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©2013 MEIJI UNIVERSITY. ALL RIGHTS RESERVED. 1 伝統折紙の“技”! 曲がった筒の折り畳み設計手法 明治大学 先端数理科学インスティテュート(MIMS) 研究推進員 石田 祥子

伝統折紙の“技”! 曲がった筒の折り畳み設計手法 · ©2013 meiji university. all rights reserved. 2 折り畳み設計について

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伝統折紙の“技”! 曲がった筒の折り畳み設計手法

明治大学 先端数理科学インスティテュート(MIMS) 研究推進員 石田 祥子

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折り畳み設計について <産業界での利用例1>

引用:トーヨージャバラ株式会社 http://www.toyojabara.com/products06.html

用途に合わせて形状設計された工業用ジャバラ 展開収縮するロボットハンド

引用:岡山理科大学 知能機械工学科 研究レポートCASE01 http://www.are.ous.ac.jp/are/examinee/page3.htm 大阪大学基礎工学研究科 宮崎研究室 http://robotics.me.es.osaka-u.ac.jp/MiyazakiLab/index.html

• 伸縮する筒状構造物

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折り畳み設計について <産業界での利用例2>

洋服,インテリア用品 キッチン用品の収納効率アップ

既存の折り畳みキッチン用品はシリコンなどの素材の柔らかさによって折り畳んでいる.

女性用ワンピースの折り畳み

• ファッション性のあるデザイン

引用:Tokyo Fashion Diaries http://www.tokyofashiondiaries.com/issey-miyake-folds-origami-again-132-5-spring-summer-2012/ 家具情報サイト タブルーム http://tabroom.jp/contents/new-product/in-ei/

引用:エイムキューブ http://www.aimcube.com/?pid=22667229

世界的デザイナー,ミヤケイッセイ氏が従来の折り畳み技術を用い洋服・間接照明を製作・販売している.

間接照明の折り畳み

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折り畳み設計について <産業界での利用例3>

既存の知育教材として,ブロックやパズルを通して,幾何学的思考力の向上を狙った商品は数多い.

• 幾何学的思考力向上のための,幼児・学童向け知育教材,中高生向け数学教材

引用:Fridolin http://www.fridolin.de/start_de.htm

永岡書店 http://www.nagaokashoten.co.jp/

ボールネンド スクイッシュ http://www.bornelund.co.jp/

国土社 http://www.kokudosha.co.jp

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折り畳み設計について <産業界での利用例4>

• 筒状ゴミの体積の削減.

キリンビール株式会社 缶チューハイ氷結

これまでに,飲料缶を小さく潰して廃棄するため,軸方向に圧潰しやすい折れ線パターンを持った飲料缶が開発された.同様に,ペットボトルの圧潰に関する研究もある.

軸方向に圧縮し易い構造

我々の研究グループによる折り畳みペットボトル(野島武敏)

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従来技術とその問題点 従来の折り畳み可能な筒構造は,円筒や円錐といった“真っ直ぐな”筒の折り畳みしかなく,形状ヴァリエーションが少なかったため,応用先が限られていた.

展開した状態 畳まれた状態 展開した状態 畳まれた状態

円筒の折り畳み(従来技術) 円錐の折り畳み(従来技術)

外力 外力

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新技術の特徴・従来技術との比較

• どのように曲がった筒でも折り畳むことが出来る.デザインの多様性.

• 畳まれた状態と展開した状態での形状変化が大きい.曲がった筒でもコンパクトな収納が可能.

• 1枚のシート(紙,ビニールなどの柔軟性のあるもの)から設計可能.製造プロセスの簡略化が可能.

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新技術の特徴

ドーナッツ(トーラス)を多角形近似する.

多角柱の表面を平面へ展開.

折紙理論に基づいた折線を入れると折り畳むことが出来る!

このままではドーナッツは折り畳めない.

• 曲がった筒でも折り畳める

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新技術の特徴 • デザインの多様性(1)

展開した状態 畳まれた状態

ドーナッツの展開図(新技術) 円筒の展開図(従来技術)

異なる曲率を持った筒の結合が可能!

ドーナッツ

ドーナッツ

円筒

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新技術の特徴 • デザインの多様性(2)

要素#34

要素#1

展開した状態 畳まれた状態

要素#34 要素#34

要素#1

要素#34

要素#1 中抜き形状を徐々に変化させれば,どのように曲がった筒も折り畳み可能!

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(側面)

新技術の特徴 • デザインの多様性(3)

要素#12 要素#1

展開した状態 畳まれた状態

要素#7

要素#12

要素#1

要素#12 要素#1 要素#7

要素#7

3次元的にうねった筒も一部設計可能!

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新技術の特徴 • デザインの多様性(4)

展開した状態 畳まれた状態

曲がった円錐も小さく折り畳める!(平坦にはならない)

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新技術の特徴 • 1枚のシートから作成

赤折線のみ折り畳み (ドーナッツ形状)

畳まれた状態 展開した状態 (円筒)

黒折線:主折線 赤折線: 付加的折線

2段階折り畳み法

赤折線のみ折り畳み (ドーナッツ形状)

畳まれた状態 展開した状態 (円筒)

中抜き部にも折線を導入すれば,切り取る手間もなし!

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想定される用途

• 伸縮する筒状構造物(工業用ジャバラ,空気圧式アクチュエータ,折り畳み家具)

• ファッション性のあるデザイン(洋服,インテリア用品,キッチン用品)

• 幾何学的思考力向上のための,幼児・学童向け知育教材,中高生向け数学教材

• 筒状ゴミの体積の削減.

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想定される用途 • 伸縮する筒状構造物

従来のジャバラ構造の湾曲は素材の柔軟性によるものであり,設計上は“真っ直ぐ”である.外力によって曲げた状態で使用している.

↓ 新技術を用いると,曲がった折り畳み筒を設計することができ,余計な力を受けずに使用できる.

用途に合わせて形状設計された工業用ジャバラ

大きく展開収縮するロボットハンド 介護用ロボット,人が入れない環境下で働く作業ロボットなどの形状設計の多様性,制御の簡略化.

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• ファッション性のあるデザイン

想定される用途

従来の折り畳み技術を用いて洋服や間接照明が製作・販売されている. ↓

新技術を用いるとさらに形状ヴァリエーションが広がり,斬新なデザインが可能になる.

洋服,インテリア用品

キッチン用品の収納効率アップ 既存の折り畳みキッチン用品はシリコンなどの素材の柔らかさによって折り畳んでいる.

↓ キッチン用品の収納法は雑誌などにもしばしば取り上げられ,一般消費者にアピールしやすい折り畳み商品の一つである.長い物,かさばる物などに利用できる.

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想定される用途

既存の知育教材として,ブロックやパズルを通して,幾何学的思考力の向上を狙った商品は数多い.

↓ 日本の伝統文化である折紙を通して,算数,数学(幾何学)を扱う新しいおもちゃ,ゲーム,教材,書籍などが考えられる.

• 幾何学的思考力向上のための,幼児・学童向け知育教材,中高生向け数学教材

• 筒状ゴミの体積の削減. 飲料缶を小さく潰して廃棄するため,軸方向に圧潰しやすい折れ線パターンを持った飲料缶が開発された.同様に,ペットボトルの圧潰に関する研究もある.

↓ 新技術を用いれば,曲がった筒も小さく畳んで廃棄できる.長い筒はさらに効果的である.

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実用化に向けた課題

• 現在、汎用的な素材(ビニール)を用いた模型を試作中.

• 厚みのある素材を用いる場合は,厚みの影響を考慮する必要あり.

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企業への期待 • ニーズにあった設計を行うので、お気軽にご相談ください. – 筒型・ドーナッツ型の製品を取り扱っており、輸送費・保管費を削減したい.

– インフレータブル構造(エアバッグ,救命器具)を取り扱っており,展開性能・収納性能を向上させたい.

• 折り畳み構造そのものに展開機能はないので、アクチュエータの技術を持つ企業と共同で自己展開収縮可能な構造に関する研究を行いたい.

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :筒状折り畳み構造物の製造方法、 筒状折り畳み構造物の製造装置、及び、筒状折り畳み構造物

• 出 願 番 号 :特願2013-164614

• 出 願 人 :学校法人明治大学

• 発 明 者 :石田祥子,萩原一郎,野島武敏

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産学連携の経歴 ・2009年~2011年 民間企業にて、「振動と騒音の研究」

に従事

・2012年1月~3月 東京工業大学にて、「折紙の数理に基づいた構造設計」、「折紙構造物の振動音響解析」に関する研究に従事

・2012年4月~現在 明治大学にて、数社の企業と連係中

企業と連携している研究テーマは、 『折紙の数理から生まれた構造の産業応用』

に関する研究である.

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お問い合わせ先

明治大学 研究推進部 生田研究知財事務室 コーディネーター 下崎光明 TEL:044-934-7606 FAX:044-934-7917 e-mail:mb12007@meiji.ac.jp