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東北大学工学部 SCHOOL of ENGINEERING, TOHOKU UNIVERSITY 水環境デザインコース Water and Environmental Studies 社会基盤デザインコース Infrastructural Engineering 都市システム計画コース Transportation and Urban Planning 都市・建築デザインコース Architectural Design 都市・建築学コース Architectural Engineering DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE 建 築・社 会 環 境 工 学 科

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東 北 大 学 工 学 部   SCHOOL of ENGINEERING, TOHOKU UNIVERSITY

水環境デザインコースWater and Environmental Studies

社会基盤デザインコースInfrastructural Engineering

都市システム計画コースTransportation and Urban Planning

都市・建築デザインコースArchitectural Design

都市・建築学コースArchitectural Engineering

DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

建築・社会環境工学科

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● 建 築 ・ 社 会 環 境 工 学 科

 砂漠の中に造られた壮大なピラミッド、古代ローマ帝国がつくりあげた建築、道路網、水道橋、宇宙からでも肉眼で見分けられる万里の長城など、古代の輝かしいモニュメントが現在も残され、我々の生活においても活きつづけています。地球環境下で生きる我々は、このような過去の遺産を受け継ぐと共によりよい生活空間や人間活動を見いだす必要があります。

 本学科における、建築・社会環境工学とは、豊かで文化的な生活空間を創造するために建築や社会をデザインし整備するための学問です。大学では知識を得るだけでなく、それを体系化し実践しなければ役にたちません。そこでは、現実での問題の抽出・整理、解決方法、結果の評価・修正するプロセスを学ぶことが大切です。

 最も生活に密着した本学科では、環境デザイン・計画から、実際に豊かで安全な生活を創造し、その効果を評価し改善するところまでを行います。対象とする分野は広く、5つのコースに分かれ総合的に教育・研究を実施していきます。

目的 安全・健康・快適な生活空間の創造

段階 計画、デザイン、施工、評価改善

視点 歴史・文化・生活様式、ニーズ、感性、科学技術、安全、豊かさ

力点 自然環境・社会環境のポテンシャルを活用した安全・健康・快適な地域

● 建 築 ・ 社 会 環 境 工 学 科

文化的生活空間を創造するための建築や社会をデザインする過去の遺産を受け継ぐと共によりよい生活空間や人間活動を見いだせる空間

— 自然との共生を目指して—はじめに

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 建築・社会環境工学科は、2004年4月に土木工学科と建築学科が統合して誕生しました。この学科では、土木・建築という従来の学問分野を基礎としながらも、それぞれの枠組みに執着することなく双方の学問分野を融合させることにより、広く良好な環境を創造する人材を育成していきます。 本学科では、「社会基盤デザイン」「水環境デザイン」「都市システム計画」「都市・建築デザイン」「都市・建築学」の5つのコースを設けることにより、計画・デザインから自然・社会システムの理解、その対応や対策を考えた教育・研究・実践を行っています。その対象は、建物、地域、都市、さらには地球規模までと広く、内容も建築デザイン、都市デザイン、環境技術、生態学の応用技術、地震・津波の防災・減災技術など多岐にわたっており、世界的にも高い評価を得ている研究成果が数多く生み出されています。 ハード、ソフトの両面において、数々の実績を持つ教員たち、そして情熱を持った学生たちを擁している建築・社会環境工学科。21世紀の新しい人間生活と空間の創造を開拓していくための知識・情報・人材がここにあります。

DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

建築・社会環境工学科の特徴

何を目指すか?

建築・社会環境工学科

2年生後期に、コース振り分け

DEPT. O

F CIVIL EN

GIN

EERING

AN

D A

RCH

ITECTU

RE●橋などの設計に欠かせない力学基本原理の理解●土木材料に関する幅広い知識●構造物のシミュレーション技術

社会基盤デザインコースInfrastructural Engineering

●津波・洪水等の災害解析と防災計画立案の知識●水環境・生態系の動態解析と保全計画立案のスキル●環境・生物試料の化学分析・遺伝子解析技術

水環境デザインコースWater and Environmental Studies

●都市インフラのプランニングおよび都市政策デザインの技術●交通計画および交通需要マネジメントに関する技法●景観デザインおよび地域・まちづくりのスキル

都市システム計画コースTransportation and Urban Planning

●都市 ・ 建築に関する理論・歴史の理解と叙述●多様な要求を空間にまとめあげる設計能力●次世代の社会に向けた都市・建築空間の構想力と提案力

都市 ・ 建築デザインコースArchitectural Design

●健康・快適・省エネルギーな都市と建築の実現●都市・建築構造物の安全性向上技術●巨大災害に対する防災・減災技術

都市 ・ 建築学コースInfrastructural Engineering

各コースのターゲットスキル

入学後は、基本的教養や科学的知識の基礎を学ぶとともに、建築・社会環境工学科の 5つのコースに関連する専門教育の基礎を学びます。各コース配属後は、より高度な専門知識を講義、実習、演習などを通じて幅広く習得していきます。4年次には、卒業研究や卒業設計を行い、建築・社会環境分野における様々な問題の解決に挑みます。

東北大学工学部 SCHOOL of ENGINEERING TOHOKU UNIVERSITY

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● 建 築 ・ 社 会 環 境 工 学 科

何を学ぶか?

社会基盤デザインコースでは、道路・橋・トンネル等の社会基盤のデザインを行う

上で必要となる基礎的な解析・設計手法について学びます。次代の社会基盤整備

は、身近な生活環境から地球規模というひろがりのあるステージで、豊かさと快適

さをフレキシブルに創造できる人材が担うべきものであり、その育成カリキュラ

ムが組まれています。

会基盤デザインコース社

● 社会基盤デザイン演習

● 耐震工学

● 弾性体力学

● 計算力学

● 地盤工学

● 橋梁と鋼構造

代表的な科目

水環境デザインコースでは、快適な水辺を創り、川や森を保全して自然環境を維

持していくための技術を学びます。自然は時として猛威を振るうので都市や人間

を災害から守る防災技術も不可欠です。また、環境負荷が小さい水循環システム

の創成に奉仕できる人材を育成するカリキュラムも提供しています。

環境デザインコース水

● 水環境学演習

● 水理学

● 沿岸海洋環境工学

代表的な科目

DEPT.OFCIVILENGINEERING AND ARCHIT

ECTU

RE, SCHOOLOFENGINEE

RING,TOHOKUUNIVERSITY

東北大学工学部SCHOOL of ENGINEERING

TOHOKU UNIVERSITY

● コンクリート工学

● 構造解析学

● 構造安定論

● 環境保全工学

● 生態工学

● 地球環境学

● 環境計画

● 水質工学

● 陸水の運動学

都市システム計画コースでは、交通計画や都市計画を行う上で必要な知識や手法

を学びます。景観や自然環境を生かしながら、あるべき姿に導き、なおかつ地域

の人々のために快適で美しい空間を実現するプランナーを育成するカリキュラム

が組まれています。

● 都市システム計画演習

● 地域・都市計画

● 景観・デザイン演習

● 計画数理

● 都市計量解析

● 土木計画学

代表的な科目

● ミクロ経済学

● 交通計画 

● システムズアナリシス

市システム計画コース都

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DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

都市・建築デザインコースは、多様な要求を満足し、安全性・快適性・社会性・

芸術性を兼ね備えた空間をデザインしていく能力を養成することを目標としてお

り、将来、主として建築物の設計業務に携わる人材の育成を念頭においたカリキュ

ラムが組まれています。

市・建築デザインコース都

● 建築設計 A 〜 D

● 建築計画基礎論

● 建築材料基礎論

● アート演習

● 建築環境工学基礎

● 日本建築史

代表的な科目

市・建築学コース都

DEPT.OFCIVILENGINEERING AND ARCHIT

ECTU

RE, SCHOOLOFENGINEE

RING,TOHOKUUNIVERSITY

● 西洋建築史

● 建築構造概論

● 都市計画

良い建築を創造するためには、デザインだけではなく建築の安全性・快適性・社

会性などに関する基礎的な分野の知識が不可欠です。本コースではデザインはも

とより構造から環境・計画までの幅広い分野をカバーし、建築の総合的な専門家

となる人材の育成をめざしたカリキュラムが組まれています

● 建築設計 A 〜 C

● 建築構造の力学

● 建築材料学演習

● 建築計画基礎論

● 建築構造デザイン

● 建築施工

代表的な科目

● 建築設備

● 建築材料基礎論

● 日本建築史

カリキュラム紹介

大学4年間では、はじめに、工学基礎、自然科学、社会科学、人文科学、語学などの基礎的な科目を履修し、さらに、個々のコースにおいて体系づけられた専門カリキュラムにより高度な知識の習得を目指しています。

各コースではそれぞれの専門的な講義はもとより、関連する幅広い分野の科目を履修することが可能です。また、講義だけでは得られない体験や知識は、インターン実習、各専門での演習、フィールド調査、などを通じて学べます。これにより、豊かな生活を築くための知識と手法が習得できます。

4年次では、卒業研究もしくは設計が義務づけられており、テーマを設定して、課題の整理、解決策などを模索しながら得られた知識を応用し、実践的な研究成果を得られる機会を設けています。その集大成である卒論発表会の場では熱いディスカッションが繰り広げられています。

基礎から専門を学ぶ

専門でのコース

卒     業

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東北大学工学部SCHOOL of ENGINEERING TOHOKU UNIVERSITY

何を究めるか?

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DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTUREDEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

 建築・社会環境工学科では、建物のデザイン、

身近な住環境から地球規模の環境保全への配慮、

地震・津波・洪水などの自然災害の軽減、社会基

盤の整備や快適な住空間・都市空間の構築のあり

方などに関する研究を実施しています。その成果

は、建築・社会環境分野の発展に大いに貢献し、

国内外において高い評価を受けています。

 4年生になると、本学科にある研究室のいずれ

かに所属し、卒業研究や卒業設計を通して、建築・

社会環境分野における様々な問題の解決に挑むこ

とになります。

本学科で行われる研究内容

我々の生活を支える公共施設を安全かつ経済的に建設するため

には、それら構造物の強度に対する知識を基に、経済的かつ合

理的な設計を目指す必要があります。構造物を構成する建設材

料の特性や強度を把握し、構造部材の複雑な破壊メカニズムを

解明するには、高度な数理的手法が必要となります。さらに、

構造物を支える岩盤や地盤の強度や安全性についても十分な検

討を行うことが要求されます。そうした要請に応えるために、

社会基盤デザインコースでは、社会基盤を構成する構造・材料・

基礎の設計や施工に関連し、構造物や材料の力学特性を研究し

ています。

本学科で行われる研究内容

社会基盤デザインコース

コンクリート構造の耐震実験

災害ガレキの建設資材化(セメント固化技術の応用)

地震被害を受ける鋼製橋脚の変形挙動シミュレーション

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● 建 築 ・ 社 会 環 境 工 学 科

何を究めるか?

水は我々の生活に欠くことの出来ない資源。しかし同時に、洪

水や津波として我々の命を奪う恐ろしい姿にも変わります。ま

た、川や海の水環境破壊は地球規模で深刻化しています。こう

した様々な問題を解決するために水環境デザインコースでは、

健全な水循環の創造、美しい海岸線の保全、安全な水の提供、

汚れた水の再生等の環境技術や、都市や人間を災害から守る防

災技術の開発など、世界的視野に立った幅広い研究を行ってい

ます。

現地調査、リモートセンシング、水理実験、理論・数値解析、

など様々な手法を駆使して、人、水、環境を観ています。

 フィリピン台風ハイエンの被害 

2011 年タイ洪水の実態調査

 巨大都市システム「東京」

都市システム計画演習でのパース作成

交通流シミュレータ

2011 年東北地方太平洋沖津波が伝わる様子

21世紀は人類史上初めて都市部に住む人口が過半数を超える「都市の世紀」です。都市は今や特殊な存在ではなく、人々の居住、労働、憩い、交通など、生活に関連する大部分が都市に関連するようになってきました。都市システム計画コースは国土形成計画、都市計画・交通計画などを通して都市の生活環境を豊かなものにすることを目標にしています。そのため、現在利用できる技術・知識を学習する場を提供するだけでなく、未来における望ましい都市空間を創造するための都市システム理論や景観論、また、都市空間における人間行動を理解するための経済理論・行動科学についても学習し、基礎理論に基づく都市プランを立案できる人材を育成することを目指します。

水環境デザインコース 都市システム計画コース

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DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

本学科で行われる研究内容

何を究めるか?

建築物は人間の様々な活動を支えるシステムとして、まず、安

全・快適なものでなければなりません。また、都市環境との調

和や経済性、さらに高い芸術性を持つことも要請されます。都

市・建築デザインコースでは、常に「良い建築・良い都市とは

何か」という根源的な課題を問い直しつつ、関連する諸分野と

協力して、都市・建築デザインの評価方法、デザインが人間に

与える影響、新たな都市・建築デザインの方法の開発等に関す

る研究を行っています。

良い建築・都市を創造していくためには、その基礎となる様々

な分野における知識の蓄積が不可欠です。これらの分野には、

都市・建築の安全性・生産性を追求する建築構造学・建築材料

学、快適性を追求する都市・建築環境工学、デザインの基礎と

なる建築計画学、都市計画学、建築史学などがあります。建築

学コースでは、それぞれの分野において、地震等の外部からの

作用に対する建築物の挙動、熱・光・音等の空間の環境、人間

活動と空間特性との関連、都市・建築の歴史的形成過程などに

関する研究を行っています。

振動台による構造実験設計授業の講評会

街並みの検討 CG都市の温熱空気環境シミュレーション

風洞実験模型せんだいメディアテーク

都市・建築デザインコース 都市・建築学コース

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● 建 築 ・ 社 会 環 境 工 学 科

学生・卒業生からの声

滋賀県立大学

人間文化学部

地域文化学科

㈱松田平田設計

総合設計室

新たな分野を切り開く力を身につけていって欲しいと思います

私が学んできたことを十分に生かせる場となっています

 もともとは「建物を設計する仕事をしたい」という思

いから建築学科を選びましたが、入学後は伝統的な民

家・集落に興味を持つようになっていました。その後、

所属していた研究室の仕事で岩手県にある小さな町のま

ちづくりに参加したのですが、地元の方々とともに町並

み保存活動をしていく中で、「その土地の伝統的な民家・集落の歴史や魅力を探

ることは、そこに住む人々の暮らしの『これから』を考えることである」と考え

るようになりました。その時点から、将来の仕事として研究者を意識するように

なり、現在に至っています。

 いまは、滋賀県内にある伝統的な民家・集落の調査や、文化遺産を活用したま

ちづくり、また、世界遺産であるシリア・パルミラ遺跡の発掘調査・復元工事に

参加している日々を送っていますが、研究活動を支えているのは、やはり、あの

学生時代の経験によって得たものだと感じています。

 私は建築計画研究室出身で、PFIと学校計画を中心に研究を行いました。 現在、組織設計事務所にて建築設計をしており、入社後まもなくプロジェクトを任され、コンペにも積極的に取り組んでいます。

 私が専攻した計画学には社会学等の他分野を含めた広範囲にわたる知識が要求されたため、現在、設計デザインを進めていくプロセスに必要となるストーリーの設定や建築の社会性などへのアプローチ設定において、学んできたことを十分に生かせる場となっています。 そして何より、大学で習得した大きな力はコミュニケーション力と理解力です。大学以外の様々な方々と関わりあいを持ち吸収し、はっきりとした問題意識をもち、その問題にどうやって立ち向かっていくかについて、自分自身がこれまでにない新しい解答を生み出していく力であると考えています。 これから大学に進学し建築を学ぶ方々にとっても、新しい知識の吸収に留まらず、新たな分野を切り開く力を身につけていって欲しいと思います。

石 川 慎 治 1998年卒業生 堀 田 梨 絵 2005年卒業生

土木工学という魅力ある学問私は現在、社会基盤デザインコースに所属しています。私がこの学科を選んだのは、地図に残る巨大なものを作りたい、そんな理由だった気がします。土木の魅

力はそのスケールの大きさと、公共性の高さにあると思っています。事業に関わっている費用も莫大ですし、大勢の人が関わってきます。また、普段意識されるこ

とは少ないものの、皆が必ず土木という分野の恩恵を受けており、それにより生活が豊かになっています。東日本大震災がまだ記憶に新しいものと思いますが、そ

うした自然災害から人々の命を守るのも土木の大事な仕事です。

大きな構造物を作りたい人はもちろん、社会に貢献したいと考えている人にこの学科を是非選んで欲しいです。

市 川  智(社会基盤デザインコース)●

4年生

土木の可能性私は現在、土木系水環境デザインコースに所属しています。皆さんは「土木」というものにどのようなイメージを持たれるでしょうか。日本中、世界中の様々な学問分野そして人々の暮らしの基礎に「土木」は常に関わっています。道路やトンネル、橋など交通を支えるインフラは土木工学によって成り立っています。皆さんが安心して飲める水を創り出す技術や、洪水や津波から人々の生活

を守る技術も土木工学によるものです。さらには、交通渋滞、都市景観を考えるうえでも土木工学の知識は必要不可欠です。在学中には、これら生活の根幹を成す「土木」の基礎を幅広く学ぶことができます。また、現場見学や講演会など、社会と関わる機会もたくさんあるため、より

広い視野を身につけることもできます。人々の生活をより良いものとしたい、何か大きな物を作りたい、世界に活躍の場を持ちたい、そう思ったときまず学ぶべきものは「土木」なのではないでしょうか。

西 村 亜 紀(水環境デザインコース)

4年生

土木のおもしろさ私はまちづくりに関わることを勉強したいというぼんやりとした理由からこの学科を選びました。しかし入学後さまざまな講義を受けることで、まちづくりとい

う言葉がとても曖昧かつ多義なものであること、まちへの関わり方は非常に多様であることを知り、自然や都市空間など、大規模かつ公共性の高いものを扱うことに土木の魅力を感じ、現在は土木系コースに所属しています。

普段歩いている道路や橋、眺めている川や海、悩まされる車の渋滞など、一言で言えないほどたくさんの分野が集合している学問が土木です。このように日々の生活体験に、講義で学ぶ内容や研究が直接結びつくことが土木を学ぶことのおもしろさであると感じています。三年生時の学外研修ではシンガポールを訪れ、大規模な土木工事現場を見学させていただきました。見学を通じ、そのスケールの大きさや、多国籍の労働従事者

とのコミュニケーションの苦労や、マネジメントの難しさについても知ることができ、また、普段大学で学んでいる事が確かに社会の役に立っていることを強く実感できました。

土木はその幅が非常に広く、また社会に欠かす事のできない分野です。社会に貢献したいと考える人は、進路の選択肢に土木というものを考えてみてはいかがでしょうか。

小野寺 雄 大(都市システム計画コース)

4年生

日本と海外の建築的思考が身につく私の所属するコースでは、現状の調査や分析から自ら問題点を見つけ出し、自分ならこうしたいというビジョンの元形にしていく設計課題、あるいは、研究室と

して教授や他学年の学生と共に行う、社会に提案されるプロジェクトへの取り組み等を通して、建築的思考を身につけることが出来ます。また、研究室には様々な

国から来た留学生が所属しており、海外の建築学生の考え方や設計方法などを知る機会を持つことが出来ます。

さらに、海外留学へ行くチャンスがあるのも魅力の1つです。私は建築学科の学生として、ベルギーに1年間の交換留学をしました。海外の建築を見たり、大学

教育を身をもって体験することは、大変貴重な経験となりました。

三 浦 麻 衣(都市・建築デザインコース)●

4年生

建築学科に入って私は都市・建築学コースに所属しています。建築学科というと、建物のデザインや設計方法について勉強するところだと想像する方も多いと思いますが、実際はそれだけ

ではありません。この学科では、建築を形作る基礎となる技術や理論についても、様々な方面から学びます。耐震構造の技術から防災・都市計画まで、その範囲は多岐に渡っており、授業や設計課題を通じて個人の興味や適性に応じた学びを深めることが出来ます。

私はその中でも、人間にとって健康・快適な建築環境を省エネ・低炭素で実現する建築環境工学を専門としており、特に、建築空間内の人間の知的生産性を向上させるための空調制御技術について研究を行っています。来たる高齢化社会においても大きな意味を持つと考えられる、今後の展開が期待される分野です。実験や分析といった研究の過程は決して簡単なものではなく、時に様々な問題に悩まされます。しかし、その分結果が見出だせた時の達成感はとても大きなものとなります。

建築は社会と密接に関わり合い、相互に影響を受けている存在です。私自身、建築学科に明確なイメージを持って入学したわけではありませんでしたが、この学科で学ぶことで社会の見え方が変化し、視野が大きく広がったと感じています。将来はぜひ社会に貢献したいと考えている方はもちろんのこと、今進路に迷っている方、建築学科を進路の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

古 川 麻衣子(都市・建築学コース )

4年生

地震研に入って 私は現在、都市・建築デザインコースに所属しています。日本の建築に魅力され、迷わず東北大学の建築・社会環境工学科を大学受験の第一志望にしました。この学科では、3年

生まで一般教養や専門知識を含め、様々な知識や技術を講義や実験を通して教わります。

 私が入学した2011年に東北地方太平洋沖地震が身近に発生したこともあり、近年世界各地に大地震が多発していることをみて、自分の力で少しでも防災・減災に貢献できたらと

思い、インセンティブ防災学分野の研究室を希望しました。研究室配属されてから、卒業論文に向け、先生と先輩に教わりながら、建築の構造設計についてのみならず、地震関係の

知識もいろいろ講義やゼミを通して身につけます。この四年間の勉学を通して、建築のチカラを活かし、建物の崩壊・破損による被害を最小限に抑える研究をしていきたいと思います。

趙  珮 岑(建築デザインコース )●

4年生 ●

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就職・進学先一覧学部卒業・修士課程修了

DEPT. OF CIVIL ENGINEERING AND ARCHITECTURE

人間・環境系

化学・バイオ系

電子情報システム・応物系

機械・知能系

マテリアル・開発系

● 国土交通省国土技術政策総合研究所 ●

 災害時に道路やライフラインはいち早い復旧が求められます。また、我が国の橋やトンネルは高齢化が進んでおり、経年の損傷の累積が見られます。このような中、突然の破壊を未然に防いだり長持ちさせるためにはどんな点検(健康診断)や補修(予防や治療)をどのくらいのペースで行えばよいのか、精密検査ができるのか、そして何よりも、適切に診断し治療方法を決められるのか? 国土交通省の研究所で私が所属する研究室では、日々、全国の点検データを分析し、今現場で起きている問題点を把握したり、劣化・被災そして補修メカニズムを研究(臨床)したりしながら、成果を技術基準やメモにして全国の技術者に普及させています。時には自ら国内外の現場で高度な診断を実施することもあり、日々の研究は技術者としての訓練にもなっています。安全な暮らしを支えるインフラを守りたい・国土を守りたいという思いを形にできる仕事です。

● 清水建設㈱ 東北電力㈱新仙台火力発電所 LNG 地上タンク作業所 ●

 みなさん、こんにちは!清水建設㈱ 内田加苗です。現在入社5年目となります。 私は現在、東北電力㈱新仙台火力発電所LNG地上タンクの現場に工事係員として在籍しております。LNGタンクと聞いても正直想像が難しいと思いますので、完成予想図と現在の状況を示します。液化天然ガス(LNG)を入れるタンクです。現在2つのタンクを同時に施工しております。タンク容量は16万Kℓとなり、タンク直径が約80m、高さが約55mとなります。東日本大震災以降、電力確保が騒がれている今、急ピッチで施工を行っております。 私の仕事内容は、簡単に言うと現場の施工管理です。構造物が計画通りに作られていることの確認や、次の作業がスムーズに出来るように段取りをしています。自分の目の前で日々構造物が出来上がっていく状況は、やはりものづくりの魅力だと思います。また、その構造物が将来多くの人々の生活に役立つと考えると、土木はやりがいがある、誇れるしごと(大げさ?)だと感じています。女性であることに多少は悩むこともありますが、夫や周りからのサポートもあり、今日も元気いっぱいに現場で楽しくものづくりを体感しています。ぜひ、土木という分野に興味を持っていただけると幸いです。

白 戸 真 大 1995 年卒、1997 年大学院土木工学専攻博士前期修了 

内 田 加 苗 2009 年土木工学専攻博士前期修了 

 学部卒業生は、8割以上が大学院へ進学します。大学院では3つの研究科と災害科学国際研究所に所属が分かれますが、学部から大学院まで一貫した教育・研究を行っています。現在は、高度な工学教育を受けて社会に出ることが期待されているので、高い進学率となっています。進学以外では、建設・設計・住宅環境や公務員にそれぞれ3%が就職します。 修士課程修了後は、建設・設計・住宅環境へ4割、運輸・電力・重工や公務員にそれぞれ1割強など、生活空間を創造する業界に多く就職します。また、1割強が博士課程へ進学し、その後、大学などの教育機関や研究機関へ就職します。

工学部・工学研究科キャンパス

※ 過去 3 年間のデータに基づき作成

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

■ H27.3

■ H28.3

■ H29.3

修士課程へ進学工学研究科災害科学国際研究所情報科学研究科

公務員 公団 その他建設 設計 住宅環境

55

50

45

40

35

30

25

20

15

10

5

0

■ H27.3

■ H28.3

■ H29.3

博士課程へ進学公務員 公団 その他建設 設計住宅環境

運輸 電力重工業 通信

学部の就職・進学先 修士の就職・進学先

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〒 980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6-06TEL:022-795-7485 FAX:022-795-7895E-mail:[email protected] http://civil.archi.tohoku.ac.jp/

東北大学工学部 建築・社会環境工学科事務室

● 問合わせ先・資料請求先 ●