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総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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Page 1: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

総 括 調 査 票

Page 2: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

頁 頁

(1) [ 内 閣 府 ] 総合特区推進調整費 1 (27) [ 厚 生 労 働 省 ] 生活保護(住宅扶助) 58

(2)[ 復 興 庁 ][ 内 閣 府 ]

東日本大震災における女性の悩み・相談事業 3 (28) [ 農 林 水 産 省 ] 産地活性化総合対策事業(産地収益力向上支援事業) 60

(3) [ 内 閣 府 ] 子ども・若者支援地域協議会体制整備事業 5 (29) [ 農 林 水 産 省 ] 国有林野事業における木材供給事業 62

(4) [ 警 察 庁 ] 警察情報通信基盤整備事業 7 (30) [ 農 林 水 産 省 ] 離島漁業再生支援交付金 64

(5) [ 総 務 省 ] 字幕番組・解説番組等の制作促進 9 (31) [ 農 林 水 産 省 ] 耕作放棄地再生利用緊急対策交付金 66

(6) [ 総 務 省 ] 消防活動の安全確保のための研究開発等 11 (32) [ 農 林 水 産 省 ] 植物防疫事業交付金 69

(7) [ 総 務 省 ] 「定住自立圏・多自然拠点都市圏」推進調査事業 13 (33) [ 農 林 水 産 省 ] 農業経営基盤強化事業事務取扱交付金 71

(8) [ 総 務 省 ] 電子政府の総合窓口(e-Gov) 15 (34) [ 経 済 産 業 省 ] イノベーション実用化助成事業 73

(9) [ 法 務 省 ] 更生保護委託費 17 (35) [ 経 済 産 業 省 ] 二酸化炭素削減技術実証試験事業 76

(10) [ 外 務 省 ] クーリエ関係経費 19 (36) [ 経 済 産 業 省 ] 戦略的基盤技術高度化支援事業 79

(11) [ 外 務 省 ] 無償資金協力・技術協力(不正事案発生時の対応) 21 (37) [ 国 土 交 通 省 ] 気象庁における各種センター業務関係経費 81

(12) [ 外 務 省 ] 独立行政法人国際協力機構の国内支援要員(プログラムコーディネーター) 23 (38) [ 国 土 交 通 省 ] 訪日旅行促進事業 83

(13) [ 財 務 省 ] 輸出入貨物分析機器整備経費 25 (39) [ 国 土 交 通 省 ] 自動車運送事業の安全・円滑化等総合対策事業(うちASV関係) 85

(14) [ 財 務 省 ] 税理士試験に必要な経費 28 (40)[ 農 林 水 産 省 ][ 国 土 交 通 省 ]

海岸事業(陸閘の整備について) 87

(15) [ 文 部 科 学 省 ] 義務教育費国庫負担金 31 (41) [ 国 土 交 通 省 ] 道路関係許可事務経費 89

(16) [ 文 部 科 学 省 ] 国立大学法人の資産(土地)活用状況調査 33 (42) [ 国 土 交 通 省 ] 特定離島港湾施設整備事業 91

(17)[ 内 閣 府 ][ 文 部 科 学 省 ]

科学技術予算に係る分野別予算の実態調査 35 (43) [ 国 土 交 通 省 ] 地域づくり・人づくり推進経費 93

(18) [ 文 部 科 学 省 ]文化芸術による次世代人材育成プロジェクト(次代を担う子どもの文化芸術体験事業)

39 (44) [ 国 土 交 通 省 ] 高密度地震観測施設経費 95

(19) [ 文 部 科 学 省 ] ふるさと文化財の森システム推進事業 42 (45)[ 復 興 庁 ][ 環 境 省 ]

災害廃棄物処理代行事業 97

(20) [ 厚 生 労 働 省 ] 小児慢性特定疾患治療研究事業 44 (46) [ 環 境 省 ] 再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金) 99

(21) [ 厚 生 労 働 省 ] 高齢者のための地域支援事業(うち任意事業) 46 (47) [ 防 衛 省 ] 通信専用線の整備 102

(22) [ 厚 生 労 働 省 ] 臓器移植対策事業(うちあっせん事業体制整備費等) 48 (48) [ 防 衛 省 ] 海上自衛隊における弾薬の処分事業 104

(23) [ 厚 生 労 働 省 ] 日本年金機構における郵送料金の支払い 50 (49) [ 防 衛 省 ] 飛行時間及び飛行時間関連経費 106

(24) [ 厚 生 労 働 省 ] 障害者のための地域生活支援事業 52 (50) [ 防 衛 省 ] 糧食の在庫管理 109

(25) [ 厚 生 労 働 省 ] 実践型地域雇用創造事業のうち雇用創出実践メニュー 54 (51) [ 防 衛 省 ] 自衛隊のアウトソーシング契約 111

(26) [ 厚 生 労 働 省 ] 独立行政法人労働安全衛生総合研究所運営費交付金 56 (52) [ 各 府 省 ] リサイクルトナーの活用状況 113

【   目    次   】

Page 3: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:12,400 百万円

平成 24 年度:13,840 百万円

所管 内閣府 組織 内閣本府 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

総合特区制度とは、先駆的取組を行う実現可能性の高い区域に国と地域の政策資源を集中する制度。地域の包括的・戦略的なチャレンジを、オー

ダーメードで総合的(規制・制度の特例、税制・財政・金融措置)に支援。総合特区ごとに設置される「国と地方の協議会」で国と地域の協働プロジ

ェクトとして推進。

具体的には、

(1)規制・制度の特例措置

・地域の取組に応じ、地域の責任ある関与の下、踏み込んだ規制の特例措置を区域限定で実施

・個別の法令等の特例措置に加え、地方公共団体の事務に関し、政省令で定めている事項を条例で定められることとする

(2)税制上の支援措置

・国際競争力強化のための法人税の軽減(投資税額控除、特別償却、所得控除より選択)

・地域戦略を担う事業者に対する個人出資に係る所得控除

(3)財政上の支援措置:関係府省の予算を重点的に活用。総合特区推進調整費により機動的に補完

(4)金融上の支援措置:利子補給制度(0.7%以内、5年間)

(参考)総合特別区域基本方針(平成 23 年8月 15 日閣議決定、平成 25年3月 19 日一部変更)(抜粋)

第五 総合特別区域における産業の国際競争力の強化及び地域の活性化の推進に関し政府が講ずべき措置についての計画

4 総合特区における財政上の支援措置

総合特区における財政上の支援措置は、予算の範囲内で、以下により実施する。

① 関係府省の予算制度を活用した支援措置

関係府省は、認定総合特区計画に盛り込まれた事業に関し、所管する予算制度(総合特区推進調整費を除く。)を活用して、重点的に財政支援を行

うものとする。・・・

② 総合特区推進調整費を活用した支援

第五の4①によってもなお支援が足りない場合には、本方針及び内閣府が財務省と協議して定めるところにより、内閣府に予算計上された総合特区

推進調整費によって機動的に補完する。・・・

― 1 ―

Page 4: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (1)総合特区推進調整費

1.制度趣旨に沿った対応 ・総合特区制度は、地域の責任ある取組や、規制・制度改革を重要な要素とする制度であり、調査結果を踏まえ、内閣官房・内閣府を中心に、制度趣旨に沿った運用を関係者間で徹底するとともに、その取組状況に応じて措置要求等の対応をとるべき。 ・関係者は、より大胆な措置の実現など規制改革に一層取り組むべき。 2.財政支援の適切な運用 ・規制の特例措置の実現に向けた努力など地域の責任ある関与がみられない地域については、財政支援の要望に偏った側面が強いため、制度趣旨に沿って運用を改善すべき。 ・総合特区推進調整費は、各府省の予算制度を機動的に補完することを目的とした経費であり、総合特区の指定をもって受けられる補助金ではないため、内閣府は、その趣旨の徹底を図るとともに、執行率を踏まえ、必要額について説明責任を果たした上での予算計上とすべき。 3.国による対応の迅速化・予測可能性の向上 ・規制改革についての国と地方の協議のスピードアップを図るとともに継続協議となった事項についても、内閣官房・内閣府において進捗管理に努め、国による対応の迅速化・予測可能性の向上を図るべき。

1.国の規制・制度の特例措置の実現状況・24 年度における提案件数は 394 件。実現に向け合意に至ったものは 214件であるが、うち 191 件は現行法令の下でも対応可能との判断。また、継続協議となったものが 70件。 ・提案件数は、国際特区7区域で 11~48 件、地域特区 32 区域で 2~21 件と、特区毎にばらつきが見られた。 2.地域の独自の取組の状況 ・財政上の支援措置を中心に、地方公共団体による独自の措置が実施されている一方、総合特区計画に検討中と記載している独自の規制の特例措置等は 24 件にすぎず、うち 25 年6月時点で措置済み・措置見込みとなっていないものが 11 件あった。 ・各総合特区を構成する地方公共団体のうち、独自の規制の特例措置等をとっていない地方公共団体が6あった。 ・24 年度に国の財政支援要望をしていた事業は 379 件 541 億円。国の支援を受けられなかった 270 件 340 億円のうち、地方公共団体の予算により手当したものは 7件 1億円にすぎず、取りやめた事業は 140 件 139 億円に上った。 ・なお、国の支援を受けられなかった事業の大宗は公募事業であり、審査の結果採択されなかったもの(不採択 118 件 226 億円及び取下げ 71 件 46億円。採択は 87 件 125 億円)。また、公正な審査の結果採択されなかったものに対し、総合特区推進調整費を充てようとする姿勢が見られた。 3.国による財政支援の状況 ・23年度は各府省予算の活用 42 事業 61億円、調整費 11 事業 27億円、24年度は各府省予算の活用 89 事業 168 億円、調整費 20 事業 32億円。 ・調整費の執行率は 23年度 18%、24 年度 23%であった。 ・23 年度で調整費を活用した 11 事業については、24 年度については計画15.8 億円に比し 17.7 億円措置と、財源を確保した上で基本的に事業の継続が図られていた。 ・調整費を活用した 31 事業中、事業に直接関連する規制・制度改革の特例措置は3件にすぎなかった。 ・特区から要望のあった各府省の予算制度のうち、募集要項等に総合特区への優先配分の規定があるものは、100 事業中5事業に過ぎなかった。 (参考)総合特区を構成する都道府県数:36、市町村数:69

総合特区の面積(一部重複計上)16.6 万㎢

1.総合特区における規制改革、

地域の責任ある取組の状況

(1)総合特区において、国の規

制・制度の特例措置の実現状況は

どのようになっているか。

(2)総合特区において、地域に

よる独自の規制・制度の特例措

置、税制・財政・金融上の支援措

置(以下「規制の特例措置等」と

いう。)の実施状況はどのように

なっているか。

2.国による財政支援の状況

・各府省は、所管する予算を活用

して重点的に支援しているか。

・各府省の予算を活用してなお足

りない場合に、総合特区推進調整

費により機動的に補完すること

となっているが、その執行状況は

どうなっているか。

・国による財政支援は、規制改革

により新たな取組が可能となっ

た事項に係るものであるなど、重

点的に支援するにふさわしい運

用となっているか。

― 2 ―

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総 括 調 査 票

事案名 (2)東日本大震災における女性の悩み・相談事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:92 百万円

平成 24 年度:77 百万円

所管 復興庁

(内閣府) 組織

復興庁

(内閣本府) 会計 東日本大震災復興特別会計

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

○ 東日本大震災により、被災地では長引く避難生活や生活不安などの影響によるストレスの高まりなどから、女性等が様々な不安・悩み・ストレスを

抱えることや、女性に対する暴力が懸念されていた。

○ 一方で被災自治体では、女性の悩みや女性に対する暴力相談を行う相談員・相談窓口が不足し、女性等が安心して利用できる相談サービスの提供が

難しい状況にあった。

○ このため、被災自治体からの要望を受け、国において女性の悩み相談や暴力被害者支援を行っている全国の非営利活動法人(NPO)や男女共同参画

センターなどの相談員を派遣し、地元自治体と協力して被災地に臨時の相談窓口を開設。

○ 臨時の相談窓口では、電話相談、窓口での面接相談を行うことに加えて、相談者の希望に応じて仮設住宅等を相談員が訪問し、相談を行っている。

○ なお、本事業は、全県において 25年度から土・日・祝日を含む 365 日対応とすることとしているところ(24年度は岩手県のみ実施)。

岩手県・宮城県・福島県

各県1回線、8時間相談業務を実施(土日含む)

相談者臨時窓口

3 人 臨時窓口

3 人

臨時窓口

3 人

※希望に応じ

訪問相談

※相談窓口1か所に3人を配置(うち1人は

全国のNPOや男女共同参画センター等

から専門相談員を派遣し、配置。残り2人

は地元相談員を採用)。

― 3 ―

Page 6: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (2)東日本大震災における女性の悩み・相談事業

1.未応答対策

各県とも話し中等により対応で

きていない件数が多いため、例え

ば他の省庁が実施している関連電

話相談先への自動転送や不在アナ

ウンス時の関連相談先の電話番号

案内等及び相談先一覧表(情報開

示して支障のある部分を除く)を

的確に広報・周知すること等によ

り、未応答対策を講じるべき。

2.より効率的・効果的な運用

また、相談員1人当たりの電

話・面接相談への対応時間が短く、

また、曜日や時間により多寡もあ

るため、24 年度及び直近の実績を

踏まえ、関係相談先と連携を図る

ことにより、開設日の限定や開設

時間の短縮等も含め、改めて人員

配置を見直し、1人当たり相談時

間の平準化及びより効率的な運用

を行うべき。

さらに、地元相談員の十分なス

キルアップを図った上で、電話相

談事業については、被災自治体の

マンパワーを考慮しつつ、当該自

治体へ移譲し、面接・訪問相談事

業に特化する等の方向で検討すべ

き。

1.相談体制及び相談状況等

(1)被災3県の運営状況について調査した結果は以下のとおりであった。

被災各県の臨時相談窓口に3名ずつを配置し、8時間運用することを予定していたが、実際には被災区域が

広域であること等から、人員配置の見直し等により各県常設の臨時窓口のほか、被災者の希望に応じた訪問相

談や、岩手県及び宮城県では出張相談を特定曜日に実施する等、きめ細かに対応していた。

(2)被災3県での電話及び面接相談状況を調査した結果は以下のとおりであった(左表参照)。

① 各県ともに相談員1人当たりの電話・面接相談の平均相談時間が短かった(1日の稼働時間 360分(※)

に対し、50~110 分程度と稼働時間の3分の1以下)。

※ 地元相談員のスキルアップのため、全国のNPOや男女共同参画センター等からの派遣している専

門相談員が地元相談員へ指導を行うこととしており、1日平均1時間以上を確保。当該指導時間や昼

食時間等を控除した実質的な相談稼働時間は6時間(360 分)程度。

また、曜日や時間帯によって相談員1人当たり相談時間数に多寡があった(岩手県の火曜日の相談員 1

人当たりの対応時間が 38 分に対し、宮城県の月曜日は同 166 分であり、業務量は4倍以上)。

② 一方で、未応答件数が相談実施件数と同等程度と高水準となっている。この主な要因は、少数の相談員

(1~3名)により各拠点で電話・面接相談を行っていることに加え、被災者への訪問相談に伴う事務所

不在及び時間外での呼出のためであった。

③ なお、これらの取組とは別に各種集会等において相談員を派遣する等のグループ相談を実施(24 年度相

談実績 95 件)するほか、宮城県では日本司法支援センター(法テラス)と出張相談を共催(同 83件)で

実施するなど、きめ細かに対応していた。

2.運用の効率化

相談内容に応じて相談員が相談者へ速やかに関係団体等を紹介できるように相談先一覧表を作成し、併せて

各団体等の復旧・復興状況により更新される受入可能情報等を随時更新し、相談時において対応可能な団体等

を適切に紹介するなど、効率化を図っていた。

予算執行調査では、曜日や時間別

の繁閑状況を把握し、適切な人員配

置等を行うことにより、より効果

的・効率的な相談事業の実施ができ

るのではないか検討を行う。

相談体制等

県別 拠点市町村 実施曜日・時間 対応業務

盛岡市(常設) 全日 9時~17時 電話・面接・訪問盛岡市(出張所) 火・木・土 9時~17時 面接のみ宮古市(※1) 火・木・土  9時~17時 電話・面接・訪問大船渡市(※1) 火・木・日  9時~17時 面接・訪問仙台市 月~金(祝日除く) 8時30分~16時45分 電話のみ気仙沼市(※2) 月~金(祝日除く) 9時~16時45分 電話・面接・訪問

福島県 郡山市 月~金(祝日除く) 10時~17時 電話・面接・訪問 9件

※1 宮古市、大船渡市については、実績を踏まえ24年度限りで終了。

※2 毎週木曜日は「法テラス」と南三陸臨時出張所において出張相談・訪問相談を共催(83件の相談)。

電話・面接相談(相談状況は左表のとおり) 集会等でのグループ相談

63件

23件

岩手県

宮城県

月 火 水 木 金 土 日 平均

従事相談員1人当たり1日平均相談時間 68 38 65 50 47 63 63 53.5分

10 9 22 15 8 7 7 11.5分

23 13 3 12 15 20 20 14.1分

14 10 16 15 12 21 21 14.3分

21 6 25 9 12 14 14 13.6分

13 22 9 24 10 29 11 16.8件

16 10 18 18 16 15 16 15.7件

月 火 水 木 金 土 日 平均

従事相談員1人当たり1日平均相談時間 166 74 73 80 82 0 85.6分

60 28 28 36 33 0 34.1分

31 18 16 13 16 0 17.1分

45 16 16 20 14 0 19.5分

30 12 13 11 18 0 14.9分

43 59 61 61 48 0 0 54.4件

48 22 24 27 71 20 14 32.3件

月 火 水 木 金 土 日 平均

従事相談員1人当たり1日平均相談時間 119 104 124 105 95 110.0分

30 19 26 21 19 22.9分

27 21 33 24 25 26.2分

32 33 36 32 26 32.0分

30 31 30 28 25 29.0分

35 42 44 38 29 0 0 37.5件

93 48 45 27 59 8 10 41.5件

(単位:分or件)

(時間別

内訳)

15時~17時

11時~13時

15時~17時

【各県の電話相談、面接相談の対応状況(実質稼働時間360分/日)】

(参考)対応できなかった1月の平均相談件

1月の平均相談件数

岩手

宮城

福島

9時~11時

13時~15時

(時間別

内訳)

9時~11時

11時~13時

(参考)1月の平均相談件数

対応できなかった1月の平均相談件

(時間別

内訳)

9時~11時

11時~13時

13時~15時

15時~17時

(参考)1月の平均相談件数

対応できなかった1月の平均相談件

13時~15時

24年度は未実施

24年度は未実施

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<モデル事業の概要>

○ 事業内容

【設置モデル事業】協議会設置に向けた検討・準備

【運営モデル事業】協議会設置後の運営支援

○ 実施自治体数

22 年度:〔設置〕16 先 23 年度:〔設置〕14 先 24 年度:〔設置〕10 先、〔運営〕5先

総 括 調 査 票

事案名 (3)子ども・若者支援地域協議会体制整備事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:106 百万円

平成 24 年度:117 百万円

所管 内閣府 組織 内閣本府 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 近畿財務局

①調査事案の概要

【事案の概要】

本事業は、都道府県・市町村青少年担当部局等を調整機関として、「子ども・若者支援地域協議会」(「子ども・若者育成支援推進法」(平成 21 年法律第 71 号)

第 19条第1項に基づく子ども・若者支援地域協議会となる予定の組織をいう。以下「協議会」という。)において社会生活を円滑に営む上での困難を有する子

ども・若者を関係機関・団体等が緊密に連携して、総合的に支援する体制を整備する「子ども・若者支援地域協議会の設置・運営モデル事業」(以下「モデル

事業」という。)を実施することによりその結果を踏まえて効果的な自立支

援の在り方を検討し、得られた成果を全国に普及させるとともに、ニート

やひきこもり等に対するアウトリーチ(訪問支援)の手法を身に付けるた

めの研修を実施して、地域における体制を整備し、困難を有する子ども・

若者に対する支援を効果的に推進するものである。

<アウトリーチ研修の概要>

○ 研修の目的

1.アウトリーチおよび若者支援に関する基本的な知識の向上

2.アウトリーチ現場での実務体験の機会の提供

3.研修生間、研修生と受入団体とのネットワーク形成

○ 研修概要

事前研修(講義・演習、5日間)

実地研修(講義・アウトリーチ同行等、2週間又は 4週間)

事後研修(振り返り、3日間)

○ 研修参加者

22 年度:28 名 23 年度:17 名 24 年度:20 名

<内閣府作成のマニュアル等>

○ 子ども・若者支援地域協議会 設置・運営指針 : 22 年 2 月 23 日決定 子ども・若者支援地域協議会を設置する際の拠り所となる基本的な考え方を取りまとめたもの

○ ユースアドバイザー養成プログラム(改訂版) : 22 年 3 月付発行 各自治体等でユースアドバイザーの養成を行うための手引き

○ モデル事業報告書 : 各年度 3月付で発行 各年度に実施しているモデル事業にかかる報告書

― 5 ―

Page 8: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

【アウトリーチ研修宿泊費等】

単位:1人/日 本研修国の基準

(研修旅費)

宿泊費(単価平均) 10,510 5,910

日 当 2,000 0

合 計 12,510 5,910

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (3)子ども・若者支援地域協議会体制整備事業

(1)モデル事業

① 協議会の設置が進んでいない

22 年 4 月の「子ども・若者育成支援推進法」施行後、3 年が経

過するが、協議会を設置しているのは 53 自治体のみで、全国の自

治体における設置率はわずか 3.2%にとどまっている。

② 独自で協議会を設置している自治体が多数で、ニーズも低い

協議会設置 53 自治体のうち、69.8%の 37 自治体は設置モデル

事業を実施せず独自で協議会を設置している。 〔資料 1〕

また、設置モデル事業未実施で協議会未設置の都道府県・政令

市 32 自治体中、協議会の設置予定がある 5自治体全てが、設置モ

デル事業の実施を希望しないと回答している。

≪モデル事業を実施せずに協議会を設置できた理由≫(複数回答)

・ 内閣府が作成したマニュアル等を活用した 62.2%

・ 他の地方公共団体から指導・助言を受けた 45.9%

・ 27.0%

③ 設置モデル事業を実施したにも関わらず協議会を設置していない

モデル事業を実施した 26 自治体のうち、23 自治体は既に協議会を設置あるいは今後設置予定とし

ているが、3自治体は「今後も協議会を設置する見込みがない」としている。 〔資料 2〕

④ 設置モデル事業と運営モデル事業の事業内容が重複している

各事業内容について、中央企画委員会・地方企画委員会・ユースアドバイザー定例会議が重複し

ている。

⑤ マニュアル等の適切な活用に結びついていない

「ユースアドバイザー養成プログラム」は自治体でユースアドバイザーを独自養成するために発

行されたものであるにも関わらず、95 自治体中 15.8%の 15 自治体のみの活用となっており、適切

な活用に結びついていない。

(2)アウトリーチ研修

① 受講後アウトリーチ業務に関わらない受講生が多い

全国で受講者が年間約 20 名と少数であるが、受講後にアウトリーチ業務に携わっていない受講生が 40.3%と

なっている。〔資料 3〕

② 経費の計上に効率化が図られていない事例が認められた

国の基準からみて研修生の宿泊費が 2 倍以上と高額になっている等、経費面で効率化が図られていない事例

が認められた。〔資料 4〕

(1)モデル事業

協議会については、内閣府が作

成したマニュアル等の活用等によ

り、自治体独自で設置することが

可能であるなど、現行のモデル事

業を実施する必要性は低い。

また、マニュアル等が適切に活

用されていないことから、各自治

体で有効に活用されるよう改善を

図るべきである。

よって、協議会の設置が進んで

いない現状も踏まえ、協議会の設

置を促進するため、地方の実態に

応じた効果的・効率的取組みを検

討するべきである。

(2)アウトリーチ研修

研修受講後、アウトリーチ業務

に関わらない受講生が多いことか

ら本研修の実施効果が充分発現し

ているとは言えない。

また、経費面で効率化が図られ

ていない事例がみられたことか

ら、経費を効率的に使用できるよ

う基準の見直し等をしたうえで、

研修体系の見直しを図るべきであ

る。

【調査対象先】

H22~24 年度事業実施自治体等 140 先

(1)都道府県(44 先)

(2)政令指定都市(19 先) (3)下記の市区町村(32 先)

・モデル事業実施済自治体

・協議会設置済み自治体

(4) 研修受講者所属団体

(45 先)

【モデル事業】

(1)モデル事業の継続は必要か。

(2)マニュアル等の周知・活用は適切

に行われているか。

【アウトリーチ研修】

(1)アウトリーチ研修の実施状況は

適切か。

(2)アウトリーチ研修の経費面に問

題はないか。

〔資料 1〕

〔資料 2〕

〔資料 3〕 〔資料 4〕

― 6 ―

Page 9: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (4)警察情報通信基盤整備事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度: 5,358 百万円

平成 24 年度:33,348 百万円

所管 内閣府 組織 警察庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

警察においては、独自に整備・維持管理している無線多重回線、電気通信事業者の専用回線、衛星通信回線等から構成される全国的なネットワ

ークにより、警察庁、管区警察局、都道府県警察本部、警察署等を結んでいる。また、これらの回線を基盤として、警察電話、移動通信システム

等の各種警察無線通信システムが構築されている。これらの情報通信基盤については、必要に応じ、情報通信技術の進展等に応じた再編整備等が

行われており、21年度から 24年度にかけて、警察基幹通信網を IP 化(インターネットで標準的に使用されている通信方式を採用するもの)する

再編整備が行われた。また、都道府県警察本部と無線中継所及び無線中継所相互間を結ぶ無線中継所リンク回線については、順次、老朽更新が進

められているところである。

― 7 ―

Page 10: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票

事案名 (4)警察情報通信基盤整備事業

②調査の視点

③調査結果及びその分析

④今後の改善点・検討の方向性

1.無線中継所の合理化

○ リンク回線については、19 府県において更新が完了している一方、

残りの県(方面)については、一部または全部の更新が未了である。

○ 全国で 565 箇所の無線中継所のうち、リンク回線に係る無線中継所

は 286 箇所である。このうち、統廃合等の合理化を進める観点から、

最寄りの無線中継所に比較的近接(30km 以内)している無線中継所

を確認したところ、145 箇所であった。

【多重回線ルートの無線中継所に近接している無線中継所の数】

10 ㎞以内 10kmを超え 20㎞以内 20km を超え 30㎞以内

20 箇所 52 箇所 73 箇所

○ 上記 145 箇所のうち、北海道地域の無線中継所について無線中継所

の統廃合を行った場合の影響について調査したところ、2箇所の無線

中継所については、通信機器を移設しても無線の運用上特段の問題は

生じないことから、無線中継所を統廃合することが可能であると判明した。

2.無線通信システムの再構築

○ 移動通信に関しては、原則として都道府県警察単位で警察本部の通信指令室を中心としてパトカー等との通信に

使用される警察移動通信システム(APR)、全国の都道府県警で使用できる警察独自の自動車電話、携帯電話シス

テムである WIDE 通信システム(WIDE)、パトカーの端末から情報管理システムに接続して盗難車両の照会等を行

うためのパトカー照会指令システム(PAT)等の各種システムが存在している。

使用される端末はシステムごとに異なっており、24 年度末の端末整備数は、APR 約 10 万台、WIDE 約 2万台、PAT

約 3 千台であった。

○ 現行システムに関しては、以下のような問題点が認められた。

・システムの種類が多く、端末もシステム毎に異なることから、システム及び端末の調達、管理、保全が非効率と

なっている。

・公共交通機関及び商業施設等の地下化が進む中、警察自営の通信施設が整備されていなければ通話ができない地

域が生じる場合があり、民間の通信網を活用した効率的な設計となっていない。

1.無線中継所の合理化

基幹通信網の IP 化は 24 年度

に完了し、現在は、耐災害性の

向上等の観点も踏まえつつ、基

幹通信網(幹線)から分岐する

リンク回線(支線)の老朽更新

が進められている。

IP 化においては、大容量化と

あわせた幹線ルートの見直し等

が実施されたことから、これら

を踏まえてリンク回線に係る無

線中継所を合理化することによ

り、リンク回線の更新や無線中

継所の維持等に関する経費が効

率化できないか検証する。

2.無線通信システムの再構築

警察無線通信システムについ

ては、電波の効率的活用に関す

る方向性も踏まえ、今後、新た

なシステム開発が必要になると

想定される。当該新システムの

開発に向け、現行システムの問

題点を踏まえた方向性について

検証する。

1.北海道の 2箇所の無線中継所に

ついては速やかに統廃合を進め

るとともに、その他の全国の近接

した無線中継所等についても統

廃合の検討を行うべきである。

2.無線通信システムの再構築につ

いては、最新の技術動向を踏まえ

つつ、各種システムを集約・統合

することによる効率化を進める

とともに、自営網と民間網の併用

を進める方向で検討すべき。

― 8 ―

Page 11: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (5)字幕番組・解説番組等の制作促進 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:468 百万円

平成 24 年度:401 百万円

所管 総務省 組織 総務本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

①調査事案の概要

事案の概要

視聴覚障害者の放送を通じた情報の利用・入手機会の均等化を実現するため、「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の

推進に関する法律」(平成 5年法律第 54号)に基づき、(独)情報通信研究機構が、字幕番組、解説番組及び手話番組等を制作する者に対して、その制作費の

2分の1を上限として助成を行う事業に対する補助。

字幕番組、解説番組に対する国庫補助は、平成9年度より、手話番組に対する補助は平成 11年度より開始。

総務省において平成 29 年度までの字幕放送、解説放送及び手話放送の目標を定めた行政指針「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」(平成 19 年 10 月

30 日策定、平成 24年 10 月 2 日見直し)(以下「行政指針」という。)を定めている。行政指針に基づきキー局の放送事業各社は平成 29年度までに「字幕付

与可能な全ての放送番組」(注1)に字幕を付与することを目指し、毎年度の字幕付与率(注2)等の目標を示した拡充計画を定めている。総務省は字幕放

送等の普及促進の一環として放送事業者ごとの字幕放送、解説放送及び手話放送の実績を取りまとめ公表している。

(注1)字幕付与可能な放送番組・・・次に掲げる放送を除くすべての番組。①複数人が同時に会話を行う生放送番組等、技術的に字幕を付すことができない。②外国語。③大部分が器楽演奏。④権利

処理上の理由等により字幕を付すことができない。

(注2)字幕付与率・・・・字幕番組の時間÷行政指針により普及目標の対象となる番組の時間(7時から 24 時までに放送される字幕付与可能な放送)

区  分 補助率

字幕番組

キ ー 局 1/8

準 キ ー 局 1/6

ロ ー カ ル 局 1/2

生 字 幕 番 組 1/2

手話番組 1/2

解説番組 1/2

手話翻訳映像制作 1/2

【 補 助 率 一 覧 表 】

キー局 ・・ ・・・日本テレビ放送網(株)、(株)TBS テレビ、(株)テ

レビ朝日、(株)フジテレビジョン、(株)テレビ東京

準キー局・・・・(株)毎日放送、朝日放送(株)、讀賣テレビ放送(株)、

関西テレビ放送(株)

ローカル局・・・キー局及び準キー局以外の地上放送事業者 118 社、

衛星民放事業者及びケーブルテレビ事業者

― 9 ―

Page 12: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (5)字幕番組・解説番組等の制作促進

1.キー局において、字幕放送の取組

は進んでおり定着してきていると

考えられること等から、生字幕番組

以外のキー局向け字幕放送の補助

金を廃止することとし、今後、字幕

付与率を向上させていく際に課題

となっている生放送及び比較的字

幕付与率の低いローカル放送局の

補助金に重点化すべきではないか。

2.字幕番組、生字幕番組の予算単価

は、申請単価と差が生じており実績

値に沿った単価とすべきではない

か。

1.生放送以外の字幕放送の補助率は、民間放送事業者の事業規模【図1】

等が異なることから、キー局 1/8、準キー局 1/6、ローカル局 1/2 と差を設

けている。各放送事業者の積極的取組等により、平成 23 年度の字幕付与率

は、キー局5社平均で計画値 89.0%、実績値 90.8%、準キー局 4社平均で計

画値 77.8%、実績値 90.9%となっている。このように、キー局及び準キー局

においては、字幕放送への取組がある程度進んできていると考えられるが、

今後字幕放送をさらに向上させていくためには、人材の確保等が必要な生

放送に対する字幕の付与が現在課題となっている。一方、ローカル局にお

いては在名広域局等(注1)を除き、毎年度の字幕付与率の目標等を示し

た拡充計画を定めておらず、ローカル局の字幕付与率は平成 23年度 64.8%

(注2)となっている。【図2】

(注 1)在名広域局等・・・中部日本放送(株)、東海テレビ放送(株)、名古屋テレビ

放送(株)、中京テレビ放送(株)、テレビ大阪(株)、テレビ愛知(株)

(注 2)キー局及び準キー局以外の地上放送事業者(独立局を除く)の実績値

【図1】民間放送事業者の一社平均の事業規模区  分 売上高 営業損益

キ ー 局 ( 5 社 ) 2,198億円 122億円

準 キ ー 局 ( 4 社 ) 603億円 38億円

ロ ー カ ル 局 ( 1 1 8 社 ) 67億円 4億円

「平成23年度の民間放送事業者の収支状況」(総務省)より作成。

2.字幕付与のコストは番組制作から放送までの時間的制約のあるものは高

く、過去に放送された番組などの VTR に字幕を付与するものは納期に時間

的余裕があることから安くなる場合があること等により、補助金申請単価

にはばらつきがある。平成 24年度の字幕番組の補助金申請単価を平均する

と1時間あたり 15 万円程度となり、予算単価である 23 万円と差が生じて

いる。生字幕番組についても補助金申請単価を平均すると一時間あたり 17

万程度と予算単価 22 万円と差が生じている。【図3】

1.字幕付与率向上のため

に効果的な補助金とな

っているか。

2.補助金の予算単価は適

正なものとなっている

か。

【図2】対象時間に占める字幕放送時間の割合

87%89% 89% 91%

81%

88%86%

91%

62% 63%

62%

65%

55%

60%

65%

70%

75%

80%

85%

90%

95%

100%

H20 H21 H22 H23

キー5局

準キー4局

ローカル局

区  分平成25年度

予算額平成24年度

実績値

字 幕 番 組 23万円 15万円

生 字 幕 番 組 22万円 17万円

【図3】一時間当たりの予算単価と実績の比較

― 10 ―

Page 13: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (6)消防活動の安全確保のための研究開発等 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:150 百万円

平成 24 年度:175 百万円

所管 総務省 組織 消防庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

消防防災に関する研究を行っている消防研究センターでは、各消防本部からニーズを把握し、外部有識者の審査を経て、社会的に必要性の高い研究課題につ

いて 5年間で研究を行い、研究成果の普及を行っている。

なお、23~27 年度の研究課題とサブテーマは以下の通りである。

4.多様化する火災に対する安全確保に関する研究

①火災の実態分析

②火災の促進要因と燃焼性状の分析

③建物等での警報伝達手段

④消火活動のための火災現場情報把握

3.大規模災害時の消防力強化のための情報技術の研究開発

①大規模災害時の意思決定・判断支援要件の分析・整理

②地震後の同時多発火災の延焼予測技術の開発

③意思決定・判断支援機能を持つ模擬訓練技術と機器の開発

2.危険性物質と危険物施設の安全性向上に関する研究

①連動型巨大地震による石油タンク被害予測

②石油タンクの津波損傷防止策

③再生資源物質の火災及び消火時の再燃危険性評価法

④フッ素フリー泡消火薬剤の消火性能評価

1.消防活動の安全確保のための研究開発

①個人防護装備と活動基準

②津波浸水地域での消防活動(車両技術、偵察技術)

③土砂災害時の二次災害の危険性予測

④AED 動作不具合事例

― 11 ―

Page 14: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (6)消防活動の安全確保のための研究開発等

1.研究成果の活用・普及方法に問題はないか

研究テーマの設定については、社会的ニー

ズや消防機関が抱える課題及び政府方針な

ど、消防を取り巻く環境の変化や新たな課題

に的確に対応していくための体制を検討する

必要がある。

また、研究成果の主たる普及手段として用

いている研究論文集「消防研究報告書」につ

いて、より簡易に見られるよう各消防本部へ

の提供を電子データに切り替えることとし、

消防本部に配付している冊数を削減する。

2.予算額に即した執行が行われているか

調査結果を反映し、26年度概算要求時には、

執行実態に見合った要求額に見直しを行うこ

ととする。具体的には、調査を行った 3 箇年

の中で も予算額と執行額の乖離が小さかっ

た 23 年度の執行額に近づけることとする。た

だし、ページ数による執行額の増減があるこ

とを勘案した上で、適正な単価を設定する。

3.執行状況の管理について

研究の進行に合わせた執行計画を作成する

ことで、効率的な執行を行えるよう、管理体

制の改善を行うべきである。

消防研究センターでの研究が社会的ニーズ

に即して効果的・効率的に行われているか、以

下のポイントに絞って調査を行った。

1.研究成果の活用・普及方法に問題はないか

2.予算額に即した執行が行われているか

3.執行管理はどのように行っているか

となっており、予算額と執行額にかなり違いが生じ

ていることが判明した。

603 917 846

1,477 1,163 1,234

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

平成22年度 平成23年度 平成24年度

(単位:千円)予算額:2,080

執行残

執行額

3.執行状況の管理について

直近 3 箇年について、①4 月~2 月の一月当たり

平均執行率と、②3 月の執行率とを比較したところ、

24 年度は復興枠や補正予算といった特殊事情があ

るものの、それ以外の年度においても 3月に執行が

偏っていることが判明した。

8.0% 8.1% 7.5%

12.3% 11.3%

17.6%

0%

5%

10%

15%

20%

平成22年度 平成23年度 平成24年度

4~2月 3月

1.研究成果の活用・普及方法に問題はないか

消防研究センターの研究成果を活用・普及させるた

め、現在、主に以下の取組みを行っている。

・一般公開による研究成果・研究活動の紹介

・消防防災に関する講演会の開催や論文等の表彰

・研究成果をまとめた冊子を作成し、各消防本部、大

学等の研究機関等に配付

しかし、より広く効果的に研究成果を活用・普及さ

せるための方法を検討する必要がある。

2.予算額に即した執行が行われているか

消防研究センターの業務に関する報告書「消研輯報

(しゅうほう)」は、毎年同額を予算計上している。

調査は直近 3箇年について行ったが、右上のグラフの

通り、毎年予算額と執行額にかなりの乖離が生じてい

る。各年度の研究成果の報告内容や消防防災機器開発

等表彰の入賞作品(論文)の件数によってページ数が

異なるため、毎年執行額にばらつきがあるものの、

も乖離が少ない 23 年度でさえも、予算額の半分程度

― 12 ―

Page 15: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (7)「定住自立圏・多自然拠点都市圏」推進調査事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:140 百万円

平成 24 年度:110 百万円

所管 総務省 組織 総務本省 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 東海財務局

①調査事案の概要

事案の概要

「定住自立圏・多自然拠点都市圏」推進調査事業は、産業振興・文化芸術・地域医療の3分野について先進事例を構築し、その仕組みを全国に発信することにより、各

定住自立圏における取組の充実・深化を図ることを目的として、総務省が、地方公共団体からの提案を受け、その中から他の定住自立圏のモデルとなるような取組を調査

事業(以下、「モデル事業」という)として委託し、実態的・制度的な課題・解決方策を調査するもの。

委託金額は、1事業あたり800~1000万円を上限としており、平成23年度で12件、平成24年度で15件のモデル事業が実施されている。

【定住自立圏・多自然拠点都市圏の概要】

定住自立圏は、地方圏において中心的な都市と周辺の

市町村が連携し、医療・福祉・商業など住民の生活に必

要な機能を確保して、人口の定住と地域の自立を進める

「定住自立圏構想」に基づき、人口規模等の一定の要件

(人口5万人程度以上、昼夜間人口比率1以上等)を満た

す中心市が圏域の中心的な役割を担い、周辺市町村と定

住自立圏を形成するものである。

定住自立圏構想を推進するための具体的な取組みにつ

いては、圏域毎に「定住自立圏共生ビジョン」(以下、

「ビジョン」という。)を策定することとなる。

また、多自然拠点都市圏は、生活経済圏域の中心的な都市であるにもかかわらず、国立・国定公園など多自然地域を後背地に持つ拠点都市は、定住自立圏の要件である

昼夜間人口比率が1未満となるものの、一定の都市機能を担い、豊かな地域資源を活かした雇用を創出する多自然地域を支える拠点的な都市としての機能があり、その都

市を中心とする圏域を形成するものである。

【定住自立圏の取組状況】

平成25年3月末時点において、定住自立圏の要件を満たす中心市は248市あり、うち、中心市宣言をした市が84市となっている。また、84市のうちビジョンを

策定した市は75市となっている。

― 13 ―

Page 16: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

1.⑴ 圏域におけるモデル事業の活用状況

中心市宣言市(関心のある未宣言市

を含む)において、平成 23 年度及び

平成 24 年度において実施されたモデル

事業について、自市において他市のモ

デル事業を活用又は活用をしたいと考

えている状況は、右表のとおりであり、約 2割の市への効果が認められたものの、約 8割の市では、他市のモデル事業を活用する

ことは特に考えてはいないとの結果であった。

⑵ 活用されないモデル事業の要因

モデル事業の活用を考えていない理

由としては、右表のとおりであり、モ

デル事業は、その地域の個性や特性を

踏まえた個別事例となっていることや、

背景・課題等を含めた内容が良く分か

らないとの回答が約半数を占める結果

であった。

2.⑴ 事業をビジョンに載せるにあたり、参考にしたもの

中心市宣言市において、ビジョン

に記載された事業が参考としたものの

状況は、右表のとおりであり、その大

半は、各圏域が独自に策定したもので

あるが、他市の事業を参考としている

場合でも、モデル事業よりも実施済

事業の方が大きく上回る結果となった。

⑵ 「定住自立圏構想」を推進するために要望するもの 右表のとおり、自治体からの要望は、

実施済事業についての事業内容、取組

手法や連携手法、取組体制及び事業コス

トの具体的な情報が欲しいとの回答が

大多数を占める結果であった。

⑶ モデル事業の他圏域への周知状況

中心市宣言市(関心のある未宣言市を含む)のみを調査対象としたにもかかわらず、上記 1. ⑵の表のとおり、モデル事業について

の認識がない市が 11 市もあり、モデル事業の他圏域への浸透度には疑問がある。

回答数 割合95 79.8%24 20.2%

119 100.0%

他市提案のモデル事業を活用、又は活用したい

合計

活用状況他市提案のモデル事業の活用を考えていない

総 括 調 査 票

事案名 (7)「定住自立圏・多自然拠点都市圏」推進調査事業

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

1.先進事例であるモデル事業に

対する調査委託費の必要性

・他の圏域で活用されるような

モデル事業が採択されている

のか。

2.事業効果の検証

・モデル事業構築後、自治体で

有効に活用されているのか。

【調査対象】

①中心市宣言している 81 市

②未宣言中心市のうち、「定住自

立圏構想」に関心がある 37 市

③中心市宣言予定の 1市

の計 119 市に対して、書面に

よるアンケート式での調査を実

施。

※東日本大震災の被災 3 県 5 市

を除く

左の調査結果を踏

まえると、モデル事業

として実施している

本事業のあり方等に

ついては、定住自立圏

構想を効果的に推進

するという観点から

見直す必要があると

考える。

具体的には、今後、

①既にモデル事業以

外にも多くの事例が

蓄積されていること

から、その効果的・積

極的な利活用を図る

という観点、

②他圏域における活

用を念頭におき、事業

構築プロセスなどの

具体的な情報を積極

的に自治体へ提供す

るという観点等、

から事業を見直すべ

きであると考える。

※ 活用を考えていない理由は、複数回答可として集計。

※ 要望事項は、複数回答可として集計。

― 14 ―

Page 17: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (8)電子政府の総合窓口(e-Gov) 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,306 百万円

平成 24 年度: 874 百万円

所管 総務省 組織 総務本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

1.電子政府の総合窓口(e-Gov)は、行政改革大綱(平成 12 年 12 月 1日閣議決定)に基づき、インターネットによる行政情報の提供と行政手続の総合窓口として整備され、平成 13 年

度から運用を開始している。国民等は、e-Gov を利用することにより、①各府省の組織、業務、所管法令・通達、②各種報道発表資料、③各府省の行政文書ファイル管理簿等の情報に

一元的にアクセスできるようにするとともに、パブリックコメントや各種申請をインターネットを通じて行うことが可能となっている。また、e-Gov の利用方法等に関する問い合わせ

には、電子政府利用支援センターが対応している。

2.平成 23 年度予算執行調査において、システム構成等の見直し、重複の排除等の効率化を指摘しており、その見直し等の結果を 26 年度の政府共通プラットフォームに移行時に反映す

ることとしているが、見直し等の内容が十分検討されているかについて確認する。(本調査は、平成 23 年度予算執行調査のフォローアップ調査として実施。)

(参考)前回の調査結果及び反映状況

調査結果の概要 反映の内容等 1.利用率が低調となっている要因としては、一般国民等から電子申請システムに対する改善要望が多く出

されているものの、システムが複雑なためコスト面から改修に二の足を踏んでいることなどが考えられ

る。e-Gov が政府共通プラットフォームに移行する 26 年度に向け、容易に新たな申請手続きの追加等が

でき、国民にとって使い勝手の良いシステム構築となるよう最適化計画の見直しを行うべきである。

2.行政手続法に基づくパブリックコメントはすべて e-Gov に掲載されているが、各省庁が任意で行ってい

るパブリックコメントは 5.3%が掲載されていない。後者もすべて e-Gov に一元的に掲載して国民等の利

便性を向上させるとともに、システムの重複を排除して効率化を図るべきである。

3.電子政府利用支援センターについては、請負業者との契約において具体的なオペレータ等の人数につい

ては定めておらず、総務省は実態を把握できていない。契約自体は予算の範囲内で適正に行われているが、

センターの人員配置の基準と具体的な運用状況は適正な予算を積算する際の重要な要素であることから、

総務省は実態を把握するとともに今後の予算積算に適切に反映させるべきである。

1.電子申請システムのシステム構成等の見直しにより、平成

26年度以降の4年間で少なくとも160百万円程度削減できる

見通しとなっている。

2.各省庁が任意で行っているパブリックコメントの e-Gov へ

の一元化を早急に行う。また、平成 26 年に予定している政

府共通プラットフォームへの移行と併せ、システムの重複の

排除に向けた検討を行う。

3.総務省において早急に実態把握を行い、次回契約の際、セ

ンターの人員配置の基準と具体的な運用状況を基に適切に

予算積算を行う。

― 15 ―

Page 18: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.電子申請システムのシステム構成等の見直しの結果を踏まえ、システムの利用の拡大や運営経費等の見直しが適切に行われているか。

2.パブリックコメントの e-Gov への一元化の進捗状況、及びシステムの重複の排除による予算の効率化が図られているか。

3.センターの人員配置の基準と具体的な運用状況を基にした予算積算となっているか。

1.前回調査の指摘を踏まえつつ、「新たな情報通信技術戦略」等の国の方針に基づき、平成 24 年9 月に最適化計画(行政情報の電子的提供業務及び電子申請等の業務・システム最適化計画)の改定を実施した。改定後の最適化計画に基づき、平成 25 年 3 月に運用を開始した政府共通プラットフォームへの移行(平成 26 年 10 月を予定)を含めたシステムの再構築を進め、これにより運用経費の大幅な削減が見込まれている。

e-Gov と連携しているオンライン申請システムは、現在 6 府省 7 システムとなっているが、e-Gov 利用者からの意見要望等を踏まえた機能追加を行うなど、電子申請システムの利便性向上に係る改修等を順次実施し、e-Gov 経由申請率(全オンライン申請に占める e-Gov を経由してオンライン申請を受け付けているシステム利用率)は依然低いものの、全体の利用件数は徐々に増加してきている。

2.平成 23 年度に利便性を向上させる機能を追加し、各府省が e-Gov を通してパブリックコメント機能を利用しているが、任意のパブリックコメントについては、e-Gov の利用、各府省のホームページ掲載、窓口対応など一元化されていない状況にある。パブリックコメントの利用者への利便性向上の観点から、各府省に対し、任意のパブリックコメントも e-Gov で提供するよう働きかけているところである。

なお、「世界最先端 IT 国家創造宣言(平成 25 年6月 14 日閣議決定)」において、「2013 年中に政府情報システム改革に関するロードマップを策定し、政府 CIO の指導の下、重複する情報システムやネットワークの統廃合、必要性の乏しい情報システムの見直しを進めるとともに、政府共通プラットフォームへの移行を加速する。」とされたところである。

3.電子政府利用支援センターにおける人員

配置等の運営体制については、請負業者から詳細な実態を報告するように依頼しているが、請負業者が営業機密であるとして具体的な報告はされず、運営体制の実態は把握できていない。 なお、問い合わせの実績件数は、(表2)

のとおりである。

1.前回調査での指摘を踏まえつつ、「新たな情報通信技術戦略」等の国の方針により改定した最適化計画に基づき、システムの見直しを行った結果の運用経費の削減については、的確に予算へ反映すべきである。

また、経費の抑制を念頭に置きつつ、e-Gov と連携している申請システムについて、利便性向上を図るなどにより更に利用の拡大に努めるべきである。

2.「世界最先端 IT 国家創造」宣言において政府情報システムの統合・集約が盛り込まれたことも踏まえ、府省間におけるパブリックコメントに係るシステムの重複排除を行い、経費の削減を含めた効率化を進めるべきである。

3.電子政府利用支援センターの運用実績を的確に把握し、利用状況・人員配置等を含め、契約の仕様について再度十分に検討するべきである。その上で、現在の契約内容の見直しに加え、総務省の CIO 補佐官等との調整を行い、適切な予算積算と運営を図るべきである。

総 括 調 査 票

事案名 (8)電子政府の総合窓口(e-Gov)

うち電話 うちメール うちFAX

平成20年度 22,599 18,177 4,363 59

平成21年度 31,440 23,187 8,180 73

平成22年度 44,106 33,208 10,790 108

平成23年度 39,706 27,257 12,321 128

平成24年度 42,074 31,944 9,999 131

(表2) 利用者からの支援センターに対する問い合わせ件数

年度 件数(件)

区 分e-Gov経由申請件数 653千件 (159%) 1,004千件 (154%) 1,625千件 (162%)e-Gov経由申請率 2.5% 3.1% -  

ている。また、( )書きは、前年度増減率である。

(表1) e-Govを経由したオンライン申請件数等の状況 22年度 23年度 24年度

(注) e-Gov経由申請件数欄の件数は、同一の行政手続による申請を1件として計上し

― 16 ―

Page 19: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (9)更生保護委託費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:4,544 百万円

平成 24 年度:4,565 百万円

所管 法務省 組織 更生保護官署 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 九州財務局

①調査事案の概要 ②調査の視点

1.更生保護委託費の運用状

況について調査を行い、委

託費が適切に執行されて

いるか検証を行う。

2.保護観察所長が委託内容

を決定するにあたっての

運用基準を作成する必要

があるか検証を行う。

地方更生保護委員会

保護観察所

保護観察所長が、下記保護措置を

更生保護施設等に委託

刑務所からの仮釈放者等

保護観察に付されている

者が、適切な医療・食事・

住居その他の健全な社会

生活を営むために必要な

手段を得ることができな

いため、その改善更生が

妨げられる恐れがある場

合に、保護観察所長がと

る応急の保護措置

刑務所満期出所者等刑事

上の手続による身柄の拘

束を解かれた者等が、親

族等から自立更生に必要

な保護や援助が得られな

いため保護観察所長に申

出をした場合に、保護観

察所長がとる緊急の保護

措置

応急の救護等 更生緊急保護

【事業の概要】

更生保護委託費は、刑務所出所者等の再犯等の防止

を目的として、その円滑な社会復帰を図るため、国が

更生保護施設等(※)を運営する更生保護法人等に対

し、応急の救護等及び更生緊急保護を委託した場合、

更生保護委託費支弁基準に基づき支払われる経費であ

る。

更生保護施設等への委託内容(宿泊期間、食事の提

供等)の決定については、統一的な基準はなく、保護

観察所長の裁量に委ねられている。

※更生保護施設等の種類

①更生保護施設

更生保護法人等が法務大臣の認可を受けて、刑務所出所者等の改

善更生に必要な保護(宿泊場所や食事の提供、自立更生の援助等)

を目的として設置・運営する施設

②自立準備ホーム

あらかじめ保護観察所に登録した事業者が提供する宿泊場所(社

会福祉法人等が設置・運営するグループホーム等)

【調査対象】

全ての保護観察所(50 か所)

更生保護施設等

・更生保護施設 ・自立準備ホーム

更生保護委託費の支払

宿泊場所や食事の提供

就労指導

生活指導

福祉・医療の斡旋

― 17 ―

Page 20: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (9)更生保護委託費

100.0 88.2 100.0

36.3 20.6

6.4

75.6

50.0

20.0

0

20

40

60

80

100

10万円未満 10万円以上

20万円未満

20万円以上

○ 保護観察所間で委託期間等に大きな差が生じて

いることから、委託内容の決定過程について透明

性を確保できるよう、委託期間等に関する運用基

準を作成し、委託期間の適正化を図る必要がある。

○ 委託期間中の食費は、自己負担を基本とし、所

持金が僅少である等の特段の事情がある場合に限

り国費負担が可能であることを明確にすること

で、食事付日数の適正化による委託費の削減を図

るべきである。

○ 保護観察所において、委託期間中の入所者の所

持金、収支状況の確認を義務化することで、委託

期間の短縮及び食費の自己負担への切替えを適切

に実施し、入所者の自助の責任を自覚させる必要

がある。

1.更生保護施設等への委託状況について

保護観察所では、所持金(就労による賃金や貯蓄を含む。)や就労状況等を

勘案し、保護観察所長の裁量によって委託期間等(期間延長、期間短縮、退所

等)の決定が行われているが、保護観察所別の平均委託期間をみると 大で3

倍以上の差が認められた。【図1】

食事の提供については、省令(※)において「食事を得ることができない者

に対し、食事を給与する」と規定されており、当初委託期間(保護観察所が初

回に設定する委託日数)中における食事付日数(国が食費を負担している日数)

に上限を設けて運用している保護観察所がある一方で、入所時は所持金が僅少

である場合が多いとの理由から当初委託期間のすべてを食事付日数として運用

している保護観察所も認められた。【表1】

全保護観察所を集計したところ、当初委託期間の全期間について、入所者全

員が食事付とした保護観察所は7割以上に達しており、また、委託期間中は所

持金や就労状況等を勘案して食事付の判断を行っているとしているものの、

終的に委託期間の9割以上を食事付としていた保護観察所が5割であった。

(※)「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」(平成 20 年

4 月 23 日 法務省令第 28 号)第 65 条及び第 116 条

2.入退所時における所持金の確認状況について

入所者の所持金は委託期間等を決める要因の1つになっており、入所時は9

割以上の入所者について保護観察所で所持金を把握できているが、退所時は6

割弱しか把握できておらず、退所者の約4割については把握できていない状況

であった。【図2】

3.食費の国費負担から自己負担への切替状況について

委託期間中における自己負担への切替えについては、所持金や就労状況等を

勘案したうえで実施するとしているが、収入による切替えを行っている保護観

察所がある一方で、就労により収入を得ているにもかかわらず、自己負担への

切替えを行っていない保護観察所も認められた。【図3】 4.委託内容等を決定するための運用基準の必要性について

保護観察所からは「入所者個人の実情を判断して委託内容等を決定しており、

問題ない」との意見がある一方で、「食費の自己負担への切替えなど委託内容の

変更を行った場合に、法令等に基づいた明確な基準がないため、入所者と更生

保護施設との間でトラブルが発生することがある」との指摘もあった。

95.2

58.4

4.8

41.6

0

20

40

60

80

100

入所時 退所時

把握している把握できていない

(%)

【図3】保護観察所(3所)における食費負担の切替状況

【表1】食事提供にかかる運用の例

49.3 50.159.8

158.4179.3 183.3

0

50

100

150

200

1 2 3 48 49 50

(日)

(月収)

(%)

委託終了時まで全期間食事付となっていた入所者の割合

※月収は月平均就労日数に 1日当たり賃金を乗じて算出

3倍以上

【図1】保護観察所別平均委託期間

(切替なし) 【図2】保護観察所における所持金の確認状況

b所

a所

c 所

保護

観察所当初委託期間中における食事の提供基準

A原則、応急の救護は60日間、更生緊急保護は緊急という性質上2週間を食事付

B全て食事付としているが、給料が支給されれば食事付日

数を短縮

C 所持金の額に加え、就職の目途等により総合的に判断

D一般的に入所時の所持金が少ないため、基本的には全て食事付

E入所当初は所持金が少ないことや入所者間の不公平感

を排除するため、全て食事付

― 18 ―

Page 21: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (10)クーリエ関係経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:145 百万円

平成 24 年度:154 百万円

所管 外務省 組織 外務本省

在外公館 会計 一般会計

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

事案の概要:

クーリエ(外交伝書使)制度とは、その身分・内容物がウィーン条約で保護された制度であり、外交上重要な物件を も安全確実に運搬する手段である。

運用に当たっては、航空便の利便性及び安全性、公館の規模、他公館支援体制等を勘案したうえで、中継公館及び中継公館以外の各公館(ネットワーク公館)から成る

外務省独自のクーリエ網を構築し、中継公館(20 公館)を経由等して、全ての在外公館及び出張駐在官事務所(全 237 公館(24 年度実績))と本省との間で、重要物件の

運搬を行っている。

クーリエ網(イメージ)

【ネットワーク公館】 【中継公館】

C公館

A公館

D公館

外務本省

E公館

B公館

F公館

外交関係に関するウィーン条約(抄)

第 27 条

5 外交伝書使は、自己の身分及び外交封印袋である包みの数を示す公

文書が交付されていることを要し、その任務の遂行について接受国よ

り保護されるものとする。その外交伝書使は、身体の不可侵を享有し、

いかなる方法によってもこれを抑留し又は拘禁することができない。

6 派遣国又はその使節団は、臨時の外交伝書使を指名することができ

る。その場合には、5の規定の適用があるものとする。ただし、5に規

定する免除は、その外交伝書使が自己の管理の下にある外交封印袋を

受取人に交付したときに適用されなくなるものとする。

<クーリエで運ばなくてはな

らない文書・物品>

①天皇皇后両陛下の御真影 ②勲章・勲記等天皇陛下の御

名御璽のあるもの ③皇室関係書類・物品(宮内

庁より、外交行嚢で送付方依頼があるものを除く)

④極秘電信物件 ⑤条約書、協定書等のオリジ

ナル(経済協力の E/N を含む条約書、協定書等のオリジナ

ルは、特別な事情がない限り緊急の送付の要はなく定期ク

ーリエにて対応可能)

― 19 ―

Page 22: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (10)クーリエ関係経費

1.クーリエ実施計画・回数 ①経済協力の E/N(交換公文)は特別な事情がない限り緊急に運搬する必要はないにもかかわらず、E/N のみを物件としてクーリエを実施しているものがあった。クーリエの実施は、真に必要なものに限定することで更なる経費の節減が図れると考えられる。

②クーリエ物件には、定期的に発生する物件(春・秋の叙勲、極秘電信物件)、不定期に発生する物件があるが、過去 3 年平均で約 12%の不用額が生じている。過去の実績等を勘案し、実施計画について毎年適正な見直しを行うことで予算の節減が図れると考えられる。

2.代替手段の検討 ①航空会社の機長託送については、秘密保全の観点や物品の性質上、外部に託すことはありえず実施していない。外交行嚢では運搬できない重要物件を運搬するというクーリエ制度の趣旨からすると、機長託送を実施しない点は理解できる。

②出張者への託送については、過去 3年平均で 95 回実施されていた(過去 3年平均のクーリエ総実施回数 599 回。16%相当分)。ただし、現状では、物件のある部署が自発的に同部局内などで個別に出張者を見つけた場合にのみ出張者託送を実施していることから、外務省全体で組織的に出張者を把握できる体制を整備することで、より出張者託送を有効活用でき、経費の節減が図れると考えられる。

1.クーリエ実施計画・回数について、妥当なものとなっているか。無駄があるのではないか。

2.クーリエで運搬する物件について、我が国の航空会社の路線が就航している場合の機長託送や出張者託送など、安価な代替手段が検討できないか。

3.クーリエの滞在期間について、妥当なものとなっているか。

3.滞在期間の短縮等 ①訪問先での滞在期間について、実績(過去 3年平均)は右のとおりであった。 外務省の事務規程(クーリエ総合マニュアル)上、中継公館は「東京に 3泊以内」(1日目:本省で物件の引き渡し、2 日目:本省内での打合せ、3 日目:持ち帰り物品の確認、4 日目:本省で物品を引き取り、空港へ)、ネットワーク公館は「中継公館所在地に 2泊以内」とされているため、中継公館の約 90%が東京に 3泊滞在し、近距離の中継公館であっても 3泊滞在していた。ネットワーク公館についても、約 50%が中継公館所在地に 2泊している。

②クーリエによる出張の際の打合せについては、その具体的な内容の全ては把握されておらず、また、片道しか物件がない場合にも、中継公館所在地に 2 泊している例があった。物件の引き渡しのため登庁した際に打合せを実施することや、持ち帰り物品の確認と物品の引き取りを同時に行うことは可能であり、泊数の削減は可能であると考えられる。

③クーリエ業務は、飛行機搭乗中のみならず、受取りから引渡しまで、物件を携行している全ての時間が業務時間となることから、長時間の移動の場合は、その精神的・肉体的疲労度を考慮する必要があると、外務省は説明している。しかしながら、例えば韓国大使館からは 3 時間以内のフライトでも 3 泊しているなど、必ずしも移動時間や環境に応じて滞在期間が設定されているとは言えず、この観点からも、滞在期間の短縮を検討する余地が十分にあると考えられる。

④クーリエ網については、ハブ空港化が進み、日本及びアフリカ各国からの直行便がある中東には中継公館がない一方で、欧州には多数の中継公館を配置している。直行便の有無・距離等も考慮し、中継公館の効率的な配置や中継公館数の削減ができないか見直す余地があると考えられる。(例えば、現在中継公館となっている寿府代(ジュネーブ国際機関日本政府代表部)を近隣公館であるフランス大使館あるいはイタリア大使館等のネットワーク公館とすることで経費節減はもとより、紛失の危険性等の軽減も図れるのではないか。)

1.物件が経済協力の E/N のみの場合、原則中止とするなど、クーリエ実施回数の効率化・適正化を図るべき。 また、クーリエ実施計画・回数については、過去の実績等も勘案し、毎年適正な見直しを行うことでより実態に即した真に必要な 小限のクーリエ計画を策定すべき。

2.外務省全体で組織的に出張者を把握できる体

制を整備するなどして、出張者託送を更に有効に活用すべき。

3.中継公館は「東京に 3泊」、ネットワーク公館

は「中継公館所在地に 2 泊」している例が多いが、片道しか物件がない場合や飛行機の出発時間、移動時間などを考慮しつつ、必要 小限の滞在期間となるよう見直しを図るべき。 また、クーリエ網について、中継公館の効率

的な配置や中継公館数の削減などを含めて、見直しを図るべき。

ネットワーク公館及び中継公館の宿泊日数 ( 3年平均:平成22~24年度 )(単位:回)

実施年度 フライト時間 0泊 1泊 2泊 3泊 4泊 0~1泊 2泊 3泊 4泊

3時間以内 23 136 89 2 2 0 0 6 0

3~4時間 1 11 27 0 0 0 5 9 0

4~5時間 0 10 20 3 0 0 0 7 0

5~6時間 0 2 30 3 0 0 0 0 0

6~7時間 0 5 19 3 0 0 0 8 0

7~8時間 0 4 9 3 0 0 0 12 0

8~9時間 0 2 9 0 0 0 0 0 0

9~10時間 0 4 6 1 0 0 10 8 0

10~11時間 0 2 6 0 0 0 0 8 0

11~12時間 0 4 5 0 0 0 0 43 0

12時間以上 0 0 4 0 0 0 0 39 0

合計 443 24 179 225 14 2 合計 156 0 16 140 0

在シドニー総、在ロシア大

在ロサンゼルス総

在英大、在仏大、在フランクフルト総、在オーストリア大

在米大、在NY総、在マイアミ総、在イタリア大、寿府代

ネットワーク公館(中継公館地での宿泊数) 中継公館(東京での宿泊数)

平成22~24年度

(3年平均)

※フライト時間は往

路・復路の平均時間

公館名

在韓国大

在中国大、在ハガニャ総

在香港総、在フィリピン大

 

在タイ大

在シンガポール大、在ホノルル総

 

― 20 ―

Page 23: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (11)無償資金協力・技術協力

(不正事案発生時の対応)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:311,115 百万円の内数(無償資金協力と JICA 運営費交付金の合計)

平成 24 年度:306,959 百万円の内数(無償資金協力と JICA 運営費交付金の合計)

所管 外務省 組織 外務本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

①調査事案の概要

■事案の概要

独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国の中でも、比較的

所得水準が低い国を中心に、相手側に返済義務を課すことなく、経済・社会開発のための計画を実施する上で必要な資金を供与する無償資金協力と、開発途上

国に対する技術指導のための専門家の派遣、必要な機材の供与、開発途上国の人材に対する日本での研修等を通じて、開発途上国の経済・社会の発展に必要な

人材育成、研究開発、技術普及、制度構築を支援する技術協力等を実施している。

現在、JICAが実施中又は実施した無償資金協力、技術協力の案件について不正事案が起こった場合、事案が発覚した後、①JICAによる調査(対象者

等への聞き取り等)を行い、②どのような措置を行うか内部で検討、③措置審議委員会を開催し、独立行政法人国際協力機構契約競争参加資格停止措置規程(平

成20年規程(調)第42号)等に基づき競争参加資格の停止等の措置を決定、④外務省へ正式通知を行い、⑤対象者に対する通知、JICAのホームページにお

いて公表し、措置を開始している。

― 21 ―

Page 24: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (11)無償資金協力・技術協力(不正事案発生時の対応)

JICAが不正事案を把握して

から速やかに対応措置を実施でき

るよう、不正情報の通報があった場

合に個々の職員が取るべき対応を

示した職員向けの措置マニュアル

(仮称)を定めるべき。

また、JICAが契約を結んだ専

門家が不正事案を起こすことを抑

止する観点から、契約書において不

正事案に対する対応規定を明確に

すべき。

さらに、JICAにおいて開催し

た再発防止検討委員会の提言を踏

まえた再発防止策の実施状況を確

実にフォローアップすること。

JICAにおける不正事案への対応を確認したところ、平成 24 年度に発覚し

た不正事案3件のうち2件は、不正事案の把握から対応措置の発表まで6ヶ月以

上経過していた。この内1件は、無償資金協力の事案であり、平成 20 年度にJ

ICAが無償資金協力を実施することになってから初めての不正事案であった。

発覚した不正事案 把 握 時 期 措 置 日

ガイアナ無償案件に関する事案 平成 24 年 8月 平成 25 年 2月 19 日

バングラデシュ調査案件に関する事案 平成 24 年 6月 平成 25 年 2月 28 日

フィリピン共和国派遣中の専門家に関する事案 平成 24 年 12 月 平成 25 年 2月 7日※

※契約解除日を記載

現行のJICAの規程を確認したところ、職員倫理規則、コンプライアンス・

マニュアル等の不正行為を未然に防止するための倫理に関する規程、独立行政法

人国際協力機構契約競争参加資格停止措置規程等の不正行為を行った者に対す

る措置要領等は定められているものの、不正事案が発覚した場合の処理手順が定

められていないことが、不正事案への対応に時間を要する一因となっていた。

援助を実施するためにJICAが契約を結んだ専門家に関しては、当該専門家

個人との契約であるため、法人にのみ適用される独立行政法人国際協力機構契約

競争参加資格停止措置規程は適用されない。したがって、不正事案を起こした場

合に、非違性が高い事案については、契約が解除されることになるものの、不正

事案を起こした専門家に適用する明確な対応規定が定められていなかった。

なお、フィリピン共和国派遣中の専門家の措置事案については、故意に基づく

悪質な事案であったため、かかる非違行為を防止する観点から、JICAにおい

ても有識者を含む再発防止検討委員会を開催し、6月 27日に再発防止策が提言さ

れている。

JICAが実施する

無償資金協力・技術協力

の案件については、不正

事案が発生した場合、対

応に時間がかかってい

る例がみられる。

迅速な対応が行われ

るようJICA内部で

規程等が定められてい

るか否か等を確認する。

― 22 ―

Page 25: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (12)独立行政法人国際協力機構の国内支援要員

(プログラムコーディネーター)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:146,919 百万円の内数

平成 24 年度:145,379 百万円の内数

所管 外務省 組織 外務本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

○事案の概要・目的

(独)国際協力機構(以下、JICA)は、開発途上国の行政官等に対する研修事業を効果的かつ効率的に行うため、JICAの国内拠点(北海道国際センター、

中部国際センター、関西国際センター、中国国際センター、九州国際センター、沖縄国際センター)に、プログラムコーディネーターを配置している。

○プログラムコーディネーターの業務内容

JICAは、開発途上国の研修事業に対するニーズにより効果的かつ効率的に応えるため、各分野課題について、研修案件の整理、改善を横断的に進める

ための調整を担う機能を国内拠点に設定している。プログラムコーディネーターは、こうした国内拠点において前記にかかる調整を促進するための以下

にかかる業務を行うため、各国内拠点に配置されている。

・ 各分野課題別の研修(課題別研修(※))のグランド・デザイン案の作成

・ 課題別研修の年次計画案の検討

・ 国内の事業資源(人材、組織、教材)に関する情報の体系的整理

・ 各分野課題の標準的な研修内容に関する教材(技術協力コンテンツ)の計画策定、開発、研修の実施

・ 担当分野の帰国研修員の活用の促進に係る業務

当該人材は、途上国のニーズに即した質の高い課題別の研修プログラムを形成するために、国内拠点の職員に不足している各分野の専門性を補う観点か

ら、JICA 専門家、国際機関等での海外プロジェクトの経験者、研修委託先等の経験を有する者とし、平成 20年度から配置してきている。

(※)課題別研修とは、農業開発、運輸交通、産業開発、保健医療、教育などの各分野課題に関し、当該分野の開発を担っている人材を研修員として日本

に招き、必要とする知識や技術に関する研修を、地域の強みを活かして行っているもの(例:帯広では、食料生産基地としての特色を活かし、環境対応型

農業をテーマにした研修を実施)。

― 23 ―

Page 26: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (12)独立行政法人国際協力機構の国内支援要員(プログラムコーディネーター)

JICA は、本部内に経済基盤開発部、

人間開発部、地球環境部、農村開発部

及び産業開発・公共政策部といった各

開発課題に合わせた事業部を擁してお

り、各事業部は実際に支援事業を行う

中で蓄積された各開発課題にかかる知

見を有している。

そうした事業部が有する知見を研修

事業に活用することで、研修の質の一

層の向上を図るべきである。

こうした考えの下、現在プログラム

コーディネーターが行っている業務の

うち、各国内拠点が自ら行わなければ

ならないものが存在するかを検証した

上で、研修事業がより効果的・効率的

に行われるような、実施体制の見直し

が必要である。

・プログラムコーディネーター(H20~、10 名)は、それぞれのセ

ンターの特色を活かした研修内容の充実を図るため、現在 6センタ

ーに配置され(各センターの担当分野課題はカッコ書きの通り)、

国内での受入研修の質的向上のための案件形成等を行っている。

・JICA 北海道(農業開発)

・JICA 中部(民間セクター開発)

・JICA 関西(中小企業振興、環境管理、防災、教育、保健)

・JICA 中国(教育)

・JICA 九州(自然環境保全/公害対策)

・JICA 沖縄(情報通信)

⇒ 各々のセンターの事業内容、特色を把握した上で研修の案件形

成を行う必要性は理解できるが、一方で JICA 本部においても各

開発分野の事業を通じたノウハウは蓄積されており、こちらで研

修の企画立案を行うことも可能と考えられる。

プログラムコーディネーター

の業務内容等を精査し、正規職員

とは別にコーディネーターを採

用する必要性の有無、その規模の

適正性等につき検証する。

― 24 ―

Page 27: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (13)輸出入貨物分析機器整備経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:279 百万円

平成 24 年度:355 百万円

所管 財務省 組織 財務本省

税 関 会計 一般会計

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

WCO

(世界税関機構)

税関

分析部門

通関部門 分析回答

分析依頼

輸出入申告

≪依頼分析の流れ≫

財務省関税局

財務省

関税中央分析所

分析回答

分析依頼

輸出入業者

分析依頼

分析回答

(事業の概要)

○ 9税関(函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄地区)では輸出入貨物につ

いて、品目ごとに定められた関税の徴収や社会悪物品(麻薬、拳銃等)の水際取締り等を行うため

に通関部門で審査・検査を行っている。通関部門で品目の分類等が困難なものについては分析部門

で分析を行っている。また、農水産品などの輸入割当貨物や不正薬物などの輸入してはならない貨

物の特定のための分析も行っている。

○ 関税中央分析所は、高度な専門知識や高性能な分析機器をもとに、税関の分析部門やWCO(世

界税関機構)で分析が困難な品目について分析を行っている。また、新たな分析法及び輸入貨物等

取締検査機器の調査・研究並びに税関への技術指導等を行っている。

(調査の対象)

関税中央分析所及び9税関

≪取締検査機器の調査・研究の流れ≫

基礎調査

基礎研究(※)

調査研究(※)

実用化へ

※ 外部有識者による

調査研究評価検討

会で、計画の事前

評価及び研究結果

に対する事後評価

が行われる。

― 25 ―

Page 28: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (13)輸出入貨物分析機器整備経費

1.分析機器の購入・更新経費

(1) 関税中央分析所及び9税関で保有している分析機器は129種類562台であり、分析機器の

使用実績については、(表1)のとおりであった。保有する機器のうち、年間を通じて使用実績が少

ない機器(概ね年5回以下)は24.0%であった。

(2) 使用実績が少ない機器のうち、重複して保有している機器は32種類107台であり、全機器数

の19.0%であった。(表2)

(3) さらに、使用実績が少ない機器について、購入価格で分類してみると、購入価格が500万円

以上の高額機器が29台(全機器数の5.2%)あった。(表3)

(4) 関税中央分析所で保有している分析機器をリース・購入の別で分類したものが(表4)である。リ

ース機器についてはすべて、5年間の国庫債務負担行為を利用したリースとなっており、再リース

を行っている機器はなく、すべて再調達していた。

なお、購入した分析機器については、耐用年数を超えて使用しているものが多数見受けられ

た。

1.分析機器の購入・更新経費につ

いて

・使用頻度の低い分析機器について

は、関税中央分析所もしくは検査実

績の多い主要な税関に集約化する

ことで購入経費を節減する余地が

ないか検討すべき。

・「重複して保有している機器」、「購

入価格が高額な機器」については、

耐用年数等にこだわることなく、より

慎重に更新の可否を検討すべき。

・特に関税中央分析所におけるリー

ス機器については、リースによる使

用から購入に切り替えることやリー

ス終了後に再リースをすることで、

経費の節減をする余地がないか検

討すべき。

1.分析機器の購

入 ・更新 経費に

ついては、使用

実態を踏まえた

機器の購入とな

っているか。

(表1) 保有状況(使用実績別)法令等の変更により、現時点で不用となっているもの

使用実績が少ないもの(概ね年5回以下)

使用実績が比較的多いもの(概ね年6回以上)

常時使用しているもの

関税中央分析所 4 43 67 32 146

税関 7 92 227 90 416

計 11 135 294 122 562

2.0% 24.0% 52.3% 21.7% 100.0%

(表2) 使用実績の少なかった機器の重複状況

重複なし 重複あり 計

種類数 28 32 60

台数 28 107 135

(表3) 使用実績の少なかった機器の1台あたり購入価格別分類

50~100万円 100万~200万円 200万~500万円 500万~1000万円 1000万円以上 計

関税中央分析所 10 9 10 12 2 43

税関 30 27 20 11 4 92

※関税中央分析所には、リース4台分を含んでいる。

(表4) 関税中央分析所における機器の保有状況

リース 購入 計

台数 39 107 146

― 26 ―

Page 29: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (13)輸出入貨物分析機器整備経費

2.取締検査機器等の調査・研究経費

(1) 平成20年度以降、関税中央分析所が行った取締検査機器等の調査研究は12件であり、平

成20年度から平成25年度にかけて行った調査研究で終了したもの(5件)のうち、実用化に

至ったものはなかった。(表5)

実用化に至らなかった理由としては、「基礎研究の結果、実用化困難が判明」が2件、「想定

していた実験結果が得られなかったため」が1件、「基礎研究が終了し、次の段階へ継続したも

の」が2件であった。

2.税関における取締

検査機器の導入に

向けた調査・研究に

ついては、段階ごと

の検証が適切に行

われ、実用化を見据

えた計画となってい

るか。

2.調査・研究経費について

(1) 過去5年間で実用化に至った研

究がないことを踏まえ、予算の集中

投資及び実用化に至らなかった理

由の分析や計画策定方法の見直し

など、より実用化を見据えた方策を

講じるほか、調査研究評価検討会

等による検証をPDCAサイクルの

観点から十分に機能させるべき。

(2) 調査研究期間が5年以上と長い

ものがみられるが、継続研究の必

要性は考慮できるものの、長期に

わたる調査研究は、実用化に成功

した技術や機器の現場への導入が

遅れるだけでなく、期間・費用と成

果の関係が不明確になることから、

基礎研究にかかる期間の大幅な短

縮を図るなど、調査研究期間の短

期化に努めるべき。

(表5) 調査研究実績(H20年度以降)

開始年度

終了年度

決算額(千円)(H25以降は予算額)

実用化の有無実用化の状況 又は

実用化に至らなかった場合の理由

研究A H20 H21 23,363 無 基礎研究の結果、実用化困難が判明

研究B H20 H21 5,764 無 基礎研究の結果、実用化困難が判明

研究C H20 H23 39,753 無(Hに継続) 想定していた実験結果が得られなかったため

研究D H21 H23 21,105 無(I に継続) 基礎研究が終了し、試作機の作製段階へ継続

研究E H22 H25 43,995 継続中 -

研究F H23 H24 18,501 無(Jに継続) 基礎研究が終了し、検証段階へ継続

研究G H23 H25 19,950 継続中 -

研究H H24 H26 30,240 継続中 -

研究 I H24 H27 19,472 継続中 -

研究J H25 H28 10,330 調査中 -

研究K H25 H26 9,870 調査中 -

研究L H25 H28 12,348 調査中 -

(2) また、左記(表5)のうち、5年以上継続

して研究しているものは3件であり、研究

開始から研究終了まで通算で5~7年と

長い期間を要しているものがみられた。

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

研究C 研究H

研究 I研究D(基礎研究)

研究F(基礎研究) 研究J

このような結果となった原因として、段階ごとの計画の見直しや過去の研究実績からのフィ

ードバックが有効に機能していなかった可能性が考えられる。

― 27 ―

Page 30: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (14)税理士試験に必要な経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:281 百万円 平成 23年度:153 百万円 平成 21 年度:143 百万円

平成 24 年度:255 百万円 平成 22年度:157 百万円 平成 20 年度:138 百万円

所管 財務省 組織 国税庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

○税理士試験は、税理士法(昭和 26 年法律第 237 号)に基づき、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし

て昭和 26年から毎年 1回、国税庁に設置されている国税審議会が実施する国家試験である。

○試験科目

【税法に属する科目(税理士法第 6条第 1号)】

「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税又は事業税」「固定資産税」の中から 3科目を選択(所得税法又は法人税

法のいずれか 1科目は必須)

【会計学に属する科目(税理士法第 6条第 2号)】

「簿記論」「財務諸表論」の 2科目必須

○合格基準

合格科目が会計学に属する科目 2科目及び税法に属する科目 3科目の合計 5科目に達したときである。

なお、税理士試験は科目合格制であり、受験者は一度に 5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっている。

○受験手数料

実費を勘案して政令で定める額(税理士法第 9条第 1項)で、受験科目が 1科目の場合 3,500 円、2科目以上の場合は 1科目につき 1,000 円加算され、最大

5科目受験した場合は 7,500 円となる(税理士法施行令第 6条の 2)。なお、現在の受験手数料は平成 12 年度に改正されたものである。

○試験の実施経費

税理士試験の実施経費としては、会場借料、賃金経費、印刷製本費、採点料などがあげられる。

― 28 ―

Page 31: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

1.コスト面での効率化の検討 (1) 試験実施経費の推移

試験実施経費の平成 20~24 年度までの実績は表 1 のとおりであり、そのうち割合が大きいのが、会

場借料等、賃金経費、印刷製本費及び採点料であった。なお、平成 23 年度に試験実施経費が大きく増

加しているが、これは会場借料等の増加の影響が大きい。

試験実施経費には表 1のほか、職員人件費やシステム

関係経費などあるが、これらの経費について、試験実施

に見合う金額が算出されていなかった。 (2) 試験実施経費のうち主な増減分析

① 会場借料等について

試験会場は、教育施設等に空き状況等を照会し情報収集を行い、公募を実施した上で決定していた。

会場借料等について平成 20~24 年度まで 5 ヶ年間を施設ごとに集計し、受験申込者数で割った受験

申込者 1人あたりの会場借料経費を調査した結果が表 2である。試験会場を教育施設とした場合、他の

施設よりも受験申込者1人あたり半額以下であった。

また、平成 23 年度から会場借料等が大きく増加した国税局を分析してみると表 3のとおりであった。

東京国税局及び大阪国税局において会場借料等が平成 22 年度よりも3倍以上に伸びていた。いずれの

国税局においても平成 22年度までは教育施設を借用していたが、平成 23 年度においては教育施設など

の安価な会場を借用できなかったことから、高額なコンベンション・センターや貸し会議室を借用して

いた。

② 印刷製本費について

税理士試験の印刷製本は一般競争入札で行われており、仕様書における印刷作業場所の要件を見直し

た結果、平成 23年度から従前より低い価額で落札されるようになるなど、一定の効率化が認められた。

表2

施設概要

会場数受験申込

者数(人)

会場借料

(千円)

会場借料/会

場申込者数

(円/人)

貸し会議室 9 5,441 20,637 3,793

コンベンション・センター等 32 123,458 322,559 2,613

研修施設 6 9,732 17,954 1,845

教育施設 38 169,016 125,048 740

計 85 307,647 486,198 1,580

表3

受験申込

者数(人)

会場借料

等(千円)

受験申込

者数(人)

会場借料

等(千円)

東京国税局 27,371 25,772 28,453 77,749

大阪国税局 12,386 7,486 12,163 44,381

その他 23,239 22,955 19,359 43,551

計 62,996 56,213 59,975 165,681

平成22年度 平成23年度

表1<決算額> (単位:千円)

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度

会場借料等 57,079 58,992 58,295 167,784 171,213

賃金経費 36,712 36,728 37,565 34,017 36,871

印刷製本費 28,051 31,809 31,788 20,049 19,303

その他採点料等 45,435 42,127 39,651 42,072 41,156

計 167,277 169,656 167,299 263,922 268,543注1 この他に職員人件費やシステム関係経費などの経費がある。

注2 「賃金経費」及び「その他採点料等」には税理士試験の免除事務に係る経費が含まれている。

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (14)税理士試験に必要な経費

1.調査結果のとお

り、試験実施経費が

近年大幅に増加して

いることを踏まえ、

試験実施経費の総額

について検証を行う

べきである。

また、税理士試験

における最大の経費

は試験会場の借料で

あるため、可能な限

り安価な教育施設等

を使用し当該経費の

効率化に努めるべき

である。

加えて、印刷製本

費のように仕様書な

どの見直しによりコ

スト面の効率化を図

れるところについて

は引き続き効率化を

図るべきである。

1.試験問題・答

案用紙等の印刷

製本費、試験会場

の確保に係る経

費、事務補助等に

係る賃金等税理

士試験に必要な

経費が増えてお

り、現状より安価

な試験会場がな

いか等コスト面

での効率化の余

地がないか。

― 29 ―

Page 32: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

表4 (単位:人、千円)

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度

受験申込者数 63,409 62,830 62,996 59,975 58,453

受験手数料収入額 261,887 257,982 259,844 247,292 241,051試験実施経費注1 この他に職員人件費やシステム関係経費などの経費がある。

注2 「賃金経費」及び「その他採点料等」には税理士試験の免除事務に

    係る経費が含まれている。

167,277 169,656 167,299 263,922 268,543

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (14)税理士試験に必要な経費

2.受験手数料の妥当性

平成 20 年度~平成 24 年度まで 5ヶ年間の受験申込者数、受験手数料収入額及び試験実施経費が表 4

である。受験手数料収入額及び受験者申込者数はともに減少傾向であった。

試験実施経費と受験手数料収入額とを比較をすると、職員人件費及びシステム関係費を除いた額であ

っても平成23年度及び平成24年度においては受験手数料収入額を試験実施経費が上回っている状況に

あった。

2.必要経費に見

合った受験手数

料となっている

か。

2.上記1により税

理士試験に必要な経

費の効率化を行った

場合においてなお経

費が受験手数料収入

を上回ることとなっ

た場合には、引き続

き経費の効率化を行

うとともに、平成 12

年度以来改正してい

ない受験手数料につ

いて、税理士法第 9

条の「受験手数料は、

実費を勘案して定め

る」に基づき改正の

検討を行うべきであ

る。なお、受験手数

料の改正には、税理

士法施行令の改正が

必要となる。

― 30 ―

Page 33: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (15)義務教育費国庫負担金 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,487,872 百万円

平成 24 年度:1,557,528 百万円

所管 文部科学省 組織 文部科学本省 会計 一般会計 調査区分 共同調査

取りまとめ財務局 (東海財務局)

①調査事案の概要 ②調査の視点

事案の概要

公立小中学校の教職員数は、①標準法(注)に基づき児童生徒数等を勘案し算定される教職員数(基礎定数)と②教育上

特別の配慮を必要とする事情等に充てるため追加措置する教職員数(加配定数)とで算定されている。

各都道府県は、国の標準法で定められた教職員数(基礎定数)を各都道府県で定めた基準により弾力的に配置すること

ができることとなっており、この都道府県の基礎定数の配置状況を調査するもの。

(注)公立の義務教育諸学校の学級規模と教職員の配置の適正を図るため、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法

律」(昭和 33 年法律第 116 号)(以下「標準法」という。)により学級編制及び教職員定数の標準が定められている。

一部の都道府県におい

ては、基礎定数の一部を

少人数学級等政策的な目

的に活用している。

こうした基礎定数の活

用状況を調査し、今後の

効果的な教職員配置の在

り方について検討を行

う。

※被災児童生徒の学習支援等への対応のための加配定数(1,000 人)を含む(東日本大震災復興特別会計)。

― 31 ―

Page 34: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

1.基礎定数の活用状況について

文部科学省調査において基礎定数の一部を少人数学級へ活用しているとさ

れた 15 府県について実地調査を実施した。

その結果、基礎定数の 4.2%を政策的な目的に活用している県から基礎定

数の 0.4%の活用に留まる県まで、基礎定数の活用状況にばらつきがあった。

また、15 府県を平均すると基礎定数の 1.2%を政策的な目的に活用してい

た。(表 1)。

基礎定数の一部を政策的な目的に活用するには、基礎定数として配分され

る定数より実際の教職員配置を抑制する必要があるが、学校毎の定数配分に

係る端数(1人未満)を切り下げて配置するほか、担任外教員の配置の抑制、

小中隣接校での校長併任、教頭の複数配置を行わない等の工夫が行われてい

る。

2.具体的な活用先について

基礎定数の活用先も府県毎に大きく異なる。例えば、小3以降の 35 人以下学級(*)

を実施していないD県やF県においては、特別支援教育(D県)や生徒指導(F県)に

重点的に配分する一方、県独自に小3以降の 35 人以下学級を実施しているA県やE県に

おいては少人数学級への活用割合が高い(表 2)。

学校を取り巻く環境や課題が異なることを背景に、各県で教員配置の優先順位が異な

るものと考えられる。

(*)小1の 35 人以下学級は法制化され、小 2 も全国的に実施が可能なよう加配

定数で措置されている。

総 括 調 査 票

事案名 (15)義務教育費国庫負担金

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.少子化の下、こども当たり教員数が

増える構造にある中で、効果的・効率

的な教員配置を行う観点から、基礎定

数の一部を各地域・学校ごとの特性・

課題に対応する配置に積極的に活用

していく必要がある(仮に全都道府県

で基礎定数の 4.2%を活用すれば、2.7

万人を活用できることになる)

例えば、基礎定数を積極活用してい

る県に加配定数を優先的に措置する

ことにより、教職員定数の効果的・効

率的な配置を促すなどの方策を検討

する必要がある。

2.県によって学校を取り巻く環境や課

題が異なることを背景に、教員配置の

優先順位は異なることを踏まえ、国と

しての施策を考える必要がある。

― 32 ―

Page 35: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (16)国立大学法人の資産(土地)活用状況調査 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:54,101 百万円(国立大学法人施設整備費)

平成 24 年度:54,570 百万円(国立大学法人施設整備費)

所管 文部科学省 組織 - 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要 ②調査の視点

【事案の概要】 1.国立大学法人等の資産(土地)活用の状況

○ 国立大学法人の資産の大半は、国立大学が法人化された際に、教育・研究等に必要なものとして、国から出資されたものである。

○ 国立大学法人等施設実態報告によれば、国立大学法人等の施設については、教員の増加等により必要面積は伸び続けているが、

必要整備面積に見合う整備状況となっていないとされている。

○ 国立大学法人等が出資された資産(土地等)を譲渡したときは、国立大学法人法等に基づき、文部科学大臣が定める基準により

算定した額(原則、納付算定対象額の1/2)に相当する金額を独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「財務・経営セ

ンター」という。)に納付することとなっている。

○ 財務・経営センターに納付された金額は、全ての国立大学法人等の施設等整備に活用される。また、処分した国立大学法人等は

納付した残りの金額を自ら活用できる。

2.調査の目的

○ 本調査により、国立大学法人等の所有する土地について、建ぺい率・容積率、校舎敷地・課外活動施設などの用途、もっぱら職

員のみのための施設等の状況を調査し、土地の有効利用、処分を促す。

○ 各国立大学法人等における資産(土地)の処分等の検討(効果的な利用検討を含む)を行う場合の学内体制を確認し、体制整備

を促す。

【参考①】国立大学法人施設整備費予算の推移 【参考②】国立大学法人等施設の必要面積・保有面積の推移

(一般会計ベース) (出所:国立大学法人等施設実態報告)

1.国立大学法人の資産(土地)活用

の実態はどのようになっているか

① 主要団地のほかにどのような

資産(土地)を保有しているか保

有実態確認

② 現行の団地の建ぺい率・容積率

の実態と法定建ぺい率・容積率と

の比較分析 等

2.国立大学法人の資産(土地)活用

にあたっての学内体制はどのよう

になっているか。

○調査対象

国立大学法人等

(86 国立大学法人、4大学共同利用機関

法人)

○調査対象資産(土地)

国立大学等の土地全て(所有、借用)

調査方法:アンケート調査

箇 所 数: 90 法人、約 2,000 団地(※)

※ 団地とは、国立大学法人等施設実態

報告において、各国立大学法人等にお

ける一つの面的まとまりの土地を、「○

○団地」として整理しているもの

― 33 ―

Page 36: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (16)国立大学法人の資産(土地)活用状況調査

1.資産(土地)活用の実態について

建築基準法上の建ぺい率・容積率と実態を

比較すると差があることから、資産(土地)

活用が十分に行われていないのではないか。

・ 土地の処分や容積率の活用により、資産

の活用(固定資産から流動資産)による法

人の教育研究環境整備を進めることが必

要ではないか。

また、活用されている土地についても、

民間等の手法を取り入れたより効率的な

活用を進めることが必要ではないか。

2.学内体制について

上記の事項を進めるためには、土地の処

分・活用にあたって、外部有識者の参画、外

部の機関による検討など大学ガバナンス改

革に資する学内体制を整備することが必要

ではないか。

また、検証体制の整備も重要であり、監事

監査による資産の使用状況を検証する体制

を明確に整備する必要があるのではないか。

3.今後の検討の方向性

資産(土地)の有効活用のためには、今後

の大学改革において、学長のリーダーシップ

の下で主体的に取り組む学内資源配分の最

適化・可視化や監事の業務監査機能強化等の

ガバナンスが重要であり、国立大学のガバナ

ンス改革の視点に反映させるべきではない

か。

1.資産(土地)活用の実態について

①土地の使用状況 【表1】国立大学法人等の所有地の状況

国立大学法人等の資産(土地)の状況は、所有地(1,296.7k ㎡)及び借用地(22.2k ㎡)

となっており、所有地を用途別にみると、実験実習地(演習林等)が大半を占めているほか、

校舎等敷地、屋外運動場、職員宿舎敷地(384 団地(うち職員宿舎のみ 268 団地)に設置さ

れ、施設面積は 1.5k㎡(うち職員宿舎のみ 0.8k㎡))や大学課外活動施設のみの敷地 0.5

k㎡(95 団地)となっている。

また、学生等が主に教育・研究等の活動をしている主要団地は、348 団地(62.9k ㎡)と

なっている。

②土地の活用状況(建ぺい率・容積率) 【表2】建ぺい率・容積率の対比

国立大学法人の土地のうち、市街化区域(用途地域の制限の範囲内で

土地の活用が可能)は約 4.1%(53.3k ㎡)となっており、その他は、

市街化調整区域や非線引き区域となっている。

更に、市街化区域に所在する土地の建ぺい率・容積率をみると、法定

の建ぺい率・容積率と実態の建ぺい率・容積率との対比では、建ぺい率・

容積率ともに差(活用の余地)があるものとなっている。

法定の建ぺい率・容積率との差が生じている要因としては、①団地内に屋外運 【表3】A大学a団地の容積率の活用余地

動場、緑地、構内道路等の建物敷地以外が多数存在すること、②地方自治体の条

例による規制(例:高さ制限、敷地面積に対する一定割合の緑地保存など)、周

辺住民との協定(例:高さ制限、隣地境界線から建物までの空間確保など)があ

ること、③学内の自主的規制による制限(例:高さ制限、緑地保存など)をして

いること、④現有の建物・工作物などが文化財として指定・登録されていること

などがあるが、一定の制限が課されている実態を考慮しても土地の活用に一定の

余地がある。

2.学内体制について

国立大学法人等における土地の処分・利用承認にあたっては、役員会・経営協議会での検討を経て意志決定される体制となってい

るが、調査では、土地の処分・利用承認の意志決定過程において専門機関(例:施設マネジメント委員会)における検討体制が整備さ

れている法人は 50 法人となっている。なお、専門機関における検討では、学内各部等の者を構成員として全学的な体制となってい

るが、土地の容積率等の活用といった具体的な検討の有無については明確なものとはなっていない。

また、検証体制については、ほぼ全ての法人において資産の活用状況が監事監査の対象とされているものの、学内規定上の位置付

けが不明確となっている法人、一定の周期で資産の活用状況を監査対象としている法人があるなど、法人によって検証体制の状況に

はばらつきがある。

面積 参考(比較例)

所有地 1,296.7k㎡ 沖縄本島の約1.1倍

うち主要団地 62.9k㎡ 山手線内側とほぼ同じ

実験実習地 1,235.1k㎡

校舎等敷地 40.2k㎡

屋外運動場 10.1k㎡ 東京ドーム約780個分

職員宿舎 2.7k㎡

用途別

建ぺい率(建築面積)

容積率(延べ面積)

建ぺい率(建築面積)

容積率(延べ面積)

建ぺい率(建築面積)

容積率(延べ面積)

56%(29.9k㎡)

190%(101.5k㎡)

13%(6.9k㎡)

38%(20.4k㎡)

43%(23.0k㎡)

152%(81.1k㎡)

差(C=A-B)実態(B)法定(A)

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Page 37: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (17) 科学技術予算に係る分野別予算の実態調査 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,300,749 百万円

平成 24 年度:1,313,550 百万円

所管 内閣府

文部科学省 組織 - 会計

一般会計

(科学技術振興費)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

【調査事案の概要】

科学技術予算については、科学技術振興費が平成に入って 3倍になっているなど増加している一方で、質の高い論文数の引用度が主要国と比べて低水準にとどまるな

ど、有効に使われていないのではないかとの指摘がある。このような中、科学技術イノベーションを通じて我が国経済の国際的な競争力を発揮していくため、効果的・

効率的な資金配分による科学技術予算の質の向上が求められており、国家的課題に対する予算の一層の重点化や、そのための総合科学技術会議の司令塔機能の強化等が

課題となっている。

本調査では、今後の科学技術予算に関する議論の基礎とするため、現在利用可能なデータを活用し、科学技術振興費について分野別分類を行い、重点化の現状等につ

いて分析する。

【調査対象予算】

科学技術振興費(主要経費)

【各分類の集計方法】

内閣府・文部科学省では、第 3期科学技術基本計画(18~22 年度)で指定された 8分野について科学技術関係予算の集計を実施してきた(注 1)。

各分野の予算の金額は、以下の①~③の合計である。今回は、内閣府・文部科学省が集計した科学技術関係予算の分野別データを用いて、科学技術振興費について分

野別分類の集計を行う。

①内局・国研等(競争的資金除く):内閣府・文部科学省が各省に問合せた科学技術関係予算事項別の集計データを基に算出。

②競争的資金:府省共通研究開発管理システム(e‐Rad)において、研究者が登録する 8分野毎のデータ(前々年度の実績)を基に按分)。

③独立行政法人(競争的資金除く):独法の運営費交付金は、内閣府が当該独法の所管省庁に問合せ、提示された 8 分野毎のデータ(前年度)を元に人件費等の割合を

加味し、按分(独法の運営費交付金は予算成立時に使途の詳細が確定されないため、過去の実績を基に分野毎に配分)。

(注)上記 8分野は現在の第 4期科学技術基本計画(23 年度以降)においては使われていない分類であるが、過去からの推移を見る上で同じ方法により集計を行っ

ているものである。

― 35 ―

Page 38: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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事案名 (17) 科学技術予算に係る分野別予算の実態調査

②調査の視点 ③調査結果及びその分析

④今後の改善点・検討の方向性

[分析の前提] 1.一般会計における主要経費の 1 つであり、科学技術の振興を主目的とする科学技術振興費について、第 3 期科学技術基本計画(平成 18~22 年度)において重点化の対象とされた以下の 8分野及びその他の 2分野(計 10 分野)への予算の配分状況を分析した。 ① 重点推進 4分野 : 「ライフサイエンス」、「情報通信」、「環境」、「ナノテクノロジー・材料」 ② 推進 4分野 : 「エネルギー」、「ものづくり技術」、「社会基盤」、「フロンティア(宇宙・海洋等)」 ③ その他 : 「基礎研究/人材育成」、「システム改革等」

2.データは、内閣府・文部科学省が各省と調整しとりまとめている科学技術関係予算の分類によるものを使用した。科学技術関係予算は、科振費に加えて、教育やエネルギー対策等を主目的とするが、間接的に科学技術の振興にも役立つ経費を対象に含めたものである(両者の関係について(参考 3))。本データを用いて科振費について分野別分類の集計を行った。

(注)科学技術予算には、公募を通じて研究の目的や手法の提案を募り、これを審査して研究内容の詳細や研究者を決定する競争的資金の形式をとるものが多い。これらの事業は、研究テーマや研究者の確定が予算執行後となるため、分野分類に際しては、一定の前提の下で過去の執行実績を用いた推計を行っている。試算(各分類の集計)の前提の詳細については(参考 4)を参照。

[分析の結果] 1.(参考 5)にあるとおり、「①重点推進 4 分野」の総額が科振費総額に占める割合は、平成 13 年度(42.7%)→18 年度(42.8%)→22 年度(39.4%)→25 年度(41.6%)と、大きな変動がなく、むしろ科振費の総額が増えている中でその割合は低下している。また、「②推進 4分野」については、18 年度(18.7%)→22 年度(21.1%)→25 年度(20.4%)と、近年その割合に大きな変動が見られない。 2.8 分野への配分の推移は(参考 6)のとおりであり、近年(18~25 年度)の推移を見ると、「エネルギー」の増(+1.0%ポイント)、「ナノテクノロジー・材料」の増(+1.2%ポイント)、「社会基盤」の減(▲1.5%ポイント)といった一定の変化はあるが、「ライフサイエンス」(20%程度)、「フロンティア(宇宙・海洋等)」(13%程度)、「情報通信」( 8%程度)、「環境」・「ナノテクノロジー・材料」(6%程度)といったシェアの構造に大きな変化は見られない。

(注)「エネルギー」については、今回の集計結果のほかに、科振費に含まれないが科学技術関係予算に含まれる経費としてエネルギー対策費等がある。

1.今回調査対象とする科学技術振興費(以下、科振費)は平成元年度比で約 3倍と社会保障関係費の伸びを上回る伸びで増加している(参考 1)。一方で、質の高い論文数が引用度でみても主要国と比べて低水準にとどまるなど(参考2)、科学技術予算が有効に使われていないのではないかとの指摘がある。 2.このような中、科学技術予算の一層の重点化が課題となっている。今般閣議決定された日本再興戦略においても、総合科学技術会議の司令塔機能を強化し、科学技術関係予算を府省横断的に重点配分していくことが謳われている。 3.本調査では、今後の科学技術予算に関する議論の基礎とするため、科振費の分野別配分状況について、「予算の重点化」に着目した分析を行う。

1.科学技術予算全体の質を改善していくためには、主要な国家的課題に対してメリハリをつけた重点的な投資を行っていくことが有効である。しかしながら、科振費については、「①重点推進 4 分野」の予算の総額が科振費の総額に占める割合が低下してきており、かつ各分野のシェアも 18 年度以降大きな変動がなく、予算の重点化が進んでいない。 2.戦略的な重点化を図るため、26 年度予算では、府省の枠にとらわれず、総合科学技術会議が自ら重点的に予算を配分する「戦略的イノベーション創造プログラム(仮称)」を創設することとされているが、これにとどまらず、科学技術予算全体の配分について、大きな観点から戦略的な再配分を検討していく必要があるのではないか。その際、各種の構造的な問題に対し政策誘導的に対処する事業を含む「システム改革等」分野に該当する事業について(25 年度予算では 1,549 億円(参考 7))、構造的な問題の解決へ向けた取組みを推進しつつ、重点的に事業の見直しを行うべきではないか。

― 36 ―

Page 39: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

4,4804,755

5,0745,478

5,9446,364

6,844

7,588

8,4938,907

9,630

10,183

11,124

11,77412,298

12,84113,170

13,31213,462

13,62813,777

13,33413,352

13,13513,007

671325

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

13,806

13,332

24

1

1

20092011 23

1

22

2

3

24 4,404

4

― 37 ―

Page 40: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

5

13 /

6

13 257

13 /

― 38 ―

Page 41: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (18)文化芸術による次世代人材育成プロジェクト

(次代を担う子どもの文化芸術体験事業)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:4,784 百万円

平成 24 年度:4,502 百万円

所管 文部科学省 組織 文化庁 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 福岡財務支局

①調査事案の概要 ②調査の視点

1.文化庁事業と地方単独事業の事業内容(費用を含む)と効果

2.子どもたちの文化芸術体験機会向上の

ための取組み 3.ユーザー(学校側)から見た文化庁事業

の使い勝手

【事業目的】 本事業は、小学校・中学校等において一流の文化芸術団体による巡回公演を行い、又は小学校・

中学校等に芸術家を派遣することにより、次代の文化の担い手となる子どもたちの発想力やコミュニケーション能力の育成を図り、将来の芸術家の育成や国民の芸術鑑賞能力の向上につなげることを目的とし、巡回公演事業(※1)及び派遣事業(※2)を実施している。 (※1)一流の文化芸術団体(オーケストラ、バレエ、演劇等)が、学校の体育館等で公演を実施するほか、事前

ワークショップや公演時に子どもたちとの共演を行う

(※2)個人の芸術家や小グループの芸術家を学校等に派遣し、講話、実技披露等を行う

【調査対象】 ・都道府県及び政令指定都市(以下、都道府県等という)の文化庁事業(※3)担当部署 (以下、教育委員会等という):67 先

(※3)本事業(次代を担う子どもの文化芸術体験事業)

・都道府県等の地方単独事業(※4)担当部署(以下、地方単独事業課という):67先 (※4)文化庁事業以外で、自治体が主体となって企画・実施する子どもたちへの文化芸術体験事業

・公立の小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部・中学部 (以下、学校という):4,672 校

【調査対象年度】 平成 24 年度(一部過去の実績を含む)

【有効回答数】 ・教育委員会等:66/67 先 ・地方単独事業課:51/52 先

※67 先のうち地方単独事業を実施していない都道府県等 15 先を差し引いた 52 先

・学校:4,117/4,626 校(89%) ※4,672 校のうち回収期限までに廃校等により回収が不可能と判明した学校及び調査票の提出はあった

ものの全問未回答であった学校を差し引いた 4,626 校

― 39 ―

Page 42: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

③実物の体験

44%

②興味を引く

分野の選択

5%

①体験回数

1%

④公演者との

距離感

13%⑤友達と感動

を共有

2%

⑥文化芸術に触れる

きっかけ

11%

⑦何かを感じ、

何かを心に残す

19%

⑧個性や特技

の発見

1%

⑨郷土ゆかりなど

身近な体験

1%

⑩一流

3%

⑪学校行事に取り入れる0.1%

⑫わからない 0.3%

③調査結果及びその分析

平成24年度における文化庁事業と地方単独事業の実績を見ると、文化庁事業(巡回公演事業)の対象公演団体である87団体のうち、17団体が地方単独事業においても、合計で133回にわたり公演を行っている事例が認められた。 また、当該17団体の両事業における1公演当

たりの公演費用と体験人数について調査を行ったところ、公演内容等の違いはあるものの、大多数の地方単独事業が文化庁事業より安価な費用で実施されており、1公演当たりの体験人数についても文化庁事業と同等数またはそれ以上の体験人数が認められた。その結果として、1人当たりの公演費用についても、大多数の地方単独事業が文化庁事業より大幅に安価となっている。【表1】

2.子どもたちの文化芸術体験機会向上のための取組み

(2)学校は子どもの変化の要因として「実物の体験」を最も重要と認識している

④ なお、学校を対象に、文化庁事業に対する意見・要望について調査を行ったところ、「一流だけでなく幅広い文化芸術体験ができるよう工夫してほしい」との回答が14%となっていたほか、「郷土ゆかりの地方文化芸能がもっと体験できるよう工夫してほしい」との回答が17%あり、幅広い文化芸術体験を求める声もあった。

② 教育委員会等から文化庁への申請に当たって、教育委員会等において推薦順位を付けた上で文化庁へ申請することとなっている。しかし、教育委員会等を対象に申請校の決定プロセスについて調査を行ったところ、「申請があった学校をすべて文化庁へ申請している」との回答が92%を占め、推薦順位の付与に当たり、特段の審査・選定を行っていないケースが多いことが認められた。

③ 一方、平成24年度の事業実績を見ると、巡回公演事業と派遣事業の両方を実施した学校が96校認められており、それとは反対に、学校に対する調査の結果では「申請はしたものの平成23年度もしくは平成24年度に一度も採択されなかった」と回答した学校が86校認められている。

(2)合同開催に関する説明や打診が不足しており、合同開催の実施率も低い

③ 平成23年度もしくは平成24年度に文化庁事業を実施した学校を対象に、「教育委員会等から合同開催に関する説明や実施検討の打診があったか」について調査を行ったところ、「説明はなかった」との回答が74%、「実施検討の打診なし」との回答が88%となっている。

また、「複数校による合同開催実施を一度でも検討したか」との質問に対しては、「学校では検討を行っておらず、教育委員会等からの打診もなかったため実施していない」との回答が49%、「学校で検討を行ったが実施していない」との回答が25%となっており、「合同開催が可能であることを知らなかった」との回答も8%あった。 このことは、教育委員会等の学校に対する情報発信不足が少なからず影響してい

るものと思料される。

1.文化庁事業と地方単独事業の事業内容(費用を含む)と効果

(1)文化庁事業と地方単独事業の双方で公演している団体がある

① 平成23年度もしくは平成24年度において文化庁事業を実施した学校を対象に、「文化芸術体験の後、子どもたちにどのような変化が現れたと感じるか」について調査を行ったところ、何らかの変化を感じた(例えば、心の豊かさを高める、文化芸術に親しみ理解を深めることが出来たなど)と回答した学校は、ほぼ全校(99%)となっており、一定の事業効果が確認された。

② 子どもたちに変化をもたらす要因を把握するため、学校を対象に、「子どもたちに何らかの変化をもたらした要因で最も近いものは何か」について調査を行ったところ、「教科書を通じて得た知識ではなく実物の体験を通じて経験を積んだため」が44%で最も多く、次いで「子どもたちが何かを感じ、何かを残せたため」との回答が19%となっており、「一流の文化芸術団体等による公演であったため」との回答は3%と、極めて少数であった。【表2】

③ また、教育委員会等を対象に、「子どもたちの発想力やコミュニケーション能力の育成や芸術鑑賞能力の向上を達成するために最も重要なものは何か」について調査を行ったところ、「子どもたちが何かを感じ、何か

(1)学校に対する文化庁事業の情報発信が不十分。また、不採択の学校がある中、 同一年度内に巡回公演事業と派遣事業の両事業を実施している学校もある

① 学校を対象に、「文化庁事業の募集・申請に当たって、教育委員会等から何らかの説明があったか」について調査を行ったところ、「募集案内を受け取ったのみ」との回答が61%で最も多く、「募集案内もなく何も説明はなかった」との回答も5%あった。また、文化庁事業に申請をしたことのない学校においては、「文化庁事業を知らない」と回答した学校が6%に上っている。

① 文化庁事業は複数校による合同開催を可能としているものの、平成24年度における巡回公演事業の事業実績を見ると、合同開催は208/1,293回(体験人数の11%)に止まっている。

② 合同開催の実施が可能であることを学校側に説明しているかについて、教育委員会等を対象に調査を行ったところ、「合同開催が可能であることを知っていたが学校側には特に説明を行っていない」との回答が71%、「教育委員会等として学校側に説明する必要はないと考えている」との回答が11%であった。なお、合同開催の実施が可能であることを知らない教育委員会等も認められた。

【表2】文化庁事業体験後における子どもたちの変化の要因

(単位:円、人)

1公演当たりの経費

1公演当たりの体験人数

1人単価1公演当たり

の経費1公演当たりの体験人数

1人単価

A団体 1,276,951 294 4,341 272,951 219 1,248

B団体 961,358 278 3,459 204,400 225 908

C団体 1,176,466 207 5,692 423,818 203 2,091

D団体 3,354,404 287 11,701 452,849 264 1,713

E団体 1,227,144 244 5,022 302,820 232 1,307

F団体 2,224,659 229 9,719 136,267 156 874

G団体 657,135 180 3,660 364,098 232 1,573

H団体 3,966,889 333 11,930 5,831,780 1,580 3,690

I団体 6,344,037 293 21,648 4,393,333 1,108 3,964

J団体 836,689 332 2,524 301,350 354 850

公演団体名 文化庁事業 地方単独事業

重複回数

上位10位

【表1】文化庁事業(巡回公演事業)と地方単独事業における

公演団体の経費比較

を心に残せることが重要」との回答が35%で最も多く、次いで「文化芸術に触れるきっかけを与えることこそ重要」との回答が23%、「教科書を通じて得た知識ではなく実物の体験を通じて経験を積ませることが重要」との回答が15%となっており、本事業の柱の一つである「一流の公演団体等を体験させることが重要」との回答は8%と少数であった。

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Page 43: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

区分 件数 割合

他校(共同)主催の文化芸術体験に積極的に参加することで、体験機会が

増えると感じた168/333 51%

合同開催を通じて、今後の文化芸術体験は合同で実施したいと感じた 87/333 26%

合同開催を通じて、文化芸術分野に限らず、他校との交流機会が増えると感じた

171/333 51%

合同開催を行うことによって、調整や公演準備にかかる手続きの効率化が図られると感じた

78/333 23%

合同開催を行うことによって、学校側の経費負担が軽減されると感じた 52/333 16%

合同開催を行うことによって、単独校で実施するよりも参加人数が増える

ため、より盛大な規模になると感じた193/333 58%

合同開催を行うことによって、単独校では体験できなかった「実施種目」

が体験できると感じた52/333 16%

特に効果は感じられなかった 10/333 3%

【表3】 合同開催を実施して感じた効果(複数回答可)

区分(回答率上位5位) 教育委員会等 地方単独事業課学校

(合同未実施)

合同開催の実施を国や教育委員会等が積極的にアピール

28/66先(42%) 14/51先(27%) 237/952先(25%)

学校施設にこだわらず文化(公共)施設を実施場所として活用

23/66先(35%) 33/51先(65%) 496/952先(52%)

各校が持ち回りで幹事校を担当し

事務負担を軽減12/66先(18%) 5/51先(10%) 182/952先(19%)

国や教育委員会等が学校に対して

合同開催を積極的に打診9/66先(14%) 11/51先(22%) 185/952先(19%)

事前に合同開催計画を作成しそれに沿った事業を実施

6/66先(9%) 8/51先(16%) 302/952先(32%)

【表4】 合同開催を積極的に実施するための方法(複数回答可)

1位2位 1位

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.文化庁事業の今後の在り方について

文化庁事業と地方単独事業の双方で同一の公演団体等が存在することから、両事業の芸術水準に差があるとは一概には言えず、同じ芸術団体による公演であっても、文化庁事業より地方単独事業が安価な費用で実施されている事例が認められる。 また、文化芸術を体験した子どもたちの変化は、

「実物の体験」との回答が最も多いなど、必ずしも「一流の文化芸術団体による公演」が要因というものではないことが認められるほか、学校現場からは「郷土ゆかりの地方文化芸能がもっと体験できるよう工夫してほしい」との意見も見受けられるところ。 このため、地方単独事業について十分に調査・把

握した上で文化庁事業のあり方を検討するとともに、教育委員会等や学校の意見を踏まえつつ、子どもたちの発想力やコミュニケーション能力の育成や芸術鑑賞能力の向上のために、何が重要な要素であるかを再点検し、今後の事業実施に反映することが必要である。

2.未実施校への働きかけと合同開催の推進について

文化芸術体験機会の向上のためには、未実施校での開催は重要。教育委員会等による学校への積極的な説明や文化庁における未実施校の優先採択など、教育委員会等と連携した未実施校に対する積極的な働きかけを行うべきである。 また、合同開催は、限られた財源を有効活用し、

より多くの子どもたちに文化芸術体験の機会を提供する上で有効な手法。実際に合同開催を実施した学校や教育委員会においても、合同開催の有効性や効果を感じていることが認められる。 このため、合同開催の有効性や効果について、教

育委員会等と連携しつつ積極的な情報発信を行うとともに、今後は複数校による合同開催を推進すべきである。

3.文化庁事業の実施上の工夫について

本事業が、子どもたちへの文化芸術機会の向上に資するよう、教育委員会等や学校の要望を踏まえつつ、ユーザー(学校側)にとって使い勝手の良い事業となるよう常に工夫を図るべきである。

他方、平成23年度もしくは平成24年度に文化庁事業を実施した学校のうち、実際に合同開催を実施した333/2,218校を対象に「合同開催を実施して感じた効果」について調査を行ったところ、結果は【表3】のとおりであり、「特に効果は感じられなかった」と回答した学校は、わずか3%のみとなっている。 なお、教育委員会等と地方単独事業課を対象に、「文化庁事業・

地方単独事業に関わらず、より多くの子どもたちへの文化芸術体験機会の向上のための有効策は何か」について調査を行ったところ、教育委員会等では「複数校による合同開催」が29%、地方単独事業課では22%の回答となっており、両者とも「合同開催」に一定の有効性を感じていることが認められる。

① 文化庁事業は、実施校募集案内によると「実施会場は原則として学校施設(体育館等)とする」とされている。

3.ユーザー(学校側)から見た文化庁事業の使い勝手

② また、教育委員会等を対象とした実地調査においては、以下のような意見が聞かれた。 ・文化庁事業の実施校決定時期が遅いことから、次年度の学校行事の策定時期を考慮し、決定時期を早めて欲しい。・追加募集の採択校については、第1次募集における不採択校を優先するなどの改善をお願いしたい。 ・子どもたちへの文化芸術体験は、一流にこだわるよりも本物に触れるきっかけ作りが大切。

(3)合同開催未実施の主な理由は事務面などへの懸念

平成23年度もしくは平成24年度に文化庁事業を実施した学校のうち、合同開催を実施していない学校を対象に、「合同開催を実施していない理由」について調査を行ったところ、「学校単位での文化芸術体験が望ましい」との回答が50%で最も多く、次いで「日程調整など事務が煩雑になる」との回答が45%となっている。また、最も多い回答であった「学校単位での文化芸術体験が望ましい」と考えている理由について調査を行ったところ、「学び舎で行うことで公演者との距離感が近く感じられる」との回答が56%ある一方で、「公演者との調整が容易」との回答(58%)、「体験授業と前後の授業との調整が容易」との回答(55%)など主に事務面からの理由であることも認められる。

(4)合同開催実施校の大多数は、合同開催の効果を実感している

(5)合同開催の積極的実施のためには、「文化(公共)施設を実施場所として活用する」との回答が多い

② 教育委員会等、地方単独事業課及び合同開催を実施していない学校を対象に、「どうすれば合同開催が積極的に実施されると考えるか」について調査を行ったところ、結果は【表4】のとおりであり、「学校施設にこだわらず文化(公共)施設を実施場所として活用」という回答が高くなっており、特に、地方単独事業課及び学校においては、最も高い回答率となっている。

事務手続き面など、文化庁事業に対する意見・要望は多い

① 教育委員会等、地方単独事業課及び学校を対象に、文化庁事業に対する意見・要望について調査を行ったところ、三者ともに、「申請手続き面が面倒であり工夫をお願いしたい」という回答が多く(教育委員会等56%、地方単独事業課49%、学校33%)、また、学校を対象に、巡回公演事業におけるブロック割について調査を行ったところ、27%がブロック割への弊害を感じており、その理由として、ブロックごとに選定できる芸術団体が決まっている現行スキームに対し「希望する実施種目が選択できない」(64%)、「ブロック割を減らし大括り化を図ることで実施種目の選択余地を拡大すべき」(43%)との回答となっている。

― 41 ―

Page 44: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (19)ふるさと文化財の森システム推進事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:31 百万円

平成 24 年度:31 百万円

所管 文部科学省 組織 文化庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

1.文化財建造物の保存のために必要な原材料のうち山野から供給される木材、檜皮、茅、漆等の植物性資材を安定的に確保するとともに、当該資材に関する技能者を養成し、これらの

資材や技能の確保等に関する普及啓発活動を行うふるさと文化財の森システムを推進するため、ふるさと文化財の森の設定、普及啓発事業(公開セミナー、体験学習、展示等)、管理

業務支援(平成 23 年度~、ふるさとの森の通路整備、除草、間伐等への補助)等を実施している。

2.平成 22 年度予算執行調査において、指摘した事後評価の実施状況等を確認するとともに、23 年度以降、予算額が同額となっているため、あらためて調査を実施し、事業の効率性・

経済性等を図れないか検討する。(本調査は、平成 22 年度予算執行調査のフォローアップ調査として実施。)

(参考)前回の調査結果及び反映状況

調査結果の概要 反映の内容等 1.「文化財修理用資材等に関する普及啓発事業」及び「文化財建造物保存修理公開・展示事業」について

本事業については、以下の点から「普及啓発事業」と「文化財建造物保存修理公開・展示事業」を整理統合するとと

もに、文化財建造物保存のために必要な檜皮、茅、漆等の植物性資材を安定的に確保するという本事業の目的に対して

有効かつ効率的な実施内容となるよう実施計画の審査・検証を徹底し、事業の見直し・経費の節減を図るべきである。

① 「普及啓発事業」と「文化財建造物保存修理公開・展示事業」は、いずれの事業も実施内容に講演会等、実演・体

験、パネル等展示、文化財修理現場公開・見学等が含まれており、類似した事業を実施していることから、整理統合

すべきである。

② 普及啓発事業の実施内容の一部に、音楽コンサートの開催や育成状況調査など普及啓発事業の目的にそぐわない事

業が実施されていることから、実施計画の十分な審査を行い、経費の節減を図るべきである。

③ 一部の事業を除いて、実施後のアンケート調査等事業効果の把握や定量的な分析を行っておらず、事業の事後評価

が不十分であることから、適切な事後評価を行って事業の効果を適切に検証し、事業の効率化を図るべきである。

2.地方公共団体における類似事業について

一部の地方公共団体においては、本事業と類似の事業を実施しているほか、地域の実情に応じた独自の事業を実施し

ていることから、国と地方の役割を明確にした上で、当該事業のあり方を検討すべきである。

予算執行調査の結果を踏まえ、「普及啓発事業」

と「公開・展示事業」はメニューの統合を行うと

ともに、目的にそぐわない事業が実施されていた

事実を重視し、経費の縮減を行った。

― 42 ―

Page 45: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.普及啓発事業について、

企画提案書の審査、事後

評価の実施状況を確認

し、それらの結果を踏ま

え予算の効率的な執行が

図られているか。また、

国と地方の役割を踏まえ

た適切な予算執行となっ

ているか。

2.前年度と同額の予算が

続いているが、事業の実

施状況はどうなっている

のか。また、予算積算は

適切なものとなっている

か。

1.普及啓発事業は、「文化財修理用資材等に関する国民的理解を図る」ことを目的として、国が指定す

る文化財建造物の保存修理に資する資材の育成・確保の重要性を国として啓発し、有効となり、かつ

効果が期待されるものを、事業を行おうとする団体から提出された企画提案書を審査・選定し、委託

事業として実施させている。

前回調査後、「ふるさと文化財の森システム推進専門委員会」における事業審査基準に、①事業の

実施による効果が適切に設定されていること、②事業実施に必要な組織体制、協力体制が整っている

ことの2項目を加え、選定においてこれらを考慮することとした。

事後評価については、客観的な事業の成果等を実施団体からの報告事項とはせず、積極的には実施

していなかったが、指摘を踏まえ、事業の効率化を図り、より広い視点から今後の事業の展開を図る

ため、企画提案書に効果の把握の仕方を記載させるとともに、事業報告書に成果、効果について記載

させるなど定量的な事業効果の提出を義務付けることを検討しているところである。

また、複数の事業メニューをまとめて実施するとした企画提案の中には、一部の事業メニューにつ

いては地方等の支援を受けるとして申請が行われることもあるが、相乗効果と経費節減が図れると認

められる場合には、連携して実施することとしている。この場合、国の委託事業と地方等の補助事業

を明確に区分し、重複して支援を受けることのないようにしていた。

(連携事業の実績)平成 23 年度8件実施のうち1件、平成 24 年度7件実施のうち1件

2.普及啓発事業と管理業務支援の執

行状況は、表1・2のとおりである。

普及啓発事業は、1事業当たり単

価を2百万円程度で申請させ、採択

箇所数を倍の7~8事業を採択して

いたため、結果として1事業当たり

の額及び採択箇所数に大幅な乖離が

あった。

また、管理業務支援については、

採択箇所数が予算積算を下回り、約

6割の執行率となっていた。

1.早急に、事後評価の実施について検

討結果をとりまとめ、事後評価体制を

確立するとともに、事後評価結果を事

業の実施方法等に反映させ、効率的な

予算執行を図るべきである。

また、相乗効果等の観点から地方等

と連携して実施する場合には、引き続

き、地方等との重複支援にならないよ

うに的確な審査を行うべきである。

2.予算積算を超えた事業採択は、行う

べきでなく、適切な予算執行に努める

とともに、予算積算と執行実績との乖

離の是正に努め、適切な予算規模とす

べきである。

総 括 調 査 票

事案名 (19)ふるさと文化財の森システム推進事業

(表1) 普及啓発事業

区分

予算 12,000 4事業 (@3,000) 12,000 4事業 (@3,000)

決算 11,849 8事業 (@1,481) 10,626 7事業 (@1,518)

差引 151 ▲ 4事業 1,374 ▲ 3事業

(表2) 管理業務支援(補助金)

区分

予算 13,000 10か所 (@1,300) 13,000 10か所 (@1,300)

決算 7,736 6か所 (@1,289) 7,786 6か所 (@1,298)

差引 5,264 4か所 5,214 4か所

23年度

23年度 24年度

24年度(単位:千円)

(単位:千円)

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Page 46: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (20)小児慢性特定疾患治療研究事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:12,950 百万円

平成 24 年度:12,950 百万円

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

小児慢性特定疾患治療研究事業(昭和 43 年度創設)

小児慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患にかかり、長期間の療養を必要とする児童等の健全育成

を図るため、その治療の確立と普及を図り、併せて患者家庭の医療費の負担にも資するよう、医療費の自

己負担の一部を補助。

【医療費助成】(25’予算:12,848 百万円)

○ 対象年齢:18歳未満の児童(但し、引き続き治療が必要な場合には、20 歳未満の者を含む)

○ 実施主体(補助先):都道府県・指定都市・中核市(以下、都道府県等)

○ 補助率:1/2

○ 自己負担:保護者の所得に応じて、治療費の一部を自己負担(重症認定患者は自己負担なし)

【登録管理】(25’予算:10 百万円)

小児慢性特定疾患治療研究事業の実施主体である都道府県等は、厚生労働大臣への治療研究に関する成

果の報告等を目的として、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象児童の疾患名、発症年齢、各種検査値等

の登録管理を行っている。

○ 登録管理の内容

(1)年齢、性別及び整理番号、(2)疾患名、発症年齢、現在の症状、主な検査の結果及び経過

(3)その他参考となる事項、(4)医療意見書に記載された内容

○ 実施主体(補助先):都道府県等

○ 補助率:1/2

厚生労働省

都道府県等

小慢患者

(保護者) 医師

①医療意見書(申請・継続時)

②医療意見書、同意書の提出

③疾患名等の登録管理

④報告(登録データ提出)

研究班

⑤集計・分析

⑥研究 点線は科学研究費補助金

による研究事業

<登録管理の流れ>

<医療費助成の流れ>

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Page 47: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (20)小児慢性特定疾患治療研究事業

小児慢性特定疾患治療研究事業について

は、医療費助成の役割がある一方で、データ

登録管理を始めとして治療研究事業として

の役割は形骸化していることから、治療研究

事業としての継続の必要性に遡って、根本的

に事業の在り方を見直すべき。

・ その上、都道府県等から厚生労働省への報告に

ついては、実施要領に定める報告期限(翌年度 6

月末)までに提出のある自治体が少なく、研究班

においては、研究結果の公表(報告期限の年度末)

までの期間が限られている中、そうしたデータ不

備の指摘さえ満足に行える状況になっていない。

〔厚生労働省への登録データの到着状況〕

年度報告期限内に提出の

あった自治体数

報告期限の年度末までに

提出のあった自治体数

21 38/106

(36%)

92/106

(87%)

22 46/106

(43%)

104/106

(98%)

23 58/107

(54%)

106/107

(99%)

・ 以上のとおり、都道府県等、厚生労働省、研究

班の各段階において、治療研究の基礎となるデー

タ登録管理が不十分である。

○ 治療研究の基礎となるデータ登録管理が

適切に行われているかという視点から、厚

労省及び研究班((独)国立成育医療研究セ

ンター)へのヒアリング調査を実施。

・ 登録管理を行っている都道府県等においては、

医師が作成した医療意見書に基づき、登録管理デ

ータを作成しているが、医療意見書の必要項目へ

の記載漏れや担当者による誤入力によるデータ

不備がある。

・ また、対象患児の転帰(死亡・治癒・寛解等)

について、対象患児等が小児慢性特定疾患の認定

の更新手続きを行わない場合、医療意見書が提出

されないため、その状況を把握できない。

・ 厚生労働省においては、都道府県等から報告さ

れた登録データの電子情報を読み取る手段を有

しておらず、データ不備を検証し得る態勢となっ

ていない。

・ 集計・分析等を行っている研究班においては、

データクリーニングを行っているものの、データ

のみに基づいて集計・分析等を行っており、参照

すべき資料(医療意見書や診断根拠となった検査

データ)を有していないため、データ不備につい

ても、データの欠損や明らかな誤登録等のみが把

握可能といった状況である。

・ その結果として、登録データを用いた研究(「小

児慢性特定疾患の登録・管理・解析・情報提供に

関する研究」)は、いずれもデータベース構築等

の基礎研究に留まっている。

〔主な研究分類〕

① 他の疾患データベースとの比較検討

非継続症例に対する転帰調査

(登録の継続が途絶えた患児の現況や転帰

に関する調査)

③ 対象患児に対する実態調査

④ データの精度向上のための調査

⑤登録データに関する記述統計

(性別・年齢別・疾患別の登録者数等の集計)

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Page 48: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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総 括 調 査 票

事案名 (21)高齢者のための地域支援事業(うち任意事業)調査対象

予 算 額

平成 25 年度:62,335 百万円の内数

平成 24 年度:64,170 百万円の内数

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

【地域支援事業(うち任意事業)】

地域支援事業は、地域の高齢者が要支援・要介護状態となることを予防するための介護予防事業等を行う事業であり、うち任意事業については、地域の

実情に応じて以下の①~③の事業を行うものとされている。各保険者(市町村)が介護保険料と公費を財源に事業を実施。(平成 18 年度~)

①介護給付等費用適正化事業(ケアプランの点検、介護給付費通知 等)

②家族介護支援事業(介護用品の支給、介護者相互の交流会の開催 等)

③その他介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業

【参考:地域支援事業の全体概要】

※ 第1号被保険者・・・65 歳以上の者

第2号被保険者・・・40 歳から 64 歳までの者

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Page 49: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (21)高齢者のための地域支援事業(うち任意事業)

◎ 厚生労働省において、市町村が行っている

個々の事業の実態を把握し、事業内容を精査

すべき。

◎ 国費負担の適正化の観点も踏まえつつ、事

業のあり方について、

・ 事業として想定される内容や他施策との

区別の考え方等をより具体的に示すこと

で、介護保険制度上の上乗せ給付や横出し

給付(市町村特別給付)、保健福祉事業、介

護予防事業等の他の補助事業、更には地方

単独事業との明確な差別化を図りつつ、

・ 厚生労働省において、任意事業として行

う事業の妥当性を審査する仕組みとすると

ともに、

・ 各市町村における事業費を介護予防事業

や包括的支援事業の一定割合以下とし、こ

れらの事業に対する補完的な事業としての

位置づけを明確化する

など、抜本的な見直しを行うべき。

2.事業内容について

・ 介護給付等費用適正化事業については、給付費の

通知のみを行い、ケアプランの点検等を行っていな

いなど、給付費の適正化という本来の目的にふさわ

しい事業を行っているとは必ずしも言い難い市町

村が 11 あった。

・ 調査先において、介護予防事業(国庫負担率 25%)

として実施することも考えられる介護予防教室や

講演会・パンフレットの配布、ボランティアの育

成などを任意事業(国庫負担率 39.5%)として実施

している市町村が 62 あり、地域支援事業の中でも

事業の仕分けが十分でない。

介護予防類似の事業 市町村数

高齢者に対する介護予防教室 10

講演会・パンフレット作成・啓発事業 22

ボランティア等の育成 41

・ 更には、介護保険法上のサービス利用限度額を

超過した場合にその費用の一部を本事業にて助成

している自治体、小学生なども対象とする地方単

独事業と一体的に事業(公衆浴場の利用助成)を

行っている自治体、介護用品の支給事業のうち軽

度者のみを本事業の対象とし、重度者については

市町村単独事業としている自治体、高齢者の交流

○調査の視点

1.事業規模について

⇒事業規模は過大なものとなっていないか。

2.事業内容について

⇒介護保険制度上の上乗せ給付等や地域支

援事業における介護予防事業などの他施策

との仕分けや支援対象等は適切か。

○調査対象・方法

地域支援事業交付金の交付申請額の上位 100

市町村を調査対象とし、交付申請書類より、事

業規模及び事業内容を精査。

の場(サロン)の運営(200 数十箇所)に事業費の 7

割以上を支出している自治体などもあり、介護保険制

度上の上乗せ給付等の第 1号保険料で賄われる施策や

地方単独事業との仕分けや支援対象について見直す

余地があると考えられる例が見受けられた。

1.事業の実施状況について

・ 29 の市町村(約 3割)において、本来主体とな

って取り組むべき介護予防事業よりも事業費が

多くなっており、また、包括的支援事業よりも事

業費が多くなっている市町村が 1市町村あった。

事業費比較 市町村数

任意事業 > 介護予防事業 29

任意事業 > 包括的支援事業 1

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Page 50: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (22)臓器移植対策事業

(うちあっせん事業体制整備費等)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:280 百万円

平成 24 年度:280 百万円

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

【事案の概要】 移植医療において必要不可欠な「あっせん機関」である(公社)日本臓器移植ネットワークが行う臓器提供意思表示カード等の配布や関係団体、臓器提供施設との連携を通じた国民への普及啓発等に要する経費に対する補助事業。

【主な事業内容】 ①都道府県連絡調整体制支援事業 都道府県に設置された臓器移植コーディネーターが行う活動旅費、臓器移植推進費、会議開催費、 提供病院普及啓発資材作成費等のあっせん業務等

(都道府県コーディネーター(47都道府県 57名設置(平成25年4月 1日時点))) ②臓器提供推進連携事業 臓器提供施設におけるポスター・パンフレットの作成・掲示、「臓器提供マニュアル」の作成、「臓 器提供シミュレーション」の実施等

③臓器提供意思登録関係経費 臓器提供に関する意思をより確実に活かすための臓器提供意思登録システムの運営(運用・保守)、 臓器提供意思表示カード、リーフレット、保護シール等の作成・配布

④普及啓発事業 臓器移植について、広く国民に対して行う普及啓発 公共広告の実施、グリーンリボンキャンペーンの実施、ポスター・ピンバッチ・普及啓発グッズの 作成等

【交付先】(公社)日本臓器移植ネットワーク S50.8 (社)腎臓移植普及会設立 H7.3 (社)日本腎臓移植ネットワークに改組 H9.10 (社)日本臓器移植ネットワークに改組(H25.4 に公益社団法人化) 組織:本部、3支部(東日本、中日本、西日本) 会員数:正会員 479 名(移植施設 220、透析施設 49、都道府県 47、臓器バンク 39、団体 11、個人 59) 従事員数:理事 17 名(常勤 3名、非常勤 14 名)、監事 2名(非常勤)

職員 56 名(常勤)(うちコーディネーター33 名、情報管理者 5名、医療専門職 6名) (平成 25 年 3月 31 日時点)

【参考】 臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)(抄)

(平成 21 年 7月の法改正により以下が追加) (移植医療に関する啓発等) 第17条の2 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

【補助率】 定額(1/2 相当(普及啓発経費等)、10/10 相当(臓器提供意思登録関係経費等))

― 48 ―

Page 51: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (22)臓器移植対策事業(うちあっせん事業体制整備費等)

① 意思表示の登録について 健康保険証・運転免許証に意思表示

欄が設置されることとなり、国民の大多数が意思表示可能な環境が整いつつある中で、「意思表示カード」の配布については、有効性を検証し、縮減を図るべきではないか。また、その際真に効果的な配布方法等についても検討すべきではないか。

② 普及啓発について これまで運転免許証・健康保険証の意思表示欄の記入率について調査を行ってきているところであるが、そもそも意思表示欄が設置されていることを認知していないのか、または敢えて記載していないのかを把握できていない。まずは意思表示欄が設置されていることについての認知度を把握した上で、効果的な普及啓発を行うべきではないか。また、意思表示の記入率が低位に留まっており、有効な周知方法を検討すべきではないか。 ③ 補助金対象事業の明確化について 補助事業の中には対象としなくても

よいと思われる経費が含まれており、補助対象事業を明確にし、会費収入等の自己財源により賄うべきではないか。

臓器移植の理解の促進や、臓器提供意思表示の推進のための各種事業等は ○実効性、効率性の観点から十分検討された上で実施されているか。 ○評価・検証が適切に行われているか。 以上の視点から、厚労省及び(公社)日本臓器移植ネットワークからヒアリング調査を実施。

①意思表示登録の状況について 移植医療に関する啓発及び知識の普及のため「意思表示カード」やリーフレット等を配布。 一方、平成 21 年の法改正を踏まえ、平成 22 年 7月より健康保険証・運転免許証に意思表示欄が設置

できることとなったため、健康保険証・運転免許証切り替えのタイミングで各人において意思表示を行うことが可能な書面を携帯できる状況となっている(運転免許証については年間約 1,600 万人が免許証を更新。平成 27 年秋には運転免許証所持者の全員分が切り替わる見込み。健康保険証については、どこまで切り替えが進んでいるか、厚生労 働省は把握ができていない。)。

②意思表示の普及啓発の状況について 意思表示の周知方法について、運転免許証においては警察庁宛、健康保険

証においては保険者宛に意思表示の記載欄の周知について文書で通知する等の協力依頼を行っている。また、各都道府県の厚生労働関係部局長会議においても医療保険者(地共済・市町村国保等)、都道府県警察(交通安全協会)、教育委員会等と連携し、周知を図るよう協力要請を行っている。

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

平成24年3月 平成25年3月 平成24年3月 平成25年3月 平成24年3月 平成25年3月

17.7

8.8

18.0

11.1

49.7

61.7

36.7

6.3

17.2

7.3

16.2

45.1 43.349.4

18.2

7.9 9.4

19.0

所持率 記入率(全体) 所持者の記入率

意思表示カード 健康保険証運転免許証

・Web 調査

・配布実績 (単位:万枚)

また、(公社)日本臓器移植ネットワークにおける Web 調査(抽出調査)によると、意思表示の記入率は低く、意思表示欄が設けられていることについての認知度について、厚生労働省は把握ができていない。

・運転免許証・・・全国の警察署・運転免許試験場へ意思表示欄説明用リーフレット 8,898,750 枚、保護シール 2,297,830 枚を配布

・健康保険証・・・健康保険組合の取組状況に応じ、意思表示欄説明用リーフレット 2,118,527 枚、保護

シール 1,788,365 枚を配布 ・意思表示欄がない方・・・運転免許証や被保険者証の裏面の貼付用として、臓器提供意思表示シール

123,370 枚を配布

③補助対象事業の支出内容について 都道府県連絡体制支援事業については、都道府県臓器移植コーディネーターがあっせん業務等を行うための経費であるにもかかわらず、会議開催にかかる講師謝金、印刷製本費、会議費など直接、あっせん業務とは関連が薄い経常的な支出があった。 臓器提供推進連携事業については、臓器提供に備えた医療機関の体制整備を行うための経費であるにもかかわらず、臨時職員設置費、事務所賃借料など直接、体制整備とは関連が薄い経常的な支出があった。 普及啓発事業については、広く国民に対して普及啓発を行うための経費であるにもかかわらず、事務所の賃借料など直接、普及啓発とは関連の薄い経常的な支出があった。

・併せて、運転免許証や健康保険証以外の意思表示の促進のためには、都道府県の行政窓口、保健所、運転免許センター、免許の更新ができる警察署、ハローワーク、年金事務所、郵便局、病院、薬局、コンビニエンスストア、全国の大学等で臓器提供意思表示カード 2,456,253 枚を設置・配布している。

(24 年度実績)

22年度 23年度 24年度

意思表示カード 457.8 245.6 248.0

リーフレット 2,204.5 1,112.4 1,306.8

保護シール 676.9 435.1 408.7

― 49 ―

Page 52: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

1.20 歳国民年金適用勧奨状 (1)通知等の概要

20 歳に到達する者のうち被用者年金制度に加入していない者に、国民年金の取得手続きを勧奨するもの。

翌月の 20 歳到達予定者に対して国民年金への加入案内、資格取得届等を同封して事務センターから送付。

(2)使用する料金割引制度

・ 区分郵便割引

※手紙及び郵便はがきのうち、事前に郵便区番号(郵便番号上3桁又は5桁)ごとに区分した郵便物の料金を割引き。

・ 区内特別郵便割引 (例:2,000 通以上 5% 等)

※同一差出人から形状、重量が同一の郵便物である等の条件を満たし、同一の郵便区(配達事業所ごとに定められ

ている配達区域)内のみでその引き受け及び配達を行う郵便物を割引き。(例:同時に 100 通以上 18.75% 等)

(3)現在の状況及び調査結果

平成 24 年度における適用勧奨状全体の郵送経費の実績は以下のとおり。

発送通数 割引前額 郵送経費 割引額 割引率

1,016 千通 96 百万円 95 百万円 1 百万円 ▲ 1.3%

(注)割引率については、割引の種類が複数あるため、割引額÷割引前額により算出。

全体 うち割引制度を活用 区分郵便割引 区内特別郵便割引

発送通数 1,016 千通 193 千通(19.0%) 163 千通 31 千通

箇所数 47 カ所 16 カ所(34.0%) 2 カ所 14 カ所

2.厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届 (1)通知等の概要

毎年 5月 20 日前後時点の現存被保険者の氏名や生年月日を出力した届書を、毎年 6月頃に、厚生年金保険の適用

事業所の事業主に対して送付。

事業主に対してその年の 9月分からの被保険者ごとの報酬月額及び徴収する保険料額を決定するため、その事業所

における被保険者分の届書を事務センターから送付。

総 括 調 査 票

事案名 (23)日本年金機構における郵送料金の支払い 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:4,220 百万円

平成 24 年度:4,256 百万円

所管 厚生労働省 組織 - 会計 年金特別会計(業務勘定) 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要 ③調査結果及びその分析

②調査の視点

日本年金機構においては、各都道府県に設置する事務センタ

ーから厚生年金保険の適用事業所の事業主や国民年金の被保

険者に対し、資格取得、資格喪失に関する通知や保険料納付

に関する通知などを多種類かつ多数量発送している。

割引制度の活用の実態を確認するために執行調査を実施

事務センターにおいて取り扱っている各種通知等の郵送方

法の実態について、郵送料の縮減に資する効率的な運用がなさ

れているかを検証する。

本調査においては、

1.20 歳国民年金適用勧奨状

2. 厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届

3. 厚生年金保険料納入告知書

を対象とし、検証を行った。

日本年金機構

提出先は年金事務所、事務センターのいずれでも可

決定通知等

本部

ブロック本部(9)

事務センター(47)

年金事務所(312) 事業所の調査や強制徴収 年金相談などの対人業務

届書・申請書

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Page 53: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

(2)使用する料金割引制度

・ 区分郵便割引 ・ 区内特別郵便割引

(3)現在の状況及び調査結果

平成 24 年度における算定基礎届にかかる全体の郵送経費の実績は以下のとおり。

発送通数 割引前額 郵送経費 割引額 割引率

1,767 千通 254 百万円 249 百万円 5 百万円 ▲ 1.8%

(注)割引率については、割引の種類が複数あるため、割引額÷割引前額により算出している。

全体 うち割引制度を活用 区分郵便割引 区内特別郵便割引

発送通数 1,767 千通 263 千通(14.9%) 222 千通 41 千通

箇所数 47 カ所 19 カ所(40.4%) 3 カ所 16 カ所

3.厚生年金保険料納入告知書

(1)通知等の概要

現金又は口座振替を利用して厚生年金保険料を納付する事業主に対し、保険料額等を告知するもの。

事業主に対して前月の保険料に係る納付金額や納期限を知らせるため、事務センターから送付。

(2)使用する料金割引制度

・ 区分郵便割引 ・ 区内特別郵便割引

・ バーコード付郵便割引

※一定の条件を満たす手紙(定型郵便物)及び郵便はがきに所定のバーコードを記載した郵便物を割引き。

(3)現在の状況及び調査結果 (例:同一重量、かつ、同時に 1,000 通以上 5% 等)

平成 24 年度における納入告知書にかかる全体の郵送経費の実績は以下のとおり。

発送通数 割引前額 郵送経費 割引額 割引率

21,092 千通 1,700 百万円 1,461 百万円 239 百万円 ▲ 14.0%

(注)割引率については、割引の種類が複数あるため、割引額÷割引前額により算出している。

全体 うち割引制度を活用 バーコード付

郵便割引 区分郵便割引 区分郵便割引

(バーコード付併用)

発送通数 21,092 千通 17,255 千通(81.8%) 3,123 千通 1,451 千通 6,669 千通

箇所数 47 カ所 46 カ所(97.9%) 15 カ所 17 カ所 19 カ所 区内特別郵便割引

区内特別郵便割引 (バーコード付併用)

1,055 千通 4,957 千通

42 カ所 39 カ所 (注)同じ事務センターにおいて複数の割引制度を活用している場合は、それぞれに計上している。

事案名 (23)日本年金機構における郵送料金の支払い

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.20 歳国民年金適用勧奨状及び厚生

年金保険被保険者報酬月額算定基礎

届の送付については、割引制度の活

用率が、全発送通数の 20%を下回っ

ている。

事務センターでの事前区分けに

は一定の作業が必要ではあるもの

の、送付作業は恒常的な業務であ

り、業務ルーティーンを見直すなど

により、積極的な割引制度の活用を

図るべき。

2.厚生年金保険料納入告知書の送付

については、すでに全発送通数の

81.8%で郵便料金の割引制度が活用

されているが、送付規模が大きいこ

とから、更に割引制度を活用し、郵

送料の削減に努めるべき。

3.今回調査した通知書以外について

も、積極的に割引制度を活用し、郵

送料の削減に努めるべき。

割引制度の活用の実態を確認するために執行調査を実施

割引制度の活用の実態を確認するために執行調査を実施

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Page 54: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (24)障害者のための地域生活支援事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:46,000 百万円

平成 24 年度:45,000 百万円

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計 調査区分 共同調査

取りまとめ財務局 (北陸財務局)

①調査事案の概要

【本事業の目的】

○ 本事業は、障害児、障害者の地域生活を支援するためのメニュー事業。(都

道府県事業、市町村事業)

具体的には、手話通訳者等の意思疎通支援を行う人材の育成や、成年後見

制度の活用を進める観点から意思決定支援を行い、後見業務を適正に担うこ

とができる人材の育成・活用などを実施する。

また、意思疎通支援や移動支援など障害児・障害者の地域生活を支援する

事業について、市町村などでの事業の着実な実施や定着を図る。

○ 実施主体:市町村(指定都市、中核市、特別区含む)、都道府県

○ 補 助 率:市町村事業 (国 1/2 以内、都道府県 1/4 以内)

都道府県事業(国 1/2 以内)

②調査の視点

【事業内容】

○ 必須事業

・移動支援事業

・日常生活用具給付等事業 等

※ 25 年度より意思疎通支援の強化、

後見人の業務を行う人材育成等を新

規に追加。

1.各補助メニューの実施率

本事業は、法改正、制度改正などに伴い、毎年度事業メニューの追加が図られて

いる一方、事業メニューの見直しは補助金創設(H18 年度)以降されていないため、

自治体の実施率を確認し、自治体や利用者のニーズを反映できているかについて調

査。

2.地域生活支援事業にかかる計画の策定、コスト削減の取組み

本事業の実施に際し、計画性ある取り組みが推進されているか、コスト削減に取

り組んでいるかについて調査。

⇒ 実施主体である都道府県、市町村のうち、調査対象を東日本大震災被災 3県(岩

手、宮城、福島)を除く都道府県(44団体)、各都道府県の人口規模別上位 2割

の市・町村を抽出(330 団体)し、書面調査を実施。

○ 任意事業

・日中一時支援事業

(日中の一時的見守り支援)

・訪問入浴サービス事業 等

(居宅において入浴サービスを提供)

(単位:億円)

― 52 ―

Page 55: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (24)障害者のための地域生活支援事業

1.各補助メニューの実施率

○ 平成 24 年度における都道府県、市町村のメニュー事業の実施率については以下の通り。(25 年度に他事業と統合した事業除く)

〔都道府県事業 実施率下位 5件〕

事業名 実施率

成年後見制度普及啓発等事業

(成年後見制度利用促進のための普及啓発や職員研修等を実施) 4.5%

福祉ホーム事業

(自宅生活が困難な障害者に対し、居室の提供や日常生活に必要な便宜を供与) 9.1%

重度障害者在宅就労促進特別事業

(在宅等で就労するため、情報機器を用いた就労訓練の支援) 11.4%

盲人ホーム事業

(就労困難な視覚障害者に対し、就労に必要な技術指導等を支援) 20.5%

重度障害者に係る市町村特別支援事業

(サービス支給額が国庫負担基準を超えた市町村に対し、財政支援を実施) 27.3%

〔市町村事業 実施率下位 5件〕

事業名 実施率

重度障害者在宅就労促進特別事業

(在宅等で就労するため、情報機器を用いた就労訓練の支援) 0.9%

盲人ホーム事業

(就労困難な視覚障害者に対し、就労に必要な技術指導等を支援) 1.5%

地域移行のための安心生活支援事業

(障害者が地域で安心して暮らすため、一人暮らしに向けた体験的宿泊の提供や緊

急時の対応相談体制の整備)

2.7%

身体障害者自立支援事業

(身体障害者の身辺介助、家事援助、夜間緊急対応等のサービス提供を実施) 3.0%

障害児支援体制整備事業

(児童発達支援センターへの専門職員配置、通所施設を利用していない障害児の利

用できる場を提供)

3.9%

※ 上記事業のうち「成年後見制度普及啓発等事業」、「福祉ホーム事業」、「重度障害者在宅就労促進特別事業」、「盲人ホーム事業」

については、都道府県、市町村で同一内容であり、いずれの実施も可能となっている。

1.事業メニューについて

実施率の低い事業が多く存在している状況

等を踏まえ、厚生労働省においてそれぞれの事

業の実態をよく把握し、利用者ニーズ等を的確

に把握した事業となるよう、必要な見直しを行

うべき。

2.地域生活支援事業にかかる計画の策定、コ

スト削減の取組みの推進

計画が未策定の自治体等が存在するが、事業

の実施に当たっては、効率的な実施が図られる

よう、適切な計画を立てつつ、コストの削減に

努めるべき。

実施していない理由として、

・利用者ニーズの減少傾向

(49.2%)

・職員や委託先の不足等実

施体制の問題(17.5%)

・市町村での実施(15.3%)

が挙げられる。

(全 36 事業)

全 31 事業のうち、15 事業が

実施率 30%未満であり、うち 8

事業は実施率 10%に満たない

状況。

実施していない理由として、

・利用者ニーズの減少傾向

(58.3%)

・職員や委託先の不足等実

施体制の問題(33.9%)

・類似事業を地方の単独事

業として実施(2.5%)

が挙げられる。

(全 31 事業)

2.地域生活支援事業にかかる計画の策定、コス

ト削減の取組み状況

〔地域生活支援事業にかかる計画の策定状況〕

平成 24 年度までに当該計画を策定せず、随

時対応している自治体は 7.5%となっている。

〔コスト削減の取組み状況〕

コスト削減の取組みを実施している自治体

は 16.8%となっている。

― 53 ―

Page 56: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (25)実践型地域雇用創造事業のうち雇用創出実践メニュー調査対象

予 算 額

平成 25 年度:5,831 百万円の内数

平成 24 年度:4,381 百万円の内数

所管 厚生労働省 組織 - 会計 労働保険特別会計(雇用勘定)調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 近畿財務局

①調査事案の概要

【事案の概要】

雇用機会が不足している地域における、地域の自主性及び創意工夫を活かした雇用創造を促進するため、事業を提案した地域雇用創造協議会へ事業実施を

委託するものであり、具体的には、地域ブランド商品や旅行プログラム等を開発し、販売促進や観光誘客事業を行うなどにより雇用創造を図っている。

なお、平成 24 年度に、旧地域雇用創造実現事業と旧地域雇用創造推進事業(パッケージ事業)を統合して現事業となっており、本事業の雇用創出実践

メニューが旧地域雇用創造実現事業に相当する。

地域の特性を活かした重点事業分野を設定(複数可)のうえ、地域の創意工夫による以下の雇用対策事業を策定、実施。

事業内容

事業の拡大、新事業の展開等を支援することにより、地域の雇用機会の拡大を図る。例:能力開発のためのセミナー、研修、労務管理等に関する相談 等

(1)雇用拡大メニュー(事業主向け)

地域で求められている人材を育成することより、地域の雇用につなげる。例:地域内外の講師によるセミナー、先進地派遣研修、専門的人材の育成 等

(2)人材育成メニュー(求職者向け)

上記(1)(2)のメニューを利用した求職者・事業主などを対象に地域求職者の就職促進を図る。例:求人情報の収集・提供、就職面接会の開催、求職者に対する相談 等

(3)就職促進メニュー

上記(2)で育成した求職者を雇用し、地域の産業及び経済の活性化等の資する事業を行うことにより、波及的な雇用機会の増大を図る。例:観光資源を活用した観光商品の開発、開発した商品のネットによる販売促進 等

(4)雇用創出実践メニュー

厚生労働省

地域雇用創造協議会(同意自発雇用創造地域)

外部有識者等都道府県

地域の経済団体市町村

都道府県労働局

③委託①提案

その他の地域関係者

第三者委員会

②選抜

④実施

実施スキーム

⑤評価

【調査対象先】地域雇用創造協議会

・実践型地域雇用創造事業(24 年度採択分)43 先

・旧地域雇用創造実現事業(20~21 年度採択分)55 先

― 54 ―

Page 57: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

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②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点 ・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (25)実践型地域雇用創造事業のうち雇用創出実践メニュー

1.雇用創出 1 人あたりのコストについて

本事業における雇用

創出 1 人当たりのコストが、基金事業と比べ約3倍もの高額となっており、その原因となっている管理費・人件費及び謝金に係る単価の上限や基準を定め、他の雇用創出事業と比較した上で適正な水準に是正すべきである。 また、随意契約による

コスト増大も認められることから、契約における競争性の確保を徹底するとともに、情報発信経費については、費用対効果も含め、真に必要なものに限定すべきである。

2.事業手法の見直し 開発した商品の半数以上が継続して活用されていないことから、国費の投入が終了した後も雇用機会が継続されるよう、事業手法の見直しを行うべきである。

1.雇用創出 1 人あたりのコストについて

平年度化後の 25 年度及び 26 年度は 700 万円超/人と高額に なっており、同じく都道府県で実施している緊急雇用創出事 業臨時特例基金事業(以下、基金事業という。)の 250 万円/人 と比較すると約 3倍になっていた。 (注)24 年度は事業初年度のため事業期間が 6 か月となっているため 1 人当たり

のコストが 266 万円/人。

(1) 管理費・人件費が高額となっている。

1.他の雇用創出事業と比較して費用対効果に問題はないか。

2.本事業で開発

した商品等の活用が、事業終了後も継続しているか。

①管理費 平均で月額 14.4 万円/人を要しており、基金事業より約 11 万円/人高額。 内訳としては、雇い入れた地域求職者等を指導する管理職員の給与やリース経費の割合が高かった。

②月給 雇い入れた地域求職者等の人件費については、諸手当を除く月給は 1人あたり 19.1 万円であり、高専短大卒の初任給額を採用している基金事業と比べ約 2万円の高額と なっていた。また、最高額は 29 万円/人であり、雇用者間に大幅な乖離が生じていた。

雇用創出 1 人あたりの月間コスト(万円)

21.1 17.3

14.4 3.5

4.1 6.1

01020304050

本事業 基金事業

〔45.7〕

〔20.8〕

1 人あたりの月間コストの内訳 (万円)

開発費

販促費

管理費

人件費

(基本給)

管理費

人件費(19.1)

雇用創出 1 人あたりのコスト(万円)

(2) 高額な謝金支払が認められた。

商品の開発等にあたって助言等を受けた専門家・有識者への謝金(計132 件)については、1 日/回あたりの謝金支給額は平均 3.8 万円。国の謝金の基準単価の上限である大学学長級(8.3 万円/日)を超過する高額な支給事例が 15 件(11%)認められた。(最高 21 万円/日・回)

助言者等への謝金単価(回/日)

(3) 契約の競争性が確保されていない。 リース等の契約 2,142 件の締結状況については、競争性が確保されていない 1者随意契約の割合は 91%。 また、契約金額を確認した 257 件のうち、10 万円以上の契約の半数以

上が 1 者随意契約であり、100 万円以上の契約についても、9 件中 5 件(56%)が 1者随意契約(自動車リース等)となっていた。 (4) 再検証を要する事業が認められた。 Web で観光商品等を PR する事業については、同一地方自治体が類似する Web サイトを有している事例が複数認められた。

2.開発した商品等の半数以上が、継続して活用されていない。

20~21 年度に開発・開設した商品・拠点について、25 年 5 月現在の活用状況を確認したところ、半数以上が継続活用されていないことが確認された。 また、協議会単位で見ても、全く活用し

ていない状況が約 3 割となっており、国費投入終了後、継続雇用に結びついていない事例もあると考えられる。

― 55 ―

Page 58: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (26)独立行政法人労働安全衛生総合研究所

運営費交付金

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:2,015 百万円(一般会計 453 百万円、労働保険特別会計 1,561 百万円)

平成 24 年度:2,023 百万円(一般会計 485 百万円、労働保険特別会計 1,538 百万円)

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計

労働保険特別会計(労災勘定)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

本経費は、独立行政法人労働安全衛生総合研究所(以下「安衛研」という。)が行う、事業場における災害の予防並びに労働者の健康の保持増進及び職業

性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査・研究に必要な財源を一般会計及び労働保険特別会計より措置しているもの

である。

○名称:独立行政法人 労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)

○役職員数:105名 (平成25年4月2日現在)

○場所:清瀬地区(本部)【東京都清瀬市梅園1-4-6】

登戸地区【神奈川県川崎市多摩区長尾6-21-1】

成果の普及・活用等

○国の安全衛生関連法令、技術指

針の制定、改正に必要な科学的知

見、情報の提供

○国の通達や事業場に対する指導

根拠・資料の提供

○災害調査報告結果等の国への報

○学会発表、講演会等による調査

研究結果の社会への普及

成 果 労働災害の防止並びに労働者の健康増進及び職業性疾病に関する総合的な調査及び研究 ○プロジェクト研究

○基盤的研究

○競争的研究資金・受託研究

調 査 研 究

労働安全衛生法に基づく、専門的視点からの労働災害の原因調査等の実施 ○原因究明・再発防止対策に資する災害調査 ○災害調査や労災保険給付に係る鑑定・鑑別

災 害 調 査 等

○安衛研に対する一般会計と特別会計からの財源措置の考え方

国の一般会計からの支出は安衛研の一般勘定、労働保険特別会計からの支出は社会復帰促進等事業勘

定によりそれぞれ経理している。また、安衛研の事業のうち、災害の原因調査及び鑑定に係る業務の経

費については一般勘定、調査研究に係る業務の経費については社会復帰促進等事業勘定により経理して

いる。

災害の原因調査及び鑑定による成果の多くは、労災認定に係る司法処理において、労災事故が真に事

業主の責任であるかどうかの判断に活用される。この場合、被災労働者とその事業主が対抗関係になる

ため、その経費については、事業主が負担している労災保険料を財源とする特別会計予算のみで措置す

ることは公平性を欠くという考え方から、この事業については一般勘定において、一般会計からの支出

を充てることとしている。

それ以外の業務については、その成果が労働災害の防止に資することから、社会復帰促進等事業勘定

において労働保険特別会計労災勘定からの支出を充てることとしている。

○研究類型について

安衛研の研究テーマについては、①プロジェクト研究(中期計画に盛り込まれている中核的研究)、

②行政要請研究(緊急的に対応が必要なテーマ等について厚生労働省から具体的なテーマを設定して研

究所に要請を行い実施する研究)、③基盤的研究(専門的見地から社会ニーズを見据え、将来的にプロ

ジェクト研究等の応用研究に活かすために研究所が独自にテーマを設定し実施する基礎的研究)があ

る。

法人概要

事業概要

― 56 ―

Page 59: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票

事案名 (26)独立行政法人労働安全衛生総合研究所運営費交付金

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.勘定区分の目的と執行の実

勘定区分の目的に沿った執

行が行われているか。

2.研究に対する評価

研究内容について、定量的な

成果指標の設定及び評価がさ

れているか。その実効性につい

て検証が適切になされている

か。

3.保有施設・設備の利用状況

安衛研が保有している研究

施設・設備の利用状況はどうな

っているのか。

1.勘定区分の目的と執行の実態について

調査研究、災害調査等の業務ごとの研究員の従事時間や物品等の使用割合等を基に、勘定区分

の目的に沿った執行が行われているかどうか調査した。

その結果、災害調査等の業務の従事者として一般勘定により経理している 2名分(17,622 千円)

の人件費の対象者が、実際は調査研究業務の従事者であり、本来は社会復帰促進等事業勘定によ

り経理するのが適当であったことが分かった。

また、事務費の執行において、経理すべき勘定区分に疑義のある事案があった。

2.研究に対する評価について

プロジェクト研究については、研究成果の有効性評価にあたって、具体的な指標の設定がなさ

れていなかった。

(活用状況についての具体例:「~~通達に活用した。」「行政検討会の場で中長期的に活用されて

いくこととなる。」等)

また、基盤的研究については、事前評価・中間評価・事後評価のいずれも機構内部のみで評価

を行っており、その結果は公表されておらず、成果等について十分な検証がされているとは言い

がたい状況であった。

3.保有施設・設備の利用状況について

安衛研においては、そもそも、恒常的に保有施設・設備の稼働率等を把握する仕組みがなかっ

た。

そこで、研究員に対して施設・設備の利用状況の聴き取り調査を行った結果、稼働率の高くな

い可能性がある、「研究の実施状況等により不定期に使用」と回答のあった資産が清瀬地区で 32

(取得価額総額 135,233 千円)、登戸地区で 29(取得価額総額 64,055 千円)あった。

1.勘定区分の目的と執行の実態について

執行の実態を把握した上で、勘定区分の目

的に沿った経理に改める必要がある。

特に左記の2研究員の人件費については社

会復帰促進等事業勘定により経理するよう

見直すべきである。

2.研究に対する評価について

プロジェクト研究における研究成果の評

価については、それに係る労災被害の減少数

等具体的な指標を設定し、評価を行うべき。

基盤的研究については、内部評価のプロセ

スや研究の成果を外部に公表する等、評価の

透明性を確保し、成果を社会に還元すべき。

3.保有施設・設備の利用状況について

保有施設・設備の利用状況について、ある

一定程度の規模以上の施設・設備について

は、利用簿を作成するなど、個々の施設・設

備の稼働率等、利用状況を把握する仕組みを

構築する必要がある。

その上で、稼働率の高くない資産について

は売却を進める等、保有資産の整理合理化を

図るべきである。

― 57 ―

Page 60: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (27)生活保護(住宅扶助) 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:472,923 百万円

平成 24 年度:442,558 百万円

所管 厚生労働省 組織 厚生労働本省 会計 一般会計 調査区分 共同調査

取りまとめ財務局 (東北財務局)

① 調査事案の概要

○ 住宅扶助費は、アパート等の家賃に対応する扶助費。(交付先:都道府県市(福祉事務所設置町村)、負担割合:国 3/4、地方自治体 1/4)

○ 定められた住宅扶助基準の範囲内で実費が支給される。

○ 住宅扶助基準額(以下、「基準額」という。)は、都道府県、指定都市及び中核市別に持家の帰属家賃を除く家賃の消費者物価指数(以下、「家賃CPI」とい

う。)や被保護世帯の家賃の実態等を勘案して定められている。

○ 改定の考え方は、①前年度基準額、②家賃CPIの伸びを勘案した額、③被保護世帯97%カバー額のうち、2番目にくるものに準拠して改定。

(注)住宅扶助基準は住宅扶助の上限であり、この範囲内において家賃実費が支給される。

生活保護における住宅扶助基準(上限)と一般の低所得者の家賃実態との比較

(2人以上世帯に係る試算値)

一人当たり扶助費の推移(平成13年度=100)

(注 1)家賃CPIは、平成 10 年から平成 23 年の間で約 3%下落している。 (注 2)総務省の住宅・土地統計調査に基づく推計によれば年収 200 万円以下の層の家賃は、

平成 10 年から平成 20 年の間で約 6%伸びている。

― 58 ―

Page 61: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票事案名 (27)生活保護(住宅扶助)

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・ 検討の方向性

1.基準額と住宅扶助費の関係

(1)基準額(上限額)と被保

護世帯が実際に支払ってい

る家賃との関係はどうなっ

ているのか(基準額にどの程

度はりついているのか)。

(2)同じアパート等におい

て、被保護世帯向けの家賃設

定が一般世帯向け家賃に比

し割高となっている事例が

ないか。

(3)一人当たり住宅扶助費

が、近年上昇(平成13年度を

100とすると、平成21年度は

121)している理由は何か。

2.「貧困ビジネス」への対応

被保護者等を劣悪な施設

に集めて住まわせ、その意

に反して利用料を搾取す

る、いわゆる「貧困ビジネ

ス」にはどのように対応す

べきか。

【調査方法】

○ 被災3県を除く44都道府県

の103の地方自治体に対する

アンケート調査

○ インターネットによる家

賃検索や不動産業者の店頭

広告等の誰でも知り得る方

法により、被保護世帯と同じ

アパート等における一般世

帯向け家賃を調査

左の調査結果から、厚生労働省においては、

ア)住宅扶助基準の水準のあり方

イ)級地間のバランス

ウ)生活保護受給者自らが、家賃と住居の

真の経済的価値とのバランスを判断する

動機づけの要否

を含めた、住宅扶助のあり方について、社会

保障審議会生活保護基準部会等の場において

検討を開始する必要がある。

また、その際には、被保護者等を劣悪な施設

に集めて住まわせ、その意に反して利用料を搾

取する、いわゆる「貧困ビジネス」に対する

規制の要否・あり方についても検討が求めら

れる。

1.基準額と住宅扶助費の関係について

(1)被保護世帯が実際に支払っている家賃が住宅扶助基準額の90%以上である割合は、家賃

CPIが下落傾向にある中、概ね5割程度になっている。郡部である3級地よりも都市部で

ある1級地の方がやや高い傾向。 【表1】被保護世帯の支払家賃の対基準額比率(%)

1級地 2級地 3級地

単身世帯 2~6人世帯 単身世帯 2~6人世帯 単身世帯 2~6人世帯

90%以上 57.2 53.4 55.2 42.9 50.5 42.5

90%未満 42.8 46.6 44.8 57.1 49.5 57.5

(2)被保護世帯と同じアパート等における一般世帯の家賃について調査した結果、被保護世

帯が支払っている家賃と一般世帯向けの家賃設定に差違があり、かつ、被保護世帯の方が高

い家賃を設定されている疑いのある事例が、74件(今回調査することのできた664件の1割

強)確認された。 【表2】被保護世帯の支払い家賃と一般世帯向け家賃設定の差違の例(級地別に最大のものを記載)(円/月)

基準額 被保護世帯の

支払い家賃(a)

一般世帯向けの

家賃(b)

差 額

(a-b)

1級地(35事例中最大) 53,700 53,000 30,000 +23,000

2級地(27事例中最大) 44,000 44,000 31,000 +13,000

3級地(12事例中最大) 50,700 49,000 42,000 +7,000 (3)一人当たり住宅扶助費上昇の要因と考えられる以下の項目について、地方自治体にアン

ケート調査を行った結果、

① 基準額が低い周辺地域から転居して間もない保護開始・申請の事例は、1級地では18

自治体すべて、2級地では47自治体中37、3級地では38自治体中11の自治体において認識

されていた。

② 基準額と同額の住宅扶助費の支給割合は増加傾向(表3)。

③ 相対的に単価の高い単身世帯の割合も増加傾向(表4)。

【表3】住宅扶助費が基準額と同額である割合(定量的分析が可能な50自治体の平均)(%) 平成22年12月 平成23年12月 平成24年12月

1級地( 5自治体) 27.4 29.2(+1.8) 31.4(+2.2)

2級地(27自治体) 21.8 23.7(+1.9) 24.9(+1.2)

3級地(18自治体) 31.4 33.2(+1.8) 33.1(△0.1)

【表4】住宅扶助受給世帯に占める単身世帯の割合(定量的分析が可能な54自治体の平均)(%)

平成22年12月 平成23年12月 平成24年12月

1級地( 7自治体) 71.7 72.4(+0.7) 72.8(+0.4)

2級地(29自治体) 73.6 74.3(+0.7) 75.6(+1.3)

3級地(18自治体) 75.2 75.5(+0.3) 76.1(+0.6)

2.「貧困ビジネス」への対応について

アンケートでは、管内の「貧困ビジネス」の状

況に関する自由記載回答欄で、「社会福祉法に位

置付けのない施設については、実態把握や指導が

困難であり対応に苦慮」しており「法的整備が必

要」といった意見が散見された(6/19 自治体)。

また、住宅扶助全般に対する自由記載回答で

は、「家主が住環境や近傍家賃に比べて高い家賃

を設定したとしても、法的に対処できるものでは

なく、また、被保護者は、住宅扶助の基準額内で

あれば家賃が保護費でまかなわれるため、家賃額

に対する意識が希薄になりやすい傾向にある。し

たがって、被保護者の家賃額に対する意識を高め

るとともに、家賃額の設定について市場原理が働

くように促す現実的な対処方法が必要」といった

意見もあった。

― 59 ―

Page 62: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (28)産地活性化総合対策事業

(産地収益力向上支援事業)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:2,271 百万円の内数

平成 24 年度:5,288 百万円の内数

所管 農林水産省 組織 農林水産本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

事案の概要

産地の収益力の向上を通じた産地の活性化を図るため、生産技術力の強化、有機農業の推進、サプライチェーンの構築、食肉等流通合理化等の

取組を実施するための、検討会開催経費、実証ほ場設置経費、調査・分析費等を支援。

地区推進事業

産地収益力向上プログラムを策定し、産地における、

農業産出額の増大を目指す。

全国推進事業

産地の取組成果を最大限に発揮させるため、農業生産工程管理

の導入効果の検証に関するデータベースの構築、革新的農業技術

の技術習得支援等の取組を実施し、全国的に普及展開を行う。 情報・

技術提供

国 地域協議会等 国 民間団体等

補助金交付の流れ 補助金交付の流れ

例)農業生産工程管理(GAP)の導入

情報提供

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Page 63: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票 事案名 (28)産地活性化総合対策事業(産地収益力向上支援事業)

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1 (1)適切な目標の設定

収益力向上に繋がる目標となるよう

改善に努めるとともに、全国推進事業に

おいては、国民に対して適切かつ十分な

説明を行い、理解を得る観点から、定量

的な成果目標の設定を極力行うべきで

ある。

(2)成果目標の反映

効果が上がっていない事業について

は、廃止を含めて実施方法を見直すべ

きである。

(3)事後評価の適切な実施

成果目標に対して、事業がどのように

寄与していたかといった観点を事後評

価に盛り込み、分析をすべきである。

2 支援対象経費の見直し

検討会開催費のような費用は、本来、事

業主体が自己負担すべき性質のものであ

り、全額国費で支援することは不適切であ

る。

3 交付先選定の見直し

全国推進事業の事業実施主体の選定に

あたっては、より競争性を働かせるよう、

募集要件を見直すべきである。

1 (1)成果目標の設定

本事業の地区推進事業を実施する場合には、事業実施予定年度の前年度を基準とし

て、農業産出額 105%以上の増加などを成果目標とすることとなっており、事業実施

主体毎に定量的な成果目標が設定されていた。

一方、全国推進事業については、全国的な事例調査や調査結果の情報提供等を目的

としていることから、農産物の供給体制の強化などの定性的な成果目標となっていた。

(2)成果目標の進捗状況

平成 22 年度における採択地区の成果目標の中間

年度における進捗状況は、22 地区中 17 地区が目標

値以下となっており、その内 6地区が事業開始当初

の所得金額より低下しているといった結果になって

いた。

(3)事後評価について

本事業の事後評価については、国において外部委員を招聘し実施しているものの、

事業を活用して実施した取組内容を中心に評価していた。

2 協議会や検討会の開催に必要な経費には、事業実施主体の負担を求めないものが

見受けられた。(19 事業中 17 事業)

また、支出内容については、会場借上費のほか、お茶代なども含まれていた。

3 全国推進事業の交付先の選定については、公募により事業実施主体の募集を行い、

採択することとなっているが、平成 24 年度に実施した

11 事業のうち 9事業について一者応札となっていた。

このような状況となっている原因について調査した

ところ、特定の分野について、専門的な知見を有する

全国団体に限定しているなど、効率的に事業を実施で

きる者がごく一部の者に限られるような募集要件と

なっている状況となっていた。

1 目標の設定及び事後評価は適切

に実施されているか

2 支援内容は適切か

3 交付先の選定は適正か

交付先の選定状況(全国推進)

一者応札によるもの

9事業

複数応札によるもの

2事業

事業開始当初の所得を

上回ったもの

11 地区

目標値以上

5地区

事業開始当初の所得を

下回ったもの

6地区

H22 採択地区の成果目標の進捗状況

― 61 ―

Page 64: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (29)国有林野事業における木材供給事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,599 百万円

平成 24 年度:1,178 百万円

所管 農林水産省 組織 林野庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ─

① 調査事案の概要

事案の概要 ・ 木材の販売方法には、立木のまま販売する「立木販売」と、伐採した丸太を販売する「製品販売」がある。

・ 「製品販売」には、①手数料を払い市場に委託して販売を行う方法(委託販売)と、②製材工場等と協定を締結し、市場を通さずに山元から丸太を直送する

方法(システム販売)がある。

・ 伐採の前には、立木の直径及び高さを測る収穫調査が必要となる。

製材工場等

伐採

収穫調査 ・直径・高さ等の計測 ・伐採区域の測量、伐採木の選定

丸太の材積の確定

原木市場いちば

立木販売

製品販売

委託販売

システム販売

― 62 ―

Page 65: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (29)国有林野事業における木材供給事業

1.システム販売による手数料の縮減

製材工場の実需を的確に把握し、速やかにシステム販売の拡大に結び付けることにより、販売委託手数料の縮減を図っていくべき。 2.収穫調査手法の簡便化 木材価格差の縮小傾向にある中、調査方法に差を設ける合理的な根拠がないことから、簡便な収穫調査の方法を拡大することにより、収穫調査委託料の縮減を図っていくべき。 3.先進技術の導入促進 課題が見受けられる手法は、引き続き検証を続け、実用性が確認出来次第、速やかに全国展開すべき。 また、効率化に資するが、普及していない手法は、優良事例としてPRしていくべき。

1.委託販売手数料の縮減 (1)手数料が不要となる「システム販売」を拡大す

るには、大量の材を直接受入れることが可能な大規模製材工場の存在が欠かせない。

(2)委託販売のウエイトが高い地域(北海道、東北等)の製材工場の状況を調査したところ、工場の新設・増設による取扱いロットの増大が進んでいる実態が認められた。

(3)一方、供給側である国有林サイドにおいて、こうした実態把握が十分ではなく、また、十分生かしきれていなかったことから、委託販売からシステム販売への移行が意欲的に行われてなかった。

2.収穫調査の効率化 (1)立木を販売する際の収穫調査には、①直径・高さを毎木で測る精緻な方法と、②直径

は毎木で測り、高さはサンプル木のみを測る簡便な方法があり、その単価には2~3倍程度の差がある(㎥あたり 693 円対 284 円)。

(2)材価の高かったもの(ヒノキ、トドマツなど)は精緻な方法、材価の低かったもの(スギ、カラマツなど)は簡便な方法と、樹種によって方法が固定されている。

(3)現在の木材価格は、樹種に係らず価格水準が低位であり、調査方法に差を設ける合理的な根拠はないと考えられる。

3.材積調査の効率化 (1)立木の材積調査では、レーザースキャンを用いた機器が開発されており、本年1月

に、国有林内で実用試験が行われた。しかし、枝、蔓(つる)、灌木等障害物の影響による材の本数の誤差など測定精度に課題が見受けられている。

(2)丸太の材積調査では、昨年度、九州森林管理局において3次元写真を用いた機器による調査を実施した。その精度は従来の人力による方法と変わらず、単価は従来の3分の2程度と効率化が図られた。しかしながら、同機器の保有事業者は1社(保有台数1台)しかない。

1.委託販売手数料の縮減システム販売の拡大に

より、原木市場に支払う委託販売手数料を縮減できないか。 2.収穫調査の効率化 簡易な収穫調査の方法

を拡大する余地はないか。 3.材積調査の効率化 レーザー等の先進技術

の活用余地はないか。

○丸太の平均販売単価 (単位:千円)

地域 樹種 H14 H24

内 地 ヒノキ 29.6 12.4

ス ギ 13.2 7.6

北海道 トドマツ 12.6 8.4

カラマツ 7.2 8.3

○販売区分別販売数量推移 (単位:千m3)

区分 H20 H21 H22 H23 H24

委託 919 1,161 988 1,074 1,139

シェア 51% 57% 50% 50% 48%

システム 644 725 882 943 1,107

シェア 36% 36% 44% 44% 47%

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Page 66: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (30)離島漁業再生支援交付金 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,235 百万円 平成 23 年度:1,300 百万円

平成 24 年度:1,235 百万円 平成 22 年度:1,378 百万円

所管 農林水産省 組織 水産庁 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 四国財務局

①調査事案の概要

【事案の概要】

共同で漁業の再生に取り組む離島の漁業集落に対し、都道府県及び市町村を通じて離島漁

業再生支援交付金(以下「交付金」という。)を交付。

※漁業再生活動の取組の例:種苗放流、漁場の管理・改善、海岸清掃、漁場監視 等

【対象集落】

市町村が策定する市町村離島漁業集落活動促進計画(以下「促進計画」という。)に基づ

いて、集落協定を締結し市町村の認定を受けた漁業集落を交付対象としている。

【事業実施期間】

事業期間は 5か年で、現在、第2期事業期間中である(平成 22年度~平成 26 年度)。

【交付金の交付額】

1 集落(25世帯の場合)当たり 340 万円(13.6 万円/世帯)(国費 1/2)が交付されている。

体 験 漁 業 アワビの種苗放流

― 64 ―

Page 67: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (30)離島漁業再生支援交付金

1.目標達成状況の検証

① 次期事業の開始にあたっては、前期事

業における評価結果を踏まえて促進計

画を策定するようにすべき。

② 促進計画には定量的な目標を設定し

た上で、毎年度、目標実施状況を検証す

べき。

2.交付金の支出

① 活動経費以外の経費は「必要がない」

等の理由から支出していない漁業集落

が相当あることから、交付対象の見直し

を検討すべき。

② 交付金は、所要額に対して交付するな

ど算定方法の見直しを検討すべき。

1.目標達成状況の検証

① 第1期事業の目標(漁業就業者数の維持等)を達成できなかった 48 市町村のうち、第1期事業の評価結果を第2期事業の促進計画に反

映したと回答した市町村は 30 市町村(62.5%)に留まっており、第 1 期事業の評価結果が活かされていない実態がある。

② 調査対象 78 市町村のうち促進計画に定める具体的な取組に係る目標が定量的ではない市町村が 34 市町村(43.6%)あり、取組成果を

しっかり検証できないと考えられる。また、目標実施状況の確認を毎年度実施していない市町村が 20 市町村(25.6%)あった。

2.交付金の支出

① 活動経費以外の「漁業集落の担当者報酬」、「事務委託料」及び「話合い・備品に関する経費」について、調査対象 171 漁業集落のうち、

それらの経費支出がない漁業集落がそれぞれ 73 集落(42.7%)、49 集落(28.7%)、42 集落(24.5%)あった。その理由として、「担当者報

酬」については「必要がない」、「活動に交付金を活用したい」が約 4 割、それ以外については「必要がない」が過半数であった。

交付事務を

漁協に委託し

ているため31%

必要がない

26%取組に交付

金を活用した

いため11%

市町村の担当

者が事務を

行っているた

め9%

漁協の協力に

より事務を行っ

ているため

6% 不明17%

担当者報酬の支出を計画していない理由

必要がない57%漁協や市町村

の協力により

事務を行って

いるため17%

漁協の業務の

一部と考えて

いるため4%

その他11%

不明11%

事務委託料の支出を計画していない理由

必要がない59%

漁協や行政

の協力により

事務を行って

いるため25%

交付金事務

にだけ使用す

る備品が少な

いため計上し

ていない

3%

不明13%

話合い・備品に関する経費の支出を計画していない理由

② 執行状況を調査したところ、141 集落(82.5%)で繰越をしており、その理由は「計画を過大に見積もっていたため」が最も多かった。

これは、交付金額ありきで計画を作成した結果、年度内の執行が出来ず、繰越をしているという実態が推測される。

一方、30 集落(17.5%)で繰越しておらず、その理由は「計画どおり執行できたため」、「繰越が発生しないように指導したため」

で約 8 割を占めており、執行管理を適切に行うことにより、繰越が回避できると考えられる。

計画を過大に見積

もっていたため24%

集落内の日程調整

等がつかず実施で

きなかったため

17%

翌年度交付決定ま

での間の資金確保

のため16%

翌年度以降、多額

の費用を要する取

組に充てるため

14%

天災等により取組を

実施できなかったた

め13%

その他16%

繰越が発生した理由

計画どおり執行で

きたため53%

繰越が発生しない

よう指導したため30%

その他

13%

不明4%

繰越が発生していない理由

1.目標達成状況の検証

① 第1期事業の評価結果

を第2期事業の促進計画

に反映しているか。

② 促進計画に定める目標

設定はどうか。

2.交付金の支出

① 交付金の支出内容に問

題はないか。

② 交付金の執行状況に問

題はないか。

― 65 ―

Page 68: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (31)耕作放棄地再生利用緊急対策交付金 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:203 百万円 平成 23 年度:1,733 百万円 平成 21 年度:19,509 百万円

平成 24 年度:226 百万円 平成 22 年度: 0 百万円

所管 農林水産省 組織 農林水産本省 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 関東財務局

①調査事案の概要

【事案の概要】

一定の手当を行うことにより耕作可能となると見込まれる荒廃した状態の耕作放棄地について、農用地区域を中心に、当該農地を貸借等により引き受け

る再生利用者を対象として、再生作業や、作付・加工・販売の試行、必要な施設の整備等を総合的に支援するもの。

◆ 実施主体 : 都道府県協議会、地域協議会、

個人農業従事者、農業生産法人 等 ◆ 補 助 率 : 定額、1/2(沖縄 2/3)

【調査対象】

◆ 取組みのない東京及び被災3県(岩手、宮城、福島)を除く

43 道府県協議会 ◆ 地域協議会(各道府県 3協議会)計 130 協議会

[交付金の流れ]

― 66 ―

Page 69: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (31)耕作放棄地再生利用緊急対策交付金

1.基金の執行状況について

・ 平成 21~24 年度までの基金の執行状況を踏まえると、24 年度の執行残高

53 億円を 25 年度中に執行することは困難と見込まれる。

・ 大多数の都道府県協議会において年度別の執行見込額を定めていなかっ

た。

(単位:千円)

年度 交付額 返還額 執行額基金額(期末)

平成21年度 17,308,388 0 2,941,225 14,367,163 平成22年度 0 4,943,738 2,031,862 7,391,563 平成23年度 1,529,975 2,471 1,895,306 7,023,762 平成24年度 181,000 0 1,861,686 5,343,076

計 19,019,363 4,946,209 8,730,078 ※ 平成23、24年度の執行額は、円単位を小数点以下で入力しているため、小計が合わない。

※ 東京都及び被災3県(岩手、宮城、福島)を除く43道府県を対象としている。

※ 返還額は、平成22年度事業仕分けを踏まえた、国庫への自主返納額である。 2.事業効果の検証結果について

・ 再生後の農地については、農地の集約・大規模化に寄与している事例が

ある一方で、再び耕作放棄地に戻っている等、事業効果が低いと思われる

事例が確認された。

・ 審査基準について、一部の地域協議会においては、国の要綱・要領に沿

った審査に加え、地域の実情を踏まえた審査を実施している事例が確認さ

れた。他方、多くの協議会では、再生希望が少ない、実施者の希望優先等

の理由から、再生の優先順位を付していない。

・ 土地の耕作条件・収益性が悪い農地については事業効果が低いとの認識

がある一方で、そのような悪条件の農地を再生している事例が確認された。

1.各都道府県協議会に造

成された基金の申請額

が実態に比して過大な

ものとなっていないか。

2.交付対象農地につい

て、営農可能性を考慮し

た上で優先度を付す等、

事業効果が期待できる

取り組みとなっている

か。

3.事業対象範囲が、現場

のニーズに沿ったもの

となっているか。

1.実態に見合った執行について

農林水産省は、各協議会に対して現場

の実態を反映した実現可能な執行計画

を定めさせたうえで、実態に見合った基

金規模とするとともに、各年度における

執行状況及び事業効果を検証すべき。

2.再生後を見据えた厳格な審査の必要

性について

農林水産省は、効果の高い予算執行と

するため、再生そのもののみが目的とな

ることがないよう、再生後の営農計画が

真に実現可能なものであるか等、地域の

実情を踏まえた厳格な審査・選別を行う

べき。

― 67 ―

Page 70: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (31)耕作放棄地再生利用緊急対策交付金

3.耕作放棄地対策の在り方について

耕作放棄地の再生については生産性向上に

直結する農地整備の一環等として行われるも

のである。対策を行うとしても、現場の実態・

要望を踏まえ、まずは発生させないことを念頭

に、農林水産省は、予防も含めた耕作放棄地施

策を検討すべき。

3.耕作放棄地対策に対する現場のニーズについて

・ 現在の事業対象範囲(農地への復元は可能だが、荒廃した耕作放棄地)を対象とした対策が有効と考え

る協議会が多いものの、これは、公的負担の有無(本交付金が受けられること)に因るところが大きい。 ・ 都道府県協議会・地域協議会ともに、荒廃前の不作付地を対象とした予防対策が最も有効な耕作放棄地

対策と考えている。これは、①農業者の高齢化に伴い荒廃前の遊休農地が増加していること、②山間部で

は担い手が少ない中で耕作放棄地発生をいかに食い止めるかが重要な課題となっている等の理由によるも

のである。

― 68 ―

Page 71: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (32)植物防疫事業交付金 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:293 百万円 平成 23年度:308 百万円

平成 24 年度:298 百万円 平成 22年度:319 百万円

所管 農林水産省 組織 農林水産本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

・農業生産に重大な損害を与える病害虫は、県境を越えてまん延するおそれがあり、国と都道府県が協力して病害虫の発生動向を把握し、適切に防除を行

う必要がある。このため、植物防疫法第 35 条に基づき、病害虫防除所の運営及び指定有害動植物の発生予察事業を実施するための経費について、交付金

を交付する。

― 69 ―

Page 72: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (32)植物防疫事業交付金

H25予算額 交付額 予算比

1,522 834 54 .8 %

発生予察事業費 839 504 60.1%病害虫防除所運営費 683 330 48.3%

1,522 869 57 .1 %

発生予察事業費 839 540 64.3%病害虫防除所運営費 683 329 48.2%

H22

H23

合計

合計

(単位:千円)【図1】1都道府県あたりの旅費の交付額との予算比

発生状況

調査

32%

予察審議

11%A

35% B

18%C

3%D

1%

その他

57%

平成22年度

発生状況

調査

29%

予察審議

9% A

38% B

11%C

11%

2%

その他

62%

平成23年度

A:研修・シンポジウムの類 B:会議の類 C:説明会の類 D:その他

【図2】発生予察事業費に係る旅費の内訳

情報提供媒体 ホームページ 電子メール 紙

都道府県数 47(100%) 43(91%) 32(68%)

【図3】予察情報の提供方法(平成23年度実績)

※15府県が紙媒体での情報提供を行っていない

・電子メールを活用し情報提供を行っている都道府県のうち、約半数の県においては、メールア

ドレスを登録している農業者に対して、直接かつ迅速に情報を提供する取組を行っている。

一方、残りの県においては、県内部及び農業関係機関までの情報提供にとどまっており、農業

者は県のホームページにアクセスしたり、県又は農業関係機関から情報を得る必要がある。

・また、ケーブルテレビを用いた文字放送やテレホンサービスを活用している事例もある。

1.交付金の適正執行について

(1)発生予察事業における旅費につい

ては、本来、病害虫発生状況調査として、

調査地点に赴くための旅費を、予算上主

な交付対象経費としているところである

が、今回の調査で明らかとなった執行実

態を踏まえ、適切な予算計上に努めるべ

きである。

(2)また、交付対象経費となる標準的

な用途例を示し、都道府県に周知するこ

とで、より適正な予算執行に努めるべき

である。

2.予察情報の提供方法について

都道府県全体の約7割が未だに紙媒体

を用いて情報提供を行っていることか

ら、パソコン等の普及状況を踏まえれば、

ホームページや電子メール等の媒体を用

いた情報提供をさらに推進していくこと

で、より効率的な執行に努めるべきであ

る。

また、効率的かつ迅速な情報提供を目

的として、農業者に対して直接電子メー

ルで情報提供を行っている県もあること

から、こうした取組を各県に周知し、導

入に向けた検討を進めるべきである。

1.交付金の適正執行について

都道府県における交付金の執行実態を把握し、適

正に執行しているか検証する。

2.予察情報の提供方法について

提供方法(媒体)を調査し、効率的かつ適切に実

施しているか検証する。

1.交付金の適正執行について

・調査の結果、発生予察事業及び病害虫防除所運営に係

る旅費の執行について、予算額に対し、約6割の執行と

なっている。(図1)

・発生予察事業については、病害虫発生状況調査に直接

必要となる旅費が約3割であるのに対し、研修・シンポ

ジウムや会議等のための旅費が約6割と大きな比重を

占めている。(図2)

2.予察情報の提供方法について

・調査の結果、ホームページや電子メール等を活用する

ことで、紙媒体での情報提供に係る印刷製本費等の削減

に努めている実態がある一方、情報の受け手のニーズに

合わせて紙媒体での情報提供を行っている都道府県が

約7割存在しており、更なる効率化について検討する必

要がある。(図3)

― 70 ―

Page 73: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (33)農業経営基盤強化事業事務取扱交付金 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:3,729 百万円

平成 24 年度:1,722 百万円

所管 農林水産省 組織 - 会計 食料安定供給特別会計

(農業経営基盤強化勘定)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

1.自作農財産の管理状況は平成 23 年度末現在で 4,291ha(国有農地 619ha、開拓財産 3,672ha)となっている。これらの財産は農地等を効率的に利用して農業を行う者に売払い、また、

農業上の利用に適さないと認められるものは旧所有者等に売払うこととしている。

具体的には、都道府県等は①売渡対価等徴収業務、②管理業務、③売払業務等を行っており、国はこれらの事務に要する経費として地方財政法第 10 条の 4 第 1 項第 7 号の規定によ

り都道府県に交付している。

なお、平成 25 年度においては、新たに確認された国有農地についての登記履歴及び所在等を明らかにする資料の収集及び現地確認を行う「国有農地登記記録等確認委託事業」実施

後の国有財産台帳への登載及び登記の是正に係る事務(以下「未登載財産関係事務」という。)を行うための費用を予算計上した。

2.平成 22 年度予算執行調査において、交付金の算定方法の見直しを検討するように指摘したが、その後も交付金全体で2億円前後の不用額が継続しているため、その執行状況を調査

し、効率的な予算執行となっているかについて確認する。(本調査は、平成 22 年度予算執行調査のフォローアップ調査として実施。)

(参考)前回の調査結果及び反映状況

調査結果の概要 反映の内容等 1.境界測量、柵設置及び雑草等処理

可能な限り年間計画を立て、より一層の契約の一括化を図る等、合理化を徹底すべき。

2.業務関係事務取扱交付金

各都道府県における業務割合の算出方法に統一性が見受けられないことから、具体的な

算出基準を設けるべき。また、交付金の算出方法について、当年度の事業計画における前

向きな取組が反映できるよう、算出方法の見直しを検討すべき。

1.境界測量、柵設置及び雑草等処理

境界測量費等について、都道府県ごとに年間計画を立てることにより、

契約の一括化を実施するなど合理化を図るよう改善。

2.業務関係事務取扱交付金

業務関係事務取扱交付金について、管理・処分の業務割合の具体的な算

出基準を設けるとともに、交付金の算定方法についても、当年度の事業計

画における前向きな取組を業務割合に反映させるなどの見直しを実施。

― 71 ―

Page 74: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.国有財産管理等事務取扱

交付金について、適正な予

算規模の観点から交付金予

算の執行状況等を確認・調

査する。

2.業務関係事務取扱交付金

について、具体的な算出基

準の設定状況及び交付金の

算定方法等を確認し、当該

見直し内容等が適切に予算

積算に反映されているかを

調査する。

1.国有財産管理等事務取扱交付金

平成 23 年度の執行状況は、予算額 814 百万円のうち 195 百万円(執行率は 76.0%)が不用と

なっており、その大宗が境界測量費を主体とする「国有財産管理事務取扱費」で 157 百万円(執

行率は 77.8%)、買い手の意向が影響する「国有財産売払事務取扱費」で 26 百万円(執行率は

44.6%)であった。

不用の主な要因である境界測量費について、平成 23 年度における 47 都道府県の計画と実績は

(表1)であり、このうち、年間3件以上の境界測量を計画した 20 都道府県における計画と実

績の乖離状況は、(表2)のとおりであった。境界測量については、隣接地所有者との調整が不

調となり実施できない場合等もあるが、計画と実績の乖離(特に単価)が大きいことから、結果

として不用が生じており、計画の作成方法等を見直す必要があると認められた。

また、未登載財産関係事務については、現在、「国有農地登記記録等確認委託事業」の調査を

行っている段階であり、都道府県における具体的な処理計画の策定までには至っていない状況で

あった。

2.業務関係事務取扱交付金

平成 23 年度から交付金交付要綱を改正し、農業経営基盤強化事業の自作農財産に係る管理・

処分に携わる都道府県職員(課長級、課長補佐級、係長又は係員級別)の業務割合について具体

的な算出基準を設定し、都道府県における業務割合の算出方法の統一を図っていた。これらの算

出基準の設定や交付金算定方法の見直しについては、平成 23 年度から実施し、実績等を踏まえ

つつ、その後の予算積算に反映していた。

1.国有財産管理等事務取扱交付金

不用額を生じている項目について

は、近年の執行実績を踏まえ、都道

府県からの申請時や精算報告時に原

因を確認し、計画の作成方法等の見

直しを行うなどにより、適切な予算

規模とするべきである。

また、未登載財産関係事務について

は、今後、都道府県における全体のス

ケジュール等を明確化するなど計画

的な実施を検討すべきである。

2.業務関係事務取扱交付金

引き続き適正な予算執行に努める

とともに、必要に応じて算出基準や

算定方法等の見直しを実施し、それ

を予算積算へ適切に反映するべきで

ある。

総 括 調 査 票

事案名 (33)農業経営基盤強化事業事務取扱交付金

(表1) 47都道府県の境界測量の計画と実績 (単位:件、千㎡、円、百万円)

区 分 50%以上の増 50%以上の減

件数 面 積 単 価 測量費 件数 面 積 単 価 測量費 件 数 - 8 都道府県

計画 245 304 720 219 47 490 394 193 面 積 5 都道府県 8 都道府県

実績 214 325 356 116 52 996 211 210 単 価 4 都道府県 7 都道府県

増減 ▲ 31 20 ▲ 364 ▲ 104 5 506 ▲ 183 17 測量費 - 9 都道府県

(参考)1㎡当たりの平均単価 = 測量費 ÷ 面積

(表2) 20都道府県の計画と実績の乖離状況

区 分国有農地等 開拓財産

― 72 ―

Page 75: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (34)イノベーション実用化助成事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度: 300 百万円

平成 24 年度:2,834 百万円(平成 24 年度補正予算:10,000 百万円)

所管 経済産業省 組織 経済産業本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

現行の収益納付規定

補助対象期間終了年度の翌年度以降5年間、収益が認められた場合は原則として以下の計算式で算

出される金額を納付。

なお、収益納付額の合計は、補助金確定額を上限とする。

納付額=(①補助事業に係る当該年度収益額-②控除額)×③補助金確定額÷補助対象費用

① 補助事業に係る当該年度収益…原則として営業利益(売上-(売上原価+販管費))

② 控除額…(補助対象費用-補助金確定額)×1/5

③ 補助金確定額・補助対象費用…補助事業終了時に通知する補助金の確定額及び補助対象費用

※「補助対象費用」については、補助対象期間終了後における追加費用を毎年度加算。

事業の目的・実績

【目的】

研究開発型ベンチャー企業等の有する優れた先端技術シーズや有望な未利用技術

を活用した実用化開発を支援することにより、リスクを低減させ、研究開発成果を迅

速に実用化・事業化に結びつけ、新規事業・雇用の創出等を促進する。

3164 68

3169

142

6028 53

186

10854 457

5445 29

64

80

64

2650

177

104

51 143

0

50

100

150

200

250

300

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

新規採択

継続

国費のフロー

助成内容等(例:平成 24 年度補正予算事業)

対 象 技 術:イノベーション創出のための基盤を強化し、成長による富の創出に資する新規性・

革新性の高い実用化開発(実証段階であっても、技術開発要素があれば可)

対 象事業 者:中小企業者又は資本金10億円以下の企業等

補 助 率:2/3以内

補 助 金 額:1千万円~5億円 (単位:億円)

3759 61 63 70 65 66 58 42

213

58 43

128

30

50

100

150

200

250

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

(単位:件) 【執行実績】

【予算額の推移】※補正予算が計上されている場合は、当該予算額を含む。

現行の収益納付規定は実効性を有するものとなっているか。

②調査の視点

― 73 ―

Page 76: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (34)イノベーション実用化助成事業

【現状分析】

○収益納付の状況

【問題点分析】

収益納付額算定式の見直し等

現行の算定式は以下のとおり。

納付額=(①補助事業に係る当該年度収益額-②控除額)×③補助金寄与度

○対象事業者の収益水準に対する配慮に関して、現行の控除スキームについては、控除対象となっている額((補助対象費用-

補助金確定額)×1/5 )には収益額を算出するにあたって売上原価として考慮されているものもあることや上記の収益納

付の状況等を踏まえ、事業者の事務負担等の面から収益額が少額の場合に収益納付は求めないスキーム等に見直すことが考

えられるのではないか。

○他方で、本事業の対象事業者は研究開発型ベンチャー企業(中小企業)(※)であり、財務基盤が比較的脆弱なものが多いと考

えられることを踏まえ、経常収支の状況も考慮して収益納付を求めるスキームにすることも考えられるのではないか。

(※) 平成 24 年度補正予算以降、大企業を補助対象から除外。

現行のスキームについて以下のとおり見直しては

どうか。

(1)算定式を以下のとおり見直す。

(現 行)(補助事業に係る当該年度収益額-

控除額)×補助金寄与度

(修正案) 補助事業に係る当該年度収益額

×補助金寄与度

(2)収益が少額の場合(例えば、各年度の収益額が、

補助金確定額の 1%に満たない場合)は、収益納付

対象外とする。

(3)上記(1)、(2)において収益納付要件を満たす場

合でも、経常収支が赤字のときには、納付の猶予

を認める規定を設ける。

① 補助事業に係る当該年度収益…原則として営業利益(売上-(売上原価+販管費))

② 控除額…(補助対象費用-補助金確定額)×1/5

③ 補助金確定額・補助対象費用…補助事業終了時に通知する補助金の確定額及び補助対象費用

※「補助対象費用」については、補助対象期間終了後における追加費用を毎年度加算。

(参考)補助金総額(492.4 億円)に占める収益納付総額(3.5 億円)の割合は 0.7%。

平成 12~20 年度採択案件:468 件(大企業:244 件、中小企業:224 件)

収益納付実績件数:8 件(1.7%)(大企業:3件、中小企業:5件)

― 74 ―

Page 77: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (34)イノベーション実用化助成事業

【問題点分析】

簡便な算定式の選択的導入

事業者の負担を軽減する観点から、精査すべき事項の縮減や、資料保存に係る負担の軽減に資する簡便な算定式を選択的に導入することも考えられるの

ではないか。具体的には、補助金の寄与度の算定について、補助対象費用(補助対象期間終了後における追加費用も毎年度加算)における補助金確定額が

占める割合に応じて収益を按分する現行の「累積投資ベース」に加え、算定を行う年度の生産コストに着目した「単年度生産コストベース」を選択的に導

入することが考えられる。(下図参照)

左記のとおり、事業者の

負担の軽減の観点から、簡

便な算定式を選択的に導

入してはどうか。

収益納付算定式(補助金寄与度)の比較

○累積投資ベース(現行の寄与度の算定式) ○単年度生産コストベース(簡便な算定式)

生産設備

投資額等

設備修繕

投資等

補助対象期間 収益納付期間

補助対象費用

補助金確定額

収益納付額 = 収益 ×

補助金確定額の1/5

収益納付額 = 収益 ×

各年度に要したコスト(注 1)

(注 1)各年度の生産コスト

に、補助対象期間中に投

下した自己負担額の1

/5及び補助金確定額

の1/5を加算

(注 2)事業全体の売上原価

及び販管費に、総売上高

に占める補助事業の売

上高の割合を乗じるこ

とにより、簡便に算出。

収益を上げるのに

要したコスト(注 1)

補助対象期間 収益納付期間

補助事業に係る

売上原価+販管費(注 2)

― 75 ―

Page 78: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (35)二酸化炭素削減技術実証試験事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:11,486 百万円

平成 24 年度:10,230 百万円

所管 経済産業省 組織 - 会計 エネルギー対策特別会計

(エネルギー需給勘定)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

①調査事案の概要

○ 事案の概要

地球温暖化対策のため、火力発電所や工場などで排出される二酸化炭素を画期的に削減することを可能とする二酸化炭素回収・貯留(CCS)技

術の確立に必要な実証試験を実施する(平成 20年度~平成 32 年度)。

平成 24 年度から平成 27年度にかけては、製油所の水素製造装置から発生するガスを受け取り、高純度のCO2を分離・回収するための設備と、地

下へCO2を圧入する設備を設計・建設するとともに、2坑の圧入井を掘削する(平成 24年度~平成 27年度 国庫債務負担行為)。

帯水層の顕微鏡写真

Pore(空隙)部分に

CO2を貯留

・ ェ・ 」・E・ ・・ ・ ・ A・ ・ ・ ウ・ ・

海上施設より圧入

パイプライン輸送

分離・回収

大規模排出源

パイプライン輸送

地上施設より圧入

不透水層

不透水層

CO2

CO2

陸域地中帯水層

海域地中帯水層

地上施設より圧入

20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度

実証試験地点の選定 実証試験施設の設計・調達・建設 二酸化炭素の圧入試験 モニタリング

②調査の視点

(事業イメージ)

分離・回収 輸送 圧入

(国費の流れ)

国 民間団体等 委託

※ CCSとは、火力発電所や工場などで排出されるCO2(Carbon dioxide)

を大気中に拡散する前に捕えて(Capture)、地中に貯留する(Storage)

技術。

1.長期大型事業の予算要求又は執行においてコスト管理の面から適切な管理が行われているか。

2.実証施設は本事業終了時に有効に活用されることを計画しているか。

― 76 ―

Page 79: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

総 括 調 査 票

事案名 (35)二酸化炭素削減技術実証試験事業

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

本事業は国庫債務負担行為が認められ

ているものの、長期大型事業であり計画

時以降の執行状況を踏まえて適切な予算

措置を行う必要があると考える。具体的

には以下のとおり。

○ 入札の節減効果を踏まえて、掘削事

業を含む再委託事業について、可能な

限り競争入札を実施し、更なる予算の

節減を図るべきである。特に、掘削事

業については、現地の地質を把握出来

ない業者は事業実施を希望せず結果と

して入札が成立しない可能性がある。

例えば、本事業で得られた地質情報を

広く開示するなど、競争入札が成立す

るようなアプローチを検討するべきで

ある。

○ また、競争入札が行われているケー

スでは予定額と契約額が大きく乖離し

ていることを踏まえて、予定額の適切

性の検証を図るべきである。検証に当

たっては、本事業は専門性が高い大型

事業であることに鑑み、例えば、外部

の有識者を活用することなどが考えら

れる。

○ なお、予定額の見直しや入札等によ

る節減額については予算要求及び国庫

債務負担行為に適切に反映すべきであ

る。

1.国庫債務負担行為の状況

○ 24 年度予算において総額約 470 億円の国庫債務負担行為を計上(H24~27)。入札により約 20 億円が節減され、約 450 億円を上限

として事業全体に係る委託契約を締結。同契約締結に伴い、25 年度予算では国庫債務負担行為は総額約 470 億円から総額約 450 億円

に見直しを行った。

2.入札の節減効果について

○ 委託事業約 450 億円のうち再委託事業は約 411 億円であり、そのうち約 302 億円については入札実施済である(国庫債務負担行為

ベース、以降の( )金額も同様)。

○ 競争入札が行われているケースでは予定額を大幅に下回った金額で契約締結しており、入札の節減効果が表れている。

○ 他方、予定額と契約額の乖離率が顕著であることから、予定額の適切性を確保する工夫が必要との面もあるのではないか。

○ 滝ノ上観測井掘削のように、公募(入札可能性調査)の結果、1 者のみが事業実施を希望するケースについては、予定額と同額で

随意契約を行っている。

○ 今後、再委託を予定する事業(約 109 億円)のうち萌別層及び滝ノ上層圧入井の掘削事業(約 73.5 億円)についても、現地の地質

を把握出来ない業者は事業の実施を希望せず結果として競争入札とならない可能性が高いとのことであるが、競争入札となるような

工夫が必要なのではないか。

予定額 契約額 節減額 乖離率

地上設備の建設(4 者入札) 191 93 98 51.3

パイプライン設置(4 者入札) 44 24 20 45.5

萌別層観測井掘削(3 者入札) 3.5 2 1.5 42.9

滝ノ上層観測井掘削(公募の結果、希望 1 者) 12.5 12.5 0 -

既調査井の観測井への改修(公募の結果、希望 1 者) 8 8 0 -

その他 43 36.7 6.3 14.7

計 302 176.2 125.8 -

H24 H25 H26 H27 計

100 115 120 115 450

(単位:億円)(契約上の支出限度額の内訳)

(単位:億円、%)

― 77 ―

Page 80: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

総 括 調 査 票

事案名 (35)二酸化炭素削減技術実証試験事業

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

3.執行状況のフォローアップの重要性について

多額の事業費を要する掘削事業(再委託事業)は、入札金額を上限として実際にかかった費用のみを再委託先に支払うという実費精

算方式であることから、適切な執行の確保が重要となるが、その適切性を検証する体制は特段整備されていない。

4.事業終了後の実証施設の取扱について

委託事業で取得した施設等は国の所有となり、通常、事業終了後に処分されることとなっている。本事業は委託事業であるが、現時

点では地方公共団体及び民間事業者との交渉は行われておらず、その処理方法について結論を出していない。

○ 執行状況のフォローアップとして、

コスト検証が働く体制を整備するべき

である。検証に当たっては、掘削事業

は高度な技術力を要する事業であり、

その執行調査に当たっては専門性が必

要になることから、例えば、外部の有

識者の活用などが考えられる。

○ 本実証施設は、特に多大な国費が投

入されており、実証研究を進めるなか

で活用方法又は計画的な処分等を検討

するべきである。

― 78 ―

Page 81: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (36)戦略的基盤技術高度化支援事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:10,775 百万円

平成 24 年度:13,196 百万円

所管 経済産業省 組織 中小企業庁 会計 一般会計 調査区分 共同調査

取りまとめ財務局 (関東財務局)

①調査事案の概要

〇事案の概要

・「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」(「中小ものづくり高度化法」)に基づき、

特定ものづくり基盤技術(鋳造、鍛造、切削加工、めっき等)の高度化に資する研究開発からその

試作までの取組みを支援する事業。

・中小ものづくり企業を含む事業管理機関、研究実施機関、アドバイザー等によって構成される共

同体が実施する、川下企業のニーズを踏まえた研究開発等に対して、3年間を上限に委託事業とし

て行っているもの。

〇対象事業

中小ものづくり高度化法に基づく認定を受けた特定研究開発等計画を基本とした研究開発等

〇実施者

認定を受けた中小企業者を含む共同体(中小企業、ユーザー企業、研究開発機関等で構成)

〇上限額

初年度 4,500 万円、2年度目は初年度契約額の 2/3、3年度目は初年度契約額の半額

〇事業スキーム

― 79 ―

Page 82: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (36)戦略的基盤技術高度化支援事業

1.これまで実施した事業については、

事業費相当額が事業終了後結果的に

事業者の利益に繋がっている中、委

託事業として実施することの実益が

限定的な状況にあることを踏まえ、

今後、成果の更なる普及活用を図る

ことができないか、検討すべきであ

る。

2.その上で、本事業については、類

似の補助事業と実質的に採択基準が

同様であることにも鑑み、委託事業

と補助事業の利害得失を評価した上

で、適切な支援の在り方を検討すべ

きである。

3.委託事業として取得した機器設備

の処分については、可能な限り一般

競争入札等による買取りがより多く

実施されるよう、厳格な運用がなさ

れるべきである。

4.2~3年目の事業については、中

間評価結果等を踏まえ、さらに精緻

な所要額の積算を図るべきである。

1.本事業と他の取組

みの採択基準の違いは

明確か。

2.委託事業に必要な

機器設備は、事業終了

後に適切に処分されて

いるか。

3.委託事業の成果は

適切に活用されている

か。 4.複数年の事業計画

については、過年度分

の進捗を踏まえ、2年

目以降の支援内容を見

直す必要があるのでは

ないか。

(参考)

調査対象:21 年度委託

事業管理者 39 社

1.ものづくり中小企業が実施する試作開発等の研究開発を支援する事業としては、平成 24 年度補正のものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(補助率 2/3、予算額 100,689 百万円)が存在。当該事業と本事業の採択基準を比較すると、明確に異なっている点は本事業にのみ波及効果・経済効果の項目がある点に止まる。波及効果・経済効果は、研究開発等の技術面・事業化面・政策面の他の基準を通じて結果的に達成される事項であることを踏まえると、両者は、委託事業と補助事業という違いがある下でも、採択基準に類似性が窺われる。なお、本事業の採択事業者の多くは、国の他の事業も並行して採択を受けている(39 社中 36 社)。その一部には、本事業の採択案件との関連が認められるものも存在しており、採択結果からも、他の事業との採択基準の類似性が窺われる。

4.各年度の計画額及び執行額を比較すると、表3のとおり、経年で執行率が

逓減している。また、事業費や再委託費については、1~3年目を通じて 10%

程度の執行残がある。更に、個別の事業者を見ると、2年目以降に1年目比

10%以上執行残の割合が高まっている例も複数(39 社中7社)存在している。

2~3年目について、進捗状況に応じた所要額の見直しが十分に行われず、上

限額(2年目は初年度の 2/3、3年目は同 1/2)のまま採択されている可能性

がある。

2.取得費が本事業費の過半を占める機器設備は、事業終了後は事業者が適切な価格で原則買い取ることとされているが、実際は、表2のとおり、事業終了後も無償貸付を受けるか、随意契約で簿価より低い価額で処分される事例が太宗を占める。これらの機器設備に要した費用相当額は事業終了後には事業者の利益に繋がっていると評価できる。

3.国は、本事業を委託事業として実施することにより、①事業者から成果報告書の提出を受けるとともに、②事業者が取得する知的財産権の無償利用・第三者使用の要請等が可能となる。ただし、①は、HP に掲載し周知することで活用を図っているものの、閲覧数(HP カウンタ)は年間 7 千件程度の水準に止まっており、②については実績が一件もないことを踏まえると、委託事業として実施する実益は限定的と評価できる。なお、①については、21 年度補正のものづくり中小企業製品開発等支援補助金についても類似の報告書が HPに掲載されており、そもそも委託事業に固有の成果物とは言い切れない点にも留意する必要がある。

― 80 ―

Page 83: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (37)気象庁における各種センター業務関係経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:218 百万円

平成 24 年度:224 百万円

所管 国土交通省 組織 気象庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

気象庁は、国内外の関係機関との各種観測データの共有、観測精度の維持、効率的な観測体制の整備等を目的とした各種のセンターを設置している。 これらのセンターでは、国内外の関係機関が実施した各種観測データを交換・解析・公表を行うことにより気象・気候の予測技術の向上を図るとともに、各種観測機器の定期的な

較正や比較観測を実施することにより各種の観測精度の維持や観測データの品質管理等を行っている。

【センターの概要】 【センターの運営に必要となる主な経費】

センター等名称H25年度

予算額(千円)設置年度 関係機関等名 業務概要 担当部署

1

アジア太平洋気象防災センター(旧太平洋

台風センター)1,435

平成25年度

(平成2年度)

世界気象機関(WMO)、北西太平洋域にお

ける台風委員会加盟の気象機関等

北西太平洋域における台風等の解析、予報の発表、関係国へ

の配信

予報部予報

2大気汚染気象セン

ター1,133 昭和46年度 都道府県 大気汚染気象通報、スモッグ気象情報の発表等

予報部予報

3全球情報システムセ

ンター 20,578 平成23年度

世界気象機関(WMO)、WMO第Ⅱ地区(ア

ジア)内加盟国の気象機関、他地区の全球情報システムセンター

全世界の気象データの交換等予報部情報

通信課

4 地区測器センター 22,327 平成10年度WMO第Ⅱ地区(アジア)内加盟国の気象

機関WMO第Ⅱ地区(アジア)内加盟国の気象測器の標準の較正等

観測部観測課

気象測器検定

試験センター

(つくば市)

5防災情報提供セン

ター5,327 平成15年度

国土交通省関係機関(水資源・国土保全局、

道路局、北海道局、港湾局、国土地理院、海上

保安庁、国土技術政策総合研究所)

国土交通省の防災に関する情報を一元的に集約、公表観測部計画

6 松代地震センター 166 昭和41年度文部科学省、経済産業省、農林水産省、国土交通省、内閣府、長野県、長野市

長野県周辺で発生した地震データや被害状況の収集・整理等

地震火山部地

震津波監視課

精密地震観測

室(長野市)

7オゾン層情報センター

33,058 平成8年度 -- オゾン層等の観測、国内外のデータ収集、解析及び公表等地球環境・海

洋部環境気象

管理官

8 地区放射センター 1,641 昭和40年度世界放射センター(スイス)、WMO第Ⅱ地

区(アジア)内加盟国の気象機関WMO第Ⅱ地区(アジア)内加盟国の日射計の較正等

地球環境・海

洋部環境気象

管理官

9海洋環境解析セン

ター 47,163 平成22年度(独)海洋研究開発機構、(独)水産総合研

究センター、東京大学等の国内機関

北西太平洋域における海洋の温室効果ガス(二酸化炭素、フロ

ン)等の観測、解析、公表

地球環境・海

洋部海洋気象課

10温室効果ガス世界資

料センター42,539 平成2年度

米国海洋大気庁、オーストラリア連邦科学産業研究機構、ドイツ気象局等のWMO加

盟国、国立環境研究所、産業技術総合研

究所、東北大学等の国内機関

全世界の温室効果ガス等の観測データの収集、解析、公表等地球環境・海

洋部環境気象

管理官

11品質保証科学セン

ター 1,190 平成7年度WMO第Ⅱ地区(アジア)・第Ⅴ地区(南西

太平洋)内加盟国の気象機関

WMO第Ⅱ地区(アジア)・第Ⅴ地区(南西太平洋)内加盟国の

温室効果ガスデータ及びオゾン全量観測データの品質管理手法の検討等

地球環境・海

洋部環境気象

管理官

12全球大気監視較正セ

ンター 916 平成13年度

米国海洋大気庁、WMO第Ⅱ地区(アジ

ア)・第Ⅴ地区(南西太平洋)内加盟国の気象機関

WMO第Ⅱ地区(アジア)・第Ⅴ地区(南西太平洋)内加盟国のメ

タン観測基準及び第Ⅱ地区(アジア)内加盟国のオゾン全量観測基準の較正

地球環境・海

洋部環境気象

管理官

13アルゴ計画国別デー

タセンター15,435 平成12年度

外務省、文部科学省、水産庁、国土交通

省、海上保安庁、(独)海洋研究開発機構、

アルゴ計画世界データセンター

中層フロートによる海洋観測データ(水温・塩分)の収集、世界

データセンター等への提供

地球環境・海

洋部海洋気象

14

異常気象情報セン

ター(旧アジア太平洋

気候センター)24,608

平成25年度

(平成14年

度)

WMO第Ⅱ地区(アジア)内加盟国の気象

機関

各種気候監視・予測情報の国際的な公表・提供、各国気象機関

職員への技術支援

地球環境・海

洋部気候情報

計 217,516

《会議の開催》

専門家会合・ワークショップ等の

会議開催経費、委員謝金・旅費

《報告物の印刷等》

年報等の印刷製本費・輸送費

《観測機器の精度維持》

検査機器保守費、

観測機器輸送費等

《システムの運用》

システムの借料、保守料、

プリンタ用消耗品費等

WMO:世界気象機関(World Meteorological Organization)

温室効果ガス世界資料センター

(温室効果ガス等データ収集・提供装置)

地区測器センター

(風洞装置)

温室効果ガス世界資料センター

(地球観測推進委員会)

アジア太平洋気象防災センター

(台風年報・技術指導書)

― 81 ―

Page 84: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (37)気象庁における各種センター業務関係経費

1.センター業務の効率化等について センター間等に

おける合理化や業務の見直しによる効率化が図れるセンターがないか。

2.専門家会合及び研修の運営について 多額の運営費が

計上されている会議や研修について、施策への反映が適切になされているか。

1.センター業務の効率化等について全 14 センターの業務内容や経費の中身を精査した結果、以下の 6センターについて、効率化等の検討の余地が

あると考える。 【松代地震センター】 ○本センターは本庁組織である精密地震観測室内(長野県)に、 群発地震に係る資料収集及び関係機関との情報共有を目的とし て、昭和 42 年に設置。観測室の職員がセンター業務を兼務し ている。

○現在の活動内容は、関係機関との会議が開催されるほか、本庁 への連絡や資料整理のみと、群発地震の減少に伴い限定的な内 容となっており、予算額も 166 千円と少額になっている。

○外部委託により対応している資料整理は、月 6.5 時間程度マイ クロフィルムのデータ化等簡易な事務処理を行うのみであり、 観測室の職員等でも十分対応出来る業務量といえる。

【地区測器センター・温室効果ガス世界資料センター・異常気象情報センター】(システムの共同利用化) ○情報システムの共同利用可能なものがないかデータの保存容量や処理速度を精査した結果、共有可能データがあるものやシステムの性能が同種のものについては、機能の集約が可能であることが判明した。また、すでに集約済みのシステムにおいて契約差額が予算に反映されていないものがあった。

【アジア太平洋気象防災センター】 ○世界中の関係機関に対し毎年配付している台風年報等について、DVD 化した場合の単価を精査したところ、紙媒体より 70~79%(紙媒体:2,150 円~3,000 円⇒DVD:640 円)コストを抑制できることが判明した。

【品質保証科学センター】 ○委員等旅費について精査した結果、不用率が平成 22 年度が 85%(予算額 526 千円、不用額 448 千円)、平成 23年度が 91%(予算額 526 千円、不用額 479 千円)、平成 24 年度が 91%(予算額 526 千円、不用額 479 千円)となっており、予算と執行に大きな乖離が見られた。

2.専門家会合及び研修の運営について さらに、専門家会合及び研修の運営費が計上されている以下の 2 センターにおいては、これまでの施策への反映状況及び研修効果について調査を行った結果、一部内容の見直しを図る必要があると考える。

【温室効果ガス世界資料センター】(H25 年度予算額 42,539 千円(うち会議等運営費 22,886 千円)) ○温室効果ガス世界資料センターでは、我が国が実施する地球観測を総合的・効果的に実施するための専門家会合を平成 18 年度より開催し、気象観測の技術向上に活かすこととしている。

○しかしながら、専門家会合の検討課題は、最終的な施策への反映目的を考慮せず設定されており、会合としての計画性に欠けているものといえる。その結果、平成 18~24 年度までの気象庁施策への反映は以下の 3 項目にとどまっており、施策反映を効果的に行う余地があると考える。

【異常気象情報センター】(H25 年度予算額 24,608 千円(うち会議等運営費 10,103 千円)) ○異常気象情報センターについては、途上国の気象機関が行う長期予報などの気候監視等業務の向上を目的に、途上国の中堅気候監視等業務従事者向けの研修を年 1回、10 日間(1か国 1~2人、年約 12 人)開催。

○平成 18 年度から平成 24 年度までの参加者は延べ 87 人(21 か国)となっており、このうち研修成果を活用のうえ、気候監視等情報を当該国のホームページで提供できている事例はバングラデシュ 1か国のみであった。

○この理由としては、研修の内容を大別すると、基礎編・応用編・実習編の 3編制となっているが、参加者の多くが気候予測に従事する者であるため、基礎編については不要との意見が寄せられている一方、応用編や実習編については、研修内容が難しいとの声もあるため、十分に習熟されるようにする必要がある。

1.センター業務の効率化等について 【松代地震センター】 ○センターとしての活動が非常に限定的であり、予算額も少額となっていることから、連絡や資料整理を本庁の既定予算にて対応するなどして、効率化を図るべき。

【地区測器センター・温室効果ガス世界資料センター・異常気象情報センター】 ○情報システムとして共同利用可能なものについては集約のうえ、効率化を図るとともに、未反映の契約差額を反映させるべき。

【アジア太平洋気象防災センター】 ○年報等については、単価の高い紙媒体を極力減らし、DVD 化することにより、効率化を図るべき。

【品質保証科学センター】 ○旅費が必要となる委員に対して、適切な人数及び単価設定とした積算に是正すべき。

2.専門家会合及び研修の運営について 【温室効果ガス世界資料センタ-】 ○効果的な施策反映が出来ない状況に鑑み、今後検討する新規・継続検討事項について、目的を事前に設定したうえで検討を行うこととし、課題の絞り込みを図るべき。

【異常気象情報センター】 ○研修期間の約半分を占める基礎編を合理化し、応用編を充実するなど研修期間やカリキュラムを見直し、習熟度を向上させるべき。

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

検討状況 12 8 10 10 8 8 8

反映状況 0 0 1 1 1 0 0

予算額(千円)地震回数

― 82 ―

Page 85: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (38)訪日旅行促進事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:6,049 百万円

平成 24 年度:4,990 百万円

所管 国土交通省 組織 観光庁 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

① 調査事案の概要

事案の概要

訪日外国人旅行者数の増加に向けて、外的要因の影響を受けにくい訪日外客構造への転換、質が高く、裾野が広い誘客を図るため、オールジャパン関係

者による連携の強化、震災で傷ついたイメージの改善と競合国と差別化された訪日ブランドの強化を目的とし、現地メディアを活用した情報発信(新聞、

雑誌、ウェブ等)、現地旅行会社との共同広告、メディアや現地旅行会社招請、セミナー・商談会等への出展等の各種の事業を実施するもの。

訪日旅行促進事業として実施される事業の契約については、観光庁(本庁)及び地方支分部局(9運輸局及び沖縄総合事務局運輸部)にて所定の入札手

続きを経て締結されるが、今回の調査においては、平成 23年度及び平成 24 年度における全契約(旅費及び謝金を除く)を点検することとした。

(図表1)本庁及び運輸局の契約件数・金額 【平成 24 年度】 (図表2)契約種別の件数・金額(競争、随契等)【平成 24 年度】

(図表3)主な契約内容別の件数・金額【平成 24年度】

契約額

47.0 億円

契約件数

623 件

(単位:億円)

企画競争

その他

本庁 2.6 37.5 34.7 2.8 40.1

運輸局 0.4 6.5 6.2 0.3 6.9

合計 3.0 44.0 40.9 3.1 47.0

競争 随契 合計

(単位:件)

企画競争

その他

本庁 27 177 107 70 204

運輸局 33 386 320 66 419

合計 60 563 427 136 623

合計競争 随契

本庁

204 件

運輸局

419 件 本庁

40.1 億円

運輸局

6.9 億円

(単位:件、億円)

広告掲載

コンテンツ作成

招請招聘

出展開催

調査

133 35 259 138 16

金額 18.0 6.4 6.9 10.4 3.0

注:一つの契約で複数の内容を含むものがあるため上記計数については重複がある。

件数

― 83 ―

Page 86: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (38)訪日旅行促進事業

1.予算の効率的な執行について

(1)一部の運輸局において、一般競争入札(最

低価格落札方式)に付している例のある招請

事業やセミナー等に係る契約については、観

光庁や他の運輸局においてもその導入を積極

的に検討すべき。

(2)他の契約について、価格面のみによる競

争がなじまないものがあるとしても、価格要

素を一部勘案すべき契約もあることから、よ

り競争性・透明性を向上させる観点から、総

合評価方式による一般競争入札を導入するな

ど、価格要素も勘案しうる方策を検討すべき。

2.一者応募の状況について

(1)観光庁では、訪日旅行促進事業について

は、平成 24年度より大型契約を分割発注し応

募者数を増やすための取組みを行っていると

ころであるが、一者応募の割合が高い部局の

要因を分析し、二者以上による競争を確保で

きるよう、発注規模の適正化を含めて、引き

続き見直しを行っていくべき。

(2)訪日旅行促進事業に係る調達情報の提供

をより積極的に行うとともに、入札から事業

実施までの期間について、適切な間隔を設け

るよう努めることで競争参加者を増やすな

ど、一者応募削減に向けた工夫を周知すべき。

1.予算の効率的な執行について

(1)一般競争入札の実施状況を見ると、その実施は 9.6%(契約本数

ベース)(24年度)にとどまり、契約部局別にみると一般競争入札を

全く実施していない運輸局が7局に及ぶ。他方、一部の運輸局(近畿

運輸局)では、積極的に一般競争入札を採用していることも分かった。

(2)同運輸局では、海外メディアや旅行会社の我が国への招請事業や

毎年度実施されるセミナー事業などを中心に、過年度までの事業実施

の経験に基づき、発注内容を明確化・具体化できる契約については一

般競争入札(最低価格自動落札方式)に付していた。

(3)その結果、同運輸局における、一般競争入札の平均落札率は 91.2%

となっており、価格競争による執行効率化の効果が認められる。

※一般競争入札に付されない場合、企画競争に付されるが、訪日旅行促進事業

に係る企画競争においては、価格要素は全く勘案されない。

2.一者応募の状況について

(1)訪日旅行促進事業では企画競争による方式が多用(契約本数ベー

スで 68.5%(24 年度))されているが、本来、提案内容の優劣が競わ

れるべきであるにもかかわらず、企画競争を経た契約のうち一者応募

の割合は 42.2%と依然高い状況にある。

(2)この状況は契約部局によって異なり、一者応募の割合が1割程度

と低い運輸局がある一方で、9割近い運輸局もあることが判明した

(観光庁本庁は 26.2%)。

(3)一者応募の割合の低い運輸局においては、適切な契約ロットを確

保するとともに、入札実施から実際の事業実施までの期間を長めに取

ることにより、応募者に対して十分な準備期間を確保するなどの工夫

を行っていた。

1.予算の効率的な執行

について

・訪日旅行促進事業につ

いては、コンテンツ作

成など、契約の性質又

は目的が価格競争にな

じまないとの理由か

ら、一般競争入札に付

されない契約が多い

が、適切な運用となっ

ていると言えるか。

2.一者応募について

・質の高い調達を実施す

るにあたり競争性を確

保することが重要であ

るが、訪日旅行促進事

業については一者応募

の割合が高いのではな

いか。より一層の競争

を促し、費用対効果の

高い事業を実施する観

点からも応募者数を増

やす工夫を行うべきで

はないか。

― 84 ―

Page 87: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (39)自動車運送事業の安全・円滑化等総合対策事業

(うちASV関係)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,077 百万円の内数 平成 23 年度:782 百万円の内数

平成 24 年度: 811 百万円の内数

所管 国土交通省 組織 - 会計 自動車安全特別会計

(自動車事故対策勘定)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要

(1)政府は、第9次交通安全基本計画(平成 23年 3月中央交通安全対策会議決定)において、平成 27年までに交通事故による死者数(24 時間死者数)

を 3,000 人以下(平成 24 年度:4,411 人)とするとの目標を掲げており、事故を未然に防止する予防安全対策の一環として、先進安全自動車(ASV

(Advanced Safety Vehicle))の開発・普及を促進することとしている。

(2)国土交通省においては、衝突被害軽減ブレーキ等のASV装置を搭載した事業用車両(トラック、バス等)を購入する場合、装置に係る費用の 2 分

の 1を補助する事業を実施している。

補助制度の内容について

(1)補助対象車種:車両 8トン以上のトラック、バス等

(2)補助対象装置に係る予算、執行状況、交付台数、補助上限額

年度 対象装置 予算額

(千円)

執行額

(千円)延べ台数

補助上限

23

①衝突被害軽減ブレーキ

②ふらつき警報等

③横滑り防止装置

450,000 425,035 ①2,007 台

②853 台

③1,405 台

※重複あり

①15万円

②5万円

③10 万円

最大 30 万円/台

24

①衝突被害軽減ブレーキ

②ふらつき警報等

③横滑り防止装置

460,470 276,536 ①2,646 台

②519 台

③1,618 台

最大 10 万円/台

①衝突被害軽減ブレーキとは、衝突の危険性が高まった場合に自動的にブレーキをかけ、衝突時の被害を軽減させようとするもの。

②ふらつき警報とは、運転者の低覚醒状態等に起因する挙動を検知し、運転手に対して警報が作動するもの。

③横滑り防止装置とは、急激なハンドル操作などで車両に不安定挙動が生じたときに、自動でエンジン出力等を制御するもの。

国土交通省(本省)

運送事業者等

補助金交付

― 85 ―

Page 88: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・

検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (39)自動車運送事業の安全・円滑化等総合対策事業(うちASV関係)

1.事業の効果検証

今後の支援にあたっては、

メーカーの負担に配慮しつ

つ、よりきめ細かく、よりタ

イムリーに普及状況を把握

し、翌年度の予算編成に活用

すべき。

2.適切な事業の見直し

最新の普及状況に照らし

て、本補助金なしでも装着が

進むことが期待される事業

者、ASV 装置については、補

助対象から外すなど、毎年

度、厳格に補助対象を見直し

ていくべき。

3.適切な規制の見直し

1.の効果検証を厳格に実

施することにより、引き続

き、規制を適切に見直してい

くことが重要。

1.事業の効果検証はできているか

○ トラックの場合、ASV 装置のうち例えば、衝突被害軽減ブレーキに関しては、24 年度に新規登録

された車両(車両総重量 8t 以上)のうち 55.0%(23 年度:45.1%)が装着している。

○ しかしながら、この中には、そもそも衝突被害軽減ブレーキがメーカーのオプションとして設定

されていない相対的に小型のトラックも含まれている。このため、今回、概ね衝突被害軽減ブレー

キがオプション設定されている 22 トン以上の大型トラックに限った普及率を調査したところ、

68.1%(24 年度)に達していることが判明した。台数ベースでは、新規登録車 17,169 台のうち 11,699

台に装着されており、24 年度における補助台数が 2,500 台程度であることに鑑みれば、8 割程度の

車両は本補助金なしに装着している。

○ 他方、バスについては、急ブレーキによる車内事故防止といった課題があり、メーカーによるオ

プション設定が遅れたこともあり、24 年度における衝突被害軽減ブレーキの装着率は 15.4%(23 年

度:10.5%)にとどまっている。

2.1.の結果を踏まえ、適切な事業の見直しを行っているか

○ 特にトラックに関して、衝突被害軽減ブレーキの普及が着実に進んでいるにもかかわらず、補助

対象者に関しては平成 19 年度の制度創設以来、見直しは行われていない。

○ なお、トラック(車両総重量 8t以上)について、24 年度における補助対象者(1,032 事業者の

2,493 台分)を分析すると、大企業(資本金 3 億円以上)によるものは 22 事業者 341 台分含まれて

いる。また、資本金区分では中小企業となる場合であっても、1社で多数の車両について補助金を受

けている例も散見された。

3.1.を踏まえ、適切な規制の見直しにつなげているか

○ 国土交通省では、衝突被害軽減ブレーキの普及状況を踏まえ、平成 24 年 3月に衝突被害軽減ブレ

ーキに係る規制を見直し、平成 26 年 11 月以降に生産される 22t を超えるトラック(新しい型式に

よる生産車に限る)に衝突被害軽減ブレーキを義務付けるなど徐々に規制を強化することとし、平

成 30 年 11 月以降は、国内で生産される 20t 以上のトラックすべてに衝突被害軽減ブレーキの装着

を義務付けることとしている。

1.事業の効果

検証はできて

いるか。

2.1.の結果

を踏まえ、適

切な事業の見

直しを行って

いるか。

3.1.を踏ま

え、適切な規

制の見直しに

つなげている

か。

― 86 ―

Page 89: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (40)海岸事業(陸閘りっこう

の整備について) 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:2,100,705 百万円の内数

平成 24 年度:2,149,395 百万円の内数

所管 農林水産省

国土交通省 組織

農林水産本省

水 産 庁

国土交通本省

会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

① 調査事案の概要

【事案の概要】

大地震発生時や台風が接近した場合などに発生する津波・高潮の災害から背後地の住民の生命・財産等を守るためには、堤防の開口部である陸閘りっこう

・水門等を

安全かつ迅速・確実に閉鎖する必要があります。

陸閘りっこう

・水門等は整備状況や立地条件により、限られた時間内に全ての現場に操作員が出向いて閉鎖操作することが難しい場合や、津波や台風の大きさによっ

ては操作員の安全が脅かされる場合があることから、既設の陸閘等の常時閉鎖、統廃合等に加え、自動化・遠隔操作化を進めています。

現状(手動) 自動化・遠隔操作化 廃止・統廃合 階段・スロープ等の設置

(参考)

・陸閘とは、人や車両の通行のために堤防を切って設けられた海岸への出入り口を閉鎖する門。その門扉が、閉鎖時に堤防としての役割を果たします。

・東日本大震災において、陸閘・水門閉鎖等に関係した消防団員 59名が殉職。

・水門・陸閘等の効果的な管理運用検討委員会(委員長:目黒公郎東大教授)の提言を受けて、国交省及び農水省は「津波・高潮対策における水門・陸閘

等管理システムガイドライン」を平成 25 年 4 月に改訂。

― 87 ―

Page 90: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (40)海岸事業(陸閘りっこう

の整備について)

1.自動化・遠隔操作化対策について

・陸閘については、利用状況、津波到達時間、

現場操作員の安全の確保等を踏まえ、出来る限

り常時閉鎖や統廃合を行い、必要に応じて、廃

止した陸閘の代替策としての階段の設置やス

ロープの設置等を行うべき。また、常時使用す

る陸閘については、自動化・遠隔操作化対策の

みならず新技術の導入等も検討し、整備費や維

持管理費の縮減に努めるべき。

・自動化・遠隔操作化対策を行う場合、港湾、

漁港等における利用状況や背後地への影響等

を勘案し、確実に閉鎖することが必要不可欠で

かつ設置効果が高い比較的大規模な陸閘に重

点化すべき。一方、小規模な陸閘については、

特別な事情がある場合を除き、原則として自動

化・遠隔操作化対策を行わず、常時閉鎖や統廃

合を進めるべき。

・海岸管理者に対して、開口部の閉鎖にともな

う責任の所在と操作条件を明確にするなど定

めたガイドライン(25 年 4 月改訂)の周知に努

めるべき。

2.閉鎖不可能となっている陸閘について

・閉鎖不可能または不明となっている陸閘につ

いては、早急に原因を究明し、対応策の検討を

行うことにより、対象箇所の解消に努めるべ

き。

1.陸閘の整備状況について

○ 国交省及び農水省は、全国の港湾海岸、漁港海岸等に整備された陸閘

17,078 箇所のうち、幅 2m以上で高さ 1m以上の陸閘では、6,426 箇所が自

動化・遠隔操作化の対象となりうるとしている。(平成 24 年 3 月末現在)

○ 陸閘 6,426 箇所のうち、想定津波の到達までに閉鎖が間に合わない施設

が 1,046 箇所(16%)、常時閉鎖している陸閘が 963 箇所(15%)。

閉鎖可否 箇所数 割合 閉鎖状況 箇所数 割合閉鎖可能 4,594 71% 常時開放 5,463 85%閉鎖不可能 1,046 16% 常時閉鎖 963 15%不  明 786 12% 合  計 6,426 100%合  計 6,426 100%

○ 陸閘 6,426 箇所のうち、89箇所(1.4%)が自動化・遠隔操作化対策済。

箇所数 割合 対策済 割合幅2m以上4m未満 3,392 500 14.7% 5 0.1%幅4m以上6m未満 1,527 306 20.0% 16 1.0%幅6m以上8m未満 626 131 20.9% 21 3.4%幅8m以上10m未満 344 54 15.7% 22 6.4%幅10m以上 537 55 10.2% 25 4.7%

合   計 6,426 1,046 16.3% 89 1.4%

陸閘の規模 箇所数閉鎖不可能 自動化・遠隔操作化

2.自動化・遠隔操作化の整備費及び維持管理費について

○ 開口幅 5m~10m 程度の陸閘の改修費は 1基あたり 0.6~1 億円程度。

・清水港(静岡県)の例

平成 20 年度までに、水門 1 基、開口幅 6m~17m の大型陸閘 17 基及び津

波・高潮防災ステーションを事業費約 25 億円で整備。

維持管理費は約 33百万円/年。

・豊浜漁港、師崎漁港、師崎港(愛知県)の例

陸閘 11基及び津波・高潮防災ステーションを事業費約 22 億円で整備。

維持管理費は約 12百万円/年。

○調査対象

全国の海岸に設置され

ている陸閘。(岩手県、

宮城県、福島県を除く)

○調査の視点

1.大地震発生時に発

生する津波の到達ま

でに閉鎖可能な陸閘

の整備状況及び自動

化・遠隔操作化等へ

の対応状況。

2.陸閘の自動化・遠

隔操作化について

は、設置効果の高い

陸閘に重点化しつ

つ、常時閉鎖、統廃

合等を併せて行うこ

とにより、整備費及

び維持管理費の縮減

が図られているか。

― 88 ―

Page 91: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (41)道路関係許可事務経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:17,560 百万円の内数

平成 24 年度:17,642 百万円の内数

所管 国土交通省 組織 - 会計 社会資本整備事業特別会計

(業務勘定)

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

道路は、一定の規格の車両が安全・円滑に通行できるよう造られており、この規格を超える車両は道路構造又は交通に支障を及ぼすおそれがあるため、原則

として道路を通行することはできない。

ただし、車両の構造又は車両に積載する貨物を審査し、やむを得ないと道路管理者が認める場合に限り、道路の構造を保全し又は交通の危険を防止するため

必要な条件を附して車両の通行を許可する「特殊車両通行許可制度」が設けられている。

本制度に基づく通行許可は年々増加し、平成 23年度の許可件数はオンラインの申請開始前の平成 15 年度と比べ約 1.8 倍となっている。

また、我が国の道路は高度経済成長期に集中的に整備されたため、道路橋をはじめとした道路構造物の老朽化が急速に進行し、重量車両の通行により道路の

疲労が蓄積しており、長寿命化対策が求められている。繰り返し特殊車両を違法に通行させた者に対し取締り・指導を徹底するなど、適正化への取り組みを進

めている。

― 89 ―

Page 92: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

2 処理件数及び業務委託支出額の調査

事務所ごとに処理件数、オンラ

イン割合及び業務委託に要した支

出額について調査したところ、表

3のとおりとなった。

オンライン割合は 9割程度達成

している事務所もある一方、5割

に満たしていないところもあった。

また、委託費については、1件

あたりの支出額に乖離が見られた。

許可手続きにおける事務処理の効率化

を図るため、改善に向けて以下のとおり検

討すべきである。

① オンライン申請による事務処理時間

の短縮結果を踏まえ、オンライン申請の

更なる普及を促進し、差戻しに要する窓

口対応やシステム入力に要する時間を

短縮すること。

② 個別協議の所要日数について、他の道

路管理者と調整を行い、道路管理者間の

協議に添付する書類の簡素化・省略化を

図ることで所要日数の短縮を図ること。

③ 事務所ごとの支出額について、処理件

数に合わせ、割高な要因を見直し、適正

な額となるよう検討すること。

特殊車両通行に係る許

可手続きに関しては、申

請件数が増加している

が、今後も適正化の推進

により、申請件数の更な

る増加が見込まれる。 事務処理にあたって

は、業務委託を活用して

いるが、効率的に処理す

る仕組みとなっている

か、事務手続きの内容や

処理日数の実態を調査

し、分析を行う。

また、表2のとおり、申請件数の多い申請者を中心にオンライン申請について要望等を聴取したところ、

約 79%が満足している一方、審査期間の短縮要望が約 37%に上っている。

3 調査を踏まえた分析結果

① 工程別に処理日数を分析した結果、一部の事務処理で特に時間を要しているが、事務所へのヒア

リングによるとその原因は主に以下の点があげられる。

○ 申請受付から審査開始まで ⇒ 書類不備、システム入力漏れ等による差戻しの対応等

○ 個別協議 ⇒ 他道路管理者からの審査回答までの待ち時間等

○ 協議終了から決裁終了まで ⇒ 窓口の場合、許可書ごとに押印、窓口での交付事務等

② オンラインはいずれの工程においても処理日数が窓口より短く、オンラインによる事務効率化は

認められる。しかし、事務所別ではオンライン割合に差が生じており、オンライン割合の低い事務所

によると、申請者からは「パソコン操作が苦手」「窓口が近く相談しやすい」「直接説明を受ける方が

手戻りが生じない」などの声があったとのことである。

また、事務所ごとの 1件あたりの支出額については、許可件数の多寡に差があるため一概には言え

ないが、事務所毎に人員体制が異なっており、差を生じさせる一因と考えられる。

1 特殊車両通行許可手続きの実態調査

全国の国道事務所では、業務委託を活用しながら事務処理を行っており、申請にはオンラインと窓

口の2種類がある。それぞれについて、事務手続き(申請書提出から許可書交付まで)に要する一連

の作業内容を細分化し、工程ごとにどれだけ処理日数を要したか調査したところ、以下の結果となっ

た。

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (41)道路関係許可事務経費

【図1:事務処理の流れ】

【表1:工程ごとの平均処理日数(2週間分許可の追跡調査)】

【表2:申請者からの要望】

【表3:事務所別許可割合等】

― 90 ―

Page 93: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (42)特定離島港湾施設整備事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:10,780 百万円

平成 24 年度:10,779 百万円

所管 国土交通省 組織 国土交通本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

①調査事案の概要

○事案の概要 「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律」(平成 22 年法律第 41 号)及び「排他的経済水域

及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」(平成 22 年 7 月閣議決定)に基づき、本土から遠隔の地にある

特定離島(南鳥島、沖ノ鳥島)において、海洋資源の開発・利用など排他的経済水域等の保全及び利用に関する活動拠点として、船舶の係留、停泊、荷さばき等

が可能となる港湾の施設(特定離島港湾施設)の整備等を国土交通大臣が行うこととされている。

【南鳥島】 【沖ノ鳥島】

○南鳥島、沖ノ鳥島の位置 ○南鳥島、沖ノ鳥島における整備箇所

特定離島港湾

施設整備地

特定離島港湾施設

整備地

南鳥島 沖ノ鳥島

事業期間:平成 22~27 年度 事 業 費:250 億円 整備計画:係留施設(水深 8m・延長 160m)、泊地(水深 8m)、

附帯施設

事業期間:平成 23~28 年度 事 業 費:750 億円 整備計画:係留施設(水深 8m・延長 160m)、泊地(水深 8m)、臨港道路、 附帯施設

― 91 ―

Page 94: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票

事案名 (42)特定離島港湾施設整備事業

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

1.コストについて

(1)内地等の施設との事業費の比較

内地や離島における港湾施設(係留施設)の事業費

について実態を調査し、特定離島港湾施設と比較した

【表-1】。

高い波高や本土から遠隔の地にある等の地理的特性

により、特定離島港湾施設の単位延長当たりの事業費

は、内地や離島に比べて 18 倍ないし 30 倍程度とかな

り高くなっている。 (2)事業費のコスト構造の比較

特定離島港湾施設の事業規模が大きくなっている要因

をさらに検証するため、事業着手時と現時点における整

備計画の事業費を比較する【図-1】とともに、内地での

係留施設とコスト構造を比較した【図-2】。

南鳥島においては、建設機械の調達の工夫により運搬

費の縮減を図っているが、運搬費が事業費全体の約 5割

とかなり高い割合を占めている。

沖ノ鳥島においては、係留施設について海象条件等を

踏まえて工法を見直すことによりコスト縮減を図ってい

るが、洋上での作業を余儀なくされているため事業費に

占める施工費の割合が高くなっている。また、臨港道路

等については、設計・施工方法の検討を進める中で、事

業着手時よりも事業費が大幅に増額する見込みとなって

いる。

2.施設の利活用について

排他的経済水域等の利用及びその促進については、施策の効果的な実施のため関係省庁連絡会議を定期

的に開催し連携を図ることとなっており、本事業について、事業の概略や進捗状況の説明は行っているも

のの、特定離島港湾施設の仕様の詳細等その利活用の検討に必要な情報が利用側に必ずしも十分に提供さ

れておらず、人員の昇降や荷役を安全かつ容易に行うための防舷材の配置等、利用ニーズを踏まえた検討

も進んでいない。

1.コストについて

本事業は、内地や離島に比べて事業費

がかなり高くなっており、コスト縮減に

向けた不断の努力が必要である。

そのため、南鳥島、沖ノ鳥島ともに内

地よりも運搬費の比率が高いことから、

資機材の運搬費等の縮減に焦点を当てた

更なるコスト縮減策を検討すべきであ

る。

また、沖ノ鳥島においては、洋上で効

率よく作業を進めるための施工上の工夫

を検討するとともに、臨港道路等につい

ては、事業費の大幅な増大が見込まれて

いることから、設計・施工方法を改めて

検証する等、事業費の抑制を図るべきで

ある。

2.施設の利活用について

特定離島港湾施設の将来の利活用が進

むよう、関係省庁連絡会議や利用機関と

の個別の意見交換等を活用し、当該施設

に関する情報の提供・利用ニーズの収集

を積極的に行う等、利用側との連携を強

化するとともに、施設の配置等に反映す

べき。

1.コストについて

特定離島港湾

施設整備事業は、

厳しい自然環境

による施工条件

や資材の長距離

輸送等により、大

きな事業規模と

なっていること

から、コスト要因

を分析し、コスト

縮減の余地はな

いか検証する。

2.施設の利活用に

ついて

特定離島港湾施

設は周辺海域に

おける海洋資源

の調査等の活動

拠点となるもの

であることから、

当該施設の利活

用の検討状況に

ついて調査する。

【表-1】内地、離島、特定離島における係留施設の事業費の比較の一例

※延長 1m 当たり事業費は、内地港湾を 1.0 として比較したもの

※有義波高:波高の大きなものから順に全体の波数の 1/3 の波に

ついて平均した波高

【図-1】事業全体の施設別コスト構造

【図-2】係留施設におけるコスト構造

事業

着手時

現時点

事業

着手時

現時点

南鳥島

沖ノ鳥島

34%

22%

65%

19%

51%

9%

47%

27%

26%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

沖ノ鳥島

南鳥島

内地

材料費

運搬費

施工費

61%

64%

75%

71%

5%25%

29%

39%

32%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

係留施設

泊地

臨港道路等

内地港湾 離島港湾 南鳥島 沖ノ鳥島

延長1m当たり事業費 1.0 1.2 18.1 29.5

有義波高(m) 2.6 4.1 11.6 14.5

― 92 ―

Page 95: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (43)地域づくり・人づくり推進事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:(項)国土形成推進費(目)国土形成推進調査費等 67 百万円

平成 24 年度:(項)国土形成推進費(目)国土形成推進調査費等 107 百万円

所管 国土交通省 組織 国土交通本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 ―

① 調査事案の概要

事案の概要:本事業は、コミュニティファンド等を活用した「新しい公共」活動環境整備に向けた国の施策のあり方についての検討調査、連携体制の構築と地

域内資金循環を支える仕組みにおける各主体の連携のあり方に関する調査、「新しい公共」による地域づくり活動に係るコンテスト・助言指導を行い、その検討

結果を情報発信する事業である。

(1)コミュニティファンド等を活用した「新しい公共」活動環境整備等検討調査

○全国での地域金融機関と NPO 法人等の活動主体の情報交換の場の設定

○各地方整備局等による現地調査、ヒアリング等の実施

活動の担い手の視点

から活動環境整備の

ための課題を抽出

活動環境整備に向け

た国の施策のあり方

等について検討

(2)地域内資金循環を支える仕組みにおける NPO法人等の各主体の連

携のあり方及び連携体制の構築に関する検討調査

活動主体に対する資金的支援や非資金的支援のあり方に関す

る検討

制度検討のための関係府省及び関係主体(地域金融機関、広域

中間支援組織など)による連携体制の構築

地域内資金循環を支える仕組みにおける NPO法人等の各主体

の連携のあり方及び連携体制の構築に関する検討 H24

基本的枠組みの構築に向けた、関連省庁とも連携した基礎的

な調査の実施と基本的枠組みの提案

H25 地域内資金循環を支える仕組みに関する基本的枠組みの検討

H23

(3)「新しい公共」による地域づくり活動に係るコンテスト・助言指導事業

事業化

コンテスト・助言指導会

各種専門家

その他「目利き」

事業化

事業化

事業化

・国土交通省本省・各地方整備局等・地域金融機関・地域の企業

等の参加を想定

コンテスト・助言指導会

コンテスト・助言指導会

<緩やかなネットワークの形成>

(人材やノウハウの共有、情報交換)

<多様な主体による地域づくり活動に係るコンテスト・助言指導事業>

コンテスト・助言指導会

「新しい公共」の考え方による地域づくり活動を、「見つけ」て「育てる」た

めの取り組みとして、コンテスト・助言指導事業を全国各ブロックで実施。

― 93 ―

Page 96: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票 事案名 (43)地域づくり・人づくり推進事業

調査結果を踏まえると、本事業に

ついては、目的に対して十分効果的

な実施方法が執られているとは認

められず、廃止を念頭に置き、抜本

的な見直しが必要である。

1.事業が、具体的・現実的な見通し

をもって行われているか。

2.事業が効果的かつ適切に行われ

ているか。

3.事業が、地域づくり活動団体等の

活動に活かされているか。

1.本事業の調査費において、予算執行実績を踏まえると、具体的見通しを持って進められているが、一部の検討調査((2)連携体制の構築に関する検討調査)については、法令に基づくコミュニティファンド認定制度創設に向けて、関係府省との連携を構築することになっていたが、各府省との議論の過程で、関係府省と意見がまとまらず、当初予定していた制度創設に至らなかった。また、諸謝金、委員等旅費においては、計画的なスケジュールが立てられなかったため、当初予定していた会議を開催することが出来ず、約9割の不用が発生しており、具体的・現実的な見通しがあったとは言い難い部分が見受けられた。

2.各地方整備局(の委託先)が行う現地調査対象先の選定基準が曖昧で効果的な調査になっていないこと、レポートがプレゼン資料と議事録だけで構成されており適切な分析が行われていない例があること、結果として、成果物であるレポートの内容が不十分であったり、レポート間で内容にムラがある等、事業として効果的かつ適切に行われていないケースがあった。 3.本事業における公募型調査の応募状況(下表)を踏まえれば、一定のニーズが認められる。他方、本事業における調査でも、団体等から、下記のような意見があり、「新しい公共」に係る事業のあり方について、抜本的に見直す必要がある。 ・市、県、国のそれぞれが管轄、担当する事項が異なるため、行政間の連携が必要である。 ・行政において、どこにどのような支援が必要なのか把握できていない。 ・過去の調査等から蓄積された様々なデータが有効活用されていない。 ・「新しい公共」に対する認知度はまだまだ低く、地方自治体、地域金融機関、NPO 法人等が相互連携しやすい環境とは言えない。 ・行政が地域づくり活動に加わるならば、現場と実態を見て支援すべきである。

したがって、本事業についても、地域づくり活動団体等の活動に十分に活用されているとは言い難い。

応募状況と採択件数一覧

年度 応募団体数 採択団体数 倍率

平成 20 年度 357 97 3.7

平成 21 年度 176 132 1.3

平成 23 年度 41 23 1.8

平成 24 年度 43 10 4.3

※各年度の事業内容は年度毎に異なり、条件等は同一ではない。

― 94 ―

Page 97: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

事案名

所管

(事案

る観

(調査

再編

施設

名 (44)高密度

管 国土交

案の概要)

本経費は、インフ

観測を行うもので

査対象)

国土技術政策総合

編により国土技術

設を対象とする。

度地震観測施設経

交通省 組織

ラ施設の耐震設計

あるが、適切に観

研究所の前身であ

政策総合研究所が

設置地区

織 国土技術

計の高度化を目的

観測されているか

ある土木研究所に

が発足し、国土技

総 括

術政策総合研究所

的に局所的な地形

か等を検証する。

にて、昭和56~

技術政策総合研究

調

調査対象

予 算 額

会計

①調査事案の概

形・地質条件が地

~59年度に4地

究所にて現在まで

査 票

平成 25 年度:1

平成 24 年度:1

一般会計

地震動特性に及ぼす

地区設置され、平成

継続的に観測され

設置状況

2 百万円

2 百万円

調

取りま

す影響を観測する

成7~8年度に5

れている、9地区

調査区分

まとめ財務局

るため、特定地域

5地区設置し、そ

区94箇所に設置

設置場所

本省調査

域に配置した地震

その後平成13年

置された高密度地

所イメージ

1/2

震計によ

年の組織

地震観測

― 95 ―

Page 98: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

②調

事案名

1.地

適切

施設

これ

録を

成果

配置

2.地

つい

録が

れて

調査の視点

名 (44)高密度

地震観測地点の

切性について

高密度地震観測

設は、観測目的や

れまでの観測記

を活用した研究

果に応じ、適切に

置されているか。

震観測の効果に

いて

取得した観測記

が有効に活用さ

ているか。

図1

度地震観測施設経費

1.地震観

(1)各地区見ると、置場所の似通った

(2)これま震波形がいるな受けられ

地区

主な特徴

地形

基盤

山地形の波形イ

表1 各

観測地点の適切性

区の観測施設の設、神戸西地区と神の特徴が類似してた場所のものも見までの研究成果にが似通った結果をど一定の成果が得れる。(図1)

相良 焼津

溺れ谷後背低地

扇状地

一部隆起 急傾斜

粘性土の軟弱地盤

水平成層地盤

イメージ

各地区の地形条件

③調査結

総 括

性について

設置位置の地形条神戸東地区のようているものや、地見受けられる。(表により、山地形でを示すことが判明得られているもの

2.地観

用しが、2年地

供さ頼に(公平成記録⇒

沼津 松崎

沖積平野

沖積平野山地形

急傾斜起伏が激しい

粘性土の軟弱地盤

結果及びその分析

調

条件をうに設地形等表1) での地明してのも見

地震観測の効果に観測記録は、インしている。また、

国総研でデータ年を要している。地震観測の記録にされておらず、大には、その都度対公表事例) 成 23 年(2011 年)録(国土技術政策総⇒発災 2011.3 月か

小田原幕張・習志野

合流扇状地

台地・低地埋立地

平坦起伏が激い

国府津-松田断層

埋立地の軟弱地盤

「全国地震動予測

の揺れに見舞わ

査 票

ついて ンフラ施設の耐震設

観測記録は印刷物処理等を行うた

については、イン大学などの研究機応している。

東北地方太平洋総合研究所資料から公表 2013.2 月

野館山 神

地 海岸段丘山地形

山麓扇埋立地

激し谷状

断層に続

の盤

芦屋断地の軟

測地図 2012 年版 ~2012

われる確率の分布~(地震

設計基準策定に活物で公表しているめ公表までに1~

ターネット等で提関等からの提供依

沖地震による強震No.726 2013.2

月(約2年)

神戸西 神戸東

扇状地地

山麓扇状地埋立地

により不連 断層により不続

断層、埋立軟弱地盤

芦屋断層、埋地の軟弱地盤

年から 30年間に震度 6弱

震調査研究推進本部)」に加

④今後

1.地

につ

ら、

見が

所、

場所

地区

度地

は、

の方

要で

2.地

で広

地震

めに

利用

録の

よう

る。

活る~

提依

震2)

埋立盤

弱以上

加筆

後の改善点・検討の方

地震観測地点の適切

いて

れまでの研究成

耐震設計上の必要

が得られているよ

神戸地区のよう

所の特徴が類似し

などを踏まえて

地震観測施設につ

設置位置等の廃止

方向で見直しの検

ある。

地震観測の効果につ

観測記録を各研究機

広く活用し、耐震技

震観測技術が発展す

、インターネッ

して、速やかに観

公表及び提供が行

に検討する必要

2/2

方向性

切性

成果か

要な知

うな箇

に設置

ている

、高密

ついて

止縮小

討が必

ついて

機関等

技術や

するた

ト等を

観測記

行える

要があ

― 96 ―

Page 99: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

福島県相馬市仮設焼却炉(3基)

(H25 年 2 月 20 日~本格稼働開始)

総 括 調 査 票

事案名 (45)災害廃棄物処理代行事業 調査対象

予 算 額

平成 25 年度: 6,289 百万円

平成 24 年度:16,068 百万円

所管 復興庁

環境省 組織 - 会計 東日本大震災復興特別会計

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

【事案の概要】

「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」に基づき、特定被災地方公共団体である市町村における災害廃棄物処理の実施体制や

廃棄物の性状や量、広域的処理の必要性その他の地域の実情に鑑み、当該市町村から要請があった場合に、国が代行して災害廃棄物処理事業を実施する。

なお、市町村(一部事務組合、広域連合を含む。)が生活環境の保全上特に必要とされる災害廃棄物等の収集、運搬及び処分に係る事業について、市町村

に対し国庫補助を行っている(災害等廃棄物処理事業(補助事業)予算額 平成 25年度:118,366 百万円、平成 24 年度:295,842 百万円)。

【東日本大震災に係る災害廃棄物等の処理状況】

地震と津波により被害を受けた 13道県 245 市町村においては、被災市町村全体のおよそ3分の2にあたる 160 市町村で処理を完了。

災害廃棄物は、3県の処理量の累計が 1,000 万トンを超え、宮城県で処理割合が7割を超えるなど着実に処理が進捗。

津波堆積物の処理体制の整備は進んでおり、宮城県で 2分の 1の処理が完了するなど、処理計画に基づき着実に処理が進捗。

中間処理・最終処分は、平成 26 年3月末までを目途として処分を行うこととされている。

災害廃棄物等の処理状況(3県沿岸市町村、平成 25 年 5月末)

推計量

合計

災害廃棄物(千トン) 津波堆積物(千トン)

推計量処理量

推計量処理量

再生利用 焼却 埋立 合計 再生利用 埋立 合計

岩手県 5,253 3,8001,824

(84%)

262

(12%)

90

(4%)

2,175

(57%) 1,453

355

(100%)

0

(-)

355

(25%)

宮城県 17,335 10,4566,520

(82%)

1,145

(14%)

243

(3%)

7,908

(76%) 6,879

3,646

(100%)

15

(0%)

3,661

(53%)

福島県 3,571 1,727703

(87%)

33

(4%)

69

(9%)

804

(47%) 1,845

163

(96%)

7

(4%)

170

(9%)

合計 26,159 15,9829,047

(83%)

1,439

(13%)

402

(4%)

10,888

(68%) 10,177

4,164

(99%)

22

(1%)

4,186

(41%) 注:処理量の内訳の下段(%)は、処理量の合計に対する割合を示す。

― 97 ―

Page 100: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票 事案名 (45)災害廃棄物処理代行事業

1.効率的に処理を行っている自治体の事例及び課題 ①環境省が実施する代行事業は処理が始まったばかりであるため、今後の参考とすべく、宮城

県の処理実態をアンケート調査等した結果、以下のような効率的な事例がみられた。 ・混合ごみのままではなく現場で分別させてから仮置場に搬入し、仮置場における作業を軽減。・仮置場にがれきの専用処理施設(選別・破砕、焼却)を設置して処理を促進。 ・仮置場の用地は、学校等の公共施設の跡地を優先活用し、災害廃棄物等の搬入を早期化。 ・運搬・破砕・選別・焼却・最終処分等の工程を一元化して JV(共同請負)と委託契約。等

②一方で、アンケート調査等の結果、以下のような困難な事例や課題等がみられた。 ・震災直後は正規の入札業務が実施できる状況になく、随意契約とせざるを得なかった。 ・魚網、石膏ボード等の処理困難物が増加傾向。PCB 等の有害物質は、受入先がなく苦慮。 ・広域処理については、受入側の理解を得るのに時間を要した。

③処理コストについては、災害廃棄物等の種類や地形等のよる処理方法等の違いにより、最終

的には自治体により数倍程度の差が出ると考えられるが、仮に同一条件のもとで執行したと

すれば、それほどの差は生じないと考えられる。そのため、各自治体が適正かつ効率的な執

行に努めている限り、単純比較は不適切。 ※平成 23 年度・24 年度に支出した処理費を平成 25 年3月末時点の処理量で単純に除した場合、特に被害の甚大であっ

た宮城県沿岸市町村における処理コストは現時点では約 55,000 円/トン程度と試算。ただし、各市町村における処理

の進捗状況が違うため、最終的なコストは全ての処理事業が完了しなければ算出することはできないことに留意(一

般的に処理が進捗するにしたがい処理コストは低減する傾向)。

2.仮設焼却炉の設置状況及び災害廃棄物処理の進捗状況 ①福島県新地町及び相馬市における代行事業では、相馬市内に仮設焼却炉3基を設置(設置費

約 37 億円、処理能力合計約 570t/日)。今後、広野町においても同様に設置を予定。

②宮城県では合計 29 基の仮設焼却炉を設置(1 基当たり平均設置費用約 31 億円、平均処理能力

約 160t/日)。県内の処理能力が大幅に増え、中間目標を達成。

③福島県においては、警戒区域等が設定され、立ち入りができなかったことなどの理由から、

災害廃棄物等の処理は、一部平成 26 年3月末までの終了が困難となっている状況。

3.災害廃棄物等の再生利用の状況 ○東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)では、災害廃棄物等のうち、

再生利用できるものは可能な限り再生利用をするとされている。自治体によっては「焼却主

灰を造粒固化し、再生資材化」するなど最終処分量の削減に努めている一方で、堆積土砂を

ふるいにかけ、再生利用するはずが、受入相手が見つからないなど再生資材をタイミングよ

く活用できない例もあった。

1.災害廃棄物等の処理コストにつ

いては、処理方法や地域特有の事

情等により最終的に差が出ざるを

得ないが、環境省が各工程におけ

る効率的な方法や契約方式の工夫

等のベストプラクティスの周知を

図ること等により、被災自治体に

おいて更なる適正かつ効率的な処

理の推進を図っていくべきである

(事後的な検証が必要)。特に、福

島県では、今後処理が本格化する

災害廃棄物等の処理にあたり、宮

城県での効率的な処理の事例等を

積極的に活用すべき。

2.代行事業における仮設焼却炉の

設置にあたっては、設置コストや

処理量、処理期間等を考慮すると

ともに、予め(再利用等を含めた)

事業終了後の取扱いを検討し、効

率的な活用に努めるべき。また、

一部処理が遅れている地域につい

ては、早急に今後のスケジュール

等を検討すべき。

3.災害廃棄物等を積極的に再利用

し、最終処分量の削減を図るべき。

その際、発生する再生資材と復興

事業とのマッチングを図り、積極

的に活用すべき。

1.効率的に処理を

行っている自治体

の事例を抽出し、

今後の効率的な予

算執行を促す。

2.仮設焼却炉の設

置状況と災害廃

棄物処理の進捗

状況を検証する。

3.災害廃棄物等の

再生利用の状況

について、復興事

業等への活用状

況を検証する。

― 98 ―

Page 101: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (46)再生可能エネルギー等導入推進基金事業

(グリーンニューディール基金)

調査対象

予 算 額

平成 25 年度:24,500 百万円 平成 24 年度:12,100 百万円

所管 内閣府 文部科学省

経済産業省 環境省 組織 - 会計

エネルギー対策特別会計

(エネルギー需給勘定)

調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 北海道財務局

①調査事案の概要

事案の概要 東日本大震災による被災地域の復旧・復興や、原子力発電施設の事故を契機とした電力需給の逼迫への対応の必要性に鑑み、再生可能エネルギー等の地域資

源を活用した災害に強い自立・分散型エネルギーシステムの導入等を支援し、環境先進地域(エコタウン)の構築に資するための事業を実施するため、都道府県及び指定都市が行う以下の事業を支援するための基金を造成。

○地域資源活用詳細調査事業

地域の再生可能エネルギー等を活用し「災害に強く環境負荷の小さい地域づくり」を推進するための計画策定。

補助率:定額(10/10)

○公共施設再生可能エネルギー等導入事業

防災拠点や災害時に機能を保持すべき公共施設への、再生可能エネルギーや蓄電池、未利用エネルギー等の導入。

補助率:定額(10/10)

○民間施設再生可能エネルギー等導入促進事業

防災拠点や災害時に機能を保持すべき一部の民間施設に対する、再生可能エネルギーや蓄電池、未利用エネルギー等の導入支援。

補助率:特定被災地方公共団体1/2、その他1/3又は利子補給

○風力・地熱発電事業等導入支援事業

大型風力発電や地熱発電等を行う民間事業者に対する、事前調査等に要する経費の支援や事業実施に係る利子補給。

補助率:1/2又は利子補給

《事業スキーム》

社会福祉施設に設置した太陽光パネル

(事 業 実 施 主 体 )

都 道 府 県指 定 都 市

・事 業 計 画 策 定・自 所 有 施 設 へ の 導 入

市 町 村 ・市 町 村 施 設 へ の 導 入

民 間 事 業 者 ・民 間 施 設 へ の 導 入

交付対象

(都道

府県・指定都市

環 境 省

「基金

」として

 積み立て

取り崩して事業を

実施

(事業期間は

5年間

・事 業 計 画 書・交 付 申 請

・補 助・補 助

・補 助・事 業 実 績

報 告 書

― 99 ―

Page 102: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3 総 括 調 査 票

事案名 (46)再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)

②調査の

視点

③調査結果及びその分析

④今後の改善点・

検討の方向性

補助金の

交付を受け

基金を設置

した 15 道

県・指定都

市を調査

1.自治体

における採

択方法等の

妥当性

採択等の

方法が補助

金交付要綱

等に基づい

ているか。

2.事業計

事業計画

は、実態等

を踏まえた

適切なもの

となってい

るか。

1. 自治体における採択方法等の妥当性

① 補助金交付要綱において、「環境先進地域(エコタウン)の構築」が交付目的とされているが、エコタウン構築

に向けた計画がない上にエコタウン構築のための事業や制度すらない自治体にも基金が設置されている。

このため、対象施設の選定に当たり、エコタウン構築に沿った選定基準もなく、採択の根拠が不明確。

② 実施要領において、都道府県等は「防災拠点における再生可能エネルギーの普及率」を把握すべき旨が規定さ

れているが、民間施設の防災拠点数を把握していない自治体が多い。

③ エコタウンの構築とは別の事業として、再生可能(自然)エネルギー導入を支援する自治体の単独事業がある

と回答する自治体があり、それらの事業が本基金事業と重複しているのではないかと思われる事例が散見される。

(例)再生可能エネルギー発電施設を設置する中小企業に対する資金融資、等

有 無

①エコタウンの構築に向けた計画等 8 7

②民間施設の防災拠点の把握 3 12

③基金事業と単独事業との重複 9 6

2.事業計画

① 本基金事業のメニューのうち、民間施設の再生可能エネルギー導入及び風力・地熱発電の導入に関する地域資

源活用詳細調査事業については、全調査先で実績なし。

また、民間施設再生可能エネルギー等導入推進事業については、平成 25 年度以降に事業を計画しているものの

具体的計画がない自治体が多い(計画額も、基金総額 121 億円のうち 9億円と少額)。

② 民間施設再生可能エネルギー等導入推進事業のうち利子補給事業や、風力・地熱発電事業等導入支援事業につ

いては、殆どの自治体が検討しておらず、検討していても計画が策定されていない。

③ 基金事業の終期は平成 28年度末としているが、事業期間は1年のものが大半。

1.について

①、②:

基金設置自治体が、事

業目的を踏まえ、

・エコタウン構築に向け

た計画等を策定し、

・民間施設の防災拠点数

を把握した上で、

要綱等において計画策

定等を求めるなど採択

基準を明確化し、適切な

執行を徹底するよう環

境省は指導強化すべき。

③:自治体に類似の単独

事業がある場合、本基金

事業との重複を指摘さ

れないよう、厳格な採択

基準等を設けるべき。

2.について

①、②: 実績のない事業や民間施設を対象とした事業については、廃止を含め、事業の在り方について検討すべき。

③:基金の設置期間については、単年度の事業実施を原則とし、地方公共団体の計画も考慮しつつ、短縮を検討すべき。

24年度の計画

有 有 無

民間施設再生可能エネルギー等導入推進事業 2 2 10 1

うち利子補給事業 0 0 1 14

風力・地熱発電事業等導入支援事業 0 0 3 12308件 47件 2件

25年度以降の具体的計画

1年 2年 3年

実施期間基金からの充当計画有り

基金からの充当計画無し

― 100 ―

Page 103: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3 総 括 調 査 票

事案名 (46)再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)

②調査の

視点

③調査結果及びその分析

④今後の改善点・

検討の方向性

3.24 年度

事業内容

効果的、

効率的な事

業となって

いるか。

3. 24 年度事業内容

① 対象設備の中には、環境省が作成している「平成 24 年度再生可能エネルギー等

導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)対象事業の考え方」において

事例として示されていない、薪ストーブ等があった。

なお、当該薪ストーブについて稼働状況を調べたところ、稼働率は 30%以下。

稼働可能日数 稼働日数 稼働率

設備a 82 24 29.3%

※稼働可能日数は、設備設置日から3月末までの施設の稼働日。

② 平成 24 年度に整備された設備について、費用対効果に大きな開きが見受けられた。

◆太陽光発電設備:1kw 当たりの設置費用及び百万円当たりの CO2 削減量比較

※ 平成 24 年度に実施した 12 事業(CO2 削減量は比較可能な 11 事業)を比較

※ CO2 削減量は、事業すべての効果が太陽光発電設備の効果として分析。

◆太陽光発電式LED街路灯:1基当たりの設置費用及び百万円当たりの C02 削減量比較

※ 平成 24 年度に実施した 6事業(CO2 削減量は比較可能な 4事業)を比較

◆蓄電池:1kwh 当たりの設置費用比較

(注)設置場所等により費用対効果については単純比較が

不適切な場合もある。

※ 平成 24 年度に実施した 12 事業を比較

3. について ①:薪ストーブの事例など、再生可能エネルギーに特化したとは言い難く、稼働期間も限られる設備(暖房設備等)については、交付対象から外すことも含め、見直しを検討すべき。

②:施設によって費用対効果に大きな開きがみられることから、効果基準等を採択要件に入れるなどして、国が支援すべき施設を絞り込むことにより基金の有効活用を図るべき。 4. 総括 今後、本基金事業にお

いては、個別事業についてデータ等の精査を実施した上で、自治体の計画や実施体制に対する環境省の指導・監督強化、現行の 10 分の 10補助率の見直しなどを検討することにより、優良事例選定のインセンティブを高め、事業全体の費用対効果の向上を図ることが必要。

1 2 3 1 2 3

設置費用 643 287 365 367 949 900 854

上位3施設 下位3施設

【単位:千円】

平均

1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3

設置費用 1,016 667 668 787 1,569 1,416 1,111 CO2削減量 0.508 0.924 0.696 0.521 0.242 0.383 0.422

【単位:千円、t-CO2/年】

項目 平均上位3施設 下位3施設

項目 平均上位3施設 下位3施設

1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3

設置費用 769 300 498 600 1,508 1,000 709 CO2削減量 0.049 0.099 0.038 0.025 0.035

平均上位3施設 下位3施設

【単位:千円、t-CO2/年】

平均上位3施設 下位3施設

― 101 ―

Page 104: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (47)通信専用線の整備 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:1,133 百万円

平成 24 年度:1,123 百万円

所管 防衛省 組織 防衛本省 会計 一般会計 調査区分 財務局調査

取りまとめ財務局 関東財務局

①調査事案の概要

事案の概要

陸上自衛隊の駐屯地相互間における指揮・連絡・調整に用いる通信回線は、防衛省が整備しているマイクロ通信回線を活用する区間と、通信事業者から回線を借

り上げて確保している区間があり、また、地方協力本部及び主要演習場等における通信や、緊急防災情報ネットワーク維持のために必要な気象庁との接続回線、航

空機の運用に必要な航空管制部との通信を維持するために必要な回線等については、通信事業者より通信回線を借上げ、必要な通信を確保している。

なお、借上げ契約は、陸上自衛隊が通信事業者の提供するサービスに申込み、事業者が定めた約款に基づき行われている。

通信専用線

の区分

陸上自衛隊における

主な契約サービス名 契約元

一般専用線

(アナログ)

一般専用サービス

:3.4kHz(S)、音声伝送

方面会計隊

中央会計隊

広帯域専用線

(デジタル)

高速ディジタル伝送サービス

イーサネット専用サービス 中央会計隊

通信専用線の契約状況

一般専用線 広帯域専用線

3.4kHz(S) 音声伝送 高速ディジタル イーサネット

24 年度 26 754 158 58

25 年度 22 749 146 73

※3.4kHz(S):FAX等が利用できる回線

高速ディジタル :大量のデータ通信を可能としたディジタル回線

イーサネット :特定の拠点間を結ぶ、通信品質やセキュリティが高いサービス

― 102 ―

Page 105: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (47)通信専用線の整備

1.過年度の利用実績等を考慮した契約内容の見

直しについて

・広帯域専用線を利用した音声通信など、近年の

電気通信技術の革新による新たな通信方法の活

用を念頭において、既存のDIIネットワーク

も最大限活用し、効率的な通信ネットワークの

あり方を抜本的に検討することによって、既存

回線の全体最適を図るべきである。

・この結果、引き続き現在の通信ネットワークを

基本的に維持すべきとの結論となった場合にお

いても、部隊等における利用状況等を検証した

上で、適切な回線数及び帯域数を選択するよう

見直しを行うべきである。

2.契約方法の見直しについて

通信事業者との契約に際しては、

①契約に係る事務コスト削減のため、複数回線を

できるだけまとめて契約すること

②大口利用者として、通常適用される約款よりも

できるだけ有利な内容で契約できるよう交渉に

努めること

③複数事業者のサービスが提供されている地域

にあり、競争性が認められる回線については、

一般競争入札などできるだけ競争性の高い契約

手続きを採用すること

以上により、できるだけ有利な内容で契約できる

よう努めるべきである。

1.契約内容の見直し状況 (回線数の妥当性)

複数の専用線を借り上げている区間について、利用状況等を踏まえて回線の統合により合理化を図った実績を確認したところ、これまで合理化を目的として複数回線を統合した事例はないことが分かった。

(帯域数の妥当性) 広帯域専用線は主に契約する帯域数によって利用料金が決まり、各回線の帯域数

は、回線使用部隊等からの要求に基づいて決定されているが、契約締結後に利用実績を踏まえてこの決定の妥当性についてフォローアップを行ったことはないことが分かった。この理由として、利用実績が確認できないためとの回答があったが、通信事業者に対して利用実績の照会などは行っていないことが分かった。

(回線距離の妥当性) 広帯域専用線のうち高速ディジタル回線は回線距離に応じて利用料金が上がるため、できるだけ短い距離で借り上げるべきであるが、現在借上げている回線については、主に各施設から陸上自衛隊の師団司令部等までとなっており、統合幕僚監部が整備する防衛省情報通信基盤(以下、DIIとする。)ネットワークの整備状況などは勘案されておらず、最も効率的な状態とは言えないことが分かった。

(表)契約内容の見直し状況

複数回線の統合

契約内容の変更

専用線の増設 専用線の廃止 一般専用線 広帯域専用線 一般専用線 広帯域専用線

24 年度 0 0 0 9 10 625 年度 0 0 1 6 0 6

『専用線の増設』及び『専用線の廃止』における広帯域専用線の増減については、遠距離回線料金の縮減を目的としたイーサネット専用サービスの導入である。

2.契約方法の見直し ・契約手続きについて確認したところ、約 1,000 本にのぼる個々の回線についてそれぞれ契約を行っていること、このため、複数回線をまとめて大口利用者として特約条項等の交渉は行っておらず、通常の約款に従って契約を行っていることが分かった。

・また、平成 24 年度・25 年度における契約手続きにおいて、一般競争入札を実施しているか確認したところ、入札を実施したことはないことが分かった。

1.過年度の利

用実績を考慮し

た契約内容の見

直しが行われて

いるか。

2.一般競争入

札の導入等、契

約方法の見直し

によって、より

経済的な契約を

締結することが

できないか。

― 103 ―

Page 106: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (48)海上自衛隊における弾薬の処分事業 調 査 対 象

予算額

平成 25 年度:332 百万円

平成 24 年度:275 百万円

所管 防衛省 組織 防衛本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

事案の概要 自衛隊では、防衛上の必要に基づき、一定の継戦能力を保持するために必要な弾薬の保有数を装備品ごとに定め、これを満たすように弾薬の購入・保管を

行っている。海上自衛隊が保有している弾薬については、定期検査等で不良と判定された場合及び当該弾薬を使用することができる艦船等の装備品が全て退

役した場合に処分が必要となり、原則として外注処分を行っている。近年、海上自衛隊の弾薬の処分事業経費が増加しているため、弾薬の処分事業経費を極

小化するための措置がとられているか検証する。

年度 23 年度 24 年度 25 年度

歳出予算額 225,609 274,846 332,092

契約額 194,525 345,631 332,011

○弾薬の購入

○保管・整備 ○艦船等へ搭載

○処分

(実施例)

(参考 1)弾薬の購入から処分まで(魚雷の例)

○訓練等で使用

(参考 2)各年度の弾薬処分に係る予算額

※「歳出予算額」には、過年度の国庫債務負担行為による当該年度の歳出化経費が含まれている。

(単位:千円)

○保管・整備 ・定期検査等で不

良判定 ・装備品の退役に

伴い不用

― 104 ―

Page 107: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

総 括 調 査 票 事案名 (48)海上自衛隊における弾薬の処分事業

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

○ 契約内容の見直し

・ 今後処分する必要がある弾薬について

は、より効率的な輸送を前提に輸送費用

を見積もるなど、処分契約の内容の見直

しを実施し、処分費用の低減に努めるべ

き。

○ 部品の共通化

・ 既に部品の共通化が実施されている弾

種については、他の弾種への利活用につ

いて、処分経費等関連経費の極小化の観

点から検討すること。また、今後の弾薬

の開発については、防衛力の整備に支障

が生じない範囲内で、処分費用の極小化

の観点も踏まえて、更なる部品の共通化

について検討すること。

○ 弾薬庫等の効率的利用

・ 弾薬庫等の有効利用を図るため、今後

見込まれる不用弾薬については、艦船等

の装備品の退役計画も踏まえつつ、年間

の処分可能数量を考慮した処分計画を策

定すること。

(1)艦船等の装備品の取得・退役のペースと弾薬の取得・処分のペースの実績(%は、最大保有数に対する比率)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

MK44(%)

搭載艦船数(%)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

73式(B)(%)

搭載艦船数(%)

・73式魚雷(B)本体では、平成23年の搭載可能艦船の退役の翌年には処分を完了しているが、MK44魚雷本体は、平

成16年の搭載可能艦船の退役後、処分完了するまで複数年を要している。(注)

(注)処分に関する設備及び技術を有する業者は限定されているため、実態として、年間処理能力には、一定の制約がある。

(2)弾薬の処分経費を極小化するための措置

○処分方法の見直しによる経費削減の可能性

・平成24年度に処分が終了したMK44魚雷及び73式魚雷(B)本体の処分に係る契約内容及び処分方法を詳細に確認し

たところ、魚雷本体部分解体後の輸送に関しては、処分個数に関わらず輸送単価が固定的に設定されていた。このため、効

率的な輸送を前提に単価を試算したところ、設定されていた輸送単価を下回ったため、魚雷の処分費用については、費用低

減の余地があることが判明した。

・火薬部分の処分についても、契約内容等を確認したところ、本体と同様に、費用低減の余地があることが判明した。

○部品の共通化による経費削減の可能性

・12式魚雷については、開発コスト低減化の観点から、97式魚雷と主要構成品の共通化(約38%)が図られているが、

今後、97式魚雷の処分段階において、97式魚雷から取り外した共通構成品を12式魚雷の整備に利活用することができ

れば、97式魚雷の処分費用の削減につながる可能性があることが判明した。

(3)保管場所

・弾薬は、処分するまでの間は各弾薬整備補給所等にある弾薬庫等で保管しているが、上記(1)にあるように処分完了まで

複数年を要する弾薬も存在する。この場合、不用となった弾薬を保管することとなり、弾薬庫等の有効利用の観点から問題。

・なお、今後処分が見込まれる弾薬の中には、処分完了までに10年程度を要するものがある。

不用弾薬の処分を

合理的・効率的に実施

しているか

(1) 艦船等の装備品の

取得・退役のペースと

MK44魚雷及び73

式魚雷(B)の取得・

処分のペースの実績を

調査する。

(2) 弾薬の処分経費を

極小化するための措置

がとられているか検証

する。

(3) 用途のない弾薬を

長期間保有するなどの

保管場所の非効率な使

用はなかったか

【MK44魚雷本体】 【73式魚雷(B)本体】

― 105 ―

Page 108: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/3

総 括 調 査 票

事案名 (49)飛行時間及び飛行時間関連経費 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:210,711 百万円(契約ベース)

平成 24 年度:203,046 百万円(契約ベース)

所管 防衛省 組織 防衛本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

【事案の概要】

飛行時間(以下、「FH」という)とは、操縦者又は航空機の 1年間あたりの飛行時間のことである。航空機の戦力は、航空機の性能、操縦者の練度及び後

方支援能力の相乗効果により発揮され、その中でも、操縦者の練度はFHに密接に関連していることから、実行的な抑止力、対処能力の維持向上、練度の維

持向上による航空戦力の質的優位性の確保、飛行安全の確保に伴う人的・物的損耗の回避といった目的の為、航空自衛隊にとってFHの確保が重要なものと

なっている。

また、飛行時間関連経費(以下、「FH関連経費」という)は、FHを一部又は全部の積算の基礎としている。油購入費(404 億円)、IRAN経費(194

億円)、要修理品修理費(268 億円)、航空機維持部品(809 億円)等がFH関連経費に該当し、航空自衛隊のFH関連経費の総額は一般物件費の 33%、新規

後年度の 30%を占めている。

機種名 保有機数 用途

F-15J/DJ 201防空及び航空阻止の援護等対領空侵犯措置

F-4EJ/改 63防空及び航空阻止の援護等対領空侵犯措置

F-2A/B 97航空阻止、近接航空支援、防空等対領空侵犯措置

RF-4E/EJ 13 航空偵察任務

C-1 26 輸送

C-130H 15 輸送

KC-767 4 空中給油・輸送

KC-130H 1 空中給油・輸送

E-2C 13 早期警戒

E-767 4 早期警戒管制

○航空自衛隊の主な保有航空機

経費項目名25年度

当初予算24年度

当初予算概要

油購入費 40,370 38,440航空機の運航、生産修理及び原動機の地上運転並びに航空機用地上動力器材の運用に必要な主燃料及び雑油を取得するための経費であり、FHに燃費を乗算することにより積算している。

IRAN経費 19,413 19,733部隊の整備能力を超える検査及び修理を、民間委託により定期的に実施するための経費であり、要求年度のFHからIRAN搬入予定機数を積算している。

エンジンオーバーホール経費

6,479 5,911エンジンを一定時間使用後、あるいは故障が発生した場合、民間委託により分解、検査及び修理等を実施するための経費であり、要求年度のFHからオーバーホール搬入台数を積算している。

要修理品修理費

26,777 27,943不具合が発生した機体部品(要修理品)を外注により修理するための経費であり、要求年度のFHに修理率を乗算し積算している。

航空機維持部品

80,922 83,239各種航空機の飛行支援に必要な維持部品等を取得するための経費であり、FHに1,000時間あたりの所要額を乗算することにより積算している。

航空機関連構成品修理費

16,647 15,978航空機搭載通信電子関連機器の要修理構成品を外注により修理するための経費であり、FHに100時間あたりの所要額を乗算することにより積算している。

搭載通電器用維持部品

15,744 7,287航空機搭載通信電子機器の維持に必要な部品を取得するための経費であり、FHに1,000時間あたりの所要額を乗算することにより積算している。

○航空自衛隊の主なFH関連経費

(単位:百万円)

― 106 ―

Page 109: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/3

②調査の視点 ③調査結果及びその分析

総 括 調 査 票

事案名 (49)飛行時間及び飛行時間関連経費

1.FH及びFH関連経費の予算と執行実績との乖離について

・外的要因の影響を受けやすい機種と、外的要因を受けにくい機種を抽出し、予算と執行の乖離を調査したところ、一部の機種につ

いて乖離が生じているケースが認められた。(表 1)

⇒様々な外的要因の影響を受け予測困難な機種がある一方、計画的に執行し外的要因を受けにくい機種も存在する。個々の機種の

特性によって、執行率に差が見られることから、予算配分に改善の余地が見られる。

・一部の経費項目の予算要求の積算基礎となるFH、修理率注について、予算と実績が乖離しているケースが認められた。(表 1、2)

(注)FH関連経費は、一部を除き、要求年度のFHに修理率を乗算することにより予算要求を行っている。

⇒FH及び修理率は、予算積算の基礎となっているが、過去の飛行に基づき発生する要素が多い修理費について、将来飛行する要

求年度の飛行予定時間をFHとして使用しているほか、経費項目ごとに修理率の積算方法が異なっており、積算方法について改善

の余地が認められる。(表 3)

FHは、航空機操縦者の練度がFHの

多寡に密接に関連することから、航空自

衛隊予算の中でも枢要なものであるとと

もに、FHを積算の基礎にした多様なF

H関連経費が必要とされている。

そこで、予算要求時と予算執行時のF

H及びFH関連経費の乖離や相関関係の

有無を検証することにより、今後の整備

の在り方・経費節減の可能性について検

討する。

(視点)

・FH及びFH関連経費の予算と執行実

績に乖離が生じていないか。

・FHとFH関連経費との間に相関関係

が確認できるか。

・乖離の要因は何か。また、検証結果を

改善・見直しに反映しているか。

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度

航空機A(航空機関連構成品修理費)

▲25.9% ▲55.5% ▲62.2% ▲50.1% ▲45.6%

航空機B(航空機関連構成品修理費)

+469.4% +41.7% +61.2% +326.4% +148.7%

(表2)航空機関連構成品修理費の予算積算上の修理率と執行上の修理率との乖離率

(注)予算はFHに修理率を乗算して計上されているため、乖離がある場合は、予算積算の見直しが可能と考えられる。

FH 修理率

航空機関連構成品修理費

要求年度FH

調達した役務のうち、今後、修理発生が予想される部品を任意に抽出し、抽出部品の過去3年の実績から修理率を算出。

○FHについて、修理は過去の飛行に基づき将来発生する要素が多いことから、積算方法において実績FHに修理率を乗じるなどの仕組みを検討すべきではないか。

○修理率について、正確な実績を反映するため、調達した全ての役務について積算の基礎とすべきではないか。

要修理品修理費

要求年度FH

調達した全ての役務について、過去3年の実績に加重平均を付加し修理率を算出。

○FHについて、修理は過去の飛行に基づき将来発生する要素が多いことから、積算方法において実績FHに修理率を乗じるなどの仕組みを検討すべきではないか。

積算方法(FH×修理率)経費項目名 改善点

(表3)積算方法の比較

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度

+0.1% +2.4% +15.5% +0.4% +69.9%

IRAN経費 ▲24.2% ▲17.1% - - ▲2.4%要修理品修理費 ▲6.3% +172.4% +172.8% +90.1% +57.8%航空機関連構成品修理費 ▲24.9% ▲56.6% ▲58.3% ▲47.1% ▲29.2%

▲13.3% ▲8.5% ▲11.4% ▲4.9% +2.6%

IRAN経費 ▲2.7% - +10.5% ▲100% -要修理品修理費 +159.8% +133.2% +74.2% +29.5% ▲35.1%航空機関連構成品修理費 +386.5% +37.5% +45.9% +243.8% +144.7%

航空機B(外的要因の影響小)

FH

FH関連経費

(表1)FHとFH関連経費の予算と執行実績の乖離率

航空機A(外的要因の影響大)

FH

FH関連経費

― 107 ―

Page 110: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

3/3

③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票

事案名 (49)飛行時間及び飛行時間関連経費

1.FHについて

・執行率が低い航空機は、FHが過剰であることから、

FHの低減や運用内容の改善を検討すべき。

・他方、FHが増加している航空機が見受けられるこ

とから、更なる効率化や単純な予算増を招かない範囲

での適切な予算配分について検討を行うべき。

2.FH関連経費について

・FHとの相関関係が見受けられないFH関連経費に

ついては、FHとの連動性の切り離しや民間委託の推

進により経費削減や使用可能航空機の増等のパフォ

ーマンス向上が見込まれる場合は、それらの推進も選

択肢の一つとして、効率的な予算要求が可能か検討す

べき。

・予算の執行率が低い経費項目は、FH関連経費が過

剰であることから、予算の低減や調達内容の改善を図

るべき。その際、単純な予算増を招かない範囲で、よ

り実績に合致するようFHや修理率等の積算方法に

ついて見直しを検討すべき。

3.全体的な執行について

・FH、FH関連経費は概ね高い執行率であることが

認められる。また、外的要因を受けやすく、突発的に

高額な部品や修理が必要となる場合もあるなど、将来

予測が困難な性質をもった事業と考えられる。しかし

ながら、装備品の高度化に伴う維持経費の増加を踏ま

えると、今後、一層の効率化が求められることから、

真にFHとの連動が必要な経費は何かといった見直

しを行うとともに、より適切な実績の反映や、民間の

力を活用した整備・補給方法についても選択肢の一つ

として検討していく必要があるのではないか。

2.FHとFH関連経費との間の相関関係について

・FH実績とFH関連経費の実績額に相関関係があるか調査したところ、一部の機種の経費項目で、連動性が見受けられ

ないケースが認められた。(表 4、5)

⇒経費項目によっては、FHとの連動性がないケース注1が認められることから、より効率的な整備・調達方法が見込め

る場合注2、FH関連経費の積算根拠からFHを切り離すことも選択肢の一つとするなど、予算要求について改善の余地

が見られる。

(注 1)例えば、IRANは一定のFH累積及び期間経過後に実施する機体定期修理のことであり、FHの増加に比例して経費が単

純に増加するものではない。

(注 2)一部の機種について、運用実績を踏まえてIRANや基地での整備内容全てを見直し、FHを切り離した整備間隔の設定や、

民間委託範囲の拡大及び民間航空会社で採用されている整備方式への移行を検討しており、その結果、従来方式より経費・使

用可能航空機の増の両面で効率化が見込まれている。(表 6)

3.航空自衛隊の取組み等について

・既に一部の航空機や部品について、FHの積算要素からの切り離しや、新たな契約方式(PBL)として、修理に必要な

部品準備や在庫管理の包括的な民間委託を実施するなどの新しい試みが行われていることを確認した。

・一部の調達部品について、納入後の保管期間を確認したところ 0.8 年~2.0 年となっていた。航空自衛隊は、部隊が必

要となる時期も考慮した上で調達を行っているが、最も適切な保管期間はどれくらいかなどの検討も必要ではないか。

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度1.00倍 0.95倍 1.08倍 1.03倍 1.69倍

IRAN経費 1.00倍 2.00倍 - - 1.54倍要修理品修理費 1.00倍 2.89倍 3.49倍 2.40倍 3.41倍航空機関連構成品修理費 1.00倍 0.60倍 0.56倍 0.79倍 1.06倍

1.00倍 1.06倍 1.02倍 1.10倍 1.21倍IRAN経費 1.00倍 - 0.92倍 - -要修理品修理費 1.00倍 0.89倍 0.83倍 0.54倍 0.54倍航空機関連構成品修理費 1.00倍 0.29倍 0.30倍 0.71倍 0.52倍

航空機B

FH実績

FH関連経費実績

(注)平成20年度を基準として、各年度の実績を倍率で表したもの。

(表4)FHとFH関連経費の相関関係

航空機A

FH実績

FH関連経費実績

第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期FH実績 1.00倍 0.92倍 1.44倍 2.56倍要修理品修理費実績 1.00倍 1.62倍 2.62倍 0.32倍

(表5)航空機AのFHと修理費との相関関係

(注)平成24年度の第1四半期を基準として、各四半期毎の実績を倍率で表したもの。

対象機種

経費使用可能航空機数 経費

使用可能航空機数

約200百万円 - 約174百万円 約10%向上

従来方式 新たな方式

航空機X

(表6)IRAN方式から新たな整備方式への移行(試算)

― 108 ―

Page 111: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (50)糧食の在庫管理 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:32,555 百万円の内数

平成 24 年度:31,615 百万円の内数

所管 防衛省 組織 防衛本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

① 調査事案の概要

【事案の概要】

糧食費とは、営内居住及び艦船乗組員、防衛大・防衛医大の学生及び生徒、訓練招集に応じている予備自衛官等に対して支給する食事、その他自衛隊の隊務

の運営・教育訓練等に必要となる食事である。(防衛省の職員の給与等に関する法律第20条及び同法施行令第14条)

自衛隊の部隊は、離島、僻地等を含め全国に所在している。また、部隊における給食は、集団給食方式によっているが、給食の場が駐屯地等ばかりでなく野

外等である場合も多く、また、部隊等の任務、行動、給食人員等によっても画一的ではなく、複雑多岐にわたっている。これらの部隊の給食を中断することな

く円滑かつ適正に実施していくためには、常に所要の糧食の在庫が必要であり、在庫糧食の適切な活用が不可欠となっている。

このことから、年度末から年度当初における部隊の給食を継続的かつ円滑に実施するため、中央から現地部隊までの予算示達に係る期間及び調達自体に要す

る期間のランニングストック並びに災害派遣等の予期しない部隊行動に迅速に対応できるだけの糧食について、必要在庫として保有することとしている。

(単位:千円)

区分 決算不用額 年度末余剰在庫額

平成19年度 6,688 2,045,804

平成20年度 69,405 1,331,096

平成21年度 27,828 445,038

平成22年度 1,796,837 1,244,545

平成23年度 2,453,023 395,973注1:平成22年度及び平成23年度の決算不用額には、東日本大震災の影響に伴う不用額を含む。

注2:各年度の年度末余剰在庫額は、必要在庫及び前年度末在庫調整分を除く。

注3:各年度の年度末余剰在庫額は、翌々年度の予算に在庫調整額として反映することとしている。

糧食費の決算額及び年度末余剰在庫の状況 非常用糧食

駐屯地等給食 野外給食

部隊糧食 戦闘糧食

一般糧食

太枠が今回の調査範囲

― 109 ―

Page 112: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

総 括 調 査 票事案名 (50)糧食の在庫管理

1.在庫管理体制について

食材等の納品、払い出し等の管理は、調査対象の駐屯地・基地全てにおいて専用の管理システムで

在庫管理を実施し、食材等の消費期限、賞味期限の管理についても、部隊によって異なるが、専用の

管理システムのほか、手書きによる管理簿及び市販品ソフトウェアを活用し消費期限、賞味期限を把

握し、優先的な消費を実施していた。

⇒ 在庫管理体制については、概ね適正に実施されている。

2.在庫の保有状況、対象品目の基準及び調達の状況について

24年9月末及び25年3月末在庫の保有日数については、下表(在庫の保有状況)のとおりであり

各自衛隊によって大幅なバラツキが見られた。また、25年3月末の在庫品目の保有比率は、下表(

在庫品目の構成比率)のとおりであり、各自衛隊とも在庫日数に見合った対象品目の基準がない状況

であった。(注:余剰在庫は毎年度の予算に在庫調整分として反映している)

調達については、一般競争契約(単価契約を含む)がほとんどであり、契約期間は、食材等によって異

なるが、1カ月及び 3カ月単位で実施し、近傍の駐屯地・基地単位で統一規格書の作成や市場調査に取

り組んで調達業務の効率化を図っているところもあった。

⇒ 執行段階における適正な在庫管理を実施するうえで、在庫日数及び対象品目の保有基準を設定する

必要があるのではないか。

3. 予算上の在庫の必要日数(通常分)について

予算積算における在庫の必要日数(通常分)の考え方は、予算示達及び調達手続き(入札から納入まで)に要する期間として16日を設定している。調査の

結果、中央から現場部隊までに係る予算示達に要する期間は、最長6日間(土日を含め8日間)であった。また、食材等の調達手続きに要する平均日数は下表

のとおりであり、精白米の平均5日間がもっとも日数を要する結果であった。

⇒ 予算積算上の在庫の必要日数(通常分)は、必ずしも適正な日数となっていないのではないか。

1.年度末に余剰在庫が発生していることを踏

まえ、適正な在庫の調達を実施し、在庫管理

を徹底していくため、必要日数(通常分)に

応じた献立を作成するなどにより、在庫の品

目等の基準を設定するべきである。

2.また、近傍の駐屯地・基地単位で実施して

いる統一規格書の作成や市場調査について更

に推進することにより、調達業務の効率化を

図っていくべきである。

3.予算示達及び調達手続きに要する期間の調

査結果を踏まえ、部隊給食の継続的かつ円滑

な実施に必要な在庫の必要日数(通常分)に

ついて、予算積算の適正化を図るべきである。

過去の決算不用や年度末余剰在

庫が発生していること等から、糧食

の在庫管理の現状について調査を

実施。

【調査対象】

陸海空自の駐屯地・基地(100 箇所)

1.在庫管理体制の実態把握

自衛隊の部隊等における給食は、

様々な形態で実施されていること

から、在庫管理が適正かつ効率的に

実施されているか実態把握を行う。

2.在庫の保有状況、対象品目の保

有基準及び調達の状況の検証

在庫の保有状況及び対象品目の

基準の有無、また、調達状況を確認

し、効率的かつ無駄がないよう適正

に実施されているかを検証する。

3.予算上の在庫の必要日数(通常

分)の検証

予算積算上、設定されている必要

な在庫日数(通常分)が適正な日数

となっているかを検証する。

在庫品目の構成比率(H25.3末)区分 精白米 大麦類小麦製品 いも類 砂糖類 豆類 種実類 野菜類 果実類きのこ類 藻類 魚介類 肉類 卵類 乳類 油脂類 菓子類し好飲料類調味料類 その他陸自 26.3 1.3 1.7 0.7 0.5 0.7 0.3 3.6 3 1.9 2.3 7.8 9.1 1.1 0.1 3.7 0.9 3.5 12.3 19.2海自 13.2 0.1 3.7 0.3 1 0.5 0.1 1.4 1.4 2.2 1.8 20.3 13.5 0.5 0.4 2.4 0.5 6.2 16.3 14.2空自 33.2 0.3 2.1 0.5 0.7 0.6 0.4 2.6 1.6 1.7 2.2 4.2 3.8 0.6 0.5 3.4 0.4 5.4 15.3 20.5

在庫の保有状況

区分 H24.9末 H25.3末陸自 16日 18日海自 46日 61日空自 18日 28日平均 20日 25日

食材等の調達手続きに要する平均日数精白米 大麦類 小麦製品 いも類 砂糖類 豆類 種実類 野菜類 果実類 きのこ類 藻類 魚介類 肉類 卵類 乳類 油脂類 菓子類 し好飲料類 調味料類 その他5日 4日 4日 3日 4日 3日 4日 3日 3日 3日 4日 3日 3日 3日 3日 4日 3日 4日 4日 4日

― 110 ―

Page 113: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/2

総 括 調 査 票

事案名 (51)自衛隊のアウトソーシング契約 調査対象

予 算 額

平成 25 年度:13,249 百万円の内数

平成 24 年度:13,970 百万円の内数

所管 防衛省 組織 防衛本省 会計 一般会計 調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

①調査事案の概要

1.総人件費改革に基づく自衛官の実員純減のために行うアウトソーシングの業務内容は、給食業務、教育業務、整備・補給業務、文書管理等補助業務、出入門管理業務等があり、その

うち も規模が大きいのが給食業務のアウトソーシングである。

2.アウトソーシング契約については、平成 22 年度予算執行調査を行い、実績単価等の見直しを行ったが、その後の状況について調査を実施し、効率的な予算執行となっているか検討

する。(本調査は、平成 22 年度予算執行調査のフォローアップ調査として実施。)

(参考)前回の調査結果及び反映状況

調査結果の概要 反映の内容等

1.陸自については、昨年度の事業仕分けを踏まえ既に 22 年度新規契約分からアウトソーシング単価(ア

ウトソーシング経費÷削減人数)の引下げを行っているが(3,030 千円/年)、21 年度実績単価は更に

これを下回っており、23 年度の予算には実績単価を反映させるべき。

2.海自については、実績単価が予算単価を上回る状態が続き、21 年度実績ベースでは採算割れを起し

ている。

このため、

① 予定価格作成に当たり3~5社の見積をとるなど効率的な執行に努めるとともに、

② これを 23 年度の予算に反映し、

採算性を早急に回復する必要がある。

3.なお、採算割れが改善できない場合は、総人件費改革の趣旨を踏まえ、同数を他の業務分野におけ

る民間委託に振り替える必要がある。

1.陸上自衛隊については、23 年度予算要求について 19 年度~21

年度の実績単価の3ヵ年平均に改善し 23 年度政府案に反映。

2.海上自衛隊については、予定価格作成に当たり複数社の見積

をとるとともに、23 年度政府案に反映し、採算性を回復。

― 111 ―

Page 114: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

2/2

②調査の視点 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性

陸上自衛隊及び海

上自衛隊について、24

年度までの契約実績

を調査することによ

り、26 年度予算単価へ

の反映ができないか。

1.総人件費改革に基づく自衛官の実員削減によ

り、24 年度に給食業務をアウトソーシングして

いる 131 駐屯地及び基地(以下、「駐屯地等」

という。)における「1食当たり単価」と「食事

ごとの給食数」の状況は散布図のとおりである。

前回調査時の 21 年度に比べ、予定価格の作

成方法の見直しなどにより、平均的な試算単価

(近似曲線上の単価)より割高となっている民

間委託は減少しているものの、20%以上も割高

となる民間委託を行っている駐屯地等は 27 箇

所あった。

年間給食数の規模別に抽出調査を行ったと

ころ、割高な駐屯地等においては落札率が高い

傾向があったため、応札者数及び見積をとった

業者数を確認したところ、落札率が高い駐屯地

等は応札者数等の少ない傾向が見受けられた。

公告期間の延長等による応札者を増加させ

る更なる工夫を行うとともに、見積をとった業

者が応札している傾向を踏まえ、見積をとる業

者数を増加させるなど、一層競争性を高めるこ

とにより乖離幅を圧縮することができれば、委

託契約額を大幅に削減できるものと考えられる。

2.隊員数等により小規模となる給食業務をアウ

トソーシングしている駐屯地(分屯地含む)に

おいては、近隣の駐屯地と一括契約を実施して

いるが、24 年度においては 11 駐屯地(21 年度

は6駐屯地)が他の駐屯地と一括契約を行っていた。このうち、23 年度から新たに一括契約した1駐屯

地における委託契約額は、一括契約した駐屯地の契約額を含め、21 年度 102 百万円が 24 年度 92 百万円

と 10 百万円の削減となっていた。

一方、24 年度において、一括契約している7契約の平均単価 95.2 円より割高となる民間委託を行って

いる駐屯地等は 52 箇所あった。

1.駐屯地等により所在地等の事情が

異なるが、実績単価が平均的な試算

単価と比較して大幅に上回ってい

る駐屯地等においては、応札者数を

増加させる更なる工夫を行うなど、

一層競争性を高めることにより、委

託契約額の削減に努めるべきであ

る。

2.小規模の駐屯地においては、駐屯

地の事情を考慮しつつ、近隣の駐屯

地と一括契約を行うことが可能で

あれば、更なる効率的な執行が見込

まれるため、一括契約の可否につい

て検討するべきである。

総 括 調 査 票

事案名 (51)自衛隊のアウトソーシング契約

0

50

100

150

200

250

300

350

0 500 1,000 1,500 2,000食事ごとの給食数

(食)

(円)24年度(131駐屯地等)

1食当たり単価

0

50

100

150

200

250

300

350

0 500 1,000 1,500 2,000食事ごとの給食数

(食)

(円)(参考)21年度(67駐屯地等)

1食当たり単価

― 112 ―

Page 115: 総括調査票1/2 総 括 調 査 票 事案名 (1)総合特区推進調整費 調査対象 予 算 額 平成25年度:12,400百万円 平成24年度:13,840百万円 所管 内閣府

1/1

①調査事案の概要 ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性 各府省では、事務文書の印

刷等を行うために、プリンターや複合機などを設置している。プリンター等を利用するためには、消耗品であるトナーを補充しなければならないが、トナーカートリッジ(以下「トナー」という。)には純正トナーのほか、使用済カートリッジを再生利用したリサイクルトナーも販売されているものもある。

1.調査を行った33府省庁においては、トナーを使うプリンター等の機器を56千台設置している。これらの機器におけるリサイクルトナーの活用状況は(表1)のとおりであり、全体の 44.8%の 25 千台でリサイクルトナーを活用していたが、7府省庁においては、リサイクルトナーの活用についての検討を行っていなかった。

2.平成 23 年度のトナー購入実績は3,806 百万円で、このうちリサイクルトナーの使用実績は 598 百万円(15.7%)である。 リサイクルトナーの活用実績が多

い上位5機器の状況は(表2)のとおりであり、本府省庁での純正トナーの実績単価と比較すると、大幅に安価で調達しており、この5機種だけで1,309百万円の経費節減が行われていた。 (参考) 本府省庁における純正トナーの活用実績が多い 10 機種のうち、リサイクルトナーの活用実績がある7機種について、リ

サイクルトナーに変更した場合の経費節減額を試算すると、約284百万円となる。 3.リサイクルトナーの活用について検討はしたが活用することとしなかった 23 千台については、「保守契約等で純正トナーの使用を指定されている」、「使用機器にリサイクルトナーが販売されていない」、「リサイクルトナーは不具合が多いらしい又は多かった」などの理由でリサイクルトナーを活用しないこととしていた。 平成23年度の活用実績では、印字不良等のトナー本体の不具合状況(発生本数を把握している部局のみでの状

況)は、全体で見ると純正トナーに比べ、リサイクルトナーは大幅に発生(約49倍で94本に1本程度)しているが、その発生の約7割が2府省庁の地方支分部局に集中(2府省庁の地方支分部局を除くと324本に1本程度までに減少)していた。 なお、リサイクルトナーの調達に当たっては、多くの府省庁で「製品保証や使用機器故障時の補償」、「グリーン

購入法適合」、「ISO14001及びISO9001の認証取得」という条件を付していたが、更に、「純正トナーの使用済カートリッジによるリサイクルトナーに限定」、「業界団体による基準認定品」などを条件に加えている府省庁では比較的に不具合の発生が少なかった。

リサイクルトナーを積極的に活用し、経費削減に取り組んでいる府省庁も多くあることから、リサイクルトナーの活用についての十分な検討を行っていない府省庁は、活用の可否について早急に検討すべきである。 また、過去に検討したことがある府省

庁であっても、 (1) 機器更新や保守契約の更改時に、リサイクルトナーを活用できる条件での契約の締結

(2) リサイクルトナー調達時の納入条件の追加などの工夫

により、問題点が解決される場合もあるため、再度、活用の可否について検討すべきである。

②調査の視点 プリンター、コピー機、FA

X、複合機などのトナーを活用する機器(ただし、コピー機等で、トナーキット方式等と言われる保守契約を締結し、保守費用にトナー代金を含んでいるものは除く。)のトナーの購入状況、リサイクルトナーの活用状況等について調査し、トナー購入経費の削減が図れないか検討する。 【調査対象】

33本府省庁 (地方支分部局を含む。)

総 括 調 査 票 (行政経費等に係る府省横断的な調査)

事案名 (52)リサイクルトナーの活用状況 調査対象

予 算 額

【参考】平成23年度(トナーカートリッジ購入実績額):3,806百万円

※ 実績額には、一括契約により分割が困難なものが含まれている。

所管 各府省 組織 - 会計 一般会計

各特別会計

調査区分 本省調査

取りまとめ財務局 -

機器数 構成比

リサイクルトナーを活用している機器 25,241台 44.8%

リサイクルトナーを活用していない機器 31,093台 55.2%

うち 検討はした 22,889台 40.6%

うち 検討していない 8,204台 14.6%

56,334台 100.0%

(表1) リサイクルトナーの活用状況

合 計

区  分

機器数 購入数 購入額 単価 金額 率

(台) (本) (百万円) (円) (円) (円) (%) (百万円)

機器A 1,342 4,421 76 17,289 36,926 ▲19,637 ▲53.2 ▲87

機器B 4,276 24,089 67 2,772 37,810 ▲35,038 ▲92.7 ▲844

機器C 542 2,733 56 20,446 38,431 ▲17,985 ▲46.8 ▲49

機器D 1,678 18,614 53 2,824 17,567 ▲14,743 ▲83.9 ▲274

機器E 897 3,436 30 8,814 24,613 ▲15,799 ▲64.2 ▲54

合計 8,735 53,293 282 ▲1,309

経費

削減額

(表2) リサイクルトナーの活用実績(上位5機器)

区分

リサイクルトナー実績 純正

トナー

単価

単価差

― 113 ―