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放射線科の手術支援レポート
豊 島 病 院
― 49 ―
豊島病院
テーマ名
放射線科の手術支援レポート サークル名 TOSHIMAラジエーションホーム
メンバー名 放射線科 ◎古川 祐子 橋本 佳祐
田村 文香 ○小塚 雪乃
佐藤 広七理 山本 雅徳
医事課 竹内 潤子
1 テーマ選定理由
平成 20 年度の診療報酬改定により「画像等手術支援加算 K939」(2000 点)が新設され
た。しかしながら、以下の理由により適応手術の一部で算定が出来ていなかった。
① 関係部署スタッフの認識不足 ② 放射線技師の認識不足及び医事課任せ ③ ナビゲーションシステムを使用していない手術に関しては取れないという認識 今回、「画像等手術支援加算」の適応範囲を確認し、放射線科のワークステーション
を活用して画像等手術支援加算を算定できる環境を整備することを目的とした。
2 現状と問題点
「画像等手術支援加算」を確実に算定する上での課題点を以下に挙げる。
① 当病院で実施されている手術のうち、算定可能な手術を把握できていない ② OPE室の画像端末モニタで3D画像が表示できない ③ 対象手術の画像検査時に、もれなく3D構築を行う体制がない ④ 医師・医事課職員・放射線科で算定するまでのワークフローがない
3 改善策
① 現在の算定状況と新たに算定可能な手術の把握 ② OPE室の画像端末モニタに3D画像を表示するための環境整備 ③ 適応手術に対して放射線科で3D画像を作成するための体制づくり ④ 医師・医事課職員・放射線科の三者協議により算定するまでのワークフローを作成
した。
4 今後の取り組み(結果)
今回の取り組みにより、新たに股関節領域の「画像等手術支援加算」を算定できるよ
うになった。取り組みの前後を比較すると 54 万円分の増収となった。
今回の活動により得られたノウハウを活かし、今後も当院で行われている算定が可能
な手術に対して同様の取り組みを行うことで、更なる算定範囲拡大が可能となると考えら
れる。
また、他の公社病院間でノウハウを共有し、公社病院全体に取り組みを広げることで、
更なる増収に繋げることが期待できる。
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豊島病院
テーマ名
放射線科の手術支援レポート サークル名 TOSHIMAラジエーションホーム
メンバー名 放射線科 ◎古川 祐子 橋本 佳祐
田村 文香 ○小塚 雪乃
佐藤 広七理 山本 雅徳
医事課 竹内 潤子
1 テーマ選定理由
平成 20 年度の診療報酬改定により「画像等手術支援加算 K939」(2000 点)が新設され
た。しかしながら、以下の理由により適応手術の一部で算定が出来ていなかった。
① 関係部署スタッフの認識不足 ② 診療放射線技師の認識不足及び医事課任せ ③ ナビゲーションシステムを使用していない手術に関しては取れないという認識
また、算定条件を確認すると、「ナビゲーションによるものとは、手術前または手術
中に得た画像を3次元に構築し、手術の過程において、3次元画像と術野の位置関係をリ
アルタイムにコンピュータ上で処理することで、手術を補助する目的でも用いることをい
う。」となっており、各手術で用いられている固有のナビゲーションシステムを使用しな
くても、放射線科のワークステーション(VINCENT)により3次元画像を表示することで算
定できるのではないかと考えた。
そこで、医事課に関係団体(社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会、
関東信越厚生局)に確認してもらい、算定可能であると回答が得られた。
以上より、放射線科では診療報酬「画像等手術支援加算」の適応手術において、確実
に算定できる組織体制をつくるための取り組みを行った。
2 現状と問題点
「画像等手術支援加算」を確実に算定する上での課題点を以下に挙げる。
① 当院で実施されている手術のうち、算定可能な手術を把握できていない
② OPE室の画像端末モニタで3D表示ができない
③ 対象手術の画像検査時に、もれなく3D構築を行う体制がない
④ 医師・医事課職員・放射線科で算定するまでのワークフローがない
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3 改善策
① 現在の算定状況と新たに算定可能な手術の把握
まず、医事課に依頼して、当院における「画像等手術支援加算」の算定状況を確認
した。
(【図1】参照)
【図1】「画像等手術支援加算」の算定状況
当院における手術では、整形領域の手術において算定できていないものが多くあった。
整形領域は3D構築を行う上でも比較的短時間で作成できることから、今回は整形領域の
股関節の手術に範囲を絞って行うことにした。また、外科の肝臓解析については、ナビ
ゲーションシステムは使用していないが、OPE室で解析画像を表示していることから算
定することが可能となった。
② OPE室の3D画像表示のための環境整備
まず、3次元画像用ワークステーションのソフトをOPE室4室と5室に導入し、参
照用モニターで見ることができるようにした。(【図2】参照)
【図2】OPE室4室の参照用モニタ
人工骨頭挿入術(股) 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 肝切除術(部分切除)
人工関節再置換術(股) 経鼻的下垂体腫瘍摘出術 肝切除術(亜区域切除)
人工関節置換術(膝) 脳動静脈奇形摘出術 腹腔鏡下肝切除術(部分切除)
人工関節再置換術(膝) 内視鏡下鼻・副鼻腔手術2型(副鼻腔単洞手術) 肝切除術(外側区域切除)
脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(後方椎体固定)
内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)肝切除術(1区域切除(外側区域切
除を除く。))
脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓切除)
内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 肝切除術(2区域切除)
多椎間又は多椎弓実施加算(椎弓切除) 鼻副鼻腔腫瘍摘出術 肝切除術(3区域切除以上のもの)
副鼻腔炎術後後出血止血法
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次に、ワークステーションの起動マニュアルを作成し、OPE室に設置した。初めて
使用する人でもわかるよう簡単なマウス操作も掲載した。実際に、手術中にワークステー
ションを開き、操作することで任意の角度で確認することができる。(【図3】参照)
【図3】OPE室の環境整備
③ 適応手術に対して放射線科で3D画像を作成するための体制づくり
まず、股関節のCT撮像依頼が来た場合は全例3D画像を作成するよう科内周知を行
い情報共有を図った。
次に、普段CTに従事していない職員でも3D画像を作成できるようにマニュアル
を作成した。(【図4】参照)
【図4】3D画像作成用マニュアル
④ 「画像等手術支援加算」を確実に算定するためのワークフローの作成
整形外科医師・医事課職員・診療放射線技師の三者で話し合いを行い、算定までの
ワークフローを決定した。(【図5】参照)
これらのワークフローがスムーズに回れば、確実に「画像等手術支援加算」を算定
することができる。
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【図5】算定までのワークフロー
4 今後の取り組み(結果)
今回の取り組みにより、新たに股関節領域の「画像等手術支援加算」を算定することが
できるようになった。
取り組みの前後を比較すると 27 件分増えており、54 万円の増収となった。
(【図6】参照)
【図6】「画像等手術支援加算」の算定結果
今回、放射線科が積極的に介入し、環境整備したことにより、3D画像用ワークス
テーション使用時でも「画像等手術支援加算」の算定が可能になった。
今後も、当院で行われている算定が可能な手術に応じて、同様の取り組みを行うこと
で、更なる算定範囲拡大を図りたい。
また、他の公社病院間でノウハウを共有し、公社病院全体に取り組みを広げることで、
更なる増収に繋げることが期待できる。
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