Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
福祉心理学第6回
神戸医療福祉大学
藤田益伸
対話ができる環境を整える
•同じ時間・場所・空間で
•お互いに傷つけあうことなく
•広く・深い自己開示ができる
•機会を設定する
•中立的な立場から目的を達成できるよう対話を促進する
•ファシリテーションが必要では?
説得的コミュニケーション
•一面的コミュニケーション
•プラス面だけを伝える
•受け手が内容をよく知らない場合に有効
•両面的コミュニケーション
•プラス面とマイナス面の両方を伝える
•受け手が内容をよく知っている場合に有効
•同じメッセージでも、専門性と信頼性が
高い人が伝えると説得力が増す。
効果のない説得
•心理的リアクタンス•選択する自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用
•ブーメラン効果•指示や命令に逆らってみたり、説得されたものとは全く逆の行動や考え方をとる
参照:世界と日本のUXhttps://uxdaystokyo.com/articles/glossary/psychological-reactance/
現在の政府のCOVID-19のリスク・コミュニケーションはうまく行っているのか?
堀口逸子「現在の政府のCOVID-19に関するリスク・コミュニケーションの問題点」
1. 感染抑止の全体戦略を考える機能・仕組みが不明
2. 出てくる情報が少ない、足りない
3. 政策の意思決定プロセスが不透明
4. デマや間違った情報への対応が不足している
5. 長期戦に備えたコミュニケーション戦略がない
身近にある社会的ジレンマ
•環境破壊
•出し抜き
•割り勘のジレンマ
•資源の買い占め
•個人の利益獲得としては合理的だが、集団全体の利益が減少し、最終的に個人の利益も減少する
http://toshisv.sk.tsukuba.ac.jp/jisshu/jisshu1/report/2015/g3_dilemma/
NIMBY•施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ
•施設コンフリクト、ともいう
•社会的ジレンマの一種
NIMBYが生じる理由•個人的な主観や感情も多々含まれる
•施設から健康上・精神的被害を受ける
•地域のイメージが低下する
•不動産の資産価値が下がる
•治安が悪化する
•子どもの教育に悪影響を与える
NIMBYの争点•近くにあると、地域と住民に利益を与えず、損害を与える、と考えられがち
<リスク>障害者の不測の行為への漠然とした恐れ
<メリット>
施設運営に伴う雇用創出
NIMBY問題の合意形成は難しい
•行政・企業・専門家側に市民の意見を尊重する考え方が弱い
•市民にリスク情報を得ようという意欲が弱い
•リスク評価データが乏しい
•個人や専門分野によって理解の方向性や力点が異なる
•行政・企業・専門家と市民の間に、情報の非対称性がある
社会的ジレンマの解決は難しい
•罰と報酬による解決の限界•施設の近隣住民に補助金
→コストが増大
•道徳観や価値観による解決の限界•協力的な人が得する仕組みが必要
•不信感を抱くと、協力的な人も非協力に転じてしまう
(囚人のジレンマ・ゲーム理論による説明)
「自分だけ損害を被らなければ良い、とする住民エゴだ」と、反対運動自体が批判の対象になることもある
反対する人はエゴイスト?
•NIMBY は、無知や無理解に由来する認知バイアスも一因だが、
•知識があれば迷惑施設への拒否感は解消できるかもしれない
•それ以上に、当事者として問題に向き合うことになった住民と事業者・行政の公正さに基づく信頼関係の問題の方が大きい
総論賛成各論反対
•企画の主旨自体に反対はしないが、自分の利害がからむような具体的問題になると異議を言い立てること
•「理念として福祉社会を否定しないし、必要なのはわかる。反対すると差別なのはわかる。でも、よりによってうちの町内に施設を建てるのか!?」
総論賛成各論反対が生じる原因
•方針決定がどのような影響を与えるか、その過程での議論が足りていないため、抽象的な方針しか理解できていない。
•具体化した段階で初めて話が違うことに気づく。
•議論の過程にコミットメント(参加)していないために生じる「聞いていない」「だ
まされた」といった不信感
リスク・コミュニケーション
•社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダー(利害関係者)である関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図るプロセス
専門家ステークホルダー
リスクメッセージ
関心・意見の表明
リスク(risk)とハザード(hazard)
•リスク•好ましくない出来事が起こる可能性
•ハザード•好ましくないことを起こす原因(危害因子)
•リスク=ハザード×さらされる頻度・量•リスクゼロは不可能
•リスクを減らす策が重要
•安全(safety)と安心(対応語がない)
専門家と非専門家とのリスク認知の違い
専門家 リスク=被害の重大性×生起確率
一般の人々 恐ろしさ、未知性、災害規模
• 話がかみ合わない• 例)コロナの全数検査しろ• 例)コロナ陰性だと証明しろ
リスク認知の特徴
1. 人々は、出来事の記憶しやすさや想像のしやすさに影響を受けやすい
2. 単にリスクがあることを指摘するだけでは、人々は、かえってリスク認知を高めて必要以上に恐怖を感じることがある
3. 人の強固な信念は、容易に変え難い
4. 考え方や意見がはっきりしない段階では、リスク情報の表現の仕方を少し変えるだけで、リスク認知を変えることができる•「生存率40%」と「死亡率60%」
西澤真理子(2017). 「やばいこと」を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション.毎日新聞出版
西澤真理子(2017). 「やばいこと」を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション.毎日新聞出版
http://www.hummingheads.co.jp/reports/interview/u090223/interview23_01.html
一方的な情報提供の限界
都合の良いことしか言っていない
のでは?
本当はこんなこと聞きたいのに…
行政事業者
住民
「放射能」=100%危ない
だろ
不安・不信
情報提供
住民の側からみた3つの不安神奈川県自治総合研究センタ(2012)
1. ほしい情報にたどり着けない
2. 伝え方が不十分•(わかりにくい・難しい・遅い)
3. 受け手のニーズに配慮した情報収集・提供が行われていない•例)リスクのとらえ方の違い
不満 → 不安 → 不信
リスク・コミュニケーションの進め方
1. 準備のフェーズ1. まずは相手の話を聴く
2. 準備にかけるコストと時間をケチらない
3. コミュニケーションの外堀を埋める
2. 実行のフェーズ1. 伝える姿勢を整える
2. 相手サイズの説明と言葉を選ぶ
3. NGワードを使わない
3. フォローのフェーズ1. 理解度確認や関係強化をはかる
引用:西澤真理子(2017). 「やばいこと」を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション.毎日新聞出版
1.準備のフェーズ
•太陽のような態度で相手の警戒を解き、相手が話したい雰囲気をつくる
•相手をプロファイリングする
•共通の話題づくりのための下調べ
•普段からの関係づくり
•基本はあいさつ
2.実行のフェーズ
•相手の目線に合わせ、事実を伝える•一緒に考えていこうという姿勢
•正直に事実をありのまま伝え、わからないものはわからないと言う
•現場を実際に見せる•百聞は一見にしかず
•相手のメンツをつぶさない
2.実行のフェーズ
•相手サイズの説明と言葉を選ぶ•小5でもわかる、絵をイメージできるよう
•相手の興味・関心に合わせて言葉を変える•「科学的に正しいから伝わる」と誤解しない
•NGワード=言い訳・絶対(安全)
リスクコミュニケーションのポイントは、感情と論理をつなぐこと
3.フォローのフェーズ
•相手の理解度を確かめる•最後の一言
•アフターケア•すぐに連絡、お礼を言う
•あえて手紙を書いて送る(一呼吸おける)
• SNSは手軽だが本心が伝わりにくいかも
•一度でうまくいかなくても、相手に伝わるには時間と気力を要するので、あきらめずにやっていくこと
リスクコミュニケーションの発展段階神奈川県自治総合研究センタ(2012)
リスクコミュニケーションの影響過程神奈川県自治総合研究センタ(2012)
公平な情報提供による信頼感を媒体として、送り手と受け手の間に、初めて合意の可能性が出てくる
リスク・コミュニケーションの心得
1. まずは情報公開から
2. 信頼関係を築く
3. 説明は易しく、だれもが理解できるよう
4. 成否の鍵は事前準備
5. 非難・中傷の場ではない
6. 基本は「対話型」。「説得型」はダメ
7. 相互理解・問題解決は回数を重ねること
引用:岐阜県リスコミ心得7箇条
偏見を乗り越えるためのリスク・コミュニケーション
•障害者・施設に関する正確な情報
•漠然とした恐れ・不安などの感情を重視し、安全・安心に変わるよう説明する
•ステークホルダー間の信頼関係の醸成
•公正さと発信機会を十分に担保する
•住民の障害者・施設への主体的関与を促す
合意形成(consensus building)
•ステークホルダー(多様な利害関係者)の意見の一致を図ること。
http://www.co-tk.com/blog/thinking/agr1608
クロスロード(災害対応カードゲーム)
•災害への備えをどうするか、大地震が起こったらどう対応するか。そこでは、私たちの日常生活では思いもよらないような「決断すべき場面」にたくさん遭遇するでしょう…。
•クロスロードはそんな決断の「分かれ道」を描いたゲーム。
•災害対応を自らの問題として考え、また様々な意見や価値観を参加者同士で共有することを目的とする
課題
•指定されたURLへ、入力したことをもって、出席したことを確認します。
•本日の課題
「授業で学習・考察したこと」
•締切 毎週木曜日23:59まで