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1 生物化学II 13.哺乳類燃料分子の代謝 (22章) 2017/1/16)

生物化学II...5 22.1 臓器・器官での分業 A.脳 通常はグルコースがエネルギー源 グリコーゲン貯蔵はほとんどなく 血液由来のグルコースに依存する

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    生物化学II

    13.哺乳類燃料分子の代謝 (22章) (2017/1/16)

  • 2

    哺乳類の燃料分子の代謝

    ↓解糖 糖新生↑

    グリコーゲン 合成   ↑

    グリコーゲン ↓ 分解

    クエン酸 サイクル

    脂肪酸分解 ↓ β酸化

    脂肪酸 合成↑

    酸化的 リン酸化

    アミノ酸 合成 ↑

    アミノ酸 ↓ 分解

  • 3

    ピルビン酸  解糖、糖原性アミノ酸の分解に由来

     そのままアミノ酸合成に使用されるか  脱炭酸してアセチルCoAに分解されるか カルボキシ化してオキサロ酢酸を経由して  糖新生やアミノ酸合成に使用 アセチルCoA  解糖、β酸化、ケト原生アミノ酸由来  クエン酸サイクルでCO2とH2Oに分解されるか  ケトン体、脂肪酸の合成に使用

  • 4

    22.1 臓器・器官での分業

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    22.1 臓器・器官での分業

    A.脳  通常はグルコースがエネルギー源  グリコーゲン貯蔵はほとんどなく  血液由来のグルコースに依存する  絶食時にはケトン体を使用する  

    血液由来

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    B.筋肉  グルコース、脂肪酸、ケトン体を利用  グルコースはグリコーゲンとして貯蔵できる  筋肉はATPで駆動するため  ATP作成に利用する分子、代謝経路によって  筋肉の負荷、継続時間が異なる

    嫌気代謝

    好気代謝

    貯蔵ATP

  • 7

    C.脂肪組織  脂肪酸をトリアシルグリセロールとして貯蔵  必要時に脂肪酸として放出  グリセロール3-リン酸の量に応じて  貯蔵と放出を制御する

  • 8

    D.肝臓  燃料分子の血中濃度を調節 グルコース  血中Glc濃度に応じて  G6Pとして取り込む  G6Pは多用途で使用される 脂肪酸  エネルギーが必要であれば  分解、不要であれば  トリアシルグリセロールを  合成して脂肪細胞へ アミノ酸  燃料として分解

    血中Glc濃度 が低い時

    Glc需要 が低い時

    血中へ 輸送

    NADPHが 必要な時

    ATPが 必要な時

  • 9

    E.腎臓  尿素などの廃棄物の濾過  重要物質の回収  一部の糖新生  

  • 10

    F.代謝産物の臓器間輸送 血液を介して代謝産物を輸送して相互に代謝する コリ・サイクル  骨格筋での嫌気代謝で  生成した乳酸を  肝臓に輸送し糖新生する グルコース-アラニンサイクル  筋肉中のアミノ酸と  ビルビン酸からアラニンを  合成し、肝臓に輸送して  糖新生、尿素合成する  筋肉から肝臓への窒素輸送と  飢餓時のGlc供給経路 

  • 11

    22.2 燃料分子のホルモン制御

    満腹時インスリンが制御

    空腹時グルカゴンとカテコールアミン(アドレナリン)が制御

  • 12

    A.インスリン 血中グルコース濃度の増加に応じて 脾臓のβ細胞からインスリンが産生・分泌される インスリンの作用  インスリン感受性グルコース輸送体  (GLUT4)の細胞膜上の数を増加して  グルコース取り込みを増加させる  (筋細胞と脂肪細胞のみ)

    インスリン増加

    インスリン減少

  • 13

    インスリンの臓器別の作用  筋細胞: グルコース取り込み増加       グリコーゲン合成の促進  脂肪細胞: グルコース取り込み増加        アセチルCoA経由で脂肪酸合成の促進  肝細胞: グルコース取り込み変化なし       グリコーゲン分解の抑制、合成の促進       糖新生の抑制       脂肪酸合成の促進

  • 14

    B.グルカゴンとカテコールアミン グルコース、脂肪酸などの燃料分子を動員する グルカゴン  血中グルコース濃度の低下で脾臓のα細胞から分泌  肝臓でグリコーゲン分解の促進  脂肪細胞で脂質分解の促進 カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)  ストレス応答で副腎髄質から分泌  肝細胞でグリコーゲン分解、糖新生の促進  筋細胞でグリコーゲン分解の促進  脂肪細胞で脂質分解の促進

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    22.3 代謝のホメオスタシス

    A.AMP依存プロテインキナーゼ(AMPK) 代謝経路の調節はAMPの量で制御される AMPKがリン酸化によりATP生産を活性化、消費を抑制する

    心臓酸素不足時にAMPが増加すると嫌気解糖を促進

    骨格筋Glc取り込みの促進脂肪酸酸化の促進

    肝臓糖新生の阻害脂質合成の阻害

    脂肪組織脂質分解の阻害(逆の働き)

  • 16

    B.組織由来ホルモンによる調節 燃料代謝と食欲を調節する アディポネクチン  脂肪組織から分泌(脂肪組織が増加すると減少)  肝細胞と筋細胞の表面に結合して、AMPKを活性化する  燃料代謝の促進、インスリン感受性の向上 レプチン  脂肪組織から分泌  飽食シグナルとして、食欲を抑制、体重を維持する グレリン  胃から分泌  胃がからの時に分泌され、食欲を増進する

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    A.飢餓時の代謝調節 吸収した栄養はすぐに体に分配される 糖 小腸で吸収され、1/3は肝臓でグリコーゲン合成に使用   1/2は筋肉でグリコーゲン合成に使用   その他はエネルギー生産に使用され、   余剰は肝臓で脂質合成に使用され、脂肪組織に保存 アミノ酸 肝臓でタンパク質になり、      余剰は酸化またはグルコース合成に使用 脂肪酸 ほとんどが脂肪組織で保存

    21.4 燃料代謝の乱れ

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    血中グルコース インスリンとグルカゴンでグリコーゲンを合成・分解し グルコース量を一定に調節する 糖の貯蔵は1日分に満たないので 絶食時にはグリコーゲンがなくなり 筋肉を分解してえたアミノ酸から 肝臓で糖新生された グルコースが使用される ケトン体 さらに絶食すると 脂肪組織の脂肪酸が使用され ケトン体がエネルギー源になる

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    B.糖尿病 血中グルコースが制御できず上昇し 尿に漏れ出てくる疾患 1型糖尿病  インスリン依存型(若年型)糖尿病  β細胞の欠陥でインスリンを産生できないことが原因  自己免疫疾患でβ細胞が破壊されるのが一般的  インスリン注射で管理 2型糖尿病  インスリン非依存型(成人型)糖尿病  細胞がインスリンに応答できず血糖値を保てない  肥満や過食が原因