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特殊な舗装工法や製品の環境配慮[1]新しい舗装工法や製品の開発に力を入れ、ヒートアイランド現象の緩和などの環境配慮を進めています。
路面温度の上昇を抑制してヒートアイランド現象を緩和◆クールパービアス 熱を遮り温度上昇を抑える
クールパービアス(遮熱排水性舗装)は、排水性舗装
の表面に赤外線を反射する塗料を混ぜた樹脂を散布
した舗装です。水はけがよく騒音が少ないという排水性
舗装の特徴に加え、舗装の蓄熱を防ぎ、路面温度の
上昇を抑える機能を持ちます。
クールパービアスを採用すると、通常のアスファルト舗装
に比べ、濃い灰色の樹脂を塗った場合は最大で約15℃、
灰色の樹脂を塗った場合には最大で約20℃、路面温度
が低くなります。この工法は、国土交通省関東地方整
備局が推進する「環境舗装東京プロジェクト」で、ヒート
アイランド対策に有効な舗装技術の一つとして評価され
ました。(NETIS登録番号:TH-020057)
◆クールポリシール 打ち水効果で路面温度を下げる
クールポリシール(保水性舗装)は、空隙のたくさん
あるアスファルト混合物の隙間にクールグラウトという保
水材料を詰めた舗装です。降雨や散水で舗装に浸透
した水を蓄え、水が蒸発する際の気化熱による打ち
水効果で路面温度を下げます。
クールポリシールを採用すると、通常のアスファルト舗
装に比べ、路面温度が最大で約15℃下がるため、ヒ
ートアイランド現象を緩和し、歩行者の快適性を確保
することができます。また、クールポリシールは保水量が
1m2当たり最大約6リットル(舗装厚5cmの場合)と保水
力が高いうえ、その水を保持する力も優れています。
(NETIS登録番号:KT-030054)
クールパービアスが温度上昇を抑える仕組み クールポリシールが路面温度を下げる仕組み
東京都内での施工例(手前:濃灰色樹脂を使用、奥:灰色樹脂を使用) 横浜市内での施工例
拡大図
CO2排出量を減らして地球温暖化防止に貢献◆エコファイン CO2排出量を約15%削減
エコファイン(中温化混合物)は、従来よりも約30℃低い
温度で製造・舗装できるアスファルト混合物です。フォーム
セットという特殊添加剤を使用し、アスファルト中に非常に
細かな泡を発生させ、これにベアリングのような効果を発
揮させることにより、低温での製造・舗装を可能にしまし
た。品質や施工性は従来と変わりません。
エコファインは、製造温度が低いためエネルギー使用
量が減り、CO2排出量を従来よりも約15%削減できます。
また、舗装後は従来よりも約1時間早く道路の使用を開
始できるため、交通渋滞の緩和にも貢献できます。またそ
の他の使い方として、従来と同じ温度で製造・舗装して
も軽いローラーだけで十分な締め固め効果を得ることが
でき、寒冷期ではアスファルト混合物の使用時間を延ば
すこともできます。(NETIS登録番号:CB-980017)
雨水を地下に浸透させ、都市型洪水を抑制◆アクアパービアス 雨水を地下に通す舗装
アクアパービアス(車道透水性舗装)は雨水を地下に
浸透させる舗装です。従来、雨水を通す透水性舗装は
歩道や生活道路などにしか使用できませんでしたが、舗
装材料の耐久性を向上させることで、車道にも採用でき
るようにしました。
アクアパービアスは、1日当たり36mm以上の雨水を舗
装の中にためる能力を持ちます。環境保全の面では、下
水処理施設への負荷低減、雨水の地下水涵養、街路
樹保護、騒音の低減などの効果があります。また、車輌
走行の安全性では、雨天時の水はね防止やハイドロプ
レーニング現象の抑制といった効果があります。アクアパ
ービアスのフィルター層には、タイルくずや焼却灰の溶融ス
ラグなど、廃棄物を原料として再利用することもできます。
(NETIS登録番号:CB-010032)
NIPPO Environmental Report 2004 10
アクアパービアスにおける雨水の流れ
一般舗装における雨水の流れ
高速道路での施工例
一般舗装
アクアパービアス
NETISとは、新技術に関する情報収集・共有を図るために国
土交通省が整備したデータベースシステム「新技術情報提供シ
ステム(New Technology Information System)」です。この
NETISはインターネットで一般公開されており、誰でも容易に新
技術情報を入手できるようになっています。
NETISとは
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走行速度を抑え、沿道の生活環境を改善◆スピードセーブ工法 スピードの出しすぎを防ぐ
スピードセーブ工法(速度抑制舗装)は、制限速度を
超過した車両に揺れを生じさせ、不快感を与えて速度
抑制を促す舗装工法です。滑らかな正弦波を連続して
5波程度設けた路面で、制限速度を超過した車両にだ
け揺れを生じさせます。従来使われていた凸型円形ハン
プ(車道上の突起)とは異なり、スムーズな減速効果が得
られるため、荷崩れや車体の損傷などが起こる心配はあ
りません。制限速度に応じて波高・波長が選べるので、
生活道路や構内道路、主要幹線道路などに施工するこ
とができます。交通事故の減少、沿道騒音の低減、山
岳路や直線道路での集団暴走行為の排除などの効果
が期待できます。(NETIS登録番号:KT-980117)
車線の逸脱を防ぎ、走行時の安全性を向上◆ランブルストリップス 車線逸脱を知らせる
ランブルストリップス(切削型注意喚起舗装)は路上に
溝を作り、車線逸脱を防ぐ注意喚起舗装の一つです。
道路の中央部や端を不連続的に切削し、凹型の切削
溝を設けます。タイヤがランブルストリップス上を通過する
とゴロゴロという音と振動が発生。これにより車線から
外れそうになっていることを運転者に知らせ、事故を防
止します。
従来からセンターポールなどによる正面衝突防止対策
が取られていますが、除雪作業の妨げとなり、取り外しに
手間と費用がかかるため、設置が進んでいません。ラン
ブルストリップスは設置費用が安く、維持費用もほとんど
かかりません。二輪車に対する安全性も高くなっていま
す。独立行政法人北海道開発土木研究所との共同開
発工法です。(NETIS登録番号:HK-030032)
団地内道路での施工例 センターライン上での施工例
特殊な舗装工法や製品の環境配慮[2]製品や舗装工法の工夫を通して、自動車の安全性向上やリサイクル促進などにも力を入れています。
■スピードセーブによる走行速度の低減効果の例
採用事例 テクノポート福井福井港に隣接する工業団地「テクノポート福井」では、夜に
なるとよくカーレースが行われていました。夜間作業の従業
員が帰宅途中危険に晒される、車の騒音がひどい、レース
の参加者と見物人がごみを放置するなどの問題で立地し
ている企業はとても困っていました。そこで企業連絡会とし
て対策を依頼し、その結果スピードセーブ工法が採用されま
した。施工後はカーレースがまったく行われなくなり、みんな
喜んでいます。テクノポート福井企業連絡会副会長 大津 明孝氏
NIPPO Environmental Report 2004 12
廃棄物リサイクルを促進◆ニューランソフトブロック 廃タイヤを再資源化
ニューランソフトブロック(廃タイヤ利用弾性ブロック)は、
下層にリサイクルラバーと廃タイヤ粉末、上層にカラーゴム
チップを用いた2層構造のインターロック式弾性ブロックで
す。高機能で安全性が高く、快適な歩き心地と歩行空
間を実現します。色は9種類、厚みは2種類(15mmと
25mm)あります。
(エコマーク認定番号:第96022005号、NETIS登録番号:
KT-980124)
周辺環境の保全と作業環境の改善に貢献◆テフィックス 新タイプの固化材で塵の発生を防ぐ
テフィックス(テフロン 処理防塵固化材)は、セメントや
石灰などをテフロン樹脂で加工した防塵型の土質安定
材です。施工時に塵が発生しにくく(従来の固化材に比
べ塵の発生量は1/10~1/100)、作業現場周辺の環境
保全や作業環境の改善に貢献します。テフィックスC(セ
メント系)、テフィックスS(六価クロム対応型)、テフィックス
L(消石灰系)、テフィックスQ(生石灰系)の4種類があり、
土質に応じて選べます。(NETIS登録番号:CB-980051)
◆ミックスラガ 廃ガラスを再資源化
ミックスラガ(ガラス再資源化ブロック・タイル)は、空きび
んや廃ガラスを主原料(70%使用)とした焼成ブロック・タ
イルです。廃棄物削減に貢献するほか、低温で焼成でき
るため、従来の焼成ブロックなどに比べ省エネルギー化
を図っており、CO2排出量を26%削減しています。グリー
ン購入特定調達品にも指定されています。
(NCT2シリーズ:透水性ブロックタイプ、NCLBシリーズ:ブロッ
クタイプ、NFTシリーズ:タイル。エコマーク認定番号:第
97064004号、第97064005号。NETIS登録番号:KT-
980119)
透水性ブロック(NCT2シリーズ)
歩道橋での施工例 商店街での施工例
(上)通常のセメント上で建設機械を移動させた場合(下)テフィックスC上で建設機械を移動させた場合
歩道での施工例