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LEC専任講師 大田原 博亮 あの大田原講師による 2次試験のやさしい解き方 特別講義 1 数多くの難関試験を難なくパスしてきた試験の達人が 2次試験を徹底的に分析し遂に発見した、 目からうろこの2次試験の解き方!!

あの大田原講師による 次試験のやさしい解き方 特別講義LEC専任講師 大田原 博亮 あの大田原講師による 2次試験のやさしい解き方 特別講義

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Page 1: あの大田原講師による 次試験のやさしい解き方 特別講義LEC専任講師 大田原 博亮 あの大田原講師による 2次試験のやさしい解き方 特別講義

LEC専任講師 大田原 博亮

あの大田原講師による

2次試験のやさしい解き方

特別講義

第 1 回

数多くの難関試験を難なくパスしてきた試験の達人が2次試験を徹底的に分析し遂に発見した、

目からうろこの2次試験の解き方!!

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本講座の目的

2

対象者 2次試験の勉強を始めようとする受験生 2次事例の解き方がよく分からない受験生

メッセージ

私は受講生と接することが好きなので2次試験の添削が好きで時々やりますが、最近強く感じることがありました。なぜみんな(1割のできる人以外)フレームで考えようとしていないのかな・・・。 フレームでキーワードさえ引っ張って箇条書きで書きさえすれば、満点は無理でも合格点はあげられるのに・・・。コンサルファームで何百人の候補者へのケーススタディをやってきた身として、ひと肌脱ごう。これがこの講座の動機です。

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本講座の基本的な考え方

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全ての設問を、出題者の意図通りに模範解答が 書ける人はいない。ヒントが多く書かれていても、出題者の意図は伝わりにくいし企業経営には絶対解もない。そう割り切った上で、この講座では、次のステップを取る。

1.2次試験の出題者がどのような流れで問題を作っているか、その流れを理解する。

2.次に、その流れの中で、フレームを使って「キーワード」を抽出し解答を作成する方法を学ぶ

3.最後に、その方法で本当に本番で実践できるのか、本試験の問題により検証する。

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大田原 博亮(おおたはら ひろすけ) (株)ヒューマン・デベロップメントリポート 取締役。 CDIソリューションズ(戦略&ITファーム)ディレクター兼顧問。中小企業診断士。LEC専任講師。 企業再生専門家、事業再構築&戦略コンサルタント KDDIを11年在職後、超大手外資系コンサルティング会社(PwCコンサルティング→IBMビジネスコンサルティング)、再生投資会社を経て現職。女性向けブランドの企業再生を社長で1年で利益率10%に、また、医療・画像機器の超大手企業の再生を成功。 福岡県北九州市八幡の土建屋の次男坊として1967年7月21日出生。東京大学法学部卒。46歳

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1. 2次試験と合格の秘訣

2. 解き方

3. 解き方実践

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2次試験

事例Ⅰ 組織・人事

事例Ⅱマーケティング・流通

事例Ⅲ 生産・技術

事例Ⅳ 財務・会計

1次試験の基本知識を応用した、より実践的経営診断・助言スキルを問う

6

1次試験

マクロ環境における中小企業の経営診断に必須の知識を問う

大企業

中小

企業

中小企業経営・政策 経済学・経済政策

企業経営論

運営管理

財務・会計

経営法務

経営情報

システム

マクロ

環境

診断士試験の体系

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2次試験は、企業診断の実践に向けた1次学習内容の応用

7

2次試験の科目構成

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1.2次試験の申込者数と合格者数

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年 申込者数 受験者数 合格者数 合格率 H13 2001 5,976 5,872 627 10.7% H14 2002 6,549 6,394 638 10.0% H15 2003 4,281 4,186 707 16.9% H16 2004 3,237 3,189 646 20.3% H17 2005 3,646 3,589 702 19.6% H18 2006 4,131 4,014 806 20.1% H19 2007 4,060 3,947 800 20.3% H20 2008 4,543 4,412 877 19.9% H21 2009 5,489 5,331 951 17.8% H22 2010 4,896 4,736 925 19.5% H23 2011 4,142 4,003 794 19.8% H24 2012 5,032 4,894 1,220 24.2%

4人に1人、24年度は5人に1人が合格者!結構高いゾ。

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2.2次試験に受かる秘訣

9

Input Process Output

中小企業

白書

インプット情報

①白書の本文

とコラム・事例

を読め

②フレームで

考えるくせを

つけろ

③過去問を

中心に

解きまくれ!

思考方法 解答する

企画 仕入 販売

何を 誰に

どうやって

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2-1.インプット

10

Input

中小企業

白書

インプット情報

①白書の本文

とコラム・事例

を読め

診断士試験は中小企業庁が管轄。中小企業の近況が反映。

24年度2次試験での白書との関連

・事例Ⅰ:2012年版白書第2部第2章第1節(事例2-2-9、本文「海外展開後の課題・リスク」)

・事例Ⅱ:2012年版白書コラム2-1-9「地域資源を活用した復興の取組」

・事例Ⅳ:2011年版白書第2部第2章第2節「中小企業の事業引継ぎ」

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2-2.プロセス

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Process

②フレームで

考えるくせを

つけろ

思考方法

企画 仕入 販売

何を 誰に

どうやって

私が診断士になり、大手外資系コンサルファームで修業を始めた頃、師匠から「コンサルタントは常にフレームで思考する。俺は頭の引き出しに数百のフレームがあり状況に合わせて当てはめる」と聞いた。

当時はすごいなーぐらいだったが、今、はっきり言える。「フレームを持っているといないとでは思考方法が全く違う」。まあ数百も必要ないじゃん?だが。。。

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2-3.解答する

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Output

③過去問を

中心に

解きまくれ!

解答する

診断士試験は、国家試験であり中小企業庁、診断協会試験委員等多くの目でチェックされた上で試験問題となる。よくできている。

過去問は宝の山。

学校教材の問題は添削により論理力・文章力を磨くためのものと割り切って、是非数多くの過去問を解きまくってほしい。

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3.2次試験で試される能力(設問フレーム)

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設問 フレーム

診断 (分析)

助言 (解決策策定)

全社・事業 戦略

外部・内部環境分析能力

戦略策定能力

機能別 戦略・施策

課題分析能力 施策策定能力

2次 試験

中小企業経営の戦略および管理に関する診断及び助言に関する実務の事例

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戦略策定プロセス

経営理念・ビジョン

外部環境分析

内部環境 分析 何を:製品 誰に:市場

どうやって

全社・事業戦略策定(市場・製品戦略)

既存製品 新規製品

ドメイン定義

機会 脅威 強み 弱み

既存市場 市場浸透戦略 新規市場 市場開拓戦略

製品開発戦略 多角化戦略 市

場 製品

機能別戦略策定 組織・人事 戦略

マーケティング 戦略 生産戦略 財務戦略

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実際の事例(平成24年度事例Ⅱ)の設問を「設問フレーム」

に当てはめる

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問①

第1問(配点10点) B社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を100字以内で説明せよ。

第2問(配点30点) B社は提携によって新たな販路を獲得し、経営再建を成し

遂げた。一方、この提携は提携先の企業にとってもメリットがあったために成功したといえる。B社の提携先の企業にとってのメリットについて次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

(設問2) B社が行った水平的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

赤字は講師による

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問②

第3問(配点30点) B社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を80

字以内で整理せよ。

(設問2) B社の売上は、コーズリレーテッド・マーケティングの効果によ

り再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが、B社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80字以内で答えよ。

赤字は講師による

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問③

第4問(配点30点)

地域における企業ブランドの強化に向けて有効と考えられるB社のマーケティング・アクションを2つ提案し、それぞれについて、80字以内で答えよ。ただし、そのアクションの実行により期待される効果についても併せて述べること。

赤字は講師による

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「事例Ⅱ」の出題趣旨(by中小企業診断協会)

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第1問(配点10点) B社が水平的提携、垂直的提携を通じて採用することに

なったセグメンテーション戦略とセグメントごとのニーズに対応した製品戦略について、整理・分析する基礎的な能力を問う問題である。

第2問(配点30点) (設問1)

B社と垂直的提携を行った酒販店Z社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。

(設問2) B社と水平的提携を行った大手酒造メーカーY社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。

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第3問(配点30点) (設問1) B社が地域社会との関係性強化のために行っているコーズ

リレーテッド・マーケティングの現状を、整理・分析する能力を問う問題である。

(設問2) B社が試みているコーズリレーテッド・マーケティングが消費

者の購買拡大に与える効果について、分析する能力を問う問題である。

第4問(配点30点) B社社長が目指す、地域における企業ブランド強化の方向

性に即したマーケティング戦略を立案するための構想力と提案力を問う問題である。

「事例Ⅱ」の出題趣旨(by中小企業診断協会)

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診断 (分析)

助言 (解決策策定)

製品戦略 提携戦略

第1問:製品戦略 第2問:提携戦略

マーケティング戦略・施策

第3問:コーズリレーテッドマーケ (第4問:効果)

第4問:マーケティングアクション

24年度事例Ⅱを、設問フレームに当てはめてみる

まず、設問を読み、設問フレームのどこに

当てはまるかを考える

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1. 2次試験と合格の秘訣

2. 解き方

3. 解き方実践

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Ⅱ. 解き方 :目次

逆算で考える。

1.出題者の立場になってみる。 2.出題者はどうやって事例問題を 作るのか。(ケーススタディと一緒)

3.解答ステップ

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1.出題者の立場になってみる。

事例問題

経済産業省・中小企業庁

中小企業診断協会

出題者

受験者

診断士

教育機関

国家資格であり多くの目を意識している。問題文に余計なことは書かれず、設問も条件付けが明確。

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2.出題者はどうやって事例問題を作るのか

コンサルファームの採用面接の「ケーススタディ」と一緒。

(1) ビジネスモデルを考える

(2) 設問を作る

(3) 問題文を作る

会社形態 ドメイン 内部環境 外部環境

全社・事業戦略 分析

機能別戦略・施策 戦略立案 分析 施策策定

1と2から問題文を作成し、ヒントで正解を補強

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会社 形態

ドメ イン

内部 環境

外部 環境

①業種・業態 ②会社規模 ③業歴・形態 ・製造業等業種 ・BtoB、BtoC

・中規模 ・中小、零細

・歴史/沿革 ・オーナ・親会社

①何を ②誰に ③どうやって ・製品/商品 ・サービス

・顧客 ・顧客の顧客

・販売方法 ・生産・提供方法

①強み ②弱み

経営資源・バリューチェーン

①機会 ②脅威

競合・パートナー等の他のプレイヤー

(1) ビジネスモデルを考える

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会社形態

①業種・業態

②会社規模

③業歴・形態

・製造業等業種 :製造業、小売業、サービス業、卸売業(経済産業省傘下の診断士試験ではこれしか出ない。) ・BtoB、BtoC :顧客が法人か個人かは重要

会社規模は、経営資源(特にヒトやカネ)に制約があり大きな施策が取れるか否かの決めて。特に100人以下の中小企業では難しいので、外部との連携が重要になる。

業歴・沿革は非常に重要。企業ブランドが蓄積されていたりノウハウがたまっている。 また、オーナー企業なのか親会社系列なのかの「所有形態」も戦略を考える上で重要。

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ドメイン

①何を ②誰に

③どうやって

商品・製品、サービスのどこに価値(強み)があるかを探る

顧客(法人・個人) セグメント

ドメインの

フレーム

商品 企画

生産 方法

販売 方法

戦略目的として、中小企業では「差別化」が重要

戦略目的

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内部環境

経営資源のフレーム

経営資源とバリューチェーンのフレームを使って

強みと弱み(特に強み)を捉える

バリューチェーン のフレーム

ヒト

モノ ソフト

外部

ハード

経営者、従業員、スキル

関係会社、顧客、取引先

顧客資産、ブランド、ノウハウ

機械設備、立地、店舗

製造業

小売業

製品 開発

生産 マーケ ティング

営業・ 販売

商品

計画 仕入

マーケ

ティング 営業・

販売

サービス業 サービス 計画

マーケ ティング

営業・ 販売

サービス 提供

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外部環境

①機会 ②脅威

競合・パートナー等の他のプレイヤー

外部環境を考えるコンサルティングのフレームはあるが、診断士試験では特に使う必要はない。出題者が機会と脅威を設定してくれているのだから。

ひたすら問題文から、出題者が落としてくれた機会と脅威(特に機会)を文章として抽出するのみ。

特に競合(脅威)、提携先等のパートナー、顧客ニーズの変化(機会)は重要である。

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診断 (分析)

助言 (解決策策定)

全社・事業 戦略

外部・内部 環境分析能力

戦略策定能力

機能別 戦略・施策

課題分析能力 施策策定能力

(2) 設問を作る

自ら把握している事例をベースに、下記の中のどこに当てはまるかを考え、設問を作る作業を行う

戦略策定プロセス

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戦略策定プロセス

経営理念・ビジョン

外部環境分析

内部環境 分析 何を:製品 誰に:市場

どうやって

全社・事業戦略策定(市場・製品戦略)

既存製品 新規製品

ドメイン定義

機会 脅威 強み 弱み

既存市場 市場浸透戦略 新規市場 市場開拓戦略

製品開発戦略 多角化戦略 市

場 製品

機能別戦略策定 組織・人事 戦略

マーケティング 戦略 生産戦略 財務戦略

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全社・事業戦略策定(市場・製品戦略)

既存製品 新規製品

既存市場 市場浸透戦略

新規市場 市場開拓戦略

製品開発戦略

多角化戦略 市場 製

市場浸透 戦略

市場開拓 戦略

製品開発 戦略

既存市場で製品シェアを上げる戦略。 既存顧客への販売量増加と潜在顧客掘り起し。 販売促進、顧客サービス充実、商品ライン充実

既存(改良)製品で新市場を開拓する戦略。 潜在的ユーザーの発見、新しいチャネルの構築、 新しい販売地域へ進出。多額の資金が必要。

現在の市場のシェア拡大のために新製品の開発・導入を行う戦略。既存のチャネルと顧客を利用することで販売コストの低減を図る。

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組織・人事フレーム 組織の7S(ハードの3S、ソフトの4S)

ハード

ソフト

横の連携強化、外部連携

~部署設立、プロジェクト組織

業績連動評価、目標管理

チャレンジ精神、士気を向上

採用する、登用する

教育する、育成する

~を従業員に周知する

Strategy(組織戦略)

Structure(組織構造)

System(制度・システム)

Style(社風・文化)

Staff(人材)

Skill(スキル)

Shared Value(価値)

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マーケティング・フレーム

①何を ②誰に

③どうやって

Product 具体的な セグメント

Place チャネル・店舗

Promotion 広告・宣伝

Person 営業・接客

中小企業のマーケティング・ミックス:新4P

中小企業はPrice施策は難しい

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生産フレーム

Input Process Output

生産要素の投入 加工・組立 製品の産出

Quality(品質)

Cost(原価)

Delivery(納期)

Environment(環境負荷)

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「効果」のフレーム

売上 増加

コスト削減

客数の増加

客単価増加

原価の低減

経費の削減

利益増加

・既存顧客の購買頻度向上(ロイヤリティ向上等) ・新規顧客の獲得

・購入個数増(セット購入) ・購入単価増加=高価格帯へのシフト

・仕入原価の低減 ・売れ残り削減(評価損として原価計上が不要に)

・販売促進費の削減 ・管理費の削減 ・人件費の削減

「効果」は文脈により、全社戦略目的まで遡ることがある 37

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(3) 問題文を作る

(1)と(2)から問題文を作成し、ヒントを散りばめることで正解を補強するとともに、批判をかわす。

従って、問題文に不要な文章は一切ない。

※ちなみに、コンサルファームのケーススタディはそこ

まで優しくない。「自分で考えろ。自分で条件を設定

してその中で論理的に解答しろ」

その後、模範解答を作ってみて、「外せないキーワード」による文章で、制限文字数を設定する。

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ここまでが出題者がやっていることです。

解答する側としては、この手順(ステップ)に則って、問題を解くと、よりスムーズに解答に至ります。その解答ステップは次ページの通りです。

なお、問題文には入っていない、「1次試験の知識」を問う問題も時々あります。

その場合はその知識も含めてインプットとし、フレームに落として解答する必要があります。

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1. 2次試験と合格の秘訣

2. 解き方

3. 解き方実践

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3.解答ステップ

設問フレームへ の落とし込み

まず、設問だけを読み、それぞれの設問が、「設問フレーム」のどこに位置づけられるかを考える。

設問内容に対応 したフレーム検討

次に、個々の設問内容について、戦略・機能のフレームから、対応可能なフレームを考えてみる。

問題文の読込み ・マーキング

問題文を読み、個々の設問に関係する単語・文章をマーキングする。(SWOTのマーキングではない)

フレーム適用・ キーワード抽出

マーキング単語・文章をフレームに落とし、キーワードを抽出する。 キーワードをつなげて文章を作る。

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対象とする試験問題

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平成24年度 2次試験 事例Ⅱ

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対象とする試験問題

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設問

設問フレームへ の落とし込み

まず、設問だけを読み、それぞれの設問が、「設問フレーム」のどこに位置づけられるかを考える。

設問内容に対応 したフレーム検討

次に、個々の設問内容について、戦略・機能のフレームから、対応可能なフレームを考えてみる。

赤字、下線は講師による

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問①

第1問(配点10点) B社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を100字以内で説明せよ。

第2問(配点30点) B社は提携によって新たな販路を獲得し、経営再建を成し

遂げた。一方、この提携は提携先の企業にとってもメリットがあったために成功したといえる。B社の提携先の企業にとってのメリットについて次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

(設問2) B社が行った水平的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

赤字は講師による

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45

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問②

第3問(配点30点) B社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を80

字以内で整理せよ。

(設問2) B社の売上は、コーズリレーテッド・マーケティングの効果によ

り再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが、B社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80字以内で答えよ。

赤字は講師による

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46

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問③

第4問(配点30点)

地域における企業ブランドの強化に向けて有効と考えられるB社のマーケティング・アクションを2つ提案し、それぞれについて、80字以内で答えよ。ただし、そのアクションの実行により期待される効果についても併せて述べること。

赤字は講師による

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対象とする試験問題

47

設問

設問フレームへ の落とし込み

まず、設問だけを読み、それぞれの設問が、「設問フレーム」のどこに位置づけられるかを考える。

設問内容に対応 したフレーム検討

次に、個々の設問内容について、戦略・機能のフレームから、対応可能なフレームを考えてみる。

赤字、下線は講師による

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設問フレームに当てはめる

48

診断 (分析)

助言 (解決策策定)

製品戦略 提携戦略

外部・内部環境分析能力 第1問、第2問

戦略策定能力 (該当なし)

マーケティング戦略・施策

課題分析能力 第3問 (第4問:効果)

施策策定能力 第4問

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対象とする試験問題

49

設問

設問フレームへ の落とし込み

まず、設問だけを読み、それぞれの設問が、「設問フレーム」のどこに位置づけられるかを考える。

設問内容に対応 したフレーム検討

次に、個々の設問内容について、戦略・機能のフレームから、対応可能なフレームを考えてみる。

赤字、下線は講師による

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第1問、第2問

50

経営再建

ドメインの再構成

製品戦略

(第1問)

①何を ②誰に

③どうやって

製品 ターゲット・ セグメント

垂直的・水平的な提携による新たな販路

戦略提携に

よる販路獲得

(第2問)

提携先

企業の

メリット

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第2問

51

第1次

生産業者

第2次

生産業者

卸売業者

小売業者

サツマイモ

生産農家

酒造メーカー(当社、Y社)

酒類

卸売業者

酒販店

(Z社)

川上

川下

垂直的提携

(設問2)

水平的提携

(設問1)

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第3問 設問1

コーズリレーテッド・マーケティング 製品の売上によって得た利益の一部を、社会に貢献する事業を行っている組織などに寄付する活動を通して、売上増加を目指すというマーケティング手法 ということを知らなくてもマーケティング・フレームで類推!

②誰に

③どうやって

誰?

Place、Promotion、Personのどれ? なんか新しいことなんだろう。。。

①何を

製品

マーケティング・フレーム

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第3問 設問2

53

売上拡大の理由

「効果」のフレーム

売上 増加

客数の増加

客単価増加

・既存顧客の購買頻度向上(ロイヤリティ向上等) ・新規顧客の獲得

・購入個数増(セット購入) ・購入単価増加=高価格帯へのシフト

売上拡大はどの要素で起きたのだろう?

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第4問 ①

54

マーケティング・フレーム

①何を ②誰に

③どうやって

Product 具体的な セグメント

Place チャネル・店舗

Promotion 広告・宣伝

Person 営業・接客

戦略目的

地域における企業ブランドの強化

マーケティング・アクション

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第4問 ②

55

「効果」のフレーム

売上 増加

客数の増加

客単価増加

利益増加

・既存顧客の購買頻度向上(ロイヤリティ向上等) ・新規顧客の獲得

・購入個数増(セット購入) ・購入単価増加=高価格帯へのシフト

期待される効果

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対象とする試験問題

56

問題文

赤字、下線は講師による

問題文の読込み ・マーキング

問題文を読み、個々の設問に関係する単語・文章をマーキングする。(SWOTのマーキングではない)

さあ、問題文を読もう!

そして文章に、設問番号をマーキングしよう!

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文①

B酒造(B社)は地方都市のX市にある芋焼酎を専門とする酒造メーカーである(資本金2,000万円、パートを含む従業員20名)。B社は1899年(明治32年)に現会長の曽祖父が創業し、経営は同族間で引き継がれ現在は4代目が会長、5代目

が就任している。創業以来、陶器製カメを用いた伝統的製法にこだわった焼酎造りを続けている。

なお、X市の主な産業は畜産業、酒造業、陶器製造業などである。2000年代に入り大規模な陶器工場が撤退するなど

の影響もあり、経済的にはやや縮小傾向にあり、それに伴って市内人口も減少傾向にある。

B社製品の購入者は、創業以来1990年代に至るまでは、ほぼこのX市内の消費者によって占められてきた。しかしながら、B社1980年代に一度、経営不振に陥り、その後の経営再建によってその状況は一変した。

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文②

1980年代、B社では伝統的な芋焼酎の味わいにこだわったことが災いし、新製品の開発が停滞した。当時は甲類焼酎*

を用いたチューハイブームの時期にあたり、また麦を原材料とする飲みやすい乙類焼酎**が全国的にヒットするなど、消費

者の焼酎に対する嗜好が変化した時期であった。これらの影響で焼酎全体の消費量が大幅に伸びる中、自社製品の売上が低迷する状況が続き、B社は危機意識を高め、1990年代に入り経営再建に着手した。

B社は経営再建の過程で、製造方法の見直しと他企業との提携という2つの改革を行った。製造方法の見直しのために、新たに杜氏(焼酎造りの専門家)を招き、陶器製のカメを用いた伝統的な焼酎造りというB社のこだわりを守りながらも、消

費者の嗜好変化に合せた焼酎造りが行えるよう発酵方法などの見直しを実施した。

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59

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文③

また、この杜氏の助言もあり、既存製品のリニューアルを行い、原材料である芋の香りを残しつつ、X市内消費者の嗜好の変化に合わせてやや甘みのある味わいに変更した。

その上でB社は企業提携によるあらたな販路の獲得を模索した。

B社の第1の提携先は、全国に販路を有する大手酒造メーカーY社であった。Y社は当時、清酒と甲類焼酎をメインの販売製品としていた。しかしながら、Y社の製品ラインアッ

プには、有力な乙類焼酎、特に高品質の芋焼酎が欠けていた。自社の製品ラインアップに伝統的製法という個性を持ったB社が生産する製品が加わることは、Y社にとって魅力的な提携であった。提携後、B社とY社は製品開発を開始し、Y

社が全国で実施した市場調査結果に基づき、芋の香りを抑えた全国向けの新製品が開発された。

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文④

この共同開発製品は、好調な販売推移をたどり、現在もB

社とY社双方の主力製品となっている。

第2の提携先は、県内に数店舗を展開する酒販店Z社であった。Z社は当時、急成長していたスーパーマーケットや競

合のディスカウントストアに対抗する手段としてプライベートブランドの開発を検討していた。その過程で、Z社本店と同じX

市内にあるB社との提携に至った。このプライベートブランドはX市内だけではなく、Z社が出店する県内全域を販路と想定し、開発が進められた。X市内ではお湯割での飲まれ方がメインであるが、県内においては徐々にロック(氷割り)で焼

酎が飲まれ始めているという市場調査結果に基づき、ロックでの飲用にあった製品の開発を行った。この製品も県内の消費者からの支持を獲得するに至った。

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文⑤

なお、これらの提携による共同開発製品は従来から用いられてきた自社工場を大規模に改修することなく、生産が行われている。また、製品のラベルには製造者としてB社の名称が、販売者として提携先の企業の名称が記載されている。

B社とY社、Z社との提携は、市場ニーズにあった製品の

共同開発により成功したという側面もある。しかしながら伝統的製法によって製品を生産するB社のこだわりを、製品ラ

ベルや広告、店頭販促において前面に出したことが双方の製品の重要な成功要因であったと、B社と提携先企業Y社、Z社の認識は一致している。

1990年代の経営再建により新たな販路の獲得に成功したことに加え、2000年代の全国的な乙類焼酎の流行(本格焼酎ブーム)によりB社の経営状態は大きく改善した。

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文⑥

Y社との共同開発製品は、その後、全国の飲食店の店主から高い評価を受けた。Y社内では飲食店市場に対する営業成績が向上した要因の1つとして共同開発製品があげられることも多くなっている。またZ社のプライベートブランドも”

ロック向け”という訴求内容が県内消費者から支持され、当概商品を目当てにした来店が増えたなどの声がZ社の店舗スタッフからB社に寄せられている。

しかし、2010年代に入り本格焼酎ブームが下火になる中で、B社の近年の売上はやや停滞傾向にある。B社では”伝

統的な製法”に加え、市場に対するユニークな企業ブランドの価値をどのようにデザインすべきかが課題となっている。

この課題に対して、5代目にあたる社長を中心に様々な試みが繰り返されている。

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63

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文⑦

社長は、地域に根ざした企業ブランドの強化を目指して、地元X市にフォーカスしたマーケティングを開始しつつある。4

代目の会長が行った提携を通じた全国や県内への展開が一巡したことを勘案し、もう一度地元のX市の消費者との関係強化を図るべきだ、というのがその理由である。なお、2010

年代に入ってからのB社の売上高の約半額がY社・Z社との共同開発製品、残りの約半額がX市内向け製品からもたらされている。そのためX市の経済低迷や人口減少は、X市地域とB社の双方にとっての共通の問題とも言える。特にX市の大きな課題のひとつは、2000年代中ごろに洪水により大

規模な被害をうけたある商店街の復興にあった。水害の後も、堤防を増強する公共工事が行われ、当概商店街の一部店舗が移転を求められるなどの影響が続いている。

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 問題文⑧

しかし、ほとんどの商店主は、商店街の衰退が買物難民の発生や周辺地域の衰退につながると考えて、廃業せず、新たに商店街を盛り上げるべく努力を重ねていた。B社はこの商店街の復興を自社課題のひとつとし、X市内向け製品の

売上から一定額を、商工会議所が主催する商店街のイベント会場で実施されるお祭りなどのイベント事業、新たに商店街に店舗を出店しようとする店主達に対する新規出店支援事業に寄付している。

そして、B社の社長は地域に根ざした企業ブランドのより一

層の強化に向けて、中小企業診断士に今後の展開について相談することとした。

*甲類焼酎とは、原材料のクセや香りの無い焼酎のことをいう。

**乙類焼酎とは、原材料本来の旨みや香りを有した焼酎のことを

いう。本格焼酎とも呼ばれている。

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対象とする試験問題

65

解答作成

フレーム適用・ キーワード抽出

マーキング単語・文章をフレームに落とし、キーワードを抽出する。 キーワードをつなげ文章を作る。

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66

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問①

第1問(配点10点) B社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を100字以内で説明せよ。

赤字は講師による

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第1問

67

①何を(製品) ②誰に(顧客)

製品戦略

やや甘みのある味わい X市内消費者

芋の香りを抑えた新製品

全国

ロックでの飲用にあった製品

県内消費者

陶器製カメを用いた伝統的製法というこだわりを守りながらも、消費者の嗜好変化に合わせた焼酎造り

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第1問 解答案

68

陶器製カメを用いた伝統的製法を守りつつ消費者の嗜好の変化に合わせた製品戦略として、X市内向けにやや甘みのある味わい、全国向けに芋の香りを抑えた新製品、県内向けにロックでの飲用にあった焼酎を開発した。

文字数:99文字

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69

【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問②

第2問(配点30点) B社は提携によって新たな販路を獲得し、経営再建を成し

遂げた。一方、この提携は提携先の企業にとってもメリットがあったために成功したといえる。B社の提携先の企業にとってのメリットについて次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

(設問2) B社が行った水平的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100字以内で答えよ。

赤字は講師による

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第2問

70

③どうやって

県内を販路とする酒販店Z社との提携

提携先企業のメリット

全国に販路を有する大手酒造メーカーY社との提携

垂直的提携

水平的提携

・スーパーマーケットや競合のディスカウントストアに対抗する手段としてプライベートブランドの開発 ・“ロック向け”という訴求内容が県内消費者から支持され、当該商品を目当てにした来店が増えた

・製品ラインアップには、有力な乙類焼酎、特に高品質の芋焼酎が欠けていた ・全国の飲食店の店主から高い評価を受けた。Y社内では飲食店市場に対する営業成績が向上した

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第2問 解答案

71

Z社にとってのメリットは、ロックでの飲用にあったプライベートブランドが県内消費者から支持されたことで、①当該商品を目当てにした来店が増え、②スーパーマーケット等の競合に対して差別化(対抗でも可)できたこと、である。

文字数:100文字 設問1

Y社にとってのメリットは、高品質の芋焼酎を伝統的製法のB社と共同開発したことで、①製品ラインアップの補完が実現でき、②全国の飲食店から高い評価を受け、飲食店市場に対する営業成績が向上したこと、である。

文字数:100文字 設問2

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問③

第3問(配点30点) B社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ。

(設問1) B社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を80

字以内で整理せよ。

(設問2) B社の売上は、コーズリレーテッド・マーケティングの効果によ

り再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが、B社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80字以内で答えよ。

赤字は講師による

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第3問 設問1 ②誰に

③どうやって

X市の消費者 特に商店街

・洪水により大規模な被害を受けたある商店街の復興 ・商店街の復興を自社課題の1つ ・ X市内向け製品の売上から一定額を、商工会議所が主催する商店街のイベント会場で実施されるお祭りなどのイベント事業、新たに商店街に店舗を出店しようとする店主達に対する新規出店支援事業に寄付している。

①何を

X市内向け製品

コーズリレーテッド・マーケティング概要

73

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第3問 B社の戦略を考えてみる

既存製品 新規製品

既存市場

やや甘みのある味わい

新規市場

芋の香りを抑えた新製品 ロックでの飲用にあった

製品

製品 開発戦略

多角化 戦略

市場

製品

X市

県内

全国

伝統的製法の芋焼酎

既存市場で製品シェアを上げる戦略。 既存顧客への販売量増加と潜在顧客掘り起し。 販売促進、顧客サービス充実、商品ライン充実

市場浸透 戦略

1990年代

2010年代

X市でさらなる市場浸透戦略を推進する

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第3問 設問2

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売上拡大の理由

「効果」のフレーム

・ほとんどの商店主は、商店街の衰退が買物難民の発生や周辺地域の衰退につながると考えて、廃業せず、新たに商店街を盛り上げるべく努力を重ねていた。 ・ X市内向け製品の売上から一定額を、商工会議所が主催する商店街のイベント会場で実施されるお祭りなどのイベント事業、新たに商店街に店舗を出店しようとする店主達に対する新規出店支援事業に寄付している。

商店街周辺地域の買物客

・既存顧客の購買頻度向上(ロイヤリティ向上等)

どんな?

周辺地域の買物客のロイヤリティ向上、購買頻度の増加

どうなった?

客数の増加

問題文に書かれていない時は Why?か How?で考える

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第3問 解答案

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洪水被害を受けた商店街復興を自社課題の1つとして、商店街でのお祭りなどのイベント事業や商店街への新規出店支援事業に対して、X市内向け製品の売上から一定額を寄付することで企業ブランドの向上を図った。

文字数:98文字 設問1

洪水で大規模な被害を受けた商店街の復興のための寄付という、B社の地域貢献努力が、商店街周辺地域の買物客に評価され、B社へのロイヤルティ向上につながり、B社製品の購買頻度が増加したためである。

文字数:95文字 設問2

76

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【平成24年 2次試験 事例Ⅱ】 設問④ 赤字は講師による 第4問(配点30点)

地域における企業ブランドの強化に向けて有効と考えられるB社のマーケティング・アクションを2つ提案し、それぞれについて、80字以内で答えよ。ただし、そのアクションの実行により期待される効果についても併せて述べること。

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第4問

78

マーケティング・フレーム ①何を(Product) ②誰に

③どうやって

・X市の主な産業は畜産業、酒造業、陶器製造業 ・陶器製カメを用いた伝統的製法にこだわった焼酎造り

X市 県内 全国

Place:X市内(商店街含む)、Z社が出店する県内全域 を販路/全国に販路を有する大手酒造メーカーY社

Promotion:・製品のラベルには製造者としてB社の名称 が、販売者として提携先の企業の名称が記載

・伝統的製法によって製品を生産するB社のこだわりを、 製品ラベルや広告、店頭販促において前面に出した

Person:特に記載なし

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①何を(Product) ②誰に

③どうやって

1)地元の畜産業者、陶器製造業者と連携したAll 地元産品セット製品の開発

全国

Place:全国販路を持つ大手酒造メーカーY社、 畜産業者や陶器製造業者の販路

Promotion:製品のラベルに陶器製造業者の記載、 店頭イベントでの試飲・試食による販売

2)商店街復興を謳ったB社及び商店街共同ブランド焼酎の開発

X市 県内

1)

Place:商店街お祭りイベント会場、Z社の県内酒販店

Promotion:商店街お祭りでの試飲会、県内酒販店 での店頭イベントでの試飲による販売

2)

マーケティング・アクション案

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80

期待される効果案

アクション1

アクション2

Y社及び地元業者の販路を活用した全国消費者向けの、地元の畜産業者(ハム等)、陶器製造業者と連携したAll 地元産品セット製品展開

X市内・商店街のB社販路及びZ社の県内販路を活用した、X市及び県内消費者向けの、商店街復興を謳ったB社及び商店街共同ブランドの焼酎開発。商店街お祭りでの試飲会等のプロモーションを展開する。

Y社販路での新規顧客の獲得、畜産業者の新規販路の獲得

既存顧客のロイヤルティ向上、新規顧客の獲得

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第4問 解答案

81

地元の畜産業者、陶器製造業者と連携したセット地域産品を開発し、Y社と連携先業者の販路で全国向けに販売する。Y社販路での新規顧客、畜産業者の新規販路が獲得できる。

文字数:80文字 ①

商店街復興を謳ったB社・商店街共同ブランド焼酎を開発し、商店街お祭りでの試飲会やZ社の県内販路により販売する。既存顧客のロイヤルティ向上と新規顧客が獲得できる。

文字数:80文字 ②

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2012年版白書 「地域資源を活用した復興の取組」

地域資源の特徴をうまく 活かした製品・商品開発力

販路の開拓・確保

6割前後 コラム2-1-9図 地域資源活用の取組

に重要なこと(複数回答)

82

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解答ステップ

設問フレームへ の落とし込み

まず、設問だけを読み、それぞれの設問が、「設問フレーム」のどこに位置づけられるかを考える。

設問内容に対応 したフレーム検討

次に、個々の設問内容について、戦略・機能のフレームから、対応可能なフレームを考えてみる。

問題文の読込み ・マーキング

問題文を読み、個々の設問に関係する単語・文章をマーキングする。(SWOTのマーキングではない)

フレーム適用・ キーワード抽出

マーキング単語・文章をフレームに落とし、キーワードを抽出する。 キーワードをつなげて文章を作る。

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どうもお疲れ様でした。

明日は、事例Ⅰ、事例Ⅲ

事例Ⅳをやります!

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