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トピー鉄構技報 No.23 (2007) 【工事報告】 新出羽大橋(仮称)架設工事 Report on the Consutruction of New-Dewa Bridge * ** Tomoki KAWADA Yuichi ISHIKAWA Summary 722.8m-long New-Dewa Bridge built across Mogami River in Sakata-shi; Yamagata is one of the long bridges in Tohoku region.Launching girder erection method was adopted, and 450m-long launching girder was erected during just six months.In this report, the outline about the erection method is described 1.はじめに 1.1 新出羽大橋(仮称)の事業概要 一般国道 112 号は,山形市を起点とし酒田市に至る延長 167.5km の道路で,内陸と庄内を結び産業・文化の広域交 流の基盤をなす重要な路線である. 出羽大橋を含む酒田市宮野浦から山居町までの区間は, 庄内空港と酒田市街地を最短距離で結ぶほか,酒田 I.C び国道 7 号と酒田市街地を連絡する南環状道路として位置 づけられている. また,出羽大橋は最上川最下流の橋であり,酒田市中心 市街地と土門拳記念館,酒田市美術館及び東北公益文科大 学などの文化,教育施設がある飯森山地区との中間に位置 し, 21 世紀の庄内をリードする地区の動脈となるものであ る. 2.橋梁概要 2.1 新出羽大橋(仮称)の概要 新出羽大橋(仮称)は,現橋の出羽大橋の下流側に隣接し て架けられる橋梁であり,将来的には,国道 112 号の4車 線化に伴い,現在供用中の出羽大橋が庄内空港方面に向か う上り線,新しく架かる新出羽大橋(仮称)を酒田市内へと 向かう下り線として供用する予定である. 前述の通り最上川の最下流に架かる新出羽大橋(仮称)は, 河口に近い地点に建設される橋梁であり,橋長 722.8m 東北地方では最大級の橋梁である.また,本地域は本州で も有数の白鳥飛来地であり,冬季に最上川で越冬する白鳥 の姿を見ることが出来るため,観光名所としても期待され ている橋梁である.このため,歩道幅員も 4.5mとゆった りとした構造となっており,3箇所のバルコニーを設けて 最上川を見渡すスペースを確保している. 2.2 橋梁諸元 名 一般国道 112 架 設 位 置 山形県酒田市高見台地内~堤町地内 道路規格 第 4 種 第 1 設計速度 60km/h 設計荷重 B 活荷重 * 工事部 主幹 ** 製造部 図-1 新出羽大橋(仮称)位置図 - 59 -

新出羽大橋(仮称)架設工事トピー鉄構技報 No.23 (2007) 【工事報告】 新出羽大橋(仮称)架設工事 Report on the Consutruction of New-Dewa Bridge 川 田

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トピー鉄構技報 No.23 (2007)

【工事報告】

新出羽大橋(仮称)架設工事

Report on the Consutruction of New-Dewa Bridge

川 田 知 希 * 石 川 雄 一 **

Tomoki KAWADA Yuichi ISHIKAWA

Summary

722.8m-long New-Dewa Bridge built across Mogami River in Sakata-shi; Yamagata is

one of the long bridges in Tohoku region.Launching girder erection method was adopted,

and 450m-long launching girder was erected during just six months.In this report, the

outline about the erection method is described

1.はじめに 1.1 新出羽大橋(仮称)の事業概要 一般国道 112 号は,山形市を起点とし酒田市に至る延長

167.5km の道路で,内陸と庄内を結び産業・文化の広域交

流の基盤をなす重要な路線である. 出羽大橋を含む酒田市宮野浦から山居町までの区間は,

庄内空港と酒田市街地を最短距離で結ぶほか,酒田 I.C 及

び国道 7 号と酒田市街地を連絡する南環状道路として位置

づけられている. また,出羽大橋は最上川最下流の橋であり,酒田市中心

市街地と土門拳記念館,酒田市美術館及び東北公益文科大

学などの文化,教育施設がある飯森山地区との中間に位置

し,21 世紀の庄内をリードする地区の動脈となるものであ

る. 2.橋梁概要 2.1 新出羽大橋(仮称)の概要 新出羽大橋(仮称)は,現橋の出羽大橋の下流側に隣接し

て架けられる橋梁であり,将来的には,国道 112 号の4車

線化に伴い,現在供用中の出羽大橋が庄内空港方面に向か

う上り線,新しく架かる新出羽大橋(仮称)を酒田市内へと

向かう下り線として供用する予定である. 前述の通り最上川の最下流に架かる新出羽大橋(仮称)は,

河口に近い地点に建設される橋梁であり,橋長 722.8m と

東北地方では最大級の橋梁である.また,本地域は本州で

も有数の白鳥飛来地であり,冬季に最上川で越冬する白鳥

の姿を見ることが出来るため,観光名所としても期待され

ている橋梁である.このため,歩道幅員も 4.5mとゆった

りとした構造となっており,3箇所のバルコニーを設けて

最上川を見渡すスペースを確保している.

2.2 橋梁諸元 路 線 名 一般国道 112 号 架 設 位 置 山形県酒田市高見台地内~堤町地内 道 路 規 格 第 4 種 第 1 級 設 計 速 度 60km/h 設 計 荷 重 B 活荷重

* 工事部 主幹 ** 製造部

図-1 新出羽大橋(仮称)位置図

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トピー鉄構技報 No.23 (2007)

橋 長 722.8m 支 間 長 [email protected]+65.05+

[email protected]+65.05 m 幅 員 構 成 [email protected]+0.5+0.6=14.00m 横 断 勾 配 2.000% 縦 断 勾 配 0.906% 0.854% 設 計 震 度 Kh=0.85×0.30=0.26 雪 荷 重 100kgf/㎡ 添 加 物 水道φ350,電力φ125-5 条,ガスφ170 斜 角 左 86° 上部工形式 鋼 5+6 径間連続箱桁橋(PC 床版) 本橋梁の構造一般図を図-2に示す.

3. 工事概要

本工事の工事概要は下記の通りである.

工 事 名 平成 16 年度 国庫債務負担行為工事 道路改築事業 一般国道 112 号 出羽大橋架設工事 (最上川部桁製作架設工事-第1工区)

発 注 者 山形県 庄内総合支庁 請 負 者 JFE・トピー・住重特定建設工事共同企業体 製作鋼重量 A3~P7 間 1,543t 架設鋼重量 A3~A4 間 3,396t 請 負 金 額 ¥1,619,748,900.- 工 期 自)平成 16 年 10 月 9 日

至)平成 19 年 3 月 16 日

4. 全体工程

現地の架設ヤードとして,最上川河川敷を使用するため,

施工時期に制約があり,A3~P5 までの最上川左岸側の3 径

間と P12~A4 までの最上川右岸の 1 径間はクレーンベント

工法にて平成17年10月から平成18年5月までの渇水期に

限定して架設を行なった.その後,P3~P5 の桁上を利用し

て,送出しヤードを整備し,軌条設備を設置して 5 月から

の出水期において送出し架設を行なった.

概略の全体工程を図-3に示す.

5. 工場製作

本橋梁は,製作工事を 2 工区に分けて発注され,第 1 工

区(当 JV)にて A3~P7 区間の 5 径間を製作した.第 2 工

区において残り P7~A4 までの 6 径間を製作し,全ての架設

工事を第 1 工区において行なった.

図-2 構造一般図

平成17年 平成18年 平成19年

工種 数量 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月

鋼橋架設工 A3~P5部材搬入

トラッククレーン+ベント架設

(A3~P5)

鋼橋架設工 P12~A4部材搬入

トラッククレーン+ベント架設

(P12~A4)

鋼橋架設工 第1回部材搬入 第3回 第5回 第7回 第8回

送出し架設

(P5~P12)7 7 8 9 3 7 6 2

数字は搬入ブロック数

鋼橋上部工

工程

実施工程表

1

1

1

図-3 全体工程表

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第1工区は,3社JVの工事であり,J14~J25 の中間ブ

ロックが当社の製作範囲であった.仮組立の精度確認は,

シミュレーション仮組立(写真-1)により行った.

写真-1 シミュレーション仮組立(部材計測状況)

シミュレーション仮組立においては,本橋が寒冷地域に

架設されるため,設計温度を 10℃に設定し計測データの温

度補正を行った.また,両桁端部がJVの取り合い部とな

る現場継手部であるため,以下の出来形管理項目は規格値

の範囲を厳しく設定した.全長・支間長については,橋長

に対する規格値を製作範囲へ比例配分とした.桁端の出入

り及び製作キャンバーについては規格値の 1/2 で管理した.

なお,シミュレーション仮組立の結果は,次のとおりで

ある.

① 全長・支間長

現場継手部のすき間の調整を行うことで,規格値±12mm

に対して,-0.4~+1.3mm の精度で出来形を管理した(図

-4).

図-4 全長・支間長

② 桁端の出入り

規格値±5mmに対して,J14側の出入りは-0.2~+0.1mm,

J25側の出入りは-0.4~+1.3mmの精度で出来形を管理し

た(図-5).

図-5 桁端の出入り

③ 製作キャンバー

JV取り合い部のJ14,J24について,規格値-2.5~+7.5mm

に対して,J14は-0.2~+0.8mm,J25は-1.7~+1.7mmの精

度で出来形を管理した.その他の格点においても規格値

-5~+15mmに対して,-2.1~+6.1mmで出来形精度を管理し

た(図-6).

図-6 製作キャンバー

また,本橋の製作範囲にはバルコニー部の拡幅部が含ま

れるため,シミュレーション仮組立による主桁の製作キャ

ンバーを反映させた部分仮組立を行い,出来形の精度を確

保した(写真-2).

写真-2 部分仮組立状況

桁端の出入り

-3

-2

-1

0

1

2

3

G1L G1R G2L G2R

測定位置

誤差(m

m)

上限規格値 J14-Uflg J14-Lflg

J25-Uflg J25-Lflg 下限規格値

全長・支間長

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

J14~P4 P4~P5 P5~J25 全長

測定位置

誤差

(mm)

上限規格値 G1U G2U G1L G2L 下限規格値

製作キャンバー

-10

-5

0

5

10

15

20

J14 P4 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 P5 38 39 40 41 42 43 J25

格点番号

誤差

(mm)

上限規格値 G1L G1R G2L G2R 下限規格値

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トピー鉄構技報 No.23 (2007)

6. 架設工事

架設作業は,大きく分けて3つの工程に分けられる.第

1 は,最上川両岸の河川敷きに位置する径間の架設である.

この区間は,河川敷きを利用して 160t 吊油圧式クレーンを

使用したトラッククレーンベント工法にて施工した.第2

は,送出し架設である.P5~P12 間の架設は,先行して架

設した A3~P5 の桁上を利用して地組立て及び送出しヤー

ドを設置することによって,河川敷に構造物を設置しない

方法で通年施工を行なった.第3は,降下作業である.今

回 P7 支点上を仮連結して送出しを行い,送出し完了後に切

断して,5径間の橋体と2径間の橋体に分けて降下を行っ

た.

全体作業のフローチャートを図-7に示す.

6.1 トラッククレーン架設

トラッククレーンベント工法では,ベント高さも4m程

度と低いため,問題なく作業が進行したが,渇水期施工と

いう制約条件から,平成 17 年 10 月~平成 18 年 5 月の間に

施工を完了する必要があった.全体工程を確保する関係か

ら,平成 18 年 3 月までに架設完了の必要があるため,厳冬

期の施工を行った.架設地点の酒田市は,東北地方でも有

数の強風が吹く地域であり,また施工年は記録的な大雪と,

テレビ・新聞等でも大きく報道された羽越線脱線事故が発

生した時期であった.地理的にも事故現場と非常に近い地

域の作業で,風雪の影響を大きく受けながらの厳しい作業

となった.

6.2 送出し作業

送出し架設は,全8回に分けて行い,部材搬入⇒地組立

⇒高力ボルト締付⇒送出しの繰り返しを行なった.

送出し作業に使用する各種設備は,大きく分けて主桁を

押し出す推進装置と支点上で支持する送出し装置に分けら

れる.今回推進装置として前後に4台づつ,計8台の 50t

×1200st の水平ジャッキにレールクランプを併用して使

用した.送出し時間短縮のために前後両側に同じ能力のジ

ャッキを配置し,交互に使用する方法で送出しを行なった.

また,各橋脚に設置する送出し装置は,シンクロジャッキ

を採用した.シンクロジャッキは,ジャッキ上にキャタピ

ラを装備した構造で,転がり係数が 0.02~0.05 程度と非常

に小さいため,送出し鋼重 2,300t の橋体を合計 200t のジ

ャッキ設備で十分に推進することが可能であった.この推

進力を主桁に伝えるための装置は,後方の添接位置を利用

して反力桁を取り付け,そこに水平ジャッキを取り付ける

構造とした.構造を写真-5に示す.

準備工

ベント設備組立

支承仮据付工

桁架設工

吊足場組立

高力ボルト工

ベント設備解体

A3~P5

ベント設備組立

支承仮据付工

桁架設工

吊足場組立

高力ボルト工

ベント設備解体

P12~A4

ワイヤーブリッジ組立

支承仮据付工

橋脚足場工

軌条設備・軌条足場

台車設備工

桁上ベント設備工

桁架設工

P5~P12(送り出し架設)

連結構・手延機組立

送り出し設備工桁上ベント足場解体

足場工

第1回送り出し工

高力ボルト工

桁上ベント設備工

桁架設工

桁上ベント足場解体

足場工

送り出し工

高力ボルト工

繰り返す

(7回

P7桁切断

送り出し設備解体

P5~P7送り出し

降下作業

高力ボルト工

降下設備解体

ワイヤーブリッジから吊足場に変更

現場塗装工

支承溶接工

落橋防止工

変位制限装置工

現場塗装工

現場塗装工

昇降設備組立

昇降設備組立

桁上ベント設備工

桁架設工

桁上ベント足場解体

足場工

最終送り出し工

高力ボルト工

現場塗装工

後部連結構・架設桁架設

下部工検査路取付

後打ちコンクリート工

現場塗装工

足場解体工

後片付け工

現場塗装工

ブラケット架設、添接工

支承調整モルタル打設

降下設備工

図-7 架設工事フローチャート

写真-3 トラッククレーン・ベント架設状況

写真-4 送出し設備写真

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トピー鉄構技報 No.23 (2007)

各橋脚上に設置した支点上送出し装置は,250t シンクロ

ジャッキを採用し,各主桁ウェブに 1 台設置することによ

って1橋脚当たり4台設置したため合計1,000tの能力とし

た.このシンクロジャッキのストロークを調整することに

よってウェブに発生する支点上反力を制御しながら,ノン

ストップで送り出しを行なうシステムを使用し,安全性を

確保し,工程を短縮した.システムの詳細については,別

項にて記載する.その他,シンクロジャッキの弱点とも言

えるボルト添接部分の乗り越しについては,テーパー形状

のライナー材を製作し対処した.

添接板を通過する毎に発生するライナー材の脱着では,

作業員の負担低減と指等の挟み込み事故を防止する目的と

して,事前の取り付け及び使用後の取り外し等の脱着が容

易にできる構造とした.使用状況を写真-6に示す.

前述の通り,本橋梁は最上川河口付近に位置し,橋長が

長いため,河川水域内に橋脚が6脚あり,橋脚上の仮設備

の組立解体作業には80t吊フローティングクレーンを用

いて行なった.作業箇所は,干満の影響を受けるとともに,

河川内は中洲等の水深の浅い部分も存在し,座礁等の危険

性があるため十分な注意のうえ作業を行った.

6.3 降下作業

降下作業に先立ち,P7 支点上の仮連結を切断し,P5~P7

までの2径間連続桁と P7~P12 までの5径間連続桁の形状

に変更し,降下作業を開始した.

まず,初めに P7~P12 間の降下作業を先行し,端支点の

降下方法は,P12 では,セッティングビームを用いたジャ

ッキダウン,P7 はセッティングビーム・センターホールジ

ャッキを用いた降下方法を採用した.その後,P5~P7 間の

降下作業は,P5,P7 ともにセッティングビームを使用した

ジャッキダウンを行なった.その他の各支点上での降下作

業は,全てジャッキダウンとし,200t×220st のジャッキ

を各4台用いて降下作業を行なった.この際,隣接橋脚と

の高低差を 150mm 以内に制限し,桁に対して想定された支

点反力を超過する応力が発生しない手順で作業を慎重に行

なった.降下作業状況を写真-8に示す.

6.4 反力管理システム

本工事では,送出し時の安全確保と送出し時間の短縮を

目的とした自動反力管理システムを用いた.

本システムは,各橋脚に設置したシンクロジャッキの鉛直

ジャッキに発生する反力を,油圧変換ユニットを用いて電

気信号に変え,本部に設置した制御パソコンにリアルタイ

ムに送るシステムである.(図-8・図-9)

写真-5 後部反力受構造

写真-6 テーパーライナー使用状況

写真-8 降下作業状況(P7)

写真-7 送出し状況写真

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設計反力に対して,実際の各橋脚上の各ウェブに発生す

る反力を制御室のパソコンでモニタリングして比較し,誤

差に対して自動的にジャッキストロークを上下させること

によって,反力の増減に対応するシステムである.これま

での送出しでは,監視及び異常による停止の作業は自動的

に行っていたが,今回はジャッキストロークの調整も自動

制御とし,送出し時間の短縮及び作業員工数の低減に大き

く貢献した.

7. ホームページの開設

本工事では,創意工夫の一環としてインターネット上に

ホームページを開設し,地域住民への広報と工事への協力

と理解を求める工夫を行なった.ホームページの内容は,

『事業の紹介』『橋梁の紹介』『完成予想図』『工程計画

及び工事の進捗状況』『今日の工事現場』の各ページを作

成し,一般の方々にもわかりやすく,また親しみやすいサ

イトの運営を行なった.『今日の工事現場』ではライブ映

像カメラを設置し,入場者のパソコンからカメラの方向・

ズームを遠隔操作できるシステムとして,参加型のページ

内容による臨場感が体験できる部分も設け,工事に対する

親近感を期待できるサイトとした結果,1年間のアクセス

数は 8,600 件を超えた.

8. あとがき

出羽大橋架設工事は,平成 19 年 1 月に完成検査を終え,

今後は床版工事へと引き継がれて行く.今回の多径間にわ

たる送出し架設工事は,今後も難条件下の架設工事におい

て多く実施されることが予測される工法である.本工事の

反省点,実績を精査し,今後の更なる蓄積としたい.

今回,工事施工に当たり,ご指導いただいた山形県庄内

総合支庁,出羽大橋架設工事(最上川部桁製作工-第2工区)

JV構成会社ならびに当JV構成会社の関係各位に深く感

謝するとともに御礼申し上げます.

図-8 システム構成の概念図

図-9 システム制御画面

図-10 ホームページ(ライブカメラ画面)

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