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2002.8.21 信用金庫取引先における海外進出と人材育成 -人材育成にかかる公的支援制度の活用- アジア業務相談室情報 Vol. 14 104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1 TEL.03-3563-7547 FAX.03-3563-7551 総合研究所アジア業務相談室

信用金庫取引先における海外進出と人材育成 -人材育成に ... · 2018. 12. 13. · 特に中小企業においては、納入先の相次ぐ海外進 出に伴い、自社も海外進出の必要性に迫られているものの、人材不足に泣く企業が多いのではないでしょ

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2002.8.21

信用金庫取引先における海外進出と人材育成

-人材育成にかかる公的支援制度の活用-

アジア業務相談室情報 Vol.14

〒104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1 TEL.03-3563-7547 FAX.03-3563-7551

総合研究所アジア業務相談室

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はじめに

最近の日系企業の海外展開は、中国を中心として目をみはるものがありますが、この海外展開を行う

各企業の人材育成は十分とは言えない状況にあります。特に中小企業においては、納入先の相次ぐ海外進

出に伴い、自社も海外進出の必要性に迫られているものの、人材不足に泣く企業が多いのではないでしょ

うか。当アジア業務相談室が昨年実施いたしました信用金庫取引先の海外進出状況調査においても、進出

企業の問題点として最も多くの回答がありましたのは「現地社員の教育」です。このほか、「現地工場の

生産性」、「派遣社員の選定」が上位の回答となっています。

また、現地会社の社長を経験した人の話を聞くと、よく「日本の本社は現地の状況を全く判っていな

い。もっと現地に権限を委譲しないと仕事が進まない。」という言葉を耳にします。これは、本社社員に

国際感覚が欠如していることに起因していると思われます。

このように、海外展開に伴う人材の育成は、現地社員だけでなく現地で経営にあたる派遣社員、日本

側で海外事業や社全体の経営を司る社員の育成をも含んでいることを忘れてはなりません。さらに、一口

に人材育成と言っても短期間に育成することは難しく、長い期間をかけて段階的に行う必要があります。

しかしながら、海外進出が近々の課題となっている中小企業の多くは、時間的余裕がないのが現状と思わ

れます。

一方、中小企業の国際化に伴う人材育成の公的支援制度が意外と多いことに驚かされますが、公的支

援制度は多数の機関で類似した制度が取扱われていることから、それぞれの特徴を理解して使い分けてい

る企業はほとんどないと思われます。

今、空前の中国投資ブームの中にあって、中小企業の中にも中国進出が喫緊の課題となっている企業

が増加しています。こうした企業こそ、公的支援制度を有効に活用すべきであると言えます。

本レポートは、各支援機関が有する支援制度を中小企業(利用者)の視点から取りまとめ、個別企業

における国際化への早期対応を目指したものです。本編は第1章「国際化と人材育成」、第2章「外国人

研修生」、第3章「企業の発展段階に応じた公的支援制度の活用」から構成しています。本レポートが多

少なりとも中小企業の国際化にお役に立つことができれば幸いです。

最後に、本レポート発行にあたっては、関係機関の多大なるご協力をいただきここに発行することが

でき、ご協力をいただいた皆様には衷心より御礼申し上げます。 信金中央金庫総合研究所

アジア業務相談室

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第1章 国際化と人材育成

企業が海外に進出する場合、貿易、委託加工、合弁、独資、現地での販売網構築等の事業拡張といった

段階を踏むことが理想とされます。今やそのような時間的余裕がないのが現状ですが、基本的な理解を得

るためここでは、まず段階的に人材育成を考えてみることにしたいと思います。

企業の各発展段階における人材育

成は図表1のとおり現状への対応(現

状迫られているもの)と将来への対応

(将来求められてくるもの)とに分け

られます。もし、合弁企業の段階にあ

る企業がこれまで全く人材育成をし

てこなかったらどのようなことにな

るのでしょうか。日本の本社内には海外工場に対する理解がなく、派遣社員は孤立無援、本社に判断を求

めてもなかなか回答がなく、現地での生産管理もおぼつかない。こんな状況が目に浮かんでくるのは、大

企業だけでなく、中小企業においても同じと言えます。

図表1:国際化に対応するための人材育成のポイント

発展段階 現状への対応のポイント 将来への対応のポイント

①国内 国内における諸問題 社内の国際化への雰囲気作り

②貿易 社内の国際化への雰囲気作り 技術移転

③委託加工 技術移転 現地工場の生産管理、経営

④合弁企業 現地工場の生産管理、経営 現地工場の独自経営

⑤独資企業 現地工場の独自経営 事業拡張

また、段階的に人材育成を行ってこなかった企業は、このギャップを埋めるため、外部招聘や過ぎてし

まった各発展段階で行う

べき人材育成を一気に実

施する必要に迫られるこ

ととなり、その付けは大

きいと言えます。

図表2:人材育成のポイント別施策

人材育成のポイント 具体的な施策

①社内の国際化への雰

囲気作り

①海外視察(市場調査、技術水準等)、②外国人研修生の受入れによる

社内の国際化適用力の醸成

②技術移転 ①提携先からの研修生受入れによる技術移転、②現地企業へ短期派遣す

る技術指導者の養成

③海外現地企業

①合弁企業における

生産管理、経営

①現地企業からの社内留学による技術移転、②現地企業へ短期派遣する

技術指導者の養成、③現地企業へ長期派遣する生産管者理および経営者

の養成(生産管理と自社権利の確保を中心とした管理)④現地人管理者

の養成

②独資企業の経営 ①現地企業からの社内留学による技術移転、②現地企業への技術指導者

の短期派遣、③現地企業へ長期派遣する経営者等の養成(経営に関する

全ての事項)、④現地人管理者の育成

③事業拡張 ①販売網の構築できる人材の育成、②現地人経営者の育成

では、企業は発展段階

に応じてどのような人材

を育成していくべきなの

でしょうか。生産型企業

を例にとって対応策を考

えてみることとして、人

材育成のポイント別施策

を整理してみますと図表

2のとおりとなります。

第一段階にある会社に

は、まず社内の国際化への雰囲気作りが必要であり、外国人研修生を受け入れることが良いと思われます。

日本の国際化が進んだとは言え、外国人を雇用する中小製造企業はそれ程多くありません。将来の海外展

開を考えれば、社内に外国人研修生を受け入れることの意義は大きいと言えます。また、外国人とのコミ

ュニケーション能力を向上させるための語学研修も有効です。

第二段階は技術移転の段階であり、この段階では貿易および委託加工により技術移転が行われることに

より、人的にも広がり将来の海外展開の足掛かりを築く時期にあります。

第三段階は、現地法人の設立であり、この場合、現地工場が合弁企業と独資企業では日本側企業の果す

役割は大きく変わってきます。合弁企業では、現地パートナーが①投資認可申請、②雇用および労務管理、

③銀行取引等を担当するとともに、現地政府当局との折衝も行ってくれます。独資企業では、現地の法律

に明るく弁護士や公認会計士を使って適切に対応する必要があるとともに、現地政府当局とも良好な関係

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を構築していくことができる人材が必要となります。さらに、合弁企業では、日本側の経営者は生産管理

を中心に経営全般において自社の権利を確保することが主眼となりますが、独資企業では労務、財務を含

む経営の全てにおいて関与していくことが必要となります。このため設立当初においては、合弁企業に比

べて独資企業の方がより多くの日本人の派遣が求められますことから、独資企業設立までに幅広い人材育

成を行っていく必要があります。

生産が安定し事業が拡張期に入って来ますと、現地市場で新規顧客を獲得したり、さらなるコストダウ

ンのための現地化を進めたりする必要に迫られることとなります。この時期に日本から派遣される人材に

は、現地における幅広い人脈の形成、マーケティング、現地人経営者の育成といった新たな資質が求めら

れることとなります。

このように、企業の発展段階に応じて迅速かつ効率的に人材育成を行っていくことが重要となっていま

すが、中小企業にとって的確に人材を育成していくことは、簡単なことではありません。人材育成は、経

営者が先頭に立ち全社的に取り組んでいくことが大切と言えます。

また、最近では研修生で受け入れた中国人を採用し、中国進出の推進役として活用している企業が増え

ています。その一方で、中国へ進出したいが、社内に任せられる人材がいないという企業が多いのも現状

です。このような企業では、社長だけが日本の事業の合間をぬって現地を走り回り、なかなか進出の可否

を判断できず進出の検討を始めてから2年以上を経過しているところもあります。もし、このような企業

が早くから事業の海外展開を念頭に置いた人材育成を行っていたならば結果は違っていたのではないで

しょうか。

グローバール化は進行することはあっても、逆戻りすることはありません。中小企業と言えども国際化

感覚を持った社員は、国際社会、日本において勝ち残っていくためには必要不可欠と言えます。これまで

国際化に向けた人材育成に取り組んでこなかった企業は、できる限り早く人材育成プログラムを策定し実

行することが大切であり、これまで人材育成を行ってきた企業においても継続していくことが必要です。

当アジア業務相談室では、こうした人材育成についてもご相談に応じておりますので、貴金庫取引先か

らご相談がありましたらお気軽にお取り次ぎ下さい。

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第2章 外国人研修生

本章では、現地従業員の技術レベル向上策の中心となる外国人研修生の受入れについて、企業が外国人

研修生を受け入れるにあたり理解しておくべき在留資格、査証取得手続き等の基本的事項について解説し

ます。

1.ビザ(査証)と在留資格

「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」)第6条では、『本邦に上陸しようとする外国人は、

有効な旅券で日本国領事館等の査証を受けたものを所持しなければならない。』と定められており、 日

本に上陸しようとする外国人は、入国審査官から上陸許可を受けることとなります。

上陸許可には「在留資格」が記載されており、「在留資格」は、わが国に入国し、在留しようとする

外国人に対し、わが国で行ってよい活動、または認められた身分・地位等を定めた法的資格です。査証

は、入国目的に応じ、査証区分が7区分(外交、公用、就業、一般、短期滞在、通過、 特定査証)、

在留資格が 27 種類あり、在留資格により在留期間や受入れ範囲が異なっています。(巻末資料参照)

外国人が研修生として入国するためには、在外日本公館で在留資格が「研修」である査証を取得した

うえで来日することとなります。この査証を取得するためには、受入れ企業や諸団体が日本国内であら

かじめ地方入国管理局から「在留資格認定証明書」の交付を受け、当該証明書等を在外日本公館に提示

して査証の発給を受けます。

また、「研修」の在留資格で行うことのできる活動は、技術、技能または知識の修得をする活動です。

研修生の行う活動はあくまでも技術、技能等を修得するためのものであって、そのために、一時的に生

産活動に携わっても、収入を得るために働く「就労」とは、区別されるものです。

図表3:研修生の上陸手続きフロー

図表4:外国人在留総合インフォメーションセンター

仙台 022-298-9014

東京 03-3213-8523~7

横浜 045-651-2851~2

名古屋 052-973-0441~2

大阪 06-6774-3409~10

神戸 078-326-5141

広島 082-502-6060

福岡 092-626-5100~1

在留資格認定証明書交付申請時の提出書類 1.研修の内容、必要性、実施場所、期間及び

待遇を明らかにする研修計画書 2.帰国後本邦において修得した技術、技能及

び知識を要する業務に従事することを証する

文書 3.卒業証明書及び職歴を証する文書 4.研修を指導する者の当該研修に係る職歴を

証する文書 5.派遣期間の概要を明らかにする資料 6.受入機関の商業・法人登記簿謄本、損益計

算書の写し、常勤の職員の数を明らかにする

文書及び研修生名簿 等

出入国港での上陸許可

申請人による出入国港での上陸申請

在外公館による査証発給

証明書を代理人から申請人に送付

申請人から在外公館への査証申請

証明書を代理人が受領

地方入国管理局による在留資格認定証明書交付

受入れ企業や諸団体(代理人)による地方入国管理局への在留

資格認定証明書交付申請

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2.外国人研修・技能実習制度の概要

研修とは、出入国管理及び難民認定法で「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技術、技能ま

たは知識の修得をする活動」と定められており、研修は①非実務研修と②実務研修に大別される。研修

終了後、研修成果・在留状況等の評価を受けて技能実習に移行することができる。

非実務研修は「座学」ともいわれ、実務研修以外の研修をいいます。具体的には、研修の初期に行わ

れる日本語研修、実務研修に必要な技術の基本原理・基礎知識等の研修、安全衛生教育、または実務の

現場以外で行う試作品の作製、模擬販売等の研修をいいます。

一方、実務研修は実地において行う研修とされており、生産現場で実際に生産に従事しながら、ある

いは実際に販売やサービス業務に携わりながら技術、技能、知識を修得する研修をいいます。

技能実習は、研修成果が一定水準以上に達し、在留状況が良好と認められるなど、研修成果・在留状

況・技能実習計画の評価を受けて研修終了後に在留資格「特定活動」の変更許可を受け、研修を受けた

同一企業において雇用関係の下で、研修で修得した技能の習熟度を高めるためにさらに実習するもので

す。

3.外国人研修生の要件等

(1)研修生の要件

研修生は次のような条件を満たすことが必要です。

イ.単純作業の研修ではないこと。

ロ.18 歳以上であり、研修終了後母国に帰り、前の職場等に復職が約束されていること。

ハ.現在の技術・技能のレベルを向上させるために、日本で研修を受けることが必要であること。

なお企業単独型の研修生受入れの場合には、さらに次の要件を満たす必要があります。

ニ.現地法人、合弁企業、取引先の常勤職員であること。

ホ.研修生が現地国の国もしくは地方公共団体の機関又はそれに準ずる機関から推薦を受けている

こと。

ヘ.原則として、日本で受ける研修と同種の業務に従事した経験を有すること。

(2)受入れ側の要件

受入れは、その形態によって要件が異なります。

イ.受入れの形態に係る要件

図表5:外国人研修生受入れの形態に係る要件

受入れ形態 要件

1.海外関連企業から受け入

れる場合

①海外の現地法人・合弁企業(出資比率 20%以上)

②海外の取引先企業(取引実績;引き続き1年以上、又は取引額;過去1年間に 10 億

円以上)

2.海外に関連企業がない場

海外に上記1.のような関連企業がない場合は、以下の団体を通じてのみ受入れが可能

です。

①中小企業3団体(商工会議所・商工会・中小企業団体)②職業訓練法人、③農業協同

組合、④公益法人

ロ.受入れ体制の整備に係る要件

受入れ団体・企業等は、受入れのため次の条件を満たすことが必要です。

(イ)研修指導員をおくこと

5年以上の経験を有する常勤職員であること

(ロ)研修生用宿舎を準備すること

(ハ)研修施設を確保すること

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(ニ)生活指導員をおくこと

(ホ)研修生の研修中の死亡、負傷、または疾病等に備え、保険に加入すること

(ヘ)安全衛生上必要な処置を講じていること

なお、中小企業団体等による受入れの場合には、さらに次の要件も満たす必要があります。

(ト)団体等が受け入れる場合は、国または地方公共団体から資金その他の援助を受け、かつ、

指導を受けること

(3)研修生受入れ人数枠と研修期間

図表6:外国人研修生受入れに係る制限

項目 制限内容

受入れ可能な研修生数 原則として、受入れ企業の常勤職員 20 名につき研修生1名の割合で受け入れることができます

が、①中小企業3団体を通じての受入れ、②社団の職業訓練法人を通じての受入れ、③農業協同

組合を通じての受入れの場合は特例があります。

研修期間 原則として1年以内

非実務研修 実務研修を行う場合には、原則として研修総時間の3分の1以上の時間を「非実務研修」に当て

ることが必要です。

受入れのタイプ

図表7:研修生受入れの主要なタイプと要件 実務研修型

企業 団体

受入れの要件

非実務

研修型 単独型 監理型

①研修の技術・技能水準の要件 ○ ○ ○

②技術・技能等の現地修得困難の要件 ○ ○ ○

③技術・技能等の現地活用の要件 ○ ○ ○

④年齢の要件 ○ ○ ○

⑤研修指導員の要件 ○ ○ ○

共通要件

⑥受入れ機関等の「公正」の要件 ○ ○ ○

⑦宿泊施設の要件 ― ○ ○

⑧研修施設の要件 ― ○ ○

⑨傷害補償対策の要件 ― ○ ○

⑩生活指導員の要件 ― ○ ○

⑪実務研修比率の要件 ― ○ ○

⑫外国の派遣期間の要件 ― ○ ―

⑬研修生人数枠の要件 ― ○ ―

⑭受入れ団体と企業の要件 ― ― ○

⑮研修生人数枠の緩和された要件(注) ― ― ○

⑯研修生の推薦機関の要件 ― ― ○

⑰研修生の業務経験の要件 ― ― ○

⑱政府等の公的援助の要件 ― ― ○

⑲団体監理の要件 ― ― ○

付加的要件

⑳定期監査の要件 ― ― ○

(注)財団法人、社団法人(ただし、農業技術協力を行う公益法人と職業訓練法人(社団法人)を除く。)の場合には、人

数枠の緩和は適用されず、「常勤職員 20 人に1人」の規定が研修生受入れの要件になります。

4.外国人研修生の処遇等について

(1)研修手当

研修手当は、研修生がわが国滞在中の生活に要する実費(受入れ機関が負担する住宅・水道光熱

費、医療のための民間保険料、研修テキスト教材費等を除く生活実費)として支給されるものです。

労働の対価として支払われる賃金ではありません。この研修手当は、研修生本人に直接、全額、毎

月一定期日に支給することが必要です。

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口座払いをする場合には、本人の同意が必要です。通帳・印鑑は本人に保管させてください。

なお、研修手当のほか、本人の往復渡航費、住居費、研修実施費用、保険料等は受け入れ企業等

が負担することになっています。

また、送出し機関から管理費を要求されることがありますが、研修手当とは性質の異なるものな

ので、明確に分離するようにしてください。

(2)研修生向け処遇通知書の交付

トラブルを未然に防止するために研修生に対し研修時間、研修の内容、研修手当等に関する処遇

について文書で通知することが重要です。なお、研修生は、労働者ではないので、残業や公休出勤

をさせることはできません。

(3)研修生のその他の処遇

研修生は労働関係法令が適用されず、研修中に人身事故が発生した場合、労災補償は受けられま

せん。このため、外国人研修生総合保険に加入するなどの保険措置を講ずるほか、研修に係る安全

衛生対策を講じることが受入れの条件となっています。

また、日本に 90 日以上滞在する研修生は、居住地の市町村に外国人登録を申請し、交付された外

国人登録証明書を常時携帯しなければなりません。

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第3章 企業の発展段階に応じた公的支援制度の利用

企業は、自己の発展段階に応じて①外国人研修生の受入れ等による社内の国際化適用力の醸成、②現地

に派遣する技術指導者の育成、③現地従業員の技術レベル等の向上、④現地管理者の養成等の人材育成方

針に基づき人材育成を図っていくこととなります。中小企業において、人材育成を個別企業単独で行うこ

とは容易ではないことから、公的支援制度を上手に利用していくことが良いと思います。ここでは、企業

の発展段階に応じた人材育成方針に応じて利用できる公的支援制度を紹介したいと思います。

図表8:企業の国際化に資する人材育成にすかかる公的支援制度

企業の発展段階に応じた人材育成方針

機関名 制度名

① 社 内 の

国 際 化 適

用 力 の 醸

② 現 地 に

派 遣 す る

技 術 指 導

者の育成

③ 現 地 従

業 員 の 技

術 レ ベ ル

等の向上

④ 現 地 管

理 者 の 養

準備期間

(注1)

補助金

の有無

日本貿易振興会(JETRO) 国際インターンシップ制度 ○ 1年 無

(財)国際研修協力機構

(JITCO)

支援・助言事業 ○ ○ - 無

(財)海外職業訓練協会 国際人材育成セミナー ○ ○ - (注2)

(OVTA) 海外派遣援助制度 ○ 3か月 有

シルバーコンサルタント事業 ○ 4週間 有

受入研修 ○ 1か月 無

(財)海外貿易開発協会

(JODC)

民間専門家派遣事業 ○ 3か月 有

(財)海外技術者研修協会 受入研修 ○ ○ 6か月 有

(AOTS) 海外研修 ○ ○ 9か月 有

中小企業総合事業団 現地管理者セミナー ○ - 無

(注1) 準備期間は、原則として応募枠が残余のある場合に要する期間で、制度によっては前年度に申し込み締め切り審査を行うもの

があるので注意願いたい。

(注2)補助金により申込価格が安価となっている。

1.外国人研修生の受入れ等による社内の国際化適用力の醸成

この種の公的支援制度は、①社内の活性化(a.社員の国際感覚の醸成、b.英語等によるコミュニケー

ション能力の向上、c.外国人の物の考え方に対する理解向上等)、②海外ネットワークの構築(人的広

がり、将来の海外拠点の基盤構築等)、③社会貢献への参加等を目的としています。

(1)海外職業訓練協会(以下「OVTA」という。)の WORLD WIDE ADVENTURE(国際人材育成セミ

ナー)

外国人とのコミュニケーション向上を目的とした短期集中合宿研修であり、全コースが少人数制

でネイティブ講師による指導が行われています。受講料は教材費・宿泊費・食費および消費税を含

んで参加者1人、4泊5日 47,250 円(1日当たり 9,450 円)と安価です。2003 年3月までの講座

の申込み状況は、各講座とも残りわずかとのことですので、希望される方はお早めにお申し込み下

さい。

また、合宿研修のほか英会話通信教育講座があり、受講期間3ヵ月で受講料 57,750 円となって

います。

(担当部門)

事業部訓練課

TEL:043-276-7240 FAX:043-276-7280・0217

E-mail:[email protected] URL:http://www.ovta.or.jp

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図表9:WORLD WIDE ADVENTURE 2002.4~2003.3

コース名 研修内容 定員 クラス数 期間

ビジネス

コミュニケーション①

TOEIC 350~

欧米の文化を理解しながら、さまざまな場面を想定した実践

的なビジネススキルを習得し、コミュニケーション能力の向

上を目指します。

12 2

5/7(火)~

5/11(土)

4泊5日

パワーアップ ユア

コミュニケーションス

キル① TOEIC 450~

あなたのコミュニケーション能力をワンランクレベルアップ

しましょう。表情やジェスチャーの効果的な使い方、積極話

法など、明日からのビジネスに応用できるテクニックを学び

ます。

12 2

5/20(月)~

5/24(金)

4泊5日

ベーシック スキルアッ

プ TOEIC 350~

製品説明、技術指導や安全管理などを海外で必要とされる初

級レベルの方々に基本技術英語を含めた、基本英会話スキル

をアップさせます。

12 2

5/27(月)~

5/31(金)

4泊5日

パワー ネゴシエーショ

ン TOEIC 650~

ネゴとは?パワーとは?挑戦的ネゴ・協力的ネゴ・戦略的ネ

ゴとは?デッドストックの解消とさらにミーティングリーデ

ィングテクニックへと7つの最先端テクニックを学びます。

12 2

7/1(月)~7/5

(金)

4泊5日

エフェクティブ

プレゼンテーション

TOEIC 550~

プレゼンテーションを成功へと導くために必須な6つのテク

ニックを学ぶことでコミュニケーションへの自信も同時に身

に付けます。

12 2

8/26(月)~

8/30(金)

4泊5日

プラクティカル

ビジネス スキルアップ

TOEIC 550~

ビジネス慣習の違いや価値観の違いを理解し、仕事に直結し

たコミュニケーションテクニックを向上させます。また、電

話や会議などに必要な実践会話力も同時に身に付けます。

12 2

9/24(火)~

9/28(土)

4泊5日

ビジネス ミーティング

TOEIC 550~

中級者のためのビジネス英語スキルアップコースです。異文

化を理解した上でビジネス場面に必要なコミュニケーション

スキル、特にミーティング、プレゼンテーションを中心に適

切な表現が自然に使える能力を身に付けます。

12 2

11/11(月)~

11/15(金)

4泊5日

ライティング&

スピーキング

TOEIC 650~

英文ライティングの基本を学び、言いたいことが正確に伝わ

るノウハウを習得します。さらにビジネスに必要な会話力の

レベルアップを目指します。

12 2

11/25(月)~

11/29(金)

4泊5日

ベーシック ビジネス

コンタクト

TOEIC 450~

電話対応や会社案内など初級レベルの方でも可能な表現法を

学ぶことで基本業務遂行へ直結した自信をつけ、突然の外国

人への不安などが解消されます。

12 2

12/2(月)~

12/6(金)

4泊5日

ビジネス

コミュニケーション②

TOEIC 350~

欧米の文化を理解しながら、さまざまな場面を想定した実践

的なビジネススキルを習得し、コミュニケーション能力の向

上を目指します。 12 2

2003 年

1/14(火)~

1/18(土)

4泊5日

パワーアップ ユア

コミュニケーションス

キル② TOEIC 450~

あなたのコミュニケーション能力をワンランクレベルアップ

しましょう。表情やジェスチャーの効果的な使い方、積極話

法など、明日からのビジネスに応用できるテクニックを学び

ます。

12 2

2003 年

2/17(月)~

2/21(金)

4泊5日

グローバル

コミュニケーション

TOEIC 650~

使える生きた英語力を身に付けながら価値観や異文化間の思

考方法、発想方法の違いを学び、国際感覚をみがくコースで

す。会話力にみがきをかけ効果的な英語交渉術まで習得しま

す。

12 2

2003 年

3/10(月)~

3/14(金)

4泊5日

実務タイ語

(初心者向け)

実際に身に付けておくべき発音と基本文法を基礎からしっか

りと習得し、業務や日常生活に役立つ会話スキルを身に付け

ます。また、文化理解も行い国際感覚と知識を学び、セミナ

ー終了後も独学できる能力と方法を身に付けます。

6 1

6/17(月)~

6/21(金)

4泊5日

実務中国語

(初心者向け)

仕事をするには、正しい声調(四音)と発音がまず必要とな

ります。ネイティブ講師の指導で、相手にわかる声調と発音

を習得します。また、基本文法を習得して独学(継続)でき

る能力を身に付けます。

6 1

7/15(月)~

7/19(金)

4泊5日

実務インドネシア語

(初心者向け)

実際に身に付けておくべき発音と基本文法を基礎からしっか

りと習得し、業務や日常生活に役立つ会話スキルを身に付け

ます。また、文化理解も行い国際感覚と知識を学び、セミナ

ー修了後も独学できる能力と方法を身に付けます。

6 1

9/2(月)~9/6

(金)

4泊5日

実務スペイン語

(初心者向け)

実際に身に付けておくべき発音と基本文法を基礎からしっか

りと習得し、業務や日常生活に役立つ会話スキルを身に付け

ます。また、文化理解も行い国際感覚と知識を学び、セミナ

ー修了後も独学できる能力と方法を身に付けます。

6 1

2003 年

2/3(月)~2/7

(金)

4泊5日

(2)日本貿易振興会(以下「JETRO」という。)のインキューブ・ジャパン(国際インターンシ

ップ制度)

本プログラムは、米国、カナダおよび英国の一流大学から推薦を受けた学生をインターン生とし

て、日本のベンチャー企業等の民間企業にJETROが紹介するプログラムです。本プログラムに

8

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参加しているほとんどの大学では日本語の授業があり、インターン生も原則として日本語を勉強し

た学生に絞るよう条件がついています。したがって、ほとんどのインターン生は日本語ができます

が、そのレベルはまちまちです。

最初に受入れを希望する企業からインターン生に与える研修テーマを提示し、そのテーマに興味

がある学生が応募するシステムとなっています。

受入期間は2ヵ月から最長1年までとなっており、受入期間は受入企業が研修テーマとして与え

るプロジェクトの達成予定期間、インターン生の大学での履修スケジュール等を踏まえ、受入企業、

インターン生相互の合意により決定されます。

(担当部門)

国際交流部国際研修課

TEL:03-3582-5187 FAX:03-3582-0504

E-mail:ITC@jetro.go.jp URL:http://www.jetro.go.jp/it/j/internship

図表 10:インキューブ・ジャパン・プログラム参加校

国 参加校名 国 参加校名

米国 カリフォルニア大学バークレー校 カナダ ビクトリア大学

(8大学) ミシガン大学 (19 大学) ブリティッシュコロンビア大学

ニューメキシコ日米センター トロント大学

ビッツバーグ大学 サイモンフレーザー大学

カーネギーメロン大学 カルガリー大学他

テキサス大学オースティン校 英国 アバティダンディ大学

日米センター ユタ大学 (4大学) アングリア・ポリテクニック大学

ワシントン大学 バーミンガム大学

ニューキャッスル大学

図表 11:インターン生受入れまでの年間スケジュール

時期 実施事項

5月 説明会のご案内

6月後半 説明会開催(大学側からも出席し大学側の状況を説明)

7月 インターンシップ申込み受付開始

(JETRO インターンシップのホームページ上の申込書を利用)

8月後半 インターンシップ申込み受付締切

9月 インターン生募集締切

(JETRO が集約したオファーリストにもとづき各大学でのインターン生募集、大学の

プログラムマネージャーによる応募者選別作業)

10 月 大学でのインターン生募集締切

応募各企業での応募者受入れ可否の検討

11 月 各企業からの JETRO への受入れ可否の連絡

マッチング作業(JETRO)

マッチング結果の連絡・確認(JETRO→大学、企業)

※マッチング成立企業 条件交渉、協定書締結、ビザ取得等の受入れ準備の開始

12 月 2次マッチング募集開始

翌年1月 2次マッチング募集者受入れ可否の検討

翌年5月以降 インターン生受入れ開始

(3)国際研修協力機構(以下「JITCO」という。)の支援・助言事業

支援・助言事業の柱となっているのは、外国人研修生の受入れに伴う入国・在留関係諸手続きの

支援および技能実習への移行に関する受付・評価・支援です。入国・在留関係諸手続きの支援は、

外国人が日本で研修を受ける際に研修生が入国管理局から在留資格認定証明書を受けるにあたり、

JITCOは受入企業が入国管理局に提出する書類の点検等を行うサービスです。(地方入国管理

局に対する申請の取次ぎについては賛助会員のみのサービスとなっています。)

また、61 職種 111 作業(2002 年8月1日現在)については、研修成果が一定水準以上に達し、在

9

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留状況が良好と認められるなど、研修成果・在留状況・技能実習計画の評価を受けて研修終了後に

在留資格「特定活動」の変更許可を受け、研修を受けた同一企業において雇用関係の下で、研修で

修得した技能の習熟度を高めるために最長2年間の技能実習に移行することができます。

技能実習への移行に関する受付・評価・支援は、研修から技能実習に移行するにあたり、JIT

COは技能実習への移行申請を受理し移行評価を行うとともに在留手続きを支援するものです。

イ.外国人研修制度の基本的な仕組み

図表 12:例1/入国・在留関係諸手続きの支援および助言(研修期間:1年の場合)

研修(1年)

入国事前準備

ロ.技能実習制度の基本的な仕組み

(イ)対象者

a.研修を受けた同一企業において

を行おうとする者で、研修成果・

技能を修得するとともに在留状況

b.技能実習2年コースを希望する

制度が整備されている職種に該当

況の評価が良好と認められた者が

(ロ)対象者研修から技能実習への移行

JITCO は、国の委託を受け、次の図表 13:JITCO 評価項目

評価項目

研修成果 研修成果の評価は、JIT

度にて評価します。

在留状況 研修生受入れ企業からの

技能実習計画 研修生受入れ企業等から

(ハ)在留資格の変更

在留資格は、「研修」から「特定

更許可が必要です。

(ニ)滞在期間

a.研修期間が短い場合(6ヶ月未

b.技能実習期間は、研修期間のお

年コースにあっては、研修期間が

[地方入国管理局へ]在留資格認定証明書交付申請

※JITCO:入国管理局に提出する書類の点検、助言、取次・受領代

[出入国港]上陸許可

[在外公館へ] 査証(ビザ)申請

[地方入国管理局へ]在留期間更新許可申請(研修5か月目)

※JITCO:入国管理局に提出する書類の点検、助言、取次・受領代

[地方入国管理局より]在留期間更新許可(研修6か月目)

[出入国港]出国

同一の技能で適正と評価された計画に基づいて技能実習

在留状況・技能実習計画の評価を受け、一定水準以上の

が良好と認められた者が対象となります。

場合、技能実習における職種が技能検定3級相当の評価

し、かつ、技能実習1年経過時に改めてなされる在留状

対象となります。

評価

評価を行い、その結果を地方入管局長へ通知します。

評価内容

CO が研修生の修得した技能等を「技能検定」または「JITCO 認定」評価制

報告及び調査相談員の実施調査の結果に基づいて、JITCO が行います。

提出された技能実習計画を JITCO が評価します。

活動」に変更されますので、地方入国管理局長の資格変

満)は、技能実習が認められません。

おむね 1.5 倍以内で認められます。ただし、技能実習2

9ヶ月を超えていることが必要で、1.5 倍以内の要件は

10

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除外されます。

c.研修と技能実習の期間の合計は、最長3年となっています。

(ホ)労働法令の遵守

a.技能実習は、雇用関係の下で行われるので、受入れ企業と技能実習生との間に、一般の

労働者と同様に適正な雇用契約の締結と労働条件の明示が必要です。特に、①労働契約期

間、②就業の場所及び従事すべき業務、③始業・就業の時刻、所定外労働時間の有無、休

憩時間、休日、休暇等に関する事項、④賃金の決定、計算及び支払いの方法等賃金に関す

る事項、⑤退職に関する事項については書面により労働条件を明示しなければなりません。

b.技能実習生は、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、雇

用保険法、健康保険法、厚生年金保険法等の労働・社会保険関係法令が適用されますので、

受入れ企業は必ず遵守してください。

図表 14:例2/技能実習への移行に関する受付・評価・支援(研修期間:1年、技能実習2年の場合

技能実習(2年)

[JITCO]

○技能実習修了認定証

の発給

研修(1年)

研修6か月までは上記イ.入国在留関係諸手続き

の支援および助言(研修期間:1年)に準じる。

地元入国管理局:JITCO への相談

[出入国港]上陸許可

入国事前準備

[JITCO 評価]

○研修成果(基礎2級)

○在留状況

○技能実習計画 2

1

[JITCO へ]技能実習移行希望申請書(研修9か月目までに)

[地方入国管理局へ]在留資格変更許可申請(研修 11 か月目)

※JITCO:入国管理局に提出する書類の点検、助言、取次・受領

代行

[地方入国管理局より]在留資格変更許可・特定活動(研修 1

か月)

[JITCO へ]技能実習状況・期間延長予定者報告(実習9か月目

までに)

[地方入国管理局へ]在留期間更新許可申請(実習 11 か月目)

※JITCO:入国管理局に提出する書類の点検、助言、取次・受領

代行

[地方入国管理局より]在留期間更新許可(実習 12 か月目)

[JITCO 評価]

○在留状況

[地方入国管理局へ]在留資格認定証明書交付申請

※JITCO:入国管理局に提出する書類の点検、助言、取次・受領代

[在外公館へ]

査証(ビザ)申

[都道府県]技能検定(3級)合格証書(実習 24 か月目目)

[出入国港]出国

1

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ハ.その他の支援・助言事業

また、JITCOは次のような支援・助言事業を行っています。

図表 15:その他のJITCO支援・助言事業

項 目 内 容

入国・在留関係諸申請の

取次ぎ

賛助会員に対する入管への送付・証明書の受領の代行サービス(有料)(原則:申請書は受入企

業が作成し、JITCOチェック終了後、企業自身が入国管理局へ持参)

技能実習を予定する研

修生の紹介

受入れ希望企業等の申込みにもとづき、海外送出し機関との連携により当該研修生を紹介する制

「研修」・「技能実習」

に関する助言・援助

①研修・技能実習成果向上支援(研修計画・技能実習計画作成の相談、日本語教育についての支

援、公共職業能力開発施設の斡旋、研修指導員セミナー等の開催、各種教材の開発・監修)、②

適正な研修・技能実習の促進(研修生・技能実習生事業における研修手当、賃金、および管理費

等ガイドラインの普及、技能実習ガイドライン等の普及、受入れ企業等との連絡会開催、調査・

巡回指導、講習会の開催およびパンフレットの提供)、③研修生・技能実習生の安全衛生の確保

(安全衛生・メンタルヘルスセミナーの開催や相談、労災保険給付へのアドバイス、安全衛生・

労災保険の情報提供)

総合相談サービス ①受入れについての相談・援助(セミナーの開催、定例説明会、出張説明会・相談会、講師派遣)

②研修生・技能実習生向け相談・支援(母国語による相談ホットライン、健康・医療相談、メン

タルヘルス相談、現地(地方)相談会、「研修生の友」の発行、母国語パンフレットの提供、実

習生手帳、安全衛生パンフレット)

海外情報の提供 ①研修希望分野や送出し機関等についての情報提供、②外国政府機関等との定期協議・意見交換

(研修・技能実習についての情報交換窓口[協議機関]、在京大使館との意見・情報交換、各国

との協議・情報交換、送出し機関セミナー)

外国人研修生・技能実習

生総合保険

①外国人研修生総合保険(労災保険等が適用とならない外国人研修生の研修期間中の傷害・疾

病・賠償責任・救援者費用を対象とした保険、2タイプ)、②技能実習生総合保険(労働保険、

社会保険の補完として、傷害・疾病・賠償責任・救援者費用を対象とした保険、4タイプ)

図表 16:JITCO 担当部門

担当事項 担当部門 電話番号

入国・在留関係諸手続きの支援および助言 出入国部 03-3233-0767

入国・在留関係諸申請の取次ぎ 出入国部 03-3233-0767

技能実習を予定する研修生の紹介 能力開発部 03-3233-0677

技能実習への移行に関する受付・評価・支援 能力開発部 03-3233-0677

「技能実習」に関する助言・援助 能力開発部 03-3233-0677

総合相談サービス 企業部 03-3233-1345

賛助会員に関する事項 企業部 03-3233-1345

海外情報の提供 国際部 03-3233-0998

外国人研修生・技能実習生総合保険 (株)国際研修サービス 03-5256-0455

書籍・教材販売 教材販売センター 03-3233-0717

(注1) 札幌、仙台、水戸、宇都宮、浦和、千葉、東京、横浜、新潟、富山、長野、静岡、名古屋、大阪、神戸、

広島、高松、福岡には駐在事務所があります。

(注2) 大阪・出入国担当(06-6945-6303)、名古屋・出入国担当(052-934-3950)では、研修生受入れ手続き

の相談をお受けしています。

2.現地に派遣する技術指導者の育成

この種の公的支援制度は、現地での技術指導を円滑に進めるため、派遣対象者のコミニュケーション

能力および指導力を育成することを目的としています。

(1)OVTAの海外派遣援助制度

従業員を海外に派遣し、実地に外国人を指導することにより、外国人に対する指導能力の開発・

向上を図るもので、派遣費用の一部をOVTAが援助します。派遣元と派遣先企業が資本提携関係

にある場合は、派遣元企業からの出資比率が 50%以下であることが条件であり、委託加工先、取引

先企業や出資比率 50%以下の合弁企業については利用可能となっています。

12

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また、派遣は所定要件を満たし、定期

的に開催される審査委員会の承認を得て

決定されます。派遣予定者は4週間の派

遣前研修を受講することとなっており、

申請から派遣まで、一般的には約3ヵ月

が必要です。

図表 17:OVTA 海外派遣援助制度の経費援助(派遣1名につき)

渡航費 実費(エコノミークラス往復航空運賃とする。)

支度費 80,000 円

現地滞在費 当協会規定日額(地域別3段階)

12,900 円、14,400 円、17,800 円

援助期間 原則として6ヵ月

図表 18:OVTA 海外派遣援助制度の手続きフロー

イ.担当部門

6ヵ月

約 1ヵ月

約 1ヵ月

約 1ヵ月

来所、FAX、E-mail で申込み

来所、FAX、E-mail で相談・支援

4週間

(海外職業訓練協力センター)

海外へ出発

中間報告の提出、中間評価調査実施、

支給申請

総合報告書を帰国 30 日以内に提出、

支給申請 帰 国

派 遣

実施契約書の締結

派遣前研修受講

審査委員会

申請書提出

相談・支援

派遣訓練申込書(事前相談用)国際交流部

(派遣訓練担当窓口)

TEL:043-276-7249

FAX:043-276-7280・0217

E-mail:icx@ovta.or.jp

URL:http://www.ovta.or.jp

ロ.14 年度審査委員会

(開催日)

4/10(水)、6/12(水)

8/7(水)、10/9(水)

12/11(水)、2/5(水)

(2)OVTAのシルバーコンサルタント事業

海外に派遣され、現地従業員の指導にあっている日本人従業員が派遣先で指導上の困難に遭遇し

た場合、日本人が赴任している海外の子会社、関連企業および取引先企業等の支援要請にもとづき、

派遣元企業がOVTAの推薦するシルバーコンサルタントの中から人選し派遣するもので、派遣費

用(経費)の一部をOVTAが援助します。

主な要件としては、①派遣元企業が雇用保険適用事務所であること、②派遣先企業に現地従業員

指導にあっている日本人が勤務し、任期が6ヵ月以上あり、原則として現地従業員が 10 名以上で日

本人従業員数が現地従業員数を下回っていること、③派遣期間は 14 日以上 45 日以内であること、

④派遣国が開発途上国(ODA対象国)であることが挙げられます。

図表 19:OVTA シルバーコンサルタント事業の経費援助(シルバーコンサ

ルタントの派遣1名につき)

渡航費 実費(エコノミークラス往復航空運賃とする。)

支度費 80,000 円(ただし、15 日未満の場合は 40,000 円)

ただし、過去1年以内に派遣がない場合に限る。

旅行傷害保険料 実費(50,000 円を限度とする。)

現地滞在費 日額 16,000 円

13

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ーイ.担当部門

国際交流部

TEL:043-276-7248・7289

FAX:043-276-0217

E-mail:icx@ovta.or.jp

URL:http://www.ovta.or.jp

ロ.シルバーコンサルタントの登録要件等

・年齢 45 歳以上~69 歳以下の個人(企業の在

籍の有無を問わない。)

・技術・技能等特定の指導可能な専門分野を

有すること

・OVTA所定の様式による登録

・派遣元企業が(自社社員を除く)派遣を希

望する人を登録後派遣可能

3.現地従業員の技術レベル等の向上

この種の公的支援制度は、現地従業員を日本国内も

ルの向上により生産効率および品質の向上を図ること

(1)海外貿易開発協会(以下「JODC」という。

日系現地法人等(以下「受入企業」という。)

望する場合、受入企業と出資関係にある我が国の

野について専門能力を有する従業員等をJODC

費用の一部をJODCが援助します。同事業には

遣事業と中対型と呼ばれる中小企業専門家派遣事

また、受入企業と協力企業の間で専門家の指導

合、またプラント輸出契約、取引契約等に基づい

の対象になりません。

さらに、派遣される専門家は派遣前に合意され

等に指導、助言するもので、現地の受入企業もし

動はできません。 図表 21:JODC 民間企業専門家派遣事業の制度別特徴

協力企業 派遣対象国 対象業種

ODA型 制限なし アジアを中心

とする開発途

上国

自動車部品、電気・電

部品、金型、治工具、

械類等の裾野産業及

関連産業

中対型 中小企業 制限なし 制限なし

(注1)協力企業が中小企業の場合

(注2)協力企業が大企業および見做大企業の場合、別途定め

(注3)企業負担における受入企業および協力企業の負担割合

(注4)運営分担金の負担は協力企業が行う。

14

図表 20:OVTA シルバーコンサルタント事業の手続きフロ

派遣費用の援助

コンサルタントの帰国

コンサルタントの派遣

①OVTAと派遣企業との契約締結 ②コンサルタントと派遣元企業間での契約(覚書)

締結

OVTAからのコンサルタントの推薦

派遣元企業からOVTAへの申請

派遣先企業から派遣元企業への支援要請

しくは現地(第3国を含む)にて研修し技術レベ

を目的としています。

)の民間専門家派遣事業

が製造技術や経営管理について改善を図ろうと希

企業等(以下「協力企業」という。)から改善分

の専門家として受入企業に派遣するもので、派遣

ODA型と呼ばれる産業技術等向上支援専門家派

業の2つの制度があります。

分野に係る技術役務提供契約が締結されている場

て役務の提供が約束されている場合にはこの事業

た指導分野に係る事項の範囲で受入企業の従業員

くは協力企業の従業員や役員等としての行為、活

派遣期間 費用負担(注1) 運営分担金

短期(1ヵ月から

1年未満)と長期

(1年以上2年

以下)

JODC(3/4)、受入

企業(1/4)(注2)

15%

(注4)

短期のみ JODC(2/3)、企業

負担(1/3)(注3)

15%

(注4)

あり

は両者で協議のうえ決定し協力企業がまとめて納付する。

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図表 22:JODC 民間企業専門家派遣事業の手続きフロー イ.担当部門

協力企業から JODC への申請書提出

a.協力企業、JODC 専門家(協力企業職員等)および

JODC の間で派遣に関する三者契約

b.受入企業、JODC の間で派遣に関する契約

JODC 資格・審査委員会による審査

JODC 専門家の派遣

受入企業から協力企業への依頼

ODA 型:派遣要請書(JODC・ジェトロの現地事務所の

推薦状を添付)

中対型:協力申込書

JODC から協力企業への申請書類用紙の送付

協力企業から JODC への調査票の提出融資・国際支援業務部

民間派遣グループ

TEL:03-5473-0981

FAX:03-5473-0987

E-mail:information@jodc.or.jp

URL:http://www.jodc.or.jp

ロ.具体的な指導計画

・協力企業は受入企業の技術等の指導分野に

ついて具体的な指導計画を作成する必要が

あます。指導計画とは、指導を必要とする

背景、目的、改善の目標等について明確、

具体的なものであり、派遣期間に対応する

指導の相手、指導方法等の具体的なスケジ

ュールを含みます。

(2)海外技術者研修協会(以下「AOTS」という。)の受入研修

受入研修は開発途上国の技術者・管理者を日本に招いて研修を行うもので、研修費用の一部に国

庫補助金が適用されます。受入研修には「一般研修」と「管理研修」があり、いずれも開発途上国

の技術者・管理者を対象としています。一般研修は個別実地研修の導入研修としての役割を担って

おり、研修終了後各企業における個別実地研修に移行します。管理研修は短期間に経営管理、生産

管理、環境といった専門分野を習得することを目的として、講義、討論を中心とした研修で個別実

地研修を省略することができます。

また、中小企業からの申込みの場合、「中小企業国際化支援のための受入研修」プログラムがあ

ります。研修の内容は一般研修に準じています。 図表 23:AOTS 受入研修の制度別特徴

研修制度 受入企業(注1) 受入対象国 AOTS研修期間(日本での研修期間) 費用負担(注2) 運営賛助金

一般研修 大中小企業 開発途上国 13週間、6週間および3週間コース(1

年以内)、9日間コース(120 日以内)

国庫補助金(3/4)

受入企業 (1/4)

(注3)

(注4)

中小企業国際化

支援のための

受入研修

中小企業 開発途上国

および

先進国

6週間および3週間コース(1年以

内)、9日間コース(120 日以内)

国庫補助金(2/3)

受入企業 (1/3)

(注4)

管理研修 大中小企業 開発途上国 2~4週間 国庫補助金(3/4)

受入企業 (1/4)

(注4)

(注1)受入企業となる条件は日本で法人格を有すること

(注2)受入企業が中小企業の場合

(注3)受入企業が大企業、別途定めあり

(注4)AOTS所定の補助対象経費以外は、事業運営賛助金として受入企業の負担

(担当部門) 図表 24:AOTS 受入研修の申込みパターン 業務部国内業務課

15

① TEL:03-3888-8257 受入企業等

FAX:03-3888-8242

E-mail:information@aots.or.jp 海外企業等 AOTS

②直接申込み URL:http://www.aots.or.jp

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図表 25:AOTS 受入研修の受入企業に対する説明会開催日 図表 27:AOTS 受入研修の手続きフロー

月 開催日

7月 2(火) 16(火)

8月 - 20(火)

9月 3(火) 17(火)

10 月 1(火) 15(火)

11 月 12(火) 26(火)

12 月 10(火) 24(火)

受付申込み

受付予約受理の登録・通知

研修申込み書類の提出

審査委員会による審査

(注)開催場所は東京センター 審査結果(承認)通知 図表 26:AOTS 研修センター一覧表

センター名 住所

東 京 〒120-8534 東京都足立区千住東 1-30-1

TEL:03-3888-8231

横 浜 〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦 1-5-1

TEL:045-786-1611

関 西 〒558-0021 大阪府大阪市住吉区浅香 1-7-5

TEL:06-6608-8260

中 部 〒470-0348 愛知県豊田市貝津町向畑 37-12

TEL:0565-43-2111

研修査証申請等

研修査証取得

研修生の来日

図表 28:2002 年度AOTS管理研修コース

使用言語 分野 研修コース名 研修期間 研修場所

英語 経営管理 企業経営研修コース 8/19~8/30 TKC

技術経営研修コース 11/13~11/26 TKC

国際企業管理者研修コース 7/17~7/30 YKC

国際管理研修コース 10/8~10/28 TKC

生産管理 全社的問題解決研修コース 7/3~7/30 CKC

革新的生産管理研修コース 8/21~9/17 YKC

工場改善実践コース 10/23~11/19 KKC

生産管理研修コース 2003.1/22~2/18 CKC

品質管理 品質経営研修コース(横浜) 9/4~9/24 YKC

品質経営研修コース(東京) 2003.1/15~2/4 TKC

品質管理研修コース 7/3~7/30 KKC

実践的問題解決研修コース 9/2~9/20 KKC

人と組織 人と組織の問題解決研修コース1,2 5/22~6/11

11/20~12/10

CKC

IT経営 IT経営革新研修コース 7/22~8/2 TKC

インターネットコマース研修コース 2003.3/3~3/14 TKC

環境 環境保全研修コース 8/28~9/10 KKC

中国語 経営管理 中国経営管理研修コース1,2 11/27~12/10

2003.2/26~3/11

YKC

財務管理 中国企業財務管理研修コース 7/3~7/23 YKC

生産管理 中国生産管理研修コース 9/4~9/24 CKC

人と組織 中国・人と組織の問題解決研修コース 2003.1/8~1/28 CKC

(注)研修場所のTKCは東京、YKCは横浜、KKCは関西、CKCは中部の各研修センターを指す。

(3)JITCOの外国人研修制度

受入企業の現地法人や取引先等の人間を日本で研修する場合において、当該人の在留資格は、『研

修』となります。この場合、上記1.(3)のJITCOの外国人研修制度が利用できます。

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(4)OVTAの受入研修

OVTAでは、個別企業や民間団体からの要請にもとづき、オーダーメードの研修を実施してい

ます。研修内容は、海外からの研修生を受け入れるにあたって、導入研修(日本語他)や実務研修

(パソコン他)があります。

(担当部門)

事業部訓練課

TEL:043-276-7242 FAX:043-276-7280・0217

E-mail:pdx@ovta.or.jp URL:http://www.ovta.or.jp

(5)AOTSの海外研修

海外研修には、実施協力機関登録の募集等の要件により基盤人材育成プログラム、産業人材育成

プログラム、専門人材育成プログラムがあります。例年、各プログラムの実施希望登録機関からA

OTSへの申込みが実施希望年度の前年 12 月までに行われ、年明け早々からAOTSの審査が行わ

れるといったスケジュールとなっていますので、かなり早い時期から準備を進めていく必要があり

ます。

専門人材育成プログラムは個別企業が企画・実施する集団研修であり、1講座当たり 10 名以上が

参加する必要があります。研修期間は1週間以上3ヵ月以内で、研修場所は現地工場での実施が可

能ですが、実施期間中は日常業務との兼務は認められていません。したがって、本研修は、工場新

設時における稼動が安定しない時期や新製品のライン増設時のように従業員を集中して研修に投入

できる時期を利用するのも一つの方法です。

また、基盤人材育成プログラムは日本の公益法人等、産業人材育成プログラムは日本または研修

実施国の法人格を有する企業・団体等が企画・実施し、研修生については全部もしくは一部が現地

で公募されますので、自社にあった講座に参加することができます。

図表 29:海外研修のプログラム別特徴

研修制度 協力機関 実施形態 実施国 研修期間 研修生数 募集方法 対 象

派遣講師

経費の

負担率

基盤人材育成P 日本の公益法人

20 名以上 公募 5名まで 30%

産業人材育成P 20 名以上 公募および

推薦(半数

以上公募)

5名まで 40%

専門人材育成P

日本または研修

実施国の法人格

を有する企業・団

体等

通常型

もしくは

第三国型

①通常型

開発途上国・地域

②第三国型

開発途上国・地域

もしくは先進国

3か月以内

(おおむね

1~3週間

程度)

10 名以上 推薦 3名まで 50%

(担当部門)

海外部海外研修課

TEL:03-3888-8215

FAX:03-3888-8242

E-mail:information@aots.or.jp

URL:http://www.aots.or.jp

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4.現地管理者の養成

この種の公的支援制度は、現地において日本人管理者および現地人管理者の管理能力向上させ、現地

企業の運営を円滑にすることを目的としています。

(1)中小企業総合事業団の現地管理者セミナー

中小企業総合事業団が日本の中小企業の現地法人が直面する様々な経営上の課題について、その

解決手法を学び取ってもらうことを目的として、毎年、海外現地でセミナーを開催しています。中

小企業総合事業団は各国の実情に即したテーマを選定するため、事前に現地法人管理者等に意見・

要望を聴取したうえセミナーを企画しています。

セミナーの内容は、現地スタッフによる事業の自主的な運営および海外事業活動の円滑な展開を

図るとの観点から、①日本人経営者向けの講演、②現地採用管理者向けの講義の二本立てで構成さ

れている。セミナーは、日本人経営者には現地事情を踏まえた経営のあり方を考えてもらい、現地

採用管理者には管理者としての役割認識や身につけておくべき知識・技法を理解してもらうことに

より、両者の相互理解を深めることを狙いとしています。

2002 年度については、中国(上海および天津)、インドネシア(ジャカルタ)、タイ(バンコク)、

ベトナム(ホーチミン)、米国(L.A)の6地域で開催する予定です。

詳しくは、中小企業総合事業団 調査・国際部 国際交流課までお問い合わせください。

(担当部門)

調査・国際部 国際交流課

TEL:03-5470-1571 FAX:03-5470-1527

E-mail:[email protected]

URL:http://www.jasmec.go.jp/ck/kokusai/seminar/genchi/index.html

図表 30:中小企業総合事業団現地管理者セミナー開催実績

年度 開催地 開催日 テーマ 対象者 参加者数

7/19 これからの中国現地法人経営における労務管理のポイント 日本人経営者 40

7/20 企業の管理者とは 66

中国福建省

厦門市

7/21 品質管理の重要性とその方法

中国人管理者

61

11/15 ①日本の中小企業国際化対策と海外進出企業支援策について

②マレーシアの中小企業政策と投資受入環境

日本人経営者 11

11/16 29

マレーシア

ペナン

11/17

問題解決(改善)とリーターシップ マレーシア人

管理者 26

11/27 ①日本の中小企業国際化対策と海外進出企業支援策について

②タイの中小企業政策と投資受入環境

日本人経営者 16

11/28 31

2000

タイ

バンコク

11/29

問題解決(改善)とリーターシップ タイ人管理者

29

10/ 3 ①組織を動かすコミュニケーションのスキル、②事例に学ぶローカルスタッフとのコミュニケー

ションのあり方

日本人経営者 35

10/ 4 管理者に求められるコミュニケーションのノウハウ 47

タイ

バンコク

10/ 5 生産現場における生産管理の技法

タイ人管理者

43

11/25 中国における現地法人のこれからの人事・賃金制度のあり方 日本人経営者 170

11/26 市場経済における企業活動と管理者の役割 149

中国

上海市

11/27 工場管理の基本と工場管理者の役割

中国人管理者

210

2/26 ①WTO加盟による市場の変化と台湾現地法人の企業戦略

②台湾現地法人の経営戦略-台湾企業の成功例、失敗例に学ぶ中国

ビジネス-

日本人経営者 47

2001

台湾

台北

2/27 競争市場における市場開拓の考え方とすすめ方 台湾人管理者 27

(3)AOTSの受入研修および海外研修

現地人管理者の管理能力を向上させたい場合、上記3.(2)および3.(5)のAOTSの研

修制度が利用できます。

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<参考資料>

1.「入国管理局」ホームページ

2.「国際インターンシップ インキューブ・ジャパン」パンフレット(日本貿易振興会)

3.「財団法人国際研修協力機構 JITCO」パンフレット(財団法人 国際研修協力機構)

4.「外国人研修生・技能実習生受入れ入門」( 〃 )

5.「セミナーガイド」(財団法人 海外職業訓練協会)

6.「事業のご案内」( 〃 )

7.「海外派遣援助制度」パンフレット( 〃 )

8.「シルバーコンサルタント事業」パンフレット( 〃 )

9.「民間企業専門家派遣事業のご案内」(財団法人 海外貿易開発協会)

10.「AOTS 受入計画概要 2002 年度」(財団法人 海外技術者研修協会)

11.「受入研修事業ご利用の手引き」( 〃 )

12.「AOTS 海外研修ご利用の手引き」( 〃 )

13.「中小企業総合事業団」ホームページ

(アジア業務相談室 篠 崎 幸 弘 )

本レポートは、情報提供のみを目的とした上記時点における当研究所の意見です。施策実施等に関する最終決定は、ご自

身の判断でなさるようにお願いします。また、当研究所が信頼できると考える情報源から得た各種データ等に基づいて

この資料は作成されておりますが、その情報の正確性および完全性について当研究所が保証するものではありません。

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資料 査証の区分

査証区分 在留資格

(在留期間) 入国を認められる外国人

就労の

可・否

外交査証 外交

(外交活動を行う期間)

1)外交官及び領事館並びにこれらの者と同一世帯に属する家族

2)条約又は国際慣行により外交使節と同様の特権・免除が規定されている者

公用査証 公用

(公用活動を行う期間)

外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又は在日外国公館の職員と同一世帯に

属する家族

教授

(3年又は1年)

大学若しくは大学に準ずる機関又は高等専門学校において教授、助教授、助手等として

迎えられる外国人

芸術

(3年又は1年)

作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家その他の収入を伴う芸術上の活動を行

おうとする芸術家

宗教

(3年又は1年)

外国にある宗教団体から日本に派遣されて布教その他の宗教上の活動を行おうとする

宗教家

報道

(3年又は1年)

外国の新聞社、通信社、放送局、ニュース映画会社その他の報道機関との契約に基づい

て日本で取材その他の報道上の活動を行おうとするジャーナリスト

投資・経営

(3年又は1年)

投資・経営を行い、又はその事業の管理業務に従事しようとする外国人で、事業の規模、

待遇面や経歴についての一定の要件を満たすもの

法律・会計

業務

(3年又は1年)

法律・会計関係の職業のうち、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、

公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政

書士としての日本の法律上の資格を有する外国人

医療

(3年又は1年)

医療関係の職業のうち、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、助産婦、看護婦、准看護婦、

看護士、准看護士、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練

士、臨床工学技士、義肢装具士としての日本の法律上の資格を有する外国人で待遇等に

ついての一定の要件を満たすもの

研究

(3年又は1年)

国または地方公共団体の機関や特殊法人等との契約に基づいて試験、調査、研究等を行

う業務に従事しようとする外国人及びこれら以外の機関との契約に基づいて試験、調

査、研究等を行う業務に従事しようとする外国人で経歴や待遇面についての一定の要件

を満たすもの

教育

(3年又は1年)

小・中・高等学校、専修学校及び各種学校において教育をする活動に従事しようとする

外国人

技術

(3年又は1年)

理学、工学等いわゆる自然科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事し

ようとする外国人で、経歴や待遇面についての一定の要件を満たすもの

人文知識・国際業務

(3年又は1年)

1)法律学、経済学等いわゆる人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事し

ようとする外国人で、経歴や待遇面についての一定の要件を満たすもの

2)外国人特有の文化的知識や感性を生かして活躍する通訳、翻訳、コピーライター、

ファッション・デザイナー、インテリア・デザイナー又は販売業務、海外業務、情報処

理、国際金融、設計若しくは広報・宣伝等の業務に従事しようとする外国人で、経歴や

待遇面についての一定の要件を満たすもの

企業内

転勤

(3年又は1年)

外国にある日本企業の子会社、支店等からその企業の日本国内の本店等に転勤し、又は

外国にある本店から日本国内にある支店等に転勤して、技術の在留資格又は人文知識・

国際業務の在留資格に該当する活動を行おうとする外国人で、経歴や待遇面についての

一定の要件を満たすもの

興業

(1年、6月又は3月)

1)演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興業関係の活動を行おうとする外国

人で、経歴、待遇面及び興業形態についての一定の要件を満たすもの

2)テレビ番組や映画の製作、モデルの写真撮影等の芸能活動を行おうとする外国人で、

待遇面についての一定の要件を満たすもの

就業査証

技能

(3年又は1年)

我が国の産業上の特殊な分野に属する熟練した技能(外国料理の調理、外国食品の製造、

外国特有の建築又は土木及び宝石・貴金属又は毛皮の加工等に係る技術)を要する業務

に従事しようとする外国人で、経歴や待遇面で一定の要件を満たすもの

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査証区分 在留資格

(在留期間) 入国を認められる外国人

就労の

可・否

文化活動

(1年又は6月)

日本国内で収入を得ることなく学術上又は芸術上の活動を行おうとする外国人及び日

本特有の文化又は技芸について専門的な研究を行い、又は専門家の個人指導等を受けて

学ぼうとする外国人

留学

(2年又は1年)

大学等の高等教育機関で教育を受けようとする外国人で、生活費用の支弁能力等につい

て一定の要件を満たすもの

就学

(1年又は6月)

高等学校において教育を受けようとする外国人又は各種学校等において日本語その他

の教育を受けようとする外国人で、生活費用の支弁能力等について一定の要件を満たす

もの

研修

(1年又は6月)

技術、技能又は知識の習得をする活動(産業上の技術・技能の研修のみならず、地方自

治体等での行政研修や知識を習得するための事務研修も含まれる)を行おうとする外国

人で、研修実施体制等についての一定の要件を満たす研修受入先において、同一の作業

の反復のみによって修得できるものではない技術等を修得しようとするもの

一般査証

家族滞在

(3年、2年、1年

6月又は3月)

上記の在留資格のうち「教授」から「文化活動」及び「留学」の在留資格をもって在留

する者の扶養を受ける配偶者又は子

特定活動

(3年、1年、6月

又は1年以内の指定

された期間)

外交官・領事館等に私的に雇用される家事使用人として入国しようとする外国人、ワー

キング・ホリデー制度により入国しようとする外国人、企業等に雇用されてアマチュ

ア・スポーツの選手として活動しようとする外国人及びその扶養を受ける配偶者又は

子、国際仲裁代理を行う外国弁護士、インターンシップの活動を行う大学生等

一部可

(注1)

日本人の

配偶者等

(3年又は1年)

日本人の配偶者、日本人の子として出生した者及び日本人の特別養子

永住者の配偶者等

(3年又は1年)

永住者の在留資格をもって在留する者若しくは平和条約国籍離脱者等入管特例法に定

める特別永住者の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に

在留している者

特定査証

定住者

(3年、1年又は3年以

内に指定された期間)

いわゆる難民条約に該当する難民、定住インドシナ難民、日系2世、3世等の定住者

(注2)

短期滞在

査証

短期滞在

(90 日又は 15 日)

日本に短期滞在して、観光、保養、スポーツ、親族・友人・知人の訪問、病気見舞い、

冠婚葬祭出席、競技会やコンテスト等へのアマチュアとしての参加、市場調査、業務連

絡、商談、契約調印、輸入機械のアフターサービス等の商用、工場や見本市等の見学・

視察、講習会や説明会等への参加、学術上の調査や研究発表、宗教的巡礼や参詣、姉妹

都市や姉妹学校等への親善訪問などの活動を行おうとする外国人

通過査証 短期滞在

(15 日)

外国から日本を経由して他の外国に旅行するため短期間(15 日以内)日本に滞在して出

国しようとする外国人(滞在中の活動の範囲は観光、娯楽及び休養の類に限られる)

(注1)就労が認められるかどうかは個々の許可内容による。

(注2)我が国での活動に制限がない。

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ご意見をお聞かせください。

信金中央金庫 総合研究所

アジア業務相談室 行

信金中央金庫 総合研究所に対するご要望

今後、「アジア業務相談室情報」で取り上げてもらいたいテーマ

今回の「アジア業務相談室情報 Vol.14」について

年 月 日 貴金庫(社)名 ご芳名 ご担当部署・役職名 ご住所

ありがとうございました。信金中央金庫担当者にお渡しいただくか、総合研究所宛ご送付ください。

(〒104-0031 東京都中央区京橋3-8-1)

(E-mail:[email protected]) (FAX:03-3563-7551)