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研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の
第二種使用等に関するQ&A
平成19年6月
文部科学省研究振興局
ライフサイエンス課
生命倫理・安全対策室
目 次
・ 定義
1.生物 1 2.遺伝子組換え生物等・遺伝子組換え実験 3 3.作成実験・接種実験 6 4.セルフクローニング・ナチュラルオカレンス 9
・ 実験に関する取扱い 5.実験分類・拡散防止措置の決定 10 6.大臣確認・機関内実験の決定 12 7.ベクターの取扱い 16 8.教育目的 17
・ 移動・保管に関する取扱い 9.保管・運搬 18 10.譲渡等・情報提供 20 11.輸出入 22
・ 12.拡散防止措置の具体的内容 24 ・ 13.安全委員会の設置・役割 27 ・ 14.申請に係る手続き 29 ・ 15.事故時の措置 31 ・ 16.その他 32
Ver. 1.3
使用に当たっての注意事項
(1)本Q&Aの作成に当たっては、「カルタヘナ法解説集(http://www.bch.biodic.go.jp/bch_2.html)」
及び社団法人日本実験動物協会及び日本実験動物協同組合作成の「実験動物に関するQ&A」を参
考にしており、本文中でこれらの資料を適宜引用しております。
(2)本文中では以下の略称を用いています
法 → 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」のこと。
施行規則 → 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施
行規則」のこと。
二種省令 → 「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散
防止措置等を定める省令」のこと。
二種告示 → 「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散
防止措置等を定める省令の規定に基づき認定宿主ベクター系等を定める件」のこと。
基本的事項 → 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
第三条の規定に基づく基本的事項」のこと。
日動協カルタヘナ法Q&A → 日本実験動物協会及び日本実験動物協同組合作成の「実験動
物に関するQ&A」のこと
1
1.定義(生物)
1-1 ウイルス及びウイロイドは法の
対象となる生物として扱われるのでしょ
うか。
1-1 法では、生物を「一の細胞又は細胞群であっ
て核酸を移転し又は複製する能力を有するものとし
て主務省令で定めるもの、ウイルス及びウイロイド」
と定義されていることから、ウイルス及びウイロイド
も法上の「生物」として扱われます。従って、ウイル
ス及びウイロイドは法の対象として扱われます。
1-2 ウイルス及びウイロイドが法に
おける「生物」として扱われる理由は何で
しょうか。
1-2 法では、生物を「一の細胞又は細胞群であっ
て核酸を移転し又は複製する能力を有するものとし
て主務省令で定めるもの、ウイルス及びウイロイド」
と定義していますが、これは、議定書に「生物とは「遺
伝素材を移転し又は複製能力を有するあらゆる生物
学上の存在(不稔性の生物、ウイルス及びウイロイド
を含む)をいう」と定義していることに基づいていま
す。
1-3 プラスミドは、法の対象となるの
でしょうか。
1-3 プラスミドは、微生物が保有するものです
が、法では、生物を「一の細胞又は細胞群であって核
酸を移転し又は複製する能力を有するものとして主
務省令で定めるもの、ウイルス及びウイロイド」と定
義していることから、プラスミドそれ自身は法の対象
として扱われません。
1-4 ヒトの細胞は法の対象となるの
でしょうか。
1-4 法では、生物を「一の細胞又は細胞群であっ
て核酸を移転し又は複製する能力を有するものとし
て主務省令で定めるもの、ウイルス及びウイロイド」
と定義し、施行規則第一条第一号において「ヒトの細
胞等」はその対象から除外する旨を規定しています。
従って、ヒトは法における「生物」には該当せず、法
の対象として扱われません。
1-5 ヒトの細胞が生物から除外され
ている理由は何でしょうか。
1-5 カルタヘナ法解説集にその理由について以
下の記載があります。「ヒトの細胞等については、例
えば、ヒトが遺伝子治療を受けることなどにより本法
の遺伝子組換え生物等の定義に該当することとなっ
た場合であっても、ヒトの行動を規制することは適当
でないことなどから、本法の対象となる生物の定義か
ら除いている」。(3ページ目上段)
(http://www.bch.biodic.go.jp/bch_2.html)
1-6 ほ乳動物の胚は、適度な条件下で
子宮内へ移植しないと個体まで発育しま
せんが、生物として扱われるのでしょう
か。
1-6 施行規則第一条第二号において「分化する能
力を有する、又は分化した細胞等(個体及び配偶子を
除く。)であって、自然条件において個体に生育しな
いもの」は法上の「生物」から除外する旨を規定して
います。
その理由として、カルタヘナ法解説集では、「「分化
する能力を有する、又は分化した細胞等(個体及び配
偶子を除く。)」とは多細胞生物の一部であり、それ
らのうち、いかなる自然条件下(生物の体内を含む。)
においても個体に生育しないものは、核酸移転し又は
複製する能力がないと判断されるために本法の対象
としないと整理している」(3ページ目上段)として
2
います。従いまして、子宮内で個体まで生育する胚に
ついては、法の対象となります。
(http://www.bch.biodic.go.jp/bch_2.html)
1-7 植物細胞のプロトプラストのよ
うな培養細胞は法の対象となるのでしょ
うか。
1-7 施行規則第一条第二号において「分化する能
力を有する、又は分化した細胞等(個体及び配偶子を
除く。)であって、自然条件において個体に生育しな
いもの」は法上の「生物」から除外する旨を規定して
います。
その理由として、カルタヘナ法解説集では、「「分化
する能力を有する、又は分化した細胞等(個体及び配
偶子を除く。)」とは多細胞生物の一部であり、それ
らのうち、いかなる自然条件下(生物の体内を含む。)
においても個体に生育しないものは、核酸移転し又は
複製する能力がないと判断されるために本法の対象
としないと整理している」(3ページ目上段)として
います。従いまして、いかなる自然条件下でも個体に
生育する能力を有していない植物プロトプラストの
ような培養細胞は法の対象となりません。
(http://www.bch.biodic.go.jp/bch_2.html)
1-8 ほ乳動物の配偶子は生物として
扱われるのでしょうか。
1-8 施行規則において「分化する能力を有する、
又は分化した細胞等(個体及び配偶子を除く。)であ
って、自然条件において個体に生育しないもの」は法
上の「生物」から除外する旨を規定しており、配偶子
は除かれていることから、生物として扱われます。
1-9 単細胞生物は法の対象になるの
でしょうか。
1-9 法では、「生物」を「一の細胞又は細胞群で
あって核酸を移転し又は複製する能力を有するもの
として主務省令で定めるもの、ウイルス及びウイロイ
ド」と定義しており、単細胞生物もこの「一の細胞」
に該当することから、法の対象となります。
1-10 抗体産生用や染色体解析用で
作成されているハイブリドーマ(※)は、
法の対象になるのでしょうか。
(※)2種類の細胞を融合させ、それぞれ
の機能を保ったまま増殖する雑種細胞。
1-10 異なる科に属する細胞融合技術のうち、交
配等従来から用いられている技術により得られた核
酸又はその複製物を有する生物は、法の規制対象とな
る遺伝子組換え生物等とは扱われません。また、培養
細胞等、自然条件下において個体に成育しないものは
生物とは見なされません。これらのことにより、現在
作成されているハイブリドーマは、法の規制対象とな
る遺伝子組換え生物等とは扱われません。
1-11 EMSなどで作製した種子な
どの突然変異体は、法の対象になるのでし
ょうか。
1-11 法では、法第2条第2項の規定により、遺
伝子組換え生物等とは、細胞外において核酸を加工す
る技術又は異なる分類学上の科に属する生物の細胞
を融合する技術により得られた核酸又はその複製物
を有する生物とされており、変異原処理による核酸の
変異は細胞内で発生するため、突然変異を有する生物
は、法では対象外です。
3
2.定義(遺伝子組換え生物等・遺伝子組換え実験)
2-1 遺伝子組換え実験とはなんでし
ょうか。
2-1 遺伝子組換え実験とは、二種省令第2条にお
いて定義されていますが、研究開発等に係る遺伝子組
換え生物等の第二種使用等のうち、遺伝子組換え技術
によって得られた核酸又はその複製物を有する遺伝
子組換え生物等に係るものを指します。
2-2 遺伝子組換え生物等とはなんで
しょうか。
2-2 遺伝子組換え生物等とは、法第2条において
定義されていますが、遺伝子組換え技術によって得ら
れた核酸又はその複製物を有する生物を指します。
2-3 培養細胞に遺伝子導入を行う場
合、遺伝子組換え実験として扱われるので
しょうか。
2-3 遺伝子導入の手法により、遺伝子組換え実験
として扱われる場合と扱われない場合があります。
ウイルスベクターを用いて遺伝子を培養細胞に導入
する場合には、ウイルスが生物として扱われることか
ら、組換え技術で得られた核酸を有しているウイルス
は遺伝子組換え生物等として扱われます。遺伝子組換
え実験とは、遺伝子組換え生物等に関する第二種使用
等のことであり、したがってこの実験は遺伝子組換え
実験に該当します。
一方、プラスミドベクターなどを用いる場合、すなわ
ち、ウイルスベクターを用いない実験の場合、培養細
胞は生物としては扱われず、組換え技術で得られた核
酸を有したとしても遺伝子組換え生物等には該当し
ません。このことから、遺伝子組換え実験には該当し
ません。
2-4 遺伝子組換え培養細胞を用いた
実験は遺伝子組換え実験として扱われる
のでしょうか。
2-4 遺伝子組換え培養細胞を用いる実験の種類
により、遺伝子組換え実験に該当しない場合とする場
合があります。
遺伝子組換え培養細胞は、培養細胞が核酸を移転し又
は複製する能力を有しないものであることから生物
として扱われず、したがって、遺伝子組換え生物等と
して扱われません。遺伝子組換え実験とは、遺伝子組
換え生物等に関する第二種使用等のことであり、した
がって、培養細胞の特性解析などを行う場合には遺伝
子組換え実験には該当しません。
しかしながら、遺伝子組換え培養細胞をマウスなどの
動物に移植する実験については、マウスは当然法上の
生物に該当し、培養細胞を移植されたマウスは組換え
技術により得られた核酸を有していることから遺伝
子組換え生物に該当します。遺伝子組換え実験とは、
遺伝子組換え生物等に関する第二種使用等のことで
あり、したがってこの実験は遺伝子組換え実験に該当
します。
2-5 遺伝子組換え生物等に該当する
ノックアウト(KO)マウスから細胞や臓
器を単離・摘出する操作は遺伝子組換え実
験に該当するのでしょうか。
2-5 遺伝子組換え実験とは、遺伝子組換え生物等
に関する第二種使用等のことであり、したがって、遺
伝子組換え生物等であるノックアウト(KO)マウス
から、細胞や臓器を単離・摘出する作業は、遺伝子組
換え実験に該当します。
4
2-6 ノックアウト(KO)マウスなど
から単離・摘出した細胞や臓器を用いて実
験を行う場合、遺伝子組換え実験に該当す
るのでしょうか。
2-6 単離・摘出した後の細胞や臓器は遺伝子組換
え生物等には該当しませんので、これらの性状解析を
行う実験は、遺伝子組換え実験には該当しません。
しかしながら、これらの細胞や臓器を再び、動物の体
内に接種する実験については、遺伝子組換え実験に該
当しますのでご留意下さい(詳細については「遺伝子
組換え培養細胞を用いた実験」についての質問に対す
る回答をご参照下さい。)
2-7 遺伝子組換え培養細胞をマウス
などの動物に接種する場合、生殖系列に培
養細胞が入らなければ、仮にマウスが自然
環境に出たとしても、生物多様性への影響
はないと予想されます。このような実験
も、遺伝子組換え実験に相当するのでしょ
うか。
2-7 遺伝子組換え生物等は、遺伝子組換え技術等
により得られた核酸を有する生物とされており、マウ
スは生物であることから、遺伝子組換え技術等により
得られた核酸を有するマウスは遺伝子組換え生物等
と扱われます。
このため、マウスに遺伝子組換えを行った培養細胞を
接種する実験は、培養細胞が生殖系に入るかどうかを
問わず、遺伝子組換え実験に相当します。
2-8 遺伝子組換え培養細胞をマウス
などの動物に接種しても、それ自体が定着
や増殖をしない場合には、マウスは遺伝子
組換え生物等として取り扱われるのでし
ょうか。
2-8 移植した細胞が定着や増殖をしない場合で
あっても、遺伝子組換え生物等は遺伝子組換え技術等
により得られた核酸を有する生物であるとされてい
ることから、マウスが当該細胞を有している限り、遺
伝子組換え生物等に該当します。
2-9 マウスのES細胞を用いた以下
の実験は、どのように扱われるのでしょう
か。
1)組換えES細胞を作成する実験
2)組換えES細胞を胚に移入する実験
3)当該胚をマウスの借腹に入れる実験
4)組換えES細胞から分化誘導させた細
胞を動物個体に移植する実験
2-9 マウスのES細胞は分化能がありますが、自
然条件で個体に成育しないことから生物には該当せ
ず、組換え技術により得られた核酸を有していても遺
伝子組換え生物等として扱われません。よって、遺伝
子組換え実験にも該当しません。
一方、胚や動物個体は生物に該当し、組換え技術によ
り得られた核酸を有する胚や動物個体は遺伝子組換
え生物等として扱われます。従って、組換えES細胞
やその分化細胞が移植等された胚や動物個体につい
ては、それらの細胞が胚や動物個体の一部となる(生
着する)のであれば、組換え核酸を有する生物である
ため、遺伝子組換え生物等として扱われます。また、
移植行為自体も、遺伝子組換え生物等にかかるもので
すから遺伝子組換え実験に該当します。
このような考えに基づき、以下のとおり扱われます。
1)組換えウイルス及びウイロイドを用いない限り、
遺伝子組換え実験には該当しません。
2)~4)遺伝子組換え実験(動物作成実験)に該当
します。
2-10 実験の目的は、細胞に核酸を移
入し、発現させることであって、核酸を移
転させ、又は複製させることではありませ
んが、結果として、核酸の移転又は複製が
生じることが考えられます。この場合、こ
の実験は、法の対象として扱われるのでし
ょうか。
2-10 複製させることそのものが目的でなくと
も、結果的に細胞内で核酸を複製することになれば、
それらの技術は法の対象となります。従って、実験の
目的にかかわらず、細胞外における加工された核酸
が、細胞等に移入した場合に、移転又は複製が生じる
蓋然性が考えられるのであれば、その技術は法の対象
として扱われます。但し、培養細胞のように、施行規
則第一条(生物の定義)に入らなければ法対象にはな
5
らない事に注意して下さい。
2-11 動物に直接DNAを注入し一
過性の発現を得るような試験の場合、その
DNAは短期間で消滅し、当然増えること
も次世代に継代されないものとした時に、
その動物は遺伝子組換え動物とはいえな
いと思います。この動物は法の規制を受け
るのでしょうか。(日動協カルタヘナ法Q
&A 問2)
2-11 施行規則第一条第二号の規定により、細胞
等に核酸を移入して当該核酸を移転させ、又は複製さ
せることを目的として細胞外で核酸を加工する技術
を用いて得られた核酸又はその複製物を有する生物
が遺伝子組換え生物等とされています。従って、動物
個体の体細胞に複製しないDNAを直接注入し一過
性の発現をさせる実験は、法律では規制対象外です。
(日動協カルタヘナ法Q&A 問2)
2-12 動物(植物)由来の遺伝子を大
腸菌でクローニングしますが、これらは遺
伝子組換え実験として扱われるのでしょ
うか。
2-12 大腸菌を用いてクローニングする実験は、
遺伝子の移転が行われますので、遺伝子組換え実験と
して扱われます。
2-13 遺伝子組換え動物を作成する
際に、組換え核酸を移入した動物の中に
は、細胞内へ当該核酸が組み込まれない等
により、非遺伝子組換え動物が生じること
がありますが、このような動物は、遺伝子
組換え動物として扱われるのでしょうか。
2-13 法第2条の規定により、遺伝子組換え生物
等は、細胞外において加工する技術等の利用により得
られた核酸又はその複製物を有する生物とされてお
ります。
このため、いわゆるプロセスベースではなく、プロダ
クトベースで扱いが決められているところであり、組
換え核酸を移入したとしても、その結果、移入した当
該核酸を全て有さない動物は、遺伝子組換え動物とし
て扱われません。
ただし、その行為そのものは遺伝子組換え実験に該当
します。
6
3.定義(作成実験・接種実験)
3-1 動物作成実験と動物接種実験の
違いは何ですか。
3-1 動物作成実験及び動物接種実験は研究開発
二種省令において以下のように定義されています。
動物作成実験:動物(動物界の属する生物をいう。)
である遺伝子組換え生物等(遺
伝子組換え生物等を保有して
いるものを除く。)に係る実験
動物接種実験:動物により保有されている遺伝子組
換え生物等に係る実験
したがって、法第2条第1項及び法施行規則第1条
(条文については以下を参照)で規定する生物に該当
する遺伝子組換えウイルスなどを動物に移植する場
合、その実験は「動物接種実験」となります。他方、
法第2条第1項及び法施行規則第1条で規定する生
物に該当しない遺伝子組換え細胞や臓器を動物に移
植する場合、「動物作成実験」となります。(ただし、
これらの細胞や臓器が遺伝子組換えウイルスを含む
場合には、「動物接種実験」及び「動物作成実験」の
両方に該当します。)
(参考)
法第2条第1項 この法において「生物」とは、一の
細胞(細胞群を構成しているものを除く。)又は細胞
群であって核酸を移転し又は複製する能力を有する
ものとして主務省令で定めるもの、ウイルス及びウイ
ロイドをいう。
施行規則第1条 遺伝子組換え生物等の使用等の規
制による生物の多様性の確保に関する法律(以下「法」
という。)第二条第一項の主務省令で定める一の細胞
(細胞群を構成しているものを除く。)又は細胞群(以
下「細胞等」という。)は、次に掲げるもの以外のも
のとする。
一 ヒトの細胞等
二 分化する能力を有する、又は分化した細胞等
(個体及び配偶子を除く。)であって、自然条件にお
いて個体に成育しないもの
3-2 遺伝子組換え細胞やそれを含む
臓器を動物に移植する実験は、動物作成実
験と動物接種実験のどちらに該当するの
でしょうか。
3-2 法第2条第1項及び法施行規則第1条で規
定する生物に該当しない遺伝子組換え細胞や臓器を
動物に移植する場合、「動物作成実験」となります。
ただし、これらの細胞や臓器が遺伝子組換えウイルス
を含む場合には、「動物接種実験」及び「動物作成実
験」の両方に該当します。
7
3-3 「動物作成実験」と「動物接種実
験」における、執るべき拡散防止措置の違
いについて教えてください。
3-3 執るべき拡散防止措置は、動物作成実験に係
る遺伝子組換え生物等にあっては宿主の実験分類、動
物接種実験に係る遺伝子組換え生物等(動物により保
有されているものに限る。)にあっては宿主の実験分
類又は核酸供与体の実験分類により決定されます。そ
の基本的な考え方は以下の通りです。
(1)動物作成実験
拡散防止措置のレベルは、宿主の実験分類の数字にも
とづいて決定されます。動物作成実験における宿主は
動物であり、寄生虫を除く動物の実験分類の名称はク
ラス1であることから、寄生虫を用いない動物作成実
験であればP1Aが執るべき拡散防止措置となりま
す。寄生虫を宿主とする場合、当該寄生虫の実験分類
がクラス1またはクラス2のとき、それぞれP1Aま
たはP2Aの拡散防止措置を執りますが、研究開発二
種省令第五条第三号ニに該当する場合はそれぞれ、P
2AまたはP3Aの拡散防止措置を執ります。
(2)動物接種実験
拡散防止措置のレベルは、動物に保有されている遺伝
子組換え生物を、単独で実験に使用した場合の拡散防
止措置の数字にもとづき決定されます。接種する遺伝
子組換え生物等が微生物である場合は、その遺伝子組
換え生物等を微生物使用実験として使用する場合の
拡散防止措置がP1、P2又はP3である場合にはそ
れぞれP1A、P2A又はP3Aの拡散防止措置を執
ります。接種する遺伝子組換え生物が寄生虫である場
合には、その寄生虫を単独で動物作成実験として使用
する場合の拡散防止措置(P1A、P2A)と同じ拡
散防止措置(P1A、P2A)を執ります。
3-4 植物作成実験と植物接種実験の
違いは何ですか。
3-4 植物作成実験と植物接種実験の違いは、動物
作成実験と動物接種実験の違いと同じものです。すな
わち、ある遺伝子組換え生物等を植物に移植した場
合、移植したものが法第2条第1項及び法施行規則第
1条で規定する生物に該当する場合、その実験は植物
接種実験となり、生物に該当しない場合、その実験は
植物作成実験ということになります。(詳細について
は、問3-1 動物作成実験と動物接種実験の違いに
関するQ&Aを参照下さい。)
3-5 従前の指針では、「動物を用いる
実験」は「作出する実験」、「用いる実験」、
「接種する実験」の3つに区分されていま
すが、法では、「動物使用実験」は「動物
作成実験」と「動物接種実験」とされてい
ます。法では、譲渡を受けた組換えマウス
を用いる実験など「用いる実験」は、規制
対象外となったという理解でよろしいで
しょうか。
3-5 従来の指針における「用いる実験」は、法で
は、「動物作成実験」に含まれます。
なお、購入又は譲渡された遺伝子組換えマウスは、遺
伝子組換え生物等であり、それを用いる実験は遺伝子
組換え実験として扱われます。このため、購入する又
は譲渡を受ける前に、法第26条に基づく適切な拡散
防止措置に係る設備・体制を整え、運搬、保管に係る
拡散防止措置を含め、実験開始に必要な手続きをすま
せておくことが必要です。
3-6 遺伝子組換えシロイヌナズナ等
を作成する場合、Dipと呼ばれる形質転換
3-6 形質転換をした植物から組換えアグロバク
テリウムが除菌されておれば、植物作成実験であり、
8
法が使われています。これは、組換えTi
プラスミドを保持したAgrobacterium 懸
濁液に、健常なシロイヌナズナを短時間だ
け浸し込み、その後普通に栽培を続け、実
った種子の何%かが形質転換され、その種
子を表面殺菌して抗生物質耐性などで選
抜することで、形質転換植物を得るもので
す。
このような実験は、「植物作成実験」と
「植物接種実験」のどちらと判断したらよ
いでしょうか。
組換えアグロバクテリウムが残存していれば、植物作
成実験(遺伝子組換え植物について)と植物接種実験
(アグロバクテリウムの使用について)の両方に該当
します。
なお、いずれに区分されるとしても、原則として、
機関実験であって、P1Pの拡散防止措置を執るべき
ものに該当します。
9
4.定義(セルフクローニング・ナチュラルオカレンス)
4-1 セルフクローニングとはなんで
しょうか。
4-1 セルフクローニングとは、同一種に属する生
物間で核酸を交換することを指します。
用いる遺伝子組換え技術がセルフクローニングに該
当する場合、法の規制対象外となります。
4-2 ナチュラルオカレンスとはなん
でしょうか。
4-2 ナチュラルオカレンスとは、異種に属する生
物間であっても、自然条件で核酸を交換することが知
られている種間で核酸を交換することを指します。
用いる遺伝子組換え技術がナチュラルオカレンスに
該当する場合、法の規制対象外となります。
4-3 セルフクローニングとナチュラ
ルオカレンスに該当するか否かの判断基
準について教えてください。
4-3 ある技術がセルフクローニングやナチュラ
ルオカレンスに該当するか否かの判断は、十分な科学
的根拠が存在するか否かに負うものとしています。詳
細につきましては、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_04.pdfをご参照下さい。
4-4 マウスにマウスの遺伝子を移入
する実験は、法の規制対象に該当しないと
考えてよいでしょうか。
4-4 マウスにマウスの遺伝子のみを移入する場
合で、問4-3に示すとおり、法での「セルフクロー
ニング」に該当する判断を得たものは、法の規制対象
外となります。
4-5 遺伝子組換え動物を作成する際
に、組換え核酸を移入した動物の中には、
染色体に当該核酸が組み込まれない等に
より、非遺伝子組換え動物が生じることが
ありますが、このような動物は、遺伝子組
換え動物として扱われるのでしょうか。
4-5 法第2条の規定により、遺伝子組換え生物等
は、細胞外において加工する技術等の利用により得ら
れた核酸又はその複製物を有する生物とされており
ます。
このため、いわゆるプロセスベースではなく、プロダ
クトベースで扱いが決められているところであり、組
換え核酸を移入したとしても、その結果、当該核酸を
有さない動物は、遺伝子組換え動物として扱われませ
ん。
10
5.実験に関する取扱い(実験分類・拡散防止措置の決定)
5-1 動物の実験分類はクラス1又はク
ラス2(病原性の寄生虫のみ)なので、寄
生虫以外の動物作成実験の場合の宿主の実
験分類は必ずクラス1となり、拡散防止措
置はP1Aであると考えて良いでしょう
か。
5-1 執るべき拡散防止措置がP1A以外の場合
も考えられます。
二種省令別表第1第3号に該当するものは大臣確認
が必要であり、この場合、執るべき拡散防止措置がP
1A以外である場合があります。
また、大臣確認が必要ない場合であっても、二種省令
第5条第3号ニの規定により、供与核酸が哺乳動物等
に対する病原性等に関係し、かつ、その特性により宿
主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めること
が科学的に照らし推定される場合には、執るべき拡散
防止措置はP2A又はP3Aとされています。
5-2 GFP遺伝子を直接導入法により
移入した遺伝子組換え豚を作成、飼育する
ことを計画していますが、拡散防止措置は
どのように定められているのでしょうか。
5-2 動物作成実験に該当し、この場合、P1Aの
封じ込め措置を執ることが求められます。
しかしながら、この遺伝子組換え豚が、二種省令第五
条の三のホに規定する、供与核酸が同定済み核酸であ
り、病原性等に関係しないといった要件を満たす場合
には、特定飼育区画の拡散防止措置を執ることとされ
ます。
5-3 ウイルスの一部の領域(200~
300bp)を供与核酸として認定宿主-プラス
ミドベクター系でクローニングする実験を
計画しています。核酸供与体としては、実
験分類がクラス2であるウイルスを、供与
核酸としてはウイルスの一部の領域(200
~300bp)をPCRまたはRT-PCRにて増幅した
産物を用い、宿主ベクター系としては、E
K1に該当する市販のキットを使用してい
ます。この場合の取扱いについて教えてく
ださい。
5-3 ウイルスの一部の領域を供与核酸として認
定宿主-プラスミドベクター系でクローニングする
実験は、原則として、二種省令第5条第1号イの規定
により、拡散防止措置は宿主の実験分類か核酸供与体
の実験分類の高い方に従って定まります。
ただし、供与核酸が同定済み核酸であり、かつ、作成
される遺伝子組換え生物において哺乳動物等に対す
る病原性等に関係しないことが科学的知見に照らし
推定されるものの使用等は、二種省令第5条第1号ハ
の規定により、宿主の実験分類に従って定めるとされ
ております。
このため、供与核酸がその機能が科学的に推定され、
かつ、病原性等に関係しないことが明らかな場合に
は、執るべき拡散防止措置はP1レベルとされること
となります。
なお、病原性等に関係しないことを考慮するに当たっ
ては、既報の文献や病原性に関するデータベース等に
より、科学的に推定されるか否かを判断して下さい。
5-4 ランダム合成DNAを既知のターゲ
ット蛋白遺伝子(クラス1の生物由来で哺
乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係
しない)に繋ぎ、EcoliB株で複製、発現さ
せる実験を計画しています。ランダム合成
DNAは実験分類をどのように考え、この
実験において執るべき拡散防止措置をどの
ように考えればよいでしょうか。
5-4 核酸供与体が特定の生物学的機能を持たな
い場合の取扱いに関する問である6-8をご参照下
さい。
11
5-5 市販されている遺伝子組換え生物
等の中には、核酸供与体が不明なものが存
在します。この場合、執るべき拡散防止措
置をどのように決定すれば良いのでしょう
か。
5-5 供与核酸が病原性や伝達性に関係しない等
の条件を満たすのであれば、二種省令別表第1第1号
イにより、機関実験として宿主の実験分類にのみ依存
して決めることができます。
しかしながら、核酸供与体として新規の病原性微生物
が含まれるおそれがあるときなど、これらの条件を満
たさないときにはキットメーカーに問い合わせる等
により、供与核酸の性質についての情報を入手される
ようお願いします。
5-6 マウス個体に接種した場合に、供
与核酸の複製が行われず、発現のみをさせ
る組換えウイルスをマウス個体に接種する
場合、組換えウイルスが残存していなけれ
ば、遺伝子組換え実験とはされないことと
されていますが、どのように確認すべきで
しょうか。
5-6 組換えウイルスの動物個体での残存性の確
認方法は、科学的に検討する必要がありますが、例え
ば、ウイルスDNAがPCR等で検出されないといった方
法が考えられます。
5-7 TG/KOマウス・ラットは他の一般
のラットやマウスと同一実験室で飼育可能
なのでしょうか。
5-7 省令別表第四に定める動物使用実験を行う
間に執るべき拡散防止措置を満たしていれば、同じ実
験室に非組換えマウスが飼育されていても差し支え
ありません。ただし、この際には、二種省令別表第四
ロ号(3)に基づき、遺伝子組換えマウスとその他の
マウスとが識別可能な状態で飼育する必要がありま
す。
5-8 チョウに組換えバキュロウイルス
を接種する実験をしたい。どのような拡散
防止措置を執る必要があるのでしょうか。
5-8 省令別表第四に定める動物使用実験を行う
間に執るべき拡散防止措置としての逃亡防止措置と
しては、当該組換え動物等の習性に応じた設備が必要
です。チョウである場合、例えば出入り口の戸を二重
化する、殺虫灯を備える、出入り口に防虫ネットを備
える等が考えられると思いますが、使用されるチョウ
の習性を考慮して充分と思われる逃亡防止措置を採
用してください。
5-9 指針にあったP4レベルの拡散防
止措置について、二種省令では記載があり
ませんが、どのように取り扱われるでしょ
うか。
5-9 法施行後は、P4レベルの拡散防止措置を執る
必要が生ずる可能性がある実験は、全て大臣確認実験
として位置づけられています。このため、二種省令に
はP4レベルの拡散防止措置についての記載があり
ません。
12
6.実験に関する取扱い(大臣確認・機関内実験の決定)
6-1 遺伝子組換え実験を行うに当たっ
て、用いようとする生物の実験分類が二種
告示別表第二で明示されておりません。こ
の場合の取扱いはどのようにすれば良いの
でしょうか。
6-1 実験分類は省令第三条の表に定められてい
る基準で、かつ、文部科学大臣が定めるものとされて
おりますから、告示別表第二で実験分類が明示されて
いない生物(動物(ヒトを含み、寄生虫を除く)及び
植物を除く)を核酸供与体または宿主として用いた組
換え生物の使用は省令別表第一第一号イ、第二号イ、
第三号イ又は第四号イのいずれかに該当し、大臣確認
申請を行う必要があります。
6-2 実験分類が定められていない生物
を核酸供与体や宿主として用いる場合、拡
散防止措置の大臣確認申請が必要とのこと
ですが、このような生物はどのようなもの
なのでしょうか。
6-2 原核生物、真菌、原虫、寄生虫の場合、哺乳
綱及び鳥綱に属する動物に対する病原性があり、か
つ、告示別表第二に種名あるいは属名等が明記されて
いないものが該当します。
また、ウイルス及びウイロイドの場合、二種告示別表
第二に種名あるいは属名等が明記されていないもの
が該当します。
6-3 二種省令別表第1第1号ホでは、
供与核酸が薬剤耐性遺伝子である場合の取
扱いについて規定していますが、この薬剤
耐性遺伝子には、汎用されているベクター
に由来するマーカー遺伝子も含まれるので
しょうか。
6-3 汎用されているベクターに由来するマーカ
ー遺伝子がすべて該当するということはありません。
なお、二種省令別表第1第1号ホには、薬剤耐性遺伝
子のうち、哺乳動物等が当該遺伝子組換え生物等に感
染した場合に当該遺伝子組換え生物等に起因する感
染症の治療が困難となる性質を当該遺伝子組換え生
物等に対し付与するものに限定されています。つま
り、MRSAに対してバンコマイシン耐性遺伝子を付
与するというように、哺乳動物等が感染した場合に、
治療の手段がなくなるような遺伝子組換え微生物を
作成・使用する実験が該当します。
6-4 ボツリヌス毒素の遺伝子の一部を
供与核酸とする実験を行うのですが、ボツ
リヌス毒素の半数致死量は体重1kg当たり
100マイクログラム以下に該当しますの
で、二種省令別表第1第1号トの規定に該
当し、大臣確認実験となりますが、実験に
用いるのはボツリヌス毒素遺伝子の一部で
あり、それだけでは、致死活性はありませ
ん。このような実験については、大臣確認
実験には該当しないということでよいでし
ょうか。
6-4 二種省令別表第1第1号トでは蛋白性毒素
の取扱いについて定めているところですが、この規定
が指す範囲については、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_01.pdfにより定めていますので、
ご参照下さい。
6-5 志賀毒素(Stx)陽性(LD 50 が
100 ug/kg以下)の赤痢菌(Shigella
dysenteriae type1)から、薬剤耐性遺伝子
(10 kb以下)をランダムにクローニング
することを計画しています。このとき、Stx
遺伝子をクローニングする可能性が考えら
れるため、既に報告されているStx遺伝子
内に存在する制限酵素で処理することによ
り、ホロ毒素のStx遺伝子をクローニング
しないように行うこととしています。この
6-5 二種省令別表第1第1号トでは蛋白性毒素
の取扱いについて定めているところですが、この規定
が指す範囲については、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_01.pdfにより定めていますので、
ご参照下さい。
13
ような実験は、二種省令別表第1第1号ト
の規定には該当せず、大臣確認実験には該
当しないということでよいでしょうか。
6-6 ヘビ毒等の成分蛋白の遺伝子を供
与核酸とする実験を計画しています。この
遺伝子は、宿主(実験分類クラス1の微生
物)において発現させた場合には、生ずる
蛋白は不活性体であり、毒性を持たないこ
とを確認しています。このような実験は、
二種省令別表第1第1号トの規定には該当
せず、大臣確認実験には該当しないという
ことでよいでしょうか。
6-6 二種省令別表第1第1号トでは蛋白性毒素
の取扱いについて定めているところですが、この規定
が指す範囲については、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_01.pdfにより定めていますので、
ご参照下さい。
6-7 HIVは実験分類クラス3とされ
ていますが、HIVを改変し、再感染の可能
性を低くしたタンパク質発現用レンチウイ
ルスベクター(いわゆる「第3世代レンチウ
イルスベクター」)を用いる実験について、
法律において、どのように取り扱われるの
でしょうか。
6-7 レンチウイルスベクターの取扱いについて
は、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_07.pdfにおいて定めているところ
です。ご参照ください。
6-8 環境試料中(土壌、河川等)に含
まれる培養できない微生物から、DNAを取
得し、認定宿主ベクター系で発現させる研
究は、法令上、どのように扱われるのか。
このような実験では、核酸供与体となる微
生物の中に、同定されていない生物が含ま
れ、その中には新規病原性微生物を含むこ
とが考えられるが、大臣確認実験(二種省
令別表第1第1号イ)に該当するのか。
6-8 土壌や水などの環境サンプルから抽出した
核酸を供与核酸とする遺伝子組換え実験の取扱いに
ついては、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_10.pdfにおいて定めているところ
です。ご参照ください。
6-9 市販のナチュラルミネラルウォー
ターに含まれる菌叢の分析を目的とする実
験を計画しています。市販のナチュラルミ
ネラルウォーターからフィルター濾過によ
り細菌を濃縮して遺伝子を抽出、16s rRNA
遺伝子をPCRで増幅、遺伝子をクローニン
グし、配列を解析することにより分類同定
を行うものです。このとき、新規病原性微
生物が存在する可能性があるのですが、法
令ではどのように扱われるのでしょうか。
6-9 自然から抽出した試料の分類同定のように、
核酸供与体が特定できない場合の取扱いについては、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_10.pdfにおいて定めているところ
です。ご参照ください。
6-10 同定されていない生物のリボソ
ームRNAを解析するため、これを供与核
酸とし、認定宿主ベクター系を用いる遺伝
子組換え実験を行うことを計画していま
す。
このような実験は、二種省令別表第1第
1号イの規定には該当せず、大臣確認実験
には当たらないと考えられますが、PCR
でリボソームの核酸を増幅させる場合に、
中には、目的外のゲノム中の核酸が含まれ
てくる場合があります。 このような場合に
は、法令上、どのように扱えばよいでしょ
6-10 自然から抽出した試料の分類同定のよう
に、核酸供与体が特定できない場合の取扱いについて
は、
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/dat
a/anzen/position_10.pdfにおいて定めているところ
です。ご参照ください。
14
うか。
6-11 市販のランダムペプチドライブ
ラリを用いる実験の場合、供与核酸の由来
が合成核酸であることから、核酸供与体が
特定の生物学的機能を持ちません。この場
合の取扱いについて教えてください。
6-11 核酸供与体という概念は、実験によって作
成される遺伝子組換え生物のリスク評価のための指
標です。実験における執るべき拡散防止措置を決める
際には、宿主の実験分類に核酸供与体の実験分類を加
味して、作成される遺伝子組換え生物のリスクを推定
し、その推定に基づいて執るべき拡散防止措置が決め
られます。
二種省令の定義により核酸供与体は供与核酸が由来
する生物を指しますが、リスク評価においては、供与
核酸の由来が天然の核酸であるか合成核酸であるか
は本質的な問題でなく、当該供与核酸の塩基配列の由
来する生物が特定でき、その生物の機能を利用しよう
とする場合には、その生物が核酸供与体になります。
一方、供与核酸が合成核酸であって、実験で作成され
る遺伝子組換え生物において、ランダムな塩基配列
等、特定の生物学的機能を持たないと推定される場合
には、当該核酸の核酸供与体となる生物は「無い」と
考えられます。
この考え方に従って拡散防止措置を決めるならば、た
とえば微生物使用実験の拡散防止措置を決める場合
であれば、核酸供与体が「無い」場合であっても、二
種省令第五条第一号ハのルールに従って宿主の実験
分類に準じた拡散防止措置を執ることになります。
6-12 指針のときに、サイトカイン遺
伝子を用いた組換えDNA実験について、大
臣確認を受けましたが、法令では、大臣確
認実験を行う必要はなくなったのでしょう
か。
6-12 サイトカインに係る遺伝子を用いること
は、大臣確認実験の要件から削除されました。
6-13 組換えワクチンを使用する実験
を行っています。ベクターはポックスウイ
ルス科 アビポックスウイルス属 カナリア
ポックスウイルス、ベクター培養細胞は鶏
胚初代培養細胞、供与核酸は、猫白血病ウ
イルス(レトロウイルス科 C型オンコウイ
ルス属) 、調節系はワクシニアウイルス で
す。この組換え生ワクチンは2000年よりヨ
ーロッパ各国で市販されているものです。
この組換えワクチンを用いる実験は、法令
上、どのように扱われるのでしょうか。
6-13 組換えワクチンの使用時において自立的
な増殖力及び感染力を保持した組換えカナリアポッ
クスウイルス粒子が生じる場合には、二種省令別表第
1第1号ヘに該当し、大臣確認実験となります。
ただし、告示別表第三第一号で定める「Vaccinia virus
以外のウイルスの承認生ワクチン株(当該承認生ワク
チン株を改変せずに使用等をする場合に限る)」に該
当する場合、大臣確認は不要です。
注)遺伝子組換えウイルスである承認生ワクチン株は
平成19年3月現在存在しません。
6-14 花のアヤメまたは果樹のカンキ
ツまたはブル-ベリ-のアグロバクテリウ
ム法による形質転換系を確立するために、
マ-カ-遺伝子としてGUS
(beta-glucuronidase)遺伝子を使って、
実験を行うことを計画している。P1およ
びP1Pレベルの拡散防止措置を執って遺
6-14 遺伝子組換え植物を特定網室で栽培等の
使用をする場合については、遺伝子組換え生物が二種
省令第5条第四号ホの項目を満たす場合にのみ、機関
実験として実験を実施することができます。これらの
項目を満たさない場合は、大臣確認実験となりますの
で、ご留意下さい。
15
伝子組換え実験を行い、その形質転換植物
を特定網室で栽培し、遺伝子発現、形態等
の調査を行う予定であるが、これらはすべ
て機関実験として行ってよいでしょうか。
6-15 増殖能欠損型アデノウイルスベ
クターの実験分類はどう考えれば良いので
しょうか。
6-15 ヒトアデノウイルスベクターの増殖能欠
損型を用いる場合、2種省令別表第一第一号へに該当
せず、大臣確認を行う必要はありません。
しかしながら、ヒトアデノウイルスがコットンラット
やウサギで増殖したという文献(J.Virol, 67,1993,
Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.1992)があることか
ら、野生型アデノウイルスと増殖能欠損型組換えアデ
ノウイルスの共感染が成立する可能性も否定できま
せん。この場合、ウイルス間の相同組換えにより、自
己増殖型組換えアデノウイルスの生成の可能性が否
定できないことから、このような実験を行う場合に
は、生命倫理・安全対策室に事前に相談頂くようお願
いいたします。
16
7.実験に関する取扱い(ベクターの取扱い)
7-1 ヒト個体は生物に該当しないとさ
れているが、実験分類にはクラス1に属す
るとされています。この実験分類は、ヒト
が核酸供与体である場合の分類に対応する
ものという理解でよいでしょうか。
7-1 二種省令第二条第十号において、核酸供与体
を「供与核酸が由来する生物(ヒトを含む。)」と定
義されているように、ヒトが核酸供与体である場合に
対応するものです。
7-2 EK1認定宿主ベクター系に、F因
子をもつ大腸菌株XL1-Blueは含まれるの
でしょうか。
7-2 含まれます。
7-3 従来の指針ではバキュロウイルス
はB1の認定型に属していたが、法律では、
除外されています。どのような扱いとなっ
たのでしょうか。
7-3 バキュロウイルスは、認定系から除外されて
おります。実験分類クラス1のinsect virusに含ま
れます。
7-4 2種告示別表第1の認定宿主ベク
ター系に属する宿主は、全て実験分類クラ
ス1の細菌であると考えて良いのでしょう
か。
7-4 認定宿主ベクター系の宿主として位置づけ
られている生物は、すべて実験分類クラス1に位置づ
けられています。
17
8.実験に関する取扱い(教育目的)
8-1 教育目的で遺伝子組換え実験を行
う場合の取扱いについて教えてください。
8-1 指針では教育を目的とした組換えDNA実
験に関する規定を設けていたところですが、法及びこ
れに基づく法令には教育目的に係る実験に関する規
定はありません。
したがって、研究目的に係る実験も、他の実験と同様
に、法令に基づいて必要な拡散防止措置を執る必要が
あります。
8-2 指針では、教育を目的とした遺伝
子組換え実験を規定し、一部の手続き等に
ついて簡略化を可能とする枠組みを設けて
いたところですが、カルタヘナ法でも同様
の枠組みを設けているのでしょうか。
8-2 法及びこれに基づく法令では、教育を目的と
した遺伝子組換え実験に係る規定はありません。した
がって、法令に基づき所要の措置を講じることが必要
となります。
8-3 指針では、教育を目的とした組換
えDNA実験に用いることができる宿主ベク
ター、供与DNAの組合せが規定されてい
ましたが、法令の下では、具体的なリスト
が規定されていません。指針において明記
されていた組合せを用いる場合の取扱いに
ついて教えてください。
8-3 法及びこれに基づく法令では、教育を目的と
した遺伝子組換え実験に係る規定はありません。した
がって、指針において定められた組合せである遺伝子
組換え生物等を用いる場合でも、法令に基づき所要の
措置を講じることが必要となり、二種省令第4条第1
号及び第5条第1号の規定により、同省令別表第2第
1号に掲げるP1レベルの拡散防止措置を執ること
が必要となります。
8-4 教育目的の遺伝子組換え実験の指
導者、実験に携わる補助的な立場の教諭、
実習助手は研修等を受ける必要はあるのか
について教えて下さい。
8-4 法及びこれに基づく法令では、指導者などへ
の研修等の規定はありませんが、基本方針第2の2に
おいて、遺伝子組換え生物等の取扱いについて経験を
有する者の配置を行うよう努めることとされている
ことから、実験の指導者は遺伝子組換え生物等の取扱
いについて十分な経験を有していることが望まれま
す。
補助的な立場の者においては、経験があれば、実験の
指導者とともに指導に当たっていただき、経験がなけ
れば、実験の指導者の指揮命令の下で指導に当たって
いただくことが望ましいと考えます。さらに、後者の
場合、実験の指導者等による実験の内容、安全確保の
考え方等について教育訓練を受けることが望まれま
す。
8-5 教育目的の遺伝子組換え実験の実
施に当たり、学校長等に事前に申請し、許
可を得るといった手続きが必要なのでしょ
うか。
8-5 法及びこれに基づく法令では、学校長等への
申請手続きについて規定していないことから、申請手
続きは必要ありません。
8-6 教育目的の組換え実験の検討を行
うために、学内に安全委員会を設置する必
要があるのでしょうか。
8-6 安全委員会の設置は基本方針第2の2にお
いて、努めることとされていますが、必置ではありま
せん。
しかしながら、行おうとする遺伝子組換え実験の内容
等について組織内で十分把握・検討した上で、実験を
行うようお願いします。
18
9.移動・保管に関する取扱い(保管・運搬)
9-1 「遺伝子組換え実験」、「保管」、
「運搬」の違いについて教えてください。
9-1 二種省令では、研究開発等に係る遺伝子組換
え生物等の第二種使用等を、①遺伝子組換え実験、②、
細胞融合実験、③保管、④運搬、の4つに分けていま
す。しかしながら、保管及び運搬のうち、実験の過程
において行われる保管及び運搬については、①又は②
の遺伝子組換え実験又は細胞融合実験に含まれるこ
ととなります。
9-2 「保管」及び「運搬」には、遺伝
子組換え実験に含まれる「保管」及び「運
搬」とそれ以外の「保管」及び「運搬」が
あるとのことですが、その違いについて教
えてください。
9-2 二種省令では、実験の過程において行われる
保管及び運搬については、遺伝子組換え実験又は細胞
融合実験として規定しています。
実験の過程において行われる保管及び運搬(A)と、
それ以外の保管及び運搬(B)の違いですが、(A)
の保管及び運搬は遺伝子組換え実験の一部であるこ
とから、P1、P2Aなど、使用等する遺伝子組換え
生物等の種類により執るべき拡散防止措置が異なり
ます。
これに対し、(B)の保管及び運搬については、使用
等する遺伝子組換え生物等の種類にかかわらず、執る
べき拡散防止措置が二種省令第6条及び第7条に規
定されています。
9-3 他の機関に遺伝子組換え生物等
を運搬する場合、実験の過程において行わ
れる運搬と、それ以外の運搬のどちらに該
当するのでしょうか。
9-3 他の機関に遺伝子組換え生物等を運搬する
場合、実験の過程において行われる運搬には該当しま
せん。したがって、二種省令第7条に規定する運搬に
関するルールに従う必要があります。
9-4 遺伝子組換え実験に含まれる「保
管」及び「運搬」において執るべき拡散防
止措置と、それ以外の「保管」及び「運搬」
において執るべき拡散防止措置の違いに
ついて教えてください。
9-4 遺伝子組換え実験に含まれる「保管」及び「運
搬」において執るべき拡散防止措置は二種省令第5条
に規定されているP1、P2、P1Aといったもので
あり、使用等する遺伝子組換え生物等の種類により執
るべき拡散防止措置が異なります。一方、それ以外の
「保管」及び「運搬」において執るべき拡散防止措置
は、使用等する遺伝子組換え生物等の種類にかかわら
ず、第6条及び第7条に規定されて拡散防止措置を執
る必要があります。
前者における拡散防止措置は、遺伝子組換え実験に当
たって執るべき拡散防止措置と同じであり、後者にお
ける拡散防止措置は、遺伝子組換え生物等を保存して
いる容器から当該生物等を外部に拡散させない内容
となっています。
19
9-5 飼育、繁殖だけの場合と実験を行
う場合で拡散防止措置に違いはあります
か。(日動協カルタヘナ法Q&A 問20)
9-5 研究開発二種省令では飼育、繁殖、実験等で
執るべき拡散防止措置は区分されていません。組換え
動物の使用等(動物により保有されている組換え生物
の使用等ではない)は全て動物作成実験にあたり、飼
育繁殖は動物作成実験に区分されます。
飼育する遺伝子組換え動物(遺伝子組換え生物等)の
特性及び当該動物等を使用する実験の内容等に応じ
た拡散防止措置を講ずる必要があります。具体的には
研究開発二種省令第四条(遺伝子組換え実験に係る拡
散防止措置の区分及び内容)第三号(動物使用実験)
に定められ、詳細は別表第四にあります。(日動協カ
ルタヘナ法Q&A 問20)
9-6 指針では「保管」と「保存」の用
語が用いられていましたが、法では「保存」
の用語が用いられておらず、「保管」の用
語のみが用いられています。これらの関係
について教えて下さい。
9-6 指針では、「保管」とは1つの実験について実
施期間中に作成された組換え体を当該実験にのみ一
時的にとっておくこと、「保存」とは、作成された組
換え体を実験終了後も別の実験に利用する目的でと
っておくことを指す言葉として用いられていました
が、2種省令には「保管」という言葉のみが用いられ
ており、「保存」という言葉は用いられておりません。
指針における「保管」は、二種省令における「遺伝子
組換え実験」中に、P1、P2といった拡散防止措置
の下で行う保管を指します。また、指針における「保
存」は、二種省令第7条に基づいて行う保管を指しま
す。
9-7 二種省令第6条では、遺伝子組換
え生物等は、所定の場所に保管することと
されていますが、具体的にどのように対応
が必要なのでしょうか。
9-7 「所定の場所」とは、予め、機関において指
定する遺伝子組換え生物等を保管する場所のことを
意味します。
9-8 実験終了後、実験に用いた遺伝子
組換え生物等を、二種省令第6条に規定す
る保管に当たって執るべき拡散防止措置
により保管しようと考えています。この場
合、P2レベルの拡散防止措置を執るべき
遺伝子組換え生物等は、P2レベルの拡散
防止措置の施設等の要件を満たす実験室
内に保管する必要があるのでしょうか。
9-8 実験の過程において行われる保管以外の保
管については、2種省令第6条に基づいて保管を行う
必要がありますが、これは、遺伝子組換え生物等の種
類にかかわらず執るべきものです。したがって、ご質
問のようにP2レベルの拡散防止措置を執る必要は
ありません。
9-9 遺伝子組換え動物を運搬する場
合に、遺伝子組換え動物でない同種の動物
と同梱することは可能でしょうか。
9-9 遺伝子組換え動物を遺伝子組換え動物でな
い同種の動物と同梱して運搬することは可能ですが、
その場合は全ての動物が遺伝子組換え動物として扱
うよう留意してください。
20
10.移動・保管に関する取扱い(譲渡等・情報提供)
10-1 ある研究機関より、研究開発を
目的として、遺伝子組換え生物等の提供に
ついて依頼を受けました。この際に留意す
べき事項について教えて下さい。
10-1 遺伝子組換え生物等を譲渡等する場合に
は、法第26条に基づいて、相手方に当該遺伝子組換
え生物等についての情報を提供する必要があり、この
提供すべき情報の内容は施行規則第33条第2号に
規定されています。
しかしながら、当該遺伝子組換え生物等を用いて、研
究開発等を実施するためには、P1、P2などの適切
な拡散防止措置を執る必要、また、場合によっては大
臣確認申請を行う必要があります。これらの措置を決
定するためには、施行規則第33条第2号に規定する
情報と併せて、核酸供与体、供与核酸、ベクター等の
特性といった詳細な情報が必要であると考えられま
す。
したがって、譲渡する研究機関等は、規則第33条第
2号に規定する情報の提供に加え、依頼した研究機関
におけるこれらの措置を決定するために必要となる
情報の提供も行うことが必要であると考えます。
10-2 法第26条に定められた情報
提供は口頭により行っても良いのでしょ
うか。
10-2 法第26条に基づく情報提供の方法は施
行規則第34条により規定されています。これらは、
1.文書の交付
2.遺伝子組換え生物等又はその包装若しくは容器へ
の表示
3.ファックス
4.電子メール
によるものとされています。したがって、口頭による
情報提供は認められません。
10-3 人の細胞を譲渡等する場合に
は、法第26条に定められた情報提供を行
う必要があるのでしょうか。
10-3 人の細胞は、法における「生物」には該当
しないことから、法に基づく情報提供は必要ありませ
ん。
10-4 プラスミドを譲渡等する場合
には、法第26条に定められた情報提供を
行う必要はあるのでしょうか。
10-4 プラスミドは、法における「生物」には該
当しないことから、法に基づく情報提供は必要ありま
せん。
しかしながら、遺伝子組換え実験に当たって執るべき
拡散防止措置を決定するためには、プラスミドに関す
る情報が必要となる場合があります。この場合、譲渡
等を受ける者が、プラスミドに関する情報提供を受け
ていない場合、保管及び運搬以外の使用を行うことが
できない(注)おそれがあります。
このことから、譲渡等を受ける者において、執るべき
拡散防止措置を判断するために必要となるプラスミ
ドに関する情報の提供を受けておくことが望ましい
ものと考えられます。
(注)遺伝子組換え生物等の保管及び運搬について
は、核酸供与体などの種類によらず、予め執るべき拡
散防止措置が定められています。
21
10-5 遺伝子組換え生物等の譲渡を
受けるに当たって、適切な拡散防止を決定
するのに十分な情報を得ることができま
せんでした。この場合、遺伝子組換え実験
を行うことは可能でしょうか。
10-5 拡散防止措置を執るに当たって必要とな
る情報が得られない場合、保管及び運搬以外の使用等
を行うことはできませんので、遺伝子組換え実験を行
うことはできません。
10-6 実験動物施設での動物飼育管
理に関し、委託業者を導入しております。
この場合、委託業者への情報提供の義務は
課せられるでしょうか。
10-6 法律第26条の情報提供の義務は、「遺伝
子組換え生物等を譲渡し、若しくは提供し、又は委託
して使用等をさせようとする者」に対して課せられま
す。飼育管理の委託は、動物業者に委託して使用等を
させる行為であることから、委託業者に対する情報提
供が必要となります。
なお、遺伝子組換え動物の管理等を行う場合には、当
該動物の特性に応じた適切な拡散防止措置を執った
上で管理等を行う必要があることにご留意下さい。
10-7 譲渡等を行う者と譲渡等を受
ける者の間に、遺伝子組換え生物等に関す
る情報が十分に共有されている場合であ
っても、情報提供を行う必要があるのでし
ょうか。
(例)
ある者Aが作成したトランスジェニックマ
ウスを他者Bに委託して繁殖・飼育する際、
AからBに情報提供する。その後Bで繁殖
した動物をAに納入する際、Aはそのトラ
ンスジェニックマウスに関する情報は当
然有していると考えられる。
10-7 法第26条に基づく情報提供において、情
報が十分に共有されている場合に関する除外規定は
ありません。したがって、両者により情報が十分に共
有されている場合であっても、情報提供を行う必要が
あります。
なお、この際には口頭による情報提供は認められてい
ませんのでご留意下さい。
10-8 社内の他の部門に遺伝子組換
え生物等を移す場合、法に基づく情報提供
は必要でしょうか。
10-8 例え所在地が異なる場合であっても、同社
内における遺伝子組換え生物等の授受は、当該生物等
の使用等を同一の使用者(法人)内で行うことから、
法に基づく情報提供は必要とされません。
しかしながら、遺伝子組換え生物等を社内の他の部署
へ渡す場合、渡し先の部署において適切な拡散防止措
置を講じる必要があることから、渡し先の部署に事前
に情報提供を行っておく必要があります。
22
11.移動・保管に関する取扱い(輸出入)
11-1 カルタヘナ議定書締約国の研
究機関から、研究用(第二種使用等用)と
して、遺伝子組換え生物等を送ってもらう
場合、具体的な手続きはどうすれば良いの
でしょうか。
11-1 研究開発二種省令に基づき、遺伝子組換え
実験を行う場合には、遺伝子組換え生物等の性質に応
じた拡散防止措置(P1、P2、P3、P1Aなど)
を執る必要、又は文部科学大臣の確認を受ける必要が
あります。これらを決定するためには、遺伝子組換え
実験に用いる遺伝子組換え生物等について、宿主、核
酸供与体、供与核酸などに係る情報が必要です。した
がって、これらの情報をあらかじめ譲渡先から入手し
て下さい。
さらに、法第3条に基づく基本的事項第二の第2項に
基づき、譲渡を受けてから速やかに遺伝子組換え実験
に移行できるよう、執るべき拡散防止措置に関する設
備・体制の準備や大臣確認の申請など、遺伝子組換え
実験に必要な手続きを行ってください。
なお、遺伝子組換え生物等の輸入に当たっては、カル
タヘナ法以外にも、感染症予防法、家畜伝染病予防法、
植物防疫法など、当該生物等の輸入に当たっての制限
を設けている法律がありますので、それぞれの法律を
所管する官庁にお問い合わせください。
11-2 カルタヘナ議定書非締約国の
研究機関から、研究用(第二種使用等用)
として遺伝子組換え生物等を送ってもら
う場合、具体的な手続きはどうすれば良い
のでしょうか。
11-2 アメリカ合衆国などのカルタヘナ議定書
非締約国から遺伝子組換え生物等を輸入する場合に
は、議定書に基づく輸入の際の表示が義務づけられて
いません。しかしながら、研究開発二種省令に基づき、
遺伝子組換え実験を行う場合には、遺伝子組換え生物
等の性質に応じた拡散防止措置(P1、P2、P3、
P1A)を執る必要、又は文部科学大臣の確認を受け
る必要があります。これらを決定するためには、遺伝
子組換え実験に用いる遺伝子組換え生物等について、
宿主、核酸供与体、供与核酸などに係る情報が必要と
なりますが、これらの情報が得られないからといっ
て、執るべき拡散防止措置を検討しないまま遺伝子組
換え実験を実施した場合には、法律違反となります。
したがって、これらの情報をあらかじめ譲渡先から入
手して下さい。
さらに、法第3条に基づく基本的事項第二の第2項に
基づき、譲渡を受けてから速やかに遺伝子組換え実験
に移行できるよう、執るべき拡散防止措置に関する設
備・体制の準備や大臣確認の申請など、遺伝子組換え
実験に必要な手続きを行ってください。
なお、遺伝子組換え生物等の輸入に当たっては、カル
タヘナ法以外にも、感染症予防法、家畜伝染病予防法、
植物防疫法など、当該生物等の輸入に当たっての制限
を設けている法律がありますので、それぞれの法律を
所管する官庁にお問い合わせください。
23
11-3 遺伝子組換え生物等に該当す
る試薬を外国に注文するとともに、その試
薬の使用にあたって必要となる文部科学
大臣の確認の申請を行いました。しかしな
がら、文部科学大臣の確認を受ける前に、
試薬が到着してしまいました。この場合の
試薬の取扱いについて教えてください。
11-3 研究開発二種省令に定める遺伝子組換え
実験を実施することはできませんので、研究開発二種
省令第六条に定める、保管に当たって執るべき拡散防
止措置を講じた上で、保管を行うようお願い致しま
す。なお、この場合であっても、当該試薬を用いて遺
伝子組換え実験を行う際に適用されると想定される
拡散防止措置のレベル(P1、P2、P3)に応じて、
保管措置が講じられることが望まれます。
11-4 遺伝子組換え生物等の輸出に
当たり輸入国に対して通告が必要な場合、
具体的には輸入国のどこに通告すればよ
いのでしょうか。
11-4 具体的な通告先は、カルタヘナ議定書のバ
イオセーフティクリアリングハウス(ホームページ
http://bch.biodiv.org/contacts/default.shtml)に
掲載されていますので参照下さい。
11-5 我が国において第二種使用等
されている遺伝子組換え生物等を議定書
締約国へ輸出する場合には、輸出の通告は
不要となるのでしょうか。
11-5 規則第36条では、輸出の通告の適用除
外について定めており、この中に「輸入国において当
該輸入国が定める基準に従い拡散防止措置を執って
使用等が行われるものとして遺伝子組換え生物等を
輸出する場合」と規定されています。したがって、我
が国において第2種使用等しているかどうかではな
く、我が国から輸出する相手国において、拡散防止措
置を執って使用等を行う場合においてのみ、輸出の通
告が不要となります。
11-6 遺伝子組換え生物等を輸出す
る場合、法第26条に基づいて情報提供を
行う必要はあるのでしょうか。
11-6 輸出に関する措置は法第3章の「輸出に
関する措置」に定められており、法第26条ではなく、
法第27条及び28条に基づいて情報提供を行う必
要があります。
24
12.拡散防止措置の具体的内容
12-1 指針では、「実験中は、実験室
の窓等は閉じておくこと」とされていた点
が、二種省令では、「実験中」が削除され
ています。実験室の窓は、実験中でなくと
も閉めておく必要があると解されるのでし
ょうか。
12-1 二種省令別表第2は、遺伝子組換え実験の
実施に当たり遵守する事項であり、指針のときと同様
に、実験中に実験室の窓を閉める等の対応が必要とさ
れています。
12-2 二種省令別表第2第1号(P1
レベル)及び第2号(P2レベル)におい
て、「実験室の窓等については、昆虫等の
進入を防ぐため、閉じておく等の必要な処
置を講ずること」とありますが、窓を閉め
るのは、(イ)実験室に入ってくる風によ
って実験室内の汚染等が誘発・拡大される
ことを防ぐ、(ロ)その他の事由により生
じた汚染が実験室外に拡散することを防ぐ
観点もあると考えます。
当該実験室において換気扇やドラフトを運
転することによる強制排気を行う場合、上
記(ロ)について窓を開けるのと同等のリ
スクが生じると考えます。
従って、上記(ロ)の観点から、P1およ
びP2レベルの実験室についても強制排気
をする場合には、HEPAフィルターの設
置が必要となるのでしょうか。
12-2 二種省令ではP1レベルの実験室にHE
PAフィルターの設置を求めておりません。また、P
2レベルの実験室では、研究用安全キャビネットが設
けられていること(エアロゾルが生じやすい操作をす
る場合に限る。)とされています。いずれも、エアロ
ゾルの発生を最小限にとどめることが求められてお
りますので、実験室中に遺伝子組換え生物等が充満し
ているようなことはなく、強制排気設備を通じた拡散
は想定されないと考えております。
12-3 室内に排気するタイプの安全キ
ャビネットを使用することは可能でしょう
か。
12-3 二種省令の別表第二の二―イ-(2)では、
「実験室に研究用安全キャビネットが設けられてい
ること(エアロゾルが生じやすい操作をする場合に限
る。)」とされており、必ずダクトを接続し、室外に
排気することを求めておりません。したがって、室内
に排気するタイプの安全キャビネットを使用するこ
ともできます。
12-4 P2レベルにおいて執るべき拡
散防止措置のうち、実験室のある建物内に
高圧滅菌器を設置することが求められてい
ます。この場合、高圧滅菌器を同じ実験室
に置く必要はないということでしょうか。
12-4 同じ建物内であれば、別の実験室に高圧滅
菌器を設置して構いません。しかしながら、高圧滅菌
器を用いて遺伝子組換え生物の不活化を行う場合、不
活化という行為は「実験」に該当しますので、不活化
を行う場所についても実験中に執る拡散防止措置が
求められます。
また、他の部屋に遺伝子組換え生物等を運搬する場
合、運搬中における遺伝子組換え生物等の漏出がない
よう適切な拡散防止措置を講じてください。
12-5 P3レベルの実験室からの排水
について、具体的にどのような対応をすれ
ばよいでしょうか。
12-5 手洗い用流し、実験台流しそれぞれの直下
に薬液に耐えるステンレス製等のタンクを設置し、タ
ンク内で薬液処理した後に一般排水へ排出するとい
った対応や、それらの流しの下にオートクレーブがで
きるタンクを設置し、オートクレーブ後に排水すると
いった対応が考えられます。
25
12-6 P3レベルの実験室における安
全キャビネットの点検やヘパフィルターの
交換時期について具体的なルールが定めら
れているのでしょうか。
12-6 安全キャビネットの点検やヘパフィルタ
ーの交換時期は、使用頻度等により大きく影響を受け
るものであることから、具体的な規定はありません。
したがって、これらの性能を維持できる必要な範囲で
交換を行うようにして下さい。
12-7 指針では、P2レベルの封じ込め
措置として、実験室では実験衣を着用し、
退出時にはこれを脱ぐこととの記載があり
ました。しかしながら、二種省令では、P
2レベルの拡散防止措置の中に示されてい
ません。白衣を着脱する必要はなくなった
のでしょうか。
12-7 二種省令別表第2第1号のP1レベルの拡
散防止措置の内容として (8)「遺伝子組換え生物等を
取り扱う者に当該遺伝子組換え生物等が付着し、又は
感染することを防止するため、遺伝子組換え生物等の
取扱い後における手洗い等の必要な措置を講ずるこ
と。」と規定されています。この規定は、二種省令別
表第2第2号ロの(1)の規定により、P2レベルの拡
散防止措置においても必要とされています。
白衣の着脱についてもこの中の必要な措置の一つと
考えられますので、必要に応じ実施してください。
12-8 「P2(P3)レベル実験中」
と表示する場合、夜間・休日等で、P2(P
3)レベルの実験を行わないときは、表示
を外さないといけないのでしょうか。
12-8 遺伝子組換え実験を行っていない間には、
表示を行う必要はありません。しかしながら、この間
には、運搬及び保存以外の使用等を行うことができま
せんので十分留意してください。
12-9 遺伝子組換えマウスを飼育して
いるP1Aレベルの拡散防止措置の施設等
の要件を満たした飼育室において、非遺伝
子組換えのマウスを飼育してもよいでしょ
うか。飼育してもよい場合、どのような単
位(ラック、ケージ)で、遺伝子組換えマ
ウスと非遺伝子組換えマウスを分けて飼育
したらよいのでしょうか。
12-9 遺伝子組換えマウスと非遺伝子組換えマ
ウスを同一の部屋で飼育しても構いません。ただし、
「組換え動物等を、移入した組換え核酸の種類又は保
有している遺伝子組換え生物等の種類ごとに識別す
ることができる措置を講ずること」とされていること
から、お互いに明確に区別した上で、取違のないよう
留意してください。これが出来ない場合には、全ての
マウスを遺伝子組換えマウスとして取り扱うよう、ご
留意下さい。
また、二種省令別表第4では、実験内容を知らない者
が、みだりに実験室に立ち入らないための措置を講ず
ることとされておりますので、組換え動物飼育室に出
入りする者の入退室の管理等により、飼育室でどのよ
うな実験が行われているのか関係者は知っておく必
要があります。
12-10 遺伝子組換え動物を飼育する
ときに出る糞尿は、すべて高圧滅菌や焼却
をしなければいけないのでしょうか。
12-10 ふん尿中に遺伝子組換え生物等が含ま
れる場合には、回収することができる設備を設け、不
活化のための措置を行った上で、廃棄して下さい。
12-11 P2Aレベルの拡散防止措置
を執る必要のある動物を、排気ダクトに「ヘ
パフィルター」を設置していないSPF動
物舎(オートクレーブ完備、ウエットシャ
ワー使用後入室、滅菌衣類着用、バリアシ
ステム)内で飼育することは可能でしょう
か。
12-11 SPF動物舎内での飼育がP2Aレベルの拡
散防止措置の要件に基本的に対応しているのであれ
ば問題ありません。P2Aレベルの拡散防止措置の施設
等の要件においてはエアロゾルが生じやすい操作を
する場合のみ安全キャビネットの使用が求められて
います。
26
12-12 閉鎖系温室で遺伝子組換え生
物等を飼育することは可能でしょうか。
12-12 閉鎖系温室は、P1Pレベルの拡散防止措
置を満たしていると考えられることから、遺伝子組換
え生物等を飼育することは可能です。
12-13 実験室に給排水の設備がない
場合、手洗いの設置は困難ですが、エタノ
ールによる自動手指消毒器、消毒剤、殺菌
剤などを実験室に設置することで対応する
ことは可能でしょうか。
12-13 別表第二第一号ロで規定する、「当該遺
伝子組換え生物等が付着し、又は感染することを防
止」することを担保しうる手法であれば、お尋ねの手
法でも構いません。
12-14 安全キャビネットの設置は
「エアロゾルが生じやすい操作をする場合
に限る。」とされていますが、その基準に
ついて教えてください。
12-14 「エアロゾルが生じやすい操作」をする
ときには安全キャビネットを使用することとされて
いますが、どのような場合にエアロゾルが生じやすい
かは、実験作業内容(実験動物からの採材の方法など)
によって、「エアロゾルが生じる」可能性の程度が異
なってくると考えられますので、使用者及び機関で実
験の手法や組換え生物の性質を基に判断して下さい。
参考として、WHOのマニュアルにはエアロゾルを生じ
やすい作業として、遠心、破砕、攪拌、強く振って混
ぜる作業、超音波処理、破裂、内圧の高い容器を開け
る、動物への経鼻摂取、動物や卵から感染性組織を取
り出す、大量又は高濃度試料の取扱、白金針をバーナ
ーで焼く、等が挙げられています。
27
13.安全委員会の設置・役割
13-1 ベンチャー企業などの小さな
機関では安全委員会を設置することが困
難な場合があります。こうした機関では遺
伝子組換え実験を行うことができないの
でしょうか。
13-1 安全委員会は、基本的事項第二の2におい
て設置するよう努めることとされており、必置ではあ
りません。
しかしながら、安全委員会を設置するのが困難な機関
であっても、行おうとする遺伝子組換え実験の内容等
について組織内で十分把握・検討した上で、遺伝子組
換え実験を行うようお願いします。
13-2 大臣確認を必要としない遺伝
子組換え実験も、機関内の安全委員会で審
査する必要があるのでしょうか。
13-2 基本的事項第二の2において、遺伝子組換
え生物等の使用等をする者がその行為を適正に行う
ための配慮事項として、遺伝子組換え生物等の特性及
び使用等の態様に応じ、安全委員会の設置等体制設備
に努めることとされており、さらに、あらかじめ遺伝
子組換え生物等の安全な取扱いについての検討を行
うよう努めることとされています。
大臣確認実験でないものも含め、機関内において行わ
れる実験について、法令に定める拡散防止措置、事故
時の対応等を適切かつ安全に実施するためには、専門
的な知識及び技術を基に広い視野に立った判断が必
要となるため、機関内において、安全委員会を設置し、
遺伝子組換え実験の内容を考慮の上で、遺伝子組換え
生物等の安全な取扱いについての検討を行うようお
願いします。
13-3 基本的事項第2の2において、
使用者等がその行為を適切に行うための
配慮事項として、遺伝子組換え生物等の取
扱いに関する教育訓練を行うよう努める
こととされていますが、この教育訓練の対
象とすべき者の範囲は、どのように考える
べきでしょうか。
13-3 教育訓練の対象については、各機関におい
て判断するべき問題ですが、一例としては、遺伝子組
換え実験に従事する者や、事故時に対応措置にかかわ
る者などが教育訓練の対象者として考えられます。
13-4 基本的事項第2の4において、
使用者等がその行為を適切に行うための
配慮事項として、使用等の態様、安全委員
会等における検討結果、譲渡等に際して提
供した又は提供を受けた情報等を記録し、
保管するよう努めることとされています
が、具体的にどのような記録を保管する必
要があるのでしょうか。
13-4 保管すべき記録の例としては、
・実験計画書
・安全委員会における議事録
・譲渡に際しての送付表、メールのプリントアウト
が挙げられます。
13-5 遺伝子組換え実験が人の健康
に及ぼす影響について、各機関においてど
のように対応すべきでしょうか。
13-5 基本的事項第二の1において、人の健康の
保護を図ることを目的とした法令(労働安全衛生法な
ど)等予定される使用等に関連する他法令を遵守する
こととされています。
これらのことを踏まえ、各機関において、適切な対応
をお願いします。
28
13-6 安全委員会の設置は施設に1
つが望ましいのか、あるいは会社に1つで
よいのでしょうか。(日動協 カルタヘナ
法Q&A 問69)
13-6 各機関の判断に基づいて遺伝子組換え生
物の特性及び使用等の様態に応じて決定してくださ
い。ただし、事故時等緊急時における対処方法は、安
全委員会の取り決めに基づき、各々の場所において、
その対処を検討すべきであると考えます。(日動協
カルタヘナ法Q&A 問69)
13-7 いわゆる実験従事者の教育訓
練について、具体的にはどの程度の教育を
検討すればよいのでしょうか。 (日動協
カルタヘナ法Q&A 問76)
13-7 「基本的事項」第二の2において各機関で
使用されている遺伝子組換え生物等の特性(病原性及
び伝達性)並びに使用等の様態に応じて、それぞれが
判断することが求められています。適切な拡散防止措
置及び安全な取扱いができる内容が盛り込まれてい
れば良いのではないでしょうか。(日動協 カルタヘ
ナ法Q&A 問76)
13-8 機関内における安全確保のた
めの委員会について、委員会の名称につい
てルールはあるのでしょうか。
13-8 特段のルールはありません。各機関におい
て適宜判断してください。
29
14.申請に係る手続き
14-1 遺伝子組換え実験を行
う場合、文部科学省にどのような申
請を行う必要があるのでしょうか。
14-1 遺伝子組換え実験を実施する場合、大臣確認の申
請を受けて実施する場合と、あらかじめ定められた拡散防止
措置を執りつつ実施する場合があります。
行おうとする実験が、二種省令別表第一に該当する場合、執
るべき拡散防止について大臣確認申請を行い、確認を受けた
後でないと、実験を行うことができません。
それ以外の場合には、大臣確認の申請は必要ありませんが、
法令に定められた拡散防止措置を執る必要があります。
14-2 大臣確認申請のやり方
について教えて下さい。
14-2 大臣確認申請を行う場合の申請の流れ、申請の方
法、申請の様式が文部科学省ホームページに掲載されていま
すのでご参照下さい。
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/anzen.html
14-3 法施行前は、大臣確認を
受けて実施した遺伝子組換え実験
については結果の報告が求められ
ましたが、法が施行された現在も同
様に報告が必要なのでしょうか。
14-3 カルタヘナ法及びこれに基づく法令では、結果の
報告を求める規定はなく、報告の必要はありません。
ただし、大臣確認の際に、実験経過等の報告を条件に付すこ
とがありますのでご留意下さい。
14-4 機関長の異なる複数の
機関で一つの実験を行う場合、大臣
確認申請はどうすればいいでしょ
うか。
14-4 機関として大臣確認の申請書を提出する場合、申
請者は大学長、理事長、代表取締役など、申請に関する最終
的な責任を負う者となります。
機関長が複数いる場合には、誰が最終的な責任を負う者であ
るかについて各機関で検討の上、申請者を決定してください。
14-5 大臣確認実験をする場
所を別の機関から借りる場合、どの
ような手続きが必要でしょうか。
14-5 他の機関から研究所を借りて遺伝子組換え実験を
実施する場合など、大臣申請を行う機関が保有する場所以外
で研究を実施する場合であっても、実験を実施している間の
最終的な責任は申請者に帰属します。このことから研究実施
場所が申請機関の保有する場所と異なる場合には、責任の帰
属がどこにあるのかを明確にするため、申請書に加えて賃貸
契約書の写しなどの添付をお願いする場合があります。
14-6 大臣確認実験を長期間
行う場合、途中で継続申請が必要と
なるのか。
14-6 大臣確認申請書では「その他」の欄に実験実施予
定期間を書くこととされていますが、実施期間の有効期限は
設けていません。したがって、実験実施予定期間内の実験で
あれば継続申請は不要です。
14-7 大臣確認申請書に記載
した実験実施予定期間を超えて実
験を継続する場合、改めて申請を行
う必要があるのでしょうか。
14-7 大臣確認は、提出された申請書に記載された実験
実施予定期間内に行われる遺伝子組換え生物等の使用等につ
いて行うものであることから、実施予定期間を超える場合に
は、改めて申請を行う必要があります。
14-8 第二種使用等する場所
や実験の管理者の変更など軽微な
変更についても、改めて大臣確認申
請を行う必要があるのでしょうか。
14-8 大臣確認は、提出された申請書に記載された事項
に対し行うものですから、例えば第二種使用等をする場所等
記載事項に変更がある場合には、改めて申請を行う必要があ
ります。
14-9 大臣確認申請は「あらか
じめ」行う申請と法令では定められ
ていますが、実験開始後の事後申請
は可能でしょうか。
14-9 主務大臣による確認を受けずに、すでに拡散防止
措置の確認が必要な使用等をされている場合、法律第13条
違反に該当します。
この場合、法律第42条の規定により50万円以下の罰金刑に
処せられ、所属する法人も法律第45条の規定により50万円
以下の罰金刑に処せられることがあります。
くれぐれもこのようなことがないようご留意下さい。
30
14-10 大臣確認の対象とな
る遺伝子組換え実験の一部を委託
する場合、委託先の機関も申請手続
きを行う必要があるのでしょうか。
14-10 委託先の機関であっても、大臣確認申請手続き
が必要となります。
31
15.事故時の措置
15-1 事故の基準について教えてくだ
さい。
15-1 法律第15条の事故の要件は「当該遺伝子
組換え生物等について第十二条の主務省令で定める
拡散防止措置又は第十三条第一項の確認を受けた拡
散防止措置を執ることができないとき」とされている
ことから、拡散防止措置を講じている範囲から遺伝子
組換え生物等が拡散した場合、事故であると判断され
ます。例えば実験室内の床に遺伝子組換え生物を含む
培養液をこぼした場合は、拡散防止措置の範囲が実験
室であれば、実験室内にとどまっている場合は事故に
は該当しません。
一方、遺伝子組換えマウスなどの遺伝子組換え動物を
逃亡防止措置の執られていない廊下で逃がしてしま
い回収できていない場合等は事故に該当します。
15-2 誤って実験室内の床に遺伝子組
換え生物を含む培養液をこぼしてしまいま
した。この場合事故に該当するのでしょう
か。
15-2 拡散防止措置を講じている範囲から遺伝
子組換え生物等が拡散した場合に事故であると判断
されます。
このことから、拡散防止措置を講じている範囲が実験
室であれば、遺伝子組換え生物等が実験室内にとどま
っている場合は事故には該当しません。
15-3 第二種使用等をしている間に施
設が壊れて拡散防止措置が取れなくなった
らどうするか、誰に連絡すればよいのでし
ょうか。
15-3 法第15条に基づき、直ちに応急処置を執
るとともに、速やかにその状況及び執った措置の概要
を文部科学省生命倫理・安全対策室(03-6734-4108)
まで連絡してください。
15-4 法律の解釈が適切でなく、組換
え生物の不適切な取り扱いをしてしまいま
した。どうしたらよいでしょうか。
15-4 法第15条に基づき、直ちに応急処置を執
るとともに、速やかにその状況及び執った措置の概要
を文部科学省生命倫理・安全対策室(03-6734-4108)
まで連絡してください。
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16.その他
16-1 人を対象として、遺伝子組換え
生物等を遺伝子治療用ベクター等として用
いる場合、二種省令において特段の記載が
ないが、どのように扱うべきでしょうか。
16-1 人の遺伝子治療については、所管官庁であ
る厚生労働省にお問い合わせ下さい。
16-2 遺伝子組換え実験中の健康管理
はどのようにすればよいのでしょうか。
16-2 遺伝子組換え実験にかかる健康の保護に
ついては、基本的事項第二の1において、人の健康の
保護を図ることを目的とした法令等の遵守が規定さ
れているところです。
このことから、労働基準法などの関係法令を遵守の
上、健康の保護に係る措置を図るよう十分留意してく
ださい。
16-3 二種省令の別表第1中に、「文
部科学大臣が定めるもの」との記載があり
ますが、具体的には何が定められているの
でしょうか。
16-3 平成19年3月現在、文部科学大臣が定め
るものはありません。