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東日本大震災から 2 年が過ぎ、まだまだ復興 支援は重要課題です。また、次世代育成支援も まった無しの状況です。誕生学プログラムを創 り、活動を始めた 10 年前は、未成年の年間自 殺者数は 600 人前後でした。今は 1000 人を超 えています。就職試験で採用が決まらず、人生 の見通しを失い自ら命を絶つ社会人直前の世代 の自殺も年間約 150 人。この国の次世代が、今、 本当に必要としている支援は何でしょうか? いままで誕生学協会は、小・中学生を中心に あらゆる世代に対し、「いのちの大切さ」「自己 肯定感」「自他尊重の想い」を再確認すること により、セルフケア動機を高めるアプローチを してきました。その実行プロセスは自他尊重教 育であったり、いじめ予防、自殺予防、思春期 保健、育児支援であったりと、文部科学省と厚 生労働省の業際的な事業に分化されていました。 しかし、私共の活動は、総じて次世代育成支 援に他ならず、虐待予防、少子化対策に直結し ています。 1 日約 550 人の人工妊娠中絶がおこなわれ、 そのうち約1割は 10 代です。それとほぼ同数 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に 入院する新生児の数は年々激増しています。虐 待の中でももっとも残酷といわれている、産後 直後の新生児虐待死。産んですぐに新しい命を 殺めたいと願う人など誰もいないはずです。 “生まれてきた力、産みゆく力、生きる力、 つなぎたい”をスローガンとしている誕生学協 会ですが、今年は「妊娠中から虐待予防支援」 として日本財団との協働事業も展開予定です。 私たちが子どもたちに届ける誕生学 ® は、い のちがつながることの尊さ、温かさ、重さを伝 えます。思春期に性情報や性行為に接する時期 を迎えても、赤ちゃんを抱くことで、「しまっ た」で始まる妊娠ではなく「よかった」で始ま る妊娠をと深く考える機会を提供し、予期せぬ 妊娠を防ぐことにつながります。 自分という存在が嬉しくなるあたたかい命の 話を、女子にも男子にも、そして保護者にも先 生方にも届けることによって、変わり始める未 来を信じ前進したいと思います。 今年度はさらに、「中学3年生のための誕生 ® 」、「高校生のための誕生学 ® 」を強化して予 期せぬ妊娠予防を男女に伝えます。 また児童養護施設での誕生学 ® 開講依頼も増 えてきたことから、全国の講師会員と力を合わ せ、情報弱者である次世代を支援していきたく 思います。 どうぞ、さらなるご支援をお願い申し上げます。 「すべての赤ちゃんに愛情と家庭を」 主 催:公益財団法人 日本財団 共 催:公益社団法人 誕生学協会 日 時: 5 24 日(金)10:00 17:00 会 場:日本財団 2 階会議室(港区赤坂 1- 2 - 2 後 援:厚生労働省(依頼中) 協 力:認定 NPO 法人フローレンス NPO 法人タイガーマスク基金 認定 NPO 法人 CAPNA (社)アクロスジャパン (社)Stand for Mothers NPO 法人 Fine (社)命をつなぐゆりかご (社)日本家庭生活研究協会 (財)国際平和協会 対象者:児童相談所職員、民間の養子縁組団体、 一般市民(定員 200 名) 参加費:無料 申込み:日本財団ハッピーゆりかごプロジェクト http://www.nippon-foundation.or.jp ~虐待死から赤ちゃんを救い子どものパーマネンシーを育む特別養子縁組とは~ 総合司会 大葉ナナコ(公益社団法人誕生学協会 代表理事) 10:00 10:15 開会挨拶 尾形武寿(日本財団 理事長) 10:15 10:45 プレゼンテーション「すべての赤ちゃんが愛情深く育てられるために」 矢満田篤二(社会福祉士・元愛知県児童相談所児童福祉司) 10:50 12:30 パネルディスカッション「赤ちゃんの福祉と特別養子縁組」 コーディネーター 駒崎弘樹(認定 NPO 法人フローレンス 代表理事) パネリスト 萬屋育子愛知教育大学教職大学院特任教授・元愛知県刈谷児童相談所長大羽賀秀夫(一般社団法人命をつなぐゆりかご 代表) 安藤哲也(NPO 法人タイガーマスク基金 代表理事) 綾 賢治(厚生労働省 家庭福祉課課長補佐) 13:30 15:30 講演「赤ちゃんの脳の発達に及ぼす愛着形成について」 ヘネシー・澄子(東京福祉大学名誉教授、社会福祉学博士) 15:40 17:00 講演「子供を虐待から救うために」 後藤啓二(シンクキッズ代表理事、弁護士) 一般公開 シンポジウム 代表理事から 代表理事 大葉ナナコ シンポジウム「すべての赤ちゃんに愛情と家庭を」 New Program! 中学三年生のための誕生学 ® いのちの授業研究会開催報告! 誕生学 ® を伝えるひと② 久保木裕子さん・菊池咲十子さん ちょっと深いい…いのちを育むよもやま話 誕生学協会トピックス すべての赤ちゃんに愛情と家庭を! 私達にできることは何かを考える・・・ 日本財団と誕生学協会の新しい協働プロジェクトです。 25 日、26 日にも児童相談所職員、養子縁組希望の夫妻向け説明会があります。

私達にできることは何かを考える・・・ すべての赤ちゃんに愛情 … · 10 代です。それとほぼ同数 の 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に

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Page 1: 私達にできることは何かを考える・・・ すべての赤ちゃんに愛情 … · 10 代です。それとほぼ同数 の 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に

東日本大震災から 2年が過ぎ、まだまだ復興支援は重要課題です。また、次世代育成支援も

まった無しの状況です。誕生学プログラムを創

り、活動を始めた 10年前は、未成年の年間自殺者数は 600人前後でした。今は 1000人を超えています。就職試験で採用が決まらず、人生

の見通しを失い自ら命を絶つ社会人直前の世代

の自殺も年間約 150人。この国の次世代が、今、本当に必要としている支援は何でしょうか?

いままで誕生学協会は、小・中学生を中心に

あらゆる世代に対し、「いのちの大切さ」「自己

肯定感」「自他尊重の想い」を再確認すること

により、セルフケア動機を高めるアプローチを

してきました。その実行プロセスは自他尊重教

育であったり、いじめ予防、自殺予防、思春期

保健、育児支援であったりと、文部科学省と厚

生労働省の業際的な事業に分化されていました。

しかし、私共の活動は、総じて次世代育成支

援に他ならず、虐待予防、少子化対策に直結し

ています。

1 日約 550 人の人工妊娠中絶がおこなわれ、そのうち約1割は 10代です。それとほぼ同数の 10代の出産もあり、産婦人科から乳児院に入院する新生児の数は年々激増しています。虐

待の中でももっとも残酷といわれている、産後

直後の新生児虐待死。産んですぐに新しい命を

殺めたいと願う人など誰もいないはずです。

“生まれてきた力、産みゆく力、生きる力、

つなぎたい”をスローガンとしている誕生学協

会ですが、今年は「妊娠中から虐待予防支援」

として日本財団との協働事業も展開予定です。

私たちが子どもたちに届ける誕生学 ®は、い

のちがつながることの尊さ、温かさ、重さを伝

えます。思春期に性情報や性行為に接する時期

を迎えても、赤ちゃんを抱くことで、「しまっ

た」で始まる妊娠ではなく「よかった」で始ま

る妊娠をと深く考える機会を提供し、予期せぬ

妊娠を防ぐことにつながります。

自分という存在が嬉しくなるあたたかい命の

話を、女子にも男子にも、そして保護者にも先

生方にも届けることによって、変わり始める未

来を信じ前進したいと思います。

今年度はさらに、「中学3年生のための誕生

学 ®」、「高校生のための誕生学 ®」を強化して予

期せぬ妊娠予防を男女に伝えます。

また児童養護施設での誕生学 ®開講依頼も増

えてきたことから、全国の講師会員と力を合わ

せ、情報弱者である次世代を支援していきたく

思います。

どうぞ、さらなるご支援をお願い申し上げます。

「すべての赤ちゃんに愛情と家庭を」

主 催:公益財団法人 日本財団共 催:公益社団法人 誕生学協会日 時: 5月 24日(金)10:00~ 17:00会 場:日本財団 2階会議室(港区赤坂 1-2 -2)後 援:厚生労働省(依頼中)協 力:認定NPO法人フローレンス

NPO法人タイガーマスク基金認定NPO法人CAPNA(社)アクロスジャパン(社)Stand for MothersNPO法人 Fine(社)命をつなぐゆりかご(社)日本家庭生活研究協会(財)国際平和協会

対象者:児童相談所職員、民間の養子縁組団体、一般市民(定員 200名)

参加費:無料申込み:日本財団ハッピーゆりかごプロジェクト

http://www.nippon-foundation.or.jp

~虐待死から赤ちゃんを救い子どものパーマネンシーを育む特別養子縁組とは~

総合司会 大葉ナナコ(公益社団法人誕生学協会 代表理事)

10:00~ 10:15 開会挨拶 尾 形 武 寿(日本財団 理事長)

10:15~ 10:45 プレゼンテーション「すべての赤ちゃんが愛情深く育てられるために」矢満田篤二(社会福祉士・元愛知県児童相談所児童福祉司)

10:50~ 12:30 パネルディスカッション「赤ちゃんの福祉と特別養子縁組」コーディネーター駒 崎 弘 樹(認定NPO法人フローレンス 代表理事)パネリスト

萬 屋 育 子(愛知教育大学教職大学院特任教授・元愛知県刈谷児童相談所長)大羽賀秀夫(一般社団法人命をつなぐゆりかご 代表)安 藤 哲 也(NPO法人タイガーマスク基金 代表理事)綾   賢 治(厚生労働省 家庭福祉課課長補佐)

13:30~ 15:30 講演「赤ちゃんの脳の発達に及ぼす愛着形成について」ヘネシー・澄子(東京福祉大学名誉教授、社会福祉学博士)

15:40~ 17:00 講演「子供を虐待から救うために」後 藤 啓 二(シンクキッズ代表理事、弁護士)

プログラム概要

一般公開シンポジウム

代表理事から

ご あ い さ つ

代表理事 大葉ナナコ

■シンポジウム「すべての赤ちゃんに愛情と家庭を」 ■New Program! 中学三年生のための誕生学® ■いのちの授業研究会開催報告!■誕生学®を伝えるひと② 久保木裕子さん・菊池咲十子さん ■ちょっと深いい…いのちを育むよもやま話 ■誕生学協会トピックス

すべての赤ちゃんに愛情と家庭を!私達にできることは何かを考える・・・日本財団と誕生学協会の新しい協働プロジェクトです。

※ 25日、26日にも児童相談所職員、養子縁組希望の夫妻向け説明会があります。

Page 2: 私達にできることは何かを考える・・・ すべての赤ちゃんに愛情 … · 10 代です。それとほぼ同数 の 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に

なぜ中学3年生に伝えたいのか~15歳を取り巻く深刻な現実

2012年 12月に新スキルアップ研修「中 3のための誕生学 ®」を

受けて 10日後に、札幌市内中学校三年生 102名へ授業を届けて参りました。この中学校では、一年生で AED を使用した救命救急

法を学び、二年生で旭山動物園 坂東園長からの講話を、三年生

で誕生学 ®「15歳の命へ贈る 未来のための誕生学 ®」と、多角的

ないのちの教育を実践されています。

当日は皆、真剣な眼差しで、命のこと、性のこと、愛のことを

心で感じてくれているのが私にも確実に伝わってきました。義務

教育最終年だからこそ、今、伝えておきたい“命”のこと、そし

て受験前だからこそたっぷり高めてあげたい自己効力感について

も、どちらにも絶大な効果を発揮できるプログラムであると改め

て確信いたしました。

昨年12月より始まった新プログラム「中学3年生のための誕生学 ®」は、

義務教育の最終学年をむかえ、卒業を控えた中3生にフォーカスしたプログラムです。

中学を卒業してすぐの春休み、そして高校一年生の夏休みこそ、

性を急ぐ子供たちが活動しはじめる時期という統計データ。

この時期だからこそ伝えておきたいと、

多くの保護者から要望されたプログラムです。

いのちの繋ぎ手になる前に知っておきたい自分や他の人の

「いのち」の大切さ、「いのちに後悔させない」ために

15歳の命に贈る“未来のための誕生学 ®”なのです。

今の中学 3年生はほぼ全員が携帯電話やスマートフォンをもち、制限されることな

くインターネットにアクセスしています。

劣悪な商業的性情報があふれるなか、無防

備な中学生が歪んだ性情報を修正される機

会を持つことなく、性行動を開始していま

す。日本性教育協会の「青少年の性行動調

査」によると 15歳未満と 15歳以上を比較すると、人口妊娠中絶数が一気に増加して

いる統計データがあります。思春期を迎え、

保護者とも会話が減り、その誤った性情報

の修正機会はますます減っています。

そして、性に関する意識も知識もないま

ま、望まぬ妊娠やデートレイプ、性感染症

罹患が起きている現実。義務教育最後の課

程である中学三年生は、子供自身の性的自

尊心や性的自己決定能力を形成する最後の

チャンスなのです。

「中学 3年生のための誕生学 ®」では、自

分自身が生まれるときに使ったスゴイ力や

工夫、周りに大切に育てられたから今があ

ることなどを学びます。そして、性交や避

妊、性暴力の問題、感染症の予防や性行動

のコントロールをする意識を持たせ、10代の性トラブルを未然に防ぐための「いのち

のメッセージ」を届けます。

15歳、中学 3年生のための誕生学 ®では、

いのちのはじまりから産まれてくる時の話、

「大人スイッチ」がはいり二次性徴がはじま

ると現れるカラダと心の変化、そして、生命

は「性」から繋がっていくことを伝えます。

『もし、この春休みに避妊をせずに、妊娠

したら・・・』実際に自分のこととして、

シュミレーションしてみます。「まずは、自

分が幸せな大人になるために大切なことは

なんだろう?」と考えさせ、健全な家族が

いる家庭を築き、幸せないのちを生み出す

ために必要なことをイメージさせます。

また、15歳を取り巻くデートレイプや深刻な性感染症の現実を知らせ、望まぬ妊娠

による人工妊娠中絶の影響、子宮頸がんの

リスクなどを説明します。

そして、自分も人も大切にするには何が

必要か、大人になることはどんなにすばら

しいことなのかを伝え、新高校生になる子

供たちにエールを送ります。

10歳小学 4年生には『 成人式』を行う

学校が多くなってきました。誕生学 ® の二

次性徴プログラムでは、半分大人になって

「大人スイッチ」が入り始めるよ!とカラダ

の成長について伝え、性器や排泄器の違い

を理解し、身体のトラブルについて信頼で

きる大人に相談することを伝えます。

いよいよ全員が二次性徴を終え、命の繋

ぎ手となる力が備わった 15歳。20歳の成人まではあと 5年。性行動開始年齢の早い生徒では、中学 3年生の高校受験終了から高校 1年生の夏休みまでの期間が性行動も活発になるとされています。また、高校時代

に性交経験をする 10代は約半数ともいわれています。まだまだ自分自身を磨き、学ぶ

ことで将来をつくる大切な時期です。成人

まであと四分の三。性行動のリスクや対処

法、生命誕生は素晴らしいことなのだから、

妊娠はきちんと準備をしてほしいことをき

ちんと伝える好機なのです。

当協会では、卒業前のイベントとして、

高校受験終了後の 2月下旬から 3月初旬の卒業式までの間に、学校やPTA主催で、義

務教育修了に際しての未来へのエールとし

て、保護者同席の講演会スタイルで「中学 3年生のための誕生学 ®」を「 成人式」のプ

ログラムとすることを推奨しています。

中学三年生のための誕生学®

◎授業を受けた子供たちの感想から ─────────

誕生学アドバイザー、産後、妊娠準備教室講師 

菊池 咲十子札幌在住

New Program

未来のための誕生学 ®

~義務教育最後の保健授業15歳は 成人式

こんなに真剣に

“本当のいのち”のことを、

教えてくれた人はいない。

◎中学校の現場から ─────────!~  成人式~34

3─4

1─2

世の中に自殺してしまう人や

殺人をする人が多くいるけど、そのような人に

命の大切さを知ってもらい、平和な世界になってほしい。

人は愛の歴史で両親と繋がっていると思った。皆のおかげで今日、自分はここにいる。本当にそう思った。

人という命の尊さ、

愛の力、勇気の大切さを

最後の方で感じた。

僕たちは今、受験という険しい道を進んでいます。でもそれは、いのちの道に比べれば大した事ではないことがわかりました。

□杉並区立松渓中学校 □横浜市立奈良中学校 

□大阪府堺市立美原西中学校 □和歌山県立古佐田丘中学校 

□札幌市立山鼻中学校 □北海道寿都郡黒松内町立黒松中学校

□世田谷区立三宿中学校    

中学 3年生のための誕生学 ®

実施校(2012年 12月~ 2013年 3月分報告分のみ)3

─4

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いのちの授業研究会

いのちの授業研究会は、誕生学協会が全国の小・中・高校の教員の方や

地域コーディネーターの方、教職課程履修中の大学生と共に、

現代の子どもたちや家族の現状を考慮しながら、

より有効な生命尊重教育や健康教育を再編成するため、

全国の学校における「いのちの授業」実施についての情報共有、

そして誕生学 ®をより多くの方に知って頂くために無償で行っている研究会です。

7月に開催されました第 1回研究会には多数の先生方が参加してくださり、小学校

におけるいのちの教育の実践について、情

報の共有がされ、さらに後半のワークショ

ップでは、「中 3 に 成人式を!」という

提案もされ、活発な議論がなされました。

第 2回いのちの教育研究会では世界に広まるグローバル・プログラム『デザイン・

フォー・チェンジ』+誕生学 ®を取り上げ

ました。

冬休みにはいったばかりでお忙しい中、

当日は次世代のためにより有効ないのちの

授業を展開したいとお考えのたくさんの学

校教員の皆様に参加いただきました。

第一部は、当協会代表理事より、「中学生

に伝える誕生学 ®」の講演を。続いて日本

財団「学校プロジェクト」を主催する田代

氏より「学校プロジェクト」での試みをシ

ェア。

第二部として世界で展開中のグローバ

ル・プログラム『デザイン・フォー・チェ

ンジ』+誕生学 ®の概要について、当協会

理事のユール洋子よりプレゼンテーション

があり、実際に『デザイン・フォー・チェ

ンジ』をご参加頂いた教員の方々に体験し

ていただくワークショップを行いました。

様々な地域から集まった教員の方々が、

実際の教育現場での様々な問題をテーマに

『デザイン・フォー・チェンジ』の手法で、

とても楽しそうにディスカッションされて

いた姿が印象的でした。

いのちの授業研究会 開催報告!

Action Report!

島津先生からは、I.S.K.札幌インターナショナルスクールで誕生学 ®を導入する前までの道徳教育についてと、誕生学 ®を導入してからの子ども達の変化、そして最後に今後の展望についてのご報告がありました。I.S.K.インターナショナルスクールは、幼稚舎が

隣接する建物で幼少一貫教育を行なっており、生まれる前の胎教から小学校 6年生までの 12年間の教育を行なっています。そのうち、幼稚舎の年中クラスから小学校 6年生までの 8学年に、誕生学 ®を保健や道徳の授業で導入しています。誕生学 ®導入前から、セルフイメージを大切にして音楽と照明と絵本のコラボレーションで絵本の読みきかせ等の授業を導入していたこと、そして誕生学 ®を初めて導入した時の、授業を終えた後の生徒の目の輝きに驚かされたことなどをお話いただきました。子ども達一人ひとりの存在が認められて、受け止められていることを誕生学プログラムで感じ、授業後の生徒達は喜びで溢れていたことを教員が実感したこと、そして愛を言葉で伝える事の大切さも、教員があらためて誕生学 ®を通じて学んだとの話もありました。今後の取り組みとして、誕生学 ®を親子参観時に導入し、親子の絆をテーマとして命の大切さを教育の場で伝えていきたいとのことでした。

日 時: 2013年 3月 22日(金)10:00~ 16:45会 場:札幌市教育文化会館 研修室 301参加費:無料後 援:北海道教育委員会、札幌市教育委員会、北海道性教育研究会

春休み直前や修了式当日という小中学校が多い中で、多忙な時期にもかかわらず、札幌市教育文化会館には、市内の校長先生、養護教諭、その他札幌市子ども未来局、子育て支援センター、私立中高一貫校の先生方等、道内から約 30名の方々にご参加いただきました。 教職員の皆様や地域コーディネーターの皆様と共に創る「いのちの授業研究会」。道内では初開催でしたが、多くの学びがあった充実した一日でした。

「小学校での誕生学 ®」 講師:島津将人先生(I.S.K 札幌インターナショナルスクール 教諭)

小林先生より、いのちの教育を行い 10年が過ぎた山鼻中学校で、現在行なわれている 3学年それぞれの授業の内容についてご紹介を頂きました。一年生では、助産師さんによる無料の出前授業と、道徳で 2コマ使っての感情を知

る授業「心のポケット」(コミュニケーションスキルの授業)、そしてスクールカウンセラーと一緒に行なうソーシャルスキルトレーニング「脱・小学校 7年生」という授業について、先に事例報告がありました。中 1では、もめごとが良く起こることから感情を知る授業を扱い、「感情って何?」を学ぶ上で、感情とは喜怒哀楽であること、「考える」じゃなく「感じる」ことなのだということ、そしてその感情の強弱、上下によって起こりうる自分の言動が周りにどのような影響を与えるのかについても、生徒達自身に知ってもらう機会として授業に導入しているとのことでした。その他、2年生で救命救急や妊婦ジャケットの体験などを行った時の話や、3年生で行なった旭山動物園の坂東園長の講話、そして誕生学 ®導入後の生徒からの感想などが紹介されました。

現在、産婦人科で唯一の「思春期外来」を開設する時計台記念病院。産婦人科医である藤井先生からは、思春期外来に訪れる患者さんの今と昔の疾患の変化についてお話がありました。

午後より、第二部では誕生学協会理事 ユール洋子より「誕生学 ®+デザイン・フォー・チェンジ」の概要説明と、ワークショップが行なわれました。 参加した教員のみなさんに、実際の身の回りの問題について、Fee l →Imagine → Do → Share のデザイン・フォー・チェンジの四つのプロセスを体感していただきました。

第 2 回

いのちの授業研究会 in 札幌第 3 回

「中学校での誕生学 ®」 講師:小林八重子先生(札幌市立山鼻中学校 養護教諭 平成 22年度 文部科学大臣優秀教員表彰受賞)

事例報告 2

「いのちの授業の重要性といのちの現場の状況について」講師:藤井美穂先生

(産婦人科医 社会医療法人社団カレスサッポロ時計台記念病院女性総合診療センター センター長)

日 時: 2012年 12月 26日(水)13:30~ 16:45会 場:公益財団法人 日本財団 2階会議室参加費:無料内 容:中学生に伝える誕生学 ®/大葉ナナコ(誕生学協会代表理事)

学校プロジェクト報告/田代純一氏(日本財団)誕生学 ®+デザイン・フォー・チェンジ概要説明・

ワークショップ/ユール洋子(誕生学協会理事)

事例報告 1

講 演 第二部

「2200年の世界、自分がこの世から居なくなった未来の世界に、どのような良いインパクトを残せるか、それを考えて僕は毎日を生きている」テクノロジーが可能にする未来を創造する研究所、MIT メディアラボの副所長を務める石井 裕教授。石井教授は、「タンジブル・ビッツ」の研究で知られ、最先端で活躍する世界的な研究者です。

北海道大学工学部ご出身の石井教授が『北海道の子供たちのために・・・』とご好意で企画された「変化のベクトル、未来のコンパス ─世代を超えるメッセージ─」石井裕教授講演会。この講演会は、DesignFor Change Japan(構成団体:誕生学協会、(株)グランマ)が、日本財団と(株)メディアネットワークスの協力のもと、日

本財団 2階大会議室にて開催した講演会であり、当日は満席、Uストリームでも実況され、多くの方にご参加いただきました。いのちの授業研究会 in 札幌は、この講演会のファンドの一部を使用し「北海道の子供達のために」という石井教授の願いを伝えるべく、開催されたものです。

いのちの授業研究会 in 札幌は、MITメディアラボ石井裕教授のご支援とご協力により、開催されました。

誕生学 ®

+デザイン・フォー・チェンジ

ワークショップ

3─4

Page 4: 私達にできることは何かを考える・・・ すべての赤ちゃんに愛情 … · 10 代です。それとほぼ同数 の 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に

各地で活躍する講師会員をクローズアップ。今回は、地域で誕生学 ®を広げているお二人にインタビュー。地域に広げることになった出来事や現在の活動内容、今後の展望について伺いました。

誕生学アドバイザー 10期生・産後教室講師

久保木 裕子さん(48歳)

プロフィール

埼玉県川越市在住。結婚して 10年目、顕微授精で授かった長女が病気になり、闘病生活を送る。以前、長女と聞いたことがあった誕生学 ®を子どもたちに伝えることこそが、「娘と共に生きる」ことだと感じて誕生学アドバイザーを取得。NPO法人川越子育てネットワーク理事でもある。

講│師│会│員│の│活│動│紹│介

埼玉県川越市の中学校に誕生学 ®を導入

Vol.

2

●中学校に誕生学 ®を導入した理由は?思春期の中学生世代に、誕生学 ®を伝えたいと思っていました。地

元で子育てネットワークを 10年以上運営していて感じるのは、赤ちゃんに触ったことがない世代が親になっているということ。私自身も

そうでした。小学生時代はまだ下の子が産まれるなど、赤ちゃんに触

れる機会に恵まれることもありますが、中学生になると小さな赤ちゃ

んに触れる機会もありません。だからこそ、親になるもっと手前の子

どもたちに、誕生学 ®を伝える必要があると感じていたんです。

とはいえ、子育てネットワークで産後のママや赤ちゃんと触れ合う

機会は多いものの、中学校の教師や保護者と出会う機会はほとんどあ

りません。どうしたらいいかなと思っていたところ、川越市の「提案

型協働事業補助金」を知りました。事業を認めてもらえたら、補助金

を出してもらい、かつ市が協働してくれるといいます。これなら、市

から中学校に働きかけてくれる可能性が高いと思い、申し込みをしま

した。

●具体的なプログラム内容は?初年度は、スタンダード誕生学 ®を実施しました。ここで先生や生

徒からの評価もよかったため、2年目からは思春期にいる中学生だから、命のことだけではなく、性のことも考えてほしいと思い「性=心

がイキイキする」と書くことや「命は性から生まれる」ということも

加えたプログラムを伝えています。

講義後は、映像を視聴。その後、手作りの妊婦ジャケットを装着し

てもらい、妊婦体験をしてもらった後、1歳くらいまでの赤ちゃんを抱っこをしたり、産後女性の話を聞く時間も設けました。だいたい 2コマ 90分の授業枠のなかで、構成しました。実際に中学校から申込みが多かったのは、3年生向けの家庭科の授業です。申込みがあった中学校には、誕生学アドバイザー仲間が講師

として出向く仕組みをつくり、私は 2年目 3校、3年目 3校で講師として誕生学 ®を届けましたが、あとは調整役に徹しました。

●中学生からの反応は?「いのちをつなぐって大変なことなんだと感じました」「育ててくれ

た親に感謝したい」という声をもらっています。また「川越市の中学

生でよかった(誕生学 ®を聞けてよかった)」という声をもらったと

き、大変だったけれども出前講座をしてよかったと実感しました。

また、赤ちゃんゲストに協力してくれたママたちからも「将来親に

なる世代、中学生に赤ちゃんを抱っこさせてあげられてよかった」

「社会貢献ができたようでうれしい」という感想もたくさんいただき

ます。

誕生学 ®は、中学生だけではなく、赤ちゃんゲストに協力してくれ

たママの自尊感情をも上げるものだと実感しています。

来年は 4年目に入ります。いつまでも補助金だけに頼らず、学校予算を確保して呼んでもらえる事業にステップアップしたい。また、川

越市内の中学校は全部で 22校あります。そのすべてから声がかかるような事業に育てていきたいと思っています。

数クラス合同で行うことが多い体育館での講義の様子。協働事業としての予算確定後、学校行事との調整や赤ちゃんゲストへの負担を考え、9~ 11月に集中開催している。

手作りの妊婦ジャケットは、布のエプロンに 4リットルの水と殻のついた生卵を入れたもの。卵が割れないように階段を上り下りしたり、立ったり座ったりしてもらいます。

グループごとに赤ちゃんと触れ合う時間は、クールな男子も赤ちゃんに興味津々。エコーや生まれたときの写真を見せたり、中学生といっしょにおむつ替えや離乳食を与えることも。

誕生学アドバイザー 16期生産後教室講師・妊娠準備教室講師

菊池 咲十子さん(40歳)

プロフィール

北海道札幌市在住。母の死と娘の誕生が同時期に訪れた経験から、「命のつながり」や「母の愛」について見つめるようになり誕生学アドバイザーに。生んで、生まれて、生きていることの素晴らしさを広く伝えることで、いじめや自殺予防、少子化対策ができるプログラムだと感じて、札幌市で活動中。北海道支部長。現在、バースコーディネーター養成課程(研究科)に在籍。

北海道札幌市の全児童会館に誕生学 ®を導入

●全児童会館に誕生学 ®を導入した背景は?保護者向け誕生学講演会を聞いてくれた人が次の大規模な講演会を

企画してくれ、その講演を聞いた人が行政に働きかけてくれて、札幌市

の自殺予防対策予算で誕生学 ®の講演会を開催することができました。

最初は自主開催で親子向け誕生学サロンを開催していたのですが、

このような人の縁によっていろいろな場へとつながり、現在では行政

や教育委員会主催の講演会と学校でのGT活動が中心です。

今回、全館で実施できた札幌市の児童会館とは、未就学児の遊び場

でもあり、小学校低学年の子どもたちが、働く親を待つ放課後の居場

所。普段はなかなか子どもとゆっくりと向き合う時間がない忙しい親

子向けに、生まれてきた喜びやいのちの大切さを心で深く感じてもら

える機会になれば、と親子向け誕生学イベントを開催。すべて平日の

夜6時以降で、仕事をしている親が参加しやすい時間帯で開催しました。

●具体的なプログラム内容は?幼稚園児や小学校低学年向けのプログラムのため、子ども自身が性

犯罪などから自分を守る術を知っておけるようなプライベートゾーン

の話や、親がスキンシップをより増やしていけるよう、赤ちゃん時代

の抱っこの意味が分かるフリードリヒ二世の逸話や「“つ”がつくう

ちは膝の上」というフレーズについてもしっかりと伝える内容を心掛

けました。

また、普段は「生まれてきてくれてありがとう」という言葉をなか

なか言う機会がないため、この場で親子が気持ちを込めて手紙を書き、

交換する時間を設けました。好きな色の紙を親子ともに選んでもらい、

その紙に親は子どもへの気持ち、子は親への気持ちを書きます。親か

らは「生まれてきてくれてありがとう」の一言も添えてもらうように

アドバイスしました。お互いに照れながらも、うれしそうに手紙を交

換し、読む姿に私自身も感動します。誕生学 ®を聴いた後だからこそ、

こうして親子の心を温める作業が効果的だと感じています。

この全児童会館プロジェクトについては、すべてを私一人で担当す

るのは難しいので、誕生学アドバイザー仲間に助けてもらい、10館に無事誕生学 ®を届けることができました。

●親子の反応は?「生まれてきてよかった」「生まれたときの喜びを思い出すことがで

きた」とたくさんの方々から感想をいただきました。なかでも忘れら

れない親子は、以前に私の誕生学 ®を聴いてくれたママとその息子さ

ん。初めて誕生学 ®を聴いてくれたとき、そのママは「小学校低学年

になるまでずっと抱っこをせがみ続ける息子。抱っこするのは私じゃ

ないとダメで、正直つらかった……」と涙を流していました。

そして、今回、小学3年生になった息子さんと一緒に誕生学 ®を聴

いてくれたのですが、今度は息子さんが誕生学 ®を聴いて泣いていた

んです。「僕はお母さんにいっぱい抱っこされたからうれしい~」っ

て。自分がいっぱい愛されたことへのうれしさいっぱいで泣いている

姿に、性やいのちの感性がしっかりと育まれていることをその場で感

じましたし、愛されてたくさん抱っこされた子どもこそ優しい子に育

ち、将来しっかりと他人を愛せる大人になれるだろうと確信すること

ができました。

親子の心を温める場をつくりたいと活動していますが、こうした出

会いに私自身も心を温めてもらっています。

私が住む北海道は、10代の人口妊娠中絶が日本で一番多い地域でもあります。自殺、虐待、中絶など悲しい現実が多々ある中で、未来を担

う子どもたちには、いのちを授かること、育むこと、そしていつか看

取って行くことにも、後悔しない生き方をしてほしい。世界にひとつ

しかないいのちに温かく向き合えるよう、そして、いのちが健康に保て

るよう、幼児や小学生はもちろん、中学生や高校生も当たり前に誕生

学 ®を聴くことができる仕組みづくりをしていきたいと思っています。

児童会館での親子向け誕生学 ®の様子。夜や休日に開催したこともあり、母親だけではなく、父親の参加も促すことができました。

誕生学 ® を聴いた後、親子がお互いに手紙を書く時間。短時間なのに、びっしりと手紙を書く親、あたたかい絵を描く子どもの姿が印象的でした。

絵を描き終わった後、参加者の子どもたちと記念写真。どの子の顔もうれしそう。

川越市中学校に誕生学 ®を導入するまで

「提案型協働事業補助金」に申し込み市民活動団体などが主体的に行う協働事業に対して、その事業にかかる経費の一部を市が補助する制度に申し込み。誕生学 ®と赤ちゃとのふれあい体験を盛り込んだ「いのちの出前講座」を提案し、補助金を獲得。

1年目(2010年)は市内 7中学校にて誕生学 ®を実施「いのちの出前講座」を市が中学校に広報。申込みを受けて、久保木さんが講師を手配する“協働事業”が実現した。

2年目(2011年)は協働委託事業として認められ、9校で実施中学校での誕生学 ®実施が口コミで広がり、補助金のみならず委託事業として格上げ。2年目は合計 9校で実施した。

3年目(2012年)は 13校で実施。うち 4校は学校予算で実施13校のうち、4校は今年で 3年目となるため、補助金による無料講座ではなく、学校予算への切り替えを提案。1校 3万円での「いのちの出前講座」を 4校で実施。残り 9校は補助金による講座を行った。

札幌市の児童会館に誕生学 ®を導入するまで

2010年 12月~ 親子向け誕生学講座を定期的に自主開催誕生学アドバイザー資格取得後、親子向け誕生学講座や月経教室を、月に1~2本定期開催。口コミで講座参加者が増えるように。

↓2012年 5月~ 札幌市立小学校全校チャリティプロジェクト実施

無償で小学校への誕生学ゲストティーチングを行う1年間のプロジェクトを運営。(2012年度実施: 11校)地域の誕生学アドバイザーのデビューや講師経験を積む場創設リーダーとしても活動。

↓2012年 8月 札幌市厚別区民センター事業で保護者向け講演会を行う区民センター事業として、講演会の講師を頼まれ、保護者向けに誕生学 ®

を伝える。↓

2012年 12月 札幌市 10区児童会館にて誕生学 ®を伝える保護者向け講演を聞いた子育て中の男性が、「札幌市子ども未来育成部」に働きかけ、児童のための自殺予防事業予算で『親子で楽しむ誕生学 ®』講演会を企画。企画が通り、小学校低学年の放課後広場である札幌市全 10区児童会館すべてで親子向け誕生学 ®を伝える。

Page 5: 私達にできることは何かを考える・・・ すべての赤ちゃんに愛情 … · 10 代です。それとほぼ同数 の 10 代の出産もあり、産婦人科から乳児院に

Birthing Letter 第17号2013年 5月 発行

頒価:100円

発行人 大葉 ナナコ

〒151-0066 東京都渋谷区西原3-17-15 SパティオTEL 03 5738 5761 FAX 03 5738 5762 HP: www.tanjo.org

*お問い合わせはホームページにある質問フォーム、またはFAXでお願いします。FAXいただく際は、ご連絡先のお電話番号、メールアドレス、お名前をお忘れなくご記入ください。

公益社団法人

全国に広がる! いのちってスゴイ!(通称:いのスゴ!)講師イベント報告日本中で広がる「いのちってスゴイ!」イベント。たくさんの親子に誕生学 ®をお届けしました。

このたび第 34 回母子保健奨励賞を受賞し、東宮御所に参内して皇太子殿下から激

励のお言葉をいただいてまいりました。こ

れもひとえに皆様のお導きのおかげと深く

感謝しております。

実のところ、日本助産師会茨城県支部長

から推薦のお話をいただいたとき、「もっと

上の方を…」と辞退申し上げたのですが、

表彰対象は 55歳以下とのことで必要書類を揃えたのでした。いままで賞というものに

縁がなく、なんだかピンとこない感じでし

たが、受賞後は多くの方にお祝いの言葉を

いただき、「あぁ、賞をいただくというのは

自分のためというより、自分を見守り育て

てくれた周りの方のためにあるのだ」とい

う思いに至りました。やはり経験しなけれ

ばわからない世界というものがあることが、

よくわかりました。

さて、この母子保健奨励賞表彰制度は、

昭和 54年国際児童年を契機として創設されて以来、わが国の母子保健の発展向上及び

国民の健康の保持増進に寄与するため、全

国各地で地域に密着した母子保健活動を献

身的に行い、その功績が顕著であり、将来も

引き続き優れた活動が期待できる個人を対

象に、その功績を称え顕彰するものです。

毎年、11月 20日(国連において児童権利宣言が採択された日)の前後に表彰式典

を行い、受賞者は式典終了後、東宮御所へ

参内し、皇太子同妃両殿下に接見を賜り、

御祝辞と激励のお言葉をいただいています。

母子保健奨励賞の表彰対象は、保健師、助

産師、医師、母子保健椎進員をはじめ、母

子保健事業に関連する多職種にわたってい

ります。

表彰者は毎年 15名、本年までで受賞者は510名に上ります。今年の受賞者は 15名中助産師が 6名で、これはかつてないほど助産師割合が多かっ

たです。他には医師 2 名、歯科医師 1 名、保健師 5名、臨床心理士 1名という構成でした。受賞者は「私の母子保健活動」とい

う所見を 1200 字程度にまとめて提出します。それが一覧となって印刷されて関連各

所に配布されます。同じ母子保健というフ

ィールドにいても、なかなか他職種の幅広

い活動を深く知る機会は少ないですから、

このような所見は今後の活動や連携に大い

に参考になります。

私の所感に書いた活動は大きく分けて 3つあります。まず「お産のお鍋」というメ

ーリングリストの管理を通じて母子保健関

係者をつないだこと。そして TV ドラマの

監修を通して不用意に出産に対して恐怖感

をもつことを改め、多様で快適な出産のイ

メージを提供できるよう、啓蒙に貢献した

こと。そして最後に誕生学 ®の紹介です。

所見の最後に「これからもご縁を大切に、

次世代を担う子供たちの心とからだを守り

育てることに力を尽くす所存です。」とまと

めました。「未来を応援する」をいれればも

っとよかったと今ごろ思っています。その

時々は一生懸命で力を尽くしたつもりでも、

時間がたつと足りないことが見えてくるこ

とも、また感じています。限りのある人生

ですが、信じる道を一歩ずつ歩んでいこう

と思います。

「母子保健奨励賞を頂いて…」

副代表理事 三宅 はつえ

三宅 はつえ誕生学協会副代表理事。出張開業助産師・東京大学医学部非常勤講師。看護師、勤務助産師を経て 96年より出張開業助産師。TV ドラマや映画、漫画などの出産・助産監修も手がける。キャッチフレーズは「ご相談は、身の上から身の下まで」のパワフルでマルチな助産師である。

● いのスゴ金沢 8/26(日)10:30~ 14:30教育プラザ富樫(石川県金沢市)

● いのスゴ山梨 11/3(土)11:00~ 16:00ラザウォーク甲斐双葉(山梨県韮崎市)

● いのスゴ調布 11/18(日)10:00~ 16:00調布市市民プラザあくろす(東京都調布市)

■ TA21期 誕生学アドバイザー 若杉雅代(大阪府在住)「健」(学校保健雑誌)2012年 12月号掲載■TA13期 誕生学アドバイザー 直井亜紀(埼玉県在住)公明新聞 5面 2012/12/22掲載■TA10期 バースコーディネーター 福田紀恵(山梨県在住)読売新聞(地域:山梨)2013/1/8掲載■TA20期 誕生学アドバイザー 榊 桂子(静岡県在住)日刊静岡 2013/2/14掲載

■TA16期 妊娠準備教室講師 菊池咲十子(北海道在住)苫小牧民報 2013/4/2掲載北海道テレビ「ありがとういのち」2013/5/5放送

● いのちってスゴイ!! あやせ 2012 in オレンジリボンママフェスタ11/22(木)10:00~ 15:00 東京マリアージュ(東京都足立区)

● いいお産の日 11/10(土)東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)

● 東北支部主催 いのスゴ仙台 3/9(土)仙台市青年文化センター(宮城県仙台市)

全国で活躍する講師たち!~メディア掲載情報