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粗面化めっきによる異種材料接合
信州大学 工学部 物質化学科
教授 新井 進
平成30年8月9日
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金属/樹脂異種材料接合方法
中田一博,SURTECH2018-表面技術要素展平成29年度(第28回)表団協セミナー資料を基に作成
接合方法名 接合方法 特徴
接着法 接着剤
・継手形状・寸法の自由度大・熱可塑性・熱硬化性樹脂に適用可・接着剤固化時間長い・溶媒溶液の安全性
機械的締結法・リベット・ボルト・かしめ
・形状・寸法の自由度大・熱可塑性・熱硬化性樹脂に適用可・応力集中部の存在・気密性低い
熱圧着法
・高周波加熱・抵抗加熱・レーザー加熱・超音波加熱
・形状、寸法の自由度大・熱可塑性樹脂に適用可・熱硬化性樹脂に適用不可
インサート成形法 射出成型・小物部品の大量生産可・熱可塑性・熱硬化性樹脂に適用可・部品形状、寸法に制約有
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金属
粗面化 射出成型(インサート成形)
インサート成形法
樹脂
アンカー効果
接合したい金属表面を粗面化し、そこに射出成型等により樹脂をインサートし、主にアンカー効果により接合
金属の種類や組織に関係なく同じ面粗度の粗面化面を提供可能 4
粗面化処理方法の比較
化学エッチング処理 レーザー処理
金属 金属
レーザー照射
エッチング液
金属
粗面化めっき処理
・金属を溶解させて凹凸を形成・金属の種類や組織により凹凸形状が変化する
・金属をレーザーで変形させて凹凸を形成・金属の種類や組織により凹凸形状が変化する
・金属表面に凹凸のある金属層を形成・金属の種類や組織による凹凸形状の変化がほとんど無い
M+M+ めっき液M+ M
e−M+ M
e−
従来技術 新技術
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平滑なCu
めっき膜
(+) (–)
Cuめっき浴
(+) (–)
通常のCuめっき
粗面化Cu
めっき膜
(+) (–)
Cuめっき浴
(+) (–)
粗面化剤
平滑剤
粗面化Cuめっき
粗面化銅めっきとは
粗面化銅めっき膜の形態
表面 断面
厚さ数10 nmの銅のシートがある角度を持って重なり合い、空間を有する三次元構造を構成
S. Arai, et al. ECS Electrochemistry Letters, 3, D7-D9 (2014).
基板
粗面化銅めっき膜の表面・断面SEM像(電流密度依存性)
粗面化剤なし
粗面化剤濃度
A粗面化剤濃度
B
電流密度
A電流密度
B電流密度
C
粗面化銅めっき膜の表面・断面SEM像(粗面化剤濃度依存性)
電流密度や粗面化剤濃度によっても表面形態を制御できる。
微細形態の制御
表面
表面
表面
断面
断面
断面
1 mm
1 mm
1 mm
1 mm 1 mm
1 mm
基板
基板
基板
・粗面化銅めっきを行うことにより、鉄鋼と樹脂の接合強度が向上する。
・現在、30 MPa以上のせん断強度を達成している。
射出成形直後に金属と樹脂が分離
粗面化銅めっきによる金属-樹脂間の接合強度向上
射出成形により金属と樹脂が接合
接合部
銅めっき 粗面化銅めっき
せん断強度:0 MPa せん断強度:4 MPa
表面粗さRMS = 0.1 mm
表面粗さRMS = 0.33 mm
SPCCSPCC
PPS PPS
CNT 複合めっき膜とは
電解CNT複合めっき
CNT複合めっき膜
CNT複合めっき浴
CNTs
(-)(+)
CNT複合めっきの特徴
S. Arai, M. Endo et al, Carbon, 42, 641 (2004).
Ni/CNT複合めっき膜の表面SEM像:CNT上にもNiが析出している。
CNT複合めっき膜は粗面化し易い
粗面化CNT複合めっき
Ni/多層CNT複合めっき膜の表面・断面SEM像
10 mm基板(SPCC)
断面
10 mm
表面
金属Au, Pt, Ag, Cu, Ni, Co, Zn, Fe, Sn,
Ni-P, Ni-B, Ni-W, Ni-W-P, Fe-P, Co-W
CNT単層CNT, 多層CNT, カップスタック型CNT
組合せ可
様々な種類のCNT複合めっき膜が作製可能
粗面化Ni/CNT複合めっき膜の表面形態:CNT濃度依存性
20 mm 20 mm
20 mm20 mm
0.25 g L-1 0.5 g L-1
1.0 g L-1 2.0 g L-1
CNT添加量により,表面形態を制御できる.
・粗面化Ni/CNT複合めっきを行うことにより、鉄鋼と樹脂の接合強度が向上する。
・現在、30 MPa以上のせん断強度を達成している。
射出成形直後に金属と樹脂が分離
粗面化Ni/CNT複合めっきによる金属-樹脂間の接合強度向上
射出成形により金属と樹脂が接合
ニッケルめっき Ni/CNT複合めっき
せん断強度:0 MPa せん断強度:9 MPa
表面粗さRMS = 0.72 mm
表面粗さRMS = 3.55 mm
接合部
SPCC SPCC
PPS PPS
鉄鋼
粗面化(エッチング、レーザー照射)
射出成型(インサート成形)
従来粗面化法と粗面化めっき法の違い-界面構造-
樹脂
鉄鋼
粗面化(粗面化めっき)
射出成型(インサート成形)
樹脂
熱可塑性樹脂(PP,PA6,PPS)PP: 6-10×10-5/K
PA6:6-10×10-5/K
PPS: 5×10-5/K
銅めっき(銅)(Cu:1.8×10-5/K)
熱可塑性樹脂(PP,PA6,PPS)PP: 6-10×10-5/K
PA6:6-10×10-5/K
PPS: 5×10-5/K
線膨張係数の差大
線膨張係数の差を
緩和?
鉄鋼(線膨張係数:1.1×10-5/K)
鉄鋼(線膨張係数:1.1×10-5/K)
粗面化めっき層で鉄鋼と樹脂の線膨張係数差の緩和が可能?
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想定される用途
• 自動車車両製造に適用することで車両軽量化のメリットが大きいと考えられる。
• 接着剤による異種材料接合技術に本粗面化めっき技術を適用することで、接着強度の更なる向上も期待される。
• また、粗面化めっき膜は、高比表面積めっき膜でもあるので、各種センサの電極用途に展開することも可能と思われる。
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実用化に向けた課題
• 現在、初期接合強度が実用が可能なところまで開発済み。しかし、長期信頼性試験後の接合強度の評価が未解決である。
• 今後、長期信頼性試験(ISO19095)について実験データを取得し、車両に適用していく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて、粗面化めっき膜の耐食性の評価も必要。
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企業への期待
マルチマテリアル化、特に金属と樹脂のマルチマテリアル化への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :金属と樹脂の接合体
• 出願番号 :特願2018-034322
• 出願人 :信州大学
• 発明者 :新井 進
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産学連携の経歴
• 2002年-2018年 企業との共同研究のべ50件以上
• 2017年-2018年 JST地域産学バリュープログラムに採択
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お問い合わせ先
株式会社信州TLO
TEL 0268-25-5181
FAX 0268-25-5188
e-mail info@shinshu-tlo.co.jp