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自己紹介
•織田勧 (おだすすむ)
• 38歳
•九州大学大学院理学研究院物理学部門基礎粒子系講座素粒子実験研究室助教
•専門は素粒子実験
•神奈川県茅ケ崎市出身。高校まで。
•大学からは京都府、東京都、神奈川県、アメリカ・ニューヨーク州、フランス・アン県、福岡県を転々。
•現在は福岡市在住。
• http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/~oda/
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九州大学について
• 1911年に設置された九州帝国大学が母体。• 4番目の帝国大学
•共創学部、文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、芸術工学部、農学部の12学部がある。
•大学院は18学府ある。• 物理学、化学、地球惑星科学は理学府、数学は数理学府、生物学はシステム生命科学府などバラバラ。
•教員は主に研究院に所属している。
• http://www.kyushu-u.ac.jp/
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九州大学の学生数・教職員数
• 学部 1学年約2700人
• 大学院修士課程 1学年約2000人
• 大学院博士課程 1学年約700人
• 教員(教授、准教授、講師、助教、准助教)約2100人
• 職員(事務、医療、技術) 約2300人
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キャンパス
•福岡市東区の箱崎キャンパスから、福岡市西区の伊都キャンパスへの移転が今年9月に完了。
•医、歯、薬は馬出、芸工は大橋、それ以外の8学部は伊都。
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理学部について• 1939年に設置された。
•物理学科、化学科、地球惑星科学科、数学科、生物学科の5学科。
•「理学」すなわち基礎自然科学は、自然界にひそむ普遍的真理を探究し、自然哲学の基盤を構築することを目的とし、人類の自然に対する純粋で飽くなき知的好奇心をその原動力とする最高レベルの知的活動の1つである。
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物理学科について
•学部1年• 基幹教育
•学部2年• 物理コースと情報理学コースに振り分け
•学部3年• 専攻教育:講義、演習、実験、ゼミ
•学部4年• 特別研究 (=卒業研究)
•大学院• 研究、講義、ゼミ
•素粒子・原子核・宇宙物理学• 素粒子物理• 原子核物理• 宇宙・天体物理
•物性物理学• 統計力学基礎論• 量子物性• 極限環境物性• ソフトマター物性
森田浩介教授
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入学試験について• 一般入試、AO入試、推薦入試、国際入試、帰国子女入試、私費外国人留学生入試がある。
• 物理学科に入るには、• AO入試 7人センター試験、課題探求試験(物理)、面接
• 前期日程 42人 (2人) センター試験、2次試験(数学、理科2科目、外国語)• 第2志望学科まで志望できる。
• また、同時に「国際理学コース」にも出願できる。
• 後期日程 6人センター試験、面接
• 国際理学コース• 理学部のいずれかの学科に所属しながら、理学の専門知識と学際的な志向を持って国際的に活躍するリーダーを養成するための教育を行います。
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パンフレット
•九州大学理学部物理学科案内2019
•九州大学理学部国際理学コース
•2019年理学部案内サイエンスへのいざない• すみません、5部しかありません。• https://www.sci.kyushu-u.ac.jp/koho/pdf/izanai_2019.pdf
•請求すれば、(切手代を払えば、)資料を送付してくれる大学が多いと思います。
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この宇宙の物のおよその大きさ
•見える宇宙の大きさ 1027 m
•銀河の大きさ 1020 m
•太陽と地球との距離 1011 m
•地球の大きさ 107 m
•人間の大きさ1 m
•原子の大きさ10-9 m
•原子核の大きさ 10-15 m
•素粒子の大きさ <10-19 m
指数表記0.001 = 10-3
0.01 = 10-2
0.1 = 10-1
1 = 100
10 = 101
100 = 102
1000 = 103
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物質を細かく分けていくと、
物質
原子 分子
原子 原子原子核 電子
陽子 中性子
電子は負の電荷-1e、陽子は正の電荷+1eを持つ。中性子は電荷を持たない。
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周期表
•元素をその物理的、化学的性質に基づいて分類した表
•原子番号(=元素番号、陽子数、電子数)で、元素を分類する。
•一番外の軌道を回る電子の数が物質の性質を主に決めるので、周期性を持つ。
• 118番元素(陽子を118個含む)まで作られている。
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ドラえもん てんとう虫コミックス・短編第43巻第11話『合成鉱山の素』
• 考えてみるとすごくないですか。
• 1963年に103番元素が承認された。
• 1997年に104番から109番元素が承認された。
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核図表
• 原子番号は陽子の数で決まるが、中性子の数が異なる原子核が存在する。
• これまでに確認された数千個の原子核をまとめたものが核図表。
• 壊れない原子核も、すぐに壊れる原子核もある。
中性子数
陽子数• Sym: 元素記号
• Z: 原子番号 = 陽子数
• N: 中性子数
• A: 質量数 = 陽子数+中性子数
𝑍𝐴Sym𝑁
612C6 炭素12
113278Nh165ニホニウム278
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さらに細かく分けていくと、
物質
原子 分子
原子 原子原子核 電子
陽子 中性子
クォーク クォーク クォーク
素粒子: 物質を構成する最小の単位
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素粒子とは
•物質を構成する最小の単位
•内部構造や大きさを持たない点状の粒子
•全部で17個ある
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陽子と中性子
•アップクォークは+2
3𝑒の電荷を持つ
•ダウンクォークは−1
3𝑒の電荷を持つ
•陽子は2個のアップクォークと1個のダウンクォークからなる
• +2
3+ +
2
3+ −
1
3= +1
•中性子は1個のアップクォークと2個のダウンクォークからなる
• +2
3+ −
1
3+ −
1
3= 0
陽子 中性子
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物質を構成する素粒子
電荷 第1世代 第2世代 第3世代
クォーク +2
3eアップクォーク𝑢
チャームクォーク𝑐
トップクォーク 𝑡
−1
3eダウンクォーク𝑑
ストレンジクォーク𝑠
ボトムクォーク b
レプトン 0 e 電子ニュートリノ𝜈𝑒
ミューオンニュートリノ𝜈𝜇
タウニュートリノ𝜈𝜏
−1 e 電子 𝑒 ミューオン 𝜇 タウレプトン 𝜏
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エネルギーの単位:電子ボルト
•素粒子のエネルギーを表す単位として、電子ボルト(electron volt, eV)が使われる。
•これは、真空中において1ボルトの電位差のもとで、電子を加速した際に、電子が得る運動エネルギーを「1 eV」とした単位。
• E = 1/2 mv2 = eV• E: エネルギー
• m: 電子の質量
• v: 電子の速度
• e: 電子の電荷, 1.6 x 10-19 C (クーロン)
• V: 電位差
• 1 eV = 1.6 x 10-19 J (ジュール)
0 V +1 V
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接頭語1015 ペタ P
1012 テラ T
109 ギガ G
106 メガ M
103 キロ k
102 ヘクト h
100 - -
10-1 デシ d
10-2 センチ c
10-3 ミリ m
10-6 マイクロ m
10-9 ナノ n
10-12 ピコ p
10-15 フェムト f
1 TeV (テラ電子ボルト、テブ)は1012 eV = 1兆 eV
1 GeV (ギガ電子ボルト、ジェブ)は109 eV = 10億 eV
1 MeV (メガ電子ボルト、メブ)は106 eV = 100万 eV
1 keV (キロ電子ボルト、ケブ)は103 eV = 1千 eV
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4つの力
•力を相互作用とも呼ぶ。
•自然界には4つの相互作用がある。
•電気や磁気の力• 電磁相互作用 強さ1
•レプトンやクォークを崩壊させる力• 弱い相互作用 強さ~10−3
•クォークを陽子や中性子にまとめる力• 強い相互作用 強さ~102
•万有引力• 重力相互作用 強さ~10−38
素粒子物理学で扱うのはこの3つの力
中性子 陽子
電子
反電子ニュートリノ
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力を媒介する素粒子
•相互作用はゲージ粒子と呼ばれる素粒子によって媒介される。
相互作用 媒介するゲージ粒子
媒介する粒子の質量
荷
電磁相互作用 光子 (g) 0 eV 電荷
弱い相互作用 W+, W-, Z0粒子 80 GeV (W+, W-)91 GeV (Z0)
弱電荷
強い相互作用 グルーオン (g) 0 eV 色電荷
重力相互作用 重力子 (G, 未発見) 0 eV 質量
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質量を生み出す粒子
• ゲージ原理というものにより、素粒子の質量はゼロでなければならない
• 素粒子は実際にはゼロより大きい質量を持つので、どうにかして質量を持たせないといけない
• ヒッグス機構という仕組みで、ゲージ原理とは矛盾しない形で、素粒子に質量を持たせることができる
• ヒッグス機構ではヒッグス粒子 (H) が存在がする
• 長年の努力にも関わらず、唯一発見されていなかった素粒子がこのヒッグス粒子
• その発見は素粒子物理学の最重要課題であった
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素粒子の標準模型
•ラグランジアン:自然を記述する式
力
物質の運動と力
物質の質量(物質とヒッグス粒子)ヒッグス
粒子の運動と力
ヒッグス粒子間のポテンシャル
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欧州原子核研究機構(CERN, セルン)•スイス・ジュネーブにある、世界最大の素粒子物理学の研究所
• 1年間に利用する研究者は1万人以上
•ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)発祥の地• インターネット上の他の文書を参照するシステム
CERNの加盟国
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大型ハドロン衝突型加速器 (LHC)• CERNでは、大型ハドロン衝突型加速器(LHC: Large
Hadron Collider)が2010年から稼働。
• LHCは周長27キロメートルの世界最大の加速器。
• 陽子と陽子を世界最高のエネルギーの6.5+6.5 TeV = 13 TeV (テラ電子ボルト、兆電子ボルト)で衝突させる。
• ヒッグス粒子の発見・研究を始めとして、テラスケールでの素粒子物理学を開拓していくことが目的。
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LHC加速器の位置
LHC加速器
ATLAS→
住んでいた所→
ジュネーブ市街
CERN↓
ジュラ山
私が住んでいたアパート
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レマン湖
アルプス
アインシュタインの特殊相対性理論
•光速度不変の原理• 真空における光の速度𝑐 = 299,792,458 m/sはどの慣性座標系でも同一である。
•相対性原理• 全ての慣性座標系は等価である。
• 𝐸 = 𝑚𝑐2
•光速よりは速く移動できない。
• LHCの陽子の運動エネルギー6.5 TeV
•光速の99.999999%の速度
ロンドン・蝋人形館
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なぜ加速するの?なぜ衝突させるの?
•量子力学の不確定性関係: Δ𝑥Δ𝑝 ≥1
2ℏ
•細かいものを見るには、高い運動量 (≅エネルギー) が必要
•衝突させると、力が働き、様々な粒子が出て来る
•出て来た粒子を詳しく調べることで、どの粒子に、どのように力が働いたかがわかる
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アトラス (ATLAS)実験
•アトラス実験はLHCで行われている国際共同実験の1つ
•世界38カ国の181の研究機関からの約1200人の大学院生を含む5500人以上の研究者が協力して実験を遂行している
•九州大学の素粒子実験研究室はアトラス実験に2012年2月から参加し、教員や大学院生をCERN現地に派遣し、実験を推進している
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アトラス検出器• アトラス検出器は長さ44m、高さ25m、重量7000トンの、超大型かつ高精度・高分解能な粒子検出器群
• 高性能な「デジタルカメラ」
• その中心部にあるシリコン半導体飛跡検出器を素粒子実験研究室は担当している
• 陽子ビームを衝突させ、調べたい粒子・現象の信号パターンを含む事象を選択し、記録する
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アトラス検出器• 運動量
• 磁場中での回転半径から求める
• 位置測定用の飛跡検出器と超伝導磁石
• エネルギー• カロリメータ―の光量などの信号の大きさから求める
• ミューオンスペクトロメーター• ミューオン
• ハドロンカロリメータ―• 陽子、中性子など
• 電磁カロリメータ―• 電子、光子など
• 内部飛跡検出器• 荷電粒子
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ヒッグス粒子の生成と崩壊• 陽子同士をぶつける
• 陽子の中からグルーオンが出て来る
• グルーオン2個がトップクォーク2個になる
• トップクォーク2個がヒッグス粒子1個になる
• ヒッグス粒子1個がW粒子2個になり、光子2個に壊れる
• ヒッグス粒子1個がZ粒子2個になり、Z粒子1個が電子2個もしくはミューオン2個に壊れる• 合計4個のレプトン
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ヒッグス粒子の見つけ方• 質量を使う。
• 質量は運動量とエネルギーから決まる。
• 崩壊して出来た粒子の運動量とエネルギーから、元の粒子の運動量とエネルギーが決まって、元の粒子の質量が決まる。
• 光子1: (𝐸1, 𝑝𝑥1, 𝑝𝑦1, 𝑝𝑧1)
• 𝐸12 − 𝑝𝑥1
2 + 𝑝𝑦12 + 𝑝𝑧1
2 = 𝑚𝛾 = 0
• 光子2: (𝐸2, 𝑝𝑥2, 𝑝𝑦2, 𝑝𝑧2)
• 𝐸22 − 𝑝𝑥2
2 + 𝑝𝑦22 + 𝑝𝑧2
2 = 𝑚𝛾 = 0
• ヒッグス粒子が2個の光子が2個の崩壊した場合
• 𝐸1 + 𝐸22 − 𝑝𝑥1 + 𝑝𝑥2
2 + 𝑝𝑦1 + 𝑝𝑦22+ 𝑝𝑧1 + 𝑝𝑧2
2 = 𝑚𝐻
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ヒッグス粒子の発見 (2012年7月)ヒッグス粒子が
光子2個に壊れた場合ヒッグス粒子が
レプトン4個に壊れた場合
ヒッグス粒子に見えてしまうバックグラウンドに加えて、125 GeV付近に山(ピーク、イベント数が多いところ)が見える
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ヒッグス粒子の発見 (2012年7月)
• 未知の粒子はないのに、バックグラウンドがふらついたせいでたまたまピークが出来てしまう確率は3x10-7
• 未知の粒子がある統計的有意度は5.0s (偏差値100)
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ヒッグス粒子がミューオン4個に崩壊したイベント37/58
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ヒッグス粒子の発見の論文Physics Letters B 716 (2012) 1–29
本文16ページ, 著者リスト13ページ著者2932人, 私は1893番目(アルファベット順)
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ノーベル物理学賞 2013年•ブリュッセル自由大学のフランソワ・アングレール氏、エディンバラ大学のピーター・ヒッグス氏が受賞
•受賞理由は「素粒子の質量の起源に関する機構の理論的発見」
•力を伝える粒子に質量を与えるメカニズム「ヒッグス機構」の理論が提唱されたのは1964年
アングレール氏 ヒッグス氏
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ヒッグス粒子の最新状況朝日新聞
2018年6月6日朝刊
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様々な過程の頻度の実験と理論の比較
実験値と理論値が良く一致している
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標準模型を超える物理
• 素粒子の標準模型は実験結果を非常に良く説明している
• しかし、標準模型では説明できない現象がある
• 暗黒物質
• 暗黒エネルギー
• ニュートリノの質量 (2015年ノーベル物理学賞)
• 物質と反物質の非対称性 (2008年ノーベル物理学賞)• 反粒子: 粒子と反対の電荷を持つ粒子• 宇宙初期には粒子と反粒子は同じ数だけあったはずなのに、今の宇宙には反粒子はほとんど存在しない
標準模型を超える物理がなければならない
梶田隆章氏 益川敏英氏 小林誠氏
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標準模型を超える物理
それ以外にも解決して欲しいこととして,
• 重力相互作用は取り入れられていない
• なぜクォークもレプトンも3世代なのか
• パラメータの数が多すぎる• 湯川結合の値には大きな違いがある
• 階層性問題• ヒッグスの質量の2次発散
• なぜ電弱対称性が破れるのか
• 強いCP問題
• 相互作用が1つの群になっていない• SU(3)c x SU(2)W x U(1)Y SU(3)c x U(1)EM :直積になっている• 真の意味で統一されていない
標準模型を超える物理がなければならない.
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ビッグバン
138億年38万年
2分100億分の1秒
素粒子
元素原子
• 宇宙は高温の小さな火の玉から始まった
• 宇宙は膨張している
• 宇宙の始まりを理解するには、素粒子のことを知る必要がある
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ヒッグス粒子が、真空に満ちる•宇宙初期の真空
• 全ての素粒子は質量を持たず光速で走り回っていた
•宇宙が膨張して冷えてくるとある温度を境に真空が相転移を起こし、ヒッグス粒子が真空に満ちる• 100億分1秒後
•真空に満ちたヒッグス粒子が素粒子にまとわりついて、素粒子は動きにくくなる
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宇宙背景放射と宇宙のエネルギー•ビッグバン38万年後に放出された光は宇宙の膨張のために温度が低くなっている• 絶対温度2.726 K (氷点下270.424℃)
•温度のムラを測ると、宇宙年齢や宇宙のエネルギーの割合がわかる• 宇宙年齢138.01 ± 0.24億年
プランク衛星
• 5%: 通常の物質• 26%: 暗黒物質• 69%: 暗黒エネルギーほとんどは暗黒物質と暗黒エネルギー
宇宙のエネルギーの割合
通常の物質 暗黒物質 暗黒エネルギー
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暗黒物質• 渦巻銀河の回転速度は, 銀河の半径の約10倍の距離までほぼ一定
• 中心からはるか遠くまで光らない物質が存在することを意味する
• 重力レンズ: 恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力によって曲げられ、明るく見えたり、複数の像が見えたり、弓状に変形した像が見えたりする現象
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暗黒物質の候補
• 素粒子• ニュートラリーノ (WIMP)
• 最も軽い電気的に中性な超対称性粒子• ヒッグス粒子, W粒子, Z粒子, 光子の超対称パートナーの混合状態• 弱い相互作用と重力相互作用をする
• グラビティーノ• 重力子の超対称パートナー• 重力相互作用のみをする
• ステライルニュートリノ• 重力相互作用しかしない、ニュートリノ
• アクシオン• 強いCP問題を解決する過程で出てくる南部ゴールドストーン粒子• 強い相互作用しかしない、とても軽い粒子
• 天体• 宇宙初期に形成されたブラックホール• 小さくて暗い天体 (MACHO)
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超対称性粒子•標準模型の素粒子それぞれに超対称パートナーが存在する
•スピン(=自転)の大きさが1/2違う
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ニュートラリーノの探索方法
対消滅
対生成
散乱
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AMS実験• 国際宇宙ステーションに2011年に設置された• スペースシャトルの最後から2番目の飛行
• 暗黒物質の対消滅で発生した, 反物質を捉える• 𝜒0 𝜒0 → 𝑒+𝑒−, 𝜒0 𝜒0 → 𝑝 ҧ𝑝
• 陽電子の超過が見られ, ニュートラリーノの質量が1 TeVとすると, 測定値によく合う
• 暗黒物質ではなく, パルサーなどの天体起源の可能性もある
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XENON1T実験
•イタリア・グランサッソの地下1400m
•液化キセノンとニュートラリーノとの散乱で生じる光を捉える
•今までで最も強い制限を付けた2018年5月
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棄却
グルイーノの探索
• LHCでの超対称性粒子の探索の王道の解析
• 信号の兆候はない
横軸: グルイーノの質量縦軸: 一番軽いニュートラリーノの質量
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棄却
超対称性粒子の探索の結果(=棄却の結果)
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素粒子物理学の現状
•ヒッグス粒子が発見され、素粒子物理学の標準模型が完成
•標準模型で実験データが良く説明できる
•しかし、暗黒物質、ニュートリノの質量、物質と反物質の非対称性、暗黒エネルギーなど、標準模型では説明できないことが存在する
•標準模型を超える物理がなければならない
•しかし、まだそれが何であるかわかっていない
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国際リニアコライダー(ILC)• LHCを大きく上回る精度でヒッグス粒子の研究を行うために、250 GeVの電子・陽電子衝突型加速器を岩手県・宮城県に作る計画
• 標準模型を超える物理のシナリオを区別できる
• 現在、日本学術会議で審議中
• 12月中旬までに、日本に誘致するか否かを、日本政府が決断を下す
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まとめ
•九州大学は多くの学部を擁する総合大学
•理学部では数学や理科について学び、研究できる
•素粒子は物質を構成する最小の単位
•最後の未発見の素粒子だったヒッグス粒子は6年前に発見された
•しかし、素粒子と宇宙にはまだわからない多くの謎がある
•研究が進行中
CERNにある、素粒子の標準模型のラグランジアン(自然を記述する式)を書いた石
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