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物理化学4(第5回)
分子と外部電場の相互作用(2)
誘電率 εr ⇔ 分極 P 電場 E を誘電率と分極で考える
+Q
–Q
表面積 S
E (ガウスの法則)
電荷 q からでる電気力線の本数は常に
(電界の定義)
電場の強さ E [N/C] の電気力線は,単位面積あたり E 本
電荷密度(σ) = Q / S
真空
誘電体
+Q
- - - - - -
- - +
+ + + + + + +
+
–Q 真空中:
誘電体がある場合:
① 誘電率
電場が打ち消される (式1)
② 分極 電荷が打ち消される
+Q - - - - - -
- - +
+ + + + + + +
+
–Q
-P +P
誘電体
(式2)
式1より, 式2より,
(式3)
誘電体分子の回りの局所電場(E’ )の影響
- - - - - -
- - +
+ + + + + + +
+ - - - - - -
- - +
+ + + + + + +
+ + + + + + +
- - - - - -
E’
E
空洞を球形,媒質を連続媒質 として仮定
一方,P と µ の関係から,
誘起双極子モーメントも必要
永久双極子モーメント
誘起双極子モーメントによる分極
永久双極子モーメントをもたないものも, 電場の中で誘起双極子モーメントを生じる
誘起双極子モーメント µ* = α E*
[C m]
[ V m-1] = [J/C m-1]
α :分極率 [C2 m2 J-1]
分極率体積 [m3]
ε0 = 8.85 x 10-12 [C2 J-1 m-1]
電場に比例
永久双極子モーメントを もたない
電場があるときだけ
E* µ*
電場と同じ向き
単位体積あたり N 個の分子があるとき 誘起される分極は
1分子の誘起双極子モーメント
(平均ではない)
誘起双極子モーメント µ* = α E*
よって,全分極は
誘起双極子モーメントは電場の向き
€
N µ2E * /3kT + Nα E *
€
3 ε0(εr −1)(εr + 2)
E * =
€
εr −1εr + 2
=ρL3ε0M
µ2
3kT+α
⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟
€
N =ρML
単位体積あたりの個数
単位体積あたりモル数
€
εr −1εr + 2
=ρPmM
€
Pm =L3ε0
α +µ2
3kT⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟
(Debyeの式) L : アボガドロ定数 ρ : 密度
M : 分子量
Pm : モル分極
α : 分極率
µ : 双極子モーメント
(クイズ) 制限時間5分
いろいろな温度(T)で,比誘電率(εr)を測定した。 Debyeの式から,何が求められるか。
€
Pm =Mρ⋅εr −1εr + 2
=L3ε0
α +µ2
3kT⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟
(クイズ) 制限時間5分
いろいろな温度(T)で,比誘電率(εr)を測定した。 Debyeの式から,何が求められるか。
€
Pm =Mρ⋅εr −1εr + 2
=L3ε0
α +µ2
3kT⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟
永久双極子モーメント(µ)や分極率(α)が求められる
€
Pm =Mρ⋅εr −1εr + 2
=L3ε0
α +µ2
3kT⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟
① ρ と εr を実測
② Pm を計算
③ Pm を 1/T に対してプロット
(永久双極子モーメント(µ)や分極率(α)の求め方)
(傾き) =
€
Lα3ε0
€
Lµ2
9ε0kT
(y 切片) =
永久双極子モーメント(µ)
分極率(α)
分極の速さ
配向分極 P0 極性分子 永久双極子モーメント < 1010 Hz
変形分極 PA 無極性分子 誘起双極子モーメント 1011〜1014 Hz
電子分極 PE 無極性分子 誘起双極子モーメント > 1015 Hz
電場の周波数が高くなったどうなるか?
配向や変形が追いつかなくなる
+ + + - - -
配向分極 変形分極 電子分極
分子の回転 分子の伸縮、変角 電子遷移
マイクロ波 赤外線 可視光線・紫外線
遅い 速い
分極を起こすためには、電場を与える(=電磁波を照射する)必要がある。
(基礎化学物理2から)
① 1011 Hzより高い振動数の電場
配向が追いつかないので,配向分極は見えない
永久双極子モーメントによる分極=ゼロ
€
Pm =L3ε0
α +µ2
3kT⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟ モル分極の2項目がゼロ
€
εr −1εr + 2
=ρPmM
=ρLα3Mε0 (Clausius-Mossotti の式)
② 1015 Hzより高い振動数の電場
誘電率を測るのは難しい
電子分極のみが観測される
nr : 屈折率 (誘電率と屈折率関係)
よって、BがEをつくり、EがBを作る。
上式が同時に成り立つ。
(=光速)
電界が作る磁界
磁界が作る電界
真空中の電磁波の速さ
電磁波の速さ (基礎化学物理2から)
媒質中の光の速さ(屈折率)
屈折率
強磁性体以外では
真空
媒質
(基礎化学物理2から)
② 1015 Hzより高い振動数(光学振動数)の電場
誘電率を測るのは難しい
電子分極のみが観測される
nr : 屈折率
€
nr2 −1
nr2 + 2
=ρPmM
=ρLα3Mε0€
εr = nr2
εr の代わりに nr2 を測定
(誘電率と屈折率関係)