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構造化学
第8回 6月29日
河野淳也
対称要素と点群
1
前回までの復習
入射X線
散乱X線電子密度
位相差 Krie 2
構造因子 F
位相差を考慮して電子密度を足し合わせたもの
単位胞dVeF i Kr
rK 2
単位胞dVeF lzkyhxi
hkl
2r
構造因子⇔電子密度フーリエ級数
h k l
lzkyhxi
hkleFV
21r
hkli
hklhkl eFF
位相問題実験では散乱因子の位相は求まらない
2
本日の目標
対称要素と点群について理解しよう
内容○結晶格子○対称要素○点群
3
単位胞 (Unit Cell)
結晶の持つ3次元周期構造の周期単位
4
単位胞 (Unit Cell)
単位胞のとり方は一意ではない
5
結晶とは
結晶 = 格子 (lattice) 原子の集まり (basis)+
= +
結晶 格子
14種(後半)
6
結晶とは
結晶 = 格子 (lattice) 原子の集まり (basis)+
= +
結晶 格子
14種(後半)
6
結晶と対称性
結晶:対称性により分類することができる
X線の回折パターンは、結晶の対称性と対応している→まず、結晶の対称性について理解しよう
対称要素:8種類単位胞の対称性:32種類結晶の対称性:230種類
7
対称性とは
物体にある操作をほどこした結果、元の物体と同じ状態になるとき、この操作を
対称操作(symmetry operation)
という。
対称操作で不変の図形を
対称要素(symmetry element)
という。
8
対称性とは
物体にある操作をほどこした結果、元の物体と同じ状態になるとき、この操作を
対称操作(symmetry operation)
という。
対称操作で不変の図形を
対称要素(symmetry element)
という。
8
対称操作の例
4回回転操作
4回回転軸
軸の周りの1回転で4回もとの状態になる
9
対称操作
並進を伴うもの
回転(rotation)、回反(inversion-rotation)、反転(inversion)、鏡映(mirror)
並進(translation)、らせん(screw)、映進(glide)
並進を伴わないもの
10
対称要素
並進を伴わないもの
並進を伴うもの
p回回転軸、 p回回反軸、対称心、鏡面
並進、 p回らせん軸、映進面
11
p回回転軸
2回 3回
4回
1回(恒等変換)
5回 6回
軸の周りのp
360回転
重要 12
p回回転軸
2回 3回
4回
1回(恒等変換)
5回 6回
軸の周りのp
360回転
重要 12
対称心
ii
重要 13
対称心
ii
重要 13
鏡面
m
m
重要 14
鏡面
m
m
重要 14
p回回反軸
回反:回転+反転
2回回反 4回回反
1回回反=対称心 2回回反=鏡面
重要 15
p回回反軸
回反:回転+反転
2回回反 4回回反
1回回反=対称心 2回回反=鏡面
重要 15
対称性の表記法 16
対称性の表記法 17
対称性の表記法
ステレオ投影図
18
対称性の表記法
ステレオ投影図
18
p回回転軸
1回(恒等変換) 2回 3回
4回 6回
重要 19
p回回転軸
1回(恒等変換) 2回 3回
4回 6回
重要 19
p回回転軸
1 2 3
4 6
重要 20
対称心、鏡面
対称心 鏡面
i m
重要 21
対称心、鏡面
対称心 鏡面
i m
重要 21
p回回反軸
i1 m2 i 33
4 m 36
重要 22
p回回反軸
i1 m2 i 33
4 m 36
重要 22
独立な対称要素(並進を伴わないもの)
i1 m2 4
1 2 3 4
6
23
対称要素の組み合わせ
m22
222
24
対称要素の組み合わせ
m 90mm
60mm
25
対称要素の組み合わせ
m mm
90,60,30 という特別な角度のとき
はじめの位置に戻る
特別な組み合わせ→点群
26
対称要素の組み合わせ
ab
dc
1m
2m
ab
dcA
ba
cdB
dc
abC
cd
baD2
A B
C D
2
2
1m
2m
1m
2m
27
対称要素の組み合わせ
A B
C D
2
2 21
21
2
2
mm
mm
1m
2m
1m
2m
1 2 m1 m2
1 1 2 m1 m2
2 2 1 m2 m1
m1 m1 m2 1 2
m2 m2 m1 2 1
はじめの操作
後の操作
点群
C2v
2mm
重要 28
対称要素の組み合わせ
A B
C D
2
2 21
21
2
2
mm
mm
1m
2m
1m
2m
1 2 m1 m2
1 1 2 m1 m2
2 2 1 m2 m1
m1 m1 m2 1 2
m2 m2 m1 2 1
はじめの操作
後の操作
点群
C2v
2mm
重要 28
点群 (point group)
点のまわりの対称要素が作る群
(並進を伴わない)
29
点群の記法
ヘルマン-モーガンの記法(Hermann-Mauguin symbol)
C2v
2mmシェーンフリースの記法(Schönflies symbol)
30
ヘルマン-モーガンの記法
(1) pの値が最大の回転、回反軸を主軸とする
(2) 主軸に垂直な鏡面を/mとする
(3) 主軸を含む鏡面をmとする
(4) 対称性が高い(対称要素が多い)ときには簡略記号を使う
2mm
31
ヘルマン-モーガンの記法
(1) pの値が最大の回転、回反軸を主軸とする
(2) 主軸に垂直な鏡面を/mとする
(3) 主軸を含む鏡面をmとする
(4) 対称性が高い(対称要素が多い)ときには簡略記号を使う
2mm
31
シェーンフリースの記法(1)
Ci対称心
Cs鏡面
Cpp回回転軸
Spp回回反軸
Cpvp回回転軸とそれを含む鏡面
Cphp回回転軸とそれに垂直な鏡面
C2v
32
シェーンフリースの記法(1)
Ci対称心
Cs鏡面
Cpp回回転軸
Spp回回反軸
Cpvp回回転軸とそれを含む鏡面
Cphp回回転軸とそれに垂直な鏡面
C2v
32
シェーンフリースの記法(2)
Dpp回回転軸とそれに直交するp本の2回回転軸
DphDpとp回軸に直交する鏡面
DpdDpとp回軸を含むp枚の鏡面
T (立方体)4本のC3、4本のC3’、3本のC2
TdTと6枚の鏡面、6本のS4、8本のC3
O (正8面体)8本のC3、6本のC2、3本のC2’、6本のC4
OhOと対称心
33
シェーンフリースの記法(2)
Dpp回回転軸とそれに直交するp本の2回回転軸
DphDpとp回軸に直交する鏡面
DpdDpとp回軸を含むp枚の鏡面
T (立方体)4本のC3、4本のC3’、3本のC2
TdTと6枚の鏡面、6本のS4、8本のC3
O (正8面体)8本のC3、6本のC2、3本のC2’、6本のC4
OhOと対称心
33
点群並進と両立する点群は32種類ある。
S
C1
Ci
C2
Cs
C2h
D2
C2v
D2k
C4
S4
C4h
D4
C4v
D2d
D4h
C3
C3i
D3
C3v
D3d
C6
C3h
C6h
D6
D6h
C6v
D3h
T
Th
O
Td
Oh
1
1
2
m
m2
222
2mm
mmm
4
4
m4
422
mm4
m24
mmm4
3
3
32
m3
m3
6
622
6
m6
mm6
m26
mmm6
23
3m
432
m34
mm3
HM SHM SHM SHM
重要 34
結晶点群
222
1
2
m
m/2
2
m
m/2
2mm
mmm m/4
4
1 4 3
3
32
m3
m3
6
6
m/6
622
mm6
m26
mmm/6
23
3m
432
m34
mm3
単斜晶系
三斜晶系 斜方晶系 正方晶系 三方晶系 六方晶系 立方晶系
422
mm4
m24
mmm/4
まとめ
次回は
晶系とBravais格子について述べます。
○対称要素p回回転軸、p回回反軸、対称心、鏡面
○特定の対称要素の組み合わせが群をなす○結晶に表れる点群は32種類
35
「群」について
数学的詳細に立ち入らないため、「群」という言葉だけ登場しました。群の定義を確認しましょう。
群 (group)
元素(element)の集合で、任意の元素A、Bに対して積(product)
ABが定義されている。さらに下の条件が満たされている。(1) 任意の2元素の積AB、すべての元素の2乗AAもこの集合の一員である。(2) 集合のすべての元素に対して
AE = EA = A
を満足する元素Eが集合の中に存在する。Eを単位元 (unit element)という。(3) 結合法則が成立する。
A(BC) = (AB)C
(4) 各元素Aに対して下式を満たす逆元 (inverse element) A-1が必ずひとつ存在する。
A-1A = E
-i
-1
i
1
-i-1i1
という集合が複素数の積に対して群を作ることを確認しましょう。
ii ,1,,1G
(1)空欄を埋めてください。 (2)単位元は何ですか
1
(2)各元素の逆元は何ですか
1-1 =
i-1 =
-1-1 =
-i-1 =