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特集キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」 有限会社プライマリーでは、「デイハウスきら ら」「きららTown」「モンクール」という3つ の通所事業所を運営している。 この3つの事業所では、利用者に継続的に利用 してもらうためにさまざまな取り組みを行ってお り、特に定員24名の「デイハウスきらら」では、 約9年間に渡って稼働率90%超を維持し、全国か ら見学者が訪れる事業所運営を実現している。 今回は、この3つの事業所運営を通じて行ってい る、「キャンセル率ゼロ」や「継続的利用を生み出 すためのノウハウ」をご紹介したいと思う。 ~ スタッフ一丸となり「キャンセル率ゼロ」を目指す ~ うめ ざわ のぶ よし 有限会社 プライマリー 代表取締役 「当日利用キャンセルがなぜか続く」「継続 利用がなかなか決まらない」などといった悩み を抱えるデイの経営者は多い。一度そのループ に陥ってしまったら、抜け出すには一苦労だ。 ここでは、デイが各地で競合する中、常に稼働 率90%超を維持する有限会社プライマリーが実 践しているノウハウを分かりやすく解説する。 (1)成果を出すために必要なのは    「あり方」を明確に示すこと まずは、私たちが事業所運営において成果を出すた めに、どんなことについても共通しているピラミッド をご紹介しよう。 私たちが最も大切だと考えているのは、ピラミッ ドの土台、「あり方」である。誰のために、何のた めに、なぜ? という目的意識を共有できれば、そ れを実現するためのアイデアは、そこで働くスタッ フがたくさん持っているのだ。過程の中で「やり方 (手段)」にこだわることももちろん大切ではある が、それ以前に全体を支える土台づくりこそが重要 だということを強く伝えたい。 「あり方」を明確にして、スタッフ全員で共有する 知識 仕事・利用者に対するあり方(心構え・考え方) 「何を目指すのか?」「どんなことを大切にするのか?」 技術 祖父の病死をきっかけに、介護業界に転身。介護業界の現場に違和感を覚 え、理想の介護'を追及すべく、独立を決意。2005年から「スタッフの充 実感・幸福感」をベースに利用者を笑顔にする介護を展開する。事業所は 地元、桐生市でも圧倒的な支持を得ており、全国各地から訪れる見学者も 多い。近年では株式会社プライマリーコンサルティングを立ち上げ、その 運営ノウハウを全国に広めている。 やり方 あり方 特集 キャンセル率ゼロへの挑戦 Vol.14 デイの経営と運営 35

継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す

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Page 1: 継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す

特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦

プライマリーグループで大切にしているピラミッド

継続的な利用を生み出す5つの「やり方」

 有限会社プライマリーでは、「デイハウスきら

ら」「きららTown」「モンクール」という3つ

の通所事業所を運営している。

 この3つの事業所では、利用者に継続的に利用

してもらうためにさまざまな取り組みを行ってお

り、特に定員24名の「デイハウスきらら」では、

約9年間に渡って稼働率90%超を維持し、全国か

ら見学者が訪れる事業所運営を実現している。

 今回は、この3つの事業所運営を通じて行ってい

る、「キャンセル率ゼロ」や「継続的利用を生み出

すためのノウハウ」をご紹介したいと思う。

~ スタッフ一丸となり「キャンセル率ゼロ」を目指す ~

梅うめ

澤ざわ

伸のぶ

嘉よし

有限会社 プライマリー 代表取締役

 「当日利用キャンセルがなぜか続く」「継続

利用がなかなか決まらない」などといった悩み

を抱えるデイの経営者は多い。一度そのループ

に陥ってしまったら、抜け出すには一苦労だ。

ここでは、デイが各地で競合する中、常に稼働

率90%超を維持する有限会社プライマリーが実

践しているノウハウを分かりやすく解説する。

(1)成果を出すために必要なのは     「あり方」を明確に示すこと

 まずは、私たちが事業所運営において成果を出すた

めに、どんなことについても共通しているピラミッド

をご紹介しよう。

 私たちが最も大切だと考えているのは、ピラミッ

ドの土台、「あり方」である。誰のために、何のた

めに、なぜ? という目的意識を共有できれば、そ

れを実現するためのアイデアは、そこで働くスタッ

フがたくさん持っているのだ。過程の中で「やり方

(手段)」にこだわることももちろん大切ではある

が、それ以前に全体を支える土台づくりこそが重要

だということを強く伝えたい。

1 「あり方」を明確にして、スタッフ全員で共有する

知識

仕事・利用者に対するあり方(心構え・考え方)「何を目指すのか?」「どんなことを大切にするのか?」

技術

祖父の病死をきっかけに、介護業界に転身。介護業界の現場に違和感を覚え、理想の介護'を追及すべく、独立を決意。2005年から「スタッフの充実感・幸福感」をベースに利用者を笑顔にする介護を展開する。事業所は地元、桐生市でも圧倒的な支持を得ており、全国各地から訪れる見学者も多い。近年では株式会社プライマリーコンサルティングを立ち上げ、その運営ノウハウを全国に広めている。

やり方

あり方

特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦

Vol.14 デイの経営と運営 35

Page 2: 継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す

 弊社では、「いかに利用者に継続的に利用してい

ただくか?」を意識するために、各事業所の管理者

が参加する「デイ会議」を月に1回開催し、各事業

所の稼働率目標と結果の報告、目標を達成するため

の具体的な取り組みを管理者間で話し合っている。

 数値目標を立てると、「それを達成するために何

をすべきか?」を意識するようになり、その方針に

沿ったさまざまなアイデアが出るようになる。その

中で出たアイデアを迅速に具体化し、実行すること

により、「キャンセル防止」や「継続利用」につな

がっていくことも多々ある。

 そこで大切なのは、「稼働率に対する考え方」と

「報酬(お金)に対する考え方」である。

 高稼働率を維持できる事業所は、「利用者に満足

していただける事業所運営ができている」「地域の

多くの高齢者に貢献できている」という部分が結果

として高稼働率維持へと結びついているという考え

は間違いではない。ここの考え方はどこの経営者も

同じだろう。

(2)「数字(率)」を要求する前に、その数   字の影響力を分かりやすく伝える 

 介護業界は福祉分野ということもあり、「お金を

稼ぐこと=悪いこと」というイメージを持っている

方も多い。「お金、お金」と言う訳ではないが、

「健全に良いサービスを提供し、多くの利用者から

支持されることによって、お金を稼いでいる」とい

う考え方を経営者・管理者が持つことは非常に大切

である。

 コンサルティングなどをしていると、現状で利用

者数が少なくても「給料はもらえて当たり前」と考

えていたり、事業所の利用率が下がっているのに

「給料を上げてほしい」といった声が現場スタッフ

から上がっている…という相談を経営者から受ける

ことがある。

 そういった問題に対しては、「報酬は会社から与

えてもらうものではなく、自分たちで稼ぐものであ

る」という意識(考え方)を現場スタッフにしっか

り持ってもらうことが根本的な対策と言える。良い

サービスを提供し、結果が出れば、会社の売り上げ

も上がり、社員の給与にも反映されていく、という

ことを現場のスタッフにも理解してもらうことが必

要なのだ。

 皆さまに伝えたいのは、数字のみにとらわれて、

やみくもに「キャンセルをゼロにしろ!」「稼働率

を上げろ!」と口を酸っぱくしてスタッフに伝えて

も、理解できないスタッフもいるということであ

る。それらの行為が、利用者や働く自分たちにとっ

て、どんな意味があるのか? その部分を明確に伝

えることができたときに、スタッフの意識・行動が

変わってくるのだ。

 このポイントを間違って伝えてしまうと、スタッ

フに誤解され、関係性の悪化やモチベーションの低

下につながる恐れもあるため、細心の注意が必要で

ある。

 次に、「何をすれば良いのか」具体的な説明に移

りたいと思う。

 まずは、「あり方」として「何を目指すか」と

いう部分を明確にし、具体的な数値目標(=稼働

率)を設定していくことが、継続的に利用者に

通ってもらうデイづくりには必要不可欠である。こ

の「何を目指すか」という部分において、具体的な

数値目標を明確にせず、運営しているデイは意外と

多い。まずは、そこを明確にすることが第一歩だと

言えるだろう。

 ちなみに弊社では、「常時平均稼働率90%超」

を全体目標に据え、それを基に個々の運営目標を設

定している。全体目標を達成するデイをつくるため

に、自分たちは何をしたら良いのか。達成する過程

をスタッフみんなで考え、日々さまざまな施策を打

ち出し、実施している。

2 サービス提供者側がすべき5つの「やり方」

36 デイの経営と運営 Vol.14 

Page 3: 継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す

特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦

 では、実際にどういうことをしているのか。ここ

からは弊社プライマリーグループのデイサービスで

実践している「継続利用・キャンセル低下につなが

る具体的な取り組み」を紹介したいと思う。

(1)利用者自身がデイサービスに      来る「目的」を作る

 デイサービスの利用の場合、利用者自身が「デイ

サービスに通いたい」という明確な目的を持って通

われるケースはそう多くない。最初のきっかけは、

家族からの要望であったり、「入浴や食事」のため

だけにデイサービスを利用するというケースがほと

んどだろう。

 そのような中で、「どうすれば、デイサービスを

楽しいと感じていただけるか」「次も来たいと思っ

ていただけるか」を考えると、利用者一人ひとりの

「動機づけ」が重要になってくる。

 その部分で、私たちが意識して行っているのは、

「利用者同士の友だちづくり(関係性づくり)のお

手伝い」である。スタッフと利用者の関係づくりは

もちろん大切だが、それ以上に利用者同士の関係性

を築くことが「また行きたい」と思っていただける

一番の鍵となる。

 利用当初は、誰でも不安を抱えているもので、デ

イサービス利用開始時の状況は、例えるならば「学

生時代の転校生のようなもの」で、すでに関係がで

きているグループに一人で入っていくようなものと

言っても過言ではない。

 「友だちづくり」の具体的な方法としては、①既

存の利用者の中で、社交的な方や新しい利用者と性

格の合いそうな方をピックアップし、②新規の利用

者をその方に紹介したり、席を近くにすることで、

コミュニケーションの取りやすい環境を整える、と

いったことなどが挙げられる。

 そうして様子を見ながら、スタッフもその都度会

話に加わったり、お互いの利用者の「共通点」を引

き出したりして、その場を盛り上げるように動くの

である。結果、利用者同士で仲間意識が生まれ、そ

の日の別れ際にお互いに「また会おうね」などと

いった小さな約束をする…その自然な流れが次の利

用へとつながり、キャンセル率の低下へと結びつく

のである。利用者同士の「また会おうね」という約

束ほど効果的なものはないだろう。

 これは、体験(お試し)利用時に本利用につなが

る効果的な方法といえる。

(2)利用者が輝ける「環境づくり」   ~好きなこと・やりたいことを実現できる場所へ~

 利用者の中には、デイサービス側であらかじめ用

意しているプログラムやレクリエーションでは満足

できず、「つまらないから行きたくない」という理

由で継続利用につながらないケースもあるだろう。

弊社でも、そういった利用者に対して、スタッフ間

でいろいろ試してみたがうまくいかない…という失

敗談は過去にあった。

 そんなとき考えるのは、「利用者の視点に立ち、

何を求めているのか? どんなことが好きなのか?

をもう一度考えてみること」である。

(1)利用者自身がデイサービスに来る「目的」を作る

(2)利用者が輝ける「環境づくり」   ~好きなこと・やりたいことを実現できる場所へ~

(3)利用者の生活リズム(習慣づくり)を大切にする

(4)+αのサービスで、信頼関係を築く

(5)その他

継続的な利用を生み出す5つのやり方

何を求めているのか? どんなことが好きなのか?

Vol.14 デイの経営と運営 37

Page 4: 継続的な利用を生み出す 5つ 「やり方」特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦 プライマリーグループで大切にしているピラミッド 継続的な利用を生み出す

 こちらで今提供している枠(サービス)の中に利

用者を当てはめようとすると、どうしてもうまくい

かないということが起こるだろう。そのようなとき

にこそ、「利用者が本当に求めていることは何なの

か」「それに対して私たちができることは何なの

か」をスタッフ全員で考えることが重要なのである。

 具体的な例を一つ紹介する。弊社のデイサービス

を利用する方の中に、昔から俳句や短歌・川柳など

を好んで詠まれる方が数名おり、「せっかく歌を

作ったのだから、どこかで披露したい」という要望

がスタッフとの会話の中で出てきた。そこで、ス

タッフと利用者共同で「歌会」を開催することと

なったのである。

 地域の俳句の先生をお呼びし、数十名の利用者が

普段、デイサービスで作成したご自分の歌を披露し

合う「歌会」は、利用者からのご要望もあり、現在

では年に3回行う恒例イベントとなっている。

 定期的に開催される歌会を楽しみに来所される方

は多く、それをきっかけに俳句作りに没頭したり、

利用者同士で切磋琢磨される様子からも、この取り

組みは利用者にとって一つの「生きがい作り」につ

ながっているということが分かる。

(3)利用者の生活リズム(習慣づくり)   を大切にする

 弊社では、「目的づくり」「環境づくり」のほか

に、「利用者の生活リズム(習慣づくり)」を大切

にしている。

 例えば、デイサービスの利用開始当初は、無理の

ないように週2回程度のご利用を提案することがほ

とんどである。まずは、「慣れてもらうこと」を第

一に考えているからこその提案である。最初の1ヶ

月は特に重要で、利用時の様子や帰宅後の様子など

について、家族やケアマネジャーと密に連絡を取り

合うようにしている。

 デイサービスを経営する上で、「何かしらの理由

で一度休んでしまった利用者が、デイサービスに通

うのが億劫になり、続けて休んでしまう」といった

経験をされた方は、多いのではないだろうか。

 普段の生活リズムが一度崩れてしまうと、元に戻

すのに時間がかかったり、そのまま戻らない(利用

中止)というケースもあるだろう。利用者がデイ

サービスに行かなくなってしまうと、家に引き込も

りがちになったり、ご家族への負担も大きくなるこ

とが想定される。

 そのような現象を未然に防ぐためにも、弊社では

利用者がデイサービスを休んだときのフォローは特

に気を配るように心掛けている。

 例えば、利用者が休まれた日は、送迎の帰りにお

休みされた利用者のご自宅にスタッフが寄り、利用

者の様子を伺い、別れ際に「次は待ってますね!」

と一声掛けるといったことを行っている。

 また、定期的な来所が難しい利用者には、来所日

の前日に電話連絡を入れて、翌日の来所に向けた意

識づけを行う場合もある。

 このように、利用者一人ひとりの生活リズムに合

わせたサポートを行うことが、次の利用につながる

要素となっている。

(4)+αのサービスで、信頼関係を築く

 長期的に継続利用していただくためには、「信頼

関係づくり」も大切である。弊社では、通常のサー

ビス以外に、「+αの取り組み」を行うようにして

いる。

① 利用者への+α 例えば、デイサービスを利用されている利用者が

入院するというケース。入院される方の中には、長

期入院になったり、身体の状態によってはその後、

デイサービスを利用できなくなることもあるが、弊

社では、できるだけ退院後もデイサービスを継続的

に利用していただけるよう、入院時のお見舞いをス

タッフで行っている。

 スタッフからの手紙やメッセージをプレゼントす

るだけでも、利用者はとても喜んでくださるし、退

院後の利用継続にも結果的につながっている。

② ご家族への+α デイサービスを継続的に利用していただくために

は、ご家族との関係づくりも欠かせない。弊社で

も、ご家族の変化に気が付かず、ストレスを溜め込

んだご家族がいつの間にか入居施設を予約していた

38 デイの経営と運営 Vol.14 

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特集1 キャンセル率ゼロへの挑戦

という苦い経験があった。

 その経験をふまえ、連絡帳でのやりとりだけでな

く、送迎時のご家族とのコミュニケーションを大切

にし、少しの変化にも気付けるよう注意を払い、

フォローをしている。

 例えば、少し疲れ気味のご家族がいれば、時間を

とって話を聞いたり、将来に不安を抱えている方に

は、いろいろな視点から情報提供をするようにして

いる。

 もちろん、担当のケアマネジャーとのコミュニ

ケーションも大切に、あくまでもデイサービスのス

タッフという立場から、ご家族にできることを行っ

ている。

 頻繁にお会いすることができないご家族に対して

は、普段抱えている悩みを時間をかけて聞いたり、

ご家族同士の情報交換を行う「家族会」の場を年に

数回設けている。また、デイサービスで行うイベン

トを常時ご家族にも案内することで、スタッフとご

家族間の関係づくりを意識し、「何かあれば相談し

てもらえる関係」を築くように心掛けている。

(5)その他 

 ここまで紹介したもの以外にも、ご利用者への

対応の仕方や日々の取り組みでキャンセル率の低

減を目指すことはできる。以下にその一部を紹介

しよう。

① 送迎時の「突然のキャンセル」への        対応について 朝、利用者の自宅へ迎えに行った際、利用者の準

備が整っていなかった、気持ちが乗らなかったなど

といった理由で「今日は行かない」と言われたこと

はないだろうか。その時点でスタッフが時間をかけ

て慎重にかかわっていれば、来所する流れになる可

能性もなくはないが、その間、ほかの利用者をお待た

せすることにもなるため、判断に迷う部分ではある。

 弊社の場合、そういった利用者に対しては、一度

ほかの利用者をデイサービスにお連れした後に時間

を少しおいてから、再度、その利用者のご自宅をス

タッフが訪問し、対応している。

 その際、訪問するスタッフを吟味することを忘れ

てはならない。その利用者と信頼関係の厚いスタッ

フが訪問することで、「じゃあ、行こうかな」と当

日の通所に繋がったケースもあった。

② 稼働率を日々チェックする癖をつける 毎日の稼働実績を記録としてただ残すだけでな

く、日々の実績を記録しながら稼働率の状況を把握

することも大切である。

 目標に対して、「自分たちのデイサービスが現在

どのような状況なのか」「どの曜日が稼働率が低い

のか」「その要因は何か」などを分析することもで

き、キャンセルや継続利用への対策も打ち出しやす

くなる。

 常日ごろから、管理者をはじめとするスタッフ全

員が、継続利用・キャンセル率ゼロを意識して取り

組むことが重要である。

 今回ご紹介した「やり方」は、弊社で行っている

活動のごく一部である。

 この「やり方」が、必ずしも正解とは言い切れな

い。それは、地域性であったり、利用者の性格で

あったり、さまざまなことがキャンセルに起因する

ということからも分かるだろう。一つだけ言えるの

は、「何も行わないまま、キャンセル率をゼロにす

ることは不可能だ」ということである。まずは、で

きそうなことから取り組んでみてほしい。

 なお、取り組むと言っても、経営者・管理者の

方々だけでやるには限界がある。キャンセル率ゼロ

を実現するには、スタッフ一人ひとりの力が必要だ

ということを覚えておいてほしい。

何かあれば相談して

もらえる関係づくり

が大事!

Vol.14 デイの経営と運営 39