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第3回 アパレル・サプライチェーン研究会(論点資料)
~オムニチャネル化と製造・物流の効率化~
2016年2月5日
経済産業省 製造産業局
資料3
本日の検討テーマ ~オムニチャネル化と製造・物流の効率化~
1
衣料品製造は、低賃金労働に依存している労働集約型産業とされるが、近年、若年労働人口の減少に伴い、外国人研修生も含め、労働力の確保が困難となっており、機械設備への投資による省力化が不可欠。
また、紡績、製織、染色加工においても、設備投資による省力化、生産性向上、省エネルギー化等が期待されるが、疲弊している産地が多い中、出口戦略も視野に入れたサプライチェーンの再構築が喫緊の課題。
①サプライチェーンの再構築と設備投資
③輸出拡大と海外拠点の活用
他の主要国に比べて、我が国は衣料品の輸出が極めて少ない。我が国の素材や製品に対する海外からの評価も高まっている中、繁閑差を埋めて工場稼働率を向上させるという観点からも、海外への輸出拡大が大きく期待される。海外出展等により引き合いが増加している生地輸出についても、即応能力を高めていくことが課題。
また、国際分業構造の変化やTPPの活用をにらみ、海外における拠点をより戦略的に活用していくことが重要。
②オムニチャネル化と製造・物流の効率化
IoT、ビッグデータ(BD)等の活用が広まる中、消費者ニーズを的確に捉え、市場を拡大していく観点から、アパレル販売におけるオムニチャネル化を積極的に推進していくことが重要。
また、物流ステータス管理が広まりつつある中、製造・物流の効率化をさらに進めていくことが可能ではないか。
産地活性化設備投資促進人材の確保・育成
①サプライチェーンの再構築と設備投資
工場との長期安定的な関係
繁閑差の縮小
製品原価率の向上
新規市場開拓
アパレル産業の活性化
機会ロスの減少
工場稼働率の向上
プロパー消化率の向上
②オムニチャネル化と製造・物流の効率化
③輸出拡大と海外拠点の活用
2
これまでの議論
<消費者ニーズに対応したものづくり・売り方>
国内サプライチェーン再構築は、ものづくり起点の発想になりがち。消費者起点で組み立てる必要がある。
EC等の活用により、売り方を産業主導から生活者主導へシフトする必要がある。売り場におけるサービスは、顧客のニーズや買い方に連動する必要がある。
<日本ならではの高品質で魅力あるものづくり> 消費者が求めているのは、きちんとしたものづくり。日本ならではのものづくり
を高めていくためには、高い技術力を持つ工場を守ることが重要。 ファッションの分野においては、消費者にとっての商品の魅力は「クリエーショ
ン」であり、その魅力に対価を払うという比重が大きい。
第1回及び第2回研究会において、アパレル産業が消費者需要を喚起し、市場を獲得するための方向として、下記のような論点があがった。
日本が得意としている素材や縫製の品質の高さを活かした、ファッション性の高い商品の供給と消費者ニーズを結びつけることが重要。
オムニチャネル化の推進、IoTの活用 海外を含めた需要創造・市場開拓
3
本日議論していただきたい点
消費者の購買行動・嗜好が多様化する中で、アパレル各社によるオムニチャネル化対応等により、販売段階では、消費者ニーズに応える動きが進展しつつある。
販売の強化や在庫の一元化は、販売に係るコストの削減と機会ロスの減少、プロパー消化率の向上、物流の効率化などのメリットがあることから、これらの取組の進展が期待される。
また、RFIDやECサイトの支援など、オムニチャネル対応をサポートするサービスも進展しつつある。
さらに、
一方、小売、アパレル、製造が分断された産業構造の中で、消費者のニーズを的確に反映した商品開発・製造を行っていくことが求められている。
我が国のものづくりの源泉である品質や技術力、クリエイションを活かすためには、製造段階まで含めて消費者との距離を縮めていくことが重要。
IoTの活用により、分断構造によるデメリットを克服するとともに、消費者の需要を喚起し、市場を開拓・拡大していくことができるのではないか。
アパレル企業によるEC販売、オムニチャネル化の取組により、どのような効率化、コスト削減が期待できるか
オムニチャネル対応の具体的な先行事例から学ぶことは何か 製造から小売に至るサプライチェーンの再構築に、IoTが役に立つのではないか オムニチャネル対応、IoTの活用により、新たな市場を開拓することができるのではないか アパレル企業によるオムニチャネル対応、IoTの活用を促進するためには何が必要か 製造事業者によるオムニチャネル対応、IoTの活用を促進するためには何が必要か 上記の課題に関して、政策として何が必要か。
オムニチャネル化などにより、販売段階では、消費者ニーズに応える動きが進展
我が国のものづくり力を発揮するためには、製造段階まで含めて消費者との距離を縮めていくことが重要
4
商品を購入する際に、価格よりも利便性や付加価値を求める消費者嗜好が顕著化。 インターネットのみで、商品を購入する消費者も増加傾向。
12.8
8.5
24.4
19.0
29.3
35.1
33.7
37.4
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2015
2012
Aに近い どちらかといえばA どちらかといえばB Bに近い
A 実際店舗に行かずに、インターネットだけで商品を買うことがある
B インターネットで商品を購入する場合も、実物を店舗などで確認する
出典:NRI「生活者1万人アンケート」
現状と課題① ~消費者嗜好の多様化~
【プレミアム消費】【利便性消費】 高くてもよい
安さ重視
こだわりはない
お気に入りにこだわる
【安さ納得消費】
購入する際に安さよりも利便性を重視自分が気に入った付加価値には
対価を払う
多くの情報を収集し、お気に入りを安く買う
製品にこだわりはなく、安ければよい
00年37%
03年35%
06年36%
09年35%
12年37%
15年43%
【徹底探索消費】
00年13%
03年18%
06年19%
09年20%
12年22%
15年22%
00年40%
03年34%
06年32%
09年31%
12年27%
15年24%
00年10%
03年13%
06年13%
09年14%
12年14%
15年11%
出典:NRI「生活者1万人アンケート」
5
現状と課題② ~顧客接点の拡大と高度化~
スマートフォンやタブレットなど携帯端末の普及などにより、消費者が好きな時に、好きな場所で買い物をできる環境になっている。
消費者ニーズに対応するため、消費者と販売の現場を近づける取り組みが進みつつある。さらに、消費者と製造の現場を近づけていくことが課題。
顧客接点高度化のためのポイント ~NRI 「IT ソリューション フロンティア Vol.29 No.2 より~
顧客接点高度化のためのイメージ
顧客を集める 顧客に近づく
Webサイト 企業
i Phoneアプリ
TwitterFacebook
DesktopWidget
企業
① 空間的に近づける
顧客と企業をつなぐ情報機器、場所、メディアといったチャネルを網羅的に活用し、顧客がどこにいても最適なサービス・商品を提供。
② 行動的に近づける
顧客に無駄な操作や入力を極力させない、意識させない。直感的で自然な操作や入力インターフェイスによりサービス・商品を提供。
③ 心理的に近づける
顧客の心理状態に合わせて、顧客が求めている情報を顧客にとって適切なタイミングで提供。
顧客の購買履歴や操作履歴、問い合わせ履歴など、顧客に関わる情報を蓄積し、外部情報と併せて、分析。顧客の好みにあったサービスや商品を提供。
6
現状と課題③ ~在庫適正化によるプロパー消化率の向上~
「需要予測による過剰在庫の削減」や「販売状況に応じた迅速な在庫投入」が重要
正価で販売した商品が売れ残った場合、段階的に値引き販売(セール)を行って売り切るのが典型的なパターン。
販売の現場が機会損失を嫌って過剰発注を行うと過剰在庫を生じ、正価販売の比率(プロパー消化率)が低下。消費者は、あらかじめセールを予期・期待し、正価での購入を控え、売れ残り商品が更に増加。またセールを繰り返すといった悪循環が生じている。
「需要予測による過剰在庫の削減」や「販売状況に応じた迅速な追加生産・在庫投入」が可能となれば、プロパー消化率が向上し、企業の収益が向上。
売れ残りを値引き販売
売れ残り増加
正規価格で販売
セールを期待し、プロパー価格で商品を購入せず
セールへの期待高まりプロパー価格への不信感の高まり
アパレル企業の利益悪化
7
現状と課題④ ~分断的な産業構造による問題点~
我が国のアパレル産業は、製造・卸・小売が分業されており、産業構造・サプライチェーンが分断されている。 また、製造においても、原糸の製造、生地の製造、糸及び生地の染色加工、縫製の各段階も分業構造となっているこ
とに加え、各工程間で地理的に離れている場合もある。 分断的産業構造は、サプライチェーン全体にデメリットをもたらしている面あり。
糸加工
縫製
アパレル
小売
染色加工
製織・ニット
製造事業者
• 情報共有の不足• 素材/製品開発のリードタイムが長い• 重複投資• 差別化が困難
縫製~アパレル~小売
• 返品・未引取• 歩引・長期の手形支払• 過剰発注→過剰在庫• プロパー消化率の低下
原糸メーカー
(輸入含む)
工程をまたいだ地理的集積が生じている領域
IoTの活用により、分断構造のデメリットを克服し、消費者ニーズに対応したものづくりが可能になるのではないか。
分断的産業構造
の問題点
8
販売における取組① ~オムニチャネルとは?~
消費者の購買行動や嗜好の多様化に伴い、小売業の販売チャンネルは多様化が求めれるようになった。 数年前からは、リアルとデジタルを垣根なくつなぎ(シームレス) 、顧客が求める商品を提供する「オムニチャネル」が
本格化。
引用元:NRF Mobile Retail INITIATIVE 「Mobile Retailing Blueprint V2.0.0」
オムニチャネルの概念図
9
レナウン 北畑社長「ECの今期売上げを前期比1.4倍。ブランドサイトを刷新し、スマホ対応、店舗検索システム導入などを進める(1/20 繊維ニュース)」
ワールド 上山社長「EC事業を伸ばせる時にしっかりと伸ばさないといけない。EC強化は全社一致している方向性。(1/14 繊研)」
フランドル 栗田社長「ECによる海外販売を重視。人材、体制の強化をする。買う心地よさなどを感じてもらうために、店舗も重要。(1/13 繊研)」
ユナイデッドアローズ 竹田社長「自社ECサイトを刷新し、店頭でのポイントサービスなどをECサイトでも行えるようにする。店舗で商品の良さを印象づけるから、ECで買ってもらえる。ECで買えるのに、実店舗に来店してもらえるのは、接客がもたらす感動があるから。(1/21 繊研)」
ルック 多田社長「EC化率を現在の5%から早い段階で10%に。在庫の一元化も進め、倉庫とECは完了済み、実店舗とECも着手済み(1/08 繊研)」、「在庫の一元化やオムニチャネルの加速により、早期にEC化率を10%としたい(1/25 繊維ニュース)」
アーバンリサーチ 竹村社長「16年には中国のECサイトに出店し現地でも販売。20年にはEC売上比率を3割に引き上げたい(1/13 日経MJ)」
販売における取組② ~アパレル各社におけるオムニチャネル化に向けた動き~
EC市場の拡大が国内外で見込まれるなか、近年、アパレル各社において、EC販売及びオムニチャネル化に積極的に取り組む動きが見られる。
出典:各種報道より抜粋
オンワードHD 保元社長「ECをさらに重視して取り組む。高島屋と始めたタブレット接客モデルについて、取り扱いブランドの拡大と他の百貨店への拡大を進める。さらに、16年秋から越境ECプラットホーム作り、中国ECサイトと日本の在庫を連動させる(1/4 繊研)」、「自社サイトに、店頭在庫表示機能など追加。今後のサイトを高める投資を進める(1/11 日経MJ)」
TSI HD 齋藤社長「現在、ECのO2Oサイトは20ブランド。今期末には全ブランドを対象とする。スマホ対応アプリも開発中(1/15 繊維ニュース)」
三陽商会 杉浦社長「ECについては、スピード上げ、社内の基盤整備を進めている。在庫の一元化も相当程度進んだ。ECは委託販売、消化仕入れ販売に次ぐ第3の取引形態であり、大きな海を作る必要がある。アパレルもまとまり、百貨店と共同でプラットフォームを作る必要がある。(1/5 繊研)」、「ECの拡大は必須。在庫データの一元化はできた。(1/22 繊維ニュース)」
11.613
14.415.6
16.918
8.310.1 12
13.815.5
16.6
8.19
9.8 10.511.3 12
5.86.5 7.1
7.78.3 8.9
4.4 4.9 5.4 5.8 6.2 6.7
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2013 2014 2015 2016 2017 2018
小売総売上に占めるEC売上比率
英国 中国韓国 アメリカ日本
出典:eMarketer 2014 推計値
アパレル各社の動き
10
販売における取組③ ~アパレル各社の組織改革~
全社組織のニット、布帛、雑貨、ディレクションの4つのチームを設置。 ブランドごとの企画から、世界のトレンド情報に基づいた戦略的な全社企画に転換。
素材メーカーや産地との協力も進み、社内と社外それぞれの企画チームの共同作業により、素材から、商品企画・開発に着手。オリジナル素材の開発と、独自色を打ち出す。
店頭では、単一ブランドを集約し、商品をセレクトする新業態の開発を進める。
フランドル
経営や分析などに科学的手法を取り入れる。 プロパー率、セット率、型数集中、さらに歩留まりという観点から、価格戦略、店舗運営を進める。
今年からは、BPR(Business Process Re-engineering; 業務プロセスの最適化)にも取り組む。セール期のプロパー販売の最適化や天候に左右されないMD政策を構築する計画。
店舗への値引きの権限移譲や重衣料に依存しないMDも検討。
TSIホールディングス
アパレル各社において、EC事業の強化と並行して、組織改革を進展。
ベイクルーズ 各ブランドの戦略に沿う形でバラバラだったEC業務の運用を平準化し、ブランドごとのノウハウを共有するため、ブランドを横串とし
たEC専門の部隊を組織。各事業部の裁量に任せていたECでの展開型数に、KPIを設定し、在庫の初期配分や期中フォローを見直した。さらに、在庫一元化による商品供給の強化を実施。
2015年のEC売り上げは164億円(前期比36%増)、自社サイト売り上げ64億円(51%増)と大きく成長している。EC販売比率も10%から20%まで拡大。
出典:各種報道より抜粋
ワールド
3つのプラットフォーム戦略に取り組む。
EC事業を強化(既存のオリジナル通販サイトや、ブランド別ECサイトの開設を推進)。 <デジタルプラットフォーム> ブランド別の縦軸とエリア別の支店・営業所の横軸を組み合わせ、近隣小商圏型ショッピングセンターを展開し、地域マーケット
ニーズに対応した商品展開を強化。 <販売プラットフォーム> 国内グループ7社10工場(織物・編物、染色・整理、縫製)がJ∞QUALITYの企業認証取得した生産体制を完備。
国内基幹工場のデータを海外拠点へ送ることにより、海外でも、日本と同品質製品の製造が可能に。製品の納期により、国内工場と海外工場を使い分けることで、商品供給を安定化。<生産プラットフォーム>
11
販売における取組④ ~EC活用による販売効率の向上~
上場アパレル専門店は、国内ユニクロ、アダストリアG、ユナイテッドアローズ、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイト、コックス、タカキュー、ハニーズ、パレモ、シーズメン、青山商事、AOKIファッション事業、はるやま商事の平均値。各年中に迎えた通期決算。
モールサイトと自社ECサイトの売上対比経費率は、小島ファッションマーケティングが運営するSPAC研究会加盟企業のアンケート回答を元に算出。アンケートは毎年3月に実施。
スタートトゥデイ社の運営手数料率は「同社営業収入÷小売売上高」で算出。
出典:小島ファッションマーケティング
実店舗への出店に比べ、ECサイトへの出店にかかるコストは少なく、EC販売の強化は販売効率の向上につながる。
在庫の一元化により、他のECサイトからの在庫を引き上げることが可能となり、機会ロスを削減。また、商品写真・説明も一元化することにより、利用者の利便性を向上。
15年8月にフラッグショップ(集英社)から開始し、楽天、ルミネ等4つのサイトへ拡大予定。
欠品
工場
倉庫
消費者 在庫を一元管理
連携
在庫確認
購入
従来の利用スタイル
在庫一元化モデル・機会ロスの削減・物流の効率化
ECサイトA(フラッグショップ)
ECサイトB
ECサイトC
工場
倉庫
倉庫
消費者
・・・
ECサイト毎に在庫管理
購入断念
・機会ロスの増加・非効率な物流
Bサイト用商品説明
12
販売における取組⑤ ~在庫一元化による利便性向上の事例(TSIホールディングス)~
Aサイト用商品説明
利用サイト
Cサイト用商品説明
在庫確認
ECサイトB
ECサイトC
サイト共通商品説明
・他のサイトを探すのが面倒・未登録サイトへの登録が煩雑
・サイト検索の効率化・複数登録サイトの管理不要
出典:TSIホールディング株主通信、15/10/09日経流通新聞を元に作成
ECサイトA(フラッグショップ)
13
EC販売の強化等に向け、大和ハウス工業と合弁で、消費地により近い場所に大型多機能物流拠点を設置。多機能物流拠点は、全国に5~10カ所程度設置。
消費地に近い場所に多機能物流拠点を設けることで、配送コスト・時間を大幅に短縮するとともに、リアルタイムな販売状況に合わせ商品を短時間で仕分けし、店舗に配送。
ファーストリテイリング(ユニクロ)
EC販売の拡大等を受け、スペインの物流センターに加え、各国消費地ごとに物流拠点を設置。EC販売商品のピッキング出荷作業や店舗への即日補給作業を行っている。
また、この物流拠点で、商品を店頭ですぐに商品陳列できる状態に準備することで、店舗におけるバックオフィス業務を削減。
国内外の工場から全ての商品をスペイン国内の物流センターに集約し、世界各店舗に直送。
これまで・・・
現在・・・
インディテックス(ZARA)
販売における取組⑥ ~物流拠点の整備~
工場 工場工場
DC DC DC DC
TC TC
工場 工場工場
生産地倉庫
DC DC DC DC
DC:集約倉庫TC:トランスファーセンター 多機能物流拠点
出典:ファーストリテイリング・大和ハウス工業 合同記者発表会資料
販売における取組⑦ ~RFIDの導入による販売促進~
14
RFIDタグの導入により、売り場における在庫管理、棚卸し作業などバックオフィス業務にかかる時間が大幅に削減。その分、接客時間に充てることが可能に。
また、個別認識が可能なため、売り場で品切れしている商品をリアルタイムで把握することが可能になり、適切な在庫補充により機会ロスを低減。
ディスプレイなどの機器と組み合わせることで、顧客が手にしている商品や買い物をしている店舗に関しての詳細な情報を提供することが可能に。
非接触でデータの読み出し(Read)、書き換え(Write)が可能 電波・電磁界で交信するため、タグの表面が見えなくても読み書きが
可能 複数タグの一括読み取りが可能(個別認識も可能)
RFIDの特徴
出典:株式会社エスキュービズム・テクノロジー
RFIDは1枚10円~20円。別途、タグを読み取るためのハンディーやアンテナタイプのリーダー、ソフトをあわせたRFIDシステムの導入が必要。
お客が服をハンガーポールにかけると、什器に組み込まれたRFIDリーダーが商品を認識。商品が展開しているカラーやサイズ、特長、在庫情報やコーディネート例がタブレット画面上に表示される仕組みで、店舗スタッフに確かめずとも、商品の詳細な情報を取得することができる。期間限定で実店舗で実証実験を行った。
ビームス/RFIDを活用した販売支援
導入企業
フランドル、イッツ・インターナショナル、ビームス、ユナイテッドアローズ、オンワード、チャールズ&キースジャパン、メーカーズシャツ鎌倉、イオンリテール 等
15
販売における取組⑧ ~ファッション業界に特化したECフルフィルメントサービスの提供~
20~30代向けファッションブランドの公式ECサイト運営を中心に支援。現在は、ECの枠を超え、O2Oソリューションサービスにも展開。
2015年4月現在、約40社、140ブランドのECシステムを手がける。
フルフィルメント・・・受注から商品引き渡しまでの一連のプロセスを総称
3Dフィッテイング画像による商品検索
ECサイトにおいて、コンシューマーがアパレル商品を探すときに、自分のスマートフォンで撮影した画像で、その商品やその商品と似た商品を対象のECサイト内で検索。
顧客がECサイトで靴を購入する際に、疑似試着をネット上で行う。
O2Oサービス
出典:(株)AMS HP(http://www.amsinc.co.jp/)※一部抜粋
株式会社AMS
16
スマートフォン・アプリの活用による新しい商品提案 スマートフォンのアプリを活用し、性別や年齢などの個
人属性と購入データを収集。最新の売れ筋動向を反映した商品を的確に開発し、短期間で販売できるようにする。
個人属性と購入情報を組み合わせた分析により、通常の販売情報だけではつかみ取れないトレンドなどの把握も可能に(例えば、男性向け商品が女性にも人気があると分かれば、女性向けの色柄も開発する 等)。
店舗
日本経済新聞( 1月21日)を元に作成
製造における取組① ~消費者ニーズに応じた商品開発や販売サービスの事例~
新商品等を迅速に店頭へ
消費者属性と販売情報をひもづけてデータを取得
アプリ
データを解析し、トレンドなどを色や柄に反映
情報を基に適量を発注
ECサイトにおけるセミオーダー販売 2015年夏より、ECサイトで、セミオーダー風の紳士
シャツ、ジャケットの販売を順次実施。 シャツについては、1cm単位の首丈や2~2.5単位の袖
丈を用意。9割を超える人の体型に合う。 同素材を使う既製品と同じ価格(2,990円)で提供。 ジャケットについては、全2112通りの組み合わせから、
体型や好みに合った商品が注文可能。 店頭でサンプルを試着し、販売員が採寸。顧客は、採
寸データを確認しながら、ECサイトで注文。 シャツは、オーダーから最短翌日、ジャケットは最短7
日で届く。
ジャケットのセミオーダー注文方法(初回)
出典:ユニクロ HP
機密性○
46%
31%
15%
8%
工場見学ツアーに参加した理由商品とは関係なく、単にものづくりの現場を見ることが好きだから
購入した商品がどのような工場で、どのよう作られているのか知りたかったから(体験したかったから)ファクトリエの商品を購入する際の参考にしたかったから
その他
ライフスタイルアクセント株式会社 ファクトリーブランド専門ECサイト「ファクトリエ」
国内アパレル工場と直接提携し、工場と直接取引することにより、商社や卸等に関わるマージンを排除。自社でデザインした高品質な衣料品を従来の約1/3の価格で販売。商品の織りネームには、「ファクトリエ」のブランドネームとともに、製造工場名を入れることで、商品のトレーサビリティを新たな価値として消費者に訴求。
自社ブランド商品の製造現場の見学ツアーを消費者向けに実施。10~30名程度の参加者をHPで定期的に集う。工場見学だけではなく、製品づくりの体験もできる。また、自治体と連携し、工場周辺の市内観光も行程に盛り込まれている。
出典:ファクトリエWebサイトhttp://factelier.com/ 17
製造における取組② ~顧客向け工場ツアー~
69%
31%
0% 0%
工場見学ツアーに参加することで、
ファクトリエ商品の購買意欲は高まったか
非常に高まった
高まった
変わらない(以前よ
り購買意欲は高い)
低くなった
出典:平成26年度製造基盤技術実態等調査(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査)
ラベルに提携工場名を印字
国内・海外のアパレルなどが把握しきれない技術ある国内の縫製工場、パタンナーが利用可能。 縫製工場の閑散期などの余剰を活用することにより、稼働率向上。 付随決済サービスの活用により、売掛金決済が安全に行える。
18
国内縫製工場など 国内・海外のアパレルなどマッチングプラットホーム
縫製工場
パタンナー
百貨店
アパレル
デザイナー
SDファクトリーSitaterunutte
出典:(株)ラクーン、シタテル(株)、(株)ステイト・オブ・マインド
アパレル企業と縫製工場のマッチング
提供サービス名 SDファクトリー sitateru nutteシステム運営者 株式会社ラクーン シタテル(株) (株)ステイト・オブ・マインドサービス開始 2015年11月 2014年3月 2015年2月
作り手 縫製工場約30社(予定含む) 縫製工場(80カ所) 縫製職人(個人/300名強)
依頼者 アパレル事業者、小売業者、デザイナーなど ブランド、小売店、デザイナーなど1200社 アパレル事業者(サンプル制作)、小規模ショップ経営者、個人
特徴 最初の問合せのみシステム経由で行い、その後は直接打合せ。登録する縫製工場の技術、設備などを掲載。
ロット数:30枚~数千枚システム提供者が、企画からデザイン、パターンの作製、生地選定、資材調達、サンプルチェック、プロセスを管理し縫製工場の稼働状況をリアルタイムに把握。
ロット数:1点から登録する事業者の稼働状況、スキル、設備など掲載
システム提供サービス 売掛け決済代行システム(Paid) オーダーや進捗状況情報を提供 決済や売上げを仲介。完成品の検品、配送
評価仕組み 利用者の評価を掲載(計画中) 利用者の評価を掲載
登録費用 作り手:無料依頼者:登録不要
作り手:無料依頼者:無料
システム利用費用 決済システムを利用した場合、取引代金のうち3%を手数料として支払う
成約額から一定額を手数料として支払う
生産管理に加え、販売・仕入管理、在庫管理も行う アパレル本部
自社・外注生産工場
生産会社
POS店舗
PC店舗
倉庫・配送センター
生産指示
進捗確認
在庫管理
入出庫管理
在庫管理
生産受注進捗報告
生産指示進捗確認
工場管理生産スケジュール管理
19
アパレル・工場の生産性向上を可能とするシステム事例
アパレル企業、工場における生産管理機能や販売管理機能を一つの基幹システムに一元化するとともに、それぞれのシステムを組み合わせることで、川上から川下に至るまでサプライチェーン全体でのデータ連携が可能に。
各工程の作業時間が大幅に短縮されるとともに、工程間の情報共有も円滑化。
アパレル小売販売POSシステム(経営革新SHP)
展示会発注・サンプル管理システム(経営革新SIT)
MD計画・生産調達・販売管理・分析システム(経営革新AP+)アパレル生産管理システム(経営革新21)
原価・材料・進捗管理機能に加え、販売・生産計画と店頭管理機能が統合。
中国の商慣習に対応した日・中両国統一POSシステム。顧客管理や店舗の売上・分析まで行う。
展示会の作業効率アップ。サンプルを資産管理。
工場向け生産進捗管理システム(経営管理ICtag)ICタグに工程番号と作業担当者コードを認識させることで、工程進捗をリアルタイムで管理。
出典: 株式会社アベイル HP 等http://www.avail‐corp.com/index.html
参考資料 ~具体的事例~
20
21
オムニ7の取組
コンビニから百貨店に至るまでセブン・アンド・アイグループの店舗で扱う商品が、全てネットで購入でき、配達もしてもらえる。全国に1万9000店舗を持つセブンイレブンでの受け取りも可能。
自宅への配達を嫌う若い女性などの顧客のニーズに対応。
消費者との多数の接点を確保し、消費者の多様なニーズを把握。
全てのチャネルが消費者のポータル(玄関)に。
ネットは24時間機能する宣伝媒体としても活用。
店舗
ネット注文
配送
消費者
店頭注文等
店頭受け取り等
オムニチャネル統合サイト
日本のものづくりをグローバルで展開
合弁会社「オンワード・ジェイ・ブリッジ」(オンワード×ラオックス) 2015年9月1日、ラオックス(株)と合弁会社「オン
ワード・ジェイ・ブリッジ」を設立。 ラオックスの販売網(海外向けECサイトや日本国
内の免税店舗等)を活用し、高感度・高品質な日本製品をアジアをはじめとする世界に向けて販売。
海外在住の消費者に向けたEコマースと、日本へ来訪する消費者に対する店頭販売の双方を連携させ、事業拡大を狙う。
22
オンワードホールディングスの取組
・店頭の商品・サイトの商品★店頭より1.5倍の数の商品が購入対象となる。
タブレット接客(オンワード×高島屋) 高島屋で展開しているオンワード樫山のショップに、タ
ブレット型PC端末を導入。店頭で取扱の無い商品や欠品している商品などを、高島屋グループ会社のファッション通販サイト「セレクトスクエア」から購入してもらう。(サイトは、オンワードのEC在庫と連動。)
店舗在庫+EC在庫の商品を提案できること、店頭欠品による売り逃しの防止になること、デジタル商品カタログとしてコーディネート提案や着回し方法などをビジュアルで紹介できること、買い足しの需要が見込めること、宅配できること、等がメリット。
ラオックスの販売ネットワーク
オンワードの高品質日本製品
免税店
ECサイト
オンワード・ジェイ・ブリッジ
ECサイトへ誘導
外商客専用サイト「タカシマヤ・イーサロン」 富裕層向けのネット通販。2015年11月開設。 高級品を中心に数百点を取り扱う。サイトで紹介され
た商品を見て、消費者は問い合わせを行ったり商品を仮予約したりできる。また、外商部員が消費者の指定の場所に商品を持参し、実物を見ることも可能。
外商顧客は約30万口座だが、外商員は550人。全ての外商顧客に同一のサービス提供するチャネルの一つとして同サイトを活用。1月現在、約4000人が登録済(日刊工業新聞1月5日)。
今後、決済機能・商品を宅配する仕組みも導入予定。
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高島屋の取組
商品を手に取ったり試着したりして体験。
ECサイトで商品を購入
いつでもどこでもサイトから商品をチェック。
「ショールームストア BY TAKASHIMAYA」 昨年11月~12月に、岡山店、柏店等の地方・郊外店
6店舗で期間限定開設。 消費者からの要望が高いものや、中小型店ではこれ
まで取り扱えていなかった商品のサンプル展示を行う。消費者は店頭で商品を実際に見て、ECサイトから購入。
ショールームストアは、店頭と取引先のネット販売を連動させる。
外商員から購入またはサイトから購入
ショールームストア
ECサイト
外商客専用サイト
シェアサービスによる利便性向上の事例
「airCloset(エアークローゼット)(株)エアークローゼット」 ファッションに興味はあるけれど、時間やお金に限り
がある20代後半から30代の女性を中心としたサービス。2015年2月開設。会員数7万人以上(無料会員含む)
好みのスタイルや身長やバストなどのパーソナルデータ、届いた服への感想からスタイリストが3着選定し配達。
定額会費の支払いにより、利用回数・返却期間に制限無し。気に入った服は買い取り可能。
届く服は、ファッションビルや百貨店で扱われているアパレルブランドを中心としている。
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好みのスタイル
スタイリスト
3着お届け
「mechakari(メチャカリ)」(株)クロスカンパニー 日常着をレンタルする、若いレディス世代向けレンタ
ルサービス。2015年9月開設。 クロスカンパニーの服やバックなどブランド新品アイ
テムをコーディネートしたファッションを多数紹介し、それらを参考に選ぶ。(最大3点)
定額会費の支払いにより、利用回数・返却期間に制限無し。気に入ったアイテムを60日借り続けるとプレゼントされる。(プレゼント後、新たなアイテムのレンタル可能)
レンタル後商品は、ECサイドで中古品として販売。
コーディネートファッション
好みのアイテム
レンタル後商品
中古品ECサイト
出典:プロスカンパニープレスリリース資料
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消費者と店舗をITでつなぐ「ウェブ接客」サービス ~STYLER~
店舗A
店舗B
店舗C
店舗D
子供っぽくならない、1枚でも重ね着でも使えるカジュアルなチェックシャツはありますか?
リクエスト
商品提案
クラシカルな雰囲気を残しつつも、普段のコーディネートに馴染みやすい1着に仕上がっています。
薄手ですので春夏向けです。
春には薄手のニットやジャケットなどの下に、夏はこれ一枚で着ていただけます。
・・・・・?
・・・・?提案が気に入れば、ネットや店舗で商品を購入
インターネット
欲しい商品をうまく探せない消費者と、商品を提案する店舗をインターネット上でつなぐサービスを提供。 ユーザがファッションに対する質問や要望をアプリから投稿。その投稿に答える形でアパレルショップの店員が洋服を
提案。 消費者は、通勤中などの空き時間に効率良く、自分好みの商品を探すことが可能。 店舗側も、平日など客が少ない時間帯を「ウェブ接客」に使える。
https://styler.link/
STYLER上の接客の例
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新市場の創出 ~エシカルファッションの需要拡大~
フェアトレードや環境配慮、リサイクル、地産地消、持続可能性など、社会貢献を意識した消費が徐々に広がっている。 「倫理性(エシカル)」や「サステイナブル」を志向する企業は、欧米が先行。2011年には、小売り、業界団体、政府機
関、NGOなどが一体となって、アパレルや靴製品を主な対象に、環境への負荷を最小限に抑えるサプライチェーンの構築と労働環境改善を目指す団体、サステイナブル・アパレル連合(SAC)が米国で発足。
日本の加盟企業は、東レ、帝人、アシックス、ファーストリテイリングとまだまだ少数。
23.4
21.7
40.9
37.5
18.9
21.6
14.6
17.9
2.3
1.3
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
H27年9月(N=1,682人)
H26年1月(N=1,781人)
思っている どちらかといえば思っている どちらかといえば思っていない 思っていない わからない
あなたは、ご自身が商品・サービスを選択する際に、環境、被災地の復興、開発途上国の労働者の生活改善など、社会貢献につながるものを意識的に選択することがあるか?
内閣府「消費者行政の推進に関する世論調査(平成27年9月)
自身の消費行動が社会に与える影響に対する認識
20.7
19.5
15.3
57.4
54.2
51.4
14.8
17
23.1
5.7
7.4
8.3
1.3
1.7
1.6
0.1
0.1
0.4
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
H26年12月(N=6,449人)
H26年1月(N=6,528人)
H25年2月(N=6,690人)
かなり心掛けている ある程度心掛けている どちらともいえない あまり心掛けていない ほとんど・全く心掛けていない 無回答
「環境を配慮した商品やサービスを選択する」と心がけている
消費者庁「消費者意識基本調査」
国内におけるエシカルファッション創造の動き
グリーンダウンプロジェクト
洗浄することによって再生した羽毛(ダウン)を、「Green Down」とし、羽毛製品を生産するメーカーにその利用を呼び掛け。
2014年には、三陽商会から「Green Down」を使用したダウンコートが発売。
豊島 オーガニック綿ブランド「オーガビッツ」
オーガニックコットンを軸とした、環境保全や社会貢献事業。
協賛ブランドの製品に「オーガビッツ」オリジナルのタグをつけ、製品一枚につき、寄付金をプロジェクトの主宰者(NPOなど)に寄付。
オーガビッツを使ったカーディガンやトレーナーなどの商品は、セレクトショップや量販店などで販売。
▲ウミガメ保護
クリニクラウン(臨床道化師)活動支援▼
プロジェクト例
参加企業株式会社アーバンリサーチ(アーバンリサーチドアーズ)、有限会社エコランド、河田フェザー株式会社、河田フェザー販売株式会社、河田アパレル株式会社、株式会社京都西川、株式会社三陽商会、豊島株式会社、東レインターナショナル株式会社、株式会社ナンガ、西川リビング株式会社、HUALI、山一株式会社、株式会社ユナイテッドアローズ(グリーンレーベル リラクシング) など16社 27
オーガビッツを使った商品例