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建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 社団法人日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構 鋼材品質証明検討委員会

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建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン

社 団 法 人 日 本 鋼 構 造 協 会 建 築 鉄 骨 品 質 管 理 機 構

鋼材品質証明検討委員会

Shigeru
テキストボックス
(案)
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ガイドラインの発行にあたって

国土交通省国土技術政策総合研究所 建築研究部長 西山功

近年、建材を巡って、防火戸の防火試験の不正受験問題や、違法な骨材が混入されたレ

ディミクストコンクリートの問題、エレベーターの支持用鋼材で仕様と異なる鋼材が使用

された問題など、建築物の安全性に直接関係する極めて残念なできごとが引き続いて起こ

りました。建物は、使用される建材が一定の品質を有していることを前提に設計されてお

り、建築後に建材の品質に問題が判明した場合の被害は極めて大きなものとなります。特

に、問題を生じた建材の流通ルートが特定できない場合には、多くの建物の安全性等に疑

義が生じ、その疑義を解消することが極めて困難な作業となります。 建築工事の施工者が、工事において設計仕様どおりの建材を調達することや、建材の生

産、流通、加工業者が、施工者等の注文者・購入者に対し注文通りの建材を納品すること

は、言うまでもなく当然のことではありますが、関係者においては、その建材が人々の生

命等に直接影響するものであることや、万一にでも不適当な建材が使用された場合の被害

の大きさ等について十分認識しつつ、緊張感を持って業務に当る必要があります。この際、

建材を調達する者においては、建材供給者に対し明確な仕様の指示を行うとともに、建材

供給者においては、注文に応じ納品する建材が要求された仕様に適合したものであること

を、客観的に説明できるようにしておくことが重要となります。施工者がすべての受入建

材について試験等を行い、仕様適合の確認をしなければならないとすることは過度の負担

であり、そのコストを建築主に転嫁することも容認されません。建材の重要性に鑑みれば、

建材の供給側が、納品物の仕様適合を証明できるようになっている必要があり、調達側も、

証明できる業者から調達するという基本的な業務慣行を徹底する必要があります。 本ガイドラインは、建築物の構造用等に使用される鋼材について、メーカー、流通業者、

加工業者等を経て建築現場に供給されるまでのプロセスがトレースできるように使用鋼材

を明確化したリストを作成すること等が規定され、鋼材等の品質管理上、基本的で極めて

重要な内容となっており、鉄骨工事の関係者全てにとって、このガイドラインが有効に活

用されることの意義は極めて高いものと考えます。

なお、建築基準法においては、工事監理者は、建築物の施工が設計図書どおりに行われ

ているかどうかについて、現場で確認する他、施工者の報告やその根拠書類等を基に監理

する責任を負っており、さらに、地方公共団体の建築主事等は、施工が建築基準法に適合

しているかどうかについて、現場における確認の他、施工者や工事監理者の報告やその根

拠資料によって検査する責任を負っています。これらの工事監理や検査の運用においても、

本ガイドラインに基づき作成される報告書等は活用できるものであり、今後それらの実施

に係る指針等においても本ガイドラインを位置づけていくことを予定しています。 本ガイドラインのとりまとめの具体的な作業にあたられた学識経験者、業界関係者の皆

様のご努力に深く敬意を表するとともに、本ガイドラインが普及することにより、建築物

の主要な構造材である鋼材が、生産、流通、加工、建築現場における受入れ等の各段階に

おいて、品質等の情報が確実に継承されつつ適正に使用されるようになり、関係業界に対

する信頼がさらに高められていくことを期待いたします。

2009/09/25

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推 薦 の こ と ば

日本建築行政会議構造部会

部会長 望月国宏

建築材料の品質については、建築基準法第37条により JIS 規格や JAS 規格に適合する

もの若しくは大臣認定を受けたものであることが求められています。このうち、鋼材等は

コンクリートと並んで建築工事に用いられる最も基本的な材料であり、JIS 規格に適合する

ものについては、JIS マーク表示制度により品質の証明を簡便かつ合理的に行うことが可能

となっています。

しかしながら、建築業界においては、鋼材等を切断し組立加工した鉄骨部材としての段

階で品質確認をすることとなり、JIS マーク表示がされている原材としての鋼材等を直接管

理できないという事情があります。JIS 法上の証明として正式に位置づけられてはいないも

のの、従来から建築業界において鋼材等の品質確認に、機械的性質や成分分析結果が表示

された裏書ミルシートが広く用いられてきたことは、この事情と無関係ではありません。

平成19年 6 月に施行された改正建築基準法では、申請者をはじめ建築関係者に対する

法規制の厳格化が行われましたが、建築主事等が確認審査や検査等に用いる「確認審査等

に関する指針」が史上初めて法制化されました。これらの改正により、より具体化かつ強

化された構造関係その他の基準による設計・監理、施工管理、審査・検査等によって安全

の確保が確実に実行されることが求められております。

日本建築行政会議の構造部会におきましても、従来から建築確認審査や検査を通して、

建築材料の品質をはじめ建築物の品質確保を実現するべく努めてまいりました。

本ガイドラインは、建築業界の事情を考慮した上で、裏書ミルシートにかわる有効な品

質確認と記録方法が示されております。本ガイドラインの普及により、自工程責任の体制

に基づく鋼材等の品質確保が実現されることを期待しております。

なお、日本建築行政会議構造部会では、建築構造審査・検査要領の改訂版を本年9月出版

を目途に現在作業中であり、本ガイドラインの内容を反映させていきたいと考えておりま

す。

2009/09/25

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推 薦 の こ と ば

㈳日本建築構造技術者協会 会長 木原 碩美

1992 年 3 月、当時の建設省に設けられた建築技術審査委員会の鉄骨造建築物品質適正化

問題専門委員会の答申を受けて、㈳日本鋼構造協会(JSSC)では建築鉄骨品質管理機構を

発足させ、建築鋼材管理技術者専門委員会において 1999 年 11 月に建築構造用鋼材の品質

証明の方法の提案として「建築構造用鋼材の新しい品質証明方式」を取りまとめ発行され

ました。 これは建築工事における鋼材の管理方式の確立を目指すものであり、新たに使用鋼材を

証明する書式を設定し、建築鉄骨品質管理機構として普及を目指しましたが、現場での適

用は充分とは言えませんでした。 その後、2007 年 6 月の建築基準法改正と共に、設計のみならず工事監理においても品質

確保の要求は厳しくなり、なかでも建築鉄骨の使用鋼材の品質証明について、その実施と

普及をより厳正に求められるようになりました。 このような状況下、JSSC 建築鉄骨品質管理機構では 2008 年 4 月に再度、鋼材品質証明

検討委員会を発足させ、新に作成に取りかかりました。委員会は建築鉄骨関係団体の代表、

建設業協会の代表、学識経験者、行政担当者に、設計者、監理者としての立場の三団体か

らも参画し、各方面からの意見を抽出して、より今日の状況に適応した内容のガイドライ

ンを目指しました。本ガイドラインは建築主要構造材から溶接材料、高力ボルトまで、規

格や形状等の必要事項を漏らさず盛り込まれております。また報告者は証明者としての責

任範囲をより明確にして合理的に鋼材の品質証明が実施できるようになりました。 鉄骨工事に関わる関係者全てが、このガイドラインを活用されることを設計者、監理者

の一員として期待します。

2009/09/25

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ガイドラインの活用に向けて

建築業協会施工部会鉄骨分科会主査

犬伏 昭

鉄骨工事は、工場で鉄骨製品を製作する鉄骨製作と製作された鉄骨製品を工事現場で組

立て・接合する工事現場施工に分けることができる。一般的に施主から建築工事全体を請

け負った施工者自身が鉄骨製作を行うことはなく、施工者は鉄骨製作業者を選定し鉄骨製

作を発注している。このように鉄骨工事においては、施主と施工者、施工者と鉄骨製作業

者という2段階の契約関係があり、施工者は建築工事の元請けとして鉄骨製品の品質につ

いても責任を有することになる。 鉄骨製品の品質には使用材料も含まれる。建築鉄骨の構造体に使用される材料は、建築

基準法において JIS 適合であることが規定されさらに設計図書で具体的種類が指定されて

いる。そして設計図書に基づき鉄骨製作業者が発注した材料は製造メーカーから鉄骨製作

業者の工場(以下、鉄骨製作工場という)へ、直接あるいは切断などの中間加工を行う業

者を経て納入され鉄骨製作工場で鉄骨製品となる。 この流れの中のうち、鉄骨製作工場での組立て・溶接工程以前、特に中間加工業者での

切断などの工程において使用材料が正しく流通していることを証明する方法は明確になっ

ていないのが現状である。 施工者は、建築工事の元請けとして鉄骨工事を含む全ての建築工事について責任を有す

るが、かといって鉄骨製作業者や中間加工業者の行う行為に対し全て自ら確認や試験など

を行うという証明方法では施工者および関係者に新たな費用負担が生じることになる。 一般的には鉄骨製品の材料が規格に適合していることは、規格品証明書(ミルシート)

の原本あるいは原品相当規格品証明書(裏書きミルシート)によって確認しているが、本

ガイドラインでは使用材料をリスト化しさらに当該材料の製品番号等を記録に残すことで、

これまでの単なるミルシート確認という方法より確かさの程度を上げた証明方式である。 本ガイドラインは、鋼材類の流通や各工程段階での自主管理を明確に打ち出したものと

考えることができ、これまでの単にミルシートを受け取ることで行っていた材料確認から

一歩進んだ方法である。施工者として本ガイドラインを活用すること、つまり材料管理の

分野でも「鉄骨の品質は関連する全ての工程で作りこむ」という自工程責任による自主管

理を尊重することにより、過度の費用が発生することなく合理的な材料管理を行う事がで

きるので、是非、活用を望みたい。 なお、施工者側の書類確認は原則として日本鋼構造協会で認定している「鉄骨工事管理

責任者」が行うとしている。本資格を有していない施工者の技術者は本ガイドライン発行

を契機として資格を取得していただきたい。

2009/09/25

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は じ め に

建築鉄骨の柱、梁、ブレース等の主要な構造部材及びそれらの接合部に使用された鋼材、

溶接材料、高力ボルト等が設計図書で指定された鋼材の規格、種類、形状寸法、溶接材料

及び高力ボルトの規格、種別等に合致していることを証明できる体制を確立することは鉄

骨工事監理の基本事項であります。 ㈳日本鋼構造協会・建築鉄骨品質管理機構では建築鋼材管理技術者専門委員会において

鋼材の管理方式の確立について検討を進め、1999 年 11 月に「建築構造用鋼材の新しい品

質証明方式」を取り纏めました。そこでは、証明者としては、鉄骨製作側は鉄骨製作管理

技術者、施工側は鉄骨工事管理責任者が担当することとなりました。しかし、この鋼材品

質証明方式の実際の工事への適用・普及は遅れておりました。 建築基準法が 2007 年 6 月に改正されて法令遵守の観点から建築確認・検査の厳格化が求

められ、鉄骨工事監理において、鋼材等の品質の証明を合理的に実施することが急務とな

っています。 ㈳日本鋼構造協会・建築鉄骨品質管理機構では 2008 年 3 月に鋼材品質証明検討委員会を

改めて設置し、建築鉄骨に係わる全ての関係者が合意し、実行できる鋼材等の品質の証明

方法を検討し、この度そのガイドラインを作成いたしました。この「建築構造用鋼材の品

質証明ガイドライン」が実際の鉄骨工事監・管理に活用され、建築鉄骨の品質管理体制及

び品質保証体制がさらに整備、確立されることを期待いたします。

㈳日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構 鋼材品質証明検討委員会

委員長 森田 耕次

2009/09/25

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役 職 氏  名 所 属・役 職 所 属 団 体

委員長 森 田 耕 次 千葉大学名誉教授

委 員 深 井 敦 夫 国土交通省住宅局 建築指導課企画専門官 国土交通省

〃 高 見 真 二国土交通省 国土技術政策総合研究所 建築研究部 基準認証システム研究室室長

国土交通省

〃 望 月 国 宏東京都都市整備局 市街地建築部建築指導課専門副参事

日本建築行政会議

〃 春 原 匡 利㈶東京都 防災・建築まちづくりセンター/㈱東京建築検査機構

日本建築行政会議

〃 藤 澤 一 善JFEスチール㈱建材センター 建材技術部部長

㈳日本鉄鋼連盟

〃 伊 藤   優 ㈱日本設計執行役員 構造設計群長 ㈳日本建築構造技術者協会

〃 福 田 陽 一㈶日本建築設備・昇降機センター構造計算適合性判定員

㈳日本建築士会連合会

〃 伊 藤 修 二 ㈱伊藤構造技術研究所 常勤顧問 ㈳日本建築士事務所協会連合会

〃 臼 井 美 文 ㈱富士鉄鋼センター取締役 全国厚板シヤリング工業組合

〃 酒 匂 雅 信 京浜産業株式会社 代表取締役社長 全国厚板シヤリング工業組合

〃 武 田   英 共英製鋼㈱執行役員 生産企画部長 普通鋼電炉工業会

〃 出 店 文 雄 出店鉄鋼㈱専務取締役 全国鉄鋼販売業連合会

〃 星 野 義 春 全国鉄鋼販売業連合会常務理事 全国鉄鋼販売業連合会

〃 護   雅 典 ㈱竹中工務店東京本店技術部課長 技術担当 ㈳建築業協会

〃 濱 野 公 男 ㈳鉄骨建設業協会事務局次長兼技術部長 ㈳鉄骨建設業協会

〃 伊 藤   清 ㈳全国鐵構工業協会理事 技術部長 ㈳全国鐵構工業協会

〃 計 良 光一郎 ㈳日本鋼構造協会常務理事 事務局長 ㈳日本鋼構造協会

オブザーバー

志 村 保 美新日本製鐵㈱建材開発技術部 建築建材技術グループマネジャー

㈳日本鋼構造協会

鋼材品質証明検討委員会 名簿

建築鉄骨品質管理機構

2009/09/25

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目 次

推薦のことば はじめに 鋼材品質証明検討委員会 委員名簿 目 次 1. ガイドライン制定の背景と活用の前提

(1)鋼材の品質問題と行政上の対応 ①鋼材等の流通事情と不具合事件 ②建築基準法・建築士法の改正 ③ガイドラインの制定 (2)本ガイドラインの活用の前提 ①自工程管理に基づく品質確保 ②裏書きミルシートに代わる原品証明書の採用 ③証明コストの負担と発注仕様への明示 2.鋼材等の品質確保のフロー 2.1 書類による品質確認 2.2 現物の品質確認 3.本ガイドラインで使用される書類について 3.1 原品証明書<用紙C> 3.2 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙 B> 3.2.補 原品証明書作成時の対象部位・部材について 3.3 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙 A2> 3.4 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙 A1> 4.鋼材類と報告書の流れ例 5.鉄骨工事使用鋼材等報告書の構成と書式 5.1 鉄骨工事使用鋼材等報告書の構成 5.2 書式 5.2.1 用紙 A1 表紙 5.2.2 用紙 A2 表紙 5.2.3 用紙 B 工区、節毎 5.2.3.補 用紙 B 記載上の注意点

2009/09/25

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5.2.4 用紙 C ケース 1-1、1-2 とも、鉄骨製作業者が証明書を作成する場合 5.2.5 用紙 C ケース 2 中間加工業者が証明書を作成する場合 5.2.6 用紙 C 鋼管の規格品証明書の扱い 6.原品証明書の作成例(ミルシートからの転記方法実例) 6.1 鋼板、形鋼の例 6.2 溶接材料の例 6.3 SAW 溶着金属の品質規定の例 6.4 ソリッドワイヤ:ESW 用ワイヤの例 6.5 フラックス:ESW フラックスの例 6.6 高力ボルト、アンカーボルトの例 7.確認・検査における本ガイドラインの活用について ①規格に適合するものであることの確認 ②事後的な不具合の判明時の対応について 付録 a. 鋼材の確認フロー b. 鋼板の端面塗色例

c. 鋼材のマーキング、ラベル表示例 d. 高力ボルトヘッドマーク一覧表

e. 溶接材料の原品表示例 f. アンカーボルトの表示例 g. 確認写真のイメージ 用語の解説

2009/09/25

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1.ガイドライン制定の背景と活用の前提

(1)鋼材の品質問題と行政上の対応 ①鋼材等の流通事情と不具合事件

製品の品質を簡便に確認できかつ信頼できる品質証明方法としては、JIS 法に基づき、JIS規格適合認証を受けた証しである JIS マークを製品やその包装等に表示する制度があり、

鋼材等の場合は製品にマークを直接印刷する方法やシール等を貼付する方法などが採用さ

れている。しかしながら、JIS マーク表示はメーカーの製造した状態のままの製品におけ

る規格適合の表示を基本としており、建築で使用される鋼材は、原材料を切断し、組立加

工した「鉄骨部材」として建築現場に受入れる段階、又は建築物として施工中、施工後の

段階で品質確認が必要とされることから、鋼材上に JIS マーク表示が残されているケース

は限られ、JIS マーク表示によって直接、品質を確認、管理することはできない(表 参照。)。 このため、建築業界においては、鋼材等の品質を確認するための資料として、鋼材等の

機械的性質や成分分析の試験結果が表示されているメーカーが発行したミルシートを従来

から広く用いてきた。しかしながら、ミルシート原本もメーカーから契約により取引相手

に提供されるものであり、建築施工業者がそれを入手確認するには、流通、加工段階にお

いてコピーが繰り返され、かつ、ミルシートの示す製品と実際の製品の一致を確認するこ

とも困難であることから、いわゆる“天ぷらミルシート”と呼ばれる不正コピーが流通し

ている懸念が指摘されてきた。 平成元年、複数の建築工事において規格に適合しない鋼材等が使用され、二枚割れが生

じるなど鋼材品質上の重大な不具合が連続して発覚し、大きく報道された社会問題が発生

した。この問題を受け、当時の建設省(現国土交通省)は、鉄骨造建築物品質適正化問題

専門委員会を設置し、その報告を受け、特定行政庁(地方公共団体)に対し、報告徴収権

限に基づき提出を求める施工状況報告書等を活用し、鋼材等の品質を鋼材流通の状況に適

切に対応して確認することを求める「鉄骨造建築物等の品質適正化通知(平 4 住指発第 349号)」を発出した。また、同委員会の報告を受け、具体的品質確認の方法として、建築学

会が提案した「裏書きミルシート」を活用することや、本ガイドラインの前身となる「建

築用鋼材の新しい品質証明方式(1999 年版)」が提案された。 裏書きミルシートについては、ミルシートのコピーに流通加工業者が業者名等を裏書き

して順次継承していくもので、天ぷらミルシートの抑止効果が期待され、今日まで大都市

を中心に実務で活用されてきている。しかしながら、規模のある程度大きな工事では、相

当量のミルシート(原本+裏書)が管理され、施工管理・工事監理・建築主事等の検査の各

段階でこれをチェックすることは事実上困難となっており、不正コピーの抑止効果を疑問

視する指摘もされてきた。また、裏書き方式はいずれにしてもミルシートと製品との一致

を確認できるものではなく、流通加工経路がトレースできることに実際上の意味があるこ

とから、ミルシートを管理する負担に対し、より合理的なトレーサビリティの確保方策を

求める声もあがってきている。一方、従前の「建築用鋼材の新しい品質証明方式」は、ミ

ルシートに代わる品質証明書の作成、流通を企図したものであるが、SN 材の利用を前提

として作成されていたことや、建築業界において、より外見上“もっともらしい”ミルシ

ート利用が慣習化してきたことなど、諸々の理由から普及しなかった。

2009/09/25

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Page 11: 建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン - tekkoo.net建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 社団法人日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構

表鉄骨の

製作と鋼材

等の品質

確認(鋼板の

場合)

凡例

◎確

認行

為●

製品

等の

在る

場所

㋩発

注書

㋔納

品書

・送

り状

(㋔1発

行㋔

2受

理保

管)

建築

工事

の施

工鉄

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計・

工事

監理

鉄骨

製作

の流

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ネコ

ン鉄

骨製

作工

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板会

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ーカ

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社・

問屋

+サ

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ン1

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終了

1設

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る設計

説明

◎(建

築確

認)

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等の

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2設

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き施

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◎◎

2工

事監

理成

、製

作要

領書・

製作

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作成

と承

認3

①鋼

板の

発注

①の

1紐

付き

㋩製

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販売

①の

2店

売り

㋩製

造販

売鉄

②鋼

板の

購入

②の

1紐

付き

㋩㋔

2●

●㋔

1●

骨②

の2

店売

り㋩

●●

㋔1

●㋔

2●

工③

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の切

断(開

先加

工も

あり

)●

●●

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鋼板

の組

立・

加工

(仮

組立

)●

●⑤

部材

製作

(溶

接・

ボル

ト締

め)

●●

⑥組

み立

て検

査◎

◎●

●⑦

製品

検査

(社

内検

査)

◎●

⑧製

品検

査(受

入検

査)

◎●

⑨製

品の

運搬

◎●

⑩現

場荷

卸し

◎●

◎⑪

建方

工事

◎●

⑫ボ

ルト

締付

け工

事◎

●⑬

工事

現場

溶接

工事

◎●

⑭検

査◎

●(中

間検

査)

⑮③

以降

の繰

り返

(完

了検

査)

◎確

認行

為1.

設計

説明

工事

施工

者(ゼ

ネコ

ン)は

、設

計図

書・

仕様

書等

の内

容確

認2.

施工

計画

書・

製作

要領

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工事

施工

者(ゼ

ネコ

ン)は

、設

計図

書・

仕様

書等

に基

づき

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計画

書を

作成

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。鉄

骨製

作工

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作成

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要領

書等

、工

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審査

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認す

る。

鉄骨

製作

工場

は、設

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書等

及び

施工

計画

書等

に基

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て製

作要

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等、工

作図

等を

作成

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案す

る。

㋩発

注書

3.

鉄骨

工事

①鋼

板の

発注

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1紐

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:一

般的

には

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物件

単位

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注さ

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もの

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す。

㋔納

品書

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状工

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特定

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名称

を規

格品

証明

書に

記載

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場合

と記

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場合

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る。

(㋔

1発

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管)

①の

2店

売り

:切

板会

社、

問屋

など

市中

流通

関係

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が在

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す。

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板の

購入

②の

1紐

付き

:ゼネ

コン

の鉄

骨工

事の

発注

を受

けた

鉄骨

製作

工場

等が

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を発

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、こ

れを

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ルメ

ーカ

ーが

納品

書・

送り

状等

を鋼

材発

注者

に交

付す

る。

②の

2店

売り

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品書

・送

り状

等は

、最初

の購

入者

(商

社・

問屋

)が

保有

する

。●

製品

等の

在る

場所

3.

鉄骨

工事

②鋼

板の

購入

②の

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付き

:鋼

板の

段階

では

、鉄

骨加

工工

場又

は切

板会

社に

搬入

され

る。

②の

2店

売り

:同

上⑩

現場

荷卸

し工

場で

の製

品検

査の

後、

合格

であ

れば

工事

現場

に搬

入さ

れ、

この

時点

から

ゼネ

コン

が直

接製

品の

管理

を行

う。

2009/09/25

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Page 12: 建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン - tekkoo.net建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 社団法人日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構

②建築基準法・建築士法の改正等

鋼材の品質は、本来、生産、流通、加工の各段階で証明、確認されたものを、最終的に

建築現場において施工業者が検査し受入れるというのが基本であるが、その信頼性を高め

るため、まず、建築士法に基づく工事監理制度により、工事監理者に対し、設計仕様通り

の建材が工事に使われているかどうかを監理することが義務づけられており、さらに建築

基準法に基づき、建築主事等が中間、完了検査において、使用建材の品質の法適合を検査

することが規定されている。前述した、特定行政庁が施工状況報告書の提出を求める報告

聴取権限も建築基準法で規定されており、建築主、工事監理者、施工者等に対し報告を求

めることができることとされている。

工事監理業務については、その充実を図るため、平成 10 年の建築基準法改正に伴い改正

された建築基準法施行規則において、完了検査・中間検査申請書様式が規定され、その第

4 面に、工事監理の状況を建築主が建築主事等に報告する欄が設けられた。さらに、構造

計算書偽装問題を受けた平成 21 年の改正建築士法の施行に合わせ、適正な報酬が請求でき

るよう、同法に基づく工事監理業務の報酬基準の告示が改正されている。 この報酬基準を補うものとして国土交通省から公開されている「工事監理ガイドライン

(案)」においては、工事監理における「確認項目一覧表」が示され、各工事の進行過程に

おける標準的な工事監理項目等が示されている。鉄骨工事に関してみると、「7.鉄骨工事

7.1 材料 1)鉄骨」として「○鋼材(規格・材質・種類・断面寸法・品質証明)、○高力ボ

ルト(規格・種類・寸法・ねじ形状)、、、」というように鋼材等の種類が列記され、それ

らに共通する【具体的な確認方法】として「目視に係る立会い確認・自主検査記録・材料

搬入報告書・材料の認定書・工事写真等に係る書類確認」が示されている。この具体的な

確認を行うためには、実務上は、さらに詳細が必要となり、一般的には、日本建築学会の

「鉄骨工事標準仕様書」その他の仕様書などが参考とされるものと考えられるが、それら

仕様書等においても、鋼材等の品質証明に関する部分については十分なものとはなってい

ないという指摘がなされている。 一方、同じく構造計算書偽装問題を受け、平成 19 年 6 月に施行された改正建築基準法で

は、建築主事等が確認審査や検査等を行う際に従うべき「確認審査等に関する指針」も併

せて告示された。同指針においては、鋼材等、使用建築材料の検査も含め、検査に関する

指針として、検査申請様式の第 4 面その他の書類による検査、目視、簡易な計測機器等に

よる測定などにより、確認申請図書(仕様書を含む。)のとおり施工されたかを確かめる

ことが規定されているが、これについても、使用建材の品質の確認方法等の実務上の詳細

については、建築主事等の判断において模索、運用されている状況にある。 以上のように、近年の種々の制度改正等に対応し、工事監理や建築主事等による検査業

務を的確に実施する必要性の高まりから、鋼材等の品質を確認できる実務的な方法の確立

が早急に求められてきていることが、本ガイドライン検討の背景の一つである。しかしな

がら、それら監理や検査は、あくまでも品質の信頼性を高めるための2次的、3次的な業

務ともいえ、多くの人々の安全に関わる建築用の鋼材等の生産、流通、加工、施工を当事

者として直接行う業界において、自らが使用する鋼材の品質等を証明、確認するという基

本的業務の在り方が、より厳しく問われる社会になってきていることが認識されるべきで

あろう。こうしたさなかにおいても、平成 19 年、エレベーターの支持用鋼材について設計

強度に満たない規格の鋼材が誤用され社会問題化したことは残念と言わざるを得ない。

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③ガイドラインの制定

こうした社会状況を背景として、国交省及び日本建築行政会議等の呼びかけを受け、(社)日本鋼構造協会に、森田耕次千葉大学名誉教授を委員長とし、関係する鋼材メーカー、鋼

材販売業、シャーリング業界、ファブリケーター、建築施工業、設計・監理業等の団体、

日本建築行政会議、国交省等から参加した委員により構成された「鋼材品質証明検討委員

会」が設けられ、2008 年 3 月から、2009 年 9 月まで、新たな建築用鋼材の品質証明方法に

関する検討が行なわれた。本ガイドラインは、その成果をまとめたものであり、ガイドラ

インに従った証明方法は、これまでのミルシート等の方法に代り、より合理的なトレーサ

ビリティの確保と、使用鋼材とその品質の確認が効率的に実施し得る方法としてまとめら

れており、工事監理における鋼材品質の【具体的な確認方法】の実務や、建築主事等の検

査の合理的運用にも活用可能な方法として期待される。

なお、本ガイドラインにおいては、鋼材生産段階における品質の規格適合証明について

は、品質が客観的に証明される JIS マーク若しくは大臣認定を取得していることを前提と

しており、それらが無いものについて、特段の規格適合の証明方法を規定していない。マ

ーク品・大臣認定品以外の製品を流通、加工、使用する場合でも、使用鋼材を明確化する

等の観点において本ガイドラインは有効であるが、それらの規格適合を証明する観点から

は、その製品の個別事情に応じた対応が必要であることに留意されたい(第 7 章参照)。 (2)本ガイドラインの活用の前提

①自工程管理に基づく品質管理

施工者は鉄骨製作に必要な設計図書を設計者から受理して後、鉄骨製作業者へ支給する。

その仕様に基づき鉄骨製作業者が材料を発注する。鉄骨製作業者が製作した鉄骨製品は施

工者の受入検査を経て工事現場へ搬入され、工事現場で組立て・接合され鉄骨が完成する。

そして施工者は建物完成後、施主へ引き渡す。このように鉄骨工事においては、施主と施

工者、施工者と鉄骨製作業者という2段階の契約関係があり、施工者は建築工事の元請け

として鉄骨製品の品質についても責任を有する。 建築基準法で鋼材類はJIS規格適合であることが規定されている。また、鋼材類(鋼板、

形鋼)は初期(製造出荷)段階でJIS規格適合も含む製品の個別識別がなされている。 その鋼材類は、製造メーカーから鉄骨製作工場へ直接、あるいは切断などの中間加工をさ

れて納入される。いずれの場合も初期段階で特定された鋼材類が、工程の各段階で間違い

なく流通しなければならない。 鋼材類の流通過程の各段階で使用されている鋼材類の品質を確認し、その結果を書類に

残し次の工程へ渡すことで結果として流通段階で間違い無く使用されたことが証明できる。 鋼材等の品質確認は「書類確認」と「現物確認」によって行われる。そして「書類確認

」については、「規格品証明書の確認」がポイントとなる。(注1) 鉄骨の品質は関連する全ての工程で作りこむという自工程責任による自主管理を尊重す

ることで過度の費用が発生しないようにする事ができる。本ガイドラインは特に鋼材類の

流通や各工程段階での自主管理を明確に打ち出したものと考えることができる。 施工者は鉄骨製作業者を通して提出される書類の内容を確認することで材料管理の証し

とすることになる。そのため、書類の内容について施主や行政機関に説明ができるように

鉄骨製作業者の材料管理体制・方法や鉄骨製作業者から材料の切断などの発注を受ける中

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間加工業者の管理体制を把握しておくことも重要である。 なお、規格品証明書の記載内容(機械的性質、化学成分)のレベル(例えば、化学成分

値の多少など)や実際に使用された鋼材類から試験片を採取して、機械試験や化学成分分

析を行って記載内容と照合を行うなどは考えていない。但し、当事者間の協議などで化学

成分値を試験する場合、携帯型分析器で分析したり鋼材から試験片を採取して分析する方

法がある。なお携帯型分析器には機械によって分析可能な成分に違いがあったり、シール

ドガスが必要となるなど特徴があるので使用にあたっては注意が必要である。 本ガイドラインでは、流通過程で切断などの工程がある「鋼材類」を主に対象とする。

但し、証明書には溶接材料、高力ボルトなどを含むため呼称は「鋼材等」としている。 (注1)規格品証明書の定義はJASS6による。JASS6では、規格証明書について「JIS、その他の団体など

の公的に認知された規格があり、その報告規定に基づいて製造業者が発行する証明書。もしくは

、国土交通大臣認定品に適合することを証明する書類で、社名・捺印のあるものを言う。」と規

定されている。

②裏書ミルシートに代わる原品証明書の採用

本ガイドラインで提案されている鋼材品質証明の方法は、いわゆるミルシート提出方式

に代わるものである。結果としてミルシートの提示・提出が不要となるものである。一見、

管理レベルが下がったかのように思われるが、実際に切断を行う業者にとっては材料の出

所を明確にし、記録に残すことが求められ、本ガイドラインによって原品証明書を作成・

管理するのは、むしろ厳しい管理方法である。また、作成した書類が最終的に使用材料の

JIS適合証明の証拠となるものであり責任も重くなる。 したがって、原品証明書の採用にあたっては、提出方法、保管方法、保管期間、業務対

価等について事前に工事関係者で文書合意しておくこととする。 また、ミルシートについては提出を義務としないこととしているが、本ガイドラインに

よる証明方法へ移行するまでの間、鋼材の品質確認を“原品証明書による”のか“規格品

証明書原本、裏書きミルシートの提出による”のかについても、事前に工事関係者の合意

により決定しておく。(注 2) (注2)ミルシート提出方式においては、いわゆる紐付き材について、材料と工事名を紐付け管理するた

めに、規格品証明書の需要家名として材料を購入した会社名ではなく、部材を使用する需要家・

工事名称を記載する場合がある。今後、原品証明書方式を基本とすることから、原則として需要

家名は材料購入会社名を記載することとし、材料の取り扱い(他工事への使用など)は購入会社

の自由裁量とする。

③証明コストの負担と発注仕様への明示

本ガイドラインに沿って、鋼材の加工業者等が使用した鋼材について証明書の作成を行

うために必要な作業や記録の保全については、一定のコストが生じることは事実である。

このため、建築の施工者は鉄骨製作業者等に対して、証明書の作成、提出を発注仕様書に

明示する等により契約業務として明確化しその費用を支払う必要があり、鉄骨製作業者は、

その前段の鋼材の流通、加工、生産業者に対して同様の対応をとる必要がある。 こうしたコストは、最終的に建築費の一部となり建築主が負担することになるが、建築

用鋼材の品質は建物利用者の生命等の安全に直結するものであり、かつ、万一鋼材が誤用

されたときの被害の大きさに鑑みれば、建築主においては、使用鋼材等が明らかにされて

いない建築物の受け渡しを受けるべきでなく、コスト削減を名目に省略されてはならない

不可欠な負担であることを理解する必要がある。さらに建築主は、建築主事等による検査

受検の申請者として、使用鋼材等が法令に適合していることに関する書類等を提出する立

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場にもある。 このため、建築主に対する意識啓発について行政も含め建築界全体として取り組む必要

があるとともに、施工者においては、建築主との個別の契約において、本ガイドラインに

沿った報告書等の提出を業務内容とする必要がある。 なお、鋼材を使用したそれぞれの工程で使用鋼材を明らかにする本ガイドラインの方法

は、施工者が施工現場における成分検査により使用鋼材を事後的に特定するなどの他の方

法よりも合理的で、全体としての証明コストが低いことは明らかである。

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2. 鋼材等の品質確保のフロー

2.1 書類による品質確認

書類による品質確認の流れの概略を以下に示す。 (1)各工程(会社)が行った品質確認の結果は原品証明書(用紙 C)にとりまとめ次の工

程(会社)へ提出する。 この原品証明書は鋼材等の規格品証明書原本(ミルシート)を保有し加工を行っ

た工程が作成する。この会社には一般流通業者(問屋)で自社保有材を小量販売す

る会社も含まれる。 原品証明書を取りまとめた工程は、その鋼材等の品質を確認した結果について保

証する責任を負う。但し、規格品証明書の記載内容に関して保証責任は無い。 (2)原品証明書を作成する工程は、原品証明書から規格品証明書原本へ遡れることが可

能な仕組みを構築しなければならない。 (3)鉄骨製作業者は、使用した鋼材等の品質を確認した結果を「鉄骨工事使用鋼材等報

告書」(用紙 B)にまとめ、用紙Cとともに施工者に提出する。(注3) なお鉄骨製作業者の確認は、前工程(会社)の発行した原品証明書を確認する方

法と、自社工程を確認する方法の二つがある。 また、鉄骨製作業者の会社様態によっては、製作を担当する製作工場が行う場合

もある。 (4)施工者は、書類および現物の確認後、その結果を「鉄骨工事使用鋼材等報告書」(用

紙A2 を表紙として、用紙B,Cとともに)として工事監理者に提出する。 (5)工事監理者は、内容を確認し発注者である施主に報告する。その後、施主の代理と

して中間検査・完了検査時に特定行政庁、建築主事ないしは確認検査機関に提出又

は提示する。(用紙A1 を表紙として、用紙 A2、用紙B,Cとともに) 鉄骨工事における鋼材、確認書類の流れ、関連関係者の行為については、付録.a も参照。

(注3)JASS6 では、鉄骨工事の元請けとして施工者(ゼネコン)、鉄骨製作の受注者を鉄骨製作業者(フ

ァブリケータ)としている。本書でも、定義はこれに倣う。

2.2 現物の品質確認

(1)本ガイドラインでは鋼材類の現物での確認方法を原則、塗色識別によることしてい

る。従って SS・SM 材のようなプリントマークの無い SN 鋼材以外にも適用できる。 現物確認の方法としてSN材でのプリントマーク、形鋼類でのラベル確認も有効

であるが、保管期間、取扱い不備で消える、読み難い、剥がれるなどが懸念される。

このような不具合が無く明瞭に識別可能な場合にはSN材でのプリントマーク、形

鋼類でのラベル確認も適用できる。なお、塗色識別、プリントマーク、ラベルの表

示については、原則、日本鋼構造協会規格(JSS Ⅰ 02-2004 鋼材の識別表示標準)

によるものとする。(付録を参照)(注4) (注4) 原品の識別方法として、切断部材に部材番号を記入する場合がある。規格識別の番号記入や多桁数

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の番号記入など要求しようは様々であり、また番号記入ができない小物部材等もあり、部材番号記

入については、事前に記入方法、作業費用等につき文書合意しておくこととする。

3.本ガイドラインで使用される書類について

3.1 原品証明書<用紙C>

(1)規格品証明書原本を保有し最初に作業する工程(会社)は保有する規格品証明書原

本内容をリスト化し、原品証明書を作成・発行する。(注5) 原品証明書の発行タイミングは、工事の節、工区などの単位に纏めて発行するこ

とを基本とし、事前に関係者にて取り決めておくこととする。 これ以降の工程は直前工程の発行した原品証明書から必要項目を転記し、原品証

明書を作成する。 (2)規格品証明書原本、規格品証明書原品のコピー、原品証明書は適切な期間保有する。

保管期間が過ぎた場合は破棄できる。 保管期間が法令で定められた場合、あるいは設計図書の特記のような別規定が有

る場合はそれに従う。改正建設業法において、「営業に関する図書の保存が引渡し後、

10 年」と定められた。これに準拠して保存期間を定める施主、施工者などもあると

考えられるので工事開始前に関係者で保存の方法・期間・管理費用等について文書

合意しておくことが重要である。なお、鉄鋼メーカーにおいては規格品証明書の現

物やデータの保存期間は、各社の判断となっている(今後 JIS 認証制度等において

保存期間を定めることも提案されている)。 なお、通常の商行為で使用する納品書などの扱いについてはここでは関与しない。

一般流通業者(問屋)が自社保有材料を少量販売する場合、規格品証明書原本、

原本相当規格品証明書、原品証明書に対応する鋼材類が全て使用された場合は、保

管期間の間はファイルする必要がある。 また、鉄骨製作業者は、一般流通業者や切板会社への発注の際には、発注先の会

社がトレーサビリティーをとれているところかどうかを留意して選定する必要があ

る。 (3)原品証明書を受け取る工程(会社)は、原品証明書を発行する工程(会社)の発行

に関わる管理が適切に行われているかの確認を適時行う義務がある。 特に、残材(端材)の管理方法(ラベル、ステンシルが残されているか、あるい

は転記されているか。切断報告書にこれらの記載があるか等)に留意する必要があ

る。 なお、その確認の頻度は特に定めないが、ISO 認証の有無などを考慮して当事者

間で協議する。 (4)使用鋼材が発注仕様に適合していることの説明責任(立証責任)は鉄骨製作業者他、

鋼材を調達した者が負う。従って、鉄骨製作業者の材料管理責任者は、原品証明書

から規格品証明書原本へ遡ることが可能かどうかなどを確認しなければならない。

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(5)原品証明書の記載項目は以下の通りとする。 ・日付、当該業者名、責任者名、署名あるいは捺印 ・整理番号 ・部材・部品名あるいは記号:柱・梁(フランジ・ウェブ)、ブレース、アンカーボル

ト、ダイアフラム、溶接材料、高力ボルト、スプライスプレート、リブなど ・規格、種類:JIS 規格、国土交通大臣認定 ・寸法、数量(重量) ・メーカー名:鉄鋼メーカー、中間加工業者 ・証明書番号、製品番号

製品番号:規格品証明書原本において個々の製品を特定できる項目名とする。 スプライスプレート、リブプレート、ガセットプレートについては、記載項目は、

部位・部材、規格、メーカー名のみとする。 (なお、現状ではメーカーによってミルシートの書式や記載内容が微妙に異なってい

るため、記入箇所を統一することが難しい。P.38 で各社のミルシート記載項目と呼称

を掲載しているので参照のこと) なお、納品書、送り状など既に使用している帳票を利用する場合で、上記項目で鋼

板番号等の不足な項目がある場合は別途、同帳票に追記し、原品証明書とすることも

できる。 (記載スペースが無い、価格が表示されているなどで当事者外への提出が難しい場合

は規格品証明書原本をリスト化した原品証明書を作成する)。 (6)原品証明書以外の添付書類は原則不要とする。 添付書類の提出を求める場合は、必ず事前に書類内容、提出方法、対価等につき関

係者の合意により決定しておくこととする。 (注 5)JASS6 では、「原品証明書とは、規格品証明書(原本相当規格品証明書を含む)のついている鋼材の

切断・切削・孔あけなど中間加工を施す業者、あるいは一般流通業者(問屋)が少量販売する鋼材

に付して発行する証明書」と定義しているが、本ガイドラインでは規格品証明書原本を保有する鉄

骨製作業者が作成する証明書も加える。

3.2 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙B>

(1)鉄骨製作業者は、製作の元請けとして原品証明書に基づき「鉄骨工事使用鋼材等報

告書」を作成する。 記載項目は以下の通りとする。 ・日付、鉄骨製作業者名、材料管理責任者名・捺印、鉄骨製作管理技術者登録番号 ・部位・部材:柱・梁(フランジ、ウェブ)、ブレース、アンカーボルト、ダイアフ

ラム、溶接材料、高力ボルト、スプライスプレート、リブなど ・規格、種類:JIS 規格、国土交通大臣認定 ・品種、形状:鋼板、鋼管、切板、H 形鋼・・

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・納入者 :鉄鋼メーカー、中間加工業者 ・規格確認方法:現物・書類確認の方法 ・証明書ページ:原品証明書の検索用

(2)書類構成 表紙、鉄骨工事使用鋼材等証明書、原品証明書 ・添付書類について 原則として添付書類は不要とする。

(3)作成対象とする部位・部材を以下に示す。 下記の部位・部材を対象とする。但し、別途指示がある場合はそれによる。 柱:柱体、仕口内スチフナー、ダイアフラム、フランジ・ウェブ 大梁、小梁:フランジ・ウェブ ブレース、アンカーボルト、スプライスプレート、リブプレートなど

3.2.補 鉄骨工事使用鋼材等証明書作成時の対象部位・部材について

柱:フラン

ジ、ウェブ 鉛直スチフ

ナーを含む

・大梁:フランジ、ウェブ 水平ダイアフラムを含む ・小梁も対象とする。

十字形柱見取図(柱通しタイプ) 十字形柱(柱通しタイプ) 十字形柱(梁通しタイプ)

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・柱:柱体、通しダイアフラ

ム、内ダイアフラムを含む。

・ベースプレート ・アンカーボルト

角形鋼管柱

柱 脚 部

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・高力ボルト ・スプライスプレートも対象とする。 但し、報告内容(用紙B)は、納入者、

規格、確認方法のみとする。

・大梁、ブレース ・ブレース耐力に関係するリブプレー

ト類は、スプライスプレートに倣い報

告内容は、納入者、規格、確認方法の

みとする。

高力ボルト接合部

鉛直ブレース

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3.3 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙 A2>

施工者が工事監理者に提出する際に作成するもの。前記の原品証明書、鉄骨工事使用

鋼材等証明書を確認した上、これらの表紙として用紙 A2 を作成する。 3.4 鉄骨工事使用鋼材等報告書<用紙 A1>

工事監理者が建築主事等に提出する際に作成するもの。前記の原品証明書、鉄骨工事

使用鋼材等証明書、施工者が発行した鉄骨使用鋼材等報告書を確認した上、これらの

表紙として A1 を作成する。

・水平ブレース ・取付け用ガセットプレート等はスプライスプレートに倣い報告

内容は、納入者、規格、確認方法のみとする。

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4.鋼材類と報告書の流れ例

鋼材類と報告書の流れをいくつかのケースに分けて示す。これらは代表的な流通過程のモデル化であ

る。この他にも流通形態があると思われるが、本ガイドラインの主旨を理解して適用することが必要で

ある。 また、流通過程で関与する商社など一部の機能は省略している。 このフローで示している「納品書、送り状」は、加工された製品に関するものを指している。

●中間加工業者は、厚板シャーリング業者(外注・委託シャーリング業者を含む)、ガセットな

ど専門の中間加工業者、BH 業者、B-BOX 業者、コラム業者が該当する。中間加工業者は、鉄

骨製作業者からの発注書に基づいた加工を行い、納品書、送り状を添え、製品を納入する。 なお、コラムについてはケース 4、BH 業者、B-BOX 業者についてはケース 5 に示している。

鉄骨製作業者が、孔明け、切断、溶接等の作業を単に外注した場合は、その元請けたる鉄骨製

作業者の責任の範囲とし書類の作成を行う。

鋼材メー

カー

施工者

商社

鉄骨製作業者

施主・工事監理者

行政機関他

ロール発注 ロール発注

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

用紙

B,C用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C

規格品証明書原本 規格品証明書原本

鋼 材 鉄骨製品

ケース 1:規格品証明書原本は鉄骨製作業者が保有する場合。

ケース 1-1

鉄骨製作業者がロール発注し、鋼材、規格品証明書原本がメーカーから鉄骨製作業者へ送られる場合。

鋼材メー

カー

施工者

商社

鉄骨製作業者

施主・工事監理者

行政機関他

ロール発注 ロール発注

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

用紙

B,C用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C

規格品証明書原本 規格品証明書原本

鋼材類 鉄骨製品

中間加工業者

加工済み鋼材類

納品書、送り状など

ケース 1-2

鉄骨製作業者がロール発注する。鋼材は中間加工業者で切断などの加工をされ鉄骨製作業者へ送られる。規格品

証明書原本は中間加工業者を経由しないで、メーカーから鉄骨製作業者へ送られる場合。

中間加工業者が発行したもの

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●中間加工業者の定義、作業を単に外注した場合の考え方はは、ケース 1-2 と同様である。中

間加工業者間で材料(在庫材)手配を含め切断を委託する場合は、ケース 2-2 に相当する。

ケース 2:規格品証明書原本は問屋または中間加工業者が保有する場合。

ケース 2-1

1 次問屋または中間加工業者は自社保有の材料を使用して鉄骨製作業者からの発注書に基づいた加工を

行い、用紙Cを作成し、提出する。納品書、送り状を添え、加工済鋼材類を納入する。

ケース 2-2

鉄骨製作業者には、1 次の中間加工業者から納入される。1 次の中間加工業者へは 2 次問屋または中間加工

業者から鋼材等が納入される。

鉄骨製作業者と売買を行う 1 次の中間加工業者は鉄骨製作業者からの発注書に基づいた加工を行い、2 次問

屋または中間加工業者の発行した原品証明書、納品書、送り状を基に用紙Cを作成し、納品書、送り状を添

え、加工済鋼材類を納入する。

鋼材メー

カー

施工者

商社

鉄骨製作業者

施主・工事監理者

行政機関他

ロール発注 ロール発注

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書鉄骨工事使用

鋼材等報告書

用紙

B,C用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C

規格品証明書原本 規格品証明書原本

鋼 材 鉄骨製品

問屋または中間加工業者

原品証明書

用紙

加工済み鋼材類

発注・受注関係

施 工 者

商 社

鉄骨製作業者

施 主 ・ 工 事 監 理 者

ロール発注 ロール発注鉄骨工事使用

鋼材等報告書

用紙

B,C 用紙

A1,A2B,C

用紙 A2,B,C

規格品証明書原本 規格品証明書原本

鋼 材 鉄骨製品

原品証明書

用紙

鋼材類

発注・受注関係

中間加工業者

用紙

加工済み鋼材類

鋼材メーカー

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書 行

(

一次)

(

二次)

問屋または中間加工業者

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ケース 3-1 ケース 1 の場合の余材:ケース 1 の方法による。 ケース 3-2 ケース 2 の場合の余材:ケース 2 の方法による。

ケース 3:鉄骨製作業者が手持ちの余材を使用した場合。

施工者

鉄骨製作業者

施主・工事監理者

行政機関他

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

用紙

B,C用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,Cケース1:規格品証明書原本

鋼 材 類鉄骨製品

ケース2:原品証明書

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ケース 4:コラムの場合

ケース 4-1

鉄骨製作業者がコラム(含、テーパー管)メーカーへ発注し、コラム(含、テーパー管)、ミルシート原本

が鉄骨製作業者へ送られる。コラム(含、テーパー管)ミルシート原本には、使用材料に関する情報(使

用鋼板の製品 No.など)が記載されていること。

なお、当ケースには、切断開先加工後の各製品について、対応する母管に関する製品番号及びコラムシー

ト番号に関する情報が、コラムメーカーから鉄骨製作業者に伝達されること。

ケース 4-2

鉄骨製作業者から発注を受けた切断開先加工業者がコラムメーカーにコラムを発注する。コラム、コラム

ミルシート原本が切断開先加工業者へ送られる。

原品証明書は切断開先加工業者が作成する。

コラムミルシート原本には、使用材料に関する情報(使用鋼板の製品 No.など)が記載されていること。

施工者

商 社 鉄

骨製作業者

施 主 ・ 工 事 監 理 者

行政機関他

用紙

B,C用紙 A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C 規格品証明書原本

コラム(含、テーパー管) 鉄骨製品

コラム(含、テーパー管)の規格品証明

コラム(

含、テーパー管)

メーカー

発注発注

切断業者

鋼材メーカー

施工者

社 鉄骨製作業者

施 主 ・ 工 事 監 理 者

行政機関他

発注

用紙

B,C

用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C

コラムの規格品証 明書原本

原品証明書

コラム

鉄骨製品

加工済みコラム

納品書、送り状など

規格品証

明書原本

発注

受発注関係

用紙C

コラムメーカー

鋼材メーカー

問屋または切断開先加工業者

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書 鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

2009/09/25

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ケース 5:BH,B-BOX の場合。

ケース 5-2

鉄骨製作業者がBH等加工業者へBH等を発注し、BH等加工業者が鋼材を切断業者へ発注する場合。

鋼材、規格品証明書原本は切断業者へ送られる。

切断業者が原品証明書を作成し、BH等加工業者へ提出する。BH等加工業者は内容を確認し、場合によって

は注釈を追記して鉄骨製作業者へ提出しても可とする。使用した溶接材料の原品証明書はBH等加工業者が作

成する。

ケース 5-1

鉄骨製作業者から発注を受けたBH、B-BOX(以下、BH 等)加工業者が鋼材の発注、BH等加工を行う場合。

鋼材、規格品証明書原本はBH等加工業者へ送られる。

原品証明書はBH等加工業者が作成する。使用した溶接材料の証明書リストはBH等加工業者が作成する。

商社 施

工者

BH等加工業者

鉄骨製作業者

施主・工事監理者

行政機関他

発注

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用

鋼材等報告書

鉄骨工事使用 鋼材等報告書

用紙

B,C用紙

A1,A2

B,C

用紙

A2,B,C

規格品証明書原本

鋼材鉄骨製品

発注

BH

B-BOX

原品証明書

用紙

受発注関係

ー 商社 施

工者

BH等加工業者

鉄骨製作業者

施 主 ・ 工 事 監 理 者

行政機関他

発注 発注鉄骨工事使用鋼材等報告書

鉄骨工事使用鋼材等報告書

鉄骨工事使用 鋼材等報告書

用紙B,C

用紙A1,A2B,C

用紙 A2,B,C

規格品証明書原本

鋼材鉄骨製品

発注 原品証明書

用紙C

受発注関係

切断済み鋼板

鋼 材 メ

ー BH

B-BOX

原品証明書

用紙 C

2009/09/25

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5.鉄骨工事使用鋼材等報告書の構成と書式

5.1 鉄骨工事使用鋼材等報告書の構成

報告書は、以下のとおり用紙 A1,A2,B,C で構成する。

原品証明書

報告書の表紙

報告書の表紙 ・工事監理者が建築主事等へ提出する。

(用紙A1,A2,B,C) 工事監理者は、提出前に発注者であ

る施主へ報告しなければならない。

・鉄骨製作業者が施工者へ提出する。 ・施工者が検査時に確認を行う。 ・工事監理者は検査に立会っている場合は

確認を行う。 (用紙 B,C)

用紙 A1

・鉄骨製作業者の受入れ時写真(*) ・施工者検査時の写真(*) ・その他、管理帳票類

用紙 C

節、工区毎の報告書

用紙 B

行政等の中間検査、完了検査時

施工者の行う中間検査、受入検査時

用紙 A2

・施工者が工事監理者へ提出する。 (用紙A2,B,C) ・工事監理者が施工者検査に立会った場合

の本紙の扱いは協議による。

施工者が検査の報告を行う時

ミルシート原本を持つところが作成する。

上記の補強資料

(*)参考 ・『工事写真の撮り方(建築編改訂 2 版)』

平成10年 建設大臣官房官庁営繕部

監修 財団法人地域開発研究所 発行 ・本冊子付録g(p.55)

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5.2 書式

5.2.1 用紙 A1 表紙

鉄骨工事使用鋼材等報告書

建築主事殿 指定確認検査機関殿

2009 年○月△日

代表となる工事監理者 所属: 鋼構造監理㈱ 氏名: ■● 一雄 (印)

工事名: ○○ビル新築工事 確認年月 :2009年△月 確認番号:1111111 計画変更申請 :

本工事に使用した鋼材等は別紙(B,C)の通りであることを報告いたします。

用紙A1表紙

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5.2.2 用紙 A2 表紙

鉄骨工事使用鋼材等報告書

●●設計 ■● 一雄殿

2009 年○月△日

㈱TK建設会社 ○○工事作業所 現場代理人 (印)

工事名: ○○ビル新築工事

本工事に使用した鋼材等は別紙(B,C)の通りであることを報告いたします。

用紙A2表紙

2009/09/25

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5.2.3 用紙B:鉄骨工事使用鋼材等報告書

鉄骨工事使用鋼材等報告書

㈱TK建設会社 ○○工事作業所殿

報告日:2009 年○月△日

○×鉄工㈱

材料管理責任者:鈴木 一雄 (印)

資格:

工事名: ○○ビル新築工事 ○工区×節

確認欄 工事監理者 工事施工者

担当者 現場代理人 担当者 日付、名前 日付、名前 資格

確認方法 部位・部材 規格、種類 品種、形状 納入者

現物 書類 証明書ペ

ージ

柱/ダイアフ

ラム JIS G3136 SN490C

鋼板 JFE<②-1> 1,2 6,7 1~5

柱/柱体 大臣認定 BCP325B

角形鋼管 セイケイ <②-2>

1,2 6,8 6,7

梁/フランジ JIS G3136 SN490B

切板 富士鉄鋼セン

ター<②-3>

3 6,8 1

梁 / フ ラ ン

ジ・ウェブ JIS G3106 SM490A

ビルトH カワモト <②-4>

1,3 6,7 1

ブレース JIS G3106 SM490A

H形鋼 新日鉄 1、3 6,8 8

アンカーボル

ト JSS Ⅱ13 SNR490

棒鋼 フルサト工業 (AF13012)<②-5>

1 6,8 1

確認方法 溶接材料 規格、種別 銘柄 メーカー名

現物 書類 証明書ペ

ージ

ソリッドワイ

ヤ JIS Z3312 YGW11

MG-1 神戸製鋼所 5 6,8 1

被覆アーク溶

接棒 JIS Z3211 D5016

L-52

日鐵住金 5 6 2 確認方法

現物=1:ラベル、ステンシル 2:プリントマーク 3:端面塗色 4:製品マーク(高力ボルト)5:包装、箱(ペールパッ

ク、被覆棒・高力ボルトの箱)

書類=6:納品書など 7:原品証明、もしくは 8:ミルシート原本(7,8 はいずれかで可)

書ききれない場合

は次のページ

用紙B 工区、節毎

鉄骨製作管理技術者など<①>

現物:納品時に確認する。

書類:納品時あるいは後日確認する

・上記の記載内容に不備が無いこと

を、用紙 B,C で確認する。

・対物での確認内容は、議事録に記載

する。 工事監理者が検査に

立ち合いをした場合。

後日提出の場合は、用

紙A2と一緒に提出す

る。但し、A2 が不要

であれば本紙でも可

とする。

切板会社名

スプライスプレート、

リブプレートは次ペ

ージの要領による

鉄骨工事管理責任者など<④>

メーカーへロール発注の場合は、メーカー名

規格には JSSC 規格、納入者欄には、認定工場番号も記入。

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確認方法 部位・部材 規格、種類 品種、形状 納入者

現物 書類 証明書ペ

ージ

柱/ダイアフラム JIS G3136 SN490C

鋼板 JFE 1,2 6,8 1~5

柱/柱体 JIS G3136 SN490B

切板 鋼板加工 3 6,7 6,7

柱/柱体 大臣認定

BCP325B

角形鋼管 セイケイ 1,2 6,8 6,7

梁/フランジ JIS G3136 SN490B

切板 富士鉄鋼センタ

3 6,7 1

梁/フランジ・ウ

ェブ JIS G3106 SM490A

ビルトH カワモト 1,3 6、7,8 1

ブレース JIS G3106 SM490A

H形鋼 新日鉄 1 6,8 8

アンカーボルト JIS G3138

SNR490

棒鋼 ○△□工業

<②-5>

1 6、8 1

スプライスプレー

ト等 JIS G3136

SN490B

切板 渋井鋼材 3 6,7 ―――

リブプレート等 JIS G3106

SM490A

切板 岩上鋼材 3 6 ―――

確認方法 溶接材料 規格、種別 銘柄 メーカー名

現物 書類

証明書ペ

ージ

ソリッドワイヤ JIS Z3312

YGW11

MG-1 神戸製鋼所 5 6,8 1

被覆アーク溶接棒 JIS Z3211 D5016

L-52

日鐵住金 5 6、8 2

確認方法 高力ボルト 規格、種別 銘柄 メーカー名

現物 書類 証明書ペ

ージ トルシア形 大臣認定 高力 TC ボル

NS ボルテン

<②-6>4、5 6,8

トルシア形 大臣認定 ST ボルト 日亜鋼業 4、5 6,8

六角高力 JIS B1186 F10T 神鋼ボルト 4、5 6,8

用紙B 工区、節毎の 2 ページ以降

確認方法

現物=1:ラベル、ステンシル 2:プリントマーク 3:端面塗色 4:製品マーク(高力ボルト)5:包装、箱(ペールパック、

被覆棒・高力ボルトの箱)、荷札

書類=6:納品書など 7:原品証明または 8:ミルシート原本(7,8 はいずれかで可)

ハイベース、ベースパックなどで施工者が手配、支給するも

のは施工者が別途報告書を提出する。

用紙 C の

作成は不

要とする

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5.2.3.補 用紙B記載上の注意点

①報告者の資格

鉄骨製作工場認定制度では、「材料管理責任者」を特定することになっているのでその

名前を記載、捺印する。もし特定していない場合は、製作工場責任者とする。 また上記の者は、原則として『鉄骨製作管理技術者』資格を有する者とする。工場認

定制度では必ずしも鉄骨製作管理技術者であることを定めていないが、取得が望まし

い。

②納入者

②-1:鋼材メーカーへロール発注した場合を示す。商取引上の商社などは不要である。 ②-2:国土交通大臣認定のコラムについて。鉄骨製作業者へ納入する会社名とする。 ②-3:切板会社へ発注した場合を示す。 ②-4:BHメーカーへ発注した場合を示す。B-BOXメーカーの場合も同様である。 ②-5:アンカーボルトについて

日本鋼構造協会規格を使用する場合は、協会規格(JSSⅡ13 もしくは JSSⅡ14)を記す。それ以外の場合は材料の JIS 番号を記す。納入者欄には、メーカー名を

記入する(なお日本鋼構造協会では、アンカーボルト製作工場の認定も行ってい

る。認定工場には、分かる範囲で認定番号も付記する)。 ベースパック、ハイベースなど施工者が手配・支給するものは別途、施工者が証

明書を提出する。 ②-6:高力ボルト、溶接材料の場合は、納入者欄にメーカー名を記入する。

③確認方法

現物:各製品、材料が納品された時の規格等の確認方法を記載する。 書類:書類での確認方法を記載する。納品時あるいは書類によっては納入後数日たって

確認することがある。 なお、原品証明、ミルシート原本で確認する場合には、そのどちらかで行うこと

とする。(原品証明書、ミルシート原本はいずれかで可)

<原品証明書(用紙 C)の「確認欄」の○が無記入の場合>

原品の JIS マーク、もしくは大臣認定品であることを確認した場合、どちらかに○が

つけられる。無記入の場合は、単なる○の付け忘れ、現品の JIS マーク、もしくは大臣

認定品を示す記号がブラストなどで消えている、汚れなどで不鮮明あるいは JIS 認証を

受けていない材料である、など種々の理由が考えられる。

用紙 Bを取り纏めるにあたっては、必ず無記入の理由を確認しておくことが必要であ

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る。

なお、原品の JIS マーク、もしくは大臣認定品であることが確認されず、確認欄に○

がつけられない場合、(JIS マークの無い JIS 適合品を用いた場合など)、原品証明書作

成者は、発注仕様に適合する品質の材料を使用したことを確認した資料(p.44-18 行目

からを参照)の写し等を添付する必要がある。

④確認欄

施工者:・製作工場の記載内容に不備が無いことを、用紙C(場合によっては添付資料)

により確認する。 ・なお署名は、当該工事の現場代理人と担当者名とする。

また上記の者のいづれかは、原則として『鉄骨工事管理責任者』資格を有す

る者とする。現在、個々の作業所に配置するだけの資格者がいないが、鉄骨

工事担当者としては資格取得が望ましい。作業所に配置されていない場合は、

その他の資格名(監理技術者、建築士、施工管理技士)を記載する。 ・本書類は通常、製品検査時に提出される。製品検査に対物検査で確認した内

容は、製品検査議事録に記載する。 工事監理者:工事監理者が製品検査に立会いをした場合はここに記載することができる。

後日提出する場合は、用紙A2 に添付して提出する。但し、A2 が不要であ

れば本紙でも可とする。 なお、確認方法については事前に関係者で合意をしておく。

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5.2.4 用紙C:ケース1-1、1-2とも、鉄骨製作業者が証明書を作成する場合

●ケース 1-1 鋼材、規格品証明書原本は鉄骨製作業者へ

・需要家は、鉄骨製作業者名となっていること。 ・規格品証明書原本あるいは原本のコピーに整理番号を追記する。 ・規格品証明書原本一枚に1製品の場合は、各規格品証明書原本毎に整理番号をつける。 ・この整理番号を原品証明書に記載する。 ・原品証明書のページを用紙 B の「証明書ページ」欄へ記載する。

検査証明書(ミルシート)

製品番号 寸法 化学成分 引張試験

証明書番号 需要家:○×鉄工㈱

注文者:△商事

整理番号 5

整理番号1

用紙C

原品証明書

整理番号 部位・部材 規格 確認欄 寸法・数量 メーカー名 証明書番号 製品番号

JIS・大臣 JIS・大臣 JIS・大臣

証明書ページ

製品番号について 製品番号(*):規格品証明書原本において個々の製品を特定できる項目名とする。 例えば製鋼番号の場合:鋳込み単位でつけられるため例えば板厚の違う複数の製品が製造される。従

って個々の製品を特定できない。

整理番号は、ミルシートの欄

外に付記する。

確認欄について 原品の JIS マーク、もしくは大臣認定品であること、のどちらを確認したかを、欄の“JIS”、“大臣”

どちらかに○をつける。(どちらでもない場合は、無記入とする) なお、原品の JIS マーク、もしくは大臣認定品であることが確認されず、確認欄に○がつけられない

場合、(JIS マークの無い JIS 適合品を用いた場合など)、原品証明書作成者は、発注仕様に適合する品

質の材料を使用したことを確認した資料(p.44-18 行目からを参照)の写し等を添付する必要がある。

(補助資料として規格等のステンシル部を写真撮影しておくとよい場合もある。)

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●ケース 1-2:規格品証明書原本は鉄骨製作業者へ、中間加工業者が加工する。

検査証明書(ミルシート)

製品番号 寸法 化学成分 引張試験

証明書番号 需要家:○×鉄工㈱

注文者:△商事

整理番号 5

整理番号1

原品証明書

整理番号 部位・部材 規格 確認欄 寸法・数量 メーカー名 証明書番号 製品番号 JIS・大臣 JIS・大臣

証明書ページ

納品書、送り状など

●ケース 3:鉄骨製作業者が手持ちの余材を使用した場合

ケース 1の場合の余材の時はケース 1に、ケース 2の場合の余材の時はケース 2に倣う。

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5.2.5 用紙C:ケース2 中間加工業者が証明書を作成する場合

送り状 納品書日付 加工、納入業者名 責任者名、印

原品証明

検査証明書

製品番号 寸法 化学成分 引張試験 A F

証明書番号 需要家:○○切板㈱

従来、この規格品証明書のコピーを裏書きミルシートとして提出していた。

今後、原則として提出は義務付けていないが、特に契約等で定められた場合

は提出することができる。

●ケース 2:規格品証明書原本は中間加工業者:原本を持つところが証明書を作成する。

用紙C

原品証明書

整理番号 部位・部材 規格 確認欄 寸法・数量 メーカー名 証明書番号 製品番号 JIS・大臣

証明書ページ

その 1 日付、中間加工業者名、

責任者印

送り状、納品書など既存書類を利用する方法

規格、寸法、数量、部材の他に メーカー名、規格品証明書番号、製品番号が記載されている必要がある。

送り状、納品書に価格が記載されていることがある。 その枚数が非常に多いことがあるため、原則、その 1 の方法とする。

・需要家は、鋼材購入者名となっていること。 ・保有する規格品証明書原本、発注リストかから作成する。 ・原品証明書のページを用紙 B の「証明書ページ」欄へ記載する。

柱などといった具体的名称でなく、記号で

も可とする。(切板会社ではわからないこ

ともあるため)

切板会社などを含む

記号で納品された場合、発注伝票などと関連付ける必要がある

その 2

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6.原品証明書の作成例(ミルシートからの転記方法例)

6.1 鋼板、形鋼の例

工事名:○○新築工事

整理

番号

部位・部材 規格 確認欄 寸法 数量(Kg) メーカー名 証明書番号 製品番号

1 柱 SN490B JIS・大臣 PL-25 1345 JFE Y-1234 1234567

2 梁 SS400 JIS・大臣 H-700*300*13*24 1400 新日鉄 Z-5678 XYZ1234

3 ダイアフラム SN490C JIS・大臣 PL-32 2000 神戸製鋼 X-4567 ABC5678

記載メーカー:JIS 認証の確認は、日本工業標準調査会 H.P などによる。 http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0010.html

規格品証明書の各行、あるいは各ページに番号を付ける⇒整理番号とする

P.1 規格品証明書ページ

※“製品番号欄”の

表記については、次

頁を参照

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前頁に示す鋼材の原品証明書の作成において、規格品証明書(”検査証明書”、”品質証明書”な

ど、名称は会社や品種によって異なる。一般的に”ミルシート”と呼称されている書類。)から”製

品番号”を転記するとしているが、下記に示すように、品種や会社によって、ミルシート上での表記

もばらばらであるので、注意を要する。 さらに、”製品番号”に相当する表示の無い場合もあるが、その場合、”製鋼番号”や”試験番号”

で代用しても良い。下表における で囲んだ内容を記載する。

厚鋼板

製鋼番号 試験番号 製品番号A社 製鋼番号 試験番号 製品番号B社 製鋼番号 試番 板番号C社 炉鋼番/鋼番 - 製品番号D社 製鋼番号 管理番号 製品番号

E社溶鋼番号

(CHARGE No)証明書番号 製品番号

F社 製鋼番号 - ロールNo.

G社製鋼番号

(Charge No)- -

H形鋼

製鋼番号 試験番号 製品番号A社 製鋼番号 試験番号 -

B社-1炉鋼番

HEAT NOLOT NO -

B社-2鋼番

HEAT NO- -

C社製鋼番号HEAT NO

試番TestPieceNo

D社製鋼番号

チャージ番号試験片番号 -

円形鋼管

製鋼番号 試験番号製品番号

(1本:単数)製造番号(複数本)

A社溶鋼番号

チャージNO.試験番号

製品番号ピースNo.

作業番号

B社-1 製鋼番号 試験パイプ番号 製品パイプ番号 -

B社-2 鋼番 - -製造番号(ロット)

C社-1 製鋼番号 - - 製造番号C社-2 製鋼番号 - - 管理番号

D社 製鋼番号 板番製品番号

(=試験番号)-

E社 - - - 管理番号F社 溶解番号 - 柱名称 製作番号

BCR295、STKR BCPミルシート表記 ミルシート表記

製品番号 製品番号A社 管理番号 A社 製品番号および板番B社 造管ロット番号 B社 製品番号C社 製造番号 C社 品質証明番号D社 製造番号 D社 製造番号E社 製鋼番号/製造番号 製品製造番号

F社BCR:管理番号

STKR:ロット番号テーパコアの場合は、工号および部材マーク

ミルシート表記会社

E社

会社会社

会社

ミルシート表記

ミルシート表記

会社

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6.2 溶接材料の例:ソリッドワイヤ

工事名:○○新築工事

整理番号 溶接材料 規格 銘柄・寸法 メーカー名 証明書番号 製品番号 備考1 ソリッドワイヤ Z3312 MG-55、1.4mmφ 神戸製鋼 Y-1234 1234567

YGW-18

2 SAW溶着金属 Z3183 KB-55IM×KW-55 JFE Z-5678 XYZ1234S502-H

3 ソリッドワイヤ Z3353 YM-55S、1.6mmφ 日鐵住金 X-4567 ABC5678YES 51

フラックス Z3353 YF-15I 日鐵住金 A-1234 DE91011FS-FG3

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6.3 SAW 溶着金属の品質規定の例

・SAW については、JIS Z3183 が指定建築材料の JIS として規定されている。 そのため、溶接ワイヤとフラックスを組み合わせた試験結果が必要となる。

・個々の溶接ワイヤとフラックスの JIS は定められていない。 ・異なるメーカーの材料を組合せた結果について、各々のメーカーは責任が持てない。

この場合は、組み合わせた材料で JIS に準拠して試験を行い試験成績書とする。

工事名:○○新築工事

整理番号 溶接材料 規格 銘柄・寸法 メーカー名 証明書番号 製品番号 備考1 ソリッドワイヤ Z3312 MG-55、1.4mmφ 神戸製鋼 Y-1234 1234567

YGW-18

2 SAW溶着金属 Z3183 KB-55IM×KW-55 JFE Z-5678 XYZ1234S502-H

3 ソリッドワイヤ Z3353 YM-55S、1.6mmφ 日鐵住金 X-4567 ABC5678YES 51

フラックス Z3353 YF-15I 日鐵住金 A-1234 DE91011FS-FG3

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6.4 ソリッドワイヤ:ESW 用ワイヤの例

工事名:○○新築工事

整理番号 溶接材料 規格 銘柄・寸法 メーカー名 証明書番号 製品番号 備考1 ソリッドワイヤ Z3312 MG-55、1.4mmφ 神戸製鋼 Y-1234 1234567

YGW-18

2 SAW溶着金属 Z3183 KB-55IM×KW-55 JFE Z-5678 XYZ1234S502-H

3 ソリッドワイヤ Z3353 YM-55S、1.6mmφ 日鐵住金 X-4567 ABC5678YES 51

フラックス Z3353 YF-15I 日鐵住金 A-1234 DE91011FS-FG3

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6.5 フラックス:ESW フラックスの例

工事名:○○新築工事

整理番号 溶接材料 規格 銘柄・寸法 メーカー名 証明書番号 製品番号 備考1 ソリッドワイヤ Z3312 MG-55、1.4mmφ 神戸製鋼 Y-1234 1234567

YGW-18

2 SAW溶着金属 Z3183 KB-55IM×KW-55 JFE Z-5678 XYZ1234S502-H

3 ソリッドワイヤ Z3353 YM-55S、1.6mmφ 日鐵住金 X-4567 ABC5678YES 51

フラックス Z3353 YF-15I 日鐵住金 A-1234 DE91011FS-FG3

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7. 確認・検査における本ガイドラインの活用

①規格に適合するものであることの確認

建築基準法第 37 条により、指定された建築材料の品質については、JIS 規格や JAS 規格

に適合するもの若しくは大臣認定を受けたものであることが求められている。鋼材等はコ

ンクリートと並んで建築工事に用いられる最も基本的な材料であり、この指定を受けてい

る。JIS 規格適合については、JIS マーク表示制度により品質の証明、確認を行うことが簡

便で信頼できる方法であるが、生コンのように生産者から直接建築現場に JIS 品が供給さ

れる流通経路と異なり、鋼材等については、切断、加工、組み立てした「鉄骨部材」の段

階で現場に搬入され、その受入れ時若しくは建築物の施工中、施工後の段階で品質確認を

することとなることから、JIS マーク表示がされている原材としての鋼材等を直接管理で

きないという事情がある。なお、JIS マーク表示制度では、次のような方法でマークを表

示することが認められている。 a 製品に JIS マークを表示したシールや荷札等を貼付、または、製品に直接 JIS マー

クを表示する(鋼材等の生産段階で当該製品として完成している製品に用いられる方

法) b 送り状、納品書等に JIS マークを表示する(生コンクリートのように製品そのものに

貼付するなどができない製品の場合) 一方、法第 37 条の主旨(第1項)は、製品の JIS 規格への適合を求めており、認証手続

き(JIS マーク品であること)を要求していないことから、マーク品以外についても規格

適合への証明若しくは適合判断することが求められる場合があるが、現時点では、そうし

たマーク外品が規格に適合していることの確認方法の統一的なルールが確立していない状

況にある。本ガイドラインにおいても、鋼材製品における品質の規格適合証明については、

品質が客観的に証明される JIS マーク若しくは大臣認定を取得していることを基本として

おり、それらが無いものについて、特段の規格適合の証明方法を規定していない。マーク

品・大臣認定品以外の製品を使用する場合でも、使用鋼材を流通、加工、使用する過程の

各段階で明確化する等の観点において本ガイドラインは有効であるが、それらの鋼材の生

産段階での規格適合を証明する観点からは、製品の個別事情に応じた対応が必要である。 たとえば、鋼材等の製品規格のうち、現時点では規格の構成が JIS 認証制度になじまず、

認証を行う機関も存在しないことから、JIS マーク表示ができない規格なども存在する。

こうした場合には、本ガイドラインで作成される証明書に添付される書類(P34 参照)に

よって、次のような方法等で確実性が担保される場合には、このガイドラインを適用し、

適合判断することができる。 ⅰ 他の同様な鋼材等の製品で JIS マーク表示許可を取得している工場において、同等

の製造方法、品質管理・検査を行う場合 ⅱ 技術力及び第三者性のある機関において、当該製品を製造した工場が、機械的性質、

成分分析結果のほか、製造方法、品質管理・検査等も含め当該 JIS 規格に適合してい

ることが確認された場合 ② 事後的な不具合の判明時の対応について

本ガイドラインは、建築業界における鋼材の流通事情に対応する合理的な管理方法とし

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て、鋼材の製造、流通、素材の切断加工、鉄骨製作、施工管理の各段階での【自工程責任】

に基づく管理のサークルを構築することを提案している。このため、建築工事中又は完成

後に、構造計算や構造部材等の何らかの不具合が指摘された場合などに使用材料の品質の

再確認が必要となるケースにおいては、ミルシート(原本+裏書き)では、実際に使用され

た鋼材との整合確認が不可能な場合が多いが、本ガイドラインで表示することとなってい

る使用鋼材等のメーカー名と製品番号等が判明すれば、当該製品の機械的性質や成分等を

特別な破壊試験等を実施することなく知ることが可能となる。このように、本ガイドライ

ンによる品質証明方法は、建築業界の事情に合致し、ミルシートに代わるものとして、現

状で最も有効かつ合理的な方法と考えられる。

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員数

、形

状、

規格

色▲

受入

検査

時の

写真

工事

名、

材料

名、

規格

端面

塗色

▲組

立て

時の

写真

塗色

がわ

かる

もの

規格

色、

プリ

ント

マー

クを

確認

。▲

確認

時の

写真

(B

)+(C

)受理

▲施

工者

保管

用▲

工事

監理

者提

出用

▲製

品検

査時

確認

写真

製品

検査

,書類

取り

纏め

ファ

ブリ

ケー

ター

切板

会社

納入

▲納

入伝

票員

数、

規格

施工

者H形

鋼、

鋼管

の素

切断

材料

準備

ロー

ル材

、在

庫材

、購

入材

、支

給材

切断

指示

切断

組立

て切

板会

社の

管理

状態

を確

認す

▲確

認時

の記

録 

 写

真、

議事

録な

組立

て検

査を

行う

場合

ファ

ブリ

ケー

ター

の検

査時

写真

工事

監理

者(A

2)(B

)(C

)受理

押印

 (A

1)作

成施

主の

確認

●工

事監

理者

特定

行政

庁、

建築

主事

指定

確認

検査

機関

内容

確認

後、

受理

(A

2)(B

)(C

)提出

原則

、各

節仕

口部

、柱

、梁

1枚

以上

規格

色が

分か

る箇

切板

鋼管

切断

確認

者、

押印

 (A

2)作

成●

現場

代理

人資

格:監

理技

術者

鉄骨

工事

管理

責任

●鋼

材管

理責

任者

資格

:鉄

骨製

作管

理技

術者

●鋼

材管

理責

任者

●:行

為者

を示

す。

▲:書

類、

記録

を示

す。

二重

線:行

為を

示す

▲切

断指

示書

、板

取り

表、

切断

伝票

など

工事

名、

規格

、鋼

番、

部品

名、

日付

●鋼

材管

理責

任者

▲作

業日

切断

材規

格色

塗色

▲切

断指

示書

▲作

業日

報な

ど▲

ミル

シー

ト▲

裏書

きミ

ルシ

ート

切断

●製

作管

理、

品質

管理

担当

▲用

紙B

骨工

事使

用鋼

材等

報告

▲(C

)原

品証

明書

 規

格品

証明

書 

裏書

きミ

ルシ

ート

:日

付、

押印

 切

断指

示書

、伝

票等

写真

●鋼

材管

理責

任者

▲切

断時

の写

真塗

色が

わか

るも

適切

な切

断管

理、

鋼番

が残

る切

断追

跡可

能な

管理

●施

工管

理者

付録

a.鋼

材の

確認

フロ

▲切

断後

の写

真塗

色が

わか

るも

の工

事名

、材

料名

、規

格端

面塗

色等

(B

)+(C

)提

受入

検査

形鋼

、板

の自

社切

鉄骨

製作

発注

用紙

C:原

品証

明書

(A

1)(A

2)(B

)(C

)提出

ない

し提

中間

・完

了検

査時

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JSSⅠ02-2004

付録b.鋼材の端面塗色

鋼材の識別表示標準 JSS Ⅰ 02-2004より引用(日本鋼構造協会発行 2004年 3月)

表-1 識別色および塗色方法

鋼 種 識別色の組合せ 塗色線表示

(塗色本数) 色文字表記

SS400

STK400

STKR400

1本

BCR295

2本

SS490

STK490

STKR490

青 1本 -

A 1本

B 2本 SM400

C

3本

A,B,C の別を緑の文字で表記

A 1本

B 2本 SM490

C

3本

A,B,C の別を黄の文字で表記

A 1本 SM490Y

B 黄赤(橙)

2本 A,B の別を黄赤の文字で表記

B 2本 SM520

C 桃色

3本 B,C の別を桃色の文字で表記

SM570 赤 1本 -

AW,AP 緑1本,銀色1本

BW,BP 緑2本,銀色1本 SMA400

CW,CP

緑 - 銀色

緑3本,銀色1本

AW,AP,BW,BP,CW,CP の別を緑の文字で表記

AW,AP 黄1本,銀色1本

BW,BP 黄2本,銀色1本 SMA490

CW,CP

黄 - 銀色

黄3本,銀色1本

AW,AP,BW,BP,CW,CP の別を黄の文字で表記

SMA570 W ,P 赤 - 銀色 赤1本,銀色1本 W,P の別を赤の文字で表記

A 緑1本,白1本

B 緑2本,白1本 SN400

C 緑3本,白1本

A,B,C の別を緑の文字で表記し、且つ、アンダーラ

インを付す

W 緑1本,白1本 STKN400

B 緑2本,白1本

W,B の別を緑の文字で表記し,且つ、アンダーライン

を付す

BCP235

緑- 白

緑2本,白1本 B の緑の文字で表記し,且つ、アンダーラインを付す

B 黄2本,白1本 SN490

C 黄3本,白1本

B,C の別を黄の文字で表記し,且つ、アンダーライン

を付す

STKN490B 黄2本,白1本

BCP325

黄 - 白

黄2本,白1本 B の黄の文字で表記し,且つ、アンダーラインを付す

B 赤2本,白1本 SA440

C 赤- 白

赤3本,白1本

B,C の別を赤の文字で表記し,且つ、アンダーライン

を付す

無 規 格 鋼 材 黒を1本塗るかまたは色を塗らない -

その他の鋼材 当事者間の申合わせによる

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JSSⅠ02-2004

この表において,SS400,SS490 は日本工業規格(以下「JIS」という)JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)の,SM400A,SM400B,

SM400C,SM490A,SM490B,SM490C,SM490YA,SM490YB,SM520B,SM520C,SM570 は JIS G 3106(溶接構造用圧延鋼材)の,

SMA400AW,SMA400AP,SMA400BW,SMA400BP,SMA400CW, SMA400CP,SMA490AW,SMA490AP,SMA490BW,SMA490BP,SMA490CW,

SMA490CP,SMA570W, SMA570P は JIS G 3114(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)の,SN400A, SN400B, SN400C,SN490B,

SN490C は JIS G 3136(建築構造用圧延鋼材)の,STK400,STK490 は JIS G 3444(一般構造用炭素鋼管)の,STKR400,STKR490

は JIS G 3466(一般構造用角形鋼管)の,STKN400W, STKN400B,STKN490B は JIS G 3475(建築構造用炭素鋼管)の,BCR295 は

(社)日本鉄鋼連盟規格(以下,「MDCR という」)MDCR 0002(建築構造用冷間ロール成形角形鋼管)の,BCP235,BCP325 は MCCR003

(建築構造用冷間プレス成形角形鋼管)の,SA440B,SA440C は MDCR 0013(建築構造用高性能 590N/ mm2鋼材)の鋼種の

記号を表すものとする。

また,識別色の色の種類はJIS Z 8102(物体色の色名)による色名であり,その色の基準はJIS Z 8721(三属性による色の表

示方法)による下表とする。

表 色名と色の基準

注)銀色については,特に基準を指定しない。

(備考)FR鋼(耐火鋼)では,塗色表示にあっては更に青1本を右側に加える。色文字表記にあっては同色でFRの文字

を加える。

色の種類 赤 桃色 黄赤(橙) 黄

色の基準 5R 4/13 2.5R 6.5/8 2.5YR6/13 2.5Y 8/12

色の種類 緑 青 白 黒

色の基準 5G 5.5/6 2.5PB 5/6 N .95 N 1.5

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JSSC
タイプライターテキスト
付録c.鋼材のマーキング、ラベル表示例
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SN490B ・・・・・・・・・・規格記号JFE ・・・・・・・・・・社章600x300x12x25 ・・・・・・・・・・断面寸法10. 5 M ・・・・・・・・・・長さ3-61380 ・・・・・・・・・・鋼番E4738-100 ・・・・・・・・・・製品番号WK ・・・・・・・・・・製鉄所略号(西日本製鉄所 倉敷地区)

*貼付要領は下図参照

表示内容 ・・・・・・・・・・JFE STEEL SH SN490B

鋼材マ|キング要領

品種名 : H形鋼・スーパーハイスレンドH(SHH) 会社名 : JFE 製鉄所名 : 西日本製鉄所

製品ラベルの様式および記載内容貼付要領

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品種名 建築構造用冷間ロール成形角形鋼管 会社名 日鐵住金建材株式会社 製造所名 仙台・広畑製造所

1. 製品表示

コラムの1本ごとに下記項目を端部より約 800 ㎜の位置にマーキングする。

表示例

ニッテツ Uコラム BCR295 16.0×250×250×13,000 07-11-S

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

① 社章、社名略号 : ニッテツ

② 商品名の略号 : Uコラム

③ コラムの種類の記号 : BCR295

④ コラムの断面寸法 : 板厚×辺長×辺長

⑤ コラムの製品長さ

⑥ 製造年(西暦末尾2桁)、製造月

⑦ 製造所略号(仙台=S、広畑=H)

製品表示の様式および記載内容

2. ミルマークの表示

コラムの1本毎に、下記項目を側面にピッチ約300㎜で連続的にマーキングする。

表示例

ニッテツBCR□ ニッテツBCR□ ニッテツBCR□ ニッテツBCR□ ニッテツBCR□ ニッテツBCR□

製品ラベルの様式および記載内容

1. 製品ラベル表示

コラム1本ごとに、製品端部内面に製品ラベルを

貼り付け、次の事項を表示する。

① 商品略号 : Uコラム

② 種類の記号 : BCR295

③ コラムの断面寸法

④ コラムの長さ

⑤ 本数:1

⑥ 製造番号

⑦ 管理番号

⑧ 製鋼番号

⑨ 検査済み証印

⑩ 建築基準法第37条第二号認定番号

⑪ 社章、製造社名 : 日鐵住金建材株式会社

2. 製造ラベル貼付要領

① 添付位置 : 製造端部内側面

② 作成方法 : ラベルプリンターで印字

③ 貼付け方法:作業者が貼付け

約 300 約 300 約 300 約 300 約 300

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付録d.高力ボルトヘッドマーク一覧表

・トルシア形高力ボルトヘッドマーク一覧表

・JISB1186高力六角ボルトヘッドマーク一覧表

日亜鋼業㈱ ユニタイト㈱ 月盛工業(株)

㈱NSボルテン 神鋼ボルト㈱ 滋賀ボルト㈱

住金精圧品工業(株) 帝国製鋲㈱ 日本ファスナー工業(株)

ユニタイト㈱

㈱NSボルテン 神鋼ボルト㈱

月盛工業(株)

日本ファスナー工業(株)

滋賀ボルト㈱

帝国製鋲㈱住金精圧品工業(株)

日亜鋼業㈱

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付録 e.溶接材料の原品表示例

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付録f.アンカーボルトの表示例

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切板

受入

れ時

形鋼

の検

査鋼管の検査

組立て中の検査

原板

切断

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者、 規格

製品検査

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者、 規格

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者 規格

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者 規格

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者 規格

撮影看板 :撮影日時、場所

工事名、確認者 規格

付録g.写真のイメージ

(あくまで撮

影例

であり、撮

影は

必須

では

ない。)

切断、塗色後

原板

の確

認時

在庫

材ロール材

ファブ自社切断

切断

作業

端面

塗色

鋼材マーキング

B-BOXは塗色による

端面

塗色

の色

は原則、JSSC方式とするが、当面は各製作

工場の塗色も可とする。

該当する材料以外は製作要領書による。

端面塗色が分かる場合もある

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用 語 の 解 説 <書類関連> ・規格品証明書(原本) いわゆるミルシート。(鋼材)検査証明書とも。JASS6 では「JIS、その他の団体などの公

的に認知された規格があり、その報告規定に基づいて製造業者が発行する証明書。もし

くは、国土交通大臣認定品に適合することを証明する書類で、社名・捺印のあるものを

いう」と規定されている。 ・原品証明書 規格品証明書(原本)を転記し、リスト化したもの。本ガイドラインでは、用紙Cにあ

たる。 なお、JASS6 では、「原品証明書とは、規格品証明書(原本相当規格品証明書を含む)の

ついている鋼材の切断・切削・孔あけなど中間加工を施す業者、あるいは一般流通業者

(問屋)が少量販売する鋼材に付して発行する証明書」と定義されている。本ガイドラ

インでは“規格品証明書原本を保有する鉄骨製作業者が作成する証明書”もこれに加え

る ・原本相当規格品証明書 規格品証明書原本のコピーに、その鋼材の原品と対応の確認を行ったものが裏書をして

証明したもの。いわゆる裏書ミルシート。 ・鉄骨工事使用鋼材等報告書 原品証明書(用紙C)、鉄骨製作業者が製作の元請として作成する鉄骨工事使用鋼材等報

告書(用紙B)、施工者が作成する用紙 A2、監理者が作成する用紙 A1 をセットにした報

告書。

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<関連関係者>

・工事監理者 実際の工事と設計図書を照合し、設計どおりに施工されているかを確認する者。一定規

模以上の建築物の建築にあたり、必ず定めなければならない。 ・施工者 鉄骨工事の元請としての施工者。いわゆるゼネラルコントラクター(ゼネコン)、GC。 ・鉄骨製作業者 鉄骨加工製品の製作、および工事現場施工の一部を担当するもの。いわゆるファブリケ

ータ。ファブとも。 ・鋼材メーカー 鋼材を製造する会社。鋼材を製造すると同時に、それに対応する規格品証明書(ミルシ

ート)を発行する。 ・切板業者 鋼板の切断、孔あけ、曲げ加工を主に行う会社。シヤリング会社とも。 <その他> ・鉄骨製作管理技術者

鉄骨加工を行う上で、設計図書を受領した後、製作計画の立案から鋼材の加工、組立て、溶

接、塗装、発送及び現場における製品引き渡しまでの一貫した管理を行うために必要な専門

知識・基礎知識及び対応能力を保持する資格者。 (社)全国鐵構工業協会と、(社)鉄骨建設業協会が共同で運営する鉄骨製作管理技術者

登録機構で実施する試験に合格し、かつ資格者として登録を行うことで取得できる。 ・鉄骨工事管理責任者 建築工事のうち鉄骨工事が適正に施工されるよう、施工計画から工事の完了に至るまで

の品質管理、施工管理等全般を管理する能力を有する資格者。具体的には、建築鉄骨工

事における鉄骨製作発注時の指示・指導、受入検査等による鉄骨の製品検査及び現場工

事の適正な管理を行う。 (社)日本鋼構造協会の建築鉄骨品質管理機構で実施する試験に合格し、資格者とし

て登録することで取得できる。

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建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン

2009 年 月 日 1 版 1 刷

定 価(本体 円・税込み)送料別 ⓒ2009

編 集 社 団 法 人 日 本 鋼 構 造 協 会

建 築 鉄 骨 品 質 管 理 機 構

鋼材品質証明検討委員会

発行所 社団法人日本鋼構造協会

〒160‐0004 東京都新宿区四谷 3‐2‐1 四谷三菱ビル 9階

TEL. 03-5919-1539 FAX. 03-5919-1536

URL http://www.jssc.or.jp

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