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長岡技術科学大学Nagaoka University of Technology
研究倫理第4講 研究成果発表と研究倫理
1.研究成果の発表2.オーサーシップ3.オーサーシップの偽り4.不適切な発表方法5.著作権
1.研究成果の発表
①研究発表の重要性
・憲法23条 科学者の学問・研究の自由の保証 (社会の信頼を前提)
・研究成果の発表 ・・次の研究の土台、人類の知恵の深化、世代を超えた知恵
の継承
社会からは知識や意見の発信が求められている。
Publish or perish科学者の責任・・適切な方法で発表し、人々や社会を守る
(反対の例:ハンセン氏病、血液製剤)
②マス・メディアを媒介とした発信
・研究成果の発表方法・・・論文として学術雑誌の発表、書籍として発表、学会や
研究会で発表
・マス・メディアでの発表における注意点・・・分かり易く、誤解のないような表現
影響が大きい分、反作用にも要注意
STAP細胞問題(stimulus-triggered acquisition of pluripotency)・2014年1月 STAP細胞作成成功の報道(1月30日に『ネイチャー』に発表)問題点 研究不正(捏造・改ざん・盗用)
再現性医学・生命科学系の論文データベースによると(PNAS 109(42),pp.17028-17033,2012
)撤回された論文2047編 (ミスによるもの21.3%、不正によるもの67.4%)不正の中で(虚偽の疑惑43.3%、多重出版14.2%、盗用9.8%)
『ネイチャー』、『サイエンス』、『米国アカデミー紀要』が含まれていた。
2.オーサーシップ
①責任ある発表・正直さ(honesty)、正確さ(accuracy)、効率性(efficiency)、客観性(objectivity)・成果発表の評価
・何をしたのか(方法)・何を見出したのか(結果)・結果から何を導き出したのか(考察)
・満たすべき基準・研究についての十分かつ公平な記述・結果についての正確な報告・知見についての誠実かつ公平な評価
②研究成果のクレジット誰がその研究にどの程度貢献したのかの明記
・オーサーシップ(著者、およびその順)・引用
・謝辞
STAP細胞問題(stimulus-triggered acquisition of pluripotency)・2014年1月 STAP細胞作成成功の報道(1月30日に『ネイチャー』に発表)問題点 研究不正(捏造・改ざん・盗用)
再現性医学・生命科学系の論文データベースによると(PNAS 109(42),pp.17028-17033,2012
)撤回された論文2047編 (ミスによるもの21.3%、不正によるもの67.4%)不正の中で(虚偽の疑惑43.3%、多重出版14.2%、盗用9.8%)
『ネイチャー』、『サイエンス』、『米国アカデミー紀要』が含まれていた。
著者名
謝辞
参考文献
③オーサーシップと責任成果の発表に責任を持つ ・・・・連名者の不正についても責任を有する利益相反を明示
④誰を著者とすべきか著者としての4条件
・研究の構想・デザインやデータの取得・分析解釈に実質的に寄与していること・論文の草稿執筆や重要な専門的内容について重要な校閲をおこなっていること
・出版原稿の最終版を承認していること・論文の任意の箇所の正確性や誠実瀬さについて疑義が指摘された際、調査が適切に行われ疑義が解決されることを保証するため、研究のあらゆる側面について説明できることに同意していること
これ以外の貢献は謝辞に
⑤著者リストリストに載った著者は論文の内容に責任を有する。万一、連名者の一人が不正
を行ったとしても、著者全員が同様な責任を負う。
3.オーサーシップの偽り
①ギフトオーサーシップ
著者としての資格がないが、著者の好意等で名前を載せる
査読等が有利になると想定して高名な研究者を許可を得て連名にする
研究への間接的協力だけならば、“謝辞”が適切。
②ゴーストオーサーシップ
著者の資格があるのに、著者に載せられていない
利益相反を隠蔽した場合もある(医薬開発等)
いろいろ事情があるとしても、研究倫理違反
4.不適切な発表方法
①二重投稿、二重出版
業績の過大申告(水増し)が目的
日本語論文と英語論文を別と扱うなど規制が緩い学会もある
世界的には研究者倫理に違反しているとされている(厳しくなっている)
②サラミ出版
一つの研究を複数の小研究に分割して出版
業績の水増し
評価方法の問題点(単なる論文数だけの評価)の反映か
③先行研究の不適切な参照
自分の論文の独創性を強調したいため、適切な先行研究を無視
④謝辞について
協力を頂いた方々の正当な評価
研究費の助成を受けた場合の明示は必須(次につながる) 利益相反も
5.著作権
①著作権とは何か定義: 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は
音楽の範囲に属するものをいう
著作物は著作権法で保護 勝手な使用は禁止 許可(金銭も含め)論文・書籍では、文章、図、表、写真、イラスト、講演、新聞記事、雑誌記事等
②他人の著作物を利用するには著作権者に了解が必要著作権者: 著作者あるいは出版元違反: 民事では損害賠償、差し止め。 場合によっては刑事罰も
③著作権者の了解を得る必要がない二次利用著作権法の除外物(国の法令、地方自治体の条例)
・私的使用のための複製・保護期間の満了・引用
・教育や試験の目的で使用
https://whs.nagaokaut.ac.jp/concretelab/education/edu.html
講義で使用したPPTのアップ先