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学校給食における食器洗浄残留物検査(ヨウ素でんぷん法)の
問題点とその対策
山口県学校薬剤師会
中村光宏・小林晃子・尼崎美奈子
福田せい子・渡辺真美子・為近純子・沖田敏宣
背景①
• 学校給食で近年使用される食器はABS樹脂製のものからPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂製のものへ変わっている
ABS樹脂
PEN樹脂
背景②
• 学校薬剤師による食器残留物検査(ヨウ素でんぷん検査)にて陽性になる食器の数が増加
• 給食室現場からは従来と同じ洗浄方法では、でんぷん反応陽性となり、困っているとの声が多数上がっている
目的
• PEN食器変更後にヨウ素でんぷん反応陽性が多数報告されているがその原因を検討
・食器表面の材質が原因なのか?
・でんぷんの残留が原因なのか?
• ヨウ素でんぷん反応とATPふきとり検査を同時に行うことで洗浄度を検査し2種の洗浄度検査について相関性を検討
対象・方法(対象)
県内の21給食施設で使用中のPEN樹脂製食器(平皿、ボール椀、どんぶり皿)計113枚
(方法)
PEN食器についてヨウ素でんぷん法とATP法で清浄度を測定し、相関があるか、Wilcoxonの順位和検定で有意差を検討した。
ヨウ素でんぷん法:食器にヨウ素液を滴下し、青紫色に変色したら陽性とする。色の濃さで0から3に数値化した。
ATP拭き取り法:ルミテスターPD‐20を使用し、汚れを数値化した。キットはルシパックPen(キッコーマンバイオケミファ®)
ATPふき取り法
ATPを指標とした汚れの測定基準値 <500
・食品製造工程でのふき取り検査・調理器具などの洗浄度チェック
キッコーマンバイオケミファホームページより
ATPふき取り検査の原理
ヨウ素反応の数値基準
++:3 +:2 ±:1 -:0
0点
3点
1点
2点
結果①
• 全113例:平皿(24)、ボール椀(51)、茶碗(28)、カレー皿(4)、どんぶり椀(6)
ヨウ素反応陽性例は52例、陰性は61例であった。
そのうち、ヨウ素反応陽性群はボール椀(温食汁椀)が43例
ボール椀(温食汁椀)の84%がヨウ素反応陽性
ATP値とヨウ素反応との関係食器表面のATP値は幅広くばらつきがみられたが、ヨウ素反応
陽性群ではATP値が有意に高くなった(p<0.05)
ヨウ素反応
陽性度
ATP値
++
+
±
結果②
• 食器の中でもボール椀はヨウ素反応が陽性となりやすく特に温食汁椀に使用しているボール椀は84%がヨウ素反応が陽性となった
• ヨウ素反応陽性群ではATP値が有意に高くなった(p<0.05)
• 同じ施設でも温食汁に使用しているPEN食器は他の食器と比べでんぷんが付着しやすい傾向がある
考察・今後の課題
• ヨウ素反応が陽性であれば、洗浄不良の可能性が高いと考えられる。
• 温食汁椀でヨウ素でんぷん反応陽性が出やすいことから、他の食器との取扱いの違いや使用する食品からの影響が有ると考えられる。
• 温食に使用するPEN食器について洗剤の選択、洗浄方法を検討する