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―― 研究論集委員会 受付日 20199 20承認日 20191028―― 商学研究論集 522020. 2 米中貿易戦争と米中のグローバル・バリュー・ チェーンにおける地位変化との関係と影響 The Relationship and Impact of the US-China Trade War and their Position Changes in the Global Value Chain 博士後期課程 商学専攻 2019年度入学 LI Yuting 【論文要旨】 貿易戦争がエスカレートしていく現在,「自国第一」主義が広がり,貿易の不均衡が強く非難さ れ,保護貿易の思想も台頭している。しかし,今日の貿易は最終消費財の貿易のみではなく,各国 がグローバル・バリュー・チェーン(以下 GVC)に組み込まれ,中間財貿易の割合がはるかに大 きい。すなわち,一国の輸出の中には,外国が生み出した付加価値も多く含まれているのである。 したがって,2 国間の貿易摩擦による政策の影響が相手国のみではなく,自国や第三国に悪影響を 及ぼすこともある。 GVC が発達している現在,1 国が貿易から得られる利益は,輸出総額よりも付加価値額から判 断したほうが,現実状況を反映できる。本研究は,GVC の角度から,経済協力開発機構(以下 OECD)が公表した TiVATrade in Value Added)データベースを用いて中国の輸出総額の中で 自国の付加価値額の占める割合が相対的に低いことを説明し,また米中の GVC における地位の推 移を比較することによって,実証研究の結果を参照しながら近年米中貿易摩擦が頻発する原因を推 測する。 【キーワード】 米中貿易摩擦 グローバル・バリュー・チェーン 付加価値 加工貿易 貿易地位

米中貿易戦争と米中のグローバル・バリュー・ …...and their Position Changes in the Global Value Chain 博士後期課程 商学専攻 2019年度入学 李 雨テイ

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Page 1: 米中貿易戦争と米中のグローバル・バリュー・ …...and their Position Changes in the Global Value Chain 博士後期課程 商学専攻 2019年度入学 李 雨テイ

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研究論集委員会 受付日 2019年 9 月20日 承認日 2019年10月28日

――

商学研究論集

第52号 2020. 2

米中貿易戦争と米中のグローバル・バリュー・

チェーンにおける地位変化との関係と影響

The Relationship and Impact of the US-China Trade War

and their Position Changes in the Global Value Chain

博士後期課程 商学専攻 2019年度入学

李   雨 テ イ

LI Yuting

【論文要旨】

貿易戦争がエスカレートしていく現在,「自国第一」主義が広がり,貿易の不均衡が強く非難さ

れ,保護貿易の思想も台頭している。しかし,今日の貿易は 終消費財の貿易のみではなく,各国

がグローバル・バリュー・チェーン(以下 GVC)に組み込まれ,中間財貿易の割合がはるかに大

きい。すなわち,一国の輸出の中には,外国が生み出した付加価値も多く含まれているのである。

したがって,2 国間の貿易摩擦による政策の影響が相手国のみではなく,自国や第三国に悪影響を

及ぼすこともある。

GVC が発達している現在,1 国が貿易から得られる利益は,輸出総額よりも付加価値額から判

断したほうが,現実状況を反映できる。本研究は,GVC の角度から,経済協力開発機構(以下

OECD)が公表した TiVA(Trade in Value Added)データベースを用いて中国の輸出総額の中で

自国の付加価値額の占める割合が相対的に低いことを説明し,また米中の GVC における地位の推

移を比較することによって,実証研究の結果を参照しながら近年米中貿易摩擦が頻発する原因を推

測する。

【キーワード】 米中貿易摩擦 グローバル・バリュー・チェーン 付加価値 加工貿易 貿易地位

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1 日本経済新聞2017年 4 月21日,夕刊 3 ページ。

2 日本経済新聞2018年 7 月 6 日,夕刊 1 ページ。

3 日本経済新聞2019年 9 月 1 日,朝刊 1 ページ。

4 OECD による。https://www.oecd.org/trade/topics/global-value-chains-and-trade/

――

はじめに

2017年 4 月20日,トランプ大統領は大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があ

るとして,米通商拡大法232条に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。調査の結果

によって,中国など鉄鋼輸出国に対する新たな関税措置の発動につながる1。その後米中間の貿易

摩擦が激化し,2018年 7 月 6 日,トランプ米政権は,通商法301条に基づいて中国の知的財産権侵

害に対する制裁関税を発動し,産業用ロボットなど340億ドル(約 3 兆 8 千億円)分に25の関税

を課した。中国も同規模の報復をした2。2019年 9 月 1 日には,トランプ米政権は中国製品に対す

る制裁関税「第 4 弾」を発動した。「2018年夏から段階的に対象を広げてきた制裁関税は家電や衣

料品など 終消費財に本格的に踏み込む。中国も同日,即座に報復する。二大貿易大国が互いに課

す関税率は平均20を超し,戦前の保護主義の時代に匹敵する貿易障壁が両国間に築かれる。18

年 7 月から始まった米中の貿易戦争は一段と危険な段階に入る」3。

貿易戦争がエスカレートしていく現在,「自国第一」主義が広がり,貿易の不均衡が強く非難さ

れ,保護貿易の思想も台頭している。しかし,今日の貿易は 終消費財の貿易だけではなく,各国

がグローバル・バリュー・チェーン(以下 GVC)に組み込まれ,国際貿易の約70を占める中間

財貿易をも含んでいる4。すなわち,1 国の輸出の中には,外国が生み出した付加価値も多く含ま

れているのである。そのため,2 国間の貿易戦争の影響は当事国のみならず,世界貿易と経済にも

大きな影響をもたらす。

本研究は,GVC の角度から,中国製造業の対米輸出の中には,中国で創造された付加価値のみ

ではなく,東アジア諸国が生み出した付加価値も多く含まれており,貿易統計上には中国の対米黒

字が大きいが,実際の中国の付加価値は相対的に少ないことを解明する。さらに GVC における中

国と米国の地位変化を計算し,そして貿易摩擦と GVC 上の地位変化の関係の実証研究を紹介し,

貿易摩擦の発生し得る原因を明らかにする。

第章 GVC の開発と中国の参入

GVC の開発と中間財貿易

国際分業は製品間分業と製品内分業に分けることができる。製品間分業は伝統的な分業であり,

例えば,貿易論の教科書で取り上げられている英国の毛織物とポルトガルのワインの貿易がその実

例である。それに対して製品内分業は,生産プロセスを分割し,その分業に参加する各国は特定の

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プロセスを担当する。情報コミュニケーション技術(以下 ICT)革命とともに普及し,それを通

じで GVC は形成された。多国籍企業は海外直接投資(以下 FDI)を通じて GVC の形成に貢献し,

GVC の発展を促進した。GVC の特徴について,Hummels, Rapoport and Yi(1998)は以下の 3

点にまとめている。◯ 終消費財の生産プロセスは少なくとも 2 つのプロセスに分けられる。◯

生産は 2 つ以上の国で行われ,国によって異なるプロセスで付加価値が創造される。◯少なくと

も 1 つの国が生産プロセスで輸入した中間財を使用し,生産されたモノの一部分を輸出する。

今日の世界経済では,国際貿易の約70は中間財(サービス,原材料,部品など)貿易であり,

GVC に関係している。中間財が 終製品に組み込まれ,世界中に出荷される。

GVC が発達した現在,輸出の規模から 1 国の貿易収益を判断するのは困難となっている。逆

に,輸出に含まれた国内の付加価値は,1 国の貿易収益を反映する重要な指標になっている。一般

的に,資源は資源国から調達され,製品の設計は先進国で完成される。中心部品は製造業が発達し

ている先進国(例えば,日本やドイツ)で作られ, 後に労働力コストが低い途上国で組み立ては

行われ,そして 終消費財の形態で各国に輸出して消費される。このため,現在,多くの製品の後

ろに「○○国製」と書いてあるにも関わらず,厳密に言えば,「世界製」で書くべきである。

GVC に組みこまれたことにより,途上国にとって川上と川下の関連産業が整備されていなくて

も付加価値が創造でき,輸出主導で経済成長を促進することができるようになった。同時に,先進

国にとって低付加価値の生産プロセスを途上国に移転することができるようになり,GVC を利用

して生産コストを削減することができるようになった。

GVC は国際貿易の形態を大きく変化させ,現在,図 1 に示すように,各地域の中間財輸出が少

なくとも総輸出の50以上を占める。そのため,貿易政策の変化は直接相手国だけではなく,

GVC を通して間接的に第三国にも影響を及ぼす。

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図 各地域の輸出に占める中間財の割合

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm

5『中国海関統計年鑑』各年版により算出した。

6『中国海関統計年鑑』により,外資系企業は中外合資企業と外国独資企業である。

7『中国海関統計年鑑』2006年~2016年版のデータで算出した。

――

中国の GVC への参入

改革開放以来,中国の対外貿易総額は急激に増加しており,これは世界規模での製品内分業と緊

密に関係している。中国は,1990年代から政策的な優遇を打ち出し,積極的に先進国,特に東ア

ジアの先進国・地域(日本,台湾や韓国)からの投資を受け,輸出主導工業化政策をとった。

当時,中国は豊富で安価な労働力を持ち,かつ外資企業への政策的優遇もあり,外資企業にとっ

ては魅力的な生産地であった。中国の比較優位である数多くかつ安価な労働力は,ちょうど外資企

業の簡易作業のコストを下げる需要と合致し,中国は加工貿易の方式で外資と組んで GVC に参入

した。

中国の輸出貿易は,主に 2 つの貿易方法で構成されている。それは一般貿易と加工貿易であ

る。一般貿易は従来の国際貿易であり,加工貿易は「両端が外にある」という特性で前者と異なる。

加工貿易の場合,外国が中間財を提供し,消費市場も外国にある。中国が提供するのは加工能力で

ある。2001年に世界貿易機関(以下 WTO)に加盟してから2007年まで中国の輸出の半分以上は

加工貿易による輸出であった5。2008年から加工貿易の割合が半分以下になり,2013年からは30

台になった。加工貿易の輸出のうち,外資系企業6 の輸出は常に80以上を占める7。

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加工貿易は,途上国の GVC への参入の典型的な形態である。途上国の中では,中国だけではな

く,メキシコやベトナムなども積極的に加工貿易で GVC に参入した。一般貿易と比べ,加工貿易

は資本要素や技術力に対する要求が低く,逆に豊富で安価な労働力を要求する。工業化レベルが低

い途上国にとっては,加工貿易によって輸出を促進しながら工業化のレベルアップも実現でき,経

済成長を加速させることが可能になるという利点がある。中国の加工貿易は「来料加工」と「進料

加工」の 2 つの形態がある。「来料加工」の場合,輸入中間財は,外国企業が無償で提供するので,

輸入段階での外貨支払いは必要なく,関税も免除される。それによって,初期段階で中間財を輸入

する外貨が不足していても問題なく,加えて外貨収入の増加をも促進した。労働力コストの上昇と

産業レベルアップによって,現在「来料加工」の総輸出に占める割合は当初の10以上から 3台

に減少している。「進料加工」は,外国から輸入した中間財を使用し,加工してからまた輸出する

貿易方式である。それ故,「進料加工」の割合の推移を通して直接的に外国中間財の使用状況を反

映することができる。近年,「進料加工」の総輸出に占める割合も低下しており,当初の40以上

から, 新統計の2016年では,30.5になった。輸出の加工貿易の割合が減少する傾向にはある

が,依然として中国の輸出貿易の加工貿易への依存は大きい。

加工貿易は輸入した原材料や中間財を加工してまた輸出するので,輸出額の中に輸入した中間財

と自国の付加価値の両方が含まれ,輸出額が大きくなる傾向がある。Feenstra, et al.(1998)は,

東アジア諸国から中国への産業移転につれ,東アジア諸国の米国への輸出が減少したのに対して,

中国の米国への輸出が増加した結果,中国の対米貿易黒字が拡大したと指摘した。確かに,日本,

台湾や韓国などの東アジア諸国・地域からの産業移転を受け,中国は東アジアの組み立てセンター

として大量の中間財を輸入し,その価値を吸収してから,自国製品の形で米国へ輸出する。そのた

め,それらの国・地域自身の米国への輸出が減少しつつある一方で,中国の対米黒字が増大しつつ

ある。東アジアの地域内の生産ネットワークの構築は,地域内の貿易の成長を促進し,中国の対米

黒字を拡大させた。

以下では,グラフを用いて東アジア諸国・地域における中国の実状況を説明する。

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――

図a 東アジアの対米輸出総額と付加価値輸出額に占める各国・地域の割合の推移―全産業

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm(注)東アジアとは,日本,韓国,中国,香港,台湾を指す。

――

図 2a は,2005年~2015年における東アジアの対米輸出総額及び付加価値輸出額に占める各国・

地域の割合の推移を示すものである。図 2b は,それぞれの中国の占める割合の差を求めたものと

(左軸),中国の対米貿易黒字(右軸)を表す。

図 2a における各年の左側の棒グラフは,東アジアで創造され米国に吸収された付加価値輸出額

の国・地域別割合である。右側の棒グラフは対米輸出総額の国・地域別の割合である。図 2a が示

すように,いずれの年度においても,中国の輸出総額に占める割合は付加価値輸出額のそれより上

回っている。中国以外の 4 つの国・地域では,逆に付加価値輸出額の割合の方が大きい。この現

象は,中国が他の 4 つの国・地域の付加価値を中国自国製品に組み込んで米国へ輸出している,

ということを意味する。

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図b 中国の対米輸出額と対米輸出付加価値額とのギャップと中国の対米貿易黒字―全産業

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm(注)東アジアとは,日本,韓国,中国,香港,台湾を指す。なお,ギャップとは,「東アジアの対米輸出

総額に占める中国の割合」-「東アジアの対米付加価値輸出に占める中国の割合」で算出している。

8『中国海関統計年鑑』によると,2007~2016年まで,輸出金額で上位 5 位の輸出品はすべて電子産業の関連

製品である。

――

図 2b は,東アジアの対米輸出総額に占める中国の割合と対米付加価値輸出額に占める中国の割

合との差(左軸),及び中国の対米貿易黒字(右軸)を表している。前者について説明すると,そ

の差は2005~2007年まで 5以上あり,2008年より低下し始め,2009年には大きな下落が見られ

る。2009年以降は,3台まで低下したまま2013年まで横ばいを見せている。2013年からはさらな

る低下の傾向が見られる。

一方,対米貿易黒字の推移変化は段階的に捉えることが可能である。2007~2009年の金融危機

期間を除き,中国の対米貿易黒字額は毎年増加しているが,差額が大きい期間に黒字の増加速度が

速く,差額が低下すると黒字の増加速度が遅くなることが分かる。すなわち,中国の対米貿易黒字

の増加は,中国の対米輸出に占める中国の付加価値の割合と関係があるのである。東アジアの地域

内の生産ネットワークは中国の対米貿易黒字の増加に大きく影響を与えているといえるだろう。

電子産業においては自国付加価値の割合と輸出額の乖離がさらに大きい。電子産業は GVC が

も発達している産業の一つであり,中間財は何カ国もの国境を越え,製品の原産地は確定しにくい

のである。中国の輸出額のうち,電子産業の占める割合が高い8。図 3 は2005~2015年にかけての

東アジアの電子産業の対米輸出総額と付加価値輸出額の推移を示している。各年の棒グラフの左側

は東アジア諸国・地域で創造され,米国で吸収された付加価値における各国・地域の割合であり,

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図a 東アジアの対米輸出総額と付加価値輸出額に占める各国・地域の割合の推移―電子産業

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm(注)東アジアとは,日本,韓国,中国,香港,台湾を指す。

図b 中国の対米輸出額と対米輸出付加価値額のギャップ―電子産業

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm(注)東アジアとは,日本,韓国,中国,香港,台湾を指す。

――

右側は東アジア諸国・地域の対米輸出総額における各国・地域の割合である。図 3a で示したよう

に,対米輸出総額における中国の割合は常に付加価値輸出額での割合よりはるかに大きい。図 3b

は輸出総額の割合と付加価値額の割合の差を示している。2005~2015年の間で,その差は2008年

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――

9 この統計基準の変化について,OECD は詳しく説明している。以下を参照のこと。

https://www.oecd.org/industry/ind/tiva-2018-diŠerences-tiva-2016.pdf

――

に一気に低下したが,まだ10以上であり,電子産業において中国の付加価値が相対的に低いこ

とを示している。

このように,東アジア地域内の生産ネットワークの特性により,中国は地域内の先進国から中間

財を輸入して加工し,また米国に輸出することが多くある。そのため,中国の輸出の中で,自国の

付加価値が相対的に低いことが明らかなのである。

第章 総輸出入統計と乖離する付加価値輸出入

伝統的な貿易統計は,商品の輸出入国ベースで行われ,伝統的な消費財貿易においては,それで

各国の貿易収益を反映することができる。しかし,GVC の発展につれ,伝統的な統計手法には 2

つの問題が現れた。それは,◯中間財が複数回にわたって輸出入され,総輸出入の統計上では重複

計算される。◯中間財を他国から輸入して加工し,そして第三国に輸出した場合,その流れを反映

できない,以上 2 点である。例えば,中国の対米輸出の中には,他の東アジアの中間財と付加価

値も含まれているが,伝統的な統計上ではこのことが見えない。

TiVA データベース

OECD では2013年以降,付加価値貿易統計(Trade in Value Added)データベース(以下 TiVA)

を公表している。TiVA データベースを通じ,GVC の発展を,各国の産業構造と貿易構造の両面

からとらえることができ,国際貿易による直接・間接的な経済,雇用への波及効果,二国間貿易を

グロスベースと付加価値ベースで見比べることなどが可能になった。本論文で使用するデータは

TiVA データベースから取り出したものである。具体的には,2000~2011年のデータは2016年

バージョンのデータベースから,2012~2015年のデータは2018年バージョンから抽出したもので

ある。しかし,2016年と2018年のバージョンでは,中間財の定義が若干異なるところがあるの

で,ここで説明する9。2016年バージョンは国民経済計算システム(以下 SNA)1993に基づき,

2018年バージョンは SNA2008に基づいている。そのため,2016年バージョンでは,R&D は中間

財として計上されたが,2018年バージョンでは中間財から除外された。また,加工貿易の中間財

も商品の輸出入統計から削除され,増加した付加価値はサービス貿易に計上するようになった。そ

れは米中ともに大きな影響を及ぼした。

GVC 地位と参加度の指標

GVC において各国の位置付けと役割は異なる。そのため,GVC での地位や GVC への参加度な

どの指標が重要になってくる。Koopman et al.(2010)は GVC での地位と参加度の計算モデルを

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図 国の輸出の付加価値の構成

(出所) Koopman et al.(2010)

――

開発した。まず,GVC での地位指標(以下 GPO)について説明する。1 国の輸出は,◯外国付加

価値(FV)と,◯自国付加価値(DV)の 2 つの部分を分けることができる。また,◯自国付加価

値は,◯直接輸出付加価値(dv),◯間接輸出付加価値(iv),及び◯再輸入付加価値(ri)に分け

ることができる(図 4)。◯は 終消費財の形態で貿易相手国に輸出したもので,相手国で吸収さ

れた付加価値である。◯は中間財の形態で貿易相手国に輸出し,相手国で加工されてからまた第三

国に輸出され,第三国で吸収される付加価値である。つまり,◯のすべての付加価値は GVC への

参加を通じて外国に提供する中間財である。◯は中間財の形態で貿易相手国に輸出し,相手国で加

工されてからまた自国に輸入される付加価値である。この部分は伝統的な貿易統計では輸出として

統計されたが,実質的には輸出とは言えない。

自国付加価値のうち,◯間接輸出付加価値は,その国の中間財として外国に提供した付加価値で

あり,もしこの部分の付加価値が◯外国付加価値より高い場合,この国は中間財を輸入するより

も,輸出する位置付けである。一般的に,GVC の川上にあるほど,中間財を輸入する立場ではな

く,提供する立場である。そのため,◯が◯より高ければ,GVC での地位は川上である。逆に,

◯が◯より低ければ,GVC での地位は川下である。

この考えに基づき,Koopman et al.(2010)は,GVC 地位指標(GVC_Position)を提案した。

GPOir=ln

1+

ivir

EXir

-ln

1+

FVir

EXir

(1)

ただし,GPOir は i 国の r 部門の GVC における地位で,ivir は i 国 r 部門の間接輸出付加価値で

あり,FVir は i 国 r 部門の輸出の中に使用した外国中間財である。EXir は i 国 r 部門の輸出総額

である。

i 国の r 部門が GVC の川上(研究開発,設計,マーケティング,アフターサービスなど)に近

い場合,つまり,他国から中間財を輸入するのではなく,他国に中間財を提供する方が多い場合,

GPOir>0 となる。それは,GVC における地位が高く,輸出の国内付加価値が比較的高いことを

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示している。逆に,GVC の川下にある場合(部品生産,完成品の組み立てなど),つまり他国に中

間財を提供するのではなく,中間財を輸入する場合,GPOir<0 となる。それは,国際分業におい

て不利な位置付けであり,輸出の国内付加価値が低いことを示す。

しかし,GPO が高い場合でも,あまり GVC に参入していない場合は,GPO だけでその国の貿

易の真の姿を反映できない。したがって,Koopman et al.(2010)はまた,1 国の GVC への参加

度を測定するモデルをも提出した。

GVCPaticipationir=

ivir

EXir

+FVir

EXir

(2)

国の r 部門の GVC 参加度が高いほど,この指標の数値は大きいのである。

GPO と参加度の 2 つの指標で,異なる国の特定の産業の GVC における位置付けや参加度が比

較できるようになった。

第章 米中の GPO と参加度の推移

GPO の計算モデルに基づき,TiVA データベースを使用して米中の GPO を計算した。その結

果,製造業全体において米国の GPO が常にプラスであるのに対して,中国の GPO は2011年まで

マイナスである。2012年から中国の GPO はプラスになったが,これは TiVA データベースのバー

ジョンの更新により,統計基準が変化したことと関係している。2012年からの統計では,加工貿

易の中間財輸出入は商品貿易として計上されるのではなく,サービス貿易に計上された。つまり,

中間財貿易の統計は中国にとって加工貿易を除いたものになった。こうした統計基準の変化によっ

て中国の GPO が一気に高くなることは,一般貿易と加工貿易の様子が異なることと,加工貿易の

割合が高く,輸出がそれに依存していることを物語っている。しかし,前述のとおり,中国の加工

貿易の割合は減少しつつあり,図 5 でわかるように中国 GPO は増加する傾向が見えることに加

え,製造業全体において中国の産業がレベルアップしたことによって中国の GPO は高くなったと

いえるだろう。それに対して,米国の GPO はほぼ横ばいであり,統計基準が変化しても大きな変

化が見られず,常にプラスであり, 近では少し高くなった。つまり,製造業全体において米国の

輸出では,加工貿易と関連する貿易の割合が相対的に少ないということである。加工貿易を除け

ば,中国の GPO は2012年以降米国より低い位置から高い位置になった。だが,2015年までの中国

の加工貿易の割合は総輸出の 3 分の 1 以上であり,一般貿易の統計のみで中国の貿易状況を反映

しきれないので,一概に中国の GPO が米国を超過したとは言いにくい。ただ,接近しつつあると

は言えるだろう。

図 6 が示しているように,中国にとって加工貿易の割合が高い電子産業において,2011年まで

GPO がマイナスであるのに対して,2012年からはプラスになった。つまり,製造業全体と同じよ

うに,中国の電子産業の一般貿易と加工貿易の様子も大きく異なる。一方,米国の GPO は統計基

準の変更にほぼ影響されることなく,プラスで横ばいである。しかし,2011年までに GPO が 0 近

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図 米中の GPO 地位の推移―製造業全体

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm

図 米中の GPO 地位の推移―電子産業

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm

――

くになった製造業全体と比べ,電子産業の GPO は2011年まで-0.2程度にとどまっており,同年

の製造業全体より地位がはるかに低い。これは電子産業の加工貿易が多いことと合致している。

2012年に統計基準が変更され,一般貿易では中国の GPO はプラスになって米国を越えたが,加工

貿易の割合が依然として高いことを考えると,中国の GPO は成長して米国と接近していると言え

るだろう。

また,図 7 は輸送用機械産業の米中の GPO 推移を示したものである。中国の輸送用機械産業の

GPO は,統計基準が変更される前の2009年にすでにマイナスからプラスになった。その後,金融

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図 米中の GPO 地位の推移―輸送用機械

(出所) OECD, Trade in Value Added(TiVA)データ(2019年 9 月20日)より作成

https://www.oecd.org/sti/ind/measuring-trade-in-value-added.htm

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危機の影響で再び低下したが,2014年から回復する兆しが見られる。電子産業とは異なり,統計

基準の変更後,米中の GPO がともに著しく上昇した。また,統計基準変更の前にもすでに,米中

の GPO は接近していた。2011年に,統計上は加工貿易が含まれているにもかかわらず,中国の

GPO は米国をわずかに上回った。それ以降の統計は加工貿易を除外し,中国の GPO はさらに大

きく米国を上回っている。そのため,輸送用機械産業において,近年,中国の GPO は米国を接近

しつつ,さらに上回ったと言えるだろう。

米中 GPO の計算を通じて,以下のことが分かる。まず,製造業全体においても,技術力と資本

への要求が高い電子産業や輸送用機械産業においても,近年中国の GPO が顕著に成長し,産業レ

ベルアップは実現していると言える。また,製造業全体と電子産業において米国の GPO は横ば

い,輸送用機械産業の GPO はいったん低下し,2014年に回復していく兆しが見られる。米中

GPO の差から見ると,製造業全体と電子産業において米中の GPO が接近し,中国の輸送用機械

産業の GPO は米国を上回った。

また,GVC 参加度について言うと,2000~2015年にかけて製造業全体で米国の参加度は0.57前

後であり,中国は0.75前後である。電子産業のみだと米国の参加度は2000年には0.56であったが

2015年にはわずか0.29まで低下している。中国の参加度は2000年には0.80であり,それから常に

横ばいで,2015年には0.78である。輸送用機械産業では,米国の参加度は2000~2015年まで大き

な変化がなく,0.63前後である。中国の参加度も安定しており,0.71前後である。

米中の GPO の接近および電子産業における米国 GVC 参加度の著しい低下は,米中貿易戦争に

どのような関係があるだろうか。余振ら(2018)によると,このような地位変化は貿易戦争の原

因の一つである可能性が高いという。

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第章 GVC 地位や参加度と貿易摩擦の関係

余振ら(2018)は,米中貿易摩擦と,米中製造業の相対的な GPO の変化や中国の GVC 参加度

の関係を,実証研究で分析した。理論上,1 国と貿易相手国との GPO の差が大きいほど,同じ中

間財市場での競争が少ない。そうすると,2 国は GVC に補完的な関係を築きやすく,協力しやす

い。それに対して,2 国の GPO が接近するほど,2 国は中間財市場で競争的な関係になりやす

く,貿易摩擦が起きやすくなる。

2 国間に貿易摩擦が生じた場合,それぞれにどのような影響を与えるだろうか。例えば,自国が

相手国の中間財 B に対して保護関税をかけることにより,自国内の市場で,相手国産の中間財 B

を自国産や第三国産のものに入れ替える。それによって,自国のその中間財 B の競争力が上が

り,利益が得られる。しかし,中間財 B を生産するためには,川上の原材料 A も必要である。相

手国の中間財 B は保護関税の影響で生産を減らし,A への需要も減少する。それによって,自国

の川上産業 A が損失を出すことになる。また,中間財 B を使用し,川下の 終消費財 C を生産す

るのであるが,相手国の中間財 B に保護関税をかけることによって自国産の 終消費財 C のコス

トが上昇し,自国の川下産業 C も損失を出すだろう。そのため,相手国の B 産業の GVC 参加度

が高いほど,自国の川上産業 A と川下産業 C への悪影響が大きい。

そのため,余振ら(2018)は以下の仮説を提示した。ある産業において貿易相手国と相対的に

GPO の値が近くなるほど,貿易摩擦の頻度が高まる。それを「触媒効果」と名付けた。また,そ

の産業において相手国の GVC 参加度が高いほど,貿易摩擦の持続時間が短くなり,それは解決し

やすくなる。それを「潤滑剤効果」と名付けた。

第 3 章の計算が示したように,WTO に加盟した当初,中国は加工貿易で GVC に参入し,豊富

で安価な労働力を利用して組み立てなどの簡易作業を行い,米国と GVC で補完的な関係であっ

た。しかし,中国の産業レベルアップとともに GPO も高まり,米国と競争的な関係になった。ま

た,中国の GVC 参加度は常に高い。つまり,近年,中国の GPO の上昇が米中貿易摩擦を多発さ

せる原因の一つとなる可能性が高い。しかし,中国の GVC 参加度が非常に高いので,貿易摩擦が

多発するが,毎回の持続時間は短く,両国の交渉によって貿易摩擦の悪影響を減らすことができる

と予想する。

余振ら(2018)は TiVA のデータではなく,World Input-Output Database(以下 WIOD)のデー

タベースを使用した実証分析で米中 GPO の差や中国の GVC 参加度と貿易摩擦との関係を検証し

た。その結果,仮説の通り,GPO の差が小さいほど,貿易摩擦の頻度が高まり,中国の GVC 参

加度が高いほど,貿易摩擦の持続時間が短くなることが明らかにされた。

しかし,WIOD データベースは一般貿易と加工貿易が区別されておらず,2 種類の貿易のそれぞ

れの影響を判断できない。他方,TiVA データベースは,2016年バージョンでは加工貿易と一般貿

易が区別されていないが,2018年バージョンでは,加工貿易がサービス貿易として計上され,商

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品貿易のうち一般貿易のみが計上されている。両方のバージョンに2005年から2011年のデータが

あるため,2016年バージョンと2018年バージョンの差額で2005~2011年の中国の加工貿易の間接

輸出付加価値や外国付加価値が分かる。それによって加工貿易の変化と貿易摩擦との関係が分析で

きるようになる。本研究では,この分析を行わなかったが,今後の課題として,加工貿易の変化の

影響を明らかにしたい。

第章 結論

本研究は,GVC の発展と中国の GVC への参入状況をまとめ,中国の輸出において,自国の付

加価値が輸出額より少なく,東アジア諸国の付加価値が多く含まれていることを説明した。そして

TiVA データベースを利用し,米中の GPO の推移と GVC 参加度を計算した。また,GPO や GVC

参加度と貿易摩擦の研究をレビューし,貿易摩擦の起こり得る原因を説明した。本研究では,米中

貿易戦争の第三国への影響,または中国の加工貿易の貿易摩擦への影響を明らかにするまでには至

らなかった。したがって,これからの課題として,加工貿易の変化と貿易摩擦との関係を明らかに

していきたい。

現在,中国の GPO が米国と接近している状況の下,貿易摩擦の増加を回避することが難しくな

っている。しかし,GVC への参加度を高めることによって貿易摩擦の度合い,激しさを軽減する

可能性がある。GVC が発達している現在,保護貿易主義や自国第一主義の思想に基づいて問題を

解決することは困難で,さらに第三国にも悪影響が及ぶ可能性が高い。今後,中国のような途上国

と先進国とが競争的な関係になることは必然であるが,両者は競争しながらも,新たな協力の方法

を探って Win-Win 関係を築くべきであろう。

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