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第7章 汚染物質の除去 1 硫黄酸化物 硫黄酸化物対策には, 1) 2) 3) 触媒を用い硫黄分を硫化水素として取り除く 1.1 排煙脱硫法 1.1.1 排煙脱硫法の分類 1)湿式法 SOxをSOxと反応する液体状物質 で吸収除去 気液接触反応装置 ・反応効率大 装置を小さくできる, ・排煙の温度が低下する 煙突からの拡散悪化 再加熱必要, ・我が国で実用化されているものの大部分はこれ (設置基数で7割以上,処理能力で8割以上) 2)乾式法 SOxをSOxと反応する固体状の物質 で吸収除去 固気接触反応装置 ・反応効率小 装置大きくなる 建設費高い ・温度低下小 拡散が良い, ・吸収剤・副産物共に固体 取り扱いが難しい 3)半乾式法 液体状物質で吸収,固体状物質として回収(スプレードライヤー法)

第7章 汚染物質の除去1 第7章 汚染物質の除去 1 硫黄酸化物 硫黄酸化物対策には,1) 2) 3) ※ 触媒を用い硫黄分を硫化水素として取り除く

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第7章 汚染物質の除去

1 硫黄酸化物硫黄酸化物対策には,

1)  

2)           

3)          

※ 触媒を用い硫黄分を硫化水素として取り除く

1.1 排煙脱硫法1.1.1 排煙脱硫法の分類

1)湿式法 SOxをSOxと反応する液体状物質で吸収除去   気液接触反応装置    ・反応効率大 → 装置を小さくできる,    ・排煙の温度が低下する → 煙突からの拡散悪化 → 再加熱必要,    ・我が国で実用化されているものの大部分はこれ    (設置基数で7割以上,処理能力で8割以上)

2)乾式法 SOxをSOxと反応する固体状の物質で吸収除去  固気接触反応装置    ・反応効率小 → 装置大きくなる → 建設費高い    ・温度低下小 → 拡散が良い,    ・吸収剤・副産物共に固体 → 取り扱いが難しい

3)半乾式法 液体状物質で吸収,固体状物質として回収(スプレードライヤー法)

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1.2 湿式法  1.2.1

1) 吸収剤        (CaCO3:石灰石),          (Ca(OH)2:消石灰) ,ドロマイト※,フライアッシュの混合物.5-15%の溶液(スラリー)として使う.

2) 除去反応 ①重炭酸生成反応

 ②脱硫反応

3) 特徴・90%の除去率,・大容量のボイラーに適している,火力発電用として用いられている,・世界的に普及している,・生成した石こうが吸収塔や配管などに固結する(スケーリングという)

[CaO + H2O→Ca(OH )2]Ca(OH )2 +CO2 →CaCO3 + H2OCaCO3 +CO2 + H2O→Ca(HCO3)2

Ca(HCO3)2 + SO2 + H2O→CaSO3 ⋅ H2O↓+2CO2

CaSO3 ⋅ H2O + (1/2)O2 →CaSO4 ⋅ H2O↓

※炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの混合物

1.2.2

1) 吸収剤            (Mg(OH)2) 5~10%含有スラリー2) 除去反応 ①脱硫反応

 ②酸化反応

 ③回収再生反応

3) 特徴・設備が簡単,安価,・吸収剤は海水と石灰石から作られるので安価,供給が安定,・毒性・腐食性がなく取り扱いが容易,・小型産業用ボイラーに適する,・配管等の閉塞がない,

SO2 +H2O→ H2SO3H2SO3 +Mg(OH )2 → MgSO3 + 2H2OMgSO3 +H2SO3→ Mg(HSO3)2

Mg(HSO3)2 + (1/2)O2 → MgSO4 +H2SO3MgSO3 + (1/2)O2 → MgSO4

MgSO4 +Ca(OH )2 + H2O→ Mg(OH )2 +CaSO4 ⋅ 2H2O

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1.2.3 その他の湿式法

1)アルカリ溶液吸収法  水酸化ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,アンモニア水等が吸収剤

2)ダブルアルカリ法   炭酸ナトリウムとアンモニアが吸収剤

3)酸化吸収法  触媒添加希硫酸法   触媒(微量鉄イオン)を含む希硫酸でSO2を吸収し硫酸に変え,その後石灰を加えて,石こうとして回収する.

飛ばす

1.2.4 脱硫装置の構成

排ガス 副製品回収装置

空気

排ガス(脱硫後の)

石こう

排水処理装置 排水

予冷塔(プレスクラバー):排ガスを50~60℃に冷却する吸収塔(スクラバー):SO2は吸収液と反応する酸化塔:(1)石灰スラリー法;亜硫酸カルシウム→石こう    (2)水酸化マグネシウムスラリー法;             亜硫酸水素マグネシウム→硫酸マグネシウムアフターバーナー:白煙防止

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1.3 乾式法1.3.1

原理 ボイラーに石灰を添加,熱分解によって生じた生石灰(CaO)に亜硫酸ガスを吸収させる

1)吸収剤 2)除去反応

3)特徴  プロセスが簡単,除去率が低い(20-30%,Max=60%)

CaCO3 →CaO +CO2SO2 +CaO + (1/2)O2 →CaSO4

1.3.2

1)活性炭の種類  粒状活性炭,粉末状活性炭2)活性炭の用途  脱色,脱臭,溶剤回収,浄水浄化,排水処理,         ガス精製(脱じん,脱硫,空気浄化)3)特徴      多孔質1000-3000m2/g,吸着性能が高い

4)除去反応 ①吸着反応 *(アスタリスク)は,吸着されたものを意味する.

 ②化学反応

 ③活性炭再生,硫酸回収

SO2 → SO2* , O2 →O2

* , H2 0→ H2O*

SO2* + (1/2)O2

* → SO3*

SO3* + H2O

* → H2SO4*

H2SO4* + nH2O→ H2SO4 ⋅ nH2O

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1.3.3 その他の乾式法1)電子線照射法        アンモニアが吸収剤(同時脱硫・脱硝法)2)活性酸化マンガン法  3)アルカライズドアルミナ法飛ばす

2 窒素酸化物の除去NOxは,N源によって,       と        に分けられる.生成するNOxの90~95%はNOである.

窒素酸化物の低減法は,

  

に分けられる.

2.1 窒素酸化物抑制法 2.1.1 生成反応

この反応は

 温度が    ほど,

 酸素が    ほど,

 反応時間が   ほど,

速く進む.

2N +O2 → 2NO, 2NO +O2 → 2NO2

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生成要因と抑制原理

燃料中の窒素分

NOx生成

酸素濃度

火炎温度

ガス滞留時間サーマルNOx

フューエルNOx

低窒素含有燃料の使用

酸素濃度の低下

火炎温度の低下

滞留時間の短縮

燃料転換

燃料脱窒

燃焼改善

燃料改善

生成要因 抑制原理

2.1.2 抑制方法

1) 低空気比燃焼(希薄燃焼)2) 燃焼室負荷の低減3) 燃焼装置の改造

a)過剰空気量を少なくし,理論空気量に近い空気比で燃焼させる方法,

b)負荷を低減し炉内温度・火炎温度の上昇を防ぎ,NOx生成量を抑える,

c)二段燃焼,排ガス再循環燃焼,濃淡燃焼,水蒸気又は水吹き込み,低NOx バーナーの使用等の方法により, NOx生成量を抑える,

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2.2 排煙脱硝2.2.1 実用化されている脱硝装置の約90%(処理能力で)は本法による.

1)反応剤  2)触媒  酸化バナジウム,白金,酸化鉄,酸化銅,酸化マンガン,酸化クロム2)方法  排ガス中にアンモニアを注入し,触媒の作用によりNOxを窒素と水に     還元する

3)特徴・ プロセスが簡単・ 運転が簡単・ メンテナンス容易・ 90%以上の高い除去率・ 反応により生じるものは無害の窒素と水だけ・ 排ガス中にSO3があると,未反応のアンモニアと反応し硫酸水素アンモニウム が生成され,熱交換器に付着・堆積して腐食を起こしたり,通風抵抗を増加さ せたりする

NO + 4NH3 +O2 → 4N2 + 6H2ONO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O

窒素と水に分解!

2.2.2 その他の方法乾式法として, ・無触媒還元法, ・活性炭吸着法, ・電子線照射法,湿式法として,酸化還元法等がある.

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3 排ガス処理装置

3.1 固気接触装置3.2 気液接触装置 気液接触装置は,別名“ガス吸収塔”とも呼ばれる.いずれの装置も汚染物を含んだガスと吸収剤を含だ液体がうまく接触するように工夫されている.

省略

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3.3 吸収塔の種類

3.4 充填物の種類