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○福井 尚卿, 松尾 直志, 島田 伸敬(立命館大学) 力入力に対する剛体群の運動応答予測と静力学的構造安定性の推定 1. 研究背景・目標・内容 3.剛体の見えの変遷モデル学習実験 人には力学方程式を解かずとも物体の状態をシミュレートし次どうなるか予測する 視覚的想像力」が備わっている. ロボットに「人間らしい片付け」をさせるには物体同士がどのような 配置であれば安定してるかロバストな判断をさせる必要がある 4.剛体の静力学的構造安定性評価 2. 本研究で扱う問題設定・データについて 本研究では剛体の画像内運動をモデリングするために運動を予測するための 枠組みを提案し予測した結果に対して剛体の静力学的安定箇所評価を行 扱うデータ: 静止した状態の1フレーム目から外力を加えられた剛体群がどのような動き をするのかを予測した. 剛体群のテストデータに対する 変遷予測結果 3で作成した深層学習モデルを用いて剛体群の静力学的構造安定性の評価 静力学的構造安定性の定義 テストデータに対する適用結果 5. まとめと今後の課題 2D物理シミュレーションを用いて作成した剛体群に対し,画像内での見えの 変遷を予測する手法を提案した また,それを用いて剛体群の静力学的構造安定性評価を行った 今後は 学習モデルの精度向上 今回は2Dでシミュレーションを行ったが3Dのモデルを用いて実世界 を写した画像入力でも対応できるようなモデル構築 剛体のみならず変形を伴う運動や摩擦や弾力など複雑なパラ メータを扱うことができるモデル構築 剛体の見えの変遷モデル学習実験 剛体の静力学的構造安定性評価 研究内容: 実験概要: 実験対象とする動画は背景が黒で正方形のブロックが 1 つから 3 つ重ならない ように配置した画像が1フレー ム目となるような動画 画像内に存在するブロックは画像サイズ480pxに対し,一辺75px ブロックのx方向の位置は左端から140px165px, 190px, 215px, 240px, 265px, 290px, 315px, 340px8点いずれかに配置 y方向の位置は下端から92px, 167px, 242px 3 点いずれかに配置 重力を模倣した一様な下向きの力 (−900px/s2) を加える 画像下部にある灰色の線は地面を模したものでブロックはこれを通過して下に 落ちることはできない. 剛体群に加える力入力を 画像として表したもの output input(1st frame) 推定したい剛体の位置・ 姿勢を表す画像 剛体群全体の 画像 ・入力は動画の1フレーム目の、RGB画像と推定したい剛体の位置・姿勢を表す 画像・剛体群に加える力入力を画像として表したものの計6channel ・教師データには2~20frame目の推定したい剛体の位置・姿勢を表す画像 力入力は1枚目をx方向,2枚目をy方向として表している. 力の成分が正の値であれば 色が薄くなり負の値であれば色 が濃く描画される. 深層学習モデルの入力と教師データ モデルの構造: 動画の1フレーム目のRGB 画像と予測したい剛体の位置・姿勢を表す白黒画 像,シーン中のブロックに与えられた外力を表す白黒画像を学習データとし,未 20 フレームの剛体の位置・姿勢を表す白黒画像を教師とする深層学習モ デルを作成した. このモデルでは入力された画像から畳み込み層を用いて特徴 マップを作成し,そ れを畳み込み LSTM の内部状態に設定する構造になっている. それぞれの剛体に対しての衝撃の加え方の組み合わせの中で,剛体の運動を 表す見えを予測できることを利用し,画像内変動 " #$%%$&’ を以下の式で定 義しこの最大値 ()* ,最小値 (+, を用いることで安定・不安定な箇所を指 摘する方法を提案する. .)//01, は剛体kに与える外力の 方向を表してい る.この式はある剛体 に対し外力 を与えた時の画像内全ての剛体 の変動の合計を表している. .)//01, 1枚のRGB画像あたり力の加え方8方向と力を加える物体3種類か 24パターン存在する. 結果画像中の黄色い矢印が不安定な力の加え方、青い矢印が安定な 力の加え方を表している. 図中右端の列は推定結果がTruthPredictで異なっているが,安定とされ た力の加え方がどのような変動をしているかを見ると正しく推定できていな かった. 以下の結果は画像中の物体全てに対し て見えの変遷を予測し合成したものであ ある。 データ例1 データ例2 データ例3 ! "#$ = &. &(&&) ! "+, = &. &&-.)- ! "#$ = &. &&/(0/ ! "+, = &. &&-//& ! "#$ = &. &.1(( ! "+, = &. &&&-0(2 ! "#$ = &. &31&- ! "+, = &. &&((-0 ! "#$ = &. &&3(11 ! "+, = &. &&(3)3 ! "#$ = &. &&0&31 ! "+, = &. &&(10) ! "#$ = &. &2-/( ! "+, = &. &&&2./1 ! "#$ = &. &2-.- ! "+, = &. &&&2233 ! "4#, = &. &&..3/ ! "4#, = &. &&3&&- ! "4#, = &. &&-02/ ! "4#, = &. &&-).. ! "4#, = &. &(-/3 ! "4#, = &. &-201 ! "4#, = &. &&3&/3 ! "4#, = &. &&302&

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Page 1: 力入力に対する剛体群の運動応答予測と静力学的構造安定性の推定 › publication › 2019 › 20190607__t... · 2019-06-18 · れを畳み込みlstm の内部状態に設定する構造になっている

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○福井尚卿, 松尾直志, 島田伸敬(立命館大学)

力入力に対する剛体群の運動応答予測と静力学的構造安定性の推定

1. 研究背景・目標・内容 3.剛体の見えの変遷モデル学習実験人には力学方程式を解かずとも物体の状態をシミュレートし次どうなるか予測する「視覚的想像力」が備わっている.

ロボットに「人間らしい片付け」をさせるには物体同士がどのような配置であれば安定してるかロバストな判断をさせる必要がある

4.剛体の静力学的構造安定性評価

2. 本研究で扱う問題設定・データについて

本研究では剛体の画像内運動をモデリングするために運動を予測するための枠組みを提案し予測した結果に対して剛体の静力学的安定箇所評価を行う

扱うデータ:

静止した状態の1フレーム目から外力を加えられた剛体群がどのような動きをするのかを予測した.

剛体群のテストデータに対する変遷予測結果

3で作成した深層学習モデルを用いて剛体群の静力学的構造安定性の評価

静力学的構造安定性の定義

テストデータに対する適用結果

5. まとめと今後の課題• 2D物理シミュレーションを用いて作成した剛体群に対し,画像内での見えの変遷を予測する手法を提案した

• また,それを用いて剛体群の静力学的構造安定性評価を行った今後は

• 学習モデルの精度向上• 今回は2Dでシミュレーションを行ったが3Dのモデルを用いて実世界を写した画像入力でも対応できるようなモデル構築

• 剛体のみならず変形を伴う運動や摩擦や弾力など複雑なパラメータを扱うことができるモデル構築

• 剛体の見えの変遷モデル学習実験• 剛体の静力学的構造安定性評価

研究内容:

実験概要:

• 実験対象とする動画は背景が黒で正方形のブロックが 1 つから 3 つ重ならないように配置した画像が1フレーム目となるような動画

• 画像内に存在するブロックは画像サイズ480pxに対し,一辺75px• ブロックのx方向の位置は左端から140px, 165px, 190px, 215px, 240px,

265px, 290px, 315px, 340pxの8点いずれかに配置• y方向の位置は下端から92px, 167px, 242px の 3 点いずれかに配置• 重力を模倣した一様な下向きの力 (−900px/s2) を加える• 画像下部にある灰色の線は地面を模したものでブロックはこれを通過して下に落ちることはできない.

剛体群に加える力入力を画像として表したもの

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推定したい剛体の位置・姿勢を表す画像

剛体群全体の画像

・入力は動画の1フレーム目の、RGB画像と推定したい剛体の位置・姿勢を表す画像・剛体群に加える力入力を画像として表したものの計6channel

・教師データには2~20frame目の推定したい剛体の位置・姿勢を表す画像

力入力は1枚目をx方向,2枚目をy方向として表している.力の成分が正の値であれば色が薄くなり負の値であれば色が濃く描画される.

深層学習モデルの入力と教師データ

モデルの構造:

動画の1フレーム目のRGB 画像と予測したい剛体の位置・姿勢を表す白黒画像,シーン中のブロックに与えられた外力を表す白黒画像を学習データとし,未来 20 フレームの剛体の位置・姿勢を表す白黒画像を教師とする深層学習モデルを作成した.

このモデルでは入力された画像から畳み込み層を用いて特徴マップを作成し,それを畳み込み LSTM の内部状態に設定する構造になっている.

それぞれの剛体に対しての衝撃の加え方の組み合わせの中で,剛体の運動を表す見えを予測できることを利用し,画像内変動𝑀"#$%%$&' を以下の式で定

義しこの最大値𝑀()*,最小値𝑀(+,を用いることで安定・不安定な箇所を指摘する方法を提案する. 𝑘.)//01,は剛体kに与える外力の方向を表している.この式はある剛体𝑘に対し外力𝑝𝑒𝑡𝑡𝑒𝑟𝑛を与えた時の画像内全ての剛体の変動の合計を表している.

𝑘.)//01,は1枚のRGB画像あたり力の加え方8方向と力を加える物体3種類から24パターン存在する.

• 結果画像中の黄色い矢印が不安定な力の加え方、青い矢印が安定な力の加え方を表している.

• 図中右端の列は推定結果がTruthとPredictで異なっているが,安定とされた力の加え方がどのような変動をしているかを見ると正しく推定できていなかった.

以下の結果は画像中の物体全てに対して見えの変遷を予測し合成したものであある。

データ例1

データ例2

データ例3

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