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1 第 1 章 はじめに はじめに はじめに はじめに 第1節 開発動機 開発動機 開発動機 開発動機 佐藤(2003)が開発した「ドリル工房」(以下,旧システム)は,作成した問題を実行することで ドリルとしてユーザの学習を支援することができる上に,アイテムの動作を可視化することで, 今までに提案された出題アルゴリズムの動作を視認しながら学習することができる.しかし,旧 システムを試用してみて使いづらい点や動作が不安定な部分などがあることがわかり,改善す る余地があるのではないかと考えた. そこで研究では旧システムの改善と機能の拡張を行った.

第第第第1111章章章章 はじめにはじめにはじめに1 第第第第1111章章章章 はじめにはじめにはじめに 第第第第1111節節節節 開発動機 佐藤(2003)が開発した「ドリル工房」(以下,旧システム)は,作成した問題を実行することで

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    第第第第 1111 章章章章 はじめにはじめにはじめにはじめに

    第第第第1111節節節節 開発動機開発動機開発動機開発動機

    佐藤(2003)が開発した「ドリル工房」(以下,旧システム)は,作成した問題を実行することで

    ドリルとしてユーザの学習を支援することができる上に,アイテムの動作を可視化することで,

    今までに提案された出題アルゴリズムの動作を視認しながら学習することができる.しかし,旧

    システムを試用してみて使いづらい点や動作が不安定な部分などがあることがわかり,改善す

    る余地があるのではないかと考えた.

    そこで本研究では旧システムの改善と機能の拡張を行った.

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    第第第第2222章章章章 旧旧旧旧システムシステムシステムシステム概要概要概要概要

    第第第第1111節節節節 ドリルドリルドリルドリル工房工房工房工房とはとはとはとは

    「ドリル工房」(佐藤 2003)は,これまでに提案されているドリルの出題アルゴリズムの収集と

    データを統合する,アルゴリズムを可視化することでアイテムの動作を明示し比較を容易にす

    る,作成した問題を持ち帰りネットワークに接続していないパソコン上で動作可能にする,の3

    つを満たすシステムである(図 1-1).出題アルゴリズムとして単語帳型,ランダム出題型,2 プ

    ール,項目間隔変動型,正答消去型,3 プール,拡張型3プール,状態前進型の8つを,また

    出題形式として画像選択肢型,文字選択肢型,記述型,穴埋め型の4つを実装している.

    図1-1.ドリル工房 可視化実行画面

    第第第第2222節節節節 旧旧旧旧システムシステムシステムシステムのののの問題点問題点問題点問題点

    旧システムを試用し,機能,画面デザイン,プログラム構造の分析を行い,問題点を洗い出し

    た.問題点として,まず選択肢の作成方法が挙げられた.旧システムでは,選択肢を作成する

    際に,同アイテムプール内のアイテムを無差別に選択し,選択肢を作成していた.このため,

    同アイテムプール内に明らかに異なるジャンルのアイテムが存在すると,それが選択された場

    合に問題文にとって適切でない選択肢が作成された.さらに問題の編集機能の編集と削除が

    正常に動作していないという問題があり,アイテムの新規作成のみでしか問題を作ることができ

    ない状態であった.

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    第第第第3333章章章章 新新新新システムシステムシステムシステムのののの設計設計設計設計

    第第第第1111節節節節 新新新新システムシステムシステムシステムのののの目的目的目的目的

    新システムの目的は,旧システムにおける問題点の解消と機能の拡張により,ドリ

    ルシェルとしての完成度を高めることにあった.

    第第第第2222節節節節 旧旧旧旧システムシステムシステムシステムとのとのとのとの相違点相違点相違点相違点

    旧システムには,問題の選択肢に適切でないものが含まれるという問題点があったが,

    新システムではアイテムそれぞれに対して,新規作成したカテゴリまたは既に登録され

    ているカテゴリを割り当てることで,出題された問題に対して適切な選択肢を作成する

    ことが可能になった.これにより,ユーザはアイテムプールに異なるカテゴリのアイテ

    ムも追加することが可能になった.さらに問題に不適切な選択肢が作成されるという問

    題点も改善された.

    さらに旧システムにはアイテムの編集と削除ができないという問題点があったが,新

    システムではその機能を実装し,正常に動作させることが可能になった.

    そして,旧システムでは問題の実行はユーザ自身が作成した問題しか実行できなかっ

    たが,新システムではシステム上で作成された問題すべてを実行できるようにした.

    新システムでは,旧システムのデータベースのスキーマを再検討し,いくつかの新し

    いフィールドを追加した.また,学習者が自分の使いやすいように実行画面のデザイン

    をカスタマイズできるように新たな機能を加えた.新旧システムの機能比較を表 1-1 に

    示す.

    表 1-1 新旧システム機能比較表

    旧旧旧旧ドリルドリルドリルドリル工房工房工房工房 新新新新システムシステムシステムシステム

    可視化機能可視化機能可視化機能可視化機能 ○ 実装

    おおおお持持持持ちちちち帰帰帰帰りりりり機能機能機能機能 △ 継承

    出題出題出題出題アルゴリズムアルゴリズムアルゴリズムアルゴリズム8888つつつつ △ 実装

    出題形式出題形式出題形式出題形式4444つつつつ ○ 実装

    デザインカスタマイズデザインカスタマイズデザインカスタマイズデザインカスタマイズ機能機能機能機能 なし 実装

    アイテムアイテムアイテムアイテムのののの属性属性属性属性((((カテゴリカテゴリカテゴリカテゴリ))))分分分分けけけけ なし 実装

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    第第第第3333節節節節 データベースデータベースデータベースデータベースのののの改善改善改善改善点点点点とととと構造構造構造構造

    旧システムではデータをテキストファイルで扱っていたが,新システムでは MySQL

    を使用し,データベースでデータの管理を行った.そして,「選択肢の数」や「一度

    に学習できる問題数」など問題の実行パラメータは旧システムではアイテムプールご

    とに設定していたが,新システムではユーザごとに管理することにし,どの問題を実

    行しても学習者が設定した実行パラメータで学習を行うことができるようになった

    (表 3-1).例えば,実行パラメータ内の「選択肢の数」を4に設定したユーザはど

    の問題を実行しても選択肢の数は4つで実行されるようになる.

    アイテムのデータに関しては,問題実行時の選択肢の作成処理で適切な選択肢を作

    成するために,新たにカテゴリ属性を追加した.旧システムでは同アイテムプール内

    からランダムにアイテムを抽出していために作成される選択肢は問題文に対して適

    切でないものが含まれるという問題点があったためである.

    そこで,本システムではカテゴリが同じものをすべてのアイテムプール内からアイ

    テムを抽出し選択肢を作成する仕様にした.それにより,問題に対して適切かつ多様

    性のある選択肢作成が可能になった.たとえば,ユーザが「歴史人物」などのカテゴ

    リを新規に作成すると,アイテムの新規作成画面で全ユーザに対して「歴史人物」と

    いうカテゴリが選択可能な状態になる.そのカテゴリを選択して作成したアイテム

    は,他のアイテムプールに所属するアイテムが出題された場合も選択肢の候補として

    挙げられるようになる.

    その他,金西ら(2003)は,数学に関する演習問題の場合,問題内の数値をランダムに設定

    し,問題を解く過程で使用する式の符号を替えた計算結果を選択肢に加えるなどの手法を用

    いて,毎回数値の違う問題と選択肢を作成することを可能にしていた.しかし,論文中の評価

    にこの手法で作成される選択肢の中には使えないものが作成される場合もあったと言われて

    いたので,本システムにはこの選択肢の作成手法は実装しなかったが,使えない選択肢を省

    く処理を加えれば十分に使える手法でなないだろうかと考えた.

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    表 3-1 ユーザデータの構造

    user

    フィールドフィールドフィールドフィールド フィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプ 空空空空のののの値値値値(NULL) 追加追加追加追加するするするする

    no int(11) いいえ auto_increment

    id varchar(10) いいえ

    pass varchar(32) いいえ

    design varchar(30) いいえ

    listout varchar(100) いいえ

    wanum varchar(20) いいえ

    lomess varchar(100) いいえ

    nigatemess varchar(100) いいえ

    choicenum varchar(20) いいえ

    reintaval varchar(20) いいえ

    studynum varchar(20) いいえ

    redate varchar(20) いいえ

    probpremethod varchar(100) いいえ

    問題のデータ構造はアイテムプールのテーブル item-p,アイテムプールとアイテム

    の関係を示すテーブル ip-relation とアイテムのテーブル item でデータの管理を行

    った(表 3-2).

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    表 3-2 問題データの構造

    itemitemitemitem----pppp

    フィールドフィールドフィールドフィールド フィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプ 空空空空のののの値値値値(NULL) 追加追加追加追加するするするする

    id int(11) いいえ auto_increment

    title varchar(50) いいえ

    explain text いいえ

    titlepic varchar(100) いいえ

    author varchar(40) いいえ

    ipipipip----relationrelationrelationrelation

    フィールドフィールドフィールドフィールド フィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプ 空空空空のののの値値値値(NULL) 追加追加追加追加するするするする

    no int(11) いいえ auto_increment

    p-id int(11) いいえ

    id int(11) いいえ

    itemitemitemitem

    フィールドフィールドフィールドフィールド フィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプフィールドタイプ 空空空空のののの値値値値 追加追加追加追加するするするする

    id int(11) いいえ auto_increment

    name varchar(150) いいえ

    problem text いいえ

    explain text いいえ

    picture varchar(50) いいえ

    link varchar(50) いいえ

    otherans varchar(100) いいえ

    corAnsComment text いいえ

    incorAnsComment text いいえ

    setQues varchar(50) いいえ

    genre varchar(50) いいえ

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    第第第第4444節節節節 デザインカスタマイズデザインカスタマイズデザインカスタマイズデザインカスタマイズ機能機能機能機能

    本システムでは,学習をスムーズに進めるために学習者が見やすい表示で学習でき

    るよう問題の実行画面のデザインの変更をすることを可能にした.

    3.4.1 デザインデザインデザインデザイン簡易変更簡易変更簡易変更簡易変更

    デザインを変更する際,CSS がわからないユーザのために背景色やフォントサイズ

    など基本的な項目に関してセレクトボックスから値を選択することで,デザインが変

    更できるように設計した(図3-1).

    変更は全体,タイトル,問題文,選択肢に対して各競って項目を変更可能である.

    設定可能な項目は表 3-3 の通りである.

    図 3-1 デザイン簡易変更画面

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    表 3-3 デザイン設定項目と選択可能な値

    設定項目設定項目設定項目設定項目 値値値値

    背景 黒,シルバー,灰,白,赤,紫,緑,黄,紺,青

    フォント色 黒,シルバー,灰,白,赤,紫,緑,黄,紺,青

    フォントサイズ 8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,30,40

    フォントの太さ 標準,太字

    枠の色 黒,シルバー,灰,白,赤,紫,緑,黄,紺,青

    枠の太さ 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12

    テキストの位置 左寄り,中央,右寄り

    3.4.2 デザインデザインデザインデザイン詳細変更詳細変更詳細変更詳細変更

    さらに自由にデザインを変更するために,テキストエリアに現在設定されている

    CSS と適応される HTML のソースを表示し,それを書き換える更新することを可能にし

    た(図 3-2).

    図 3-2 デザイン詳細変更画面

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    第第第第4444章章章章 システムシステムシステムシステム開発開発開発開発

    第第第第1111節節節節 開発環境開発環境開発環境開発環境

    開発には,PHP5 を使用した.またプログラミング作業とデザイン作業を分け,効率

    的に開発を進めるために Smarty を使用した.さらにデータベースが変更された場合に

    も,少ないコードの変更で対応できるよう PHP ライブラリに含まれる PEAR の DB モ

    ジュールを使用し,PHPのコードがデータベースに依存しないようにした.これにより,

    システムを稼働しているサーバのデータベースの種類を変更された場合でも,通常より

    少ないコードの書き換えで,システムの稼働が可能になった.

    旧システムでは,テキストファイルによるデータの管理を行っていたが,新システム

    では,問題データベースに MySQL4.1 を使用した.これにより,検索などの処理の高速

    化やデータ操作の容易になるなどの利点が得られた.

    外部実行用ランタイムについては,オフラインで実行できる必要があるため旧システ

    ムと同様に Macromedia Flashを使用した.

    第第第第2222節節節節 システムシステムシステムシステムののののトップページトップページトップページトップページ

    ユーザがシステムを利用する際は,トップページでユーザIDとパスワードを入力し

    ログインを行う.アカウントを作成していない場合は,このページからアカウントの作

    成を行う.ページ左には「問題の編集」,「問題の実行」,「ユーザ設定」,「お持ち

    帰り」のメニューを表示し,これらを選択することで各機能を実行することができる.

    図 4-1 システムのトップページ

  • 10

    第第第第3333節節節節 問題問題問題問題のののの編集機能編集機能編集機能編集機能

    ページ左にあるメニューの「問題の編集」をクリックすると,問題の編集機能が実行

    され,ログイン中のユーザが作成した問題集が表示される(図 4-2).

    図 4-2 問題編集画面 トップページ

    この画面で「問題の新規作成」ボタンを押すと,問題の新規作成をすることができる.

    その際,問題集のタイトルと問題集の説明,タイトル画像を入力し,「新規作成する」

    ボタンを押すことで,問題集を新規作成することができる.表示されている問題集には

    それぞれ「編集する」ボタンと「削除」ボタンがあり,「編集する」ボタンを押すとそ

    の問題集の編集と,問題の編集をすることができる.「削除」ボタンを押すとその問題

    集を削除することができる.その際,問題集の中の問題(アイテム)は,削除するかし

    ないかを選択して実行することができる.

  • 11

    4.3.1 アイテムプールアイテムプールアイテムプールアイテムプールのののの編集編集編集編集

    アイテムプールの編集機能では,問題集のタイトル,問題集の説明,タイトル画像を

    変更し「更新」ボタンを押すことで,それらの情報を更新することができる(図 4-3).

    図 4-3 問題集の編集画面

  • 12

    4.3.2 アイテムアイテムアイテムアイテムのののの編集機能編集機能編集機能編集機能

    アイテムの編集機能では,アイテムが持つアイテム名,問題文などの各種情報を編集

    できる.アイテムの編集を実行すると,現在選択しているアイテムプールの全てのアイ

    テムが表示される(図 4-4).

    アイテムを新規作成する場合は,「新規作成」のリンクをクリックし,新規作成画面

    内のフォームに必要な情報を入力することでアイテムを作成することができる.

    一覧表示されているアイテムには,「編集」ボタンと「削除」ボタンが用意されてお

    り,編集ボタンを押すとそのアイテムの編集画面(図 4-5)に移り,アイテムの情報を

    編集することができる.「削除」ボタンを押すと削除確認画面に進み,「はい(削除す

    る)」ボタンを押すとアイテムが削除できる.

    図 4-4 アイテムの編集画面

  • 13

    図 4-5 アイテム編集画面

  • 14

    第第第第4444節節節節 問題問題問題問題のののの実行機能実行機能実行機能実行機能

    問題の実行機能では,実行する問題を選択した後に出題アルゴリズムと出題形式の選択

    を行う(図 4-6).出題アルゴリズムは単語帳型,ランダム出題型,2 プール,3 プール,

    拡張型3プール,項目間隔変動型,正答消去型,状態前進型の8つ,出題形式は文字選択

    肢型,画像選択型,記述型,穴埋め型の4つが実装されている.

    問題の実行は問題出題(図 4-7)と正誤判定(図 4-8)の繰り返しで行われ,選択した

    出題アルゴリズムによって選択されたアイテムが出題される.

    図 4-6 出題アルゴリズムと出題形式選択画面

  • 15

    図 4-7 問題出題画面

    図 4-8 正誤判定画面

  • 16

    第第第第5555節節節節 おおおお持持持持ちちちち帰帰帰帰りりりり機能機能機能機能

    ユーザが作成した問題をダウンロードし,オフライン環境での問題の実行を可能にする

    お持ち帰り機能を実装した(図 4-9).お持ち帰り機能では,出題アルゴリズムは正答消

    去型,出題形式は画像選択型を使用した.これにより学習者は,ネットワークに接続して

    いない状態でも自分が持ち帰った問題で学習することが可能になった.

    図 4-9 お持ち帰り実行画面

  • 17

    第第第第5555章章章章 ユーザビリティユーザビリティユーザビリティユーザビリティ評価評価評価評価

    第第第第1111節節節節 プロトタイププロトタイププロトタイププロトタイプのののの評価評価評価評価

    問題の編集機能と,実行機能の一部が実行できるプロトタイプの段階でユーザビリテ

    ィ評価を行った.

    5.1.1 評価評価評価評価のののの目的目的目的目的

    今後,開発を進めていく上でシステム完成後の改善を軽減するためにプロトタイプの段

    階で,「操作上不都合な段階はないか」,「正常に動作しているか」を評価し,改善点の

    洗い出しを行った.

    5.1.2 評価方法評価方法評価方法評価方法

    協力者(大学生)5 名にシステムにアクセスしてもらい,プロトタイプ用操作手順書(添

    付資料)に従い,実際に問題の作成と実行を行ってもらった.その後,5段階評価と自由記

    述のアンケートに答えてもらい,口頭でもいくつか質問の答えてもらった.

    5.1.3 評価評価評価評価のののの結果結果結果結果

    評価を行った結果,5段階の選択式の評価は以下のような結果になった.

    平均点平均点平均点平均点

    3.4

    4.8

    5

    5

    4.6

    4.4

    4.2

    4.6

    5

    4.6

    5

    5

    5

    4.8

    5

    4.4

    質問内容質問内容質問内容質問内容

    システム全体で操作上不都合なことはなかった

    システムのレイアウトとデザインは見やすい表示だった

    ユーザ登録はスムーズに行うことができた

    ログインはスムーズに行うことができた

    アイテムプールの新規作成は容易にできた

    アイテムプールの編集は容易にできた

    アイテムの新規作成は容易にできた

    容易に学習することができた

    学習結果は見やすい表示であった

    アイテムの編集は容易にできた

    アイテムの削除は容易にできた

    問題の選択から実行までスムーズに操作できた

    通常実行の設定画面は見やすい表示であった

    問題文は見やすい表示であった

    選択肢は見やすい表示であった

    解説文は見やすい表示であった

  • 18

    「システム全体で操作上不都合なことはなかった」という質問内容が極端に低い結果にな

    った.しかし,自由記述部分ではデザインに関しては,「見やすい表示だった」,「綺麗

    なデザインだった」などの良い評価を得た.

    一方,「用語の説明が欲しい」,「ヘルプページがあった方が良い」,「もう少しわか

    りやすい用語で」などの問題点が自由記述であったので,システム上で操作上不都合なこ

    とが生じるのは,デザイン面が原因ではなく,用語が難しく理解できないためだというこ

    とがわかった.よって,この問題点を用語の説明を加えたり,用語を簡単にするなどして

    改善を行った.

  • 19

    第第第第2222節節節節 本評価本評価本評価本評価

    5.2.1 評価目的評価目的評価目的評価目的

    システムが完成し,プロトタイプ版での問題点が改善されているか,新たに加わった機

    能は操作上不都合なことはないかを確認するために評価を行った.

    5.2.2 評価方法評価方法評価方法評価方法

    協力者(大学生)5 名にシステムにアクセスしてもらい,操作手順書に従い,実際に問題

    の作成と実行,デザインの変更,教材のダウンロードを行ってもらった.その後,5 段階評

    価と自由記述のアンケートに答えてもらった.

    5.2.3 評価評価評価評価のののの結果結果結果結果

    5 段階評価の結果は以下のようになった.

    平均点平均点平均点平均点

    4.2

    4.8

    5

    5

    4.6

    4.4

    4.6

    4.8

    5

    4.8

    4.8

    5

    5

    4.8

    5

    5

    4.8

    4.6

    4.4

    3.4

    4.4

    質問内容質問内容質問内容質問内容

    システム全体で操作上不都合なことはなかった

    システムのレイアウトとデザインは見やすい表示だった

    ユーザ登録はスムーズに行うことができた

    ログインはスムーズに行うことができた

    アイテムプールの新規作成は容易にできた

    アイテムプールの編集は容易にできた

    アイテムの新規作成は容易にできた

    アイテムの編集は容易にできた

    アイテムの削除は容易にできた

    問題の選択から実行までスムーズに操作できた

    通常実行の設定画面は見やすい表示であった

    問題文は見やすい表示であった

    選択肢は見やすい表示であった

    解説文は見やすい表示であった

    容易に学習することができた

    お持ち帰り教材のダウンロードは容易にできた

    お持ち帰り教材の実行画面は見やすい表示であった

    学習結果は見やすい表示であった

    デザインの簡易変更は容易にできた

    デザインの詳細変更は容易にできた

    可視化実行画面は見やすい表示であった

  • 20

    プロトタイプ版の評価で低かった「システム全体で操作上不都合なことはなかった」の

    項目も 4.2 と高い評価を得られることができ,十分に改善できたといえる.しかし,「お

    持ち帰り教材のダウンロードは容易にできた」という項目が 3.4 と低い結果になった.自

    由記述の回答によると「画像や実行ファイルを1つずつダウンロードするのが面倒だ」な

    どの意見があり,それが原因になっていると思われた.これに対してはダウンロードする

    ファイルをシステム側で zip 形式などに圧縮することで改善されるのではないかと考え

    られる.

  • 21

    第第第第6666章章章章 まとまとまとまとめめめめ

    本研究では,旧システムの問題点を改善し,新たな機能として,デザインのカスタマイ

    ズをできる機能を付加した.これにより,学習者が自分で学習しやすいレイアウトや配色

    で学習してもらうことができるようになった.

    今後の課題として,出題アルゴリズムのカスタマイズ機能を実装すること等が考えられ

    る.それにより学習者はより柔軟に自分にあった出題アルゴリズムで学習することが可能

    になるうえに,新たな出題アルゴリズムを考案する上でも役立つだろうと考えられる.

    それとお持ち帰り教材の出題アルゴリズムと出題形式はこちら側で決めて,ユーザは選

    択することができない仕様に本システムではなっているが,それをユーザが選択するよう

    にすることも今後の課題として挙げられる.

  • 22

    参考文献参考文献参考文献参考文献

    佐藤晶一(2003) 統合型ドリルシェル「ドリル工房」の開発と評価,岩手県立大学卒

    業論文

    金西計英,林賢太郎,光原弘幸,矢野米雄(2003)「教材知識に基づき WBT 上で演習

    問題を生成する機能の実現」,教育情報システム学会誌 vol.20 No.2 2003