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博士後期課程 東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻 2021年度 東京大学大学院工学系研究科

先端学際工学専攻 入試案内1 2021年度 先端学際工学専攻入試案内 1.概要 本選抜は、「令和3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」及

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バス停

●小田急線

   東北沢駅から徒歩 7分

●東京メトロ千代田線

   代々木上原駅から徒歩 12分

●京王井の頭線

   池ノ上駅から徒歩 10分

   駒場東大前駅から徒歩 10分

●東急バス(渋谷駅西口発 渋55 幡ヶ谷折返所行)

   駒場リサーチキャンパス 下車

東京大学 先端科学技術研究センター

企画調整チーム教育研究支援担当

〒153-8904 東京都目黒区駒場 4 − 6 − 1

(駒場リサーチキャンパス 13 号館 1 階)

電話 : 03 (5452)5385

FAX : 03 (5452)5398

E-mail : [email protected]‒tokyo.ac.jp

URL : https://www.ais.rcast.u-tokyo.ac.jp

博士後期課程

東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻

2021年度東京大学大学院工学系研究科

先 端 学 際 工 学 専 攻

入 試 案 内

京王井の頭線

目   次

 1.概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

 2.出願手続き及び入学試験(一般コース)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

 3.出願手続き及び入学試験(先端科学技術イノベータコース)・・・・・・・・・・ 4

 4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名 ・・・・・・・・・・・・ 6

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2021 年度 先端学際工学専攻入試案内1.概要

 本選抜は、「令和3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」及び本入試案内に基づいて実施される。特に出願資格、出願手続きなどの研究科共通の重要事項はすべて募集要項に記載されているので、必ず参照すること。本入試案内では、募集要項を補って、先端学際工学専攻に固有の部分を説明している。 なお、試験期間は、出願日程A及び出願日程Bの2通りに区分され、いずれの日程でも一般コース及び先端科学技術イノベータコースへの出願が可能である。

<先端学際工学専攻> 先端学際工学専攻は、先端的科学技術に関する萌芽的・先導的な基礎 / 応用研究、および、そのような研究そのものに関する研究(Research on Research)について、教育・研究指導を行う。更に、従来型の大学院教育に加えて、社会人に対する再教育としての大学院教育も行っていることを特徴としている。このような大学院教育 / 研究を通じて、先端科学技術分野に関する独創的・創造的な研究者のみならず、広い視野に立つ先進的・国際的な研究者、経営管理者、さらには先端的・学際的な政策立案者の養成を図ることを目的としている。

【問い合わせ先】   東京大学 先端科学技術研究センター(東大先端研)   企画調整チーム教育研究支援担当   〒 153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1(13 号館 1 階)   電話 03(5452)5385   FAX 03(5452)5398

【先端学際工学専攻の案内】   https://www.ais.rcast.u-tokyo.ac.jp

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※以下の記載事項については今後変更の可能性もあるので、随時ホームページを確認すること。URL : https://www.ais.rcast.u-tokyo.ac.jp

2.出願手続き及び入学試験(一般コース)(1)出願資格及び出願方法

「令和3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」を参照。

(2)入学時期出願日程Aにおいては 2020 年 9 月または 2021 年4月。出願日程Bにおいては 2021 年4月。

(3)募集人員一般コース及び先端科学技術イノベータコース合わせて 46 人

(4)授与する学位博士(学術)又は博士(工学)

(5)指導教員大学院入学者は、特定の指導教員の下で研究を行うので、入学希望者は、出願前に志望する

指導教員に必ず連絡をとり、これまでの履歴、研究歴、研究能力、研究展望等を踏まえての面談を受けること。この手続きを怠った場合、口述試験の受験資格を失う可能性があるので、留意すること。第2志望の教員がいる場合にも同様の手続きをとること。指導教員については、

「4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名」に記載されている教員から選択すること。入学希望者は指導教員の氏名及び面談を行った日を「受験者調書」の所定の欄に記入すること。

(6)入学試験の内容本専攻では、外国語(英語)試験及び口述試験を実施し、その結果を総合的に判断する。各

試験の詳細は以下のとおり。

外国語(英語)試験: 本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者以外には、 出願日程Aにおいては2018年9月以降、出願日程Bにおいては2019年2月以降に受験したTOEFL公式スコアの提出を強く推奨している。・ ETS(Educational Testing Service)本部から受験者本人宛に送られた(Test Taker

(Examinee) Score Report)のコピーを提出する他、別途、Institutional (Official) ScoreReport が ETS から東京大学大学院工学系研究科へ所定の期限までに直接郵送されるよう、ETSにその発行を依頼することが必要となる。詳細は『令和 3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科大学院入学試験外国語(英語)試験に関するお知らせ(博士後期課程)』を参照すること。

・ 出願日程 A でのスコア未提出者においては、口述試験の中で英語力を問う試験を行うことで外国語(英語)試験に代える場合がある。

・ 出願日程 B では、期日までに公式スコアが届かなかった場合、口述試験の受験資格を失う可能性があるので留意すること。

口述試験: 大学学部卒業から現在までの研究実績及び今後の研究計画についての総合的試問を行う。事前に提出した書類に基づいて、研究実績及び研究計画を 12 分以内で発表すること。手順については、指示を連絡する。プロジェクターを用いて発表する場合、 持参する PC と試験室備付けのプロジェクターとの接続を含め、機器の準備は受験者本人の責任において行うこと。

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ただし、口述試験をオンラインで実施する場合がある。その場合、口述試験の環境の準備は、受験者本人の責任において行うこと。試験環境はプレゼンテーションの前に審査員によって検査される。

(7)提出書類 出願の際には、「東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」の「7.提出書類等」に指定されているものに加え、次の書類も東京大学大学院工学系研究科学務課大学院チームへ提出すること。

ア.TOEFL 公式スコア詳細は『令和3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科大学院入学試験外国語(英語)試験に関するお知らせ(博士後期課程)』を参照すること。

(ただし、本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者を除く)

イ.受験者調書(Web に掲載のものを使用すること。)ウ.研究成果報告書(大学学部卒業から現在までの研究実績についてまとめた資料。日本語ま

たは英語で、図表を含めて A4 判任意用紙 4 ページにまとめること。)エ.研究論文等リスト(日本語または英語で、A4 判任意用紙に、研究論文、総説・解説論文、

口頭発表、その他の項目に分けて示すこと。)オ.研究計画書(日本語または英語で、A4 判任意用紙 2 ~ 4 ぺージにまとめること。)

 (8)その他出願日程Aで受験した者のうち 2020 年 10 月以降に修士の学位を取得する見込みの者につい

試験及び手続きスケジュール

面談期間出願日程A:2020 年 2 月 14 日(金)から 6 月 30 日(火)出願日程B:2020 年 9 月 4 日(金)から 11 月 25 日(水)

TOEFL スコア提出期限

出願日程A:2020 年 7 月 14 日(火)17 : 00出願日程B:2021 年 1 月 12 日(火)17 : 00

試験期間(口述試験)

出願日程A:2020 年 8 月 24 日(月)から 8 月 27 日(木)出願日程B:2021 年 1 月 18 日(月)から 1 月 21 日(木)日時は、受験票とは別に、郵送で東京大学先端科学技術研究センター教育研究支援担当より連絡する。試験初日の 1 週間前までに試験日時の連絡がない場合は、東京大学先端科学技術研究センター教育研究支援担当に申し出ること。

試験場所# 東京大学先端科学技術研究センター(所在地および交通案内は裏表紙参照)

持参するもの#受験票(試験中、 常に携帯すること)修士論文、 代表的な研究論文等の参考資料各自、 発表に必要な機器など

留意事項# 受験者は、試験開始時刻の 15 分前までに所定の試験控室 (東京大学先端科学技術セン

ター13 号館)に入室してください。 定刻に遅れた場合は、 試験本部に申し出ること。

 # オンラインで口述試験を行う場合には、口述試験の次第を別途連絡する。その場合は受験者本人の責任で、同室

 に他者がいない静謐な受験環境、通信環境、ウェブカメラ、マイクを用意すること。試験開始時刻の 15 分前まで に所定の URL に接続してください。 接続できない場合には、試験本部([email protected])へ申し出ること。

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ては、第 2 次試験(修士論文に対する審査)を、原則として 2021 年 1 月下旬又は 2 月上旬に実施する。試験期日等は第 1 次試験合格者に通知する。

3.出願手続き及び入学試験(先端科学技術イノベータコース)

 先端学際工学専攻には一般コースとは別に「先端科学技術イノベータコース(博士課程)」が設置されている。 同コースは、主に企業研究者及び技術者に向け、先端科学技術をベースにイノベーションを生み出す力を持った人材の育成を行うことを目的としたコースである。

(1)出願資格及び出願方法「令和3(2021)年度東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」を参照。

(2)入学時期出願日程Aにおいては 2020 年 9 月または 2021 年 4 月。出願日程Bにおいては 2021 年 4 月。

(3)募集人員一般コース及び先端科学技術イノベータコース合わせて 46 人

(4)授与する学位博士(学術)又は博士(工学)

(5)指導教員大学院入学者は、特定の指導教員の下で研究を行うので、入学希望者は、出願前に志望する

指導教員に必ず連絡をとり、これまでの履歴、研究歴、研究能力、研究展望等を踏まえての面談を受けること。この手続きを怠った場合、口述試験の受験資格を失う可能性があるので、留意すること。第2志望の教員がいる場合にも同様の手続きをとること。指導教員については、

「4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名」に記載されている教員から選択すること。入学希望者は指導教員の氏名及び面談を行った日を「受験者調書」の所定の欄に記入すること。

(6)入学試験の内容本コースでは、外国語(英語)試験及び口述試験を実施し、その結果を総合的に判断する。

各試験の詳細は以下のとおり。

外国語(英語)試験: 本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者以外には、出願日程 A においては 2018 年 9 月以降、出願日程 B においては 2019 年 2 月以降に受験したTOEIC® Listening & Reading 公開テスト公式スコア(IP テストは不可)の提出を強く推奨している。

・ 出願日程 A でのスコア未提出者においては、口述試験の中で英語力を問う試験を行うことで外国語試験に代える場合がある。

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(7)提出書類 出願の際には、「東京大学大学院工学系研究科博士後期課程学生募集要項」の「7.提出書類等」に指定されているものに加え、次の書類も東京大学大学院工学系研究科学務課大学院チームへ提出すること。ア.(財)国際ビジネスコミュニケーション協会から受験者に対して送付されたスコア

(ただし、本学の大学院修士課程修了者又は専門職学位課程を修了した者又は修了見込者を除く)イ.受験者調書(Web に掲載のものを使用すること)ウ.研究成果報告書(大学学部卒業から現在までの研究実績についてまとめた資料。日本語ま

たは英語で、図表を含めて A4 判任意用紙 4 ページにまとめること。)エ.研究論文等リスト(日本語または英語で、A4 判任意用紙に、研究論文、総説・解説論文、

口頭発表、その他の項目に分けて示すこと。)オ.研究計画書(日本語または英語で、A4 判任意用紙 2 ~ 4 ぺージにまとめること。)

 (8)その他出願日程Aで受験した者のうち、2020 年 10 月以降に修士の学位を取得する見込みの者につ

いては、第 2 次試験(修士論文に対する審査)を、原則として 2021 年 1 月下旬又は 2 月上旬に実施する。試験期日等は第 1 次試験合格者に通知する。

口述試験: 大学学部卒業から現在までの研究実績についての総合的試問を行う。事前に提出した書類に基づいて、研究実績及び研究計画を 12 分以内で発表すること。手順については、指示を連絡する。 プロジェクターを用いて発表する場合、 持参する PC と試験室備付けのプロジェクターとの

接続を含め、機器の準備は受験者本人の責任において行うこと。ただし、口述試験をオンラインで実施する場合がある。その場合、口述試験の環境の準備は、受験者本人の責任において行うこと。試験環境はプレゼンテーションの前に審査員によって検査される。試験及び手続きスケジュール

面談期間出願日程A:2020 年 2 月 14 日(金)から 6 月 30 日(火)出願日程B:2020 年 9 月 4 日(金)から 11 月 25 日(水)

TOEFL スコア提出期限

出願日程A:2020 年 7 月 14 日(火)17 : 00出願日程B:2021 年 1 月 12 日(火)17 : 00

試験期間(口述試験)

出願日程A:2020 年 8 月 24 日(月)から 8 月 27 日(木)出願日程B:2021 年 1 月 18 日(月)から 1 月 21 日(木)日時は、受験票とは別に、郵送で東京大学先端科学技術研究センター教育研究支援担当より連絡する。試験初日の 1 週間前までに試験日時の連絡がない場合は、東京大学先端科学技術研究センター教育研究支援担当に申し出ること。

試験場所# 東京大学先端科学技術研究センター(所在地および交通案内は裏表紙参照)

持参するもの#受験票(試験中、 常に携帯すること)修士論文、 代表的な研究論文等の参考資料各自、 発表に必要な機器など

留意事項# 受験者は、試験開始時刻の 15 分前までに所定の試験控室 (東京大学先端科学技術研究

センター13 号館)に入室してください。 定刻に遅れた場合は、 試験本部に申し出ること。

#オンラインで口述試験を行う場合には、口述試験の次第を別途連絡する。その場合は受験者本人の責任で、同室に他者がいない静謐な受験環境、通信環境、ウェブカメラ、マイクを用意すること。試験開始時刻の 15 分前まで に所定の URL に接続してください。接続できない場合には、試験本部([email protected])へ申し出ること。

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4.先端学際工学専攻の各講座の研究内容及び所属教員名

 先端学際工学専攻を構成する各講座(分野)の研究内容及び所属教員は、次のとおりである。

講 座 名 内 容 所 属 教 員

知能工学(情報システム系)

 知能工学の研究の目的は、獲得したさまざまなデータから役に立つ情報を取り出し、さらには人間や社会にとって有益な知識を創出することにある。以下に当研究室の主な取り組みを述べる。

ロボットや人工衛星に代表される様々な複雑人工システムを知能化・自律化する技術を研究する。特に、機械学習・データマイニングおよび確率的推論を応用して、超多次元センサーデータからシステムの異常や不具合予兆を検知し診断する方法を研究する。また、移動ロボットなどの自律システムが様々なセンサーデータから自己や環境の状態およびモデルを効率的に推定する技術の研究を行う。

矢入健久 教授

 大量のデータをどのように利用するかが、人類にとって大きな課題である。近年、さまざまな人工衛星や惑星探査機の観測データが利用できるようになってきた。宇宙機やセンサ特性に推定技術を応用することで、高精度なモデルの構築が可能となる。地図作成や特徴抽出を自動的に行い、遠隔探査を効率的に支援する手法の研究を行う。また、光学センサの再構成を可能にするハードウェアを開発し、センサそのものの知能化を試みる。

岩崎 晃 教授(兼担)

科学技術論・科学技術政策

(研究戦略・ 社会システム系)

 現状の科学技術政策について経済学、経営工学、政治学などの学際的アプローチによって分析を行い、今後のあり方について提言を行うことを目指す。ここでの科学技術政策は、企業における新製品開発などのイノベーションを促進するための政策を示し、研究開発補助金や税制などの直接的な支援策の他、産学連携、知的所有権政策、ベンチャー企業を育成するための資本市場のあり方など幅広い分野の政策を示す。研究のテーマとしては、特定の政策分野に関する研究のほか、日本企業のイノベーションシステムを巡る環境の変化とその対応といった制度全体にかかる問題への取り組みもあり得る。定量的・定性的なデータを用いて、現状の問題点を明確化し、その解決に向けて必要となる具体的な提言を導出するための実証的な研究に主眼において指導を行う。 なお、本分野における研究内容については、http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp/ も参照されたし。

元橋一之 教授

權錫範講師(グォン・ソクボム)(兼担)

 科学技術論分野においては、科学技術の内的な発展とともに、その社会との複雑な相関関係を、さまざまな地理的場所、歴史的時代に関する事例の分析を基にして研究することを目的とする。主として歴史的な観点から、

橋本毅彦 教授(兼担)(2021 年度新規学生受入せず)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

日本と欧米における科学技術の発展とその経済・社会・文化との関係を調査検討し、そのような歴史的調査に基づき、科学技術と社会の関係をより広い観点と枠組みから考察していくことを目指す。

総合先端研究戦略・社会システム学バリアフリー  現代社会に生きる障害者や高齢者には、生活上のさまざ

まな「バリア」が存在する。それらのなかには、住宅や道路などにかかわる「物理的バリア」、情報へのアクセス等をめぐる「情報・文化のバリア」、人々の意識にかかわる「心のバリア」、そして、社会のシステムが内包する「法制度のバリア」等が含まれる。本バリアフリー分野では、これらの多様な「バリア」の具体的実態を明らかにするとともに、これらの「バリア」が生み出される機制、相互連関、思想的背景等の諸要因を構造的に分析し、「バリア」撤廃をめざす研究を進める。なお、本分野では障害者を中心とする「当事者」の視点や生活実感を研究の立脚点として重視する。

福島 智 教授

当事者研究 【当事者研究を基盤とした共同創造】 当事者研究とは、障害や病気などの困難を抱えた本人が、似た困難をもつ仲間の力を借りながら、症状や日常生活上の苦労など、自らの困りごとについて研究する、日本固有のユニークな実践である。当事者研究は統合失調症を持つ人々の間で行われ始め、徐々に、依存症や脳性まひ、発達障害など、様々な困りごとを持つ人々の間に広まった。 さらに近年は、従来は所与の財・サービス・知識の受動的な消費者だった当事者が、財・サービス・知識の生産・普及過程に初期段階から参画する「共同創造(co-production)」という実践が世界的に広がりつつある。 我々は、当事者研究を基盤に、精神医学、小児科学、心理学、ロボティクス、自然言語処理、社会学など、様々な研究分野と共同し、以下のような具体的な研究トピックについて共同創造を進めている。1. 当事者研究における語りを会話分析・テーマ分析・

自然言語処理することによる仮説生成2. 生成した仮説の検証3. 当事者研究の効果に関する当事者主導型臨床研究

熊谷晋一郎 准教授

【インクルーシブ・デザイン・ラボラトリー】 障害や病気など、様々なマイノリティ属性をもつ学生や研究者が活躍できるアカデミアを実現するためには、マイノリティとの共同創造を通じて、教育機関の物的環境や人的環境をインクルーシブなものにデザインしなおさなくてはならない。1. 物的環境のインクルーシブ・デザイン(並木) 障害のある学生や研究者の教育研究活動について、講義など、テキストを媒介にしたカリキュラムの配慮についてはノウハウが確立しつつある一方で、主に理工系を

並木重宏 准教授

綾屋紗月 特任講師

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

中心に、身体の感覚や運動機能が求められる実験や実習場面での支援は立ち遅れている。障害の多様性、研究分野の多様性という 2 つの軸を交差させ、当事者参加型のアプローチにより、主に物的環境のインクルーシブデザインに関わる研究を行う。具体的には、国内外の文献調査と視察、インタビュー調査を踏まえ、専門家とともにガイドライン・事例集を作成する。また、研究分野毎に、どのような作業が要求されるかを作業分析の手法で体系化する。さらに、インクルーシブな実験室や、共同創造のプラットフォームとしてのメーカースペースをコ・デザインする。2. 人的環境のインクルーシブデザイン(綾屋) 多様なマイノリティ属性をもつ構成員が、互いの限界をオープンにしながら補い合い、チームとして高いウェルビーイングとパフォーマンスを発揮できるインクルーシブな研究環境を実現するためには、マイノリティの経験についての深い理解だけでなく、謙虚さや心理的安全性などを備えた組織文化を定着させる必要がある。またこうした文化は、共同創造を担うマイノリティコミュニティにも同様に実装する必要がある。具体的には、学習可能な当事者研究プログラムを開発し、アウトリーチやFD を介してマイノリティコミュニティや研究室に実装するとともに、その効果検証をする。検証は、謙虚さ表出尺度や心意的安全性尺度などを用いた量的研究のみならず、エスノグラフィーやエスノメソドロジーなどの質的分析も組み合わせる。

人間支援工学  テクノロジーによる障害補償を前提にした新しい福祉や特別支援教育を学際的視点から研究する。新規技術を開発するよりはむしろ既存の技術をどのように活用するか, また,障害のある人のエンパワメントだけでなく環境調整をどのように行うかといった研究アプローチを特色とする。現在の主たる研究テーマを以下に示す。 (1)テクノロジーを利用した学習障害支援 (2)ICTを活用した就労支援 (3)異才児教育 (4)支援技術データベース開発 (5)テクノロジーと教育や福祉における能力感

中邑賢龍 教授

近藤武夫 准教授

高橋麻衣子 講師

技術経営 ① 企業の知的財産経営に関する研究:企業における不確実な技術の知的財産管理に関する研究を行っている。特に技術の公開に際した知的財産管理については企業への質問票調査などによる研究を実施中。

② 技術と知的財産の「質」と「評価」に関する研究:技術の経済的価値および特許の法的価値評価についての実証的研究を行いながら、実践的な評価ツールなどの提案を行っている。

渡部俊也 教授(兼担)(2021 年度新規学生受入せず)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

③ 産学連携と技術移転における知的財産管理に関する研究:大学の知的財産管理が共同研究に与える影響や、技術移転機関のライセンスパフォーマンスの分析から効果的な知的財産管理手法を研究するなど、産学連携における知的財産管理の経営学的研究を行っている。

④ 知的財産分野の人材育成に関する研究:エグゼクティブスクール方式の社会人教育を行うプログラムを通じて、社会人に対する知的財産人材の育成手法の研究を行っている。

 これらの研究とは別個、材料系の実験系の研究を行っている。詳細は http://www.watanabelab.rcast.u-tokyo.ac. jp/gaiyo/theme1.html を参照。

マクロ経済分析  マクロ経済学の分析対象は一国全体、あるいは地域全体の経済活動であり、現実の経済データから観測される経済成長や景気循環の現象を生み出している仕組みを解明し、国民全体で社会的に望ましい資源配分を実現するような政策を提案することをその目的にしている。 主な研究課題として経済データから景気変動における政策変更や生産技術の役割を適切に識別するための時系列分析の手法を開発することがある。またマクロ経済システムの評価に役立つ動学的確率的一般均衡モデルをデータから直接推定するための方法も比較検討し、実証分析に応用している。

新谷元嗣 教授(兼担)

政治行政システム 主として日本を中心とした欧米諸国の政治システムの構造と動態を分析する。その際には、行政学・公共政策学などにもとづき、官僚制と行政システムの機能分析を重視する。また、日本政治の分析に際しては、歴史学のアプローチに依拠し、オーラルヒストリーも積極的に活用する。

牧原 出 教授

グローバルセキュリティ・宗教

グローバルセキュリティに関わる諸課題に総合的に取り組む。宗教がアイデンティティの形成に果たす役割と、個人の動機付けや集団の動員に及ぼす効果や、宗教が国家形成や国際関係に及ぼす影響、宗教と社会規範、暴力やテロリズムとの関係など、宗教と政治・国際安全保障に関わる歴史的・理論的・比較研究を行う。

池内 恵 教授

総合先端物質デバイス学

量子情報物理工学  量子力学の原理をあらわに活かした新しい情報処理・通信,精密計測などへの応用を目指す量子情報科学に関する研究を行う。特に固体中の集団励起の自由度を利用した電子・光デバイスにおける量子状態の制御・計測に関する物理および工学を探究する。

(1) 超伝導量子ビットの集積化と量子計算に関する研究。(2) 超伝導量子回路における量子ビットとマイクロ波光

子の相互作用の制御と観測に関する研究。(3) 異なる量子系の間のコヒーレントなインターフェー

スとなるハイブリッド量子システムの研究。

中村泰信 教授

宇佐見康二 准教授

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

高機能材料 【近藤 担当】化合物半導体・ペロブスカイト型半導体の光機能とその光デバイスへの応用について研究している。我々が独自に開発した III-V 族化合物半導体ヘテロエピタキシャル成長技術を活用したレーザー光波長変換用の非線形光学デバイスの開発と,金属ハライドペロブスカイト型半導体の薄膜形成技術を用いた高効率太陽電池や各種フォトニックデバイスの研究に取り組んでいる。主な研究テーマは

(1)化合物半導体の副格子交換エピタキシー(2)高機能波長変換デバイス(3)金属ハライドペロブスカイト薄膜の形成(4)金属ハライドペロブスカイト型半導体と類似物質の物性(5)ペロブスカイト太陽電池とフォトニックデバイス

【井上 担当】材料自体の強度や材料同士を接合する強度に関する研究を通して,従来にない高強度構造材料を開発することを目指している。鉄鋼材料をはじめとする金属材料や,金属間化合物などを対象に,ナノからミクロにわたる様々なスケールの材料組織の力学挙動を,数値シミュレーションや SEM-EBSP・ナノインデンター・中性子回折等を用いた解析により明らかにする研究を行なっている。最近の研究テーマは次のとおりである:

(1)高強度マルテンサイト鋼の変形機構の解明(2)高解像度局所変形計測手法の開発(3)ナノ界面制御による新規異種金属接合法の開発(4)マテリアルズ・インテグレーションシステムの開発

近藤高志 教授

井上純哉 准教授

極小デバイス理工学 半導体シリコンマイクロマシニング技術を用いて微細な機械構造を電子回路と集積化するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の研究を行っている。

(1)半導体マイクロマシニング、MEMSプロセス(2) マイクロアクチュエータの光学応用(通信、ディス

プレイ、光計測)(3)IoT応用エナジーハーベスタ(4)薄膜トランジスタによるバイオ計測ツール

年吉 洋 教授(兼担)

三田アニエス 准教授

極小デバイス  フォトニック結晶などのフォトニックナノ構造を用いた光および光と物質の相互作用の制御とその応用に関する研究を行っている。また、光や弾性波のトポロジカルな性質の探求と利用を目指したトポロジカル波動工学に関する研究も行っている。主な研究テーマは以下の通りである・ フォトニックナノ構造の設計・作製技術・ フォトニックナノ構造を用いた発光制御・ フォトニックナノ構造における量子光学と固体共振器量

子電気力学・ フォトニックナノ構造による光の角運動量の制御と応用・ トポロジカルフォトニクス・フォノニクス

岩本 敏 教授

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

気候変動科学  地球の大気循環系を構成する様々な要素とそれらの多様な時間規模の変動について,観測データの力学的診断及び数値モデリングにより研究する。我々の目標は,これらの個々の現象のメカニズムとそれらの相互連関だけでなく,それらと海洋や雪氷,陸面過程との相互作用を解明することである。この観点から,地球気候系に生起する自然変動・異常気象のメカニズムや予測可能性を探求し,さらに人為起源の地球温暖化に伴って大気循環系の平均状態が地域的・季節的にどう変化し,その自然変動が如何なる変調を被るかについても,数値気候モデル予測データの詳細な解析を通じて調査し,気候の将来予測とその不確定性の吟味を行なう。さらに,将来の気候予測への参考と現在気候系の解析から得た仮説の検証のために , 最終氷期など古気候の数値気候モデルによる再現実験データの解析も行なう。

中村 尚 教授

グローバル気候力学  気候システムの自然変動や人為起源で引き起こされる変化について、そのプロセスの解明や予測への手がかりを探求している。特に、大気と海洋が相互作用と離れた地域間の気候変動の連鎖を通じて、大洋・大陸さらにはグローバルな規模で気候が揺らぐ過程を、観測データの統計解析・診断やモデルシミュレーションを用いて研究している。主な研究テーマは以下の通りである。

(1) 東アジアに異常天候をもたらす大規模大気循環変動のメカニズムと予測可能性

(2) 太平洋・インド洋に内在する大気海洋系の自然変動のメカニズムとその地球規模の気候影響

(3) 数十年から百年規模の気候変化 ( 地球温暖化 ) の要因分析

小坂 優 准教授

エネルギー・環境  革新的な次世代の高性能太陽電池の実現を目指し、有機金属ハライドペロブスカイトなどの有機無機ハイブリッド材料、無機ナノ材料・半導体量子ドット、共役系高分子材料などの研究を進めている。これらの分析のため、時間分解分光法などを用いた光電変換過程の基礎研究も行っている。また、実用化研究として、高精細プリント技術や高精度基板貼り合わせ技術を駆使し、太陽電池セルの作製も行っている。さらに、日射条件や照明環境に依存して発電量が変動する太陽電池の弱点を補うための蓄電機能内蔵太陽電池の作製など、新構造太陽電池の研究を幅広く行っている。主な研究テーマは以下の通りである。1.有機無機ハイブリッド太陽電池の研究 1.1 有機金属ハライド化合物太陽電池(ペロブスカイ

ト太陽電池)の研究 1.2 金属錯体や界面錯体を用いた光電変換デバイスの構築2.新構造有機系太陽電池の研究 2.1 超高効率有機系太陽電池(分光タンデム太陽電池

など)の研究 2.2 蓄電機能内蔵太陽電池(エネルギー貯蔵型色素増

感太陽電池)の研究

瀬川浩司 教授(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

新エネルギー  従来にない新しい半導体材料や量子ナノ構造を導入して、太陽電池の変換効率を画期的に高めるための研究を行い、再生可能エネルギー技術のイノベーション創成を目指す。主要な研究テーマは以下のとおりである。

(1) 変換効率 50% の実現に向けた多接合太陽電池に必要となる新しい化合物半導体材料の薄膜単結晶成長技術

(2) 自己組織化成長法を用いた3次元量子ナノ構造・超格子の作製、及び光電変換メカニズムの評価解析

(3) 量子ナノ構造等の新規材料マルチバンド太陽電池、及び集光型太陽電池モジュールの作製と評価

(4) エピタキシャル・リフトオフ法による薄膜太陽電池(5) ナノ構造加工による低反射損失光学系の作製(6) コロイド量子ドットなどの機能性ナノ材料の合成(7) 溶液プロセスによる長波長吸収太陽電池の作製と評価 以上の太陽電池材料の物性やナノ構造中における光電変換メカニズムの基礎研究を進めるにあたり、本研究室では国内だけでなく海外機関との研究協力を重視している。

岡田至崇 教授

久保貴哉 特任教授

アーサン ナズムル 特任准教授

 持続可能な未来社会のエネルギーインフラとして、再生可能エネルギーシステムは重要な役割を担う。本講座では、再生可能エネルギー(特に風力発電、波力発電など)の要素技術研究、発電システム研究、周辺課題解決研究をテーマに据え、自然界からエネルギーを取り込むための最適な理論体系化、高効率発電システムとしての研究を進めるとともに、地域や企業と連携して、再生可能エネルギーシステムを適切に社会に実装していくための各種研究開発を行う。

(1)数値流体力学による最適風力発電システム開発(2)高効率最先端風力発電システム研究開発(3)環境共生型風力発電システム技術研究開発(4)風力発電スマートメンテナンス技術研究開発(5)地域共生再生可能エネルギーシステム研究開発(6)自然共生型ブローホール波力発電システム開発(7) IoT, ビックデータを活用したインテリジェント風

力発電システム研究

飯田 誠 特任准教授

理論化学  タンパク質分子はアミノ酸残基から構成されており、触媒、輸送体、センサー等として機能します。当研究室では、タンパク質の機能を分子構造に基づいて理解することを目標に、理論化学的手法を利用して研究に取り組んでいます。

【蛋白質・生体分子における理論化学・分子シミュレーション】

(1) 光合成反応中心蛋白質における電荷分離反応機構の解明

(2) Mn4CaO5 錯体における水分解・酸素発生反応機構の解明

(3)光アンテナ蛋白質、電子伝達蛋白質

石北 央 教授

斉藤圭亮 准教授

田村宏之 特任准教授

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

(4)酵素、ドラッグターゲット蛋白質(5) 生体分子内の電子移動反応、プロトン移動反応、励

起エネルギー移動反応の解析

【手法・ツール】・ 分子動力学的シミュレーション (molecular dynamics sim-

ulations)、量子化学計算 (quantum chemical calcula-tions)、QM/MM 計算 (quantum mechanical/molecular mechanical approach)、静電ポテンシャル計算 (electro-static calculations)、分子モデリング (molecular model-ing) 等

・大型並列計算機等を利用

エネルギーシステム  高照度地域で高効率・低コストに太陽光エネルギーを化学物質に蓄え,それをエネルギー消費地に輸送して必要なだけ利用するシステムが構築できれば,太陽光は化石燃料を代替して社会の基幹エネルギー源になる.そのためには,太陽光から高効率に電力を得て,水の分解やCO2 の還元などの電気化学反応により保存性・可搬性に優れた太陽光燃料を得る技術が有望である.本研究室は,そこで必要な高効率太陽電池,電気化学反応装置の開発とシステムへの実装に取り組んでいる. 主な研究テーマは以下のとおりである.

1. III-V 族化合物半導体ナノエピタキシャル構造を用いた高効率太陽電池の開発

 1.1 III-V 族化合物半導体の結晶成長(有機金属気相成長)技術

 1.2 薄膜高効率セル作製などのプロセス技術 1.3 電気的・光学的手法による高効率化メカニズムの

解明2. 半導体電気化学による太陽光エネルギーの化学的貯蔵 2.1 半導体電気化学・光電気化学における界面反応メ

カニズムの探求 2.2 高効率太陽電池と電気化学反応の組み合わせによ

る水素製造・CO2 からの有用化合物生成

杉山正和 教授

嶺岸 耕 特任准教授

小原 聡 特任准教授

先端光システム・材料

 新しい光学システムおよび光と物質の相互作用に関する研究を行っている。特に、光をフルベクトル波として扱った、干渉、回折等の現象の解析法を確立し、光の振幅、位相、偏光の全てを活用した新しい光学現象、光学システムに関して研究する。また、物質を介した光と光の相互作用に関しても扱う。特に、金属ナノ構造とプラズモンを用いた光波制御について力を入れている。

志村 努 教授(兼担)

光電子機能薄膜  新しい低温結晶成長技術を用いて窒化ガリウム(GaN)の優れた物性を引き出す高性能電子素子や LED の開発をおこなう。主要な研究テーマは以下のとおりである。

(1)高輝度の青色および UV 光 LED の開発(2)高効率パワーエレクトロニクスの開発

藤岡 洋 教授 (兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

(3)大面積 GaN-LED ディスプレーの開発(4)有機無機ハイブリッド素子の開発(5)フレキシブル大面積エレクトロニクス素子の開発

総合先端情報システム学

情報デバイス 本講座では光ファイバを中心としたデバイス・レーザの通信及びセンシング応用に関する研究を行なっている。主要な研究テーマは以下の通りである。

(1)ナノカーボンによる新しいレーザ・光デバイスカーボンナノチューブ (CNT) やグラフェンの持つ高速な可飽和吸収を利用した受動モード同期技術を用いて、100fs短パルス光ファイバレーザの実現に取り組んでいる。

(2)高速波長掃引レーザの計測・医用応用波長を 100nm 以上に渡って数百 kHz で掃引する超高速広帯域波長可変光ファイバレーザを研究開発し、光断層画像診断 (OCT) への応用を進めている。また、これまで実現が困難だった中赤外波長 (2~5µm) 光ファイバレーザの構築と応用を進めている。

(3)高性能 3 次元計測プラットフォームの開拓コンピュータ統合生産等に対応した各種測定物の 3 次元モデリングや空間情報の取得のような多種多様な 3 次元サービスを「インダストリー 4.0」へ導入することにおいて、高精細 3 次元レーザスキャナは重要な役割を果たす。これまで計測分野で見過ごされてきた光波の偏波や位相を活用することで、高度な 3 次元計測技術を創出する。

山下真司 教授

セット ジ イヨン 准教授

 半導体レーザ/発光ダイオード,太陽電池,光スイッチ,光集積回路などの光エレクトロニクスデバイスとそのエネルギーおよび情報通信応用に関する研究を行っている.主な研究テーマは次の通りである:

(1) III 族窒化物,InP/GaAs 系化合物半導体量子構造の有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)と微細加工技術,

(2) 大規模・高速マトリックス光スイッチ,(3) モノリシック光波合成光集積回路,(4) 光マイクロマシン(MOEMS),(5) 光インターコネクト,(6) フォトニックネットワーク,(7) 化合物半導体超高効率太陽電池,(8) ソーラーフュエル,(9) 太陽光を機軸とする持続可能エネルギーシステム.

中野義昭 教授 (兼担)

種村拓夫 准教授(兼担)

情報物理システム  物理世界と情報世界の高度なインタラクションを実現する高性能・高信頼・低電力コンピュータシステムに関する研究を行っている。 ・ IoT /サイバーフィジカルシステム:物理世界から得

られる膨大なデータを情報世界で集約して利活用するIoT(Internet of Things)社会において、センサからサーバを含めた高度な統合システムの実現や、グラフ処理基盤の研究

中村 宏 教授(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

・ 超消費低電力コンピュータシステム:回路実装・アーキテクチャ・システムソフトウェア・アルゴリズム間の協調による超低消費電力 VLSI やコンピューティングの低電力化と高性能化

共創まちづくり  持続可能なコミュニティや都市を、共創的アプローチで創出し運営するための理論と方法の構築に取り組んでいる。統計情報や現地踏査インタビューなどを通じた少子高齢化の進むコミュニティの現状評価/分析手法の開発、スマートコミュニティやエコディストリクトなどに関する海外制度・事例調査、自治体・地域を対象とした先端的まちづくりの実践(実践研究)など、コミュニティのデザインマネジメントやまちづくりに関わる広範な領域について、多様なアプローチで研究を行っている。 また、日本およびアジア諸都市を中心とした水環境の調査、水供給システムの検討、水処理技術の開発と評価など、健全な都市活動の維持に欠かせない水をめぐる諸課題について、工学的アプローチによる解決を目指している。

小泉秀樹 教授

吉村有司 特任准教授

橋本崇史 講師

生命知能システム  情報学・工学・生物学の融合により,生物の脳神経系がもつ環境適応能力を理解し,その応用をめざす.モデル生物として培養神経細胞,昆虫,ラットを対象とする.脳神経系をニューロン・神経回路・行動にいたるマルチスケールで分析し,その数理モデルをロボットにより実世界で検証することで,脳神経機能を解明する.また,生物(脳神経系)と機械システムを融合した実験系や,遺伝子改変技術によりセンサ(感覚器)や神経機能の一部を人為的に改変した実験系により,行動を任意に制御することで,適応行動の発現機構を解明し,適応能力を有した機械システムの設計指針に迫る.

神崎亮平 教授

高橋宏知 准教授(兼担)

製造情報システム  製造分野における情報システムに関して、製品開発力強化のためのデジタルエンジニアリングシステムに関する研究を行う。実務フィールドとの連携をもちながら、3 次元空間や形状のデータ、さらには 3 次元スキャナーや X 線 CT 装置によるスキャニング情報を扱うモデリング技術を武器に、その問題解決を目指す。特に、大規模点群、メッシュモデル、そしてボリュームなどの離散幾何モデリングの基礎理論・手法について研究する。さらには、これらの技術を製造分野だけでなく、CG や人体のモデリングへと展開する。

鈴木宏正 教授(兼担)

情報ネットワーク ビッグデータ/モノのインターネット/ M2M(Machine-to-Machine) 時 代 の 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 は どう あ る べ き か, 将 来 の ネ ッ ト ワ ー ク を 構 築 す るに あ た っ て の 基 盤 技 術 は 何 か, と い っ た 点 に ついて明確な指針を与えることが研究目的である.

「社会基盤としての ICT」「エクスペリエンスとしての

森川博之 教授(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

ICT」を実現する情報基盤/インフラストラクチャの構築に向けて,現在のネットワークを再度根本から捉え直し,新たなるフレームワークを構築することを目指している.また,革新的な次次世代ネットワークの利用技術,コンピューティング環境のあり方を示唆することも目指し,「新しいネットアーキテクチャの開発」「ユニークなアプリケーションプロトタイプのデモ」といった両面から研究開発を進めている.具体的には, ― ビッグデータ/モノのインターネット/ M2M ― センサネットワーク ― 無線通信システム ― 情報社会デザインなどのグループが,ユビキタス実験環境を有機的に利用しながら研究を行っている.

数理創発システム  数理科学を用いて様々な複雑システムにおける創発現象の解明と応用を目指す。特に「渋滞学」として、様々な集団運動の流れと渋滞について分野横断的な研究をする。対象として車、人、アリ、物流からインターネット、そして生体内タンパク質の流れなどを解明する。理論だけでなく、計算機シミュレーション、そして社会実験や観測をおこない、渋滞現象の解明と解消を目指す。具体的な研究テーマ例は以下の通り。1)車の渋滞を未然に防ぐシステムの構築、および渋滞  吸収走行の理論と実践2)道路や空港ネットワークの理論解析と物流の効率化3)人の集団行動における数理と応用、空港内、駅構内  などの人の流れの最適化4)蟻などの生物の集団行動と創発現象の解明5)企業の生産システムの効率化、サプライチェーンネ  ットワークでの物流6)粉粒体と自己駆動粒子の関連についての実験的研究

西成活裕 教授

栁澤大地 准教授

井村直人 特任教授

江崎貴裕 特任講師

光製造科学  本講座においては,次の二つの分野について研究を行う.第一は,次世代の超精密ものづくりを実現するため,我々生命体の根源をなす“光”エネルギを媒体とした新しいマイクロ / ナノ加工・計測・生産技術に関する研究を推進する.具体的には,レーザー応用ナノインプロセス計測,レーザー応用ナノ加工に代表される先進製造を実現するための要素技術開発とともに,新しいマイクロデバイス生産システム概念となるセルインマイクロファクトリを提唱し,その確立を目指している.第二は,生体計測技術と数理解析理論(非線形動力学・統計物理学など)を融合し、複雑な生命現象の動作原理を明らかにすることを目指す.そのうえで、得られた生命現象に関する知見を製造現場作業者支援技術・診断技術・リハビリテーション・ヒューマンインタフェースなどに応用する研究を行う。

高橋 哲 教授

小谷 潔 准教授

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

身体情報学 生理的・認知的・物理的知見に基づいて,システムとしての身体の機序を追究し,人間が生得的に有する感覚機能,運動機能,知的処理機能を物理的,情報的に補償・拡張する「身体情報学」に関する研究を行っている.具体的には,人とシステムが " 人機一体 " となり,人がやりたいことを自在に行うことを可能とする「自在化技術」.バーチャルリアリティ,拡張現実感,ウェアラブル技術,ロボット技術を援用し,新たな身体観の工学的獲得に挑戦する「人間拡張工学」.他者や過去の経験をサイバー空間で流通させ,サプリメントのように活用する「主観的体験の共有・伝達技術」の実現を目指す.

稲見昌彦 教授

檜山 敦 講師

瓜生大輔 特任講師

コミュニケーション科学

社会数理情報学●社会的な複雑系に内在する数理自然言語、金融、コミュニケーションネットワーク

(Twitter)など、人が社会活動で用いる複雑系には、それぞれ統計物理的な経験則が知られており、共通する性質があることが伺える。研究室では、大規模な実データに基づき、複雑さや揺らぎなどの観点から、系の数理的特性を探求している。また、複数の複雑系に共通する現象の中の本質を捉える試みを行っている。

●社会的な複雑系のビッグデータ科学・工学社会的な複雑系に通底する特性を満たす数理モデルを、深層学習・機械学習を利用して研究している。また、ある系の方法論を、異なる系に適用する試みを通して、解析や予測を行う方法を再考し、現実の問題に適用している。実時系列の生成モデルと複雑ネットワーク構造の関係を考える基礎的な探求や、ニュースやコミュニケーションネットワークを利用した金融分野への応用に取り組んでいる。

研究内容:(1) 社会数理情報学、言語・金融・コミュニケーション

ネットワークの数理(2) 大規模な記号系の長相関、複雑さ、自己相似性など

数理的性質(3)深層学習や機械学習に基づく時系列モデル(4)社会的な系に通底する普遍則

田中久美子 教授

ロボティック生命光学

 未知なる生命医科学や物理学を開拓し、次代の医療や

産業を創るべく、「多様な計測データに基づいて、自律

的に考える科学マシン」を実現します。自律的な生命

計測解析の実現には、ハード・ウェット・ソフト技術の

統合が必要です。そこで私達は、発展著しい最先端光イ

メージング・流体・遺伝子計測技術の、賢い繋ぎ合わせ

方に日々頭を捻り、アイデアを議論して、チームで楽し

く実現しています。国内外大学や研究所の機械学習や医

太田禎生 准教授

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

学・生物学の専門家、業界をリードする企業との共同研

究開発も活発です。技術統合や概念実現の過程で、新機

能を実現する光イメージング・マイクロ流体・遺伝子解

析・マテリアル・情報・工学技術が次々に生まれてきま

す。萌芽的で価値ある技術を積極的に世に出し、国際的

な企業化・実用化に取り組むチャレンジも行い続けます。

 異なる専門性を紡いで価値を創る技術や、研ぎ澄ます

専門性に興味のある学生、そして何よりも研究が好きな

学生を募集しています。

生命データサイエンス

 医学 / 生物学の計測データを解析する情報科学的手法と、手法を用いたがんを中心とする疾患および生命現象の研究を行っている。

(1)エピトランスクリプトームの情報解析技術:RNAの修飾を含めた解析(エピトランスクリプトーム)を行うことで、より精緻に生命現象を理解する研究を行っている。

(2)がんゲノミクスの情報解析技術:がん細胞のゲノムに生じた体細胞変異を網羅的に検出することが可能になり、研究のみならず、臨床応用においても積極的な次世代シーケンサの活用が進んでいる。がんにおける変異解析やマルチオミックス解析など、情報学的な手法で、がんの新規知見を見出し治療や創薬に役立てる為の研究を行っている。

(3)データサイエンスを用いた生命情報データ解析基盤:大量のゲノムデータの中から生物学的な意味や関連性を見出すには大規模にデータを集約させ、分散処理を行う必要がある。将来的な大規模クラウド運用を見据えて、Hadoop/Spark といったクラウドで標準的な分散技術や深層学習のライブラリを用いた生命情報の解析基盤を開発している。

上田宏生 講師

マシンインテリジェンス

実世界の理解を目指した高度な知能システムの実現実世界から有益な情報を抽出し,サイバー空間の膨大なデータと強力なコンピューティング能力と結びつけ,実世界を理解可能な高度な知能システムの構築を目指しています.この難題に切り込むために数理基盤やロボティクスを含むコンピュータサイエンス全般を活用して研究を進めています.1.数理基盤情報理論,機械学習,データマイニング,パターン認識,確率・統計理論,時系列解析,因果解析,学習理論,特徴抽出理論2.認識,理解,思考深層学習,ビッグデータ,コンピュータビジョン,画像認識・検索,三次元情報処理,画像セグメンテーション,

原田達也 教授

椋田悠介 講師

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

行動認識,マルチモーダル認識,対話理解,感情理解,自然言語処理,音声・音楽情報処理,医療情報処理3.コンテンツ生成画像・動画の自然言語記述と要約,自然言語からの画像生成,人と雑談可能な対話システム,実世界の面白い事象の発見と記事生成

バイオハイブリッドシステム

 マイクロ・ナノデバイス技術を異分野に応用することで、 新しい研究分野や産業を創出する。機械、電気、情報、生物、化学、材料など様々な分野をバックグランドとする研究者が世界から集まり、マイクロ・ナノレベルの加工を中心に“ゼロからのモノづくり”を通して、生命科学や環境、情報通信の世界にブレークスルーをもたらす研究を行う。具体的な研究テーマとしては、MEMS, Microfluidics, Lab on a chip, ティッシュエンジニアリング、体内埋め込み型センサ、人工細胞などを行っている。工学に加え、医学や理学など、いろいろな分野を学び、それらの知見をゴチャ混ぜして、新しいものを創る研究に興味のある学生を募集している。

竹内昌治 教授(兼担)

人間都市情報学  都市の様々なデータやシステムを用いて、人間を中心とした都市のイノベーションを円滑に進めていくための研究を進める。具体的には携帯電話等を用いた人々や飛行物体の流動の再現、インフラのリアルタイムモニタリング、市民協働のオープンイノベーション型地域経営システム等の研究を行っている。

関本義秀 准教授(兼担)

超分子材料デザイン  当研究室では,生命の分子認識現象にヒントを得た学問である超分子化学を基軸に,材料の分子設計及びその合成,そして電子デバイスやチップ開発に至るまでの包括的・分野横断的研究をおこない,超分子材料の実践利用を目指している。とりわけ,生命現象を理解する上で重要な生理活性物質,あるいは環境汚染物質を電気的・光学的に検出可能なセンサデバイスの開発に注力している。

1.分子認識能を賦与した有機薄膜トランジスタ型化学センサの創製有機薄膜トランジスタは,軽量性,柔軟性,低環境負荷,大面積デバイス化が可能などの特徴を有していることから,センサデバイス開発におけるプラットフォームとして魅力的である。しかし,センサとしての応用研究は萌芽段階にあり,とりわけ分子認識化学的視点からの研究展開はこれまでにおこなわれていない。そこで本研究では,有機合成化学に立脚して合目的に創製した分子認識材料を有機薄膜トランジスタに組み込むことにより,新たな化学センサデバイスの提案を目指している。

2.超分子センサアレイによるハイスループット分析手法の開発

南 豪 講師(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

ホスト-ゲスト化学に基づいて開発される分子センサは,高選択性を有する一方で,多成分を迅速かつ同時に検出することは得意ではない。我々は,あえて標的化学種に対して“低選択性”を有する分子センサ群を”可能な限り簡易に”合成して,これをマイクロアレイ上に並べることで体液などに含まれる多成分をハイスループットに分析する手法を開発している。低選択性分子センサ群のアレイ化により得られる種々の信号応答について,統計学・機械学習に基づいて解析をおこない,複数種の同時定性・半定量・定量分析を試みている。

総合先端生命学

生命反応化学  「分子設計」をキーワードにした有機化学と生命科学のボーダーレス研究:有機化学の考え方を生物学・遺伝学の分野へ積極的に導入することによって、生命の神秘を解き明かせないだろうか?生体高分子そのものを化学合成したり、新しい化学反応を創り出したり、新たな機能性人工生体高分子をデザインしたりすることによって、生体高分子の個々の官能基もしくは原子が生命現象にどう関わっているかを系統的に理解できる新分野のパイオニアを育成する。研究室では、最新の有機合成化学、光化学、分光学、分子生物学的手法などの広範な学問領域を駆使して、次のようなプロジェクトを進めている。

(1)核酸を創る化学 核酸は、生命機能をつかさどる鍵分子である。核酸のエピジェネティックな修飾を特異的に認識するための新規化学反応や機能性生体高分子を創出する。細胞内での核酸機能を可視化するための超機能的光化学を追求する。

(2)タンパク質を造る化学 タンパク質は、翻訳後修飾を受けることによってその機能を大きく変える。特定の翻訳後修飾を含むタンパク質やペプチドを化学的に合成する。タンパク質の翻訳後修飾を特異的に認識/可視化するための新規化学反応を創出する。

(3)細胞機能を御する化学 細胞機能は、精緻な分子デザインによって制御できるかもしれない。細胞内に導入した後に外部刺激によって機能発現する分子や細胞を含むことによって細胞機能を特定の方向へ導く分子を創製する。

岡本晃充 教授

山口哲志 准教授

ケミカル・バイオテクノロジー

 当研究室では、化学的思考と技術を生物学に積極的に取り入れることで、これまで単独領域の思考や技術では解決が困難であった研究課題に 挑む。また、サイエンス

(科学)とテクノロジー(科学技術)のバランス良い研究を推進することで、新パラダイムを築く科学的知見の獲得や汎用性の高い NEW バイオテクノロジーの開発、創薬にまで繋がる 研究を展開する。さらに、研究教育を通して、独創的で国際感覚に溢れた人材の育成も目指す。現在推進している研究プロジェクトは:

菅 裕明 教授(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

■遺伝子暗号のリプログラミング アミノシル tRNA 合成酵素リボザイムの翻訳システム への応用 -特殊ペプチドの翻訳プログラム合成■特殊ペプチド創薬

特殊ペプチド薬剤の探索をおこない、ケミカルバイオロジーへと展開する-特殊環状ペプチドライブラリーの構築-抗癌、抗ウイルス剤の探索

■新規RNA触媒(リボザイム)の創製RNA ワールドの実験的検証とバイオテクノロジーへの応用-アミノシル tRNA 合成酵素機能-リピッドの生合成機能およびレドックス機能

代謝医学  メタボリックシンドロームや動脈硬化など多因子性の疾患解明は 21 世紀の生物医学の大きな課題となっている。肥満を基盤としたメタボリックシンドロームでは、生理機能の破綻した脂肪細胞が原因で糖尿病、動脈硬化などが発症するというメカニズムが注目されており、脂肪細胞の分化と機能に関わる動作原理の解明が求められている。近年、細胞分化や機能においては、ゲノムDNA の塩基配列や遺伝子発現に加え、後天的ゲノム修飾である「エピゲノム」への理解が重要となっている。エピゲノムは DNA メチル化やヒストンの翻訳後修飾により規定される遺伝情報である。エピゲノムは外的環境に適応するための細胞記憶であり、細胞機能と疾患発症に深くかかわる。脂肪細胞において、環境要因がエピゲノムを介して、脂肪蓄積・燃焼のしやすさを決めることが明らかになりつつある。我々は、脂肪細胞においてプロテオーム、トランスクリプトーム、エピゲノム、メタボロームの多階層オミクス解析を行い、栄養環境がエピゲノムとして記憶される「新しい栄養学」の概念のもとに、脂肪細胞の環境適応システムを解明し、生活習慣病に対する新たなパラダイムを築き上げる。

酒井寿郎 教授

松村欣宏 准教授

ゲノムサイエンス  生物の設計図であるヒト「ゲノム情報」にもとづいて生命現象を理解するために系統的な生命情報の取得と統合を通して新たな生命科学の展開を目指している。DNA メチル化やヒストン修飾などのエピゲノム標識は染色体から生命情報を読み出す際の制御を担っており、エピゲノム情報に加えて DNA 蛋白質相互作用、ゲノム多様性情報など多様な生命情報を体系的に解析するための新規手法の開発を推進している。実験系研究者および情報系研究者が融合した研究環境を構築している。 一方、がんを中心とするヒト疾患についてシステムとしての理解から治療法の開発を目指すべく、新規創薬標的分子の探索、個別化医療実現のための薬剤応答性の解明に関するトランスレーショナル研究を推進すべく、産

油谷浩幸 教授

堤 修一 特任准教授

柳井秀元 特任准教授

永江玄太 講師

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

官学連携でのオープンイノベーションの場を提供している。また炎症疾患制御グループでは、糖尿病や自己免疫疾患、がんなどの炎症関連疾患について、免疫応答という視点からの病態の理解と疾患の克服に向けた制御法の開発に挑んでいる。

医用マイクロマシン 現状技術では実現困難な次世代医用工学の創成を目的とした研究と教育を行っている。バイオマイクロマシンや医用ロボティクスが進展すれば、現在では想像もできない高度な医用福祉機器やバイオテクノロジシステムが実現できる。新原理と新発想をキーワードにしたユニークな研究テーマ群は、すべて「夢のある」もので、博士課程のテーマとして最適である。

「生殖補助医療用マイクロシステム」近年,生殖補助医療件数が急増していますが,採卵・採精から妊娠に至るプロセスには,医学的に未解明の部分が多く,成功率は必ずしも高くありません.我々は,これらのプロセスの生物学的な探求を進めながら,マイクロロボットや,マイクロ流路デバイスを用いて,生殖補助医療全体の成功率を向上させることを目指しています.

「オンチップ再生医療工場」再生医療が普及するには細胞や組織などの再生医療製品の低コスト生産技術が必要不可欠です.我々は,人間の作業との互換性を廃することで,再生医療製品生産の全工程をマイクロ流路デバイス内に統合し,卓上サイズの再生医療工場を実現することを目指しています.

「メカノバイオロジーに基づく新規治療技術」マイクロデバイスを用いて,細胞や組織が機械的な刺激を,どのように感知し,応答するかを,1 細胞レベルで解明します.さらに,細胞の機械刺激への応答を積極的に利用することで,薬剤を用いない,新たな低侵襲医療技術の開発を目指しています.

「ポータブル診断デバイス」従来の癌マーカより早期に放出されるマイクロRNAを検出し、発症前に治療開始できる予防医療革命の鍵となるマイクロデバイスを開発しています.

「膜構造マイクロデバイス」従来の MEMS デバイスやマイクロ流路デバイスは,構成要素と比較して,相対的に厚みのある硬質基板上に形成されるのに対して,極めて薄く柔軟なポリマー膜によに比べ,高い物質透過性や熱伝達性と,柔軟性を有することが特徴で,特にバイオ・医用分野での応用が期待されています.って作製される,「膜構造マイクロデバイス」の概念を提唱し,その加工技術からアプリケーションまで開発しています.膜構造マイクロデバイスは,従来のデバイス

池内真志 講師(兼担)

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講 座 名 内      容 所 属 教 員

合成生物学 合成生物学分野ではゲノム編集技術など新しい合成生物学とデータマイニングを組み合わせ、新たな生命現象を観察可能にする分子・細胞動態計測のための新しい実験・テクノロジーを創出することを目指している。

具体的な研究プロジェクトには以下のようなものがある :(1)新しいゲノム編集技術の開発(2) 発生やがんの進展における細胞系譜をトレーシング

する技術の開発(3) DNA バーコードをもちいたタンパク質間相互作用

ネットワークスクリーニング(4)バイオインフォマティクス

また、より詳細な研究スコープとプロジェクトを以下に詳しく解説している :http://yachie-lab.org/ja

谷内江望 准教授

ニュートリオミクス・腫瘍学

がんの病態解明と克服は 21 世紀の医学・生物学の最大の課題の一つであり、医学・生物学・工学・化学の分野横断的な融合研究ががん克服に必須である。近年、がん細胞を取り巻く過酷な環境(がん微小環境)ががんの進展を促進することが明らかとなってきた。当研究室では、がん微小環境におけるがん細胞のゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボロームの多階層オミクスの統合情報を統合し新しい栄養学の視点から新規がん治療法の開発を目指している。

(1)がんを悪性化する生理活性がん代謝物の同定 がん細胞は過酷ながん微小環境に応じて生理活性がん代謝物(オンコメタボライト)を蓄積しがんの増殖・浸潤・転移などがん悪性化に寄与することが知られている。未知のオンコメタボライトを同定と機能解析を行っている。

(2)がん微小環境におけるがん代謝適応システムの解明 がん細胞が低酸素・低栄養・低p H など過酷ながん微小環境で悪性化を獲得することが知られている。これまで独立したパラダイムで研究されてきた糖質、脂質、アミノ酸にわたる多重のがん代謝適応システムの解明を目指している。

(3)「ニュートリオミクス」を駆使した治療法の開発 栄養を起点としたゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームのオミクス統合解析から、がん微小環境の変化に伴った転写・代謝システムを捉え、がんの進展に寄与する分子機構を明らかにし、新たながん治療法を開発に繋げる。

大澤 毅 特任准教授

和田洋一郎 教授

川村 猛 准教授

田中十志也 特任教授

山下雄史 特任准教授

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講 座 名 内 容 所 属 教 員【血管ヌクレオーム分野 和田 担当】心筋梗塞や狭心症など、動脈硬化を原因とする心血管疾患の発症機序の理解と治療法の開発を目的とする。特に、遺伝子発現制御において、クロマチン立体構造が深く関わっていることに着目し、ゲノム・エピゲノム研究手法をヒューマノイドロボットにより自動化し高時間解像度のデータを取得している。大量データを数理科学者と共に数理科学モデルを構築して転写ファクトリー仮説を検証する。

【プロテオミクス分野 川村 担当】がんや生活習慣病などの疾患メカニズムの解明・バイオマーカー探索を目的として、生体を構成するタンパク質の解析を中心に質量分析計を用いた解析手法の開発を行う。エピゲノム標識として遺伝子発現制御の機能を持っているヒストンタンパク質の翻訳後修飾および複合体解析を行い、エピゲノム制御機構の解明を目指す。

【代謝内分泌システム分野 田中 担当】 糖質、脂質、およびタンパク質の三大栄養素の代謝を包括的にとらえる「新しい栄養学」の視点からがんと生活習慣病における代謝異常を明らかにし、画期的な治療法の確立を目指す。非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の発症機序の 解明および消化管炎症と代謝疾患との関連性における核内受容体の役割を中心に機能解析を進める。

【理論超分子科学分野 山下 担当】理論的アプローチにより、生体分子の複合体・集合体の特性や機能を原子・分子レベルで研究する。特に、電子状態計算・分子動力学計算などの手法を基盤にして、構造・ダイナミクス・エナジェティクスの高精度解析をおこなう。現象を理解・予測することだけでなく、新しい理論解析法・計算アルゴリズムを開発する。さらに、理論的方法をドラッグデザインやマテリアルデザインへの応用を目指す。

総合先端知的財産権学

知的財産法  知的財産法は、経済的な価値のある情報に対して「財産」としての法的取扱いを行う際の諸問題を考察する分野である。本来のフィールドは法学にあるが、技術的知見をも必要とする極めて学際的な分野であり、法学や工学はもとより、経済学や政策研究など、種々のバックグラウンドを有する研究者による共同研究を推進することを目標としている。また、ブランド理論やコンテンツ創作についての新たな領域を開拓することをも試みたい。

玉井克哉 教授

桝田祥子 准教授

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東京大学 先端科学技術研究センター

企画調整チーム教育研究支援担当

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(駒場リサーチキャンパス 13 号館 1 階)

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博士後期課程

東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻

2021年度東京大学大学院工学系研究科

先 端 学 際 工 学 専 攻

入 試 案 内

京王井の頭線