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展示資料 NHK放送技術研究所

展示資料 - NHK › strl › open2014 › tenji › pdf › tenji_all.pdf · 楽しむことができる技術など、視聴者の皆様の心に届けたい31項目の ... サービスのためのプライバシー保護技術

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展示資料NHK放送技術研究所

日頃より、NHKにご理解とご支援をいただき厚く御礼申し上げます。

1930年設立のNHK放送技術研究所(技研)は、1940年の“幻の東京オリンピック”において、世界初のテレビジョン生中継を目指して研究を開始しました。衛星放送、ハイビジョン、薄型テレビ、デジタル放送と放送技術の進歩はオリンピックの歴史とともにあったと言っても過言ではありません。そして、きたる2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、初心に立ち返る思いです。

昨年9月、放送通信連携サービスであるハイブリッドキャストがスタートしました。今年2月のソチオリンピックでは、放送中の番組を巻き戻して見ることができる時差再生サービスの実施など、サービスの幅を広げています。今回、一歩先をいく進化形ハイブリッドキャストを体験していただきます。さらに、8Kスーパーハイビジョンでは、衛星放送を想定した伝送方式や、フルスペックカメラなど、2016年試験放送、及び2020年本放送をめざして研究開発を加速しているところです。

今年のテーマは“ココロ動かすテクノロジー”です。ハイブリッドキャストや8Kスーパーハイビジョンだけでなく、自然で見やすい立体テレビの高画質化、CGによる手話への翻訳技術、触れることで放送を楽しむことができる技術など、視聴者の皆様の心に届けたい31項目の展示をご覧頂きます。

今後とも技研の活動により一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2014年5月NHK放送技術研究所長  藤沢 秀一

ごあいさつ

講 堂

ガイドツアー受 付(土、日)

エントランス説明

出口 入口

8Kスーパーハイビジョンシアター講演(木)研究発表(木)

地下1階へ 7階へ地下1階から

エレベーター トイレ

2

107

13

31

M

8Kキックターゲット会場へ

会場案内

1 8Kスーパーハイビジョンに対応したハイブリッドキャスト

2 超小型120Hz 8Kスーパーハイビジョンカメラ

3 8Kスーパーハイビジョン衛星放送システム

4 フルスペック8Kスーパーハイビジョン映像機器

5 8Kスーパーハイビジョンのケーブルテレビ伝送方式

6 メモリー着脱型8Kスーパーハイビジョン小型記録装置

7 ディスプレー 一体型スピーカーによる 8Kスーパーハイビジョン音響再生

食堂

1階から

講演(木)モニター会場

研究発表(木)

8 フレキシブル有機ELディスプレー

9 インテグラル立体テレビ

10 立体像表示のためのスピン注入型空間光変調器

31 8Kスーパーハイビジョン「シアターカメラ」

M NHK放送博物館

1階7階

アンケート&

休憩所

休憩所

展示7番の音響をゆっくりと

お聴きいただけます

S112

13

14

15 19

16 17 182322

25

24

20 21

30T1

P

T2

エレベーター トイレ

ポスター展示

1階から1階へ

28

11

27

26

JS2

H

S1

29

地下1階

11 ハイブリッドキャストの高度化に向けた要素技術

12 テレビ視聴時の興味内容推定を利用した番組ナビゲーション

13 音声認識字幕制作システムの高精度化

14 顔表情を部分的に取り入れた手話CG翻訳システム

15 立体や図を伝える触覚提示技術

16 次世代地上放送の伝送技術

17 8Kスーパーハイビジョン放送の高機能化に向けたMMT伝送技術

18 次世代CAS技術

19 8Kスーパーハイビジョンの普及を目指した新機材

20 1億3300万画素イメージセンサー

21 リアルタイム時空間解像度変換装置

22 新しいキーワードによる検索を可能とする映像検索システム

23 放送通信連携サービスのためのプライバシー保護技術

24 可視光を用いた水中ワイヤレスIP伝送技術

25 高速なファイル転送を実現する双方向FPU

26 SDN※を利用した放送局映像取材網 ※SDN:Software Defi ned Network

27 新デジタル方式ワイヤレスマイク

28 光電変換膜積層型固体撮像デバイス

29 放送現場で活躍する機材

30 NHK技術の活用と実用化開発の紹介

P ポスター展示

T1 さわれるテレビ

T2 飛び出すテレビ

S1 ハイブリッドキャスト

S2 放送とネットサービス事業者による連携

J デジタル放送受信相談コーナー

H NHKハートプラザ(土日のみ)

2016年の8K SHV試験放送の実現に向けて、技術仕様の標準化と放送システムの研究・開発を進めます。

放送通信連携

ハイブリッドキャストをさらに魅力的なものにする技術の研究開発を進めています。ここでは、8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)の高精細な大画面を活かした、豊富な番組関連情報を一覧表示するサービス例を紹介しています。

■8K SHVのハイブリッドキャスト通信から送られる豊富な番組関連情報を見やすく一覧表示したマルチウィンドー型サービスを展示しています。インターネットとの親和性が高く表現力に優れたHTML5※1の特長を活かしたCG表示や、放送と通信から送られる複数の映像の同時表示などを実現します。

■8K SHVのデータ伝送方式MMT※2多重化方式により、放送と通信の複数の経路から伝送されるさまざまなデータを柔軟に組み合わせて同期表示できます。手元の携帯端末と連携したコンテンツ表示も容易になります。

■8K SHVの字幕・文字スーパー字幕・文字スーパーは、文字の記述には国際的に広く使われているUCS※3文字符号を、表示のタイミングやレイアウトなどの制御情報を指定できるTTML※4符号化方式を提案しています。従来の画面下部の固定的な表示に加えて、ハイブリッドキャストアプリによる表現力豊かな表示が可能です。

サービスのイメージ

特 徴

今後の予定

展示概要

※ 1 HTML5(HyperText Markup Language):W3Cで標準化が進められているWeb標準の記述言語※ 2 MMT(MPEG Media Transport):多様な伝送路でのメディア伝送に対応する国際標準の多重化方式※ 3 UCS(Universal Multiple-Octet Coded Character Set):ISO/IEC 10646に規定された国際標準文字符号※ 4 TTML(Timed Text Markup Language):テキスト表示のタイミングとレイアウトを指定可能なマークアップ言語

一斉配信コンテンツや制御情報

基本情報

個別コンテンツの配信や双方向性コンテンツ

拡張情報

8K SHVテレビ

携帯端末

連携通信伝送路

放送局

サービス事業者

放送伝送路

1 高度なサービスの実現を目指して

8Kスーパーハイビジョンに対応したハイブリッドキャスト

フレーム周波数120Hz、広色域などの条件を満たすフルスペック単板カラーカメラなど、8Kスーパーハイビジョン映像の制作システム開発を進めていきます。

8Kスーパーハイビジョン

120Hz 8Kスーパーハイビジョンの映像制作システムをめざして、さまざまなカメラの開発を進めています。今回、新開発の3300万画素120Hz単板カラーCMOSイメージセンサーを用いて、超小型120Hz 8Kスーパーハイビジョンカメラを開発しました。

■動きの滑らかな8Kスーパーハイビジョン映像フレーム周波数が120Hz、すなわち1秒あたりの画像枚数が現行の2倍の120枚あります。これにより、スポーツなどの動きの速い被写体を、より鮮明に撮影する事ができます。

■小型・軽量なカメラヘッドカメラヘッドの大きさ、幅15.1cm、高さ12.5cm、奥行き13.5cm、質量2kgと小型軽量化が実現したので、クレーンやリモコン雲台など様々な設置方法を用いて、従来とは異なる視点からの映像を撮影する事ができます。

■光伝送ユニットによる機能追加専用の光伝送ユニットと接続する事で、ハイビジョンと同じ光複合カメラケーブルでの運用が可能です※。更に、レンズコントロール・インカム・リターン入力、タリー入力などの機能追加が可能となりました。

本展示の概要

特 徴

今後の予定

■CMOSイメージセンサーの研究は静岡大学と共同で進めています。

※ 現時点では60Hzで使用時のみ対応

幅   :15.1 cm高  さ :12.5 cm奥  行 :13.5 cm質  量 :2 kg※レンズを除いた数値

8K 120Hz 映像映像信号

CCU ( 信号処理装置 ) 120Hz 表示装置 カメラヘッド

操作パネル

8K 120Hz 映像を処理

制御信号

展示概要

2 多様な8Kスーパーハイビジョンの映像制作をめざして

超小型120Hz 8Kスーパーハイビジョンカメラ

HEVC方式による8K SHVコーデックの開発及びMMT※4への対応を進め、12GHz帯衛星放送による8K SHV衛星放送の実用化を進めていきます。

8Kスーパーハイビジョン

2016年の8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)試験放送の実現を目指して、映像を効率的に圧縮する映像符号化技術および、大容量の衛星伝送技術の研究を進めています。ここでは、これら二つの技術を利用した衛星放送システムを展示しています。

■2016年の試験放送を想定したシステム2016年の試験放送では、8K SHV映像を最新の映像符号化方式MPEG-H HEVC/H.265※1で高画質・高効率に圧縮し、高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式を用いて伝送する予定です。

■大容量の伝送を可能とする衛星放送伝送方式情報の伝送速度を高速化し、16APSK(7/9)※2を利用することで、衛星中継器1チャンネルで約100Mbpsの信号伝送が可能となりました。※3

■8K SHV HEVCエンコーダーを改良最新の映像符号化方式HEVCによる8Kスーパーハイビジョンリアルタイムエンコーダーを展示しています。レート制御の工夫により画質改善を行うとともに、多重化機能も追加しました。

8K SHVの試験放送のイメージ

特 徴

今後の予定

■ この研究の一部は、総務省の電波資源拡大のための研究開発課題「周波数有効利用に資する次世代放送基盤技術の研究開発」を受託して進めています。

※ 1 MPEG-H HEVC(High Effi ciency Video Coding)/H.265:ISO/IECとITUが共同で標準化作業を行い、2013年に国際規格となった映像符号化方式※ 2 16APSK(7/9):伝送パラメータの一つ。搬送波に16通りの振幅・位相差を与えて同時に4ビットの情報を送信する変調方式を用い、誤り訂正の符号化率

として7/9を用いる(APSK : Amplitude and Phase Shift Keying)※ 3 無線通信規則の出力上限値(60dBW)とした場合、最悪月サービス時間率99.7%以上を確保※ 4 MMT(MPEG Media Transport):多様な伝送路でのメディア伝送に対応する国際標準の多重化方式

展示概要

受信装置

復調器

8K SHV 1番組を衛星中継器1チャンネルで伝送

変調器

デコーダーエンコーダー

占有帯域幅34.5 MHz

16 APSK等

「高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式」準拠

HEVC/H.265準拠

17 GHz帯 12 GHz帯

12 GHz帯放送衛星

開発中

送信装置

3 2016年の8Kスーパーハイビジョン試験放送を目指して

8Kスーパーハイビジョン衛星放送システム

フルスペック8K SHV制作システムの実用化に向けた研究開発を進めます。

8Kスーパーハイビジョン

フルスペック8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)仕様※1(フル解像度、フレーム周波数120Hz、階調12ビット、広色域表色系※2)に基づいた映像機器を開発しました。

■フレーム周波数120Hzに対応した8K SHV機材カメラ、映像伝送光インターフェース、表示装置の全ての機材はフレーム周波数120Hzで動作しています。

■フルスペック8K SHVカメラフレーム周波数120Hzに対応したフルスペック8K SHV用イメージセンサーと、8K SHVの広色域表色系に対応した色分解プリズムを搭載しています。

■大容量の映像信号をケーブル1本で伝送する光インターフェースフルスペック8K SHV映像信号(約144Gbit/s)を、光マルチリンクケーブル1本で伝送できる機器間伝送インターフェース※3を開発しました。

フルスペック8K SHV展示の構成

特 徴

今後の予定

■フルスペック8K SHV用イメージセンサーの研究は、静岡大学と共同で進めています。

※ 1 8K SHV映像フォーマットは、国際規格(ITU-R Rec. BT.2020、SMPTE ST2036-1)、および国内規格(ARIB STD-B56)で標準化されています。このうち、画素数7680×4320(8K)、フレーム周波数120Hz、階調12ビット、広色域表色系のものがフルスペック8K SHVです。

※ 2 8K SHVでは、従来のテレビジョンでは表現できなかった、より鮮やかな色も表現できる広色域表色系(色を定量的に表現する体系)を採用しています。※ 3 この機器間伝送インターフェースは2014年3月にARIB STD-B58として規格化されました。

フルスペック8K SHVカメラシステム フル解像度・120Hz表示装置

有効画素数 7680×4320

フレーム周波数 120Hz(順次走査)

階調 12 ビット

表色系 広色域

フルスペック8K SHV

約144 Gbit/sの映像信号を1本の光ケーブルで伝送

光伝送インターフェース

展示概要

4 8K/120Hz/12ビット/広色域の映像制作に向けて

フルスペック8Kスーパーハイビジョン映像機器

(一社)日本CATV技術協会(JCTEA)に伝送規格の提案をしています。8K SHV試験放送開始までに、標準化を進めていきます。

8Kスーパーハイビジョン

8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)放送をケーブルテレビで家庭に届けるための研究を進めています。ハイビジョンの16倍の画素数を持つ8K SHV信号を、複数のチャンネルで配信する技術を展示しています。

■既存のケーブルテレビ施設で8K SHVの伝送を可能に現行のケーブルテレビの複数のチャンネル(64 QAM※1あるいは256 QAM)に8K SHV信号を分割して伝送することで、既存の伝送路を変更することなく、8K SHVを家庭に配信できます。展示では、実際に運用しているケーブルテレビ局のヘッドエンドから8K SHV信号を送信し、伝送路を経由して展示会場で受信し、8K SHVを再生しています。

■放送・通信連携サービスに柔軟に対応8K SHV放送や蓄積系サービスなどの多様なサービス展開を実現し、かつ現行放送との親和性を確保するために、現在のデジタル放送で使われているMPEG-2 TS※2信号に加えて、通信で広く使われているIPパケット形式の信号をケーブルテレビでも配信できる技術を開発しました。

複数のチャンネルによる8K SHVのケーブルテレビ伝送

特 徴

今後の予定

※ 1 QAM(Quadrature Amplitude Modulation):搬送波の振幅と位相に情報をのせるデジタル変調方式※ 2 MPEG-2 TS(Transport Stream):デジタル放送で使用されている伝送信号形式

ケーブルテレビ局 家 庭

ケーブルテレビ伝送路

既存の放送

周波数

64 QAM 256 QAM

8K SHV

既存の放送

8K SHV

衛星放送を受信(8K SHV)

分割・多重

合 成

256 QAM

256 QAM

64 QAM

変調 256 QAM

256 QAM

64 QAM

復調

展示概要

5 8Kスーパーハイビジョン時代の多様なサービスに向けて

8Kスーパーハイビジョンのケーブルテレビ伝送方式

実用的な8K SHV小型記録装置の実現に向けて、画像圧縮効率の改善と利便性の向上を進めます。また、固体メモリーパックの高速化・大容量化を進めます。

8Kスーパーハイビジョン

8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)の機動性の高い番組制作をめざして、小型記録装置の研究を進めています。ここでは、着脱可能な高速大容量固体メモリーパックを用いた8K SHV小型記録装置を展示しています。

■高画質を維持する圧縮記録方式8K SHV単板カメラ信号のうち、画質に影響の大きいグリーン信号を補完処理して映像を圧縮することで効率の良い圧縮を実現し、より高画質で記録することが可能となりました。

■高速大容量な固体メモリーパック記録制御部とメモリー部を分離することで、メモリーパック単体での着脱を可能にした、8K SHV用固体メモリーパックを開発しました。書込み速度の変動を小さくする記録制御と、大きな記録ブロックサイズで順次記録する効率的な書込みにより高速記録を実現しました。最大12Gbpsでの記録が可能で、約45分の8K SHVコンテンツを記録できます。

固体メモリーパックを用いた小型記録装置

特 徴

今後の予定

■小型記録装置の開発は、東京エレクトロンデバイス(株)と共同で進めています。

展示概要

6 8Kスーパーハイビジョンの機動性の高い番組制作をめざして

メモリー着脱型8Kスーパーハイビジョン小型記録装置

音の定位感の更なる向上、良好な定位感と音質が保たれる聴取エリアの拡大、最適なスピーカー数の検討など、実用化に向けた研究開発を進めます。

8Kスーパーハイビジョン

後方や側方にスピーカーを配置することなくディスプレー周囲に内蔵したスピーカーのみで、22.2マルチチャンネル音響を再現する技術を開発しています。

■3次元音響を実現する音響信号処理音源から両耳に届く音は、音源の方向や距離によって左右の耳に届く時間や音量、音色が異なり、この差から人は音源の方向を判断しています。ディスプレーの周囲に内蔵したスピーカーだけであらゆる方向からの音を表現するようなバイノーラル信号処理を行うことで、3次元音響を実現しました。

■複数スピーカーにより定位感※向上複数のスピーカーを分散配置し、音の伝搬路の独立性を高めることで、聴取者のわずかな位置のズレにも影響されずに音の定位感を向上しました。

家庭での8Kスーパーハイビジョン視聴イメージ

特 徴

今後の予定

■この研究の一部は、フォスター電機(株)と共同で進めました。

※ 定位感:方向と距離により定まる位置に音を知覚すること、きちんと音の位置が定まって知覚される感覚

展示概要

スピーカー

7 家庭で楽しめる3次元音響

ディスプレー 一体型スピーカーによる8Kスーパーハイビジョン音響再生

ディスプレーの省電力・長寿命化に向け有機ELのさらなる性能向上を図るとともに、フレキシブルディスプレーの新しい制作技術やTFTなどの開発を進めていきます。

次世代の放送デバイス

超薄型・軽量で持ち運びに便利なフレキシブルディスプレーの研究を進めています。長寿命化が期待できる逆構造有機EL※1素子など、8Kスーパーハイビジョン用の大型ディスプレー実現に向けた要素技術を展示しています。

■長寿命化が期待できる逆構造有機EL素子有機EL素子の長寿命化に向けて、酸素や水分の影響を受けにくい新規電子注入材料を開発し、この材料を積層して成膜できるよう、有機EL素子の構造を陽極と陰極の位置を入れ替えた逆構造としました。

■大画面化に向けた印刷形成技術将来の大画面シート型ディスプレーの実現に向けた要素技術として、配線やTFT※2を大画面化しやすい印刷法で形成したディスプレーについても紹介します。

フレキシブル有機ELディスプレーの断面構造図

特 徴

今後の予定

■逆構造有機EL素子の研究は、(株)日本触媒と共同で進めています。

※ 1 EL(Electroluminescence):電界発光※ 2 TFT(Thin Film Transistor):薄膜トランジスター

プラスチック基板

封止通常の有機EL素子

従来の電子注入材料(酸素・水分に弱い)

逆構造有機EL素子従来の構造

発光

ディスプレー前面

電流 電流陽極

新規電子注入材料(酸素・水分に強い)

陰極

陰極

陽極

展示概要

8 8Kスーパーハイビジョンのための大型で軽量なディスプレーの実現に向けて

フレキシブル有機ELディスプレー

今回開発した技術をベースとして、より高画質な立体像を生成するための撮影、表示技術の研究開発を進めます。

立体テレビ

自然でめがねなしの立体テレビの実現を目指し、インテグラル立体テレビ※の研究を進めています。多様な被写体の撮影を可能とするとともに、立体像の更なる高品質化を図った撮影と表示の技術を展示しています。

■赤外線カラーカメラアレーからの立体像生成複数のカメラ映像を用いる多視点画像からインテグラル立体像を生成する手法を研究しています。この手法には、被写体が無地のような特徴点が見つけにくい場合には立体像の品質が低下するという課題がありました。今回、通常の照明と赤外線ドットパターンを被写体に照射し、これを赤外線カメラとカラーカメラで構成されるカメラアレーで撮影することで、広範囲な撮影を可能にするとともに、無地の被写体などの多様なインテグラル立体像が生成できます。

■複数のカメラを用いたインテグラル立体撮影装置高品質な立体像を生成するために、レンズアレーと多画素のカメラから構成されるインテグラル立体撮影装置を開発しています。ここでは、7台のカメラで多画素化を図り、1台で撮影する場合と比較して、見える範囲を水平、垂直ともに約2.5倍に広げた立体像を動画で展示しています。

■複数のディスプレーを用いたインテグラル立体表示装置高品質なインテグラル立体像を表示するためには多くの画素を必要としますが、1台のディスプレーでは限界があります。そこで、複数のディスプレーを用いてそれらの映像を結合することで多画素化し、より高品質な立体像を再生する表示装置を開発しました。

特 徴

今後の予定

※ インテグラル立体テレビ:微小レンズ群からなるレンズアレーを撮影・表示の双方に用いて立体像を再現するテレビ

展示概要

複数のカメラを用いた撮影装置カメラ

被写体

レンズアレー

赤外線カラーカメラアレーからの立体像生成

赤外線画像ドットパターン(特徴点)

カラー画像 カラーと赤外線の多視点画像からインテグラル立体像を生成

・広い範囲で、かつ無地の 被写体を撮影可能赤外線カメラ

赤外線ドットプロジェクター

カラーカメラ

複数のディスプレーを用いた表示装置

・立体像の見える 範囲が拡大

立体像

4台のディスプレー

レンズアレー

拡大光学系

4つの映像を結合させた像

インテグラル立体テレビの要素技術

9 自然で見やすい立体像を目指して

インテグラル立体テレビ

超高精細な空間光変調器の実現に向けて、微細化作製プロセスの開発とデバイス性能の向上を図ります。

立体テレビ

ホログラフィーによる将来の立体テレビへの応用を目指して、超多画素・超高密度の空間光変調器※1の研究を進めています。今回、超多画素化に必要なアクティブ・マトリクス駆動方式※2

の新しいスピン注入型空間光変調器を開発しました。

■アクティブ・マトリクス駆動方式による空間光変調器ホログラフィーによる自然な立体像表示には超高精細で高速に応答する空間光変調器が必要となります。今回、画素ごとにトランジスターを内蔵したアクティブ・マトリクス駆動方式とすることで、超多画素でも高速なオン・オフ応答が可能となるスピン注入型空間光変調器をはじめて開発しました。

■トンネル磁気抵抗効果を用いた光変調素子従来の空間光変調器では、大電流が必要でした。この電流を低減する技術として、トンネル磁気抵抗効果※3を用いた光変調素子を画素とするデバイスを開発しました。各画素に流す電流方向によって光変調素子の磁化方向を制御する、スピン注入磁化反転で動作します。

空間光変調器によるホログラフィー立体像表示の基本原理

特 徴

今後の予定

■ この研究の一部は、(独)情報通信研究機構(NICT)からの委託研究「革新的な三次元映像技術による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」を受託し、長岡技術科学大学と共同で進めています。

※ 1 空間光変調器:光の状態(強度、位相など)を制御できる微小な光学素子(画素に相当)を2次元アレー配置したデバイス※ 2 アクティブ・マトリクス駆動方式:画素毎にスイッチング素子となるトランジスターを配置して画素の選択を行い、選択した画素のみを動作させる方式※ 3 トンネル磁気抵抗効果:2つの磁性膜の間に絶縁膜を挟んだ構造において、絶縁膜に流すトンネル電流の方向によって電気抵抗値が変化する現象

空間光変調器の機能

立体像

入射光

干渉縞

空間光変調器

・ 干渉縞を表示することでホログラフィー立体像を再生

・ 干渉縞を電気的に高速に書き換えることで動画を再生

展示概要

10 ホログラフィーによる将来の立体テレビを目指して

立体像表示のためのスピン注入型空間光変調器

これらの要素技術の規格化・実用化を進めるとともに、ハイブリッドキャストサービスの充実を図っていきます。

放送通信連携

ハイブリッドキャストサービスをさらに魅力的にする技術の研究開発を進めています。多彩なアプリを利用可能にし、便利で楽しくテレビを利用するための新しい4つの要素技術を展示しています。

■VOD/録画再生への対応放送局が提供する番組表アプリからVODの再生ができるようになります。また、録画番組やVODでも番組に連動したアプリを利用できるようになります。

■放送外マネージドアプリ放送局が管理し、チャンネル毎に提供するアプリだけでなく、様々な事業者が制作し、チャンネルをまたいでサービスを継続するアプリの提供が可能になります。

■プッシュ型配信技術ハイブリッドキャスト受信機や携帯端末に、通信ネットワークからのさまざまな情報をプッシュ型で配信することで、リアルタイムで多様な情報の提示が可能になります。

■番組関連データの配信管理技術放送番組に関連する様々な情報(メタデータ等)を外部のサービス事業者へ提供可能にすることで、番組連動アプリを放送事業者以外でも制作できるようになります。

ハイブリッドキャスト高度化の要素技術

特 徴

今後の予定

放送局

サービス事業者

放送外マネージドアプリ

VOD/録画再生への対応

アプリマーケット

ハイブリッドキャスト受信機

スマートフォン

放送

通信

VOD

放送マネージドアプリ(放送局管理)

プッシュ型配信技術

タブレット

メタデータ

番組関連データの配信管理技術

アプリ

アプリ

プッシュ通知

プッシュ通知

プッシュ通知

プッシュ通知

展示概要

11 さらなるサービスの充実に向けて

ハイブリッドキャストの高度化に向けた要素技術

視聴者の興味内容の推定精度を向上させ、好みに合わせたテレビ視聴を可能とする技術と、大量の番組を使いやすく整理し、関連付けて管理する技術の高度化を進めます。

人にやさしい放送技術

視聴者の興味に沿った番組を簡単に探し出せるように、テレビの視聴状況から視聴者の興味内容を推定する技術と、興味内容を出発点とした視聴者の番組探索を支援するナビゲーション技術を展示しています。

■興味内容の推定技術視聴者がどのようにテレビを見ているのか(視聴状況)を自動的に取得・分析し、番組内容との関係を解析することにより、視聴者が番組内で興味を持った内容を推定して、興味キーワードとしてタブレット端末に提示します。

■番組探索のナビゲーション視聴者の興味内容を表すキーワードを出発点として、興味のある番組を探索するナビゲーションシステムを開発しました。インターネット上にある大量のテキストを解析して得られた言葉の意味的なつながりを使って番組をひも付けることで、同じキーワードを持つ番組がなくても関連の深い番組へのナビゲーションを実現します。

興味キーワードを出発点とする番組ナビゲーションの仕組み

特 徴

今後の予定

■視聴状況解析技術の一部は、東京大学と共同で研究を進めています。

番組ナビゲーション

視聴状況と番組内容の関係解析

興味キーワードの抽出

自動作成した番組間の関連付けマップ 蓄積された大量の番組

興味内容を表すキーワードを出発点に興味ある番組に

選択キーワード周辺の情報

興味大興味小

……

春野菜ゴーヤー 胸やけ ……

京都 沖縄東京

きょうの料理きょうの料理きょうの料理

ためしてガッテン

すいえんさーきょうの料理

↑材料 ↑原因結果 ↑名物

天ぷら

キーワード選択

興味リストごま油天ぷらかき揚げえび

江戸前料理店

展示概要

12 好みの番組を見つけるために

テレビ視聴時の興味内容推定を利用した番組ナビゲーション

より多くの番組に精度の高い字幕を付与できるように、音声認識の性能改善と、より人手を省力化できるシステムの開発に取り組んでいきます。

人にやさしい放送技術

聴覚に障害のある方をはじめ、多くの方々に番組を楽しんでいただける字幕放送の拡充を目指して音声認識の研究開発を進めています。地域放送局でも字幕制作システムを運用できるように、音声認識技術を用いて効率的な字幕を生成できる新たな技術を展示しています。

■ローカル番組への字幕付与技術現在運用されている音声認識字幕制作システムでは、音声認識の誤りをオペレーターが修正していました。対応する読み原稿を推定して認識誤りを自動修正することにより、オペレーターの作業を不要とし、地域放送局でも字幕制作システムを容易に導入できるようになります。

■情報番組の話題推定技術多様な話題を扱う情報番組を精度よく認識するためには、音声認識システムが対象とする話題でよく使われる単語を事前に学習する必要があります。番組の概要文から話題を推定し、大規模なデータベースから同じ話題の文を自動収集することで、人手の作業を省力化できます。

音声認識結果を高精度にする自動化技術

特 徴

今後の予定

■この研究は、技術局との共同展示です。

※ 複数の出演者がいたり背景雑音の大きい情報番組やスポーツ中継などでは、番組の出演者とは別の話者が言いなおした音声を認識

音声認識

番組音声※

数%誤りが残っている認識結果

話題に応じた言葉のモデル(辞書)

字幕放送

今日もよく晴れています。

提案

人手で関連・想定される話題を収集

大量のデータベースから自動収集

従来

提案読み原稿データベース

オペレーターが誤りを修正

自動修正

従来

気象庁に

よりますと

••••••

平年の••

字幕文字列

認識結果

誤り単語

関東地方の雨の量は平年の49%で…

関東地方の雨の量は天然の49%で…

展示概要

13 字幕放送の拡充に向けて

音声認識字幕制作システムの高精度化

より多くの言語表現を顔表情に変換できる手話翻訳技術や、より豊かな顔表情を表現できる手話CGの生成技術の開発を進めていきます。

人にやさしい放送技術

日本語を手話に翻訳して手話CG(コンピューター・グラフィックス)で表現する技術の研究を行っています。手話では顔の表情が重要な言語的役割を担うために、翻訳の際に不可欠な顔表情を取り入れた手話CG翻訳システムを展示しています。

■顔表情で表出する単語の自動推定による手話翻訳技術手話では顔の表情で表出される単語があります。そのような単語を推定し、手指動作と顔表情を同時に表出する手話CG翻訳システムを開発しました。

■さまざまな顔表情を表現するCG生成技術TVML※を拡張することで顔の表情で表される単語をCGで生成できるようになりました。

■これまでに開発した手話CG辞書をNHKオンラインで公開より多くの方にとってわかりやすい手話放送を作るため、「手話CG」へのご意見を集めています。(http://www.nhk.or.jp/signlanguage/)

顔表情を部分的に取り入れた手話CG翻訳

特 徴

今後の予定

■この研究の一部は、工学院大学と共同で進めています。

※ TVML(TV program Making Language):NHK放送技術研究所が開発したCGベースの番組制作記述言語 http://www.nhk.or.jp/strl/tvml

展示概要

「強い」 「雷雨」

顔の表情で 手指動作で

日本語

C G

高波や強い雷雨に…

「強い+雷雨」

顔表情の合成

顔表情生成のためのTVMLの拡張

顔表情で表現する単語の推定

14 手話サービスの拡充を目指して

顔表情を部分的に取り入れた手話CG翻訳システム

情報のバリアフリーを目指し、触覚でわかりやすい提示方法やデバイスの開発を進めていきます。

人にやさしい放送技術

視覚に障害のある方に、美術品など立体の形状、硬さ、図やグラフなどを触覚や力覚で伝える技術の研究を行っています。形状と硬さをセンシングし実物に近い感覚で触れることのできる力覚提示システムと、地図情報などを迅速に伝えられる触覚提示システムを展示しています。

■立体の形状や硬さを再現する力覚提示システム超音波とレーザーを用い非接触で物体の形状や硬さの高速な計測を可能とし、計測データをもとに形状や硬さを仮想的に再現する力覚提示システムを開発しました。昨年までの成果である、1本の指に複数の点の刺激で力を与えることにより、1点では難しかった対象物の角やりょう線の特徴を感じられるようになったことに加え、硬さの違いもわかりやすくなりました。

■図やグラフの構成を伝える触覚・力覚誘導複合提示方式触覚ディスプレーの任意の箇所を異なる振動で刺激することで、手を置くだけで地図や天気図の中の重要な箇所を認知できる方式と、手や指で触って情報を得る前に、触覚ディスプレー上で指を機械的に誘導することにより、全体の構図やグラフの軌跡などを伝える方式を開発しました。未知のコンテンツでも見落としがなく、迅速で確実に伝えられるようになります。

立体や図を伝える触覚提示のコンセプト

特 徴

今後の予定

■この研究の一部は、東京大学と共同で進めています。

言葉では伝えにくい情報を触覚で伝える

すべての人により実物に近い感覚を 視覚に障害のある方により速く確実に

重要な箇所を振動の差異で伝達

コンテンツ触察前に指を誘導

非接触で形状と硬さを計測

1本の指に

複数の点で刺激

立体形状・硬さを放送局から伝送

低形状硬さセンシング装置

多点刺激型力覚提示装置

触覚ディスプレー 力覚誘導提示装置

展示概要

15 触れられるテレビを目指して

立体や図を伝える触覚提示技術

現行の地上デジタル放送と同様に、1つのチャンネルで、固定受信向けに8K SHV放送と、移動体向けにハイビジョン放送を同時に受信できる伝送技術の研究を進めます。

8Kスーパーハイビジョン

地上放送における8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)伝送など次世代地上放送の大容量伝送技術の研究を行っています。熊本県人吉市周辺で行った8K SHVの長距離伝送実験を中心に、複数のハイビジョン番組の移動受信が可能な技術を展示しています。

■固定受信の伝送技術偏波MIMO※1技術、超多値OFDM※2技術等を適用することにより、UHF帯の1チャンネルによる8K SHV伝送を可能にしました。熊本県人吉市に設置した実験試験局から電波を発射し、27km離れた地点で8K SHVが正常に受信できることを確認しました。

■移動受信の伝送技術偏波MIMO技術と、強力な誤り訂正符号を適用することで、受信環境が時々刻々と変化する移動体においても、1つのTVチャンネルで送信されたハイビジョン放送3番組(H.264※3)を、安定して受信できることを確認しました。

特 徴

今後の予定

■この研究の一部は、国プロ「周波数有効利用に資する次世代放送基盤技術の研究開発」を受託して進めています。

※ 1 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output):マルチ入力-マルチ出力※ 2 OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing):直交周波数分割多重※ 3 H.264:動画データの圧縮符合化方式の1つ

展示概要

固定受信向けに8K SHVなどの大容量サービス

移動体受信

携帯受信 移動体や携帯端末でもハイビジョン映像を安定に受信

次世代地上放送のサービスイメージ

16 地上波のさらなる大容量伝送を目指して

次世代地上放送の伝送技術

HEVCリアルタイムエンコーダー・デコーダーへのMMT処理部の追加、MMT対応多重化装置の整備など、8Kスーパーハイビジョン放送の高機能化に向け開発を進めていきます。

8Kスーパーハイビジョン

放送と通信のどちらを用いてもコンテンツを伝送できる、新たなメディアトランスポート方式であるMPEG-H MMT※1が世界で標準化されました。MMT対応の映像・音声信号の伝送装置を用いて、8Kスーパーハイビジョン放送に向けた活用例を紹介しています。

■MMTによる放送と通信の伝送の共通化放送と通信の伝送方式を共通化することにより、異なる伝送路で送られるさまざまなコンテンツをディスプレー上に同期して表示することが容易に行えます。

■トランスポートレイヤー※2でのコンテンツ表示位置の指定コンテンツについて表示するデバイスや、その画面内の位置までトランスポートレイヤーで指定できるため、ハイブリッドキャストのタブレット連携サービスなどが容易になり、かつ制御の応答が速くなります。

■伝送路の特徴に応じた伝送が可能番組を構成する映像・音声信号などのコンポーネント(要素)を伝送路の特徴に応じて、まとめて多重して伝送したり、別々に伝送したりすることが可能で、受信側では必要に応じてそれらを組み合わせて表示することができます。

放送・通信の連携によるディスプレーでの情報表示

特 徴

今後の予定

※ 1 MMT(MPEG Media Transport):2014年にMPEGで標準化された、多様な伝送路でのメディア伝送に対応するメディアトランスポート方式※ 2 トランスポートレイヤー:映像・音声信号の同期や多重の機能を提供するレイヤー

放送局

高品質の映像・音声等を

放送で一斉配信

放送・通信の区別なく、コンテンツを組み合わせ同期して表示

個別に必要な映像・音声等を通信で配信

タブレット端末などとの映像・音声の同期

同じ画面内での複数映像・音声の同期

展示概要

17 MMTによる放送・通信の連携に向けて

8Kスーパーハイビジョン放送の高機能化に向けたMMT伝送技術

8Kスーパーハイビジョン放送の限定受信方式として標準化を行い、次世代CAS技術として実用化を進めて行きます。

8Kスーパーハイビジョン

コンテンツの権利保護とアクセス制御を実現する次世代のCAS※1技術を研究しています。今回、高度な秘匿性を有すると共に安全性の維持・改善のためにソフトウェア更新が可能な、次世代CAS技術を開発しました。

■より安全で高度な秘匿性を有するスクランブル方式8Kスーパーハイビジョン放送の多重化方式として有力なMMT※2に対応したスクランブル方式を開発しました。鍵長128ビットのブロック暗号(AES※3など)を採用し、スクランブル方式にぜい弱性が発見された場合には暗号アルゴリズムを切り替え可能な仕組み等を備えています。

■安全性の維持・改善CASの安全性の維持・改善を目的として、CAS機能を放送や通信を使い、受信機に安全にダウンロードし更新できるダウンローダブルCASを開発しています。ダウンローダブルCAS上で動作するコンテンツ保護方式(RMP※4)や限定受信方式(CAS)により、8Kスーパーハイビジョン番組の権利保護を実現します。

次世代CASの全体概要

特 徴

今後の予定

※ 1 CAS(Conditional Access System):限定受信方式※ 2 MMT(MPEG Media Transport):メディアトランスポート方式※ 3 AES(Advanced Encryption Standard):米国政府標準暗号※ 4 RMP(Rights Management and Protection):コンテンツ保護

放送局

ダウンローダブルCAS

テレビ受信機

CAS機能のダウンロード

鍵配送

CASプログラム(コンテンツ保護用)

CASプログラム(限定受信用)

高度なスクランブル(多重化方式MMT等に対応)

CASプログラム

コンテンツ放送

通信

展示概要

18 放送のコンテンツ保護とアクセス制御

次世代CAS技術

実際のスポーツ中継や番組制作で使用し、8Kスーパーハイビジョンの普及を推進します。

市販のカメラと組み合わせて8K、4K、2K映像をリアルタイムに同時出力するベースバンドプロセッサーユニットと、8Kスーパーハイビジョン単板式カメラ用レンズを展示しています。

■市販のカメラを活用して高画質な8Kスーパーハイビジョン映像信号再生を実現 〔ベースバンドプロセッサーユニット〕8Kイメージセンサーを搭載したソニー製F65のRAWデータ※1を高画質8Kビデオ信号にリアルタイム処理する機能を搭載しています。4Kと2Kへのダウンコンバート処理を並行して行うため、各映像信号を同時に出力することが可能です。

■マルチフォーマット映像制作が可能〔ベースバンドプロセッサーユニット〕SRメモリーカードスロットを搭載し、記録されたRAWデータからの再生が可能です。また、4K入力信号から8K信号へのアップコンバート、及び2K信号へダウンコンバートする機能も有しています。

■8Kスーパーハイビジョン単板式カメラ用レンズ8Kスーパーハイビジョン単板式カメラ用レンズで、PLマウントで市販のカメラにも適用可能です。

ベースバンドプロセッサーユニット

■ ベースバンドプロセッサーユニットは、NexTV-F((一社)次世代放送推進フォーラム)の委託研究「8Kコンテンツ制作環境の開発・構築」を受託して開発しました。 ■ベースバンドプロセッサーユニットは、ソニー(株)の協力で開発しました。 ■単板式カメラ用レンズは、キヤノンマーケティングジャパン(株)の協力で開発しました。

新開発ベースバンドプロセッサーユニット市販カメラヘッド光複合ケーブル

8K DG信号※2

4K信号

8K DG信号※2

4K信号

2K信号

RAWデータ※1

信号処理

信号処理

4K信号SRメモリーカード

3G-SDI※3×44K信号

ダウンコンバータ

FIRフィルタ※4

8Kスーパーハイビジョン

特 徴

今後の予定

※ 1 RAWデータ:撮像素子で撮影された未処理のデータ※ 2 DG(Dual Green):RBの帯域に対して視感度の高いGreenの帯域を2倍にすることにより8K解像度を実現する方式※ 3 3G-SDI:ビデオ信号の伝送規格※ 4 FIRフィルタ:Finite Impulse Responseフィルタ、デジタルフィルタの一種

技術局の展示です。

展示概要

19 8Kスーパーハイビジョン単板式カメラ用レンズとベースバンドプロセッサーユニットの開発

8Kスーパーハイビジョンの普及を目指した新機材

開発したイメージセンサーを用いて、小型フル解像度8Kスーパーハイビジョンカメラの開発を進めます。

8Kスーパーハイビジョン

フル解像度8Kスーパーハイビジョン※1カメラの小型化を目指して研究を進めています。今回、1枚の撮像素子でフル解像度の8Kスーパーハイビジョン映像を撮影することができる1億3300万画素イメージセンサーを開発しました。

■8Kスーパーハイビジョンカメラのフル解像度化と小型化を同時に実現これまでフル解像度の8Kスーパーハイビジョン映像を撮影するためには、RGBに対応した3枚のイメージセンサーと色分解プリズムが必要となり、カメラの小型化が困難でした。今回、1枚でフル解像度(フレーム周波数は60Hz)の映像を撮影できるイメージセンサーを開発し、カメラのフル解像度化と小型化を同時に実現することが可能になりました。

■35ミリフルサイズ※2に対応した大型の光学サイズイメージセンサーの画素数を増加させると、1画素あたりの面積が小さくなり、感度が低下します。そこで、従来のものより大きな光学サイズを採用することで1画素あたりの面積を確保し、感度の低下を抑えました。また、撮像面の対角が35ミリフルサイズとほぼ同じとなるように設計し、種類が豊富な市販のスチールカメラ用レンズを利用できるようにしています。

■動画用イメージセンサーとしては世界最高の画素数今回開発したイメージセンサーは、現在報告されている動画用イメージセンサーとしては、世界最高の画素数となります。

1億3300万画素イメージセンサー

特 徴

今後の予定

※ 1 フル解像度8Kスーパーハイビジョン:RGBすべての信号が3300万画素(縦7680×横4320画素)を有する8Kスーパーハイビジョン映像信号形式※ 2 35ミリフルサイズ:35mmフィルム(24mm×36mm)に相当するイメージセンサーの光学サイズ(対角43.27mm)

イメージセンサーの4画素で映像信号の1画素を構成

15360画素(7680画素×2)

8640画素(4320画素×2)

43.2mm

撮像面

G R G R

G BB G

G R G R

G BB G

展示概要

20 小型フル解像度8Kスーパーハイビジョンカメラの実現を目指して

1億3300万画素イメージセンサー

8Kスーパーハイビジョン対応の装置を開発していきます。また、階調など時空間解像度以外の削減・復元技術と、画質をさらに向上させる技術を導入し、超解像復元型映像符号化のさらなる高圧縮化を図ります。

8Kスーパーハイビジョン

8Kスーパーハイビジョンからハイビジョンまで、異なる時空間解像度※1の映像が混在する場合にも対応できる超高圧縮映像伝送方式の研究を進めています。開発した時空間解像度変換装置を用いたリアルタイム映像符号化システムを展示しています。

■超高圧縮な映像伝送システムの実現4K 120P映像を含むさまざまな解像度の映像を一旦、2K 60P映像に解像度を低くしてから圧縮符号化することにより、ブロック状のひずみを抑えます。復号後の時空間ハイブリッド復元技術により受信側の表示装置の解像度に合わせて映像を高画質な状態に復元します。

■時空間ハイブリッド復元技術による解像度変換映像の高解像度化と高フレームレート化を同時に実現するために、超解像技術※2とフレーム内挿技術※3を組み合わせた時空間ハイブリッド復元技術を導入しています。

■補助情報による復元処理の制御送信側での最適化で得られる補助情報を用いることで、受信側での復元処理が効果的に動作します。

リアルタイム時空間解像度変換装置を用いた超解像復元型映像符号化システム

特 徴

今後の予定

※ 1 時空間解像度:フレームレート(時間解像度)と画素数(空間解像度)の組み合わせ※ 2 超解像技術:エッジや細かい模様を補って高解像度化する技術※ 3 フレーム内挿技術:前後のフレームからその中間のフレームの画像を合成する技術

映像ストリーム

映像ストリームの1~10%程度

補助ストリーム

2K 60P

2K 120P2K 120P

4K 120P4K 120P

映像復号

補助情報符号化

補助情報復号

最適選択情報同期情報

送信 受信

局部復号映像

伝送

映像・補助情報の同期確立選択情報に基づく最適復元

低解像映像

補助情報

時空間解像度変換装置

(復元処理)

時空間解像度変換装置

(削減・最適化処理)

4K 60P4K 60P

2K 120P2K 120P

4K 120P4K 120P

4K 60P4K 60P

映像符号化

展示概要

21 時空間スケーラブルな超高圧縮映像伝送を目指して

リアルタイム時空間解像度変換装置

映像内容に基づく高度な検索の実現を図るとともに、関連部局と連携して実用化を目指していきます。

高度番組制作技術

NHKに保管されている映像データの有効活用に向けて、欲しいシーンが簡単に見つけられる映像検索技術の研究を進めています。人手であらかじめ付与したキーワードだけでなく、以前は使用されていなかった新たなキーワードでも映像検索できる柔軟なシステムを開発し、展示しています。

■“映像に何が映っているか”を自動で解析番組表などの情報を利用した従来のテキスト検索に加えて、映像に映る被写体を識別するオブジェクト認識技術と、画像を使って映像を検索する類似映像検索技術の2つの技術を利用した映像検索を実現しました。

■“学習”によって新たなキーワードにも対応オブジェクト認識技術により、番組制作時にあらかじめ付与したキーワードだけでなく、新たに登場した言葉やモノに対しても、外部の情報を利用して画像特徴を学習して検索できます。

■言葉では表現しにくいシーンを“イメージ”で検索類似映像検索技術により、探している映像に近い画像データを用いて、映像の色や模様、構図が似ているシーンを検索します。

オブジェクト認識と類似映像検索を利用した映像検索

特 徴

今後の予定

■この研究は、日本アイ・ビー・エム(株)と協力して進めています。

外部の情報

富士山

富士山

映像検索システムユーザー

映像管理者

類似映像検索技術ブロック単位での特徴比較

画像データ 学習データを収集

見た目の特徴を学習

バックグラウンドで順次処理

オブジェクト認識技術

未認識のオブジェクトを順に処理

検索できるキーワードがどんどん増えていくんだ!

和食

富士山

富士山

和食

海女

海女検索履歴

インターネット

テキストデータ

富士山

検索対象の映像データ

海、空 空 花畑、空 自動車

自動認識認識済み

・・ ・・ ・・ ・・ ・・

画像で検索する場合

キーワードで検索する場合

昨日までは 検索結果0件

こんな感じのシーンが欲しい

富士山

め以子

展示概要

22 膨大な映像資産を有効活用するために

新しいキーワードによる検索を可能とする映像検索システム

個人情報を活用した様々なサービスに適用できるように暗号方式の機能を拡張するとともに、大規模データベースや鍵管理サーバーの構築など、実用化に向けた研究を進めます。

高度番組制作技術

個人の情報を活用することにより放送通信連携サービスの高度化が期待できる一方で、視聴者のプライバシーを保護しなければなりません。そのために必要な利便性と安全性を両立したサービスを実現する技術を開発しています。

■クラウド利用による利便性の向上とサービスの拡張個人向けに番組やアプリを推薦するサービスでは、視聴者が視聴履歴を事業者毎に異なる暗号化を行い、送信するという負荷が発生していますが、視聴履歴を一回のみ暗号化し、クラウド上に保存し、視聴履歴の取得を許可する仕組みを導入することで、利便性の高いシステムを実現しました。膨大な視聴履歴を活用した新しいサービスの新規開拓も期待できます。

■事業者の属性を用いた個人情報の開示設定視聴履歴は暗号化され、視聴者が指定する開示条件にあった属性を持つ事業者のみ復号できるため、個人情報が拡散することなくプライバシーは保護されます。

■HTML5※1アプリケーションへの適用暗号化アルゴリズムをHTML5上で動作するJavaScript※2で実装しました。放送通信連携サービスにおいて必要となるHTML5アプリケーション上でも実用的な処理時間で視聴履歴を暗号化することができます。

視聴履歴を用いた安心・安全な個人向けサービス

特 徴

今後の予定

■この研究は、(独)産業技術総合研究所と共同で進めています。

放送局

サービス事業者A

サービス事業者B

信頼できる事業者のみ視聴履歴を渡してもいい 視聴履歴をできるだけ

多く入手したい

暗号化された視聴履歴

クラウドサーバー放送番組

お薦め情報(番組・アプリ)

暗号化

視聴者

展示概要

※ 1 HTML5:Webページの記述に用いるHTML言語の最新版※ 2 JavaScript:Webブラウザでの利用に適した簡易プログラミング言語

23 利便性と安全性を両立したサービスの実現に向けて

放送通信連携サービスのためのプライバシー保護技術

プールや海など、さまざまな水中環境で伝送実験を行い、映像伝送の高安定化や、伝送距離の拡大など、中継番組での利用に必要な研究開発を進めます。

高度番組制作技術

水中でのワイヤレス中継の実現を目指して、可視光を用いたワイヤレスIP伝送技術の研究を進めています。水中における可視光の減衰や、浮遊物による伝送路の一時的な遮断が発生しても、映像を安定に伝送する水中ワイヤレスIP伝送技術を紹介しています。

■映像を安定に伝送するワイヤレスIP伝送技術双方向伝送が可能なIP技術を用いて、映像信号の受信状況を送信装置へ逐次送り返すことにより、映像を安定に伝送するワイヤレスIP伝送技術を新たに開発しました。

■適応的な送信レート制御技術水中伝送路が一時的に遮断して受信データが欠落した場合には、欠落部分を優先的に再送できるように、映像データおよび誤り訂正データの送信レートを制御します。

■青色発光ダイオードを使用した水中伝送技術水中では電波の減衰が大きいため、減衰が小さい可視光でワイヤレス伝送を行います。光源としては、最近広く普及している青色発光ダイオードを使用しています。

水中ワイヤレス中継のイメージ例

特 徴

今後の予定

■放送技術局と伝送装置の開発を進めています。

水中カメラ

送信装置

受信装置

映像モニター

地上

水中

青色可視光による水中ワイヤレス伝送

IP技術による映像伝送の安定化

展示概要

24 水中ワイヤレス中継への適用を目指して

可視光を用いた水中ワイヤレスIP伝送技術

野外伝送実験により伝送性能を検証するとともに、さらなる高速化に取り組んでいきます。

高度番組制作技術

中継番組や取材映像を放送局に送るためFPU※1と呼ばれる無線伝送装置が使われています。単方向の伝送装置であったFPUを双方向化することで、これまでできなかったファイル転送や中継現場への放送映像の送り返しなど、新たな機能を実現するFPUの開発を進めています。

■FPUで双方向伝送を実現送信と受信を効率良く切り替える時分割複信(TDD※2)方式により、従来と同じチャンネルを使用して双方向化を実現しました。

■伝送速度・伝送効率を向上させる変調・再送方式双方向化により、伝搬路の状況に適応した変調方式の自動選択や伝送路で発生した誤りパケットの再送が可能になります。この特長を生かし、最大256QAMまで切り替えられる多値変調方式と効率のよい再送方式を導入し、信頼性を保ちながら高速伝送を実現します。

■TCP/IP対応で中継や素材伝送がもっと便利に双方向FPU はTCP/IP方式に対応しています。そのため、映像ファイルを取材現場から放送局の素材サーバーへ直接アップロードしたり、放送局から取材現場のカメラを操作したりする機能を双方向FPUのみで実現できます。

双方向FPUで可能になるさまざまな機能の例

特 徴

今後の予定

※ 1 FPU(Field Pickup Unit):番組素材伝送用の可搬型無線伝送装置。野外の中継番組や取材映像の伝送などに広く使われている。※ 2 TDD(Time Division Duplex):時分割複信。短時間で上り/下りを切り替えることで1つの通信路で双方向通信を行う。

16:45

素材サーバー

中継先

取材映像ファイルの高速転送

誤り通知、再送

中継映像の伝送

放送映像の伝送スタジオ

16:45

展示概要

25 双方向化により高速・高信頼伝送を実現

高速なファイル転送を実現する双方向FPU

現場での試行結果を検証しながら、安全・安心を提供する報道の制作基盤を改善する研究開発を進めていきます。

高度番組制作技術

各地で取材した映像を集め、迅速にニュースを放送するための放送局映像取材網の研究を進めています。複数の利用者で回線を共有するIPネットワークの特徴を生かし、帯域の利用状況を確認しながら、映像の重要度に応じて伝送レートを制御する技術を展示しています。

■SDN※1を利用したネットワーク利用状況の可視化と伝送速度制御ネットワークの帯域利用状況を視覚的に把握することができるため、ニュース制作者は、取材状況や番組の進行に応じて映像の優先度を判断し、フェーダー型装置を操作して伝送レートを制御することができます。

■動的に圧縮率を制御するライブ映像伝送方式ニュース現場からのライブ映像が、放送中に途切れることは許されません。映像の圧縮率を動的に調整し、オン・エア時には高画質映像を伝送、スタンバイ時には低レートとすることで、帯域を節約しながらより多くのライブ映像を同時に伝送することができます。

■優先度に従ってレートを制御する収録映像ファイル伝送方式取材地で収録した映像ファイルは、受信者の指示する優先度に従った伝送レートで放送局に転送されます。IPネットワークの共通伝送方式であるTCP※2と互換性のある方式のため、従来のファイル共有ソフトウェアをそのまま利用することができます。

放送局取材IPネットワーク

特 徴

今後の予定

※ 1 SDN(Software Defi ned Network): 動的に設定を変更できるネットワーク※ 2 TCP(Transmission Control Protocol):データを正しく伝送するための共通方式

展示概要

ニュース送出

ニュース制作者が優先度を指示

中継現場Bをオン・エア画質を上げて!

取材現場Dの映像ファイルを優先的に伝送

編集を急いで!

オン・エア

IPネットワーク映像取材網

帯域管理、指示装置

映像編集

編集した映像

ライブ映像伝送

収録映像ファイル伝送

生の映像 お天気カメラA

中継現場B

取材現場C

取材現場D

26 緊急災害時の柔軟な報道を支援

SDNを利用した放送局映像取材網

運用を想定した実証実験を行い、早期の周波数移行を推進していきます。

高度番組制作技術

放送番組の制作で利用されているワイヤレスマイク※は、国の周波数再編の方針により新しい周波数へ移行することが決まっています。移行先の周波数で安定かつ高品質に利用できるデジタルワイヤレスマイクを開発し、標準規格として採用されました。

■リニアPCM音声伝送占有周波数帯幅が600kHzのOFDMデジタル方式を採用することで、非圧縮のリニアPCM音声信号を0.8ミリ秒という低遅延で伝送できます。

■耐レーダー干渉機能移行先の1.2GHz帯はレーダーにも利用されています。開発したワイヤレスマイクには、耐レーダー干渉機能を搭載し、安定した音声伝送を実現しました。

■ARIB規格として実用化OFDMを用いたワイヤレスマイクの伝送方式は、電波産業会(ARIB)の標準規格として採用され、放送番組制作や劇場・ホール等で利用することができるようになりました。

新デジタル方式ワイヤレスマイクの特徴

特 徴

今後の予定

※ 免許が必要な業務用のワイヤレスマイクは特定ラジオマイクと呼ばれ、放送番組制作や劇場・ホール等で広く利用されています

OFDM方式マルチパスに強い

リニアPCM高音質・低遅延

ツーピース型 ワイヤレスマイク

ワイヤレスマイク受信機

受信アンテナ

ハンド型ワイヤレスマイク

耐レーダー干渉機能

干渉を受けた音声信号 元の音声信号

干渉波

レーダー

展示概要

27 OFDM方式を用いて高音質・低遅延・高安定な装置を開発

新デジタル方式ワイヤレスマイク

今回試作したデバイスをもとに、さらなる高感度化に向け、光から生成された信号電荷を安定に増倍させる技術の開発や暗電流※3の低減を進めていきます。

次世代の放送デバイス

8Kスーパーハイビジョンカメラの高感度化に向けて、新たな撮像デバイスの研究を進めています。低い電圧で動作が可能な光電変換膜を積層した固体撮像デバイスを展示しています。

■可視光領域での高い量子効率※1

光開口率※2を100%にできる構造と、薄くても入ってきた光をすべて吸収できる材料(結晶セレン)を光電変換膜に用いることで、90%以上の高い量子効率が期待できます。

■結晶粒径の制御によるざらつきの低減薄膜化により結晶セレンの粒の大きさを1画素のサイズより小さくしたことで、撮影画像のざらつきを大幅に低減することができました。

固体撮像デバイスの構造模式図

特 徴

今後の予定

※ 1 量子効率:入ってきた光の光子1個に対して生成される信号電荷数の割合※ 2 光開口率:撮像デバイスに入ってきた光量のうち、光電変換部に導かれる光量の割合※ 3 暗電流:入ってくる光が無い時でも光電変換膜から出力される電気信号

光電変換膜積層型 従来型

光電変換膜(結晶セレン)

画素電極

画素

出力信号走査

絶縁膜

信号電荷

出力信号

光電変換部(シリコン)

信号電荷

入ってきた光をすべて光電変換膜に導くことが可能

金属配線の影響で光電変換部に導かれる光量が減少

金属配線

金属配線

走査

画素

展示概要

28 高感度な8Kスーパーハイビジョンカメラの実現を目指して

光電変換膜積層型固体撮像デバイス

現場での検証を重ねて機能改善を進めるとともに、8K映像への対応についても検討していきます。

放送技術

4Kのカメラ映像を利用して、画質劣化なく画面の揺れを補正したHD映像を出力できるビデオスタビライザーを開発しました。本装置を用いることで、大型の防振装置や、特殊な撮影技能が無くても、揺れの無いHD映像を提供できます。

■高解像度なカメラ映像により安定したHD映像を出力HDよりも高解像度な4K映像に対し、画質補正することで、安定したHD解像度の映像が得られます。

■画像処理を利用したリアルタイム揺れ補正画像処理を利用してカメラ映像の揺れ方向を検出し、切り出す領域を揺れ方向に追従させることで揺れを補正します。4K映像からの切り出す領域(HD解像度以上)や揺れ補正強度※は任意に設定でき、リアルタイムに処理可能です。

■手軽に使えるビデオスタビライザーカメラに物理的な防振機構を付加しないため、カメラマンの動きや操作に制限を与えません。また、収録済みの映像に対して揺れ補正処理を施すこともでき、さまざまな番組で手軽に利用することが可能です。

スタビライザーによる揺れ補正イメージ

特 徴

今後の予定

■この開発は、(株)朋栄と共同で進めています。

※ 映像の揺れの状況により変更する補正強度のこと

安定したHD映像を出力4Kカメラ

リアルタイムで揺れを補正しながらトリミング

4K映像

HD映像

HDビデオスタビライザー

展示概要

放送技術局と技術局の展示です。

29 高解像度カメラ映像を利用したHDビデオスタビライザー

放送現場で活躍する機材 ①

ビッグデータを利用した新たな防災ツールの構築に向け、スカイマップ機能※の統合やWebとの連携などを継続的に行っていきます。

放送技術

NHKスペシャル「震災ビッグデータ」で用いたビッグデータ可視化システムを展示しています。リアルタイムCGの利点を活かして、これまで以上に多彩な番組演出が可能になるとともに、モバイルPC上でも動作するため、取材先でもデータの確認が可能になり、機動性が格段に向上しました。

■数千万オーダーのビッグデータを瞬時に可視化膨大なデータ量のビッグデータを表示用に変換処理し、リアルタイムで可視化します。リアルタイムCGの利点を活かして、必要な情報を選択して表示させたり、任意地点の情報を拡大することができます。

■8KのCG出力・表示が可能2013年9月に放送したNHKスペシャル「震災ビッグデータFile2」では、8KモニターにビッグデータのCGをリアルタイムに表示し、スタジオの再撮モニターとして使用しました。画面の一部を拡大するなどフレキシブルかつ高画質に表示ができ、難解なビッグデータの解析結果を分かり易く説明することができました。

■リアルタイムCGの利用範囲を拡大モバイルPCでもビッグデータの可視化を可能にしたことにより、記者やディレクターが自分でビッグデータの解析を行うことが可能となりました。また、取材先でプレゼンテーションできるなど、新たな取材・制作支援ツールとしての利用範囲が広がります。

GPS情報を基にした乗用車の軌跡を可視化(NHKスペシャル 震災ビッグデータfi le3)

特 徴

今後の予定

※ NHKが開発した、ヘリコプターの空撮映像に地上の建物名や住所などの情報をリアルタイムに表示するシステム

展示概要

放送技術局の展示です。

29 ビッグデータ可視化システム

放送現場で活躍する機材 ②

一般財団法人NHKエンジニアリングシステム〒157-8540 東京都世田谷区砧1-10-11 TEL (03) 5494-2400 FAX (03) 5494-2152URL: http://www.nes.or.jp/

NHKエンジニアリングシステム

NHKエンジニアリングシステムは、NHKの研究開発成果である特許や技術ノウハウの周知と、放送技術の社会還元を目指した実用化研究開発を進めています。NHKの特許技術と実用化に向けて開発中のシステムの中から、広く利用いただける技術を展示しています。

■8Kスーパーハイビジョンに関する技術・産業応用や放送利用など、小型で軽量な「8Kスーパーハイビジョン単板CMOSカメラ」・ハイビジョンを8Kスーパーハイビジョンに拡大する「最大16倍の高精細化技術」・少ないスピーカーで簡易に8Kスーパーハイビジョン音響を楽しめる「8K SHV音響プレミアムシート」

■さまざまな分野で活用が期待される技術・新しいバーチャルスタジオ表現を可能にする「ハイブリッドセンサー」・お年寄りにやさしい「番組音声を聞き取りやすくする技術」・SFN※放送波中継を実現する「V-Lowマルチメディア放送用回り込みキャンセラ」

■特許・ノウハウの技術移転NHKの特許・ノウハウを社会へ還元する、ご相談窓口も設けています。

特 徴

NHKが保有する特許・技術ノウハウのご利用についてのお問い合わせ先

※ SFN(Single Frequency Network):単一周波数網-複数の送信局が同じ周波数を用いて広いエリアをカバーするネットワーク

8K SHV音響プレミアムシート

8Kスーパーハイビジョン単板カメラ

ハイブリッドセンサーを活用したバーチャルスタジオ

展示概要

30 社会に貢献するNHKの技術

NHK技術の活用と実用化開発の紹介

高感度、低騒音の特長を生かしてオペラ以外の劇場公演コンテンツの拡充を図るとともに、さらなる高感度化や運用性改善などに取り組みます。

8Kスーパーハイビジョン

8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)コンテンツの充実をはかるため、様々な映像制作を進めています。今回、高感度・低騒音化を実現した8K SHVカメラ「シアターカメラ」を開発し、2013年9月、ミラノ・スカラ座「リゴレット」の生中継パブリックビューイング(PV)の撮影に使用しました。

■大型の撮像素子の使用と信号処理による高感度化暗いシーンの多い劇場公演の撮影に対応するためには、これまでの8K SHVカメラでは感度が不足し、映像ノイズが問題でした。今回2.5インチの大型でフル解像度のRGB撮像素子の信号から画素加算処理として出力することにより、高感度・低ノイズ化を実現しました。

■放熱方法の改善による低騒音化オペラなどの劇場公演では8K SHVカメラから発生する騒音が聴衆の妨げになるため、劇場内で使用することが困難でした。今回、カメラの放熱方法の改善により、音楽ホールで使える機器と同程度に騒音を低減し、公演の撮影が可能になりました。

■ミラノ・スカラ座日本公演「リゴレット」生中継PVを実施NHKホールで上演されたミラノ・スカラ座公演「リゴレット」をシアターカメラで撮影、伝送し、NHKふれあいホールと仙台放送局の2会場で生中継のPVを実施しました。遠く離れた会場でも、まるでNHKホールで観覧しているかのような臨場感を体感して頂きました。

特 徴

今後の予定

ヘッド基板 R ch

ヘッド基板 B ch

ヘッド基板 G ch

画素加算 G1

画素加算 G2

画素加算

画素加算

CCU

カメラヘッド

3300万画素 CMOS撮像素子

レンズ

シアターカメラ ブロック図 シアターカメラ

光波長多重装置

展示概要

31 ステージコンテンツ撮影で活躍

8Kスーパーハイビジョン「シアターカメラ」

対応受信機の普及に合わせ、サービスの充実と発展に取り組んで行きます。

放送通信連携

昨年サービスを開始したNHK ハイブリッドキャストを体験していただきます。NHKが現在放送している実サービスと、民放局が実施した実証実験の事例も展示します。

■放送はより「豊か」に、さらに「便利」にNHKハイブリッドキャストは放送と通信を連携させた新しいテレビサービスです。ニュースや気象をはじめ、番組に関する情報、動画などを、スマートフォンやタブレット端末とも連携させてお楽しみいただけます。

■さらなる広がりをNHKは昨年9月にサービスを開始し、その後、動画サービス、携帯端末連携サービスなど機能拡張を進めています。さらに、民放局も1月から実証実験を行いました。対応テレビも普及が進み、今後、サービスの充実とさらなる広がりが期待されます。

ハイブリッドキャストの概念とサービス例

特 徴

今後の予定

双方向番組

放送番組の関連コンテンツ

番組 番組巻き戻しサービス

ハイライト動画

マルチビューオンデマンド番組番組リコメンド電子番組表

サービス事業者放送局

展示概要

S1 最新のサービスを体験

ハイブリッドキャスト

放送局が持っている情報の事業者間での有効活用を広げ、放送とインターネットの連携による新しいサービスやビジネスの創出を図っていきます。

放送通信連携

放送番組やCMの情報は、テレビ番組情報サイトやスマートフォンアプリ、ソーシャルネットワークサービス(SNS※)などさまざまな事業者のインターネットサービスによって広がっています。放送局と事業者との連携で、より便利に豊かになる放送通信連携サービスの例を紹介しています。

■番組関連情報とユーザー発信情報放送局や事業者が提供する番組やCMの関連情報と、ネットユーザーがSNSで発信する情報が、インターネットを通して事業者間で伝えられることで、放送を起点とした多様なサービスが生み出されます。

放送局とさまざまなサービス事業者の連携

特 徴

今後の予定

※ SNS(Social Network Service): インターネットを通して人と人のつながりを促進・サポートするコミュニケーション機能をもつサービス

視聴者・ネットユーザー

各社が情報を番組やサービスに活用

測定・調査事業者

番組やCMの関連情報(メタ情報)提供事業者

広告事業者

放送のネットでの盛り上がりの測定

番組・CM関連情報

ユーザー発信情報

テレビ情報サイト・スマホアプリ事業者

SNS事業者

放送局

店舗

広告主

Eコマース事業者

展示概要

S2 インターネットで広がる放送の世界

放送とネットサービス事業者による連携

特 徴

放送博物館

 第18回オリンピックは、1964(昭和39)年10月10日から24日までの15日間、アジア地域で初めて東京で開催されました。日本ではテレビ放送が開始して、わずか11年しか経っておらず、NHKはじめ、日本の放送関係者が総力をあげて、オリンピックのテレビ放送に力を注いだ結果、メディアを通して日本中が一体感を持つ国民的イベントになりました。「東洋の魔女」といわれた女子バレーボールチームの金メダルをかけたソ連との決勝戦は、視聴率が85%に達し、今もメディア史に残っています。

 東京オリンピックは、日本の放送技術の高さを世界に示すとともに日本のテレビ産業が世界に大きく飛躍する絶好の機会となったのです。技術研究所(現 放送技術研究所)は、様々な研究・開発を行い、オリンピック放送に貢献しました。

2IO分離輝度方式カラーカメラ(1964)

三研 ML-1型接話マイク(1964)

1/2小型ビジコンカメラ(1963)

■カラーカメラの開発による中継映像の成功解像度の向上と雑音の低減化とともに小型化を図った「2IO分離輝度方式カラーカメラ」を開発し、開会式の様子を鮮明に映し出しました。

■世界初の海外生中継の実施静止衛星シンコム3号を利用して世界で初めての海外(アメリカ)生中継に成功しました。

■さまざまな制作機器の開発世界初の「スローモーションVTR」やマラソン全コース中継関連機材、「1/2小型ビジコンカメラ」、「接話マイク」などを開発し、国内外にオリンピックの様子を伝えました。

開発された放送機器

放送博物館の展示です。

展示概要

M 50年前の東京オリンピック

NHK放送博物館

これからも、視聴者の皆様に対するサービスの向上に努めていきます。

視聴者サービス

デジタル放送の受信システムやホームネットワークなど、デジタル放送の受信方法と家庭のインターネットに関する疑問・質問にお答えします。

■デジタル放送受信と受信システム個別住宅や集合住宅でのデジタル放送の受信方法と受信システムについて説明します。ケーブルテレビの受信方法や放送と通信を連携させたサービスについても説明します。

■ホームネットワークとデジタル放送受信家庭で導入できるインターネットの種類やホームネットワークの構築方法について説明します。

特 徴

今後の予定

技術局の展示です。

衛星放送地上放送

インターネットクラウド スマートフォン

タブレット端末

ネットワークプリンター

パーソナルコンピューター

ルーター

ネットワークオーディオ

HDDレコーダー内蔵ブルーレィ

NASサーバー

ゲーム機

ビデオカメラスマート家電

放送局デジタルテレビのスマート化

ホームネットワーク(家庭内LAN)

通信連携サービス

展示概要

J デジタル放送受信システムとホームネットワークについて

デジタル放送受信相談コーナー

ポスター展示

P1

P2

P3

P4

P5

「素材バンク」における動画被写体領域の抽出手法 ~映像素材の効果的・効率的な利活用に向けて~

4K/8Kカメラの解像度特性測定法

8Kスーパーハイビジョン音響制作における残響付加と空間的印象の関係 ~高臨場感を得るための簡易な制作手法の検討~

ニュース特有表現の外国人理解度について ~最適な「やさしい」日本語のニュースに向けて~

脳活動分析による番組視聴中の心理状態推定技術 ~新たな映像評価技術の可能性~

素材映像を蓄積するだけで、映像の検索や映像制作に有効な情報(メタデータ)を自動的に付加する「素材バンク」の開発を進めています。ここでは映像合成の際の制作支援機能の1つとして動画から希望する被写体の領域を簡単に切り出すための被写体抽出技術を紹介しています。

現行放送のハイビジョン(2K)より高い空間解像度を特徴とする4K/8Kでは、カメラの解像度特性の正確な把握が求められます。従来の解像度特性の測定方法では、特定の空間周波数の画面の垂直または水平の一方向しか測定できませんでした。今回、全周波数、全方向を一度に測定する方法を開発したので紹介します。

8Kスーパーハイビジョン音響の番組制作の際に、制作者の意図する音響の印象を効率的に生成するため、22.2チャンネルの音響情報をチャンネル毎ではなく、チャンネル間を連動して制御できる手法の研究を進めています。コンテンツに付加する残響の3次元的な特徴量と空間的印象の関係について調べた結果を紹介します。

国内在住の外国人のみなさんに向けたやさしい日本語のニュースを研究しています。ニュースには「…こととしています」など、日常の会話には出てこない表現が数多く見うけられます。このような表現がどのくらい外国人のみなさんに理解されているのかを調査しました。

テレビ視聴中の脳活動から、視聴者の心理状態を推定する手法の研究を進めています。番組視聴中の脳活動を計測し、それらに含まれる特徴的なパターンを自動的に抽出する機械学習アルゴリズムを用いて、「笑いの準備状態」を推定する手法について紹介します。

P6

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微細構造による光の指向性制御技術 ~将来の立体ディスプレイ応用を目指して~

撮像デバイスの3次元構造化技術 ~超高精細と高フレームレートの両立を目指して~

有機撮像デバイスの直接積層技術 ~小型で高画質な単板カラーカメラの実現を目指して~

長期タイムシフト環境における視聴行動 ~クラウド時代の新しいVOD視聴サービスを目指して~

将来の立体テレビを目指して、光の指向性制御技術の研究を進めています。高さの異なる1ミクロンより小さい円柱体で形成した微細構造により光の進行方向を制御する試作デバイスの基本特性などを紹介します。

8Kスーパーハイビジョンよりさらに将来の映像システムを目指して、超高精細と高フレームレートを両立できる3次元構造の撮像デバイスの研究を進めています。光電変換部の直下に信号処理回路を設け、全画素から並列に信号を読み出すデバイスを紹介します。

光の3原色それぞれを電気信号に変換する有機膜の研究および、有機膜と透明読み出し回路とを積み重ねた有機撮像デバイスの研究を進めています。ここでは、色ごとのフォーカスずれを解決することでデバイスの高解像度化を実現するための直接積層技術を紹介します。

これまで放送された番組をいつでも手軽にタイムシフト視聴できる、将来の放送サービスの研究を進めています。ここでは、数年分の放送番組を時間方向にザッピングできるサービスの視聴実験から、視聴者の視聴行動を分析した結果を紹介しています。

体験型展示

T1

T2

さわれるテレビ

飛び出すテレビ

テレビを見ながら、小さな袋をふってみよう。ポップコーンがフライパンの中で『ポンポン』とはじける感じがわかるかな?

タブレットでテレビをのぞいてみよう!テレビからキャラクターが飛び出してくるよ。

放送通信連携システムの機能拡張~ハイブリッドキャストの高度化に向けて~■ハイブリッド放送システム研究部 大亦 寿之

ハイブリッドキャストは、通信を活用して放送をより豊かにするためのプラットフォームである。2013年9月、NHKは放送と通信を連携させた新しいテレビサービス“NHK Hybridcast”を開始した。技研では、ハイブリッドキャストのさらなる発展を目指し、多様で高機能なサービスの提供に必要な放送通信連携システムの高度化技術の研究開発に取り組んでいる。また、ハイブリッドキャストの技術仕様の拡張も進められており、技研はこの標準化活動にも寄与している。本報告では、まず、放送局以外の事業者によるハイブリッドキャストのサービスの提供も可能にする放送外マネージドアプリケーション

の概念について説明する。視聴者に安全・安心なアプリケーションを配信し、放送局とサービス事業者が円滑にサービスを提供するためのシステムモデルや、これによって実現できるチャンネル横断サービスの一例を紹介する。さらに、放送と通信の高精度な同期、録画再生やストリーミングへの対応といった、サービスの高機能化を支える技術についてサービス例を交えて説明する。最後に、今後の実用化に向けた取り組みを紹介するとともに、8Kスーパーハイビジョン時代のハイブリッドキャストの展望も示す。

午前10:20~

研究発表

研究発表

研究発表

研究発表

8Kスーパーハイビジョンにおける光インターフェースの開発と標準化動向■テレビ方式研究部 添野 拓司

多視点カメラを用いたインテグラル立体像の生成手法■立体映像研究部 池谷 健佑

次世代放送システムである8Kスーパーハイビジョン(8K SHV)の実現に向け、8K解像度 (7680×4320画素)、フレーム周波数120Hz、階調12ビット、広色域表色系のフルスペック8K SHV機器の開発を進めている。これまでSHV信号の機器間伝送の際には多数の同軸ケーブルを用いる必要があり、ケーブルの取り回しなど実運用面での課題があった。そのため1本のケーブルで機器間のSHV信号伝送が可能なインターフェースの開発と早期の標準化が求められてきた。本報告では、新たに開発して2014年3月にARIB STD-B58として標準規格となったSHV機器間インターフェースについて紹介する。まず、インターフェースへの要求条件を整理する。次に、それらを満たす物理層の10Gbps光マルチリンク形式および論理層の信号マッピング方式を説明し、これらを搭載したインターフェース装置によるSHV信号伝送実験について述べる。最後に、光インターフェースを搭載したフルスペック8K SHVカメラシステム、記録装置、ディスプレーの開発について報告する。

技研では次世代の超高臨場感放送システムを目指し、自然で見やすく、特別なメガネが不要であるインテグラル立体テレビの研究を進めている。インテグラル立体テレビは、微小レンズで構成されたレンズアレーと高解像度ディスプレーを組み合わせることで、被写体からの光線を再現し、空間に立体像を生成するテレビである。インテグラル立体テレビでは、特殊な専用カメラでインテグラル立体像生成を行っている。スポーツ中継における選手などカメラから遠方にいる被写体の撮影では、被写体までの距離があるため、専用カメラでは、立体像生成が困難であった。本報告では、複数の通常のテレビカメラで構成された多視点カメラで撮影したさまざまな視点からの映像(多視点映像)を用い、

遠方の被写体でもインテグラル立体像が生成可能な手法を紹介する。本手法では、確率論を導入した奥行き距離推定手法を用いることで多視点映像からの誤差を抑制した複数の3次元モデルを生成する。それらをインテグラル立体像生成用の画像に変換後、合成することで、被写体などに遮蔽されカメラに映らない領域を低減し、欠損がないインテグラル立体像を生成する。本手法の有用性を、放送された相撲のシーンから制作したインテグラル立体コンテンツを例に紹介する。

午前10:40~

午前11:00~

2

1

3

5月29日(木)に開催

講  演

8Kスーパーハイビジョン医療応用への期待■自治医科大学 学長 永井 良三 氏

木を見て森も見るビッグデータ解析技術■情報・システム研究機構理事 統計数理研究所長 樋口 知之 氏

8Kスーパーハイビジョンの開発が進んでいる。よく見えることは、新しい発見につながるし、人間の意識や行動様式を変える力がある。よく見るために、人間はこれまで望遠鏡や顕微鏡を開発してきた。しかしそれは個人の観察であり、多くの人々がその経験を共有するには、高精度のモニターを欠かせない。

医療における応用範囲は広い。直ちに活用できるのは、遠隔医療や医学教育である。実際、病理医不足のなか、特殊ながんを診断できる病理医の数は全国でも限られている。情報ネットワークと高精度モニターを組み合わせれば、僻地だけでなく、都会の診療にも大きく貢献する。

高精度モニターは手術手技の教育にもきわめて有用である。近年、微小な血管や神経線維をつなぐ手術が増えてきた。このため、拡大鏡や顕微鏡を用いた手術が日常的に行われている。しかし術野を観察できるのは術者のみで、術者以外はテレビモニターを通じて手術の進行状況を把握し、先輩の外科医の手技を学ぶ。モニターの解像度が向上すれば、従来のハイビジョンでは見ることのできなかった細い糸や針先を術者以外も観察でき、その教育効果は大きい。また、術者自身も手術後にビデオを見直すことにより、手術中には気づかなかった多くの点を学習できる。さらに手術中の術野を拡大撮影することにより、病変部位の同定にも役立つ。

内視鏡検査の発達も著しい。消化管(胃や腸)の内視鏡では、すでに毛細血管を観察できるレベルまで解像度が向上している。細胞レベルの観察が可能となれば、より早期のがんを発見できる。しかしながら、内視鏡の観察画像を8Kスーパーハイビジョン用に撮影するには、まだ多くの技術的課題がある。内視鏡の開発技術はわが国の独壇場である。医療の向上と医療イノベーションのためにも、内視鏡用8Kスーパーハイビジョンの速やかな開発が望まれる。

ビッグデータの登場は、モノ、ヒト、コトの動き、つまり私たちの生活がまるごとデジタル化されクラウド上で再現できる時代が到来したことを意味する。ビジネスにおけるビッグデータの価値は、あらゆるビジネス機能やサービスのスマート化と、イノベーションの発掘による未来への効果的投資の二点に集約できる。この観点を公共部門において考えると、あらゆるサービス受益者の満足度の向上と、レアではあるが重要な社会的要因を発見することと対応づけられる。ビッグデータの利用技術上の多くの困難は、この相反する目的を同時に達成する要請からもたらされる。例えば、どんなにデータ量が多くても、ある程度の精度で全体像が知りたければ、統計学の王道芸であるサンプリングで十分であるが、それではほぼ確実にレアな事象を見逃す。つまり、ビッグデータの利用には、木も森も両方見る技術が不可欠なのである。

ビッグデータの利用技術は、大別すれば、データ可視化、データ解析、データ工学の三要素からなる。データ可視化は探索的データ解析の一技法と類別可能だが、ビッグデータの登場により、ナウキャスティング(今を把握する)に欠かせない重要な役割を担うことになった。データ工学は、主としてデータ量および通信量の増大と直結した問題解決に必需の技術である。知りたい情報がデータからは完全には得ることができない状況、つまりデータの不完全性を乗り越えるためには、先進的なデータ解析技術が必要になる。データの不完全性の例は、データの欠損や異常値の混入などのありふれた問題から、逆解析不安定性のような推論構造上不可避の問題など、多種多様かつ多数存在する。本講演では、ビッグデータの解析において陥りやすいポイントを解説するとともに、インピュテーション、リンケージ、ストリーミング計算などのデータ解析に関する研究トレンドを紹介する。

午前11:30~

午後0:10~

5月29日(木)に開催

講  演 1

講  演 2

講  演

8Kスーパーハイビジョン医療応用への期待■自治医科大学 学長 永井 良三 氏

木を見て森も見るビッグデータ解析技術■情報・システム研究機構理事 統計数理研究所長 樋口 知之 氏

8Kスーパーハイビジョンの開発が進んでいる。よく見えることは、新しい発見につながるし、人間の意識や行動様式を変える力がある。よく見るために、人間はこれまで望遠鏡や顕微鏡を開発してきた。しかしそれは個人の観察であり、多くの人々がその経験を共有するには、高精度のモニターを欠かせない。

医療における応用範囲は広い。直ちに活用できるのは、遠隔医療や医学教育である。実際、病理医不足のなか、特殊ながんを診断できる病理医の数は全国でも限られている。情報ネットワークと高精度モニターを組み合わせれば、僻地だけでなく、都会の診療にも大きく貢献する。

高精度モニターは手術手技の教育にもきわめて有用である。近年、微小な血管や神経線維をつなぐ手術が増えてきた。このため、拡大鏡や顕微鏡を用いた手術が日常的に行われている。しかし術野を観察できるのは術者のみで、術者以外はテレビモニターを通じて手術の進行状況を把握し、先輩の外科医の手技を学ぶ。モニターの解像度が向上すれば、従来のハイビジョンでは見ることのできなかった細い糸や針先を術者以外も観察でき、その教育効果は大きい。また、術者自身も手術後にビデオを見直すことにより、手術中には気づかなかった多くの点を学習できる。さらに手術中の術野を拡大撮影することにより、病変部位の同定にも役立つ。

内視鏡検査の発達も著しい。消化管(胃や腸)の内視鏡では、すでに毛細血管を観察できるレベルまで解像度が向上している。細胞レベルの観察が可能となれば、より早期のがんを発見できる。しかしながら、内視鏡の観察画像を8Kスーパーハイビジョン用に撮影するには、まだ多くの技術的課題がある。内視鏡の開発技術はわが国の独壇場である。医療の向上と医療イノベーションのためにも、内視鏡用8Kスーパーハイビジョンの速やかな開発が望まれる。

ビッグデータの登場は、モノ、ヒト、コトの動き、つまり私たちの生活がまるごとデジタル化されクラウド上で再現できる時代が到来したことを意味する。ビジネスにおけるビッグデータの価値は、あらゆるビジネス機能やサービスのスマート化と、イノベーションの発掘による未来への効果的投資の二点に集約できる。この観点を公共部門において考えると、あらゆるサービス受益者の満足度の向上と、レアではあるが重要な社会的要因を発見することと対応づけられる。ビッグデータの利用技術上の多くの困難は、この相反する目的を同時に達成する要請からもたらされる。例えば、どんなにデータ量が多くても、ある程度の精度で全体像が知りたければ、統計学の王道芸であるサンプリングで十分であるが、それではほぼ確実にレアな事象を見逃す。つまり、ビッグデータの利用には、木も森も両方見る技術が不可欠なのである。

ビッグデータの利用技術は、大別すれば、データ可視化、データ解析、データ工学の三要素からなる。データ可視化は探索的データ解析の一技法と類別可能だが、ビッグデータの登場により、ナウキャスティング(今を把握する)に欠かせない重要な役割を担うことになった。データ工学は、主としてデータ量および通信量の増大と直結した問題解決に必需の技術である。知りたい情報がデータからは完全には得ることができない状況、つまりデータの不完全性を乗り越えるためには、先進的なデータ解析技術が必要になる。データの不完全性の例は、データの欠損や異常値の混入などのありふれた問題から、逆解析不安定性のような推論構造上不可避の問題など、多種多様かつ多数存在する。本講演では、ビッグデータの解析において陥りやすいポイントを解説するとともに、インピュテーション、リンケージ、ストリーミング計算などのデータ解析に関する研究トレンドを紹介する。

午前11:30~

午後0:10~

5月29日(木)に開催

講  演 1

講  演 2

8Kスーパーハイビジョンシアター

イベント

上演内容:ミラノ・スカラ座来日公演『リゴレット』ハイライト

下記の時間帯は8Kスーパーハイビジョンシアターを休止します。5/29(木)午前10:00~午後1:30(研究発表・講演のため)

大作曲家ヴェルディの傑作歌劇『リゴレット』。生誕200年を記念して昨年東京で行なわれた、ミラノ・スカラ座来日公演の模様を約10分に凝縮したハイライトでお届けします。きらびやかな衣装の数々や、出演者の喜怒哀楽の細やかな表情など、世界最高

峰と言われるイタリアオペラのステージを、NHKが開発した暗いシーンにも強く、静音性にすぐれた 8Kスーパーハイビジョン“シアターカメラ“で撮影しました。3,300万画素の高画質映像と22.2マルチチャンネルの3次元音響で、技研

講堂が世界一の劇場に早変わりしたかのような臨場感をぜひお楽しみください。

スタンプラリー正しい答えだと思うところにキャラクターのスタンプを押そう!スタンプは会場の中を探してね。

午前10:00~午後4:30 受付:エントランス

芝生広場で8Kキックターゲット芝生広場で、サッカー・キックターゲットに挑戦。8Kマークをねらって思いっきりボールをけろう!

午前10:30~午後4:00

5/31(土)、6/1(日)に開催

5/29(木)~6/1(日)午前10:00~午後5:00場所:技研講堂(入場は定員制です)

各日の最終上映回は午後5:00の上映終了を予定しております。

photo : Marco Brescia / Teatro alla Scala

ガイドツアー1グループ7名程度で、主な展示について技研の研究員が詳しく解説するガイドツアーです。研究の苦労話など普段は聞けない話も聞くことができます。

午前10:20~午後3:20 受付:エントランス

1日16回開催所要時間 約1時間

NHK放送技術研究所〒157-8510 東京都世田谷区砧1-10-11

http://www.nhk.or.jp/strl/

(平日のみ)

(平日のみ)

再生紙を使用しています。

小田急線 成城学園前駅 南口から 東急田園都市線 用賀駅から

交通のご案内 用賀 IC

NHK放送技術研究所