10
電気学会論文誌 D(産業応用部門誌) IEEJ Transactions on Industry Applications Vol.xxx No.xx pp.1–10 DOI: 10.1541/ieejias.xxx.1 磁界共振結合によるワイヤレスインホイールモータの 電力変換回路の制御に関する基礎研究 郡司 大輔 ,∗∗ 居村 岳広 上級会員 藤本 博志 Fundamental Research on Control Method for Power Conversion Circuit of Wireless In-Wheel Motor using Magnetic Resonance Coupling Daisuke Gunji ,∗∗ , Member, Takehiro Imura , Member, Hiroshi Fujimoto , Senior Member 2014 4 23 日受付,2014 9 9 日再受付) The in-wheel motor (IWM) is the most preferred driving mechanism of electric vehicles for its advantages of vehicle motion control, energy eciency, and vehicle design flexibility. One of the technical problems of the IWM is the reli- ability of power and the signal wires. Wireless power transfer technology is the best solution to this problem. In this paper, a bidirectional wireless power transfer circuit using a primary inverter and a secondary converter is proposed. We propose a control method for both the inverter and the converter to stabilize the secondary DC-link voltage. The proposed method is verified by simulation and experiment using simulated test equipment. キーワード:電気自動車, インホイールモータ,ワイヤレス電力伝送,磁界共振結合 Keywords: electric vehicles, in-wheel motor, wireless power transfer, magnetic resonance coupling 1. はじめに 電気自動車(EV)は環境性能に優れるだけでなく,モー タの速い応答性により運動性能にも優れる (1) 。特にホイー ル内部に駆動源を配置するインホイールモータ(In-Wheel Motor: IWM)は駆動力をタイヤに直接伝達できるため最も 望ましい駆動形態であり, IWM を利用した電気自動車の車 両運動制御に関して多くの先行研究が報告されている (1)(5) 先行研究において多くの IWM が提案されているが (6)(9) それらはすべて車体側からワイヤにより電力が供給されて いる。IWM はサスペンションの動きにより車体と相対変 位するため,これらのワイヤやその接続部は走行において バネ下に作用する振動や幅広い使用温度,多様な環境下に おいて高い耐久性が求められる (10) (11) 。また,高電圧線が露 出することによる安全性の課題が存在する。IWM の電力・ 信号線をワイヤレス化することでこれらの課題を解決する だけでなく,路面からの走行中給電への応用も期待できる。 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 277-8561 千葉県柏市柏の葉 5-1-5 Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo 5-1-5, Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba, 277-8561 ∗∗ 日本精工(株)開発第二部 251-8501 神奈川県藤沢市鵠沼神明 1-5-50 NSK Ltd. Development department 2 1-5-50, Kugenumashinmei, Fujisawa, Kanagawa, 251-8501 On-board Command (wireless) Electric motor Secondary coil Primary coil Inverter Battery In-wheel Converter PWM inverter Power Wheel Transmitting coil Ground (Road) Power source Fig. 1. Concept of wireless in-wheel motor. これをワイヤレスインホイールモータ(Wireless In-Wheel Motor: W-IWM)と呼ぶ。ワイヤレス電力伝送には様々な 方式が存在するが,中でも磁界共振結合 (12) (13) による方法は 送受電間の伝送距離や伝送効率の面で W-IWM に最も適し ていると考えられる。しかし,磁界共振結合によるワイヤ レス電力伝送では負荷の変動や送受電コイルの相互インダ クタンスの変動に対して二次側(受電側)の電圧,電流が 変動することが知られている (14) 。電圧形インバータで駆動 されるモータに対して安定的に電力伝送を行なうためには, 送受電双方の電力変換回路の制御が必須である。 ワイヤレス電力伝送における電力変換回路に関しては多 くの先行研究が報告されている。松下ら (15) SPSeries- Parallel)方式回路の受電部整流回路についてチョークイン プット整流回路のような力率改善回路を用いることで基本 c 201x The Institute of Electrical Engineers of Japan. 1

磁界共振結合によるワイヤレスインホイールモータ …hflab.k.u-tokyo.ac.jp/papers/2015/IEEJD_WIWM_gunji.pdf電気学会論文誌D(産業応用部門誌) IEEJ

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電気学会論文誌 D(産業応用部門誌)IEEJ Transactions on Industry ApplicationsVol.xxx No.xx pp.1–10 DOI: 10.1541/ieejias.xxx.1

論 文

磁界共振結合によるワイヤレスインホイールモータの

電力変換回路の制御に関する基礎研究

正 員 郡司 大輔∗,∗∗ 正 員 居村 岳広∗ 上級会員 藤本 博志∗

Fundamental Research on Control Method for Power Conversion Circuitof Wireless In-Wheel Motor using Magnetic Resonance Coupling

Daisuke Gunji∗,∗∗, Member, Takehiro Imura∗, Member, Hiroshi Fujimoto∗, Senior Member

(2014年4月23日受付,2014年9月9日再受付)

The in-wheel motor (IWM) is the most preferred driving mechanism of electric vehicles for its advantages of vehiclemotion control, energy efficiency, and vehicle design flexibility. One of the technical problems of the IWM is the reli-ability of power and the signal wires. Wireless power transfer technology is the best solution to this problem. In thispaper, a bidirectional wireless power transfer circuit using a primary inverter and a secondary converter is proposed.We propose a control method for both the inverter and the converter to stabilize the secondary DC-link voltage. Theproposed method is verified by simulation and experiment using simulated test equipment.

キーワード:電気自動車,インホイールモータ,ワイヤレス電力伝送,磁界共振結合Keywords: electric vehicles, in-wheel motor, wireless power transfer, magnetic resonance coupling

1. はじめに

電気自動車(EV)は環境性能に優れるだけでなく,モータの速い応答性により運動性能にも優れる (1)。特にホイー

ル内部に駆動源を配置するインホイールモータ(In-WheelMotor: IWM)は駆動力をタイヤに直接伝達できるため最も望ましい駆動形態であり,IWMを利用した電気自動車の車両運動制御に関して多くの先行研究が報告されている (1)~(5)。

先行研究において多くの IWMが提案されているが (6)~(9),

それらはすべて車体側からワイヤにより電力が供給されて

いる。IWM はサスペンションの動きにより車体と相対変位するため,これらのワイヤやその接続部は走行において

バネ下に作用する振動や幅広い使用温度,多様な環境下に

おいて高い耐久性が求められる (10) (11)。また,高電圧線が露

出することによる安全性の課題が存在する。IWMの電力・信号線をワイヤレス化することでこれらの課題を解決する

だけでなく,路面からの走行中給電への応用も期待できる。

∗ 東京大学大学院新領域創成科学研究科

277-8561千葉県柏市柏の葉 5-1-5Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo5-1-5, Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba, 277-8561

∗∗ 日本精工(株)開発第二部

251-8501神奈川県藤沢市鵠沼神明 1-5-50NSK Ltd. Development department 21-5-50, Kugenumashinmei, Fujisawa, Kanagawa, 251-8501

On-boardCommand

(wireless)

Electricmotor

Secondary coilPrimary coil

Inverter

Battery

In-wheel

Converter PWMinverter

Power

Wheel

Transmitting coilGround (Road)

Power source

Fig. 1. Concept of wireless in-wheel motor.

これをワイヤレスインホイールモータ(Wireless In-WheelMotor: W-IWM)と呼ぶ。ワイヤレス電力伝送には様々な方式が存在するが,中でも磁界共振結合 (12) (13)による方法は

送受電間の伝送距離や伝送効率の面でW-IWMに最も適していると考えられる。しかし,磁界共振結合によるワイヤ

レス電力伝送では負荷の変動や送受電コイルの相互インダ

クタンスの変動に対して二次側(受電側)の電圧,電流が

変動することが知られている (14)。電圧形インバータで駆動

されるモータに対して安定的に電力伝送を行なうためには,

送受電双方の電力変換回路の制御が必須である。

ワイヤレス電力伝送における電力変換回路に関しては多

くの先行研究が報告されている。松下ら (15)は SP(Series-Parallel)方式回路の受電部整流回路についてチョークインプット整流回路のような力率改善回路を用いることで基本

c⃝ 201x The Institute of Electrical Engineers of Japan. 1

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

(a) Experimental vehicle.

Primary

inverter

Secondary converter & electric motor

Primary coil

Secondary coil

(b) First trial unit.

Fig. 2. Experimental vehicle and first trial unit.

Table 1. Specifications of W-IWM units.

Final target First trial unitNumber of IWM 4 2Max total power 48 kW 6.6 kWMax total torque 1300 Nm 475 NmMax acceleration 0.40 G 0.14 G

波力率をほぼ 1にできることを示している。名雪ら (16)は SP方式回路で双方向給電装置を構成し,2 kWの電力伝送で90 %の伝送効率を達成している。しかし,SP方式であるため共振コンデンサの切り替えが必要であり,力行と回生

が頻繁に入れ替わる用途には向かない。望月ら (17)は SP方式の二次側に直列リアクトルを付加して理想変圧器特性と

する双方向給電システムを提案している。これらの双方向

給電に関する従来研究では EVのバッテリーへの給電のような変動の遅い負荷が想定されており,モータのように負

荷が短時間に大きく変動する場合に必要な電力変換回路の

制御については研究が進んでいない。

本研究ではW-IWMの電力伝送回路として共振コンデンサを一次側・二次側ともに直列とし,一次側にインバータ,

二次側にコンバータを設ける対称形の回路構成を提案し,各

要素をモデル化する。電圧形インバータで駆動されるモー

タ負荷に対して,二次側 DCリンク電圧を安定化する制御法を提案し,相互インダクタンスや負荷の変動が生じても

安定して電力伝送が可能であることをシミュレーションと

W-IWMを模擬した装置での実験により示す。

2. コンセプトおよび実験装置

〈2・1〉 全体構成 W-IWMのコンセプトを Fig. 1に示す。一次側(車体側)はバッテリーとフルブリッジイン

バータと一次側コイル,二次側(インホイール側)は二次側

コイルとフルブリッジコンバータと永久磁石同期モータと

モータを駆動するための電圧形インバータにより構成され

る。一次側インバータによりバッテリー電圧を高周波の交

流に変換する。対向配置されたコイルを通じて磁界共振結

合により電力を伝送し,二次側で直流に変換して電圧形イ

ンバータによりモータを駆動する。一次側と二次側の情報

通信も無線通信により行う。これにより車体とインホイー

ルモータの間で一切のワイヤ接続がない構成が実現される。

〈2・2〉 実験車両と 1次試作サブユニット Fig. 2(a)に当研究室で製作した実験用電気自動車 FPEV4-Sawyerを示す。当車両は前後輪がそれぞれ交換可能なサブユニットと

Power conversion

circuits

Primary

coil

Secondary

coil

Linear actuatorMotor driver

Brushlessgearedmotor

Powderbrake

Fig. 3. Simulated test equipment.

0 20 40 60 80 1005

6

7

8

9

10

11

12

13

misalignment [mm]

mu

tua

l in

du

cta

nce

[u

H]

Fig. 4. Coil misalignment vs. mutual inductance.

Table 2. Specifications of coils.

Primary coil Secondary coilResistance R 0.297 Ω 0.305 ΩInductance L 71.9 µH 71.3 µHCapacitance C 35.9 nF 35.9 nFResonance frequency f0 99.0 kHzMutual inductance Lm 12.4 µH (gap: 80 mm)

なっており,様々な駆動方式を同一のプラットフォーム上

で実験・比較できる。サブユニットの目標性能と一次試作

の仕様を Table 1に示す。最終目標として四輪合計で最大出力 48 kWの性能を目指すが,まず一次試作として後輪二輪合計で最大出力 6.6 kWのユニットを製作し,制御手法・送受電コイル設計等の技術を確立する。1次試作ユニットの 3Dモデルを Fig. 2(b)に示す。〈2・3〉 模擬実験装置 本研究では提案する制御系の

実験のため,W-IWMを模擬する実験装置を製作した。実験装置を Fig. 3に示す。装置は電力変換回路,一次側・二次側コイル,モータ負荷で構成されている。電力変換回路

の構成は後述する。

一次側・二次側コイルは 200 × 200 mmの同一形状の平面コイルである。二次側コイルを直動アクチュエータ上に

設置しており,コイル間の位置ずれを動的に変えることが

できる。実車でのコイル間の位置ずれはサスペンションリ

ンク機構により定まる軌跡上に拘束されるため,一軸の直線

上での変位として近似できる。したがって本装置の構成に

より実車でのサスペンションの動作を模擬できる。送受電

各コイルの特性値を Table 2に示す。また,コイル間ギャップ 80 mm において位置ずれを変化させた際の相互インダクタンスの測定値を Fig. 4に示す。

2 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

Secondary converter

Primaryinverter

Lm

L1 L2

C1 C2

E CsVdcvconv

iconv isiinv

vinv

x4 x4 x6

PWM inverter

M

PMSM

Load plant

RL

Equivalent load resistance

Fig. 5. Power conversion circuit structure of the wireless in-wheel motor.

R1 R2C1 C2L1-Lm L2-Lm

Lm

i1v1

i2

v2R

Fig. 6. AC circuit model.

モータ負荷は最大出力 50Wの減速機付 3相ブラシレスモータ(減速比 25)にパウダブレーキが連結されている。ブラシレスモータはドライバにより速度制御される。ブラシ

レスモータドライバの主回路電源はワイヤレス電力伝送を

介して与えられる。パウダブレーキは電流制御によりモー

タに所望の負荷トルクを与える。これにより実車での駆動

モータを模擬する。

3. 回路構成とモデル化

〈3・1〉 回路構成 W-IWMの回路構成を Fig. 5に示す。共振コンデンサが一次側・二次側ともにコイルと直列

である SS(Series-Series)方式である。電力変換回路は一次側が電圧形インバータ,二次側が電圧形コンバータであり,

いずれもフルブリッジ回路である。両者の duty比を制御することで伝送電力を制御する。回路構成は一次側と二次側

で対称形となっており,双方向電力伝送に適している。な

お,本稿では説明の便宜上,一次側のフルブリッジ回路を

インバータ,二次側をコンバータと呼んでいるが,回生動

作においては二次側がインバータ,一次側がコンバータと

して動作する。

負荷モータの駆動には電圧形 PWMインバータを用いる。磁界共振結合では負荷の大きさにより二次側電圧・電流が

変化することが知られており,二次側に制御可能な電力変換

回路が必要である。従来研究においては二次側にダイオー

ドブリッジ整流回路を設け,その後段に DC-DCコンバータを設ける構成 (18)~(20)が提案されている。しかし,W-IWMでは二次側のスペースはホイール内部の限られた空間であ

るため可能な限り小型化する必要がある。そこで二次側整

流回路をコンバータで構成することで小型化を図っている。

〈3・2〉 交流回路モデル まず,二次側コンバータを

無視し,負荷として純抵抗 Rが接続された交流回路モデルについて考える。SS方式の交流回路モデルは Fig. 6に示す

104

105

106

−80

−60

−40

−20

0

gain

[dB

]10

410

510

6−90

0

90

180

270

frequency [Hz]

phase [deg]

Fig. 7. Bode diagram of AC circuit model.

ように T型等価回路で表すことができる (21)。T型等価回路の一次側電圧 v1 から二次側電流 i2 への伝達関数 Pi2 (s)は電圧方程式を解くことにより

Pi2 (s) =b3s3

s4 + a3s3 + a2s2 + a1s + a0· · · · · · · · · · · · (1)

と求められる。ここで各係数はそれぞれ

a3 =L1 (R2 + R) + R1L2

L1L2 − Lm2 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (2)

a2 =R1C1C2 (R2 + R) +C1L1 +C2L2

C1C2

(L1L2 − Lm

2) · · · · · · · · · · · (3)

a1 =R1C1 +C2 (R2 + R)

C1C2

(L1L2 − Lm

2) · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (4)

a0 =1

C1C2

(L1L2 − Lm

2) · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (5)

b3 =Lm

L1L2 − Lm2 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (6)

である。各記号は Fig. 6中に示す通りである。R = 25 Ω,Table 2に示すパラメータにおける Pi2 (s)の bode線図をFig.7に示す。Fig. 7より磁界共振結合方式は共振周波数を通過域とするバンドパスフィルタ特性を有していることが分

かる。また,共振周波数では一次側電圧に対して二次側電

流は 90 deg進みとなる。〈3・3〉 等価負荷抵抗モデル 二次側整流回路(本回路

構成においては二次側コンバータ)の基本波力率が 1で損失がないと仮定すると,整流回路を含めた負荷全体を等価

3 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

Tp

T0.5T0.25T

0.75T

-E

+E

(a) Primary inverter.

T

0.25T

0.75T

0.5T

input current

mode 1

mode 3mode 2

(b) Secondary converter.

Fig. 8. Definition of duty ratio.

的な純抵抗とみなせることが知られている (18)。本研究では

二次側 DCリンクの平滑コンデンサ以降に接続されるインバータ・モータ部を等価負荷抵抗 RLと定義する。インバー

タ駆動されるモータ負荷の場合,モータ機械出力 Pm と電

力との関係は下式で表される。

Pm = ηmηinvVdcIdc · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (7)

ここで ηmはモータ効率,ηinvはインバータ効率,IdcはDCリンク電流である。(7)式は RL を用いると

RL = ηmηinvVdc

2

Pm· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (8)

と書ける。すなわち,Vdc が一定であるなら RL は Pm によ

り定まる。等価負荷抵抗を導入することで,モータ負荷を

純抵抗負荷と同様の解析手法で取り扱うことができる。そ

こで,等価負荷抵抗 RL と Fig. 6に示す交流回路モデルにおける Rが同一であると近似すると,二次側コンバータ入力電流 iconv は伝達関数 Pi2 (s)により求めることができる。〈3・4〉 負荷プラントのダイナミクス 二次側コンバー

タの出力に接続される平滑コンデンサ Cs と等価負荷抵抗

RLを合わせて負荷プラントと定義する。二次側コンバータ

出力電流 is から DCリンク電圧 Vdc までの伝達関数は

PLoad(s) =RL

RLCss + 1· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (9)

と表すことができる。

実際のインバータとモータによる負荷ではインバータの

電流制御等の要因のため,負荷はより高次の成分を含むと

考えられる。一方,電力伝送の観点から考えた場合,一次

側からワイヤレスで供給される電力はモータの機械出力に

対応するような比較的遅い所要電力の変化に追従できれば

よい。前述の高次成分は後述の DCリンク電圧制御において想定する制御帯域に比べて十分高い周波数成分であるた

め無視し,(9)式により負荷プラントをモデル化する。〈3・5〉 インバータ・コンバータの duty比に対する DCリンク電圧 一次側インバータと二次側コンバータはそ

れぞれ Fig. 8(a),(b)に示す 3レベルのスイッチング状態で動作させる。ここで duty比をパルス半周期 0.5T に対するパルス幅 Tp の比 Tp/0.5T と定義する。一次側インバータにおいて duty比 1.0は電圧 ±E の矩形波を意味する。

Fig. 8(a)に示す一次側インバータの動作波形は基本波と奇数次の高調波成分を含んでいる。Fig. 7より高調波成分

Cs

Vdc

secondary converter

iconv

vconv

is

zero cross saw

carrier

S21

S22

S23

S24

0.5T0.25T

mode 1

iconv

vconv

Fig. 9. Operation of the secondary converter.

Table 3. Switching mode of the secondary converter.

mode gate state circuit operation1 S 21, S 24 = ON operated as rectifier2 S 22, S 23 = ON operated as rectifier3 S 22, S 24 = ON secondary coil is shorted

のゲインは基本波成分に比べて十分小さいため,基本波成

分のみに着目すればよい。一次側インバータ duty比 dinvに

対する一次側インバータ出力電圧の基本波振幅 Vinv1はフー

リエ級数展開により下式の通り求められる。

Vinv1 =4Eπ

sinπdinv

2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (10)

二次側コンバータは Table 3に示す 3つのスイッチングモードで動作させる。モード 1, 2では二次側コイルから負荷プラントに電流を流入させる。一方,モード 3では両レグの下アームをONにして二次側コイルを短絡状態にする。二次側コンバータの入力側から見た場合,モード 1,2は負荷抵抗に接続された状態,モード 3は負荷抵抗がゼロの状態となる。(1)式より二次側コンバータの入力電流振幅 Iconv

は一次側インバータの動作角周波数を ωin とし,R = RL と

近似すると次式により求められる。

Iconv = |Pi2 ( jωin) |Vinv1 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (11)

ここで負荷プラントの時定数が動作周波数に対して十分遅

い場合,二次側コンバータ出力電流 is は平均値で取り扱う

ことができる。基本波成分のみに着目しているので,二次

側コンバータ入力電流 iconvは動作周波数と同じ周波数の正

弦波電流であると仮定する。二次側コンバータ入力電流の

半周期において Fig. 9に示すように duty比 dconv の区間の

み電流が通過するので(モード 1,2),負荷プラントに流入する平均電流 Isa は

Isa =1π

∫ π2+π2 dconv

π2−π2 dconv

Iconv sin θdθ

=2π

Iconv sinπdconv

2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (12)

と求められる。(12)式に (10),(11)式を代入すると

Isa =8Eπ2 |Pi2 ( jωin) | sin

πdinv

2sinπdconv

2· · · · · · · · (13)

4 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

Cs

v2

i2

Constant

power

load

io

equivalent current source

Fig. 10. Equivalent circuit model.

であり,Vdc の定常値は下式により求められる。

Vdc|t=∞=8ERL

π2 |Pi2 ( jωin) | sinπdinv

2sinπdconv

2· · (14)

実際のスイッチング信号の生成においては二次側コンバー

タの基本波力率を 1とするため,二次側コンバータのスイッチング信号を二次側コンバータ入力電流 iconvと同期させる

必要があり,Fig. 9に示すように iconv がゼロクロスするタ

イミングを基準としてキャリア信号を生成する方法が考え

られる。

4. DCリンク電圧安定化制御

本章では二次側 DCリンク電圧 Vdc を安定化する制御手

法を提案する。

〈4・1〉 DCリンク電圧安定化の必要性 W-IWMの負荷は電圧形インバータで駆動されるモータであり,直流定

電力負荷と近似することができる。解析を容易にするため

Fig. 10に示す等価モデルを導入する。等価モデルでは一次側回路と二次側コンバータまでをすべてまとめて等価電流

源 ioとみなす。ioは前述の通り二次側コンバータ出力電流平均値の可変直流電流源とみなせる。

等価モデルの回路方程式は下式で表される。

i2 = io −Csdv2dt· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (15)

負荷電力を p2 とすると負荷電流 i2 は

i2 =p2

v2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (16)

と表すことができる。これを (15)式に代入して整理すると下式が得られる。

dv2dt= − p2

Csv2+

ioCs· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (17)

(17)式を平衡点近傍で線形化すると下式が得られる。

d∆v2dt=

p2∆v2

CsV22 +∆ioCs· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (18)

v2 = V2 + ∆v2

io = Io + ∆io

(18)式をラプラス変換することにより ∆io から ∆v2 への伝達関数 P∆(s)が得られる。

P∆(s) =∆v2(s)∆io(s)

=1

Cs

(s − p2

CsV22

) · · · · · · · · · · · · · (19)

eq.(8)

or map

Pm*

Vdc*

eq.(21) PWM Pi2 (s)RL

*dinv

* vinv

eq.(26)CFB (s)

CFF (s)

++ Isa

*

PWMdconv

* IsaPLoad (s)

+-

Vdc*

dconv

Vdc

secondary converter

primary inverter primary side (on-board)

secondary side (in-wheel)

iconv

Fig. 11. Block diagram of the proposed control method.

したがって P∆(s)の極 pは

p =p2

CsV22 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (20)

であり,p2 > 0,V2 > 0なので P∆(s)は負荷電力 p2 や平

衡点によらず常に不安定である。以上の解析結果より定電

力負荷の場合,二次側 DCリンク電圧は不安定であり安定化のために何らかの制御が不可欠であることが示された。

〈4・2〉 一次側と二次側の機能分担 提案するW-IWMの回路構成は一次側インバータ duty比と二次側コンバータduty比の 2つの制御自由度を有している。制御対象は二次側 DCリンク電圧であるが,二次側の情報を一次側に送ると無線通信による遅延が生じる。そこで,一次側インバー

タはフィードフォワード制御とし,二次側コンバータにお

いて DCリンク電圧をフィードバック制御する。提案制御法のブロック図を Fig. 11に示す。〈4・3〉 一次側インバータの制御系 モータ角速度と

トルクが既知であるならモータの機械出力を求めることが

でき,さらに (8)式から等価負荷抵抗を求めることができる。ここでモータ角速度は二次側の情報であり,一次側で

は通信による遅延を含んでいるが,通常の走行においてタ

イヤにスリップが生じていないと仮定すると通信遅延によ

る生じるモータ角速度誤差は十分に小さいため無視するこ

とができる。一方でモータトルクの応答性はモータの電流

制御系の応答と同じであり一般に 1 kHz程度の応答性を有している。一次側インバータの制御周期として 1 kHz程度を想定すると,制御周期においてモータトルクは指令値に

対して即座に応答するとみなせるため,トルク指令値の通

信遅延を考慮する必要がある。通信遅延が既知であるとす

ると,機械出力の指令値 P∗m と DCリンク電圧目標値 V∗dc

から (8)式により等価負荷抵抗 R∗L が求められる。ただし,実際にはモータ,インバータの効率特性を考慮する必要が

あるため,あらかじめモータ角速度とトルク指令値から等

価負荷抵抗を定めるマップを用意しておき,これを参照す

るのが実用的である。

一次側の制御においては二次側でフィードバック制御を

行なう余地を持たせる必要がある。すなわち,モデル誤差

や外乱がない場合,二次側コンバータ duty比がある所望の値となるように一次側 duty比を定める方法が望ましい。このときの二次側コンバータ duty比を二次側ノミナル duty比 dconvと定義する。V∗dcに対する一次側インバータの duty

5 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 10

5

10

15

20

primary invertr duty ratio [−]

DC

−lin

k v

oltag

e [

V]

25Ω, calc.

25Ω, exp.

50Ω, calc.

50Ω, exp.

(a) dinv vs. Vdc (dconv = 1.0).

0 0.2 0.4 0.6 0.8 10

5

10

15

20

secondary converter duty ratio [−]

DC

−lin

k v

oltag

e [

V]

25Ω, calc.

25Ω, exp.

50Ω, calc.

50Ω, exp.

(b) dconv vs. Vdc (dinv = 1.0).

−10

0

10

vin

v [V

]

−1

0

1

i inv [A

]

−10

0

10

vconv [V

]

0 5 10 15 20 25 30−1

0

1

time [us]

i conv [A

]

(c) Voltage and current waveform.

Fig. 12. Duty ratio vs. DC-link voltage.

比指令値 d∗inv は (14)式より

d∗inv =2π

sin−1

π2V∗dc

8ER∗L|Pi2 ( jωin) | sin πdconv2

· · · · · · (21)

と求められる。相互インダクタンス Lm はノミナル値(車

両が静止状態でのコイル相対位置における値)を用いる。

W-IWMにおいては送受電コイル間の変位がサスペンション機構で拘束されているため,相互インダクタンスの最大

変化量をあらかじめ知ることができる。これに基づきコイ

ルパラメータおよび dconvを設定することは可能である。一

方,コイルパラメータは伝送効率や機械的な寸法制約とも

関係するため,dconvの設定はコイルパラメータ設計とも密

接に関連しておりこれらのパラメータの最適化は今後の課

題である。

〈4・4〉 二次側コンバータの制御系 二次側コンバー

タでは DC リンク電圧 Vdc の二自由度制御系を構成する。

ここで送受電コイルの過渡特性は負荷プラントの応答に比

べて十分に速いので無視する。等価負荷抵抗 R∗L は一次側と同様に求め,Lmはノミナル値を用いる。フィードバック

コントローラ CFB(s)は PI制御として −p rad/sの重根に極配置する。

CFB(s) = Kp + Ki1s· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (22)

Kp =2pR∗LCs − 1

R∗L· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (23)

Ki = p2Cs · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (24)

またフィードフォワードコントローラは逆プラントとカッ

トオフ周波数 ωc rad/sのローパスフィルタにより

CFF(s) =ωc

s + ωcPLoad

−1(s) · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (25)

とする。コントローラの操作量は二次側コンバータの平均

出力電流 I∗sa なので (13)式より duty比指令値 d∗conv は

d∗conv =2π

sin−1

π2I∗sa

8E|Pi2 ( jωin) | sin πd∗inv

2

· · · · · · · · (26)

と求められる。

5. シミュレーションおよび実験

〈5・1〉 インバータ・コンバータの duty比に対する DCリンク電圧 (14)式を実験により検証するため,下記の2つの条件で Vdc を測定した。

1) dconv は 1.0に固定,dinv を変化

2) dinv は 1.0に固定,dconv を変化

直流電源電圧 E = 5 V,負荷は 25 Ωと 50 Ωの無誘導性抵抗,平滑コンデンサ容量は 1000 µFとした。一次側インバータの動作周波数は 100 kHzとした。磁界共振結合は共振現象を用いているため,共振周波数と完全に一致させる

と特性が急峻になり,負荷抵抗や相互インダクタンスの変

動に対して Vdc の変化が大きくなる。そこで動作周波数を

共振周波数からわずかにずらしている。

実験装置ではアナログ回路による三角波比較方式でスイッ

チング信号を生成した。実験装置構成の都合上,一次側イ

ンバータと二次側コンバータの三角波キャリアは同一信号

を用いている。一次側インバータの動作周波数が共振周波

数と一致している場合,Fig. 7より二次側電流は一次側電圧に対して理論上 90 deg進みとなる。そこで,一次側のゲート信号を遅延回路を用いて二次側に対して 90 deg相当の時間だけ遅延させることで,二次側スイッチングの二次側電

流との同期を模擬した。3.5 節において提案したスイッチング同期方法の検証については今後の課題とする。

実験結果を Fig. 12(a),(b)に示す。測定値と理論値では若干の誤差が見られるものの,全体の傾向として良い一致

が得られており回路のモデル化と (14)式が妥当であることが確認できた。実験値と理論値の誤差の要因としてはコイ

ルや共振コンデンサのパラメータ誤差や二次側電流波形の

歪みが考えられる。Fig. 12(c)に負荷抵抗 25 Ω,dinv = 0.7,dconv = 0.5における一次側インバータ出力と二次側コンバータ入力の電圧・電流波形を示す。図中の実線は実測値,点

線は回路シミュレーションによる計算値であり,計算値と

実測値で良い一致が得られている。

〈5・2〉 等価負荷抵抗マップの取得 模擬実験装置を

用いて提案する DCリンク電圧安定化制御の有効性を確認する。まず,モータドライバを含むモータ負荷の等価負荷

抵抗を求めた。実験手順は下記の通りである。

6 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

motor rotation speed [rpm]

loa

d t

orq

ue

[N

m]

10 20 30 40 50 600.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

eq

uiv

ale

nt

loa

d r

esis

tan

ce

]

0

50

100

150

200

250

300

350

400

Fig. 13. Equivalent load resistance map.

1) dconv = 0.5として提案制御法を行なう。2) 測定点はモータ回転数 5 rpm毎,負荷トルク 0.1 Nm毎とする。

3) 各測定点で制御系の R∗L を調整し,dconv が 0.5になったときの R∗L をその動作点での等価負荷抵抗とする。ただし R∗L > 400Ωとしても dconv < 0.5である場合,等価負荷抵抗値を 400 Ωとする。4) 測定点間の等価負荷抵抗は線形補間により求める。以降のすべての実験において直流電源電圧 E は 12 V,DCリンク電圧目標値 V∗dc は 24 Vとした。取得した等価負荷抵抗マップを Fig. 13に示す。機械出力が大きくなるほど等価負荷抵抗が小さくなっており,おおむね (8)式の関係を満たしていることが分かる。必要電力が小さい動作点に

おいては等価負荷抵抗が大きな値となってしまうため上限

値を設定しているが,dconvの余裕が設定値以上となるだけ

であり電力伝送には支障がない。

〈5・3〉 モータ駆動時の相互インダクタンス変動実験

ワイヤレス伝送した電力によりモータを動作させた状態に

おいて,直動アクチュエータを用いてコイル間に Fig. 14(a)に示す位置ずれを与えて提案制御法の有効性を確認した。

このときの相互インダクタンス変動を Fig. 14(b) に示す。モータ回転数は 60 rpm,負荷トルクは 1.5 Nmとした。このとき等価負荷抵抗 R∗L はマップより 39.2 Ωであり,一次側インバータの duty比は (21)式より d∗inv = 0.721となる。シミュレーションにおいては負荷を 39.2 Ω の純抵抗とした。平滑コンデンサはモータドライバに内蔵されており正

確な容量が不明であるため 2000 µFと仮定した。二次側 PI制御器の極は-50 rad/sとした。実験においては Vdc 計測値

のノイズ低減のためカットオフ周波数 200 rad/sのローパスフィルタを適用した。

シミュレーション結果を Fig. 15(a),(b)に示す。制御なし(一次側インバータ,二次側コンバータともに duty比一定)の場合,Lmの変動に応じて Vdcが変動してしまうのに

対して,提案法では二次側コンバータの duty比が適切に制御され Vdc がほぼ目標値に保たれている。

実験結果を Fig. 15(c),(d)に示す。制御なしの場合 Lmの

変動により Vdc が大きく変動している。シミュレーション

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90

10

20

30

40

50

60

70

80

time [s]

po

sitio

n m

isa

lign

me

nt

[mm

]

(a) Position misalignment.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.98

9

10

11

12

13

14

time [s]

mu

tua

l in

du

cta

nce

[u

H]

(b) Mutual inductance.

Fig. 14. Coil position misalignment and variation of Lm.

では負荷を純抵抗としているため Lmが元の値に戻ると Vdc

も元の値に戻っている。一方,実験では負荷が定電力負荷

であるため Vdcが発散しており,36 Vに達した時点で保護機能により一次側インバータを停止した。結果として制御

なしではモータを駆動することは不可能である。一方,提

案法ではシミュレーションと同様に二次側コンバータ duty比が適切に制御されており,Vdc はほぼ目標値に保たれて

いる。その結果として相互インダクタンスの変動が生じて

もモータ駆動を正常に継続することができた。

〈5・4〉 モータ負荷変動実験 モータ回転数指令値をス

テップ状に変化させて負荷変動を与えた場合の提案制御法

の有効性を実験により確認した。負荷トルクは 1.5 Nmとし,モータ回転数指令値を 60,30,60 rpmとステップ状に変えた。指令値にはカットオフ周波数 20 rad/sのローパスフィルタを適用した。回転数指令値を Fig. 16(a)に,マップから求めた R∗L を Fig. 16(e)に示す。二次側 PI制御器の極は-50 rad/s,フィードフォワードコントローラのローパスフィルタのカットオフ周波数は 100 rad/sとした。シミュレーション結果を Fig. 16(b)から (d)に示す。制御なしの場合,負荷変動により Vdc が大きく変動してしま

う。一方,提案法では負荷変動が生じても Vdc が一定に保

たれている。シミュレーションではモデル誤差や外乱がな

いため一次側のフィードフォワードが理想的に動作してお

り,二次側 duty比はほとんど変化しない。実験結果を Fig. 16(f)から (h)に示す。制御なしの場合,負荷変動により Vdc が急上昇したため回路保護機能により

一次側インバータを停止した。一方,提案法では Vdc の変

動はごくわずかである。二次側コンバータ duty比は負荷変動の過渡時(時刻 0.5, 2.5 s付近)を除いてほぼ dconv であ

る 0.5付近の値であり,一次側でのフィードフォワードが適切に動作していることが分かる。

なお,本実験条件においてはモータ速度をステップ的に

減速させているが,電力回生は行われていない。実験装置

では電力回生に応じた一次側インバータ,二次側コンバー

タの制御切り替えは行っていないため,モータドライバか

らの回生電力がある場合 Vdc が上昇し,dconvが 0に近い値となることが予測される。しかし,Fig. 16(h) より制御ありの場合 dconvは減速時においても 0.4程度の値となっており,依然として一次側から電力が伝送されていることが分

かる。電力回生が生じていない理由としては,速度指令値

7 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.920

22

24

26

28

30

32

34

36

time [s]

DC

−lin

k v

olta

ge

[V

]

w/ control

w/o control

reference

(a) Vdc (simulation).

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

se

co

nd

ary

co

nve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(b) dconv (simulation).

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.920

22

24

26

28

30

32

34

36

time [s]

DC

−lin

k v

olta

ge

[V

]

w/ control

w/o control

reference

(c) Vdc (experiment).

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

se

co

nd

ary

co

nve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(d) dconv (experiment).

Fig. 15. Simulation and experimental results of variation in mutual inductance.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.50

10

20

30

40

50

60

70

80

time [s]

rota

tio

n s

pe

ed

co

mm

an

d [

rpm

]

(a) Rotation speed command.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.520

25

30

35

40

time [s]

DC

−lin

k v

olta

ge

[V

]

w/ control

w/o control

reference

(b) Vdc (simulation).

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.50

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]p

rim

ary

in

ve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(c) dinv (simulation).

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.50

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

se

co

nd

ary

co

nve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(d) dconv (simulation).

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.530

40

50

60

70

80

90

100

time [s]

eq

uiv

ale

nt

loa

d r

esis

tan

ce

[ Ω

]

(e) R∗L.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.520

25

30

35

40

time [s]

DC

−lin

k v

olta

ge

[V

]

w/ control

w/o control

reference

(f) Vdc (experiment).

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.50

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

prim

ary

in

ve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(g) dinv (experiment).

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.50

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

se

co

nd

ary

co

nve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

w/o control

(h) dconv (experiment).

Fig. 16. Simulation and experimental results of variation in motor load.

にローパスフィルタが適用されており回生電力の絶対値が

小さいこと,モータの減速機での機械損失が大きいことが

考えられる。実際のW-IWMにおいては電力回生が生じるため,それに応じた一次側インバータ,二次側コンバータ

の制御切り替えが必要である。

以上の実験により提案制御法の有効性が示された。

〈5・5〉 実機への提案制御法の適用検討 本稿では小出

力の実験装置を用いて提案制御法の有効性を確認した。し

かし,実際のW-IWMは実験装置に比べて 100倍近い最大電力であり,提案手法が実機においても適用可能であるか

を検証する必要がある。本節では実験装置とW-IWMの実機における提案手法の等価性を示した後,シミュレーショ

ンにより実機での提案制御法の有効性を検証する。

提案制御法では以下の条件を仮定している.

(a) 一次側インバータの動作周波数(すなわち共振周波数)が負荷プラント時定数に比べて十分に速い

(b) 送受電コイル部の過渡応答の時定数が負荷プラント時定数に比べて十分に速い

(a)は二次側コンバータの出力電流を平均値で取り扱うための条件であり,(b)は送受電コイル部の過渡特性を無視できるための条件である。したがって上記の条件が満たされて

Table 4. Specifications of coils (first trial unit).

Primary coil Secondary coilResistance R 0.411 Ω 0.381 ΩInductance L 260 µH 223 µHCapacitance C 13.5 nF 15.7 nFResonance frequency f0 83.7 kHzMutual inductance Lm 48.6 µH (gap: 100 mm)

Table 5. Parameter comparison.

Test equipment First trial unitOutput power 7.85 W 3300 WDC-link voltage V∗dc 24 V 350 VEquivalent load resistance RL 39.2 Ω 31.7 ΩSmoothing capacitance Cs 2000 µF 1320 µFResonance frequency 99.0 kHz 83.7 kHzTime constant of load plant 78.4 ms 41.9 msTime constant of WPT 0.0760 ms 0.0337 ms

いれば実機でも提案制御法が適用できると考えられる。

負荷プラントの伝達関数は (9)式で示されており,等価負荷抵抗 RLが小さいほど時定数が小さくなる。等価負荷抵抗

が最小となるのはモータ出力が最大のときである。W-IWMの一次試作ユニットでは最大出力 3.30 kWを想定しており,最大出力におけるモータ効率を 90 %,インバータ効率を 95

8 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

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ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90

10

20

30

40

50

60

time [s]

mu

tua

l in

du

cta

nce

[u

H]

(a) Variation of Lm.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9300

320

340

360

380

400

time [s]

DC

−lin

k v

olta

ge

[V

]

w/ control

reference

(b) Vdc.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

time [s]

se

co

nd

ary

co

nve

rte

r d

uty

ra

tio

[−

]

w/ control

(c) dconv.

Fig. 17. Simulation results of variation in mutual inductance (first trial unit).

%と仮定すると二次側 DCリンクにおける電力は 3.86 kWであり,DCリンク電圧の目標値 V∗dc を 350 Vとすると等価負荷抵抗は RL = 31.7 Ωである。送受電コイル部の過渡応答特性は伝達関数 Pi2 で表され,

動作周波数が共振周波数と一致している場合,Pi2 の支配極

実部の逆数を時定数とみなせる。送受電コイル部の時定数

も RLにより変化し,RLが小さいほど時定数が小さくなる。

したがって最小の RL において負荷プラントの時定数と比

較すればよい。

Table 5に実験装置と一次試作ユニットにおけるパラメータの比較を示す。いずれも共振周波数は負荷プラントの時

定数に対して十分に速く,(a)の条件を満たしている。また,送受電コイル部の時定数は負荷プラントの時定数に比べて

いずれも 1000倍以上速く,(b)の条件も満たしている。さらに,等価負荷抵抗も同程度であることから,実験装置と

実機では制御において等価性があり,提案手法を実機に適

用可能であると考えられる。

一次試作ユニットのパラメータにおいて相互インダクタ

ンス変動時の提案制御法のシミュレーションを行なった。

直流電源電圧 E は車載バッテリーからの昇圧を想定して600 Vとした。その他のパラメータは Table 4,Table 5の通りであり,二次側フィードバック制御の極配置も前述の

実験と同じ値とした。シミュレーション結果を Fig. 17に示す。Fig. 17(a)は相互インダクタンス変動でありコイル位置ずれ 100 mmを想定している。Fig. 17(b)は二次側 DCリンク電圧 Vdc,(c)は二次側コンバータ duty比である。Vdc

の変動は ±10 V以内に抑えられており提案制御法が有効に動作している。

以上の考察とシミュレーション結果より,提案制御法は

W-IWMの実機においても適用可能であると考えられる。

6. 結 言

本研究では磁界共振結合によるワイヤレスインホイール

モータの基礎研究として,電力変換回路の構成と制御法を

提案した。回路の各要素をモデル化して一次側インバータ・

二次側コンバータの duty比と二次側DCリンク電圧の関係式を導出し,実験によりモデル化が正しいことを確認した。

さらに二次側 DCリンク電圧を安定化する制御法を提案した。モータ駆動時において相互インダクタンスと負荷を変

動させる実験を行ない,提案するDCリンク電圧安定化制御の有効性を実験により示した。提案する制御法はW-IWMだけでなく,磁界共振結合による電力伝送の制御において

広く適用可能である。

今後の課題としては,回生時の制御方法の確立とその実

験検証,二次側コンバータのスイッチング同期方法の検証

などが挙げられる。さらに,W-IWM一次試作ユニットによる実車走行の実現を目指す。

文 献

( 1) Y. Hori: “Future Vehicle Driven by Electricity and Control–Research onFour–Wheel–Motored:“UOT Electric March II” ”, IEEE Trans. IE, Vol. 51,No. 5, pp. 954–962 (2004)

( 2) S. Murata: “Vehicle Dynamics Innovation with In-Wheel Motor”, Proc.JSAE EVTeC’11, 20117204, Yokohama (2011)

( 3) M. Yoshimura, and H. Fujimoto: “Driving Torque Control Method for Elec-tric Vehicle with In-Wheel Motors”,IEEJ Trans. IA, Vol.131, No.5, pp721–728 (2011) (in Japanese)吉村雅貴・藤本博志:「インホイルモータを搭載した電気自動車の駆

動トルク制御法」,電学論 D, Vol.131, No.5, pp721–728 (2011)( 4) K. Nam, H. Hujimoto, and Y. Hori: “Lateral Stability Control of In-Wheel-

Motor-Driven Electric Vehicles Based on Sideslip Angle Estimation UsingLateral Tire Force Sensors”, IEEE Trans. Vehicular Technology, Vol.61,No.5, pp.1972–1985, 2012

( 5) K. Maeda, H. Fujimoto, and Y. Hori: “Four-wheel Driving-force Distribu-tion Method for Instantaneous or Split Slippery Roads for Electric Vehicle”,Automatika - Journal for Control, Measurement, Electronics, Computingand Communications, pp. 103–113, 2013

( 6) D. Gunji, Y. Matsuda, and K. Tanaka: “Development of the EV drive unitwith shifting mechanism”, Proc. 2012 Spring JSAE Annual Conference,No.58-12, pp.1–4, Yokohama (2012) (in Japanese)郡司大輔・松田靖之・田中一宇:「変速機構を有する EV 駆動ユニットの開発」,自動車技術会 2012 年春季学術講演会前刷集,No.58-12,pp.1–4 (2012)

( 7) G. Freitag, M. Klopzig, K. Schleicher, M. Wilke, and M. Schramm: “High-performance and highly efficient electric wheel hub drive in automotive de-sign”, Proc. 2013 3rd International Electric Drives Production Conference,pp.1–7, 2013, Nuremberg

( 8) A. Kock, M.Groninger, and A. Mertens: “Fault Tolerant Wheel Hub Drivewith Integrated Converter for Electric Vehicle Applications”, Proc. 2012IEEE Vehicle Power and Propulsion Conference, pp.19–23, 2012, Seoul

( 9) A.J. Rix, and M.J. Kamper: “Radial-Flux Permanent-Magnet Hub Drives: AComparison Based on Stator and Rotor Topologies”, IEEE Trans. IE, Vol.59,No.6, pp.2475–2483, 2012

(10) 車両駆動装置,公開特許公報特開 2006-240430(11) 車軸給電装置,公開特許公報特開 2013-5544(12) A.Kurs, A. Karalis, R. Moffatt, J.D. Jonnopoulos, P. Fisher, M.Soljacic,

“Wireless Power Transfer via Strongly Coupled Magnetic Resonances”, Sci-ence Expression on 7 June 2007, Vol.317, No.5834, pp.83–86, 2007

(13) T. Imura, H. Okabe, T. Uchida, and Y. Hori: “Wireless Power Trans-fer during Displacement Using Electromagnetic Coupling in Resonance -Magnetic- versus Electric-Type Antennas-”, IEEJ Trans. IA, Vol.130, No.1,pp.76–83 (2010) (in Japanese)

9 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x

Page 10: 磁界共振結合によるワイヤレスインホイールモータ …hflab.k.u-tokyo.ac.jp/papers/2015/IEEJD_WIWM_gunji.pdf電気学会論文誌D(産業応用部門誌) IEEJ

ワイヤレス IWMの基礎研究(郡司大輔,他)

居村岳広・岡部浩之・内田利之・堀洋一:「共振時の電磁界結合を

利用した位置ずれに強いワイヤレス電力伝送」,電学論 D,Vol.130,No.1,pp.76–83(2010)

(14) M. Kato, T. Imura, and Y. Hori: “New Characteristics Analysis Consider-ing Transmission Distance and Load Variation in Wireless Power Transfervia Magnetic Resonant Coupling”, Proc. IEEE INTELEC 2012, Scottsdale(2012)

(15) S. Matsushita, Y. Kaneko, and S. Abe: “Rectifier circuit of ContactlessPower Transfer Systems using Series and Parallel Resonant Capacitors”,IEEJ SPC, SPC-08-23, pp.13–18 (2008) (in Japanese)松下真也・金子裕良・阿部茂:「直列および並列共振コンデンサを用

いた非接触給電の受電部整流回路」,電気学会半導体電力変換研究

会,SPC-08-23,pp.13–18(2008)(16) T. Nayuki, K. Fukushima, N. Gibo, K. Nemoto, and T. Ikeya: “Prelimi-

nary Demonstrations of a Bi-directional Inductive Power Transfer System”,Electric power engineering research laboratory report, No.H10007 (2011)(in Japanese)名雪琢弥・福島健太郎・宜保直樹・根本孝七・池谷知彦:「双方向非

接触給電システムの提案と基本性能の実証」,電力中央研究所報告,

No.H10007(2011)(17) S. Mochizuki, S. Nakadachi, H. Watanabe, S. Sakaino, Y. Kaneko, S. Abe,

and T. Yasuda: “Bidirectional Contactless Power Transfer System Expand-able from Unidirectional System”, IEEJ Trans. IA, Vol.133, No.7, pp.707–713 (2013) (in Japanese)望月大樹・仲達崇一郎・渡辺宏・境野翔・金子裕良・阿部茂・保田

富夫:「一方向非接触給電から拡張容易な双方向非接触給電システ

ム」,電学論 D, Vol.133, No.7, pp.707–713 (2013)(18) K. Takuzaki, and N. Hoshi: “Consideration of Operating Condition of

Secondary-side Converter of Inductive Power Transfer System for ObtainingHigh Resonant Circuit Efficiency”, IEEJ Trans. IA, Vol.132, No.10, pp.966–975 (2012) (in Japanese)宅崎恒司・星伸一:「非接触給電装置の共振回路効率化のための受電

側降圧コンバータの動作条件の検討」,電学論 D,Vol.132,No.10,pp.966–975(2012)

(19) Y. Moriwaki, T. Imura, and Y. Hori: “A Study on Reduction of ReflectedPower Using DC/DC Converter in Wireless Power Transfer System via Mag-netic Resonant Coupling”, Proc. IEEJ Industrial Application Society Con-ference, Vol.1, pp.II-403–II-406 (2011) (in Japanese)森脇悠介・居村岳広・堀洋一: 「磁界共振結合を用いたワイヤレ

ス電力伝送の DC/DC コンバータを用いた負荷変動時の反射電力抑制に関する検討」, 平成 23 年電気学会産業応用部門大会, VOL.2,pp.II-403–II-406, 2011

(20) K. Iimura, N. Hoshi, and J. Haruna: “Experimental discussion on inductivetype contactless power transfer system with boost or buck converter con-nected to rectifier ”, Proc. 2012 7the International Power Electronics andMotion Control Conference, Vol.4, pp.2652–2657 (2012)

(21) T. Imura, H. Okabe, T. Uchida, and Y. Hori: “Study of Magnetic and ElectricCoupling for Contactless Power Transfer Using Equivalent Circuits”, IEEJTrans. IA, Vol.130, No.1, pp.84–92 (2010) (in Japanese)居村岳広・岡部浩之・内田利之・堀洋一:「等価回路から見た非接

触電力伝送の磁界結合と電界結合に関する研究」,電学論 D,Vol.130,No.1,pp.84–92(2010)

郡 司 大 輔 (正員) 1982年 10月 31日生。2007年 3月電気

通信大学大学院電気通信学研究科知能機械工学専

攻修士課程修了。同年 4 月日本精工(株)入社。

2012年 10月より東京大学大学院新領域創成科学

研究科先端エネルギー工学専攻博士課程に在籍。

主として電気自動車の要素技術に関する研究開発

に従事。2014 年電気学会産業応用部門奨励賞受

賞。IEEE,自動車技術会,日本ロボット学会,日

本機械学会各会員。

居 村 岳 広 (正員) 1980 年 8 月 11 日生。2005 年 3 月,上

智大学理工学部電気工学科卒業。2007 年 3 月東

京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程

修了。2010 年 3 月同大学大学院工学系研究科電

気工学専攻博士後期課程修了。博士 (工学)。同年

4月より同大学大学院新領域創成科学研究科客員

共同研究員。同年 9月同助教。現在,電磁界共振

結合,電磁共鳴を用いた電気自動車や電気機器へ

のワイヤレス電力伝送の研究に従事。IEEE,自動車技術会,電子情報

通信学会各会員。

藤 本 博 志 (上級会員) 1974年 2月 3日生。2001年東京大

学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了。

博士 (工学)。同年長岡技術科学大学工学部電気系

助手。2002 年 8 月より 1 年間,米国 Purdue 大

学工学部機械工学科客員研究員。2004 年横浜国

立大学大学院工学研究院講師。2005年同助教授,

2007 年同准教授。2010 年東京大学大学院新領域

創成科学研究科准教授。制御工学,モーションコ

ントロール,マルチレート制御,ナノスケールサーボ,電気自動車の

運動制御,モータとインバータの高性能制御,ビジュアルサーボに関

する研究に従事。2001年および 2013年 IEEE Trans. IE最優秀論文賞,

2010 年 Isao Takahashi Power ElectronicsAward,2010 年計測自動制御

学会著述賞などを受賞。計測自動制御学会,日本ロボット学会,自動

車技術会各会員,IEEE シニアメンバ。

10 IEEJ Trans. IA, Vol.xxx, No.xx, 201x