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電線・機材・エネルギー 2009年7月・SEIテクニカルレビュー・第175号 39 で1本のHTS線材(≒1mm 2 )当りの Ic=200A級の DI-BSCCO ® が開発されている (2)、(16が、この HTS線材を 液体水素(Liquid or Liquefied Hydrogen : LH2)温 度(20K=–253℃)で冷却すると、Icはおよそ6倍 (200A× 6 >1KA)に増加させることが可能となり (7) 「A・T(Ampere× Turn)」で決まる出力(トルク)を、超 コンパクト性を保ちつつ損失極小の下に高めることができ るので、理想的に高いエネルギー効率のモーターが実現可 能である。しかしながら、これまでは、HTS モーターをこ の LN2/LH2 温度まで冷却し、それを維持するシステムに課 題が残っていた。 一方、水素資源を活用した「FC 車」や「水素エンジン 車」を普及させてゆくには、(ガソリンステーション又は スタンドに相当する水素供給の)「水素ステーション(ス タンド)」インフラの整備が必須である。この分野で先行 する EU や北米の現況を見ると、各地に点在する水素ス テーションへの水素の補給は、ガソリンと同様、オフサイ トで製造される水素を、「液体水素(LH2)タンクローリー」 を用いて配送するシステムの実用性と実現性が最も高いも のと考えられる。一方、持続的(Sustainable)エネル ギーとしての水素の発生を考えると、オフサイトで副産物 として生産される水素、あるいは新エネルギー(主として 太陽電池電力)を用いて集中的に生産される水素に依存せ ざるを得ない時代が遠からず到来する点が指摘されており (7)、(8) 、いずれにせよ水素ステーションには「LH2 が供給さ 1. 緒  言 自動車は近代文明が生み出した最高の利器の一つであり、 今日人口の増加と発展途上国の活発な経済活動の下に、急 速にその数を増やしてきている。一方、「エネルギー・資 源・環境」の観点からは、燃料として用いる化石燃料の消 費増加による資源枯渇の問題と、排気ガスとして放出する 温暖化ガス(自動車が排出する CO2 は、総排出量の約 1/4 に相当)による環境悪化が急速に進展してきており (6)〜(8) 今日では殆どすべての自動車メーカーが、資源と環境に配 慮して“電気モーターを活用した EV(Electric Vehicle) 又はHEV(Hybrid Electric Vehicle)”を開発・実用化し てきている 14)、(19。その究極の姿が、水素(H2)を燃料とし た「燃料電池(Fuel Cell : FC)電気自動車」又は「水素 エンジン自動車」とされている (9)、(10。一方、ここの所急速 に「高温超電導技術(HTS : High Temperature Super- conductivity)」が進展してきている (1)〜(3)、(16)、(17が、電気 抵抗が殆どゼロの HTS 線材を巻回した電気モーターを用い れば、強力なトルクをコンパクトで省エネルギーの下に得 ることが可能となり、移動体駆動用モーターとして最適で あることが判明してきた (4)、(14。既に第一世代 HTS線材 (DI-BSCCO ® )を用いた、液体窒素(Liquid or Liquefied Nitrogen : LN2)冷却 HTS モーターが試作されて、船舶 用途 (5) あるいは自動車用途 11に試験されつつある。 HTS線材は、冷却温度を下げるとその許容通電電流 (Ic:Critical Current〈臨界電流〉)を大幅に増加させる ことが可能である (7) 。既に液体窒素温度(77K=–196 ℃) The Road to Liquid Hydrogen Electric Vehicle Powered by High-Temperature Superconducting Motor - Utilizing Tank Trucks to Deliver LH2 - by Ryosuke Hata and Shigeki Isojima The 21st century is “the era of energy, resource and environment.” In the near future, an increasing population and advanced civilization will urge us to rely on solar- derived new energy sources. More specifically, hydrogen (H2) energy generated by photovoltaic power will assume an important role and start powering the blessings of modern civilization, vehicles. The H2 energy will be delivered in liquid form by a tanker to H2 stations, where the liquid hydrogen (LH2) will be supplied to every automobile. Meanwhile, high-temperature superconducting ( HTS) materials and technologies have markedly developed. By utilizing its application technologies, such as Sumitomo Electric’s cutting-edge BSCCO, an ideal hybrid electric vehicle (HEV) will be practical. LH2, which produces 20 K cool energy, can act as a coolant itself for an HTS motor and original cooling equipment will not be necessary any more. Thus, LH2 holds high potential for the realization of an energy-efficient environmental-friendly compact HEV and LH2, besides high-pressure H2 gas, should be developed for an HEV under a specific target. Keywords: HTS HEV, sun-originated LH2, LH2 tank-truck, LH2 station, LH2 HTS HEV 液体水素搭載高温超電導モーター駆動 電気自動車への道 液体水素配送タンクローリーの活用 畑   良 輔 ・礒 嶋 茂 樹

液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

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Page 1: 液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

電線・機材・エネルギー

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−39

で 1 本 の HTS 線 材 ( ≒ 1mm2) 当 り の Ic=200A 級 のDI-BSCCO®が開発されている(2)、(16)が、この HTS 線材を液体水素(Liquid or Liquefied Hydrogen : LH2)温度 ( 20K= –253 ℃ ) で 冷 却 す る と 、 Ic は お よ そ 6 倍

(200A × 6 > 1KA)に増加させることが可能となり(7)、「A・T(Ampere × Turn)」で決まる出力(トルク)を、超コンパクト性を保ちつつ損失極小の下に高めることができるので、理想的に高いエネルギー効率のモーターが実現可能である。しかしながら、これまでは、HTS モーターをこのLN2/LH2 温度まで冷却し、それを維持するシステムに課題が残っていた。

一方、水素資源を活用した「FC 車」や「水素エンジン車」を普及させてゆくには、(ガソリンステーション又はスタンドに相当する水素供給の)「水素ステーション(スタンド)」インフラの整備が必須である。この分野で先行する EU や北米の現況を見ると、各地に点在する水素ステーションへの水素の補給は、ガソリンと同様、オフサイトで製造される水素を、「液体水素(LH2)タンクローリー」を用いて配送するシステムの実用性と実現性が最も高いものと考えられる。一方、持続的(Sustainable)エネルギーとしての水素の発生を考えると、オフサイトで副産物として生産される水素、あるいは新エネルギー(主として太陽電池電力)を用いて集中的に生産される水素に依存せざるを得ない時代が遠からず到来する点が指摘されており

(7)、(8)、いずれにせよ水素ステーションには「LH2 が供給さ

1. 緒  言

自動車は近代文明が生み出した最高の利器の一つであり、今日人口の増加と発展途上国の活発な経済活動の下に、急速にその数を増やしてきている。一方、「エネルギー・資源・環境」の観点からは、燃料として用いる化石燃料の消費増加による資源枯渇の問題と、排気ガスとして放出する温暖化ガス(自動車が排出する CO2 は、総排出量の約 1/4に相当)による環境悪化が急速に進展してきており(6)〜(8)、今日では殆どすべての自動車メーカーが、資源と環境に配慮して“電気モーターを活用した EV(Electric Vehicle)又はHEV(Hybrid Electric Vehicle)”を開発・実用化してきている(14)、(19)。その究極の姿が、水素(H2)を燃料とした「燃料電池(Fuel Cell : FC)電気自動車」又は「水素エンジン自動車」とされている(9)、(10)。一方、ここの所急速に「高温超電導技術(HTS : High Temperature Super-conductivity)」が進展してきている(1)〜(3)、(16)、(17)が、電気抵抗が殆どゼロのHTS 線材を巻回した電気モーターを用いれば、強力なトルクをコンパクトで省エネルギーの下に得ることが可能となり、移動体駆動用モーターとして最適であることが判明してきた(4)、(14)。既に第一世代 HTS 線材

(DI-BSCCO®)を用いた、液体窒素(Liquid or LiquefiedNitrogen : LN2)冷却 HTS モーターが試作されて、船舶用途(5)あるいは自動車用途(11)に試験されつつある。

HTS 線材は、冷却温度を下げるとその許容通電電流(Ic : Critical Current〈臨界電流〉)を大幅に増加させることが可能である(7)。既に液体窒素温度(77K=–196 ℃)

The Road to Liquid Hydrogen Electric Vehicle Powered by High-Temperature Superconducting Motor − Utilizing Tank

Trucks to Deliver LH2 − ─ by Ryosuke Hata and Shigeki Isojima─ The 21st century is “the era of energy, resource

and environment.” In the near future, an increasing population and advanced civilization will urge us to rely on solar-

derived new energy sources. More specifically, hydrogen (H2) energy generated by photovoltaic power will assume animportant role and start powering the blessings of modern civilization, vehicles. The H2 energy will be delivered in

liquid form by a tanker to H2 stations, where the liquid hydrogen (LH2) will be supplied to every automobile.Meanwhile, high-temperature superconducting (HTS) materials and technologies have markedly developed. Byutilizing its application technologies, such as Sumitomo Electric’s cutting-edge BSCCO, an ideal hybrid electric

vehicle (HEV) will be practical. LH2, which produces 20 K cool energy, can act as a coolant itself for an HTS motor and

original cooling equipment will not be necessary any more.

Thus, LH2 holds high potential for the realization of an energy-efficient environmental-friendly compact HEV and LH2,

besides high-pressure H2 gas, should be developed for an HEV under a specific target.

Keywords: HTS HEV, sun-originated LH2, LH2 tank-truck, LH2 station, LH2 HTS HEV

液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道

—液体水素配送タンクローリーの活用—

畑   良 輔*・礒 嶋 茂 樹

Page 2: 液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

れる」可能性が高いものと考える。この「LH2 ステーションインフラ」と「HTS モーターのLH2 下での活用」を結合させると、「液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車(LH2 HTS HEV)」のコンセプトが浮び上がってくる。持続的エネルギー、すなわち太陽起源の水素を用いた、完全にクリーンでグリーンかつ省エネルギーでコンパクトな自動車と(液体)水素ステーションは、未来の人類に対して、尚、利便的で必須の自動車をコアとする社会システムの維持を継続的に保証するものと考える。

本論文では、LH2 HTS モーターの高効率化に加えて、LH2 ステーションインフラ整備にスポットライトを当てて、日本の未来の水素自動車の開発に、「高圧常温水素ガス搭載車」だけではなくて、「液体水素搭載車」も加えることによって、HTS という革新的技術との統合による、より理想に近い車社会の早期実現を促したい。

2. 自動車技術の変遷と未来展望

図 1 に、本論文で論じたい「自動車技術の変遷と未来展望(究極の未来車への道)」を、その技術の必要な理由、及びそれをサポートする革新技術と併せて示す。20 世紀に於ける人口増加、経済活動の進展と共に、ガソリン自動車の数は激増した。その結果、化石燃料の消費と地球温暖化ガス(CO2)の排出も急増し、これらを改善する必要から、図 2 の通り、京都議定書が合意された(6)1997 年(12 月10日)に、電気モーターとガソリンエンジンを複合したHEVが出現した。その後更に、エネルギー効率を上げてCO2 を排出しない電気モーター駆動車 EV が開発されて、本年

(2009 年)には型式認定車として上市される予定である。EV の特色は、低速大トルク発生と共に、自動車の制動

(ブレーキ)時にモーターを発電機に変えて、エネルギー

を回生できることにある。一方、並行して電気抵抗ゼロのHTS 技術も急伸してきており(1)〜(3)、銅線を用いた電気モーター(通電ロスによる発熱を強制水冷して使用)を、液体窒素(LN2 で 77K)冷却下で HTS DI-BISCCO®に置き換えたHTS モーターが開発されて、図 2 の通り、京都議定書が発効した 2005 年(2 月 16 日)にまず船舶用 HTSモーターとして試験された(4)、(5)、(12)。HTS モーターのコンパクト性と高エネルギー効率性は、表 1 に示す通り、すべての移動体に共通して云えることであり、住友電工㈱は、後述する通り、2008 年の洞爺湖サミットに世界初の

「HTS EV」を試作出展し試走させた。一方、21 世紀に入ってからも、益々化石燃料資源の(Peak-out から)枯渇の問題とCO2 排出量増加による地球温暖化の問題が厳しくなってきており(6)〜(8)、先進各国政府及び自動車工業界は、クリーンでグリーンな最終エネルギー資源と目される、

“H2 を用いたFC 車あるいは水素(エンジン)車”の開発と実証試験を繰り返す様になってきた(9)、(10)、(15)、(19)が、この時点では、自動車と水素ステーションインフラは、必ずしも統合して開発されている訳ではなく、むしろ各々独立して展開されているのが実情であると云える。特色的なこととして、日本の FC 車はすべて「高圧(300 〜 750 気圧)常温水素ガス搭載」を目標にしているのに対して、例えば独BMW の開発する水素(エンジン)車は「液体水素搭載型」である点である。又、欧米の水素ステーションは、「液体水素及び水素ガスの両方供給型」が多い(14)のに対して、日本では FC 車に合わせてすべて「水素ガス供給ステーション」になっていることである。LN2 冷却 HTS EV は原則冷凍機を搭載する必要があり、これがかなりのハンディーになっている。しかしながら、もし自動車も水素ステーション も LH2 で 統 一 さ れ る と す れ ば 、 LH2 の 温 度 が 20K

(– 253 ℃)故、HTS DI-BSCCO®線材のIc は略6 倍に増加

液体窒素(LN2)冷却高温超電導モーター車

HTS (H) EV

HTSモーター+

バッテリー 水素(H2)エンジン車

ガソリンエンジン車

*非化石燃料化*CO2排出 皆無*資源の持続性

*モーター効率向上*コンパクト化*省エネ

現在(~2009年) 近未来(~2020) 未来(2020~) 〈究極の自動車〉

*CO2排出回避*エネルギー効率up

*化石燃料消費削減*環境改善(CO2排出削減) 液体水素配送トレーラー活用

水素ステーションインフラ整備太陽電池+水の電気分解で水素生成(持続的資源)

H2燃料電池(FC)車FC+

電気モーター+

バッテリー

ハイブリッド車(HEV)ガソリンエンジン

+電気モーター

+バッテリー

電気自動車(EV)電気モーター

+バッテリー

水素エンジン発電HTS HEVエンジン+

HTSモーター+

バッテリー

FC発電HTS HEVFC+

HTSモーター+

バッテリー

液体水素搭載車

図 1 自動車技術の変遷と未来展望(究極の未来車への道)

−( )− 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道   —液体水素配送タンクローリーの活用—40

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し(7)、LN2 冷却に比して、よりコンパクトで高効率のHTSモーターが達成されるのみならず、自動車に冷凍機を搭載する必要性が無くなる。つまり、燃料としてのLH2 の低温度をそのまま HTS 線材の冷却に併用すれば済むことになり、一気に前記ハンディーを克服した冷凍機非搭載の“理想の車”が実現することになる。他方、太陽起源のエネルギーで H2 を得て、LH2 タンクローリーで LH2 を水素ステーションに配送すれば、自動車駆動エネルギー資源の持続性と、インフラとしての水素ステーション整備への道が拓かれることになる。従って、我国も図 1 に従って、欧米

に技術開発の先行を許すことなく、(「高圧 H2 ガス搭載型FC EV」のみならずこれに加えて、)「LH2 搭載型FC EV 又は H2 エンジン HEV」も開発のテーマとすべきことを強く主張したい。

3. 高温超電導技術開発の歴史と現況

1986 年に発見された高温超電導現象は、その後様々のHTS 材料の発見につながったが、今日、商用ベースで実用化されているのは、1988 年に日本で発見されたセラミックス材料からなる“第一世代の BSCCO”を商用化した住友電工㈱製の DI-BISCCO®のみである(1)、(2)、(17)。但し、目下、1987 年に米国で発見された“第二世代の YBCO”について、日米両国で開発・商用化競争が繰り広げられており、これに成功した暁には、第一世代のBSCCO に比して、より高性能で安価な HTS 線材が供給される見込みである。高温超電導の“高温”の意味は、空中に無尽蔵に存在し、抽出・液化の容易な、従って安価(ミネラルウォーターが約100 円/ℓに対してLN2 は略50 円/ℓ)で無害、かつ絶縁特性に優れた窒素(N2)ガスを77K で液化して冷媒として用いた時、材料が超電導となる場合を表わしており、Tc

(超電導臨界温度)が 77K 以上を示す。一方、これら HTS材料は、過冷却すると許容臨界電流(Ic)が増加してゆくことが知られている。この冷媒温度とIc の関係をまとめると、図 3 の通りとなる。LN2 は入手し易く冷却し易い点で

表 1 超電導機器のメリット

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−41

応用例 内  容

低 ロ ス

小   型

軽   量

大トルク

高 磁 場

高 精 度

静 粛 性

保 守 性

安 定 性

総合経済性

備  考

MRI(医療用) 高磁場発生源 ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ 高温超電導化で僻地でも利用可能に

NMR 超高磁場発生源 ○ ◎ ○ 高機能機種(>1GHz)

ケーブル(交流、直流) 小さな直径で大電力、低ロス ◎ ◎ ○ ◎ 電力会社、米国政府プロジェクト、

自然エネルギーとの組合せ、鉄道

変圧器新幹線用 ○ ◎ 軽量化が至上課題

電力用 ◎ ○ ○ 地下変電所向けなど

限流器 事故電流抑制 ○ ○ ○ 既設電力網に導入可能

SMES 磁場エネルギー貯蔵 ○ ◎ 系統安定性

移動体

リニア新幹線 磁場で浮上、金属超電導線代替 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ 信頼性向上、総合経済性

船舶用モーター 小型化で推進抵抗の削減 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 産学共同、400kW機開発

航空機推進 軽量化、燃料電池電力の利用 ○ ○ ◎ ○ ◎ 米空軍

自動車 駆動モータの大トルク、低ロス化 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 液体水素燃料にて効果大

容湯の固化制御 高磁場で対流抑制 ○ ◎ ○ 次世代大型単結晶炉、鉄鋼の生産

ロボットアーム 可動部分の軽量化、高精度化 ○ ○ ◎ ○ 関節の先の方で有効

工作機器 大トルクのためギアレス・高精度化、保守性向上 ○ ○ ◎ ◎ 超高精度製品を安定に製造するため

磁気分離 医薬品、廃水浄化 ○ ◎ ○ ○ 製紙工場で実績積みつつある

風力発電機 ナセル構造の簡素化 ○ ◎ ○ ○ ○ 軽量・静音化

トヨタプリウスHEVを発表

船舶用全高温超電導モータ推進機を発表

燃料電池(FC)車を含む、すべての

電気自動車化 へ

船舶用ジーゼルエンジンの電動モーター化

+高温超電導化(液体窒素)

「スーパーエコシップ」

COP3京都で合意

京都議定書発効

1997年(12月10日)

年月日 環境条約 モニュメント 将来の動向

2005年(2月16日)

《21世紀への日本発の革新技術》

Clean 30~40%効率up(CO2削減)

移動体

の『高温超電導モーター化』

自動車船舶列車

Green 無産廃/無害 安全

CO2の1/4は運輸 自動車/船/(飛行機)の効率化!

不燃のモーター

図 2 全高温超電導モーターの歴史的意義

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は優れた冷媒であるが、燃料資源とはならない。これに対してLH2 は、冷却するのは容易とは言い難いが、一度液化すると冷媒温度が 20K となり、HTS 線材の Ic を LN2 より5.7 倍大きくとれること(7)と、LH2 それ自身がクリーンかつグリーンで良好なエネルギー資源となる点は、何物にも代え難いメリットとなる。超電導とは、電気抵抗がゼロになることであり、産業応用上は、その高電流・高磁界かつ超低損失(省エネ)の特性が利用される。その適用候補は、表 1 に示されているが、その一つ一つが実現されてゆけば、周辺技術の進歩と共にHTS 線材の量産化が進み、自ずとその応用分野は拡大するものと考える(3)、(16)、(17)。HTS の応用は、大電流通電・低損失性より、まず電力ケーブル(HTSAC Cable)で先行し、米国ニューヨーク州都Albany 市では、2006 年7 月に世界で初めて約7 万世帯に商用電力を送電するまでに至った(13)。日本でも現在東京電力㈱の旭変電所に実証試験線を建設する計画が進められている。

少なくとも、「エネルギー・資源・環境の世紀」、「水素の時代」、「直流の時代」と云われるこの 21 世紀の革新技術をリードする重要な素材がHTS 線材であり、この応用技術開発で世界をリードしてゆくことは、日本にとっても非常に重要であると考える。現在までの所、DI-BSCCO®ではIc で略200A 超、線長で1 〜2km を達成している。

4. HTS モーターの開発

比較的低速回転で大出力を必要とし、駆動装置の負荷率(使用される割合)も高い船舶が、国交省のスーパーエコシップ(電気モーター駆動2重反転プロペラ推進システム)政策もあり、又機器類の据えつけスペースが十分あると共に、駆動システムのコンパクト性が経済性に大きく効いてくることもあって、HTSモーターの適用第一候補となった(4)、(5)、(12)。図 4 に試作されたHTS 船舶推進電気モーターと、その適用

表 2 車両への高温超電導モーターを適用した場合のメリット

冷 却 方 法

超 電 導 線

出 力

回 転 数

サ イ ズ

ポットサイズ

住友電工を含む日本の産学グループは、液体窒素冷却によるものとしては世界最大出力となる「365kW 超電導モーター」を開発

12.5kW(過負荷62.5kW)

■第1次試作モーター諸元 冷 却 方 法

超 電 導 線

出 力

回 転 数

サ イ ズ

重 量

液体窒素循環冷却

DI-BSCCO

365kW

250rpm

1.2m-0.8m

4.4ton

■二重反転モーター諸元

POD推進装置の構造

(直径-長さ)

超電導モータ用冷却装置 超電導モータ

×2機

液体窒素循環冷却

DI-BSCCO

100rpm

0.6mø×0.6m

0.8mø×2m

図 4 船舶推進用超電導モーター

冷 却 方 法

超 電 導 線

最 高 出 力

最 高トル ク

最 高 速 度

バ ッ テ リ

走行可能距離

液体窒素浸漬冷却

DI-BSCCO®

31kW(3,100rpm)

120Nm(1,500rpm)

85km/h

144V, 60Ah

60km

■超電導自動車諸元

(30km/h 一定)

自動車用超電導モーター

図 5 世界初の高温超電導モーター駆動自動車(HTS EV)

−( )− 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道   —液体水素配送タンクローリーの活用—42

超電導モーターの特徴 輸送機械への適用メリット

エンジンに比べて優位な点

静粛(騒音・振動)

早朝・深夜の配送宅急便・コンビニなど近隣対策

高効率 CO2排出量削減

常電導モーターに比べて優位な点

低速域で大トルク

変速機不要(ダイレクトドライブ)POD推進型(船外機)

小型化 車両の小型軽量化→低燃費客室、荷室のスペースに余裕

Ic

(A)

(K)

冷媒温度

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1,4001,3001,2001,1001,0009008007006005004003002001000

0.23mm

4mm

断面積≒ 1mm2 of DI-BSCCO

<1,400A>

<1,140A>

(7倍)

(2倍)(65K)

(77K)

(LiN2)

(1倍)

(5.7倍)

<400A>

<200A>

DI-BSCCO線材

4KLiHe

20KLiH2

図 3 高温超電導線(BSCCO)の冷媒温度と臨界電流(Ic)の関係

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最終形態と考えられる「POD 型推進装置」の構造を示す(16)。米国でも、海軍が全艦艇の電気モーター推進化政策を示す中、駆逐艦用 36.5MW 級の HTS モーターが試作されている。表 1 の適用一覧の中で、HTS モーターのコンパクト・省エネ性の活用の第二候補として、EV 用モーターの HTS化が採り上げられた(11)。車両にHTS モーターを適用した場合の一般的なメリットを取り纏めると、表 2 の通りとなる。この Feasibility を確認するために、住友電工㈱では、2008 年 6 月の洞爺湖サミット記念環境総合展に出展することを目標にして、図 5 の HTS EV を試作し試走に成功している。このケースでは、冷凍機は搭載せずに、LN2 をモーター部分に直接注入してHTS モーターを冷却し、そのLN2 が気化し終えるまでの数時間走行が可能となる“HTS直流モーター”を採用した。この試作・試走により HTSEV は十分にFeasible であることが判明した(11)、(16)。

5. 高温超電導モーター車のメリットと課題

現在考えられている電気モーターを活用する車種は、EV、HEV、FC HEV、PHEV(Plug-in-HEV)である。いずれのモーターもそれ自体HTS 化の対象となる。銅線を巻回してなる常電導モーター車とHTS モーター車を、その基本的構成部分で比較し、そのHTS 化のメリットを記すと、図 6の通りとなる。但し、H2 ガスを燃料として、FC ではなくロータリー・エンジンで発電機を回し、得られた電力でモーターを駆動する HEV は、日本のマツダ㈱が既にリース販売を開始しており、1 回の給水素で約200km の走行距離を有していることが発表されている(21)。図 6 より、HTSEV のメリットと課題を列記すると以下の様になる。

(1)常電導モーターの性能向上のためには、モーターをコンパクト化し大トルクを得るために、その回転数を例えば 10,000rpm 以上に上げることであるが、モーター回転数は結局の所印加電圧に比例するので、モーター電圧を高くする必要がある。現在までの所、HEVで約500V まで昇圧されているが、こうすると1 〜3V

内外の車載・バッテリー(電池)を非常に多く“直列接続”する必要がある。二次電池の場合、その充放電範囲を適性に保つことが寿命に大きく響いてくるが、多段直列の場合はそれらを均等に充放電する管理が難しくなってきて、いわゆる「パワーマネージメントシステム」が必要となる。それでも現在のHEV は、144〜 288V までのバッテリー直列接続電圧からモーター印加高電圧を得るために、モーターと直列電池間に、図 6 の通り、「昇圧コンバーター」を挿入する必要がある。従って、

(イ)多段直列の二次電池が必要となる。(ロ)昇圧コンバーターが必要となる。(ハ)パワー半導体を多用する必要があり、これらは強

制水冷される必要がある。(ニ)モーター自身も強制水冷される必要がある。

等のシステム上の問題が指摘される。これを図 6 の通りに HTS モーター化すると、HTS 線材では大電流・低損失通電が可能なことから、トルクを生ずるモーターの「A・T(Ampere × Turn)」の電流(A)を大きくとれるので、巻回 HTS コイルのターン数(T)を小さくすることができる。従って、必要なモーターへの印加電圧を大きく下げることが可能となる。LN2 冷却のHTS モーターでは数10V 以下で十分であるので、まず二次電池を 1 個当りで大容量化して、均等作動管理の容易な並列使用メインに代替させることができる。又、昇圧コンバーターも不要となるばかりか、パワー半導体自身及び周辺機器も高電圧化対応しなくて済ませることが可能となる。

(2)前記(1)で述べたが、多用されるパワー半導体は、強制水冷効率を上げてコンパクト化する(数を減らす)ためにも、現在はSi 系パワー半導体を許容温度のほぼ上限(100 ℃超)で使用しなくてはならない。所がHTS EV では、LN2 で77K、LH2 で20K の冷媒が活用できるので、この低温度までの範囲でパワー半導体を

超電導モーター

大電流

低損失

低電圧 DC/DCコンバーター電池直列数大幅削減

抵抗ゼロ

燃費向上DC/DC昇圧コンバー ター

小型・軽量

変速機レス

高信頼性

高経済性

低CO2

大トルク

超電導コイル

<超電導モーターのメリット> 常電動モーターEVシステム

変速機

常電導モーター

二次電池(燃料電池)

電気

冷凍機

超電導モーターEVシステム

超電導モーター

二次電池(燃料電池)

電気

図 6 超電導モーターの車両への適用

-270 -200 -40 150 300℃

0

性能(ON抵抗)

電子移動度の逆数

分子運動等

﹇最適温度﹈

大電流低ロス変換技術

SiC変換器をLiN2で冷却 して

用いる

発生熱の冷却除去容易

使用範囲

[HTS]

発生ロス極小

*変換器(インバーター、 コンバーター)のロス 極小点活用*低圧大電流変換素子の 超低温冷却による 変換器のコンパクト化

20K水素を冷媒剤として活用

図 7 パワー半導体の ON 抵抗と冷却温度の関係

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−43

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冷媒冷却することができる。パワー半導体のロスを決める「ON 抵抗」は、図 7 に示す温度依存性から、まず現用の高温使用より大きく低下させ得る。絶対零度では電子の移動が無くなる(ON 抵抗無限大に相当)ので、明らかにマイナス冷却温度のある点が最適温度

(ON 抵抗最小)になる筈である(7)。住友電工㈱の予備調査では– 40 〜– 50 ℃位に最小点がありそうなデータ ー も 出 て い る が 、 参 考 文 献( 18)に よ れ ば 、 SiMOSFET で、40 〜 80K(– 233 〜– 193 ℃)に最小点がありそうなこと、及び LN2(77K)では常温に比して ON 抵抗を約 1/7 に下げられるとのデーターが示されている。この様に HTS 用冷媒冷却法をパワー半導体に適用すれば、

(イ)ロス発生そのものを大きく下げられる。(ロ)大電流通電時の発熱も冷却処理できるので、パ

ワー半導体1 個当りの処理能力を大幅に上げられる(コンパクト&シンプル化)。

(ハ)LN2 は良好な絶縁液体(LH2 も同じく絶縁液体)なので、(低温 N2 及び H2 ガスと共に)直接パワー半導体を冷却することが可能となる。

のメリットが得られることになる。又、パワー半導体にかかる電圧も、(1)の(ニ)で述べた様に、低くなるので、半導体自身も製造し易くなり、恐らくHTS 用冷媒冷却大容量パワー半導体は、それに適した専用設計のものが新たに開発されるものと期待される。又、必要パワーに対して、パワー半導体1 個で処理すべき電流を極端に大きくしない手段の一つとしては、交流用モーターに対しては、図 8 に示す様に、多相モーターの採用があげられる。現用の 3 相平衡交流ではなくて“4、5、6 ‥相平衡交流化”を試みれば、一つのパワー半導体の必要容量を小さくでき、又、HTS コイルの“均流化”もより実現し易くなることが考えられる。(あるいは逆に、HTS モーターのパワーアップの一つの手段にもなり得るものと考える。)

(3)現用 EV の常電導モーターを小型コンパクト化するには、逆に必ずモーターを高速回転しなければ必要なトルクが得られない。従って車を必要速度とトルクで駆動するには、「変速機」が必須となる。変速機自体かなり大型で複雑な機器であるばかりか、変速時には無視できない量(8 〜 10 %)のロスを生じる。これをHTS 化すると、そもそも HTS モーターの[A・T]が大きく、低速で大トルクが効率よく得られるので、図6 に示す様に、変速機を不要にすることが可能となり、大きなメリットを引き出すことができる。このコンセプトは、図 5 の洞爺湖サミット用試作 HTS EV で採用されている。

(4)H2 を燃料とする FC 車の場合、1 セル当りの発電電圧は約 0.8V 程度が実力である。この場合、常電導モーター印加電圧を得るためには、数百セルの直列使用が必要となる。例えば“GM Hydrogen 4”では、440段のFC スタックを搭載している(0.8V/セルとして略350V)が、FC の場合にもこの様な多段シリーズ(直列)活用には、その運用と信頼性と寿命とメンテナンスの面で高度の技術と厳しい管理が要求される(15)。これがHTS モーターで、もしLH2(20K)運用可能となると、モーター駆動に必要な印加電圧を低く抑えることが可能となる。二次電池にせよ、FC にせよ、多数段のシリーズ接続に比して少数段シリーズ接続の並列活用の方が、はるかにその運用が容易になるばかりか、並列使用に適した大容量化(電極の大面積化等)については、技術的対応がむしろ容易になるものと考えられるので、経済性の高い二次電池や FC のユニットをEV 専用に開発・製造できる可能性が出てくるものと考えられる。これは EV にとって、大きな魅力になるものと考えられる。

(5)常電導モーターの場合、磁性体の上に銅導線が巻回されてコイルが形成されるが、磁性体には磁気飽和現象があり、いくら通電電流を増やしてもある量以上に大きなトルクが得られない限界が存在する。又、モーターの高速回転と変速機で低速・高トルクを得る手段にも、自ずと限界を生ずる。一方、HTS モーターの場合は、磁性体を用いない空心形コイルでも「A・T」のA(通電電流)を大きくとれるので、この様な“大トルクを得る”ための限界は理論上無いことになる。仮に実使用上限界があったとしても、その限界は常電導モーターに比して遙かに高いと考えられるので、車載型大トルクモーターを実現することが可能となる。

(6)以上(1)〜(5)では、常電導モーターに対して HTSモーターが優れている可能性について述べたが、HTSモーター搭載 EV の最大の課題は、HTS 状態を生ずる低温を EV の中でどう生成し維持するかにある。HTSモーターの場合、冷媒は断熱した閉鎖(closed)システムで用いられるが、モーター自身の発熱(特に AC

−( )− 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道   —液体水素配送タンクローリーの活用—44

A相

B相C相

現用3相交流

(将来の)多相交流化

図 8 多相交流の活用

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モーターの場合)と外部からの侵入熱により冷媒温度は序々に昇温してゆくので、間欠的にではあっても、いずれにせよわずかづつ冷媒を再冷却することが必要となってくる。表 3 は、“冷凍機搭載EV”と“非搭載EV”について取り纏めて比較したものである。液体冷媒

(LN2/LH2)を必要時外部から再注入する“冷凍機非搭載”型も、例えば、運転基地を持つバスや使用場所と時間が限定される建機やフォークリフト等では、極めて簡便で容易な手段として捨てきれないものがある。一方、冷凍機搭載型は、HTS EV 一般に適用可能であるが、車の使用状況にかかわらず(従って停車中でも)常時(間欠的に)冷凍機を動かしていなければならない点は、車のエネルギー効率を考える場合課題となる。従って、特に実用化が早いと考えられる LN2

冷媒活用の HTS EV のケースでは、表 2 又は表 3 に示す通り、当面“稼動率が高く”、“変速頻度が大きく”、

“始動大トルクの必要”な車種から実用化されてゆくものと考えられる。具体的には、バス、宅急便、建機、フォークリフト、長距離トラック等が対象になり、その後自家用車等の汎用化に入るものと考えられる。

(冷凍機搭載型 HTS バスを、常電導モーター搭載のHEV 及びEV 型バスと比較した一例では、HTS バスの走行エネルギー効率の方が、各々約25 %と13 %良いとの検討結果も出されている。しかしながら HTS EVの効果の検討はこれからの課題である。)

6. 液体水素冷却 HTS モーター(究極の未来車)

第1 〜2 章では、「エネルギー・資源・環境」面より、水素をエネルギー源とする車が未来車として生き残るとの見解が一般的であることを述べた。一方、第 5 章の(6)では、HTS EV にとって車載冷凍機が大きな課題になることを指摘した。この課題を克服する最高の手段が、「冷媒と燃料を兼ねる LH2 を搭載した HTSEV」を実現することである。もし長期的保存に耐えうる車載 LH2 貯蔵タンクに蓄えられた LH2 の冷熱を HTS の冷却に用いるとすれば、車載冷凍機は不要になり、かつ20K の低温と Ic ≒ 6 倍の HTS メリットが同時に得られることに

なる。LH2 搭載のEV としては、図 9 の2 形態が考えられる。国内では(A)の LH2 FC の試作例は無いが、海外では例えば GM が試作した例がある(19)。(B)の LH2 シリーズHEV(燃料で発電機駆動エンジンのみを動作させるハイブリッド電気自動車)は、未だ試作された例が無い。しかしながら、図 10 に示す通り、BMW が既に“LH2 搭載水素

(エンジン)自動車”を開発し、その試作車はミュンヘンをはじめ各地でこれまでに 150 万 km 超の試走を行っている。BMW Hydrogen 7 は BMW のホームページ情報によれば、水素貯蔵タンクの高圧化を可能にすることによって、

“Boil-off(LH2 の気化流出)”の課題を克服すると共に、同一タンクで“液体水素/高圧水素ガス”の両方を搭載可能にしている。図 10 の通り、LH2 /ガソリン両タンクを用いると、現試作車で400 マイル(640km)以上走行させることができるが、LH2 のみでは125 マイル(200km)走行となっている。但し、現在試作中の 10kg LH2 貯蔵タンクでは、350 マイル(560km)超の走行が可能になることを示している。(燃料車載時の影響は“重量”になるが、水

表 3 HTS EV での低温生成・維持方法

水素-ガソリンバイフューエル内燃機関

液体水素タンク

ガソリンタンク

(出典:山根 健、BMW Japan Corp. ゼロエミッションシンポジウム2007)

図 10 BMW Hydrogen 7.車両概要

二次電池

(A)《液体水素+燃料電池+超電導モーター》

超電導モーター

燃料電池

電気

気体水素

回生 冷媒

冷媒

液体水素

20KIc≒6倍

二次電池

(B)《液体水素+内燃機関+超電導モーター》

超電導モーター

水素エンジン

超電導発電機

電気

気体水素

回生

液体水素

20KIc≒6倍

図 9 液体水素冷却 HTS EV

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−45

冷凍機搭載 冷凍機非搭載

EVの中に冷凍機を設置し、バッテリー電力で常時

(但し間欠的に)運転

カートリッジに入れた液体冷媒を必要時取り替え

(又は冷媒をガソリン並に必要時注入)

すべての車種に対応可能

*バス*宅配搬送車(宅急便)*建機、フォークリフト*長距離トラック

当面 *稼働率が高く *変速頻度が高く*始動大トルクが必要な車がHTS EVに適する

Page 8: 液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

素は最も軽い分子であるので、LH2に関する“燃料のエネルギー重量密度”は、ガソリン比 2.7となる。一方、エンジンでの燃焼は、LH2をガス化して行われるので“エネルギー容積密度”が重要になるが、H2ガスはガソリン比1/4となる。水素を自動車に用いる場合、この両効率を勘案して設計される。)BMWのLH2搭載水素エンジン車の存在は、図 9の(B)に示した「LH2搭載水素エンジン・HTSシリーズ HEV」のコンセプト実現に対して、有力な技術ステップになるものと考えられる。

7. 液体水素の生成と移送と“水素ステーション”

第 1〜 2章で、現在の自動車の燃料となっている化石エネルギー資源が Peak‐outし、枯渇してゆくことに触れたが、それを分り易く示したのが図 11である。同図は長期的視野に立てば、人類は太陽起源の新エネルギーの有効活

用に向わざるを得ないことを示している(7)、(8)。図12は、太陽電池をメインとしてH2を生成し貯蔵して、

再度そのH2を使って電力を取り出す仕組みを示したもので、太陽起源のエネルギー資源を実際的な量で“貯蔵しつつ活用する”ことを考えた場合、最も有力な手段の一つと考えられるものである(8)。主として太陽電池発電と貯蔵が展開される砂漠地帯から、この 2つのエネルギー資源(LH2と電力)を消費地に移送させる手段としては、図 13に示した様な、内部に高温超電導直流ケーブル(HTS DCCable)を複合させた“LH2移送パイプ”の布設が検討されている(20)。(この“送 LH2パイプ”の内部温度は 20K以下となるので、HTS DCケーブルは、低電圧でも大電流が送電できることになる。)この構想が展開されると、HTSEVが走る消費地の『水素ステーション(又は水素スタンド)』では、太陽起源の Sustainableで CleanかつGreenな水素と電力が自動車に供給できる様になる。水素ステーションの現状を取り纏めると、図 14の通りとなる(10)、(19)。オンサイト(水素ステーション)で、化石燃料を改質してH2を得る方法は、エネルギー資源のSustainabilityの観点からは本質的な解決策とはならない。ここではオフサイトで製造したH2、中でも前記の通り、太陽起源のH2を搬送

水(H2O)の電気分解光エネルギー

太陽電池

エネルギーバランス

H2 / O2による発電

FC(燃料電池)電力エネルギーの消費

水素タービンand / or

H2OH2O2

(H2O → 「O2 」+「H2 」)

<永 続>

<Sustainable>

「O2 」+「H2 」→「H2O」

(大気中)

力人類(社会)

太陽(核融合)

電力貯蔵

H2

貯蔵

図12 太陽エネルギーの獲得と水(H2O)の循環̶永続的なエネルギーのバランス̶

真空断熱層(2重パ

イプ間)

(加圧)液体水素(内

パイプの内側)

HTS(低圧)大電流D

Cケーブル送電

外パイプ

内パイプ

図13 液体水素移送用パイプ内HTS DCケーブル送電複合システム

化石燃料改質(都市ガス/石油/LPガス)

水の電気分解(KOH溶液)

製油所

製鉄所COG

塩電解

・・・・・

<H2ステーションでH2発生・貯蔵・供給>

原発 (水の)高熱分解

(水の)電気分解

新エネルギー太陽光/熱風力発電

高圧ガス(現在)

液体水素(将来)

高圧ガス

(現在)

高圧々縮(20MPa)鋼製カードル

トレーラー・トラクター

日本の現在のH2ステーション(2008年現在)

化石燃料改質 8

4

12合計

オフサイト&

電気分解

FC HEV又は

H2エンジン車

液体水素タンクローリー

水素ステーション

オンサイト 電

H2

ガス

圧縮(器)

蓄圧(器)

ディスペンサー

オフサイト

水素ステーション

副生水素

純発生水素

H2

ガス

液体水素

図14 水素ステーションへの“水素供給元”について

B.C.~数100万

B.C.1000

~100万年 ~1万年 ~500年 ~200年 ~40年Source: World Population Prospects 1990. Energy Statics Yearbook

A.D.1000

A.D.1700

A.D.2000

A.D.2100

250

200

150

100

50

0

世界のエネルギー消費量

(石油換算100万バレル/日)

火の発見 薪炭・水車・風車火と家畜

 エネルギー 石油石炭太陽エネルギー

道具と火の使用

産業革命

太陽エネルギー

エネルギーギャップ

石油石炭

天然ガス

原子力

薪など

IC,LSI

TV・トランジスタ・原子力発電所

ガソリン・エンジン、火力発電所、石油の掘削

ワットの蒸気機関運搬用に

動物を利用

図11 人類のエネルギー消費の歴史

-( )- 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道 ̶液体水素配送タンクローリーの活用̶46

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して各地の水素ステーションに供給するシステムが、より実際的でかつ Sustainable なものになるものと考える。先行する欧米では現在およそ 60 づつの水素ステーションが存在、又は建設(計画)中であり、LH2 と高圧ガスH2 の両方を供給できる体制をとっているケースが多い。又、LH2

発生工場も米国では約 10 ヵ所、EU では各国に 1 〜 2 ヵ所存在する。ここで、LH2 と高圧ガス水素を比較すると、表4 の通りとなる。この中で、将来各地に多数設置されるであろう水素ステーションへの水素の配送を考えると、欧米の先例から判断しても、現在のガソリンのタンクローリー配送と同じく、「LH2 のタンクローリー配送」の方が優れており、かつ実際的であると考える。仮に、「H2 の配送(インフラ)は、LH2 タンクローリーになる」とすれば、各水素ステーションでの水素の保管も、LH2 の方が容積的にも好ましくなる。とすれば、その後、図 14 のオンサイトの図に示す様に、水素ステーションでエネルギーを消費して、水素を気化させかつ高圧化することは、エネルギー的にもステーション現場での操作性や運用性からも、好ましいもとのは考えられなくなってくる。以上の議論をベースにして、「水素(&電力)の発生・貯蔵・移送と『水素ステーション』」の関係を取り纏めると、図 15 の通りとなる。図15 では、水素ステーションで、水素と電力の両方を自動車に供給する形を示している。又、一応“高圧ガスH2”も供給可能な図になっているが、LH2 のまま水素ステーションで一時保管後、LH2 のまま自動車に供給する形の方が、より好ましいものと考える。この様に、エネルギー資源の発

生(オフサイト僻地)から末端活用までを一貫して考えた場合、将来の自動車はLH2 を供給するのが最適であると考える。この場合は、LH2 の冷熱が活用可能になるので、電気モーターは 20K の大電流通電可能な HTS 化が可能となり、しかも HTS (H)EV で最大の課題であった、車への冷凍機搭載も不要にすることができることになる。H2 を使った車内での電力発電は、FC と水素エンジン発電機の2ケースが考えられるが、FC には白金触媒を不要にする等の更に革新的技術開発が要求されるのに対して、水素エンジンは既に汎用化された技術に属するものと云える。一方、水素エンジンそのものを駆動力として走る水素車では、発電機(= モーター)が無いので、車の制動(ブレーキ)時の回生エネルギーの活用ができず、やはりエネルギー効率的には一段劣るものとなる。従って、ここでは H2 配送インフラの観点から LH2 がベストであり、LH2 を H2 スタンドから供給されて搭載する車では、『LH2 搭載 HTS HEV』が理想的な技術になることを指摘しておきたい。従って日本においても「高圧 H2 ガス搭載型 FC HEV(ここでの Hは、「燃料電池(FC)と二次電池」のHybrid を意味する。)」に加えて、「LH2 搭載HTS HEV(FC に加えてH2 エンジン発電も含む)」の検討・研究・開発・実用化を図ってゆくべきと考える。

8. 結  言

図 16 に本論文のエッセンスを示し、その中で、現状の自動車から将来あるべき理想の車としての「液体水素(LH2)搭載 HTS HEV(FC 又は水素エンジン発電)」へ至る道筋

表 4 液体水素(LH2)と(高圧)水素ガスの比較

LH2タンクローリー搬&配送

電力&水素燃料ステーション(全国展開)

LH2(液体水素)

HTS DC Cable集・送・配電

(DC)

(DC)

H2燃料

(DC)

(DC)

水素燃料

HTS FC HEV(個別自動車) (B)欧米(の一部)と本提案:液体水素(LH2)搭載 HTS HEVとして本命視したい

(注意)(A)当面の日本:高圧H2ガス搭載FC HEVのみ

(AC)

電力

LH2スタンド

太陽電池Farm(風力発電Farm)(僻地水力発電)

(原子力発電所)

又はガス

他の都市近郊発電所電力

貯蔵

ガス化電池

コンバーター

高圧化(750気圧)

高圧ガスH2

燃料電池(FC)又は

水素タービン発電)

(バッテリー充電用)DC電源

EV(電池用)用DC電源

(カートリッジ取り替え)

(ガソリンスタンド兼用)FC HEV又はHTS HEV用

(都市近郊)LH2貯蔵

送H2パイプ(LH2/高圧ガス)

<水の電気分解>H2の発生&

水素ステーション(スタンド)

液体水素(LH2)運搬船

FC発電

<カーボンフリー電源>(遠隔地でも可能)

液体(LH2)

図 15 水素(&電力)の発生・貯蔵・移送と『水素ステーション』

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−47

項  目 液体水素(LH2) (高圧)水素ガス

設 備

冷凍機 必要 不要

高圧化ポンプ 不要 必要

高圧貯蔵タンク 不要 必要

冷凍貯蔵タンク 必要 不要

利便性

貯蔵密度 ○(大) △(小)

H2燃料のステーションへの配送 ◎ ×

ステーションでの貯蔵保管の容易性・安全性 ○ △

車搭載の容易性 ? ?

搭載量と走行距離 ○ △

車での危険性(事故時等) ○

△(?)(超)高圧

ガスボンベ搭載

機能性

高温超電導(HTS)適用の有利性

◎臨界電流(Ic)はLN2の約6倍

×

実 績

非HTS BMWの水素車 日本(トヨタ、ホンダ)のFC(H)EV

HTS(参考)

住友電工㈱試作車LN2HTS EV

〔 〕

〔 〕

Page 10: 液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

をまとめて示す。近代文明の最大の利器の一つとして、自動車の数とその役割は、人口が増え文明が進展する今世紀以降も益々大きくなってゆくものと考えられる。その時、エネルギー資源と環境の観点から、太陽起源のSustainableでCleanかつGreenな水素資源が、自動車燃料の主流に置き換わってゆくことは必然と考える。水素の発生から末端の水素ステーション(スタンド)までのインフラを一貫して考えた時、高圧 H2 ガスより LH2 の方が実際的(現実的)になってくるのは明瞭である。一方、内燃機関(エンジン)のみからなる車と、回生エネルギーが使用可能な EV(又はHEV)を比較すると、(H)EV の方がエネルギー効率の観点から有利な状況は将来も不変であると考える。この二つの流れに、近年目覚ましい技術発展を遂げつつある高温超電導(HTS)の技術を組合せると、車載冷凍機不要のまま、EV にとっては“理想的な「HTS モーター、バッテリー及び変換器」の統合システム”が、『LH2 搭載HTS HEV』という具体的な形で展開可能になってくる。これら(日本発の)革新的な技術をベースにした“未来車”を実現するために、現在日本では「高圧 H2 ガス」のみしか検討の対

象になっていない事実を改めて、(それに加えて)「LH2」も対象にする開発基本方針を確立することが、何にも益して重要であることを指摘しておきたい。

参 考 文 献

(1)加藤他、「革新的ビスマス系高温超電導線(DI-BSCCO®)の開発」、SEIテクニカルレビュー第168号(2006年3月)

(2)綾井、畑他、「臨界電流200A級高温超電導線の開発」、SEIテクニカルレビュー第169号(2006年7月)

(3)「20年の時を経て高温超電導線が現実に —ビスマス系線材の実用化迫る—」、日経エレクトロニクス(2005年2月28日)

(4)岡崎、「移動体の超電導駆動による高効率化検討」、SEIテクニカルレビュー第168号(2006年3月)

(5)岡崎他、「電気推進船用超電導コイルの開発」、SEI テクニカルレビュー第167号(2005年9月)

(6)畑、「『京都議定書』と北東アジア エネルギー・資源・環境・経済圏—国際連系直流送電システムの検討—」、SEIテクニカルレビュー第167号(2005年9月)

(7)畑、「GENESIS計画と高温超電導直流ケーブル —究極の持続可能な『新エネルギー』の活用について—」、SEIテクニカルレビュー第172号(2008年1月)

−( )− 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車への道   —液体水素配送タンクローリーの活用—48

*化石燃料(石油/ 天然ガス)の枯渇 内燃機関

(エンジン)

[人口の増大]

90~100億人

2008[ピーク(2010~2050)後、衰退]

(石油:41年)*

(ガス:63年)*

(*資源エネルギー 「原子力2008」より)

2050 年代

2000 2050 年代

67億人

一部H2

電気モーターと

バッテリー

エンジンと

電気モーターの

ハイブリッド

燃料電池(FC)又は水素エンジン

とバッテリーと

電気モーターの

ハイブリッド

*温暖化ガス(CO2)の 排出 (全体の1/4 ~1/3)

液体水素(LH2)内燃料エンジン車(ガソリンとLH2のハイブリッド)(独 BMWの“水素車”)

プロパン等ガス(CNG)エンジン車

ガソリンエンジン車

ジーゼルエンジン車

ジーゼルエンジン発電ハイブリッド車

燃料電池(FC)発電とバッテリー蓄電のハイブリッドによる電気モーター車

FC発電 とバッテリー蓄電とLH2冷却高温超電導(HTS)モーターによる電気モーター車

(HTS水素エンジンHEV)

水素エンジンとHTS発電機とバッテリー蓄電とLH2 HTSモーターによる電気モーター車

プロパン等CNGエンジン発電ハイブリッド車

常電導モーター車

(LN2冷却)HTSモーター車

(LH2冷却) HTSモーター車

<FC 又は “水素エンジン”>

①「電気モーター化」+「バッテリー(回生エネルギー)」

②「石油・ガス」から「電力」へ; 更に「H2のFC電力/水素エンジン」へ

③「新エネルギー」起源の「電力」と「H2 」へ

④「LH2インフラ と   HTS FC HEV   へ

常電導モーター車

ガソリンエンジン発電ハイブリッド車

高圧水素ガス搭載

石油系資源の枯渇

環境問題激化⇒環境対策の義務(強制)化へ

液体水素(LH2)搭載

(プラグイン)     電気モーター車[EV]

エネルギー資源・環境との関係

×

△(高効率)

*高効率発電電力 の活用 原発の(夜間) 電力の活用

新エネルギー 太陽発電 風力発電 水力発電活用の拡大

無尽蔵エネルギー 資源と温暖化ガス 非排出

○ 

〜 

化石燃料

電力 回

生エネルギー活用

社会状況の急変

750気圧ボンベ搭載

20K冷却必要

水素燃料

まとめ

図 16 液体水素搭載高温超電導モーター駆動電気自動車(HTS FC HEV 又は水素エンジン・シリーズ・ HEV)への道(Road-map)

Page 11: 液体水素搭載高温超電導 モーター 駆動 電気自動車 …れる」 可能性 が高いものと 考える。この「 LH 2ステーショ ンインフラ 」と「

2 0 0 9 年 7 月・S E I テクニ カルレビュー ・ 第 17 5 号 −( )−49

(8)畑、「GENESIS計画と持続可能なエネルギーの活用」、OHM Vol.96No.1(2009年1月)

(9)山根、「BMWの水素自動車プロジェクト」、ゼロエミッションシンポジウム2007(2007年11月28日)

(10)山地、「水素エネルギー社会」、エネルギー資源学会発(2008年5月26日)

(11)尾山他、「超電導電気自動車の開発」、SEIテクニカルレビュー第173号(2008年7月)

(12)杉本他、「高温超電導電動機の試作」、電気学会全国大会(2005年3月17日)

(13)湯村、畑他、「長尺三心一括型高温超電導ケーブルによる世界初の実線路建設と商用運転(Albany プロジェクト)」、SEIテクニカルレビュー第170号(2007年1月)

(14)「ハイブリッド・電気自動車のすべて2007」、日経BP社

(15)「燃料電池車・電気自動車の可能性」、グランプリ出版

(16)「超電導! 電気抵抗ゼロの世界へようこそ!!」、住友電工製高温超電導パンフレット(2009年3月)

(17)北澤、「超伝導技術の未来 〜超伝導ネットワーク〜」、Journal of theCryogenic Association of Japan(2007)

(18)根本、渡辺、菊川、「高温超電導線を添えてオンの抵抗を小さくした並列接続MOSFET」、第79回 2008年度秋季低温工学・超電導部会、加速器/周辺技術(2) 3B-a05(2008年)

(19)「燃料電池車の開発最前線」、OHM(2009年1月号)

(20)P. M. Grant,“The Super Cable: Dual Delivery of Chemical andElectric Power”, IEEE Trans. Appl. Super.15, 1810(2005)

(21)「マツダ水素HEVリース販売開始」、朝日新聞朝刊(2009年5月27日)

(その他、ここに記さない資料としては、関係各機関、あるいはメーカーのホームページからの資料を用いた。)

執 筆 者 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

畑     良 輔*:元 常務執行役員 博士(工学)エネルギー・資源・環境分野の研究・開発に従事

礒 嶋   茂 樹 :材料技術研究開発本部 技師長兼 電力・エネルギー研究所 所長

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------*主執筆者