36

合計 654,745 714,363 775,728

((((4444)))) 世帯類型別世帯類型別世帯類型別世帯類型別のののの推移推移推移推移

被 保 護 世 帯 は、高 齢 者 ・母 子 ・障 害 者 ・傷 病 者 ・その他 という類 型 別 にも分 け

ることができる(表 3-6、3-7)。高 齢 者 世 帯 は 65 歳 以 上 の者 のみで構 成 されてい

るか、これらの者 に 18 歳 未 満 の者 が加 わった世 帯 をいい、母 子 世 帯 は死 別 ・離

別 などにより配 偶 者 がいない 18 歳 から 65 歳 未 満 の女 子 とその 18 歳 未 満 の子 の

みで構 成 されている世 帯 をいう。また、障 害 者 世 帯 は世 帯 主 が障 害 者 加 算 を受

けているか、障 害 ・知 的 障 害 などの心 身 上 の障 害 のために働 けない世 帯 である。

さらに傷 病 者 世 帯 は世 帯 主 が入 院 (介 護 老 人 保 健 施 設 入 所 を含 む)しているか、

在 宅 患 者 加 算 を受 けている世 帯 、若 しくは世 帯 主 が傷 病 のため働 けない世 帯 で

ある。これらのいずれにも該 当 しない世 帯 はその他 の世 帯 に区 分 される。近 年 増

加 している失 業 による被 保 護 者 はその他 世 帯 に含 まれる。

65 歳 以 上 の高 齢 者 世 帯 の絶 対 数 自 体 は増 加 しているものの、平 成 20 年 度 か

らその他 世 帯 が増 加 に転 じたため、平 成 21 年 度 からは高 齢 者 世 帯 の全 体 に占

める割 合 は減 少 しているが、それでも全 体 の約 4 割 を占 めている。また、失 業 によ

り、働 くことが可 能 だが働 けない稼 働 世 帯 の増 加 でその他 世 帯 の占 める割 合 が

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第3章.札幌市の生活保護の状況

20

増 加 しているのも近 年 の特 徴 である。その他 世 帯 は平 成 22 年 度 で 2 割 を超 え、

失 業 者 を含 む多 種 多 様 な世 帯 が増 加 していることになる。

(表 3-6)世帯類型別被保護世帯の推移 (年度平均、単位:世帯)

平成 19 年度 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

高 齢 者 13,267 14,176 15,357 16,461

母 子 4,911 4,874 5,059 5,327

障 害 者 4,720 4,938 5,174 5,484

傷 病 者 7,189 7,447 7,798 8,051

そ の 他 5,334 5,665 7,262 9,096

総数 35,421 37,100 40,650 44,419

(表 3-7)世帯類型別の各年度の割合のグラフ

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第3章.札幌市の生活保護の状況

21

((((5555)))) 保護開始理由別保護開始理由別保護開始理由別保護開始理由別のののの推移推移推移推移

新 たに生 活 保 護 を開 始 したケースには、被 保 護 者 の背 景 としてどのようなものが

あったのか、それをまとめた(表 3-8、3-9)。

不 況 を鑑 みると失 業 の割 合 が増 加 していると想 定 されたが、平 成 21 年 度 にかけ

て大 きく増 加 しているものの、平 成 22 年 度 は逆 に減 少 に転 じている。その一 方 で

資 産 の消 費 などを要 因 とする開 始 理 由 が件 数 にしては増 加 している。生 活 保 護

が最 後 のセーフティーネットと呼 ばれていることから、被 保 護 者 が自 分 の資 力 を使

いつくしてから保 護 の申 請 にきてはいるのだろうが、先 に述 べたその他 世 帯 の増

加 の一 要 因 になっているものと考 えられる。

(表 3-8)開始理由別状況の推移 (単位:世帯)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

主の傷病 1,888 1,773 1,711

資産の消費 1,055 1,467 1,580

失業 923 1,569 1,330

稼働者との離別 550 697 749

稼働収入等の減少 367 645 490

他管内からの転入 188 218 221

他よりの援助途絶 155 239 254

社会保険給付満了 95 234 230

世帯員の傷病 84 78 61

要介護状態 39 42 47

稼働者の死亡 16 17 14

その他(浮浪者・老齢など) 500 556 599

計 5,860 7,535 7,286

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第3章.札幌市の生活保護の状況

22

(表 3-9)開始理由別の推移のグラフ

失 業 したから被 保 護 者 が増 加 しているのだろうか。そこで、全 国 、北 海 道 及 び札

幌 圏 での常 用 有 効 求 人 倍 率 の推 移 を調 べてみた(表 3-10、3-11)。

(表 3-10)常用有効求人倍率の推移

全国 北海道 札幌圏 被保護人員対前年比

平成 17 年度 0.94 0.53 0.52 1.04

平成 18 年度 1.02 0.53 0.51 1.02

平成 19 年度 0.97 0.51 0.53 1.02

平成 20 年度 0.73 0.43 0.39 1.04

平成 21 年度 0.42 0.35 0.30 1.09

平成 22 年度 0.51 0.41 0.34 1.09

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第3章.札幌市の生活保護の状況

23

(表 3-11)常用有効求人倍率の推移のグラフ

被 保 護 人 員 対 前 年 比 というのは、当 年 度 被 保 護 人 員 数 を前 年 度 被 保 護 人 員

数 で割 って計 算 したものであり、1 を超 過 した場 合 は昨 年 より被 保 護 人 員 が増 加

していることを示 す。かつては、失 業 すれば生 活 保 護 受 給 者 が増 加 するという図

式 が存 在 していたが、平 成 22 年 度 に有 効 求 人 倍 率 が改 善 しても被 保 護 人 員 対

前 年 比 は平 成 21 年 度 と同 じく 1 を超 過 しており、先 のグラフでも明 らかなとおり、

生 活 保 護 受 給 者 の増 加 が必 ずしも失 業 者 の増 加 によっているとは言 えず、この

ことが、被 保 護 世 帯 の態 様 が変 化 しつつあるということを示 唆 している。

常 用 有 効 求 人 倍 率 でみると、北 海 道 及 び札 幌 圏 は全 国 平 均 を下 回 る状 況 が

かねてから継 続 しており、平 成 20 年 のリーマン・ショックの影 響 により、全 国 の有

効 求 人 倍 率 は大 きく下 落 して北 海 道 及 び札 幌 圏 も影 響 を受 けたが、もともと脆

弱 な地 域 経 済 であったことから、その下 落 率 は低 かった。

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

H17 H18 H19 H20 H21 H22

全国

北海道

札幌圏

被保護人員対前年比

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第3章.札幌市の生活保護の状況

24

((((6666)))) 歳出状況歳出状況歳出状況歳出状況のののの推移推移推移推移

札 幌 市 の歳 出 の内 訳 を見 ても、平 成 22 年 度 の生 活 保 護 費 の決 算 額 は 1,163

億 円 であり、歳 出 合 計 8,241 億 円 の約 14%を占 めており、扶 助 費 の増 加 が札 幌

市 の財 政 に及 ぼす影 響 も大 きくなっている。平 成 20 年 度 から平 成 22 年 度 までの

推 移 を見 ても、一 般 会 計 の歳 出 が増 加 しているものの、生 活 保 護 費 の増 加 率 の

方 が 高 い た め 、 歳 出 合 計 に 占 め る 生 活 保 護 費 の 割 合 は 増 し て き て い る ( 表

3-12)。

(表 3-12)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

一般会計歳出合計(千円) 762,253,015 817,224,844 824,147,616

歳出の対前年増加率(%) 100.5% 107.2% 100.9%

生活保護費(千円) 96,006,308 106,803,758 116,341,653

生活保護費の対前年増加率(%) 102.8% 111.3% 108.9%

歳出に占める生活保護費の割合(%) 12.6% 13.1% 14.1%

生活保護費のうち扶助費(千円) 94,671,767 105,684,851 114,847,223

(注)上記の扶助費には施設事務費を含んでいない。

また、生 活 保 護 費 のうち、施 設 事 務 費 を除 いて扶 助 種 類 別 に支 出 金 額 の推

移 を示 すと以 下 のようになる(表 3-13)。

医 療 扶 助 は、健 康 保 険 ・共 済 組 合 などの加 入 者 であれば 3 割 を、国 民 健 康 保

険 加 入 者 は保 護 開 始 時 に資 格 を喪 失 するため 10 割 全 額 を医 療 機 関 に支 払 う

ことになるため種 類 別 では一 番 多 くなる。介 護 扶 助 も介 護 保 険 制 度 の被 保 険 者

であれば 1 割 を、被 保 険 者 でなければ 10 割 全 額 を介 護 機 関 に支 払 うことになる

が、金 額 は医 療 扶 助 より大 幅 に少 ない。医 療 扶 助 を除 けば生 活 扶 助 が一 番 大

きい扶 助 である。生 活 保 護 なので当 然 の結 果 である。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

25

(表 3-13)扶助種類別金額内訳 (単位:千円)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

医 療 扶 助 45,072,848 50,357,635 53,329,938

生 活 扶 助 33,459,628 37,148,435 41,747,483

住 宅 扶 助 13,572,562 15,081,670 16,656,344

介 護 扶 助 1,310,083 1,466,395 1,499,610

教 育 扶 助 596,982 829,481 910,152

生 業 扶 助 509,922 651,804 537,053

葬 祭 扶 助 144,687 145,909 160,981

出 産 扶 助 5,051 3,518 5,658

合計 94,671,767 105,684,851 114,847,223

なお、生 活 保 護 費 の予 算 執 行 状 況 などの分 析 については「第 8章 .予 算 執 行

状 況 の分 析 」で記 載 した。

3333.... 札幌市各区札幌市各区札幌市各区札幌市各区のののの状況状況状況状況

((((1111))))被保護数被保護数被保護数被保護数とととと保護率保護率保護率保護率のののの区別区別区別区別のののの推移推移推移推移

平成 20 年度から平成 22 年度までの被 保 護 者 世 帯 数 、被 保 護 人 員 数 及 び保

護 率 の推 移 は下 表 のとおりである(表 3-14)。

区 別 にみると白 石 区 、東 区 で保 護 率 が高 くなっている。平 成 20 年 度 から平 成

22 年 度 にかけての 3 年 間 で保 護 率 がすべての区 で上 昇 しており、その幅 は 5 ポ

イント近 くになっている。

(表 3-14)<札幌市の区別の被保護者世帯数、被保護人員数、保護率の状況>

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

被保護

世帯

被保護

人員 保護率

被保護

世帯

被保護

人員 保護率

被保護

世帯

被保護

人員 保護率

中 央 区 4,493 5,475 25.7 4,987 6,155 28.4 5,523 6,850 31.1

北 区 5,620 8,530 31.0 6,006 9,052 32.7 6,657 9,976 35.8

東 区 6,312 9,533 37.4 6,849 10,250 40.2 7,500 11,239 43.9

白 石 区 5,810 8,502 41.8 6,274 9,143 44.9 6,808 9,879 48.3

厚 別 区 2,246 3,691 28.5 2,389 3,873 30.0 2,577 4,135 32.2

豊 平 区 4,115 5,833 27.8 4,658 6,596 31.3 5,302 7,460 35.2

清 田 区 852 1,386 12.0 1,001 1,595 13.8 1,225 1,858 15.9

南 区 2,037 2,935 19.7 2,158 3,084 20.9 2,303 3,282 22.4

西 区 4,069 6,039 28.9 4,304 6,361 30.4 4,593 6,724 31.8

手 稲 区 1,756 2,876 19.8 1,921 3,151 22.6 1,995 3,240 23.2

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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((((2222))))支給対象人員数支給対象人員数支給対象人員数支給対象人員数のののの区別区別区別区別のののの推移推移推移推移

平 成 20 年 度 からの保 護 費 支 給 対 象 人 員 数 を、平 成 22 年 度 の多 い順 に示 す

と以 下 のようになる(表 3-15)。

表 示 したいずれの年 度 も東 区 が1位 であり、また平 成 21 年 度 までは2位 だった

白 石 区 が平 成 22 年 度 には北 区 に逆 転 されている。グループホームなどの開 設 で、

北 区 の増 加 率 が白 石 区 のそれを上 回 った結 果 であると推 定 される。

(表 3-15)区別支給対象人員数 (年度平均、単位:人)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

東 区 9,583 10,295 11,239

北 区 8,093 9,084 9,976

白 石 区 8,529 9,169 9,879

豊 平 区 5,939 6,763 7,460

中 央 区 5,515 6,206 6,850

西 区 6,039 6,361 6,724

厚 別 区 3,691 3,873 4,135

南 区 2,935 3,084 3,282

手 稲 区 2,755 3,019 3,240

清 田 区 1,484 1,672 1,858

合計 54,562 59,530 64,644

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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((((3333))))支給支給支給支給したしたしたした扶助費扶助費扶助費扶助費のののの区別区別区別区別のののの推移推移推移推移((((本庁本庁本庁本庁をををを含含含含むむむむ))))

支 給 した扶 助 費 (施 設 事 務 費 を除 く)について本 庁 を含 めて区 別 に、平 成 22

年 度 の多 い順 に平 成 20 年 度 から示 すと次 のようになる(表 3-16)。

実 施 機 関 別 にみるとやはり東 区 、北 区 及 び白 石 区 が多 くなっている。また、この

表 によると本 庁 が 1 位 となっているが、内 訳 は医 療 扶 助 と介 護 扶 助 であり、どちら

も本 庁 で一 括 して支 払 事 務 を行 っており、本 庁 での集 計 となっているためである。

なお、医 療 扶 助 と介 護 扶 助 のうち、医 療 機 関 や介 護 機 関 に直 接 支 払 うもの以 外

の扶 助 、すなわち治 療 材 料 とか移 送 費 などは各 区 での支 給 となる。

(表 3-16)区別扶助費支給実績(全市、施設事務費は除く) (単位:千円)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

本 庁 46,031,978 51,472,569 54,463,810

東 区 8,523,747 9,391,439 10,528,600

北 区 7,212,144 8,240,089 9,306,239

白 石 区 7,645,382 8,397,236 9,294,877

豊 平 区 5,597,929 6,479,699 7,274,550

中 央 区 5,463,502 6,229,298 7,014,111

西 区 5,443,273 5,841,723 6,352,223

厚 別 区 2,834,711 3,062,803 3,392,212

南 区 2,543,008 2,754,061 2,950,933

手 稲 区 2,164,861 2,390,683 2,653,852

清 田 区 1,211,228 1,425,244 1,615,810

合計 94,671,767 105,684,851 114,847,223

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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4444.... 札幌市札幌市札幌市札幌市のののの生活保護行政生活保護行政生活保護行政生活保護行政のののの組織組織組織組織とととと事務分掌事務分掌事務分掌事務分掌

((((1111))))札幌市保健福祉局総務部保護指導課札幌市保健福祉局総務部保護指導課札幌市保健福祉局総務部保護指導課札幌市保健福祉局総務部保護指導課

札 幌 市 では生 活 保 護 に関 する事 務 は実 施 機 関 である各 区 の保 健 福 祉 部 保

護 課 が中 心 に担 うことになっているが、生 活 保 護 法 施 行 事 務 の指 導 監 査 及 び研

修 な ど を 行 う 部 署 と し て 保 護 指 導 課 が 本 庁 の 保 健 福 祉 局 総 務 部 に あ る ( 表

3-17)。

(表 3-17)生活保護に係る本庁の組織

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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また、保 護 指 導 課 の組 織 は以 下 のとおりである(表 3-18)。

(表 3-18)保護指導課の組織

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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保 護 指 導 課 の各 係 の事 務 分 掌 のうち主 なものは次 のとおりである(表 3-19)。

(表 3-19)保護指導課の事務分掌(抜粋)

・生活保護費、事務費の経理

・生活保護統計の作成、資料の収集、分析

・生活保護費、事務費の予算及び決算 保護係

・生活保護返還金に係る債権管理事務

・介護扶助、介護機関、介護報酬について

・被保険者以外の要介護認定調査の委託 医療係

・医療扶助、医療機関、診療報酬について

・生活保護施行事務監査(指導課による監査)

・厚生労働省監査

・会計検査院検査 監査担当

・生活保護制度の実施方針

研修担当 ・区生活保護関係職員の研修計画、実施の総括

・生活保護法に係る法令及び実施要領の適用について

・生活保護制度の運用に関する資料の収集、整備

・生活保護費不正受給報告の審査、集計、分析 指導担当

・生活保護 OA システム

事 務 分 掌 中 の生 活 保 護 OA システムとは主 に保 護 要 否 の判 定 に当 たり、収 入

金 額 と比 較 すべき最 低 生 活 費 を計 算 するためのシステムであり、「第 4章 .札 幌

市 の生 活 保 護 に係 る業 務 分 析 」のところで詳 細 に触 れることにする。また、生 活

保 護 施 行 事 務 監 査 については「第 5章 .保 護 指 導 課 による監 査 」において取 り

上 げることとする。

((((2222))))区保健福祉部保護課区保健福祉部保護課区保健福祉部保護課区保健福祉部保護課

実 施 機 関 である区 の保 護 課 は、札 幌 市 10 区 すべてにある。前 述 のように被 保

護 世 帯 数 などの状 況 によって規 模 が異 なるため係 数 に違 いが生 じる。北 区 を例

に保 健 福 祉 部 保 護 課 の組 織 を記 載 すると次 表 のとおりである(表 3-20)。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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(表 3-20)実施機関(北区)における組織

保 護 一 課 、保 護 二 課 及 び保 護 三 課 の分 担 の目 安 は区 内 をさらに細 分 化 した

地 域 である連 合 町 内 会 を基 礎 として係 を設 定 し、係 の中 でさらに番 地 号 まで細

分 化 して決 定 しており、毎 年 5 月 に担 当 替 えがある。係 長 は SV と呼 ばれ査 察 指

導 員 として、実 際 に実 務 をこなす CW の監 督 を行 う。CW は各 係 に 5 名 から 7 名

ほどが配 置 されている。

保 護 一 課 に属 する管 理 係 は保 護 一 課 に限 らず保 護 二 課 及 び保 護 三 課 すべ

てに横 断 した業 務 を実 施 する。管 理 係 の事 務 分 掌 と職 務 内 容 は以 下 のとおりで

ある(表 3-21)。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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(表 3-21)管理係の事務分掌と職務内容

職務 内容

・生活保護費の支払 各扶助費の支給

・生活保護費の資金前渡 各扶助費の支給にあたり、本庁口座への資金要求(予算執行の

前提)

・生活保護費経理状況の報告 生活保護費の返還金についての債権管理の状況報告

・現物給付の支払(検診料、治療材料) 医療扶助などについての現物支給

・生活保護法による医療券、介護券など

の発行

医療扶助、介護扶助について受診、介護サービスの提供を受け

るために、各機関へ提出するための券の発行事務

・レセプトの管理 被保護者が受診し、医療機関が請求してきた診療報酬明細書

・生活保護返還金の債権管理 生活保護法 63 条、78 条による生活保護返還金についての債権

管理

・返還金徴収金代理納付 納付金相当額を区保健福祉部長が代理受領し、被保護者に代

わって債権者である札幌市長に代理で納付する事務

・戸籍照会 実態調査などで被保護者の扶養照会のため、あるいはその他の

ために関係する自治体に戸籍照会文書を郵送、回収する事務

・廃止台帳の整理 保護を廃止した際の台帳管理

・資産照会

実態調査などで被保護者の財産状況の調査のため、金融機関

や保険会社へ預貯金の有無や保険契約の有無を確認するため

の調査書の郵送、回収の事務

上記の職務内容のうち、相談受付から保護費支給などの業務の流れに沿っ

た分析は「第4章.札幌市の生活保護に係る業務分析」で、生活保護費返

還金などの債権管理に関しては「第6章.債権管理及び不納欠損処理」で

詳細に取り上げている。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

33

な お 、 各 区 に お け る 保 護 課 へ の 係 の 配 置 状 況 は 以 下 の と お り で あ る ( 表

3-22)。

課 と係 は、被 保 護 世 帯 の多 い東 区 、北 区 及 び白 石 区 は保 護 三 課 までの組 織

となっており、係 数 は東 区 が 13、北 区 と白 石 区 がそれぞれ 11 であり、被 保 護 世

帯 の数 に比 例 して配 置 している。

(表 3-22)各区の各課が管轄する係の数(平成 22 年 4 月 21 日現在)

保護一課 保護二課 保護三課 保護四課

中 央 区 5 4 - -

北 区 3 4 4 -

東 区 4 5 4 -

白 石 区 3 4 4 -

厚 別 区 2 3 - -

豊 平 区 4 5 - -

清 田 区 2 - - -

南 区 4 - - -

西 区 4 4 - -

手 稲 区 5 - - -

(注)清田区・南区・手稲区は一課のみなので呼称は保護課である。平成 22 年度では保護四課はない

が、平成 23 年度に東区が四課を設けており、中央区及び豊平区は三課制になっている。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

34

5555.... 札幌市札幌市札幌市札幌市のののの生活保護行政生活保護行政生活保護行政生活保護行政にににに従事従事従事従事するするするする職員職員職員職員のののの配置配置配置配置とととと勤務状況勤務状況勤務状況勤務状況

((((1111)))) 保護指導課保護指導課保護指導課保護指導課のののの職員職員職員職員

保 護 指 導 課 の係 長 及 び係 の配 置 状 況 と、それぞれの業 務 の経 験 年 数 は次 の

とおりである(表 3-23)。なお、課 長 は 1 名 で業 務 経 験 年 数 は 1.0 年 である。

ここに記 載 した業 務 経 験 年 数 は、保 護 指 導 課 における経 験 年 数 である。保 護

指 導 課 に所 属 する職 員 は課 長 も含 め全 員 が、区 における CW などの業 務 経 験

者 である。

(表 3-23)保護指導課職員の配置状況と経験年数 (平成 22 年 4 月 21 日現在)

係長(8 名) 係(5 名)

人数 経験年数 人数 経験年数

保護係 1 2.0 3 3.0、2.0、0.0

医療係 1 3.0 2 3.0、0.0

監査担当 1 2.0 - -

研修担当 1 1.0 - -

指導担当 4 3.0、1.0、1.0、1.0 - -

((((2222)))) 各区各区各区各区のののの職員職員職員職員

管 理 係 職 員 も含 めた各 区 の平 成 22 年 度 の現 員 数 は以 下 のとおりである(表

3-24)。

(表 3-24)平成 22 年度保護課職員現員数(平成 22 年 4 月 21 日現在) (単位:人)

課長 係長 (SV)

相談担当係長

主査 (保護)

CW 管理 係長

管理係職員

合計

中 央 区 2 8 2 1 55 1 4 73

北 区 3 11 2 1 73 1 5 96

東 区 3 13 2 1 84 1 6 110

白 石 区 3 11 2 1 75 1 5 98

厚 別 区 2 5 2 0 29 1 3 42

豊 平 区 2 9 2 1 57 1 4 76

清 田 区 1 2 1 0 13 1 2 20

南 区 1 4 1 1 24 1 2 34

西 区 2 8 2 1 52 1 4 70

手 稲 区 1 4 1 1 21 1 2 31

全市 20 75 17 8 483 10 37 650

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第3章.札幌市の生活保護の状況

35

課 長 職 は各 保 護 課 の業 務 の統 括 及 び決 裁 業 務 、係 長 (SV)は各 保 護 係 に属

する CW の業 務 の統 括 と決 裁 業 務 、相 談 担 当 係 長 は新 規 申 請 者 の来 所 への相

談 対 応 を主 な業 務 としている。

また、主 査 (保 護 )職 については相 談 担 当 係 長 と同 様 の業 務 となっており、定 数

はないが、実 配 置 している。それ以 外 の現 員 は定 数 にほぼ同 数 で配 置 されており、

概 ね先 の表 の各 区 別 の扶 助 費 、対 象 人 員 に比 例 している。

上 記 のほかに CW を支 援 する実 施 体 制 を確 保 するため非 常 勤 などを含 めた臨

時 職 員 が在 籍 しており、各 区 へは下 記 のように配 置 されている(表 3-25)。

(表 3-25)非常勤・臨時職員の配置状況 (平成 22 年 4 月 21 日現在)

職種 担当職務 配置状況

就労支援相談員(非常勤) 被保護者の職業相談、職安同行、求人情報の収集 各区1名

就労カウンセラー(非常勤) 稼働意欲が乏しい者に対する注意喚起 1名で全区担当

ホームレス相談員(非常勤) ホームレスに対する相談、自立支援、情報収集 1名で全区担当

生活保護特別指導員(非常

勤)

暴力団構成員、威圧的・脅迫的暴力行為などを行う

者への対策、警察との連絡調整 2名で全区巡回

レセプト点検員(非常勤) レセプト点検業務 2名で全区巡回

臨時職員 レセプト点検業務 各区1名

臨時職員 生活保護・住宅手当の相談業務補助(緊急雇用) 全市で12名

((((3333))))CWCWCWCW のののの配置状況配置状況配置状況配置状況

CW の適 正 な配 置 数 については CW 一 人 について 80 ケースという基 準 が社 会

福 祉 法 第 16 条 に示 されている。札 幌 市 では各 区 において基 本 的 に地 区 割 りで

CW を配 置 しているが、毎 年 増 加 する被 保 護 者 世 帯 数 に対 応 するため、近 年 は、

毎 年 地 区 割 りと定 数 の見 直 しを行 っており、SV と CW をそれぞれ平 成 20 年 度 は

CW8 名 、平 成 21 年 度 は SV4 名 と CW8 名 、そして平 成 22 年 度 は SV5 名 と CW32

名 の増 員 を実 施 している。しかしこれらの増 員 も増 加 する被 保 護 者 世 帯 数 に追 い

つかず、担 当 ケース数 は増 えているのが現 状 である(表 3-26)。

社会福祉法第社会福祉法第社会福祉法第社会福祉法第 16161616 条条条条

(所員の定数)

所員の定数は、条例で定める。ただし、現業を行う所員の数は、各事務所につき、それぞれ次の各号に掲げる数

を標準として定めるものとする。

一 都道府県の設置する事務所にあつては、生活保護法の適用を受ける被保護世帯(以下「被保護世帯」という。)

の数が三百九十以下であるときは、六とし、被保護世帯の数が六十五を増すごとに、これに一を加えた数

二 市の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、三とし、被保護世帯数が八

十を増すごとに、これに一を加えた数

三 町村の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が百六十以下であるときは、二とし、被保護世帯数が八

十を増すごとに、これに一を加えた数

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第3章.札幌市の生活保護の状況

36

(表 3-26)CW 一人当たり担当ケース数の推移

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

CW 定数 449 457 489

4 月 1 日現在の世帯数 36,139 38,684 42,711

1CW 担当数 80.48 84.64 87.34

上 表 から平 成 20 年 度 においては、この基 準 に近 い担 当 ケース数 であったが、平

成 21 年 度 、平 成 22 年 度 は形 式 的 ではあるが CW 一 人 当 たりの適 正 水 準 である

80 ケースを超 えている。

社 会 福 祉 法 で設 定 されている基 準 は家 庭 訪 問 による調 査 などを含 めたあるべき

水 準 であり、実 際 に被 保 護 者 との面 会 を通 じたコミュニケーションはその生 活 保

護 におけるケースワークの根 幹 であり、本 来 あるべき定 数 が措 置 されていないこと

で、生 活 保 護 事 務 が満 足 にされているとは言 い難 い状 況 である。この点 に関 して

は「第 9章 .CW へのアンケート実 施 結 果 」において、実 態 に触 れることにする。

各 区 において実 際 の平 均 世 帯 数 と CW 定 数 は以 下 のとおりである(表 3-27)。

(表 3-27)過去3年間の区別の CW 一人当たりの平均担当ケース数

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 平均

世帯数 CW 定数

平均 担当数

平均 世帯数

CW 定数

平均 担当数

平均 世帯数

CW 定数

平均 担当数

中 央 区 4,491 52 86.4 4,994 53 94.2 5,523 56 98.6

北 区 5,317 66 80.6 6,004 66 91.0 6,657 73 91.2

東 区 6,309 79 79.9 6,851 81 84.6 7,500 86 87.2

白 石 区 5,812 70 83.0 6,277 71 88.4 6,808 74 92.0

厚 別 区 2,246 28 80.2 2,389 28 85.3 2,577 29 88.9

豊 平 区 4,182 49 85.3 4,769 51 93.5 5,302 57 93.0

清 田 区 982 11 89.3 1,109 11 100.8 1,225 13 94.2

南 区 2,037 23 88.6 2,158 24 89.9 2,303 25 92.1

西 区 4,071 50 81.4 4,304 51 84.4 4,593 54 85.1

手 稲 区 1,688 21 80.4 1,846 21 87.9 1,995 22 90.7

全市 37,135 449 82.7 40,701 457 89.1 44,485 489 91.0

上 記 表 によると平 成 20 年 度 の東 区 を除 いて、社 会 福 祉 法 の要 求 する基 準 を

満 たしていないことが分 かる。平 成 21 年 度 から平 成 22 年 度 にかけての急 激 な被

保 護 者 世 帯 の増 加 に対 応 が追 いつかないということ、各 区 によって被 保 護 者 世

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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帯 の構 成 比 率 が異 なることにより、業 務 負 担 の程 度 が均 一 ではないが、そもそも

平 成 20 年 度 においても CW 一 人 当 たり 80 ケースを超 過 している区 があり、措 置

について時 間 を要 するとは思 われるものの、複 数 年 において 80 ケースを超 過 して

いる現 状 をみると、人 材 配 置 面 においては適 正 な配 置 がなされているとは言 い切

れない状 況 である。

((((4444))))CWCWCWCW のののの年齢別年齢別年齢別年齢別、、、、業務経験別及業務経験別及業務経験別及業務経験別及びびびび在課年数別分析在課年数別分析在課年数別分析在課年数別分析

平 成 23 年 4 月 20 日 現 在 の CW を年齢別、業務経験別及び在課年数別に

男 性 と女 性 に分 けて割 合 を調 べてみると次 のようになる(表 3-28、3-29、3-30)。

(表 3-28)CW の年齢別内訳(平成 23 年4月 20 日現在)

(表 3-29)CW の業務経験別内訳(平成 23 年4月 20 日現在)

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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(表 3-30)CW の在課年数別内訳(平成 23 年4月 20 日現在)

上 記 の表 を分 析 すると、20 代 の職 員 が全 体 の約 50%であり、かつ、保 護 課 に配

属 されて 1 年 未 満 の CW が男 性 女 性 とも 50%以 上 であり、2 年 未 満 では男 性 が

約 70%、女 性 が約 75%と高 い比 率 を示 しており、業 務 の中 心 となるべき 3 年 以

上 の業 務 経 験 がある職 員 は女 性 が約 10%、男 性 が約 15%と低 い割 合 となって

いる。

なお、保 護 課 に配 属 されて 1 年 未 満 の CW が男 女 とも 50%以 上 になっているの

は、平 成 22 年 度 までは一 般 職 員 の 4 月 異 動 の発 令 日 は原 則 として 21 日 付 け

であったところ、平 成 23 年 度 については 20 日 付 けであったことから、平 成 23 年

4 月 20 日 現 在 で保 護 課 に配 属 されて 1 年 未 満 の CW の中 には、平 成 22 年 4

月 21 日 付 けで配 属 された実 質 1 年 間 の経 験 を有 する職 員 が含 まれているため

である。

平 成 22 年 4 月 21 日 付 けで各 区 に配 属 された CW のうち新 規 採 用 者 と、既 職

員 でも CW 業 務 の未 経 験 者 の合 計 数 が全 体 の3分 の 1 以 上 を占 めている(表

3-31)。被 保 護 者 世 帯 は高 齢 者 世 帯 の割 合 が多 いので、被 保 護 者 と満 足 にコミ

ュニケーションが取 られているかという疑 問 と、複 雑 な保 護 行 政 に適 切 に対 応 でき

るかという懸 念 が生 じる。

こうしたことから保 護 課 への人 材 の配 置 方 法 を見 直 すのも一 考 であると言 える。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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(表 3-31)新規配属のCW数 (平成 22年 4月 21 日現在)

転入職員数

区全体の CW 数

新規採用 職員数 CW

未経験者 CW

経験者

新規採用と未経験者計

新規と未経験者の割合

中 央 区 55 9 9 18 32.7%

北 区 73 12 16 28 38.4%

東 区 84 15 18 33 39.3%

白 石 区 75 12 10 1 22 29.3%

厚 別 区 29 4 5 9 31.0%

豊 平 区 57 13 10 23 40.4%

清 田 区 13 2 1 1 3 23.1%

南 区 24 3 3 6 25.0%

西 区 52 8 6 14 26.9%

手 稲 区 21 5 1 1 6 28.6%

合計 483 83 79 3 162 33.5%

(注)上記の CW 経験者は移動直前の職が他区の保護課において CW であった者である。したがって、上記未経験者の中には過去に CW 業務を経験した者が含まれている可能性がある。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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((((5555))))職員職員職員職員のののの時間外勤務時間外勤務時間外勤務時間外勤務とととと休職者休職者休職者休職者のののの状況状況状況状況

①①①① 時間外勤務時間外勤務時間外勤務時間外勤務のののの状況状況状況状況

各 区 の保 護 課 、本 庁 の保 護 指 導 課 における時 間 外 手 当 の支 給 状 況 と前 年 度

比 は以 下 のとおりである(表 3-32)。やはり、業 務 量 が多 く人 数 も多 い、東 区 、北

区 及 び白 石 区 が、時 間 外 手 当 においても上 位 を占 めている。10 区 及 び本 庁 の

最 近 3年 度 の趨 勢 をみると、連 続 して前 年 度 を上 回 っているのは北 区 と白 石 区

だけであり、他 は前 年 度 を下 回 る年 度 がある。

平 成 22 年 度 において、前 年 度 比 が小 さいのは本 庁 の 0.85、次 いで中 央 区 ・

清 田 区 の 0.99 であり、大 きいのは豊 平 区 の 1.50、次 いで手 稲 区 の 1.40 である。

これをみると時 間 外 手 当 の増 減 にばらつきがあることがうかがえる。

(表 3-32)時間外手当の状況 (金額単位:千円、四捨五入)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

金額 前年度比 金額 前年度比 金額 前年度比

中 央 区 11,751 1.03 16,704 1.42 16,541 0.99

北 区 14,688 1.06 15,796 1.08 17,167 1.09

東 区 15,782 0.89 18,996 1.20 22,241 1.17

白 石 区 13,361 1.02 18,418 1.38 20,858 1.13

厚 別 区 4,180 0.93 5,533 1.32 6,185 1.12

豊 平 区 10.330 1.11 9,245 0.89 13,893 1.50

清 田 区 2,632 1.11 4,223 1.60 4,170 0.99

南 区 4,890 0.89 5,707 1.17 7,165 1.26

西 区 11,032 0.93 12,277 1.11 13,176 1.07

手 稲 区 4,193 0.82 4,395 1.05 6,165 1.40

区計 92,839 0.98 111,294 1.20 127,561 1.15

本 庁 7,561 1.40 7,083 0.94 6,035 0.85

合計 100,400 1.00 118,377 1.18 133,596 1.13

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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②②②② 休職者休職者休職者休職者のののの状況状況状況状況

生 活 保 護 行 政 に従 事 す る 職 員 の休 職 者 数 は以 下 のと お り と な っ て い る ( 表

3-33)。休 職 者 の半 数 以 上 、平 成 20 年 度 と平 成 22 年 度 では休 職 者 の3分 の2

以 上 が CW であり、CW の休 職 理 由 は主 に抑 うつ状 態 あるいはうつ病 である。

(表 3-33)年度中の休職者 (単位:人)

平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度

中 央 区 0 1 1

北 区 1 0 0

東 区 2 1 2

白 石 区 1 1 1

厚 別 区 0 0 0

豊 平 区 1 1 1

清 田 区 0 0 0

南 区 0 0 0

西 区 1 2 2

手 稲 区 0 0 0

本 庁 0 0 0

合計 6 6 7

内 CW 4 3 5

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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6666.... 改善改善改善改善すべきすべきすべきすべき事項事項事項事項

((((1111))))指摘事項指摘事項指摘事項指摘事項

①①①①CWCWCWCW のののの担当担当担当担当ケースケースケースケース数数数数についてについてについてについて

CW が担 当 しているケース数 が法 律 で定 められた数 を超 えている。

一 人 の CW が担 当 するケース数 すなわち被 保 護 世 帯 数 は、社 会 福 祉 法 で 80

ケース(世 帯 )と定 められているが、この章 の「5.札 幌 市 の生 活 保 護 行 政 に従 事

する職 員 の配 置 と勤 務 状 況 」の「(3)CW の配 置 状 況 」における各 種 データで分

かるとおり、保 護 件 数 の増 加 に伴 い CW を増 員 しているものの、件 数 増 に人 員 増

が追 いつかず、CW 一 人 当 たりの担 当 件 数 が増 加 している。

この現 状 を速 やかに解 消 することは諸 般 の事 情 で困 難 であるとは思 われるが、

少 しでも改 善 するための対 応 が必 要 であると考 える。考 えられる対 応 策 について

は「(2)意 見 事 項 」に記 載 した。

②②②②時間外勤務時間外勤務時間外勤務時間外勤務についてについてについてについて

アンケートの結 果 などから、時 間 外 勤 務 については、厳 しい状 況 であると思 われ

る。

近 年 は社 会 福 祉 法 で示 す水 準 である CW 一 人 当 たり 80 件 を超 える差 が拡 大

してきており、CW の増 員 も十 分 とは言 えない状 況 である。さらに、CW を増 員 して

もその共 通 事 務 を行 う保 護 課 管 理 係 の担 当 者 が CW に比 べて増 加 せず、管 理

係 職 員 一 人 当 たりの CW も多 くなっていることから管 理 係 職 員 の業 務 も増 加 して

いる。

また、新 任 や経 験 年 数 の少 ない CW が増 えたことで、経 験 の豊 富 な CW に比 し、

事 務 処 理 時 間 を多 く要 していることも考 えられる。

人 を相 手 にする難 しさに加 え、障 害 者 自 立 支 援 法 、介 護 保 険 制 度 など新 たな

制 度 が成 立 するとともに、既 存 の法 制 度 の頻 繁 な改 正 も加 わり、一 層 短 期 間 で

の業 務 の習 熟 を困 難 にしている。

開 始 理 由 でみると、従 来 多 かった「主 の傷 病 」が減 少 傾 向 であり、「失 業 」が増

加 傾 向 である。また、世 帯 類 型 別 では、「高 齢 」や「傷 病 」よりも「その他 」(失 業 も

この類 型 に含 まれる)が増 加 している。ある保 護 課 係 長 によれば、同 じ1件 でも高

齢 者 世 帯 の場 合 、訪 問 して話 を聞 いてくることが主 な内 容 となるが、この失 業 によ

る「その他 」の場 合 には、繰 り返 しの稼 働 指 導 が必 要 となる。しかも、最 近 の不 況

が厳 しさを増 す状 況 では、被 保 護 者 本 人 がいくら稼 働 の意 欲 があっても、採 用 の

条 件 が極 めて厳 しくなっていることから、稼 働 指 導 の効 果 が上 がらなくなっており、

保 護 世 帯 数 の増 加 以 上 に CW の労 働 時 間 を増 加 させている。

このような事 情 により、時 間 外 労 働 時 間 も増 加 し、もともとの業 務 の難 しさと相 俟

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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って、職 員 一 人 一 人 の負 担 が限 界 を超 えてきているのではないか。

財 政 的 に非 常 に厳 しい状 況 の中 において、こうした業 務 量 の増 加 などに対 応

するためには、効 率 的 な業 務 執 行 体 制 を構 築 することなどにより、時 間 外 勤 務 を

縮 小 させることが重 要 であると考 える。これについても考 えられる対 応 策 を「(2)意

見 事 項 」に記 載 した。

((((2222))))意見事項意見事項意見事項意見事項

①①①①人員配置方法人員配置方法人員配置方法人員配置方法のののの見直見直見直見直しししし

札 幌 市 職 員 の人 員 配 置 方 法 を見 直 すことが考 えられる。

札 幌 市 において時 間 外 勤 務 が比 較 的 少 ない部 署 から職 員 を CW として異 動 さ

せるのも一 策 である。これは保 健 福 祉 局 とか区 の保 健 福 祉 部 の中 でも検 討 すべ

きであるが、札 幌 市 全 体 でも検 討 すべきである。

また、現 在 は新 任 や経 験 年 数 の少 ない CW がかなりの割 合 を占 めているが、こ

の割 合 を少 しでも減 らすために、CW として一 定 の経 験 を有 する職 員 を募 り再 配

置 するのも、CW の負 担 軽 減 と業 務 効 率 化 に一 定 の効 果 があると考 えられる。

②②②②CWCWCWCW のののの組替組替組替組替サイクルサイクルサイクルサイクルのののの見直見直見直見直しししし

地 区 担 当 替 えを1年で行うのは非効率である。

ここ数 年 、保 護 世 帯 が急 増 し年 度 末 には担 当 ケース数 が増 えるため、担 当 世

帯 数 の見 直 しを行 った結 果 、地 区 の内 容 が変 更 してしまうことや、人 事 異 動 との

関 係 で1年 で担 当 地 区 が変 更 になる場 合 など止 むを得 ない事 情 もあるが、極 力

地 区 担 当 は複 数 年 にするのが効 率 的 であると考 える。

組 替 により前 任 担 当 者 との引 き継 ぎやケースの状 況 把 握 などに時 間 を要 し、逆

に効 率 性 を阻 害 する要 因 となっていると思 われる。

前 述 のように新 採 用 の CW が多 い中 で、1年 での組 替 は職 場 環 境 に慣 れること

ができない一 つの要 因 になっている可 能 性 がある。

アンケートの回 答 では、地 区 替 えが1年 で行 われることによる弊 害 についての意

見 として、地 区 担 当 をせめて2年 間 継 続 すればケースの問 題 を深 められるというも

のや、監 査 や調 査 依 頼 があったときに去 年 は違 う CW が担 当 していた今 の自 分

の地 区 の去 年 の状 況 について一 件 一 件 該 当 するもの選 ぶ作 業 が大 変 だというも

のがあった。

③③③③担当割担当割担当割担当割りのりのりのりの是正是正是正是正((((新人新人新人新人やややや女性女性女性女性へのへのへのへの配慮配慮配慮配慮))))

アンケート及 び追 加 調 査 の結 果 、比 較 的 経 験 年 数 の浅 い CW が精 神 的 負 担 を

抱 えながら業 務 を行 っていることが多 いということがうかがえた。また女 性 の CW は

身 の危 険 を感 じる場 面 にも遭 遇 することが分 かった。さらに地 区 によって忙 しさに

ばらつきが大 きいようである。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

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新 人 CW には担 当 させる件 数 を減 らすとか、問 題 のあるケースの割 当 を少 なくす

るとかの配 慮 が必 要 だと思 うし、女 性 の CW、特 に若 い女 性 CW には、粗 暴 なケー

ス、独 り暮 らしの健 康 な男 性 のケースは担 当 させないとか、担 当 させる場 合 には少

なくとも同 行 での家 庭 訪 問 の徹 底 を図 るべきである。また、単 純 な地 区 割 りではな

く、業 務 量 の多 寡 を加 味 した担 当 割 りを導 入 することも検 討 すべきである。

札 幌 市 では CW の地 区 割 りにおいて、それぞれの地 区 性 や外 勤 のし易 さ等 を勘

案 した上 で、各 区 の実 情 に応 じた担 当 割 りを行 っており、また、暴 力 的 な被 保 護

者 への対 応 については、既 に『札 幌 市 生 活 保 護 法 実 施 方 針 』で組 織 的 な対 応

を図 るよう周 知 しているところであり、区 においては、一 人 ではなく複 数 人 で訪 問 を

行 うことなど、可 能 な範 囲 で配 慮 を行 っていると説 明 を受 けたが、アンケートの回

答 を勘 案 すると周 知 などが徹 底 されていないと思 われる。

④④④④専門化専門化専門化専門化のののの推進推進推進推進

生 活 保 護 業 務 の特 徴 として、多 くの関 連 する他 法 の知 識 が必 要 であるという点

が挙 げられる。被 保 護 者 が他 の法 律 または制 度 による保 障 ・援 助 などを受 けるこ

とができるのであればそれが優 先 されるため、結 果 的 に保 護 費 支 給 額 の節 減 とな

り、他 法 他 施 策 の活 用 は非 常 に重 要 である。

新 任 や経 験 年 数 の少 ない CW だけがこれらの知 識 について不 足 しているのでは

なく、ある保 護 課 係 長 によると、このように多 くの関 連 する他 法 の改 正 の知 識 に追

いつくのは、経 験 年 数 が長 くても大 変 であるとのことであった。保 護 課 係 長 (SV・

査 察 指 導 員 )は職 員 の頃 に CW を経 験 し、数 年 あるいは十 数 年 振 りに戻 るケー

スも多 いが、その場 合 はなおさら現 行 の法 制 に追 いつくのに苦 労 するとのことであ

った。また、何 人 かの保 護 課 係 長 からは、年 金 制 度 に詳 しい者 が欲 しいといった

意 見 、特 に遡 及 年 金 に詳 しい者 がいれば便 利 だといった意 見 があった。

したがって、業 務 の効 率 化 と保 護 費 支 給 額 の抑 制 のためには、各 関 連 法 制 へ

の専 門 化 が必 要 であると考 える。すべての者 が関 連 する法 令 に完 全 に精 通 する

のは不 可 能 なため、関 連 法 令 毎 に詳 しい担 当 者 を作 ることが考 えられる。これに

より、支 給 の誤 りを事 前 に防 止 し、支 給 誤 りを事 後 的 に修 正 するという事 務 処 理

も削 減 することが期 待 できる。

まず、年 金 など他 の制 度 のエキスパートすなわち専 門 員 を配 置 する方 策 が考 え

られる。これについては、現 職 の市 職 員 だけではなく、年 金 事 務 所 などの退 職 者

を嘱 託 職 員 として雇 用 することも考 えられる。この場 合 は嘱 託 職 員 の採 用 により

新 採 用 の CW の増 員 に比 し職 員 人 件 費 を抑 える効 果 もある。

専 門 化 が実 現 していない現 時 点 での次 善 策 としては、他 機 関 ・他 部 署 との連

携 による情 報 活 用 が必 要 であり、これらの専 門 知 識 を積 極 的 に利 用 すべきであ

る。

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第3章.札幌市の生活保護の状況

45

⑤⑤⑤⑤業務業務業務業務のののの共通化共通化共通化共通化・・・・標準化標準化標準化標準化

時 間 外 勤 務 を削 減 するためには、現 在 行 っている業 務 について、徹 底 した効

率 化 が求 められる。各 区 が独 自 に行 っている業 務 について、標 準 化 や共 通 化 を

追 求 することで効 率 化 が図 られ、CW 以 外 の保 護 課 職 員 にとっても負 担 軽 減 に

なり、時 間 外 勤 務 の削 減 に繋 がると思 われる。これについては「第 4章 .札 幌 市 の

生 活 保 護 に係 る業 務 分 析 」で記 載 した。

⑥⑥⑥⑥CWCWCWCW のののの精神的負担精神的負担精神的負担精神的負担とととと肉体的負担肉体的負担肉体的負担肉体的負担へのへのへのへのケアケアケアケアのののの充実充実充実充実

アンケートでは、業 務 多 忙 や問 題 ケースとの対 応 が影 響 して、精 神 的 に追 い込

まれていると思 われる回 答 があった。また時 間 外 勤 務 が増 えて、それが精 神 的 に

も肉 体 的 にも負 担 になっているようである。

肉 体 的 負 担 の対 策 としては、業 務 の効 率 化 による時 間 外 勤 務 の削 減 、CW の

増 員 による担 当 ケース数 の軽 減 などが主 として考 えられるが、精 神 的 負 担 への対

策 は、カウンセリング制 度 を導 入 してカウンセラーが各 区 を巡 回 するとか、産 業 医

が定 期 的 に相 談 に応 じるなどが考 えられる。

札 幌 市 では、職 員 健 康 管 理 センターにおいて専 任 の精 神 科 産 業 医 のほか、保

健 師 ・セラピストによる支 援 を実 施 しており、職 員 健 康 管 理 室 などにおいてメンタ

ルヘルスに関 する相 談 を受 ける体 制 を構 築 している。また、平 成 21 年 度 より専 門

スタッフによる新 規 採 用 職 員 に対 する個 別 面 談 を実 施 している。このほか、各 区

で衛 生 委 員 会 が設 けられており、その中 でメンタルヘルスについても取 組 を実 施

している。

このように体 制 は構 築 されているが、CW からのいくつかの回 答 をみるとこれが十

分 に機 能 していないことも考 えられるので、各 職 場 においては新 人 CW の割 合 が

多 いといった特 殊 性 を踏 まえて、より実 効 性 のあるものにする検 討 が必 要 であると

考 える。

⑦⑦⑦⑦勤労意欲勤労意欲勤労意欲勤労意欲をををを高高高高めるめるめるめるモチベーションモチベーションモチベーションモチベーション

アンケートでは、働 く意 欲 が低 下 していると思 われる回 答 があり、何 とか CW が勤

労 意 欲 を持 ってもらう方 策 を講 じなければならないと感 じた。職 員 のモチベーショ

ン向 上 の一 助 とするため、表 彰 や給 与 処 遇 などで功 績 を評 価 する方 策 を検 討 す

べきである。