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― 25 ― 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 特別企画 目次 記念講演 8月30日(金)10:00~10:45 ··························· 41 第 1 会場 2 階 小ホール 第 50 回記念講演 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから 講 師:福井 トシ子 公益社団法人日本看護協会会長 座 長:石山 光枝 公益社団法人岐阜県看護協会会長 基調講演 8月30日(金)10:45~12:15 ··························· 43 第 1 会場 2 階 小ホール 対話でつなぐ こころに寄り添う看護 ~当事者のリカバリーのための対話~ 講 師:萱間 真美 聖路加国際大学大学院看護学研究科教授 座 長:江守 直美 公益社団法人福井県看護協会会長 特別講演 8月31日(土)9:20~10:20 ···························· 44 第 1 会場 2 階 小ホール “こころ”に寄り添う ~禅の教えから~ 講 師:髙橋 玄峰 臨済宗妙心寺派萬松山大安禅寺副住職 座 長:有田 広美 福井県立大学看護福祉学部看護学科教授 教育講演 8月31日(土)10:25~11:55 ··························· 45 第 1 会場 2 階 小ホール 行動変容を必要とする人への効果的な動機づけ支援 ~つい説得してしまう そんな看護職への上手いやり方教えます~ 講 師:原井 宏明 原井クリニック院長 座 長:長谷川 小眞子 福井県立大学看護福祉学部看護学科准教授

特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集(2019) ― 25 ― 第50回日本看護学会―精神看護―学術集会

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

特別企画 目次

記念講演 8月30日(金)10:00~10:45 ··························· 41

第 1 会場 2 階 小ホール

第 50 回記念講演 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから

講 師:福井 トシ子 公益社団法人日本看護協会会長

座 長:石山 光枝 公益社団法人岐阜県看護協会会長

基調講演 8月30日(金)10:45~12:15 ··························· 43

第 1 会場 2 階 小ホール

対話でつなぐ こころに寄り添う看護

~当事者のリカバリーのための対話~

講 師:萱間 真美 聖路加国際大学大学院看護学研究科教授

座 長:江守 直美 公益社団法人福井県看護協会会長

特別講演 8月31日(土)9:20~10:20 ···························· 44

第 1 会場 2 階 小ホール

“こころ”に寄り添う

~禅の教えから~

講 師:髙橋 玄峰 臨済宗妙心寺派萬松山大安禅寺副住職

座 長:有田 広美 福井県立大学看護福祉学部看護学科教授

教育講演 8月31日(土)10:25~11:55 ··························· 45

第 1 会場 2 階 小ホール

行動変容を必要とする人への効果的な動機づけ支援

~つい説得してしまう そんな看護職への上手いやり方教えます~

講 師:原井 宏明 原井クリニック院長

座 長:長谷川 小眞子 福井県立大学看護福祉学部看護学科准教授

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

シンポジウム1 8月30日(金)14:30~16:00 ··························· 46

第 1 会場 2 階 小ホール

どうすれば変わる?身体疾患の治療を受ける認知症患者のケア

講 師:小川 朝生 国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長

上野 優美 横浜市立みなと赤十字病院認知症看護認定看護師

髙森 巳早都 福井大学医学部附属病院認知症看護認定看護師

山口 達也 福井県立病院精神看護専門看護師

座 長:四谷 淳子 福井大学医学部看護学科教授

シンポジウム2 8月31日(土)13:20~14:50 ··························· 51

第 1 会場 2 階 小ホール

精神障がい者の地域包括ケアを考える

~自分らしい暮らしを実現するために~

講 師:吉川 隆博 東海大学医学部看護学科教授

白藤 真理 みどりの森訪問看護ステーション

精神科認定看護師(一般社団法人日本精神科看護協会)

山﨑 利道 合同会社プレシュー代表社員、精神保健福祉士

齋藤 和彦 認定 NPO 法人リカバリーサポートセンターACTIPS 訪問看護事業管理者

座 長:新谷 明子 社会福祉法人若狭つくし会常務理事

交流集会(指定)1 8月30日(金)13:30~14:30 ··························· 56

第 1 会場 2 階 小ホール

幸福学とメンタルヘルスケア

~対話をはぐくむ組織創り~

講 師:前野 隆司 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

伊藤 清子 前地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター副院長

座 長:長井 麻希江 敦賀市立看護大学看護学部教授

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会(指定)2 8月30日(金)16:00~17:00 ··························· 59

第 1 会場 2 階 小ホール

精神看護領域における「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」

の導入と活用

講 師:浅川 佳則 医療法人長尾会ねや川サナトリウム看護部長

精神科認定看護師(一般社団法人日本精神科看護協会)

千葉 進一 徳島大学大学院医歯薬学研究部メンタルヘルス支援学分野准教授

座 長:高橋 弘枝 公益社団法人大阪府看護協会会長

交流集会1 8月30日(金)15:40~16:40 ··························· 62

第 3 会場 3 階 映像ホール

倫理についての苦手意識を克服し、気軽に倫理を語れる職場にする工夫

~倫理もやっとシートと Jonsen4 分割表を用いた実践~

企画代表者:小野 悟 公益社団法人岐阜病院

交流集会2 8月31日(土)13:25~14:25 ··························· 63

第 3 会場 3 階 映像ホール

精神科看護師の専門性

医療観察法で使用されているアセスメントツール「共通評価項目」を

精神医療で使用する

企画代表者:平山 泰照 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター

ランチョンセミナー1 8月30日(金 )12:25~13:25 ··························· 64

第 2 会場 B1 階 地下大会議室

児童虐待と養育者支援

~看護師の立場からできること~

講 師:友田 明美 福井大学子どものこころの発達研究センター教授

座 長:大北 美恵子 福井大学医学部附属病院副院長

共催企業:株式会社エラン・株式会社エルタスク

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

ランチョンセミナー2 8月31日(土)12:10~13:10 ··························· 65

第 2 会場 B1 階 地下大会議室

看護師目線によるアセナピン舌下錠のメリットと服薬指導時のコツ

講 師:釘宮 健一 医療法人赤城会三枚橋病院救急病棟看護主任

精神科認定看護師(一般社団法人日本精神科看護協会)

座 長:辻 津寄子 福井県立病院看護師長

共催企業:MeijiSeika ファルマ株式会社

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

一般演題 第2日 第 11 ��口演� 8 � 31 日��� 13�25�14�25 第 2 会��B1 � ���会���

看護師の思い� �長�川� �容��福井��医����病院�

口演 11-1 看護面接の際に行う自己開示に対する看護師の認識 -児童思春期精神科に焦点を当てて- ···································· 95

須藤 恵実 東京都 東京都立小児総合医療センター

口演 11-2 医療観察法病棟において陰性感情を抱くきっかけとケアへの抵抗感 -看護師の感情とケアに及ぼす影響- ···································· 95

高橋 純一 山形県 山形県立こころの医療センター

口演 11-3 精神科熟練看護師が患者-看護師関係を構築する際に用いる実践知の分析 ···· 96

山口 達也 福井県 福井県立病院

口演 11-4 精神科スーパー救急病棟の看護師が抱いた困難感 -入院長期化した患者の退院支援を行って- ······························ 96

澤田 凱希 福井県 福井県立病院

口演 11-5 精神科スーパー救急病棟で勤務する看護師が感じる患者対応の難しさと対処法 -公立精神科病院に勤務する看護師を対象に- ···························· 97

村田 仁 東京都 東京都立松沢病院

第 12 ��口演� 8 � 31 日��� 1�����1��5� 第 3 会��3 � ���ー��

看護実践� �長��野 �一�福井���

口演 12-1 反社会的行動を繰り返す知的障害を併せ持つ成人期発達障害患者へのケアの効果 -行動療法的関わりによる行動変容を目指して- ·························· 97

沖野 一成 香川県 香川県立丸亀病院

口演 12-2 行動化が頻回で欲求表出が困難な患者に対する入院から外来への 継続看護面接の効果 ···················································· 98

小野 悟 岐阜県 公益社団法人岐阜病院

口演 12-3 幻聴を主症状とした統合失調症と自閉症スペクトラム併存患者の 行動制限最小化に向けた症状マネジメント ································ 98

桐原 基 岡山県 岡山県精神科医療センター

口演 12-4 多飲症が改善した事例における自己効力感に着目した看護師の関わり ········ 99

村島 正俊 長崎県 長崎県精神医療センター

第 13 ��口演� 8 � 31 日��� 11����12��� 第 3 会��3 � ���ー��

家族ケア �長��島 ��子�福井県立���

口演 13-1 BPSD を有する認知症高齢者の家族介護者が訪問看護師に求める家族支援 ······ 99

堀田 純子 福井県 光陽訪問看護ステーション

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

口演 13-2 発病後 10 年以上経過している統合失調症の子供をもつ母親のあり方 ········ 100

藤澤 由里子 大阪府 大阪医科大学附属病院

口演 13-3 危機的状況に陥った高次脳機能障害、失語症の療養者をもつ 家族への危機介入 ····················································· 100

松宮 栄美子 福井県 医療法人林病院訪問看護ステーション府中

口演 13-4 医療観察法病棟の家族の体験から考える家族支援 -被害者の家族であり加害者の家族である母親の体験から- ··············· 101

柳澤 節子 埼玉県 埼玉県立精神医療センター

口演 13-5 認知症高齢者の家族支援を行なうことで在宅生活が継続できた症例 -未就学児が認知症曾祖母への対応ができるまでの取り組み方- ··········· 101

中防 千恵 福井県 福井県立すこやかシルバー病院

� 14 群�口演� � � 31 日��� 10�00�11�00 � 4 会��4 階 402 ���

看護教育 ���西川 �子�福井���病院�

口演 14-1 精神看護師に対する救急シミュレーション教育の効果と課題 ··············· 102

中野 伸治 福岡県 福岡県立精神医療センター太宰府病院

口演 14-2 一人前の段階にある精神科看護師が患者との関わりで抱く ストレスと対処行動の実態 ············································· 102

林 真央 福井県 福井県立病院

口演 14-3 テキストマイニングを用いた精神科看護実習における指導の特徴の分析 ····· 103

日下部 佳織 神奈川県 医療法人興生会相模台病院

口演 14-4 看護学生におけるインターネット依存傾向と インターネット利用状況との関連 ······································· 103

宮城 妃菜 福岡県 福岡大学筑紫病院

口演 14-5 鍵の汚染状況の可視化が職員の清潔に対する意識向上にもたらす効果 ······· 104

山口 さえか 福井県 杉田玄白記念公立小浜病院

� 15 群�口演� � � 31 日��� 11�00�12�00 � 4 会��4 階 402 ���

看護�� ������ 美��福井県�生会病院�

口演 15-1 医療観察法病棟クリニカルラダーを用いた異動者教育の効果 ··············· 104

小西 春巳 埼玉県 埼玉県立精神医療センター

口演 15-2 看護師のメンタルヘルス対策に関する研究 -ストレス・職務満足度・エゴグラムの実態と 3調査相互の関連- ········· 105

吉越 光代 群馬県 医療法人若葉会若葉病院

口演 15-3 包括的暴力防止プログラムにおける振り返りの実際 -振り返りを行った看護師の体験から- ································· 105

岩田 尚子 愛知県 東尾張病院

口演 15-4 スタッフの意識統一で転倒事故を防止する取り組み ······················· 106

荒井 岐枝 福井県 福井県立すこやかシルバー病院

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

口演 15-5 身体的暴力を受けた看護師が求める支援 ································· 106

多治見 早紀 愛知県 東尾張病院

� 16 ��口演� 8 � 31 ���� 13�25�14�25 � 4 会��4 階 402 ���

認知症ケア ����田 真美子�福井医療大学�

口演 16-1 院内認定看護師「認知症看護コース」の人材育成プログラム報告 ··········· 107

山本 隆 福井県 福井赤十字病院

口演 16-2 リフレクションが認知症看護の質に及ぼす影響 ··························· 107

藤井 悠水 徳島県 徳島赤十字病院

口演 16-3 興奮状態を呈した認知症患者へのアプローチ -危機の5段階に応じた看護実践の検討- ······························· 108

滝川 えい子 島根県 鳥取大学附属病院

口演 16-4 急性期病院に入院する認知症者、認知症疑い者に行う 院内デイケアの有効性 ················································· 108

藤本 真央 福井県 福井県済生会病院

口演 16-5 身体拘束時の認知症患者への看護実践 -患者の意思を尊重した介入を通して- ································· 109

川部 陽子 鳥取県 鳥取大学附属病院

� 17 ��示説� 8 � 31 ���� 10�00�11�00 � 5 会��1 階 大�ール�

看護実践� ����田 ���福井県�病院�

示説 17-1 抑うつ傾向者の語りに表れる情動過程の研究 -ナラティヴ・アプローチによる検討- ································· 109

三浦 奈緒子 福井県 メンタルサポート福井

示説 17-2 精神科医療看護職へのアルコール健康障害への教育の関連因子について -A 県の精神科医療施設看護職への調査- ································ 110

小林 由美子 岩手県 岩手医科大学

示説 17-3 カンフォータブル・ケアで変わる認知症の人びとの心と私たちの心 -職員の抱く「対応の困難さ」を軽減させる取り組み- ··················· 110

高見 実佐 神奈川県 IMS グループ江田記念病院

示説 17-4 精神科急性期病棟における精神科特有の看護技術 -他科での看護経験との比較- ········································· 111

村田 智成 福井県 福井大学医学部附属病院

示説 17-5 MSE 勉強会における A病棟看護師の受け止め方と活用方法への今後の課題 ···· 111

後藤 のぞみ 福井県 医療法人厚生会福井厚生病院

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

� 18 ��示説� 8 � 31 ��土� 10�00�11�00 � 5 会場�1 階 大�ール�

看護師の�い� ���高� �子�福井県立すこやかシルバー病院�

示説 18-1 慢性期精神疾患患者に対して抱く陰性感情への適切な対処に影響する 熟練看護師の経験 ····················································· 112

亀井 彩香 福井県 福井県立病院

示説 18-2 気分障害患者の服薬自己管理に対する看護師の認識 ······················· 112

的場 由衣 鳥取県 鳥取大学医学部附属病院

示説 18-3 精神訪問看護に対する看護師の不安と必要な支援 -精神科病棟に勤務経験がない一般訪問看護師へ焦点を当てて- ··········· 113

広浜 加奈子 福井県 仁愛訪問看護センター

示説 18-4 行動制限を行うことによる医療者の心理的負担 -行動制限から生まれるしんどさとは何か- ····························· 113

三井 健治 千葉県 亀田総合病院

示説 18-5 総合病院精神科での身体疾患治療に関わる看護師が抱える倫理的ジレンマ ··· 114

石塚 匡晴 福井県 福井大学医学部附属病院

� 19 ��示説� 8 � 31 ��土� 11�00�12�00 � 5 会場�1 階 大�ール�

認知症ケア ����子� 美��福井��総合病院�

示説 19-1 軽度認知障害をもつ独居高齢者の服薬自己管理に向けたかかわり ··········· 114

土手 令子 福井県 医療法人敦賀温泉病院

示説 19-2 悪性の社会心理を考えるワークショップ実施の効果について ··············· 115

和田 博之 福井県 福井県立すこやかシルバー病院

示説 19-3 アンガーマネジメントを取り入れた看護師の認知症患者に対する 怒りの感情の変化 ····················································· 115

黒川 博史 兵庫県 医療法人財団愛野会あいの病院

示説 19-4 自宅における認知症高齢者の口腔ケア実施状況と パンフレットを用いた指導の評価 ······································· 116

河原 万智 福井県 敦賀温泉病院

示説 19-5 急性期病院における認知症高齢者に対する院内デイケアの効果 ············· 116

丸木 裕美 福井県 福井大学医学部附属病院

� 20 ��示説� 8 � 31 ��土� 11�00�12�00 � 5 会場�1 階 大�ール�

家族ケア ���川� �どり�敦賀温泉病院�

示説 20-1 精神障害者のきょうだいが家族に期待すること ··························· 117

藤木 眞由美 東京都 目白大学

示説 20-2 人生の最終段階を迎えている精神科入院患者への支援 -希薄な家族関係の修復をめざして- ··································· 117

近藤 教 岩手県 岩手県立大船渡病院

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説 20-3 自殺企図歴のない未遂患者家族の思い -退院前のインタビューを通して- ····································· 118

佐藤 綾 秋田県 市立秋田総合病院

示説 20-4 初めて身体的拘束を受ける患者家族へのケア -患者家族の苦痛に焦点を当てて検討する- ····························· 118

小泉 千尋 大阪府 公益財団法人浅香山病院

示説 20-5 地域移行に取り組む精神科病院の時間外看護電話相談利用者の特徴 ········· 119

則村 良 東京都 医療法人財団青溪会駒木野病院

� 21 群(示説) 8 � 31 �(�) 13�20�14�20 � 5 会�(1 � 大�ール)

看護教育 �長��村 �子(�田����公立小�病院)

示説 21-1 看護学生のストレス対処能力(SOC)と振り返り -ストレス対処能力(SOC)を通して学ぶ健康への一考察- ················ 119

加藤 知可子 兵庫県 兵庫大学

示説 21-2 臨地実習における看護学生と認知症高齢者との関わり ····················· 120

鎌田 由美子 群馬県 上武大学

示説 21-3 実習グループメンバー間の相互理解が深まったカンファレンス -SAT を導入した事例を振返る- ········································ 120

富山 美佳子 群馬県 足利大学看護学部

示説 21-4 看護学生のメンタルヘルスリテラシー教育に関する調査 -精神看護学受講後の心の健康を保つ行動の変化- ······················· 121

曽谷 貴子 岡山県 川崎医療短期大学

示説 21-5 近隣の認知症疾患センターと総合病院との合同研修会の取り組み -参加した総合病院看護師の思い- ····································· 121

大石 郁奈 福井県 市立敦賀病院

� 22 群(示説) 8 � 31 �(�) 13�20�14�20 � 5 会�(1 � 大�ール)

看護�理 �長��木 ��(福井大学医学部��病院)

示説 22-1 A 病院における副看護師長による高齢者・認知症ケアの質の向上に 向けた取り組みと課題 ················································· 122

髙城 絵美 福井県 独立行政法人国立病院機構敦賀医療センター

示説 22-2 せん妄アセスメントシート導入による看護師のせん妄ケアへの 意識の変化と効果 ····················································· 122

栗原 順子 東京都 東京都立多摩総合医療センター

示説 22-3 認知症高齢者の意向を取り入れたデイルームの環境づくり -施設環境づくり支援プログラムにおける 碁石法を用いたキャプション評価- ····································· 123

前川 惣予 福井県 福井県立すこやかシルバー病院

示説 22-4 精神科 A病棟の暴力の報告についての現状調査 -暴力被害を報告できない理由- ······································· 123

小口 薫 長野県 長野赤十字病院

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説 22-5 精神科病棟勤務の看護師のストレス及び職務満足 -精神科病棟機能別における比較- ····································· 124

佐藤 元喜 岩手県 岩手県立南光病院

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特別企画

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

特別講演 “こころ”に寄り添う~禅の教えから~

“こころ”に寄り添う ~禅の教えから~

講師 髙橋 玄峰 臨済宗妙心寺派萬松山大安禅寺副住職

ヒマラヤの山麓に森がありました。ある時その森に山火事が発生し、火はまたたく間に

燃え広がり、森に住む動物たちは逃げ惑いました。中には、火を消そうと試みる動物たち

もいましたが、手が付けられない状況になり、岩陰で隠れていました。そこで様子を見て

いると一羽の小鳥が自分の羽にわずかな水滴を載せて、炎々と燃え盛る火に注いで消そう

としていました。それをみて、他の動物たちは小鳥に言いました。 「やめろ、やめろ。俺達でもとても消すことが出来ないのに、お前の小さな身体で何が

出来るというのだ。無駄だから、あきらめて避難しろ。」 小鳥は答えました。 「はい、わかっています。でも、長い間お世話になった森が燃えてしまうのを黙って見

過ごすことはできません。出来る出来ないではなくて、私は水を運ばずにはいられないの

です」と。 この話は、お釈迦様が仏教の心を説かれるのに用いた例話です。 「出来る出来ないが問題なのではなく、そうせずにはおられない心」こそ、誠実な人と

なりの心であり、私達にとって大事な心です。 「“こころ”に寄り添う」ということも同義ではないでしょうか。言うのは簡単ですが、

実践するとなると難しいものです。人は千差万別、心模様も異なります。苦しい時は苦し

いものです。悔しい時は悔しいものです。むしろ、不条理と割り切れないことの方が多い

と思います。しかし、自分が出来る事を一所懸命なす姿とは、換言すれば「素直な自分の

“こころ”に寄り添った姿」とも言えます。人の心に寄り添う前に、今一度、初心に立ち

返り、本来の“わたしのこころ”に寄り添う事から始めてみることで、不可能を不可能と

割り切らず、自分のなすべき事を、どこまでもつとめていくことの大切さに気付けるもの

です。 それは、大それたことを成す事ではありません。今日1つの笑顔の挨拶、「ありがとう」

のあたたかい言葉が1人の心を救うことが有ります。行動でなくても、苦しんでいる人の

幸せを祈ってあげることでもいいのです。 「花が咲いている 精一杯咲いている 私達も精一杯生きよう」 時が来れば無心に咲き、時が来れば嘆かず散っていく花のように、陰日向関係なく自分

の“使命”を全うし、自分なりに精一杯生きてみれば、それがそのまま誰かの「“こころ”

に寄り添う」姿に自然となっているものです。 最後に、この度は尊いご法縁を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

プロフィール

昭和 57年福井市生まれ 平成 17年京都大本山妙心寺花園大学仏教学科卒業 大本

山妙心寺本派専門道場で 4 年間の修業後、平成 21 年 5 月大安禅寺副住職に就任 大安禅寺 360 年前第 4 代福井藩主松平光通公によって創建 花菖蒲寺として有名

福井歴代藩主の菩提所

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

教育講演 行動変容を必要とする人への効果的な動機づけ支援~つい説得してしまう そんな看護職への上手いやり方教えます~

行動変容を必要とする人への効果的な動機づけ支援 ~つい説得してしまう

そんな看護職への上手いやり方教えます~

講師 原井 宏明 原井クリニック院長

精神科医になりたてのころの私は国立肥前療養所で慢性精神病患者の病棟を担当してい

た。水中毒の患者、手洗いや身だしなみにこだわり洗面所で何時間も過ごす患者がいた。

治す方法は無かったし、患者の意思を尊重するならば痙攣発作を起こされたり、他の患者

に迷惑をかけたりするだけだった。保護室に入れるような強制的アプローチしかなかった。

管理に苦労する看護師から言われて隔離指示箋を書くことが精神科医としての私の務め

だった。精神科医になって 34 年、当時のことを思い返すたびに当時担当していた患者に対

しての申し訳無さを感じる。今なら決して同じことはしない。 動機づけ面接(MI)は米国のウィリアム・ミラーと英国のスティーブ・ロルニックによ

る依存症に対する心理療法として始まった。数多くの RCT によるエビデンスの積み重ねの

上に成り立っている。使う人の立場がどのようなものであっても、データに基づいて考え

る人である限り、MI の有用性を見出すことができるだろう。実際に治療を動機づけるユ

ニークな方法としての有用性が知られるようなると、依存症臨床を超えて内科疾患や公衆

衛生、司法領域にも応用が広がった。今は行動変化だけでなく、治療の選択判断にも応用

されている。背景には MI の学びやすさ、訓練と評価の方法が確立していることがある。 講演では MI の概要を説明し、こだわりの強い頑固な患者の例を取り上げ、MI を行えば

堂々巡りにならず、建設的な方向に話をもっていけることをデモで示す。疎通性の乏しい

慢性精神病患者に対しても、MI そのものではないが、やはりミラーたちが広めた CRA(コ

ミュニティー強化アプローチ)が使えることを示す。最後に開業精神科医として実際によ

く診療させていただくことが多い、医療関係者の職場ストレスについて MI を応用する方法

を説明する。

プロフィール

1984 年 岐阜大学医学部卒業、神戸大学精神科で研修 1986 年 国立肥前療養所に就職,山上敏子先生から行動療法を学ぶ 1998 年 国立菊池病院に転勤。精神科医長、臨床研究部長 2008 年 医療法人和楽会なごやメンタルクリニック院長 2019 年 原井クリニック院長

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第2日

シンポジウム 2 精神障がい者の地域包括ケアを考える~自分らしい暮らしを実現するために~

精神障がい者の地域包括ケアを考える ~自分らしい暮らしを実現するために~

座長 新谷 明子 社会福祉法人若狭つくし会常務理事

精神障害者の地域移行・地域定着のための基盤整備は、障害者自立支援法が制定される

まで他の障害と比べて大幅に遅れていたことは周知のことである。また、現在の障害者総

合支援法でも、障害種別を問わない制度になっているため、精神障害者の特性に配慮され

たものではない状況にある。精神障害者が自立・就労を目指すことは必要であるが、支援

によって一般就労に至るケースは数少なく、簡単にステップアップできるものではない。 一方、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムのイメージはどうであろうか。高

齢者を主とした地域包括ケアの概念は分かりやすく説明されているが、障害理解が進んで

いない精神障害者を、生活者としてあたりまえに地域で生活ができる社会にどのようにし

ていけるのかイメージが進まない現状がある。疾病と障害を併せ持つ精神障害者が地域で

の生活をするためには、より細やかな支援体制が欠かせない。 看護職は働く場の違いにより課題も異なり十分な連携ができていない現状があるが、担

当業務において専門性を活かしながら、つながる必要性を共有することが重要である。 疾病理解においては医療分野が、障害理解については福祉分野が、個々に応じた質の高

い支援のために専門性を深め、連携を強化していく必要がある。その人を取り巻く地域社

会を巻き込むことを念頭に置き、地域包括ケアシステムづくりをマネージメントしていく

ことは保健分野に期待する。 その上で、地域の特性に応じて行政や関係機関と協働した生活の基盤づくり、環境整備、

自助・公助・共助を整理しながら、それぞれの精神障害者がその人なりに適応でき、安寧

に社会の一員として暮らしていける状況を作ることが必要である。また、地域にある社会

資源を最大限に活用し、必要な資源を生み出していくためには、あるべき個々の姿・地域

の姿を共有し共感できることが大切である。 このシンポジウムでは、教育現場の学識的な立場、アウトリーチ支援の訪問看護の立場、

就労支援を行う事業所の立場から活動を通じた発表をしていただく。皆様と共に、本人の

力を充分発揮させ自分らしい生活を実現にするための「精神看護」について議論を深め、

明日からの「看護」が地域包括ケアシステム推進において、より意味のあるものに変化す

ることを期待したい。

プロフィール

≪略歴≫ 昭和 56 年 福井県保健師として就職 福井保健所・小浜保健所・若狭健康福祉センター・福井健康福祉セン

ター、県庁健康増進課・地域福祉課・地域医療課に勤務 平成 31 年 奥越健康福祉センター所長を最後に退職 現在 社会福祉法人「若狭つくし会」常務理事・施設管理責任者 ≪その他≫ 平成 11 年 精神保健福祉士資格取得・登録 平成 27 年 福井県看護協会保健師職能委員長 平成 29 年 福井県看護協会副会長

シンポジウム2

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第2日

第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

シンポジウム2

シンポジウム 2 精神障がい者の地域包括ケアを考える~自分らしい暮らしを実現するために~

地域包括ケアの構築に向けた看護の視点について ~地域全体で支える体制づくりをめざして~

講師 吉川 隆博 東海大学医学部看護学科教授

2017 年 2 月に厚生労働省が取りまとめた「これからの精神保健医療福祉のあり方に関す

る検討会」報告書において、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築をめざす

ことが打ち出された。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、精神障害の有無や

程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるように、重層的な連携

による支援体制を構築することを基本的な理念としている。そのような支援体制を構築す

ることにより、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることがで

きるような地域づくりをめざしている。 そもそも地域包括ケアシステムとは、「住み慣れた地域で、自分らしい暮らしと人生を、

最後まで続けることができるように、住まい・医療・介護、予防・生活支援が一体的に提

供される体制の構築」をめざしている。そのような考え方は、疾病、障害、年齢等が異なっ

ても共通していると思われる。また、精神疾患や精神障害は「その人の全てではなく、一

部である」と考えることが重要であり、そういった視点に立つと、精神障害者が地域で自

分らしい暮らしを続けていくためには、精神疾患面のみならず、生活習慣病の重症化予防、

高齢化に伴う身体機能の低下や身体合併症への対応など、心身両面を支えることができる

体制の構築が求められてくる。 さらに、地域支援体制を考える上では、入院医療と外来、在宅医療(訪問看護等)を切

り離して考えるのではなく、「地域完結型医療」および「入退院支援」の視点を重視するこ

とが必要になると考えている。地域において精神症状等の医療ニーズが高い人や、再発・

再入院(医療中断によるものを含む)のリスクの高い人を支えるためには、身体診療科で

実践されている「教育入院」や、精神科でニーズが高い「短期入院・休息入院」のあり方

と、入院中に行う支援および地域支援が途切れないような活動が重要になるだろうと思わ

れる。 そのようなことから、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、個々

の特性を考慮した生活基盤を整えるための支援、心身の病状管理と病状変化への迅速な対

応、リスク管理を視野に入れた支援(備え)、地域でチームを組み「地域全体で支える」と

いう理念の共有が重要になると考える。

プロフィール

昭和 59 年 4 月に岡山市の財団法人河田病院(精神科病院)就職、平成 18 年 4 月よ

り岡山県立大学保健福祉学部看護学科・講師、平成 20 年 7 月より厚生労働省入省、

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課(障害保健専門官)、平成 23 年 4 月

より学校法人山陽学園山陽学園大学看護学部・准教授、平成 25 年 4 月より一般社

団法人日本精神科看護協会・業務執行理事、平成 26 年 10 月より東海大学健康科学

部看護学科・准教授、平成 29 年 6 月より一般社団法人日本精神科看護協会・副会

長、平成 31 年 4 月より東海大学医学部看護学科・教授、令和元年 6 月より、一般

社団法人日本精神科看護協会会長

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第2日

第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

シンポジウム2

シンポジウム 2 精神障がい者の地域包括ケアを考える~自分らしい暮らしを実現するために~

精神障がい者が地域の生活者として自分らしく歩むために ~精神科訪問看護ステーションとしての支え方~

講師 白藤 真理 みどりの森訪問看護ステーション

一般社団法人日本精神科看護協会精神科認定看護師

近年、「地域包括ケアシステム」という言葉が精神医療の場でも頻繁に使われるようにな

り、そのシステムの一つとして機能するのが訪問看護ステーションである。当ステーショ

ンが精神科に特化したステーションとして経験が長いこともあり、地域から長期入院患者、

家族のサポート不足、地域への迷惑行為など困難なケースの依頼を多く受けている。精神

障がい者が患者として入院治療を終えた後は、退院後は地域の生活者となって病気と付き

合うこととなり、当ステーションは安心を提供することを最優先としている。 地域包括ケアシステムの基本方針の一つに「精神障がい者が、地域の一員として安心し

て自分らしい暮らしができるような地域づくり」という言葉がある。看護においても、呪

文のように唱えられる「自分らしい生活」を、私たち支援者は本当にその人の立場に立っ

て考えられているのだろうか。病状の悪化予防を最も重視する支援者の保護的・管理的な

視点が、精神障がい者の失敗する自由さえも奪い、リカバリー過程を閉ざし、「自分らしい

生活」を遠ざけていくのではないだろうか。精神障がい者にとっての「自分らしい生活」

の支援を目標にしながらいつしか支援者の価値観が優先し、その人が希望を表出すること

なく自分らしさは薄れ、病状が安定していることがその人の「自分らしい生活」とはき違

えられていることが多いように感じる。 「自分らしい生活」を支援するには、安全第一よりもその人の希望に沿いながら支援者

もリスクや困難を受け入れ、一緒に困難に立ち向かう姿勢と変化に耐えうる忍耐強さと覚

悟が支援者には求められる。支援者が精神障がい者の多様な個性を受け入れ、その個性に

合わせながら、自分の専門性の軸を見失うことなく一緒に立ち向かう姿勢がエンパワメン

トとなり、「自分らしい生活」の支援につながっていくのではないだろうか。私は、訪問看

護師としての立場で、精神障がい者が自分らしく生活できるよう、地域を少しづつでも耕

していきたいと常々考えながら実践を積み重ねている。 本シンポジウムでは、精神科訪問看護ステーションにおける支援の実際を紹介しながら、

精神障がい者が地域で「自分らしい生活」を送るための支援のあり方について皆様と一緒

に考えていきたい。

プロフィール

S63.4 福井大学医学部附属病院(旧 福井医科大学付属病院)就職 H10.4 アルマ千寿訪問看護ステーション 就職 H17.12 みどりの森訪問看護ステーション 就職 H27.4 精神科認定看護師 取得(一般社団法人日本精神科看護協会)

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第2日

第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

シンポジウム2

シンポジウム 2 精神障がい者の地域包括ケアを考える~自分らしい暮らしを実現するために~

制度に縛られない支援のあり方

講師 山﨑 利道 合同会社プレシュー代表社員 精神保健福祉士

合同会社プレシューとは、精神障害者の社会参加をはじめ、就労継続支援 B 型、ピアス

タッフ応援隊、協力企業・店舗開拓プロジェクトを柱として、創造的な福祉活動を進める

ため 2019 年 1 月に設立した団体である。理念には「共生社会づくり まちづくり ひとづ

くり」をもとに、障害があっても誰もが自由に生きることを実現するための活動を行って

いる。そのために、障害者に健常者と同じ能力を身につけるための訓練をするだけではな

く、障害があっても仕事や生活ができるように環境側も工夫して実践していく活動を実践

している。 このソーシャルワークの始まりは、2002 年厚生労働省「受け入れ条件が整えば退院可能

な 7 万 2 千人の精神障害者の社会復帰を図る」の発表に遡る。当時の長期入院患者の退院

促進とは、退院先が福祉ホームやグループホームが主であったが、実践のなかで当事者の

起こす奇跡をみることができた。そのなかで、病院や福祉関係者の用意した住まいが本当

に自分らしく生活することになるのかとの疑問が生じたことである。 時を経て、これから地域包括ケアシステムのなかで精神障害者を地域で支えるにあたっ

て、病状悪化、急性期対応については、精神科救急が必要不可欠とされている。ただ、非

自発的入院と短期の入院期間に重きをおいた精神科救急だけでよいのだろうか。医療の王

道は、外来、入院を問わず任意契約である。精神保健福祉法第 20 条では、「本人の同意に

基づいて入院が行われるように努めなければならない」と記載している。安易な非自発的

入院の選択が本当に多様な当事者の生活支援に寄与することになっているのか。 また、働くことについて 2018 年から精神障害者が法定雇用率に算定されることになった。

現状は、週に 20 時間程度働くことができないと算定条件を満たさない。加えて、障害への

理解のある企業は少なく、仕事の内容も限られている。就労する為には職業準備性を高め

る支援も用意されているが、障害者はどれだけの自助努力をしなければいけないのだろう。

働く訓練が終わっても受け入れてくれる企業はほとんどない。自分らしく、やりたいこと

を仕事にすることはいつできるのだろうか。 10 年ほど前、ある病院のデイケア看護長が話してくれた言葉を今学会に参加される皆さ

んへお伝えしたい。また、“自立支援”とは何だろうかをともに考えてみたい。

プロフィール

1997 年 名城大学法学部卒 轟産業(株)就職 2002 年 桶狭間病院 就職 2006 年 福井厚生病院 就職 2013 年 地域精神保健福祉業務連絡会 普及啓発部会長 2014 年 福井市相談支援事業者連絡会代表 福井市障がい者自立支援協議会参画 2016 年 研修認定精神保健福祉士取得 2017 年 歓喜山安立寺住職就任 2019 年 合同会社プレシュー設立 CREPE DE GIRAFE(就労継続支援 B 型)運営 2019 年 福井県精神保健福祉士協会副会長

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

シンポジウム2

シンポジウム 2 精神障がい者の地域包括ケアを考える~自分らしい暮らしを実現するために~

私たち ACTIPS の取り組み

講師 齋藤 和彦 認定 NPO 法人リカバリーサポートセンターACTIPS 訪問看護事業管理者

当法人のルーツは ACT 包括的地域生活プログラム*1にあります。2003 年に、国立精神

神経医療研究センター精神保健研究所が研究事業として日本版包括的地域生活支援プログ

ラムACT-Jを開始しました。同時に IPS個別就労支援プログラム*2の研究も行われました。

研究終了後、2008 年に当法人が設立され、ACT プログラムを継承するかたちで現在に至り

ます。法人名の ACTIPS は 2 つの名前からきています。ACT と IPS は、心理社会的介入

プログラム EBP(Evidence-Based Practices)に位置づけられ、入院期間を減らし地域で

の生活が安定すること、治療効果があること、リカバリーサポートになること等が明らか

になっています。皆さんにお伝えしたいことは、私たちの実践活動は、ACT や IPS の枠組

みや考え方を取り入れているにすぎず、特別な事をしているわけではない、ということで

す。それよりも、障がい者たちの世界観を受け入れる優しや、苦労を分かち合い、思いや

り、味方でいる姿勢など、当たり前の事になりますが、そんな関係を作っていく、関係を

続けていく事を大切にしています。

地域包括ケアシステムについて思うこと 医療、福祉、行政、司法、ボランティア等々が連携して一体的なケアができる仕組みを

言うのでしょう。システム化された複数の支援者(複数の事業所)たちによって、障がい

者の生きづらさや、複雑な背景や困難を多面的に見ることができます。システムを作る際

に心掛けたいことは、ケアを受ける側の当事者の声や希望を聞くこと。当事者と支援者が

対話を重ねるプロセスが大切だと思います。

*1 ACT Assertive Community Treatment 包括型地域生活支援 重い精神障がいをもつ人たち

に対して、看護師・精神保健福祉士・作業療法士・就労支援専門家などの多職種スタッフが一

つのチームになり、医療・生活・就労の支援を包括的に提供する。重い障がいを持つがゆえに

複合的な困難を抱える人たちに、多様で集中的かつ機動性の高い支援サービスを届ける。 *2 IPS Individual Placement and Support 個別就労支援プログラム 特に重い精神障がいを持

つ人のための個別援助付き雇用プログラム。多職種チームに就労支援の専門スタッフが加わる。

事前トレーニングを就職活動の前提にはしない。本人の希望、スキル等をアセスメントし、本

人に合った仕事や働き方を障がい者自身が見つけ、それが実際に実現できるようにサポートす

る。

プロフィール

認定 NPO 法人リカバリーサポートセンターACTIPS 理事 経営責任者 訪問看護事業管理者 看護師 相談支援専門員 ジョブコーチ (訪問型職場適応援助者) 1981 年、福井県越前市生まれ。看護師として福井県立病院精神科等で勤務後 2014年、伊藤順一郎医師(当時、国立精神神経医療研究センター社会復帰研究部部長)

に誘われ当法人に入職、現在に至る。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

交流集会2 精神科看護師の専門性 医療観察法で使用されているアセスメントツール「共通評価項目」を精神医療で使用する

精神科看護師の専門性 医療観察法で使用されているアセスメントツール

「共通評価項目」を精神医療で使用する

企画代表者: 平山 泰照 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター

企画協力者: 西川 清子 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター

[目的]医療観察法で使用している共通評価項目は、入院から地域医療までを一貫して扱う

アセスメントツールである。開発者によると精神医療でも使えるように作られていると称

されており、医療観察法医療の般化を担い、一般精神医療の地域移行および包括的地域ケ

アへのアセスメントツールとして活用できると考えるため紹介したい。 [概要]伊国では精神病院が廃止され、すべて地域医療らで精神障害者の支援が行われてい

る話は有名である。また英国精神医療のノーマライゼーションは、地域医療における ACTシステムを始め、多岐にわたるセラピストたちの参加も伴い、ケアプログラムアプローチ

(CPA)というケアマネジメントの手法で、触法精神および一般精神の障害者らの地域支援

が行われている。日本の医療観察法は特に英国の司法精神医療らをモデルして 2007 年に法

施行が開始されているもので、加えて法施行に合わせて、共通評価項目という評価ツール

とそれを合理的に使用するための診療支援システム(電子カルテ)の二つが、日本の医師・

研究者らによって開発されている。 この共通評価項目というアセスメントツールは、「多職種で臨床上注目するポイントを

ピックアップするツール」として治療上必要な部分に焦点が当たっていると称されている。

さらにこのツールは入院から退院後の地域医療まで一環して使用することが設定されてい

るものなので、入院時医療チームから地域支援チームに支援者が代わったとしても、治療

課題の評価の仕方は変わらず、および共通言語として支援の経緯らも一貫して引き継げる

ので、退院移行時の連携をスムースに行うことができるものであり、このことは医療観察

法における対象者の支援のための資源をつなぐケアマネジメントを担っているものでもあ

る。 地域移行への強化をめざす今日の精神医療においては、入院時から退院時および地域医

療を想定した多職種連携による早期介入が重要であるため、入院から地域医療までを担え

る共通評価項目は精神医療で広く活用できると考える。当日は共通評価項目の内容やツー

ルの使用の仕方と地域移行までを含めた患者の治療課題および支援者の役割分担について

紹介し、精神医療における地域移行および地域連携を想定したデスカッションに臨みたい。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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ランチョンセミナー2

ランチョンセミナー2 看護師目線によるアセナピン舌下錠のメリットと服薬指導時のコツ

看護師目線によるアセナピン舌下錠のメリットと 服薬指導時のコツ

講 師: 釘宮 健一 医療法人赤城会三枚橋病院救急病棟看護主任

座 長: 辻 津寄子 福井県立病院看護師長

共催企業: MeijiSeika ファルマ株式会社

当院は、昭和 43 年に開設し当初より全開放病棟での治療を実践してきた。平成 24 年か

ら全 58 床のスーパー救急病棟を運用し、年間 40 件を超える措置入院を受け入れている。

急性期治療に舵を切った現在においても、開院当初からの看護部理念である「安心安全の

もと最小限の行動制限に努め、心の通う看護の実践」のもと、「最小限の行動制限」に拘り

日々活動している。これらの取り組みにおいて、医師・看護師の連携によるチーム医療、

統合失調症の薬物治療継続への取り組みの重要性は言うまでもない。 2016 年に国内で発売されたアセナピンは、ユニークな薬理作用を持つ薬剤である。ドパ

ミン D2 受容体に高い親和性を示し、その他にも、ドパミン D3 受容体、セロトニン 5-HT2A、

5-HT2C、5-HT6、5-HT7 受容体など、多くの受容体に結合する。一方でムスカリン M1受容体への親和性は弱い。

当院のスーパー救急病棟でも積極的にアセナピンが導入されており、現在も救急病棟の

約半数の入院患者が服薬している。アセナピンは抗精神病薬として本邦初の舌下錠である。

舌下錠は口腔粘膜から消化管を介さず吸収されるため、個体差が少なく吸収が速いという

メリットがある。臨床において「鎮静作用」とは異なる「静穏作用」により、情動の安定

や不安の軽減が期待される。 一方、アセナピンは投与後 10 分間の飲食制限や苦味があり、服薬指導に工夫や慣れが必

要である。当院でもアセナピン使用開始当初は、投薬後の看護師対応が大きな課題となっ

た。カンファレンスを通じて①患者の認知機能をアセスメントした上での個別対応②セル

フケアと連動した服指導、をすることによりアセナピンの服用継続率向上を図っている。

現在では使用経験を重ねることで、臨床的なメリットを患者に事前に伝えることにより、

治療満足度を高めることに成功している。 当日は、当院スーパー救急病棟における新規抗精神病薬アセナピン舌下錠の使用実態か

ら考察される臨床的位置づけをテーマに、看護師目線によるメリットと服薬指導の工夫に

ついて論じたい。

プロフィール

平成 15 年 医療法人赤城会三枚橋病院入職 急性期・慢性期、救急病棟の立ち上げ病棟閉鎖化を経験 平成 25 年 救急病棟看護主任 平成 28 年 一般社団法人日本精神科看護協会精神科認定看護師を取得

第2日

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一般演題 第2日

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演11-1

看護面接の際に行う自己開示に対する看護師

の認識

-児童思春期精神科に焦点を当てて-

キーワード:児童思春期精神科 自己開示 看護面接

○須藤 恵実1),宮本 梓1)

1) 東京都立小児総合医療センター

【はじめに】児童思春期精神科は、治療的な場であると同

時に教育・成長発達の場でもあり、包括的な支援を有する。

その中で看護面接技術は、患者らしい生活を支える役割を

持つ。患者の自己表出を促し理解を深める為には、看護師

との相互の自己開示が重要と考える。自己開示の流れと看

護師の思考を考察したので報告する。【目的】児童思春期

精神科に勤務する看護師が、看護面接で行っている自己開

示をどう捉えているのかと、自己開示に対する認識の構造

について明らかにする。【方法】研究デザインは質的記述

的研究で、期間は平成 29 年 12 月~平成 30 年 11 月。参加

者は8名。研究方法は、インタビューガイドをもとに半構

造的インタビューを行い、グラウンデッドセオリーアプ

ローチに基づき分析した。【倫理的配慮】研究参加者には、

研究の主旨、参加について自由意思の確保、不参加による

不利益の排除、匿名性の確保について説明し同意を得、東

京都立小児総合医療センターの倫理委員会の承認を得て

実施した。【結果】看護師歴が 4~30 年、児童思春期精神

科歴は 4~18 年の 8名にインタビューを行い7つの『概念』

を導き出した。看護師は『自分を信じて行う』という自身

への信頼感を基盤にしている。『患者と関係性を作る』関

わりを行ったのちに『自己開示を行う』。その後に『自分

の介入を振り返る』ことで評価検討し、次の自己開示に繋

げる。この循環は、自己開示の中心的なプロセス(自己開

示プロセス)である。自己開示プロセスは看護師の『意図

の有無』での変化はない。看護師が自身の自己開示を振り

返ることで『自己開示は看護技術の一つ』という認識が生

まれていた。自己開示プロセスは各々の看護師の中で作ら

れるため、他の使い方を知る機会がなく『他のやり方も学

びたい』と考えていた。【考察】自己開示は支援として有

効であると考えているからこそ、意図の有無に関わらず自

己開示を行っていると考えられた。また、患者に自己開示

をすることで、看護師の経験や感情を追体験させている。

これは、患者が成長発達段階にあり、今後の成長や変化に

期待する看護師の気持ちがあるためと考えられた。【結論】

1.看護面接の中で看護師は、患者と関係を作ったのちに自

己開示し、介入を振り返り次の自己開示へ繋げるという流

れを行っていた。2.意図の有無に関わらず自己開示プロセ

スは変わらない。3.自己開示は看護技術の一つと捉えてい

た。

口演11-2

医療観察法病棟において陰性感情を抱くきっ

かけとケアへの抵抗感

-看護師の感情とケアに及ぼす影響-

キーワード:医療観察法 陰性感情 ケアへの抵抗感

○高橋 純一1)

1) 山形県立こころの医療センター

【はじめに】精神科において,看護師は触法精神障がい者

に対し恐怖,違和感という陰性感情をもっていた,そのこ

とが看護の障壁となっていたという研究があり,医療観察

法病棟に勤務する看護師のバーンアウトに関する研究で

は,急性期病棟と比較して脱人格化が有意に高かったとの

報告もある。そこで,医療観察法病棟に勤務する看護師は

どのようなきっかけで陰性感情を抱くのかを知り,陰性感

情を抱くことがケアに影響を及ぼすのか明らかにするた

めに本研究を行った。【目的】触法精神障がい者に対して

どんなきっかけで陰性感情を抱くのか明らかにし,それに

起因するケアへの抵抗感を調査する。【方法】研究対象:

医療観察法病棟においてプライマリーの経験を持ち,研究

の目的及び方法を説明し同意を得られた者。データ収集方

法:インタビューガイドを作成し,半構造的面接を用いた。

インタビューは個室で行い,同意を得て録音した。【倫理的

配慮】本研究は,病院内倫理審査の承認を得て実施した。

目的方法について説明し,参加は任意であること,断って

も不利益が生じないこと,内容は本研究以外では使用しな

いこと,個人情報を保護すること,成果は学会等で発表す

ることを説明し同意を得て行った。【結果】陰性感情を抱

くきっかけは 4つのコードが抽出された。入院前鑑定書を

見た時被害者の立場になって考えた時入院後,患者の言動

に対して医療観察法に対して看護ケアへの抵抗感は 3つの

コードが抽出された。日常的なケアには抵抗がない抵抗感

は持ちつつも看護ケアには影響しない抵抗感があり,看護

ケアに影響がある【考察】医療観察法病棟において患者は

重大な他害行為を起こした当事者であり、被害者も存在す

ることから、より陰性感情を持ちやすくなるのではないか

と考える。また,患者を支援するにあたり,内省洞察の深化

への取り組みや,社会復帰に関連したプログラムを行う必

要がある。しかし,受け入れる能力や,モチベーションに問

題を抱えている患者も多い。法で求める治療が進まず,理

想の患者像と現実とのギャップを感じ,陰性感情につな

がっている事実も浮かび上がった。【結論】本研究におい

ては陰性感情を抱きつつも,ケアに及ぼす影響は少なかっ

た。しかし,抱えている葛藤が自身のストレスになってい

る実態はあった。ストレスの対処として,セルフケアやピ

ア・サポート等をすすめ,看護師を支える支援体制を整え

る必要があると考える。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

口演11-3

精神科熟練看護師が患者-看護師関係を構築

する際に用いる実践知の分析

キーワード:精神科 熟練看護師 患者-看護師関係 実践

知 看護援助

○山口 達也1),飛弾 明美1)

1) 福井県立病院

【はじめに】精神科における援助関係の形成は、援助提供

の基礎となるものであるが、本研究では精神科看護の経験

が 30 年以上に及ぶ熟練看護師が援助関係形成のために用

いるケア技術を明らかにすることで、精神科看護技術向上

のための教育的基礎資料を得たいと考えた。【目的】熟練

看護師が患者との援助関係を形成する際に用いるケア技

術について明らかにすること。【方法】データ収集期間は

2018 年 12 月~2019 年 2 月。対象者に半構成的面接を実施

し、許可を得た上でインタビュー内容を録音した。得られ

たデータはすべて逐語録に起こし、意味内容が理解できる

程度のセンテンスに分けてコード化し、データの共通性や

類似性に注目しながら段階的にカテゴリー化した。分析過

程においては、研究者間で検討を重ね、信頼性・妥当性の

確保に努めた。【倫理的配慮】本研究は福井県立病院倫理

委員会の承諾を得て実施した。【結果】本研究の対象者は 5

名(女性 5 名)で、精神科経験年数の平均は 34.8 年であっ

た。熟練看護師の患者-看護師関係を構築する際に用いる

ケア技術として 92 の語りが抽出され、そこから 27 のサブ

カテゴリーに分類された。最終的に「安全感が保障された

時間や空間を提供する」「患者の自尊心を刺激する」「患者

の実感やリアリティを重視する」「患者の強みにアクセス

して健康な部分で患者とつながる」「患者のセルフケアを

ケアしながら関係性を構築する」「患者にとっての日常を

重視して機会を提供する」「時間的なつながりを意識させ

る」「言葉以外の手段で患者に安心感を届ける」「抵抗を汲

む」「ありのままの自分を意図的に差し出して適度な距離

感を模索する」「関わりどころのタイミングを逃さない」

の 11 のカテゴリーに纏められた。【考察】熟練看護師は患

者との信頼関係を構築するために、空間や時間といった

「間」や感動や戸惑い、喜び、驚きなどの自己の感情、時

には自分自身の存在そのものを効果的に活用し、安全感を

保障したり、安心を届けたりしながら患者との関係性を構

築していることが示唆された。また、関係性の深まりや

パーソナリティ傾向などを含めた患者の病態像のアセス

メントに基づいた関係性を構築する際のバランス感覚、

「今、ここ」のタイミングの見極めに熟練の技が反映され

ていると考える。【結論】熟練看護師の患者-看護師関係

を構築する際に用いられるケア技術の一部が明らかに

なった。

口演11-4

精神科スーパー救急病棟の看護師が抱いた困

難感

-入院長期化した患者の退院支援を行って-

キーワード:精神科スーパー救急病棟 困難感 入院長期

化 退院支援

○澤田 凱希1),斎藤 淳也1)

1) 福井県立病院

【はじめに】A 病院 B 病棟は精神科救急病棟であり、診療

報酬上、入院期間 3カ月以内での退院を目指している。し

かし、患者によっては 3カ月という期間内で退院支援を行

うことが困難なケースもある。本研究においては、B 病棟

において入院が 3カ月以上経過した患者に対する退院支援

を担う看護師が抱く困難感について明らかにしたいと考

えた。【目的】精神科救急病棟において入院期間が長期化

(入院から 3 カ月以上経過)した患者の退院支援を担う上

で看護師が抱く困難感について明らかにする。【方法】B病

棟において入院が長期化した患者の退院支援を実施した

経験のある看護師を対象に、半構成的面接を行った。得ら

れたデータを逐語録に起こし、データの類似性に注目しな

がら段階的にカテゴリー化した。【倫理的配慮】本研究は

福井県立病院倫理委員会の承認を得て実施した。尚、本研

究に関して、開示すべき利益相反関連事項はない。【結果】

精神科救急病棟における入院が長期化した患者の退院支

援を担う際に看護師が抱く困難感として 53 のコードが抽

出され、そこから 14 のサブカテゴリーに分類された。最

終的に「患者の症状が不安定」「患者の理解・協力が不十

分」「家族側の要因」「看護師の心理的要因」「退院のイメー

ジ」「多職種との連携不足」「精神科救急病棟の特殊性」の

7つのカテゴリーに纏められた。【考察】精神科救急病棟で

は診療報酬上、3カ月という入院期間の時間的制約があり、

患者側と家族側の様々な要因によって退院後の課題解決

に向けた介入のタイミングが図り難いことが、看護師の困

難感に繫がっていると考える。また、再入院を繰り返す患

者に対して看護師が陰性感情を抱くことにより、退院支援

を進める際の看護師のモチベーションを低下させ、退院支

援を行う上での困難感を生じさせる一因になっていると

考える。さらに、精神科救急病棟は急性の精神病症状の静

穏化に重点を置いた治療やケアが優先されるといった特

徴があり、限られた期間内に社会資源の導入や地域での支

援体制の構築などの調整に難渋するケースがあることも、

看護師の困難感に繫がっていると考える。【結論】精神科

救急病棟において入院が長期化した患者の退院支援を行

う看護師が抱く困難感には、患者と家族側の要因に起因す

るものや、医療者側の要因に起因するもの、精神科救急病

棟の特殊性に起因するものなど、様々な要因が関連してい

ることが明らかになった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演11-5

精神科スーパー救急病棟で勤務する看護師が

感じる患者対応の難しさと対処法

-公立精神科病院に勤務する看護師を対象に-

キーワード:精神科スーパー救急 難しさ 対処法

○村田 仁1),高橋 寛光1)

1) 東京都立松沢病院

【はじめに】精神科救急入院料病棟(以下スーパー救急病

棟)は、精神科医療において、患者の早期退院を進め、地

域での生活を支える要の一つと呼べる。しかしこれまで

スーパー救急病棟に勤務する看護師を対象とした研究は

あまりない。そこで今回、公立精神科病院のスーパー救急

病棟で勤務する看護師を対象とし、患者対応の難しさと対

処法に焦点を当てて研究を行った。これによりスーパー救

急病棟の看護の質の向上につながると考える。【目的】公

立精神科病院のスーパー救急病棟に勤務する看護師が感

じる患者対応の難しさと対処法を明らかにする。【方法】

スーパー救急病棟で 3年以上勤務している看護師 5名に半

構造化面接を行った。逐語録を作成し、質的帰納的研究手

法を用いて分析を行った。【倫理的配慮】本研究を行うに

あたり、研究への協力は自由意思に基づき、拒否や撤回し

ても不利益を被らないこと、個人情報の保護に努めること

等を文章および口頭で説明し、同意を得た。また本研究は

都立松沢病院倫理委員会の承認を得た。【結果】患者対応

の難しさは[精神状態が悪い患者への対応][情報が少な

い状態での対応][限られた時間で関わる][無力感や諦め

を抱きながら患者と関わる]の 4個のカテゴリーが明らか

になった。また対処法は[薬を拒否する患者との向き合い

方][治療に同意を得る関わり][情報が少ない中で安全に

配慮した関わり][限られた時間を有効に使う工夫][チー

ムで関わる][知識や技術を習得する]の 6 個のカテゴリー

が明らかになった。【考察】公立精神科病院のスーパー救

急病棟は、情報があまりない外国人や短期間の入退院を繰

り返す困難ケースなど、民間の精神科病院では扱うことの

少ない患者の対応をしており、公立精神科病院の担う役割

が看護師の患者対応の難しさに影響を与えていると考え

られた。そのような患者対応の難しさに対し、看護師は一

般精神医療よりも充実したマンパワーを生かして、チーム

で支えあいながら関わっていると考えられた。【結論】公

立精神科病院のスーパー救急病棟で勤務する看護師は、限

られた時間の中で、情報が少ない患者や精神状態の悪い患

者に日々接し、時に無力感を抱きながら患者に接するとい

う難しさがあった。それに対し、時間を有効に使い、安全

に配慮しつつ、治療や薬を拒否する患者にも同意が得られ

るように、知識や技術を活用して、チームで支え合いなが

ら関わっていた。

口演12-1

反社会的行動を繰り返す知的障害を併せ持つ

成人期発達障害患者へのケアの効果

-行動療法的関わりによる行動変容を目指し

て-

キーワード:発達障害 反社会的行動 行動療法的関わり

個人特性の理解

○沖野 一成1),國方 拡嗣1)

1) 香川県立丸亀病院

【はじめに】発達障害を抱える人達は、その特性を理解さ

れず不適切な対応を受け二次障害を呈するケースがある。

特に発達障害の本質的特性が強く現れる注意欠如多動性

障害(ADHD)では、二次障害から犯罪・非行・反社会的行

動を繰り返すケースもあり、日常生活や社会生活に強い支

障を来すようになる。【目的】反社会的行動を繰り返す知

的障害を併せ持つ発達障害患者への行動変容に向けた看

護実践を振り返り、今後の支援のあり方を検討する。【方

法】度重なる反社会的行動により、社会生活に適応できな

い中等度知的障害および多動性素行障害の 20 歳代男性を

対象とした事例研究を行った。2018 年 8 月~11 月末日ま

で、日課や約束事の構造化とトークンエコノミー法に加え、

生育歴などに影響を受けた行動特性を理解した上での介

入を実施した。対象者の言動の変化や行動制限の緩和状況

から、看護実践を考察する。【倫理的配慮】A病院倫理審査

委員会の承認を受け、対象者・保護者に研究の主旨、目的、

研究参加と辞退の自由、研究結果の公表、プライバシー及

び個人情報の保護について文書と口頭で説明し同意を得

た。本研究の発表に関して開示すべき利益相反関係にある

企業はない。【結果】体力のない女性への衝動的な暴力行

為や性的逸脱行為を繰り返した経緯から入院当初は行動

制限を余儀なくされた。そこで、約束を守れたことに称賛

を与え、出来るようになったことを一緒に喜び常に関心を

向け、不適切な行動に対しては一旦注目を取り払いタイム

アウトを取り、のちに正しい行動を一緒に考えていった。

その結果、迷惑行為は減少し 8週間後には行動制限も夜間

のみとなった。【考察】ケアを進めて行く中で虐待やネグ

レクトなど生育歴の影響からか、約束を反故にしてでも注

目を向けたいという誤った行動様式が頻回にみられた。こ

うした行動に対して看護師は冷静に対応しつつも患者へ

の関心を示し続け、社会への適応行動を一緒に考えていっ

た。疾病特性からケアを構造化しわかりやすく伝達する工

夫と、トークンエコノミー法による行動の強化と併せて、

こうした個人特性を理解した関りが行動変容につながっ

たものと考えられる。【結論】反社会的行動を繰り返す知

的障害と発達障害を併せ持つ患者の行動変容を目指した

アプローチには、疾病特性を理解した構造化と行動療法的

アプローチに加え、個人特性に配慮したアプローチが有効

であると考えられる。

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口演12-2

行動化が頻回で欲求表出が困難な患者に対す

る入院から外来への継続看護面接の効果

キーワード:自傷行為 外来 看護面接

○小野 悟1)

1) 公益社団法人岐阜病院

【はじめに】自傷行為は不快感情への対処行動とされ、慢

性的な希死念慮を抱えることも多く継続的な支援が必要

である。今回、自傷行為を繰り返し、欲求の表出が困難な

患者に対し入院中から専門看護師(以下 CNS)として介入

し、退院後も外来で看護面接を継続することで思いの表出

が増え、行動化が減少した経過を振り返り、その効果を検

討した。【目的】希死念慮が常在し自傷行為を繰り返す欲

求の表出が困難な患者に対して、入院中から外来へと看護

面接を継続したことで行動化が減少した経過を振り返り、

看護面接の効果を明らかにする。【研究方法】1.研究対

象:30 代女性 A氏、適応障害。2.研究期間:X年 Y月~

X+2 年 Y+2 月3.調査分析方法:看護面接記録から A 氏

の発言やその背景にある思いについて、A 氏が入院してい

た病棟の看護師長とともに分析し、外来看護面接の効果に

ついて検討する。【倫理的配慮】対象者に研究趣旨、公表

方法、参加・取り消しの自由、個人情報保護について文書

と口頭で説明し承諾を得た。また筆者所属の倫理委員会の

承認を得た。【結果】入院中は 2ヶ月間介入し計 11 回の面

接を実施した。外来では約2週間に1回、計 38 回 425 分

(11.2 分/回)の面接を実施した。面接ではセルフケアの

確認を行いつつ傾聴に努めた。8回目面接時には「1回や

ろうと思ったけど、やらなかった」と自傷行為について

語った。11 回目面接時には「薬を飲んでない、お母さんも

知っている」と母親との関係性の表出も増えた。18 回目の

面接では「たまに薬を飲み過ぎることがある、飲むと頭が

痛くなるし気持ち悪くなる。でもやめられない」と両価的

葛藤を表出した。面接後期にはできていることを肯定し、

感情表出を促したところ「薬を溜めていたのがお母さんに

見つかった、でもまだ見付けやすい場所に隠してある」と

いう母親への両価的な思いを表出した。【考察】両価的葛

藤の強い患者ほど傾聴、受容・共感が必要とされ、生活上

の困難感を否定することなく積極的傾聴に努めたことが

患者-看護師という脅かさない 2者間のコミュニケーショ

ンを成立させ、抱える複雑な思いや欲求の言語化につな

がったものと考える。【結論】対人関係が脆弱で欲求表出

が困難な患者に対しては、入院中からの馴染みの関係性を

外来看護面接においても継続することが、変化がない状況

においても安心感を提供し、他者との関係性構築に寄与す

る。

口演12-3

幻聴を主症状とした統合失調症と自閉症スペ

クトラム併存患者の行動制限最小化に向けた

症状マネジメント

キーワード:行動制限最小化 感覚統合 発達障害 統合失

調症

○桐原 基1),池本 佳代1),林 明子1)

1) 岡山県精神科医療センター

【はじめに】統合失調症と自閉症スペクトラム(以下 ASD)

を併発する入院患者に対する支援はタイムリーかつ効果

的な介入が求められる。今回、統合失調症と ASD を併発し、

幻聴に対する症状コントロールが難しく隔離処遇が長期

化していた事例を通して効果的な看護介入を検討して

いった。【目的】統合失調症と ASD を併発し、行動制限が

長期化している事例に対し、症状マネジメントモデルを用

い幻聴の軽快と行動制限最小化に向けた効果的な看護介

入を明らかにする。【方法】研究デザイン:事例研究対象

者:ASD に統合失調症を併発した男性患者 A 氏データ収集

期間:感覚統合療法を用いた前後 4 か月間データ収集:対

象者の病状変化の過程を 4 つの期間に分類し、それぞれ診

療録から幻聴の体験やそれに対する本人の対処、看護介入、

得られた結果を情報として抽出した。抽出した情報は症状

マネジメントモデルに基づき、症状の体験・マネジメント

の方略の枠組みに当てはめ、看護介入により得られた効果

を評価し、考察を行った。【倫理的配慮】対象者本人に本

研究の主旨及び、拒否権の保証、プライバシーの保護につ

いて書面を用いて口頭で説明し署名をもって同意とした。

また、所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得た後、研

究を実施した。【結果】分類した 4 期毎に結果としてまと

める。保護期/環境調整期では、保護的環境を確保し混乱

を避けるため生活を構造化したが、隔離解除に至らなかっ

た。次の快刺激導入期では、気分転換活動を取り入れたが

不快な幻聴は持続し、導入を試みたセルフモニタリングも

言語化に困難を来した。次の身体感覚導入期では身体感覚

の統合に対するアプローチを導入し、看護介入を試みた結

果、情動は安定し隔離解除に至った。刺激受容期では、自

ら刺激への対処行動も行え、幻聴の軽快と共にセルフモニ

タリングも可能となった。【考察】身体感覚の統合に対す

るアプローチを継続することで、A 氏は快・不快の判断が

可能となり、幻聴に対する症状コントロールが可能となっ

た。また、看護師は幻聴に対するモニタリングを A氏と共

同で行うことにより、A 氏のセルフマネジメント能力の向

上と共に自己肯定感を高め、身体感覚の統合を安定させた。

【結論】本事例に対し症状マネジメントモデルを用い分析

した結果、精神症状の安定には、セルフマネジメント能力

の獲得と、自己肯定感を高める関わりが効果的であること

が明らかとなった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演12-4

多飲症が改善した事例における自己効力感に

着目した看護師の関わり

キーワード:多飲症 自己効力感 事例研究

○村島 正俊1),瀬戸 秀文1),藤原 大樹1)

1) 長崎県精神医療センター

【はじめに】多飲症患者の飲水量を管理するために、看護

師は関わりにおいて指示・管理的になりやすい。これまで

多飲症患者の事例研究は大田らの研究(2019)など過去に

あるが、看護師との関係性における肯定感に着目した報告

は乏しい。そこで、本事例は多飲症患者の看護において、

有意義な実践知の蓄積になるものと考える。【目的】多飲

症が改善した事例において、患者の自己効力感に着目した

看護師の関わりが及ぼした患者の変化を振り返り、多飲症

患者の看護における示唆を得る。【方法】①研究デザイン

事例研究②研究期間 2017 年 9 月から同年 11 月③事例紹介

過去に水中毒になり、入院時より隔離した多飲症の統合失

調症患者(30 歳代・男性)④調査・分析方法患者の診療・

看護記録における体重と、患者の認知や行動の変化、それ

に関連した看護師の関わりを抽出・コーディングして時系

列にその変化を見た。【倫理的配慮】本研究は、所属施設

の倫理委員会より承認を得た。研究の実施にあたっては、

データを匿名化し、患者の不利益を回避するための配慮を

行った。患者にこれらを説明し、自由意思による承諾を得

た。【結果】隔離中は看護師が飲水を一日 1.5L で管理し、

体重の日内変動は 1 ㎏以内であった。入院後 30 日目に開

放観察開始となり、行動療法を取り入れた。看護師は、受

動的な態度の患者に対し、食事や飲水後の体重変化をとも

に確認するなどして動機づけを図った。開放観察が拡大す

る中で、体重測定を患者に任せ、測定時はノートに値を記

入するよう説明した。こうして飲水量を自己管理した中で

も、体重の日内変動は 2㎏以内に収まり、看護師は患者の

取り組みを称賛し、自己効力感の強化を図った。これらを

通して患者の主体性が増し、小まめに体重を測定し、飲水

量の管理を行うようになった。隔離解除となり外出をした

際には、外出時に体重が 3㎏前後増加することもあったが、

その都度、外出中の飲食物について振り返りを図り、セル

フケア行動の促進を繰り返して退院に至った。【考察】今

回の関わりを振り返ると、看護師は支持的な関わりや動機

付けに加え、取り組みの努力や成果を患者のストレングス

として承認することを通して、患者の自己効力感を促進し

ていた。【結論】多飲水症における治療枠組みにおいて、

看護師の患者との関係性を中心とした、患者のストレング

スを承認するアプローチは患者の回復を推進するもので

あった。

口演13-1

BPSDを有する認知症高齢者の家族介護者が訪

問看護師に求める家族支援

キーワード:BPSD を有する認知症高齢者 訪問看護 家族

支援

○堀田 純子1),南部 清美1),野田 富士子1),寺本 沙織1)

1) 光陽訪問看護ステーション

【はじめに】BPSD 出現により家族介護者は 24 時間の介護

が必要とされ、見通しのつかない介護に身体的精神的負担

は大きく抱える問題は多い。そこで BPSD を有する認知症

高齢者の家族介護者が訪問看護師に求める家族支援を明

らかにしたいと考えた。【目的】BPSD を有する認知症高齢

者の家族介護者の訪問看護導入前の困難と訪問看護師に

求める家族支援を明らかにする。【方法】2017 年 1 月~2018

年 3 月の Aステーション利用者で、BPSD 症状を発症した認

知症高齢者で訪問看護のみを利用していた家族介護者 7名

にインタビューを実施。インタビューを基に逐語録を作成

しコード、サブカテゴリー、カテゴリー化し質的に分析を

行った。【倫理的配慮】所属施設の倫理審査委員会相当の

機関から承認を得た。対象者から自由意思による承諾を得、

不利益を回避するための配慮を実施した。【結果】1)家族

介護者の困難は 92 のコード、23 のサブカテゴリー、以下

8 つのカテゴリー≪対応困難≫≪受診困難≫≪周囲へ迷惑

をかけてしまう≫≪孤独≫≪介護者の体調不良≫≪心身

疲労≫≪介護拘束≫≪経済的困難≫が抽出された。2)訪問

看護師に求める家族支援では、103 のコード、12 のサブカ

テゴリー、5 つのカテゴリーが抽出された。カテゴリー、

サブカテゴリーの関係性として≪継続的な支援により本

人を受容≫は<看護師の関わりをみる事で得られる安心

感><認知症への理解と対応方法への助言>から成る。≪

専門的視点に立った連携と調整≫は<本人に合った受診

先の選択><専門的視点に立った医師と家族の橋渡し>

などから成る。≪心の支え≫は、<何時でも対応してくれ

るという安心感><自分への気遣い>などから成る。≪デ

イサービス導入に向けての支援≫は<デイサービスを利

用することで得られる安心感><デイサービスに繋げる

ことで得られる効果>から成る。≪本人の人格を尊重した

対応≫は<本来の姿を取り戻した>から成る。【考察】継

続した関わりの中で家族が抱えている困難を導き出し、専

門的視点からのアプローチを行なう事で困難が軽減する

よう働きかける事が、家族が訪問看護師に求める家族支援

と考える。またデイサービス利用に繋げる事で更に家族介

護者の負担軽減を図る必要があると考えられた。【結論】

BPSD を有する認知症高齢者の家族介護者の困難と訪問看

護師に求める家族支援が明らかとなった。

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口演13-2

発病後 10 年以上経過している統合失調症の子

供をもつ母親のあり方

キーワード:統合失調症 母親 気づき あり方

○藤澤 由里子1)

1) 大阪医科大学附属病院

【はじめに】子供への支援を背景としたその時々の母親の

気づきとあり方を理解することは家族支援をするうえで

重要である【目的】統合失調症の子供をもつ母親のこれま

での気づきとあり方について明らかにする【方法】①研究

デザイン:質的記述的研究②対象者:発病後 10 年以上経

過している統合失調症の子供をもつ母親 1名③研究期間:

2016 年 12 月④データ収集方法:半構造的面接⑤分析方法:

Giorgi の現象学的方法を参考に分析した.母親の語りを意

味のあるまとまりごとに分け,状況における気づきとあり

方の夫々の記述を統合し収斂させた【倫理的配慮】A大学

と所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した.研究

参加者には,目的,方法,プライバシーの保護,研究参加

および途中中断の自由を文書と口頭で説明して同意を得

た【結果】A 氏 60 代,家族会に所属.子供は 10 代に発症

し変調に気づいてから 18 年経過していた.母親の気づき

は,『当時は,精神病について差別的な意識があり,子供

の状態が悪くなる中で家が混乱状態になり大変さに気づ

くが,近所の人が助けてくれて嬉しかった.地域の親の会

や家族会に参加するが,報告のみで皆で話す機会がなく繋

がりをもつことができなかった.思い返すと,誰も助けて

くれない中でやってこれたのは,一生懸命家族でやってき

たからだと気づいた.家族会のメンバーになって分かった

のは,親と子供だけで何とかしようと思わない方が良いと

いうことであり,例え親に言えなくても,他の人には相談

できれば良いということに気がついた』であった.あり方

は,『通院を始めてからも色々な所に相談したり,薬を飲

んだら軽く治ると思い,精神病として認めたくなかった.

大変な時に,まさか近所の人が助けてくれるとは思わず,

隠さなくても大丈夫だと思った.当時は,相談したり病気

の知識をもちたがったが,地域の親の会や家族会では,繋

がりをもつことができなかった.夫と離婚し,誰も助けて

くれない中で,家族ぐるみでここまでやってこれたという

自負がある.家族会の活動に入り込む中で,自分達だけで

担わなくても良いという見方になった』であった.【考察】

母親は不安や困難が多いけれども,家族には自身で立て直

す力があることを看護師は理解し,支援することが重要で

ある【結論】母親は過去の体験にネガティブさを残しなが

らも,今は,過去を対象化しながら受け入れられるように

なってきていた.

口演13-3

危機的状況に陥った高次脳機能障害、失語症の

療養者をもつ家族への危機介入

キーワード:危機的状況 対処行動 家族への情緒的支援

ソーシャルサポート 家族エンパワーメント

○松宮 栄美子1),福田 弥生1)

1) 医療法人林病院訪問看護ステーション府中

【はじめに】母子共依存の家族が介護困難な危機的状況に

陥り社会資源利用に繋がらず支援の限界があった。しかし

危機介入により母子共に自立できたので報告する。【目的】

理論を用いて事例を振り返り危機介入における有効な援

助を明らかにする。【方法】研究期間は介入終了1年後か

ら3か月間。1年半の介入期間の看護経過記録から家族の

状況をマッカバンの「家族ストレス順応適応の回復モデル」

で継時的に分析した。また看護援助を野嶋ら「家族看護エ

ンパワーメントモデル」の視点で分析した。介入終了 1年

後に現在の生活状況と過去の受け止め方を家族にインタ

ビュー調査した。【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会の

承認を得た。対象者の家族に書面と口頭で説明し同意を得

た。【結果】A 氏 50 歳代男性。両親 70 歳代。A氏は脳梗塞

発症後に高次脳機能障害と失語症なった。30 歳代に難病を

患ったのを基に母親が過干渉となり A氏を保護するという

家族機能パターンがあった。その為 A氏は母親に依存し母

親の介護負担が増大していた。家族に介護知識を提供し A

氏の自立を促す事で母親の負担が軽減した。しかし家族が

情緒的に対応困難になると A氏に注意するという対処行動

をとった。A 氏のストレスが増大しさらに母親に依存し母

親の介護負担が増大するという悪循環を起こしていた。毎

回家族調整をし、家族のやり場のない思いを受け止めた。

特に母親には現実的な見通しや適切な判断力を養う支援

を行った。母子共に分離不安が強く新たな社会資源の導入

が困難であり、多職種との話し合いを重ね役割分担をして

ソーシャルサポートした。父親が亡くなる新たな危機的状

況時に家族は A 氏の同意のもと施設入所を決断した。1 年

後、母子共にお互い違う環境で穏やかに自立した生活を過

ごしていた。時間を経て家族は過去を受け入れ新たな家族

機能パターンを作り家族が成長していた。【考察】家族が A

氏の病気を受容し A氏の自立を促すことで家族生活の調整

が図られた。家族は情緒的に対応困難になると以前の対処

行動に戻ろうとする家族の脆弱性があり、家族への情緒的

支援は他の対処行動をとるために重要な援助であった。多

職種連携で家族をソーシャルサポートする事で家族エン

パワーメントに繋がった。【結論】理論を用いる事で危機

介入における有効な援助が明かになった。しかし家族には

個別性があり援助のあり方も違うため、今後、家族アセス

メントが重要となる。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演13-4

医療観察法病棟の家族の体験から考える家族

支援

-被害者の家族であり加害者の家族である母

親の体験から-

キーワード:医療観察法病棟 被害者家族 加害者家族 家

族支援

○柳澤 節子1),宇佐見 誠1),横山 恵子2)

1) 埼玉県立精神医療センター 2) 埼玉県立大学

【はじめに】医療観察法の対象となる事件は、被害者が近

親者である事も多く、その家族は『被害者の家族であり加

害者の家族』として、複雑な感情を抱えている。先行研究

では、触法精神障がい者家族の概況を述べたものはあるが、

家族の体験や思いの変化に焦点をあてた研究はなかった。

そこで、家族の体験を知り、家族が求める支援を明らかに

したいと考えた。【目的】医療観察法病棟の入院患者の家

族で、その患者に家族を殺害された母親の体験を明らかに

するとともに、医療観察法病棟に求められる家族支援のあ

り方を検討する。【方法】協力者:医療観察法病棟を退院

した患者の母親 2 名。期間:2017 年 12 月~2018 年 1 月。

方法:半構造化面接を実施。了承を得て録音し、逐語録を

作成。母親の思い関する内容を抽出し、類似性及び相違性

に従いカテゴリを作成した。【倫理的配慮】研究協力者に

は研究目的、方法、参加の自由、同意後も撤回可能、デー

タの匿名化、本研究のみに使用することを説明し同意を得

た。所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】母

親の体験は、6 段階のカテゴリで構成された。以下、カテ

ゴリを[]で表記する。母親は暴力的な患者に[事件の予

兆]を感じていたが、事件は[突然の出来事]であった。

事件後は、自責と後悔を感じ、趣味等に没頭し[気持ちを

整理する時間]を過ごしていた。病院に来る事にも抵抗感

を感じる中、病棟で開催する家族ゼミナールに参加し、同

じ境遇の家族に接した事で、[家族ゼミナールは荷降ろし

の場]となっていた。そして、患者の回復を実感すると[親

としての覚悟]や人生の希望が芽生えるようになるととも

に、医療観察法終了後の[継続した支援]を求めていた。

【考察】事件後、母親は社会から孤立、苦悩し、事件から

心理的な距離をとることで、何とか心の安定を保っていた。

この時期、看護師は家族に寄り添う支援が必要である。医

療観察法病棟の家族ゼミナールは、同じ境遇の家族に出会

い、自分の気持ちを吐露できる唯一の場であった。母親が

親としての覚悟や希望が持てたのは、家族ゼミナールで仲

間を得て、仲間の中で母親のレジリエンスが強化されたか

らと考える。【結論】『被害者の家族であり加害者の家族』

は、孤独と苦悩の中で家族ゼミナールに参加し、同じ境遇

の家族に出会い、家族としての覚悟や希望を持つことがで

きていた。家族の心情に寄り添う家族支援の重要性が示唆

された。

口演13-5

認知症高齢者の家族支援を行なうことで在宅

生活が継続できた症例

-未就学児が認知症曾祖母への対応ができる

までの取り組み方-

キーワード:曾孫 絵本 家族指導

○中防 千恵1)

1) 福井県立すこやかシルバー病院

【はじめに】主介護者である娘は、認知症の実母と孫ら(幼

女児 3人)の間でおこる喧騒によって在宅介護に対する不

安やストレスを感じていた。孫らは実母の行動を「困った

行動」ととらえ対応ができずにいた。更に主介護者は未就

学児の孫に実母の行動を我慢させる事や間違った行為を

受け入れさせるのは年齢的にも困難ではないかと悩んで

いた。坂野は、「理想は、家族を含めた家庭全体の支援で

ある。本人の不安の軽減のみならず、家族の身体的・心的

負担を軽減するような生活支援を構築し、継続的に支援者

がかかわることにより、家族の葛藤が軽減していくことは

まれではない」と述べている。退院前訪問で孫らに家族指

導を行う事で、在宅生活が継続できた 1 事例を振り返り報

告する。【目的】孫らが絵本を通して実母の「困った行動」

に対応ができるようになった事で、主介護者のストレスの

軽減が図られ、在宅生活が継続できた症例を振り返る【方

法】2 回の面会時、主介護者と孫らから喧騒の内容を聴取

する。面会後、孫らと実母の喧騒場面に類似した内容の絵

本を選定する。その絵本を孫らに読み聞かせし、実母の

「困った行動」に対する対応方法を伝える。孫らが実母の

困った行動に対応できた場合、「優しさシール」と称した

シールを渡す【倫理的配慮】対象者には研究への参加協力

を書面にてお願いし、不参加でも不利益を被ることは一切

ない事いつでも参加・協力の中止が出来る事を書面にて説

明し同意を得た。所属施設の倫理審査委員会相当の機関の

承認を得た【結果】絵本を読み進める中、孫が感じる「困っ

た行動」に共感し場面での対応方法を伝えた。孫らは笑顔

で「本当は仲良くしたいからやってみる」と言われ、対応

できた時に貰える「優しさシール」をシール手帳に集めて

いく様子が見られた。喧騒の解消から主介護者のストレス

の軽減が図られ、対応が上手くいかなかった事は外来受診

時や電話相談で問題の解決を図った事で在宅生活が継続

できた。【考察】日頃から親しんでいる絵本を用いた事で

孫らは「困った行動」が病気である事を理解し、自分達の

思いを表出できたと考える。又仲良くすることで実母に対

し慈愛が芽生えた事と「優しさシール」を使用する事で自

己肯定感が満たされ快情動が育まれた事が、継続した対応

に繋がったと考える【結論】孫らが認知症の実母の病態を

理解し、「困った行動」に対応が出来るようになった事で

在宅生活が継続できた。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

口演14-1

精神看護師に対する救急シミュレーション教

育の効果と課題

キーワード:救急シミュレーション 精神科看護師 効果

課題

○中野 伸治1),森山 義康1),戸塚 美貴1), 恵良 貴将1),今福 克仁1)

1) 福岡県立精神医療センター太宰府病院

【はじめに】精神病院では、向精神薬の副作用や精神症状

による自傷行為などにより、救急処置が必要な場合がある。

また、患者は精神疾患のみならず、身体的な疾患を合併し

ていることが多い。そういったことから、精神科看護師に

は、確実で迅速な救急処置の知識や技術が必要である。【目

的】精神科看護師を対象に行った救急シミュレーション教

育の効果と課題を明らかにすることである。【方法】対象

者は救急シミュレーション教育を受講した A病院に勤務す

る精神科看護師 32 名である。教育の中では、事例を使用

し実施した。インタビューガイドに従い半構造化面接を実

施し、承諾を得て録音した。得られたデータは逐語録に起

こし、質的帰納的に分析した。教育の効果と課題に関する

視点で分析しカテゴリー化した。【倫理的配慮】研究対象

者に対して、目的、方法、研究参加の任意性、不利益はな

いこと、結果は学会などで公表するが、匿名を保持するな

ど文書及び口頭で説明した。研究への同意を同意書への署

名により確認後、研究参加者に面接を行った。本研究は、

太宰府病院倫理審査委員会により承認を得て実施した。

【結果】研究同意の得られた17名のデータを分析した。

救急シミュレーション教育に対して、『精神科における急

変対応準備期への建設』『チーム蘇生における重要性の再

認識』『救急医療から広がった学習意欲』『救急対応の戸惑

いの克服』の4つの効果、『継続教育の必要性』の1つの

課題が明らかになった。【考察】『精神科における急変対応

準備期への建設』のカテゴリーが示すように、救急シミュ

レーション教育は、急変時の疑似体験ができ、イメージ化

へつながり、健康評価や判断能力の向上など、急変対応準

備に繋がったと考えられる。さらに、『チーム蘇生におけ

る重要性の再認識』ができていた。シミュレーションによ

る成功体験が自己効力感の向上につながったと考えられ、

『救急医療から広がった学習意欲』の効果を得られるとと

もに、『救急対応の戸惑いの克服』ができたと考えられた。

今後の課題は、『継続教育の必要性』のカテゴリーが示す

ように、教育の機会を作る事である。【結論】救急シミュ

レーション教育は、精神科における救急対応準備期となり、

チーム蘇生における重要性の再認識や救急医療から広

がった学習意欲、救急対応の戸惑いといった効果、課題と

して継続教育の必要性が明らかになった。

口演14-2

一人前の段階にある精神科看護師が患者との

関わりで抱くストレスと対処行動の実態

キーワード:精神科看護師 一人前の段階 ストレス 対処

行動

○林 真央1)

1) 福井県立病院

【はじめに】看護師のストレス内容や対処行動について、

新人を対象にした研究は散見されるが、経験年数が 2~3

年の技能習得モデルにおける一人前の段階にある精神科

看護師(以下、一人前看護師)を対象にストレスや対処行動

について明らかにした研究は見当たらない。よって、本研

究では、一人前看護師が患者との関係において抱くストレ

スと対処行動について明らかにした。【目的】一人前看護

師が患者との関わりで抱くストレスとその対処行動を明

らかにする。【方法】A病院精神科に勤務する精神科経験年

数が 2年目及び 3年目の看護師に対し、患者との関わりで

ストレスを感じた場面、ストレスを緩和するためにとった

対処行動について半構成的面接を実施した。得られたデー

タは逐語録に起こし、ストレスや対処行動について述べら

れた部分を抽出し、段階的にコード化した。【倫理的配慮】

本研究は福井県立病院倫理委員会の承諾を得て実施した。

尚、本研究に関して、開示すべき利益相反関連事項はない。

【結果】対象者は 6名(男性1名、女性5名)であり、平均

年齢は24±1.0歳であった。ストレスについては、30のコー

ドが抽出され、そこから 10のサブカテゴリーに分類され、

最終的に「患者の病的体験による症状や言動」「同じ事を

繰り返す」「看護師としての経験不足を自覚」の 3 つのカ

テゴリーに纏められた。対処行動については、31 のコード

が抽出され、そこから 14 のサブカテゴリーに分類され、

最終的に「相談相手」「業務内での対処行動」「業務外での

対処行動」の 3 つのカテゴリーに分類された。【考察】一

人前看護師は、患者の病的体験に伴う言動に戸惑い、暴

言・暴力につながりやすい状況でよりストレスを自覚しや

すいことが明らかとなったが、これは一人前の段階とはい

えども、技術や経験不足による不安等が影響していると考

える。一方で、経験を活かした予測的なアセスメントによ

り自身や患者の安全を確保することでストレスフルな状

況を未然に防ぐことのみならず、業務外で自己研鑽に励ん

だり、気分転換を図ったりすることも仕事へのモチベー

ションを維持する上で重要な対処となり得ると考える。

【結論】一人前看護師は、経験や技術不足による不安を抱

き、患者の病的体験や暴力リスクに晒されることでストレ

スを自覚しながらも、患者の理解を深めたり、知識や技術

を習得したりすることによって対処していることが明ら

かとなった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演14-3

テキストマイニングを用いた精神科看護実習

における指導の特徴の分析

キーワード:テキストマイニング 精神科看護 指導 実習

○日下部 佳織1),高橋 純子1)

1) 医療法人興生会相模台病院

【はじめに】A 病院精神科病棟では、臨床指導資格がある

職員が 43 名中 3 名と少ないことや、学生指導に対し知識

が乏しいことから、指導を断るスタッフがいる現状にある。

そこで精神科看護学実習の指導の特徴を明確化すること

で、今後、実習を指導するスタッフが指導しやすくなるの

ではないかと考えた。【目的】精神科看護学実習における

指導の特徴を明らかにする。【方法】精神科病棟で 3 年以

上の学生指導経験をもち、実習指導者講習を受講した看護

師 4名に対し、先行研究を基に研究者間で独自に質問票を

作成した。質問項目は、①学生に対する思いや考え②実習

指導において心がけていることや重要だと考える役割③

学生に学んでほしいこと④精神看護学を教える際に難し

いと思う点とその指導法についての合計 4問で、自由記述

とし回答を得た。分析は、KH Coder を使用した。テキスト

ファイルに入力された自由記述を読み込み、自動的に語を

取り出し、抽出語を確認した上で、それらの共起関係を

探った。また、一連の分析過程において看護研究の専門家

にスーパーヴァイスを受けた。【倫理的配慮】本研究は所

属施設の倫理委員会の承認を得た。調査対象者に、研究の

参加や中断は自由であり、研究への参加を断っても不利益

を被ることはないということを説明した。研究者が得た情

報は、個人が特定されないようにした。【結果】得られた

文章は 134 文あり、総抽出語数が 1750 で、異なり語数は

370 であった。これらの頻出語のうちの上位は、学生・患

者・考えなどであった。分析した単語の関連性に着目した

結果、精神看護学実習における指導の特徴は 10 のカテゴ

リーに分類された。このうち 9は、<患者の利点><感情・

気持ちの理解><体験と学び><指導者の姿勢>の4つ

の相にまとめられ、これらは、「看護観の形成」のカテゴ

リーに繋がることが示唆された。【考察】結果で得られた

カテゴリーのうち、「学生の看護による患者への影響」「教

員と指導者の連携」「他者理解」「看護観の形成」は、先行

研究における〔精神看護の特性〕と、類似した内容であっ

た。これらのカテゴリーは、特に重要視されるものである

と考えられる。また、その他の内容においては、対象者の

属性の違いによるものであったと考える。【結論】精神科

看護学実習における指導の特徴は、4相の構造に分けられ、

最も重要なものは「他者理解」であった。

口演14-4

看護学生におけるインターネット依存傾向と

インターネット利用状況との関連

キーワード:ネット依存 看護学生 IAT

○宮城 妃菜1),網内 詩帆2),萩 彩乃3), 花田 裕子4),永江 誠治4)

1) 福岡大学筑紫病院 2) 東京医科歯科大学医学部附属病院

3) 国立がん研究センター中央病院 4) 長崎大学

【はじめに】近年「ネット依存」が問題視され,様々な健

康被害との関連が指摘されている。ネット依存とネット利

用状況の関連について橋元ら(2010)は,SNS・掲示板・

Twitter の利用頻度の高さが依存傾向を高めることを明ら

かにしているが,近年の急速なネット環境の変化に伴う影

響が予測される。【目的】看護学生のネット依存傾向とネッ

ト利用状況との関連を明らかにする。【方法】A大学の看護

学生 1~4 年生 223 名に無記名自記式の質問紙調査を行っ

た。調査内容は,基本属性,生活習慣,対人関係(会話頻

度,対人関係満足度),精神的健康度(K6),ネット利用状

況,ネット依存度(Internet Addiction Test;IAT)。IAT

得点と各項目の関連について Mann-Whitney の U 検定およ

びKruskal-Wallis検定を,IAT得点とK6およびネット利用

状況の関連については Spearman の順位相関係数を求めた。

解析には SPSSver.25 を用いて有意水準 5%で両側検定を

行った。【倫理的配慮】対象者には,研究目的,方法,研

究協力の任意性と撤回の自由,個人情報の保護について口

頭と文書で説明した。本研究は長崎大学大学院医歯薬学総

合研究科倫理委員会の承認を受けている。【結果】170 名か

ら回答を得た。回答に不備があるものを除外した 146 名の

解析を行った。対象者は男性 15 名,女性 131 名。IAT 得点

は,平均 37.9±12.8 点,平均ユーザー96 名(65.8%),問題

ユーザー48名(32.9%),重篤問題ユーザー2名(1.4%)であっ

た。IAT 得点は,朝食摂取頻度が低い(p=.031)家族満足度

が低い(p=.034)方が有意に高く,精神的健康度(K6)および

ネット利用時間との間に中程度の有意な正の相関がみら

れた(r=.304,p<.001;r=.360,p<.001)。IAT 得点は,ス

マホによる Twitter 投稿(p=.025)およびスマホによるネッ

トショッピング(p=.013)と有意な関連がみられた。【考察】

IAT 得点は,大学生の全国平均より低かった。SNS では,

投稿に写真を要する Instagram より匿名性や利便性が高い

Twitter の方がネット依存との関連が強いと考えられる。

ネットショッピングとの関連は,スマホで簡単に買い物で

きる現在のネット環境による影響が大きいと考えられる。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

口演14-5

鍵の汚染状況の可視化が職員の清潔に対する

意識向上にもたらす効果

キーワード:精神科 感染 鍵

○山口 さえか1),小岩井 智子1),中畑 久美子1),中村 桂子1),國友 博昭1),刀根 正彦1)

1) 杉田玄白記念公立小浜病院

【はじめに】精神科病棟の特徴として、閉鎖的環境であり

接触、交差感染の温床となりやすい「ドア」が数多く存在

し、鍵を用いる場面が多い。しかし、鍵の洗浄習慣がなく、

鍵が汚染下にある状況でケアを行っており、看護職員が感

染源となるリスクが高いと推察される。そこで、鍵の汚染

状況の可視化と鍵の感染管理の勉強会を行ったことで、職

員の鍵に対する清潔意識が向上したのでここに報告する。

【目的】鍵の培養を実施し汚染状況を可視化するとともに、

認定看護師による勉強会を開催することにより、感染対策

の意識向上を図る。【方法】A病院精神科病棟に勤務する医

療従事者のうち同意を得られた 45 名に対し、感染管理認

定看護師による鍵の感染管理についての勉強会を講義形

式で実施する。そして、鍵の取扱いに関する自記式質問紙

調査を勉強会前後と1ヶ月後に行った。また、鍵 17 個の

スタンプ培養を行い、汚染状況を調査した。【倫理的配慮】

対象者に対して目的・方法・協力撤回の自由性・個人情報

保護を説明し同意を得、杉田玄白記念公立小浜病院倫理委

員会の承諾を得た。なお、利益相反関係にある企業はない。

【結果】鍵の培養結果では、皮膚常在菌の検出が全体の

71%、環境菌の検出が全体の 6%であった。また、「鍵の感

染管理についてどのように考えているか」という設問に対

しては、「勉強会前は鍵を紛失しないようにばかり考えて

おり、感染管理についてはあまり考えたことがない」とい

う意見が多かった。勉強会後では、「何らかの対策が必要

だ」という意見が多かった。そして、勉強会 1 ヶ月では、

「手指衛生や鍵の洗浄が必要」という意見が多かった。「汚

染した鍵が感染経路の要因になると思うか」という設問に

対しては、勉強会前は「どちらかというと思う」が 36%、

勉強会後では「大変そう思う」が 64%、勉強会 1ヶ月後で

は「まあまあ思う」が 45%で、勉強会前と勉強会後、勉強

会前と勉強会 1ヶ月後では有意差を認めた。また、勉強会

後と勉強会 1 ヶ月後では有意差は認められなかった。【考

察】鍵の汚染が培養結果により示され、鍵が感染の要因に

なると認識できるようになった。更に、勉強会を行ったこ

とで鍵の清潔意識が高まった。【結論】鍵の培養結果の可

視化と感染管理の勉強会開催は、鍵の清潔意識を高めるの

に有効であった。今後、鍵の清潔意識を持続させるには、

継続的な勉強会が必要である。

口演15-1

医療観察法病棟クリニカルラダーを用いた異

動者教育の効果

キーワード:医療観察法病棟 クリニカルラダー 精神科

看護 異動者

○小西 春巳1),佐藤 悦夫1),柳澤 節子1), 市川 佳子2)

1) 埼玉県立精神医療センター 2) 日本赤十字看護大学

【はじめに】A 病院の医療観察法病棟への異動者は精神科

看護経験者であるが、精神保健福祉法の実践との違いに業

務全般に困惑していた。そこで、医療観察法病棟に則した

4 段階のクリニカルラダー(以下ラダーとする)を作成し

開始した。その効果を明らかにしたいと考えた。【目的】

医療観察法病棟クリニカルラダーが異動者に与えた影響

を明らかにし、医療観察法病棟クリニカルラダーの効果に

ついて検討する。【方法】A病院の医療観察法病棟へ異動と

なった看護師の内、ラダー開始前 4名、ラダー開始後 4名

を対象とし、2018 年 4 月~同年 11 月迄実施。方法は、半

構造化面接を録音し逐語録を作成後、異動者の苦悩や困惑

等を抽出しカテゴリ化した。【倫理的配慮】研究対象者に

目的、意義、方法、自由意思による参加と同意後の撤回可

能、データの匿名化、本研究のみの使用について口頭と文

書で説明し、同意を得た。埼玉県立精神医療センター倫理

委員会で承認を得た。利益相反なし。【結果】構成された

カテゴリは、3 つであった。以下、カテゴリを[]で表記す

る。異動者は、医療観察法の事前学習がない状態で配属さ

れ、法律や概念、多職種連携や司法手続き等に[異動者が

感じる困難さ]があった。ラダー開始前の者は、業務の指

針が無い状態で業務を遂行せざるを得ず、指導者も不在な

事から対応の冷たさを感じていた。一方、ラダー開始後の

者は、ラダーの指針に沿って指導者を中心に周囲からも指

導を受け、対応の温かさを感じたと語り、[ラダー開始前

後における病棟の雰囲気の違い]が見られた。その為、ラ

ダー開始前の者は、開始後の者の指針や指導を見て丁寧さ

を感じていた。ラダー開始後の者は、教育の可視化や面接

等から不安なく実践し進行できたと語り[ラダーの効果]

が示された。【考察】異動者は、過去の実践経験が活かせ

ない困難さを抱えていた。経験者であっても、初めての臨

床現場では適切で丁寧な指導が不可欠であり、病棟全体で

支援する必要がある。ラダーの段階的な教育指針は、可視

化でき着実に実践力の獲得を可能にした。それにより異動

者は、今後やるべき事が分かり不安が軽減された。面接で

自己を振り返り達成感や課題が明確になる事で、意欲的に

業務に取り組む事ができたと思われる。【結論】医療観察

法病棟クリニカルラダーは、異動者の困惑を軽減し、仕事

の意欲の向上、看護師としての成長を図るため異動者教育

に効果があった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

口演15-2

看護師のメンタルヘルス対策に関する研究

-ストレス・職務満足度・エゴグラムの実態と

3 調査相互の関連-

キーワード:ストレス 職務満足度 エゴグラム

○吉越 光代1)

1) 医療法人若葉会若葉病院

【はじめに】国際化や情報の過疎化による社会環境の変化

に伴い、ストレスを抱える労働者の数は 1992 年の 57.3%

から 1997 年は 62.8%へと増加している。その中、看護師

のストレスやバーンアウトの増加は、従来から問題視され

ている。そこで、看護師のメンタルヘルス対策の一つとし

て相談室開設に係る機会を得た事で、看護師の実態を把握

したいと考えた。また、ストレスや満足度は個人の認知に

よって異なると考えられるが、この先行研究は少なく、関

連性の言及はなかった。【目的】看護職のストレス、職務

満足度、エゴグラムの実態から相互の関連性を検討し、メ

ンタルヘルス対策の一助となる為の資料をえる。【方法】

対象者は、相談室を利用した A病院看護師 348 名で、質問

紙を用いてストレス・職務満足度・エゴグラムの実態と 3

調査相互の関連について検討した。調査期間は 2019 年 3

月 1 日から 15 日。分析方法は統計ソフト SPSS:V22 を使

用した。【倫理的配慮】対象施設の倫理審査委員会承認後

に実施した。調査は看護部の同意を得た後、勤務部署毎に

質問紙と共に、調査の趣旨と結果は統計的に処理されプラ

イバシーは厳守することを説明した文を同封し協力を依

頼した。回収は各人が返信用の封筒を使用し、調査結果の

概要は看護部の研修会で報告すると共に、希望者は個人宛

に結果を返送した。【結果】分析対象者は回答を得た 252

名。対象者全体の 72.2%がストレス発生条件をもち、50.4%

がストレス状態であった。特に 20~29 歳と 55~59 歳にス

トレス状態である者が多かった。職務満足度は平均 50%で

あり、30~34 歳で満足度が低かった。エゴグラムは看護師

特有のパターンがあり、若い人は AC(順応した子供の自我

状態)が高く、年齢や役割が増えると CP(批判的な親の自

我状態)・A(大人の自我状態)が高くなっていた。【考察】

年齢が高く、役割りを持つ人は CP を低く、若い人は AC を

低くするなどによりストレスを解消する事で、職務満足度

は高くなっていくと思われる。以上、ストレスは職務満足

度を提言し、エゴグラムはストレスの増加を予測する手掛

かりとなり、職務満足度に影響する事など、3 者は相互に

関連する事が明らかとなった。【結論】今後、看護師のメ

ンタルヘルスを考えていく上で、ストレス・職務満足度・

エゴグラムから対象の特性を理解し、関わっていく事は有

用であると考えられる。

口演15-3

包括的暴力防止プログラムにおける振り返り

の実際

-振り返りを行った看護師の体験から-

キーワード:CVPPP 振り返り 暴力

○岩田 尚子1),澤田 敦1),片山 友理子1), 小久保 知由起1),大森 淳史1)

1) 東尾張病院

【はじめに】医療の現場では患者から看護師への暴力が存

在し、特に精神科に勤務する看護師は普段から暴力を経験

している場合が多い。粗暴行為を受ける事は心理的負担を

抱える事になり、暴力後の感情を適切に処理出来ない場合、

看護師としての自尊心を失うことも考えられる。そのため、

看護師が心理的負担を抱えたまま業務に再び従事しない

ように、暴力受傷後の心理的サポートとして振り返りを行

う事が重要とされている。しかし、具体的な振り返り方法

は個人の経験に任されているのが現状であり、実施方法を

明確にしたものはない。【目的】暴力受傷者に対しての振

り返りを実施した経験者の体験に焦点をあて、振り返りを

実際に行った者が意図している事を明確にする。【方法】

振り返りを行った事のある A 病院看護師 10 名に対しイン

タビュー調査を実施。振り返りを行った中で意識した事な

どについてエピソードを交えて話してもらった。データ分

析は振り返りの中で意図して行っていると思われる文節

を抽出し、それらをコード化し意味内容の類似性に基づき

カテゴリー化した。【倫理的配慮】A病院倫理委員会での審

査・承認を得た後に、研究参加者に文書と口頭で研究内容

及びプライバシーの保護や参加の自由意思などについて

説明し、文書の署名にて同意を得た。【結果】研究協力者

は、振り返りの際には自分の体験を元に<気遣いに基づく

アプローチ>を行っていた。また<心情を吐露する関わり

>にて意図的に陰性感情を表面化させ、心的負担の軽減を

図っていた。一方で、人によって暴力のとらえ方の違いや

相手との関係性での戸惑いが語られた。そのため、話しや

すい環境作りと共に管理職者への情報提供を行い、離職を

防ぐ為の<周囲への働きかけ>が語られた。【考察】研究

協力者は振り返りを実施する際に、自然な形で声掛けをし、

孤立させないように自己の体験に基づくアプローチを

行っていた。また、暴力を受けた恐怖感や怒りをため込ま

ない為に、感情を吐き出させる工夫をしていた。他、スタッ

フ間の関係性構築による振り返りのしやすさや、物理的な

距離を保つ事で生じるストレス軽減を考慮した周囲への

働きかけにより、働き続ける環境作りを意識していた。【結

論】振り返りを実施する際には、粗暴を受けたスタッフが

無理なく仕事に従事し、離職に繋がらないようにとの思い

を根底に持って、感情を吐き出させる関わりを行っていた。

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口演15-4

スタッフの意識統一で転倒事故を防止する取

り組み

キーワード:転倒 カンファレンス 情報共有

○荒井 岐枝1)

1) 福井県立すこやかシルバー病院

【はじめに】A 病院は認知症専門病院である。入院患者の

殆どが後期高齢者のため、入院時に転倒アセスメントシー

トを用いて転倒リスクを評価している。殆どの患者に危険

因子があり転倒を繰り返す患者も少なくない。要因として、

転倒の情報を全スタッフが共有しておらず、対策が周知で

きていないと考えた。そこで、カンファレンス(以下 CF

とする)を行い「転倒事故防止に関してのカンファンス用

紙」(以下 CF 用紙とする)を用いる事で全スタッフが転倒

情報を共有し、統一した対策を実施する事に繋がったので

報告する。【目的】転倒レポートを基に CF を実施し、情報

を共有し原因分析、対策を話し合い、CF 用紙を用いてその

内容をスタッフに周知する事で転倒事故の実態を明らか

にする。【方法】対象者看護師 10 名介護福祉士 7名期間平

成 27 年 8 月 1 日~平成 31 年 3 月 31 日方法①転落レポー

トを基に患者毎に「転倒事故防止に関しての CF 用紙」を

作成②CF 用紙を申送り時間に読み上げると共に、スタッフ

各々で意識的に確認する。確認後サインをする。③スタッ

フにアンケートを実施1)CF 用紙を用いることでその対策

を活かせているか2)転倒事故防止に関する意識が高まっ

たか④転倒件数を調査【倫理的配慮】所属施設の倫理審査

委員会相当の機関の承認を得た。対象者に研究参加・協力

は自由であり参加しない事による不利益は生じない事を

説明した。【結果】アンケートの結果、1)はできている

が 53%、時々できているが 47%、2)は常に思うが 71%、

時々思うが 29%であった。転倒レポート件数と入院延べ患

者数と転倒割合平成 27 年度 281 件 14,421 人 1.9%平成 28

年度 362 件 15,197 人 2.4%平成 29 年度 216 件 14,797 人

1.5%平成 30 年度 181 件 15,173 人 1.2%【考察】アンケー

ト結果より、CF 用紙が情報共有と意識統一に活かされた。

CF 後 CF 用紙に記載する事で個別の対策の見直しや再検討

ができスタッフ間で統一した対策に繋がったといえる。レ

ポート件数も減少している。認知症により危険予知・回避

が難しいが、CF 用紙が 4年間継続し使用されている事はス

タッフが情報の共有や意識統一が転倒事故に対して有意

義であると考える。【結論】CF で情報共有し、原因分析、

対策立案を行い CF用紙に記載する。それを用いて全スタッ

フが統一した認識を持ち対策を行う事で転倒防止に有効

である。

口演15-5

身体的暴力を受けた看護師が求める支援

キーワード:CVPPP 身体的暴力 支援

○多治見 早紀1),蜷川 久美子1),兒玉 善明1),小久保 知由起1)

1) 東尾張病院

【はじめに】包括的暴力防止プログラムは暴力への対応以

外に暴力を受けた人の支援の必要性も述べられている。身

体的暴力を受けた看護師はケガ以外に恐怖や自信喪失等

の苦痛を受ける。この苦痛からの回復には支援が必要であ

る。これまで「カンファレンスを開く」「信頼できる同僚

に話す」という支援の報告はあるが、実際に望まれている

具体的な支援の報告はない。【目的】身体的暴力を受けた

看護師が病棟内で求める支援を明らかにする。【方法】2018

年 11 月、A県の精神科単科病院の閉鎖病棟に勤務する看護

師 37 名を対象に、独自に作成した無記名のアンケート調

査を実施した。暴力経験の有無を選択し、身体的暴力遭遇

後に受けたかった、同期・先輩・後輩からの支援を自由記

載にて回答してもらった。自由記載部分はコード化し意味

内容の類似性に基づきサブカテゴリー、カテゴリーにまと

めた。【倫理的配慮】本研究は東尾張病院の倫理委員会の

承認を受けた。研究対象者に対し、目的、内容、方法、参

加の自由、不参加でも不利益が生じないこと、匿名性の保

持、アンケート提出をもって研究への同意とすることを紙

面にて説明した。【結果】アンケートは 35 名から得られた

(回収率 94.6%、有効回答率 81.1%)。身体的暴力を受けた

看護師(以下看護師とする)は 25 名(83.3%)であった。求

める支援について、同期には〔体験の言語化への支援〕〔冗

談を交えた話〕〔気分転換〕〔そっとしておく〕、先輩には

〔体験の言語化への支援〕〔冗談を交えた話〕〔暴力体験か

ら今後の対応への支援〕〔距離をとれる支援〕〔そっとして

おく〕、後輩には〔いたわりの声掛けと冗談を交えた話〕〔第

三者の介入〕〔そっとしておく〕を求めていた。【考察】同

期は看護師にとって心理的に近い存在であり、気軽に話や

気分転換のできる環境の提供を求めていた。先輩は看護師

より経験豊富な存在であり、暴力体験から学びを得られる

ような話を求めていた。後輩は共に働く仲間として、看護

師へいたわりの声掛けや対応を代わることを求めていた。

以上から、暴力に遭遇した看護師へ支援を行う際には、関

係に応じて支援方法を選択することが必要であると考え

られる。【結論】暴力を受けた看護師は、病棟内で、同期

には気分転換の出来る環境提供、先輩には学びを得られる

支援、後輩にはいたわりの声掛けや対応を代わることなど

を求めていた。

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第2日

口演16-1

院内認定看護師「認知症看護コース」の人材育

成プログラム報告

キーワード:院内認定看護師 認知症看護コース 育成

○山本 隆1),西川 順子1)

1) 福井赤十字病院

【はじめに】A 病院には院内認定看護師制度があるが、認

知症分野はなかった。認知症看護認定看護師と共に認知症

看護を推進していく看護師を育成する為、認知症看護コー

スを設けた。【目的】認知症看護の浸透の為に質の高い認

知症ケアの実践と指導的役割が出来る看護師を育成する。

【方法】1.「認知症看護コース」要綱を作成した。2.カ

リキュラムは、講義は認知症分野に特化した 14 専門基礎

科目 21 時間とし、実習は、認知症ケアチームラウンド見

学と院内デイケア見学参加で 8時間とした。評価は、講義

出席時間数を満たしており、かつ最終確認試験、実習レ

ポート、事例発表の 3つ全ての基準を満たしている者を認

定修了とした。3.各専門基礎科目終了後に、ミニテスト

を実施した。又、理解度・達成度を含めたアンケート調査

を実施した。【倫理的配慮】福井赤十字病院倫理審査委員

会による承認を得た。【結果】1.コースに参加を希望した

看護師 5 名が院内認定基準受講要件を満たし、開講した。

2.5名中 2名が基礎科目研修出席の時間数を満たすことが

出来なかった。しかし、実習と事例発表は 5名全員が実施

できた。最終確認試験は、講義の出席時間を満たした 3名

が受験し平均 90.6 点であった。実習レポートは平均 74 点、

事例発表は、平均 82.4 点であった。コース終了後、5名中

3名が「認知症看護コース」を修了した。3.専門基礎科目

ごとのアンケート調査では、全体の研修目標や理解度、達

成度は 90%以上であった。その他の意見として、「余裕が

ない」「業務と重なり大変」の声が聞かれた。【考察】専門

基礎科目ごとに確認ミニテストを実施したことが、知識や

技術の獲得に繋がり、3名がコースを修了出来たと考える。

講義は、月に 1回の頻度で実施したが、後半に講義が集中

した。その後、続けて見学実習、最終確認試験、事例発表

と短期間内に集中したことで、受講生の負担になっていた

と考える。今後の課題として、1.カリキュラム内容の再

検討 2.院内認定看護師育成の継続が挙げられる。【結論】

「認知症看護コース」を開講し、3 名の院内認定看護師を

育成した。

口演16-2

リフレクションが認知症看護の質に及ぼす影響

キーワード:リフレクション 認知症看護 看護の質

○藤井 悠水1),梅津 未喜1),大和 紗由梨1),竿本 優子1),松川 陽子1),清原 直美1), 溝口 愛子1)

1) 徳島赤十字病院

【はじめに】近年の高齢化に伴い認知症患者は増加傾向に

ある。しかし A病院 B病棟で認知症患者に関わる看護師は、

困難感や無力感を感じている現状がある。先行研究では、

リフレクションを実施することで自らの看護実践を前向

きにとらえ、看護の質の向上につながることが報告されて

いる。そこで、認知症高齢者に焦点を当てたリフレクショ

ンの前後に認知症看護の質評価(4因子 20 項目)を用いた

アンケートを実施し、その得点の差を明らかにしたいと考

えた。【目的】リフレクションが認知症看護の質に及ぼす

影響を明らかにする。【方法】対象:A病院 B病棟で勤務し

ている師長、研修看護師を除く看護師 26 名。期間:A病院

倫理審査委員会承認後から 1 か月間。場所:A 病院 B 病棟

ナースステーション。データ収集方法:全 6回のリフレク

ションを行った。リフレクション前後でアンケートを実施。

リフレクション前後のデータは、質評価指標の因子別にマ

ン・ホイットニーの U 検定を行った。有意水準は p<0.01

とした。【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得て行っ

た。認知症看護の質評価指標は、天木伸子氏の使用許可を

得た。【結果】アンケートは、前後ともに17名(回収率65.3%)

から回収でき、有効回答率は 65.3%であった。認知症看護

の質評価の平均値は、リフレクション前は 3.67 点、リフ

レクション後は 3.55 点で、前後の有意差はなかった。因

子別の平均値は、第 1因子「認知機能・BPSD のアセスメン

ト」、第 3因子「順調な治療過程を支える」、第 2因子「認

知症症状や能力に配慮した調整」、第 4 因子「チームアプ

ローチと介護者支援」の順に高値であり、リフレクション

前後で有意差はなかった。加えて、いずれの因子もリフレ

クション後の値が低下していた。【考察】本研究ではリフ

レクションにおける有意差はなかった。先行研究では、教

育支援のツールとして定期的に複数回リフレクションを

行うことが効果的であると報告されていたが、本研究では

実施期間が短期であったことが影響したと考えられる。し

かし、アンケートの自由記載より前向きな意見が聞かれた

ことから、今後も継続することで認知症看護の質を高めら

れると考える。【結論】アンケート結果より、リフレクショ

ン前後で全体の平均値、因子別平均値の有意差はなかった。

今後はリフレクションを定期的に実施し、認知症看護の質

を向上させることが課題である。

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口演16-3

興奮状態を呈した認知症患者へのアプローチ

-危機の5段階に応じた看護実践の検討-

キーワード:興奮 認知症 身体拘束

○滝川 えい子1),黒田 久美世1)

1) 鳥取大学附属病院

【はじめに】認知症患者は、時折ケアの拒否や暴言暴力、

興奮状態となり易く、行動が予測困難である。今回、事例

を通し高齢で興奮状態にある認知症患者の行動に合わせ

た看護実践を報告する。【目的】興奮状態における認知症

患者の看護介入を振り返り考察した。【方法】事例研究1.

研究期間:平成X年 y 月~X 年 y 月+2 月2.対象:90 代

女性、アルツハイマー型認知症、脳梗塞、難聴経過:グルー

プホーム入所し、暴言暴力あり。自己主張が強く短気。3.

データ収集・分析方法:診療録、看護記録にて、鈴木らの

「危機の 5段階に分け、①看護の焦点②患者の状態③観察

のポイント④非言語的介入⑤言語的介入の 5項目」につい

て質的データを収集、整理し考察した。【倫理的配慮】患

者家族に研究目的、方法、参加は自由意思である、個人情

報保護、研究の協力の有無に不利益が生じない事を口頭と

書面にて説明し同意を得た。所属施設の倫理審査委員会相

当の機関にて承認を得た。【結果】1)危機のない段階:夫

と二人暮らし。2)危機のサインを見せはじめる段階:グ

ループホームで職員に暴力 3)危機のサインが大きくなり

スタッフへの抵抗が強くなる段階:①興奮時の対応②「は

さみもってこい」と興奮③興奮の変化、拘束による合併症

④患者の興奮が強い時は距離をおく⑤短い会話 4)コン

ロールが失われ自他への危機性が高くなる段階:①興奮を

助長させないように対処②看護師に「殺される」と表出。

拘束実施時興奮③患者の落ち着くタイミング④拘束は素

早く実施、興奮時は数名で対応⑤拘束の必要性を説 5)セ

ルフコントロールを取り戻す段階:①筆談しコミュニケー

ションをはかる②「歩きたい」と発言③精神症状、言動④

歩行訓練、塗り絵粘土⑤患者のニーズを聞く【考察】入院

直後は、身体拘束で自由を奪った事でさらに被害的妄想的

な発言が増え興奮を助長させたため、患者と医療者の安全

を確保した。次に患者の落ち着くタイミングを把握し、拘

束を開放し自分でできる事を増やし、現実の状況認識がで

きた。積極的に患者の思いを確認し、趣味余暇を一緒に行

う事で思考を取り戻し、信頼関係を構築できたと考える。

認知症患者の感情の変化を把握し自律した女性に焦点を

あて介入することで、早期に身体拘束を解除し ADL の低下

なく退院できたと考える。【結論】・危機の段階に応じて情

報収集し効果的な看護介入を行い、認知症患者の残された

機能を活かす事が重要である。

口演16-4

急性期病院に入院する認知症者、認知症疑い者

に行う院内デイケアの有効性

キーワード:院内デイケア 認知症 急性期

○藤本 真央1),長谷川 薫1),青山 しのぶ1),猪之詰 美香1)

1) 福井県済生会病院

【はじめに】急性期病院で行う院内デイケアは、認知症症

状の軽減や、治療優先となる患者に減少しがちな笑顔の増

加、他者を気遣える機会となっているが、それら知見は見

当たらない。【目的】急性期病院に入院中の認知症者(含

疑い)に行う院内デイケアが、認知症症状、外見の保持、

あいさつ、意思表示、コミュニケーションの改善に有効か

を検証する。【方法】期間:X年 8~12 月末、対象:A病院

に入院し、院内デイケアに参加した認知症者(含疑い)40

名(進行性疾患、精神疾患、視覚・聴覚障害、失語症のあ

る患者は除外)。調査内容:年齢、性別、認知症の種類、

参加回数、内田の「認知症ケアのアウトカム評価票」のう

ち急性期病院で評価可能な 7項目(認知症症状・精神的安

定の 3項目:笑顔、周辺症状-精神症状、周辺症状-行動

障害。その人らしい生き方の 4項目:外見の保持、あいさ

つ、意思表示、コミュニケーション)。介入:A病院内 1 室

で、参加者 5~7名/回に対し、看護師、介護福祉士、音楽

療法士、ボランティアの 4~5 名が、認知・刺激・感情の

アプローチ(回想法、レクリエーション、音楽療法ら)を

平日 14~16 時に繰り返し行った。評価:項目毎に病棟看

護師が介入前後に実施した。分析:項目毎に得点化し、介

入前後比較は Wilcoxon の符号付き順位検定、参加回数と

項目毎の得点変化率は Spearman の順位相関係数で算出し、

データ解析は IBM SPSS ver25.0 for Windows を用いた。【倫

理的配慮】本研究は福井県済生会病院臨床研究審査委員会

の承認を得た。【結果】対象者は、認知症 30 名(AD15 名、

DLB1 名、血管性 2名、その他 12 名)、認知症疑い 10 名で、

年齢は 73~99(87.1±6.7)歳、性別は男性 16 名、女性

24 名、参加回数は 2~10(6.8±3.1)回だった。調査項目

全てにおいて介入後得点が有意に高かった(p<0.05)。参

加回数と項目毎の得点変化率に相関はなかった。【考察】

全項目で介入後得点が有意に高かったことから、これらの

認知症ケアとして院内デイケアの介入は有効と考えられ

る。【結論】急性期病院に入院中の認知症者(含疑い)に

行う院内デイケアは、笑顔、周辺症状-精神症状、周辺症

状-行動障害、外見の保持、あいさつ、意思表示、コミュ

ニケーションの改善に有効であることが示唆された。

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第2日

口演16-5

身体拘束時の認知症患者への看護実践

-患者の意思を尊重した介入を通して-

キーワード:身体拘束 認知症患者 拒食

○川部 陽子1),滝川 えい子1),黒田 久美世1)

1) 鳥取大学附属病院

【はじめに】拒食拒否の強い認知症患者には生命の維持の

ために身体拘束を行うこと事がある。南は、「認知症者に

対する行動制限、特に身体拘束は例え短期間でもこれらの

精神機能、身体機能に悪影響を及ぼしかねない。行動制限

を見直し、できる限り行動制限を行わない看護提供をする

ことで、様々な変化が見えてくる」と述べている。今回、

身体拘束を最小限にし、患者の意思を尊重し意欲や食欲の

回復に繋げられたので報告する。【目的】拒食拒否の強い

認知症患者の身体拘束への看護介入を振り返り考察した。

【方法】事例研究1.研究期間:平成X年 y 月~X 年z月

2.対象:A氏 80 代男性アルツハイマー型認知症。長男

夫婦と同居。農業。性格は頑固。3.データ分析方法:診

療記録、看護記録をもとに栄養摂取状況に応じた看護介入

や患者言動を拘束の段階毎に整理した。【倫理的配慮】患

者や家族に、研究主旨、目的、匿名と守秘の保障、結果を

学会や論文で発表する可能性のある事を自由意思による

承諾を得て口頭と文書で説明し了解を得た。また、看護部

倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】1)入院 4日~

輸液時のみ両上肢体幹拘束:興奮があり必要最低限でケア

実施。拒食あり、無言。2)入院 17 日~経管栄養注入時

は両上肢拘束、夜間体幹拘束:経管栄養注入時は看護師が

見守りをし拘束せず。自己抜去を繰り返す。易怒性が減少。

3)入院 40 日~経管栄養注入時両上肢拘束:注入中は看

護師が見守る。希望時、間食摂取。農業の話や帰宅願望の

表出があり。4)入院 47 日~拘束終日開放:希望する食

べ物を売店で購入し提供するが、摂取にムラがあるため看

護師が見守りし経管栄養注入と輸液を繰り返す。徐々に食

事摂取量安定。【考察】看護師が見守りをする事で拘束時

間が減少できた。結果、患者と過ごす時間も増え、希望を

すぐに叶える事が看護師との信頼関係に繋がった。また、

共有する時間を増やし傾聴する事で居心地のよい時間と

なり、看護師に対しての敵対心の感情が緩和できたと考え

る。定時の病院食の配膳のタイミングのみならず、食べた

い時に食べたい物を提供する事で、患者自身が食事や生活

の楽しみや満足感が得られるようになった事で意欲の向

上が図れたと考える。【結論】身体拘束時の認知症患者の

ために何ができるか常に模索し、患者の希望にそって援助

する事が患者の意欲回復に繋がった。

示説17-1

抑うつ傾向者の語りに表れる情動過程の研究

-ナラティヴ・アプローチによる検討-

キーワード:抑うつ 情動 ナラティヴ

○三浦 奈緒子1)

1) メンタルサポート福井

【はじめに】わが国では気分障害,不安障害に相当する心

理的苦痛を感じている者の割合を減少させることを目標

としているが減少しておらず,気分障害などの患者数が増

加しているのが現状である.抑うつ気分はうつ病の中核症

状であり,抑うつ気分を予防することはうつ病予防におい

ても重要である.ネガティブ思考の変化により抑うつ気分

を軽減していくアプローチも多いが,Greenberg は感情ス

キーマの認知,動機づけ,行動の構成要素を変えることの

必要性を説いた.【目的】本研究ではナラティヴ・アプロー

チを活用し,抑うつ傾向者の語りに表れる情動と変化の過

程を検証することを目的とした.また語ることが抑うつ気

分の軽減につながること期待した.【方法】A相談室に自

発的に来談した抑うつ傾向者 4 名を対象とし,ナラティ

ヴ・アプローチを用いた半構造化面接を実施した.面接記

録に対して Lazarus の抑うつナラティヴ理論を援用し,情

動や変化の過程を質的帰納的に分析した.【倫理的配慮】

本研究は放送大学研究倫理委員会の承認を得た.対象者に

は研究の趣旨と方法,自由意思の尊重,個人情報の保護,

研究参加の拒否や中断,撤回ができ,不利益を被ることは

ないこと,本研究における相談は無料であること,成果発

表時の公開方法を文書で説明し承諾を得た.【結果】抑う

つを構成する情動は,不安,怒り,罪悪感,恥であった.

抑うつナラティヴには怒りの情動が共通して抽出された.

不安,罪悪感,恥はいずれか,あるいは複数が共在し,こ

れらの情動は怒りを抑制していた.さらに 4つの情動とと

もに抑うつナラティヴを構成する個々の独特な観念がみ

られた.そして,抑うつナラティヴを語っていく中で抑う

つを構成する情動や観念が変化し,新たな建設的なナラ

ティヴが語られた.【考察】抽出された4つの情動はLazarus

の抑うつナラティヴ理論と同様であった.さらに、怒りが

共通してみられたが,その他の3つの情動により怒りが抑

制されるナラティヴが存在していた.不安,罪悪感,恥を

語っていくことで怒りの抑制が解け,怒りを語っていくこ

とで新たな建設的なナラティヴへと変化し,抑うつ気分が

軽減したと考えられる.【結論】怒り,不安,罪悪感,恥

の情動が手がかりとなり,抑うつ傾向に早期に気づき早期

介入につながること,抑うつナラティヴを語ることで抑う

つによる精神的苦痛の軽減つながることが示唆された.

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説17-2

精神科医療看護職へのアルコール健康障害への教育の関連因子について -A県の精神科医療施設看護職への調査-

キーワード:アルコール健康障害 アルコール依存症 従

事者教育

○小林 由美子1),赤平 美津子1),遠藤 仁1),小泉 範高1),山家 健二1),三條 克己1), 工藤 薫2),八木 淳子1),星 克仁1), 中山 秀紀3),大塚 耕太郎1) 1) 岩手医科大学 2) 医療法人清照会湊病院

3) 国立病院機構久里浜医療センター

【はじめに】精神科看護師対象のアルコール問題に関する

支援の実態はまだ明らかにされていない。【目的】本研究

では、アルコール健康障害の支援の実態を調査し、専門教

育と関連する因子を明らかにする。【方法】平成 30 年 9 月

~10 月に 9精神科医療施設の看護職 685 名に説明文書、自

記式調査票を配布し、566 名から回答を得た(回収率

82.6%)。調査項目は、基本属性、アルコールに対する考

え 27 項目、知識 44 項目、技能・実務経験 20 項目である。

性別、年齢、看護師経験年数、精神科経験年数、アルコー

ル研修参加の項目に関する未回答者を除外した 493 名

(87.1%)を解析対象とし、研修受講群(188 名)と未受

講群(305 名)の 2 群に区分し、各調査項目について比較

検討を行った。さらに、受講群との関連因子を明らかにす

る目的で、受講の有無を従属変数、有意差を認めた調査項

目を共変数として多重ロジスティック解析を実施し、有意

な変数のオッズ比(以下OR)を算出した。検定の有意水

準は5%とした。【倫理的配慮】対象者に書面にて研究目

的、方法、期待される結果と研究協力に関する利益、不利

益を伝えて同意を得て実施し、調査は無記名で行った。本

研究は、岩手医科大学医学部倫理委員会の承認を得ており

(承認番号:MH2018-068)、対象者からの発表に関する

自由意思による承諾を得て、不利益が生じないよう研究を

実施した。【結果】二群間の比較では、男性、年齢、看護

師経験年数、精神科経験年数いずれも受講群で高かった。

また、アルコールが好き、依存症患者への精神科看護師の

偏見の認知、動機付け面接、認知行動療法、SMARPP、

患者ケアへの自信、家族ケアへの自信、自助グループの認

知、自助グループへの紹介、ミーティングの参加が有意に

高かった。多変量解析の結果では受講群との関連因子とし

て精神科経験年数(OR=1.033)、依存症は病気である(O

R=0.598)、回復するために家族教室は有効(OR=2.020)、

自助グループへの参加(OR=2.460)が抽出された。【考

察】経験年数があるものが研修参加しており、受講した看

護師が中心となり、入院中の具体的な患者教育や退院後の

自助グループへの繋ぎまで、継続的な支援を提供している

ことが想定された。【結論】看護職へのアルコール関連の

教育は臨床知識の向上と実践を促していると考えられた。

示説17-3

カンフォータブル・ケアで変わる認知症の人び

との心と私たちの心

-職員の抱く「対応の困難さ」を軽減させる取

り組み-

キーワード:カンフォータブル・ケア 認知症の人びと

BPSD 対応の困難

○高見 実佐1),加藤 充恵1)

1) IMS グループ江田記念病院

Ⅰ.はじめに認知症者は病院や施設への入院、入所という

環境の変化に適応できず混乱が生じやすく、不穏や怒り、

落ち着きのなさなどの BPSD が出現しやすくなる。認知症

者の看護の場面では行動や言動に振り回され、どのように

対応したらよいか看護の困難さを抱いている。今回カン

フォータブルケア(以下 CC とす)というツールを用いて、

日頃から対応に困難さを抱いている患者に対し CC を実践

し、職員の抱く「対応の困難さ」が軽減したことを報告す

る。Ⅱ.研究目的 CC を用い BPSD 緩和を図ることで職員が

抱く「対応の困難さ」の軽減に繋げる。Ⅲ.研究方法1.

対象:看護師 21 名、介護福祉士・ナースアシスタント 7

名対象2.期間:平成 30 年 10 月~12 月3.方法:単純集

計アンケート方式Ⅳ.倫理的配慮病院倫理委員会で承諾を

得た。目的と方法、自由記載、中断の保証、匿名を確保、

不利益は生じない事、データ保管に細心の注意を図ること

を説明し同意を得たⅤ.研究結果対象職員 28 名中 24 名が

回答。アンケート提出率は 85.7%であった。CC 実践前と実

践後での気持ちの変化が生じたでは 86%、なかったが 14%

という結果だった。自由記載、患者へ CC で関わることで、

職員自身も気持ちを整理して関わる事で困難さが軽減し

た。という意見が多かった。Ⅵ.考察 CC を実践する以前

は、認知症者のそばでゆっくり落ち着いて関わりたいが、

多忙の中 BPSD の対応の難しさから看護に対する自信がな

くなるといった意見があった。今回 CC を実施し看護師の

思いを振り返った。患者に寄り添いたいと思いながら、多

忙な業務や、著しい BPSD に対して困難さを感じていたが、

CC を意識して関わることで多くの看護師が、自分の感情を

整理し関わる事ができ、困難さが軽減した。CC は BPSD 緩

和を図るための様々なケア介入のなかの一つの手法であ

る。理解し、日々継続する為に意識して関わることが患者

の変化だけでなく看護の変化に繋がった。関わりを日々振

り返えられるためにも CC は効果があった。日々否定的な

意見が多いが、困難な思いにならないよう、ケアの効果を

肯定的な視点でフィードバックできるようにすることで、

職員全体の意欲の向上にも繋がる。Ⅶ.結論認知症者に寄

り添い対話するケアの体制づくりが必要であり、ケアの効

果を肯定的な視点でみて病棟全体にフィードバックする

ことで職員の意欲向上に繋がることが分かった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

示説17-4

精神科急性期病棟における精神科特有の看護

技術

-他科での看護経験との比較-

キーワード:精神科急性期病棟 精神科特有の看護技術

他科との比較

○村田 智成1),中島 正喜1),牧田 和恵1), 河原 愛1),石塚 匡晴1),西谷 眞澄1), 米澤 洋美2)

1) 福井大学医学部附属病院 2) 福井大学

【はじめに】精神科急性期病棟である A 大学附属病院 B 病

棟は、精神科看護経験年数 5年未満の看護師に精神科病棟

規則や精神症状によって発生したオカレンスが多かった。

精神科特有の看護技術を経験年数の浅い看護師にも伝承

していく必要がある。【目的】精神科経験年数の浅い看護

師へ伝承していく為に、精神科急性期病棟における精神科

特有の看護技術を明らかにする。【方法】精神科急性期病

棟を「精神保健指定医が 2 名以上、13 対 1看護体制、かつ

専従の精神保健福祉士ないし心理技術者が1人以上配置

している病棟」と定義した。他科の経験がある精神科看護

経験年数 5年以上の看護師 6名に対してインタビューガイ

ドを用いた半構造化面接を行い「精神科特有の看護技術だ

と思ったこと」について逐語録におこした。精神科特有の

看護技術を抽出しコード化し、類似性・相違性からカテゴ

リー化した。なお、カテゴリーを[]で表記した。【倫理的

配慮】所属施設の倫理審査委員会の承認を受けて実施した。

対象者には研究目的、方法の他、研究参加の自由、個人情

報の保護、成果発表等を、口頭と文書を用いて説明し文書

で同意を得た。【結果】213 のコードが抽出され、[精神科

患者の特徴を理解する][精神科における危機管理能

力][倫理を考慮した対応][多面的に情報収集][幻覚妄想

に対応する技術][うつ状態や不安焦燥感に対応する技

術][患者の内面を引き出す技術][精神科患者の起こす問

題行動に対応する技術][他の疾患を同時に抱えた患者へ

のケア][危機回避するための技術][精神科技術の習得方

法][退院に向けた患者家族支援のための技術]の 12 のカテ

ゴリーに分類された。【考察】看護師の予想を超えて、患

者が自傷や他害の行為に及ぶ恐れがあるなど、精神科急性

期病棟には、まず[精神科患者の特徴を理解する]が抽出さ

れた。また、精神科患者への看護経験と知識を擦り合わせ

ながら自分の技術にしていくなど、[精神科技術の習得方

法]には他科にはない、特有の看護技術が求められた。そ

れらは、経験の積み重ねから、自ら意味づけをして、独自

の考えや対処技術を獲得していた。【結論】他科での看護

経験と比較して精神科急性期病棟には精神科特有の看護

技術がみられた。それらの技術は、自らが経験を積む中で

意味づけをし、対処技術を獲得していた。そのため、経験

から対処技術獲得までの一連を分断せず伝承する方策が

望まれる。

示説17-5

MSE勉強会におけるA病棟看護師の受け止め方

と活用方法への今後の課題

キーワード:精神科看護 MSE 勉強会 MSE 活用

○後藤 のぞみ1),永杉 純子1),重森 千種1),八木 美智代1)

1) 医療法人厚生会福井厚生病院

【はじめに】A 病棟では訴えを要約した記録や看護師の主

観的な記録が多く、精神症状や精神状態のポイントがわか

りにくいと感じていた。患者の問題点に対し共通理解し、

より専門的な視点から患者に関わって行けるよう 2017 年

にメンタルステータスイグザミネーション(以後 MSE)を

取り入れ勉強会を行い、精神機能一覧表と医学用語集 2 つ

を作成した。その後、それらを活用した記録やミーティン

グも行なっていたが、次第に活用されない状況になった。

そこで、復習をする為再度勉強会を行ない、取り組んだ所

今後の課題を見い出せたので報告する。【目的】MSE に対し

て A病棟看護師がどのように受け止め、どう活用できてい

るか把握し、今後の活用に向けた課題を抽出する。【方法】

期間:平成 30 年 5月~同年 10 月、方法:独自質問紙作成

し勉強会前と勉強会後 1カ月以内に調査を行なった。得ら

れたデータから選択式質問は単純計算を行い、自由記述は

意見を抽出した。対象者:A 病棟看護師 14 名(研究者は除

く)【倫理的配慮】本研究は所属施設の倫理委員会の承認

を得て実施した。【結果】質問紙の回答率は 100%であった。

勉強会前後で比較すると「アセスメントに医学用語を用い

ているか」「治療や看護に活かせる」「当該患者に必要であ

る」は、はいの回答が増加した。しかし「患者の状態を表

現したり把握しやすい」「専門的医学用語に置き換えやす

い」は、はいの回答が減少した。【考察】勉強会後は医学

用語集を活用している姿が増え MSE の必要性を理解できた

ようだった。しかし、患者状態の表現や把握のし辛さ、医

学用語に置き換えにくい状況が見られた。この事より MSE

の理解が不十分なまま、A 病棟の患者状態に活用したこと

で、判断に迷いがあり、継続した活用に繋げる事が出来な

かった。当初目指していた患者の問題点に対して関わって

行けるような MSE の活用までには到達できなかった現状が

分かった。A 病棟の患者に対して MSE の活用が適正である

か見直す必要も考えられるが、スタッフは MSE を繰り返し

勉強し活用する必要性を感じており、MSE 勉強会の方法や

活用しやすい医学用語集の再検討などの課題が示唆され

た。【結論】①A病棟の患者層に合わせた医学用語集や勉強

会の方法を見直す。②課題解決のために、まず選定した患

者に対して MSE を活用する。③活用方法の振り返りを定期

的に行ない維持できるよう努める。

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示説18-1

慢性期精神疾患患者に対して抱く陰性感情へ

の適切な対処に影響する熟練看護師の経験

キーワード:陰性感情 対処 慢性期 精神科 熟練看護師

○亀井 彩香1)

1) 福井県立病院

【はじめに】B 病棟は入院患者の 8 割が入院期間 3 年以上

の慢性期の長期入院患者である。看護師は患者の妄想や依

存の対象となる場合があり、患者に対して陰性感情を抱き

やすい。そのような中でも精神科熟練看護師(以下、熟練

看護師)は、余裕を持って患者と向き合っていると感じる。

よって、本研究では慢性期精神疾患患者のケアを担う熟練

看護師が患者に対する陰性感情と適切に向き合い、対処で

きるようになった背景にどのような経験があったのかに

ついて明らかにしたいと考えた。【目的】慢性期精神疾患

患者のケアを担う上で生じる陰性感情に対して適切な対

処を行うための糧となった熟練看護師の経験について明

らかにすること。【方法】精神科経験年数 10 年以上且つ慢

性期精神科病棟に勤務経験がある看護師 5名を対象に、半

構造的面接を実施した。得られたデータを逐語録に起こし、

陰性感情の対処方法習得に至った経験について語られて

いる部分を抜き出し、データの類似性に注目しながら段階

的にカテゴリー化した。【倫理的配慮】本研究は福井県立

病院倫理委員会の承諾を得て実施した。尚、本研究に関し

て、開示すべき利益相反関連事項はない。【結果】対象者

の精神科経験年数の平均は 24.8 年であった。熟練看護師

の陰性感情への対処方法の習得に至った経験として 16 の

コードが抽出され、そこから 8つのサブカテゴリーに分類

され、最終的に「周囲への相談」、「場面の振り返り」、「精

神看護の専門性の確立」の 3つのカテゴリーに纏められた。

【考察】熟練看護師は患者に陰性感情を抱いた際、先輩に

相談して支援を受けたり、再構成を用いて場面の振り返り

を行ったりした経験等を糧に困難な状況を乗り越えよう

としていた。また、熟練看護師は、これまでの経験を頼り

に患者の要求を正確に把握し、ケア困難な状況に陥る以前

に予防的な介入を行えることを実感できていた。さらに、

熟練看護師は、自身に惹起される陰性感情に患者の病態水

準が反映される場合があることも意識し、患者理解につな

げることで適切に対処していると考えた。【結論】陰性感

情への適切な対処に影響する熟練看護師の経験として、

「周囲への相談」、「場面の振り返り」「精神看護の専門性

の確立」の 3 つのカテゴリーが抽出された。

示説18-2

気分障害患者の服薬自己管理に対する看護師

の認識

キーワード:気分障害 服薬自己管理 看護師の認識 KJ法

○的場 由衣1),佐々木 徳子1),金村 延子1),金田 由紀子2),雑賀 倫子2),福谷 洋子1), 細川 祥恵3)

1) 鳥取大学医学部附属病院 2) 鳥取大学医学部保健学科

3) 社会福祉法人真誠会介護老人福祉施設ピースポート

【はじめに】A 病院 B 病棟は気分障害患者が最も多く、退

院後の服薬中断による再入院も多い。そのような現状に対

して看護師は服薬自己管理に様々な認識を持ち、介入して

いるのではないかと考えた。【目的】気分障害患者の自己

管理に対する看護師の認識や介入の実際を明らかにし支

援強化の糸口とする。【方法】B 病棟看護師 17 名を対象と

し無記名自記式質問紙(①自己管理の関わりについてのイ

メージ②自己管理の関わりにおける気がかりや悩み③自

己管理の関わりにおいて大切にしていること)を配布し回

収した。データは KJ 法を行い統合し質的帰納的に検討し

た。また、質的研究に精通した研究者からスーパーバイズ

を受けた。【倫理的配慮】看護会での口頭説明に加え、説

明文書を配布し質問紙の提出をもち同意とした。なお、鳥

取大学医学部倫理審査会の承認を得て実施した。【結果】

回答者は 14 名(82.3%)であり、看護師経験年数 4~37

年、精神科経験月年数 10 ヵ月~18 年であった。KJ 法の結

果、第 4段階目表札とシンボルマークは 7つとなり、認識

としての島は『服薬変更の多さ』『服薬の困難さ』『信頼関

係』『社会生活における困難さ』『看護師の不全感』の 5つ、

介入としての島は『主体的な服薬自己管理に向けて』『確

実な服薬継続を目指して』の 2 つとなった。【考察】特に

気分障害患者は「躁は調子の良い状態」と捉えやすく、服

薬継続の認識が乏しい。躁とうつと病態が違い服薬変更の

ある中で、患者は継続の必要性を頭で分かっていても気分

の波により拒薬をし、自主的に準備が行えず、看護師は服

薬の困難さを感じていた。そのため患者や家族と機会を捉

えて服薬に対する本音を聞き出せるよう関係を構築し、服

薬して効果があった体験を振り返り、やる気を引き出す声

かけをするなど主体的な自己管理に向けて介入していた。

また、症状軽快時には早期に自己管理を開始し、副作用の

有無や飲み心地を確認するなど確実な服薬継続を目指し

ていた。しかし、退院後は就労による服薬時間の変更もあ

り、看護師は自己管理方法や説明が本当にこれで良かった

か介入に自信が持てず不全感を抱いていた。【結論】再入

院の多い患者を目の当たりし、現行の介入でよいか看護師

は不全感を抱いていた。今後、気分障害患者の自己管理に

対して退院後の生活を見据えた介入が行えるようアセス

メントシートなどを作成し支援強化に繋げていく必要性

が示唆された。

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第2日

示説18-3

精神訪問看護に対する看護師の不安と必要な

支援

-精神科病棟に勤務経験がない一般訪問看護

師へ焦点を当てて-

キーワード:精神訪問看護 一般訪問看護師 不安

○広浜 加奈子1),髙木 真代1),味見 有美1),小川 依子1)

1) 仁愛訪問看護センター

【はじめに】近年、国の政策により精神疾患患者の訪問支

援を構築する必要が高まっているが、精神科病棟に勤務経

験したことがない看護師が大多数を占める Aステーション

では、精神訪問看護に対する不安の声が大きかった。【目

的】精神科病棟勤務の経験が少ない看護師の不安と必要な

支援を明らかにする。【方法】Aステーション看護師 5名に

半構造化面接法でインタビューを実施しデータを逐語録

に起こした。データの抽象度をあげコード化、カテゴリー

化し分析した。【倫理的配慮】所属施設の倫理審査委員会

の承認を得て実施した。【結果】面接の結果、不安につい

ては【利用者に行う支援に対しての不安】【訪問看護制度

や支援体制の不備による不安】【精神科に対する特別な思

い】の 3つのカテゴリーに分類することができた。実際に

支援してほしいこととして「専門職から精神疾患患者への

対応についての体験談を聞く」「当事業所内で精神訪問看

護を行う場に同行する」「事例検討会の開催」「退院前に病

棟の看護師がどのように対応を行なっていたかを聞く」と

いうことが挙げられた。なお、本研究の目的ではないが、

訪問看護師経験年数が長い看護師の中には、精神訪問看護

の経験は少なくても利用者の攻撃的な行動について症状

の一つとしてみることができるという思いも共通で聞か

れた。【考察】不安な思いの原因の一つとして、単独訪問

という訪問看護の特徴や学生時代のマイナスイメージが

残っていることが挙げられるだろう。こうした不安を軽減

する為には、体験談を聞いたり、事例検討会という場を設

けることで精神看護に対するイメージが変わること、その

上で、自分がどの様に対応すれば良いのか考えるプロセス

が必要ではないだろうか。また、利用者の攻撃的な行動を

症状の一つとしてとらえることができるのは、繰り返し体

験し経験が豊富となったことにより彼らの行為の意味内

容を汲み取りその人らしい生活を支えるという視点でみ

ることができる経験の重層性が影響しているのだろう。

【結論】精神訪問看護についての不安が明らかになり支援

してほしいことは有効かつ可能であることも検討できた。

今後は実際にサポートを行い不安の軽減に努めることが

重要である。

示説18-4

行動制限を行うことによる医療者の心理的負担

-行動制限から生まれるしんどさとは何か-

キーワード:行動制限 経験年数 医療者の心理的負担

○三井 健治1),萩原 美奈1),富安 哲也1)

1) 亀田総合病院

【はじめに】人の行動制限を行うことは倫理的に問題のあ

ることではあるが、精神科医療者として患者の病状による

社会的不利益を最小限にするために、急性期の状態で患者

にとって辛い行動制限を行うことを肯定しなければなら

ない時もある。河内らは「患者に対する感情が判断に影響

する可能性がある」と述べている。実際の現場においては

単にジレンマだけで捉えられない感情が生じていると思

われる。行動制限を行うことで生じる感情に精神科医療者

は辛労しているのではないかと考えられた。【目的】行動

制限を行うことの<しんどさ>の構造を把握し、経験年数

による違いを明らかにする。【方法】精神科医師・看護師・

心理士・精神保健福祉士を対象に行動制限最小化委員会研

修で「行動制限を行うときの心理的な苦痛~行動制限の嫌

なこと、しんどいことについて考える~」というテーマか

らでた意見を大分類・中分類・小分類に分類し経験年数別

に比較を行い質的に分析した。【倫理的配慮】対象者へ研

究の目的・方法・プライバシーの保護について口頭で説明

を行い、対象者の不利益が生じないように配慮し、研究施

設ならびに発表に関する自由意思による承諾を得た。また

A病院臨床研究倫理委員会の承認を受け実施した。【結果】

中分類において、どの経験年数においても<感情的しんど

さ>は20%前後であった。<治療的な悪影響へのしんどさ>

は新人とベテランが多く、中堅が少なくなった。<チーム

であることのしんどさ>は新人が少なく中堅、ベテランと

徐々に多くなった。<業務負担が増えるしんどさ>は新

人・ベテランと順に多く、中堅は極端に少なくなった。<共

感するしんどさ>は新人・ベテラン共に多くなった。<患

者の言動>は中堅に多く、次いで新人、ベテランになると

極端に少なくなった。【考察】行動制限を行うことは経験

年数に関係なく<感情的しんどさ>を伴うと考えられる。

一方で経験年数により明らかな特徴の違いが現れると考

えられる。新人は患者の苦痛を直接的に受け止め、中堅は

患者の言動に揺れつつもチームを意識し、ベテランは患者

の状態、患者の権利、チームとしての意見を総合的・客観

的に捉え、行動制限に関わる意思決定を決断する役割を意

識していると考えられる。【結論】行動制限には<感情的

しんどさ>が伴いやすく、経験年数により<しんどい>こ

との特徴の違いがあり、行動制限することでの<しんどい>

の構造を把握できた。

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示説18-5

総合病院精神科での身体疾患治療に関わる看

護師が抱える倫理的ジレンマ

キーワード:総合病院精神科 身体疾患 精神科看護師 倫

理的ジレンマ

○石塚 匡晴1),田中 浩二2),深沢 裕子2), 長山 豊2)

1) 福井大学医学部附属病院 2) 金沢医科大学

【はじめに】現代の精神科医療では、精神科病棟で身体疾

患に対応する機会が増えており、対応するためのシステム

整備が図られているが、十分に身体疾患への対応ができな

いと感じている精神科病棟も存在している現状の報告が

散見される。また、高齢化に伴い、認知症を含む精神疾患

患者の身体疾患治療に対する医療ニーズは増大し、その中

で受け入れる総合病院精神科と勤務する看護師の必要性

は高まると予測される。しかし、総合病院精神科では重篤

な精神症状と高度医療を要する身体疾患への治療を担っ

ており、その現状に置かれる精神科看護師には、高度で総

合的な看護技術が求められ、身体的に切迫した状態の患者

を受け入れる緊張感の高い環境の中で様々な思いや葛藤

を抱いていると考えられる。【目的】総合病院精神科での

身体疾患治療に関わる看護師が抱く倫理的ジレンマを明

らかにする。【方法】総合病院精神科看護師に対して精神

科病棟での重症身体疾患治療に携わったケースから感じ

た思いや困難や葛藤についてインタビューを行い、質的帰

納的分析を行った。【倫理的配慮】金沢医科大学、A病院の

倫理審査委員会の承認を得た上で、参加者に対し、研究に

より起こりうる危険性とその対処、自由意思に基づく参加

でいつでも同意を撤回できること、個人情報の保護、研究

成果の公表について文書を用いて説明し、同意を得た。【結

果】計 8 名の参加者から得られたデータを分析し、105 個

のコード、13 個のサブカテゴリー、5個のカテゴリーが抽

出された。5つのカテゴリーは、患者状態、看護ケア、患

者の権利、医師との連携、看護師の専門性の要素を含んで

いた。【考察】得られた5個のカテゴリーから「精神疾患

患者の身体疾患治療を行う環境に関する倫理的問題」、「精

神科病棟で身体疾患治療を行う患者や総合病院精神科で

精神科的治療を受ける患者の権利保障に関する倫理的な

問題」、「精神科看護師の身体疾患治療を行う看護師として

の専門性に関する倫理的問題」が精神科看護師の倫理的ジ

レンマであると考えられた。それらの解決の方策として、

治療に関わるスタッフの関係調整、総合病院精神科の役割

の再検討、スタッフの倫理的感性向上への支援、技術習得

のための環境調整などが示唆された。【結論】得られたカ

テゴリーから総合病院精神科での身体疾患に関わる看護

師が抱える倫理的ジレンマが考えられ、それらを解決する

ための方策について示唆された。

示説19-1

軽度認知障害をもつ独居高齢者の服薬自己管

理に向けたかかわり

キーワード:精神科訪問看護 軽度認知症 服薬自己管理

独居高齢者

○土手 令子1),重兼 恵子1),成迫 尚乃1), 下原 明子1),宮 ゆみ子1),加畑 美穂1)

1) 医療法人敦賀温泉病院

【はじめに】A 病院では、独居で認知症高齢患者の受診が

増えており、在宅における服薬自己管理の支援が重要と

なっている。外来看護として服薬指導を試みてきたが、自

宅で実際どのように服薬しているのか把握することも難

しいという現状があった。【目的】服薬の自己管理が難し

い軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:以下、MCI)

を持つ患者に対し、訪問看護を開始して支援した結果、短

期間で改善した事例を経験したため、その支援内容を振り

返り、より良い看護実践に生かすことを研究目的とする。

【方法】研究デザイン:事例研究。事例:B氏、84 歳、女

性。主病名は MCI、合併症は糖尿病、高血圧、過活動膀胱。

薬の内容は、抑肝散エキス顆粒 5g/日、アログリプチン安

息香酸塩(ネシーナ)25mg/日、ミグリトール錠(セイプ

ル)50mg/日、テルミサルタン・アムロジピンベジル酸塩

(ミカムロ配合錠)1 錠/日、ビソプロロールフマル酸塩

錠 2.5mg(メインテート)0.5 錠/日などである。患者は

正しい服薬管理ができておらず、糖尿病が悪化傾向であっ

た。訪問看護の内容:訪問は週1回実施した。初回は糖尿

病薬のみ残数が多かったため、一包化してもらうよう家族

に働きかけた。2 回目は一包化されていたが、飲み過ぎが

見られたため日付を記入した。3 回目は 1 週間分セットで

きる箱を持参しセットした。しかし、一包化してない食前

糖尿病薬は自己判断で服用していなかったため、かかりつ

け医に相談するなど服薬に関する本人への支援を丁寧に

行った。【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会の承認を得

て、対象者と家族へ文章で説明を行い、同意書への署名を

得ている。【結果】初回訪問時は笑顔が見られ、普段は人

と話すことが少ないため会話が弾んでいた。薬を一包化し

たことや 1週間分セットする箱を利用したことにより、訪

問5回目にはセットされた薬は正しく服用できていた。

【考察】訪問看護を開始することで、自己判断で誤った飲

み方をしていたことや飲み忘れ、飲み過ぎがあることが初

めて確認できた。外来では見えてこない生活の実態や服薬

管理状況が確認でき、訪問ごとに評価することで患者に

合った服薬管理方法が見出せ自己管理に繋がったと考え

る。【結論】MCI で独居高齢者の服薬自己管理には、精神科

訪問看護によるきめ細かな支援が誤った飲み方や飲み忘

れ防止に繋がる可能性がある。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

示説19-2

悪性の社会心理を考えるワークショップ実施

の効果について

キーワード:認知症高齢者 悪性の社会心理 ワーク

ショップ

○和田 博之1),和田 敏道1),河合 明泰1), 荒井 岐枝1)

1) 福井県立すこやかシルバー病院

【はじめに】パーソン・センタード・ケア(以下「PCC」

と略記)の中に“悪性の社会心理”という概念があり、認

知症をもつ人達が、周囲から差別され、分かろうとされず、

無視されるといった、人間性を奪われる体験をつくりあげ

る社会心理がある。A 病院では、PCC の悪性の社会心理を

考えるワークショップを実施した。【目的】悪性の社会心

理を考えるワークショップ前後での援助者への効果を明

らかにする。【方法】援助者は A 病院で勤務している看護

師、介護福祉士と作業療法士。研究期間は 2017 年 6 月~

2018 年 6 月。データ収集はワークショップ参加前に PCC の

意識を自由記載してもらった。その後、悪性の社会心理を

盛り込んだ事例を用いて援助者 2~3 名に悪性の社会心理

と積極的な働きかけを話し合ってもらった。2~3週間後

に現場での実践を踏まえて PCC の意識変化を自由記載して

もらった。得られた質的データ分析は、KJ 法を参考に行っ

た。【倫理的配慮】福井県立すこやかシルバー病院の倫理

審査委員会の承認を得て行った。【結果】毎月ワークショッ

プを実施した結果、研究協力者は 30 名であった。男性 10

名、女性 20 名、年齢は 35~51 歳であった。参加前の援助

者の意識とケアとして《PCC に寄り添った意識》《相手を中

心にという漠然とした意識》《PCC を意識していない》《相

手の気持ち、ペース、ニーズよりも業務遂行を優先》《頭

で分かっていても実践できない》のカテゴリーが抽出され

た。また、参加後の援助者の意識とケアとして《ケアが相

手や自分にもたらす効果の実感》《相手の立場に立ち、自

分を振り返る意識》《PCC を意識した関り》《相手の価値を

低める、高める行為を意識》《PCC を実践することの困難さ》

のカテゴリーが抽出された。【考察】参加前においては《頭

で分かっていても実践できない》と感じており漠然とした

意識であることが考えられた。参加後においては、《ケア

が相手や自分にもたらす効果の実感》を感じており意識・

行動変化に効果があったと考える。今後の課題とケアとし

て《PCC を実践することの困難さ》を感じており、継続し

て PCC の普及に努める必要があると考える。【結論】本研

究においてワークショップ参加前では PCC に対して漠然と

した意識だった。参加後はケアが相手や自分にもたらす効

果を実感することができ、援助者への効果を明らかにする

ことができた。

示説19-3

アンガーマネジメントを取り入れた看護師の

認知症患者に対する怒りの感情の変化

キーワード:アンガーマネジメント 看護師 認知症

○黒川 博史1),山本 益美1),小倉 真紀1), 本間 文子1),宮本 有里1),吉田 敬子1), 中塚 圭子1)

1) 医療法人財団愛野会あいの病院

【はじめに】認知症治療の現場では、意思疎通の困難から、

看護師は自分の思うとおりに介入できないことや、同じ訴

えを繰り返すといった患者の BPSD(行動・心理症状)にス

トレスを感じると報告されている。看護師が BPSD から生

じる陰性感情に対処し、看護の向上に努めることは重要な

課題である。【目的】認知症治療病棟の看護師がアンガー

マネジメント(以下:AM)を取り入れることで患者に対す

る怒りの感情にどのような変化がみられるのかを明らか

にすることを目的とした。【方法】調査期間は 2019 年 1~3

月で対象者は A 病棟の看護師 19 名であった。研究に同意

が得られた看護師へアンガーログ用紙を配布し、怒りの傾

向を情報収集して病棟で起こり得る怒りの場面の事例を

作成した。次に AM 勉強会(講義とグループワーク:以下

GW)を実施した。勉強会終了後に調査用紙を配布した。調

査内容は基本属性と、事例の患者に対する怒りの感情につ

いて、勉強会前後に抱いた感情を自由記述してもらった。

分析方法は基本属性を記述統計し、自由記述は共通性を検

討しカテゴリー化を行った。【倫理的配慮】研究への参加

は自由意思での参加であり、参加しない場合でも不利益を

受けないこと、参加後もいつでも撤回でき、その場合にも

不利益を受けないことを保障した。個人情報は対象者が特

定されないことを伝えた。なお、本研究は所属施設の倫理

審査委員会相当機関の承認を得た。【結果】15 名が回答し、

女性13名、男性2名で平均年齢は45.9±12.6歳であった。

勉強会前の患者に対する怒りの感情では、『患者に対する

負の感情』、『自分の考えを優先』、『認知症として受容』、『AM

の未習』の 4 カテゴリー、勉強会後では『患者を否定しな

い姿勢の構築』、『患者の思いを受容』『怒りのコントロー

ルへの不安』、『新しい学びに対する期待』の 4カテゴリー

が抽出された。【考察】AM 勉強会によって、看護師は他者

との価値観の相違に気付き、GW で患者に対する建設的な意

見が多角的な視点から生み出されたことで、患者を否定せ

ず受け入れる姿勢の構築に至ったと考える。また、怒りの

出来事を冷静に分析することで、患者の気持ちに寄り添う

余裕ができたと推測する。【結論】看護師が AM を取り入れ

ることで、他者との価値観の相違に気付くことができ、患

者の気持ちに寄り添い、思いを否定せずに受け入れる姿勢

が構築できる可能性を示唆できた。

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示説19-4

自宅における認知症高齢者の口腔ケア実施状

況とパンフレットを用いた指導の評価

キーワード:認知症 口腔ケア 質問紙調査 認知症デイケ

ア 在宅

○河原 万智1),長居 麻希江2),重兼 惠子1),吉澤 典子1),廣瀬 純子1),川瀬 みどり1)

1) 敦賀温泉病院 2) 敦賀市立看護大学

【はじめに】認知症患者の口腔ケアは、認知機能の維持や

改善に繋がると言われている(枝広,2014)。A 病院の重度

認知症デイケアでも、歯ブラシを管理して昼食後に口腔ケ

アを行っていたが、今回、継続したケアが大切と考え、自

宅での口腔ケアの実態を把握することとなった。【目的】

本研究の目的は、A 病院デイケア認知症患者の自宅におけ

る口腔ケアの実態の把握と、口腔ケアのポイントを書いた

パンフレットに対する介護者あるいは本人の理解度を評

価することである。【方法】研究期間は平成 30 年 12 月 25

日~令和元年 8月 31 日(うち調査期間平成 31 年 3月 16 日

~平成 31 年 3 月 30 日)である。研究対象者は A 病院に継

続して通所している方 109 名であった。データ収集方法と

して、自己記入式質問紙を郵送又は手渡しにて配布し、回

収箱を用いた留置法(2 週間)で回収した。評価方法は、回

収された質問紙を単純集計し、記述統計を行った。【倫理

的配慮】本研究は敦賀温泉病院研究倫理審査委員会で承認

を得ており、研究協力の自由意思と、拒否しても不利益が

生じないことを書面にて説明して同意を得た。【結果】回

収されたアンケートは 51 部(47%)であった。口腔内の状況

は、部分入れ歯 24 人(42%)、全入れ歯 16 人(31%)、自歯 10

人(20%)、自歯だが殆どない 1 人(2%)であった。口腔ケア

の実施度は、実施している 39 人(76%)、していない 4人(8%)、

分からない 6 人(16%)。実施頻度は、毎日 32 人(82%)、1 日

置き 1 人(2%)、週に 1~2 回 1 人(2%)、その他 3 人(8%)で

あった。内容は、歯磨きとうがい 28 人(72%)、うがいのみ

8人(20%)であった。またパンフレットの理解度(複数回答)

は、必要性が理解できた 26 人(60%)、分かりやすかった 14

人(33%)等であった。【考察】自宅での口腔ケアに対する意

識は、想定していたよりも高かった。しかし、実際にどの

ような口腔ケアを行っているのかはインタビュー等で話

を聴く必要があると考えられた。【結論】通所者 109 名の

うち 39 人(76%)において自宅で口腔ケアが行われていた。

パンフレットの内容を理解できた人は 26 人(60%)だった。

示説19-5

急性期病院における認知症高齢者に対する院

内デイケアの効果

キーワード:急性期病院 認知症高齢者 院内デイケア

○丸木 裕美1),黒川 美幸1),西谷 真澄1), 石塚 匡晴1)

1) 福井大学医学部附属病院

【はじめに】認知症を患う人は身体的苦痛により行動心理

症状の出現率、せん妄の発症率が高い。急性期病院である

X 病院では、全診療科の高齢者を対象に覚醒リズム障害の

改善、身体抑制の一時解除等を目的に院内デイケア(以下

院内デイ)を実践している。そのような中、身体的苦痛を

伴う急性期において、患者が院内デイに参加することで、

実際に苦痛や不安から解放される時間がもてているのか

評価する必要があると考えた。今回、注意障害の改善がみ

られた2事例を報告する。【目的】急性期病院において認

知症高齢者の院内デイ参加前、参加中の注意力の変化を明

らかにする。【方法】平成 31 年 3 月~4 月、院内デイに参

加した認知症高齢者日常生活自立度Ⅲ以上の患者に対し、

ARS(20 分間の表情観察)、BAAD(注意障害の行動評価尺度)

を用いて院内デイ参加直前の病棟での様子と院内デイ参

加中の様子を参加1日目~3日目の計6回観察した。参加

前、参加中の ARS・BAAD 結果をそれぞれ単純集計し比較し

た。【倫理的配慮】所属施設の倫理審査委員会の承認の元、

研究対象者・家族に研究の趣旨、公表方法、参加取り消し

の自由、個人情報保護について口頭と文書で説明し、同意

を得た。【結果】A 患者は 70 代女性で、初回参加日は入院

日数 7日目、MMSE21/30 点(遅延再生 2/3 点)、術後疼痛が

あった。B患者は 90 代男性で、初回参加日は入院日数 2 日

目、MMSE6/30 点(遅延再生 0/3 点)、皮膚疾患による掻痒

感があった。両者ともに参加後は ARS では肯定的な表情(楽

しみ・関心・満足)を示す時間が増加しており、中でも「関

心」の項目を示す表情が多く、対象物や周囲の人に注意を

向けることができていた。また、BAAD 総点数の減少もみら

れ、注意障害の改善がみられた。【考察】院内デイには「関

心」をもつ事柄や集中できる活動があり、身体的苦痛を有

することが多い急性期病院においても、認知症高齢者が院

内デイに参加することで、一時的ではあるが身体的苦痛か

ら解放される時間が増えると考える。しかし、今回の研究

では症例数が少なく、今後継続して院内デイの効果を明ら

かにし、積極的な参加ができるような体制構築を検討して

いく必要がある。【結論】急性期病院においては身体的苦

痛を伴う患者が多いが、院内デイケア参加中は参加前に比

較し、肯定的な変化があると示唆された。

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第2日

示説20-1

精神障害者のきょうだいが家族に期待すること

キーワード:家族支援 きょうだい 精神障害者

○藤木 眞由美1)

1) 目白大学

【はじめに】精神障害者の親の高齢化に伴い精神障害者の

きょうだい(以下きょうだい)がケア提供を担うことがあ

る。そのため、家族関係の調整や精神障害者をサポートし

ている家族への支援の在り方を検討するうえで、きょうだ

いが精神障害者を含む家族にどのような思いがあるかを

明らかにすることは重要と考える。【目的】きょうだいの

「家族に期待していること」を明らかにし家族支援の示唆

を得ること。【方法】対象条件は、きょうだいもしくは親

が精神障害者への主なケア提供者であること。兄弟姉妹会

会員 91 名を対象に、2010 年に「きょうだいが家族に期待

すること」について記述式アンケート調査を行った。質的

帰納的研究プロセスに従って、記述データから「きょうだ

いが家族に対して期待していること」を取り出してコード

化し、類似した内容を集めカテゴリ化した。【倫理的配慮】

対象者に、目的、方法、研究参加の自由・拒否権の保障、

匿名化、データの取り扱いについて文書で説明し、回答を

もって同意とみなした。本研究は目白大学大学院倫理委員

会の承認を受けた。【結果】「きょうだいが家族に期待する

こと」として 117 コードが抽出され、15 サブカテゴリ、3

カテゴリが生成された。【精神障害者の満ち足りた人生】

は、精神障害者の自立や楽しみのある生活や〈外とのつな

がりがもてる仲間の存在〉から精神障害者が抱えている苦

しみへの理解を示した期待であった。【平穏な生活にむけ

た家族へ希望する改善内容】は、〈親と精神障害者との適

切な距離〉から、きょうだいは精神障害者へのかかわり方

について親との違いを感じていた。【尊重された家族それ

ぞれの生活の維持】では、〈社会の偏見をなくす教育への

働きかけ〉のように、家族にとって満足のいく社会の在り

方ではなかった。また、生殖家族に関してのコードは少数

で負担をかけないような考えであった。【考察】きょうだ

いは、【精神障害者の満ち足りた人生】や<親自身の健康

と楽しみのある人生>のように家族それぞれの幸せを願

い、一方で生殖家族に対して負担をかけないよう自身の生

活に負荷がかかりやすく【平穏な生活にむけた家族へ希望

する改善内容】のような期待もあった。家族への期待の前

提として、社会の在り方が問われていることから家族を支

える公的支援の重要性が示された。【結論】きょうだいが

家族に期待することは3つあり、その前提に公的支援の重

要性が示された。

示説20-2

人生の最終段階を迎えている精神科入院患者

への支援

-希薄な家族関係の修復をめざして-

キーワード:人生の最終段階 精神科入院患者 希薄な家

族関係 臨床倫理4分割法

○近藤 教1),小西 悦子1)

1) 岩手県立大船渡病院

【はじめに】精神科病院の高齢患者は長期入院である場合

が多く、入院時キーパーソンの変更を余儀なくされるケー

スがある。そのため、人生の最終段階を迎えても家族の一

員として受け入れられずに過ごす患者がいる。今回、同様

の経過をたどった患者を担当し、緩和ケア認定看護師と共

に関わり、希薄だった家族関係が少しずつ修復した事例を

経験したので報告する。【目的】精神科に長期入院し人生

の最終段階を迎えた患者と家族の希薄な関係性を再構築

へ導くことができた看護を振り返る。【方法】1.研究デザ

イン:事例研究 2.研究対象:統合失調症で A 病院に 18 年

間任意入院している 68 歳の男性患者 B 氏 3.データ収集及

び分析方法:看護記録とカンファレンス記録、面談から QOL

について記載された言語データを用いて振り返る。【倫理

的配慮】所属施設の倫理委員会の審査を受け承認を得た。

対象者に研究の趣旨について口頭ならびに文書を用いて

説明し、十分な理解と納得を受けた上で、同意書の署名を

もって本研究調査への諾否を確認した。また、参加の自由

意思や拒否しても不利益を受けない権利、個人情報保護に

ついて説明した。【結果】B氏は大腸がんと告知され手術を

受けた。家族へは外科医師から肝臓への転移があるため予

後1年と説明された。入院時キーパーソンであった母親は

亡くなり、妹がキーパーソンとなってからは自宅への連絡

を拒み、面会もなかった。B 氏は毎日「妹に会いたい。電

話して欲しい」と訴えていた。緩和ケア認定看護師から、

B 氏の背景を振り返る目的で患者・家族・医療者の満足度

の向上や情報整理に活用する臨床倫理4分割法によるカ

ンファレンスの提案があり実施した。その結果、B 氏と妹

が希望する買い物の代行を実践し、妹の気持ちを配慮する

ことで妹家族との面会や手紙の投函が叶った。【考察】B氏

は妹の家族と面識がなく、看護師からの連絡も妹の携帯電

話のみであった。今回の介入後妹家族が面会するように

なった背景には、妹の思いを大切に受け止め、妹が B 氏に

やってあげたくても出来なかったことを看護師が代行し、

間接的に妹の思いを叶えたことが要因ではないかと考え

る。また、看護師との関係性が、患者と家族との関係性に

も良い影響を与えたのではないかと考える。【結論】患者

の思いを家族へ一方的に伝えるだけではなく、看護師が家

族の代行をすることで関係性が構築され、希薄な家族関係

の修復に繋がった。

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示説20-3

自殺企図歴のない未遂患者家族の思い

-退院前のインタビューを通して-

キーワード:自殺未遂患者 家族 インタビュー

○佐藤 綾1),備前 由紀子1),成田 真理子1), 須田 由美子1)

1) 市立秋田総合病院

【はじめに】自殺総合対策大綱では「自殺未遂者の再度の

自殺を防ぐ」ために退院後の家族等の身近な人による見守

りの支援の充実の強化が指摘されている。入院した自殺未

遂者の再企図の予防において家族へのアプローチが重要

となる。そのために患者の自殺未遂に直面した家族の思い

を明らかにし援助の検討が必要である。【目的】自殺未遂

患者家族の効果的な支援を検討するために、退院前にイン

タビューを行い家族の思いを明らかにする。【方法】企図

歴がなかった入院中の自殺未遂患者家族に退院決定後、半

構造的面接法を行った。面接時間は 40~60 分で、家族の

許可を得て IC レコーダーに録音した。分析は逐語録を作

成後に文脈を抽出・要約し、類似するものをまとめてサブ

カテゴリーを作成後、分類抽象化しカテゴリー化した。【倫

理的配慮】A病院倫理審査委員会の承認を得た。【結果】家

族は 4名で妻、母親、夫 2 名、年代は 30 代、60 代、70 代

2名であった。患者は女性 2名、男性 2名、年代は 30 代、

40 代、60 代、80 代、疾患名は神経症 3 名、精神病 1 名、

企図手段は刃物・刺器 2 名、過量服薬、縊首であった。

家族の思いは<衝撃ととまどい><負担感><自責感>

<相手への苛立ちとはがゆさ><安心感の確保><回復

への期待感><チャンスに変える><思いやり><再企

図の不安><決意と覚悟><事が事だけに誰にも話せな

い><語りによる安堵>の 12 のカテゴリー、44 のサブカ

テゴリーで構成されていた。【考察】先行文献との比較に

より、<思いやり><事が事だけに誰にも話せない><語

りによる安堵><チャンスに変える>が新たに見出せた。

初めて自殺未遂という体験をした家族は様々な感情を整

理し秩序づけをはかり、患者を傷つけたくない、守りたい

という<思いやり>の感情に繋がった。<事が事だけに誰

にも話せない>から孤独と自分で解決しなければという

緊張を感じていた。インタビューで思いを語ることで、話

してすっきりしたと表現し<語りによる安堵>に結びつ

き、<チャンスに変える>では患者の自殺未遂という経験

をチャンスとして捉え、状況を変容する力を持ち合わせて

いたと考える。【結論】企図歴がなかった患者の家族は、

自殺未遂という出来事を意義ある経験にしたい気持ちを

抱いている。また<事が事だけに誰にも話せない>という

心境にある自殺未遂患者家族へのインタビューは<語り

による安堵>をもたらす。

示説20-4

初めて身体的拘束を受ける患者家族へのケア

-患者家族の苦痛に焦点を当てて検討する-

キーワード:精神科救急 身体拘束 家族心理

○小泉 千尋1),國料 梓1)

1) 公益財団法人浅香山病院

【はじめに】家族は、初めは拘束に同意していても実際を

目にすると苦痛を感じることがある。【目的】看護師のケ

アにより、拘束される患者を見た家族の苦痛が軽減される

か検討する。【方法】精神科救急病棟に入院し初めて拘束

を受けた患者の家族を対象に、面会時に拘束に関する説明、

要望や疑問点の聞き取りといったケアを行う。拘束解除後、

家族に拘束やケアへの考えを半構造化インタビューで聞

き取り録音し、ケア前後及びケアそのものに対する家族の

心情を抽出しカテゴリー化する。【倫理的配慮】家族には

目的、概要、倫理的配慮、自由意思で研究に参加できるこ

とを説明し、文書同意を得た。研究データは個人情報に配

慮し匿名化した。浅香山病院看護部倫理委員会の承認を得

て行った。【結果】ケアを行う前の心情は<拘束は仕方な

いと思う><拘束は必要だと思う><状態が悪いのでは

ないか><もっとひどくなるのではないか><拘束より

も他のことに目がいく><思っていたほど悪くなくて良

かった><この時期のことははっきり覚えていない>の

7カテゴリーに分けられた。ケアを行った後の心情は<拘

束は仕方ないと思う><拘束は必要だと思う><身体よ

りも他のことに目が行く><状態が改善して安心した>

<拘束が緩くなったことで状態が良くなったと思った>

<拘束を見て患者がしんどそうだと思った><もう少し

なんとかならないかと思った><必要な処置だから看護

師には話さなかった>の8カテゴリーと<拘束に関する

説明はあまり覚えていない><詳しく状態を知れて良

かった><ちゃんと対応してくれて良かった>というケ

アそのものに対する心情の 3カテゴリーに分けられた。【考

察】ケアを行う前は、拘束の必要性を理解しながらも仕方

ないと自分に言い聞かせ納得する心情、現実的に事態を受

け止めることができず肯定的に受け取る防衛機制、拘束さ

れている状況を直視できない心情が示されている。ケアの

後は、患者の状態改善に伴い家族の気持ちに変化が生じた

が、それを看護師に伝えていなかった。患者の状態につい

て詳しい説明をすることで家族は病状改善を実感し安心

を感じていた。また家族は拘束が緩くなったことを患者の

状態改善のひとつの基準としていた。【結論】病状改善を

実感できる関わり、患者の状態についての詳しい説明、家

族の胸中を理解し受容的態度で接するといったケアが、初

めて身体的拘束を受ける患者家族の苦痛を軽減する。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

示説20-5

地域移行に取り組む精神科病院の時間外看護

電話相談利用者の特徴

キーワード:電話相談 地域移行 精神科

○則村 良1)

1) 医療法人財団青溪会駒木野病院

【はじめに】A 病院の時間外看護電話相談(以下、時間外

相談)利用者の特徴は不明である。特徴を明らかにするこ

とでサービスの改善に寄与すると考える。【目的】時間外

相談利用者の特徴を明らかにする。【方法】2017 年度の利

用者の性別、年齢、疾患(ICD-10)、世帯を電子カルテと時

間外電話対応簿から抽出し、記述統計と適合度検定を実施

した。【倫理的配慮】駒木野病院倫理委員会の承認を受け

実施した。【結果】利用者 181 名、相談件数 1069 件だった。

うち、50 件以上の者を除外した。①利用者:総数 173 名。

性別は男性 63 名、女性 110 名だった。年齢は 10 歳未満 1

名、10 代 20 名、20 代 25 名、30 代 30 名、40 代 46 名、50

代 25 名、60 代 13 名、70 代 12 名、80 代 1名だった。疾患

は F0 が 2名、F1 が 12 名、F2 が 86 名、F3 が 31 名、F4 が

17 名、F5 が 1 名、F6 が 5 名、F7 が 6 名、F8 が 7 名、F9

が 4名、G40 が 2 名だった。世帯は単身 137 名、同居 36 名

だった。②相談件数:総数 432 件。性別は男性 132 件、女

性 300 件だった。年齢は 10 歳未満 1 件、10 代 23 件、20

代 52 件、30 代 76 件、40 代 150 件、50 代 71 件、60 代 45

件、70 代 13 件、80 代 1 件だった。疾患は F0 が 4 件、F1

が 21 件、F2 が 269 件、F3 が 47 件、F4 が 42 件、F5 が 1

件、F6 が 12 件、F7 が 10 件、F8 が 8 件、F9 が 4 件、G40

が 14 件だった。世帯は単身 383 件、同居 49 件だった。③

利用者の特徴:適合度検定の結果、女性は期待値より多く

相談し、男性は下回った*。年齢では 10 代の 23 件が期待

値 50 件を下回り、40 代の 150 件が期待値 115 件を上回っ

た**。疾患では F2 群の 269 件が期待値 215 件を上回っ

ており、F3 群の 47 件が期待値 77 件を下回った**。世帯

では単身者が期待値より多く相談し、同居は下回った**。

【考察】女性は男性より援助要請行動をとりやすく、時間

外相談もその傾向にあると考えられた。10 代は電話以外に

SNS 等を利用する頻度が高いことや当直者との年代差が

あったこと、反対に 40 代は当直者と年代が近く相談のし

やすさがあると考えられた。F2 群は症状軽快後も機能障害

が続くため日常的な不安等で利用していると考えられた。

【結論】時間外相談利用者の特徴が明らかになった。(*p

<.05,**p<.01)

示説21-1

看護学生のストレス対処能力(SOC)と振り返り

-ストレス対処能力(SOC)を通して学ぶ健康

への一考察-

キーワード:ストレス対処能力 看護学生 振り返り

○加藤 知可子1)

1) 兵庫大学

【はじめに】現在はなぜ人々は健康でいられるのかという

健康増進に向けた考えが注目される。その健康要因にスト

レス対処能力(Sense of Coherence 以下 SOC と略す)があ

る。SOC は種々の心身の不調や疾病と関連するため個人が

その程度を知ることは予防医学的に意味がある。しかし、

看護学生が SOC を測定しその結果を振り返りことで健康維

持・増進につなぐ報告は乏しい実状がある。【目的】そこ

で、本研究は看護学生に SOC を調査し、その測定結果に基

づき個人がどのように理解しているかを振り返ることで

健康維持・増進への基礎的資料とすることを目的とする。

【方法】対象は本研究に同意が得られた看護学生 109 名で

ある。方法は「SOC 尺度」(13 項目 7段階評定)を 2018 年

7 月 11 日~7 月 18 日に配布し、所定の回収箱にて提出を

依頼した。測定後、その結果について自由記述式で記入を

求めた。分析は SOC の合計得点と下位尺度得点を算出した。

自由記述式を分析した。【倫理的配慮】研究実施施設の大

学研究倫理審査委員会の審査を受け了解された。研究対象

者に研究の目的および方法、個人情報保護、研究拒否や途

中辞退しても不利益を被らないこと、研究以外に使用しな

いこと等を口頭および書面にて説明し自由意思による承

諾を得た。【結果】最終的に調査用紙 80 名(男性 12 名・

15.0%,女性 68 名・85.0%)を回収した(回収率 73.4%)。

SOC 平均得点は 52.6±13.9 であった。また、SOC の下位尺

度では把握可能感は女性が有意に高く(p<0.05)、有意味

感も女性が有意に高かった(p<0.01)。自由記述式では SOC

の標準得点より低い得点だった学生は「ストレス対処能力

が低かったことは意外だった」、「ストレス対処能力が低い

とどうなるのか」、「どのように何を改善すればストレス対

処能力を改善できるのか」等の記述がみられた。より高い

学生は「ストレス対処能力が高かったので安心した」、「ス

トレス対処能力を維持・向上するにはどうすればよいのか」

等の記述がみられた。【考察】看護学生は SOC を測定し、

振り返ることで自分のストレス対処能力の程度、自分への

影響、ストレス対処能力の維持・改善への視点をもってい

た。【結論】本研究は看護学生を対象として SOC 得点とそ

の測定結果に基づき、振り返りを調査し、自分のストレス

対処能力への理解が示唆された。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説21-2

臨地実習における看護学生と認知症高齢者と

の関わり

キーワード:認知症高齢者 臨地実習 看護学生

○鎌田 由美子1)

1) 上武大学

【はじめに】認知症高齢者の増加に伴い、学生が実習中に

認知症高齢者を受け持つ機会は多くなる。実習中、認知症

高齢者との対応で学生が特有の困難さを感じていたとの

報告は散見されたが、困難場面に遭遇した時、どのような

対処を行ったかの報告は見当たらない。そこで、困難場面

での学生の対処行動を調査し教育的介入の一助になるよ

う本研究に着手した。【目的】学生が臨地実習において感

じた認知症高齢者との対応困難場面とその対処行動を明

らかにする。【方法】研究期間:平成 30 年 6 月 26 日~平

成 31 年 3月 31 日。調査対象:A看護系大学 4年生 79 名。

調査方法:選択および自由記述を組み合わせた質問紙調査。

分析方法:得られた回答をデータ化し、質的帰納的に分析

を行った。【倫理的配慮】上武大学倫理検討委員会の承認

を受けた後、対象者に、研究の概要(目的・方法)、調査

用紙は無記名であるため個人が特定されないこと、成果の

公表などについて明記した文書を用いて説明した。また、

調査票の提出をもって同意とみなした。【結果】対象者 79

名に配布し、48 名より回答を得た(回収率 60.8%)。この

うち、認知症高齢者の受け持ち経験有の学生は 29名(60%)

であった。対応困難場面は「何度も同じ要求や話がコロコ

ロ変わる場面」など 5カテゴリー、困難場面時の対応は「非

言語的コミュニケーション技術の活用」など 5カテゴリー

が抽出された。さらに、認知症高齢者と効果的に関わる準

備として「認知症の症状・病態・看護等についての事前学

習」「認知症高齢者との関わり体験」などの 4 カテゴリー

が抽出された。【考察】学生が認知症高齢者を実習で受け

持った割合は 60%と半数を超えていた。今後、認知症高齢

者を受け持つ機会は増加していく可能性があるため、認知

症高齢者理解に対する学習強化及び対策が必要と考える。

学生が困難と感じた場面は認知症の症状に関連するもの

であり、学生は困難と感じながらも根気よく傾聴するなど

の工夫を凝らしていた。また、学生は実際に認知症高齢者

と関わる体験が必要と回答していた。これらのことより、

認知症という疾患の理解を前提に、様々な予測される対応

困難場面を用いての事例を教材とし、具体的な介入などの

学習方法を講じる必要があると考える。【結論】1.学生が

実習において認知症高齢者と関わる機会が過半数を超え

ていた。2.具体的な事例を用いての学習方法が必要であ

る。

示説21-3

実習グループメンバー間の相互理解が深まっ

たカンファレンス

-SAT を導入した事例を振返る-

キーワード:学生 実習 支援

○富山 美佳子1),宮武 陽子1)

1) 足利大学看護学部

【はじめに】看護専門職を目指し学ぶ学生にとって臨地実

習は欠くことのできない学びの場である。各論実習では新

たに編成されたグループで長期に実習を進めることとな

り、学生の抱える実習における困難・不安・ストレスに対し

てこれまで多くの研究がされている。そしてこれらの研究

は精神看護学領域で最も多く、関心が高いことが示唆され

ている。一方その対応の具体策に対する研究は少なく、具

体的な教育的支援に関しての研究が必要であると考えた。

本研究ではメンバー相互の理解が不足していることが、実

習活動に影響を与えているのではないかと考えられた、2

グループの介入事例の検討である。【目的】構造化連想法

(Structured Association Technique:以下 SAT と表記す

る)を導入したカンファレンスが、実習グループや学生に

与えた効果を明らかにすることである。【方法】対象者:

看護大学の 3年次 5月より開始の各論実習の 1.2 クール目

のグループである。調査時期:X年 5月・11 月。研究方法:

学内実習日を活用しカンファレンス 60 分を逐語記録し、

実習終了後の感想レポート、半年後の振返りを分析のデー

タとし介入の効果を検討した。【倫理的配慮】学生は SAT

を対象理解の技法として既習であり技術の活用としカン

ファレンスを実施した。効果検討の研究目的と記録物の匿

名性を保持しての活用は、充分な配慮の上説明を実施し自

由意思による許諾を得た。また足利大学の倫理審査による

承認(足利大倫委第 51 号)を得て実施した。【結果】学生が

個々に「実習の自分自身の課題について」をテーマに語り

始め、「感情の明確化」では、不安・期待・自己嫌悪・焦り等

があった。「自己イメージ連想法」でネガティブな感情の者

でも、メンバーから「支援の言葉」を得た段階で変化がみら

れ、感想からも同様の経過を得た。【考察】データを質的

に検証し介入過程を振返ると、SAT グループカウンセリン

グの特徴と合致し 1)心理的安定感があり、ひらめきがおこ

りやすい。2)いろいろな人が感じたことを言い合うことで、

さまざまな視点から自分を見ることができて、気づきが深

まりやすい。3)一体感があって楽しく癒されエンパワーさ

れる。とされる効果を示すものであった。【結論】SAT を活

用したカンファレンスの教育介入は、SAT グループカウン

セリングの特徴と合致した効果のあった学生があること

がわかった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

示説21-4

看護学生のメンタルヘルスリテラシー教育に

関する調査

-精神看護学受講後の心の健康を保つ行動の

変化-

キーワード:精神看護 メンタルヘルスリテラシー 授業

心の健康教育

○曽谷 貴子1),河畑 匡法1),原田 佳織1), 清水 登紀子1),名木田 恵理子1)

1) 川崎医療短期大学

【はじめに】私たちは精神看護学受講前後での看護学生の

メンタルヘルスリテラシー(以下 MHL と略す)の調査から、

心の健康を保つための知識は増えたが自分自身への対処

行動は慎重になったという結果を得た。今回は、この相反

する結果について考察し、授業計画に反映させていきたい。

【目的】精神看護学受講後の知識と、心の健康に対する意

識との関連を分析し、授業改善に繋げる。【方法】同意を

得た A 短期大学看護学生 1 年 135 人(93.8%)に、1 年間の

精神看護学授業後質問紙調査を実施した。心の健康に関す

る知識が「1.ある」「2.ややある」「3.知識はやや不足」「4.

知識不足」の回答と、自分自身の心の健康を保つために心

掛けていることについての「1.はい」「2.わからない」「3.

変わらない」の回答をクロス集計した。次に、心掛けるよ

うになった学生の記述を質的記述的に分類した。【倫理的

配慮】対象者に口頭及び文書で説明し、参加における自由

意思の尊重、参加の有無による不利益がないことを明示し

た。本研究は川崎医療短期大学倫理委員会の承認を得た

(2018-01)。【結果】授業後心の健康の知識があると答えた

学生は 98 人(72.5%)で、そのうち、心の健康を心掛ける

ようになったのは 29 人(29.6%)。彼らの回答の「授業で

役立ったこと」の記述から 30 コードを抽出し、コードの

多い順に[ストレスの対処法][心の病気の知識][生活の調

整][援助希求行動]とカテゴリ化した。次に「心掛けるよ

うになったこと」の記述から 36 コードを抽出し、コード

の多い順に[ストレスの発散法][援助希求行動][思考の転

換][生活の調整]とカテゴリ化した。【考察】授業後行動変

容に繋がった学生は約 30%である。彼らは自分自身の心の

健康を保つために授業内容を実践しており、[ストレスの

対処法]の具体的な方法や[心の病気の知識]が役立ったと

挙げている。しかし 70%の学生は行動変容に至っていない。

行動変容するためには、学んだ対処法を実践し「発散方法

が分かった」「考え込まない」「人に相談した」など効果を

実感しなければならない。そこで、知識を詰め込むのでは

なく、知識を実践し工夫するため体験型の授業内容を盛り

込んでいく必要性が示唆された。【結論】1年間の精神看

護学受講が約 30%の学生が行動変容に繋がった。②精神看

護学の授業内容に体験型の授業内容を盛り込む。

示説21-5

近隣の認知症疾患センターと総合病院との合

同研修会の取り組み

-参加した総合病院看護師の思い-

キーワード:認知症ケア 合同研修 認知症疾患医療セン

ター 総合病院

○大石 郁奈1)

1) 市立敦賀病院

【はじめに】急性期の治療を必要とする高齢者の入院が近

年増加してきており、入院により、認知機能が低下するな

ど認知症を有する患者に適切な対応は必須である。総合病

院である A病院では、認知症サポート委員会において勉強

会チームが中心となって、認知症ケアに関する知識向上を

目的とした研修会をいくつか開催した。そのうち近隣施設

である、B 病院の認知症医療疾患センターとの合同研修が

2回開催さた。このような機能が異なる施設同士での認知

症に関する合同研修の先行研究は少なく、開催することの

意義を検証することにした。【目的】合同研修を行うこと

に対する、A 病院の看護師の思いを明らかにする。【方法】

合同研修に参加した A 病院看護師 10 名を対象に、研究者

が独自に作成したインタビューガイドに基づいて半構成

面接を実施。逐語録を作成し、カテゴリ化した。【倫理的

配慮】本研究は所属施設の倫理委員会相当の機関の承認を

得た。対象者へ本研究の目的及び内容を説明し、自由意思

による承諾を得た。不利益を回避するための配慮を実施し

た。【結果】対象者である看護師 10名は全員が認知症サポー

ト委員であった。カテゴリは「認知症ケアに対する気づき」

「認知症ケアを思うように実践できないジレンマ」「今後

の合同研修会開催への期待」が抽出された。10 名全員が B

病院参加者から学びを得たという結果であった。【考察】

同研修会を実施することで、参加者の普段実施している認

知症ケアを振り返るきっかけとなり、施設によりケアに対

する認識が異なるなど、風土の違いを感じる機会となった。

近隣施設でありながら、実際に、急性期治療・検査の対応

に追われ、分かってはいても認知症を有する患者へ適切な

ケアを実施できていないジレンマを抱えていたが、現状の

A 病院での認知症ケアの課題をとらえる機会となった。対

象者全員が、次回の合同研修への参加を希望しており、そ

れぞれに合同研修への可能性を期待していることがわ

かった。近隣施設で合同研修を行うことで地域連携が充実

し、地域包括ケアシステムを構築する機能の一部となる可

能性が示唆された。【結論】合同研修は、A病院の認知症ケ

アの質の向上となることが示唆された。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説22-1

A 病院における副看護師長による高齢者・認知

症ケアの質の向上に向けた取り組みと課題

キーワード:認知症ケア 高齢者ケア 現任教育

○髙城 絵美1),隨原 さとえ1)

1) 独立行政法人国立病院機構敦賀医療センター

【はじめに】A 病院は一般・急性期病棟 140 床、重症心身

障害児病棟 120 床を有す。特徴の異なる部署の看護スタッ

フを対象に、副看護師長会は平成 28 年度より高齢者・認

知症ケアの質の向上に取り組んできた。副看護師長会のメ

ンバー間では取り組みへの手応えを感じていたが、客観的

なデータに基づき取り組みの効果を検証したいと考えた。

【目的】副看護師長による高齢者・認知症ケアの質の向上

に向けた取り組みの効果の有無と課題を明らかにする。

【方法】研究期間平成 30 年 6月~平成 31 年 2月。この間

に「高齢者・認知症ケアに係る集合研修」(以下研修)2回、

各部署の「高齢者・認知症ケアの実践報告会」(以下報告

会)を副看護師長会で企画運営した。また各部署の副看護

師長が中心となり実践の場面でスタッフへ助言を行った。

これらの取り組みの前後で全看護師を対象にアンケート

を実施。アンケートは知識の習得度 100 点、高齢者・認知

症ケアの実践の有無、姿勢を問う内容を 5段階のリッカー

ト尺度 100 点とし分析した。また平成 28 年度から 30 年度

の実践報告会の内容を分析した。【倫理的配慮】研究は所

属施設の倫理審査委員会相当の機関の承認を得た。対象者

には、不参加や回答の内容により不利益を被らないことを

文章と口頭で説明し、自由意思による承諾を得た。アン

ケートの回収は当該部署の副看護師長が関与しない方法

をとり、対象者の不利益を回避するための配慮を実施した。

【結果】知識の習得度を問う項目では取り組み前後で平均

値 68.34 から 73.14 へ上昇し有意差を認めた。ケアの実践

を問う項目では平均値 60.06 から 61.19 で有意差を認めな

かった。平成 28 年度の報告会では対象患者がいないと述

べていた部署からも、平成 30 年度には実践報告がされる

ようになった。【考察】平成 30 年度の取り組みは知識の習

得に効果を認めた。単年度ではケアへの姿勢に効果を認め

なかったものの、3 年間に渡り一貫したテーマで継続的に

取り組んだことで報告会の内容に変化を与えたと考える。

【結論】2 つの機能を担う病院で副看護師長会が共通する

課題を見出し、高齢者・認知症ケアの質の向上を目的とし

た活動を 3年間に渡り展開したことで、知識の習得と認識

の変化が確認された。単年の取り組みにおいてケアへの姿

勢を変化させるには課題が残った。

示説22-2

せん妄アセスメントシート導入による看護師

のせん妄ケアへの意識の変化と効果

キーワード:せん妄 アセスメントツール 質問紙法

フォーカスグループ法 グループインタビュー法

○栗原 順子1),伊藤 恵麗1),若林 剛1), 鶴田 優1),矢吹 久美子1),西浦 由洋1)

1) 東京都立多摩総合医療センター

【はじめに】A病院は、せん妄サポートチームがせん妄予

防活動として、せん妄アセスメントシート(以下シートと

称す)を作成している。【目的】病棟看護師を対象に、シー

トが個人の患者ケアに役立ったかを経験年数で比較し、病

棟別に看護チームにどのように効果的だったかを明らか

にする。【倫理的配慮】本研究は東京都立多摩総合医療セ

ンター倫理委員会の承認を得た。研究参加者に参加の自由

意思は尊重され不利益は生じない事、個人情報の保護、

データの記号・暗証化と施錠管理を説明し同意を得た。【方

法】対象は婦人科、外科、内科病棟の看護師とした。質問

内容はシートによる①せん妄リスクの評価②症状の観察

③予防ケア(以下 3項目及び項目①②③と称す)について、

質問紙調査は 3項目に関して、とても役立った-まあまあ

役立った-役立たない-全く役立たないの 4件法の回答を

得点化し、統計分析ソフトHAD16 を使用し、経験年数に

おける 3項目の比較を 1~3 年目、4~9年目、10 年目以上

の 3群で分散分析した(有意水準 5%)。また、病棟毎に 3

項目に関して「シート導入後に看護チームが変化した事」

を半構造化のフォーカスグループインタビューを行い質

的記述的に分析した。【結果】質問紙調査は 1~3 年目 12

名、4~9年目 24 名、10 年目以上 18 名の計 54 名(回収率

77%、有効回答率 95%)。項目①は 1~3 年目が 4~9 年目

より評価が高く(F=4.21,p=0.020)、項目②③は 1~3年目

が 4~9年目と 10 年目以上より評価が高かった(項目②:

F=9.89,p=0.000、項目③:F=6.00,p=0.005)。インタビュー

参加者は婦人科・外科混合病棟 1名、A内科病棟 8名、B

内科病棟 7 名の計 24 名で、⑴ハイリスク患者が認識でき

た⑵せん妄ケアの知識が高まった⑶薬物の意識が高まっ

た⑷せん妄予防が積極的にできた⑸積極的に活用できな

かった⑹的確に評価できているか疑問の 6カテゴリーが抽

出された。【考察】質問紙調査の結果から、1~3 年目の看

護師が 4年目以上の看護師よりシートを有効と感じていた。

インタビュー結果から、リスク要因が明確になり、チーム

が早期対応を意識し、薬物への意識が意見交換に効果が

あった。【結論】シートの導入は 1~3年目の看護師への効

果が高かった。リスク要因が明確になり、特に薬物の知識

の向上がチームの意見交換に有効であった事が明らかに

なった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

第2日

示説22-3

認知症高齢者の意向を取り入れたデイルーム

の環境づくり

-施設環境づくり支援プログラムにおける碁

石法を用いたキャプション評価-

キーワード:PEAP 認知症高齢者 碁石法 施設環境づ

くり支援プログラム

○前川 惣予1)

1) 福井県立すこやかシルバー病院

【はじめに】認知症高齢者が日中過ごすデイルームの環境

を改善する為、『PEAP 日本版 3』に基づき「認知症高齢者

に配慮した施設環境づくり支援プログラムを構成するス

テップとツール」を用いた。古賀は「キャプション評価は

認知症でも適用可能であり、『碁石法』で中等度の認知症

までの意見聴取が可能である」と述べており、入院患者の

評価を取り入れた環境づくりに着目した。キャプション評

価法は、場所を写真に撮ってコメント(=キャプション)を

つける作業を通して、意見を収集する方法である。【目的】

「認知症高齢者に配慮した施設環境づくり支援プログラ

ムを構成するステップとツール」を基に、キャプション評

価を碁石法にて行い、デイルームの環境の居心地について

明らかにする。【方法】対象者は MMSE 軽度・中等度認知症

(MMSE15 点以上)かつ意思疎通が可能な入院患者 8名。デ

イルーム内を写真撮影し、それぞれ使用頻度で分類。2 種

類のチップを用いて良い・直すとよいと思う程度に応じて

点数をつけてもらう。半構造化面接手法をとり、環境につ

いての思いを聴きとり面接内容を録音。逐語録を作成しそ

れぞれの環境についての評価を抽出した。【倫理的配慮】

所属施設の倫理審査委員会相当の機関の承認を得た。対象

者から自由意思による承諾を得、不利益を回避する為の配

慮を実施。【結果】使用頻度の多い場所は殆どの対象者が

良いと評価した。使用頻度の少ない場所では自分とは関係

がないと返答した対象者は半数以上を占めた。殆どの対象

者から使用頻度に関係なく更に居心地よく過ごすための

具体的な改善案や意見があった。【考察】対象患者数は少

ないが、様々な意見を個別に聞くことができ、現状のまま

でよいが多少の改善を加えるともっとよくなると考えて

いると知ることが出来た。入院患者は ADL や生活歴、性格

等から好む環境に違いがあり、全ての入院患者に好まれる

環境の構築は困難である。又、安全面を優先することが入

院患者のプライバシーの保護を困難にする状況もある。し

かし、入院患者が主体的に好む場所を選択できるよう、一

方的に心地よいと思われる環境を職員から提供するので

はなく、そこで生活する入院患者の意見も取り入れて提供

することで、より一層充足した療養環境を提供できると考

えられる。【結論】碁石法を用いたキャプション評価は軽

度・中等度認知症でも可能であり、環境づくりの課題の抽

出が行えた。

示説22-4

精神科 A病棟の暴力の報告についての現状調査

-暴力被害を報告できない理由-

キーワード:暴力 精神科看護師 報告

○小口 薫1),水内 砂映1),佐越 愛1), 栁澤 美紀1)

1) 長野赤十字病院

【はじめに】精神科 A病棟では、暴力を受けた際に報告す

る事になっているが実際の件数と比べ報告件数は少ない。

暴力への対策に組織的に取り組む為に現場で発生する暴

力の正確な現状把握が必要である。暴力の報告について現

状調査を行い、報告できない理由を明らかにしたい。【目

的】A 病棟の暴力の報告について現状調査をし、報告でき

ない理由を明らかにする。【方法】研究対象者 A 病棟看護

師 23 名。先行研究を参考に独自に作成した質問用紙で、

受けたことのある暴力・報告した暴力・報告しなかった暴

力・報告しない理由について質問毎に単純集計を行った。

【倫理的配慮】研究目的・方法・参加の自由・不利益が生

じない旨を書面にて説明し、回答をもって同意とした。長

野赤十字病院倫理審査会にて承認を得た。【結果】質問用

紙回収率 87%。受けた暴力を全て報告するが 10%、7~8

割報告が 20%、半分報告が 20%、2~3割報告が 45%、全

く報告しないが 5%だった。報告しない理由は、精神科だ

から諦めている・面倒臭い・暴力が軽い・話してすっきり

した・知られたくない等だった。看護師経験年数 1~4 年

目で、自分の対応が悪かったから報告しないが 40%、5年

目以上は 0%だった。暴力被害を知られたくない看護師は

経験年数 10 年以上で 20%、10 年未満は 0%だった。報告

しない理由は、報告した暴力・報告しなかった暴力で、受

けた暴力数と比べて精神的暴力の方が報告率は低かった。

【考察】報告しない理由は、精神科だから当然と諦めてい

る気持ちがあり、日常的に起こる軽い暴力まで報告するの

は面倒という認識があると考える。経験年数が浅い看護師

は、自分の能力がないから暴力を受けたのだという陰性感

情を持ちやすいと考えられる。経験年数が多い看護師が知

られたくないと思ったのは、対処しきれず暴力を受けたと

いうことに羞恥心が生じたからと考えられる。どのような

行為が暴力なのか認識を統一し、報告の必要性を啓蒙して

いくことが必要だ。【結論】暴力被害を全て報告する人の

割合は低かった。精神的暴力は身体的暴力に比べて報告率

が低かった。報告しない理由は、精神科だから諦めてい

る・面倒臭い・暴力が軽い・話してすっきりした・知られ

たくない等だった。看護師経験年数 1~4 年目は、暴力被

害に対して自責的になる人がいた。看護師経験年数 10 年

以上の方が、暴力被害に対して知られたくないという気持

ちがあった。

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第 50 回日本看護学会―精神看護―学術集会 抄録集 (2019)

示説22-5

精神科病棟勤務の看護師のストレス及び職務

満足

-精神科病棟機能別における比較-

キーワード:精神科看護師 ストレス 職務満足 病棟機能

○佐藤 元喜1),幅上 優子1)

1) 岩手県立南光病院

【はじめに】A 病院では 2017 年に病棟機能を再編成した。

それぞれの病棟には役割、治療環境、業務内容の違いがあ

る。そこで、病棟別に業務上のストレス及び職務満足を明

らかにしたいと考えた。【目的】精神科病棟機能別におけ

る看護師の業務上のストレス及び職務満足を明らかにす

る。【方法】2018 年 10 月~2019 年 1 月、A病院精神科病棟

勤務看護師 143 名を対象に質問紙調査を実施。職業性スト

レス簡易調査票・職務満足測定尺度を使用。ストレスと 3

因子「仕事のストレス要因」「ストレス反応」「修飾要因」

毎の得点、職務満足と 4 因子「仕事に対する肯定的感情」

「上司からの適切な支援」「働きやすい労働環境」「職場で

の自らの存在意義」毎の得点を病棟別に比較。病棟別、ス

トレス・職務満足は一元配置分散分析し、シェッフェの多

重比較検定した。統計ソフトはエクセル統計を用い有意水

準 5%とした。職業性ストレス簡易調査票の心身のストレ

ス反応 29 項目の合計点数を算出し、77 点以上であるもの

を高ストレスとして比較した。【倫理的配慮】岩手県立南

光病院倫理委員会の承認を得て実施した。研究の趣旨、プ

ライバシーの保護、研究の公表、研究への参加は自由意思

で拒否しても不利益は生じない事を文書で説明し同意を

得た。職務満足測定尺度に関して撫養に使用の許諾を得た。

【結果】有効回答 89 名(87.3%)。「働きやすい労働環境」

のみ有意差がみられた。平均値は、救急入院料病棟 3.45、

男子亜急性期病棟 3.14、慢性期病棟 2.82、開放病棟 2.74、

急性期治療病棟 2.68、女子亜急性期病棟 2.6、P=0.0016。

高ストレス者は年齢別で 40 歳代以上、看護師経験年数別・

精神科経験年数別では 16年以上の割合が多かった。【考察】

ストレスに関しては、病棟別の役割、治療環境、業務内容

の違いが影響するのではなく、むしろ職業的地位、リー

ダーとしての役割など責任を増す事が影響したと考えら

れる。「働きやすい労働環境」は精神科救急入院料病棟が

最も平均値が高かった。これは収容患者数が少なく、精神

科入院基本料における人的基準の看護師の配置が他病棟

よりも多く、業務整備が行いやすい事が理由と考えられる。

女子亜急性期病棟が最も平均値が低かったのは、行動制限

患者数が最も多い等という看護度の違いが影響している

事が推測された。【結論】「働きやすい労働環境」のみ有意

差があった。