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統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 1.1 2つのサイコロを投げることについて,次の問いに答えよ.
(1) 区別できないサイコロを 2つ投げて,出た目の組を素事象に対応させる.このとき,確率変数の例を挙げ,その期待値を求めよ.
(2) 区別できるサイコロを 2つ投げるとき,前問の議論をどのように変更すれば良いか.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 2.1 確率変数 f について,!f"
single= µ,
!f2"
single= ν であるような 1 つの系がある(ここで,
⟨· · · ⟩single は 1つの系の期待値であることを示す).この系が N 個集まった系について,j 番目の系での物理
量を fj とおく.fj の算術平均 m =1
N
N#
j=1
fj とするとき,次の問いに答えよ.ただし,N 個の系は互いに
独立(つまり系の確率は部分系の確率の積で表される)とせよ.
(1) mの期待値 ⟨m⟩を求めよ.ここで,⟨· · · ⟩は N 個集まった系の期待値であることを示すものとする.(2) mのゆらぎ(標準偏差)σ[m]を求めよ.(3) 大数の弱法則 lim
N→∞Prob
$%%%m−!f"%%%≥ ε
&= 0を示せ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 3.1 2次元領域 0 ≤ x ≤ L,0 ≤ y ≤ Lを質量M の粒子が自由に運動している.次の問いに答えよ.
(1) ある変数 xと yについて,xy平面における!x2 + y2 ≤ rの幾何学的な意味を説明せよ.
(2) この系での状態数 Ω(E)は『n2x +n2
y ≤ E/E0(E0は定数)を満たす正の整数の組 (nx, ny)の総数』と等しい.このことを踏まえて,E ≫ E0 の状況では Ω(E) ≃ M
2π!2L2E と評価できることを示せ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 3.2 一辺が Lの立方体領域に,相互作用をしない粒子(質量M)が N 個閉じ込められている系を考える.問題を簡単にするため,ここでは N を偶数とする(N を奇数としてもほぼ同様の結果が得られる).
(1) 適当な正の整数の組を用いて,エネルギー固有値を表せ.(2) 状態数が Ω(E) ∼ 1
N !
1
(3N/2)!αN0 E3N/2V N(ただし,α0 = (M/2π)3/2!−3)と評価できることを示せ.
なお,半径 Rの ν 次元球の体積 Vν(R)が,ν が偶数であれば Vν(R) =πν/2
(ν/2)!Rν と表されることは証
明なしに用いよ.(3) スターリングの公式 n! ∼
!ne
"nを用いて,Ω(E) ∼ αN ϵ3N/2ρ−5N/2(ただし,α = e5/2(M/3π)3/2!−3)
を示せ.(4) 状態数を Ω(E) ∼ exp[V σ(ϵ, ρ)]と表現するとき,σ(ϵ, ρ) = ρ log(αϵ3/2ρ−5/2)であることを示せ.
2018.2.6追記:問題文にあった誤りを修正しました。
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 4.1 振動数 ν の振動子(ある固定点の周りで単振動する質点)がN 個ある系を考える.振動子は互いに結合しているものの,その結合は十分弱く,振動子の運動は独立であるとみなす.量子力学から,振動数が ν である振動子のエネルギーは
!n+
1
2
"hν(n = 1, 2, . . . .,hはプランク定数)と表されることが知ら
れている.つまり,i番目の振動子に対してある自然数 ni を定め,それらを列挙した n = (n1, . . . , nN )によりエネルギー固有状態を定めることができる.このとき,次の問いに答えよ.
(1) 系の全エネルギーが U1 =N + 1
2hν となる状態(つまり
N#
i
ni = 1)の総数を求めよ.
(2) 系の全エネルギーが UM =N +M
2hν(M はある自然数)となる状態の総数を求めよ.
(3) 系の全エネルギーが UM であるとき,等重率の原理を採用することで,エネルギー固有状態 nが実現する確率を表せ.
nは0以上の整数0以上の整数
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 5.1 共通の熱浴に接している 2つの部分からなる量子系(系 Aと系 B)がある.系 Aのエネルギー固有値を E(A)
i ,系 Bのエネルギー固有値を E(B)j とするとき,考える量子系は (i, j)で指定されるエネルギー
固有状態をもつ.系 Aと系 Bの間に相互作用は全くないとき,次の問いに答えよ.
(1) 状態 (i, j)に対応するエネルギー固有値を求めよ.(2) 量子系の分配関数 Z(β)を,部分系の分配関数 Z(A)(β)と Z(B)(β)を用いて表せ.(3) エネルギー固有状態 (i, j)が出現する確率 p(i,j) を,部分系での確率 p(A)i と p(B)j を用いて表せ.(4) 共通の熱浴に接する部分系が N 個の場合について,分配関数や状態の出現確率を議論せよ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 5.2 一辺が Lの 3次元の箱の中に N 個の自由粒子(質量M)が含まれている.この系のエネルギー固有状態は,粒子が区別できるとすると (n(1)
x , n(1)y , n(1)
z , n(2)x , n(2)
y , n(2)z , . . . , n(N)
x , n(N)y , n(N)
z ) という 3N 個
の自然数により特徴付けられ,対応するエネルギー固有値は E0
!
α=x,y,z
N!
j=1
"n(j)α
#2(E0 は定数)と表され
る.この系が等温系であるとき,次の問いに答えよ.
(1) 分配関数が Z(β) =1
N !
$ ∞!
n=1
exp%−βE0n
2&'3N
と表せることを示せ.ただし,状態を数える際には
粒子を区別しないで数えることとする.(2) βE0 ≪ 1を満たす場合,
∞!
n=1
exp%−βE0n
2&≃ 1√
βE0
( ∞
0e−x2
dxと変形できることを説明せよ.
(3) βE0 ≪ 1での分配関数が Z(β) ≃ V N
N !
)M
2π!2β
*3N/2
と書けることを示せ.ただし,E0 =π2!22ML2
で
あり,また必要であれば( ∞
−∞e−x2
=√π(ガウス積分)を用いよ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 6.1 カノニカル分布での状態量の表現について,次の問いに答えよ.
(1) エネルギーのゆらぎ σ[H]を,逆温度 β と分配関数 Z(β)を用いて表せ.(2) 熱容量 C(T ) =
d
dT
!H"とエネルギーのゆらぎ σ[H]の関係を表せ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 7.1 内部エネルギー U(T, V ) に関して,!∂S
∂V
"
T
=
!∂P
∂T
"
V
を用いることで,エネルギー方程式!∂U
∂V
"
T
= −P + T
!∂P
∂T
"
V
が成り立つことを示せ.なお,x,y,z という 3つの量について,これらのうち 2つを決めれば残り 1つが決まるという関係(たとえば x = f(y, z))があるときには,
!∂x
∂y
"
z
=
!∂y
∂x
"−1
z
,!∂x
∂y
"
z
!∂y
∂z
"
x
!∂z
∂x
"
y
= −1が成り立つ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 8.1 単原子分子理想気体では,単原子分子の質量をm,体積を V,系の粒子数をN とすると,低密度のときの分配関数が Z =
V N
N !
!m
2π!2β
"3N/2
で表される(課題 5.2参照).このとき,サッカー・テトロー
ド方程式(Sackur–Tetrode equation)S = NkB log
#e5/2
$ m
3π!2%3/2 U3/2V
N5/2
&を示せ.必要であれば,スター
リングの公式 N ! ≃!N
e
"N
を用いよ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 9.1 ガウス積分! ∞
−∞e−αx2
dxに関して,次の問いに答えよ.
(1)
! ∞
−∞e−αx2
dx =
"π
αとなることを示せ.
(2) nを自然数とするとき,! ∞
−∞x2ne−αx2
dx =(2n− 1)!!
2nαn
"π
αであることを示せ.なお,(2n− 1)!!は 1
から 2n− 1までの奇数をすべて掛け合わせたものを表す(例えば,7!! = 1 · 3 · 5 · 7).
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 9.2 結晶の定積モル比熱に対する近似式としてデバイの比熱の式
cD(T ) = 9R
#T
TD
$3 ! TD/T
0
x4ex
(ex − 1)2dx
がある.ここで,Rは気体定数,TD はデバイ温度と呼ばれる特徴的温度である.低温極限(T ≪ TD)と高温極限(T ≫ TD)での cD(T )の表式をそれぞれ求めよa.なお,必要に応じて
! ∞
0
xnex
(ex − 1)2dx = n!ζ(n)
(ζ(n)はリーマンゼータ関数)であることを用いよ.a デバイの比熱の式は,低温極限と高温極限では理論的に裏付けされた正しい表式となっている.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 10.1 系をリザバー(熱浴を兼ねた粒子浴)と開放系に分けることで,エネルギー固有状態 (N, i)
をとるグランドカノニカル分布の確率 p(GC)N,i の表式を求めなさい.ただし,系の全粒子数を Ntotal,系の全エネルギーを Utotal,リザバーの状態数を ΩNtotal
R (E) とし,β =∂
∂UtotallogΩ(Ntotal)
R (Utotal),µ =
− 1
β
∂
∂NtotallogΩ(Ntotal)
R (Utotal)とせよ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 10.2 カノニカル分布では,分配関数 Z はヘルムホルツの自由エネルギー F と F = − 1
βlogZ
として結びついていた.そこで,グランドカノニカル分布でも,大分配関数 Ξ = Ξ(β, µ) を用いて,J(V,β, µ) = − 1
βlogΞという量を考える.この J(V,β, µ)はグランドポテンシャルと呼ばれ,完全な熱力学
関数であることが知られている.次の問いに答えよ.
(1) 互いに独立な系 Aと Bを考え,それぞれの系の大分配関数を ΞA(β, µ)と ΞB(β, µ)とすると,全系の大分配関数は Ξ(β, µ) = ΞA(β, µ)ΞB(β, µ)と書ける.このことから,J(V,β, µ)が示量性を有することを示せ.
(2) 示量性を踏まえて ∂J(V,β, µ)
∂V=
J(V,β, µ)
Vを示せ.
(3) J(V,β, µ) = −P (β, µ)V を示せ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 11.1 ある同種 2粒子系について,1粒子エネルギー固有状態が j = 1, 2, 3の 3つだけであるような状況を考える.この系について,(1)2つの粒子が区別できる場合(古典系),(2)2つの粒子がボゾンの場合,(3)2つの粒子がフェルミオンの場合のそれぞれについて,2つの粒子が同じ 1粒子エネルギー固有状態を取る確率を求めよ.ただし,等重率の原理を採用することにする.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 12.1 1 粒子エネルギー固有状態の和について考える.状態数を Ω(ϵ),状態密度を D(ϵ) =d
dϵΩ(ϵ),
h(ϵ)を ϵに関する任意の関数,∆ϵ > 0を小さい量として,次の問いに答えよ.
(1) エネルギー固有状態を i = 1, 2, . . . で表すとき,∞!
i=1
h(ϵi) =∞!
n=1
!
j
(n)h(ϵj)と変形できる.ここで,
!
j
(n)は (n− 1)∆ϵ < ϵj < n∆ϵを満たす j についての和を表すことにする.このことを踏まえて,体
積が十分に大きい領域では∞!
i=1
h(ϵi) =
" ∞
0dϵD(ϵ)h(ϵ)となることを説明せよ.
(2) 分布関数を fβ,µ(ϵ)とするとき,量子理想気体での粒子数の期待値#N$とエネルギーの期待値
#H$
が,#N$=
" ∞
0dϵD(ϵ)fβ,µ(ϵ),
#H$=
" ∞
0dϵϵD(ϵ)fβ,µ(ϵ)とそれぞれ表されることを示せ.
統計力学 (2017年度:鳴海) 番号: 名前:
課題 12.2 理想フェルミ気体の低温での性質について次の問いに答えよ.ただし,フェルミ分布関数をf (F)β,µ(ϵ),単位体積あたりの状態密度を ν(ϵ) = D(ϵ)/V とせよ.
(1) 絶対零度での f (F)β,µ(ϵ)を f (F)
∞,µ(ϵ)と表す.gβ(ϵ− µ) := f (F)β,µ(ϵ)− f (F)
∞,µ(ϵ)の表式を求めよ.(2) ϵ < 0 で h(ϵ) = 0 となる任意のなめらかな関数 h(ϵ) とする.ψ(β, µ) :=
" ∞
0dϵh(ϵ)f (F)
β,µ(ϵ) が,
低温では ψ(β, µ) =
" µ
0dϵh(ϵ) +
π2
6h′(µ)(kBT )
2 + O((kBT )4) と表せることを示せ.必要に応じて
" ∞
0
x
ex + 1dx =
π2
12を用いよ.
(3) 化学ポテンシャルが µ = ϵF −π2
6
ν′(ϵF)
ν(ϵF)(kBT )
2 +O((kBT )4)と表されることを示せ.
(4) 単位体積あたりの比熱が c(T ) =π2
3ν(ϵF)k
2BT +O(T 3)と表されることを示せ.