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皮膚にペタッと貼るワクチン!
大阪大学大学院薬学研究科
中川晋作
2009年の新型インフルエンザ騒動(H1N1/A 2009 pandemic)が示すとおり、交通手段の発達
によってボーダレス化が進んだ現代社会においては、一旦病原体のヒト-ヒト感染が起これば新
興・再興感染症の世界的流行(パンデミック)が避けられないことは明らかである。また、バイオ
テロリズムの恐怖、感染症の危険が多い海外旅行者の増大、高齢化・高度医療に伴う日和見感染症
の増加等、感染症に関連する問題が年々増加しており、人々の社会活動・経済活動や医療現場に大
きな損失をもたらす感染症への万全の予防対策が求められている。このような社会背景のもと、感
染症対策において抗生物質などの陰に隠れていたワクチンが、根本的予防における唯一の手段とし
て世界的に高い関心を集めている。
これまでに実用化された数多くのワクチンは、ポリオ生ワクチンの経口免疫など一部を除いて大
半が注射による免疫法である。この注射による免疫が、実際にワクチンを最も必要としている開発
途上国に技術的・経済的な理由からワクチンが浸透しにくい、ならびに先進国においては緊急時に
おける大規模ワクチン接種が困難である、といった課題を残している。すなわち、注射に代わる効
果的かつ簡便・安価・安全・低侵襲な新規ワクチン手法の開発は、国際的な関心が高く、その応用
製品に対して早期の上市・普及が大いに期待されるとともに、我が国の国際貢献・国防政策に重要
な指針を与える急務の研究課題と言える。そこで我々は、開発途上国への普及を促進し、且つパン
デミック発生時に接種されることを想定したワクチン製剤化技術の構築・熟成を図るというコンセ
プトのもと、皮膚をターゲットとした経皮投与型ワクチン製剤(貼るワクチン)の開発を推進して
いる。皮膚は常に外界からの異物侵入の危機に曝されているため、生体を守る物理的バリアーとし
て機能するのみならず、表皮に常在するランゲルハンス細胞(LC)を中心とした免疫学的バリアー
をも構築している。LC は免疫系の司令塔として働く抗原提示細胞の一つであり、侵入してきたウイ
ルスや細菌を捕捉して抗原特異的な獲得免疫応答を感作・活性化する。したがって、この LC に効
率良くワクチン抗原を送達することができれば、高い経皮ワクチン効果の誘導が期待できる。本観
点から我々は、DDS 技術を基盤に皮膚に貼付するだけでワクチン抗原を LC に効率よく送達しうる
“親水性ゲルパッチ”および“皮膚内溶解型マイクロニードル”という二種類の経皮ワクチンデバ
イスを応用した新規経皮ワクチン製剤の開発を推進している。
1.親水性ゲルパッチを用いた「貼るワクチン」の開発
親水性ゲルパッチについては、破傷風・ジフテリアトキソイドを用いて有効性と安全性を評価し
た。両トキソイドを混合して浸み込ませた親水性ゲルパッチをヘアレスラット背部皮膚に 24 時間
貼付し、この免疫操作を 2 週間隔で繰り返したところ、2 回投与することにより抗破傷風トキソイ
ド IgG 抗体ならびに抗ジフテリアトキソイド IgG 抗体の産生が認められた。また、その後投与回数
を増やすことで、従来までの皮下注射投与群と同程度またはそれ以上の抗体価を示すことが判明し
た。さらに各毒素と抗血清の混合溶液を動物に投与する耐過試験において、誘導された抗トキソイ
ド抗体は十分な毒素中和活性を有していることも明らかとした。また、これらのラットにおいてパ
ッチを貼付した皮膚局所に顕著な刺激性は認められなかったこと、各種血液検査や病理組織学的検
査などにおいても異常が認められなかったことから、本経皮ワクチン製剤は安全性にも優れること
が判明した。これらの動物実験の結果に基づき、破傷風・ジフテリア経皮ワクチンの安全性・有効
性をヒトにおいて検証する臨床研究を実施したところ、顕著な副反応を示すことなく抗トキソイド
抗体価の上昇を達成できることが明らかとなり、親水性ゲルパッチは早期実用化が期待できる非常
に有用な新規経皮ワクチンデバイスであることが示された。
2.皮膚内溶解型マイクロニードルを用いた「貼るワクチン」の開発
親水性ゲルパッチを応用した貼るワクチンは、トキソイドや病原体の構成蛋白質を抗原とする可
溶性抗原(コンポーネントワクチン)に対しては高いワクチン効果を発揮できる一方で、粒子状物
質の角質層透過を促進させることは困難である。現在実用化されているワクチン抗原は、病原性を
弱めた細菌やウイルスを用いる生ワクチンや、化学処理などにより抗原性を保持したまま感染性を
失わせた病原体を用いる不活化ワクチンが大半を占める。これらのワクチン抗原は形態が粒子状で
あるために、多種多様な抗原に対応できる経皮ワクチン製剤の開発には、親水性ゲルパッチに代わ
る新規経皮ワクチンデバイスの開発が望まれる。そこで我々は皮膚内溶解型マイクロニードルを応
用した経皮ワクチン製剤の開発にも取り組んでいる。マイクロニードル法は、物理的に角質層を突
破して粒子状抗原をも経皮デリバリー可能な技術である。しかし、これまでに開発されてきたマイ
クロニードルの大半は金属を素材としており、金属製のニードルが皮膚内で折れて残存する危険性
があるため、未だ上市されるに至っていない。それに対して我々の皮膚内溶解型マイクロニードル
は、皮膚の構成成分であるヒアルロン酸を主な素材としており、皮膚に適用すると皮膚内の水分を
吸収することで針が溶解し、内封物質を効率よく角質層下の生きた表皮あるいは真皮に送達するこ
とができる。これまでに針長が 200、300、800 m のマイクロニードル(MH200、MH300、MH800)を
作製し、ラット背部皮膚に貼付したところ、いずれのマイクロニードルも、わずか 5分間の貼付で
針先端部の溶解が始まり、60 分後には針底部まで完全に溶解した。MH200 および MH300 の貼付は皮
膚への刺激性はほとんどなく、MH800 適用部位では剥離直後に軽度の紅斑が認められたが数時間後
には元の状態に回復した。また、皮膚電気抵抗値の経時変化から各マイクロニードルの穿刺に伴う
角質層の微小孔は数時間以内に閉じることも示唆された。さらに、針部内封物質の形態が可溶性・
粒子状に拘わらず、MH200 および MH300 はそれらを角質層直下の生きた表皮から真皮上部に送達し、
MH800 では真皮深部にまで送達できることを明らかにしている。また、このマイクロニードルによ
るワクチン効果を三価の季節性インフルエンザ HA 抗原を用いて評価した結果、各インフルエンザ
HA 抗原特異的 IgG 抗体の産生誘導が確認され、アジュバントとして Alum を併用した注射ワクチン
群、コレラトキシンを併用した経鼻ワクチン群と同等の抗体価上昇プロファイルを示した。現在、
マイクロニードルを応用した経皮ワクチン製剤の臨床研究を実施すべく準備を進めている。
これらの研究は、科学技術政策先端医療開発特区(スーパー特区)「次世代・感染症ワクチン・
イノベーションプロジェクト」の分担研究課題として、経皮ワクチン製剤の一日も早い実用化を目
指して取り組んでいるものである。
参考文献
1.Y. Ishii, et al., A transcutaneous vaccination system using a hydrogel patch for viral
and bacterial infection. J. Control. Release., 131, 113-120, 2008.
2.K. Matsuo, et al., Transcutaneous vaccination using a hydrogel patch induces effective
immune responses to tetanus and diphtheria toxoid in hairless rat. J. Control. Release.,
149, 15-20, 2011.
3.石井裕美子、岡田直貴、中川晋作、‘貼るワクチン’の開発、日本臨床、66, 1848-1850, 2008.
4.石井裕美子、岡田直貴、中川晋作、経皮吸収型ワクチン製剤の開発、PHARMSTAGE、8, 49-52, 2009.
5.松尾一彦、岡田直貴、中川晋作、感染症対策に向けた次世代型ワクチン 貼るワクチンの開発、
ファルマシア、45, 333-337, 2009.
6.松尾一彦、岡田直貴、中川晋作、DDS 技術を基盤とした経皮ワクチン製剤の開発、Drug Delivery
System, 25, 8-14, 2010.
7.松尾一彦、権 英淑、岡田直貴、中川晋作、新規経皮ワクチンデバイスを用いた「貼るワクチ
ン」の開発、BIO Clinica, 25, 401-405, 2010.
8.中川晋作、ワクチン製剤の投与経路と剤型、日本医事新報, 4510, 83-84, 2010.
ウェストナイルウイルス
マラリア
ハンタウイルス
ラッサ熱
結核菌
結核菌
マラリア
HIV
エボラ出血熱マールブルグウイルス
結核菌
HIV
HIV
SARS
H5N1型鳥インフルエンザマラリア
ニパウイルス
H1N1型豚インフルエンザ
新興・再興感染症
経皮ワクチン 「貼るワクチン」
従来のワクチンの大半は
注射投与
注射針不要
室温保存が可能で輸送・保管が低コスト
使用法が簡便で医療技術者が不要
低コスト・簡便・非侵襲的な「貼るワクチン」は、開発途上国を中心に全世界で高い需要が見込まれる!
輸送・保管にコストがかかる
ワクチン接種に医療技術者を必要とする
注射針を介した二次感染の危険性がある
投与時の痛みや注射局所の腫脹や発熱
などの副作用
1日 約4000人
ワクチンにより予防可能な感染症で命を落としている
ワクチンの簡便性を高めて広く普及させるためには
表皮層
真皮
角質層
<皮膚の構造>
表皮全面積の25%に分布しており、抗原捕捉や炎症反応によって所属リンパ節に移動し、リンパ球を抗原特異的に感作する抗原提示細胞である
ランゲルハンス細胞 (LC)
生きた表皮を形成する細胞で、サイトカイン(IL-1, IL-6, TNF-, GM-CSF等) を産生分泌し、皮膚の免疫・炎症反応に関与している
ケラチノサイト
<表皮層>
<皮膚を形成する細胞>
しかし、皮膚表面に抗原蛋白質・ペプチドを塗布するだけでは、効果的な免疫応答を誘導できない → 角質層バリアー
表皮シート
表皮断面
免疫組織としての皮膚
角質層を除去することなく抗原蛋白質を生きた表皮層にまで浸透させ、効果的な抗原特異的免疫応答を誘導できるアプローチの開発が望まれる
従来の経皮免疫法 角質層を除去(ストリッピング)後、ペプチドや蛋白質等の抗原溶液を塗布すると免疫応答が誘導できる
簡便性・安全性の観点から、
経皮ワクチンデバイスとして親水性ゲルパッチを開発
親水性高分子ゲル体
支持体
抗原水溶液
ゲル組成:Acrylates/VP Copolymer水を吸収して表面に抗原濃縮層を形成 水分吸収直後
TexasRed-OVA溶液を滴下
LCに効率良く抗原を送達するためのデバイス! 親水性ゲルパッチ
・皮膚表面での高い抗原濃度勾配・角質層水和による角質層膨潤効果
抗原蛋白質の角質層透過を促進
LCへの抗原送達液性免疫誘導
TexasRed-OVA水溶液
①パッチの内部まで抗原が浸透せず表面に留まることで皮膚表面での高い抗原濃度勾配を形成する
皮膚電気抵抗値(MΩ・cm)
貼付前 4.1 ~ 4.2
パッチ貼付後 0.0090 ~ 0.0091
<未処理皮膚> <パッチ貼付皮膚>
②パッチで皮膚を密封し水分の蒸散を防ぐことで角質層の水和・膨潤効果が得られ角質細胞間隙が緩む
親水性ゲルパッチの角質層透過促進機序
水分吸収直後
TexasRed-OVA溶液を滴下 マウス耳介皮膚に24時間貼付後
皮膚表面での高い抗原濃度勾配形成ならびに角質層の膨潤効果が抗原蛋白質の角質層透過促進に寄与している可能性を示唆
親水性ゲルパッ
チ に 抗 原 溶 液
(100 g蛋白質
/10 l) を滴下
<対照群>角質層除去皮膚への抗原経皮免疫群
抗原溶液皮内注射群
血液の採取
抗原特異的抗体価の測定
1回目 24時間貼付 (100 g 抗原)
2週間
2週間
2回目 24時間貼付 (100 g 抗原)
親水性ゲルパッチを用いた経皮免疫方法
1
2
3
4
水分が吸収され
るまで室温放置
(約15~30分)
マウス耳介皮膚
に貼付
保護テープで固
定
Recip
rocal lo
g2
tite
r
<4
6
8
10
12
14
>16
OVA
免疫方法 パッチ パッチ パッチ
角質層
注射
抗原: OVA
「貼るワクチン」は抗原特異的抗体価を上昇させる
少なくとも0.1 μgの抗原が皮膚透過するRecip
rocal lo
g2
tite
r
<4
6
8
10
12
14
>16
OVA
免疫方法 パッチ
角質層
注射
10 μg
抗原: OVA
100 μg
注射 注射 注射
1 μg 0.1 μg 0.01 μg
細胞性免疫と体液性免疫
癌細胞 ウイルス感染細胞
抗原提示(MHC-II)
IL-10
IL-4IL-5IL-6
IL-12
抗体
IL-2IFN-
抗原提示(MHC-I)
細菌 寄生虫抗原捕捉
抗原提示細胞攻撃
細胞性免疫 体液性免疫
細胞外感染体
パッチを適用することで、角質層を除去することなく抗原特異的体液性免疫応答(Th2 type)を誘導できる
「貼るワクチン」はTh2 typeの免疫応答を誘導する
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
パッチ 注射
Recip
rocal Log2 titer
total IgG IgG1(Th2) IgG2a(Th1)
0
1
2
パッチ 注射Ratio o
f Ig
G1 to IgG
2a
パッチを用いた経皮免疫は、注射と同様に粘膜免疫を誘導出来ないまた、IgE抗体産生も同程度
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
An
ti-O
VA
Ig
E (
ng
/ml)
<1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
IgA抗体価 血清中IgE抗体価
パッチ 注射パッチ 注射 経鼻 (+CT)
Recip
rocal lo
g2
tite
r
糞便抽出液
鼻腔洗浄液
唾液
N.D
.N
.D.
N.D
.
N.D
.N
.D.
N.D
.
「貼るワクチン」によるIgA, IgE抗体産生
or
OVA 100 µg 3回免疫
脾細胞単離
最終免疫から2週間
OVA 1 mg/mLで再刺激
ELISPOT assay
24 hr後
サイトカインバランスの解析
0
100
200
300
400
500
パッチ 注射 非免疫
SFC p
er
10
6cells
IFN-γ
0
100
200
パッチ 注射 非免疫
IL-4
OVA(+)
OVA(-)
親水性ゲルパッチ 抗原蛋白質
抗原捕捉
抗原プロセッシング遊走
LC
輸入リンパ管
所属リンパ組織
抗原提示
LC
T cell
適応免疫
B cell
ヘルパー機能
抗原特異的抗体の産生
「貼るワクチン」について予想される免疫誘導機構
※Langerin:LCマーカー
蛍光標識OVA含有パッチ
顕微鏡観察
表皮シートを作製
FCM解析
表皮細胞を単離
蛍光抗体染色抗Langerin抗体
親水性ゲルパッチを用いることでLCへの抗原送達を達成できる
LCへの抗原送達
Merged
OVA
パッチ貼付2時間後
※Langerin:LCマーカー
蛍光標識OVA含有パッチ
顕微鏡観察
表皮シートを作製
FCM解析
表皮細胞を単離
蛍光抗体染色抗Langerin抗体
親水性ゲルパッチを用いることでLCへの抗原送達を達成できる
OVA
Lan
gerin
5.29
83.06 10.96
0.69
抗原を取り込んだLC
パッチ貼付24時間後
全LCの約12%
LCへの抗原送達
貼付2時間後貼付前OVA含有パッチ
顕微鏡観察
経時的に表皮シートを作製
免疫組織染色
抗原含有パッチの貼付により、LCの形態変化および遊走が起こる
貼付6時間後
50 m 50 m
50 m 700
800
900
1000
1100
1 c
m2当たりの
LC数
貼付前 2時間後
約15%減少
LC LC
LC
単位面積当たりのLC数を計測
LCの活性化と表皮からの遊走
経皮免疫 (2週間隔で2回)
抗原 : Ad蛋白質溶液
抗原量: 100 g protein/site
48時間
Luciferase assay (Ad感染の評価) 肝臓摘出
Luciferase発現Ad尾静脈内投与
2週間
ホモジネート調製
Ad-Luc: 108 VP/mouse
Ad感染モデル実験のプロトコール
PBS Ad抗原 ; Ad Ad
注射適用方法 ; パッチ
角質層 ; 除去 有
非免疫
除去 有
パッチ パッチ
Anti-Ad IgG
Lu
cif
era
se a
cti
vit
y
(RL
U / m
g t
issu
e)
108
106
107
105
Luciferase assay
PBS Ad抗原 ; Ad Ad
注射適用方法 ; パッチ
角質層 ; 除去 有除去 有
パッチ パッチ
6
8
14
12
10
Recip
rocal lo
g2
tite
r
N.D.
Ad感染モデルにおける感染防御効果
「貼るワクチン」により誘導される抗体はウイルスに対する中和活性を保持している
<抗原含有ゲルパッチの貼付>
<対照群>
抗原溶液皮内注射群
血液の採取
各抗原特異的抗体価の測定
破傷風毒素耐過試験
1回目 24時間貼付 (各100 g 抗原)
2週間
2週間
2回目 24時間貼付 (各100 g 抗原)
親水性ゲルパッチ(1 cm 2 cm)
固定テープ
破傷風・ジフテリアトキソイドの免疫方法
2週間
8回目 24時間貼付 (各100 g 抗原)
破傷風トキソイド: 100 gジフテリアトキソイド: 100 g
24時間貼付
・・・・
・・・
「貼るワクチン」は、実際の感染症ワクチンで用いられる
破傷風・ジフテリアトキソイドに対しても強力な免疫応答を誘導できる
<4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
Recip
rocal
log 2
tite
r
<4
6
8
10
12
14
16
18
20
破傷風トキソイド含有パッチ(経皮)
破傷風・ジフテリアトキソイド含有パッチ(経皮) 破傷風・ジフテリアトキソイド注射(皮下)
ジフテリアトキソイド含有パッチ(経皮)
抗破傷風トキソイド抗体価 抗ジフテリアトキソイド抗体価
免疫回数1 82 3 4 5 6 7
免疫回数1 82 3 4 5 6 7
「貼るワクチン」による抗トキソイド抗体産生
抗トキソイドIgGのサブクラス解析
<4
6
8
10
12
14
16
18
20
IgG1
(Th2)
IgG2a
(Th2)
IgG2b IgG2c
(Th1)
Total IgG
<4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
Recip
rocal lo
g2
tite
r
IgG1
(Th2)
IgG2a
(Th2)
IgG2b IgG2c
(Th1)
Total IgG
抗破傷風トキソイドIgG 抗ジフテリアトキソイドIgG
パッチ
注射
「貼るワクチン」は注射型ワクチンと比較して
Th1型の細胞性免疫よりもTh2型の体液性免疫を優位に誘導する
<6
8
10
12
14
16
18
Recip
rocal lo
g2
tite
r
3rd 4th 5th 6th 7th 8th
Vaccination
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
<6
8
10
12
14
16
18
20
Recip
rocal lo
g2
tite
r
3rd 4th 5th 6th 7th 8thN
.D.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
抗破傷風トキソイドIgG
抗ジフテリアトキソイドIgG
0.8 μg/patch
4 μg/patch
20 μg/patch
100 μg/patch
破傷風トキソイド用量
「貼るワクチン」の抗原用量依存性
0.8 μg/patch
4 μg/patch
20 μg/patch
100 μg/patch
ジフテリアトキソイド用量
抗破傷風トキソイドIgG
抗ジフテリアトキソイドIgG
パッチのサイズ
0.28 × 0.28 cm2
0.4 × 1 cm2
1 × 2 cm2
破傷風トキソイド: 50 g/cm2
パッチのサイズ
0.28 × 0.28 cm2
0.4 × 1 cm2
1 × 2 cm2
ジフテリアトキソイド: 50 g/cm2
Recip
rocal lo
g2
tite
r
3rd 4th 5th 6th 7th 8th<6
8
10
12
14
16
18
20
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
Recip
rocal lo
g2
tite
r
3rd 4th 5th 6th 7th 8th
Vaccination
<6
8
10
12
14
16
18
20
N.D
.
N.D
.
N.D
.
「貼るワクチン」のパッチサイズ依存性
抗破傷風トキソイドIgG
抗ジフテリアトキソイドIgG
3 h
6 h
12 h
24 h
パッチ適用時間
破傷風トキソイド用量: 100 g
3 h
6 h
12 h
24 h
パッチ適用時間
ジフテリアトキソイド用量: 100 g
20
Recip
rocal lo
g2
tite
r
3rd 4th 5th 6th 7th 8th<6
8
10
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14
16
18
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
Recip
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r
3rd 4th 5th 6th 7th 8th
Vaccination
<6
8
10
12
14
16
18
20
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
N.D
.
「貼るワクチン」の適用時間依存性
2週間隔で8回免疫
1週間 3か月 6か月 9か月
血清回収
9か月
抗トキソイド抗体価の測定
追加免疫
2w
「貼るワクチン」により長期的な免疫を獲得することが可能であり、
さらに追加免疫によるブースト効果も期待できる
<6
8
10
12
14
16
18
20
<6
8
10
12
14
16
18
Recip
rocal
log 2
tite
r
1週間 6か月 9か月3か月 1週間 6か月 9か月3か月
免疫 免疫
抗破傷風トキソイド抗体価 抗ジフテリアトキソイド抗体価
破傷風・ジフテリアトキソイド含有パッチ(経皮) 破傷風・ジフテリアトキソイド注射(皮下)
免疫持続とブースト効果
ワクチン手法血清 + ジフテリア毒素(100 ng)を投与した
モルモットの生存率
投与方法 Toxoid量1/1血清
1/10血清
1/100血清
1/1000血清
パッチ 破傷風トキソイド 100 g 0/10 - - -
パッチ ジフテリアトキソイド 100 g - - 4/8 2/10
パッチ破傷風トキソイド 100 g
ジフテリアトキソイド 100 g - - 5/8 2/10
注射破傷風トキソイド 100 g
ジフテリアトキソイド 100 g - - 4/8 1/10
ジフテリア毒素に対する中和活性
破傷風毒素に対する中和活性
ワクチン手法血清 + 破傷風毒素(20 ng)を投与した
マウスの生存率
投与方法 Toxoid量1/1血清
1/10血清
1/100血清
1/1000血清
パッチ 破傷風トキソイド 100 g 10/10 10/10 9/10 0/10
パッチ ジフテリアトキソイド 100 g 0/10 - - -
パッチ破傷風トキソイド 100 g
ジフテリアトキソイド 100 g 10/10 10/10 9/10 0/10
注射破傷風トキソイド 100 g
ジフテリアトキソイド 100 g 9/10 9/10 5/10 0/10
親水性ゲルパッチを用いた抗原蛋白質の皮膚透過実験
各分画の放射活性をγカウンターにより測定
角質層へ分配した蛋白量
生きた表皮/真皮に到達した蛋白量
125I標識抗原蛋白質
蛋白量 : 50g/patch (1 cm2)貼付部位: ヘアレスラット背部皮膚
貼付時間: 24時間
2. テープストリッピング (15回)1. 皮膚表面の蛋白質を除去
3. 角質層除去後の皮膚を摘出
蛋白量を算出
綿棒
粘着テープ
蛋白質
破傷風・ジフテリアトキソイドのラット皮膚透過
125I標識破傷風トキソイド 125I標識ジフテリアトキソイド
0
1
2
3
4
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
125I標識TT 50 g 10 g 50 g
50 gDT 生
きた
表皮
/真
皮に
到達
した
TT量
(g
)
角質
層へ
分配
した
TT量
(g
)
0
1
2
3
4
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
125I標識DT 50 g 10 g 50 g
50 gTT
生き
た表
皮/真
皮に
到達
した
DT量
(g
)
角質
層へ
分配
した
DT量
(g
) 6
5
Fraction
0200400600800
1000120014001600
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
c.p
.m
01000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
Fraction
c.p
.m生きた表皮/真皮抽出液のゲルろ過解析
親水性ゲルパッチを用いた経皮免疫製剤の皮膚刺激性は極めて低い
スコア 0 スコア 1 スコア 2
0 g 50 g 200 g 400 g
高度
中等度
軽度
非常に軽度
なし 0
1
2
3
4
貼付①貼付②
貼付③
貼付④
Day 0
1
22
23
0 50
400200
(g/cm2)
破傷風・ジフテリアトキソイドを各濃度で貼付
3週間
Draize法により皮膚の炎症反応をスコア化
紅斑・痂皮
浮腫
パッチ製剤の皮膚刺激性
親水性ゲルパッチを用いた経皮免疫製剤の皮膚への起炎性は低い
スコア 0 スコア 1 スコア 2
0 μg 50 μg 200 μg 400 μg
高度
中等度
軽度
非常に軽度
なし 0
1
2
3
4
皮膚のHE染色像観察からリンパ球浸潤度をスコア化
♂ ♀
スコア 3 スコア 4
創傷保護シート
貼付①貼付②
貼付③
貼付④
Day 0
1
22
23
0 50
400200
(g/cm2)
破傷風・ジフテリアトキソイドを各濃度で貼付
3週間
パッチ製剤適用皮膚におけるリンパ球浸潤 (起炎性)
Liver
0
2
4
6
8
10
12
Male Female
Org
an
we
igh
t (g
)
Kidney
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
Male Female
Spleen
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
Male Female
GOT
0
50
100
150G
OT
(U
/ml)
Male Female
GPT
0
10
20
30
40
50
GP
T (
U/m
l)
Male Female0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
CR
E (
mg
/dl)
Male Female
Creatinine
100
120
140
160
180
200
220
240
260
280
0 5 10 15 20 25
Days after first application
Bo
dy
we
ight
(g)
トキソイドパッチ (♂)
創傷保護シート (♂)
トキソイドパッチ (♀)
創傷保護シート (♀)
体 重 臓器重量
病理組織像所見
トキソイドパッチ 創傷保護シート
トキソイドパッチ 創傷保護シート血清生化学値
Liver Kidney Spleen Lymph node
0
1
2
3
Sc
ore トキソイドパッチ (♂)
創傷保護シート (♂)トキソイドパッチ (♀)
創傷保護シート (♀)
パッチ製剤の安全性試験
不活化ワクチン生ワクチン
成分無毒化あるいは弱毒化した病原体
例
BCG
経口生ポリオワクチン麻疹ワクチン風疹ワクチン流行性耳下腺炎 (おたふく風邪ワクチン)
水痘ワクチン黄熱病ワクチン
ジフテリアワクチン破傷風ワクチン百日咳ワクチンコレラワクチンインフルエンザワクチン狂犬病ワクチン日本脳炎ワクチンA型肝炎ウイルスワクチンB型肝炎ウイルスワクチン
化学処理などにより死んだ病原体不活化した毒素 (トキソイド)
病原体の抗原部分 (コンポーネント)
抗原種を問わずに適用可能な新規経皮ワクチンシステムの開発
現在実用化されているワクチン抗原
マイクロニードルを用いた経皮デリバリー
生分解性マイクロニードル
角質層
生きた表皮
真皮
従来のマイクロニードル
マイクロニードル法・・・微小なニードルを用いて角質層に物理的に穴を開け、物質を皮膚内に送達する手法
× 皮膚内で金属製のニードルが折れて残存する危険性がある
○ 皮膚組織成分であるヒアルロン酸を主成分とし、ニードルが溶解する
生分解性マイクロニードル(MicroHyala)
名称MicroHyala 200
(MH200)
MicroHyala 300
(MH300)
MicroHyala 800
(MH800)
主構成材料 ヒアルロン酸 ヒアルロン酸 ヒアルロン酸
針形状 コニーデ形 コニーデ形 円錐形
針長 (m) 200 300 800
針間隔 (m) 600 600 600
針到達深度 (m) 20-50 100 500-600
針到達部位 角質層 表皮 真皮
顕微鏡写真
用途経皮ワクチン化粧品
経皮ワクチン経皮ワクチン
蛋白医薬経皮送達
皮膚穿刺時の痛み 無痛 ほぼ無痛 弱い痛み