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科目「電子商取引」の効果的な指導法について -PHPによる初歩的な模擬商品販売サイト作成をとおして- 千葉県立 ○○○○ 高等学校 ○○ ○○(商業) はじめに 平成25年度より施行される新学習指導要領の新科目「電子商取引」では,情報通信ネットワ ークを活用した商取引や広告・広報に関する知識と技術を習得させ,情報通信ネットワークを活 用することの意義や課題について理解させるとともに,情報通信技術を電子商取引に応用する能 力と態度を育てることを目標としている。 文部科学省の商業の教科調査官西村修一先生は,科目改善のポイントとして「電子商取引」に ついて,「情報通信ネットワークを活用したビジネスの広がりに対応するため,主としてインタ ーネットを活用してビジネスを行うことに伴う様々な課題に適切に対処し,情報通信技術をビジ ネスの諸活動に応用する能力と態度を育てる観点から,従前の「文書デザイン」の内容を再構成 したものであり,プレゼンテーションに関する内容を「情報処理」に移行するとともに,電子商 取引に関する課題や法規,Webデザインなど,電子商取引を推進するために必要な知識と技術 に関する内容を追加するなどの改善を図った。」とされており,Webページ公開のための基礎 的な知識と技術やWebページの制作・公開技法の指導を求めている。 代金決済などに用いるWebページの制作というのは,単なるHTMLやCSS(カスケーデ ィング・スタイル・シート),クライアントサイドスクリプトでは実現できず,サーバーサイド スクリプトの学習が必然となる。また,デザインも行うことが求められているので,高校生とし てはかなりレベルの高い内容となる。しかし,確実に指導をし,データベースと連動した動的な Webサイトを制作し,かつ公開できれば非常に興味深い授業となると思われる。 そこで,本研究ではWebアプリケーション開発に特化した言語であるPHPを活用して,実 習を中心に授業を展開し,研究・分析・検証し,その導入方法から簡単なショッピングカートの 作成までの学習指導について提示してみたい。 研究概要 (1)研究方法 初年度は,文書デザインでWeb作成アプリケーションを利用した基本的な静的サイト(自 己紹介サイト)の制作実習を行う。次年度には課題研究を利用し,初歩的な模擬販売Webサ イトの制作実習を展開し,効果的な指導方法を研究する。 そこで,フリーソフトウェアとして無償で公開されているWebサーバ(Apache)と Webアプリケーション開発に特化した言語であるPHPを利用した授業展開について考察し たい。 商-2-1

科目「電子商取引」の効果的な指導法について -PHPによる ...科目「電子商取引」の効果的な指導法について -PHPによる初歩的な模擬商品販売サイト作成をとおして-

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  • 科目「電子商取引」の効果的な指導法について

    -PHPによる初歩的な模擬商品販売サイト作成をとおして-

    千葉県立 ○○○○ 高等学校 ○○ ○○(商業)

    1 はじめに

    平成25年度より施行される新学習指導要領の新科目「電子商取引」では,情報通信ネットワ

    ークを活用した商取引や広告・広報に関する知識と技術を習得させ,情報通信ネットワークを活

    用することの意義や課題について理解させるとともに,情報通信技術を電子商取引に応用する能

    力と態度を育てることを目標としている。

    文部科学省の商業の教科調査官西村修一先生は,科目改善のポイントとして「電子商取引」に

    ついて,「情報通信ネットワークを活用したビジネスの広がりに対応するため,主としてインタ

    ーネットを活用してビジネスを行うことに伴う様々な課題に適切に対処し,情報通信技術をビジ

    ネスの諸活動に応用する能力と態度を育てる観点から,従前の「文書デザイン」の内容を再構成

    したものであり,プレゼンテーションに関する内容を「情報処理」に移行するとともに,電子商

    取引に関する課題や法規,Webデザインなど,電子商取引を推進するために必要な知識と技術

    に関する内容を追加するなどの改善を図った。」とされており,Webページ公開のための基礎

    的な知識と技術やWebページの制作・公開技法の指導を求めている。

    代金決済などに用いるWebページの制作というのは,単なるHTMLやCSS(カスケーデ

    ィング・スタイル・シート),クライアントサイドスクリプトでは実現できず,サーバーサイド

    スクリプトの学習が必然となる。また,デザインも行うことが求められているので,高校生とし

    てはかなりレベルの高い内容となる。しかし,確実に指導をし,データベースと連動した動的な

    Webサイトを制作し,かつ公開できれば非常に興味深い授業となると思われる。

    そこで,本研究ではWebアプリケーション開発に特化した言語であるPHPを活用して,実

    習を中心に授業を展開し,研究・分析・検証し,その導入方法から簡単なショッピングカートの

    作成までの学習指導について提示してみたい。

    2 研究概要

    (1)研究方法

    初年度は,文書デザインでWeb作成アプリケーションを利用した基本的な静的サイト(自

    己紹介サイト)の制作実習を行う。次年度には課題研究を利用し,初歩的な模擬販売Webサ

    イトの制作実習を展開し,効果的な指導方法を研究する。

    そこで,フリーソフトウェアとして無償で公開されているWebサーバ(Apache)と

    Webアプリケーション開発に特化した言語であるPHPを利用した授業展開について考察し

    たい。

    商-2-1

  • (2)研究内容

    電子商取引の仕組みを理解させるとともに,閲覧するだけの静的なWebページと,Web

    ショッピングサイトのような,データ送受信を伴う動的Webページとの違いを理解させる。

    その上で動的なWebサイトを実現するため,Web上でデータを送受信するのに一般的な情

    報通信技術(GETメソッド・POSTメソッド)を利用し,実習を中心に授業を展開する。

    また,簡易的な模擬商品販売サイトを制作する上で大切な,セッション管理,ユーザー追跡の

    技術であるクッキー(Cookie)制御等について,実習を通して検証し,より良い指導法

    を研究・分析してみたい。

    3 WWWの仕組み

    (1)WWW(World Wide Web)とは

    インターネットやイントラネットで標準的に用いられるドキュメントシステム。欧州核物理

    学研究所で所内の論文閲覧システムとして1989年に考案されたものを基礎としている。広

    く一般に公開されたのは1991年のこと。インターネット標準のドキュメントシステムとし

    て1990年代中頃から爆発的に普及し,現在では世界規模での巨大なWWW網が築かれてい

    る。インターネットで最も多く利用される仕組みである。

    (2)HTML(Hyper Text Markup Language)とは

    Webページを記述するためのマークアップ言語。文書の論理構造や表示の仕方などを記述

    することができる。大半のWebブラウザは,標準でHTML文書の解釈・表示が行える。

    HTMLでは,文書の一部を「」で挟まれた「タグ」と呼ばれる特別な文字列で囲

    うことにより,文章の構造や修飾についての情報を文書に埋め込んで記述することができる。

    文章の中で表題や段落の区切りを指定したり,箇条書き項目を列挙したり,文書の一部とし

    て画像や音声,動画を埋め込んだり,他の文書へのハイパーリンクを設定することができる。

    【図1】

    (3)ハイパーリンクとは

    文書内に埋め込まれた,他の文書や画像などの位置情報。ハイパーリンクを用いて複数の文

    書や,関連する画像などのオブジェクトを関連付けたシステムをハイパーテキストという。

    WWWはハイパーテキストの代表例で,Webブラウザで文書を表示し,リンクのある場所

    を,マウスでクリックすると,関連づけられたリンク先にジャンプするようになっている。

    教科研究の為のWebページ

    ◎WWWの仕組みと各種用語

    1.WWW(World Wide Web)とは

    2.HTMLとは

    3.ハイパーリンクとは

    4.Webサーバとは

    5.HTTPプロトコルとは

    6.URLとは

    HTML記述のWebページ

    「」で挟まれたタグで

    記述する。

    ※見間違えやすい文字列に注

    意が必要。以下に例を示す。

    ・数字の0(ゼロ)

    ・アルファベットのO(オー)

    ・数字の1(いち)

    ・アルファベットのl(エル)

    商-2-2

  • 商-2-3

    (4)HTTPプロトコルとは

    Webサーバとクライアント(Webブラウザ)がデータを送受信するのに使われるプロト

    コル(通信規約)。HTML文書や,文書に関連付けられている画像,音声,動画などのファ

    イルを,表現形式などの情報を含めてやり取りできる。

    【図2】

    (5)URLとは

    インターネット上に存在する情報資源(文書や画像など)の場所を指し示す記述方式。イン

    ターネットにおける情報の「住所」にあたる。情報の種類やサーバ名,ポート番号,フォルダ

    名,ファイル名などで構成される。

    【図3】

    (6)Webサーバとは

    WWWシステムにおいて,情報送信を行うコンピュータ。また,WWWによる情報送信機能

    を持ったソフトウェアを指す。Webサーバは,HTML文書や画像などの情報を蓄積してお

    き,Webブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じて,インターネットなどの

    ネットワークを通じて,これらの情報を送信する役割を果たす。

    初期のWebサーバは,あらかじめ用意しておいたファイルを送出する機能しか持たなかっ

    たが,最近では機能が増え,要求に応じてプログラムを実行し,結果をクライアントに送信す

    る機能や,データベースと連携したトランザクション処理機能などを持つものも登場している。

    Webサーバソフトウェアで最も人気があるのは,全世界のボランティアプログラマが共同

    開発しているフリーソフトウェアのApacheで,インターネット上のWebサーバの過半

    数を占めるといわれている。

    http://www.kch.ed.jp/index.html

    プロトコル

    ハイパーリンク

    HTTPプロトコルによるWebページの受け渡し

    WWWサーバ

    クライアントPC

    Webサーバ名 HTMLファイルの場所

    アドレスバー

    URLの入力場所

    <URL入力>

    http://www.・・・・

    『URLのWebページ

    を見せてください。』

    <HTMLファイル送信>

    『閲覧依頼のあったWeb

    ページです。どうぞご覧

    下さい。』

  • 商-2-4

    4 静的Webと動的Webの違い

    (1)静的なページとは(HTML)

    Webサーバは,ブラウザからの要求に対して,既に用意されているHTMLファイルの中

    から指定されたHTMLファイルをそのままブラウザに返し,ブラウザはそれをただ表示する

    だけのページのことを静的なページと呼ぶ。

    【図4】

    (2)動的なページとは(CGI)

    ブラウザからパラメータ(プログラムに必要な任意のデータ)とともに送信された要求に対

    し,Webサーバがプログラムを呼び出し処理を実行し,ブラウザ側へパラメータに応じた処

    理結果を返す。この要求に応じてブラウザに表示する内容が変化するページを動的なページと

    呼び,その仕組みをCGI(Common Gateway Interface)という。

    【図5】

    (3)サーバーサイドスクリプトについて

    HTML中にプログラムを直接埋め込んだ形式のページで,このようなスクリプト(簡易プ

    ログラム)のことを,サーバサイドスクリプトと呼ぶ。図6にあるサーバサイドスクリプトは,

    CGIスクリプトと違い,図7のようにHTMLタグとプログラムが切り分けられ,メンテナ

    ンスし易いという特徴を持つ。最近注目を集めているサーバサイドスクリプトとしてPHPが

    挙げられる。

    【図6】

    【図7】

    Webサーバは,ブラウザから要

    求のあったHTMLファイルのみ参

    照し,ブラウザに返す。

    Webサーバは,ブラウザから与

    えられたパラメータ等を受け取り,

    CGIプログラムを実行し,処理結

    果をブラウザに返す。例えば,アク

    セスカウンタやチャット,BBSな

    どがこれにあたる。

    WebサーバクライアンドPC

    応 答(ファイルの送信)

    静的Webページ

    WebサーバクライアンドPC

    応 答(実行結果の転送)

    動的Webページ

    プログラム

     :

    プログラム

    WebサーバクライアンドPC

    応 答(実行結果の入ったHTML転送)

    プログラムを直接埋め込んだHT

    ML

  • 商-2-5

    5 PHPの概要

    (1)PHPの特徴

    PHP(PHP: Hypertext Preprocessorの略)は,広く使われているオープンソースのサー

    バーサイドスクリプト言語で,特にローカル環境でのWebアプリケーションソフト開発に適

    しており,簡単にHTMLに埋め込むことができる。現在,PHP5までの開発が進められて

    いる。PHPのコードは特別な開始および終了の処理命令『 』で囲まれて

    おり,これによってPHPモードの切り替えを行う。下図は,『 Hello! 』の出力を行うコー

    ドをHTMLのbodyタグに埋め込んでいる例である。

    PHPのコードは,クライアントからWebサーバに送られてスクリプトが実行され,その

    結果がWebブラウザに送信され表示される。日本では初心者のための言語という位置づけが

    定着している。

    【図8】

    (2)PHPの環境構築

    PHPを実習するためには,まず実行環境を整える必要がある。Webサーバを新たに構築

    するには,大変なコストがかかるため,コストをかけずに環境構築することを前提とし,広く

    知られているWebサーバやデータベースを以下に示す。

    初めてのphp

    Hello!

    HTMLにPHPを埋め込んだ例 Webブラウザの表示

    Webサーバ

    ①Webサーバへ

    の要求

    ②スクリプトの実行

    ③Webブラウザ

    への送信

    項  目 種     類

    OS Windows , Linux , MacOSX 等

    Webサーバ Apache  , IIS 等   ※必ず必要になる事に注意する。

    データベースオープン製品:MySQL , PostgreSQL 等商用製品  :Oracls , MicrosoftSQLServer 等

  • 商-2-6

    修正を繰り返す

    プログラムの作成

    (メモ帳・エディタ)

    Webサーバへのプログラムの転送

    (FTPソフト)

    プログラムの実行

    (ブラウザ)

    プログラムの修正

    (メモ帳・エディタ)

    Webサーバへのプログラムの転送

    (FTPソフト)

    プログラムの実行

    (ブラウザ)

    (3)PHPでの開発手順

    PHPは,Webサーバ上でプログラムが実行される。そのため,作成したプログラムは必

    ずFTPソフトを使用してWebサーバに転送しなくてはならない。PHPでのプログラム開

    発の手順は次のようになる。

    ※エディタとは 【図9】テキストデータの編集を行うためのアプリケーションソフト。ワープロソフトのようなデザイン的な編集機能はない。

    Kouichirou Urano 氏のMKEditorは,フリーソフトでありながら,HTMLやPHPなどファイルタイプごとに配色の

    変更ができ,開発にも利用しやすい。

    (4)PHPの基本制御文と関数

    ア 変数について($変数名)

    頭に$印を付けた英字が変数である。通常のプログラミング言語では,使用する変数名と型

    の宣言が必要であるが,PHPでは,変数に代入された値によって自動的に変数の型が決定す

    るので,従来の変数名や型の宣言はしなくても良いという特徴を持っている。

    <書式1>

    ・数値を変数に代入 変数名 = 数値;

    (例) $kazu = 50;

    <書式2>

    ・文字列を変数に代入 変数名 = "文字列";

    (例) $moji = "Hello";

    <書式3>

    ・別の変数値を代入

    代入先の変数名 = 代入元の変数名;

    (例) $hensu1 = $hensu2;

    イ 算術演算子と比較演算子の種類と使用例

    ◆変数名に利用可能な文字

    a~z A~Z

    0~9 (先頭には不可)

    _ (アンダーバー)

    ◆変数名として利用できない

    $1ten 先頭が数字

    $gokei-ten ハイフン

    算術演算子 使  用  例

    加   算 + $kotae = $a + 1;

    減   算 - $kotae = $a - 1;

    乗   算 * $kotae = $a * 2;

    除   算 / $kotae = $a / 2;

    剰   余 % $kotae = $a % 2;

    文字列結合 .(ピリオド) $moji = $namae ."さん";

  • 商-2-7

    ウ 変数値の表示(print文)

    <書式1> print "表示したい内容";

    (例) (実行結果) (意 味)

    $a = 50; 50
    変数$aの値と
    タグが

    print "$a
    \n" ブラウザへ送信される。

    \nは改行コードに変わる。
    は強制改行するタグ

    エ 分岐制御(if文)

    <書式1> <書式2>

    if(条件式){ if(条件式1){

    条件が満たされたときの処理; 条件式1が満たされたときの処理;

    }else{ }elseif(条件式2){

    条件が満たされないときの処理; 条件式2が満たされたときの処理;

    } }else{

    全条件が満たされない時の処理;

    注意)elseは省略可。 }

    オ 繰り返し制御

    <書式1> ○○の間繰り返す。 <書式2> ○○の間繰り返す。

    while(ループ条件){ for(カウンタ = 初期値;

    繰り返し処理; ループ条件;増減式){

    } 繰り返し処理;

    }

    (例)変数$flgが空白の間ループ (例)変数$aは0から1ずつ増加し,

    $aが9以下の間繰り返す。

    while($flg==""){

    処理; for($a==0; $a= 5

  • 商-2-8

    カ ファイルの読み書き制御

    ◆ファイルを開く(fopen文)

    <書 式> ファイル用の変数名 = fopen("ファイル名","モード");

    (例)$file = fopen("c:\abc.dat","r");

    ~モードの例~

    r ・・・・・ 読み込み

    w ・・・・・ 書き込み(ファイルがないときは作成)

    a ・・・・・ 追加書き込み(ファイルがないときは作成)

    ◆ファイルを読む(1レコード分のデータを読む)

    <書 式> 変数名 = fgets(ファイル用の変数名);

    (例)$atai = fgets($file);

    ※通常読み込むデータは複数なので,while文の中で使われるのが一般的。

    ◆ファイルが読める間繰り返す

    <書 式> while(!feof(ファイル用の変数名)){

    fgets文

    }

    (例)while(!feof($file)){

    $atai = fgets($file); ※feofは,ファイルの終わりを表す。

    }

    ◆ファイルを書く(1レコード分のデータを書き出す)

    <書式1> fputs(ファイル用の変数名,"書き込む文字列");

    (例)fputs($file,"書き込みデータ");

    <書式2> fputs(ファイル用の変数名,変数名);

    (例)fputs($file,$atai);

    ◆ファイルを閉じる

    <書 式> fclose(ファイル用の変数名);

    (例)fclose($file);

    ◆文字列の置換(正規表現検索および置換を行う)

    <書 式> preg_replace("置換え対象文字列","置換え文字列",文字列又は変数)

    (例)$rec=preg_replace("/\n|\r/","",$rec);

    ※$recの文字列内の改行コードを,空白に置換える。

  • 商-2-9

    6 ページ間のデータ引き渡しと受け取り(簡単な売上計算プログラム制作)

    入力フォーム① 入力フォームのソース① ファイル名:「rei1.html」

    ソースの解説(フォーム)

    ①下記の②~④の引数を,「POSTメソッド」扱いで「rei1.php」へ引き渡すことを定義。

    ②商品名「赤い恋人」は,引数「hinmei」としてPHPへ渡す。

    ③単価「500」は,引数「tanka」としてPHPへ渡す。

    ④数量「10」は,引数「kazu」としてPHPへ渡す。

    PHPスクリプトソース② ファイル名:「rei1.php」

    ソースの解説(PHP)

    ⑤引き渡された「hinmei」を,変数「$hinmei」に代入。

    処理結果表示画面② ⑥引き渡された「tanka」を,変数「$tanka」に代入。

    ⑦引き渡された「kazu」を,変数「$kazu」に代入。

    ⑧変数「$tanka」と変数「$kazu」を乗算し,変数「$kin」

    へ格納する。

    ⑨変数「$hinmei」を,HTMLの「文字データ」として

    書き出す。

    ⑩⑧で計算された結果,変数「$kin」を,HTMLの「文

    字データ」として書き出す。

    教科研究商業php

    売上計算プログラム(入力画面)

    商品名:

    単価:

    数量:

    教科研究商業php

    売上計算プログラム(計算結果)

    商品名:

    売上金額:円

    ⑤⑥⑦⑧

    ⑨⑩

    ②③④

    WebサーバがPHPスクリ

    プトを翻訳・実行し,ブラウザ

    へ新HTMLとして返す。

  • 商-2-10

    7 POSTメソッドとGETメソッドの違い

    送信フォーム <送信データ>

    「GETメソッド」を利用して送信した場合

    送信したデータがURL上で見られる。

    「POSTメソッド」を利用して送信した場合

    送信したデータがURL上で見られることはない。

    CGIプログラミングでデータを受信する際は,簡単な情報送信やページングのみであれば,

    「GETメソッド」でも良いと思われるが,上記のようなフォームのデータやアップロード等の

    場合は,セキュリティー上の面からも「POSTメソッド」が使われるのが一般的である。

    8 通信のやり取りを継続させる仕組み(セッション)について

    (1)セッションとは

    HTTPプロトコルでは,1回の要求と応答が1対1の通信として認識される。これらの通

    信は独立したやり取りであり,過去に行った通信と現在の通信との相関は全くない。この一連

    の通信のことをセッションと呼ぶ。

    しかし,ショッピングサイトのカートやログイン認証などの場合は,現在アクセスしている

    ユーザが,過去に通信した事のあるユーザか否かをサーバ側で判断する仕組みが必要になる。

    そこでユーザを特定・捕捉するためにクッキーが利用される。

    (2)クッキー(Cookie)とは

    Webサイトの提供者が,ブラウザを通じて訪問者のコンピュータに一時的にデータを書き

    込んで保存させる仕組みである。

    クッキーには,ユーザに関する情報や最後にサイトを訪れた日時,そのサイトの訪問回数な

    どを記録しておくことができる。クッキーはユーザの識別に使われ,認証システムやWWWに

    よるサービスを,ユーザごとにカスタマイズするパーソナライズシステムの技術として利用さ

    れる。多くのブラウザがサポートしており,事実上のデファクトスタンダードとなっている。

    ・"Ringo" を hinmeiとして送信。・500をtankaとして送信。・10をkazuとして送信。

  • 商-2-11

    (3)クッキーを利用したアクセス制御(簡単なアクセスカウンター制作)

    処理結果表示画面 PHPスクリプトソース③ ファイル名:「rei2.php」

    ブラウザの更新ボタン

    をクリックする毎に,カウンタ

    は1ずつ増加する。

    fputs($outf,$atai); 人目の訪問者です。

    fclose($outf);

    ?>

    $atai=$atai+1; 人目のお客様です。

    $outf=fopen($file,"w");

    fputs($outf,$atai);

    fclose($outf);

    $cookie_atai=uniqid(rand());

    setcookie("HOUMON",$cookie_atai);

    }

    ?>

  • 商-2-12

    9 初歩的なショッピングカートの作成

    (1)画面遷移と処理イメージ [kago.php]

    [katalog.html]

    [syori2.php] [syori3.php] メールが届く

    (2)商品一覧 [katalog.html]

    [syori1.php

    [kesu.php]

    -商品一覧-

    商品をお選び下さい

    ●おいしい青汁500ml

    500円(税込み525円)

    ご注文数量:

    お選び下さい

    1個

    2個

    3個


    かごの中身を見る

    「syori1.php」へhidden

    でデータを引き渡す。

    「syori1.php」へPOST

    メソッドで引き渡す。

  • 商-2-13

    (3)Cookieと外部ファイルとの連携 [syori1.php]

    (4)買い物かご [kago.php]

    ファイルが読めればループ

    「katalog.html」より引数を受け

    取り,各変数へ格納。

    Cookieを受け取る。もしCookieが空の

    時,一意にCookieを発行し,訪問者を

    特定・追跡する。また,Cookieを訪問

    者の注文状況を格納する外部ファイル

    名として割り当てる。

    「kago.php」を呼び出す。

    入力ファイルの改行コードを空白置換し,カンマで区切

    りデータを読み,各変数へ格納。

  • (5)買い物かごからの削除処理 [kesu.php]

    Cookieの確認。

    Cookie名の外部ファイルを取得。

    「kago.php」を呼び出す。

    「kago.php」より商品コードと削除

    シーケンスを引き継ぐ。

    $ln.="$in_hinmei$in_tanka";

    $ln.="$in_kazu$kingaku\n";

    $ln.="\n";

    $ln.="\n";

    }

    }

    $ln.="合計$kinkei\n";

    $zei=floor($kinkei*0.05);

    $ln.="消費税額$zei\n";

    $zeikomi=$kinkei+$zei;

    $ln.="請求額$zeikomi\n";

    ?>

    買い物かご

    以下の商品を購入するには,「次へ」をクリックして下さい。

    削除商品名単価数量金額


    続けて他の商品を購入する

    連結したHTMLタグの生成。

    文字列を連結をしながら「$ln.=」に

    格納し,HTMLタグを生成。

    前 ペ ー ジ よ り

    商-2-14

  • 商-2-15

    (6)個人情報入力画面 [syori2.php]

    (7)お礼画面 [syori3.php]

    個人情報入力画面

    以下の情報をご記入下さい。

    お名前

    郵便番号

    ご住所

    電話番号

    メールアドレス

    お支払い方法

    代引き

    銀行振込


    「syori3.php」へPOSTで渡す。

  • 商-2-16

    10 おわりに

    今回は,Webアプリケーション開発に特化したPHP言語を活用し,サーバーサイドスクリ

    プト実習(動的なWebページの制作)を中心に研究を進めてきた。

    研究をとおして感じることは,ネットショッピングなどの動的Webページを実現するために

    は,単なるHTMLのタグや,スタイルシートなどのクライアントサイドスクリプトの知識・技

    術だけでは事足りず,CGIプログラミングやサーバーサイドスクリプトによる知識・技術も必

    要となり,教える側も,教わる側も論理的思考力や,高度なスキルが必要となることが理解でき

    た。しかし,ポイントを確実におさえ,外部ファイルと連動した動的なWebサイトを自ら構築

    できれば,達成感のある興味深い授業と成り得ると思われる。

    今後も導入方法や授業展開を研究し,電子商取引に関わる課題や法規,Webデザインなど,

    「電子商取引」の授業を展開するために必要な指導法について,研究・研鑽を続けていきたいと

    考える。今回の研究が「電子商取引」を担当される先生方の一助になれば幸いである。

    最後に,ご指導頂いた前指導課指導主事 渡部清先生,指導課指導主事 常世田信幸先生,教

    科指導員 宮内輝久先生,県立君津商業高校校長 草刈精一先生をはじめ,教科研究委員の先生

    方より心温まる御指導,御助言を賜り深く感謝申し上げる次第である。

    参考URL

    1.文部科学省学習指導要領 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/1282000.htm

    2.PHPマニュアル http://php.net/manual/ja/index.php

    3.初心者用PHP入門 http://www.standpower.com/

    参考文献

    1.「PHPの絵本」 アンク著 翔泳社

    2.「PHP 逆引きクイックリファレンス」 坂田健二著 毎日コミュニケーションズ

    $message.="\n\n";

    $message.="以下へお送りします ¥n";$message.="住所 〒 $yubin $juusyo\n";

    $message.="電話番号 $tel\n";

    $message.="お支払い方法 $siharai\n";

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    $message.="御注文日時 $hiduke $jikoku\n";

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    mail("$simei","$mail_title","$message","From:教科研究屋");

    mail("教科研究屋","$mail_title","$message","From: $simei");

    setcookie("ORDER_NO");

    unlink("$file");

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    お礼画面

    御注文有り難うございました。

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    連結した文字列($message)の出力。

    改行コード生成。

  • 商-2-資-1

    1 Windows版Apacheインストール手順

    (1)Windows版Apacheのダウンロード

    ダウンロード先のURLは,「http://www.apache.org/dist/httpd/binaries/win32/」※1

    で,「httpd-2.2.22-win32-x86-openssl-0.9.8t.msi」※2をダウンロードする。

    ※1 定期的にバージョンアップが行われるため,必ずしも上記のファイル名とは限らない。

    上記のファイル名は,資料作成時点での最新バージョン(Windows版Apache)である。

    (2)Apacheのインストール

    ダウンロードした「httpd-2.2.22-win32-x86-openssl-0.9.8t.msi」をダブルク

    リックする。

    (3)インストール画面

    「Next >」ボタンをクリックする。

    (4)ライセンス規約確認画面

    「I accept the terms in the license agreement」を

    チェックし,「Next >」ボタンをクリックする。

    (5)Apache Version 2.2の説明画面

    「Next >」ボタンをクリックする。

  • 商-2-資-2

    (6)サーバ情報の設定画面 「Network Domain」欄

    「localhost」と入力する。

    「Server Name」欄

    「localhost」と入力する。

    「Administrator's Email Address」欄

    簡易利用であれば,適当なアドレス入力でも可能。

    「ラジオボタン」

    「for All Users, on port 80, as a Service」

    を選択し,「Next >」ボタンをクリックする。

    (7)セットアップタイプ確認画面

    「Typical」を選択し,「Next >」ボタンをクリックする。

    (8)インストール先ディレクトリ(フォルダ)の指定画面

    「Change...」ボタンをクリックし,フォルダ名を変更する。

    ※3 上記は,デフォルトのフォルダを「C:\Apache2.2\」に訂正した例である。

    (9)インストール前最終確認画面

    インストールの準備が整ったので,「Install」ボタ

    ンをクリックしてインストールを開始する。

    ※3

  • 商-2-資-3

    (10)インストール画面 (11)インストール終了画面

    セットアップ完了。パソコンの再起動は求められないが,必ずパソコンを再起動する。

    (12)Apacheの動作確認

    実際に,Webサーバとして動作しているかを確認する。

    ブラウザを起動し,「http://localhost/」にアクセスしてみる。

    左記ページが表示されれば,パソコンがWebサーバ

    として動作していることを意味する。

    ブラウザ上には,「C:\Apache2.2\htdocs\index.html」が表示されている。「HTML」や

    「PHP」の各データをこのフォルダに移動すると,ブラウザ上から参照できるようになる。

    2 PHPのインストール

    (1)PHPのダウンロード

    ダウンロード先URLは,「http://windows.php.net/download/」※4で,「php-5.3.1-Win3

    2-VC6-x86.zip」をダウンロードする。

    ※4 定期的にバージョンアップが行われるため,必ずしも上記のファイル名とは限らない。

    上記のファイル名は,資料作成時点での最新バージョンである。

    (2)PHPの解凍・設定

    ア 「php-5.3.1-Win32-VC6-x86.zip」を解凍する。

    イ 「C:\」の直下に「PHP」フォルダを作成する。

    ウ 解凍してできた「php-5.3.1-Win32-VC6-x86」フォルダの中身を全てコピーし,「C:\PHP」

    フォルダの中に貼り付ける。

  • 商-2-資-4

    (3)PHPの設定ファイル「php.ini」の作成

    ア 「C:\PHP\php.ini-development」をコピーし,同じ場所に「php.ini」の名前で保存する。

    イ PHPの設定ファイル「C:\PHP\php.ini」を書き換える。

    ウ Apacheの設定ファイル「C:\Apache2.2\conf\httpd.conf」の書き換える。

    エ 以上の2ファイル「php.ini」と「httpd.conf」を書き換えて保存後,Apacheを再

    起動する。Apacheの各操作は,Windows画面のタスクバー右下に常駐している

    Apacheアイコンより行う。「Restart」で再起動可能となる。

    ← 右クリックする。

    (4)PHPの動作確認

    ア テスト用のPHPファイルを作成する。

    「C:\Apache2.2\htdocs\info.php」 ← 新しく作成する。

    イ 以下URLを入力し,アクセスする。

    「http://localhost/info.php」

    「phpinfoの画面」が表示されたら成功となる。

    (略)

    ; On windows:

    ; extension_dir = "ext"

    extension_dir = "C:\PHP\ext"

    (略)

    書き加える。

    (略)

    DirectoryIndex index.html index.php

    (略)

    PHPIniDir "C:\PHP"

    LoadModule php5_module "C:\PHP\php5apache2_2.dll"

    AddType application/x-httpd-php .php

    AddType application/x-httpd-php-source .phps

    ファイルの末尾に書き加える。

    書き加える。

    ファイルの末尾に書き加える。

    syougyou-2Taro-02_研究資料編