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平成29年3月 青森県教育委員会

研究指定校報告書集...平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業 平成29年3月 青森県教育委員会 平成 27・ 28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

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平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

平成29年3月

青 森 県 教 育 委 員 会

平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

学力向上実践事業 研究指定校報告書集

青森県教育委員会

学力向上実践事業

研究指定校報告書集

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はじめに

平成28年12月、中央教育審議会から「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別

支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」が答申され、子供たちが、

学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解したり、これからの時代に求められ

る資質・能力を身に付けたり、生涯にわたって能動的に学び続けたりすることができるよ

う、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、授業改善に向けた取組を活性化してい

くことが重要であると示されました。平成28年度内には、新学習指導要領が告示される

予定です。

このような中、県教育委員会では、夢や志の実現に向け、知・徳・体を育む学校教育を

施策の方針に掲げ、新しい時代を主体的に切り拓く人づくりを目指し、小・中学校におい

ては「主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業」を通して、本県児童生徒が自らの夢や志

の実現に向け、主体的に学んでいく力を育成することに取り組んで参りました。

事業のうち、「学力向上実践事業研究指定校事業」では、本県児童生徒が、今後の変化の

激しい社会の中で、主体的に未来を切り拓いていくために、身に付けた基礎的・基本的内

容や技能を生かし、さらに「学ぶ意欲」「思考力」「判断力」「表現力」を高めることを目的

に、研究指定校において「主体的に学ぶ力」を育む実践研究を行いました。

研究指定校による実践研究発表会では、児童生徒が課題に対して、自分自身でじっくり

と考え、仲間と意見を交わし、学び合う姿、思考ツールを活用しながら、児童一人一人が

しっかりと意見を発表する姿が見られ、深い学びにつながる多くの実践が報告されました。 また、ICT機器を活用した実践研究では、授業において、児童生徒や教師がICTを

効果的に活用する実践研究にも取り組みました。

研究指定校で積み重ねてきた実践の成果を、本県全体の授業改善、学力向上につなげる

ため、「学力向上実践事業研究指定校事業報告書集」を作成・配布することといたしました。

各学校におかれましては、本冊子に掲載した各取組を参照され、各学校の実態に合わせ

て積極的に活用していただき、児童生徒の「主体的に学ぶ力」を育んでくださることを期

待しております。

最後に、研究実践していただいた研究指定校を始めとする関係各位の御苦労に深く敬意

を表しますとともに、心から厚くお礼申し上げます。

平成29年3月

青森県教育庁

学校教育課長 和 嶋 延 寿

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平成 27・28 年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

本県の児童・生徒は、基礎的・基本的な知識及び技能は概ね定着していますが、それら

を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力には課題があります。ま

た、総合的な学習の時間は、小・中学校ともに体験的な活動は実践されていますが、指導

者主導の授業や、活動に終始し探究の過程を経ない授業も一部で見られています。

このような現状から、身に付けた「基礎的・基本的な内容」や「技能」を生かし、「学ぶ

意欲」「思考力」「判断力」「表現力」を高めていく必要があります。

主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業は、児童・生徒が主体的に学ぶ力(意欲的に課

題を解決していく力)を身に付けられるよう、各教科と総合的な学習の時間の授業改善を

図り、教師の指導力の一層の向上を図るための事業です。

1 主な事業内容

① 学力向上アドバイザー会議の開催

② 研究指定校を中心とした学力向上実践研究(別記)

③ 学力向上フォーラムの開催(平成 27年度実施)

④ 自ら学ぶ力を高めるための授業改善ハンドブックの作成

⑤ 家庭学習習慣形成に係るリーフレット作成

⑥ 授業動画の WEB 公開

2 授業動画について

青森県の学校現場で行われている、児童・生徒が主体的に課題を発見したり、解決

に向けて協働的に学んだりする取組をみなさんに動画で御紹介するものです。

授業動画は、1授業につき、3本の動画を編集しております。

(1)ダイジェスト版(約5分)

(2)課題設定の場面(約 10分)

(3)学び合いの場面(約 10分)

編集に当たっては、学習指導の様子をできる限り分かりやすくお伝えできるよう、

また、各授業に見られる効果的な指導にテロップを加えるなど、動画を見た学校関係

者の参考になるように工夫しました。

動画をご覧になるときは、次のアドレスを参照してください。

http://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/education/syutaiteki_gakuryoku_27.html

※動画は機器やインターネット環境によって、きちんと再生されない場合もあります。

また、動画についてもこちらの都合により視聴できないこともありますので御了承く

ださい。

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平成 27・28 年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

本県の児童・生徒は、基礎的・基本的な知識及び技能は概ね定着していますが、それら

を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力には課題があります。ま

た、総合的な学習の時間は、小・中学校ともに体験的な活動は実践されていますが、指導

者主導の授業や、活動に終始し探究の過程を経ない授業も一部で見られています。

このような現状から、身に付けた「基礎的・基本的な内容」や「技能」を生かし、「学ぶ

意欲」「思考力」「判断力」「表現力」を高めていく必要があります。

主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業は、児童・生徒が主体的に学ぶ力(意欲的に課

題を解決していく力)を身に付けられるよう、各教科と総合的な学習の時間の授業改善を

図り、教師の指導力の一層の向上を図るための事業です。

1 主な事業内容

① 学力向上アドバイザー会議の開催

② 研究指定校を中心とした学力向上実践研究(別記)

③ 学力向上フォーラムの開催(平成 27年度実施)

④ 自ら学ぶ力を高めるための授業改善ハンドブックの作成

⑤ 家庭学習習慣形成に係るリーフレット作成

⑥ 授業動画の WEB 公開

2 授業動画について

青森県の学校現場で行われている、児童・生徒が主体的に課題を発見したり、解決

に向けて協働的に学んだりする取組をみなさんに動画で御紹介するものです。

授業動画は、1授業につき、3本の動画を編集しております。

(1)ダイジェスト版(約5分)

(2)課題設定の場面(約 10分)

(3)学び合いの場面(約 10分)

編集に当たっては、学習指導の様子をできる限り分かりやすくお伝えできるよう、

また、各授業に見られる効果的な指導にテロップを加えるなど、動画を見た学校関係

者の参考になるように工夫しました。

動画をご覧になるときは、次のアドレスを参照してください。

http://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/education/syutaiteki_gakuryoku_27.html

※動画は機器やインターネット環境によって、きちんと再生されない場合もあります。

また、動画についてもこちらの都合により視聴できないこともありますので御了承く

ださい。

学力向上実践研究の概要について

1 事業の目的

本県の児童生徒が、今後の変化の激しい社会の中で、主体的に未来を切り拓いていく

ために、身に付けた基礎的・基本的内容や技能を生かし、さらに「学ぶ意欲」「思考力」

「判断力」「表現力」を高めることを目的に、研究指定校において「主体的に学ぶ力」

を育む実践研究を行う。また、研修会・発表会の開催や報告書により、その成果を普

及することによって、本県全体の学力向上に資する。

2 事業実施機関

平成27~28年度にかけて、2年間で実施。

3 対象校

県内各教育事務所管内から小学校・中学校各1校を研究指定校として、実践研究に取

り組んだ。(研究指定校数は小学校6校、中学校6校、計12校)

4 研究指定校の取組

(1) 平成27年度の研究内容 

 研究指定校は、児童生徒が主体的に学ぶことができるよう、主体的、探究的な学習

を基本とした、各教科、総合的な学習の時間の授業改善を研究の中心とし、探究の過

程のうち、特に次の2点を重視した実践的研究を行った。

①課題が児童・生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

②課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

(2) 平成28年度の研究内容

 前年度の研究の成果と課題を活かしながら、平成28年度は上記の2点に加え、次

の点を重視した実践的研究を行った。

①学習した内容や方法、気付き等を児童・生徒が自覚し、定着させるためのまとめ

と振り返りの工夫

②総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

(3) ICTの活用

研究指定校のうち、指定する中学校3校はICTを活用した実践研究に取り組 だ。ん

(4) 実践研究報告書集の作成

 2年間の取組についてまとめた実践研究資料を作成し、県内小・中・高等学校及び

特別支援学校、各市町村教育委員会、関係機関に配布し、本県の学力向上に資する資

料として活用する。

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平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

学力向上実践事業研究指定校報告書集

目 次

研究指定校の実践報告

① 平内町立小湊小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

② 青森市立荒川中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

③ 五所川原市立いずみ小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

④ 五所川原市立五所川原第四中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

⑤ 弘前市立致遠小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

⑥ 田舎館村立田舎館中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

⑦ 野辺地町立若葉小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81

⑧ 十和田市立第一中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95

⑨ むつ市立苫生小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 109

⑩ むつ市立むつ中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 121

⑪ 南部町立向小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 133

⑫ 新郷村立新郷中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 147

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平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

学力向上実践事業研究指定校報告書集

目 次

研究指定校の実践報告

① 平内町立小湊小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

② 青森市立荒川中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

③ 五所川原市立いずみ小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

④ 五所川原市立五所川原第四中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

⑤ 弘前市立致遠小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

⑥ 田舎館村立田舎館中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

⑦ 野辺地町立若葉小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81

⑧ 十和田市立第一中学校(ICT活用実践校)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95

⑨ むつ市立苫生小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 109

⑩ むつ市立むつ中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 121

⑪ 南部町立向小学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 133

⑫ 新郷村立新郷中学校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥ 147

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1 研究の概要

(1)研究目標

生きて働く言葉の力を育成するためには、身に付けさせたい資質や能力を明らかにし、

体験活動や言語活動を適切に位置付けて単元を展開したり、目的意識や相手意識をもたせ、

思考する場や共に学び合う場を工夫して設定したりすることが有効であることを、授業実

践を通して明らかにする。

(2)研究仮説

① 身に付けさせたい資質や能力を明らかにし、体験活動や言語活動を適切に位置付けて単

元を展開することで、主体的に課題を解決することができるであろう。

② 目的意識や相手意識をもたせ、思考する場や共に学び合う場を工夫して設定することで、

自ら考え表現し高め合うことができるであろう。

(3)研究内容

① 国語科

ア 身に付けさせたい資質や能力から単元を構成するための単元構想シートの活用

イ 本校の児童にぴったりな単元を貫く言語活動の開発

ウ 自ら考え、表現したくなるような課題設定の工夫(必要感や切実感、思考を促すしかけ)

エ 自分の考えを整理したり明確にしたりするための手立て(書く活動・ペアトークの設定)

オ 自分の考えを広げたり深めたりするための話合いの場の設定

カ 当たり前の手立て(学習計画・モデル文・全文シート・振り返り)

② 総合的な学習の時間

ア 身に付けさせたい資質や能力から単元を構成するための単元構想シートの開発・活用

イ 探究のプロセスを意識した単元開発(課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現)

ウ 言語活動や体験活動の適切な位置付けと各教科との関連

エ 地域に生きる一人としての自覚を育む地域教材との出会い(地域教材の開発)

オ 教授法の転換(主体的・対話的で深い学びの実現を目指して)

③ 国語科・総合的な学習の時間

ア 思考ツールの活用を通した、思考力育成プログラムの実践(考える名人・各教科等や

総合的な学習の時間における思考ツールの活用)

イ「どのように学んだか、どう考えたか」を振り返る場の設定

(4)研究経過

月 日 研 究 内 容 研究方法

平成27年度

6月12日(金) ○第1回研究指定校連絡協議会参加 ・教頭、研修主任

6月16日(火) ○2学年国語科提案授業(計画訪問集中授業) ・全体会

7月 8日(水) ○3学年国語科提案授業 ・全体会

7月28日(火) ○現職教育 ・全体会

テーマ「付けたい力を明確にした単元を貫く言

語活動の理論と実践」

講 師 県総合学校教育センター指導主事

9月16日(水) ○3学年国語科提案授業(要請訪問) ・全体会

11月11日(水) ○6学年国語科提案授業 ・全体会

11月30日(月) ○平成27年度学力向上実践事業研究指定校発表会 ・全体会

<提案授業>

1学年国語科「おはなしレストランをひらこう」

4学年国語科「開こう 感想のとびら」

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5学年国語科「この記事、わたしはこう読む」

<講演>

テーマ「主体的に学ぶ力を育む授業の在り方」

講師:文部科学省初等中等教育局教育課程課

教科調査官 水戸部 修治 先生

1月20日(水) ○学力分析結果報告 ・全体会

2月17日(水) ○教職員対象校内研アンケート調査結果報告 ・全体会

2月18日(木) ○第2回研究指定校連絡協議会参加 ・教務主任、研修主任

・教務主任、研修主任

2月29日(月) ○研究報告書の提出及び次年度の研究の方向性確認 ・研修部・全体会

平成28年度

5月10日(火) ○第1回研究指定校連絡協議会参加

6月 1日(水) ○3学年総合的な学習の時間提案授業 ・全体会

6月30日(木) ○6学年国語科提案授業(計画訪問集中授業) ・全体会

7月 6日(水) ○2学年国語科提案授業 ・全体会

8月18日(木) ○現職教育 ・全体会

テーマ「主体的に学ぶ力を育む学習指導の在り

方~国語科における言語活動の充実と

思考ツールの活用を通して~」

講 師 県総合学校教育センター 指導主事

9月28日(水) ○1学年国語科提案授業 ・全体会

10月12日(水) ○4学年総合的な学習の時間提案授業(要請訪問)・全体会

11月 9日(水) ○5学年国語科提案授業 ・全体会

11月24日(木) ○平成28年度学力向上実践事業研究指定校発表会 ・全体会

<公開授業①>

1学年国語科「おうちのひとにしらせよう」

2学年国語科「おもちゃのせつめい書を作ろう」

5学年国語科「伝えたい わたしの意見」

<公開授業②>

3学年総合的な学習の時間「考える名人」

4学年総合的な学習の時間「ともに助け合って」

6学年総合的な学習の時間

「平内町を見つめて~15秒の想い~」

<研究協議>

<講演>

テーマ「主体的・対話的で深い学びの実現に向

けて―アクティブ・ラーニングの視点

による授業改善」

講師:文部科学省初等中等教育局

視学官 田村 学 先生

1月23日(月) ○第2回研究指定校連絡協議会参加 ・教頭、研修主任

2月 1日(水) ○学力分析結果報告 ・全体会

2月15日(水) ○教職員対象校内研アンケート調査結果報告 ・全体会

2月28日(火) ○研究報告書等の提出及び次年度の研究の方向性確認 ・研修部・全体会

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2 各教科での実践

(1)2学年 国語科 学習指導案

①本時の題材 おもちゃのせつめい書を作ろう

②本時のねらい おもちゃ作りの作業のまとまりを考え、順序に気を付けながら作り方を

書くことを通して、作業の工程を4つに分けることができる。

③本時の指導過程

段階 時間 学習活動 ・留意点 □評価 ※支援

導 7 1 学習計画を基に、作り方を4つの工程に分けて ・なぜなにシートのモデル(教材文

入 分 手順を書くという、本時の活動の見通しをもつ。 「けん玉の作り方」を基に指導者が

自作したもの)を提示し、記入の

じゅんじょに気をつけて、作り方を4つに分 仕方を説明する。

けよう。 ①作業のまとまりをとらえさせるた

めに、材料と道具の付箋を貼りな

がら、作る部分を確かめる。

②順序に気を付けて手順を書き出す。

展 12 2 材料や道具を基に、作業のまとまりを考えて、

開 分 なぜなにシートに「すること」を書く。

15 3 実物のおもちゃを使いながら、ペアで書いた ・なぜなにシートの順序を表す言葉

分 ことを伝え合う。 と手順を続けて話させる。互いに

質問や感想を話させ、必要ならば、

付け加えて記入させる。ペアを数

ま 5 4 ペアで交流したことを基に、なぜなにシート 回交替しながら交流させ、おもち

と 分 を修正する。 ゃ作りが分かりやすくなるように

め なぜなにシート 名前 A 順序を確かめさせていく。

書作業のまとまりを基におもちゃ

の作り方を4つの工程に分け、

手順どおりになぜなにシート

に書いている。

まず つぎに それから さいごに <なぜなにシート>

※実際におもちゃを見ながら、

順序を表す言葉と手順を続け

て話させて、手順に沿ってい

るか考えさせる。

6 5 学習を振り返る。 ・振り返りカードに、観点に沿って

分 <Aさんの記入例> 書くように指示する。

Bさんは、作るじゅんじょに気をつけてなぜ ①友達の書いたものを見て気付いた

なにシートを書いていました。わたしは、1年 こと。

生が分かりやすいように、じゅんばんを入れか ②今日の学習で気を付けたこと。また

えることができました。 は、次の学習で気を付けたいこと。

6 次時の学習について確かめる。 ・次時までに、手順を説明するとき

に必要な絵を工程に合わせて描か

せる。または、写真を撮らせる。

ピョンピョンガエル

の作り方

はさみで、切

りこみを4つ

入れる。

ぎゅうに

ゅうパッ

クを切る。

わゴムを切

りこみにひ

っかける。

カラーペン

でカエルの

絵をかく。

― 4 ―― 4 ―

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【モデル文を提示している様子】 【なぜなにシートへの記入】

【ペアトーク】

【振り返り】 【思考の流れが分かる構造的な板書】

導入では、単元の始めに作成した学習計画の確認から始める。その後、指

導者が自作したモデル文を提示することで、児童が見通しをもって活動する

ことができるようにした。

ペアで伝え合う際には、まずは隣同士で

行い、さらに立ち歩きながら様々なペアで

伝え合うことで、より多くのアドバイスを

もらえるようにした。年間を通してペアト

ークの実践を続けたことで、自分の考えを

整理したり明確にしたりするだけでなく、

ペアで問題解決に取り組むこともできるよ

うになってきた。

本時では、思考ツールの一つである

「なぜなにシート」を基にしたワーク

シートを活用した。「まず」「つぎに」「そ

れから」「さいごに」の後に続くように

記述させたことで、順序に気を付けな

がらおもちゃの作り方の工程を考える

ことができた。一方で、個々人の記述

内容については課題も見られたので、

今後一層の手立ての工夫が必要である

ことが明らかとなった。

― 5 ―― 5 ―

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(2)5学年 国語科 学習指導案

①本時の題材 伝えたい わたしの意見

②本時のねらい 選んだ資料から読み取ったことについて話し合い、観点に沿って整理

することを通して、構成メモを作成することができる。

③本時の指導過程

段階 時間 学習活動 ・留意点 □評価 ※支援

導 5 1 学習計画を基に、選んだ資料から読み取った ・情報を整理するために、構成メモ

入 分 ことを観点に沿って整理し、構成メモを作成す を活用すればよいことを確かめる。

るという、本時の見通しをもつ。

資料から読み取ったことを整理し、構成メモ ・「何を示した資料か」「どのよう

を作成しよう。 に示されているか」「注目する言

展 13 2 構成メモの観点を確かめ、自分の考えを付箋 葉や数字」という構成メモの観点

開 分 に書く。 を確認する。

・自分の考えを裏付けるために有効

な言葉や数字はどれかを考えなが

ら必要な情報を見付けさせる。

22 3 付箋に書いたことを基に、読み取ったことに ・選んだ言葉や数字が考えの裏付け

分 ついてグループで話し合い、構成メモに整理す に有効なものであるかについて検

る。 討させる。

・読み取ったことを考察させ、「注目

4 グループごとに構成メモを仕上げる。 した言葉や数字から考えられるこ

と」について考えさせる。

書食に関する統計資料から必要な

情報を見付け、観点に沿って構

成メモに整理している。

資料 <構成メモ・話合い>

※考えを裏付けるために有効な言

葉や数字がないか資料を読み返

させたりする。

・完成した構成メモを掲示し、他の

グループの見方や考え方に触れさ

せる。

ま   5 学習を振り返る。5分と 今日は、資料から読み取ったことを友達と話し合 ・どのように学んだか、どう考えた

め   って、構成メモを作りました。自分が選んだ資料を かについて、ワークシートに振り

読んで分かったことは、1人1日あたりの米の消費 返りを書かせる。

量が約50年前の半分に減っているということです。

みんなと話し合って、日本人の主食は米なのに、米

を食べなくなっているということは、あまりよいこ

とではないと思いました。このことを根きょにすれ

ば、自分の考えに説得力をもたせられると思うので、

次の時間に意見文を書くのが楽しみです。

6 次時の学習について確かめる。 ・次時は構成メモを基に意見文を書

くことを伝える。

<注目する言葉・数字>

消費量 1960 年・315g

2014 年・151g

<何を示しているか>

日本人1人1日当

たりの米の消費量

<考えられること>

米の消費量はへっている

あまり米を食べなくなった

農家の人がこまる

<どのように示されているか>

ぼうグラフ

1 人1日あたりの米の消費量

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【資料に対する自分の考えを付箋に記入】 【グループでの話合い】

【指導者による支援の様子】

【他のグループが作成した構成メモを見合う様子】

【振り返り】

栄養教諭により6年間を通して実施している食に関する指導との関連を図り、食生活に対し

ての意見文を書かせることにした。また、資料の読み取りについては、社会科で学習した技能

を活用することができるよう、ワークシートの構成も工夫した。

グループでの話合いの場面では、「目

的に応じた話合いになっているか。」「話

合いが滞っていないか。」を指導者が見

取り、必要に応じて適切な支援をする

ことができるようにした。また、本単

元で扱う資料の数や内容については、

一層の工夫が必要であることが明らか

となった。

他のグル

ープの構成

メモを見合

うことで、

多様な見方

や考え方に

気付かせる

ようにした。

どのように学んだか、

どう考えたかに加えて、

次時以降どのように学

習を進めていくかにつ

いても記述することが

できるようになってき

た。主体的に学ぼうと

する態度が着実に身に

付いている。

【本時で作成した構成メモ】

― 7 ―― 7 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)4学年 単元指導計画

①小単元名 ともに助け合って

②指導の目標 体験活動や調べ活動から障害のある人たちについての理解を深めること

を通して、ともに生きる社会の一員として、今後の自分の生き方を考える

ことができる。

③指導計画探究

【探究のサイクル】❶課題の設定❷情報の収集❸整理・分析❹まとめ・表現

段階 学習のねらい 時間数 探究

つ パラリンピックの映像を見たり、図書資料を読んだりすることを通して、障害 1 ❶

か に対するイメージを広げ関心を高めることができる。

む 疑似体験活動をすることを通して、障害のある人の立場から、障害について考 3 ❷

⑩ えることができる。

体験活動から分かったことや気付いたことを分類・整理することを通して、自 2 ❸

分の考えを観点に沿ってまとめることができる。

自分が調べていきたい内容とその理由を考えることを通して、自分の考えを明 1 ❸

確にすることができる。

分類・整理した情報を分析することを通して、グループで調べていきたいこと 1 ❸

を焦点化し、学習課題を設定することができる。 ❹

調べる内容や方法、表現の仕方等を話し合うことを通して、活動の見通しをも 2 ❷

つことができる。

追 図書資料やインターネット教材等で調べることを通して、必要な情報を収集す 10 ❷

究 ることができる。

す 県民福祉プラザでの見学や体験を通して、バリアフリー施設など障害者や高齢 4 ❷

る 者を支援する施設・設備の大切さを理解するとともに、必要な情報を収集するこ

⑳ とができる。

障害者スポーツで活躍している方の話を聞いたりインタビューしたりすること 2 ❷

を通して、障害とともに生きていこうとする姿勢や行動力に気付く。

調べ活動や体験活動、障害のある方へのインタビューから、全校のみんなに伝 2 ❸

えたいことを分類・整理することを通して、伝える内容の見通しをもつことがで

きる。(本時)

全校のみんなに伝えたい内容とその理由を考えることを通して、自分の考えを 1 ❸

明確にすることができる。

分類・整理した情報を分析することを通して、全校のみんなに伝えたいことは 1 ❸

何かを考え焦点化することができる。

広 グループごとに発表の方法について話し合い、発表に向けた準備をすることを 7 ❶

げ 通して、自分たちが伝えたいことを分かりやすくまとめることができる。 ❹

る 作成している発表資料を使って中間発表をすることを通して、よりよい発表に 2 ❹

⑬ なるように互いにアドバイスし合うことができる。

中間発表会でのアドバイスを参考に修正点を話し合うことを通して、相手や目 2 ❹

的に合った発表になるよう、発表の仕方や発表資料を改善することができる。

「小湊小学校福祉ウィーク(仮称)」を実施する。 休み時間 ❹

小単元全体を振り返ることを通して、これからの自分の生き方を考えることが 2 ❹

できる。 ❶

― 8 ―― 8 ―

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【車椅子体験】 【アイマスク体験】

【障害者・高齢者疑似体験(於)県民福祉プラザ】

【障害者スポーツで活躍する方からの話】

【本時の様子】

【サークルマップ】

小単元の導入の段階から、

探究活動の原動力となり得

る体験活動を適切に取り入

れた。体験活動は小単元全

体を通して大切にした活動

の一つであった。

身近な地域で暮らす

障害者との関わりを通

して、障害とともに生

きていこうとする姿勢

や行動力について考え

たことは、障害に対す

る理解を深める上で、

有効な手立ての一つと

なった。

障害を支える身の回りの工夫

障害者スポーツ 障害者のくらし

で活やくする方

伝えたいこと

いろいろな

トイレ

思考ツール(サークルマッ

プ)や付箋を活用しながら、

これまで学んだ多くの内容か

ら、全校のみんなに伝えたい

ことを焦点化することができ

た。一方で、付箋に書く内容

や分類・整理の仕方について

は、一層の工夫が必要である

ことが明らかとなった。

― 9 ―― 9 ―

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(2)6学年 単元指導計画

①小単元名 平内町を見つめて~15秒の想い~

②指導の目標 グループで協働して平内町のCMを作る活動を通して、平内町に生きる一人

として、町のよさを再発見すると共に、自分たちの未来について考えること

ができる。

③指導計画探究

【探究のサイクル】❶課題の設定❷情報の収集❸整理・分析❹まとめ・表現

段階 学習のねらい 時間数 探究

つ 平内町と函館市の文化や歴史、食を比較しながら、平内町のよさを発信すると 1 ❶

か いう学習のゴールを確かめることを通して、活動に興味をもち、小単元全体の見

む 通しをもつことができる。

平内町のよさを誰にどのように伝えたらよいか話し合うことを通して、学習課 1 ❶

題を設定することができる。

青森県内各地を紹介するCMを鑑賞することを通して、CMで伝えることのよさに 1 ❷

気付くことができる。

追 平内町のよさをCMで伝えるために、どのような活動をしていくか話し合うことを 3 ❶

究 通して、活動の見通しをもつことができる。

る CM作りのために自分たちにできることを話し合うことを通して、目的に合った 8 ❷

⑮ 情報を多様な方法で収集することができる。

グループで協力しながら、収集した多くの情報を比較したり関連付けたりするこ 3 ❸

とを通して、分類することができる。

平内町のよさをCMで表現するために、分類した情報を整理・分析する活動を 1 ❸

通して、CMで伝えたいことは何かを考え焦点化することができる。(本時)

広 グループで互いの考えを伝えたり、意見を交わしたりする活動を通して、協働 5 ❸

げ 的にCM作りを進めることができる。

⑦ 完成したCMを鑑賞し合うことを通して、様々な考え方や表現方法があることを 1 ❹

捉えるとともに、感想を伝え合うことができる。

これまでの学習を振り返り、自分の成長を見つめ、これからの町の発展につい 1 ❹

て考えることができる。

― 10 ―― 10 ―

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【平内町のCMを作るための作戦会議】

【学習環境の整備】

【振り返り】

【地域での情報収集】

【収集した情報の分類】

【本時の様子】

【ピラミッドチャート&イメージマップ】

地域に生きる一人として、地域のよさを再発見し伝える活動に取り組んだ。様々な表現方法

の中から、CMを通して地域のよさを伝えることに決め、その制作に向けて主体的・協働的に

活動に取り組めるよう、単元の展開を工夫した。

体験活動を重視して、実際に

地域に取材に出かけ、写真や動

画の撮影をしたりインタビュー

したりした。取材活動の後には

振り返りを行い、今後の活動に

ついて考えるなどして、探究的

な学習の実現に努めた。

収集した情報は、KJ法を活用

しながら分類して整理した。

また、小単元を通して思考ツー

ルを積極的に活用したり、学び

の過程を教室に掲示すること

で、常に既習を活用できる環境

作りに努めた。

苦労・努力

おいしい 仕事

ほたて 漁師

海の

豊かさ

文化 食

三味線 白鳥 人の温かさ

本時では、それまでの学びを生かして、

ピラミッドチャートとイメージマップを

組み合わせた新たな思考ツールを開発・

活用した。今後は、年間指導計画の改善

に取り組み、主体的・対話的で深い学び

の実現を目指していきたい。特に、「一人

一人の考えの深まり」を大切にした単元

展開や手立ての充実に努めていく。

― 11 ―― 11 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容

・学習計画を作成したり、授業の中で児童の思考を促す「しかけ」を設定したりすることで、

「考えたい」「表現したい」「話し合いたい」と意欲的に学習したり、目的意識や相手意識

をもって課題を解決したりする姿が見られるようになってきた。

・「思いついたことを整理したり明確にしたりする段階」や「自分の考えを広げ深める段階」

において意図的に書く活動を設定したことで、課題に対して自分の考えをもつことができ

るようになってきた。

・思い付いたことの整理や全体での話合いへの動機付けのためにペアトークを設定したこと

に加え、問題解決の場面においてもペアトークを設定したことで、進んで発表したり自分

の考えを広げ深めたりすることができるようになってきた。

・ペアやグループで課題を解決する機会を増やしたことで、協働的に課題を解決しようとす

る態度が身に付いてきた。

・何のために話し合うのかをはっきりさせてから話し合わせることで、目的意識をもって話

合いに参加する児童が増えてきた。話合いの内容が充実することで、まとめや振り返りの

場面において自分の考えの広がりや深まりを実感することができるようになってきた。

・振り返りの時間を十分に確保することに加え、モデル文を提示することで、どのように学

んだかやどう考えたかを文章で適切に表現することができるようになってきた。

・図書委員会が年間の目標貸し出し冊数を設定し、全校の児童が「本を借りたい。図書室に

行きたい。」と思えるような様々な活動を展開することで、たくさんの児童が図書室から本

を借りて読書に親しんでいる。また、ボランティアによる読み聞かせ会の実施や、家庭と

の連携による読書や音読の活動にも取り組んでいる。

【平成28年度全国学力・学習状況調査より】

平成28年度全国学力・学習状況調査では、国語A・B、算数A・Bのいずれにおいても

県の平均正答率を上回り、5年間で最もよい成績を収めた。また、児童質問紙においても、

国語科や総合的な学習の時間に関わる質問項目において着実に結果が改善している。

教 科 県との比較 全国との比較

国 語 A 105 111

国 語 B 104 108

算 数 A 101 104

算 数 B 103 104

※数値は県および全国の平均正答率を100としたときの比較。

<児童質問紙で結果に改善が見られた主な質問項目>

※表中の数値は、「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」と答えた児童の割合。

①「総合的な学習の時間」の授業で学習したことは、普段の生活や社会に出たときに役に

立つと思いますか。

H28=91.7% H27=90.7% H26=87.0%

②「総合的な学習の時間」では、自分で課題を立てて情報を集め整理して、調べたことを

発表するなどの学習に取り組んでいますか。

H28=85.0% H27=71.9% H26=68.7%

③5年生までに受けた授業では、学級やグループの中で自分たちで課題を立てて、その解決に向けて情

報を集め、話し合いながら整理して、発表するなどの学習活動に取り組んでいたと思いますか。

H28=83.3% H27=68.8% H26=68.5%

④5年生までに受けた授業の最後に学習内容を振り返る活動をよく行っていたと思いますか。

H28=88.3% H27=81.3% H26=70.4%

― 12 ―― 12 ―

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⑤国語の授業で自分の考えを書くとき、考えの理由が分かるように気を付けて書いていますか。

H28=85.0% H27=78.2% H26=74.1%

⑥国語の授業で文章を読むとき、段落や話のまとまりごとに内容を理解しながら読んでいますか。

H28=86.7% H27=78.1% H26=77.7%

<主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に向けた取組状況に関する質問項目(新規項目)>

〇5年生までに受けた授業では、先生から示される課題や、学級やグループの中で、自分た

ちで立てた課題に対して、自ら考え、自分から取り組んでいたと思いますか。

選択肢 当てはまる どちらかといえば、当てはまる どちらかといえば、当てはまらない 当てはまらない

本 校 48.3 38.3 11.7 1.7

26.7 45.0 25.0 3.3

30.7 49.5 16.7 3.0

30.7 47.1 3.9 3.9

22.9 42.9 26.7 7.5

24.0 40.2 27.4 8.3

青森県

全 国

本 校

青森県

全 国

〇5年生までに受けた授業で、自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わる

よう、資料や文章、話の組み立てなどを工夫して発表していたと思いますか。

選択肢 当てはまる どちらかといえば、当てはまる どちらかといえば、当てはまらない 当てはまらない

【平成28年度青森県学習状況調査より】

平成28年度青森県学習状況調査においも、全ての教科で青森県の平均通過率を上回った。

国語科 101   社会科 111 算数科 109 理 科 110

※県の平均通過率を100としたときの比較。

(2)研究の成果

・国語科と総合的な学習の時間においても、資質や能力・言語活動・児童の実態・単元の展開等を

1枚にまとめた「単元構想シート」を開発して、指導案検討の際に活用することができた。

・国語科において、「資質や能力」「言語活動」「教材」の3本柱が有機的に結びつくような単

元づくりを意識したことで、指導者自身が単元のねらいを明確にもって指導に生かすこと

ができた。

・全学年共通の副教材として音読ドリルを採用し、発達の段階に応じて名文等に親しませる

ことで、言葉に対する興味や関心を高められるようにした。また、教室や廊下の壁面に言

葉の学びに関わる掲示スペースを設けることで、既習事項を確かめたり言葉に対する興味

や関心を高めたりすることができるよう努めた。

・総合的な学習の時間の単元の開発に当たっては、探究のプロセスを背景に「資質や能力」「体

験活動や言語活動」「教材」の3つを有機的に結び付けることで、探究的な学習プログラム

が実践できるよう努めた。

・体験活動や言語活動のねらいを明確にしながら、各教科での学びが総合的な学習の時間に

生かされたり、総合的な学習の時間での学びを各教科の学習に生かしたりすることができ

るよう、単元構成を工夫した。

・地域に生きる一人としての自覚を育むために地域素材を教材化することを重視したことで、

各学年の発達の段階に応じて年間指導計画を見直して実践することができた。

・考えることや振り返ることを学ぶ「考える名人」という学習を新設して、思考ツールを活

用することを通した思考スキル育成に取り組んだ。

― 13 ―― 13 ―

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<研究構想(ダイジェスト版)>

(3)今後の課題

・本校の児童の実態に合った単元を貫く言語活動の開発を進めていく必要がある。今後も実

践を蓄積するとともに開発した言語活動の改善にも努めていきたい。

・全ての児童が課題を意欲的に解決していけるよう、様々な教科において児童の思考を促す

「しかけ」を効果的に設定するとともに、課題の提示や発問の仕方を一層工夫していきた

い。

・グループや全体で話し合うことで自分の考えを広げたり深めたりすることが困難な児童へ

の適切な支援が必要である。今後は、「一人一人の学習の深まり」を意識して指導に当たっ

ていく。

・日頃からの密度の濃い授業と振り返りの活動を今後も積み重ねることで、見通しをもって

粘り強く学習に取り組み、学んだことを次につなげる主体的な学びの実現を目指していき

たい。

・総合的な学習の時間における探究的な学習プログラムの実現のために、今年度の実践を踏

まえた年間指導計画の一層の改善が必要である。

・新設した「考える名人」の学習を今後どのように実施するかについては、カリキュラムの

見直しを含めて検討していく。

・教室内外の掲示スペースの一層の充実を図っていく。具体的には、既習事項を各教科等の学

習の場で効果的に活用できるよう掲示の仕方を工夫する。

・ボランティアによる読み聞かせ会は児童にも大変好評なため、読書タイムや休み時間等を

活用しながら機会を増やしていきたい。また、家庭での読書活動については、これまで以

上に家庭の理解と協力を得ながら時間の確保に努めていきたい。

<研究構想(ダイジェスト版)>

(3)今後の課題

・本校の児童の実態に合った単元を貫く言語活動の開発を進めていく必要がある。今後も実

践を蓄積するとともに開発した言語活動の改善にも努めていきたい。

・全ての児童が課題を意欲的に解決していけるよう、様々な教科において児童の思考を促す

「しかけ」を効果的に設定するとともに、課題の提示や発問の仕方を一層工夫していきた

い。

・グループや全体で話し合うことで自分の考えを広げたり深めたりすることが困難な児童へ

の適切な支援が必要である。今後は、「一人一人の学習の深まり」を意識して指導に当たっ

ていく。

・日頃からの密度の濃い授業と振り返りの活動を今後も積み重ねることで、見通しをもって

粘り強く学習に取り組み、学んだことを次につなげる主体的な学びの実現を目指していき

たい。

・総合的な学習の時間における探究的な学習プログラムの実現のために、今年度の実践を踏

まえた年間指導計画の一層の改善が必要である。

・新設した「考える名人」の学習を今後どのように実施するかについては、カリキュラムの

見直しを含めて検討していく。

・教室内外の掲示スペースの一層の充実を図っていく。具体的には、既習事項を各教科等の学

習の場で効果的に活用できるよう掲示の仕方を工夫する。

・ボランティアによる読み聞かせ会は児童にも大変好評なため、読書タイムや休み時間等を

活用しながら機会を増やしていきたい。また、家庭での読書活動については、これまで以

上に家庭の理解と協力を得ながら時間の確保に努めていきたい。

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1 研究の概要

(1)研究目標

身に付けた基礎的・基本的な知識や技能を活用して学習活動に取り組み、主体的に課題を

解決できるための指導法はどうあればよいかを実践を通して明らかにする。

(2)研究の取組

① 身に付けた基礎的・基本的な知識や技能を活用する場の工夫

ア 学習環境整備

授業における「学習の約束」の徹底と実践

(全校ガイダンスで共通理解、班会議や学習委員会のアンケートで実態把握)

イ 授業デザイン

・年間指導計画の見直し(教科書改訂による指導計画の策定、学習訓練の場の意図的

な設定)

・学習課題の工夫(学習意欲を高揚させ、自ら取り組みたくなる課題の設定)

・授業展開の工夫(協働的学習・課題解決的学習の充実、ICT機器の活用)

・まとめと振り返りの場の工夫(納得させる「まとめ」、考えを深めさせる「振り返り」

の実施)

② 基礎的・基本的内容を定着させ、生徒が自信を高めるための日常的な取組

ア 各教科の授業における約束事の徹底

・授業規律の見直し(「授業の約束」の共通理解と実践)

・ノートの書き方指導や点検(下敷きの使用や筆記用具の整備)

イ 学習の仕方や学習習慣を身に付けさせるための方策

・朝の会を利用した学習タイムの実施(学年裁量で実施)

・全校統一学習コンテストの実施(国語・社会・数学・理科・英語の5教科で実施)

・ライジングノートの取組に対する助言・賞賛(家庭学習・1日1ページ)

・二者面談や三者面談を活用した個に応じた学習指導

(得意分野に自信をもたせる指導と不得意分野に対する個別のアドバイス)

(3)研究経過

① 平成27年度(研究指定1年目)

月 実践項目 項目内容 備考

4 ・研究組織づくり ・校内研究組織の発足 職員会議

・第1回校内研究会 ・研究主題や学習の約束の共通理解 職員会議

・学習の約束の確認 ・全校ガイダンスでの説明 学習指導部

5 ・第2回校内研究会 ・学力向上推進事業の確認 職員会議

・今年度の研究の進め方の確認

・NRT標準学力検査の分析 ・各教科の分析と対応策の検討 各教科

6 ・市教委指導課計画訪問 ・一般授業による研究仮説の検証

・第1回研究指定校連絡協議 ・研究計画の確認と指定校の情報共

会 有

研修主任・教務主任

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部7 ・計画訪問分科会記録作成 ・計画訪問分科会記録の作成と回収

・1学期実践研究のまとめ ・実践研究の成果と改善点の整理 各教科

8 ・第3回校内研究会 ・2学期の日程の確認 職員会議

― 16 ―― 16 ―

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  ・研究指定校連絡協議会 ・研究計画の確認と指定校の情報共

・要請訪問と研究発表会の持ち方の 各教科

確認

10 ・第4回校内研究会 ・要請訪問の指導案検討

・タブレット40台、電子黒板1台配 備

11 ・市教委指導課要請訪問 ・集中授業における仮説の検証

・第5回校内研究会 ・研究発表会の指導案検討

・研究指定校研究発表会 ・学力向上推進事業の公開発表

12 ・2学期実践研究のまとめ ・実践研究の成果と改善点の整理 各教科

1 ・第6回校内研究会 ・今年度の成果と改善点の確認 学習指導部

2 ・第2回研究指定校連絡協議 ・今年度の成果と課題の発表 教頭・学習指導部

・研究紀要原稿の作成と回収・今年度の研究のまとめ

・実践研究計画と教育計画の作成・次年度実践研究計画作成 学習指導部

② 平成28年度(研究指定2年目)

月 実践項目 項目内容 備考

  ・研究組織づくり ・校内研究組織の発足 職員会議

学習指導部

・第1回校内研究会 ・研究主題や学習の約束の共通理解 職員会議

・学力向上推進事業の確認

・全校ガイダンスでの説明

・NRT標準学力検査の実施

・学習の約束の確認

・NRT標準学力検査実施 教務部・3学年

  ・市教委指導課学校訪問 ・一般授業による研究仮説の検証

  ・計画訪問分科会記録作成 ・計画訪問分科会記録の作成と回収

・1学期実践研究のまとめ ・実践研究の成果と改善点の整理

・第2回校内研究会 ・2学期と研究発表会の日程の確認 教科・総合

  ・第3回校内研究会 ・指導案検討会 教科・総合

  ・第4回校内研究会 ・指導案検討会 教科・総合

・先進校視察 ・先進校の情報収集と自校の研究の 学習指導部

見直し

・第5回校内研究会 ・研究発表会の指導案検討

・研究指定校研究発表会 ・学力向上推進事業の公開発表 教科・総合

・全国学力学習状況調査分析 ・全国学力学習状況調査の分析 国語科・数学科

・県学習状況調査の分析 ・県学習状況調査の分析と対策 各教科

・2学期実践研究のまとめ ・実践研究の成果と改善点の整理 各教科

― 17 ―

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部

各教科・学習指導部

各教科

10

11

12

― 17 ―

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  ・第6回校内研究会 ・今年度の成果と改善点の確認 学習指導部

・研究紀要作成計画の提示 ・研究紀要作成計画の確認と原稿依頼

・研究指定校連絡協議会 研修主任・学習指導部

職員会議

・今年度の成果と課題の発表

  ・今年度の研究のまとめ ・研究紀要原稿の作成と回収

・研究報告書の作成・提出 ・研究のまとめの作成 研修主任

【学習アンケート結果の掲示】

【学習アンケート結果の掲示】

― 18 ―

各教科・学習指導部

【学習の約束】 【授業のあいさつ】

【サンライズタイムとアドバンスタイム】

― 18 ―

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【全校学力コンテストについて】 【家庭学習ノートの確認事項】

【まなび通信】

― 19 ―― 19 ―

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2 各教科での実践

(1)3学年 理科 学習指導案

①タイトル 地球と宇宙 第2章 地球から見た天体の動き

②本時の題材 月や惑星はどのように見えるか

③本時のねらい 半月状に見える金星が観測できる条件を、iPad を用いて調べる実習を行

うことで、金星の見え方が、地球、太陽、金星の位置によって変化するこ

とを見出し、説明することができる。

段 教師の働き掛け 予想される生徒の 留意点・評価

階 反応と活動

1 次の写真は、地球から見 ・月 ・BIGPAD 画面に

導  たある天体です。何の天体 ・金星 掲示する。

 だと思いますか。 ・火星

① ② ③ ④ ⑤

2 学習課題

金星が写真の形に見える位置を見つけよう。太陽、金星、地

  球の位置関係と、金星の見える範囲にどんな規則があるのだろ

うか。開

3 金星が見える位置を予想 予想 ・班に1台タブレッ

してみよう。 トを配布する。

4 班ごとに、シミュレーシ 【評価1】タブレッ

ョン実験を行って、①~⑤ トを使い、金星の見

の形に見える金星の位置を ・実験方法等の説明を聞く。 え方と方位を調べる

調べてみよう。 操作ができる。(観

察・実験の技能)

5 金星が見えた位置を発表 ・班ごとに話し合いをし、

しましょう。 発表する。

6 太陽、金星、地球の位置と、 【評価2】写真のよ

金星が見える範囲にどんな規 うに金星が見える位

則があるか。タブレットで記 置とそのときの太陽

録した写真や記録用紙をもと と金星と地球の位置

に考えてみよう。 関係を指摘できる。

7 まとめをしましょう。 (科学的な思考・表現)

ま 金星が写真の形に見えるのは、図の位置にある時である。太

と 陽、金星、地球の位置を結んだとき、角度が大きくなるほど、

め 金星の見える形が広くなる。

8 今日の学習をもとに、写 ・太陽-金星-地球の角度

真のような金星が見えたと が90° になる。

き、太陽、金星、地球 【振り返り】

の位置にはどんな特徴

があるか。説明してみよう。

【実験方法】

1.金星の公転軌道のモデルを机上に準備する。

2.金星のモデルを移動させ、①~⑤の形に見える金星の位置を調べる。

3.①~⑤の位置が特定できたら、地球の位置から iPad で金星の見え方を写真で記録する。

また、地球の北極側から見た太陽、金星、地球の位置関係を iPad で記録する。

③④

②⑤

② ⑤

③ ④

― 20 ―― 20 ―

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【タブレットのカメラ機能による記録の様子】

【宇宙から見た視点から記録している様子】

ICT機器を用いて、金星の満ち欠け

のようすを地球から見た視点、宇宙から

見た視点から記録し、その結果をもとに

天体の位置関係と金星の満ち欠けについ

て考察する過程を通して、生徒が宇宙の

広がりの中で、三次元での見方や考え方

ができるようになった。

金星の満ち欠けを調べるに当たり、模

擬望遠鏡の観測位置を固定し視野を限定

することで、見かけの大きさと形の変化

について観察の視点を絞り込んだ。

生徒に考察させる際に、タブレットだ

けに固執せずに、ワークシートへ記入し

た内容も活用できるように選択権を与え

ていれば、より主体的に判断し、考察す

ることができた。

タブレットのカメラ機能により記録し

たことで、金星の満ち欠けや見かけの大

きさを短時間で効率的に確認することが

できた。

生徒のワークシート記入例1 生徒のワークシート記入例2

― 21 ―

電子黒板(BIGPAD)を活用し、班内で使

用したタブレットの記録を全体で共有化

を図る場面を設定すればよかった。

― 21 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)1学年 単元指導計画

①タイトル 「未来を拓く」~自分を知り将来について考えよう~

②指導の目標 職業調べや高校調べを通して、自己理解を深め自己の進路や将来の職業につい

ての興味・関心を高めるとともに自分の将来を考え、自らの生き方への参考に

しようとする。

【学習方法】課題解決の一連の流れを通して学習スキルの向上を図るとともに調

査・探究活動の進め方についての理解を深める。

【自分自身】職業調べや校外学習・生き方講習会などを通して、働くことへの見

方や考え方を広げ、自己の将来を考え夢を持って生活できる。

③指導計画

月 題 材 内 容 課題解決の 時間 関連

段階

4 ガイダンス ・1年間の流れについて概要を理解する。 情報の収集 1 特活

6 自分の適性 ・ジョブカフェあおもりでの学習や講話と午後 課題の設定 10 特活

を知る。 の職場訪問で考えたことや感じたことを個人レ 情報の収集 技術

【体験学習】 ポートにまとめる。 まとめ・表 美術

・礼状の手紙作成。 現 国語

7 就きたい職 ・将来就きたい職業について調べ実現に向けた 情報の収集 7 特活

業について 考えを個人レポートにまとめる。 まとめ・表 技術

調べる。 ・生き方講習会で「夢を叶える法則」と題した 現 美術

講話を聞く。 国語

・礼状の手紙作成

・小中連携の授業で、中学校で成長した自分を知る。

8 高校につい ・高校についての情報を得る。 情報の収集 18 特活

て調べる。 ・自分が行きたい高校や興味がある高校につい 整理・分析 (12

10

) 技術

9 て班ごとに調べる。 まとめ・表 美術

10 【体験学習】 ・実際に高校に行って、どんなところで、どん 現 国語

なことをしているのかを聴いてみる。

・礼状の手紙作成

高校につい ・高校ごとに調べたことを班ごとに発表する。

ての発表 ・発表後の振り返りを行い、改善や対策を確認する。

11 自分の未来 ・調べてきた情報をもとに自分の未来図を作る。

図を作る。 ・発表の原稿を作る。 (6)

本時 ・自分の未来図を発表する。

・同じグループの仲間の発表を聴いてメモを取

り、感想を発表する。

・発表を終えて振り返り、これからの自分の個

人目標を設定する。

12 2年次に向 ・自分の希望の職種の仕事内容や資格等、補足 情報の収集    特活

1 け て の 準 する点を調査する。 整理・分析 技術

2 備。 ・次年度の職場体験の意識を持たせる。 まとめ・表 国語

3 現

― 22 ―

(5/6)

― 22 ―

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【生徒の未来図作成例】

【グループ毎の発表会】

【グループ内での意見交換の様子】

生活経験を補う体験をさせることによ

り、生徒自らの視野を広げ、さまざまな人

との出会いを通して、社会性を身に付ける

ことができた。

タブレットを思考ツールとして活用し、

生徒一人一人の将来なりたい自分に近づく

ための方法を聞いている人に分かりやすく

伝えることができた。

自分の考えや意見を伝える経験が少ない

ため、相手に伝わるような発表をするスキ

ル(話し方、進め方、資料の活用の仕方など)

の個人差が大きく、公開発表に向けて充分

に技能を付けさせることができなかった。

生徒が互いに将来像を紹介し合い、夢の

実現に向けて取組を伝え合うことで、互い

の良さを認め合う雰囲気や励まし合う人間

関係を形成できた。

自分自身の適性を理解し、現時点の将来

像を、明確にもつことができたため、自己

実現に向けて、学習をはじめ諸活動に意欲

的に取り組む姿が見られるようになった。

タブレットのアプリであるキーノートを

使用して、未来予想図を作成させた。技能

の習得に予定した時間よりも多くの時間が

必要となった。

― 23 ―― 23 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 各種調査の実施と分析

本校では、5種類の調査結果を用いて、生徒の変容について分析した。特に変容が顕著

だったものは、生徒に行った学習アンケートの結果である。以下、その結果について述べ

る。

ア 休日の家庭学習が1日3時間以上の生徒は、全体の3割程度に増加した。

イ 平日の家庭学習が1日3時間以上の生徒は、全体の2割程度に増加した。

ウ ながら学習はせず、目的意識をもって集中して家庭学習に取り組む姿勢が定着したの

は、全体の4割程度に増加した。

エ 正しい姿勢で授業を受けることができるようになったと回答した生徒は、全校の4割

に増加した。

オ 授業の目標や振り返りを意識して取り組んだ生徒は、全体の4割に増加した。

② 校内研究会の充実

2年にわたる指定事業の中で、2度公開発表を行った。公開発表において、指摘された

ことは、以下のとおりである。

ア 思考ツールとしてICT機器を活用することは、生徒が主体的に取り組む授業づくりには、

とても有効である。

イ 授業で積極的にICT機器を活用してみることによって、教員の活用スキルの向上が図ら

れ、狙いに沿った適切な場面で使用できるようになる。

ウ 生徒が個人、小集団で実験、作業したことや思考の過程を伝え合うツールとして視覚

化して伝えられる便利な面もあるが、その様子を生徒の手元に記録として残すことが難

しく、ワークシート等の併用が必要である。

(2)研究の成果

① 身に付けた基礎的・基本的な知識や技能を活用する場の工夫

ア 学習環境整備

・授業における「学習の約束」の徹底と実践については、2年にわたり、月ごとに学習

アンケートを行い、「学習の約束」を生徒に意識させ、教科担任の指導の違いも小さ

くなり、落ち着いた環境で授業が展開できるようになった。さらに、安心して自分の

考えを発表できる環境を整えることができ、約束が徹底してきた。

イ 学力向上を意図した授業デザイン

・年間指導計画の見直しについては、学習訓練の場を指導計画に位置付け、年間指導計

画を修正した。

・学習課題の工夫については、生徒が課題意識をもって、自ら取り組みたくなるような

学習課題提示の工夫を導入の段階で取り入れた。課題が明確になることで、予想を立

てることが苦手だった生徒が意思表示し、課題解決に向けての活動に対して見通しを

もち取り組む生徒が増加した点が成果として見られるようになってきた。

・授業展開の工夫においては、協働的に活動する場面を多く設定した。既存のものに加

え、本事業で導入されたタブレット端末を個人やグループで活用したり、それぞれの

端末から得られた情報を電子黒板で共有したり比較したりするなど、教材に適した様

様な形態を取り入れながら課題解決学習に取り組ませた。ICT機器を必要な場面で

取り入れることにより、時間を短縮させるだけでなく、グループ内で考えをシェアし

たり、理解を深めたりと生徒の思考を手助けする新たなツールとして位置付けられる

ようになった。

― 24 ―― 24 ―

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・まとめと振り返りの場の工夫については、導入と展開の工夫により、終末の段階でま

とめを自分の言葉で書くことができる生徒が増加した。

② 基礎的・基本的内容を定着させ、生徒が自信を高めるための日常的な取組

ア 各教科の授業における約束事の徹底については、授業規律の見直し、「授業の約束」

を共同歩調で取り組み、ノートの書き方指導や点検を継続することで、実現できた。

イ 学習の仕方や学習習慣を身に付けさせるための方策

・朝の会を利用して学習タイムや5教科で全校統一学習コンテストを計画し、実践する

ことによって、家庭学習への切実感が高まった。

・ライジングノートの取組に対する助言・賞賛を意図的に行った。特に、良い取組を生

徒や教師が選出し、紹介したり賞賛したりする機会を増やしたことにより、より良い

取組を目指そうとする意欲が高まった。

・二者面談や三者面談を活用した個に応じた学習指導を継続し、「まなび通信」の発行

を行って学習に対する啓発を続けることで、学習の仕方を理解し、学習習慣が身に付

いてきた生徒の割合が増加し、基礎基本の定着や自信を高めて学習に取り組むための

基盤をつくることができた。

(3)今後の課題

① 身に付けた基礎的・基本的な知識や技能を活用する場の工夫

ア 学習環境整備については、意識向上につながった学習アンケートの結果と分析を受け

て、生徒に対して改善点を明確にした生活をさせる工夫が必要である。

イ 学力向上を意図した授業デザインについては、学習内容に関わる「まとめ」をした上

で、思考の変化や気付きなど学習活動に関わる「振り返り」の場面を設定することを確

認して研究を進める必要があった。当初、授業の終末段階における「まとめ」と「振り

返り」を混同している現状があった。一層の学力向上を図っていくためには、常に、確認

の作業を繰り返す機会を、意図的にする必要がある。

さらに、ICT支援員の活用については、活用の体制づくりが課題である。メンテナ

ンスをしたり教材研究のサポートをしたりする計画的な活用と、授業サポートをしたり

アプリをインストールしたりする臨時的な活用に分類し、有効な活用方法を模索したが、

教師側と支援員との打合せの時間をとることが、時間的な制約があり、厳しかった。

② 基礎的・基本的内容を定着させ、生徒が自信を高めるための日常的な取組

ア 各教科の授業における約束事の徹底については、生徒の自己評価は、全体的に甘く、

教員による評価との格差が認められる。この格差を意識しながら、いかに生徒自身の自

己評価の基準を厳しくできる生徒の育成をする必要がある。

イ 学習の仕方や学習習慣を身に付けさせるための方策については、学力が十分に身に

ついていない生徒や家庭での学習環境が整っていない生徒に対しての支援・指導の在り

方が課題である。取り組む範囲を決めさせたり学校で少し取り組ませてから帰宅させた

りするなど生徒の状況に応じて方策を講じ、できる喜びや分かる喜びが学習意欲につな

がる工夫を図ってきたが、改善が必要である。

― 25 ―― 25 ―

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【1年 校外学習】

【1年 生き方講演会】 【1年 私立高校訪問】

― 26 ―

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1 研究の概要

本校では、2年間にわたり、主体的に学ぶ力を育む指導法について、提案授業及び日々の

授業により、研究・実践を積み重ねてきた。 「主体的に学ぶ力」については「子どもが学ぶ意義を捉え、自ら学ぶ意欲を高めながら、

問題の解決に向けて、友達と話し合い、考えを比較・吟味して、よりよい解決に取り組んで

いくこと。さらには、その過程における自分の学び方を振り返り、次の学びへと向かう力の

こと」と捉え、以下のように、研究に取り組んできた。 (1)研究目標

主体的に学ぶ力を育てるために、各教科及び総合的な学習の時間において、問題解

決的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組ませることが有効であるこ

とを実践的に明らかにする。 (2)研究の取組

① 研究内容

ア 学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方 既習内容や既存の知識、生活経験等とのギャップやズレを生じさせる情報や資料を

提示し、「知的好奇心」による内的動機付けを図る。

イ 協働的な学びを実現する課題解決の進め方 思考ツール、思考スキルを活用した話合い活動を中心に取り組む。

ウ 学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫 課題との整合性を図りながら、できるだけ子どもの言葉を生かして学習内容をまと

めさせる。また、思考の変容や広がり、深まり、友達の意見で参考になったことなど 学び方に関する振り返りをさせる。

② 研究方法 ア 社会科・総合的な学習の時間、生活科の2つの部会を組織して研究を進め、共通理

解を図りながら提案授業を行い、主題解明に当たる。

イ 提案授業における提案事項を明確にし、研究仮説に基づいて研究協議を行い、成果 と課題を明らかにしながら授業改善に生かしていく。

ウ 研究発表会における研究授業、研究協議会を通して研究を深める。

③ 検証方法

ア 日常の授業実践、校内研や研究発表会における研究協議、学習についてのアンケー ト等を通して、児童の変容を明らかにする。

イ 研究授業の提案が有効であったか、視点を明らかにして協議する。 ④ 年次計画

1年次…探究型の単元開発と研究内容に関わる授業実践

2年次…研究内容に関わる授業実践とまとめ (3)研究経過

① 平成 27 年度 日 程 概 要

4月8日 研究の概要及び研究計画の検討 4月 27 日 研究計画の確認及び指導案の様式・目指す児童像についての検討 5月 13 日 総合的な学習の時間の単元の見直し(生活科・社会科との関連) 5月 27 日 各ブロックでの研究内容の確認・共通理解 6月 10 日 生活科提案授業事前研究会(2年) 6月 23 日 生活科提案授業(2年)・事後研究会

― 28 ―― 28 ―

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1 研究の概要

本校では、2年間にわたり、主体的に学ぶ力を育む指導法について、提案授業及び日々の

授業により、研究・実践を積み重ねてきた。 「主体的に学ぶ力」については「子どもが学ぶ意義を捉え、自ら学ぶ意欲を高めながら、

問題の解決に向けて、友達と話し合い、考えを比較・吟味して、よりよい解決に取り組んで

いくこと。さらには、その過程における自分の学び方を振り返り、次の学びへと向かう力の

こと」と捉え、以下のように、研究に取り組んできた。 (1)研究目標

主体的に学ぶ力を育てるために、各教科及び総合的な学習の時間において、問題解

決的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組ませることが有効であるこ

とを実践的に明らかにする。 (2)研究の取組

① 研究内容

ア 学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方 既習内容や既存の知識、生活経験等とのギャップやズレを生じさせる情報や資料を

提示し、「知的好奇心」による内的動機付けを図る。

イ 協働的な学びを実現する課題解決の進め方 思考ツール、思考スキルを活用した話合い活動を中心に取り組む。

ウ 学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫 課題との整合性を図りながら、できるだけ子どもの言葉を生かして学習内容をまと

めさせる。また、思考の変容や広がり、深まり、友達の意見で参考になったことなど 学び方に関する振り返りをさせる。

② 研究方法 ア 社会科・総合的な学習の時間、生活科の2つの部会を組織して研究を進め、共通理

解を図りながら提案授業を行い、主題解明に当たる。

イ 提案授業における提案事項を明確にし、研究仮説に基づいて研究協議を行い、成果 と課題を明らかにしながら授業改善に生かしていく。

ウ 研究発表会における研究授業、研究協議会を通して研究を深める。

③ 検証方法

ア 日常の授業実践、校内研や研究発表会における研究協議、学習についてのアンケー ト等を通して、児童の変容を明らかにする。

イ 研究授業の提案が有効であったか、視点を明らかにして協議する。 ④ 年次計画

1年次…探究型の単元開発と研究内容に関わる授業実践

2年次…研究内容に関わる授業実践とまとめ (3)研究経過

① 平成 27 年度 日 程 概 要

4月8日 研究の概要及び研究計画の検討 4月 27 日 研究計画の確認及び指導案の様式・目指す児童像についての検討 5月 13 日 総合的な学習の時間の単元の見直し(生活科・社会科との関連) 5月 27 日 各ブロックでの研究内容の確認・共通理解 6月 10 日 生活科提案授業事前研究会(2年) 6月 23 日 生活科提案授業(2年)・事後研究会

― 28 ―

7月上旬 児童対象「学習についてのアンケート」①実施

8月3日 総合的な学習の時間提案授業事前研究会①(5年)

8月 19 日総合的な学習の時間提案授業事前研究会②(5年)

総合的な学習の時間の研修会(講師県総合学校教育センター指導主事)

8月~12 月 自主授業実践(1年・4年・6年)

9月7日 学力向上フォーラム(青森市)参加

9月 16 日 先進校視察(東京都大田区立東調布第一小学校)

10 月7日 中間のまとめ(研究の成果と課題)

10 月 15 日 総合的な学習の時間提案授業(5年)・事後研究会(後期計画訪問)

10 月 27 日 学力向上実践事業地区研修会参加(実践発表)

10 月 28 日 各ブロック研究(教材・指導案の検討)

11 月 10 日

主体的に学ぶ力を育む学力向上実践事業指定校合同研修会

演題 「主体的・協同的に学ぶ力を育むために」

講師 早稲田大学教育学部 教授 藤井千春 氏

11 月 11 日 社会科提案授業事前研究会(3年)

11 月 12 日 総合的な学習の時間全国大会プレ大会参加(新城小・浦町小)

11 月 16 日 社会科提案授業(3年)・事後研究会(市教委要請訪問)

11 月中旬 児童対象「学習についてのアンケート」②実施

12 月 16 日 校内研究についてのアンケート実施

1月 13 日 1年間の研究のまとめと反省

1月 27 日 次年度の研究の方向付け

② 平成 28 年度

日 程 概 要

4月8日 研究の概要及び研究計画の検討

4月27日 研究計画の確認及び指導案の様式・目指す児童像についての検討

5月18日 各ブロックで研究(研究内容の確認、教材研究)

5月25日 一般研修(授業づくりに向けた学習指導要領の読み込み)

6月8日 社会科提案授業事前研究会(3年)

6月24日提案授業(3年集中授業、他学年一般授業)事後研究協議会(市教委要請訪問)

7月上旬 児童対象「学習についてのアンケート」③実施

7月13日 各ブロック研究(教材研究等)

7月20日 各ブロック研究(教材研究等)

8月17日 学力向上実践事業研究発表会指導案検討会① (市教委要請訪問)

8月22日 学力向上実践事業研究発表会指導案検討会②

8月31日 学力向上実践事業研究発表会指導案検討会③

9月7日 各ブロック研究

10月12日 教材研究

10月20日学力向上実践事業研究発表会(公開授業・研究協議会・全体会・講演)

演題「アクティブ・ラーニングと『教えて考えさせる授業』」講師 東京大学大学院教育学研究科 教授 市川伸一 氏

10月22日 秋田県学力向上フォーラム参加

11月中旬 児童対象「学習についてのアンケート」④実施

12月14日 研究のまとめについて

1月12日 1年間の研究のまとめと反省

1月25日 次年度の研究の方向付け

― 29 ―― 29 ―

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2 各教科での実践

(1)1学年 生活科 学習指導案

① 本時の題材 あそびにいこうよ ~あそびのひろば~

② 本時の目標 もっと楽しくなるようにおもちゃの作り方を工夫したり、遊び方を考え

たりすることができる。

③ 本時の指導過程

段 学習活動 ○教師の働きかけ*支援 ・留意点

階 ・予想される児童の反応

1 課題をつかむ。

導 ○前の時間はどんな遊びをしたか。 ・前時までの学習を想起させ、本時のめ

入 ・どんぐりでこまを作って回したよ。 あてにつなげる。

○「あそびランド」に招待する保育園児から 【提案事項ア】

届いたビデオメッセージを見てみよう。 ・自分たちだけでなく、園児も楽しめる

・保育園児からのビデオメッセージを見る。 工夫を考えるということを確認する。

○め ほいくえんの子が たのしくあそべるように くふうしよう。

2 見通しをもつ。 ・前時に友達からアドバイスしてもらっ

5 ○どんな工夫をしたらよいか。 たことをもとにして考えさせる。

分 ・みんなが遊べるように数を増やしたい。 ・黒板に板書して工夫の観点を示す。

・こわれやすいから丈夫にしたい。 ・学習の流れを示す。

3 自分で考える。

展 ○楽しく遊ぶためにどんな工夫が必要か自分 ・工夫カードを配布する。

開 の考えをカードに書こう。 ・作ったおもちゃを試しながら、どんな

・好きなものを選べるように服やお面をもっ 工夫をしたらいいか考えさせる。

とたくさん作ろう。 *思い付かずに書けない児童には、計画

・こわれやすいからガムテープで丈夫にしよ 表1(事前作成)を手掛かりにさせる。

う。 【提案事項イ】

4 みんなと考える。 ・工夫カードは重ねず見えるように貼っ

○グループの中で自分の考えを発表しよう。 て分類させる。

・自分の考えを一人ずつ発表する。 ・作ったおもちゃを試しながら、どんな

○決まったことをグループで計画表2にまと 工夫をしたらいいか話し合わせる。

めよう。 ・いろいろな意見を出し合い、互いのよ

・グループ毎に工夫することを話し合って決 さを取り入れながら決めていくように

30 め、計画表2に書く。 させる。

分 *机間指導を行い、遊んだ時のことや、分

類したカードを手掛かりに考えさせる。

5 学習内容をまとめる。

ま ○決まったことをグループ毎に発表しよう。 ・計画表2を黒板に掲示し、各グループ

と ・わたしたちは、服やお面の数を増やして、 の考えをみんなで共有できるようにす

め 好きな物を選べるようにしたい。 る。

○ま ほいくえんの子が たのしくあそぶために いろいろなくふうができたね。

6 学びを振り返る。 【提案事項ウ】

10 ○ふりかえるカードに振り返りを書こう。 ・ふりかえるカードを配布する。

分 ・グループのみんなで話し合ったら、いい考 ・気付いたことを書かせることで自分の

えに決まったのでよかったよ。 思いを表現させる。

― 30 ―― 30 ―

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【提案事項ア】 導入の場面で、保育園児からのビデオメッセージを提示することにより、楽

しく遊べる工夫を意欲的に考えることができるようになる。

○振り返りカードの記入内容から、ビデオメッセージの提示が児童の意欲につながったこ

とが分かる。

【提案事項イ】 展開の場面で、一人一人が考えた工夫を話し合うことにより、多様な考えを

共有して計画表2にまとめることができるようになる。

○どの児童も自分なりに考えた工夫をカードに書き、発表し合ってシートにまとめること

ができた。

●多数決や発言力の強い児童の考えに決めてしまうグループもあった。目的を確認する必

要があった。

【提案事項ウ】 まとめの場面で、活動したことを「ふりかえるカード」を使って言葉で表現

することにより、自分や友達についての気付きが明確になり、次時への意欲を

もつことができるようになる。

○自分のことだけでなく、友達のがんばりや次にやりたいことなども書くことができた。

【計画表1】 【計画表2】

【ビデオメッセージを

視聴している様子】

【振り返りカードの記述】 【グループでの

話合い】

― 31 ―― 31 ―

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(2)2学年 生活科 学習指導案

① 本時の題材 町のすてき大はっ見 ~町たんけん2~

② 本時の目標 友達の○○のすてきの発表を聞いて、「分かってよかった」「もっと知り

たい」「やってみたい」を見付けて伝え合うことができる。

③ 本時の指導過程

段 学習活動 ○教師の働きかけ*支援 ・留意点

階 ・予想される児童の反応

1 課題をつかむ。 ・事前に書かせておいたすてきカードを

導 ○前の時間は、どんな勉強をしたか。 準備させておく。

入 ・みんなにおすすめしたい○○のすてきを書 【提案事項ア】

いた。 ・大型テレビを使って写真を提示する。

○め 友だちとおすすめしたい「○○のすてき」を教え合おう。

2 見通しをもつ。

7 ○グループごとに発表し合おう。「分かって ・発表を聞く観点を掲示し説明する。

分 よかった」「もっと知りたい」「やってみた ・発表の後に、付箋に書いていくことを

い」を見つけながら聞こう。 知らせる。

3 自分で考える。

展 ○町のすてきをみんなで教え合おう。 ・探検に行った場所ごとに、発表する。

開 ・一番高い切手の値段が分かった。 (6グループ)

・デイサービスにお風呂があることが分かっ

た。

4 みんなと考える。 【提案事項イ】

○「分かってよかった」「もっと知りたい」「や ・自由に移動して、すてきカードを見な

ってみたい」を付箋に書こう。 がら付箋に書いていくようにする。

・デイサービスにいろんなお部屋があること 「分かってよかった」・・・ピンク

が分かってよかった。 「もっと知りたい」・・・水色

・何曜日が忙しいか聞いてみたいな。 「やってみたい」・・・黄色

・お店は、何時まであいているのか聞いてみ *よい気付きを取り上げて、全体で共有

たいな。 できるようにする。(

・一番高い切手を見てみたいな。 *進んで書けない子には、マークをどこ

30 ・駐在所のおまわりさんと話してみたいな。 に貼りたいか問いかけ、それを手がか

分 りに、自分の思いを付箋に書けるよう

に促す。

5 学習内容をまとめる。

ま ○みんなでまとめたすてきカードを見てどう ・付箋を貼り合ったものを黒板に掲示す

と 思うか。 る。

め ・付箋がいっぱい貼ってある。

・水色の付箋が多い。

○ま 学校のまわりには、○○のすてきがたくさんあることが分かったね。

6 学びを振り返る。 【提案事項ウ】

8 ○ふりかえるカードに振り返りを書こう。 ・本時のめあてにそって振り返りをさせ

分 ・友達の話を聞いて、たくさんのすてきが分 る。

かってよかったな。

― 32 ―― 32 ―

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【提案事項ア】 導入の場面で、探検で撮ってきた写真を提示することにより、「教えたい」

「知りたい」という意欲をもつことができるようになる。

○写真の提示が探検に行ったときの想起につながり、他の班の「知りたい」という意欲

にもなった。

【提案事項イ】 展開の場面で、友達の発表を聞いての思いや願いを付箋に書いて伝え合う

ことにより、友達の気付きのよさを認めたり、「見てみたい」「聞いてみたい」

という興味・関心を高めたりすることができるようになる。

○観点毎に付箋を色分けしたことで、自分の思いや願いを書きやすくなった。

●付箋の分類・整理の仕方が様々だったので、色毎に貼る、同じ意見をまとめるなど、

分類の仕方を確認する必要があった。

【提案事項ウ】 まとめの場面で、「ふりかえるカード」に書くことにより、自分や友達の気

付きのよさに気付いたり、一人一人の思いを確かなものにしたりすることが

できるようになる。

○他の班の気付きのよさや、自分の班に対する内容への気付きが書かれ、一人一人の思

いが表れていた。

●児童の気付きをうまく取り上げ、気付きの質を深めたり、みんなで共有したりできれ

ばよかった。

【グループで分類した付箋】 【振り返りの様子】

【授業の板書】

― 33 ―

【振り返りカードの記述】

― 33 ―

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(3)4学年 社会科 学習指導案

① 本時の題材 住みよいくらしをつくる ~ごみしょりと利用~

② 本時の目標 地域がかかえるごみ処理の問題を解決するためには、地域の人々が協力

しなければならないことが分かる。

③ 本時の指導過程

段 学習活動 ○教師の働きかけ*支援 ・留意点

階 ・予想される児童の反応

1 課題をつかむ。 ・前時までの学習を想起させる。

導 ○ごみ処理にはどんな問題があったか。

入 ・分別しない人がいる。 ・処理にお金がかかる。

・埋め立て地が不足してきている。

○グラフを見てどう思うか。 【提案事項ア】

・ごみの量は少なくなってきているけど、一人で ・五所川原市で1年間に一人当たりが出すご

100kg以上もごみを出している。 みの量のグラフを提示する。

○めごみをへらすために身の回りではどんな取り組みをしているのか考えよう。

2 見通しをもつ。

10 ○ごみを減らすためにどんなことをしているか。 ・ごみを減らす工夫について調べることを確

分 ・エコバックを使って買い物をしている。 認する。また、どこで取り組んでいること

・ごみを分別している。 なのかを確認する。

3 自分で考える。

展 ○身の回りではごみを減らすために他にどんなこ ・スーパーマーケットの見学を想起させる。

開 とが行われているか考えよう。 【提案事項イ】

・回収ボックスを置いている。 ・配布した資料からごみを減らすための取組

・缶やペットボトルをリサイクルしている。 を見付けさせ、付箋に書かせる。

・レジ袋を有料にしている。 *ごみを減らすための活動を一緒に見付け、

・古新聞や本を回収している。 下線を引かせる。

4 みんなと考える。

○家庭、学校、店、地域にまとめよう。 ・家庭、学校、店、地域の4つの観点でまと

<家庭で>・ごみの分別。 ・エコバッグ。 めさせる。

<学校で>・ごみの分別。 ・紙の両面印刷。

<店で> ・回収ボックスの設置。・有料レジ袋。

<地域で>・分別表の掲示。

・ゴミ出しのルールの掲示。

○市役所からのメールでの回答を紹介する。 ・市役所に問い合わせた回答を紹介する。

25 ○さらにごみを減らすにはどんなことが必要か。 ・それぞれがごみを減らすための工夫をして

分 ・ものを大切にする。 ・きまりを守る。 いることから、協力していくことで効果が

・家庭、学校、店、地域で協力する。 上がることをおさえる。

ま 5 学習内容をまとめる。

と ○まごみをへらすために身の回りではいろいろなことが行われていて、さらにみんなで協力し

め ていく必要がある。

6 学びを振り返る。 【提案事項ウ】

10 ○学習して、思ったことを書こう。 ・自分の学習を振り返らせて成果を認めるこ

分 ・ごみを減らすためにみんなで協力する必要があ とで次時への学習意欲を高めさせる。

る。自分にもできることを考えたい。

― 34 ―― 34 ―

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【提案事項ア】 導入の場面で、五所川原市のごみの量を表すグラフを提示することにより、

自分の身の回りの事象としてごみが少なくなってきた理由を考え、主体的に課

題を作ることができるようになる。

○グラフの提示により、児童がすぐにごみの量が少なくなってきていることに気付き、課

題把握までをコンパクトに進められた。

【提案事項イ】 展開の場面で、自分の考えを付箋に書いて話し合うことにより、全員の考え

が反映された話合いになり、協力して考えをまとめることができるようになる。

○児童全員の考えが反映されていた。また、協力して考えをまとめていた。

●分類の観点を提示して作業しやすくし、分類後の話合いにもっと時間を多くとるとよか

った。

【提案事項ウ】 まとめの場面で、ごみ処理の工夫について学習したことを振り返ることによ

り、自分の考えを確かめ、次の学習への意欲をもつことができるようになる。

○本時の学習内容を確かめたり、自分にできることについて考えたりできていた。

●多くの児童に発表させて、振り返りを共有させたかった。

【課題把握のグラフ】 【調べ作業の資料】 【市役所からのメール回答】

【授業の板書】

― 35 ―― 35 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)5学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 本時の題材 お米作りの秘密を調べよう

② 本時の目標 青森県産米の価格が低いことを知ることで生じる疑問を比較・関連付け

て、グループで調べる新たな課題を設定することができる。

③ 本時の指導過程

段 学習活動 ○教師の働きかけ*支援 ・留意点

階 ・予想される児童の反応

1 課題をつかむ。

導 ○つがるロマンとコシヒカリを食べ比べた ・どちらもおいしかったことを想起させ

入 時にどんな感想をもったか。 る。

・どちらもおいしかった。

・コシヒカリがおいしかった。

○め 米の価格ランキングをもとに調べたいことを考え、グループの課題をまとめよう。

2 見通しをもつ。

○米の価格ランキングを予想してみよう。 ・米1俵(30 ㎏の米袋2つ)を提示し、

・コシヒカリが有名だから 1 位だと思う。 取引価格について説明する。

・つがるロマンもおいしいから、10位以内 ・試食した体験を踏まえ、値段を予想さ

になると思う。 せて取引価格ランキングを見せる。

○取引価格ランキングを見てみよう。どん 【提案事項ア】

なことがわかったか。 ・味と価格の認識のズレを引き出すため

5 ・上の順位はコシヒカリばかりだ。 に、ランキング形式にして提示する。

分 ・つがるロマンは順位がずっと下だった。 ・青天の霹靂の価格については、参考と

・青天の霹靂は何位かな。 して小売価格を知らせる。

3 自分で考える。

展 ○自分が疑問に思ったことを付箋に書き、 *書く内容が分からない児童には、他の

開 それを分類したり、関連付けたりして整 米との比較から考えさせる。

理し、調べたいことをまとめよう。

・おいしいのにどうして価格が低いのか。

・どうして価格が低いつがるロマンを作っ

ているのかにまとめられる。

4 みんなと考える。 【提案事項イ】

○調べたいことをランキングにしてみよう。 ・付箋を貼らせるマトリックスの観点と

30 ・つがるロマンの価格が低いのはなぜかを して「興味・関心」と「調べる見通し」

分 1番にしよう。 を提示する。疑問をランキング付けし、

・どのように品種改良しているかにしよう。 グループで課題をまとめていく。

5 学習内容をまとめる。 【提案事項ウ】

ま ○グループでまとめた課題を発表しよう。 ・各グループで選んだ課題を確かめ、次

と ・なぜつがるロマンの価格が低いのか。 時の活動の見通しをもたせる。

め 6 学びを振り返る。

○振り返りをノートに書こう。 ・本時の学習への取組を、意欲面やグル

10 ・価格ランキングから、疑問をたくさん考 ープでの話合いの様子、学習の満足感

分 えることができた。 等の視点を確認して書かせる。

・協力して、課題をまとめることができた。

― 36 ―― 36 ―

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【提案事項ア】 導入の場面で、米の味比べの体験と価格表の提示による価格差の気付きに

よって、青森県産(五所川原市) 米に対する認識のズレが生まれ、意欲的に

新たな課題を考えることができるようになる。

○価格表の提示による疑問から課題を考えることができ、児童の意欲が向上した。

●価格表に産地名もあったため、価格差に関した疑問以外にも内容が広がってしまった。

【提案事項イ】 展開の場面で、マトッリックスを用いて課題について話し合うことで、協

働的に比較・関連付けて考えることができるようになる。

○マトリックスの観点をもとにしたランキング理由だけでなく、調べることの意義も考

えられた。

●発言力のある児童の意見が優先されるグループもあり、話合いの細かなルールを再確

認する必要があった。

【提案事項ウ】 まとめの場面で、グループでランキング付けした課題を発表することで、

次時の学習の見通しをもてるようになる。

○自分たちのグループと他のグループの課題を比較することにより、課題設定の見通し

をもてた。

【話合いのためのマトリックス】

【グループでの話合いの様子】

【児童のノート】 【授業の板書】

― 37 ―― 37 ―

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(2)6学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 本時の題材 発見しよう!ぼくらのふるさと

② 本時の目標 五所川原市の魅力を伝える方法について、マトリックスを活用して比較

・分類・関連付けて、よりよい方法を考えることができる。

③ 本時の指導過程

段 学習活動 ○教師の働きかけ*支援 ・留意点

階 ・予想される児童の反応

1 課題をつかむ。

導 ○五所川原市にはどんな観光地があったか。 ・五所川原市の観光地について確認する。

入 ・津軽鉄道 ・立佞武多の館 ・斜陽館 ・GT(市観光物産課)の紹介を行う。

○グループで考えた観光ルートを紹介しよ 【提案事項ア】

う。 ・観光ルートについてテーマ・内容・工

・五所川原市の冬のよさを伝えることをテ 夫・特色などを確認させる。

ーマにした。 ・提案内容は教室内に提示し、いつでも

・三味線会館で体験活動をしてもらう。 詳細について確認できるようにする。

○め 五所川原市の魅力を伝える、よりよい観光ルートについて考えよう。

2 見通しをもつ。 ・よりよい観光ルートにするために話し

○よりよい観光ルートにするには、どんな 合う観点として

観点で話し合えばよいか。 ①テーマが魅力的か

10 ・テーマが分かりやすいか。 ②五所川原市の施設を生かしたルートか

分 ・観光客に魅力的か。 ③観光ルートに工夫はあるか

・時間や予算についても詳しく考えたい。 ④時間や予算などについて

3 グループで考える。

展 ○グループで話し合おう。 【提案事項イ】

開 ・1班のテーマは、冬の五所川原市の魅力 ・一人一人の考えを出し、論点を把握で

が伝わるよいテーマだと思う。 きるようにする。

・4班のルートに1班のアイデアを組み合 ・ホワイトボードを渡し、各項目に○、

わせればもっとよくなる。 △、× やその理由を記入させる。

4 みんなと考える。

○全体で話し合おう。 ・マトリックスを活用しながら、比較・分

・グッズを考えて配る工夫がいい。ルート 類・関連付けて、よりよい方法を考えさ

25 にもっと五所川原市の施設を加えるよい。 せる。

分 ・お土産のランキングを教えるルートが工

夫されている。帰る時間を考えるといい。

5 学習内容をまとめる。 【提案事項ウ】

ま ○ゲストティーチャーからお話を聞こう。 ・専門的な立場でアドバイスしてもらう。

と ○ま よりよい観光ルートにするには、条件を考えたり、新しい方法や効果的な方法を考

め えたりする必要がある。

6 学びを振り返る。

○振り返りをノートに書こう。 ・学習内容や学び方を振り返り、文章にま

・実際に行うには、予算や時間や場所など とめさせる。

10 いろいろと考えることがある。

分 ・みんなの意見を整理していると様々な考

えがあって参考になった。

― 38 ―― 38 ―

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【提案事項ア】 導入の場面で、グループで考えた提案を友達やゲストティーチャーに発表

することにより、課題に対し意欲的に取り組むことができるようになる。

○自分たちの考えた観光ルートをゲストティーチャーに発表するという課題の設定によ

り、児童が真剣かつ意欲的になった。

【提案事項イ】 展開の場面で、マトリックスを用いて、自分たちの課題を話し合うことに

より、互いの考えを比較・分類・関連付けしながら焦点化し、よりよい方法

や改善点について話し合うことができるようになる。

○互いの提案に○△×で記入し、理由を考えて書き込む中で、自然と話合いが生まれた。

●グループ毎でなく観点毎に比べた方が関連付けやすく、話合いがより深まったかも知

れない。

【提案事項ウ】 まとめの場面で、自分たちの提案や話合いについてゲストティーチャーに

評価してもらうことにより学びの達成感を得たり、次時への意欲を高めたり

することができるようになる。

○専門家に評価してもらうのは刺激になり、児童の達成感・満足感につながった。

【観光ルートの提案資料】

【グループ毎の提案の様子】 【グループの話合いの様子】

― 39 ―― 39 ―

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4 研究のまとめ

本校では、研究目標から研究仮説を「各教科及び総合的な学習の時間において、問題解決

的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組むことによって、主体的に学ぶ力が

育つ。」と設定し、全校体制で研究・実践に取り組んできた。 (1)児童の変容

児童を対象として実施した「学習についてのアンケート」(平成 27 年 7 月・11 月、平

成 28 年 7 月・11 月の4回実施)の結果では、ほとんどの項目で伸びが見られた。平成 28

年 11 月の結果として、「毎日の授業が楽しいですか」という問いに対する肯定的解答は

96.6%、「授業で学習していることがわかりますか」については 98.0%、「友だちといっ

しょに調べたり、話し合ったりしていますか」でも 98.0%と高い割合となった。 (2)研究の成果

本年度 10 月 20 日に「学力向上実践事業研究指定校研究発表会兼五所川原市研究指定校

調査協力校公開研究発表会」開催し、200 名を超える参会者を得た。 公開授業後の研究協議会では、提案事項についての活発な協議が行われた。大会アンケ

ートでは、授業について「満足・概ね満足」の割合は 96.2%であり、「思考ツールの使い

方に習熟し、意欲的に活動する子どもたちの姿がすばらしい。」「本時までの子どもたち

の学習活動と教師の指導が見事に積み重ねられた授業だった。」等の感想が寄せられた。 主として取り組んだ研究内容について、以下のような成果を得ることができた。 ① 「学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方」について

「身近な素材」「体験活動」「視覚化された資料」等の活用や「経験や認識のズレ」 などのギャップを生かした課題提示が、児童の問題意識、学ぶ意欲の向上につながった。

② 「協働的な学びを実現する課題解決の進め方」について 授業の場面や内容に応じ、付箋紙を用いた KJ法やピラミッドチャート等の思考ツー

ルを活用することにより、児童が考えたり話し合ったりできるようになっている。 ③ 「学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫」について

まとめと振り返りの時間の設定に取り組み、児童の言葉を生かしてまとめる等の工夫 により、学習内容のみならず解決に向けた方法、気付き等についても児童が自覚し、定 着を図ることにつながった。

これらのことから、問題解決的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組む ことは、児童自身が学ぶ意義を捉え、学ぶ意欲を高めながら、問題の解決に向けて、友達 と話し合い、考えを比較・吟味して、よりよい解決に取り組んでいく力の育成につながる といえる。

(3)今後の課題

取組の成果に対して、以下については一層の充実を図っていくことが必要である。 ① 学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方については、単元構成の工夫等、教材研究を

更に深化させるとともに、課題との出会わせ方を工夫し、児童が本気で課題に向かって いこうとする意欲を一層高めていく。

② 協働的な学びを実現する課題解決の進め方については、今後は、更にねらいを明確に

もった思考ツールの使い方や使う場面の工夫に加え、児童への支援を工夫し話合いの質

を更に高めるとともに効率的な時間配分についても考慮していく。 ③ 学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫については、今後

は、主体的に学ぶ力の向上に向け、まとめと振り返りの充実と時間の確保を図っていく。 「主体的に学ぶ力」を育んでいくためには、特定の教科・領域だけではなく、日々の授

業実践が重要である。ねらいを明確にし、授業実践を大切に、日々授業改善及び充実に

取り組み、学ぶ意欲の向上に向け、探究的・協働的な学びの推進に取り組んでいきたい。

― 40 ―― 40 ―

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4 研究のまとめ

本校では、研究目標から研究仮説を「各教科及び総合的な学習の時間において、問題解決

的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組むことによって、主体的に学ぶ力が

育つ。」と設定し、全校体制で研究・実践に取り組んできた。 (1)児童の変容

児童を対象として実施した「学習についてのアンケート」(平成 27 年 7 月・11 月、平

成 28 年 7 月・11 月の4回実施)の結果では、ほとんどの項目で伸びが見られた。平成 28

年 11 月の結果として、「毎日の授業が楽しいですか」という問いに対する肯定的解答は

96.6%、「授業で学習していることがわかりますか」については 98.0%、「友だちといっ

しょに調べたり、話し合ったりしていますか」でも 98.0%と高い割合となった。 (2)研究の成果

本年度 10 月 20 日に「学力向上実践事業研究指定校研究発表会兼五所川原市研究指定校

調査協力校公開研究発表会」開催し、200 名を超える参会者を得た。 公開授業後の研究協議会では、提案事項についての活発な協議が行われた。大会アンケ

ートでは、授業について「満足・概ね満足」の割合は 96.2%であり、「思考ツールの使い

方に習熟し、意欲的に活動する子どもたちの姿がすばらしい。」「本時までの子どもたち

の学習活動と教師の指導が見事に積み重ねられた授業だった。」等の感想が寄せられた。 主として取り組んだ研究内容について、以下のような成果を得ることができた。 ① 「学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方」について

「身近な素材」「体験活動」「視覚化された資料」等の活用や「経験や認識のズレ」 などのギャップを生かした課題提示が、児童の問題意識、学ぶ意欲の向上につながった。

② 「協働的な学びを実現する課題解決の進め方」について 授業の場面や内容に応じ、付箋紙を用いた KJ法やピラミッドチャート等の思考ツー

ルを活用することにより、児童が考えたり話し合ったりできるようになっている。 ③ 「学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫」について

まとめと振り返りの時間の設定に取り組み、児童の言葉を生かしてまとめる等の工夫 により、学習内容のみならず解決に向けた方法、気付き等についても児童が自覚し、定 着を図ることにつながった。

これらのことから、問題解決的な学習を進め、探究的・協働的に課題の解決に取り組む ことは、児童自身が学ぶ意義を捉え、学ぶ意欲を高めながら、問題の解決に向けて、友達 と話し合い、考えを比較・吟味して、よりよい解決に取り組んでいく力の育成につながる といえる。

(3)今後の課題

取組の成果に対して、以下については一層の充実を図っていくことが必要である。 ① 学ぶ意欲を高めるための課題のもたせ方については、単元構成の工夫等、教材研究を

更に深化させるとともに、課題との出会わせ方を工夫し、児童が本気で課題に向かって いこうとする意欲を一層高めていく。

② 協働的な学びを実現する課題解決の進め方については、今後は、更にねらいを明確に

もった思考ツールの使い方や使う場面の工夫に加え、児童への支援を工夫し話合いの質

を更に高めるとともに効率的な時間配分についても考慮していく。 ③ 学ぶ意欲の持続と学習内容の定着のためのまとめと振り返りの工夫については、今後

は、主体的に学ぶ力の向上に向け、まとめと振り返りの充実と時間の確保を図っていく。 「主体的に学ぶ力」を育んでいくためには、特定の教科・領域だけではなく、日々の授

業実践が重要である。ねらいを明確にし、授業実践を大切に、日々授業改善及び充実に

取り組み、学ぶ意欲の向上に向け、探究的・協働的な学びの推進に取り組んでいきたい。

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2

1 研究の概要

(1)研究目標

各教科等において、主体的に学ぶ力を育むために、課題の発見・解決に向けた探究的

・協働的な学びの中で思考力・判断力・表現力を発揮させることが有効であることを実

践的に明らかにする。

(2)研究の取組

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア コンパクトでインパクトのある導入により、生徒の学習意欲と課題意識を高める。

イ 授業形態を全体→個→グループというように変化させ、課題に対する能動的な学びが

できるような工夫をする。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 思考ツールを活用した話合い活動を進める。

思考ツールの活用で期待されることとして、次のことが考えられる。

・考えが目で見て分かるので、共通の土俵が生まれて話合いもしやすく、意見交換が活

発になる。 (思考の可視化・操作化による協働的な学び)

・情報が整理され、思考の方向性を自然に一致させることができる。

(思考の方向性の示唆と促進)

・図があることで、根拠の振り返りが容易で、結論が本当に正しいかチェックしやすい。

(妥当性の検討)

イ 日常的に付箋やホワイトボード等を使用し、話合いを活発化させることで、主体的に

学ぶ意欲を高める。

ウ 考えたことを文章にしたり、他へ説明したりするといった、アウトプットする学習活

動に重点を置いた授業展開により、理解の確認、深まりにつながる。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア まとめと振り返りを行わせる。

・まとめとは、生徒の言葉で、生徒が気付いた特徴を整理して板書(ノートに記述)す

ることであり、「何を学んだのか」が大切である。

・振り返りとは、自分の学び、成長の気付き等、本時の学習が自分にとって有意義であ

ったことを、一人一人に自覚させる活動であり、「これからの自分にどう生かしていく

か」が大切になる。振り返りの視点を与えることも大切である。

― 42 ―― 42 ―

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2

1 研究の概要

(1)研究目標

各教科等において、主体的に学ぶ力を育むために、課題の発見・解決に向けた探究的

・協働的な学びの中で思考力・判断力・表現力を発揮させることが有効であることを実

践的に明らかにする。

(2)研究の取組

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア コンパクトでインパクトのある導入により、生徒の学習意欲と課題意識を高める。

イ 授業形態を全体→個→グループというように変化させ、課題に対する能動的な学びが

できるような工夫をする。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 思考ツールを活用した話合い活動を進める。

思考ツールの活用で期待されることとして、次のことが考えられる。

・考えが目で見て分かるので、共通の土俵が生まれて話合いもしやすく、意見交換が活

発になる。 (思考の可視化・操作化による協働的な学び)

・情報が整理され、思考の方向性を自然に一致させることができる。

(思考の方向性の示唆と促進)

・図があることで、根拠の振り返りが容易で、結論が本当に正しいかチェックしやすい。

(妥当性の検討)

イ 日常的に付箋やホワイトボード等を使用し、話合いを活発化させることで、主体的に

学ぶ意欲を高める。

ウ 考えたことを文章にしたり、他へ説明したりするといった、アウトプットする学習活

動に重点を置いた授業展開により、理解の確認、深まりにつながる。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア まとめと振り返りを行わせる。

・まとめとは、生徒の言葉で、生徒が気付いた特徴を整理して板書(ノートに記述)す

ることであり、「何を学んだのか」が大切である。

・振り返りとは、自分の学び、成長の気付き等、本時の学習が自分にとって有意義であ

ったことを、一人一人に自覚させる活動であり、「これからの自分にどう生かしていく

か」が大切になる。振り返りの視点を与えることも大切である。

― 42 ―

3

(3)研究経過

① 研究内容

期日 27年度研究内容 期日 28年度研究内容

4月3日 ・27年度の研究計画の検討 4月4日 ・28年度の研究計画の検討

5月25日 ・学力向上プランの検討

・研究の方向性の共通理解 5月23日 ・学力向上プランの検討

6月29日 ・思考ツールの活用実践例 5月26日 ・要請訪問(美術)

7月13日 ・授業や家庭での学習に関する

アンケート1回目

5月9日~

5月20日 ・相互の授業参観

8月21日 ・思考ツールの活用

・「ひとり勉強強化期間」 6月27日

・研究授業(数学)

・話合い指導

8月31日~

9月11日 ・教師相互の授業参観 7月19日 ・要請訪問

10月26日 ・校内研究の取組状況の確認 7月下旬 ・授業や家庭での学習に関す

るアンケート1回目

11月9日~

11月20日 ・教師相互の授業参観 8月18日 ・校内指導案検討会

11月24日 ・授業や家庭での学習に関する

アンケート2回目 8月22日 ・「ひとり勉強強化期間」

12月22日 ・今年度の研究の反省と来年度

の見通し

8月29日~

9月9日 ・相互の授業参観

1月13日 ・各教科実践例報告 9月5日 ・要請訪問

(英語・指導案検討会)

1月21日 ・アクティブ・ラーニング 12月中旬 ・授業や家庭での学習に関す

るアンケート2回目

2月18日 ・次年度の研究計画の確認 1月12日 ・各教科実践例報告

1月23日~

2月3日 ・相互の授業参観

2月16日 ・次年度の研究計画の確認

② 研究授業及びワークショップ型協議会

研究授業に係る協議会においては、ワークショップ型協議会を行うこととした。研究

協議の持ち方として、教師の指導方法や指導技術についての協議ではなく、生徒がどう

考えて、どう表現したのか、成長・良さ・可能性を見付け、次の手立てを考え合うこと

で、次の成功体験へつなげられるようにした。

また、中学校では、研究授業の教科と自分の専門教科が違う場合がある。しかし、違

う教科の先生方だからこそ、生徒と同じ目線で参観し、その面白さに気付き、自分の教

科だったらどのようにアプローチするかを検討することができる。このことから、生徒

の活動を通して、手立てが有効であったかを協議することとした。

なお、授業参観時には、マトリックスを使い、それぞれ「導入・展開・まとめ」の場

面で、付箋に記入しながら参観した。

― 43 ―― 43 ―

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4

2 各教科での実践

(1)2学年 社会科 学習指導案

① 題 材 名 「伝統的な生活や文化を守る」

② 目 標 ・東北地方に伝統的な生活や文化が根付いている理由を、意見交流の中で他

の意見に学ぼうとしている。 ・資料を基に、東北地方に伝統的な生活や文化が根付いている理由を、自然

環境と関連付けながら自分の言葉で表現することができる。 ③ 指導過程

段 階

学 習 活 動 ○発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項 ▲配慮を要する生徒への支援

10

1 挨拶

2 問題の把握

◇舞姫、裸参り、けの汁の画像をみる。

○その地域で古くから伝わる行事や祭り、

料理などはまとめて何というか。

○東北地方の祭りや伝統料理の地図から

どんなことが分かるか。

3 学習課題の確認

4 見通し

○理由を予想しよう。

○何が分かれば課題が解決できるか。

★提案事項①

伝統的な生活に関わる身近な資料に触れ

る。

30

5 個人の思考

◇東北地方に伝統的な生活が根付いてい

る理由を考えるために、2 つの視点を個

人で調べてみよう。

6 協働での思考

◇グループになって考えをまとめさせる。

◇他の班に出張して、参考になる考えを探

ってこよう。

◇共通していることや重要なことはどん

なことだろう。

★提案事項②

資料を使って調べ、付箋に書き出す。

▲資料の内容を大まかに確認し、視点と関

わる項目についての記述を注目させる。

★話し合ったことをマグネットボードにま

とめることを通して、考えを共有する。

評①(社会的事象への関心・意欲・態度)

東北地方に伝統的な生活や文化が根付い

ている理由を、意見交流の中で他の意見

に学ぼうとしている。

▲発表ボードから共通することや多い内

容、語句を、抜き出させる。

・キーワードになる語句を確認する。

10

7 まとめ

◇課題のまとめを発表しよう。

・3つのキーワードを使って、まとめる。

8 振り返り

◇今日の授業で勉強になったことや参考

になった発表を書かせる。

9 次時予告

10 挨拶

★提案事項③

・ワークシートに書かせ発表させる。

評 (社会的な思考・判断・表現)

・資料を基に、東北地方に伝統的な生活

が根付いている理由を、自然環境と関連

付けながら、自分の言葉で表現すること

ができる。

東北地方に、伝統的な文化や生活が根付いているのは、なぜだろう。

― 44 ―

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4

2 各教科での実践

(1)2学年 社会科 学習指導案

① 題 材 名 「伝統的な生活や文化を守る」

② 目 標 ・東北地方に伝統的な生活や文化が根付いている理由を、意見交流の中で他

の意見に学ぼうとしている。 ・資料を基に、東北地方に伝統的な生活や文化が根付いている理由を、自然

環境と関連付けながら自分の言葉で表現することができる。 ③ 指導過程

段 階

学 習 活 動 ○発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項 ▲配慮を要する生徒への支援

10

1 挨拶

2 問題の把握

◇舞姫、裸参り、けの汁の画像をみる。

○その地域で古くから伝わる行事や祭り、

料理などはまとめて何というか。

○東北地方の祭りや伝統料理の地図から

どんなことが分かるか。

3 学習課題の確認

4 見通し

○理由を予想しよう。

○何が分かれば課題が解決できるか。

★提案事項①

伝統的な生活に関わる身近な資料に触れ

る。

30

5 個人の思考

◇東北地方に伝統的な生活が根付いてい

る理由を考えるために、2 つの視点を個

人で調べてみよう。

6 協働での思考

◇グループになって考えをまとめさせる。

◇他の班に出張して、参考になる考えを探

ってこよう。

◇共通していることや重要なことはどん

なことだろう。

★提案事項②

資料を使って調べ、付箋に書き出す。

▲資料の内容を大まかに確認し、視点と関

わる項目についての記述を注目させる。

★話し合ったことをマグネットボードにま

とめることを通して、考えを共有する。

評①(社会的事象への関心・意欲・態度)

東北地方に伝統的な生活や文化が根付い

ている理由を、意見交流の中で他の意見

に学ぼうとしている。

▲発表ボードから共通することや多い内

容、語句を、抜き出させる。

・キーワードになる語句を確認する。

10

7 まとめ

◇課題のまとめを発表しよう。

・3つのキーワードを使って、まとめる。

8 振り返り

◇今日の授業で勉強になったことや参考

になった発表を書かせる。

9 次時予告

10 挨拶

★提案事項③

・ワークシートに書かせ発表させる。

評 (社会的な思考・判断・表現)

・資料を基に、東北地方に伝統的な生活

が根付いている理由を、自然環境と関連

付けながら、自分の言葉で表現すること

ができる。

東北地方に、伝統的な文化や生活が根付いているのは、なぜだろう。

5

提案事項①について

【導入での資料提示の様子】

提案事項②について

【協働での班活動の様子】

提案事項③について

【協働での班活動の様子】

導入の場面で、地元の祭りや伝統料理などの

資料に触れることで、授業に取り組む興味関心

を喚起させた。 ○生徒たちは、自分たちが直接関わっている事

柄であるため、学習意欲の高まりが見られた。 また、地元に同様の資料がある場合は、教科

書の資料でなくても、課題と関わりをもたせて

活用することもよいと感じた。(地域の方々自

身が、活用してくれることを望んでいた。)

展開の場面では、視点に留意しながら、個人

で資料を使って調べ、付箋に分かったことを書

き出し、それをもとに、協働的な話合いにつな

げた。 ○生徒自身が、まず資料を読み取り、班活動に

つなげるという形がかなり定着してきたので、

スムーズに進めることができた。また、班の中

の役割分担も問題なく行われていた。 ●同じ資料を基に活動を進めたため、資料の読

み取りに関して食い違いがなかったが、その分

多様さに欠けた。班活動の話合いを深めるため

には、むしろそのような食い違いが必要であっ

た。 時間配分を考えながら、資料の選択を生徒に

任せる部分もあってよいと感じた。

振り返りの場面では、勉強になったことや他

の生徒の参考になった発表をワークシートに

書かせ、発表させた。 ○あらかじめキーワードを絞ったことにより、

文章化する活動にスムーズにつながっていた。 ●時間に余裕がなく、数名の生徒の考えたまと

めを活用したが、その後のノート、ワークシー

トの確認によりフォローが必要と感じた。

― 45 ―― 45 ―

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6

(2)3学年 英語科 学習指導案

① 題 材 名 Lesson 5B Stevie’s Turning Point ② 目 標 ・単語や語句の意味や修飾関係を正確にとらえ、スティービー・ワンダーの

半生を読み取ることができる。 ・積極的に意見を出し、班で協力して問題を解こうとする。

③ 指導過程 段

学 習 活 動

◯発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

導 入 10 分

1 挨拶 2 復習 ◇生まれてから 13 歳までの Stevie を復習しよう。

○Tell me something about Stevie 3 問題の把握 ◇13歳からのスティービーについて読みま

す。 ○1973 is Stevie’s turning point. What did he have in 1973?

4 学習課題の確認 ・ターゲットを「学びシート」に記入 5 見通し ◇ WordsやPhrasesからTurning Point前

と後のStevieの物語を予想しTargetに迫りましょう。

★提案事項① ・生徒から語句を引き出しながら話し、本時の活動につなげる。

・パワーポイントを使用する。 ・書かせることにより課題を認識させる。

展 開 30 分

6 個人の思考 ◇音楽好きな盲目の少年 Stevie のその後の人生を読むために必要な単語を復習しよう。

○Say these words in Japanese ◇絵を参考にし、WordsやPhrasesから

Stevieに起こったことを予想しよう。 ○Guess something about Stevie Wonder

from these words. 7 協働での思考 ◇Make groups of four. ◇自分の予想を伝え合いなさい。 (3 min.)

◇Jeopardyの問題を解いて本文の内容を理解しよう。

・パワーポイントを使用する。 ・ワークシート ▲机間指導をして、下位の生徒の予想の援

助をする。 ★提案事項② 単語や語句からストーリーを予想するという協働作業により、ストーリーを構成する1文1文を作り上げるという難しい活動に意欲的に取り組ませる。

▲上位の生徒を班長に指名し、班長が司会をする。

・Jeopardy(ホワイトボード使用) 評②(活動・発表)

終 末 10 分

8 まとめ ◇1973年の事故の前と後の変化について確認しよう。

9 振り返り ◇学びシートに自己評価し、「今日の授業

でどんな力が付いたか」、「Target 達成に役立った活動は」について振り返る。

10 挨拶

評①(発表)

★提案事項③ ・学びシート

1963年(13歳)~1973年 ・ファーストアルバムがビッグスターにし、世界の人々を感動させる歌を作り続けた。 1973年の自動車事故~ ・困難を抱えた人々を助ける決心をし、音楽を通じて彼らのために働き始めた。

1973年以前の Stevieの活躍とそれ以降の Stevieの変化を読み取ろう

― 46 ―― 46 ―

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6

(2)3学年 英語科 学習指導案

① 題 材 名 Lesson 5B Stevie’s Turning Point ② 目 標 ・単語や語句の意味や修飾関係を正確にとらえ、スティービー・ワンダーの

半生を読み取ることができる。 ・積極的に意見を出し、班で協力して問題を解こうとする。

③ 指導過程 段

学 習 活 動

◯発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

導 入 10 分

1 挨拶 2 復習 ◇生まれてから 13 歳までの Stevie を復習しよう。

○Tell me something about Stevie 3 問題の把握 ◇13歳からのスティービーについて読みま

す。 ○1973 is Stevie’s turning point. What did he have in 1973?

4 学習課題の確認 ・ターゲットを「学びシート」に記入 5 見通し ◇ WordsやPhrasesからTurning Point前

と後のStevieの物語を予想しTargetに迫りましょう。

★提案事項① ・生徒から語句を引き出しながら話し、本時の活動につなげる。

・パワーポイントを使用する。 ・書かせることにより課題を認識させる。

展 開 30 分

6 個人の思考 ◇音楽好きな盲目の少年 Stevie のその後の人生を読むために必要な単語を復習しよう。

○Say these words in Japanese ◇絵を参考にし、WordsやPhrasesから

Stevieに起こったことを予想しよう。 ○Guess something about Stevie Wonder

from these words. 7 協働での思考 ◇Make groups of four. ◇自分の予想を伝え合いなさい。 (3 min.)

◇Jeopardyの問題を解いて本文の内容を理解しよう。

・パワーポイントを使用する。 ・ワークシート ▲机間指導をして、下位の生徒の予想の援

助をする。 ★提案事項② 単語や語句からストーリーを予想するという協働作業により、ストーリーを構成する1文1文を作り上げるという難しい活動に意欲的に取り組ませる。

▲上位の生徒を班長に指名し、班長が司会をする。

・Jeopardy(ホワイトボード使用) 評②(活動・発表)

終 末 10 分

8 まとめ ◇1973年の事故の前と後の変化について確認しよう。

9 振り返り ◇学びシートに自己評価し、「今日の授業

でどんな力が付いたか」、「Target 達成に役立った活動は」について振り返る。

10 挨拶

評①(発表)

★提案事項③ ・学びシート

1963年(13歳)~1973年 ・ファーストアルバムがビッグスターにし、世界の人々を感動させる歌を作り続けた。 1973年の自動車事故~ ・困難を抱えた人々を助ける決心をし、音楽を通じて彼らのために働き始めた。

1973年以前の Stevieの活躍とそれ以降の Stevieの変化を読み取ろう

― 46 ―

7

提案事項①について

提案事項②について 提案事項③について

導入で本文半ばにある「事故にあった」

という文を出し、その衝撃的エピソードか

ら意欲を引き出す工夫をした。 ○興味を持たせることができた。 ●実際の映像や記事などを見せるともっ

とインパクトがあったのではないかと感

じた。

予想した文を伝え合う活動を行った。 ○ストーリーの全体像をつかむことができ

た。 ○下位の生徒は分からない部分を埋めるこ

とができたし、上位の生徒は自分の考えを

伝える工夫をすることを学ぶことができ

た。

協働での思考の場面では、クイズ形式で

本文の内容に迫り、班で協力して答えを考

えた。 ○全員が意欲的に難しい問題に挑戦し、主

体的に課題を解決することにつながった。

まとめの場面について。 ○班活動で内容を理解することができてい

たので、全員が課題を解決し、まとめるこ

とができた。 振り返りの場面では、学びシートにどん

な力が付いたかや、Target達成に役立った

活動を記入させた。

― 47 ―― 47 ―

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8

(3)3学年 数学科 学習指導案

① 題 材 名 「船の位置はどこ?」

② 目 標 ・円の性質を船の位置を求める場面で活用し、問題を解決しようとしている。

・船の位置を円の性質を活用して論理的に考察し、説明することができる。

③ 指導過程

学 習 活 動

○発問 ◇指示・予想される生徒の反応

評 評価規準・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

10

1 挨拶

◇円の性質(円周角と中心角の関係)を確認し

ましょう。

○中心角が 60°のときの円周角の大きさは何

度ですか。

○等しい弧に対する円周角の大きさは変わ

る?変わらない?

2 問題の把握

◇各自、点Pをとってみて下さい。

★提案事項①

問題をパワーポイントで分かりやすく

提示する。

・拡大図、分度器を準備する。

▲点Pの位置の例をパワーポイントによ

り提示し、船から見わたす角について

確認する。

30

3 学習課題の確認

円の性質を使って船の位置をもとめよう。

<課題解決1>

∠APB=30°の条件にあてはまる点Pの見つ

け方。

①線分ABを1辺とした正三角形ABOを書きま

す。

②点Oを中心として、OA(OB)を半径とする円

Oを書きます。

◇点Pは円Oの周上にとると、∠APB=30°に

なります。その理由を考えて下さい。

<課題解決2>

このことを踏まえて、∠CPD=45°の条件にあ

てはまる点Pを作図してみよう。

4 見通し

○ △CDO はどんな三角形になりますか。

5 個人の思考

◇作図してみよう!

6 協働での思考

◇できあがったものをペアでどうやって作図

をしたのか説明し合いましょう。

◇発表しよう。

◇船の位置を求めよう。

・教師は説明し、生徒1名は教師の説明に

合わせて作図をさせ、他の生徒はプリ

ントに作図する。

・評① (観察・ワークシート)

★提案事項②

個人思考だが、ペアでの協働での作業

でもよいことを伝える。

▲円の中心は弦の垂直二等分線上にある

ことをヒントとして与える。

・評② (観察)

★提案事項②

個人思考だが隣近所で教え合ったり、

聞いたりしてもよいことを伝える。

10

7 振り返り

◇本時の授業で気づいたこと、感じたこと、

得たこと等活動を振り返って、記入して下

さい。

8 挨拶

★提案事項③

振り返りのポイントを確認し、振り返り

をさせる。

・3~4名に振り返りを発表してもらう。

・ワークシートの回収

― 48 ―― 48 ―

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8

(3)3学年 数学科 学習指導案

① 題 材 名 「船の位置はどこ?」

② 目 標 ・円の性質を船の位置を求める場面で活用し、問題を解決しようとしている。

・船の位置を円の性質を活用して論理的に考察し、説明することができる。

③ 指導過程

学 習 活 動

○発問 ◇指示・予想される生徒の反応

評 評価規準・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

10

1 挨拶

◇円の性質(円周角と中心角の関係)を確認し

ましょう。

○中心角が 60°のときの円周角の大きさは何

度ですか。

○等しい弧に対する円周角の大きさは変わ

る?変わらない?

2 問題の把握

◇各自、点Pをとってみて下さい。

★提案事項①

問題をパワーポイントで分かりやすく

提示する。

・拡大図、分度器を準備する。

▲点Pの位置の例をパワーポイントによ

り提示し、船から見わたす角について

確認する。

30

3 学習課題の確認

円の性質を使って船の位置をもとめよう。

<課題解決1>

∠APB=30°の条件にあてはまる点Pの見つ

け方。

①線分ABを1辺とした正三角形ABOを書きま

す。

②点Oを中心として、OA(OB)を半径とする円

Oを書きます。

◇点Pは円Oの周上にとると、∠APB=30°に

なります。その理由を考えて下さい。

<課題解決2>

このことを踏まえて、∠CPD=45°の条件にあ

てはまる点Pを作図してみよう。

4 見通し

○ △CDO はどんな三角形になりますか。

5 個人の思考

◇作図してみよう!

6 協働での思考

◇できあがったものをペアでどうやって作図

をしたのか説明し合いましょう。

◇発表しよう。

◇船の位置を求めよう。

・教師は説明し、生徒1名は教師の説明に

合わせて作図をさせ、他の生徒はプリ

ントに作図する。

・評① (観察・ワークシート)

★提案事項②

個人思考だが、ペアでの協働での作業

でもよいことを伝える。

▲円の中心は弦の垂直二等分線上にある

ことをヒントとして与える。

・評② (観察)

★提案事項②

個人思考だが隣近所で教え合ったり、

聞いたりしてもよいことを伝える。

10

7 振り返り

◇本時の授業で気づいたこと、感じたこと、

得たこと等活動を振り返って、記入して下

さい。

8 挨拶

★提案事項③

振り返りのポイントを確認し、振り返り

をさせる。

・3~4名に振り返りを発表してもらう。

・ワークシートの回収

― 48 ―

9

提案事項①について

提案事項②について

提案事項③について

【パワーポイントの提示】

海上にいる船から、海岸線にある目印を見わたす角度をもとに

して、船がどこにいるかを見つけましょう。

上の図で、

船から見わたす角が 30°になるところに海峡ゆめタワーと海響

館がある。船の位置をPとすると、∠APB=30°です。

船から見わたす角が 45°になるところに関門海峡ミュージアム

と門司港レトロ展望室がありました。∠CPD=45°です。

 課題が生徒自身のもの

となるような工夫として

パワーポイントで分かり

やすく提示した。

○パワーポイントを使う

ことにより問題の把握が

スムーズに行えた。また、

題意を確認するため、生徒

1名を指名し、適当な位置

に点Pを決めさせ、∠APB

と∠CPD の角度を測らせ

た。その結果、勘や試行錯

誤では問題を解決できな

いことを体験させ、理解さ

せることができた。

 課題を協働的に解決する場面の工夫として、

図の書き方について議論させ、解決させた。

具体的には「45°の作図」及び「点Pの作図」

について個人思考の後とペアで確認させた

後に生徒1名を指名し、作図の仕方を説明し

てもらった。

○一方通行ではあるが、書き終えた生徒が仲

間に書き方を教える場面が見られた。教えた

生徒にとっては説明することで書き方の再

確認ができた。

●書き方の確認のみで、なぜその書き方にな

るのかという議論にまでは至っていない。

●例1、2以外の考え方もあったが、時間内

に紹介できなかったため、次の時間で紹介

し、その考えを出した生徒を励ました。

【45°の作図】

【点Pの作図】

学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り返りについて

○「船の位置を見つけることができた。」や「仲間の考えを聞くことで理解できた。」、「円周角

の定理を使うことの便利さが味わえた。」等の記述がみられ、授業が楽しかったという記述が

多かった。

― 49 ―― 49 ―

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10

3 総合的な学習の時間での実践

(1)1学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 題 材 名 「高齢者に笑顔になってもらう計画を立てよう。」③

② 目 標 高齢者の立場を考えて、高齢者に喜んでもらう奉仕活動内容を工夫する。

③ 指導過程

学 習 活 動

○発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

1 挨拶

2 学習課題の確認

◇前時に決めたレクについて、高齢者の皆さ

んに喜んでもらうための方法について考

えていきましょう。

3 見通し

○高齢者の方と接する時の留意点はどんな

ことだったかを思い出してみましょう。

★提案事項①

・まとめの場面で、GTの方からアドバイ

スしてもらうことを伝える。

・前時にビデオで確認した内容をカード

で提示。

30

4 個人の思考

◇まず始めに個人で考えてみましょう。

5 協働での思考

◇次に班で話し合いましょう。同じ意見はま

とめて貼ってください。少数意見でもみん

なで検討してください。

【ア】ゲームの場合

【イ】クイズの場合

【ウ】音楽の場合

【エ】紙芝居、演劇の場合

◇班で話し合った内容を企画書にまとめて

ください。

★提案事項②

・留意点に気を付けさせる。

・付箋には1枚につき一言。

・同じ意見をまとめさせる。

・分かりやすく見出しを付けさせる。

・一つ一つの意見を検討させる。

▲高齢者と接するときの留意点を再確認

させる。

評(学習意欲・課題意識)

(協働的な学び)

・KJ法で意見を整理し、よりよい方法を

見つけることができる。

(班活動:観察 企画書)

15

6 まとめ

◇各班で話し合った内容を発表してくださ

い。発表の後で GT に、意見と改善点につ

いて伺います。

◇GT から、全体に向けてお話をいただく。

次回はこの企画書とGTの意見を参考にし◇

て準備、練習に取りかかります。

7 振り返り

◇振り返りシートに今日の活動の振り返り

を書きましょう。

8 挨拶

○GT にお礼を言いましょう。

★提案事項③

・班ごとに発表内容を GT に評価。

評 (学習意欲・課題意識)

・GT の評価から、改善点を見付けること

ができる。(班の発表:観察)

★提案事項③

・振り返りシートに記入させる。

評 (まとめと振り返り)

・振り返りシートに今日の学習内容や学

び方を振り返り、自分の言葉でまとめ

る。(個人:振り返りシート)

高齢者に笑顔になってもらう計画を立てよう。③

― 50 ―― 50 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)1学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 題 材 名 「高齢者に笑顔になってもらう計画を立てよう。」③

② 目 標 高齢者の立場を考えて、高齢者に喜んでもらう奉仕活動内容を工夫する。

③ 指導過程

学 習 活 動

○発問 ◇指示 ・予想される生徒の反応

評 評価規準 ・留意点 ★提案事項

▲配慮を要する生徒への支援

1 挨拶

2 学習課題の確認

◇前時に決めたレクについて、高齢者の皆さ

んに喜んでもらうための方法について考

えていきましょう。

3 見通し

○高齢者の方と接する時の留意点はどんな

ことだったかを思い出してみましょう。

★提案事項①

・まとめの場面で、GTの方からアドバイ

スしてもらうことを伝える。

・前時にビデオで確認した内容をカード

で提示。

30

4 個人の思考

◇まず始めに個人で考えてみましょう。

5 協働での思考

◇次に班で話し合いましょう。同じ意見はま

とめて貼ってください。少数意見でもみん

なで検討してください。

【ア】ゲームの場合

【イ】クイズの場合

【ウ】音楽の場合

【エ】紙芝居、演劇の場合

◇班で話し合った内容を企画書にまとめて

ください。

★提案事項②

・留意点に気を付けさせる。

・付箋には1枚につき一言。

・同じ意見をまとめさせる。

・分かりやすく見出しを付けさせる。

・一つ一つの意見を検討させる。

▲高齢者と接するときの留意点を再確認

させる。

評(学習意欲・課題意識)

(協働的な学び)

・KJ法で意見を整理し、よりよい方法を

見つけることができる。

(班活動:観察 企画書)

15

6 まとめ

◇各班で話し合った内容を発表してくださ

い。発表の後で GT に、意見と改善点につ

いて伺います。

◇GT から、全体に向けてお話をいただく。

次回はこの企画書とGTの意見を参考にし◇

て準備、練習に取りかかります。

7 振り返り

◇振り返りシートに今日の活動の振り返り

を書きましょう。

8 挨拶

○GT にお礼を言いましょう。

★提案事項③

・班ごとに発表内容を GT に評価。

評 (学習意欲・課題意識)

・GT の評価から、改善点を見付けること

ができる。(班の発表:観察)

★提案事項③

・振り返りシートに記入させる。

評 (まとめと振り返り)

・振り返りシートに今日の学習内容や学

び方を振り返り、自分の言葉でまとめ

る。(個人:振り返りシート)

高齢者に笑顔になってもらう計画を立てよう。③

― 50 ―

11

提案事項①について【学習課題の確認の様子】

提案事項②について

【協働での思考の様子】

提案事項③について【GTの評価の様子】

まとめの場面では、生徒の作成した企

画書を基に、考えの流れを発表した。

○話合いや GTのアドバイスを踏まえて、

深めたり改善点を見付けたりしたことに

より、思考の流れをまとめることができた。

振り返りの場面では、振り返りシート

に学習内容や学び方を自分の言葉で記

入させた。

導入の場面で、最後の発表後に GTから

アドバイスをもらうことを伝えた。

○その後の個人の思考や話合いが活発に

行われた。

展開の場面では、視点に留意させた。

○個人での思考を経て、協働的な話し合

いを深めることができた。

○KJ 法は生徒の多様な意見に対応でき

るとともに、普段から使い慣れている手

法であるため、スムーズに話し合いを進

めることができた。

展開の場面で、GTに参加してもらい、

生徒の質問にすぐ答えてもらった。

○専門的なアドバイスを頂くことで、よ

り具体的な計画を立てることができた。

― 51 ―― 51 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 確かな学力向上プラン検証のためのアンケートとして、昨年度との変容を見るために現

2・3年生のみを対象にアンケートを取った。一部を抜粋し、本研究の成果と課題として

必要と考えるものを記載した。

調査年月日および調査対象 第1回:平成 28年3月 五所川原第四中学校1・2年生

第2回:平成 28年10月 五所川原第四中学校2・3年生

(追跡調査)

問1)今年度受けた授業について、どの授業でも、はじめに目標(めあて・ねらい)が示され

ていたと思いますか。

問4)今年度受けた授業について、どの授業でも最後に、学習内容を振り返る活動をよく行っ

ていたと思いますか。

これらの問いについては、教師側の意識が生徒にも伝わっていると思われる。

問7)学校の授業時間以外に、普段(月~金)、1日当たりどれくらいの時間勉強をしますか。

(塾や家庭教師の時間も含む)

0

10

20

30

40

50

60

70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

10

20

30

40

50

60

70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

5

10

15

20

25

30

35

3時間以上 2時間以上、

3時間未満

1時間以上、

2時間未満

30分以上、

1時間未満

30分未満 まったくしない

H27_3

H28_10

― 52 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 確かな学力向上プラン検証のためのアンケートとして、昨年度との変容を見るために現

2・3年生のみを対象にアンケートを取った。一部を抜粋し、本研究の成果と課題として

必要と考えるものを記載した。

調査年月日および調査対象 第1回:平成 28年3月 五所川原第四中学校1・2年生

第2回:平成 28年10月 五所川原第四中学校2・3年生

(追跡調査)

問1)今年度受けた授業について、どの授業でも、はじめに目標(めあて・ねらい)が示され

ていたと思いますか。

問4)今年度受けた授業について、どの授業でも最後に、学習内容を振り返る活動をよく行っ

ていたと思いますか。

これらの問いについては、教師側の意識が生徒にも伝わっていると思われる。

問7)学校の授業時間以外に、普段(月~金)、1日当たりどれくらいの時間勉強をしますか。

(塾や家庭教師の時間も含む)

0

10

20

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70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

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そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

5

10

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20

25

30

35

3時間以上 2時間以上、

3時間未満

1時間以上、

2時間未満

30分以上、

1時間未満

30分未満 まったくしない

H27_3

H28_10

13

家庭学習時間は、全体的に見ると長時間学習に取り組んでいる生徒が増えてきている。

問2)今年度受けた授業について、どの授業でも自分の考えを発表する機会が与えられていた

と思いますか。

問3)今年度受けた授業について、どの授業でも学級の友達との間で話合う活動をよく行って

いたと思いますか。

問5)学級の友達との間で話合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることが

できていると思いますか。

本来は、これらが、もっと伸びてほしかったが、現状としては、あまり芳しくない。

今後も話合いや発表等の活動や思考力や表現力などを問う問題をとおして、協働して問題を

解決したり、新しいことを創造したりする力を育てていきたい。

0

5

10

15

20

25

30

35

4時間以上 3時間以上、

4時間未満

2時間以上、

3時間未満

1時間以上、

2時間未満

1時間未満 まったくしない

H27_3

H28_10

0

10

20

30

40

50

60

70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

10

20

30

40

50

60

70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

0

10

20

30

40

50

60

70

そう思う どちらかといえば、そう思う どちらかといえば、そう思わない そう思わない

H27_3

H28_10

― 53 ―

問8)学校が休みの日に、1日当たりどれくらいの時間勉強をしますか。(塾や家庭教師の時間

も含む)

― 53 ―

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(2)研究の成果

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 身近な話題や図表、パワーポイントの活用等によるコンパクトでインパクトのある導

入により、生徒の学習意欲と課題意識を高めることができた。

イ 各教科等における授業の流れが統一されたことにより、生徒が授業の目標(めあて・

ねらい)をつかみ、知っていることやできることを使って予想し、解決の見通しを立て

る力が付いてきた。

ウ 指導者は、生徒が能動的な学びができるような課題を設定するようになった。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 思考ツールの活用により、話合い活動の活性化が見られた。

イ 思考ツール一覧を印刷し、レターケース等に分類して入れて各教室に置くことにより、

学習のねらい達成に向けた適切な思考ツールを使用した授業が行われるようになった。

ウ 個人での思考を基に、協働での思考場面を取り入れたことにより、話合いや発表をと

おして、必要な情報を選択し、解決に向かう判断力が付いてきた。

エ 生徒は、他者との関わりの中で、学び方や考え方を身に付けることができた。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア 学習課題に対するまとめを生徒の言葉で記述させることによって、学習内容の定着が

図られるようになった。

イ 振り返りを行うことにより、生徒は、主体的・協働的な学びをとおして、単位時間の

中でどのような力が付いたのか等を整理することができた。

(3)今後の課題

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 生徒の学習意欲と課題意識を高めるため、引き続きコンパクトでインパクトのある導

入となるような工夫が必要である。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア どの授業においても生徒の考えを発表する機会をさらに設定する必要がある。

イ ねらいに応じて、各授業の中で話合う活動を取り入れていく必要がある。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア まとめと振り返りの時間を確実に確保できるよう、授業内容の精選を図る必要がある。

④ 今後の取組

主体的な学びを育むためには、これまでの取組を踏まえ、学びの基盤となる人間関係づく

りに一層努めていく必要がある。道徳教育及び特別活動の充実を図りながら、生徒が互いの

個性を認め合い、協力し合いながら学習できるよう、引き続き研究を進めていきたい。

また、家庭学習については、知識・理解の定着のため、家庭学習と授業を互いに関連し合

うような工夫が必要である。春に行っている学習オリエンテーションの持ち方を工夫し、家

庭学習にも重点を置いた内容に設定したい。

さらに、話合いや発表等の活動や思考力や表現力などを問う問題をとおして、協働して問

題を解決させるとともに、学び合いを深め、新しいことを創造する力を育てることができる

よう、ICT等の教育環境を整備するとともに、授業改善を今後も継続して行っていく必要が

ある。

― 54 ―

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(2)研究の成果

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 身近な話題や図表、パワーポイントの活用等によるコンパクトでインパクトのある導

入により、生徒の学習意欲と課題意識を高めることができた。

イ 各教科等における授業の流れが統一されたことにより、生徒が授業の目標(めあて・

ねらい)をつかみ、知っていることやできることを使って予想し、解決の見通しを立て

る力が付いてきた。

ウ 指導者は、生徒が能動的な学びができるような課題を設定するようになった。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 思考ツールの活用により、話合い活動の活性化が見られた。

イ 思考ツール一覧を印刷し、レターケース等に分類して入れて各教室に置くことにより、

学習のねらい達成に向けた適切な思考ツールを使用した授業が行われるようになった。

ウ 個人での思考を基に、協働での思考場面を取り入れたことにより、話合いや発表をと

おして、必要な情報を選択し、解決に向かう判断力が付いてきた。

エ 生徒は、他者との関わりの中で、学び方や考え方を身に付けることができた。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア 学習課題に対するまとめを生徒の言葉で記述させることによって、学習内容の定着が

図られるようになった。

イ 振り返りを行うことにより、生徒は、主体的・協働的な学びをとおして、単位時間の

中でどのような力が付いたのか等を整理することができた。

(3)今後の課題

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 生徒の学習意欲と課題意識を高めるため、引き続きコンパクトでインパクトのある導

入となるような工夫が必要である。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア どの授業においても生徒の考えを発表する機会をさらに設定する必要がある。

イ ねらいに応じて、各授業の中で話合う活動を取り入れていく必要がある。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、学習内容を定着させるためのまとめと

振り返りの工夫

ア まとめと振り返りの時間を確実に確保できるよう、授業内容の精選を図る必要がある。

④ 今後の取組

主体的な学びを育むためには、これまでの取組を踏まえ、学びの基盤となる人間関係づく

りに一層努めていく必要がある。道徳教育及び特別活動の充実を図りながら、生徒が互いの

個性を認め合い、協力し合いながら学習できるよう、引き続き研究を進めていきたい。

また、家庭学習については、知識・理解の定着のため、家庭学習と授業を互いに関連し合

うような工夫が必要である。春に行っている学習オリエンテーションの持ち方を工夫し、家

庭学習にも重点を置いた内容に設定したい。

さらに、話合いや発表等の活動や思考力や表現力などを問う問題をとおして、協働して問

題を解決させるとともに、学び合いを深め、新しいことを創造する力を育てることができる

よう、ICT等の教育環境を整備するとともに、授業改善を今後も継続して行っていく必要が

ある。

― 55 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

主体的な学びを生かし、豊かに表現できる子を育成する指導の在り方を、授業実践を通

して明らかにする。

目指す子ども像

① 課題意識をもち、主体的に学ぶ子

② 話合いによって考えを深め、豊かに表現する子

(2)研究の取組(研究内容)

① 導入の工夫

ア 課題設定の工夫

・必然性のある課題設定(付けたい力の明確化、モデルの提示、ネーミングの工夫、自

分事として捉えさせる工夫)

・目的意識・相手意識の明確化

・見通しの工夫(単元の学習計画の作成、学習の流れや解決の手立ての提示)

イ まとめと振り返りの充実

・学習内容のまとめ(キーワードの活用、全体での共有)

・振り返り、次時につなげる工夫(どう学んだか、振り返りの共有)

・単元計画表やワークシートと一体化した振り返りカード

② 協働的な学びの工夫

ア 発問や働きかけの工夫

・発問の吟味

・話合い活動への積極的な介入

イ ワークシート・思考ツールの活用

・思考を整理する工夫(自作のワークシート…学習の流れに沿ったもの、考えの変容が

分かるもの)

・言語活動に合った思考ツールの活用(思考を可視化し整理・分析に生かす、KJ法、イ

メージマップ、Xチャート、Yチャート、ピラミッドチャートなど)

ウ 話合いの充実

・話型の掲示(発達の段階に合わせたもの、本時の活動に沿ったもの)

・話合いカードの活用(考えを伝え合う話合いの仕方、考えを一つにまとめる話合いの

仕方、役割分担)

・話合い形態の工夫(ペア・グループ・全体交流の工夫、グループの作り方の工夫)

③ 学びを支える学習環境の整備

ア 「致遠の学び」の定着(主体的・協働的な学びの意識化)

イ 学習過程の表示(課題、考え、まとめ、振り返りの表示カード活用による意識化)

ウ 学習計画や既習事項の掲示

エ 言語環境の整備(語彙力アップの取組、掲示物の工夫)

オ 読書環境の整備(教科書に出て来る本の紹介、並行読書、調べ学習用図書の充実)

― 56 ―― 56 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

主体的な学びを生かし、豊かに表現できる子を育成する指導の在り方を、授業実践を通

して明らかにする。

目指す子ども像

① 課題意識をもち、主体的に学ぶ子

② 話合いによって考えを深め、豊かに表現する子

(2)研究の取組(研究内容)

① 導入の工夫

ア 課題設定の工夫

・必然性のある課題設定(付けたい力の明確化、モデルの提示、ネーミングの工夫、自

分事として捉えさせる工夫)

・目的意識・相手意識の明確化

・見通しの工夫(単元の学習計画の作成、学習の流れや解決の手立ての提示)

イ まとめと振り返りの充実

・学習内容のまとめ(キーワードの活用、全体での共有)

・振り返り、次時につなげる工夫(どう学んだか、振り返りの共有)

・単元計画表やワークシートと一体化した振り返りカード

② 協働的な学びの工夫

ア 発問や働きかけの工夫

・発問の吟味

・話合い活動への積極的な介入

イ ワークシート・思考ツールの活用

・思考を整理する工夫(自作のワークシート…学習の流れに沿ったもの、考えの変容が

分かるもの)

・言語活動に合った思考ツールの活用(思考を可視化し整理・分析に生かす、KJ法、イ

メージマップ、Xチャート、Yチャート、ピラミッドチャートなど)

ウ 話合いの充実

・話型の掲示(発達の段階に合わせたもの、本時の活動に沿ったもの)

・話合いカードの活用(考えを伝え合う話合いの仕方、考えを一つにまとめる話合いの

仕方、役割分担)

・話合い形態の工夫(ペア・グループ・全体交流の工夫、グループの作り方の工夫)

③ 学びを支える学習環境の整備

ア 「致遠の学び」の定着(主体的・協働的な学びの意識化)

イ 学習過程の表示(課題、考え、まとめ、振り返りの表示カード活用による意識化)

ウ 学習計画や既習事項の掲示

エ 言語環境の整備(語彙力アップの取組、掲示物の工夫)

オ 読書環境の整備(教科書に出て来る本の紹介、並行読書、調べ学習用図書の充実)

― 56 ―

(3)研究経過 ① 平成 27 年度

月 日 内 容 4 月 8 日 研修推進委員会 研究計画について 4 月 27 日 全体会 研究計画の確認 5 月 28 日 先進校視察 横浜市立戸部小学校 5 月 29 日 先進校視察 加須市立水深小学校 6 月 9 日 学習会 先進校視察報告 6 月 16 日 学習会 国語科 単元を貫く言語活動について 7 月 6 日 授業研究会 5年 国語 7 月 31 日 研修推進委員会 1学期の反省と2学期の取組について 8 月 19 日 学習会 総合的な学習の時間の展開について 9 月 7 日 学力向上フォーラム参加 模擬授業、講演 9 月 24 日 授業研究会 3年 国語

10 月 8 日 授業研究会 1年 国語 11 月 26 日 研究指定校研究発表会 公開授業

2年 国語 4年 国語 6年 国語 講演 宮城教育大学 児玉 忠教授

1 月 20 日 全体会 研究のまとめ 2 月 24 日 全体会 次年度の研究計画について

② 平成 28 年度

月 日 内 容 4 月 19 日 研修推進委員会 今年度の研究計画について 4 月 27 日 全体会 研究計画の確認 6 月 3 日 学習会 協働的な学びについて 6 月 11 日 先進校視察 仙台市立広瀬小学校 7 月 1 日 先進校視察 横浜市立戸部小学校 7 月 13 日 授業研究会、学習会 3年 国語 先進校視察報告 9 月 21 日 授業研究会 2年 国語 9 月 28 日 授業研究会 5年 総合的な学習の時間

11 月 25 日 研究指定校研究発表会 公開授業及び研究協議会 4年 国語 6年 総合的な学習の時間 講演 早稲田大学 藤井 千春教授

11 月 30 日 授業研究会 1年 国語 12 月 7 日 授業研究会 あすなろ学級・3年 国語 1 月 13 日 研修推進委員会 研究のまとめ 1 月 25 日 全体会 研究のまとめ、学力検査考察 2 月 22 日 全体会 次年度の研究計画について

― 57 ―

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2 各教科での実践

(1)2学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 お話のつづきを書こう 「わにのおじいさんのたからもの」

② 本時のねらい 読み取ったことをもとに、自分の立場を明らかにして、わにのおじい

さんの気持ちを想像することができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意事項

導入

9分

1 既習内容の振り返りを

する。

2 めあてを確認する。

・ がけの上で、口では言えない

ほど美しい夕やけを見た。

・ 世界で一番すてきな夕やけ。

◇ おにの子が戻り

おじいさんと対話

する設定にする。

展開

27 分

3 わにのおじいさんが、お

にの子に、宝物が埋まって

いることを教えるかどう

か、理由を付けて書かせ

る。

4 考えをペアで伝え合わ

せる。

5 全体で交流する。

教える

・ よろこばせたいから。

教えない

・ がっかりするから。

教える

・ 宝の箱に入っているのが本当

の宝物だから。

・ おにの子は本当の宝物が分か

らないかもしれないから。

・ 夕焼けを宝物とかんちがいし

ているから。

教えない

・ 教えなければ、うれしい気も

ちのままでいられるから。

・ おじいさんの言った宝物とち

がうと、がっかりするから。

・ ぼくの考えとにている。

・ 友達の発表を聞いて、考えが

変わってきた。

◇ 書けない児童に

は、既習の掲示物

で、登場人物の行

動や気持ちを想像

させる。

◇ 同じ考えの児童

同士でペアを組ま

せ、自分の考えの

確かめや見直しを

させる。

◇ 友達の考えの良

さに気付かせた

り、考えの見直し

をさせたりする。

整理

9分

6 帰ってきたおにの子に、

おじいさんは何と言うか、

吹き出しに書かせる。

7 振り返りを書かせる。

教える

「本当の宝物は夕やけじゃなく

て、足下にうまっているんだ。」

教えない

「そうだよ、宝物は夕やけだよ。」

「夕やけを見て来たのか。宝物っ

てどんなものか分かったかい。」

・ 友達の考えを聞いて考えが変

わり、教えないことにした。

・ お話の続きを書くのが楽しみ

になった。

◇ 立場を明らかに

して考えを書かせ

る。

◇ 初めの考えと立

場が変わってもよ

いことを伝える。

◇ 次時にお話の続

きを書くことを伝

える。

もどって来たおにの子に、わにのおじいさんは何と言ったかを考えよう。

― 58 ―― 58 ―

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2 各教科での実践

(1)2学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 お話のつづきを書こう 「わにのおじいさんのたからもの」

② 本時のねらい 読み取ったことをもとに、自分の立場を明らかにして、わにのおじい

さんの気持ちを想像することができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意事項

導入

9分

1 既習内容の振り返りを

する。

2 めあてを確認する。

・ がけの上で、口では言えない

ほど美しい夕やけを見た。

・ 世界で一番すてきな夕やけ。

◇ おにの子が戻り

おじいさんと対話

する設定にする。

展開

27 分

3 わにのおじいさんが、お

にの子に、宝物が埋まって

いることを教えるかどう

か、理由を付けて書かせ

る。

4 考えをペアで伝え合わ

せる。

5 全体で交流する。

教える

・ よろこばせたいから。

教えない

・ がっかりするから。

教える

・ 宝の箱に入っているのが本当

の宝物だから。

・ おにの子は本当の宝物が分か

らないかもしれないから。

・ 夕焼けを宝物とかんちがいし

ているから。

教えない

・ 教えなければ、うれしい気も

ちのままでいられるから。

・ おじいさんの言った宝物とち

がうと、がっかりするから。

・ ぼくの考えとにている。

・ 友達の発表を聞いて、考えが

変わってきた。

◇ 書けない児童に

は、既習の掲示物

で、登場人物の行

動や気持ちを想像

させる。

◇ 同じ考えの児童

同士でペアを組ま

せ、自分の考えの

確かめや見直しを

させる。

◇ 友達の考えの良

さに気付かせた

り、考えの見直し

をさせたりする。

整理

9分

6 帰ってきたおにの子に、

おじいさんは何と言うか、

吹き出しに書かせる。

7 振り返りを書かせる。

教える

「本当の宝物は夕やけじゃなく

て、足下にうまっているんだ。」

教えない

「そうだよ、宝物は夕やけだよ。」

「夕やけを見て来たのか。宝物っ

てどんなものか分かったかい。」

・ 友達の考えを聞いて考えが変

わり、教えないことにした。

・ お話の続きを書くのが楽しみ

になった。

◇ 立場を明らかに

して考えを書かせ

る。

◇ 初めの考えと立

場が変わってもよ

いことを伝える。

◇ 次時にお話の続

きを書くことを伝

える。

もどって来たおにの子に、わにのおじいさんは何と言ったかを考えよう。

― 58 ―

導入で、掲示物をもとに既習内容の振り返り

をし、続き話を作ることにつなげるため、登場

人物の宝物に対する捉え方のずれを意識できる

ような課題設定をした。

おにの子が戻って来て、わにのおじいさんと

対話するという設定にしたことで、読み取った

ことをもとに、理由付けして考えを書くことが

できた。

自分の考えの確かめや見直しをするた

めに、同じ考えの児童同士でペアを組ん

だ。立場が同じなので、安心して伝え合う

ことができた。また、立場は同じでも、理

由が違うことに気付くこともできた。

席を移動してのペア学習を取り入れて

もよかった。

考えを全体で伝え、共有する場を設定し、立

場を明らかにして理由付けして発表させた。い

ろいろな考えがあることに気付かせることが

できた。

学びを深めるためには、教科書本文に立ち返

って確認したり、補助発問で、考えのずれを修

正したりすることも必要だった。

学びを深めるためのワークシートを、学習

の流れに沿い、考えの変容が分かるように工

夫して作成した。自分の立場を明らかにし、

理由付けして書く形式にしたところ、児童は、

既習内容をもとに、根拠をもって自分の考え

を書くことができた。

【全体交流】

【ワークシート】

【ペアでの交流】

【掲示物による既習内容の振り返り】

― 59 ―― 59 ―

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(2)4学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 テーマを決めて、本をしょうかいしよう 「ごんぎつね」

② 本時のねらい 心に残った場面のキーワードから連想されることを伝え合ってイメー

ジを広げ、自分の副題を考えて書くことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意事項

導入

7分

1 既習内容の振り返りを

する。

2 めあてを確認する。

・ 最後には分かり合えたが、ご

んは死んでしまった。

・ 今日は、副題を考えるんだ。

◇ ごんや兵十の気

持ちを全文掲示で

振り返る。

展開

35 分

3 ワークシートにキーワ

ードと、連想されることを

一つ書かせる。

4 グループで、キーワード

と選んだ理由を発表させ、

キーワードから連想され

ることを伝え合わせる。

5 各班のキーワードを全

体で発表させ、分類する。

6 副題を考えて書かせる。

・ つぐない→よろこばせたい

・ ごん、おまえだったのか

→かなしい

・ つぐない

→いたずらしなければよかった

→こうかい

・ 青いけむり

→ごめん

→兵十のこうかい

・ ごん、おまえだったのか

→打ってしまってごめん

→やっと気付いてくれた

兵十 ・ひとりぼっち

・ごん、おまえだったのか

・ごめんよ

ごん ・ひとりぼっち

・うなずいた

・よろこぶかなあ

・早く気付いてほしかった

・ 子ぎつねのあやまち

・ 兵十、早く気付いて

◇ イメージマップ

に書き込ませる。

◇ 教科書本文や本

時までのワークシ

ートも参考にさせ

る。

◇ 連想されること

を伝えて、イメー

ジを広げさせる。

◇ 書けない児童に

は、例を示す。

整理

3分

7 副題を発表させる。

8 振り返りを書かせる。

・ いたずらばかりしていたごん

のやさしさ

・ 二人の深いきずな

・ 世界一やさしいきつね ごん

のつぐない

・ 友達の考えを参考にして、副

題を書くことができた。

◇ 次時に全員の副

題を発表して交流

することを伝え

る。

グループで、それぞれが選んだキーワードから連想されることを伝え合い、それ

を参考に副題を考えよう。

― 60 ―― 60 ―

Page 67: 研究指定校報告書集...平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業 平成29年3月 青森県教育委員会 平成 27・ 28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

(2)4学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 テーマを決めて、本をしょうかいしよう 「ごんぎつね」

② 本時のねらい 心に残った場面のキーワードから連想されることを伝え合ってイメー

ジを広げ、自分の副題を考えて書くことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意事項

導入

7分

1 既習内容の振り返りを

する。

2 めあてを確認する。

・ 最後には分かり合えたが、ご

んは死んでしまった。

・ 今日は、副題を考えるんだ。

◇ ごんや兵十の気

持ちを全文掲示で

振り返る。

展開

35 分

3 ワークシートにキーワ

ードと、連想されることを

一つ書かせる。

4 グループで、キーワード

と選んだ理由を発表させ、

キーワードから連想され

ることを伝え合わせる。

5 各班のキーワードを全

体で発表させ、分類する。

6 副題を考えて書かせる。

・ つぐない→よろこばせたい

・ ごん、おまえだったのか

→かなしい

・ つぐない

→いたずらしなければよかった

→こうかい

・ 青いけむり

→ごめん

→兵十のこうかい

・ ごん、おまえだったのか

→打ってしまってごめん

→やっと気付いてくれた

兵十 ・ひとりぼっち

・ごん、おまえだったのか

・ごめんよ

ごん ・ひとりぼっち

・うなずいた

・よろこぶかなあ

・早く気付いてほしかった

・ 子ぎつねのあやまち

・ 兵十、早く気付いて

◇ イメージマップ

に書き込ませる。

◇ 教科書本文や本

時までのワークシ

ートも参考にさせ

る。

◇ 連想されること

を伝えて、イメー

ジを広げさせる。

◇ 書けない児童に

は、例を示す。

整理

3分

7 副題を発表させる。

8 振り返りを書かせる。

・ いたずらばかりしていたごん

のやさしさ

・ 二人の深いきずな

・ 世界一やさしいきつね ごん

のつぐない

・ 友達の考えを参考にして、副

題を書くことができた。

◇ 次時に全員の副

題を発表して交流

することを伝え

る。

グループで、それぞれが選んだキーワードから連想されることを伝え合い、それ

を参考に副題を考えよう。

― 60 ―

【全文掲示による既習内容の振り返り】

【グループでの話合い】

【イメージマップへの書き込み】

【ワークシート イメージマップと副題】

導入の全文掲示による振り返りで、既習内容の

確認ができ、見通しをもたせることができた。キ

ーワードを目立たせる工夫や絵の提示もあると、

更に分かりやすくてよかった。

ワークシートで、本時の学習の流れやゴールが

分かってよかった。

いろいろな考えに触れさせるために、

異なるキーワードを選んだ児童でグルー

プを組んだ。イメージが広がってよかっ

たが、広がりすぎた感もあった。同じキ

ーワードで組む、テーマごとに組むとい

う方法もあった。

本時用の話合いシートを使って有効だ

った反面、シートを使うことにとらわれ

すぎて話合いが形式化してしまった。

グループで伝え合ったことをイメージマッ

プに書き込ませた。イメージを広げることはで

きたが、キーワードを聞いてすぐに連想するの

は難しそうだった。

グループ交流も全体交流もキーワードにつ

いてだったので、考えを広げる全体交流になれ

ばよかった。

イメージマップをもとに、ワークシートに

副題を書かせた。書き進められない児童がい

たので、副題の捉え方についてのおさえが必

要だった。

振り返りで、「副題を書くことができた」と

いう児童が多かった。結果だけでなく、書く

までの経過についても振り返らせることが大

事である。

― 61 ―― 61 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)6学年 「このまち 弘前に生きる」単元指導計画 40時間

① 単元の目標 自分たちが住む弘前市のまち・人・自然・歴史などに関心をもち、「住み

よいまち弘前市」という視点で、調べたり考えたりする活動を通して、こ

れからも共に生活していく地域について、より深く自分なりの考えをもつ

ことができる。 ② 単元の指導計画 ア 小単元①「函館市に学ぼう」 16 時間 学習過程 学 習 活 動

課題 設定

1 くらべてみよう!

弘前市と函館市

(2時間)

・ ウェビングを活用し、弘前市についての知識を確認する。 ・ 弘前市と函館市の「観光客数」と「魅力度ランキング」を知る。 ・ 興味・関心をもとに、調べるテーマを決定する。

情報の

収集 2 調べよう! 函館市(6時間)

・ テーマごとにグループに分かれて、見学の計画を立てる。 ・ グループごとに函館市内自主見学をする。(修学旅行)

整理・

分析 3 まとめよう! 函館市(6時間)

・ グループごとに函館市の魅力について話し合う。(グループ) ・ グループごとに分かりやすくまとめる。(模造紙)

まとめ ・表現

4 伝えよう! 函館市(2時間)

・ 函館市内自主見学報告会(学年) ・ 友達の発表を聞いて、考えを深める。

イ 小単元②「広めよう! 住みよいまち弘前市」 24 時間

学習過程 学 習 活 動

課題 設定

1 住みたいのは どっち? 弘前市と函館 (2時間)

・ 弘前市と函館市のどちらに住みたいか意見・理由を発表する。 ・ 弘前市と函館市の「住みたいランキング」と「住みよいランキン グ」を知る。

・ ウェビングを利用し「住みよいまち」とはどんなまちか考える。 情報の

収集 2 調べよう!

住みよいまち弘前市 (8時間)

・ 「住みよいまち」のウェビングをもとに、調査テーマを決める。 ・ テーマごとにグループに分かれて、地域調査の計画を立てる。 ・ 弘前市について調査し、「住みよいところ」や課題を探す。

整理・

分析

3 まとめよう!

住みよいまち弘前市 (6時間)

・ グループごとに弘前市の「住みよいところアピール」について 話し合う。

・ グループごとに分かりやすくまとめる。 まとめ ・表現

4 伝えよう! 住みよいまち弘前市 (2時間)

・ 「住みよいまち弘前市」調査報告会 ・ 友達の発表を聞いて、考えを深める。

整理・

分析

5 考えよう! 住みよいまち弘前市

(4時間) 本時1/4

・ 話合いグループごとに弘前市の「住みよいところアピールラン キング」について話し合う。

・ 学級全体で弘前市の「住みよいところアピールランキング」に ついて話し合う。

・ 自分で弘前市の「住みよいところアピールランキング」を考え、 ワークシートにまとめる。

・ 何をアピールすれば「弘前市の住みよいランキング」が上がる か考える。(ピラミッドチャート)

まとめ ・表現

6 このまち弘前に

生きる(2時間) ・ これまでの学習を振り返る。(振り返りカードの完成)

― 62 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)6学年 「このまち 弘前に生きる」単元指導計画 40時間

① 単元の目標 自分たちが住む弘前市のまち・人・自然・歴史などに関心をもち、「住み

よいまち弘前市」という視点で、調べたり考えたりする活動を通して、こ

れからも共に生活していく地域について、より深く自分なりの考えをもつ

ことができる。 ② 単元の指導計画 ア 小単元①「函館市に学ぼう」 16 時間 学習過程 学 習 活 動

課題 設定

1 くらべてみよう!

弘前市と函館市

(2時間)

・ ウェビングを活用し、弘前市についての知識を確認する。 ・ 弘前市と函館市の「観光客数」と「魅力度ランキング」を知る。 ・ 興味・関心をもとに、調べるテーマを決定する。

情報の

収集 2 調べよう! 函館市(6時間)

・ テーマごとにグループに分かれて、見学の計画を立てる。 ・ グループごとに函館市内自主見学をする。(修学旅行)

整理・

分析 3 まとめよう! 函館市(6時間)

・ グループごとに函館市の魅力について話し合う。(グループ) ・ グループごとに分かりやすくまとめる。(模造紙)

まとめ ・表現

4 伝えよう! 函館市(2時間)

・ 函館市内自主見学報告会(学年) ・ 友達の発表を聞いて、考えを深める。

イ 小単元②「広めよう! 住みよいまち弘前市」 24 時間

学習過程 学 習 活 動

課題 設定

1 住みたいのは どっち? 弘前市と函館 (2時間)

・ 弘前市と函館市のどちらに住みたいか意見・理由を発表する。 ・ 弘前市と函館市の「住みたいランキング」と「住みよいランキン グ」を知る。

・ ウェビングを利用し「住みよいまち」とはどんなまちか考える。 情報の

収集 2 調べよう!

住みよいまち弘前市 (8時間)

・ 「住みよいまち」のウェビングをもとに、調査テーマを決める。 ・ テーマごとにグループに分かれて、地域調査の計画を立てる。 ・ 弘前市について調査し、「住みよいところ」や課題を探す。

整理・

分析

3 まとめよう!

住みよいまち弘前市 (6時間)

・ グループごとに弘前市の「住みよいところアピール」について 話し合う。

・ グループごとに分かりやすくまとめる。 まとめ ・表現

4 伝えよう! 住みよいまち弘前市 (2時間)

・ 「住みよいまち弘前市」調査報告会 ・ 友達の発表を聞いて、考えを深める。

整理・

分析

5 考えよう! 住みよいまち弘前市

(4時間) 本時1/4

・ 話合いグループごとに弘前市の「住みよいところアピールラン キング」について話し合う。

・ 学級全体で弘前市の「住みよいところアピールランキング」に ついて話し合う。

・ 自分で弘前市の「住みよいところアピールランキング」を考え、 ワークシートにまとめる。

・ 何をアピールすれば「弘前市の住みよいランキング」が上がる か考える。(ピラミッドチャート)

まとめ ・表現

6 このまち弘前に

生きる(2時間) ・ これまでの学習を振り返る。(振り返りカードの完成)

【ウェビングマップ】

【課題設定の工夫】

【「住みよいまち弘前市」調査報告会】

【グループでの話合い】

小単元②「広めよう! 住みよいまち弘前市」

課題設定~整理・分析

「住みたいのは函館市?弘前市?」と問い、

「住みよいランキング」では弘前市の方が上位

であることを示すことで、「魅力的=住みよいで

はないようだ」という課題意識を引き出した。

さらに、ウェビングマップを活用して考えを広

げ、観点ごとに整理することで、「住みよいまち」

の要素を認識させ、追究する意欲を高めること

ができた。

小単元①「函館市に学ぼう」

課題設定~情報の収集~整理・分析~まとめ・表現

単元の導入で、弘前市と函館市の「観光客数」と「魅力

度ランキング」を比較させて興味・関心を高めたことで、

課題意識をもって主体的に情報収集することができた。

各自がテーマに沿って集めた情報を整理・分析しながら

まとめ、報告会を行い、学年全体で函館市の魅力を共有し

た。観光客数ではあまり差がないのに、函館市がなぜ全国

魅力度ランキング1位なのかを、弘前市と比較して深く考

えることができた。

まとめ・表現

グループでまとめた「住みよいまち弘前

市」について、ポスターやICTを使って分

かりやすく発表し、グループの主張をアピー

ルすることができた。聞く側も、関連性を考

えながら聞き、自分の考えを広げることがで

きた。

整理・分析~まとめ・表現

「弘前市の住みよいところアピール」について、同

じテーマの児童でグループを組んで調査を進めた。

弘前市のHPや観光協会、警察署などの資料をも

とに話合いを進めたことで、新たな気付きが生まれ、

考えを深めることができた。

― 63 ―― 63 ―

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(2) 6学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 本時の題材 このまち弘前に生きる 「広めよう!住みよいまち弘前市」

② 本時のねらい 「住みよいまち弘前市調査報告会」をもとに、話合いグループでお互い

の考えを伝え合い、思考ツールを使って、一つの結論を出す活動をとお

して、弘前市の「住みよいところアピール」について自分の考えを見直

すことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意点等●支援

1 前時の活動を振り返る。

2 本時のめあてを確認する。

3 ランキングの作り方を確

認する。

4 意見交換とまとめのポイ

ントを確認する。

・ 比べながら聞く。

・ 共通点や共感できる内容

はないか。

・ 全員発表、大体納得。

◇ 振り返りカードをもと

に想起させる。

◇ ピラミッドチャートを

使い、3つ選んだ中から

1位を決めることをおさ

える。

◇ 掲示しておく。

25

5 グループで意見交換を行

い、ランキングを作成させ

る。

自然災害 風景 犯罪

安全交通 物価 治安

都市計画 自然・景色

祭り・イベント 人

6 ピラミッドチャートにま

とめさせる。

・ 人が優しい、都市計画、

犯罪がないの3つの中か

ら1位を決めます。

・ 犯罪がないが1位だ。

・ 安心して暮らせるから。

・ 青パトの活動で犯罪が減

っているから。

・ CRS活動が犯罪防止に役

立っているから。

・ だから犯罪のない町を1

位にしたい。

◇ 必要に応じて話合いカ

ードを使わせる。

● 意見交換とまとめのポ

イントに沿って、グルー

プに応じた助言を行う。

● 机間指導をしながら、

児童の話合いに参加した

り助言したりする。

10

7 グループで作成したラン

キングを発表する。

8 それぞれの班のランキン

グを比べて見て、気付いたこ

とを発表させる。

・ 犯罪、治安、人の中から

犯罪のない町を選んだ。

一人暮らしや移住して

来た人も安心して暮らせ

るし、防犯対策もしっかり

しているから。

・ 祭り・イベント、安全、

都市計画の中から祭り・

イベントを選んだ。

マスタープランには、祭り

の企画や事故防止活動も

入っているから。

◇ 発表の仕方を示す。

◇ 結果だけでなく、話合

いの過程を含めて発表さ

せる。

返り

る5分

9 本時の振り返りをし、次時

の学習について確認する。

・ 1位が、自然から犯罪に

変わった。安心だから。

・ 1位は、祭り・イベント

で変わらなかった。人が集

まるから。

◇ 今日の自分のランキン

グを記入させる。班のラ

ンキングと同じでなくて

もよいことを伝える。

グループで弘前市の「住みよいところアピールランキング」を作ろう。

― 64 ―― 64 ―

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(2) 6学年 総合的な学習の時間 学習指導案

① 本時の題材 このまち弘前に生きる 「広めよう!住みよいまち弘前市」

② 本時のねらい 「住みよいまち弘前市調査報告会」をもとに、話合いグループでお互い

の考えを伝え合い、思考ツールを使って、一つの結論を出す活動をとお

して、弘前市の「住みよいところアピール」について自分の考えを見直

すことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 児童の反応 ◇指導上の留意点等●支援

1 前時の活動を振り返る。

2 本時のめあてを確認する。

3 ランキングの作り方を確

認する。

4 意見交換とまとめのポイ

ントを確認する。

・ 比べながら聞く。

・ 共通点や共感できる内容

はないか。

・ 全員発表、大体納得。

◇ 振り返りカードをもと

に想起させる。

◇ ピラミッドチャートを

使い、3つ選んだ中から

1位を決めることをおさ

える。

◇ 掲示しておく。

25

5 グループで意見交換を行

い、ランキングを作成させ

る。

自然災害 風景 犯罪

安全交通 物価 治安

都市計画 自然・景色

祭り・イベント 人

6 ピラミッドチャートにま

とめさせる。

・ 人が優しい、都市計画、

犯罪がないの3つの中か

ら1位を決めます。

・ 犯罪がないが1位だ。

・ 安心して暮らせるから。

・ 青パトの活動で犯罪が減

っているから。

・ CRS活動が犯罪防止に役

立っているから。

・ だから犯罪のない町を1

位にしたい。

◇ 必要に応じて話合いカ

ードを使わせる。

● 意見交換とまとめのポ

イントに沿って、グルー

プに応じた助言を行う。

● 机間指導をしながら、

児童の話合いに参加した

り助言したりする。

10

7 グループで作成したラン

キングを発表する。

8 それぞれの班のランキン

グを比べて見て、気付いたこ

とを発表させる。

・ 犯罪、治安、人の中から

犯罪のない町を選んだ。

一人暮らしや移住して

来た人も安心して暮らせ

るし、防犯対策もしっかり

しているから。

・ 祭り・イベント、安全、

都市計画の中から祭り・

イベントを選んだ。

マスタープランには、祭り

の企画や事故防止活動も

入っているから。

◇ 発表の仕方を示す。

◇ 結果だけでなく、話合

いの過程を含めて発表さ

せる。

返り

る5分

9 本時の振り返りをし、次時

の学習について確認する。

・ 1位が、自然から犯罪に

変わった。安心だから。

・ 1位は、祭り・イベント

で変わらなかった。人が集

まるから。

◇ 今日の自分のランキン

グを記入させる。班のラ

ンキングと同じでなくて

もよいことを伝える。

グループで弘前市の「住みよいところアピールランキング」を作ろう。

― 64 ―

【思考ツールの使い方の確認】

【グループでの話合い】

【ピラミッドチャート】

【振り返りカードの記述】

導入で、給食ランキングの想起からピラミッ

ドチャートを用いたランキングのつくり方を確

認した。ピラミッドチャートの使い方を確認し

たことで、見通しをもって活動を進めることが

できた。また、学習の流れがシンプルで分かり

やすく、グループ活動をスムーズに進めること

につながった。

前時までの調査グループではなく、調査

テーマが異なる児童同士でグループを編成

して話合い活動を行った。自分で調査した

ことをもとに、自信をもって発言していた。

判断基準が曖昧だと、主張の強い児童の

意見が通ってしまう。一人一人が根拠をも

って話し合い、追究していく力を育てるこ

とが必要である。

ピラミッドチャートを用いて 10 種類の

中から3つ選び、更に1位を決める話合い

をさせた。色別カードを動かしながら話し

合い、ランキングを構成するのは、グルー

プの主張を組み立てるのに役立っていた。

視覚化・焦点化にも有効だった。

各班のランキング発表の後に、他の児童

からの気付きも出させると、更に話合いが

深まってよかった。

協働的な学びを通して自分の考えを見直し、今

日の自分ランキングを書かせたところ、考えが変

わったという児童が多かった。話合いや交流で、

考えを広げたり見直したりすることができ、考え

の質を高めるのに効果があった。

― 65 ―― 65 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容

① 学習アンケートによる検証

教科の好き嫌いや学習への取組方等 22 項目(低学年は 18 項目)について自己評価アン

ケートを年2回実施した。この中から課題意識、探究心、主体性、伝え合いの項目につい

て、最初(27 年6月)と最後(28 年 11 月)の結果を比較、考察した。

各項目とも、以下の4段階で回答を求めた。

1:あてはまる 2:大体あてはまる 3:あまりあてはまらない 4:あてはまらない

1 2 3 4

H27. 6 45 30 19 6

H28.11 44 35 17 4

ウ 自分の考えや意見を進んで発表していますか。        (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 ウ 自主的な発言 】

【 ア 課題意識 】

1 2 3 4

H27. 6 51 37 10 2

H28.11 53 38 7 2

ア 授業時間には、めあてをもって、自分から進んで勉強していますか。(%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 ア 課題意識 】

1 2 3 4H27. 6 53 35 10 2H28.11 68 25 6 1

イ 教科書や資料を調べ、分かったことを書くことができますか。    (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 イ 探求心 】

― 66 ―

【 ア 課題意識 】

H27. 6 45 30 19 6

H28.11 44 35 17 4

H27. 6 53 35 10 2

H28.11 68 25 6 1

H27. 6 10 23751

H28.11 7 23853

― 66 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容

① 学習アンケートによる検証

教科の好き嫌いや学習への取組方等 22 項目(低学年は 18 項目)について自己評価アン

ケートを年2回実施した。この中から課題意識、探究心、主体性、伝え合いの項目につい

て、最初(27 年6月)と最後(28 年 11 月)の結果を比較、考察した。

各項目とも、以下の4段階で回答を求めた。

1:あてはまる 2:大体あてはまる 3:あまりあてはまらない 4:あてはまらない

1 2 3 4

H27. 6 45 30 19 6

H28.11 44 35 17 4

ウ 自分の考えや意見を進んで発表していますか。        (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 ウ 自主的な発言 】

【 ア 課題意識 】

1 2 3 4

H27. 6 51 37 10 2

H28.11 53 38 7 2

ア 授業時間には、めあてをもって、自分から進んで勉強していますか。(%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 ア 課題意識 】

1 2 3 4H27. 6 53 35 10 2H28.11 68 25 6 1

イ 教科書や資料を調べ、分かったことを書くことができますか。    (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 イ 探求心 】

― 66 ―

【 ア 課題意識 】

H27. 6 45 30 19 6

H28.11 44 35 17 4

H27. 6 53 35 10 2

H28.11 68 25 6 1

H27. 6 10 23751

H28.11 7 23853

・ほとんどの設問で、肯定的な回答の割合(1と2の合計)が、わずかではあるが増加して

いる。

・「めあてをもって自分から進んで勉強している」、「考えを進んで発表している」では、肯

定的な回答の割合が3~4%増加しており、課題意識や主体性の向上がみられる。

・「教科書や資料を調べて分かったことを書く」では、肯定的な回答の割合が5%増加して

おり、自分の力で調べて表現することへの自信が付いてきているように考えられる。

・「話合いに進んで参加している」は、今年度のみの調査であり、5ヶ月間ではほぼ変化が

みられない。今後の指導で意欲を高めていきたい。

・「伝えたいことをうまく伝える」では、肯定的な回答の割合が3%増加しており、伝え合

いや話合いの活動を数多く体験したことで、自信を深めていると考えられる。

以上のことから、主体的・協働的に学ぶ態度や力が育ってきていると考えられる。

(2)研究の成果

① 導入の工夫

・課題設定の工夫で、児童と話し合って単元の学習計画を立てたり、ゴールとなるモデ

ルを示したりしたことで、見通しをもち主体的に取り組むことができるようになった。

・ネーミングの工夫や前時とつながりのある課題提示や学習の流れの提示で、学習意欲

が高まった。

・キーワードの提示や児童の言葉によるまとめで、学習内容の確認や次時への意識付け

ができた。

・単元計画表やワークシートと一体化した振り返りカードを活用し、振り返りの観点を

明確にすることで、児童一人一人の頑張りやつまずきを把握することができた。

・振り返りの時間の確保や即時のチェックにより、達成感や充実感をもたせることがで

きた。

1 2 3 4H27. 6 53 31 11 5H28.11 55 32 10 2

オ 友達に伝えたいことをうまく伝えることができますか。      (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 オ 伝え合い 】

1 2 3 4

H28. 6 65 26 8 1

H28.11 66 25 8 1

エ 話合いに進んで参加していますか。(28年度のみ調査)    (%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【 エ 話合いへの積極的な参加 】

― 67 ―

H28. 6 65 26 8 1H28.11 66 25 8 1

H27. 6 53 31 11 5

H28.11 55 32 10 2

― 67 ―

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② 協働的な学びの工夫

・発問を吟味し、話合いに積極的に関わらせることで、学びを深めさせることができた。

・キーワードやポイントの確認をして共通理解を図ることにより、方向性を等しくして学

習を進めることができた。

・児童が単元のワークシートをファイルしておくことは、学習を振り返ったり、自分の考

えを確認したりするのに役立った。また、積極的な発言や考えの検討にも効果があった。

・イメージマップやKJ法、ピラミッドチャートなどの思考ツールで思考を可視化させるこ

とにより、児童の考えが整理・分析しやすくなり、グループ交流が活発になった。

・話型や話合いカードの活用により、発達段階に沿った話し方や聞き方ができるようにな

り、役割に従って積極的に話合いに参加するようにもなった。

・目的に合わせた話合い形態の工夫により、意欲的に話し合うようになった。

(3)今後の課題

① 導入の工夫

・学びの連続性を意識した振り返りと課題設定の工夫

② 協働的な学びの工夫

・学習内容や発達の段階に合った思考ツールの選び方や使い方

・型から離れて話す応用力を身に付けさせること

・授業のねらいに即し、児童の思考に沿った話合いの観点を設定し、話合いをより深める

こと

[参考文献]

・「初等教育資料 4 各教科等における主体的に学習に取り組む態度の育成」

平成 27 年4月 (東洋館出版社)

・「小学校国語科 授業&評価 パーフェクトガイド」

平成 26 年1月 (水戸部修治 著 明治図書)

・「話す・聞く力の基礎・基本」 平成 20 年 11 月 (井上一郎 著 明治図書)

・「アクティブ・ラーニング 実践の手引き」

平成 28 年4月 (田中博之 著 教育開発研究所)

・「考えるってこういうことか! 思考ツールの授業」

平成 25 年8月 (田村 学、黒上晴夫 著 小学館)

・「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)」

平成 22 年 11 月(文部科学省)

・「総合的な学習の時間における言語活動の手引き」

平成 25 年4月 (京都市総合教育センター研究課)

・「横浜市立戸部小学校 26・27 年度 研究紀要 第 41・42 集 飛べ 翔べ 戸部」

平成 26 年 12 月、平成 27 年 12 月(横浜市立戸部小学校)

・「長崎市立稲佐小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (長崎市立稲佐小学校)

・「佐伯市立渡町台小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (佐伯市立渡町台小学校)

― 68 ―― 68 ―

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② 協働的な学びの工夫

・発問を吟味し、話合いに積極的に関わらせることで、学びを深めさせることができた。

・キーワードやポイントの確認をして共通理解を図ることにより、方向性を等しくして学

習を進めることができた。

・児童が単元のワークシートをファイルしておくことは、学習を振り返ったり、自分の考

えを確認したりするのに役立った。また、積極的な発言や考えの検討にも効果があった。

・イメージマップやKJ法、ピラミッドチャートなどの思考ツールで思考を可視化させるこ

とにより、児童の考えが整理・分析しやすくなり、グループ交流が活発になった。

・話型や話合いカードの活用により、発達段階に沿った話し方や聞き方ができるようにな

り、役割に従って積極的に話合いに参加するようにもなった。

・目的に合わせた話合い形態の工夫により、意欲的に話し合うようになった。

(3)今後の課題

① 導入の工夫

・学びの連続性を意識した振り返りと課題設定の工夫

② 協働的な学びの工夫

・学習内容や発達の段階に合った思考ツールの選び方や使い方

・型から離れて話す応用力を身に付けさせること

・授業のねらいに即し、児童の思考に沿った話合いの観点を設定し、話合いをより深める

こと

[参考文献]

・「初等教育資料 4 各教科等における主体的に学習に取り組む態度の育成」

平成 27 年4月 (東洋館出版社)

・「小学校国語科 授業&評価 パーフェクトガイド」

平成 26 年1月 (水戸部修治 著 明治図書)

・「話す・聞く力の基礎・基本」 平成 20 年 11 月 (井上一郎 著 明治図書)

・「アクティブ・ラーニング 実践の手引き」

平成 28 年4月 (田中博之 著 教育開発研究所)

・「考えるってこういうことか! 思考ツールの授業」

平成 25 年8月 (田村 学、黒上晴夫 著 小学館)

・「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)」

平成 22 年 11 月(文部科学省)

・「総合的な学習の時間における言語活動の手引き」

平成 25 年4月 (京都市総合教育センター研究課)

・「横浜市立戸部小学校 26・27 年度 研究紀要 第 41・42 集 飛べ 翔べ 戸部」

平成 26 年 12 月、平成 27 年 12 月(横浜市立戸部小学校)

・「長崎市立稲佐小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (長崎市立稲佐小学校)

・「佐伯市立渡町台小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (佐伯市立渡町台小学校)

― 68 ―

― 69 ―

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- 2 -

1 研究の概要

(1)研究目標

より確かな学力の育成を図るためには、指導過程において、小集団による「協同的な学び

の場」を意図的に設定し、生徒同士による学び合いが有効であることを、授業実践を通して

明らかにする。

(2)研究の取組

本校では、「確かな学力の定着」に迫る手立として「協同学習」に取り組んできた。各教

科の指導過程において、「活動」(思考を伴う活動や学んだことを使う活動、作業的な活動)

を、「協同」(3~4人グループ)で行い、「表現の共有」(生徒の発言の交流)の場を意図

的に設定すること、協同学習がより効果的になるための学習課題の在り方を探ること、生徒

の成就感を引き出す効果的な振り返りの在り方を探ることの三点を重点として段階的に研修

を進めてきた。

具体的には、課題が生徒自身のものとなるよう、生徒にとって身近な課題やICTを活用

するなどして生徒の学習意欲を高めるような工夫をした。グループ内での一人一人の役割を

明確にし、生徒が主体的・協同的に解決できるような場面を設定し、学びが深まるような課

題設定に取り組んだ。特に今年度は生徒が学習した内容や気付き等を自覚し、定着させるた

めのまとめや振り返りを各教科の特性に応じて取り組んだ。また、総合的な学習の時間にお

いては、探究のプロセスを意識した指導計画を立て、ICTを活用した実践に取り組んだ。

その他では、年2回アセスを実施し、その結果を分析し、支援計画を立てることにより、

生徒同士のよりよい人間関係づくりに取り組み、協同学習の充実を図った。更に、協同学習

を通じて生徒に身に付けさせたいスキルとして「館中スキル」を設定し、生徒に意識させな

がら協同学習に取り組ませた。

このような実践的研究を通じて、生徒の主体的に学ぶ力を育み、確かな学力の育成に取り

組んだ。

(3)研究経過

年度 月

内 容

教頭 研修主任 特別支援教育コ 学習指導部 備考

ーディネーター

4 推進事業周知 校内研修計画 NRT実施

周知

5 校内研修全体 アセスの実施 先進校視察(教頭)

先進校視察(角田)

会での協同学

習理論研修

埼玉大学教育学部

附属中学校

276 アセスの分析

7 生徒の自己評 NRT分析

価①実施

8 生徒の自己

評価①分析

9 校内公開授業

(英)

10 生徒の自己評 生徒の自己

価②実施 評価②分析

― 70 ―― 70 ―

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- 3 -

新潟大学教育学部

附属中学校

11 校内公開授業 アセスの実施研究指定校発

表会 (国・体・技)

12 校内公開授業

(数・社)

1 校内公開授業 アセスの分析

(理・数)

2 生徒の自己評 生徒の自己

価③実施 評価③分析

教員の自己評

価①実施

3 推進事業のま 校内研修のま

とめ とめ

4 推進事業周知 校内研修計画 NRT実施

周知

5 生徒の自己評 生徒の自己

価④実施 評価④分析

6 校内公開授業 アセスの実施

(技)

7 校内公開授業 アセスの分析 NRT分析

(体・音・国)

8 アセスに関わ

る研修

28 9 校内公開授業 生徒の自己 先進校視察(対馬

(数) 評価⑤分析 ・大川)今別町立

生徒の自己評 全国学力テ 今別中学校

価⑤実施 スト結果分 先進校視察(前田

析 ・角田・島田)

盛岡市立下橋中学

10 教員の自己評

価②実施

11 校内公開授業研究指定校発

(理・数・社)表会

12 校内公開授業 アセスの実施

(英・理・社)

1 全体研修 アセスの分析

(成果と課題)

2 推進事業のま 校内研修のま

とめ とめ

3 次年度の校内

研修に向けて

― 71 ―― 71 ―

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- 4 -

2 各教科での実践

(1)1学年 数学科 学習指導案

①本時の題材 平面図形

②本時のねらい 平面図形において、平行移動、回転移動、対称移動を組み合わせることで、

合同な図形はどのような位置にも移動することができることを理解し、移動

の仕方を説明することができる。

③本時の指導過程

段 学 習 活 動 形・留意点 ○評価 □手だて

階 教師の働きかけ ※T2の動き 予想される生徒の反応 態

・麻の葉模様の画像を見せ、模 ・六角形 ・正三角形 全 ・模様の美しさを感じさせ

様の中にある図形を見付けさ ・二等辺三角形 ・台形 たり、日本の伝統文化に

導 せる。 ・平行四辺形 ・ひし形 も関わることを教えるこ

※T2は電子黒板で画像を提示 ・星形 とで、興味を持たせる。

入 する。 ・いろいろな図形に目を向

けさせる。

・正六角形に注目し、12 枚の

分 合同な直角三角形を組み合わ

せで、正六角形ができること

を紹介する。

・課題を提示する。 全

※T2が電子黒板で課題を提示

する。

展 ・ワークシート、直角三角

アの図形を 形を配布する。

A:平行にずらす(平行移動) ・平行移動、回転移動、対

B:点を中心に回す(回転移動 称移動を簡単に説明し、

C:直線で折る(対称移動) 用語も教える。

の3つの移動で、イ~シの位置に

開 移動してみよう。

例題

・アの図形を、平行移動、回転 ・[ア]→平行移動[オ]

移動、対称移動それぞれ1回 ・[ア]→回転移動[ク]

だけで移動できる図形を確認 ・[ア]→対称移動[イ]

30 しよう。 ・[ア]→対称移動[キ]

・平行移動、回転移動、対全

 称移動がどのような移動

 かを確認する。

・1回では移動できない図

※T2が電子黒板で移動方法を 形があることも確認す

提示する。 る。

問題1

分 ・アの図形を、シの位置に2回 ・[ア]→回転[ク] 個 ・二つの移動方法を考える

で移動するには、どのように →平行[シ] よう指示する。

移動すればいいですか。 ・[ア]→平行[オ] ・机間指導(T1、T2)

→回転[シ]

・移動方法を確認する。

― 72 ―― 72 ―

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- 5 -

【ICTを活用した導入】

導入では、ICTを活用して麻の葉模

様の様々な画像を提示することにより、

課題に対する関心を持たせることができ

た。

【ICTを活用した説明】

平行移動、回転移動、対称移動につ

いて、電子黒板で移動方法を提示しな

がら説明した。視覚に働きかけた移動

方法を説明をすることで、生徒は移動

のイメージをはっきりともつことがで

きた。

【問題に取り組む様子】

― 73 ―― 73 ―

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- 6 -

段 学 習 活 動 形・留意点 ○評価 □手だて

階 教師の働きかけ ※T2の動き 予想される生徒の反応 態

問題2

展 ・アをケの位置に3回で移動す ・個人で考えてから班で話 個

るには、どのように移動すれ し合う。 班 ・3~4人の学習班

ばよいのですか。 ・[ア]→回転[ク]

→回転[コ]→対称[ケ] ・できるだけ多くの移動方

開 ・[ア]→平行[オ] 法を考えるように指示す

→対称[サ]→回転[ケ] る。

・[ア]→平行[オ]

→回転[コ]→対称[ケ] ・移動方法が少ない人から

30 ・[ア]→対称[キ] 一つずつ発表する。

→平行[サ]→回転[ケ]

・[ア]→対称[イ] ・机間指導(T1、T2)

→回転[サ]→回転[ケ]

・どのように移動したか班に発 ・指名された班の代表が発 全 ・移動方法が少ない班から

表してもらう。 表する。 一つずつ発表する。

※T2が電子黒板で発表に合わ

せて操作する。

・まとめをする。 全 ・生徒に問いかけ、言葉を

引き出しながらまとめ

終 平面図形において、平行移動、回転移動、対称移動を る。

組み合わせることで、合同な図形はどのような位置に

も移動することができる。

末 ・問題演習 ・演習問題を解く。 個 ・できるだけ多くの考えを

アの図形をエの位置へ移動す ・[ア]→回転[イ] 出すように指示する。

るにはどのように移動すれば →回転[エ] ○【見方や考え方】

よいですか。 ・[ア]→平行[オ] どのように移動したか理

15 →対称[エ] 解し、説明できる。

〈机間指導・ワークシート〉

□スモールステップで手順

を示し、個別指導する。

・振り返りをする。 ・ワークシートへ記入、発 ・授業の振り返りを記入、

表する。 発表させ、次時への学習

につなげる。

― 74 ―― 74 ―

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- 7 -

【班での話合いの様子】

学習課題について、個人で考えた時

にはあまり分からなかった生徒であっ

ても、班での話合いをすることで、自

分が考えなかった方法に気付き、理解

を深めることができた。

また、直角三角形のカードを実際に

移動させながら、考えられるように教

師が準備していたことにより、動作を

伴った理解を深めることができた生徒

もいた。

【振り返りの記述】

班での話合いにより、生徒が移動に

関しての理解を深めることができた。

また、もっといろいろな場所にも移

動をさせてみたい等、生徒の成就感や

次の学びへの意欲が多くみられた。

― 75 ―― 75 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)2学年 単元指導計画

① タイトル 田んぼアートPR活動

② 単元の目標 修学旅行で予定している「田んぼアートPR活動」を効果的に行うために、

先輩や専門家から学んだことを生かしながら、工夫や改善を重ね、最終的

に各グループで創作したPRを実演することができる。

③ 単元の指導計画

時 探究の主 な 活 動 内 容

数 プロセス

1 課題設定 オリエンテーション

・「田んぼアートPR活動」を効果的に行うために、必要なことを考える。

(遠足で実施したPR活動の動画・振り返り用紙を活用)

1 情報収集 先輩から学ぼう

・3年生の実演(動画ICT)を各グループ(PR班)で見て、それぞれの

参考になる点や改善点を出し合う。

1 情報収集 専門家から学ぼう

・田んぼアートに関わっている職員の講話を聞き、各グループ(PR班、

係ごと)で参考になる点を出し合う。

1 整理・分析 PRの創作

・これまでの活動を基に、各グループでPRを創作する。

・実演に向けて、ICTを活用しながら準備や練習をする。

・創作したPRを、他のグループとお互いに見せ合い、参考になる点や改

善点を探す。

1 整理・分析 PRの創作(改善)

(本時) ・前時を踏まえ、各PR班から同じ係同士が集まり、参考になる点や改善

点を出し合う。

・各自のPR班に戻り、ICTを活用しながら実演に向けての準備や練習を

する。

・当日の参観者を対象にPRを実演する。

2 まとめ・表現 PRの実演

・各PR班で創作したPRを学年内で実演する。

― 76 ―― 76 ―

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【先輩のPR動画を視聴している様子】

3年生のPR動画を視聴することによ

り、生徒にPR活動への関心とイメージ

をもたせ、課題を自分自身のものとし

て捉えさせることができた。

【PRの創作】

これまでの学習で得た情報を基に、ICTを

活用しながらPRを創作した。創作したPRを

互いに見せ合い、参考になる点や改善点を

探すことで、新たな気付きや考えの深まり

が感じられた。

【グループでの話合い】

係同士の話合いで得た情報を各自のPR班

に戻って伝えるというジグソー学習を取り

入れることにより、PR活動の内容を更に深

めることができた。そしてそのPRを研究発

表会に参加していた先生方に実演すること

で、自信と来年度の本番へ向けての意欲に

つながった。

話合いが円滑に進まないグループもあっ

たので、更なるコミュニケーションスキル

の向上が必要である。

【振り返りの記述】

振り返りを記入する時間を十分に確保す

ることができなかった。しかし、自分たち

のPRのよい点や改善点を明確にし、来年度

の本番への意欲を感じさせる記述が多く見

られた。

― 77 ―― 77 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 昨年度から学期ごとに生徒に授業に関する自己評価を実施した。それぞれの質問項目

について「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた生徒の割合は次のとおりである。

【生徒の自己評価項目とその結果】

【質問内容】

項目1:授業では、自分の考えを発表する機会が与えられていたと思う。

項目2:授業では、グループで話し合う機会がよく与えられていたと思う。

項目3:グループで話し合う活動に積極的に参加したと思う。

項目4:グループで話し合う活動では、自分の考えや根拠を述べることができたと思う。

項目5:グループで話し合う活動では、きちんと話を聞くことができたと思う。

H 27 1回目 H 27 2回目 H 27 3回目 H 28 1回目 H 28 2回目

項目1 95 % 96 % 93 % 94 % 93 %

項目2 96 % 98 % 95 % 96 % 97 %

項目3 86 % 90 % 88 % 88 % 86%項目4 81 % 79 % 82 % 81 % 82 %

項目5 96 % 96 % 97 % 95 % 97 %

以上の結果から、全ての教科の授業で協同学習の場面を取り入れ、多くの生徒が積極的

に話し合う活動に参加していると感じていることが分かる。また、話し合う活動では、き

ちんと相手の話を聞くなどの「館中スキル」を生徒が意識して協同学習に取り組んでいる

ことも分かる。また、生徒同士の人間関係も良好であることが分かる。

その一方で、項目4は他の項目の結果と比較して、8割前後と若干低い結果となってい

る。自分の考えや根拠を述べることは主体的な学習に取り組むうえで大変重要である。こ

のことを苦手としている生徒もいるため、様々な場面で自分の考えや根拠を述べる機会を

設け、生徒に主体的な学びを促していく必要がある。

② 教師の自己評価では、次の項目で「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた教師の

割合が向上した。

【教師の自己評価項目とその結果】

質 問 項 目 割合(前年度比)

授業の冒頭で目標(めあて・ねらい)を示す活動を取り入れたか。 100 %(+3%)

様々な考えを引き出したり、思考を深めたりするような発問や 73 %(+ 10 %)

指導をしたか。

総合的な学習の時間において、課題設定からまとめ・発表に至る 74 %(+ 10 %)

探究のプロセスを意識した指導をしたか。

以上の結果から、全ての教師が授業の冒頭で目標を示していると答えていることから、

生徒も課題を明確にし、見通しをもって授業に臨むことができていると思われる。また、

様々な考えを引き出したり、思考を深めたりするような発問や指導をしていると答えた教

師も増えたことから、生徒に課題を自分のものとして捉えさせ、協同学習を生かしながら

― 78 ―― 78 ―

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- 11 -

主体的な学びを促していることが伺える。そして、総合的な学習の時間においては、探究

のプロセスを意識した指導をしたと答えた教師も増えたことから、教師の意識の向上が生

徒の主体的な学びにもよい効果をもたらしていると思われる。

③ 昨年度から年に2回実施しているアセスでは、次の項目で数値的向上が見られた。

【アセスの数値が向上した項目】

「非侵害的関係」や「友人サポート」といった「対人的適応」に関する項目に満足してい

る生徒の割合が高くなるにつれて、「学習的適応」や「生活満足感」の値も徐々に向上して

きている。協同学習は生徒同士の信頼関係の構築にも有効であり、良好な人間関係が学習や

学校生活に対する満足感にもつながることが分かった。

(2)研究の成果

生徒が主体的に学ぶ力を身に付けるために、全ての教科の授業で協同学習の場面を取り入れ

たことにより、どの教科でも話合いがスムーズに行われるようになった。また、グループ内

での役割が固定しないよう、司会係・記録係・発表係等の役割をローテーションすることで、

生徒が主体的に話合いに参加することができた。また、自分の役割をうまく果たせずに困っ

ている他の班員をサポートしながら学習に取り組む雰囲気が自然と生まれ、生徒同士のより

よい人間関係の構築にも繋がった。また、協同学習を通して身に付けさせたいスキルを「グ

ループ」「学習」「コミュニケーション」の3つの観点から「館中スキル」として設定する

ことで、生徒がそれらを意識して話合いに取り組み、良質なコミュニケーションを図ること

ができた。

また、教師一人一人が校内公開授業を実施し、協同学習や振り返り場面の工夫といった視

点から互いに参観し合ったことにより、効果的な協同学習や振り返り方法を共有することが

できた。教科の枠を超えて参観し合ったことで、効果的な協同学習場面の設定などについて

自らの授業を省みるきっかけとなり、授業改善へと生かすことができた。様々な教科での協

同学習の場面で、生徒たちが学び合っている様子や自らの授業とはまた違った一面を目の当

たりにしたことで、改めて協同学習のよさや面白さを実感することができた。

今年度は更に、学習した内容や気付き等を生徒が自覚し、定着させるためにまとめと振り

返りに取り組んできたことにより、教師がしっかりとした見通しをもって授業に臨むことが

できた。振り返りの記述からは、生徒の理解度やつまずき、そして次の学びに対する意欲な

どを把握することができた。また、生徒の振り返りを教師がきちんと読み取り、その後の授

業に生かしていくことや、学習内容を定着させるための手立てなどについて考えることに繋

がった。

総合的な学習の時間では、探究のプロセスを意識した指導計画を立てることにより、これ

0

20

40

60

80

100

120

学習的適応 友人サポート 非侵害的関係 生活満足感

H271回目

H272回目

H273回目

― 79 ―― 79 ―

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までの指導計画を見直し、課題が生徒自身のものとなるような様々な工夫をした。その結果、

生徒がとても意欲的に活動に取り組むことが出来ていた。また、整理・分析の段階を意識し

た指導を行うことで、生徒から多様な意見を引き出すとともに、話合い活動に深まりがみら

れた。

(3)今後の課題

協同学習や振り返りを行うためには、時間の確保が最大の課題である。協同学習に時間を

割いてしまい、まとめがおろそかになったり、振り返りまで実施できないという場合も多々

あった。そのため、教師は1時間の授業で指導する内容や発問を精選する必要があった。生

徒自身が学習した内容等を自覚し、定着させるためにはまとめと振り返りを行うためのある

時間の確保が重要である。そのことを意識して、見通しのある授業づくりに努めていかなけ

ればならない。

総合的な学習の時間では、各学年で「村内訪問学習」「職場体験学習」「田んぼアートPR

活動」といった特色ある活動がこれまでも行われてきたが、生徒の「なぜ?」や「もっと知

りたい」といった興味・関心をもっと引き出せるような探究的プログラムを実践していくこ

とが、生徒の主体的な学びを育むためには大切である。前年度の実践をただ引き継ぐだけで

なく、生徒の実態と合わせて探究的な学習プログラムを追求していく必要がある。

ICTは生徒の興味・関心を高めるために有効であった。生徒にとって学習内容をより分か

りやすくするためには、具体的な画像や動画を提示することがとても有効である。しかし、ICT

を使いこなせるようになるためには、教師側にも知識や技術が必要であり、必要な時に有効

に活用できるような環境整備が大きな課題である。

― 80 ―― 80 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

① 研究主題 指導力の向上と学力の発展 ~能動的な学びができる児童の育成~

② 研究目標 27 年度

能動的な学びができる児童を育成するためには、単元の基礎・基本を確実に定着させる

ための児童の実態に応じた教材・教具の開発と、学習の深化・拡充を図った活動の工夫を

することが有効であることを、授業実践を通して明らかにする。

③ 研究目標 28 年度

能動的な学びができる児童を育成するためには、学びを広げたり深めたりする協働学習

場面を設けたり終末場面を工夫したりすることが有効であることを、実践を通して明らか

にする。

(2)研究の取組

① 課題が児童・生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

・ 目的意識をもたせるための単元構成の工夫

・ 児童に必要感をもたせるために、学習の深化・拡充を図った単元構成の工夫

・ 問題意識をもたせたり興味を喚起したりする導入

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

・ 問題解決をするために協働して情報収集→思考→判断する場面を意図的に設定し、自

ら考えたり判断したりするのに必要なものの見方・考え方を身に付ける

・ ペアやグループ学習等目的に応じた協働学習場面の設定

③ 学習した内容や方法、気付き等を児童・生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り

返りの工夫

・ 次の学習への視点や意欲を高めるための実感を伴った振り返りの工夫

④ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

・ 年間指導計画や単元計画の見直し

(3)研究経過

① 平成 27年度

期日 主 な 内 容 備考(要請等)

研修部の取組と校内研修について

研究主題・目標・仮説の確認

6学年国語科提案授業

指導案検討会

学力向上実践事業地区研修会講師 秋田県教育庁義務教育課

工藤 真弘氏

ブロックでの指導案検討会

5学年社会科提案授業

要請訪問指導案検討

2学年国語科提案授業上北教育事務所

俵藤晶 指導主事

3学年理科提案授業

ブロックごとの校内研のまとめ

全体のまとめ

次年度の校内研修の方向性

― 82 ―

4月3日

5月11日

5月27日

6月22日

7月10日

9月2日

9月16日

10月14日

10月28日

11月4日

12月16日

1月20日

2月24日

― 82 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

① 研究主題 指導力の向上と学力の発展 ~能動的な学びができる児童の育成~

② 研究目標 27 年度

能動的な学びができる児童を育成するためには、単元の基礎・基本を確実に定着させる

ための児童の実態に応じた教材・教具の開発と、学習の深化・拡充を図った活動の工夫を

することが有効であることを、授業実践を通して明らかにする。

③ 研究目標 28 年度

能動的な学びができる児童を育成するためには、学びを広げたり深めたりする協働学習

場面を設けたり終末場面を工夫したりすることが有効であることを、実践を通して明らか

にする。

(2)研究の取組

① 課題が児童・生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

・ 目的意識をもたせるための単元構成の工夫

・ 児童に必要感をもたせるために、学習の深化・拡充を図った単元構成の工夫

・ 問題意識をもたせたり興味を喚起したりする導入

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

・ 問題解決をするために協働して情報収集→思考→判断する場面を意図的に設定し、自

ら考えたり判断したりするのに必要なものの見方・考え方を身に付ける

・ ペアやグループ学習等目的に応じた協働学習場面の設定

③ 学習した内容や方法、気付き等を児童・生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り

返りの工夫

・ 次の学習への視点や意欲を高めるための実感を伴った振り返りの工夫

④ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

・ 年間指導計画や単元計画の見直し

(3)研究経過

① 平成 27年度

期日 主 な 内 容 備考(要請等)

研修部の取組と校内研修について

研究主題・目標・仮説の確認

6学年国語科提案授業

指導案検討会

学力向上実践事業地区研修会講師 秋田県教育庁義務教育課

工藤 真弘氏

ブロックでの指導案検討会

5学年社会科提案授業

要請訪問指導案検討

2学年国語科提案授業上北教育事務所

俵藤晶 指導主事

3学年理科提案授業

ブロックごとの校内研のまとめ

全体のまとめ

次年度の校内研修の方向性

― 82 ―

4月3日

5月11日

5月27日

6月22日

7月10日

9月2日

9月16日

10月14日

10月28日

11月4日

12月16日

1月20日

2月24日

② 平成 28年度

期日 主な内容 備考(要請等)

今年度の研修部の取組

今年度の校内研修について

研究主題・目標・仮説の検討

研究主題・目標・仮説の検討

学力向上実践発表会について(授業者等)

研究主題・目標・仮説の確認

(研究計画書含む)

教材研究について

能動的な児童の具体化

仮説の具体化

指導案の様式について

6学年提案授業

授業研究 ※計画訪問

学力向上実践発表についての研究協議

指導案作成

学力向上実践事業研究指定校研究発表会研

究授業指導案検討

要請

上北教育事務所

太田 浩之 主任指導主事

佐々木隆一 指導主事

俵藤 晶 指導主事

江渡 勇 指導主事

公開授業指導案検討

指導案検討(確認)

発表要項確認

学力向上実践事業研究指定校研究発表会兼

北地区委託校研究発表会

講師 弘前大学教育学部 教授

中野 博之氏

助言者

上北教育事務所

太田 浩之 主任指導主事

佐々木隆一 指導主事

俵藤 晶 指導主事

江渡 勇 指導主事

反省等とりまとめ

校内研究の成果と課題1

冬季休業中の研修について

校内研究の成果と課題2

研修アンケートについて

次年度の校内研究について

― 83 ―

4月5日

4月14日

4月27日

5月11日

5月25日

6月1日

6月22日

7月11日

7月19日

8月4日

8月31日

9月12日

10月5日

10月19日

10月26日

11月21日

1月10日

2月6日

― 83 ―

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2 各教科での実践

(1)4学年 理科 学習指導案

① 本時の題材 水の3つのすがた

② 本時のねらい

水を沸騰させたときに出る泡を集めて冷やす実験を通して、泡は水蒸気であることを、

観察した要因の変化と関連付けて説明することができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項

・水を沸騰させまし

ょう。

・沸騰しているとき

に出てきた泡は何

でしょう。

・水の中で泡となってみえる

から空気だ。

・水の中に空気を出している

ものがないから空気では

ない。

・沸騰したら水が減っている

から水蒸気じゃないかな。

・透明な鍋を使った実験を

行い、前時の最後に立て

た課題を想起させる。

・さまざまな立場で話し合

うことで考えを深めさ

せ、実験や問題解決への

意欲を高めさせる。

20分

・どうすれば泡の正

体を調べられるの

でしょう。

・水を沸騰させて、袋

の中に泡を集めて

みましょう。

・泡以外のものが入らないよ

うに、ろうとを使う。

・沸騰して泡が出てきたら袋

が膨らんできた。

・火を止めると袋がしぼんで

きた。

・袋がとても熱くなってい

る。

・火を消して冷ますと袋の中

に水が入っている。

・実験器具は高温になるの

で安全面を考慮し実験用

保護メガネ・軍手を着用

し、取扱いには十分注意

させる。

・モニタで実験の状況を確

認したり、観察の観点を

示したりしながら実験を

進めていく。

20分

・実験結果から考えら

れることを話し合

おう。

・今日の学習を振り返

ろう。

・冷えると袋の中に水がつ

く。袋の中に入っていたの

は水蒸気だ。

・水が減っている。沸騰した

時に出てくる泡は水が姿

を変えたものだ。

・ふくらんだのは温めてから

だから、水は温められると

水蒸気になる。

・空気だと思ったけど、友達

の意見を聞いて変わった。

・白いモヤモヤしたものが出

てきていたが、何だろう。

・実験の結果と考察を区別

させ、どのようなことが

言えるかを考えさせる。

また、イメージ図を描か

せ活用させる。

評価 水の中から出てくる

泡を水蒸気であると考え、

実験結果と関連付けて説明

することができたか。

※動画や写真などを見なが

ら説明をさせる。

・写真や動画などを提示し

て、本時を振り返りなが

ら日常生活につなげる。

水を熱したときに出てくるあわの正体を調べよう。

あわは水蒸気だった。水蒸気は冷やされるとふたたび水に戻る。

観察の観点

・沸騰時のビーカー内の様子

・袋の中の様子(水滴、体積)

・袋の温度

― 84 ―― 84 ―

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2 各教科での実践

(1)4学年 理科 学習指導案

① 本時の題材 水の3つのすがた

② 本時のねらい

水を沸騰させたときに出る泡を集めて冷やす実験を通して、泡は水蒸気であることを、

観察した要因の変化と関連付けて説明することができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項

・水を沸騰させまし

ょう。

・沸騰しているとき

に出てきた泡は何

でしょう。

・水の中で泡となってみえる

から空気だ。

・水の中に空気を出している

ものがないから空気では

ない。

・沸騰したら水が減っている

から水蒸気じゃないかな。

・透明な鍋を使った実験を

行い、前時の最後に立て

た課題を想起させる。

・さまざまな立場で話し合

うことで考えを深めさ

せ、実験や問題解決への

意欲を高めさせる。

20分

・どうすれば泡の正

体を調べられるの

でしょう。

・水を沸騰させて、袋

の中に泡を集めて

みましょう。

・泡以外のものが入らないよ

うに、ろうとを使う。

・沸騰して泡が出てきたら袋

が膨らんできた。

・火を止めると袋がしぼんで

きた。

・袋がとても熱くなってい

る。

・火を消して冷ますと袋の中

に水が入っている。

・実験器具は高温になるの

で安全面を考慮し実験用

保護メガネ・軍手を着用

し、取扱いには十分注意

させる。

・モニタで実験の状況を確

認したり、観察の観点を

示したりしながら実験を

進めていく。

20分

・実験結果から考えら

れることを話し合

おう。

・今日の学習を振り返

ろう。

・冷えると袋の中に水がつ

く。袋の中に入っていたの

は水蒸気だ。

・水が減っている。沸騰した

時に出てくる泡は水が姿

を変えたものだ。

・ふくらんだのは温めてから

だから、水は温められると

水蒸気になる。

・空気だと思ったけど、友達

の意見を聞いて変わった。

・白いモヤモヤしたものが出

てきていたが、何だろう。

・実験の結果と考察を区別

させ、どのようなことが

言えるかを考えさせる。

また、イメージ図を描か

せ活用させる。

評価 水の中から出てくる

泡を水蒸気であると考え、

実験結果と関連付けて説明

することができたか。

※動画や写真などを見なが

ら説明をさせる。

・写真や動画などを提示し

て、本時を振り返りなが

ら日常生活につなげる。

水を熱したときに出てくるあわの正体を調べよう。

あわは水蒸気だった。水蒸気は冷やされるとふたたび水に戻る。

観察の観点

・沸騰時のビーカー内の様子

・袋の中の様子(水滴、体積)

・袋の温度

― 84 ―

ウ まとめ

まとめの部分で時間が足りなくなったため

に実験結果の押さえが不十分になり実感を伴

った振り返りができなかった。振り返りカー

ドからは児童が、「お風呂の壁につく水滴」や

「弁当箱のふたについた水滴」など生活場面

との関連を考えた記述が見られた。

ア 導入

前時では、水を熱した時の様子や温度の変

わり方を調べ、グラフにまとめた。水が沸騰す

る現象を見て「この泡は何だろう。」「なぜ水

が減ってきているのだろう」等の新たな課題

を立て、それに対して「空気ではないか」「水

蒸気ではないか」等の仮説を立てた。それら

の仮説を想起させ「泡の正体を調べたい」と

いう課題解決への意欲を高めさせた。

【課題意識をもたせる導入】

イ 展開

初めからお湯を使うことで、実験時間の短

縮につながった。さらに、水の中に溶け込ん

でいる二酸化炭素や酸素等を追い出すこと

で、実験の精度を上げることにつながった。

4~5人グループでの協働学習では、観点

をもって実験の様子を観察し、「温度が下がる

と袋が縮む」「袋の中に水滴がつく」「ビーカ

ーの中の水が減る」等の実験結果から、泡の

正体について話し合うことができた。

【協働学習場面】

【ワークシート】

― 85 ―― 85 ―

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(2)6学年 社会科 学習指導案

① 本時の題材 長く続いた戦争と人々のくらし

② 本時のねらい

これから戦争をしないためにどのようにすればよいかを三つの視点から協働で話し合う

ことによって、戦争や平和についての自分の考えをもつことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項等

・今までの学習を確認しましょ

う。

・今の世界は戦争のない世界で

すか。

・今日はみんなで未来に向けた

話合いをします。

・今日はこの三つの観点で話し

合います。最初に、自分の考

えを書きましょう。

・日本は15年戦争をして敗

れた。

・この前、外国でテロ事件

があったとニュースで見

た。

・今の世界も平和とは言え

ない。

・みんなと仲良くすればよ

い。

・武器を作らない。

・三つ目の観点はよくわか

らない。

・4人グループを編制しておく。

・世界の現状が分かる資料を掲示し、

学習への必要感をもたせる。

・考えをワークシートに書かせる。

20

・グループで話し合いましょう。 ・資源を求めるために戦争

が起きたので、資源を大

切にするためにリサイク

ルをする。

・たくさんの国々と争った

ので、これからは仲良く

しようとする。

・原爆ドームなどの戦争の

世界遺産を大切にする。

・グループで協働して話し合わせる。

・話合いでは自分の考えの根拠とな

る資料と関連付けて意見を言わせ

る。

・児童の思考を揺さぶる資料を提示

し、活性化を図る。

・話し合った中で発表するものを掲

示用の紙に書かせる。

20

・それぞれのグループの考えを

発表してください。

・最初の自分の考えと比べて、

自分の考えがどのように広が

ったり深まったりしたのかを

振り返りましょう。

・僕は最初、みんなと仲良

くすればよいと思ってい

たが、友達の話を聞いて

資源を大切にすることも

自分にできることだと分

かり、考えは広がった。

・意見文では、戦争の記憶

を伝えることを結論にし

よう。

・グループごとに発表させる。

・掲示用の紙を貼らせる。

・今日の学習での自分の考えについ

て振り返りをさせる。

・振り返りの観点は①自分の考えの

変容とその理由、②意見文に書き

たいこととする。

評価 戦争を起こさないための自分

の考えをもつことができたか。

※掲示してある意見から自分の考え

に合うものを選ばせる。

自分たちができることは、資源を大切にすることや戦争の記憶を後の人に伝え

ていくことだと思う。(まとめ例)

観点

・戦争が起きた原因

・外国との関わり

・戦争をわすれないために

これから戦争を起こさないために、自分たちには何ができるかな。

― 86 ―― 86 ―

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(2)6学年 社会科 学習指導案

① 本時の題材 長く続いた戦争と人々のくらし

② 本時のねらい

これから戦争をしないためにどのようにすればよいかを三つの視点から協働で話し合う

ことによって、戦争や平和についての自分の考えをもつことができる。

③ 本時の指導過程

段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項等

・今までの学習を確認しましょ

う。

・今の世界は戦争のない世界で

すか。

・今日はみんなで未来に向けた

話合いをします。

・今日はこの三つの観点で話し

合います。最初に、自分の考

えを書きましょう。

・日本は15年戦争をして敗

れた。

・この前、外国でテロ事件

があったとニュースで見

た。

・今の世界も平和とは言え

ない。

・みんなと仲良くすればよ

い。

・武器を作らない。

・三つ目の観点はよくわか

らない。

・4人グループを編制しておく。

・世界の現状が分かる資料を掲示し、

学習への必要感をもたせる。

・考えをワークシートに書かせる。

20

・グループで話し合いましょう。 ・資源を求めるために戦争

が起きたので、資源を大

切にするためにリサイク

ルをする。

・たくさんの国々と争った

ので、これからは仲良く

しようとする。

・原爆ドームなどの戦争の

世界遺産を大切にする。

・グループで協働して話し合わせる。

・話合いでは自分の考えの根拠とな

る資料と関連付けて意見を言わせ

る。

・児童の思考を揺さぶる資料を提示

し、活性化を図る。

・話し合った中で発表するものを掲

示用の紙に書かせる。

20

・それぞれのグループの考えを

発表してください。

・最初の自分の考えと比べて、

自分の考えがどのように広が

ったり深まったりしたのかを

振り返りましょう。

・僕は最初、みんなと仲良

くすればよいと思ってい

たが、友達の話を聞いて

資源を大切にすることも

自分にできることだと分

かり、考えは広がった。

・意見文では、戦争の記憶

を伝えることを結論にし

よう。

・グループごとに発表させる。

・掲示用の紙を貼らせる。

・今日の学習での自分の考えについ

て振り返りをさせる。

・振り返りの観点は①自分の考えの

変容とその理由、②意見文に書き

たいこととする。

評価 戦争を起こさないための自分

の考えをもつことができたか。

※掲示してある意見から自分の考え

に合うものを選ばせる。

自分たちができることは、資源を大切にすることや戦争の記憶を後の人に伝え

ていくことだと思う。(まとめ例)

観点

・戦争が起きた原因

・外国との関わり

・戦争をわすれないために

これから戦争を起こさないために、自分たちには何ができるかな。

― 86 ―

【協働学習場面】 【協働学習の成果物】

【振り返りシート】【グループの意見を発表】

ア 導入

世界各国の紛争の様子や日本海にミサイルが落下した写真資料を提示し、日本も含めて

世界の現状を示すことで、これから戦争を起こさないためにできることが何かという課題

を解決する意欲を高めることができた。

自分の考えを書く場面では、振り返りワークシートに初めの考えを書くコーナーを設け、

変容を比較できるように工夫した。

イ 展開

学力的に偏りが生まれないように意図的に編制した四人グループで協働的な話合いを行

った。三つの観点をもたせ、前時までのワークシートの資料を使うことで話合いはスムー

ズに進めることができたが、観点を示すことで各グループが同じような意見になってしま

ったり考えを裏付ける資料を探すのに時間がかかったりするなどの課題もあった。示す観

点をより吟味したり前時までの学習を 1 枚のワークシートにまとめたりするなど、学習を

スムーズに進める工夫が必要であった。

ウ まとめ

グループの意見では、「貿易を活性化して外国と仲良くする」や「戦争を伝えるものを残し

たり自分達の子どもにも伝えたりしていく」などの意見が出された。

振り返りカードに「考えの広がりや深まりについて」という観点を設けることで、児童は友

達の意見と自分の意見を比較しようという思考が働いていた。

平和についての意見文を書くというゴールイメージをもたせたことで、常に意見文の材料を

探そうとする意識をもって学習することができた。

― 87 ―― 87 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)3学年 単元指導計画

① 単元の目標

【学ぶ力】

町の特産品である「こかぶ」の栽培活動を通して、生産や普及の工夫について進んで調べたり、比較し

て考えたりすることができる。

【関わる力】

「こかぶ」に携わっている人々やグループの友達と協働して活動することができる。

【高める力】

「こかぶ」に関わる人々の取組を調べていくことで、町のよさや自分の生活との結びつきに気づき、こ

れからの自分の生活に生かそうとすることができる。

② 単元計画

過程 主な学習活動 ※思考ツール(思考力)

つかむ オリエンテーション

・野辺地のゆるキャラ「じ~の」から、町の特産品について知っていることを話し合う。

※ウェビング(広げる)

・「こかぶ」を栽培・観察し、自分たちの発見や疑問を話し合い、追究したいことを明らか

にして学習計画を立てる。

※KJ法 (分類する)

調べる

整理する

・こかぶ畑やJAを見学し、野辺地町で作られたこかぶがどのように出荷されるのか調べる。

また、なぜこかぶが作られるようになったのか調べる。

・JAに協力してもらい、種まき作業をし、1学期の自分たちの種まきの様子と比較する。

・間引きや草取りなど、こかぶの世話をする。

・こかぶの栄養や調理方法を調べる。

・こかぶの収穫をし、試食会をする。

まとめ

表現

・調べて分かったことや活動して分かったことをまとめる。(栽培方法、出荷・流通、料理・

栄養)

・「こかぶ」の調査発表会をする。

つかむ ・野辺地町自慢の「こかぶ」をもっといろんな人に知ってもらうにはどうしたらいいか考え

る。

※ウェビング(広げる)

調べる

整理する

・どんな方法でPRするのか考える。(パンフレット、ポスターなど)

・専門チームごとに、今までの学習内容を短冊に整理する。

・専門チームごとにパンフレットやポスターの内容について考える。

※ピラミッド・チャート(整理・焦点化)

まとめ

表現

・自分たちで決めた方法で、 こかぶをPRする物を作成する。

・「葉つきこかぶPR発表会」をする。

・単元全体を振り返る。

※ビフォーアフター(比較)

こかぶを栽培し、こかぶについて調査しよう。

野辺地のこかぶPR大作戦

― 88 ―― 88 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)3学年 単元指導計画

① 単元の目標

【学ぶ力】

町の特産品である「こかぶ」の栽培活動を通して、生産や普及の工夫について進んで調べたり、比較し

て考えたりすることができる。

【関わる力】

「こかぶ」に携わっている人々やグループの友達と協働して活動することができる。

【高める力】

「こかぶ」に関わる人々の取組を調べていくことで、町のよさや自分の生活との結びつきに気づき、こ

れからの自分の生活に生かそうとすることができる。

② 単元計画

過程 主な学習活動 ※思考ツール(思考力)

つかむ オリエンテーション

・野辺地のゆるキャラ「じ~の」から、町の特産品について知っていることを話し合う。

※ウェビング(広げる)

・「こかぶ」を栽培・観察し、自分たちの発見や疑問を話し合い、追究したいことを明らか

にして学習計画を立てる。

※KJ法 (分類する)

調べる

整理する

・こかぶ畑やJAを見学し、野辺地町で作られたこかぶがどのように出荷されるのか調べる。

また、なぜこかぶが作られるようになったのか調べる。

・JAに協力してもらい、種まき作業をし、1学期の自分たちの種まきの様子と比較する。

・間引きや草取りなど、こかぶの世話をする。

・こかぶの栄養や調理方法を調べる。

・こかぶの収穫をし、試食会をする。

まとめ

表現

・調べて分かったことや活動して分かったことをまとめる。(栽培方法、出荷・流通、料理・

栄養)

・「こかぶ」の調査発表会をする。

つかむ ・野辺地町自慢の「こかぶ」をもっといろんな人に知ってもらうにはどうしたらいいか考え

る。

※ウェビング(広げる)

調べる

整理する

・どんな方法でPRするのか考える。(パンフレット、ポスターなど)

・専門チームごとに、今までの学習内容を短冊に整理する。

・専門チームごとにパンフレットやポスターの内容について考える。

※ピラミッド・チャート(整理・焦点化)

まとめ

表現

・自分たちで決めた方法で、 こかぶをPRする物を作成する。

・「葉つきこかぶPR発表会」をする。

・単元全体を振り返る。

※ビフォーアフター(比較)

こかぶを栽培し、こかぶについて調査しよう。

野辺地のこかぶPR大作戦

― 88 ―

ア 野辺地のこかぶのひみつをさぐろう

はじめに、こかぶについて疑問点や追究したいことをKJ法

で分類することにより、課題を見付けることができた。

次に、栽培や体験活動をする学習グループと課題を追究する

ための専門チームの二つの学習形態で協働的に活動させるこ

とにより、一人一人が課題意識をもって活動することをねらっ

た。

また、情報収集のために、こかぶ農家、栄養士、JAの青年部

など、地域の人と交流する場を設定し、こかぶに対する思い

や願いを知ることができた。

専門チームで調査したことをまとめ、発表会をした。お互い

の発表から、こかぶの良さに気付き、もっといろいろな人に知

ってほしいという思いをもつようになった。

イ 野辺地のこかぶのよさを広めよう。

こかぶをいろいろな人に知ってもらうために、どん

な方法があるか、ウェビングを使って話し合った。

JAの方に相談した結果、ポスターとパンフレットを

作成することになった。

ポスターやパンフレットに書く内容を絞るために

ピラミッド・チャートを使って話し合った。話合いの

観点をはっきりさせるため、ピラミッドの階層を一つ

上がるときの視点を確かめながら話合いを進めるよ

うにさせた。

学習前と学習後を比較して、単元全体を振り返っ

た。学習内容の深まりや思考ツールを使った学習方法

のよさに気付くことができた。

【KJ法を使った話合い】

【こかぶの世話と収穫】 【こかぶ発表会】 【振り返りカード】

【ウェビング】

【ピラミッドチャートでの話合いの観点】

【単元全体の振り返り】

― 89 ―― 89 ―

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(2)5学年 単元指導計画

① 単元の目標

【学ぶ力】

町の特産品である「ホタテ」を PR する活動を通して、調べ方や発信方法を考えること

ができる。

「ホタテ」の貝殻が捨てられていることに目を向け、比較したり関連付けたりして貝

殻の活用方法を考えることができる。

【関わる力】

町の活性化や生活に役立たせるために地域の方や友達と協働して活動することができ

る。

【高める力】

活動を振り返り、自分なりに広めたり深めたりして学んだことを実践しようとするこ

とができる。

② 単元計画

過程 主な学習活動 ※思考ツール(思考力)

つかむ ・野辺地町の特産品である「ホタテ」から思い付くことや知っていることを出し

合い、もっと知りたいことや調べたいことを見付ける。

※ウェビングマップ(アイデアを出す・広げる)

ホタテについて調べよう

・知りたいことや調べたいことを整理・分類し学習課題を設定する。

※データチャート(整理・分類)

調べる ・グループに分かれてインターネットやインタビュー、本等で調べる。

まとめ

表現

・調べたことを新聞にまとめ、全体で発表し合い、分かったことを共有する。

P R

つかむ 野辺地のホタテを PRしよう

・調べて驚いたことや他の人にも知らせたいことを整理する。

※データチャート(整理)

整理

まとめ

・グループに分かれて知らせたいことをどのような方法で PRするかを話し合う。

・観光協会の方にプレゼンをするためのポスターや資料を作成する。

表現 ・町の観光協会の方に来ていただいてプレゼンをし、講評をいただく。

つかむ ・講評から新たに調べていきたいことを見付ける。

ホタテの貝殻の活用法を考えよう

・ホタテの貝殻の成分や活用が方法を聞いたり、調べたりする。

ホタテ貝で雪を溶かすことはできないか調べてみよう。

・溶かす力があるかを調べるための方法を考え、学習計画を立てる。

※ステップチャート(計画する)

調べる ・計画に従って実験を行う。 ※マトリックス(整理)

整理 ・実験の結果から、成果や問題点を話し合い、改善点を踏まえて次の実験の計画

を話し合う。 ※マトリックス(整理)

まとめ

実践

・実験を行い、結果をまとめる。

・分かったことを実践に移す。

― 90 ―― 90 ―

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(2)5学年 単元指導計画

① 単元の目標

【学ぶ力】

町の特産品である「ホタテ」を PR する活動を通して、調べ方や発信方法を考えること

ができる。

「ホタテ」の貝殻が捨てられていることに目を向け、比較したり関連付けたりして貝

殻の活用方法を考えることができる。

【関わる力】

町の活性化や生活に役立たせるために地域の方や友達と協働して活動することができ

る。

【高める力】

活動を振り返り、自分なりに広めたり深めたりして学んだことを実践しようとするこ

とができる。

② 単元計画

過程 主な学習活動 ※思考ツール(思考力)

つかむ ・野辺地町の特産品である「ホタテ」から思い付くことや知っていることを出し

合い、もっと知りたいことや調べたいことを見付ける。

※ウェビングマップ(アイデアを出す・広げる)

ホタテについて調べよう

・知りたいことや調べたいことを整理・分類し学習課題を設定する。

※データチャート(整理・分類)

調べる ・グループに分かれてインターネットやインタビュー、本等で調べる。

まとめ

表現

・調べたことを新聞にまとめ、全体で発表し合い、分かったことを共有する。

P R

つかむ 野辺地のホタテを PRしよう

・調べて驚いたことや他の人にも知らせたいことを整理する。

※データチャート(整理)

整理

まとめ

・グループに分かれて知らせたいことをどのような方法で PRするかを話し合う。

・観光協会の方にプレゼンをするためのポスターや資料を作成する。

表現 ・町の観光協会の方に来ていただいてプレゼンをし、講評をいただく。

つかむ ・講評から新たに調べていきたいことを見付ける。

ホタテの貝殻の活用法を考えよう

・ホタテの貝殻の成分や活用が方法を聞いたり、調べたりする。

ホタテ貝で雪を溶かすことはできないか調べてみよう。

・溶かす力があるかを調べるための方法を考え、学習計画を立てる。

※ステップチャート(計画する)

調べる ・計画に従って実験を行う。 ※マトリックス(整理)

整理 ・実験の結果から、成果や問題点を話し合い、改善点を踏まえて次の実験の計画

を話し合う。 ※マトリックス(整理)

まとめ

実践

・実験を行い、結果をまとめる。

・分かったことを実践に移す。

― 90 ―

町の特産品である「こかぶ・カワラケツメイ」を 3・4 年生の総合で学習してきたことから

「今年はホタテを」との意欲を見せていた。

そこで、大単元を「ホタテ探検隊」とし、ホタテを知ることから始めることにした。

【ホタテチョーク】【消臭スプレー】 【貝殻を使った肥料】

【ウェビングマップ】ア ホタテを知ろう

ホタテについて知っている

ことやイメージするものを出

し合い、ウェビングマップで思

考を広げた。その中からもっと

知りたいことや調べたいこと

を整理・分類し、学習課題を設

定した。グループごとに新聞に

まとめ、発表し合って、分かっ

たことを共有した。

【発表の様子】

【プレゼン資料】

イ ホタテ PR作戦

「ホタテを知ろう」の振り返りと感想で「初めて知っ

たことや驚いたことを全国の人たちに知らせたい」との

意見が多かったため、次はホタテを全国へ PRしようと①で

調べたことをもとに知らせたいことを整理し、PRの方法を

考えた。町の観光協会の方に見てもらうことを学習課題

として、グループに分かれてポスターや資料を作成し、

GTで町の観光協会の方に来ていただきプレゼンをして講評

をいただいた。

ウ 「ホタテの貝殻を活用しよう」

講評の中で、ホタテの貝殻を使った消臭スプレーがあることを

知り、自分たちも何かを作ってみたいとの思いから貝殻の成分や

活用方法を調べたり考えたりした。

実際に貝殻を粉にして畑にまいたり、グラウンドにラインを引

いたり消臭スプレーを作ったりした。

また、雪を溶かすものにも使われていることを知り、融雪剤を

作ってみることにし、貝殻の力を知るための実験を行った。改善

しながら 3 回実験を行い、貝殻と塩を混ぜた物が雪を溶かしそう

だと分かった。

その後、雪が降り、道が凍結したとき、玄関前や校門付近にま

いている。

【ライン】

【融雪剤】

― 91 ―― 91 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容

① 児童の実態アンケート調査の結果から

A そう思う B まあまあ思う C あまり思わない D 思わない

項目 A B C D

1 友達の前で意見を発表するのは得意ですか。 7 月 27 43 26 4

12 月 31 43 20 6

2 友達と話し合うとき、友達の話や意見を最後まで

聞くことはできますか。

7 月 60 36 4 0

12 月 68 27 4 1

3 授業で自分の考えを人に話したり文章に書いたり

するのは難しいと思いますか。

7 月 32 39 17 12

12 月 26 32 22 20

4 友達と話し合う活動を通じて、自分の考えを広げたり深

めたりすることができていますか。

7 月 43 33 12 12

12 月 48 36 12 4

5 授業では、協働で情報を集め、話し合いながら整理し、

発表することに取り組んでいますか。

7 月 68 26 2 4

12 月 64 26 8 2

6 授業の最後に学習内容を振り返る活動をよく行っ

ていたと思いますか。

7 月 64 29 6 1

12 月 70 22 7 1

7 総合で学んだことは、普段の生活や社会に出た時

に役立つと思いますか。

7 月 75 18 6 1

12 月 67 28 3 2

8 総合の学習では、自分で課題を立てて情報を集め

整理して発表する学習に取り組んでいますか。

7 月 49 42 6 3

12 月 50 42 6 2

9 授業では、自分の考えを発表する機会が与えられ

ていると思いますか。

7 月 67 22 8 3

12 月 60 31 6 3

10 授業では、学級の友達との間で話し合う活動をよ

く行っていると思いますか。

7 月 70 22 5 3

12 月 68 25 5 2

11 授業の初めに目標が示されていると思いますか。 7 月 80 16 3 1

12 月 83 12 2 3

12 国語の授業で意見などを発表するとき、話の組み

立てを工夫していますか。

7 月 48 34 15 3

12 月 39 43 15 3

13 国語の授業で自分の考えを発表するとき、考えの

理由が分かるように書いていますか。

7 月 39 49 9 3

12 月 42 44 9 5

14 算数の問題が分からない時は、あきらめずにいろ

いろな方法を考えますか。

7 月 70 18 4 8

12 月 70 19 8 3

15 算数の授業で問題を解く時、もっと簡単に解く方

法がないか考えますか。

7 月 55 23 14 8

12 月 57 25 13 5

・発表が得意だと感じている児童の割合が増えた。

・授業で、自分の考えを発表する機会が与えられていると感じている児童が増えた。

・文章を書くことに抵抗を感じている児童が少なくなった。

・総合的な学習の時間で学んだことが普段の生活や社会に出たときに役立つと捉えている

児童が増えた。

・自分の考えの広がりや深まりを自覚している児童が増えた。

・算数の授業で簡単に解く方法を考えようとする児童が増えた。

― 92 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容

① 児童の実態アンケート調査の結果から

A そう思う B まあまあ思う C あまり思わない D 思わない

項目 A B C D

1 友達の前で意見を発表するのは得意ですか。 7 月 27 43 26 4

12 月 31 43 20 6

2 友達と話し合うとき、友達の話や意見を最後まで

聞くことはできますか。

7 月 60 36 4 0

12 月 68 27 4 1

3 授業で自分の考えを人に話したり文章に書いたり

するのは難しいと思いますか。

7 月 32 39 17 12

12 月 26 32 22 20

4 友達と話し合う活動を通じて、自分の考えを広げたり深

めたりすることができていますか。

7 月 43 33 12 12

12 月 48 36 12 4

5 授業では、協働で情報を集め、話し合いながら整理し、

発表することに取り組んでいますか。

7 月 68 26 2 4

12 月 64 26 8 2

6 授業の最後に学習内容を振り返る活動をよく行っ

ていたと思いますか。

7 月 64 29 6 1

12 月 70 22 7 1

7 総合で学んだことは、普段の生活や社会に出た時

に役立つと思いますか。

7 月 75 18 6 1

12 月 67 28 3 2

8 総合の学習では、自分で課題を立てて情報を集め

整理して発表する学習に取り組んでいますか。

7 月 49 42 6 3

12 月 50 42 6 2

9 授業では、自分の考えを発表する機会が与えられ

ていると思いますか。

7 月 67 22 8 3

12 月 60 31 6 3

10 授業では、学級の友達との間で話し合う活動をよ

く行っていると思いますか。

7 月 70 22 5 3

12 月 68 25 5 2

11 授業の初めに目標が示されていると思いますか。 7 月 80 16 3 1

12 月 83 12 2 3

12 国語の授業で意見などを発表するとき、話の組み

立てを工夫していますか。

7 月 48 34 15 3

12 月 39 43 15 3

13 国語の授業で自分の考えを発表するとき、考えの

理由が分かるように書いていますか。

7 月 39 49 9 3

12 月 42 44 9 5

14 算数の問題が分からない時は、あきらめずにいろ

いろな方法を考えますか。

7 月 70 18 4 8

12 月 70 19 8 3

15 算数の授業で問題を解く時、もっと簡単に解く方

法がないか考えますか。

7 月 55 23 14 8

12 月 57 25 13 5

・発表が得意だと感じている児童の割合が増えた。

・授業で、自分の考えを発表する機会が与えられていると感じている児童が増えた。

・文章を書くことに抵抗を感じている児童が少なくなった。

・総合的な学習の時間で学んだことが普段の生活や社会に出たときに役立つと捉えている

児童が増えた。

・自分の考えの広がりや深まりを自覚している児童が増えた。

・算数の授業で簡単に解く方法を考えようとする児童が増えた。

② 教師の見取りから

・同じ作者の作品に興味をもつなど読書への意欲が高まった。

・授業中は与えられた課題に(分からないなりにも)がんばる児童が増えた。

・協働学習を通して、友達に教えたり説明したりするのが好きになった。

・友達の意見を聞いて付け足したり、ほかの考えを言ったりすることができるようになっ

た。

・積極的に友達と交流できる子が増えた。自分と比べながら読み合うことができるように

なった。

・既習事項を活用しようという態度が見られるようになった。

・意欲的に問題を解決しようとしている。

・いろいろな考え(アイデア)が出せるようになった。

・学習の振り返りを書く時間が増えたことにより、書く量が増えた。

・振り返りの時間に一般化したような内容が児童から出てくるようになった。

・わかったことを自分の言葉でまとめようとする姿勢が見えてきた。

・実生活へのつながりを考えたり想起したりする児童が増えてきた。

(2)研究の成果

・単元のゴールイメージを示すことで、必要感をもって学習することができた。さらに、学

習したことを活用することができた。

・お話作りから、シリーズの作品に読み広げることができた。また、それぞれの作品を比較

して読む姿が見られた。(国語科)

・児童の実態に合った単元構成で意欲が高まった。

・単元構成を工夫することで、児童が既習を活用して学習することができた。

・2教科を関連させた単元を構成することによって、児童の意欲を高めることができた。

・学習の進め方(手順)を示し、くり返すことで、次の学習への見通しをもち、進んで学習

に取組もうとする姿が見られた。

・実物を見せることで意欲が高まり、問題を解決しようとする目的意識が高まった。

・協働学習の形態(ジグソー、グループ交流)を工夫することで、学習への参加意欲が高ま

り、意欲的に活動に取り組んだり自分なりの考えをもって話し合ったりする姿が見られた。

・グループのメンバーを教師側で意図的に編制することで、児童の学び合いが生まれ、より

積極的に意見を話そうとする姿が見られた。

・思考ツールや思考の流れを意識したワークシートを活用することにより、児童は見通しを

もって学習することでき、話合いの活性化につながった。

・振り返りの場面で振り返りの観点を示したことによって、自分の考えの広がりや深まりを

意識できるようになった。

・振り返りの時間に実生活との関わりを意識させることによって、学んだことと生活との関

わりについて考えるようになった。

・振り返りの時間に歴史と自分たちの生活との関わりを意識させたことにより、他人事だっ

た歴史を自分たちの住んでいる町との関連で考えるようになった。

・「総合的な学習の時間」の指導計画を改善し、探求型の学習プログラムを組んだことにより、

児童が能動的に学習するようになった。

・各教科で学習したことを意図的に関連させることで、学んだことを活用することができる

ようになった。

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(3)今後の課題

・基本的な作業の手順の説明や注意が多くなってしまうので、指示や説明を待たず、自分た

ちで実験の流れや手順を振り返り、確かめられるような掲示等があればよかった。

・協働学習の目的やどの程度まで求める(ゴールイメージ・プロセスイメージ)のかを明確

にする。

・協働学習場面(本時ではペア学習)では、話合いの観点をはっきりさせる。

・教師の意図や狙いと違った方向で話し合っていたり、グループで話し合っても深まってい

かなかったりすることがあった。また、どうしてもお客さんになってしまう児童がいる。

・自分なりの課題をもって調べようとすること。

・一つの考えが出てしまうと安心してしまい、違う考えはないかと考え続けることができな

い。

・振り返りを重視した結果,協働学習をする時間が少なくなり、学びを深めることができな

いことがあった。

・発表時に伝えたいことを上手に伝えることができなかったり、自分の思いを文章にしたと

き、読んだ人に伝わらなかったりと表現力に課題が残った。

・上位と下位との学力差があり、話し合っても一部の児童だけ話していることがあった。

― 94 ―

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(3)今後の課題

・基本的な作業の手順の説明や注意が多くなってしまうので、指示や説明を待たず、自分た

ちで実験の流れや手順を振り返り、確かめられるような掲示等があればよかった。

・協働学習の目的やどの程度まで求める(ゴールイメージ・プロセスイメージ)のかを明確

にする。

・協働学習場面(本時ではペア学習)では、話合いの観点をはっきりさせる。

・教師の意図や狙いと違った方向で話し合っていたり、グループで話し合っても深まってい

かなかったりすることがあった。また、どうしてもお客さんになってしまう児童がいる。

・自分なりの課題をもって調べようとすること。

・一つの考えが出てしまうと安心してしまい、違う考えはないかと考え続けることができな

い。

・振り返りを重視した結果,協働学習をする時間が少なくなり、学びを深めることができな

いことがあった。

・発表時に伝えたいことを上手に伝えることができなかったり、自分の思いを文章にしたと

き、読んだ人に伝わらなかったりと表現力に課題が残った。

・上位と下位との学力差があり、話し合っても一部の児童だけ話していることがあった。

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1 研究の概要

(1)研究目標

確かな学力を育てるためには、学習集団づくりと基礎・基本的事項の定着を基盤とし、習

得した知識や技能を活用する上で協働学習を取り入れる授業を行うことが有効であること

を実践的に明らかにする。

① 研究仮説

ア 習得と活用・探究の学習活動をバランスよく行えるような指導計画を工夫し、知識・

技能の活用や探究を目指した授業づくりをすれば、確かな学力が身に付くであろう。

イ 望ましい学習集団づくりを目指して、信頼関係を深めながら自分の意見を伝え、認め

合い、学び合う場面を設定し、自己や集団の考えを深めたり拡げたりする協働的な学び

を工夫すれば、活用する力が向上するであろう。

ウ 生徒の実態に応じた教材や表現活動を充実させて、習得した知識・技能を思考ツール

を用いて確認しながら課題に取り組ませると、それらを活用して日常生活に関連した課

題を解決できるようになるであろう。

(2)研究の取組

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 総合的な学習の時間では、地域を題材にして課題に気付かせ、活性化するための活動

を主体的・多面的に考えさせる。

イ 教科等では、生活の中から資料を教材化したり、擬似的な体験を通したりして、課題

を解決する方法を考えさせる。

ウ 予想や推測から現実とのギャップに気付かせて、その理由や背景を考えさせる。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 考えを整理・分析・序列化等させるための方法として思考ツールを利用する。

イ 情報を見付け出させたり、比較・提示させたりするための方法として、タブレットを

利用する。

ウ 個で考え、ペアやグループで学び合いをさせて個に返し、考えを深めさせる。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り返りの

工夫

ア 仲間同士で意見や考えを出し合い、説明する中で、自分たちの考えを整理する。

イ タブレット利用で情報や意見を視覚的に共有し、考えやプロセスを確かめる。

④ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

ア 地域の産業や伝統を知るために、体験活動や現地調査を行う。

イ 地域の良さに気付き、活性化させるための手立てを考える。

ウ 地域の人材をゲストティーチャーとして有効活用し、より深い知識を得る。

エ 地域の将来について多角的に考え、自分の夢と照らし合わせて考えをもつ。

⑤ ICTの効果的な活用方法

ア 授業の流れの中で、個人学習・グループ学習・全体学習の場面において iPad や BigPad

の役割が有効に機能するよう、ワークシートの利用と共に工夫する。

イ 学習課題を設定するための資料の提示に BigPad を用い、意欲を喚起し、関心を引き

付ける。

ウ 資料収集や活用・調査、比較検討等の個人及びグループの活動は、iPad を用い、得た

情報を示して話し合い、思考を深めたり拡げたりする。

エ 写真の機能を使って情報を送ったり、共有したりし、考えを整理して意見の発表やプ

レゼンテーションに生かす。

― 96 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

確かな学力を育てるためには、学習集団づくりと基礎・基本的事項の定着を基盤とし、習

得した知識や技能を活用する上で協働学習を取り入れる授業を行うことが有効であること

を実践的に明らかにする。

① 研究仮説

ア 習得と活用・探究の学習活動をバランスよく行えるような指導計画を工夫し、知識・

技能の活用や探究を目指した授業づくりをすれば、確かな学力が身に付くであろう。

イ 望ましい学習集団づくりを目指して、信頼関係を深めながら自分の意見を伝え、認め

合い、学び合う場面を設定し、自己や集団の考えを深めたり拡げたりする協働的な学び

を工夫すれば、活用する力が向上するであろう。

ウ 生徒の実態に応じた教材や表現活動を充実させて、習得した知識・技能を思考ツール

を用いて確認しながら課題に取り組ませると、それらを活用して日常生活に関連した課

題を解決できるようになるであろう。

(2)研究の取組

① 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識)

ア 総合的な学習の時間では、地域を題材にして課題に気付かせ、活性化するための活動

を主体的・多面的に考えさせる。

イ 教科等では、生活の中から資料を教材化したり、擬似的な体験を通したりして、課題

を解決する方法を考えさせる。

ウ 予想や推測から現実とのギャップに気付かせて、その理由や背景を考えさせる。

② 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ア 考えを整理・分析・序列化等させるための方法として思考ツールを利用する。

イ 情報を見付け出させたり、比較・提示させたりするための方法として、タブレットを

利用する。

ウ 個で考え、ペアやグループで学び合いをさせて個に返し、考えを深めさせる。

③ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り返りの

工夫

ア 仲間同士で意見や考えを出し合い、説明する中で、自分たちの考えを整理する。

イ タブレット利用で情報や意見を視覚的に共有し、考えやプロセスを確かめる。

④ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

ア 地域の産業や伝統を知るために、体験活動や現地調査を行う。

イ 地域の良さに気付き、活性化させるための手立てを考える。

ウ 地域の人材をゲストティーチャーとして有効活用し、より深い知識を得る。

エ 地域の将来について多角的に考え、自分の夢と照らし合わせて考えをもつ。

⑤ ICTの効果的な活用方法

ア 授業の流れの中で、個人学習・グループ学習・全体学習の場面において iPad や BigPad

の役割が有効に機能するよう、ワークシートの利用と共に工夫する。

イ 学習課題を設定するための資料の提示に BigPad を用い、意欲を喚起し、関心を引き

付ける。

ウ 資料収集や活用・調査、比較検討等の個人及びグループの活動は、iPad を用い、得た

情報を示して話し合い、思考を深めたり拡げたりする。

エ 写真の機能を使って情報を送ったり、共有したりし、考えを整理して意見の発表やプ

レゼンテーションに生かす。

(3)研究経過

① 1年目(平成27年度)

ア「総合的な学習の時間」探究型の授業づ

くり

イ ICT 機器の活用 ウ「総合的な学習の時間」

の授業研究

探究型の学習へリメイクする方法を

ワークショップ型研修で学び、各学年

の単元計画を見直して、探究サイクル

の中に体験活動が効果的に位置付け

られるよう作り替えた。

ICT支援員からiPadとBigPad

(電子黒板)の操作方法を学

ぶ研修を短期間に何度も行

い、教師も生徒もデータ共

有や送信の機能を使えるよ

うにした。

1学年「青森市の販売店か

ら学んだことを地元に生

かそう」、3学年「マイド

リームプランレポートを

作成しよう」と2回の授業

研究を経て、学力向上実践

事業で2学年が「ふるさと

PR 学習で地域の活性化に

ついて考えよう」の授業公

開を行った。

課題設定に力を入れ、生徒が主体的に

取り組めるような資料を探したり、提

示方法を工夫したりした。協働的な学

びの中で思考ツールを用いて学習ス

キルを身に付けさせた。

デジタルとアナログそれ

ぞれの特色を生かしなが

ら、ICT 機器に頼りすぎな

い、バランスを考えた活用

場面や方法を模索した。

地域の調査や体験活動を多くし、地域

素材や施設・ゲストティーチャー等を

活用して、事前・事後の活動を系統立

てて行った。

ICT 支援員と共に、ハイブ

リッドで効果的に授業を

つくる方法を研究した。

②2年目(平成28年度)

ア 課題を設定する

力、追究する力

イ 対話する力 ウ 活用・探究する

エ 生活や生き方を

考える力

・「パフォーマンス課題

の作り方」を研修した。

・習得したことを活用

させる見通しをもった

授業づくりを行った。

・教科や道徳、特別活

動でも思考ツールを

多用した。

・オリジナルの思考ツ

ールを作成した。

・教科書以外の多様な

資料等を教材化し、非

言語テキストを多用

した。

・学年の枠を超えた関

わりで、考えを伝えた

り、アドバイスし合っ

たりする。

・提言やプレゼンテー

ションを、保護者や地

域の方に発信した。

・家庭学習で授業を振

り返らせ、目的意識や

自己の課題を明確に

した学習内容や方法

を取り入れる。

・学習を振り返らせ、

内容を再構築して新

聞や発表等でアウト

プットさせる。

・ICT の効果的な活用

を図った。

・キャリア教育の資

質・能力を意識し、協

働的な学びから互い

の考えや特色を尊重

し合い、思考・思索を

拡げたり深めたりし

てよりよい生活や生

き方を考えさせる。

【カリキュラム・マネ

ジメント】

習得から活用そして探究へ

「総合的な学習の時間」で身に付けた資質・能力、探究的な見方・考え方を各教科等へ

・3学年総合的な学習の時間・数学で示範授業。1学年社会、2学年英語で研究授業。

公開授業は1学年社会、3学年英語、2学年総合。

校内には総合的な学習の時間の2年間の様子を紹介

講演「主体的に学ぶ力を育むための探究プロセスの在り方」関西大学教授 黒上晴夫氏

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2 各教科での実践

(1)1学年 社会科 学習指導案

①本時の題材 ヨーロッパ州の学習を振り返ろう

②本時の目標 ヨーロッパ州の国々が EU を結成している理由について、ピラミッド・チャー

トを用いて既習内容から情報を整理し、テレビのリポーターとして発表する活

動を通して、資料を適切に用い根拠を示しながら発表することができる。

③本時の指導過程

段階

教師の働きかけ 予想される生徒の反応と活動 留意点・評価

つかむ

見通す

解決する

伝え合う

深め・拡げる

1.学習課題の提示。

2.映像資料を見せる。

3.リポートのポイントを確認。

①時間は1分 30 秒程度。

②裏付ける事実を示す。

③資料を二つ以上使う。

4.リポートで伝えたいことを整

理。

5.リポートのキーワードを考え、

ピラミッド・チャートに記入し

よう。

8.全体の前で発表しよう。(1名

指名)

9.今日の学習を振り返ろう。

2.映像を見る。

3.短い時間で伝える。

図やグラフなどを見せ

る。

4.平和のため。小規模国が

多い。文化の共通性。

交通の便。技術協力。

世界での競争力。 等

5.キーワードを記入する。

(上から2段目)

8.発表の良さを見付けなが

ら聞く。

9.自分の発表へのコメント

や他の人の発表を聞い

て、気付いたことやリポ

ートに補いたいと思った

ことをワークシートに記

入する。

・単元の学習テーマを確

認する。

【ICT 活用】

・リポーターとしての意

欲を高める。

【習得型】

・学習してきたことを振

り返らせる。

【活用型】

<方法>ワークシート

<対策>整理できるよう、

ピラミッド・チャート

に矢印や補助線を引

く。

【ICT 活用】

・タブレットで資料を見

せながら発表する。

【活用型】

<方法>観察

<対策>発表が途切れな

いよう、「なぜなら」

等のつなぐ言葉を付

箋で渡す。

テレビの子どもリポーターとして、ヨーロッパ州の国々がEU

を結成している理由について、日本の子どもたちに伝えよう。

6.ペアでアドバイスし合いながら、発表の準備を進めよう。

①ピラミッド・チャートに、キーワードの詳しい内容や裏付

ける事実を記入する(上から3段目)。

②事実を示すためにふさわしい資料を配布資料から選び(4段目に記入)、伝える順番や内容を整理する。

7.班を作り、班内で全員発表しよう。

①使う資料をタブレットで表示できるよう準備する。

②順番を決めて全員発表する。聞く側はコメントする。(用い

た資料はふさわしかったか、納得できる内容だったか)

評価① 自分の考え

とその根拠としてふ

さわしい資料をピラ

ミッド・チャートに整

理できる。

評価② ヨーロッパ

州の国々がEUを結成

している理由につい

て、資料を用い根拠を

示して発表できる。

(例)日本のみなさん、こんにちは。私は今、パリに来ています。

今日はここからヨーロッパの国々がEUを結成している理由

についてお伝えします。まず、理由の一つ目は平和のためです。

この資料を見てください。・・・みなさん、ヨーロッパがなぜ

EUを結成しているか、分かりましたか。それではさようなら。

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2 各教科での実践

(1)1学年 社会科 学習指導案

①本時の題材 ヨーロッパ州の学習を振り返ろう

②本時の目標 ヨーロッパ州の国々が EU を結成している理由について、ピラミッド・チャー

トを用いて既習内容から情報を整理し、テレビのリポーターとして発表する活

動を通して、資料を適切に用い根拠を示しながら発表することができる。

③本時の指導過程

段階

教師の働きかけ 予想される生徒の反応と活動 留意点・評価

つかむ

見通す

解決する

伝え合う

深め・拡げる

1.学習課題の提示。

2.映像資料を見せる。

3.リポートのポイントを確認。

①時間は1分 30 秒程度。

②裏付ける事実を示す。

③資料を二つ以上使う。

4.リポートで伝えたいことを整

理。

5.リポートのキーワードを考え、

ピラミッド・チャートに記入し

よう。

8.全体の前で発表しよう。(1名

指名)

9.今日の学習を振り返ろう。

2.映像を見る。

3.短い時間で伝える。

図やグラフなどを見せ

る。

4.平和のため。小規模国が

多い。文化の共通性。

交通の便。技術協力。

世界での競争力。 等

5.キーワードを記入する。

(上から2段目)

8.発表の良さを見付けなが

ら聞く。

9.自分の発表へのコメント

や他の人の発表を聞い

て、気付いたことやリポ

ートに補いたいと思った

ことをワークシートに記

入する。

・単元の学習テーマを確

認する。

【ICT 活用】

・リポーターとしての意

欲を高める。

【習得型】

・学習してきたことを振

り返らせる。

【活用型】

<方法>ワークシート

<対策>整理できるよう、

ピラミッド・チャート

に矢印や補助線を引

く。

【ICT 活用】

・タブレットで資料を見

せながら発表する。

【活用型】

<方法>観察

<対策>発表が途切れな

いよう、「なぜなら」

等のつなぐ言葉を付

箋で渡す。

テレビの子どもリポーターとして、ヨーロッパ州の国々がEU

を結成している理由について、日本の子どもたちに伝えよう。

6.ペアでアドバイスし合いながら、発表の準備を進めよう。

①ピラミッド・チャートに、キーワードの詳しい内容や裏付

ける事実を記入する(上から3段目)。

②事実を示すためにふさわしい資料を配布資料から選び(4段目に記入)、伝える順番や内容を整理する。

7.班を作り、班内で全員発表しよう。

①使う資料をタブレットで表示できるよう準備する。

②順番を決めて全員発表する。聞く側はコメントする。(用い

た資料はふさわしかったか、納得できる内容だったか)

評価① 自分の考え

とその根拠としてふ

さわしい資料をピラ

ミッド・チャートに整

理できる。

評価② ヨーロッパ

州の国々がEUを結成

している理由につい

て、資料を用い根拠を

示して発表できる。

(例)日本のみなさん、こんにちは。私は今、パリに来ています。

今日はここからヨーロッパの国々がEUを結成している理由

についてお伝えします。まず、理由の一つ目は平和のためです。

この資料を見てください。・・・みなさん、ヨーロッパがなぜ

EUを結成しているか、分かりましたか。それではさようなら。

― 98 ―

【2.映像資料の提示】 【6.発表の準備(ペア活動の場面)】

【7.使う資料をタブレットで準備】

【7.班内で発表&コメント】

【ピラミッド・チャートと振り返りの記入の様子】

スタジオのキャスターが現地のリポーターを呼ぶという

場面の自作映像を見せることで、生徒はリポーターとして

の意識を高め、学習課題を自分のものとすることができた。

タブレットで資料を見せながら班内で全

員が発表した。リポーターに扮して単元の

学習内容をまとめ、発表したことで、単な

る意味理解の知識ではなく活用型の知識と

して生徒が身に付けることにつながった。

この思考ツールを用

い、情報を関連付けなが

ら多面的・多角的に考え

る思考力の向上を図っ

た。ただ、個々の発表を

どのように評価するのか

が課題として残った。

伝えたい事実の記入や発表で用いる資料の選

定は個別の活動だが、つまずいたときにアドバイ

スし合えるようペアで取り組ませた。前時までの

学習を踏まえ自分の力で取り組む生徒が多かっ

たが、不安な部分を確認することで全員が自信を

もって準備を進めることができた。また、相手の

内容を参考にしつつも、模倣せず自分なりに情報

や資料の取捨選択をしている様子が見られた。

↑「そもそもEUって何?」

「なぜたくさんの国が加盟しているの?」

― 99 ―

Page 106: 研究指定校報告書集...平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業 平成29年3月 青森県教育委員会 平成 27・ 28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

(2)3学年 英語科 学習指導案

①本時の題材 Rio to Tokyo

②本時の目標 パラリンピックについてミニプレゼンテーションを開いて終わりにするの

ではなく、内容をつかみ英語で質問したり感想を述べ合ったりすることによ

り、英語で「やり取り」を続けることができる。さらに、2020 年の東京オリ・

パラリンピックに向けて、自分の関わりや思いを英語で伝えることができる。

③本時の指導過程

教師の働きかけ 予想される生徒の反応と活動 留意点・評価

1.Warm-upペアでの1ミニッツ・チャット

テーマ:オリンピック

2.Rio to Tokyo

映像から流れる英文で目標提示。

3.Announcement of Results

4.Mini-Presentation

5.Additional Information

6.Back to the Future 2020

7.3 minutes Writing

8.Sharing Time

9.Did we clear today’s CAN-DO?

1.ペアでチャットを行う。会話が

一問一答とならないようにす

る。

2.目標の英文を字幕で音読する。

3.ALT からの発表される新聞記事

レポートコンテスト結果を聞

く。

4.1~3位のペアのスピーチをア

クティブリスニングで聞く。

5.義足の選手や、リオ・パラのボラ

ンティアの映像を見て感じたこ

とをグループで共有する。

6.7.2020 東京オリ・パラを自分が

どのように迎えているかを予想

し、30 語以上を目標に書く。

8.全体の前で発表する。

9.ALTのコメントを聞き、学習の振

り返りを行う。

【ICT 活用】

効果音をタ

イマーして

使用。

【ICT 活用】

【活用型】

評価①

発 表 に 対

す る 質 疑

応 答 が 適

切 に 行 わ

れ、やり取

り が で き

【ICT 活用】

【活用型】

評価②

3分間で

30 語以上

で書くこ

とができ

る。

<対策>

ヒントつき

プリント

見通す

つかむ

伝え合う

解決する

深め拡げる

●Today’s CAN-DO・リオ・パラリンピックについてのミニプレゼンを聞いて、質疑応答

をしよう・授業の最後に、2020 年に東京オリ・パラリンピックをどのように

迎えているかを予想し、2020 年 8 月にタイムスリップしてレポートを伝えよう。

①発表者は写真を見せて、原稿を参考にしてプレゼンを行う。②生徒司会が生徒を指名し、質問を受ける。その質問に答え、会話の

やり取りをつなげる。③ALT からの評価コメント④次の発表者と代わり①~③までを繰り返し、三人続ける。

リオパラリンピックについてのミニ・プレゼンと質疑応答で、メッセージのやり取りをすることができた。また、2020 年に向けての自分の想いを、書いたり発表したりして表現することができた。

― 100 ―

段階

― 100 ―

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(2)3学年 英語科 学習指導案

①本時の題材 Rio to Tokyo

②本時の目標 パラリンピックについてミニプレゼンテーションを開いて終わりにするの

ではなく、内容をつかみ英語で質問したり感想を述べ合ったりすることによ

り、英語で「やり取り」を続けることができる。さらに、2020年の東京オリ・

パラリンピックに向けて、自分の関わりや思いを英語で伝えることができる。

③本時の指導過程

教師の働きかけ 予想される生徒の反応と活動 留意点・評価

1.Warm-upペアでの1ミニッツ・チャット

テーマ:オリンピック

2.Rio to Tokyo

映像から流れる英文で目標提示。

3.Announcement of Results

4.Mini-Presentation

5.Additional Information

6.Back to the Future 2020

7.3 minutes Writing

8.Sharing Time

9.Did we clear today’s CAN-DO?

1.ペアでチャットを行う。会話が

一問一答とならないようにす

る。

2.目標の英文を字幕で音読する。

3.ALT からの発表される新聞記事

レポートコンテスト結果を聞

く。

4.1~3位のペアのスピーチをア

クティブリスニングで聞く。

5.義足の選手や、リオ・パラのボラ

ンティアの映像を見て感じたこ

とをグループで共有する。

6.7.2020 東京オリ・パラを自分が

どのように迎えているかを予想

し、30 語以上を目標に書く。

8.全体の前で発表する。

9.ALTのコメントを聞き、学習の振

り返りを行う。

【ICT 活用】

効果音をタ

イマーして

使用。

【ICT 活用】

【活用型】

評価①

発 表 に 対

す る 質 疑

応 答 が 適

切 に 行 わ

れ、やり取

り が で き

【ICT 活用】

【活用型】

評価②

3分間で

30 語以上

で書くこ

とができ

る。

<対策>

ヒントつき

プリント

見通す

つかむ

伝え合う

解決する

深め拡げる

●Today’s CAN-DO・リオ・パラリンピックについてのミニプレゼンを聞いて、質疑応答

をしよう・授業の最後に、2020 年に東京オリ・パラリンピックをどのように

迎えているかを予想し、2020 年 8 月にタイムスリップしてレポートを伝えよう。

①発表者は写真を見せて、原稿を参考にしてプレゼンを行う。②生徒司会が生徒を指名し、質問を受ける。その質問に答え、会話の

やり取りをつなげる。③ALT からの評価コメント④次の発表者と代わり①~③までを繰り返し、三人続ける。

リオパラリンピックについてのミニ・プレゼンと質疑応答で、メッセージのやり取りをすることができた。また、2020 年に向けての自分の想いを、書いたり発表したりして表現することができた。

― 100 ―

段階

【4.生徒の Mini-Presentation の例 】

Hello, everyone. Do you know Michishita

Misato? She is a runner who won silver medal

in Rio Paralympics. When she was in 4th grade,

she became handicapped in her right eye. When

she was 26 years old, she lost sight in both

eyes. She became blind. After that she started

running. She was expected to get Japan’s

first gold medal. In the end, her time was 3

hours 6 minutes 52 seconds. Michishita said,

“I could run my race until the end so I have

no regrets. I did my best. Many athletes got

many medals in Rio. We think their way of life

is great. So we want to live like them. Thank

you for listening.

【7.生徒の 3 minutes Writing の例】

● I’m in college now. And I’m studying with

my friends. Paralympics started. I couldn’t

watch Paralympics 4 years ago. So I want to

watch it this time. Now I’m interested in

judo. So I want to watch at the gym. (40 語)

● I’m 19. I’m now in Tokyo. I’m a college

student. I try volunteer work for Tokyo

Olympics and Paralympics. I can’t speak

English well, but I studied it hard. So I can

understand easy English. I hope Tokyo Olympics

and Paralympics will be good! (44 語)

【生徒が事前に作成した英字新聞の例】 【4.Mini-Presentation の様子】

【4.Mini-Presentation の司会】

【4.Mini-Presentation の質疑応答】

【7.3 minutes Writing の発表】

全体発表の前にグル―プ内で共有させたが、時間のことがあり、限られた生徒しか全体の前で発表させられなかった。

英語が苦手な生徒もいるため、ヒントつきコースも設定したが、多くの生徒が 30 語以上にトライするチャレンジコースを選択した。30 語に届かない生徒もいたが、頑張って書こうとしていた。

― 101 ―

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(3)2学年 総合的な学習の時間 学習指導案

①本時の題材 『地域の産業を追究する』 「アモーレ十和田湖プロジェクト」を通して、地域の活性化を考えよう

②本時の目標 十和田湖冬物語の知名度を高めるPR方法を、インターネットや資料をもと

に調べたアイディアを思考ツールを用いて推論し、かつ対象とする年代や企

画運営する立場という観点で思考ツールを用いて序列化することによって、

グループで決定し今後の学習の見通しをもたせる。

③本時の指導過程(100 分)

学習内容と学習活動 指導者のはたらきかけ 評価・留意点

15

1.PR 活動のアンケート結果を示

し、気付いたことを発表する。

「冬に観光する人が少ない」

「十和田湖冬物語の知名度低い」

2.課題を設定する

1.修学旅行先でアンケートし

て得た情報を提示して、課題

に気付かせる。

2.課題を設定する

電子黒板

(BigPad)

で活動の様子の

写真や、データ

を見せる。

25

3.グループを作り、ipadを使っ

て調べ、さらなるアイディアを収

集する。 【個人及びグループ】

PR対象の年代を 10〜30代、

40〜60代、60代以上とし、割り

振りする。

3.県外の人々に冬物語を知っ

てもらうためのアイディアを

できるだけたくさん出せるよ

う、付箋に箇条書きさせる。

40

4.個人で、上位三つのアイディア

を選択し、その理由を短冊のキャ

ンディ・チャートに書く。【個人】

5.グループ内で、序列化した個人

のキャンディ・チャートをそれぞ

れ発表し序列化する。【グループ】

6.ダイヤモンドランキングにグル

ープで考えたアイディアを整理

させる。 【グループ】

4.アイディアが実現したらど

うなるか予想しながら、ワー

クシート「キャンディ・チャー

ト」に記入させる。

5.グループ内で、キャンディ・

チャートをもとに、理由を述

べながら説明させる。

6.分類したアイディアに見出

しをつけ、ダイヤモンドラン

キングに書かせながら、序列

を確かめていく。

20

7.BigPadを使って、グループで決

定したダイヤモンドランキング

について根拠とともに、資料を用

いて発表する。

8.今日の授業を振り返る。

7.BigPadを操作して班で決め

たランキングを説明させる。

8.振り返りをさせる。

ランキングシー

トを BigPad に

映し出し、選ん

だ理由や資料を

説明する。

十和田湖冬物語を、たくさんの人に知ってもらう方法を見付けよう!

様々なPR方法のよさをお互いに伝えあい、グループで話し合うこ

とで考えが拡がり、より効果的なPR方法を考えることができた。

評価① アイ

ディアを調査

や話し合いに

よって三つ選

ぶことができ

る。

評 価② ア

イディアを、

序 列化でき

る。

― 102 ―― 102 ―

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(3)2学年 総合的な学習の時間 学習指導案

①本時の題材 『地域の産業を追究する』 「アモーレ十和田湖プロジェクト」を通して、地域の活性化を考えよう

②本時の目標 十和田湖冬物語の知名度を高めるPR方法を、インターネットや資料をもと

に調べたアイディアを思考ツールを用いて推論し、かつ対象とする年代や企

画運営する立場という観点で思考ツールを用いて序列化することによって、

グループで決定し今後の学習の見通しをもたせる。

③本時の指導過程(100 分)

学習内容と学習活動 指導者のはたらきかけ 評価・留意点

15

1.PR 活動のアンケート結果を示

し、気付いたことを発表する。

「冬に観光する人が少ない」

「十和田湖冬物語の知名度低い」

2.課題を設定する

1.修学旅行先でアンケートし

て得た情報を提示して、課題

に気付かせる。

2.課題を設定する

電子黒板

(BigPad)

で活動の様子の

写真や、データ

を見せる。

25

3.グループを作り、ipadを使っ

て調べ、さらなるアイディアを収

集する。 【個人及びグループ】

PR対象の年代を 10〜30代、

40〜60代、60代以上とし、割り

振りする。

3.県外の人々に冬物語を知っ

てもらうためのアイディアを

できるだけたくさん出せるよ

う、付箋に箇条書きさせる。

40

4.個人で、上位三つのアイディア

を選択し、その理由を短冊のキャ

ンディ・チャートに書く。【個人】

5.グループ内で、序列化した個人

のキャンディ・チャートをそれぞ

れ発表し序列化する。【グループ】

6.ダイヤモンドランキングにグル

ープで考えたアイディアを整理

させる。 【グループ】

4.アイディアが実現したらど

うなるか予想しながら、ワー

クシート「キャンディ・チャー

ト」に記入させる。

5.グループ内で、キャンディ・

チャートをもとに、理由を述

べながら説明させる。

6.分類したアイディアに見出

しをつけ、ダイヤモンドラン

キングに書かせながら、序列

を確かめていく。

20

7.BigPadを使って、グループで決

定したダイヤモンドランキング

について根拠とともに、資料を用

いて発表する。

8.今日の授業を振り返る。

7.BigPadを操作して班で決め

たランキングを説明させる。

8.振り返りをさせる。

ランキングシー

トを BigPad に

映し出し、選ん

だ理由や資料を

説明する。

十和田湖冬物語を、たくさんの人に知ってもらう方法を見付けよう!

様々なPR方法のよさをお互いに伝えあい、グループで話し合うこ

とで考えが拡がり、より効果的なPR方法を考えることができた。

評価① アイ

ディアを調査

や話し合いに

よって三つ選

ぶことができ

る。

評 価② ア

イディアを、

序 列化でき

る。

― 102 ―

【2.アンケート結果をもとに課題設定】

【4・5.アイディアをキャンディー・チャートで整理】

【7.各班のアイディアを発表】

【8.振り返りシート】

実際に修学旅行でとってきたアンケートの

集計結果から、「十和田湖の知名度が高い」

ことを知って少し安心した様子だった。しか

し、次の項目の「冬に観光したことがある」

や「十和田湖冬物語を知っている」が極端に

低いことに気付き、なぜだろう、どうすれば

いいだろうという課題を見付けて設定するこ

とができた。

県外の人々に冬物語を知ってもらうた

めのアイディアを見付けるために、イン

ターネット等を使ってグループで話し合

いながら情報を集め、付箋に書き出す。

ワークシートの「キャンディ・チャー

ト」に記入することで、自分が見付けた

アイディアを実現したらどうなるかを具

体的に予想させることができた。

グループ内で出たキャンディ・チャートを序列化しな

がらホワイトボードに貼って分類し、各アイディアに見

出しをつけ、ダイヤモンドランキングに書き出しながら

序列を確認した。根拠とともにその資料を用いて発表し

共有することができた。序列化の場面では、奇抜でいい

と思われる意見でも、少数の場合は序列が下位になって

しまうことがあったため、単純に数で順位を決定しなく

てもいいことを事前に話しておくことが必要である。

生徒が書いた振り返りシー

トの内容には、疑問から課題

を見付けてアイディアを出し、

それらを思考ツールで序列化

するなど整理する中で、根拠

が自然に出てきて話しやすか

った、という思考の流れに触

れた趣旨のものもあった。

― 103 ―― 103 ―

Page 110: 研究指定校報告書集...平成27・28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業 平成29年3月 青森県教育委員会 平成 27・ 28年度主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業

3 総合的な学習の時間での実践

(1)2学年 単元指導計画

① 単元の目標

「アモーレ十和田湖プロジェクト」を通して、地域の産業の特徴や郷土愛を抱いて活動

する人々の思いを探究し、地域活性化のためによりよく課題を解決する態度や自己の生き

方を考えようとする態度を育成する。

② 単元計画

探究のプロセス 主 な 学 習 活 動 【思考ツール】

ふるさと発見

課題の設定アモーレ十和田湖プロジェクト 〜地域現状把握編〜 【イメージマップ】

・青森県と十和田市の魅力について考える。 【くま手チャート】

情報の収集〜十和田湖再考編〜 【データチャート】【PMI】

・十和田湖の現状を調査し、他の湖と比較して特徴を捉える。

整理・分析〜郷土愛探究編〜 【おしゃべりビレッジ(一中オリジナル)】

・どんな十和田湖になってほしいか、願いや思いを出し合う。

情報の収集

整理・分析

〜調査編〜

・奥入瀬渓流と十和田湖についてホテルや商店の人にインタビュー。

・ひめます養殖場、JA全農あおもり、道の駅、上北農産加工組合訪問

整理・分析

まとめ・表現

〜調査学習まとめ編〜 【マトリックス】

・調査をまとめ、PRポイントを整理し、各種動画からPRの観点を学ぶ。

十和田湖PR活動

整理・分析

まとめ・表現

〜ポケットティッシュ・ ポスター作成編〜

・特徴などを基に、ポケットティッシュ・ポスターを作成。

整理・分析

まとめ・表現

〜 活動の練習とポケットティッシュ・ ポスター完成編〜

・学校内でPR活動を行い、そのときのアドバイスを基に仕上げる。

まとめ・表現

情報の収集

〜 PR

PR

PR

PR PR

活動の実践〜

・東京都内アンテナショップ3店で十和田湖のPR活動を行い、アンケー

調査などで十和田湖の知名度や冬の観光についての考えをつかむ。

整理・分析

まとめ・表現

〜 活動のまとめ〜

・東京でのPR活動やアンケートなどの反省をまとめてプレゼンする。

十和田湖冬物語

課題の設定

アモーレ十和田湖プロジェクト 〜十和田湖冬物語編〜

・アンケートの結果から課題点を把握し、十和田湖への通年の集客を図る

ためのアイディアを出す。 【キャンディ・チャート】

情報の収集

整理・分析

〜調査編〜 【ダイヤモンドランキング】

・インターネット、ゲストティーチャーからアイディアの観点をつかむ。

まとめ・表現〜十和田湖冬物語まとめ編〜

・十和田湖PRのアイディアをプレゼンし、ゲストティーチャーに届ける。

立志式

課題の設定

情報の収集

整理・分析

~活性化計画編~

・地域活性化のため活動している事例を参考にしながら、将来の生き方及

び十和田市活性化のアイディアについて考える。

整理・分析

まとめ・表現

~立志編~

・5年後・10 年後どんな思いをもって生きていたいか考えて、自分自身に

ついて見つめ直し、立志式のスピーチの内容を考える。

まとめ・表現

~立志式編~

・立志式で自分の生き方について考え、将来の生き方の提言をまとめる。

その内容を市の企画の参考にしてもらうために、十和田市に提言する。

― 104 ―― 104 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)2学年 単元指導計画

① 単元の目標

「アモーレ十和田湖プロジェクト」を通して、地域の産業の特徴や郷土愛を抱いて活動

する人々の思いを探究し、地域活性化のためによりよく課題を解決する態度や自己の生き

方を考えようとする態度を育成する。

② 単元計画

探究のプロセス 主 な 学 習 活 動 【思考ツール】

ふるさと発見

課題の設定アモーレ十和田湖プロジェクト 〜地域現状把握編〜 【イメージマップ】

・青森県と十和田市の魅力について考える。 【くま手チャート】

情報の収集〜十和田湖再考編〜 【データチャート】【PMI】

・十和田湖の現状を調査し、他の湖と比較して特徴を捉える。

整理・分析〜郷土愛探究編〜 【おしゃべりビレッジ(一中オリジナル)】

・どんな十和田湖になってほしいか、願いや思いを出し合う。

情報の収集

整理・分析

〜調査編〜

・奥入瀬渓流と十和田湖についてホテルや商店の人にインタビュー。

・ひめます養殖場、JA全農あおもり、道の駅、上北農産加工組合訪問

整理・分析

まとめ・表現

〜調査学習まとめ編〜 【マトリックス】

・調査をまとめ、PRポイントを整理し、各種動画からPRの観点を学ぶ。

十和田湖PR活動

整理・分析

まとめ・表現

〜ポケットティッシュ・ ポスター作成編〜

・特徴などを基に、ポケットティッシュ・ポスターを作成。

整理・分析

まとめ・表現

〜 活動の練習とポケットティッシュ・ ポスター完成編〜

・学校内でPR活動を行い、そのときのアドバイスを基に仕上げる。

まとめ・表現

情報の収集

〜 PR

PR

PR

PR PR

活動の実践〜

・東京都内アンテナショップ3店で十和田湖のPR活動を行い、アンケー

調査などで十和田湖の知名度や冬の観光についての考えをつかむ。

整理・分析

まとめ・表現

〜 活動のまとめ〜

・東京でのPR活動やアンケートなどの反省をまとめてプレゼンする。

十和田湖冬物語

課題の設定

アモーレ十和田湖プロジェクト 〜十和田湖冬物語編〜

・アンケートの結果から課題点を把握し、十和田湖への通年の集客を図る

ためのアイディアを出す。 【キャンディ・チャート】

情報の収集

整理・分析

〜調査編〜 【ダイヤモンドランキング】

・インターネット、ゲストティーチャーからアイディアの観点をつかむ。

まとめ・表現〜十和田湖冬物語まとめ編〜

・十和田湖PRのアイディアをプレゼンし、ゲストティーチャーに届ける。

立志式

課題の設定

情報の収集

整理・分析

~活性化計画編~

・地域活性化のため活動している事例を参考にしながら、将来の生き方及

び十和田市活性化のアイディアについて考える。

整理・分析

まとめ・表現

~立志編~

・5年後・10 年後どんな思いをもって生きていたいか考えて、自分自身に

ついて見つめ直し、立志式のスピーチの内容を考える。

まとめ・表現

~立志式編~

・立志式で自分の生き方について考え、将来の生き方の提言をまとめる。

その内容を市の企画の参考にしてもらうために、十和田市に提言する。

― 104 ―

【おしゃべりビレッジ

ア ふるさと発見 (一中オリジナル)】

イ 十和田湖PR活動

【ポスター改善活動】

【修学旅行でPR】

ウ 十和田湖冬物語 【冬物語PR活動課題設定】

【アイディア発見】

【アイディア発表】

エ 立志式

青森県や十和田市のイメージが自分たちの思っていたものと違ったこと

から、“なぜだろう“と課題を設定した。どんなことが良く、どんなことが

悪く影響しているのか、まずはふるさとの良さを知るところから始めよう

と考え、「アモーレ十和田湖プロジェクト」がスタートした。最終的に十和

田湖を盛り上げて活性化させるために、自分がどのように関われば良いの

かを考えることができるようにすることを目標に活動をすすめた。

ふるさとの基本的な情報を基に、良さや特

徴を見付け出し、PR用にポケットティッシュ

とポスターを作成した。途中、話合いや、PR

練習の中で改善点を見付け、手直しをしなが

ら完成させることができた。

実際のPR活動場面で使用するアンケート内

容なども考えて本番に臨み、十和田湖に対す

る客観的な見方を知ることができた。

PR活動でとったアンケートの集計は、十和田湖

を知っている割合は高いが、冬物語を知っている割

合がかなり低いことは予想と違う結果だった。

そこで「どうしてだろう」、「どうすればいいだろ

う」という課題が生まれ、冬物語をPRして活性化さ

せようというスタンスで向かうことになった。

ゲストティーチャーなどからも情報を得て、自分

たちのアイディアを発表した。

地域を活性化するために、自分がどのように関わることができるのかを考えることで、将

来の自分の生き方も考えることができた。また、自分たちが考えたことをこれからの十和田

市の市政の参考にしてもらうために、提言集を発表し、提出した。

ウ.十和田湖冬 物 語

エ.立志式

イ.十和田湖PR活動

ア.ふるさと発 見

③ 単元の探究プロセス

― 105 ―― 105 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 習得型の学習

数研式 CRTにおいて、3学年と高校1年の1年次及び2年次の変化をあげる。

5教科の得点率を全国比で表したもので、左側が高校1年、右側が3学年の数値である。

〈考察〉高校1年は1年次から2年次において数学以外の4教科で数値が下がっている。

一方3学年は、学力的に高いとは言えないが、5教科全てにおいて伸びているこ

とがわかる。3学年は活用・探究型の学習を2年間行った成果だと考えられる。

② 活用型の学習 (全国学力学習状況調査より)

ア 国語 B 問題 正答率 ※下段は記述問題の正答率

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 54.3 52.0 54.0

現高校2年 45.7 44.8 41.0

平成 27年度 74.0↑ 64.8 65.8

現高校1年 49.0↑ 35.9 36.7

平成 28年度 67.6 65.5 66.5

3学年 62.3 59.3 58.3

イ 数学 B 問題 正答率 ※下段は記述問題の正答率

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 67.6 60.7 59.8

現高校2年 50.0 45.0 44.8

平成 27年度 42.7 39.8 41.6

現高校1年 41.1 32.8 34.8

平成 28年度 53.9↑ 44.7 44.1

3学年 43.5↑ 33.6 33.4

〈考察〉「主として国語の活用に関する問題」及び「主として数学の活用に関する問題」

に対しては近年、県や全国の正答率を上回っている。さらに記述問題での正答

率も県や全国を上回っており、課題解決のための自分の考えを導き出しながら、

設問に対して記述できていると言える。

― 106 ―

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 習得型の学習

数研式 CRTにおいて、3学年と高校1年の1年次及び2年次の変化をあげる。

5教科の得点率を全国比で表したもので、左側が高校1年、右側が3学年の数値である。

〈考察〉高校1年は1年次から2年次において数学以外の4教科で数値が下がっている。

一方3学年は、学力的に高いとは言えないが、5教科全てにおいて伸びているこ

とがわかる。3学年は活用・探究型の学習を2年間行った成果だと考えられる。

② 活用型の学習 (全国学力学習状況調査より)

ア 国語 B 問題 正答率 ※下段は記述問題の正答率

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 54.3 52.0 54.0

現高校2年 45.7 44.8 41.0

平成 27年度 74.0↑ 64.8 65.8

現高校1年 49.0↑ 35.9 36.7

平成 28年度 67.6 65.5 66.5

3学年 62.3 59.3 58.3

イ 数学 B 問題 正答率 ※下段は記述問題の正答率

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 67.6 60.7 59.8

現高校2年 50.0 45.0 44.8

平成 27年度 42.7 39.8 41.6

現高校1年 41.1 32.8 34.8

平成 28年度 53.9↑ 44.7 44.1

3学年 43.5↑ 33.6 33.4

〈考察〉「主として国語の活用に関する問題」及び「主として数学の活用に関する問題」

に対しては近年、県や全国の正答率を上回っている。さらに記述問題での正答

率も県や全国を上回っており、課題解決のための自分の考えを導き出しながら、

設問に対して記述できていると言える。

③ 家で自分で計画を立てて勉強していますか。(当てはまる・どちらかと言えば当てはまる

の合計)

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 48.6 45.9 46.6

平成 27年度 55.7 48.3 48.8

平成 28年度 78.2↑ 47.8 48.4

④ 「総合的な学習の時間」では、自分で課題を立てて情報を集め整理して、調べたことを

発表するなどの学習活動に取り組んでいますか。

本 校 青森県 全 国

平成 26年度 57.2 59.6 54.8

平成 27年度 56.3 62.4 58.0

平成 28年度 78.2↑ 62.1 57.7

⑤ 2年生の時に受けた授業では、学級やグループの中で自分たちで課題を立てて、その課

題に向けて情報を集め、話し合いながら整理して、発表するなどの学習活動に取り組んで

いたと思いますか。

本 校 青森県 全 国

平成 27年度 71.9 68.4 65.7

平成 28年度 82.6↑ 72.6 69.3

〈考察〉3年前から活用型授業への取組、そして昨年度より探究型の「総合的な学習の

時間」を展開し始めたことから、課題設定や情報収集・話合い・発表の流れを

踏まえた授業が行われている。話し合う活動を日常的に行うことによって、じ

っくり話を聞きながら考えを生かしたり、まとめたり、深めたりすることを効

果的に行うことができていることがわかる。家庭学習では目的意識や見通しを

もって計画的に行えるようになってきた。

(2)研究の成果

① 知的好奇心の高まり

ア 教科の学習内容や教科書にとどまらず、学校全体でいろいろな話題や資料を提示し、

多面的・多角的に学習を展開させた。

イ 教師がアンテナを張り巡らせ、生徒に付けさせたい資質や能力を理解した上で新聞学

習などで話題や情報を提供した。お互いの話題や教材がリンクしているからこそ、生徒

にとって点が線になり、面になって、知的好奇心を揺さぶったり、主体的に学ぶ意欲を

育てたりしている。

ウ 「総合的な学習の時間」におけるキャリア発達課題への取組は、将来の生き方を考え

る上で効果的な内容となっている。

② 探究サイクルの定着

ア 「総合的な学習の時間」で身に付けた学習スキルや探究型学習の考え方や方法は、各

教科や道徳、特別活動にも波及してきた。学び方を学んだ上にどのように日常で発揮さ

せるかということを生徒たちは体得している。

イ 課題を設定し、情報を収集したらそれを整理・分析してまとめたり表現したりすると

いう流れは、いろいろな教科で取り入れている。

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③ 協働的な学びの日常化

ア 生徒集団の雰囲気が良く、学習規律が身に付いているので、どのような場面でも学び

合いが成り立ち、節度をもって個から小集団に移行でき、個に戻って全体でまとめると

いった展開が自然にできる。

イ 生徒が自分たちで課題や方法を見付け出したり、考え出したり、グループで折り合い

を付けたりし、協調性が高まってきている。グループディスカッションや発表・プレゼ

ンテーション能力も付いてきた。

④ 思考スキルと思考ツールの定着と整理

ア 生徒に身に付けさせたい資質・能力を「総合的な学習の時間」を中心にしてキャリア

発達課題から整理することができた。これからの時代を生きていくために必要な技能や

能力を思考ツールの活用によって類型化しながら提示し、身に付けさせることができた。

イ 様々な思考ツールをいろいろな場面で試し、使いこなせるようになってきた。さらに、

教師が与えなくてもメモ用紙のように図や表を書き、考えを整理したり、視覚化したり

して整理・分析に生かす姿も見られる。

⑤ 活用型授業の効果

ア 地域のいろいろな話題に触れ、ゲストティーチャーも盛んに導入しているため、自分

と社会を結び付けて考えるようになってきた。また、ふるさとをテーマに「総合的な学

習の時間」の単元学習を行っているので、郷土愛が育まれてきた。

イ 教科書を離れ、身近な生活や社会を題材にする活動が増えている。その際、教科の内

容や発展教材の話題を職員同士が共有し合うようになり、活用型の題材を自然に取り入

れるムードが高まってきた。

ウ 教科で習得したことを「総合」に、「総合」で付けた力を教科の活用型学習にといった

相互作用が出ており、思考・判断・表現の力を身に付ける機会が増えている。

⑥ ICT機器の活用

ア 支援員の指導の下、iPadや BigPadの活用により、調査や情報収集・共有・発表をス

ピーディーに行えるようになった。簡便さ・利便性、視覚的にも有効であり、スマート

フォンの時代にはタブレットの操作は欠かせないものである。

イ 授業展開の中で効果的な場面に絞って利用すれば良いと言うことが実証されたため、

更なる利用方法を探る姿が増えた。

(3)今後の課題

① 課題設定の難しさ・活用型の問題開発・パフォーマンス課題と評価

② 気付きのある資料・題材の準備

③ 更なる思考ツールへの取組と開発

④ 教科学習と「総合的な学習の時間」の関連付け・必然性

⑤ 考えの深まりと拡がりのある授業展開

⑥ まとめ・表現、振り返りの経験不足の改善

⑦ キャリア発達課題を核としたカリキュラム・マネジメント

⑧ iPadと BigPadがなくなった状態での学習方法の変更や、別の ICT機器の試行

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③ 協働的な学びの日常化

ア 生徒集団の雰囲気が良く、学習規律が身に付いているので、どのような場面でも学び

合いが成り立ち、節度をもって個から小集団に移行でき、個に戻って全体でまとめると

いった展開が自然にできる。

イ 生徒が自分たちで課題や方法を見付け出したり、考え出したり、グループで折り合い

を付けたりし、協調性が高まってきている。グループディスカッションや発表・プレゼ

ンテーション能力も付いてきた。

④ 思考スキルと思考ツールの定着と整理

ア 生徒に身に付けさせたい資質・能力を「総合的な学習の時間」を中心にしてキャリア

発達課題から整理することができた。これからの時代を生きていくために必要な技能や

能力を思考ツールの活用によって類型化しながら提示し、身に付けさせることができた。

イ 様々な思考ツールをいろいろな場面で試し、使いこなせるようになってきた。さらに、

教師が与えなくてもメモ用紙のように図や表を書き、考えを整理したり、視覚化したり

して整理・分析に生かす姿も見られる。

⑤ 活用型授業の効果

ア 地域のいろいろな話題に触れ、ゲストティーチャーも盛んに導入しているため、自分

と社会を結び付けて考えるようになってきた。また、ふるさとをテーマに「総合的な学

習の時間」の単元学習を行っているので、郷土愛が育まれてきた。

イ 教科書を離れ、身近な生活や社会を題材にする活動が増えている。その際、教科の内

容や発展教材の話題を職員同士が共有し合うようになり、活用型の題材を自然に取り入

れるムードが高まってきた。

ウ 教科で習得したことを「総合」に、「総合」で付けた力を教科の活用型学習にといった

相互作用が出ており、思考・判断・表現の力を身に付ける機会が増えている。

⑥ ICT機器の活用

ア 支援員の指導の下、iPadや BigPadの活用により、調査や情報収集・共有・発表をス

ピーディーに行えるようになった。簡便さ・利便性、視覚的にも有効であり、スマート

フォンの時代にはタブレットの操作は欠かせないものである。

イ 授業展開の中で効果的な場面に絞って利用すれば良いと言うことが実証されたため、

更なる利用方法を探る姿が増えた。

(3)今後の課題

① 課題設定の難しさ・活用型の問題開発・パフォーマンス課題と評価

② 気付きのある資料・題材の準備

③ 更なる思考ツールへの取組と開発

④ 教科学習と「総合的な学習の時間」の関連付け・必然性

⑤ 考えの深まりと拡がりのある授業展開

⑥ まとめ・表現、振り返りの経験不足の改善

⑦ キャリア発達課題を核としたカリキュラム・マネジメント

⑧ iPadと BigPadがなくなった状態での学習方法の変更や、別の ICT機器の試行

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1 研究の概要

(1)研究目標

「自ら学び、共に学ぶ」環境(※)を適切に整え、授業を行っていくことで、児童一人一

人に主体的に学ぶ力が育っていくことを授業実践を通して明らかにしていく。

(※) ①人的環境…児童と児童、児童と教師の学び合い活動

②物的環境…授業のデザイン(焦点化・視覚化・共有化)

(2)研究の取組

① 研究内容

ア 課題が児童のものとなるような工夫

・算数科…学習した知識や技能を活用できるような課題。

・総合的な学習の時間…体験活動や各教科で身に付けた知識や技能を活用できるような

課題。

イ 課題を協働的に解決する場面設定の工夫

・自力解決(文字言語を中心とした個別的探究)

・学び合い活動(音声言語を中心とした協働的探究)

ウ 学習した内容や方法、気付き等を児童が自覚し、定着させるためのまとめと振り返り

の工夫

エ 総合的な学習の時間における探究的な学習プログラムの実践

(課題設定 → 情報収集 → 整理・分析 → まとめ・表現)

・提案授業は、「課題設定」・「まとめ・表現→新たな課題」の場面で実施。

② 研究の進め方

ア 研究は学年部会を主体とし、学年研究計画にそって、日常の授業実践及び、全学級で

公開授業を行い、仮説の検証を行う。

イ 1、2、4、5学年は算数部会、3、6学年は総合的な学習の時間部会とする。

ウ 研究協議会は、児童の様子から提案内容についての議論を、まず学年ごとに行い、そ

の後、全体で成果と課題を明らかにしていく。

エ 学年に応じて、TTと連携したり、少人数に分けたりして、個に応じた指導を行う。

(算数における少人数指導は5、6学年で実施。)

③ 検証方法

ア 研究内容については、検証授業・協議をもとに、日常の授業に反映させる。

イ 児童の変容を把握する方法

・単元での変容

実態調査 → 単元の学習(児童の発言、ノート、まとめ、振り返り)→ 評価テスト

・年間を通しての変容

児童の意識調査

DRT学力調査

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(3)研究経過

① 平成27年度

月 日 主 な 内 容 備 考

5月13日(水) 一般研修「総合的な学習」 講師招聘

『総合的な学習の時間に今、求められている力』

6月 3日(水) 提案授業協議会①6年2組

「分数÷分数」

7月 1日(水) 提案授業協議会②2年2組 中野教授来校

「数のしくみをしらべよう」

8月 3日(月) 一般研修「特別支援教育1」 講師招聘

9月 2日(水) 提案授業協議会③3年1組 中野教授来校

「分数」

10月21日(水) 提案授業協議会④4年3組 公開授業 中野教授来校

「計算のじゅんじょを調べよう」

11月18日(水) 提案授業協議会⑤5年1組

「約数と公約数」

② 平成28年度

月 日 主 な 内 容 備 考

5月27日(金) 一般研修 「特別支援教育2」 講師招聘

6月22日(水) 提案授業協議会①3年4組

総合「かさまい館へ行こう」

8月19日(金) 一般研修「特別支援教育3」 講師招聘

9月 9日(金) 提案授業協議会②2年2組 中野教授来校

算数「 たし算のひっ算 」

10月19日(水) 提案授業協議会③1年1組

算数「たしざん」

11月24日(木) 学力向上推進実践事業発表会④⑤ 一般授業(全学級)

5年3組 算数「割合」 集中授業(2つの学年)

6年1組2組合同 総合「下北ジオパーク」 中野教授来校

12月 7日(水) 提案授業協議会⑥4年2組

算数「かわりかた」

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2 各教科での実践(1)4学年 算数科 学習指導案

①本時の題材 計算の順じょを調べよう(6/6)②本時のねらい 長方形に並んでいない○の総数を求めるために、立式した意味を説

明し合う活動を通して、簡潔に表すことのよさに気付き、自分で答えを導き出すことができる。 (数学的な考え方、技能)

③本時の学習過程段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項等

1 学習素材をつかむ右の図のように ○がならべられています。 ・ワークシート配布。

導 一つの式で ○の数を求めましょう。 ◎ホワイトボードに入 貼った半具体物を

提示する。

5分 2 学習課題をつくる

長方形に並んでいない○の数を1つの式に表して求めるには、どうしたらよいのだろう。

3 自力解決をする ◎自力解決できない○考え方や理由なども書きま ・ワークシートへ書き込みな 児童には、前時で

しょう。 がら、立てた式の理由を考 学習した長方形をえる。 見付けさせる。

4 グループでの学び合い活動 【グループでの学び合い】 ※評価○友だちと意見を交流しまし ①友達が分かるようにワーク ・友達に分かるよう

ょう。 シートを利用して説明する。 に色を変えるなど②言葉足らずの説明に付け足し して、線で囲む。

する。展 ③間違いをなんとか直してあげ開 ようとする。

④友達の良いところをメモする。

35 5 全体での学び合い活動分 ○発表しましょう。 ア 2のまとまり。 ・図をもとに自分の

イ 3のまとまり。 考えと式を説明すウ 三角形とたてのまとまり。 る。エ ななめのまとまり。オ 全体から部分を引く。カ 移動する。

○みんなの意見の共通点を見 ・まとまりが何個と考えてい ・自分がよいと思っ付けよう。 るところ。 た考えに、名札を

○違うところはどこでしょ ・付け足しをして大きなまと 貼らせる。う。 まりと見て、付け足した部 ・できるだけ同じ数

分を引いて求めている。 で同じ形のまとま・移動させて、形を整えてい りを考えればよいるところ。 ことを押さえる。

6 適用問題をする○自分でよいと思った考え方 ※評価

で練習問題を解きましょう。整理 7 まとめる

○今日、分かったことをまとめましょう。

10 一つの式に表して求めるには、 ・児童の言葉でまと分 ①同じ形のまとまりを考える。 められるようにす

②全体から足した部分を引く。 る。

③○を移動させる。

― 112 ―― 112 ―

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【グループでの学び合いの様子】

そろばんの珠のような形に並んでいる○の総数を一つの式に表して求めるという問題。「縦、横、斜めに見る」「並び方の規則性」「まとまりを線で囲む」「移動する」「全体から部分をとる」といった既習を活用し、多様な見方や考え方ができる問題である。

ワークシートがわたると、どの児童も「まとまり」を意識して線で囲み、意欲的に課題に向かっていた。また、「一つの式に表す」という課題を設定することで、「計算のきまり」での学習を生かして取り組んでいた。

【板書】

自力解決の後、自分の考えを深めたり広げたりするためにグループでの学び合い活動を取り入れた。【グループでの学び合い】という活動のねらいを示すことで、何をすればいいのかが押さえられ、話合いの中で多様な考えに触れたり、修正したりすることができていた。

また、グループの話合いの様子を教師が巡回し、うまく進まないグループには適切なアドバイスを行っていた。

自分の考えを自由に話せる雰囲気ができていて、ふだんからの積み重ねと学級経営が大切で 【ワークシートの記述】あることを再認識した。

全体での学び合い活動では、同じ考えになら

ないように教師が指名した児童が発表を行っ

た。(いくつかのまとまりを作る、全体から部

分を引く、移動する)

しかし、まとまりを作る考え方が多様だった

ため、「移動させてまとまりを作る」よさや

「長方形を作って、補足した部分を引く」とい

った考え方のよさまで触れることができなかっ

た。

ここでは、自分の考えたやり方以外のよさを

知り、練習問題では、その形に合ったやり方で

解いてみるということが必要だったのではない

かと考える。

― 113 ―― 113 ―

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(2)5学年 算数科 学習指導案

①本時の題材 割合(11/11)

②本時のねらい 様々なパンの値引き後の代金を比較する活動を通して、定価の変化にとも

なって割引額が変化していくことに気付き、割合を活用した買い物のしかた

を考えることができる。(数学的な考え方)

③本時の学習過程

段階 教師の働きかけ 予想される児童の反応 指導上の留意事項等

1 学習素材の提示

○みやののパン屋さんに行ってパンを1個買います。 ・問題がイメージしやすい

・あんぱん ・メロンパン ・カレーパン ようにパンの写真を掲

導 100 円 150 円 200 円 示し視覚化を図る。

入 ○2種類のサービス券を持っています。 【視覚化】

1個のパンの買い物で1枚しか使うことはできません。

5 A 全品20%引き B 全品30円引き

2 学習課題を把握する

お得にパンを買うには、どちらのサービス券を使

えばよいのだろう。

3 予想する ・割引券だからAの券。

4 自力解決をする ・あんぱんはB。 ※評価(ノート)

・メロンパンはA、B。 ◎困っている児童には、虫

・カレーパンはA。 食いの数直線図を配付し

展 5 全体での学び合い活動 て考えさせる。

開 ○友達の書いた式や計算を説明しま ・考えを発表用紙に書かせ

しょう。 て黒板に掲示し、表に整

35 ○表から気付いたことは何ですか。 ・150 円のときは同じ 理させながら視覚に訴え

分 ○本当に 150 円より安いとBの券 代金になる。 られるように板書を工夫

がお得になるのでしょうか。 ・Aの券は 20 円、30 する。 【視覚化】

(90円と250円の場合を考え 円、40 円引きと値段 ・児童のつぶやきをひろい

させる) が高くなるほど、お ながら値段と値引き額を

得になっている。 比較していく。【共有化】

6 まとめる ※評価(ノート)

○よりお得にパンを買うには、どう ・高い物を買うときは ・児童の気付きをもとにま

すればよいのでしょうか。気付い 割引券を使うとお得。 とめる。

たことをノートに書きましょう。

金額が 150 円より低いときはBの値引き券で、金額整

理150 円より高いときはAの割引券を使うとよい。割引

  券は値段が高いほどお得になる。

7 振り返る10 ・学習後に各自が振り返

分 8 練習問題 る場面を設定し、本時

○もう1枚サービス券をもらいま の学習内容に関する事

した。メロンパンを3個買うと や感想を記入、発表さ

きはAの券とCの券、どちらが せる。

お得になるでしょう。

C 3個以上買うと合計金額

から100円引き

― 114 ―― 114 ―

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【パンの写真やサービス券を提示している様子】

導入では、問題がイメージしやすいように

学区内にあるパン屋さんのパンの写真を掲示

した。それによって、課題に興味をもち集中

して取り組むことができた。課題を十分に把

握させるためにサービス券や写真を提示した

ことは、焦点化、視覚化を図る上で有効だった。

個での自力解決では、数直線図を書けずに戸

惑っている児童に補助シートを配付し、考えを 【他者説明やペアトークをしている様子】

書き表せるようにした。

しかし、補助シートが有効だった児童と、自

分が考えていた事と違い、混乱してしまった児

童とがいたため、個人差に対応した自力解決の

させ方や、補助シートの中身の吟味が必要であ

る。

普段から自然な形で学び合いを取り入れてき

た事で、自信が持てない児童も安心して学びに

参加できていた。また、表現の方法として他者

説明を定着させていく事は、お互いの考えを共

有する事につながっていた。

十分な時間が確保できないと教師主導になり

がちだが、ペアトークなど小さな話合いを取り

入れながら課題解決に向かわせたい。

【振り返りのノートの記述】

児童のつぶやき等、思考の流れが分かる内容

を黒板に残す事で、個人でまとめを書くヒント

になった。

しかし、児童の理解や必要な言葉が書かれて

いるかを知るために、毎時間ノートを回収し、

個別に指導を加える必要がある。

振り返りの記述から、割合を活用した買い物

の仕方を考え、お得にパンを買いたいとの記述

が多く見られた。

― 115 ―― 115 ―

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3 総合的学習の時間での実践

(1)6学年 総合的な学習の時間 指導計画

①題材 下北ジオパーク

②単元の目標 ・「下北ジオパーク構想」を多面的にとらえ、自分にできることを考えなが

ら、下北のひと・もの・ことに積極的に関わり、体験活動を通して得た情

報を分類、整理、順序付け、再構成し、下北のよい所を自分なりに表現す

ることができる。(学習方法に関すること)

・下北のよさについて語合い、表現する活動を通して、下北に対して愛着

と誇りをもつことができる。(自分自身に関すること)

・郷土を見つめ直し、友達や家族と共に下北のよさについて語り合ったり、

味わったり、そのよさを広く伝えていこうとする心を育てる。(他者や社

会との関わり)

③単元の指導過程

小単元名(時数) 主な学習活動 〇評価方法

1 「下北ジオパーク

構想」って何?

(3時間)

〇「下北ジオパーク構想」について知っていることを

話し合う。

〇「下北ジオパーク構想」について調べる。

観察、振り返り

カード・ノート

2 「下北ジオパー

ク認定」のために、

自分たちにできる

ことを考えよう。

(3時間)

〇むつ市ジオパーク推進室の方のお話を聞く。

〇「下北ジオパーク認定」のために、自分たちにでき

ることを考える。

観察、振り返り

カード・ノー

ト・ウェビン

グ・短冊等

3 「下北のジオサイ

ト」を調べよう。

(30時間)

〇地質や歴史について学ぶ。

〇ジオサイトを見学する。

〇体験から得た情報をカードに表し、整理・分析しな

がら、新たな課題に気付く。

観察、振り返り

カード・ノー

ト・ウェビン

グ・短冊等

4 修学旅行で「下北

ジオパーク」を PR

しよう。(9時間)

〇修学旅行3日目の自主研修で、函館の人に「下北

ジオパーク」をPRする。

観察、振り返り

カード・パンフ

レット・名刺等

5 修学旅行報告会

をやろう。(6時間)

〇これまで調べたことや活動してきたことを発表す

る。(保護者や下学年へ)

観察、振り返り

カード

6 これまでの活動

を振り返ろう。

(7時間)

○認定の可否を受け、今後の下北に必要だと思うこと

を、自分なりのテーマで新聞にまとめる。

〇自分の作成した新聞をもとに、グループごとに意見

交換をする。

観察、ノート・

新聞等

7 むつ市へ自分た

ちの意見を提言し

よう。(2時間)

〇むつ市長を招き、自分たちの考えを発表する。

〇前時を振り返り、ゲストティーチャーへお礼の手紙

を書く。

観察、振り返り

カード・手紙

― 116 ―― 116 ―

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3 総合的学習の時間での実践

(1)6学年 総合的な学習の時間 指導計画

①題材 下北ジオパーク

②単元の目標 ・「下北ジオパーク構想」を多面的にとらえ、自分にできることを考えなが

ら、下北のひと・もの・ことに積極的に関わり、体験活動を通して得た情

報を分類、整理、順序付け、再構成し、下北のよい所を自分なりに表現す

ることができる。(学習方法に関すること)

・下北のよさについて語合い、表現する活動を通して、下北に対して愛着

と誇りをもつことができる。(自分自身に関すること)

・郷土を見つめ直し、友達や家族と共に下北のよさについて語り合ったり、

味わったり、そのよさを広く伝えていこうとする心を育てる。(他者や社

会との関わり)

③単元の指導過程

小単元名(時数) 主な学習活動 〇評価方法

1 「下北ジオパーク

構想」って何?

(3時間)

〇「下北ジオパーク構想」について知っていることを

話し合う。

〇「下北ジオパーク構想」について調べる。

観察、振り返り

カード・ノート

2 「下北ジオパー

ク認定」のために、

自分たちにできる

ことを考えよう。

(3時間)

〇むつ市ジオパーク推進室の方のお話を聞く。

〇「下北ジオパーク認定」のために、自分たちにでき

ることを考える。

観察、振り返り

カード・ノー

ト・ウェビン

グ・短冊等

3 「下北のジオサイ

ト」を調べよう。

(30時間)

〇地質や歴史について学ぶ。

〇ジオサイトを見学する。

〇体験から得た情報をカードに表し、整理・分析しな

がら、新たな課題に気付く。

観察、振り返り

カード・ノー

ト・ウェビン

グ・短冊等

4 修学旅行で「下北

ジオパーク」を PR

しよう。(9時間)

〇修学旅行3日目の自主研修で、函館の人に「下北

ジオパーク」をPRする。

観察、振り返り

カード・パンフ

レット・名刺等

5 修学旅行報告会

をやろう。(6時間)

〇これまで調べたことや活動してきたことを発表す

る。(保護者や下学年へ)

観察、振り返り

カード

6 これまでの活動

を振り返ろう。

(7時間)

○認定の可否を受け、今後の下北に必要だと思うこと

を、自分なりのテーマで新聞にまとめる。

〇自分の作成した新聞をもとに、グループごとに意見

交換をする。

観察、ノート・

新聞等

7 むつ市へ自分た

ちの意見を提言し

よう。(2時間)

〇むつ市長を招き、自分たちの考えを発表する。

〇前時を振り返り、ゲストティーチャーへお礼の手紙

を書く。

観察、振り返り

カード・手紙

― 116 ―

【オリエンテーションで使った資料】 【校長のプレゼンテーション】

【校外学習の様子】 【廊下掲示】 【振り返りカード】

【修学旅行でのPR】

【公開授業の様子】 【ジオ新聞】 【授業後の振り返りカード】

・PR のための名刺を個々に作成し、原稿を書いたり、話す練習をしたりしながら本番に備えた。

・今まで話すことが苦手だった児童も、函館で PR活動を行ったことで、話すことに自信をもつことができた。

個々にファイルを持たせ、

学習した資料や振り返り

カードを蓄積させた。また、

学習の足あとを常に廊下

に掲示し、いつでも学習を

振り返れるよう、ユニバー

サルデザインの学習を取り

入れながら、学ぶ意欲が途

切れないように進めた。

― 117 ―― 117 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の意識の変容

(4段階)

H27 H27 H28 H28

項 目 1学期 2学期 1学期 2学期

授業で練習問題をやったことにより、学習内容する 3.48 3.40 3.46 3.44

ことを理解することができたか。

各 自分の考えを友だちに分かりやすく説明することが 3.27 3.14 3.15 3.12

教 できたか。

友だちの意見を聞いてどのように考えたのか、何を 3.40 3.49 3.49 3.52

言いたいのか分かったか。

計画的に家庭学習を続けることができたか。 3.38 3.36 3.38 3.40

自分で調べる内容を決め、調べることができたか。 3.51 3.52 3.51 3.65総合的な学習の時間

人に聞いたり体験したりして調べることことができ 3.45 3.41 3.49 3.48

たか。

友だちと協力して調べたりまとめたりすることがで 3.41 3.54 3.53 3.58

きたか。

いろいろな方法を使って発表することができたか。 3.07 3.23 3.22 3.27

各教科(算数科中心)と総合的な学習の時間における2年間の児童アンケート結果

各教科では全体的に大きな変化は見られないが、「友だちの意見を聞いて、どのように考え

たのか、何を言いたいのか分かったか」については、学び合い活動を意図的に取り入れたこと

で友だちの考えを進んで取り入れよう、共有していこう、という意識が育ってきたのではない

かと考える。

反面、「自分の考えを友だちに分かりやすく説明することができたか」については、相手に

うまく伝える方法を模索していたことが伺える。

総合的な学習の時間に関しては、今年度から校内研修で取り組んできた。昨年度と比べど

の項目も数値が上がっている。特に、「自分で調べる内容を決め、調べることができたか」(課

題設定)「友だちと協力して調べたりまとめたりすることができたか」(協働)「いろいろな方

法を使って発表する」(まとめ)は、校内研修で重点的に取り組んできたこともあり、児童の

関心や意欲に寄り添って活動を工夫してきた結果、向上につながったのではないかと考える。

― 118 ―― 118 ―

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(2)研究の成果

① 算数科

ア 学習した知識や技能を活用できるような課題の工夫

・素材提示から課題提示まで視覚化、焦点化を図ることで、解決意欲が高まり自分なり

に自力解決に向かうことができていた。

・難しい問題にも意欲的に取り組む児童が多くなった。

イ 自分の思いや考えを表現させる方法と場の工夫

・自分の考えを友だちに説明することを意識してノートに書けるようになってきた。

・ペアやグループの学び合い活動を取り入れることで、解決方法を確かめ合ったり教

え合ったり自信をもって発表できたり、友だちと考えを共有することができた。

ウ 学習した内容や方法、気付き等を児童が自覚し、定着させるためのまとめと振り返り

の工夫

・振り返りを意識して時間設定したり練習問題の時間を確保したりすることで、児童は

一時間の流れが分かり、集中して取り組めるようになった。

・児童の気付きや学習のキーワードを黒板に残すことで、自分の力でまとめを書けるよ

うになった。

・ノートを振り返って、既習内容を探す児童が増えてきた。活用するために、見やすく

書こうとする児童も増えてきている。

② 総合的な学習の時間

ア 体験活動や各教科で身に付けた知識や技能を活用できるような課題の工夫

・校外学習やゲストティーチャーを招いて学習を展開することで、もっと調べたいと

いう興味・関心、次の活動に対する期待が高まり、新たな課題を進んで見付けてい

くことができた。

・児童の意見や考えを教師側できちんと把握し、授業を組み立てていくことで、課題

解決に向けてスムーズに進めることができた。

・学習のあしあとを掲示していくことで、学習したこと、自分たちがやってきたこと

を実感し、次の課題設定につながっていった。

イ 自分の思いや考えを表現させる方法と場の工夫

・自分の役割を意識しながら、協働して課題を解決しようとする意欲が高まった。

・学年の発達段階に合った方法で、思い思いの表現をすることができた。

・まとめの新聞を作る際には、観点を示すことで全員が共有でき、友だちと自分の見

方や考え方の相違点を見付けたり、新たな課題に気付いたりすることができた。

ウ 学習した内容や方法、気付き等を児童が自覚し、定着させるためのまとめと振り返

りの工夫

・学習内容に合わせて振り返りカードや自己評価カードを継続して使うことで、次の

学習につながるような内容を書けるようになってきた。

・自分の振り返りを数人に発表させていくことで、友だちのよさに気付いたり、新し

い課題に気付いたりすることができた。

― 119 ―― 119 ―

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(3) 今後の課題

① 算数科

・ねらいに合った課題設定を行う。

・ペアやグループでの学び合い活動を取り入れる際は、何を話し合うのか、また、何の

ために行うのかという明確なねらいを教師が持ち、児童に降ろしていく。

・一斉での学び合い活動をデザインしていくのは、教師の役割である。どの発問でねら

いに落とすのかを明確にする。

・振り返りを書かせ積み重ねていくことで、気付きや分かったことを再現できるので、

時間の確保を今後も続けていきたい。

② 総合的な学習の時間

・今まで学習したことが振り返られるような環境整備や資料の蓄積をしていく。

・次時の活動につながるような振り返りの仕方を工夫していく。

― 120 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

・「主体的に学ぶ力」の育成に結び付くよう、各教科、領域での指導法の在り方を探る。(平

成 27 年度) ・「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめる」の4つからなる授業を実践し、「主体的に

学ぶ力」の育成に結び付く、各教科、領域での指導法の在り方を探る。(平成 28 年度) (2)研究の取組

① 研究の内容 ア 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識) イ 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ウ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り返り

の工夫 エ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

② 研究の進め方 ア ボトムアップ式の校内研修

「主体的に学ぶ力」の育成に向けて、研修部から「このような取組を行う」と方法を

提案するのではなく、まずは各教科で工夫した取組を実践してみる。学期ごとに「主体

的に学ぶ力」の育成に向けて、各教科で「具体的に取り組むこと」と「振り返り」を行

い、結果を全体で情報交換をする。その中から、共通しているものや、効果的だと思わ

れる要素を抜き出し、各教科の実践の中で重点的に取り組んでいく。 イ ワークショップ型の校内研修や授業研究会 各教科で様々な実践がなされ、その情報交換が活発に行われるようにするために、協

議はワークショップ形式で行う。教員一人一人が協働的に校内研修に取り組むようにす

る。 ウ 次の4つの場面がある授業や単元の実践

つかむ しっかりとした課題把握。学習意欲を高める。

探る 予想する。見通しをもつ。調べる。課題解決。

広げる・深める 調査結果、課題解決の方法や内容について意見交流(考えを伝

え合う)。考えを広げ、深める。

まとめる 学習を振り返る。分かったこと、できるようになったことの明

確化。新たな課題の発見。

ただし、教科の特性を考慮して設定するものとする。 エ 授業レポートの作成と閲覧 「主体的に学ぶ力を育む」授業について、実践した教員自身が「どのような授業だっ

たのか」「生徒がどのように変わったか」について、自由な形式でレポートを作成する。

それを職員間で回覧する。閲覧者は自由にコメントを記入し、最後に授業者へ返す。 ③ 検証方法 生徒や教員のコメントの他、毎年行っている学校評価アンケートで変容を見る。

― 122 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

・「主体的に学ぶ力」の育成に結び付くよう、各教科、領域での指導法の在り方を探る。(平

成 27 年度) ・「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめる」の4つからなる授業を実践し、「主体的に

学ぶ力」の育成に結び付く、各教科、領域での指導法の在り方を探る。(平成 28 年度) (2)研究の取組

① 研究の内容 ア 課題が生徒自身のものとなるような工夫(学習意欲・課題意識) イ 課題を協働的に解決する場面設定の工夫(協働的な学び)

ウ 学習した内容や方法、気付き等を生徒が自覚し、定着させるためのまとめと振り返り

の工夫 エ 総合的な学習の時間における探究的な学習のプログラムの実践

② 研究の進め方 ア ボトムアップ式の校内研修

「主体的に学ぶ力」の育成に向けて、研修部から「このような取組を行う」と方法を

提案するのではなく、まずは各教科で工夫した取組を実践してみる。学期ごとに「主体

的に学ぶ力」の育成に向けて、各教科で「具体的に取り組むこと」と「振り返り」を行

い、結果を全体で情報交換をする。その中から、共通しているものや、効果的だと思わ

れる要素を抜き出し、各教科の実践の中で重点的に取り組んでいく。 イ ワークショップ型の校内研修や授業研究会 各教科で様々な実践がなされ、その情報交換が活発に行われるようにするために、協

議はワークショップ形式で行う。教員一人一人が協働的に校内研修に取り組むようにす

る。 ウ 次の4つの場面がある授業や単元の実践

つかむ しっかりとした課題把握。学習意欲を高める。

探る 予想する。見通しをもつ。調べる。課題解決。

広げる・深める 調査結果、課題解決の方法や内容について意見交流(考えを伝

え合う)。考えを広げ、深める。

まとめる 学習を振り返る。分かったこと、できるようになったことの明

確化。新たな課題の発見。

ただし、教科の特性を考慮して設定するものとする。 エ 授業レポートの作成と閲覧 「主体的に学ぶ力を育む」授業について、実践した教員自身が「どのような授業だっ

たのか」「生徒がどのように変わったか」について、自由な形式でレポートを作成する。

それを職員間で回覧する。閲覧者は自由にコメントを記入し、最後に授業者へ返す。 ③ 検証方法 生徒や教員のコメントの他、毎年行っている学校評価アンケートで変容を見る。

(3)研究経過

① 平成 27 年度 月 日 主 な 内 容

4.3(金) 校内研修①「主体的に学ぶ力を育む指導法」について →各教科での具体的な取組内容の検討

5.21(木) 校内研修②各学年での授業公開(計画訪問) 5.20(水)~

5.29(金) 授業見せ合い週間

6.24(水) 校内研修③授業研究「数学」(久保) 10.7(水) ワークショップ

「各教科でどのような取組をしてきたか」 →共通点を見出し、重点的に取り組むキーワードの絞り込み →キーワードを「問題解決的な学習」に決定

10.28(水) 校内研修④授業研究「道徳」(菅家) 12.2(水) 校内研修⑤授業研究「体育」(松館) 12.3(木)~

12.11(金) 授業見せ合い週間

2.17(水) 校内研修⑥教科ごとに「1年間の取組の振り返り」と、「次年度の取組」

について検討

② 平成 28 年度 月 日 主 な 内 容

4.5(火) 校内研修①「主体的に学ぶ力を育む指導法」について →前年度の授業実践の様子から、各教科で「つかむ」「探る」「広げ

る・深める」「まとめる」の4つの授業展開をする。 5.11(水) 校内研修②「指導案について」

→指導案の形式も、「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめる」

の4つの展開が分かるものにする。 5.18(水)~

5.27(金) 授業見せ合い週間

5.20(金) 校内研修③各学年での授業公開(計画訪問) 6.22(水) 校内研修④授業研究「数学」(久保) 6.29(水) ワークショップ

「各教科の取組について」 →それぞれの教科の具体的な取組の報告と問題点の話合い。

9.15(木)~ 9.23(金)

授業見せ合い週間

10.3(月)~ 10.14(金)

授業見せ合い週間

11.16(水) 主体的に学ぶ力を育む学力向上推進事業研究大会 「数学」(菅家・宍戸)、「国語」(木村)、 「総合的な学習の時間」(佐藤・本間)

2.15(水) 校内研修⑤「成果と課題についての検討」 ※この他に、授業レポートの作成と回覧を実施

― 123 ―

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2 各教科等での実践

(1)1学年 数学科 学習指導案

① 本時の題材 反比例のグラフ(14/20) ② 本時のねらい ・ グラフの特徴を予想し、調べた結果からグラフの特徴を見出すこ とができる。【数学的な見方・考え方】

・ 反比例のグラフを描くことができる。【数学的な技能】 ③ 指導過程

段階 教師のはたらきかけ 予想される生徒の反応 評価・留意点 つかむ (5 分)

○小学校での反比例のグラフを振り返る 「負の数にも範囲を広げてグラフをかく

とどうなるだろう?」

・教師がグラ

フを提示し、

点をとる。

探る (10 分) ○y=6

のグラフを作る

x 1 2 3 6 y 6 3 2 1

・グラフを見て、反比例のグラフのおおま

かな特徴を自分の言葉でまとめよう。 ・「双曲線」という用語を教える。

「2本のなめらかな曲

線」 【評価①】プ リントの記述

広げる 深める (22 分)

○反比例のグラフの特徴を考える (比例定数の符号に着目して)

①y=6と y=−6

のグラフの違いは?

②違いは何に関係していると予想するか (個人→グループで確認→発表) ・比例定数による特徴をまとめる

①プラスだと右上左下、

マイナスだと左上右下 ②比例定数(まずは個人

で記入する)

・4人グルー

プにする

○グラフの延長を考える ・「x 軸方向のこの先はどうなるのでしょ

う? 予想してみてください。」

「x 軸より下にさがる」

「平行な線のまま延長さ

れていく」

・予想のグラ

フを描いて

もらう ・ x が 100 のときと、x が 1000 のとき

の値を座標にとって見ましょう。 ・「グラフはこの先どうなると思います

か? 隣の人に説明しよう。隣の人と

確認したらグループの人の意見も聞い

てみましょう。」(ペア→グループ)

「y の値は小さくなって

いく」「y の値は0に近づ

いていくけど、負の数に

はならない

・意見が出な

いようであ

れば x の値

を大きくし

て見せる。

x の値をどんどん小さく0に近付けてい

くと y の値は大きくなり、y 軸に限りな

く近づいていきます。

まとめ

る (13 分)

○演習問題を解く ○反比例のグラフの特徴を確認する ・「今日みなさんが見つけた反比例の特徴

は大きく3つあります。なんでしたか?」

・双曲線、比例定数で配

置が違う、x 軸、y 軸に

交わらない。

【評価②】 演習問題への

取り組み状況

反比例のグラフを描き、その特徴を見つけよう

― 124 ―― 124 ―

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2 各教科等での実践

(1)1学年 数学科 学習指導案

① 本時の題材 反比例のグラフ(14/20) ② 本時のねらい ・ グラフの特徴を予想し、調べた結果からグラフの特徴を見出すこ とができる。【数学的な見方・考え方】

・ 反比例のグラフを描くことができる。【数学的な技能】 ③ 指導過程

段階 教師のはたらきかけ 予想される生徒の反応 評価・留意点 つかむ (5 分)

○小学校での反比例のグラフを振り返る 「負の数にも範囲を広げてグラフをかく

とどうなるだろう?」

・教師がグラ

フを提示し、

点をとる。

探る (10 分) ○y=6

のグラフを作る

x 1 2 3 6 y 6 3 2 1

・グラフを見て、反比例のグラフのおおま

かな特徴を自分の言葉でまとめよう。 ・「双曲線」という用語を教える。

「2本のなめらかな曲

線」 【評価①】プ リントの記述

広げる 深める (22 分)

○反比例のグラフの特徴を考える (比例定数の符号に着目して)

①y=6と y=−6

のグラフの違いは?

②違いは何に関係していると予想するか (個人→グループで確認→発表) ・比例定数による特徴をまとめる

①プラスだと右上左下、

マイナスだと左上右下 ②比例定数(まずは個人

で記入する)

・4人グルー

プにする

○グラフの延長を考える ・「x 軸方向のこの先はどうなるのでしょ

う? 予想してみてください。」

「x 軸より下にさがる」

「平行な線のまま延長さ

れていく」

・予想のグラ

フを描いて

もらう ・ x が 100 のときと、x が 1000 のとき

の値を座標にとって見ましょう。 ・「グラフはこの先どうなると思います

か? 隣の人に説明しよう。隣の人と

確認したらグループの人の意見も聞い

てみましょう。」(ペア→グループ)

「y の値は小さくなって

いく」「y の値は0に近づ

いていくけど、負の数に

はならない

・意見が出な

いようであ

れば x の値

を大きくし

て見せる。

x の値をどんどん小さく0に近付けてい

くと y の値は大きくなり、y 軸に限りな

く近づいていきます。

まとめ

る (13 分)

○演習問題を解く ○反比例のグラフの特徴を確認する ・「今日みなさんが見つけた反比例の特徴

は大きく3つあります。なんでしたか?」

・双曲線、比例定数で配

置が違う、x 軸、y 軸に

交わらない。

【評価②】 演習問題への

取り組み状況

反比例のグラフを描き、その特徴を見つけよう

― 124 ―

いくつか点をとったこと

で、予想をすることにつな

がりやすくなった。(本時の

内容への意欲付け)

個人→グループの流れを

作ることによって「何とな

く分かっている」生徒が、

自信を持って発表すること

ができた。

点をなめらかな曲線では

なく直線で結ぶというイメ

ージが強かったので、その

ことも取り上げた。細かく

点を取る必要性を感じるこ

とができたので、なめらか

な曲線になるということを

理解させられた。

100、200 と値を大きくし

ていくと、コンピューターソ

フトでは曲線が少しずつ x軸に近づいているのが分かり

にくく、「x 軸に徐々に近づく

が、交わらない」という意識

を持たせるにはさらに工夫

が必要だと感じた。

隣の人に「反比例の特徴」を

説明させた。互いに丁寧に伝

え合う姿も見られ、授業の概

要を振り返ることができた。

【板書を見ながら、課題について予想する】

【グループ活動の前に、話合いの進め方を確認する】

【TTがコンピュータソフトを操作して補助する】

― 125 ―

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(2)3学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 近代の俳句 (本時 4/5) ② 本時のねらい 選んだ俳句のよさについて意見交流することによって、自分とは違

う考え方に気付き、選んだ根拠を明らかにして批評文を書くことがで

きる。【読む能力】

③ 指導過程

段階 教師のはたらきかけ 予想される生徒の反応 評価・留意点

つかむ

・探る

(5分)

○「おーいお茶」のペットボトルを見せて、俳句は身近に目にでき、楽しめるものだ

ということをイメージさせる。

学習課題提示 ・課題を板書する

・今日の授業内容を確認する。

〈全体→個人→班→全体→個人〉

・個人の活動

○言葉や表現に着目し、俳句のよさ

を考え、付箋に書く。

〈作品の分析を行う〉

・付箋を使って自分の意

見を書くなど学習内容

を把握する。

・表現技法などに着目

し想像した情景など

考えられることを書

く。

・付箋を配布

・黄色→表現技法や

工夫点。緑色→想

像したことを書

く。【評価①】

確かめ

る・深

める

(35 分)

班の活動

○司会者の指示で、自分の意見を発

表、その後、同じ意見をまとめる

う指示を出す。

○班の代表者が発表し、他の班の発

表を聞き、なるほどと思ったこと

をメモすることを指示する。

・付箋に書いた内容を、

班に配布された用紙に

貼りながら発表する。

・班員で意見を整理しな

がらまとめる。

・選考結果のキーポイン

トを、代表者が読み上

げる他の班の発表を聞

き、なるほどと思った

ことをメモする。

・自分の考えを各自

で付箋に書かせた

のを班でまとめ

る。

まとめ

(10 分)

○選んだ根拠を明らかにして、100字以上 150 字以内の批評文の形

にするよう指示を出す。

※前時で行った批評の仕方を確認

する。

・書き留めた事柄を参考

に、批評文を書く。

意見交流を参考

に、根拠を明確にし、

批評文を書かせる。

【評価②】

[まとめの例]

A の作品には○○という体言止めが用いられており、その言葉が○○という情景を

さらに深めています。また、作者の気持ちが○○という言葉を通して伝わってきて、

光景が目に見えるようにいきいきと表現されているのが素晴らしいです。

選んだ俳句のどんなところがいいのか、そのよさを相手に伝

える批評文を書こう。

― 126 ―

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(2)3学年 国語科 学習指導案

① 本時の題材 近代の俳句 (本時 4/5) ② 本時のねらい 選んだ俳句のよさについて意見交流することによって、自分とは違

う考え方に気付き、選んだ根拠を明らかにして批評文を書くことがで

きる。【読む能力】

③ 指導過程

段階 教師のはたらきかけ 予想される生徒の反応 評価・留意点

つかむ

・探る

(5分)

○「おーいお茶」のペットボトルを見せて、俳句は身近に目にでき、楽しめるものだ

ということをイメージさせる。

学習課題提示 ・課題を板書する

・今日の授業内容を確認する。

〈全体→個人→班→全体→個人〉

・個人の活動

○言葉や表現に着目し、俳句のよさ

を考え、付箋に書く。

〈作品の分析を行う〉

・付箋を使って自分の意

見を書くなど学習内容

を把握する。

・表現技法などに着目

し想像した情景など

考えられることを書

く。

・付箋を配布

・黄色→表現技法や

工夫点。緑色→想

像したことを書

く。【評価①】

確かめ

る・深

める

(35 分)

班の活動

○司会者の指示で、自分の意見を発

表、その後、同じ意見をまとめる

う指示を出す。

○班の代表者が発表し、他の班の発

表を聞き、なるほどと思ったこと

をメモすることを指示する。

・付箋に書いた内容を、

班に配布された用紙に

貼りながら発表する。

・班員で意見を整理しな

がらまとめる。

・選考結果のキーポイン

トを、代表者が読み上

げる他の班の発表を聞

き、なるほどと思った

ことをメモする。

・自分の考えを各自

で付箋に書かせた

のを班でまとめ

る。

まとめ

(10 分)

○選んだ根拠を明らかにして、100字以上 150 字以内の批評文の形

にするよう指示を出す。

※前時で行った批評の仕方を確認

する。

・書き留めた事柄を参考

に、批評文を書く。

意見交流を参考

に、根拠を明確にし、

批評文を書かせる。

【評価②】

[まとめの例]

A の作品には○○という体言止めが用いられており、その言葉が○○という情景を

さらに深めています。また、作者の気持ちが○○という言葉を通して伝わってきて、

光景が目に見えるようにいきいきと表現されているのが素晴らしいです。

選んだ俳句のどんなところがいいのか、そのよさを相手に伝

える批評文を書こう。

自分の考えを書いたあと、

グループで発表してまとめる

活動を行った。自分の考えも

生かせられるので、グループ

活動につながった。

仲間の書いた作品を使ったことで、関心をも

つことができた。また、グループ活動で活用す

る付箋紙について、どの色に何を書けばよいの

か、同じ色の短冊を黒板に掲示することによっ

て、活動の見通しをもたせることができた。

他の意見も混じえての活

動であり、どの言葉を使うと

良いかも自分で決めて書く

ことができた。

学びを深めるために、振り

返りの時間を設定する必要

があった。

【付箋紙と同じ色の短冊を掲示した黒板】

【使用するものをグループごとに準備しておく】

教材の俳句を書いた紙に付箋を貼

る。ラミネートしているので、色ペ

ンで書き込んだ文字や線を消して修

正できる。

【グループ活動の様子】

【ラミネートしたシートに付箋を貼る】

【各グループの発表後、共通点や相違点を考える】

― 127 ―

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(3)2学年 総合的な学習の時間 指導計画

① 単元名 自分の進路や生き方について考える(全 70 時間) ② 単元の目標 ・ 働くことについての探究活動を通して、自分の進路や生き方を考える態 度を育てる。

・ 体験活動を通して、職業や仕事、人との関わりについて感じたことを整 理分析し、自分の進路や生き方について考えようとする態度を養う。

③ 単元の指導過程 時数 段階・「探究の過程」 主な活動内容 1 つかむ

「見通しを持つ」 オリエンテーション ・年間の活動の流れ、ねらいを確認する。

探る 「情報の収集」 広げる・深める 「整理・分析」 つかむ 「課題設定」

職業調べ ・求人情報を利用し職業調べを行う。 ・職業の雇用形態、必要な免許資格、学歴、給与等を調べる。 ・調べた結果から、職業を選んだ基準を考えさせ、自分の興味

関心に気づき、現在の自分に必要なことを考える。 ・テーマ(目標)を捉える。

10

広める・深める 「整理・分析」 つかむ「課題設定」

職場体験場所を決める ・職場体験する事業所を決める。・目標や計画を立てる。 ・アポイントメントの練習をし、実際に体験する。

12

探る 「情報の収集」

職場体験学習 ・職場での体験を通して、仕事や職業、働くこと、人などにつ

いて、新たな視点を獲得する。 14

広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

職場体験学習を終えて ・お礼状を書く。 ・調べた内容、体験して感じたことを個人新聞にまとめる。 ・発表会に向けて、準備・練習をする。・発表する。

広める・深める 「整理・分析」 探る「情報の収集」 まとめる「まとめ・

表現」

働く意義 ・職場体験先の人たちの様子から、働く意義を探る ・身近な職業人にインタビューし、働く意義を探る。 ・話し合い、仲間分けをする。(類型化) ・話し合いを基に、自分が大切にしたいことをまとめる。

4 本時

つかむ 「課題設定」 広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

自分の生活で気を付けること(今やるべきこと) ・自分が大切にしたいことをいかし、地域社会の一員として職

業につくため、今すべきことはどんなことなのかを考える。 ・職場の人のすごいところを考える。 ・話し合って、仲間分けをし、その中で自分自身に必要なこと

や、そのために今すべきことをまとめる。 10

探る 「情報の収集」 広める・深める 「整理・分析」

進路に向けての準備 ・高等学校の学科を調べてまとめる。 ・自分の長所や短所、自分の行動傾向や正確など、自分自身に

関する理解を深める。 5

広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

自分らしさを生かす ・自分をPRするための、PRシートを完成させる。 ・グループでPR練習を行う。 ・PR活動の記録を書く。

― 128 ―― 128 ―

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(3)2学年 総合的な学習の時間 指導計画

① 単元名 自分の進路や生き方について考える(全 70 時間) ② 単元の目標 ・ 働くことについての探究活動を通して、自分の進路や生き方を考える態 度を育てる。

・ 体験活動を通して、職業や仕事、人との関わりについて感じたことを整 理分析し、自分の進路や生き方について考えようとする態度を養う。

③ 単元の指導過程 時数 段階・「探究の過程」 主な活動内容 1 つかむ

「見通しを持つ」 オリエンテーション ・年間の活動の流れ、ねらいを確認する。

探る 「情報の収集」 広げる・深める 「整理・分析」 つかむ 「課題設定」

職業調べ ・求人情報を利用し職業調べを行う。 ・職業の雇用形態、必要な免許資格、学歴、給与等を調べる。 ・調べた結果から、職業を選んだ基準を考えさせ、自分の興味

関心に気づき、現在の自分に必要なことを考える。 ・テーマ(目標)を捉える。

10

広める・深める 「整理・分析」 つかむ「課題設定」

職場体験場所を決める ・職場体験する事業所を決める。・目標や計画を立てる。 ・アポイントメントの練習をし、実際に体験する。

12

探る 「情報の収集」

職場体験学習 ・職場での体験を通して、仕事や職業、働くこと、人などにつ

いて、新たな視点を獲得する。 14

広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

職場体験学習を終えて ・お礼状を書く。 ・調べた内容、体験して感じたことを個人新聞にまとめる。 ・発表会に向けて、準備・練習をする。・発表する。

広める・深める 「整理・分析」 探る「情報の収集」 まとめる「まとめ・

表現」

働く意義 ・職場体験先の人たちの様子から、働く意義を探る ・身近な職業人にインタビューし、働く意義を探る。 ・話し合い、仲間分けをする。(類型化) ・話し合いを基に、自分が大切にしたいことをまとめる。

4 本時

つかむ 「課題設定」 広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

自分の生活で気を付けること(今やるべきこと) ・自分が大切にしたいことをいかし、地域社会の一員として職

業につくため、今すべきことはどんなことなのかを考える。 ・職場の人のすごいところを考える。 ・話し合って、仲間分けをし、その中で自分自身に必要なこと

や、そのために今すべきことをまとめる。 10

探る 「情報の収集」 広める・深める 「整理・分析」

進路に向けての準備 ・高等学校の学科を調べてまとめる。 ・自分の長所や短所、自分の行動傾向や正確など、自分自身に

関する理解を深める。 5

広める・深める 「整理・分析」 まとめる 「まとめ・表現」

自分らしさを生かす ・自分をPRするための、PRシートを完成させる。 ・グループでPR練習を行う。 ・PR活動の記録を書く。

― 128 ―

全体を通して。課題を設

定する際、自分自身の課題

になるような揺さぶりが足

りないと感じているので、

工夫が必要である。

職場体験の活動と身近な

職業人へのインタビューを

もとに、働く意義についての

考えを深めることができた。

思考ツールを使って集め

た情報を分類化し、情報を整

理分析できた。

実際の求人情報で職業調

べを行うことで、より現実的

な情報を収集させ、自分自身

の課題として考えさせるこ

とができた。

この2つの単元での「自

分が大切にしていきたいこ

と」と「自分自身に必要なこ

と」の内容が重複する生徒

もいたので、見直す必要が

ある。

発表を班の全員が行う

ことで、自分の考え表現さ

せ、今後の生活改善を意識

させることができた。

また、発表に対するアド

バイスを記入することで、

今後の生活改善への意欲

付けを図ることができた。

【職場体験でお世話になった方々の意見を課題につなげる】

【出し合った付箋を話し合いながら類型化する】

【指導者は各班の様子を見ながら、適切な指導を行う】

― 129 ―

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3 研究のまとめ

本校では、教育課程編成資料とするため、全校生徒および教職員に対してのアンケート調査を

毎年行っている。その中で「主体的に学ぶ力」やその指導に関わる項目を抜き出し、変容につい

て調べた。 (1)生徒の変容

項 目 26 年度 27 年度 28 年度 授業に積極的に参加して、活動している。 4.35 4.37 4.44 進んで新しい考え方や方法を見つけ、さらに向上しよう

と努力している。 3.81 4.04 3.99

自分の役割を自覚して誠実にやり抜き、結果に責任を 持って行動している。

4.26 4.39 4.35

【生徒アンケート結果(平成 26 年度~平成 28年度)】 11 月 16 日(水)の研究発表会における国語と数学の授業についての生徒の感想は次のと おりである。

「ペアやグループで発表しあい、説明しあう活動」の感想(一部) ○自分の意見と他の意見を比べることで、より広く、深く考えることができた。 ○自分の考えを持ち、しっかりと話し合うことができた。 ○自信を持って発表することができた。 ○授業の内容がよく分かるようになった。 △「広げる・深める」の場面で、集中できなかったり、積極的に参加していなかったり

する生徒もいる。 △話合いが深まらないときもある。 △騒がしくなるときもある。

【国語と数学の授業中の取組について(生徒の感想)】 アンケートの結果を見ると、「主体的に学ぶ力」を育む指導を重点的に開始した平成 27 年 度から、わずかではあるが生徒の「主体的に学ぶ力」に関する意識の向上が見られるように なってきている。また、「主体的に学ぶ力」を育む指導の一つとして、「ペアやグループで発 表し合い、説明し合う活動」を行っている国語と数学の授業についての生徒の感想を見ると、 活動により生徒たちが自分の意見を持ち、他人の意見を比べたり、自信を持って発表したり するようになったことがわかる。一方で、「意見交流を通し、考えを広げ・深めるまで達して いない」と感じている一面もあることがわかる。 (2)研究の成果

① 各教科および総合的な学習の時間について 教育課程編成資料の教職員に対してのアンケート調査の中から、「主体的に学ぶ力」に関 わる項目、及び総合的な学習の時間についての項目を抜き出し、授業を行う側の教職員が 感じた授業の変容について調べた。

「主体的に学ぶ力」を育む指導に関する項目 26 年度 27 年度 28 年度 授業は、子どもたちにとって分かりやすいものになって

いた。 3.79 4.00 4.11

主体的な学習活動の場を設定することができた。 3.53 3.42 4.12 学習形態の工夫に努めた。 3.78 3.84 4.29

― 130 ―― 130 ―

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3 研究のまとめ

本校では、教育課程編成資料とするため、全校生徒および教職員に対してのアンケート調査を

毎年行っている。その中で「主体的に学ぶ力」やその指導に関わる項目を抜き出し、変容につい

て調べた。 (1)生徒の変容

項 目 26 年度 27 年度 28 年度 授業に積極的に参加して、活動している。 4.35 4.37 4.44 進んで新しい考え方や方法を見つけ、さらに向上しよう

と努力している。 3.81 4.04 3.99

自分の役割を自覚して誠実にやり抜き、結果に責任を 持って行動している。

4.26 4.39 4.35

【生徒アンケート結果(平成 26 年度~平成 28年度)】 11 月 16 日(水)の研究発表会における国語と数学の授業についての生徒の感想は次のと おりである。

「ペアやグループで発表しあい、説明しあう活動」の感想(一部) ○自分の意見と他の意見を比べることで、より広く、深く考えることができた。 ○自分の考えを持ち、しっかりと話し合うことができた。 ○自信を持って発表することができた。 ○授業の内容がよく分かるようになった。 △「広げる・深める」の場面で、集中できなかったり、積極的に参加していなかったり

する生徒もいる。 △話合いが深まらないときもある。 △騒がしくなるときもある。

【国語と数学の授業中の取組について(生徒の感想)】 アンケートの結果を見ると、「主体的に学ぶ力」を育む指導を重点的に開始した平成 27 年 度から、わずかではあるが生徒の「主体的に学ぶ力」に関する意識の向上が見られるように なってきている。また、「主体的に学ぶ力」を育む指導の一つとして、「ペアやグループで発 表し合い、説明し合う活動」を行っている国語と数学の授業についての生徒の感想を見ると、 活動により生徒たちが自分の意見を持ち、他人の意見を比べたり、自信を持って発表したり するようになったことがわかる。一方で、「意見交流を通し、考えを広げ・深めるまで達して いない」と感じている一面もあることがわかる。 (2)研究の成果

① 各教科および総合的な学習の時間について 教育課程編成資料の教職員に対してのアンケート調査の中から、「主体的に学ぶ力」に関 わる項目、及び総合的な学習の時間についての項目を抜き出し、授業を行う側の教職員が 感じた授業の変容について調べた。

「主体的に学ぶ力」を育む指導に関する項目 26 年度 27 年度 28 年度 授業は、子どもたちにとって分かりやすいものになって

いた。 3.79 4.00 4.11

主体的な学習活動の場を設定することができた。 3.53 3.42 4.12 学習形態の工夫に努めた。 3.78 3.84 4.29

― 130 ―

総合的な学習の時間に関する項目 26 年度 27 年度 28 年度

総合的な学習の時間では、十分検討がなされた上で実施

できた。

3.74 3.63 3.94

総合的な学習の時間では、生徒が自ら学んだり考えたり

する姿が見られた。

3.63 4.05 4.18

【教職員による学校評価アンケート結果(平成 26 年度~平成 28 年度)】

アンケート調査の結果を見ると、各教科や総合的な学習の時間において、「主体的に学ぶ

力」を育む取組が行われるように授業が変容してきていることがわかる。また、生徒がど

のように変容してきたか、教師側に尋ねてみたところ、次のような意見を得た。

・分からないとき、そのままにせず、教え合う姿が見られるようになった。

・見通しを持ち、学習に取り組むようになった。

・互いに意見を交流して、問題を考えたり、解こうとしたり、より良い方法や疑問を見つ

けるようになった。

【「主体的に学ぶ力を育む指導」により生徒がどのように変容してきたか(教員の感想)】

研究大会で公開した授業(国語、数学、総合的な学習の時間)を参観した、参加者のコ

メントは次のとおりである。

・国語の授業を見させていただきました。ほとんどの生徒がすらすらと批評文を書いて

いて素晴らしいと思いました。しっかり鍛えられているのだなと感じました。

・国語の授業で取り上げていた生徒の俳句が素晴らしくて感心した。先生の指導が簡潔

で、大事なポイントはしっかりおさえていたので、生徒がじっくり自分の考えを深めら

れた。

・国語、総合、どちらの授業も、自分の気付きを表現し、それを学び合う、認め合う、さ

らに考えを深めて整理するという学びのパターンがあった。どの教科でも気付きを自

分のものにするための方法、として参考にさせていただきたい。

・問題解決的な授業を先生方が意識して取り組んでいるので、生徒が自ら進んで学習に

向かっていることが、学力向上につながると実感できた。

・生徒同士が主体的に動くことで、普段の授業とはまた違った感覚(自己存在感や自己有

用感)をより強く感じることができた。

・総合は、実体験をもとにしているので深まりがあった授業だったと思います。

・総合の授業は、体験を深め、さらに今後の生活に生かしていく、という構成がとても参

考になった。

これらの結果を見ると、各教科や総合的な学習の時間の授業において、生徒の「主体的に

学ぶ力」を育む取組がされるようになってきていることがわかる。

② 校内研修について

各教科、総合的な学習の時間について、教員のアンケート結果から見えてくるのは、教員

が行う授業が、次第に「主体的な学習活動の場を設定することができた」(3.53→3.42→4.12)、「学習形態の工夫に努めた」(3.78→3.84→4.29)と変容してきたことである。つまり、教員

自身の意識が変わり、授業が変わってきていることが分かる。

本校の校内研修の取組について、説明を受け、実際に授業の様子を見た研究大会参加者は、

大会後のアンケートの中で次のように感想を述べている。

・主体的に学ぶ力を育むための「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめる」を、全職

員が共通理解して授業をしているのだと感じることができました。

・ワークショップ型の校内研修は本校でも取り組もうと考えていたので、参考になった。

― 131 ―― 131 ―

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・本校でもボトムアップ形式で校内研修を進めているのですが、なかなか教科の枠をこえ

て共通した取り組みができていなかったので、授業レポートの取り組みはとても参考に

なりました。また、教員同士でワークショップを行うなど、気軽に校内研修について話

し合える環境作りも見習いたいと思います。 ・校内研修の取組について、本校では全員の意見を取り上げることができていなかったの

で、参考にしたいと思いました。 ・トップダウンの校内研修が多い中、ワークショップ型のボトムアップ形式で、新鮮に感

じた。マンネリ化した校内研修ではなくて、おもしろいと思った。 ・先生方がワークショップ型で研修をしているので、今日参観させていただいた授業のよ

うに、生徒たちも話合いやグループ活動に慣れているのだろうと感じました。生徒に力

を付けるためには、教師の指導力を上げることがやはり必要なのだということを、改め

て思いました。 【研究大会参観者アンケートのまとめ】

「主体的に学ぶ力」を育む指導法の研究について、教員が協働的に校内研修を行う体制で臨 んだことにより、各教科の特性を生かしながら、全員が主体的に取り組むことができた。ボト ムアップ式の研修のため、個人が「自分の教科でもやってみよう」と意欲的に研修に参加する ことができた。また、校内研修や授業研究会をワークショップ型で行うことで、若手の教員も 自由に考えを発言することができた。様々な実践について短時間で意見交換し、考えを整理す ることもでき、共通点を見いだすことで、何に重点的に取り組むのかという焦点化をすること もできた。 今回、研究大会にて授業発表を行った国語や数学、総合的な学 習の時間以外の授業についても、日常的に教員が「主体的に学ぶ 力」を育む取組を行うことができた。「どのような授業が主体的に 学ぶ力を育むことができるか」について悩むこともあったが、教 員それぞれが考え、実践をし、結果を皆で共有することで、授業 改善へとつながっていった。それには、日常的に授業レポートを 交換することで、自分の授業についてふり返ったり、職員室での 話題にできたりしたことが大きい。授業発表となると構えてしま うこともあるが、A4紙数枚程度で自由に記載できるレポート形 式であったため、気軽に授業について振り返ったり、先輩教員か ら意見をもらったりすることができた。全員が協働的に校内研修 に取り組んでおり、これらの取組は、大変効果的であった。 (3)今後の課題

「主体的な力を育む」指導の一つとして、グループ活動等を行う際に、再度活動のルールを 徹底し、活動のねらいを再確認する必要性を感じた。特に、「広がる・深める」場面を何のため にやるのかについては、徹底しなければ効果はない。 また、総合的な学習の時間では、全ての学年で「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめ る」の4つを授業展開や単元の中で実践できるように、学年間の連携や、共通する活動場面を 設けるなどして、学年が変わってもスムーズに活動ができるようにする必要がある。 校内研修については、授業レポートの作成・閲覧やワークショップ型の校内研などで、授業 を行う教師側の意識の変容がある程度見られた。この取組を継続し、より活発な活動がされる ように工夫した校内研修をしていきたい。

― 132 ―

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・本校でもボトムアップ形式で校内研修を進めているのですが、なかなか教科の枠をこえ

て共通した取り組みができていなかったので、授業レポートの取り組みはとても参考に

なりました。また、教員同士でワークショップを行うなど、気軽に校内研修について話

し合える環境作りも見習いたいと思います。 ・校内研修の取組について、本校では全員の意見を取り上げることができていなかったの

で、参考にしたいと思いました。 ・トップダウンの校内研修が多い中、ワークショップ型のボトムアップ形式で、新鮮に感

じた。マンネリ化した校内研修ではなくて、おもしろいと思った。 ・先生方がワークショップ型で研修をしているので、今日参観させていただいた授業のよ

うに、生徒たちも話合いやグループ活動に慣れているのだろうと感じました。生徒に力

を付けるためには、教師の指導力を上げることがやはり必要なのだということを、改め

て思いました。 【研究大会参観者アンケートのまとめ】

「主体的に学ぶ力」を育む指導法の研究について、教員が協働的に校内研修を行う体制で臨 んだことにより、各教科の特性を生かしながら、全員が主体的に取り組むことができた。ボト ムアップ式の研修のため、個人が「自分の教科でもやってみよう」と意欲的に研修に参加する ことができた。また、校内研修や授業研究会をワークショップ型で行うことで、若手の教員も 自由に考えを発言することができた。様々な実践について短時間で意見交換し、考えを整理す ることもでき、共通点を見いだすことで、何に重点的に取り組むのかという焦点化をすること もできた。 今回、研究大会にて授業発表を行った国語や数学、総合的な学 習の時間以外の授業についても、日常的に教員が「主体的に学ぶ 力」を育む取組を行うことができた。「どのような授業が主体的に 学ぶ力を育むことができるか」について悩むこともあったが、教 員それぞれが考え、実践をし、結果を皆で共有することで、授業 改善へとつながっていった。それには、日常的に授業レポートを 交換することで、自分の授業についてふり返ったり、職員室での 話題にできたりしたことが大きい。授業発表となると構えてしま うこともあるが、A4紙数枚程度で自由に記載できるレポート形 式であったため、気軽に授業について振り返ったり、先輩教員か ら意見をもらったりすることができた。全員が協働的に校内研修 に取り組んでおり、これらの取組は、大変効果的であった。 (3)今後の課題

「主体的な力を育む」指導の一つとして、グループ活動等を行う際に、再度活動のルールを 徹底し、活動のねらいを再確認する必要性を感じた。特に、「広がる・深める」場面を何のため にやるのかについては、徹底しなければ効果はない。 また、総合的な学習の時間では、全ての学年で「つかむ」「探る」「広げる・深める」「まとめ る」の4つを授業展開や単元の中で実践できるように、学年間の連携や、共通する活動場面を 設けるなどして、学年が変わってもスムーズに活動ができるようにする必要がある。 校内研修については、授業レポートの作成・閲覧やワークショップ型の校内研などで、授業 を行う教師側の意識の変容がある程度見られた。この取組を継続し、より活発な活動がされる ように工夫した校内研修をしていきたい。

― 133 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

本校では、教育目標の中に「学ぶ子」を掲げ、学校課題である「学力と表現力の向上」を目指

し、平成27年度から「理由を付けて考えを話す」という努力目標を設定している。校内研究を

踏まえて自分の考えを進んで話す場面を重視した授業づくりを進め、課題解決を目指していこう

としているところであった。本校のこの研究と、「本県の児童生徒が、今後の変化の激しい社会の

中で、主体的に未来を切り拓いていくために、身に付けた基礎的・基本的内容や技能を生かし、

さらに『学ぶ意欲』『思考力』『判断力』『表現力』を高めることを目的に、『主体的に学ぶ力』を

育む実践研究を行う」という本事業の趣旨が一致していることから、「学ぶ意欲」に重点を置いた

研究に取り組むことにした。 平成27年度は、「いきいきと表現する子どもの育成~自分の考えを説明する活動を通して~」

と研究主題を設定した。自分の考えを説明する場を意図的に設定することで、学ぶ意欲が高まり

自分の考えを主体的に話そうとする態度を育成できるだろうと仮説を立て、国語・社会・算数・

理科での授業実践を通して明らかにしていくという研究目標を立てた。 平成28年度は、子どもたちのさらなる学習意欲を高めるために、「主体的に学ぶ子どもの育成

~他者と関わり合う、協働的な学習活動を通して~」と研究主題を立て直した。他者と関わりな

がら聴いたり話したりする協働的に学ぶ場を設定することで、主体的に学習に取り組む態度を育

成できるだろうと仮説を立て、協働的に課題を解決していく活動をどのように工夫していけばよ

いかを授業実践を通して明らかにするという研究目標を立てた。 目標達成のため、本校では、主体的に学ぶ力(意欲的に課題を解決していく力)を身に付けら

れるよう、学ぶ意欲を高めることを第一に考えた。そして、自分の考えを話すことを恥ずかしい

と思わせない学級づくりや、まちがっても分からなくてもみんなが関わり合いながら課題解決し

ていく協働的な活動場面がある授業をしていこうと共通理解し、研究に取り組むことにした。 (2)研究の取組

① 平成27年度の取組

ア 学習意欲を高める工夫

・ 学習活動の中に意図的に説明する場を設定し、自分の考えを進んで話す態度を育成する。

そのために、「場や形態の工夫」「掲示物の工夫」「ICT機器の活用」を手立てとする。

イ 振り返りを書かせる実践

・ 授業の終わりに振り返りを設定し、学習内容の定着や学習意欲の向上につなげる。

② 平成28年度の取組

ア 協働的な学びの場の工夫

・ 相手意識をもって考えを聴いたり、説明したりする場の工夫(理解が速い子も遅い子もみ

んなが関わり合いながら課題を解決していけるよう、聞き手側によりそった学習の展開)

イ 総合的な学習の時間における主体的な活動(問題解決的な活動を大切にする探究的な学習)

の工夫

・ 児童の願い、教師のねらいを考えて一緒に単元を考える(年間計画の整備、見直し)

・ 意見を交流させながらゴールを目指す(教科で培った力を生かす)

③全校共通の日常の取組

ア 振り返りの場の設定(授業の最後に設定、共通した振り返りの項目)

イ 家庭学習の取組(家庭学習の手引き、家庭学習コーナー)

ウ ノート指導(児童が活用しやすいノートづくり、考えを書く)

― 134 ―― 134 ―

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1 研究の概要

(1)研究目標

本校では、教育目標の中に「学ぶ子」を掲げ、学校課題である「学力と表現力の向上」を目指

し、平成27年度から「理由を付けて考えを話す」という努力目標を設定している。校内研究を

踏まえて自分の考えを進んで話す場面を重視した授業づくりを進め、課題解決を目指していこう

としているところであった。本校のこの研究と、「本県の児童生徒が、今後の変化の激しい社会の

中で、主体的に未来を切り拓いていくために、身に付けた基礎的・基本的内容や技能を生かし、

さらに『学ぶ意欲』『思考力』『判断力』『表現力』を高めることを目的に、『主体的に学ぶ力』を

育む実践研究を行う」という本事業の趣旨が一致していることから、「学ぶ意欲」に重点を置いた

研究に取り組むことにした。 平成27年度は、「いきいきと表現する子どもの育成~自分の考えを説明する活動を通して~」

と研究主題を設定した。自分の考えを説明する場を意図的に設定することで、学ぶ意欲が高まり

自分の考えを主体的に話そうとする態度を育成できるだろうと仮説を立て、国語・社会・算数・

理科での授業実践を通して明らかにしていくという研究目標を立てた。 平成28年度は、子どもたちのさらなる学習意欲を高めるために、「主体的に学ぶ子どもの育成

~他者と関わり合う、協働的な学習活動を通して~」と研究主題を立て直した。他者と関わりな

がら聴いたり話したりする協働的に学ぶ場を設定することで、主体的に学習に取り組む態度を育

成できるだろうと仮説を立て、協働的に課題を解決していく活動をどのように工夫していけばよ

いかを授業実践を通して明らかにするという研究目標を立てた。 目標達成のため、本校では、主体的に学ぶ力(意欲的に課題を解決していく力)を身に付けら

れるよう、学ぶ意欲を高めることを第一に考えた。そして、自分の考えを話すことを恥ずかしい

と思わせない学級づくりや、まちがっても分からなくてもみんなが関わり合いながら課題解決し

ていく協働的な活動場面がある授業をしていこうと共通理解し、研究に取り組むことにした。 (2)研究の取組

① 平成27年度の取組

ア 学習意欲を高める工夫

・ 学習活動の中に意図的に説明する場を設定し、自分の考えを進んで話す態度を育成する。

そのために、「場や形態の工夫」「掲示物の工夫」「ICT機器の活用」を手立てとする。

イ 振り返りを書かせる実践

・ 授業の終わりに振り返りを設定し、学習内容の定着や学習意欲の向上につなげる。

② 平成28年度の取組

ア 協働的な学びの場の工夫

・ 相手意識をもって考えを聴いたり、説明したりする場の工夫(理解が速い子も遅い子もみ

んなが関わり合いながら課題を解決していけるよう、聞き手側によりそった学習の展開)

イ 総合的な学習の時間における主体的な活動(問題解決的な活動を大切にする探究的な学習)

の工夫

・ 児童の願い、教師のねらいを考えて一緒に単元を考える(年間計画の整備、見直し)

・ 意見を交流させながらゴールを目指す(教科で培った力を生かす)

③全校共通の日常の取組

ア 振り返りの場の設定(授業の最後に設定、共通した振り返りの項目)

イ 家庭学習の取組(家庭学習の手引き、家庭学習コーナー)

ウ ノート指導(児童が活用しやすいノートづくり、考えを書く)

― 134 ―

(3)研究経過

度月

研究の主な取組

校内研究 校外研修

27

415(水)研究主題・目標・仮説・内容・方法の検討

3(水)研究授業 第2学年 国語「スイミー」

授業者:根城由紀子

24(水)研究授業 第3学年 国語「こまを楽しむ」

授業者:田中禎子

12(金)第1回研究指定校連絡協議会

76(月)要請訪問 第1学年 算数「ひきざん(1)」

授業者:山崎美恵子

14(月)要請訪問 第5学年 社会

「これからの食糧生産」

授業者:大川英智

29(火)要請訪問 第6学年 理科

「てこのしくみとはたらき」

授業者:福士貴人

7(月)青森県学力向上フォーラム

107(水)提案授業 第4学年 算数

「2けたでわるわり算」

授業者:尾形成子

3(土)秋田県学力向上フォーラムへ

参加(鹿角市花輪小学校・全

職員)

1127(金)三八地区学力向上実践事業研修会

(公開授業 1年~6年)

1216(水)三八地区学力向上実践事業研修会を終えて

(成果と課題等)

218(木)第2回研究指定校連絡協議会

28

414(木)研究主題・目標・仮説・内容・方法の検討

52(月)総合的な学習の時間年間計画見直し、作成 10(火)第1回研究指定校連絡協議会

29(水)要請訪問 第3学年 理科

「昆虫の体を調べよう」

授業者:近藤 雄

19(火)要請訪問 第5学年

総合的な学習の時間

「南部町のふるさと自慢探検隊」

授業者:田中 将

22(金)弘前大学附属小学校公開研究

発表会参加(全職員)

826(金)要請訪問 第1学年 算数「ひきざん(1)」

授業者:尾形成子

11 22(火)三八地区学力向上実践事業研究発表会

1214(水)三八地区学力向上実践事業研究発表会を終え

て(成果と課題等)

1 23(月)第2回研究指定校連絡協議会

― 135 ―

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2 各教科での実践

(1)2学年 算数科 学習指導案

①題材名「かけ算(3)九九をこえたかけ算」(本時4/8)

②目標 簡単な(2位数)×(1位数)のかけ算について、九九表で見つけたきまりを基に計

算の仕方を考えることができる。

③展開

段階 学習内容・学習活動 指導上の留意点 (教師の発問と課題提示)

評価の観点 及び方法等

1 フラッシュカードで九九の練習をする。

2 学習課題をつかむ。

・見通しをもつ。 九九表を使うと求められそうだ。 足していくと求められそうだ。

計算のきまりを使うと求められそうだ。

・フラッシュカードの中に(2位数)×(1位数)12×3のカードを混ぜておく。

・12×3は、九九にはないかけ算であることをおさえる。

・何を使って考えるか、各自に考える手段をもたせる。 (図・式・言葉・九九表その他)

・既習事項から予想させる。 ・数名に発表させ、解決方法の見通しをもたせる。

30

3 自力解決する。 〈ひとりでじっくり〉 「気をつけること」(観点)を意識して、自力解決する。解いたら確かめる。 (1)累加方式 12+12+12=36 (2)交換・増加方式

12×3=3×12 3×9=27 27+3+3+3=36

(3)分配方式 12×3=9×3+3×3

12×3=10×3+2×3 【仮説アの検証場面】 4 となりの友達に説明する。 ペアトーク 〈ふたりでゆっくり〉 ・自分の考えを説明し合う。 ・互いによいところを褒め合ったり、質問し合ったりする。

5 全体で発表する。 〈みんなでたっぷり〉 ・図・式・言葉を活用して説明し合う。 ・互いの意見の不足な点を補い合う。

・友だちに説明できるように、図や式や言葉や

九九表をつかって考えさせる。 ・ワークシートに考えを書かせる。

・「気をつけること」 (観点) 【式と図と説明が合っているか】 ・図、式、言葉などを使わせる。 ・「観点」についての感想を相手に伝えさせる。 ・分からないときは「分からないよ、教えて。」と言えるペアトークにする。

・完全に自力解決できていない児童や説明が 難しい児童は、できたところまで説明し、続きをペア児童と相談させる。

・発表するときは、理由を付けて説明させる。 ・観点を意識させて話し合わせる。 ・聞き手には、発表者のよいところや自分と考えの違うところなどを見付けて、感想を言わせる。

・間違いであっても、みんなで修正し合い、助け合って考えを発表させる。

・実物投影機や発表ボードを活用する。

評価規準 (ワークシート) 【規準に達しない児童への手立て】 (お助けプリントを配付し、思考の助けとする。)

10

6 学習のまとめをする。 7 学習の振り返りをする。 8 適用題を解く。

・児童が発表した図や式と言葉を関連付けてまとめる。

・本時を振り返らせる。 ・適用題を解かせる。

九九にないかけ算の、もとめかたを考えよう。

<発問> 12×3はどんな方法でできるだろ

○ま九九にないかけ算は、たしていくとき方・こうかんするとき方などの方法でもとめられる。

― 136 ―

○め

― 136 ―

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2 各教科での実践

(1)2学年 算数科 学習指導案

①題材名「かけ算(3)九九をこえたかけ算」(本時4/8)

②目標 簡単な(2位数)×(1位数)のかけ算について、九九表で見つけたきまりを基に計

算の仕方を考えることができる。

③展開

段階 学習内容・学習活動 指導上の留意点 (教師の発問と課題提示)

評価の観点 及び方法等

1 フラッシュカードで九九の練習をする。

2 学習課題をつかむ。

・見通しをもつ。 九九表を使うと求められそうだ。 足していくと求められそうだ。

計算のきまりを使うと求められそうだ。

・フラッシュカードの中に(2位数)×(1位数)12×3のカードを混ぜておく。

・12×3は、九九にはないかけ算であることをおさえる。

・何を使って考えるか、各自に考える手段をもたせる。 (図・式・言葉・九九表その他)

・既習事項から予想させる。 ・数名に発表させ、解決方法の見通しをもたせる。

30

3 自力解決する。 〈ひとりでじっくり〉 「気をつけること」(観点)を意識して、自力解決する。解いたら確かめる。 (1)累加方式 12+12+12=36 (2)交換・増加方式

12×3=3×12 3×9=27 27+3+3+3=36

(3)分配方式 12×3=9×3+3×3

12×3=10×3+2×3 【仮説アの検証場面】 4 となりの友達に説明する。 ペアトーク 〈ふたりでゆっくり〉 ・自分の考えを説明し合う。 ・互いによいところを褒め合ったり、質問し合ったりする。

5 全体で発表する。 〈みんなでたっぷり〉 ・図・式・言葉を活用して説明し合う。 ・互いの意見の不足な点を補い合う。

・友だちに説明できるように、図や式や言葉や

九九表をつかって考えさせる。 ・ワークシートに考えを書かせる。

・「気をつけること」 (観点) 【式と図と説明が合っているか】 ・図、式、言葉などを使わせる。 ・「観点」についての感想を相手に伝えさせる。 ・分からないときは「分からないよ、教えて。」と言えるペアトークにする。

・完全に自力解決できていない児童や説明が 難しい児童は、できたところまで説明し、続きをペア児童と相談させる。

・発表するときは、理由を付けて説明させる。 ・観点を意識させて話し合わせる。 ・聞き手には、発表者のよいところや自分と考えの違うところなどを見付けて、感想を言わせる。

・間違いであっても、みんなで修正し合い、助け合って考えを発表させる。

・実物投影機や発表ボードを活用する。

評価規準 (ワークシート) 【規準に達しない児童への手立て】 (お助けプリントを配付し、思考の助けとする。)

10

6 学習のまとめをする。 7 学習の振り返りをする。 8 適用題を解く。

・児童が発表した図や式と言葉を関連付けてまとめる。

・本時を振り返らせる。 ・適用題を解かせる。

九九にないかけ算の、もとめかたを考えよう。

<発問> 12×3はどんな方法でできるだろ

○ま九九にないかけ算は、たしていくとき方・こうかんするとき方などの方法でもとめられる。

― 136 ―

○め

<学習活動2 課題設定>

<学習活動4 ペアトーク>

<学習活動5 全体で伝え合い>

<学習活動7 振り返り>

振り返らせることで自分が成長したこ

とを意識させることができ、認め合う雰

囲気の中で主体的な学びになっていた。

児童は、分からない友だちの立場に立って、

他者説明を次々とつなげていった。

ペアトークに入るときに、自分の考え

を書いていないと不安になる児童が見

られた。何をどのようにどのくらい書か

せるのかを検討する必要があった。

ペアで説明する学習を積み重ねてき

た。伝え合いの観点をもたせることで、

話し手側も聞き手側もねらいに沿った伝

え合いができていた。

既習の中に未習問題をいれておいたフラッシュカ

ードを用いた。未習問題に驚いた児童の意欲が一気に

高まった瞬間。【フラッシュカードから問題を作る】

【フラッシュカードで九九の練習をする】

【ペアで伝え合う】

【実物投影機を活用して発表する】

【まとめと振り返りの板書】

― 137 ―― 137 ―

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(2)3学年 理科 学習指導案

①題材名「ものの重さをくらべよう」

②目標 粘土の形を変えたときの重さを調べる活動を通して、粘土の形が変わっても重さ

は変わらないことに気付くことができる。

③展開

学習内容・学習活動指導上の留意点

(教師の発問と課題提示)

評価の観点

及び方法等

1 前時までの確認をする。

・物には重さがある。

・持ち方によっては手ごたえがちがうことが

ある。

2 学習課題をつかむ。

・形を変えると重さが変わるかも。

・前時の学習(重さ、手ごたえのち

がい)を想起させる。

・粘土の重さをはかり、200gを確認

し、調べる学習につなげる。

30

3 予想する。

・もともとの粘土の量は変わらないから、重

さは変わらない。

・丸めると、詰まった感じで重くなる。

・細かく切った一つ一つが小さくなるから、

軽くなる。

【仮説の検証場面】

4 グループで粘土の重さを調べ、考えられるこ

とを話し合う。

・丸めても細かく切っても 200gだ。

・形を変えても重さは変わらない。

・どうして変わらないのだろう。

5 全体で確認する。

(1) 3図(立てる、丸める、細かく切る)を示

し、確認する。

・どの形も 200gだった。

(2)各班で調べた結果を表にまとめ、結果から考

えられることを確認する。

・形を変えても重さは変わらない。

・もともとの粘土の量は変わらないから、重

さも変わらないのだと思う。

・細かく切った1つ分も、全部合わせると、

切る前も切った後も全体の量は変わらない

から、重さも変わらない。

・形を変える前の重さ 200g を確認

させ、それと比べさせる。

・いろいろな形を考えさせ、理由な

どをノートに書かせる。

・ネームプレートで予想を明確にさ

せ、意見をもたせる。

・粘土が手についたりこぼれたりし

ないように気を付けさせる。

・スムーズに活動できるように、調

べる順番を考えさせる。

・ワークシートの表に結果を記録さ

せる。

・数値に目を向けさせ、重さがどう

変わったかとらえさせる。

・3図とグループで調べた形を、ICT

機器で示して確認させる。

・結果を表にして確認させる。

・他の班の結果とも比べさせること

で、誤差は切ったときのロスであ

ると気付かせる。

・形を変えても重さが変わらない理

由について考えた意見を取り上

げる。その際、考えた根拠を説明

させる。

評価規準

(ワークシート・話

合いの様子)

【規準に達し

ない児童への

手立て】

表の数値に目

を向けさせ、

重さが変わら

ないことをと

らえさせる。

10

6 学習をまとめる。

7 学習を振り返る。

・実際にはかって調べたら、重さが変わらな

いことがわかった。

・結果から、学習内容をまとめる。

・本時の学習を振り返らせ、気付い

たことや考えたことなどを表現

させる。

○か形を変えると、粘土の重さはどうなるのだろうか。

粘土は、形を変えても細かく分けても、重さは変わらない。

<発問>粘土の形を変えると、重

さは変わるのでしょうか。

200g 200g200g

○ま

― 138 ―

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(2)3学年 理科 学習指導案

①題材名「ものの重さをくらべよう」

②目標 粘土の形を変えたときの重さを調べる活動を通して、粘土の形が変わっても重さ

は変わらないことに気付くことができる。

③展開

学習内容・学習活動指導上の留意点

(教師の発問と課題提示)

評価の観点

及び方法等

1 前時までの確認をする。

・物には重さがある。

・持ち方によっては手ごたえがちがうことが

ある。

2 学習課題をつかむ。

・形を変えると重さが変わるかも。

・前時の学習(重さ、手ごたえのち

がい)を想起させる。

・粘土の重さをはかり、200gを確認

し、調べる学習につなげる。

30

3 予想する。

・もともとの粘土の量は変わらないから、重

さは変わらない。

・丸めると、詰まった感じで重くなる。

・細かく切った一つ一つが小さくなるから、

軽くなる。

【仮説の検証場面】

4 グループで粘土の重さを調べ、考えられるこ

とを話し合う。

・丸めても細かく切っても 200gだ。

・形を変えても重さは変わらない。

・どうして変わらないのだろう。

5 全体で確認する。

(1) 3図(立てる、丸める、細かく切る)を示

し、確認する。

・どの形も 200gだった。

(2)各班で調べた結果を表にまとめ、結果から考

えられることを確認する。

・形を変えても重さは変わらない。

・もともとの粘土の量は変わらないから、重

さも変わらないのだと思う。

・細かく切った1つ分も、全部合わせると、

切る前も切った後も全体の量は変わらない

から、重さも変わらない。

・形を変える前の重さ 200g を確認

させ、それと比べさせる。

・いろいろな形を考えさせ、理由な

どをノートに書かせる。

・ネームプレートで予想を明確にさ

せ、意見をもたせる。

・粘土が手についたりこぼれたりし

ないように気を付けさせる。

・スムーズに活動できるように、調

べる順番を考えさせる。

・ワークシートの表に結果を記録さ

せる。

・数値に目を向けさせ、重さがどう

変わったかとらえさせる。

・3図とグループで調べた形を、ICT

機器で示して確認させる。

・結果を表にして確認させる。

・他の班の結果とも比べさせること

で、誤差は切ったときのロスであ

ると気付かせる。

・形を変えても重さが変わらない理

由について考えた意見を取り上

げる。その際、考えた根拠を説明

させる。

評価規準

(ワークシート・話

合いの様子)

【規準に達し

ない児童への

手立て】

表の数値に目

を向けさせ、

重さが変わら

ないことをと

らえさせる。

10

6 学習をまとめる。

7 学習を振り返る。

・実際にはかって調べたら、重さが変わらな

いことがわかった。

・結果から、学習内容をまとめる。

・本時の学習を振り返らせ、気付い

たことや考えたことなどを表現

させる。

○か形を変えると、粘土の重さはどうなるのだろうか。

粘土は、形を変えても細かく分けても、重さは変わらない。

<発問>粘土の形を変えると、重

さは変わるのでしょうか。

200g 200g200g

○ま

<学習活動2 課題把握>

<予想する>

<学習活動4 検証>

<学習活動5 全体で確認>

<学習活動5 全体で確認> <学習活動6 まとめ>

導入で振り返りを紹介しながら、前時までの学

習内容を想起させた後に、児童の思いを拾いなが

ら学習課題を作ることができた。

つぶやきを拾って大まかな予想を提示。それを

参考に自分の考えをノートに書き、ネームプレー

トで自分の立場をはっきりさせた。このことは、

グループでの検証を主体的に取り組ませること

につながった。

グループで調べることで思いが伝わり

やすくなり、検証しながらもっと調べたい

という気持ちの高まりが見られ、より深い

検証が行われた。

検証結果をデジカメで撮り全体に見せた

ことで、情報を共有し、他のグループの結

果を確かめることができた。

児童の発表に対して教師が先に反応し

ていたので、児童に共感的な反応を促す

ことができるとよかった。問い返し等を

して、子ども同士の意見交流を活発に行

わせると学びをもっと深めさせることが

できたであろう。

まとめの言葉にこだわることで、さらに

児童に考えさせた。そのことで児童の言葉

でまとめることができた。予想と検証結果

から自分の学びを振り返ることができた。

【ネームプレートで立場をはっきりさせる】

【グループで検証実験をする】

【電子黒板を用いて確認する】

【実験の様子をデジカメで撮影する】

― 139 ―― 139 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)6学年 総合的な学習の時間 学習指導案

①題材名 「南部町をPRする方法を考えよう」

②目標 グループごとに、「食、自然、施設・史跡、その他」の各項目について、表を使

い、根拠をつけて話合いをしながら、「イチオシ!」を決めることができる。

③展開

段階 学習内容・学習活動指導上の留意点

(教師の発問と課題提示)評価の観点 及び方法等

1 前時の振り返りと本時の活動の確認をする。

・前の時間は、自分がPRしたいものと理由を考えた。

・今日は各グループでPRするためのものを話し合う時間だ。

2 学習課題をつかむ。

・児童の振り返りを用いて意欲を高める。

32

3 自分の「イチオシ!」をグループ内で紹介する。

・ぼくはゼネラルレクラークが「イチオシ!」です。だって、あんなに美味しい梨は無いと思うし、南部町でよく獲れるからです。

・南部藩発祥の地ということが私の「イチオシ!」です。なぜなら、発掘体験をして南部町の歴史のすごさを知ったからです。

・向小を見守ってきた名久井岳がぼくの「イチオシ!」です。向小140年の歴史を見守ってきたからです。

〔仮説イの検証場面〕4 グループの「イチオシ!」について話し

合う。・南部御霊屋を見に行った時、みんなで「すごい!」って言ったよね?実際に見てびっくりしたし、国の重要文化財になるくらいすごいものが身近にあるんだよ。やっぱりこれが「イチオシ!」だよ。

・南部太ネギは、南部町でしか作っていない幻のネギで、食べたらものすごくおいしかったんだよ。それに、テレビにも出るくらいだし、やっぱりこれを「イチオシ!」にしようよ。

5 各グループの「イチオシ!」を発表する。 ・グループごとにできたところまで発表する。

・前時までに考えた自分の「イチオシ!」について、自分がまとめたワークシートを用いて発表させる。

・発表する際には、「数字」「実績」などだけではなく「自分は~と思う」という主観的な理由も話させ、参画意識をもたせる。

・表を用いて、食、自然、施設・史跡、その他の4つに分類していく。

食 自然 施設・史跡 その他

Gイチオシ!

My イチオシ!

・食、自然、施設・史跡、その他のそれぞれについて「イチオシ!」を決めていく。

・根拠を明確にして「イチオシ!」を話し合わせる。

・「イチオシ!」の理由も説明させる。・理由に不足がある場合は、同じグループの中で補足させる。

評価規準(発表、各グループの表)【規準に達しない児童への手立て】今までに使ってきた資料を参考にさせる。

10

6 学習の振り返りをノートに書く。

7 次時の活動の確認をする。

・本時を振り返らせる。

次の時間は、自分たちのグループの「イチオシ!」をみんなにアピールする方法を考えていきます。

○め 自分の「イチオシ!」をもとに、グループの「イチオシ!」について話し合って決めよう。

・食、自然、施設・史跡、その他のそれぞれについて「イチオシ!」を決めていく。

・根拠を明確にして「イチオシ!」を話し合わせる。

〔仮説イの検証場面〕4 グループの「イチオシ!」について話し

合う。・南部御霊屋を見に行った時、みんなで「すごい!」って言ったよね?実際に見てびっくりしたし、国の重要文化財になるくらいすごいものが身近にあるんだよ。やっぱりこれが「イチオシ!」だよ。

・南部太ネギは、南部町でしか作っていない幻のネギで、食べたらものすごくおいしかったんだよ。それに、テレビにも出るくらいだし、やっぱりこれを「イチオシ!」にしようよ。

〈発問〉

自分たちが一番PRしたい「イチオ

シ!」はどれですか?

― 140 ―― 140 ―

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3 総合的な学習の時間での実践

(1)6学年 総合的な学習の時間 学習指導案

①題材名 「南部町をPRする方法を考えよう」

②目標 グループごとに、「食、自然、施設・史跡、その他」の各項目について、表を使

い、根拠をつけて話合いをしながら、「イチオシ!」を決めることができる。

③展開

段階 学習内容・学習活動指導上の留意点

(教師の発問と課題提示)評価の観点 及び方法等

1 前時の振り返りと本時の活動の確認をする。

・前の時間は、自分がPRしたいものと理由を考えた。

・今日は各グループでPRするためのものを話し合う時間だ。

2 学習課題をつかむ。

・児童の振り返りを用いて意欲を高める。

32

3 自分の「イチオシ!」をグループ内で紹介する。

・ぼくはゼネラルレクラークが「イチオシ!」です。だって、あんなに美味しい梨は無いと思うし、南部町でよく獲れるからです。

・南部藩発祥の地ということが私の「イチオシ!」です。なぜなら、発掘体験をして南部町の歴史のすごさを知ったからです。

・向小を見守ってきた名久井岳がぼくの「イチオシ!」です。向小140年の歴史を見守ってきたからです。

〔仮説イの検証場面〕4 グループの「イチオシ!」について話し

合う。・南部御霊屋を見に行った時、みんなで「すごい!」って言ったよね?実際に見てびっくりしたし、国の重要文化財になるくらいすごいものが身近にあるんだよ。やっぱりこれが「イチオシ!」だよ。

・南部太ネギは、南部町でしか作っていない幻のネギで、食べたらものすごくおいしかったんだよ。それに、テレビにも出るくらいだし、やっぱりこれを「イチオシ!」にしようよ。

5 各グループの「イチオシ!」を発表する。 ・グループごとにできたところまで発表する。

・前時までに考えた自分の「イチオシ!」について、自分がまとめたワークシートを用いて発表させる。

・発表する際には、「数字」「実績」などだけではなく「自分は~と思う」という主観的な理由も話させ、参画意識をもたせる。

・表を用いて、食、自然、施設・史跡、その他の4つに分類していく。

食 自然 施設・史跡 その他

Gイチオシ!

My イチオシ!

・食、自然、施設・史跡、その他のそれぞれについて「イチオシ!」を決めていく。

・根拠を明確にして「イチオシ!」を話し合わせる。

・「イチオシ!」の理由も説明させる。・理由に不足がある場合は、同じグループの中で補足させる。

評価規準(発表、各グループの表)【規準に達しない児童への手立て】今までに使ってきた資料を参考にさせる。

10

6 学習の振り返りをノートに書く。

7 次時の活動の確認をする。

・本時を振り返らせる。

次の時間は、自分たちのグループの「イチオシ!」をみんなにアピールする方法を考えていきます。

○め 自分の「イチオシ!」をもとに、グループの「イチオシ!」について話し合って決めよう。

・食、自然、施設・史跡、その他のそれぞれについて「イチオシ!」を決めていく。

・根拠を明確にして「イチオシ!」を話し合わせる。

〔仮説イの検証場面〕4 グループの「イチオシ!」について話し

合う。・南部御霊屋を見に行った時、みんなで「すごい!」って言ったよね?実際に見てびっくりしたし、国の重要文化財になるくらいすごいものが身近にあるんだよ。やっぱりこれが「イチオシ!」だよ。

・南部太ネギは、南部町でしか作っていない幻のネギで、食べたらものすごくおいしかったんだよ。それに、テレビにも出るくらいだし、やっぱりこれを「イチオシ!」にしようよ。

〈発問〉

自分たちが一番PRしたい「イチオ

シ!」はどれですか?

― 140 ―

<学習活動3 考えの伝え合い>

<学習活動4 グループで整理>

<学習活動4 グループで整理>

<学習活動5 全体発表>

<学習活動6 振り返り>

全体で発表する時、作成したグループの

「イチオシ!」をタブレットで撮ってすぐ

に見せることは、児童の学びを助けること

につながった。

グループの話合い時に思考ツールとし

て、マトリックス表を活用することにより、

グループの「イチオシ!」を整理するこ

とができた。

他者との関わりとして、グループの友だちの

発表を聴いて、その考えに同意したらシールを

貼るという手立てをとったことにより、話すこ

とが苦手な児童も自分の意思表示をすること

ができた。

自分の「イチオシ!」を伝える際の根拠をど

のレベルまで児童に求めるか(自分の思いをも

とにした根拠なのか、資料をもとにした根拠な

のかなど)をそろえておけば話合いの観点がは

っきりしただろう。

授業の終わりに毎時間設定すること(ふり

かえりシートの活用)により、何をどう学ん

だかを含めた学びの価値に気付くことがで

きた。

【聞いたり話したりしながらまとめている】

【マトリックス表を用いて整理する】

【実物投影機を用いて発表する】

【振り返りシートに記入する】

― 141 ―― 141 ―

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4 研究のまとめ

(1)児童の変容(アンケートから)

5月と11月に児童アンケートを実施。項目の中から研究内容に関わる以下の5項目を考察する。

① 友だちの前で自分の考えや意見を発表することは得意ですか。(意欲)

・安心して話せる学級づくりを心掛け、ペアや

グループなどの学習形態の工夫、自分の考え

をもたせる工夫などの手立てをとったことで、

「そう思う」が11%増え、意欲的に学習に

取り組んだことが分かる。自分の考えを他者

に話すことで理解が深まって学習意欲が増し、

得た知識をもとにまた他者に話したくなると

いうサイクルの中に学ぶ楽しさや成就感を味

わい主体的な学びとなってきた。ただ、「そう

思わない」が約6%増えた。これは、学習に取り組む意識が向上し、現状では満足せず自分

の目指す姿や目標が高くなったからと肯定的に捉えている。

② 友だちと話し合うとき、話や意見を最後まで聞くことができましたか。(聴く)

・「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の割合は90%を超えている。話合いの観

点を与えたことで、相手意識をもって聴い

たり、自分の考えと比べて聴いたりするこ

とができた。また、うなずく、つぶやくな

どの反応を意識させたことで、話や意見の

内容の理解につなげることができた。聴く

ことは、考えや根拠の明確化につながり、

その後の課題解決に向かうことができた。

③ 授業でペアやグループ活動の時に友だちに自分の考えを伝えていますか。(話す)

・「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の割合は11月が93.5%になり、「そう思

う」が12%高くなった。低学年時から

ペアで説明する学習を積み重ねてきた効果

もあり、全体の場では話せなくても、少人

数なら恥ずかしがらずに言えるという感想

が多くあった。これは、学習場面に合わせ

てペア・グループ・全体を適宜設定し、根

拠や理由を付けて自分の考えを言わせたこ

とで、他者と関わりながら課題を解決していく主体的な学びにつながった。

④ 授業では、学級全体やグループの中で課題解決に向けて、話し合いをしながら整理したり、

発表したりする学習活動に取り組むことができましたか。(協働)

・「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の割合は90%を超えている。ICT機器

の活用で、ワークシートやノート、資料を

分かりやすく提示できるので、全体で話合

いをする時の助けになり、課題解決につな

27.8%

38.9%

38.1%

25.9%

25.8%

20.4%

8.2%

14.8%

5月

11月

自分の考えや意見を発表するのは得意(意欲)

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

57.7%

64.8%

36.1%

29.6%

3.1%

4.6%

3.1%

0.9%

5月

11月

話や意見を最後まで聞くことができた(聴く)

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

44.5%

56.1%

44.5%

37.4%

10.0%

4.7%

0.9%

1.9%

5月

11月

ペアやグループ活動で自分の考えを伝える(話す)

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

38.1%

47.2%

48.5%

44.4%

11.3%

7.4%

2.1%

0.9%

5月

11月

話し合いながら解決(協働)

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

― 143 ―

がった。また、思考ツールの活用は、自分の

考えを伝えやすくし、考えの共有ができた。

そして、学ぶ楽しさやよさに気付くことにつ

ながった。

― 143 ―

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⑤ 授業で学習内容を振り返る活動をよく行っていたと思いますか。(振り返り)

・「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の割合は95%を超え、5月より10.8%増

えた。授業の終わりに振り返りの場を設定

し、振り返りの観点をそろえた振り返りシー

トを学級に掲示する手立てをとった。

全学年・全教科で実践したことで、学習事

項やどう学んだかを確認することができ、

学習意欲の向上や持続につながった。

アンケート結果を見ると、どの項目も11月の方が「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の数値が高くなっている。2年間の研究により、学習意欲が向上し、他者と関わりながら学習す

ることに慣れてきて主体的な学びにつながったと考える。また、振り返りの設定も学習意欲の向

上に有効であった。総合的な学習の時間では、思考ツールの活用と協働的な学びになるような単

元構成や学習過程の工夫により、主体的な取り組みが見られた。

(2)研究の成果

① 授業の充実から

ア 学習意欲を高める工夫

・ 板書の工夫(板書構成の共通化、マグシートの活用)や振り返りの場の工夫(観点をそ

ろえ、「振り返りシート」を掲示)により、全教科・全学年で見通しをもって学習すること

ができた。

・ 実物投影機を活用して資料や課題を提示したり、ノートやワークシートを大きくして提

示したりしたことは、児童の集中力や意欲の高まりに有効であった。

・ ICT機器(デジカメ、タブレット、電子黒板、実物投影機)を活用することで、考え

の共有がしやすくなり、児童の学びを助けることにつながった。

イ 振り返りを書かせる実践

・ 振り返りの場を設定したことは、学習したことの確認(わかったこと・わからないこと)

や学習意欲の継続に効果があった。

・ 前時の振り返りを用いて作った学習課題を提示したことは、課題解決への意欲につなが

った。

ウ 協働的な学びの場の工夫

・ 自分の考えを説明する場で、イメージマップを使ったり、話合いの観点を与えたり、話

し始めのカードを持たせたりしたことで、課題からずれることなく話合いができた。

・ 伝え合う場をペア、グループ、全体のように教師がねらいをもって適宜設定することで、

児童相互で課題や疑問を解決しようとする姿が見られた。

・ 考えを聴く場では、うなずく、首をかしげる、「なるほど・いいね・わかる・近い」など

の反応をさせることで、相手の考えを理解しようとして聴く態度が育ち、主体的な学びへ

つながった。

・ 考えを伝える場では、友だちの名前を言って話し始めたり、「きっと・だって・だから」

などの言葉から話し始めたり、「~だからですよね・ここまでいいですか。」など語りかけ

る話し方をしたりすることで、相手意識をもつことにつながり協働的な学習が展開できた。

・ 考えに根拠をもつことで、自分の考えと他者との考えを比較できたり多様な考えに気付

いたりでき、主体的に話そうとする態度を育てることにつながった。

57.7%

68.5%

30.9%

26.9%

11.3%

4.6%

0.0%

0.0%

5月

11月

授業での振り返り

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

― 144 ―

エ 総合的な学習の時間における主体的な活動の工夫

・ 総合的な学習の時間の全体計画や年間指導計画の見直しをすることにより、他学年との

関連や活動内容、活動方法などの確認をすることができた。

― 144 ―

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⑤ 授業で学習内容を振り返る活動をよく行っていたと思いますか。(振り返り)

・「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の割合は95%を超え、5月より10.8%増

えた。授業の終わりに振り返りの場を設定

し、振り返りの観点をそろえた振り返りシー

トを学級に掲示する手立てをとった。

全学年・全教科で実践したことで、学習事

項やどう学んだかを確認することができ、

学習意欲の向上や持続につながった。

アンケート結果を見ると、どの項目も11月の方が「そう思う」「どちらかというとそう思う」

の数値が高くなっている。2年間の研究により、学習意欲が向上し、他者と関わりながら学習す

ることに慣れてきて主体的な学びにつながったと考える。また、振り返りの設定も学習意欲の向

上に有効であった。総合的な学習の時間では、思考ツールの活用と協働的な学びになるような単

元構成や学習過程の工夫により、主体的な取り組みが見られた。

(2)研究の成果

① 授業の充実から

ア 学習意欲を高める工夫

・ 板書の工夫(板書構成の共通化、マグシートの活用)や振り返りの場の工夫(観点をそ

ろえ、「振り返りシート」を掲示)により、全教科・全学年で見通しをもって学習すること

ができた。

・ 実物投影機を活用して資料や課題を提示したり、ノートやワークシートを大きくして提

示したりしたことは、児童の集中力や意欲の高まりに有効であった。

・ ICT機器(デジカメ、タブレット、電子黒板、実物投影機)を活用することで、考え

の共有がしやすくなり、児童の学びを助けることにつながった。

イ 振り返りを書かせる実践

・ 振り返りの場を設定したことは、学習したことの確認(わかったこと・わからないこと)

や学習意欲の継続に効果があった。

・ 前時の振り返りを用いて作った学習課題を提示したことは、課題解決への意欲につなが

った。

ウ 協働的な学びの場の工夫

・ 自分の考えを説明する場で、イメージマップを使ったり、話合いの観点を与えたり、話

し始めのカードを持たせたりしたことで、課題からずれることなく話合いができた。

・ 伝え合う場をペア、グループ、全体のように教師がねらいをもって適宜設定することで、

児童相互で課題や疑問を解決しようとする姿が見られた。

・ 考えを聴く場では、うなずく、首をかしげる、「なるほど・いいね・わかる・近い」など

の反応をさせることで、相手の考えを理解しようとして聴く態度が育ち、主体的な学びへ

つながった。

・ 考えを伝える場では、友だちの名前を言って話し始めたり、「きっと・だって・だから」

などの言葉から話し始めたり、「~だからですよね・ここまでいいですか。」など語りかけ

る話し方をしたりすることで、相手意識をもつことにつながり協働的な学習が展開できた。

・ 考えに根拠をもつことで、自分の考えと他者との考えを比較できたり多様な考えに気付

いたりでき、主体的に話そうとする態度を育てることにつながった。

57.7%

68.5%

30.9%

26.9%

11.3%

4.6%

0.0%

0.0%

5月

11月

授業での振り返り

そう思う どちらかというとそう思う

どちらかというとそう思わない そう思わない

― 144 ―

エ 総合的な学習の時間における主体的な活動の工夫

・ 総合的な学習の時間の全体計画や年間指導計画の見直しをすることにより、他学年との

関連や活動内容、活動方法などの確認をすることができた。

・ 思考ツール(マトリックス表)の活用、ポートフォリオの活用により、考えたことの見え

る化につながり、考えを共有しながら主体的・協働的な活動の手立てとなった。

・ 年間指導計画の中に、大きな単元のサイクルの中に小さな単元のサイクルを設定するこ

とで、探求のスパイラルが続き学ぶ意欲を高めることができた。

② 校内研を核にした研修体制から

・ 研究 1 年目は、上学年ブロック、下学年ブロックに分かれて教材研究や指導案検討、授

業準備を行った。しかし、全員が授業公開を行うにあたり、十分なブロック研修の時間が

取れず、個人研修が中心となり研究の深まりが少なかった。そのことから、2年目は、低、

中、高学年の3つのブロック体制を組んだ。ブロック長を中心に研修部と連携をとりなが

ら各ブロックで教材研究や指導案作成を行い、全体で指導案検討後、再度ブロックで相談

し授業を行ってきたことは、研究の深化につながった。

・ 授業発表するにあたり、先進校の授業を見ることが必要だと考え、全員で同じ研修会に

参加した。1年目は、秋田県学力向上フォーラム(花輪小学校)、2年目は、弘前大学附属

小学校公開研究会へ参加し、後日全員で意見交換し参考になるところは日々の授業実践に

取り入れてきた。また、青森県学力向上フォーラム、お茶の水女子大附属小、宮城教育大

附属小へ複数人数で参加したり、北海道教育大学附属函館小、新潟大学附属小へ参加した

りして、研修報告や資料提供などを行い、研究を深めた。

・ 授業者及び同ブロック員が三八教育事務所指導主事の要請訪問を実施することで、県指

定校としての概要を踏まえた研究の方向性の確認と、教科指導の充実を図ることができた。

(3)今後の課題

① 研究組織体制

研修を深めるために、先生方がざっくばらんに授業や児童について話ができるよう、また

ブロック体制を整えて研修日や研修時間を有効に使っていかなければならない。

② 探究的な学習のプログラムの実践

総合的な学習の時間、生活科の学習においては、各教科との関連はもちろん道徳との関連

も重視した年間指導計画や単元指導計画を立てなくてはならない。

③ 日々の授業において

・ 協働的に課題を解決する場の設定や形態の工夫で学習意欲は高まってきた。今後は、児童

が主体的に意欲をもって取り組める課題提示や設定の仕方、主発問や補助発問の研究が必要

である。

・ 主体的な学びを目指した学習を効果的に展開するため、時間内で学習活動を終えるための

手立ての精選をしなければならない。

・ 教師は、児童に共感的な反応を促して、つぶやきを拾ったり、問い返しをしたりする役目

をすることにより、対話的な学びを深めさせることができる。

・ まとめと振り返りの違いを理解し、振り返りを感想で終わらせないように、児童の考えを

揺さぶる場面のある学習展開を工夫していかなければならない。

・ 総合的な学習の時間は、単元指導計画があることで学習内容や活動について具体的にイメ

ージでき、見通しをもって取り組んでいけるので、きちんと作成する必要がある。

・ 分かる子も分からない子も全員がつぶやいたり、発言したり、聴いてもらえたりするなど、

安心して学習できる学級の雰囲気づくり(学級経営)を大切にしていく必要がある。

― 145 ―― 145 ―

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研究指定校の取組の様子

― 146 ―

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- 2 -

1 研究の概要

(1)研究目標

本校では「確かな学力を身につけ、自ら進んで学ぼうとする生徒の育成~基礎的・基本的

な知識・技能の活用を図る学習活動と探究活動の工夫~」のテーマのもと、「生徒の実態把

握に基づいた課題の設定や具体的な授業展開の工夫などの指導法を研究し実践することによ

って、基礎的・基本的な知識・技能の活用が図られ、進んで学習に取り組むことができるよ

うになることを実践を通して明らかにする」を目標として研究に取り組んだ。

(2)研究の取組

研究の内容は①~④の4点とし、以下のような取組を行った。

① 学習意欲や課題意識を高めるための協働的な学びの場面設定の工夫

ア 個の考えや気付きを確認した後のペア学習や、グループ活動の設定

イ 協働的な学習の後の、個に返す場面の設定

ウ ICTを活用した授業展開の工夫

② 学習した内容や方法、気付きを定着させるためのまとめと振り返りの工夫

ア 学習した内容を自分なりの言葉でまとめる場面の設定

イ 学習日記の振り返りコーナーへの記述内容による定着の確認

③ 基礎的・基本的な知識・技能の活用を図る学習活動の工夫

ア 学習した言葉や技能を活用して、新たな課題に取り組ませる工夫

イ 導入の段階での前時の学習内容の確認の徹底

④ 総合的な学習の時間における探究的な学習の工夫

ア 「新郷村の未来を創ろう」という全校テーマに沿った学年計画の立案

イ 「ふれる、見通す、考える、深める、まとめる、発表する、振り返る」という学習

の流れの実践

ウ 調査、考察、話合いの場面の充実

英語科と数学科では従来から行っていた習熟度別学習の単元指導計画や評価方法の見直し

を行い、学習内容をより定着させるように努めた。さらにTTを活用した授業では、それぞれ

の役割を明確にし、生徒個々の実態に応じた指導の強化を図った。

生徒の変容を確認する方法としては、年2~3回の学習アンケートの実施、月ごとの学習

日記の活用状況のアンケートを行い、結果をもとに授業改善を心がけた。

【学習日記より抜粋】

〈今日の学習の振り返り〉

教科 わかったこと、気が付いたこと、感じたことなど 疑問に思ったこと

わからなかったこと、質問

― 148 ―― 148 ―

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- 3 -

(3)研究経過

【研究内容】①学習意欲の向上や課題を自分自身のものとして意識させる工夫

②意見交換や話合い、学び合いのための学習形態の工夫

授社会科 学習形態の工夫(協働的な学び)・ICTの活用

業 フラッシュカードの活用(習得)

研平 各 究 数学科 習熟度別学習・T2の役割・学習の手引き

成 英語科 課題設定・評価のポイント

二 教

十 目標とまとめの明確化・学習形態の工夫・既習事項を使

七 科 全教科 ったコミュニケーション活動・「もの」「こと」「ひと」

年 他 を関連付けて考えさせる授業展開

学習アンケート 4項目について6月と10月で比較し変容を確認

総 ①全体計画の見直し 各教科の学習内容との関わり・全学年を通した学習の柱

合 ②学年計画の見直し の設定・実施時期の確認・地域との関わり

【課題】①既習事項を活用して考えを深めたり広げたりする場の設定

②授業の「振り返り」の場の設定

【研究内容】①学習意欲や課題意識を高めるための協働的な学びの場面設定の工夫

②学習内容や方法、気付きを定着させるためのまとめと振り返りの工夫

③基礎的・基本的な知識・技能の活用を図る学習活動の工夫

④総合的な学習の時間における探究的な学習の工夫

理科(要請訪問) ・「協働的な学習の場面」の設定の仕方

授指導案検討会 ・「まとめ」を生徒自身の言葉で説明させる工夫、また、

平 業 そのための教材の精選や教具の工夫

成 各 研二

究社会科(要請訪問) ・生徒の興味を引き付ける課題提示の工夫

十 教 指導案検討会 ・小学校での学習内容の確認

八 ・「まとめ」を受けた「本時の振り返り」の充実

年 科度 学習アンケート ・5項目について、6月・9月・12月で比較

他学習日記の実施 と ・授業で学習したことの確認・小学校との共同実践

アンケート ・家庭学習の習慣化 ・テスト勉強への活用

総①全校共通のテーマ設定 ・「村の未来を創ろう」→「創郷タイム」と命名

合 ②探究的な学習の推進 ・「ふれる、見通す、考える、深める、まとめる、発表

する、振り返る」学習の流れの再確認と実践

― 149 ―― 149 ―

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- 4 -

2 各教科での実践

(1)1学年 理科 学習指導案

①本時の題材 「光はどのように進むか」(本時5/6)

②本時の目標 物体の像が2つに見えるときの光のすじを、光の屈折のし方をもとに説明

することができる。

③本時の指導過程

段 学習内容・学習活動 指導上の留意点 評価の観点

階 (教師の発問と課題提示) 及び方法等

導 1 前時までの学習内容を確認する。 ・光の屈折のし方を復習させる。 *演示実験装置

入 2 演示実験を見る。 ・1つのグループに生徒を集め、 ①

5 ・水中に像が2つできるようすを 実験方法を丁寧に示しながら進

分 見る。 める。

3 本時の学習課題を確認する。 ・本時の学習課題をワークシート

に書かせ、全員に読ませる。

<学習課題> *屈折観察器具

なぜ、水中に2つの像ができたのか。 ①②

展 4 現象を検討する。 <発問①> 評価規準①

・屈折観察器具を使い光の進み方 ・水中のライトから出た光は、 (発言、行動観

開 を考え、作図後、現象を検討し、 どんな道すじを通って目に届 察、ワークシー

説明をワークシートに記入する。 き、2つの像ができたのか。 トへの記入内

容)

  5 グループで、作図を使い説明し ・ルールに沿って話し合わせる。 規準に達しない生徒への手立て

あい、ホワイトボードにまとめる。・個人のワークシートに書かせる。 ・光の進み方を

分 確認させ、思

6 グループの意見を発表し全体で ・黒板前で、ホワイトボードを移 考の手立てと

共有する。 動しながら意見を分類する。 する。

【仮説の検証場面】 ・条件など何を

知識・技能を活用しながら話し合い、相互に学び合う学習形態を通 説明しようと

して確かな学力の育成が図られ、進んで学習に取り組むことができる。 しているのか

確認させる。

7 光の進み方を確認する。 ・作図例や「光の道すじわかる君」

・光の進み方を確認し、像のでき を用いる。

る位置を確認する。 ・生徒とのやりとりの中で、像の

ま でき方を説明していく。

と 8 本時の学習内容をまとめる。

め <まとめ>

像①物体から出た光が水面で屈折し、目に入るため、光の来た方向に浮かんで見える。

  像②物体から出た光が前面で屈折し、目に入るため、光の来た方向である手前に見える。

  ・ワークシートにまとめを書く。 ・作図と文章で書かせる。

9 本時の学習を振り返る。 ・演示実験装置②を使う。 *演示実験装置

・3つ目の像を観察し、学習内容 ・生徒とのやりとりの中で、像の ②

をもとに像ができる理由を考える。 でき方を考えさせる。

― 150 ―

35

10

― 150 ―

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- 5 -

【演示実験①を見る】

日常の科学的事象と関連付けた課題で

あり、比較的とりかかりやすいと思って

いたが、振り返りカードの事前調査にも

徒も見られた。

あったように、なかなか予想できない生

【自作光源装置】

光源装置を自作したことで、一人一つ

ずつの実験器具を使い検証することがで

きた。また、レーザー光源ではないため、

安全面の向上も期待できた。

【個人で考える】

グループで話合う前は、必ず自分の意

見を考える時間を設けている。自分の意

見には、必ず根拠も記入することが決ま

りである。話合い活動を行う準備をする

ことができた。

【グループでの話合い】

司会、記録、発表の役割分担がされて

おり、スムーズに話合いが行われた。ク

リアボードを使用したことで容易に作図

し意見をまとめることができた。クリア

ボードの中には、作図用の図が入ってお

り、それを使いながら光の道すじを作図

し、意見を説明したり、話し合ったりす

ることができていた。

ホワイトボードを黒板に貼ることでグループの意 【グループの意見の発表】

見を全体に提示しながら発表することができ、ま

た、各グループの意見の比較も容易にすることが

できた。

像③の作図を最初に思いついた生徒が多かった

ため、演示の段階で3つ目の像について触れ、課

題にも含めながら授業を展開しまとめるべきであ

った。

― 151 ―― 151 ―

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- 6 -

(2)2学年 社会科 学習指導案

①本時の題材 「日清戦争」(本時2/6)

②本時の目標 日清戦争の背景や結果などについて理解するとともに、その後の三国干渉

等の情勢について、資料をもとに考えることができる

③本時の指導過程

段学習内容・学習活動

指導上の留意点 評価の観点

階 (教師の発問と課題提示) 及び方法等

  1 前時の学習内容に関する復習問 ・前時の学習内容の復習問題を出 正解数を挙手で

  題を解く。 題する。 確認する。

2 ビゴーの風刺画「魚つりの会」 ・日清戦争直前の朝鮮をめぐる対

を見て、日清戦争直前の朝鮮をめ 立や日清戦争の既習事項につい

ぐる国々の対立について、確認す て、4つの国を使って確認させ

る。 る。必要に応じて補説する。

展 3 学習課題を確認する。 ・学習課題を提示する。

開 〈学習課題①〉 評価基準①

日清戦争はどのような戦争で、どのような結果をもたらしたのか。 (ノートの記述)

規準に達しない生徒への手立て

  4 教科書や資料をもとに調べる。 ・調べたことをノートにまとめさ ・教科書の記述

  ・日清戦争はどんな戦争だったか せる。 をもとに調べ

分 ・日清戦争直後の様子

38

導入5分

るように促

・条約締結から三国干渉までの動 ・教科書の記述を用いて説明させ す。

き る。

〈学習課題②〉 評価基準②

どうしてロシアは、日本に遼東半島の返還を要求したのか。 (ノートの記述

や話合い活動の

5 ロシアが返還を要求した理由を ・教科書のどの資料や記述を使え 内容)

個人の考えをもとに班で話し合い ば調べられるか見通しをもたせ 規準に達しない生徒への手立て

まとめる。 て、個人、班の順に考えさせる。 ・教科書の記述

【仮説の検証場面】 と資料の関連

学んだことをもとにしてさらに考える場面を設定することで、意欲 について具体

的に課題解決に取り組み、学習内容の定着や理解の深まりにつなげる 的に助言す

ことができる。 る。

6 三国干渉後の日本の様子につい ・三国干渉後の日本の様子につい

て、教科書を読み確認する。 て、教科書を読み確認させる。

時間がなければ次時に扱う。

7 本時の振り返り(学んだことや ・本時の振り返りをノートにまと

ま わかったこと、疑問に思ったこと めさせる。

と など)をノートにまとめる。

め 〈まとめ〉

7 日本は日清戦争により朝鮮を手に入れたが、遼東半島をめぐって

分 ロシアと利害がぶつかり、日露戦争へと発展していく。

― 152 ―― 152 ―

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- 7 -

【説明場面】

代表生徒を一人指名し、全体に説明させ

たことで、課題の提示にスムーズに移行す

ることができた。

【個人で調べる活動】

教科書の本文を参考に調べる活動だっ

たので、比較的容易に内容を把握するこ

とができた。

しかし、テンポが速すぎて、調べるこ

とができない生徒がいたので、確認作業

や支援をする必要があった。

【ペアで確認】

本時だけでなく、これまでの学習内容を

もとに、課題に対しての予想や考えをもつ

ことができた生徒がいた。

【グループで考える】

【振り返り】

本時の振り返りをノートにまとめさせること

はできたが、全体で発表させたり、共有させた

りする時間がもてなかった。

展開部分の精選や軽重によって、まとめの時

間を確保するように努めたい。

― 153 ―― 153 ―

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- 8 -

3 総合的な学習の時間<創郷タイム>での実践

(1)3学年 単元指導計画 ~ライフマネージメント編~

学 年 興味・関心に基づいてテーマを選び、問題解決や探究活動に主体的に取り組むこと

目 標 を通して、自己のものの考え方、生き方を模索し、実生活に活かす力を身に付ける。

題材名 地域を知ろう③(他の市町村との比較)

指 導 ①地域特産品販売作戦(2)・・・平成28年4月、修学旅行で実施

内 容 ②郷土学習(調査活動と文化祭での発表)

③ライフプランニング

評価の観点 ①課題発見力 ②課題解決力・思考力

③自己表現力・コミュニケーション能力 ④自己の生き方・実践力

月 学習の流れ 学 習 活 動 評 価 各教科との関連

① ② ③ ④ 教師の支援など

6 ふれる ・ガイダンス <社会>

・販売体験で気付いたこと(現在) ○ 地域の実態

・新郷村で生きて行くには(未来) 調査の仕方

見通す ・世帯数が増えている地域の調査 ○ ○ <技術・家庭>

考える ・新郷村との比較 PCの活用

・インタビューの準備 ○ <国語>

インタビュー

7 深める ・新郷村、階上町、八戸市(田向地 ○ の仕方

区と白山台地区)での調査

・お礼状作成 ○ ○ 手紙の書き方

8 まとめる ・体験のまとめと学級での発表 ○ ○ ○ <国・美・数>

発表する 【教師の支援】

9 ・調査結果をもとに、世帯数を増や ○ ○ ○ まとめ方

振り返る すための村作り案(未来予想図) 発表

の作成 視聴覚機器

・未来予想図の発表と再検討 ○ ○

見通す

10 考える ・過疎化に悩む地域を題材にした演 ○ ○ ○ <国・美・技・

深める 劇への取り組み 家・音など>

発表する ・文化祭での発表(地域への発信) ○

11 振り返る ・村で生きてきた自分と、これから ○ ○ ○ 【教師の支援】

12 考える の自分の生き方を考えた「自分史 村で生きること

深める (未来予想図含む)」の作成 を前提にする

1 まとめる ・学級での発表 ○ ○

2 発表する

― 154 ―― 154 ―

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4月の修学旅行で実施した「特産 【販売体験】 【村民憲章】

品販売」の経験と「村民憲章」をも

とに、1年間の学習の課題を発見さ

せた。地元から遠く離れた場所での

経験が興味関心を高めた。

【役場での講義】

役場での「村の活性化」の講義や、

3地区での調査活動によって、そこに

住む人々の様々な考え方に触れること

ができた。調査を進めながら、インタ

ビューの対象者や内容を変えるととも

に、新たな疑問や活性化への課題を発

見した。

【調査活動】 調査活動では他地域への移動手段が

問題となった。当初は公共交通機関を

利用する予定であったが、時間的な問

題があり、バスを借り切っての移動と

なった。訪問する地域の選定には更に

考慮が必要である。

【演劇の1シーン】

「過疎化」による住人たちの悩みや、「そこ

に住み続けるか否か」で議論するセリフを通

して、新郷村と自分との関わりを再考する様

子がうかがわれた。また、監督を中心にして

観客にどのように訴えかけるべきかを話合う

姿も見られた。

・6月から2月までを通した単元であり、調査活動やグループでの話合い活動の時間をゆ

とりを持って設定できた。

・本単元指導計画を含め、各学年の3年間の流れをまとめた計画も作成したことで、次年

度の取り組みや計画の見通しを立てやすくなった。

・各教科との関連では、教科担当者との学習の進度や内容の確認を計画段階で密にするこ

とが重要であることに気付いた。

・演劇への取り組みでは、台本づくりから実施する予定であったが、現3年生には経験が

なく、オリジナルの台本をあきらめた。1年次から学習内容の発表の仕方などに工夫を

凝らし、経験を積ませる必要があると思われる。

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(2)3学年 総合的な学習の時間(創郷タイム) 学習指導案

①本時の題材 「 オラぁ、新郷さ住むだ!」(本時28/49)

②本時の目標 前時までの調査結果をもとに、グループで意見交換や情報の取捨選択を

して、将来の新郷村の姿について広く深く考えることができる。

③本時の指導過程

段 学習内容・学習活動 指導上の留意点 評価の観点

階 (教師の発問と課題提示) 及び方法等

導 1 前時までの確認 ・4月から前時までの流れを確認

入 ・創郷タイムの柱と前時までの流れを ・ A サービス向上

5 確認する。 B インフラ整備

分 ・各グループのテーマ確認をする。 C 新規参入企業誘致

2 学習課題の確認

<学習課題> 「オラぁ、新郷さ住むだ!」

~調査結果をもとに、自分たちが住みたい村の将来の姿を考えよう~

開 3 前時に話合った「住みたい村の姿」 ・他のグループは、意見を述べる。

を発表し、質疑応答する。 (アドバイス・疑問点・異議 etc.)

40

分 4 3を受けて、再度話合いをする。

<発問①> 評価規準①

<予想される話し合いのポイント> ・「住みたい村」を実現させるため 規準に達しない生徒への手立て:

A サービスを提供する人や物の確保 にはどうすればよいか具体的に考 ・インタビューや

B 予算・道路を創る場所の確保 えよう。 アンケート、役

C 企業をこの村で継続させる方法 場での講話の中

・調査資料の見返しや理由付け からポイントに

なる部分をヒン

【仮説の検証場面】 トとして示す。

これまでに集めた情報をもとにして、新郷村の発展を願いながら、意見

の集約・取捨選択・具体化を図ることで、進んで学習に取り組む姿を見る

ことができる。

4 発表する 新郷村の将来像について自分の考え

と比較しながら、発表を聞かせる。

ま 5 今日の学習を振り返って

と ・最初の自分の考えと比較して、気付 ・内容についての感想や気付きになる 感想発表

め いたこと、考えたことをワークシー ように助言する。 ワークシート

5 トに記入する。

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【発表場面1】

最初の発表場面では、発表内容や順序の

説明が不足したため、班ごとに視点や発表

の仕方がバラバラになり、その後の質疑応

答が深まらなかった。

【話合いの場面】

話合いの場面では、役場職員の方のアド

バイスをいただきながら、深まりのある話

合いを進めた班もあったが、視点が定まら

ず、最初の発表からの変化が少ない班もあ

った。1つの視点について深く考えるよう

に助言の方法を工夫する必要があった。

【発表場面2】

自分たちの考えを上手にグルーピングし

て発表する班もあった。また、新しいこと

を誰かにしてもらったり、作ってもらった

りするだけでなく、今現在の自分たちや住

民自らできることを率先して実施すること

で、ここに住むことの良さを訴える班もあ

った。

【役場職員の方の感想】

役場職員の方から、「取り入れてみたい」

とか「検討させてもらいます」という言葉

をいただいて、これまで調査したり考えた

りしたことの達成感や充実感を味わってい

た様子から、外部講師の活用は大変有効で

あったと感じた。

【振り返り】

振り返りの場面で時間がなくなってしま

い、感想や考えたことをじっくり記入させ

ることができなかった。時間配分に工夫が

必要であった。

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4 研究のまとめ

(1)生徒の変容

① 本研究に取り組んだことで、全学年の生徒たちの声に勢いと張りが生まれた。協働的な

学びの場面で意見交換や話合いをすることで、自分で考えたことや問いへの答えに自信を

もつようになり、安心して発言できるようになったためだと思われる。

② 今年度から取り組んでいる「学習日記」では、本時の学習ページや使用プリントをメモ

するコーナー、授業で学んだことの振り返りをするコーナーがあり、定期テストの際に活

用していると答えた生徒は確実に成績を伸ばしていることが明らかになった。

③ 総合的な学習の時間では、地域に密着して課題を設定し解決していく過程で、自ら解決

方法を模索し、積極的に活動する姿がみられるようになった。これらの活動を通して、一

つの課題を解決してもそこで終わりではなく、新たな疑問をもったり別の解決方法を探っ

たりする生徒が増えてきたように思われる。

学習アンケートの結果からも、年度当初と比較してほとんどの項目で数値が上昇している

ことから生徒たちの学習に対する意欲や取組の変容を確認することができた。

全教科・総合の学習アンケートの項目より抜粋(5/10)

4段階による自己評価 H 28.6 H 28.9 H 28.121 授業には自分から進んで取り組んでいますか。

2 授業の内容は理解できていますか。

3 前の時間やそれ以前に学習したことを活用して考えたり、

問題を解いたりしていますか。

4 その日の授業で「わかったこと」や「気付いたこと」につ

いて振り返っていますか。

5 「総合的な学習の時間」では、他の教科で学んだことを活

用して取り組んでいますか。

(2)研究の成果

① ミニホワイトボードやフラッシュカードなどの教具の工夫により、学習内容への興味・

関心が高まり、活発に発言する生徒が増えた。

② 既習事項の確認の場面を設定することで、知識・技能の定着が図られてきた。

③ 協働的な学びの場面を数多く設定することで、意見交換の回数が増え、個々の思考に広

がりと深まりが出てきた。

④ 「学習日記」を実施したことで、生徒が本時の学習内容を振り返るようになったととも

に、指導者側も本時の課題設定とまとめ方について工夫を凝らすようになった。

⑤ 総合的な学習の時間の計画の見直しによって、課題発見・調査・話合いのための時間が

確保されるようになり、充実した活動ができるようになった。

(3)今後の課題

本研究に取り組んだことで、意欲的に学習に取り組む生徒や授業内容を理解していると答

える生徒は増えているが、身に付けた知識・技能を使って説明したり、新たな課題解決に取

り組む生徒の姿はほとんど見られていない。

今後は、授業で触れた知識・技能(重要語句・重要事項など)を使って表現する場面を設定

し、学んだことを自分の言葉で説明できるようにし、主体的に学び続けていく生徒の育成に

力を注ぎたい。

― 158 ―

3.2

3.3

3.0

3.2

3.2

3.2

3.4

3.3

3.4

3.0

3.4

3.3

3.3

3.4

3.1

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