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1 社会資本整備等における民間活力 の活用等に向けた制度改善提案 資料 21 (事務局) 国土交通省 関東地方整備局 企画部 企画課 () 国土技術研究センター

社会資本整備等における民間活力 の活用等に向けた制度改善 …5 例えば、官の候補案件・概要の発表、民の意見表明、官民のパートナーシップによ

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  • 1

    社会資本整備等における民間活力の活用等に向けた制度改善提案

    資料 2-1

    (事務局)

    国土交通省 関東地方整備局 企画部 企画課

    (財) 国土技術研究センター

  • 2

    〔社会資本整備等における民間活力の活用等の意義〕

    社会資本を整備する予算は減少し続けてきた(10年前の約1/2)。

    しかし、関東地方においても「首都圏広域地方計画中間整理」に掲げられたビジョンを議論する中でも、整備すべき社会資本はまだ多く残っており、更に更新や大規模修繕等の方策が必要となっている。

    このため財政再建を図りつつ将来世代が必要とする社会資本を整備する方策が必要となっている。

    資金面では国債や地方債の残高が高まる一方、国内にはまだ「眠れる資金」がある。

    この資金を有効に活用して必要な社会資本を整備する方策を検討する。

    官民のパートナーシップの強化策

    ○前回の議論を踏まえて

  • 3

    官民のパートナーシップの強化策の検討

    1. 事業を創出しやすくすること!

    2. 法令上の隘路をなくすこと!

    3. 資金の多様性を増すこと!

    4. リスク評価や事業価格を妥当なものにすること!

    5. 民間による創意工夫をしやすくすること!

    6. PFI法に基づく手続きの合理化を図ること!

    7. 検討の深化を図ること!

    〈総括テーマ〉

    ○ 出来ない理由を挙げるのでなく、出来るために何を変える必要があるのかまで踏み込んだ積極的な議論を行う。

    〈提案の論点〉

  • 4

    海外と日本のPPP/PFIの検討の位置づけの比較

    日 本オーストラリア英 国

    PFIを考える10年程前に官民の比較が習慣化

    ガイドラインで義務化(官民の比較を)

    民間からの提案等 官民の比較は義務付なし

    従来方式での整備

    PPP/PFIは臨時的に検討

    従来方式かPPP/PFIか比較決定

    従来方式かPPP/PFIか比較決定

  • 5

    例えば、官の候補案件・概要の発表、民の意見表明、官民のパートナーシップによる事業化の検討等の事前手続きによる事業形成プロセスの充実。

    制度改善の視点

    制度改善の方向性

    ○ 発想段階民からの提案(シドニーハーバートンネル) もあるが、日本では官からの一方通行ではないか?

    ○ 企画段階社会資本整備事業は採算が厳しいものが多い。どの程度公共から支援するか?

    元々、プロジェクト実施に際して官/民比較の習慣がない。

    ・ 案件選定と実施方針に合理性を確保・ 魅力ある事業の創出・ 民の道路・河川事業のPPP/PFIの経験を重ねる

    1.事業を創出しやすくすること

  • 6

    案件形成のイメージ(制度改善の方向性)

    官による計画策定

    官による候補プロジェクトのリストアップ・概要の発表

    民によるPPP/PFIの提案(意見表明)

    官民パートナーシップによる事業化の検討

    従来方式による整備 or PPP/PFIによる整備の決定

    従来方式仕様書の公示 PPP/PFI実施方針の公表

  • 7

    2.法令上の隘路をなくすこと

    本項は制度を改めなくとも実質的に事業実施が可能。なお、法改正を要する所有権や許認可権の移転は魅力的な事業の創出が前提。

    法令制度

    ○ 公物管理法は制約になっているか?

    道路法を例に取ると、「管理者が行う権限を踏まえたPFI事業範囲の例示」については以下の通り。

    「計画の策定や工事の発注等の行政判断を伴う業務や、占用許可、通行規制

    等の行政権の行使を伴う業務以外の、例えば、建設工事や維持管理修繕の実施

    等の事実行為については、選定事業者(民間)が行うことは可能。」(「国土交通省

    所管事業へのPFI活用参考書」H18.3、国土交通省、p.228)

  • 8

    2.法令上の隘路をなくすこと

    従来の公共事業と同様に非課税とする方向を目指す。

    BTO方式による対応

    当初は通常の課税であったが、不動産取得税、固定資産税、都市計画税はサービス購入型のBOT方式のみ整備する家屋と償却資産について課税標準を価格の1/2に(H17より)。

    従来の公共事業では非課税なので、PPP/PFI事業方式でも同様にする(イコールフッティング)。

    VFMの向上。

  • 9

    3.資金の多様性を増すこと

    資金調達

    日本での資金調達は、出資金と銀行からの借入金で構成される例が多い。低金利の影響もあるが、債券市場も育っていない。

    当初の本格的PPP/PFI事業を軌道に乗せるために

    当面、例えば以下の措置

    ・官の保証を借入金に付加

    ・無利子貸付制度の創設:港湾のコンテナターミナルには無利子貸付制度あり。(株)政策投資銀行の無利子貸付けは現在ない。

    長期的には、

    ・債券市場形成のための支援措置

    ・事業者の料金決定における自由度向上

    資金調達の多様性を増す。インフラは長期的に安定したキャッシュ

    フローを有する事業。

  • 10

    区分 事例 備考

    負債に対する資金供給

    融資(ローン) プロジェクトファイナンス 我が国PFIで一般的。シンジケートローン。ノンリコースローン(非遡及型融資)。

    債券(ボンド) 債券 特定事業からの収入を返済原資として発行される債券。我が国事例?

    事業の格付けや情報公開が必要。資金源が広範な投資家。

    ミニ市場公募債 廃棄物処理施設整備を目的とする「ひたちなか市民債」など住民参加型ミニ公募債には資金の使途をあらかじめ決めた債券がある。

    レベニューボンド 米国で発行されている特定の事業からの収入を担保とする債券。税制面での優遇措置が講じられている。自治体の起債制限の枠外になる。

    資産流動化証券 公共資産をSPCに売却できないため、長期リース賃貸をもとに証券化債券を発行。

    事業出資 我が国PFIで一般的。事業者や公共団体、銀行による出資。

    資本に対する資金供給

    出資 出捐金 償還期間を定めない債券(返却されない資金)。

    不動産投資証券 J-REITの活用等が考えられる。

    社会ファンド 志ある投資(まちづくりファンド、NPOバンク)

    私的収益性より社会収益性(社会貢献)に主目的をおいて出資、寄付。

    株式 株式 利用は少ない。民間事業的償還になる。

    英国では株式の比率を高める試みがうまく行かなかった。オーストラリアでは活用。

    政府資金 税金/補助金 米国には、補助金約束債もある。

    国債/地方債 他に政府資金融資など。 最大30年の国債が可能(法11条)。無利子相続税非課税国債の検討。

    社会資本整備等における民間資金の活用

    参考:(社)土木学会「インフラ事業における民間資金導入への挑戦p54」(2008.10)他

  • 11

    社会資本整備等における民間資金の活用

    出典:内閣府PFI推進委員会第12回総合部会への金融機関意見資料「PFI事業における金融に関する調査」別添資料3,2006.8.29

    不特定多数の者が債権者となる。債権者が明確。8.その他

    組み直しも可能だが、ローンと比べると柔軟性には難がある。

    債券と比べると容易とされる。7.リスケジュール等の柔軟性

    外部格付けが可能。海外の事例ではモノラインインシュアランスによりラップされることが多い。

    外部格付けが可能。6.信用補完

    ローンに比べると期限一括返済が一般的。

    元利均等が原則だが、債券よりは柔軟な返済スケジュールが可能。

    5.償還の柔軟性

    一般的にローンよりも長期の対応の可能性が高いと言われる。

    一般的に多くの金融期間が対応可能な最長期間は20年が限度といわれる。

    4.期間

    固定金利が一般的。一般的には「基準金利+スプレッド(事業の進行に応じた段階的なスプレッドを設定)。

    3.調達コスト

    一般的にローンに比べると多額の調達が容易と言われる。

    2.資金調達規模

    機関投資家、一般投資家等銀行等金融機関1.資金提供者

    債券ローン項目

    ローンと債券の特性比較

  • 12

    新規発行例乏しい

    BB

    優良企業②。大手私鉄。

    ~5年BBB

    優良企業①。大手私鉄。

    ~10年A

    有力自治体は20,30年なども。電力会社。

    ~15年AA

    国債等~30年AAA

    備考起債年限(上限目安)格付

    会社の格付

    社会資本整備等における民間資金の活用

    2009.3.9時点債券の期間

    出典:第1回富岡委員提出資料より

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    社会資本整備等における民間資金の活用

    リーマンショック以降:信用収縮、銀行の資産毀損、融資枠が低下→ 事業の資金調達環境は良くない

    民間の事業投資意欲が減少 → 債券の金利も低下

    資金はあっても投資先がない

    新たな債券は組成出来ないか?

    例)我が国へのレベニューボンド導入に向けた可能性検討レベニューボンド発行に当たって不可欠な法制度やガイドラインが未整備であり、発行手続き上

    求められる評価や情報開示等に係る経験やノウハウ等が米国に比べ極端に不足している状況。<導入に当たっての課題>

    ①事業関係者間の役割・リスク分担の明確化

    ・金融機関においては、事業の経済性及び事業主体の信用力等に注視した審査とモニタリングが求められる。

    ②投資家の先取特権等の設定を可能にする規定の整備③自治体破産規定の整備

    ④発行計画策定のノウハウの不足⑤債券発行に必要な法律上の手続きに関するガイドライン等の整備⑥発行体が適切に引受業者を選定できるノウハウの蓄積⑦格付け取得の実績取得⑧償還確実性に関する評価のノウハウの蓄積⑨債券発行に係る情報開示・システムの整備⑩発行情報の保管に係る仕組みの整備⑪モニタリングの経験やノウハウの蓄積

    出典:日下部 隆昭,森山 弘一:「事業目的別歳入債券の有効活用に関する

    研究Ⅱ~我が国への導入に向けた可能性の調査・考察~」、国土交通省国土交通政策研究第73号、2006 年10 月

  • 14

    社会資本整備等における民間資金の活用

    出典:オーストラリアにおけるインフラ・ファンド及びインフラ投資について,日豪コラボレーション・フォーラム2009年3月2日資料,2009.3

    ○オーストラリアでは退職年金(スーパーアニュエーション)スキームに支えられた投資ファンドの運用が急拡大。 <2008年7-9月期で1.3兆豪ドル(1兆米ドル)>

    ○退職年金ファンドの約4~6%はインフラ資産への投資。上場インフラファンドもある<268億豪ドル,2008.12.31>。

    ○インフラ投資の特徴・独占的性質/高い参入障壁・長期の資産耐用年数・安定した予測可能なキャシュフローと変動の少ない収入源・長期契約・規制産業・高い営業利益率・確実性の高い分配・大規模投資

  • 15

    資金の多様性を増すことの意義

    投資家と事業者に対して魅力を増す方策

    資金の安全性向上

    資金の利回り向上

    情報公開(事業の採算性の見える化)

    利子への税金の優遇措置、 債券発行費用への補助無利子相続税非課税

    事業の魅力を増す 社会的意義を理解しやすい(まちづくりなど)。採算が良い。

    社会資本整備等における民間資金の活用

    投資家:多様な投資先のひとつ。ローリスク・ローリターン型~ハイリスク・ハイリターン型

    事業者:資金調達の多様性を高めることによる調達コスト低減やリスク分散

    リファイナンス(建設期と供用期で異なるリスクの対応)

    金融機関によるモニタリング機能強化、格付け

    英国: 株式比率を高める試みが上手く行かなかった。銀行融資と債券発行が主たる資金調達源。オーストラリア:超長期だが確実な収入があるインフラ投資の特性の理解が浸透し、債券発行や上場株式

    発行による資金調達が急速に発展。(出典:長野幸司他:社会資本整備等における資金調達に関する研究~PFIの資金調達,国土交通政策研究第30号、2003.12)

    担保・モノライン保証、 政府・管理者の保証

    資金の流動性 換金できる市場の整備等

  • 16

    4.リスク評価や事業価格を妥当なものにすること

    リスクに対する官民分担

    当事者間の契約で対応可能なリスク(工事費増等)は知見に基づき契約書に明記。

    当事者だけで対応できないリスク(需要変動、住民合意形成、不可抗力等)は協調して低減。

    ○ 基本は「リスクを最も良く管理することができる者が当該リスクを分担する」。が、

    現実には、多くの項目が共通となっていて、かなりのリスクが事業者に移転されている。

    ○ 事業者の資本金の範囲を超えないリスク負担力には限界がある。過度のリス

    ク負担では事業が不成立のケースもある。○ プレイヤー間の適切なリスク分担が不可欠。

    リスクの負担に応じたインセンティブを与える。

  • 17

    ・不可抗力

    ・物価、金利、為替レートの変動、税制の変更

    ・施設等の設置基準、管理基準等の関係法令の変更

    ・許認可の取得等

    (6)各段階に共通するリスク

    ・公共施設等の譲渡

    ・一部又は全部を撤去しての原状復旧

    (5)終了段階でのリスク

    ・運営開始の遅延

    ・利用度の当初想定との相違

    ・施設の損傷

    ・維持管理や運営の中断

    ・事故・技術革新

    ・修繕部分等の瑕疵

    (4)維持管理・運営に係わるリスク

    ・工事の完成の遅延

    ・約定金額の超過

    ・第3者に及ぼす影響

    ・工事目的物の瑕疵

    (3)建設に係わるリスク

    ・公共施設等の敷地

    ・工事の施工上必要な用地の使用権

    (2)用地確保に係わるリスク(リスクを取っても実施可能な事業規模)

    ・設計等の完了の遅延

    ・約定金額の超過

    ・成果物の瑕疵

    (1)調査・設計に係わるリスク

    内容各段階のリスク

    リスクの分類

    出典:内閣府「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」(2001.1.22)より

  • 18

    リスクの定量化の例

    事業費への影響のランキングマトリックスの例

    リスク大

    (社)土木学会 建設マネジメント委員会PFI研究小委員会「道路事業におけるリスクマネジメント検討調査報告書(H17.3)」を元に作成

  • 19

    英国道路PFI事例 A1 Darrington to Dishforth(DBFO)□事業概要・事業化経緯

    スコットランド、北東イングランドおよび南イングランドを結ぶ主要ネットワークに位置する高速道路。延長53km。

    Post Tranche2 DBFO道路の1つ。

    □建設費 2億4,500万£

    □事業経緯及び事業期間

    ・入札公告 2001.03.27・優先交渉権者選定 2002.09.23・契約締結 2004.02.29・事業期間 33年

    図 対象区間

    図 事業スキーム

    表 資金調達

    表 リスク分担

    Road Management Services (Darrington) Ltd.

    出資

    設計・建設請負契約

    コンセッション契約

    Highways Agency

    RMG Construction JV

    EIB 融資Brown and Root

    Alfred McAlpine

    AMECサービス購入料金

    JV

    Dragados投資家

    債券購入

    資金調達構成

    金額(シェア)

    AMEC 25.00%Alfred McAlpine 25.00%Kellogg Brownand Root 25.00%

    Dragados 25.00%融資 110m£(45%)債券 114 m£(47%) Index linked, Aaa/AAA

    備考

    出資金 18.8m£(8%)

    EIB出典 (社)土木学会 インフラPFI/PPP事業国際動向調査報告書(2),2008.3

    英国

    官 民計画リスク ○設計・施工リスク ○ 官の設計変更等によるものを除くコストオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除くタイムオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除く構造物瑕疵リスク ○

    運営・維持管理リスク ○住民等反対リスク不可抗力リスク補償・保険リスク ○法制度変更リスク ○ 当該PFI事業を直接対象とするものを除く金利変動リスク ○

    ○○

    リスクリスク分担

    備考

    需要リスク ○Availability feeの割合を高め、Usage feeを大型車に限定→官の負担大

    参考資料1-1再掲

  • 20

    官 民計画リスク ○設計・施工リスク ○ 官の設計変更等によるものを除くコストオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除くタイムオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除く構造物瑕疵リスク ○

    運営・維持管理リスク ○住民等反対リスク不可抗力リスク補償・保険リスク ○法制度変更リスク ○ 当該PFI事業を直接対象とするものを除く金利変動リスク ○

    ○○

    リスクリスク分担

    備考

    需要リスク ○Availability feeの割合を高め、Usage feeを大型車に限定→官の負担大

    A1 Darrington to Dishforth (DBFO) の官民のリスク分担例

    〔前ページのものを拡大〕

    出典 (社)土木学会 インフラPFI/PPP事業国際動向調査報告書(2),200.8.3

  • 21

    官 民計画リスク ○設計・施工リスク ○ 官の設計変更等によるものを除くコストオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除くタイムオーバーランリスク ○ 官の事由によるものを除く構造物瑕疵リスク ○ 事例によって移転の程度は異なる。需要リスク ○ バンド制シャドートールで官が一部シェア運営・維持管理リスク ○住民等反対リスク不可抗力リスク補償・保険リスク ○法制度変更リスク ○ 当該PFI事業を直接対象とするものを除く金利変動リスク ○

    リスクリスク分担

    備考

    M1-A1 Motorway Link, Leeds (DBFO) の官民のリスク分担例

    出典 (社)土木学会 インフラPFI/PPP事業国際動向調査報告書(2), 2008.3

  • 22

    • 英国の初期BOT事業(1987~90年)の場合Queen Elizabeth Ⅱ橋、第2セバーン橋では需要リスクに対しては既存のトンネルや橋の料金収入も含めた事業とすることで採算を確保している。(バスコダガマ橋(ポルトガル)も同様)

    • シドニーハーバートンネル事業(1987)の場合(オーストラリア) 次ページ政府が需要リスクを以下のように負担。

    ・契約で定められた交通量を実際の交通量が下回った場合

    は政府が収入補填(最低収入保証)・逆に上回った場合は増分は政府の収入

    海外事業の需要リスク分担例

  • 23

    豪州

    ■シドニーハーバー・トンネル 運営開始後15年 交通量の実際

    BOOT事業:需要予測とリスク顕在化

    政府による最低交通量の保証→増分は政府収入

    出典:熊谷組資料

  • 24

    ひびきコンテナターミナルにおけるPFI事業

    ○事業経緯 ○事業概要2000年5月 事業実施方針公表 事業方式 BOT2000年12月 優先交渉者の選定 事業型 独立採算型2001年8月 都市再生プロジェクトに選定 SPCの業務 コンテナターミナルの整備・運営(25年間)2001年12月 基本協定を締結 (基盤施設は公共が整備)2004年1月 事業出資協定締結・運営会社設立 選定事業者 PSA(シンガポール)グループ(2グループ応募)2005年4月 ひびきコンテナターミナル供用開始 SPC ひびきコンテナターミナル

    (資本金 38.5億円;PSA,上組、新日鐵他)

    ○契約解除の経緯当初需要想定 実際2005年度 7万TEU 0.58万TEU2006年度 14万TEU 2.9万TEU

    SPCの債務額超過経営悪化に対して資本金を10億円に減額第1出資者のPSAの経営が悪化

    2007年7月 契約解除、北九州市による運営

    出典:北九州市H/P「ひびきコンテナターミナの運営体制の変更について」2007.7.6 他から作成

  • 25

    ○ VFM とは、一般に、「支払いに対して最も価値の高いサービスを供給する」という考え方。

    ○ 公共が自ら実施する場合の事業期間全体を通じた公的財政負担の見込みの現在価値PSC (Public Sector Comparator)の算定でリスク調整が適切に見込めない。

    ○ PFI事業として実施する場合の事業期間全体を通じた公的財政負担の見込額の現在価値「PFI事業のLCC (Life Cycle Cost)」算定データが不足。

    ○ VFMに関する官側の意識改革。○ VFM算定情報の充実。

    4.リスク評価や事業価格を妥当なものにすること

    VFM算定

    リスク調整費を見込んだPSCや予定価格の算出方法の開発。リスク費用の定量化。

  • 26

    実施方針公表

    特定事業選定

    検討無し 定性評価定量評価(比率)

    定量評価(金額)

    H11 3 3 66.7% 0.0% 33.3% 0.0%H12 13 13 53.8% 7.7% 7.7% 30.8%H13 32 32 71.9% 6.3% 15.6% 6.3%H14 50 50 88.0% 8.0% 0.0% 4.0%H15 48 47 85.1% 12.8% 0.0% 2.1%H16 51 51 82.4% 13.7% 0.0% 3.9%H17 47 46 80.4% 13.0% 2.2% 4.3%H18 49 48 81.3% 16.7% 0.0% 2.1%H19 52 38 97.4% 2.6% 0.0% 0.0%

    年度計 345 328 82.6% 10.7% 2.4% 4.3%

    実施年度実施案件数 リスク定量化検討(構成比) 実施年度別平均応募者数

    応募者数

    7.0

    6.2

    5.2

    4.04.5

    3.5 3.42.9

    2.1

    3.9

    0.0

    1.0

    2.0

    3.0

    4.0

    5.0

    6.0

    7.0

    8.0

    H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 平均

    VFM結果

    0.0%

    5.0%

    10.0%

    15.0%

    20.0%

    25.0%

    30.0%

    35.0%

    40.0%

    45.0%

    小中

    高学

    宿舎

    大学

    等公

    営住

    宅事

    務庁

    舎等

    給食

    セン

    ター

    保健

    福祉

    施設

    清掃

    工場

    等複

    合施

    設文

    化施

    設等

    上下

    水・排

    水等

    病院

    スポ

    ーツ

    施設

    観光

    ・温泉

    施設

    等浄

    化槽

    駐車

    場図

    書館

    ESCO 斎場

    文教

    施設

    余熱

    利用

    施設

    学校

    その

    他港

    湾施

    リサ

    イク

    ル施

    設等

    空港

    その

    他全

    事業

    平均

    特定事業選定時

    事業者選定時

    ■VFM評価結果(特定事業選定時・事業者選定時)

    ■リスク定量化状況 ■応募者数推移

    データ出典:PFI/PPP推進協議会リスク契約研究部会平成19年度報告書

    PFI実施方針公表案件 VFM評価及びリスク定量化状況

  • 27

    参考)盛武 建二等:「英国における新しい政府建設調達システムに関する調査研究」、建設マネジメント研究論文集 Vol:10、2003年

    価格合意方式の提案

    事業の進捗と価格

    進捗

    Aリスク調整費を多めに見込んだ価格の推移

    (PPP型:リスクが顕在化した時にリスク費用を減額)

    リスク調整費

    C既知の事項からの価格の推移(従来型:リスクが顕在化した時に

    対策費用を増額)

    工事開始 工事完了PPP契約

    課題:PPP契約では、リスク調整費を含んだ契約が必要なのに予定価格算定時に上手く見込めない状況の改善が必要。

    案2)ターゲットプライス(目標価格)&オープンブック方式(英国 CTRL等)

    案1)リスク調整費付き価格合意方式

    提案 公正さを保ちつつ、民にインセンティブがある予定価格算定、価格合意、価格変更のルール

  • 28

    価格合意方式の提案

    案1)リスク調整費付き価格合意方式

    シャドウトールなどによる補完官 民h 需要変動リスク

    原則官D 不可抗力(災害、制度変更)

    別途、リスク分担の定めがある場合のみ変更で官。

    原則 民C 経済変動リスク対応費

    支出要素

    民からリスク負担する意思表示があった場合は、B、bの見積もり提出

    原則官(場合;民)

    B 住民対応・用地取得費

    通常の積算民A 想定設計対応費

    一般には官の変更承認必要民H 料金収入

    b B対応リスク調整費

    民からリスク調整費として必要額の見積もり提出

    原則 民a 想定設計対応リスク調整費

    予定価格の算定等リスク負担価格項目

    評価値=F{α1*A,α2*a,β1*B, β2*b,η*技術評価}予定価格=(A+α*a)+(B+β*b) 予算確保枠=(A+a)+(B+b)

    最終価格=(A+B) ~ (A+B )+(a+b) 収まり方によってGain有り↑設計変更枠

    リスクに関する認識の共有化

  • 29

    価格合意方式の提案

    案2)ターゲットプライス(目標価格)&オープンブック方式(英国 CTRL等)

    出典:杉山正,阿野豊; 契約社会英国における新しい流れ-チャンネルトンネルレールリンクCTRLC220における実践報告,土木学会誌Vol.87,2002.8

    実コスト/ターゲットコスト

    竣工額

    工事例:ターゲットプライス253億円=ターゲットコスト230億円+フィー10%

    取得 ← → 損失

    Actual Price 線

    Target Price

    Contractor’s Share 90%以下 50%

    90~120% 25%

    120% 以上 10%

  • 30

    5.民間による創意工夫をしやすくすること

    基準類の性能規程化と認証システムの充実

    より上流からの性能発注

    用地取得のリスク負担に関する官民協議の実施

    ○ 仕様規程に縛られて創意工夫が妨げられる。○ 用地取得には詳細設計が必要。

    民間の創意工夫を促す性能発注の精神の浸透

  • 31

    • 内閣府「民間資金等活用事業推進委員会」では、平成19年11月の報告で〔重点的に検討し速やかに措置を講ずべき課題〕を整理。

    このなかで、事業環境変化への対応やモニタリングの在り方等を個別具体の課題として位置付け。

    現在、PFI事業契約に関する重点課題として以下の5項目を取り上げ「PFI事業契約に際しての諸問題に関する基本的考え方」として取りまとめている。

    ① サービス内容・サービス価格の変更

    ② 管理者等の任意解除

    ③ 中立的な第三者の関与を含む紛争調整メカニズム

    ④ 法令変更

    ⑤ モニタリング・支払いメカニズムの充実民間資金等活用推進委員会総合部会検討会(H21.1.20開催)会議資料より

    6. PFI法に基づく手続きの合理化をはかること

  • 32

    1 検討体制の仕組み作り

    ・事業が具体化する段階では官民での協議の場を設置

    2 具体的事例での検討

    ・例えば、

    大規模補修を含む事業(補修・更新の重要性の増 大、用地

    リスクが小、多様且つ高度な民間の技術力

    の活用)の実施検討

    2 検討に不足しているデータの整備

    ・リスク費用や期間の定量化

    ・維持管理費用に関するデータ

    7.検討の深化を図ること

  • 33

    管理者と事業者の契約に係わる課題と制度改善の方向性

    ○リスク分担が事業者に過大。

    ○民間事業者の創意工夫を生かすインセンティブがある契約になっていない。

    P.5,6の手法等の導入。更に、

    契約手続きにあたり、適切な評価項目や基準を設定。

    低入札の防止のための方策の検討。

    PPP/PFIが社会資本整備等の1手法であり、従来の公共調達方法と共に柔軟に使えることが必要。

  • 34

    社会資本整備等における調達方式等の変化イメージ

    社会資本整備管理者/事業者の使命

    施設をより良く整備・管理(施設を買う)

    より良いサービスを提供(サービスを買う)早く提供することが重要な使命

    事業ビジョン・計画の立案と推進 → 不変

    資金の状況

    政府に資金が豊富 民にはあっても政府にはない

    契約相手の決定

    発注の範囲 設計・施工分離 デザインビルド

    有効利用・修繕・改良・更新LCCの重視

    新設

    総合評価・高度技術提案価格競争

    設計法 仕様規定・仕様発注 性能規定・性能発注

    +Own,Operate

    工事管理 監督 検査 委任

    国債 3年 5年 30年

    従来型+DB DBFTのPPP従来型発注 OOのPPP

    DBとPPPは似た公共調達方式